(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】液体消毒装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/32 20230101AFI20240516BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
C02F1/32
A61L2/10
(21)【出願番号】P 2022546401
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2021055272
(87)【国際公開番号】W WO2021190886
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】102020108265.7
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517195321
【氏名又は名称】ハイテコン エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】クリンク,マキシミリアン
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/025199(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/026576(WO,A1)
【文献】特開2018-075572(JP,A)
【文献】特開2019-098291(JP,A)
【文献】特開2019-188128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/20-1/26、1/30-1/38
A61L2/00-2/28、11/00-12/14
B01J10/00-12/02、14/00-19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を消毒する装置(20)であって、
流入用の注入口(19)と、消毒する液体を排出する排出口(9)と、を有するリアクタハウジング(15)と、
前記リアクタハウジング(15)内に形成されたリアクタチャンバ(16)であって、前記液体が、前記注入口(19)から前記排出口(9)までの流路(18)に沿って、前記リアクタチャンバ(16)内を流れるように、前記消毒する液体を受けるよう構成されたリアクタチャンバ(16)と、
複数のUV-LED(11)を有するUV照射装置(21)と、
前記複数のUV-LED(11)が配置される長尺支持要素(7)であって、前記複数のUV-LED(11)によって、前記流路に沿って、UV光が、前記リアクタチャンバ内に射出され、前記液体を消毒できるように、前記リアクタハウジング(15)に少なくとも部分的に延出するよう構成される
前記長尺支持要素(7)と、
を備え、
前記長尺支持要素(7)は、前記リアクタハウジング(15)に着脱可能かつ交換可能に取り付けられ、冷媒通路(5,17)を有し、
前記冷媒通路(5,17)は、
前記長尺支持要素(7)内で延出し、その中を前記複数のUV-LED(11)を冷却するための冷媒が通っている、ことを特徴と
し、
前記冷媒通路(5,17)は、冷媒注入口(3)から冷媒排出口(4)まで延び、該冷媒注入口(3)および該冷媒排出口(4)は、両方とも、前記長尺支持要素(7)の同じ端部に配置される、ことを特徴とし、
前記冷媒通路は、前記冷媒注入口(3)から延出する第1セクション(5)と、前記冷媒排出口(4)から延出する第2セクション(17)と、を備え、
少なくとも前記第1セクション(5)の一部は、前記第2セクション(17)内に延在することを特徴とし、
前記長尺支持要素(7)の冷却要素として外部冷却回路が用いられ、熱交換器を介して消毒する液体に接続されることにより、熱を除去することを特徴とする、装置(20)。
【請求項2】
前記複数のUV-LED(11)の操作によって発せられた熱が、前記冷媒通路(5,17)を通る冷媒に伝わるよう、少なくとも
前記長尺支持要素(7)の一部は、熱伝導性材料からなる、ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記長尺支持要素(7)は、リアクタハウジング壁(14)から距離をとって、前記リアクタハウジング(15)内に、少なくとも部分的に延出するよう、前記リアクタハウジング(15)に取り付けられ、これにより、前記複数のUV-LED(11)からのUV光が、前記リアクタハウジング壁(14)の方向に射出される、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記長尺支持要素(7)は、前記リアクタチャンバ(16)の中央長手軸に沿って延出する、ことを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記長尺支持要素(7)は、前記リアクタハウジング(15)全体にわたって、長手方向に延出する、ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記長尺支持要素(7)は、棒状に形成される、ことを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
消毒する液体と、前記リアクタチャンバ(16)の前記複数のUV-LED(11)との、直接接触を防ぐため、
前記長尺支持要素(7)を囲むよう構成された石英ガラス管(6)をさらに備える、ことを特徴とする、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記リアクタハウジング(15)は、流管として構成され、
前記注入口(19)は、該流管の第1端に配置され、
前記排出口(9)は、反対側の端である、該流管の第2端に配置される、ことを特徴とする、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記注入口(19)および前記排出口(9)のうち、少なくとも1つは、前記リアクタハウジング(15)に横方向に配置されており、これにより、少なくとも前記流路(18)の一部が、らせん状に
前記長尺支持要素(7)周りを流れるよう、消毒する液体が前記リアクタチャンバ(16)を流れる、ことを特徴とする、請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記注入口(19)および前記排出口(9)の両方が、前記リアクタハウジング(15)に横方向に配置されており、これにより、消毒する液体が、少なくとも部分的に接する方向に、前記リアクタチャンバ(16)内を流れ、前記注入口(19)および前記排出口(9)の一方が、前記リアクタチャンバ(16)の中央長手軸に沿って延在する、ことを特徴とする、請求項
9に記載の装置。
【請求項11】
前記注入口(19)および/または前記排出口(9)は、流れ方向に沿って、継続的に変化する断面を有する、対応する接続片に形成される、ことを特徴とする、請求項
9または
10に記載の装置。
【請求項12】
前記リアクタチャンバ(16)と接する、前記リアクタハウジング(15)の表面の少なくとも一部は、UV光を乱反射する素材からなる、ことを特徴とする、請求項1乃至
11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
UV-LEDから射出されたUV光の放射照度を検知するための少なくとも1つのUVセンサと、
前記少なくとも1つのUVセンサからの信号に基づいて、前記放射照度を制御する分析部と、
をさらに備える、ことを特徴とする、請求項1乃至
12のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体、特に、水を消毒する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水処理用装置、特に、例えば、飲料用浄水を提供するための、水を消毒する装置が知られている。微生物等によって汚染された水を消毒する際、その水をリアクタチャンバに導入し、そこで消毒を行い、貯留した後、使用時にリアクタチャンバから排出する。化学処理に加えて、微生物を除去する効果的な手段として、紫外線光(UV光)で水を照射することが挙げられる。一例として、UV光は、水銀灯によって生成され、リアクタチャンバに射出される。これにより、リアクタチャンバ内を流れる水にUV光を当てることができる。
【0003】
例えば、特許文献1のように、UVによって水処理を行う装置が知られている。ここでは、吸水栓へのアタッチメントとして、あるいは、水道管に挿入する形で、装置が用いられている。UV-LEDによって生成されたUV光によって、水が消毒される。一方からリアクタチャンバに延びるよう、カートリッジ に取り付けられた支持要素に、UV-LEDを配置することができる。UV水処理以外にも、フィルタ等が設けられていてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2015/0158741
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、改良した液体消毒装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
独立項である請求項1に記載の特徴を備える装置によって、該目的を達成する。さらなる実施形態および有利な実施形態は、従属項に記載の特徴を示す。
【0007】
一側面によれば、液体、特に、水を消毒する装置が提供される。該装置は、流入用の注入口と、消毒する液体を排出する排出口と、を有するリアクタハウジングと、リアクタハウジング内に形成されたリアクタチャンバであって、液体が、注入口から排出口までの流路に沿って、リアクタチャンバ内を流れるように、消毒する液体を受けるよう構成されたリアクタチャンバと、複数のUV-LEDを有するUV照射装置と、UV-LEDが配置される長尺支持要素であって、UV-LEDによって、流路に沿って、UV光が、リアクタチャンバ内に射出され、液体を消毒できるように、リアクタハウジングに少なくとも部分的に延出するよう構成される長尺支持要素と、を備える。支持要素は、リアクタハウジングに着脱可能かつ交換可能に取り付けられ、冷媒通路を有し、冷媒通路は、支持要素内で延出し、その中をUV-LEDを冷却するための冷媒が通っている。
【0008】
長尺支持要素によって、UV-LEDを流路に沿って配置させることができ、これにより、消毒する液体が、充分な期間をもってUV光に晒される。支持要素は、リアクタハウジングに着脱可能に取り付けられる。言い換えると、支持要素は、リアクタハウジングから取り外し可能で、例えば、メンテナンスや修理の際、再度挿入し戻すことができる。また、支持要素は、光源の経年劣化によって、UV照射装置を新しいものに取り換える際、あるいは、異なる個数および/または配置のUV-LEDや異なる波長を有するUV-LED等を備える照射装置に取り換える際に、交換することができる。UV光源が交換可能でありながら、所望の冷媒、特に、水などの液体冷媒によってUV-LEDを冷却することも可能であるため、UV光による効率的な水処理が行われる。
【0009】
UV-LEDの操作によって発せられた熱が、冷媒通路を通る冷媒に伝わり、解消されるように、少なくとも支持要素の一部は、熱伝導性材料からなる。特に、支持要素は、アルミニウムから形成されていてもよい。他の素材、特に、高い熱伝導性を有する素材を使用してもよい。
【0010】
支持要素は、リアクタハウジング壁から距離をとって、リアクタハウジング内に延出するように、リアクタハウジングに取り付けられ、これにより、UV-LEDからのUV光が、リアクタハウジング壁の方向に射出される。
【0011】
支持要素は、リアクタチャンバの中央長手軸に沿って延出してもい。これにより、UV光は内側から外側に射出される。この点において、UV-LEDは、支持要素の周方向に沿って、支持要素上に均等に配置されていてもよい。UV光源を内側に、特に、中央に配置することにより、一つの光源だけで、消毒する液体を均一に照射することができる。なお、光源は複数設けてもよい。光源を複数設ける場合、これらを交換可能に設置してもよい。実際、それぞれを確実に設置して別個に構成されてもよい。
【0012】
支持要素は、リアクタハウジングの全体にわたって、またはリアクタチャンバにおいて、長手方向に延出するような、適切な寸法および形状を有するように構成され得る。これにより、リアクタチャンバの全長にわたって、UV光源が延出され得る。なお、代替として、支持要素の長さは短くてもよい。つまり、リアクタチャンバの長さ方向の一部のみに、支持要素が延出してもよい。
【0013】
支持要素は、棒状に形成されていてもよい。その断面は、多角形や円形であってもよい。一例として、支持要素は、三角形、四角形、五角形、六角形等の断面を有していてもよく、その内側の、適切な支持モジュールの両サイドに、それぞれUV-LEDが配置され得る。
【0014】
前述の通り、UV-LEDを冷却するため、支持要素に冷媒通路を設ける。冷媒通路は、冷媒注入口から冷媒排出口まで延び、冷媒注入口および冷媒排出口は、両方とも、支持要素の同じ端部に配置される。これにより、冷媒回路の接続が簡略化され、ひいては、特に、UV光源の交換性も簡略化される。
【0015】
冷媒通路は、冷媒注入口から延びる第1セクションと、冷媒排出口から延びる第2セクションと、を有していてもよい。ここで、第1セクション、つまり、「流入」セクションは、第2セクション、つまり「排出」セクション内に延在していてもよい。これにより、UV-LEDの後ろ側の全周にわたって、冷媒が流れるため、効率的な冷却が行われる。こうした配置によって、冷媒通路から空気を逃がすことも容易になる。
【0016】
支持要素を冷却する冷媒は、消毒する液体自体であってもよい。冷却要素として、消毒する前後の液体が、再利用されることになる。さらに、外部の冷却回路を冷却用に用いてもよい。この冷却回路は、別体の冷却装置を備えていてもよく、または、熱交換器を介して消毒する液体に接続されることにより、熱を除去してもよい。特に、こうした外部の冷却回路を利用する場合は、例えば、レジオネラ菌を不活性化させるため、高温水を利用することができる。
【0017】
消毒する液体がUV-LEDに直接触れるのを防ぐため、支持要素を囲むよう構成された石英ガラス管が設けられていてもよい。したがって、石英ガラス管は、UV-LEDを保護する被覆管をなす。特に、石英ガラス管は、石英ガラス管を囲むリアクタチャンバと、石英ガラス管内に配置されたUV光源との内側境界を形成し、一方、リアクタハウジング壁は、リアクタチャンバの外側境界を形成する。UV-LEDを有する支持要素と同様に、石英ガラス管も交換可能、特に、支持要素とともに交換可能であってもよい。あるいは、石英ガラス管は、リアクタハウジングに確実に固定されていてもよい。特に、通常は石英ガラス表面に堆積物が形成されることがないため、石英ガラス管の清掃は、一般的には必須ではない。これは、ガス放電灯と異なり、LEDのリアクタチャンバに面した側が高温にならず、石英ガラスを熱することがないためである。
【0018】
なお、上記とは別に、例えば、フランジや接続片等のねじ戻し可能な手段によって、装置のケミカル洗浄だけでなく機械洗浄を行ってもよい。一例として、リアクタハウジングは、塩素やオゾンといった洗浄剤と接続可能に設けられていてもよい。
【0019】
リアクタハウジングは、流管として構成されていてもよい。ここで、注入口は、流管の第1端に配置され、排出口は、反対側の端である、流管の第2端に配置されてもよい。リアクタハウジングは、両方向に流れるように、つまり、注入口および排出口が使用に応じて逆転するように、構成されていてもよい。
【0020】
注入口および排出口のうち、少なくとも一方、好ましくは、注入口および排出口の両方が、リアクタハウジングも横方向に配置されていることが好ましい。これにより、流路が、らせん状に支持要素周りを流れるよう、消毒する液体が、リアクタチャンバを流れる。したがって、消毒する液体は、UV光源付近を複数回流れるため、多量のUVに当てることができる。特に、注入口がリアクタハウジングに横方向に配置されている場合、液体が、少なくとも部分的に接する方向に、リアクタ内を流れることで、らせん状の流れが形成される。
【0021】
注入口および排出口の両方が、同一の横方向、特に、長手軸に垂直に、向いていてもよい。この点において、注入口および排出口は、長手方向からみた上面図において、つまり、リアクタハウジングの周囲に沿った同一位置において、略一致していてもよく、あるいは、互いにオフセットしていてもよい。しかし、注入口および排出口はまた、リアクタハウジングの長手軸を横切る、別の方向に向いていてもよい。注入口および排出口は、ここでも、リアクタチャンバ内でらせん状の流れが形成されるよう、配置されているため、有利である。
【0022】
あるいは、注入口のみが、または、排出口のみが、横方向、特に、長手軸に直交し、好ましくは、接する方向に配置されていてもよい。同様に、注入口および排出口のうち、もう一方が、長手方向に、特に、中央長手軸に沿って延在してもよい。注入口および/または排出口は、流れ方向に沿って、継続的に変化する断面を有する、に形成され得る。換言すれば、流れを改善するため、適切な接続が長手方向に向かう場合、接続片は、円形であってもよい。この場合においても、リアクタチャンバ内の流れが、らせん形状を有するよう、注入口および排出口が配置される。
【0023】
リアクタチャンバと接する、リアクタハウジングの表面、つまり、特にリアクタハウジングの内側面において、少なくともその一部は、UV光を乱反射する素材からなり得る。よって、内側から外側に向かって、水に対して照射するUV光は、反射面から乱反射され、流れる液体に対し、UV光が複数回作用することができる。一例として、リアクタハウジングの内部は、PTFEでコーティングされていてもよい。ここで、PTFE層の厚みは、少なくとも1mmであると有利である。あるいは、リアクタハウジング自体が、ステンレス鋼やプラスチックといった、防水性および耐紫外線性を有する、安定した構造の素材から構成されていてもよい。
【0024】
さらに、装置は、UV-LEDから射出されたUV光の放射照度を検知するための、少なくとも1つのUVセンサを有していてもよい。さらに、UVセンサからの信号に基づいて、放射照度を制御するよう構成された分析部が設けれていてもよい。特に、自動放射検知器が設けられていてもよい。これにより、動作時間がモニタリング制御され、最大作動期間を過ぎた場合に、指示表示あるいはアラームが発せられてもよい。制御には、RFID技術を用いてもよい
【0025】
放射照度をモニタリングして、照度を出力する際、UVセンサは、W/m2単位で行ってもよく、分析部に接続されていてもよい。UVセンサは、ある期間にわたって総和平均を出すことで、放射照度をUV量に変換することができ、また、UV透過率の低下や石英被覆管および/またはリアクタハウジング壁上の被膜形成等の、いかなる水質変化を検知することができる。放射出力は、分析部や電力源によって調整され得る。センサの位置や個数は、適用状況にあわせて変更してもよい。センサは、運転時に変更されてもよい。一例として、センサは、リアクタの孔を通して導入されてもよく、または、LEDの支持モジュール上に配置されてもよい。したがって、UVセンサは、リアクタに配置されている場合は直接照射を、支持モジュールに配置されている場合は、液体を二度通ったあとの放射を、検知することができる。UV-LEDによって、照射野は均一であるため、分析部は、センサがあるゾーンで検知された値から、均一なUV照射野全体にわたって、値を推定することができる。これにより、UV照度が最小値よりも低くなった場合にアラームを発する分析部を提供することができる。
【0026】
図面を参照しながら、本発明について、より詳細に説明する。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る液体消毒装置の側面図を示す。
【
図6】
図6は、部分的に省略された光源とともに、
図1の装置を側面図で示す。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る液体消毒装置の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1乃至7を参照して、第1実施形態に係る、液体、特に、水を消毒する装置20について、説明する。
【0029】
装置20は、リアクタとも称されるが、管状のリアクタハウジング15を有する流管として構成される。水等の、消毒する液体は、リアクタハウジング15によって形成されるリアクタチャンバ16の注入口19から導入され、消毒がなされた後、排出口9から排出される。注入口および排出口の機能は、互いに逆転可能である。装置20は、水平に、また垂直に使用することができる。一例として、流管は、30cm~100cm、好ましくは、50cm~60cmの長さを有し、その直径は、5cm~10cmである。特に、該装置は、水供給システムの設置に用いられる。ここで示す実施形態において、注入口19および排出口9用の接続は、ねじフランジ10,13を介して、壁14からなる、リアクタハウジング15の管状部分に接続される端部に対応して、配置される。
【0030】
注入口19および排出口9を横方向に配置することで、水がリアクタチャンバ16内に接する方向に向かって導入され(
図4の一部を参照)、らせん状の流れ、つまり、流路18(
図3の矢印を参照)が発生する。らせん状の(ヘリックス)流れは、注入口19および排出口9の配置によるものだけでなく、特に、リアクタチャンバ16の断面が略円形に好ましく形成されていることにより、形成される。さらに、液体案内要素(図示しない)が、リアクタチャンバ16内に設けられていてもよい。これにより、水流システムを最適化でき、さらにリアクタ20内に消毒する液体がとどまる時間を長くすることができる。そして、消毒用のUV照射の利用を最適化することができる。
【0031】
UV光は、UV光源21(
図6参照)によって形成され、この光源は、リアクタハウジング15に着脱可能に、つまり、交換可能に取り付けられている。UV-LED11は、棒状の冷却要素7に配置された、適切な支持モジュール12に設けられている。
図4から分かるように、本実施形態では、3つの支持モジュール12が、冷却要素7の周囲に均等に配置されている。支持モジュールは、それぞれ、冷却要素7の全長にわたって延出している(
図6参照)。LED11を保護し、リアクタチャンバ16との境界としても機能するように、UV光源21を囲む石英ガラス管6が設けられている。
【0032】
LED11の位置だけでなく、個数や出力もまた、変更可能であり、必要とされる洗浄・消毒力によって、調節可能となっている。LED11は、約240nm~約400nmの範囲の異なる波長を有するUV光を生成でき、そのため、特定の微生物を除去するよう調節することができる。さらに、LED11の強さを弱めることもできる。異なる波長で照射することにより、水中に同時に存在する種々の微生物を除去する出力を、増加することができる。UV光源21は、構造上、柔軟に設けられることが好ましい。これにより、例えば、モジュール化して延長することが可能になる。棒状のUV光源21に、直接接続あるいは誘電により、電流を供給してもよい。
【0033】
本実施形態では、UV光源21、つまり、特に冷却要素7は、中央長手軸に沿って、リアクタチャンバ16の全長にわたって延出している。UV-LED11も同様に、略全長にわたって配置され、それによって、流路18が完全に照射されるようになっている。UV光は、内部のUV光源21から放射状外側に、ハウジング壁14の方向に向かって、射出される。リアクタハウジングの内部表面は、例えば、PTFEといった適切な素材によってコーティングされていることが望ましい。これにより、UV光が乱反射し、反射後のUV光が再び水に作用する。
【0034】
ねじフランジ2は、冷却要素7の両端に設けられる。これにより、冷却要素は、リアクタハウジング15の両端で、ねじフランジ2により確実に締めることができる。なお、その他の適切な締結機構を用いてもよい。ねじフランジ2をゆるめることで、UV-LED11が配置された冷却要素7をリアクタハウジング15から取り外すことができる。これにより、リアクタ20をさらに分解することなく、UV光源21を容易に交換できる。冷却要素7に両側から到達できることにより、例えば、水供給システムにリアクタ20を設置する際の自由度が増す。UV光源21がリアクタハウジング15内に導入、あるいは取り外される開口部において、リアクタチャンバ16を密閉するためのシーリング8が設けられる。光源の交換については、
図6に示す。側面図において、部分的に上部から引き出された冷却要素7とともに、リアクタハウジング15が示されている。
【0035】
LED11、特に、後ろ側のLED11は、特に、充分に高い放射出力を得るため、運転中、熱を発する。このため、LED11を適切に冷却することが必要となる。リアクタハウジング15内光源21の内部位置にあるため、例えば冷却リブを利用した空冷は不可能、あるいは、少なくとも不十分である。そのため、液体冷媒が冷却要素7中をめぐるよう、冷却要素7は、冷媒通路5,17を有する。特に、この方法において、水冷が実施される。冷媒は、消毒する水自体であってもよい。ここで、水は、リアクタチャンバ16だけでなく、消毒前後に冷媒通路5,17を通ることで、適切な回路を流れる。しかし、同様に、他の冷媒(ここでも水であってよい)による外部の冷却回路も設けられてもよい。
【0036】
冷媒注入口3および冷媒排出口4が、冷却要素7の一端の共通接続片1に設けられる。これにより、冷却回路との接続が容易になり、UV光源21の交換も容易になる。冷媒は、開放自由端を有する内部管3によって形成された第1冷媒通路セクション5に流れ、LED11の後ろ側に近い冷却要素7内に延在する第2冷媒通路セクション17に排出される。冷媒が冷却要素7の略全長に沿って冷媒通路セクション17中を流れたあと、排出口4から排出される。こうした配置により、冷媒通路から空気を容易に逃がすこともできる。
【0037】
所望の放射出力を得ることが可能な水冷手段を設けることで、例えば、追加のフィルタをリアクタ20に設ける必要がなくなる。同時に、これにより、UV光源21の交換も容易になる。支持要素または冷却要素7が棒状の形状を有することで、UV-LED11の配置が有利になり、リアクタチャンバ16内で均一の照射野を得ることができる。
【0038】
図8および
図9は、第1実施形態と略同一の、第2実施形態に係る液体消毒装置を示す。符号は、以上の説明と同様に用いられる。第2実施形態は、注入口および排出口の配置、ひいては、リアクタチャンバ16内の流れのみにおいて、第1実施形態とは異なる。第1実施形態において、注入口19は底部に配置され、排出口9は上部に配置され、消毒する液体は、接する方向に沿って流入・流出していた。一方、第2実施形態では、注入口19が上部に、排出口9が底部にある。なお、両実施形態において、注入口19および排出口9は、逆転可能である。これにより、リアクタ20の接続方法に合わせて、水を上部から底部に、またその逆方向に、流すことができる。同時に、リアクタ20全体を水平方向に配置することによって、水を左から右へ、またその逆方向に流すことができる。
【0039】
消毒する液体は、接する方向に沿って、注入口19を通って、リアクタチャンバ16内に流れる。しかし、排出口9が、中央長手軸に沿って配置されているため、流体は、リアクタチャンバ16から真下に流れることになる。流れを改善するため、特に、らせん状流路18に関して、排出口9の接続片を円形にし、スムーズな流れを実現した。接続片の断面は、リアクタハウジング15から離間する方向に向かって、継続して狭くなっている。例えば、接続片の断面は、リアクタハウジング15と接続点では、リアクタハウジング15の断面に対応しており、自由端では、接続ラインの断面に対応している。