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特許7489130内燃機関、産業設備に用いられる予熱、潤滑及び冷却のためのオイル循環システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】内燃機関、産業設備に用いられる予熱、潤滑及び冷却のためのオイル循環システム
(51)【国際特許分類】
   F01M 5/00 20060101AFI20240516BHJP
   F01M 5/02 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
F01M5/00 C
F01M5/00 D
F01M5/00 N
F01M5/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022551340
(86)(22)【出願日】2020-10-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 KR2020014091
(87)【国際公開番号】W WO2021172687
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】10-2020-0024410
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522336373
【氏名又は名称】ジョン,ヒョン チョル
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ヒョン チョル
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-204481(JP,A)
【文献】特開2006-258089(JP,A)
【文献】特開昭63-120807(JP,A)
【文献】特開昭63-50658(JP,A)
【文献】実開昭58-180311(JP,U)
【文献】実開昭57-117708(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業設備のエンジンまたは発電機を含む駆動装置に連結された予熱、潤滑及び冷却システムであって、前記予熱、潤滑及び冷却システムは、駆動装置にオイルを供給するメインオイルシステムが提供する経路によってオイルの温度を調節して前記駆動装置にオイルを供給するオイル供給装置を含み、
前記予熱、潤滑及び冷却システムは、前記オイル供給装置の動作を制御する制御部、設備自体または外部電源と連結されて電力を供給する電源部、前記制御部の動作を制御するためのパネルからなる操作部、及び、少なくともオイルの温度を表示する温度指示計を表示する表示部をさらに含み、
前記オイル供給装置は、オイルが充填されたオイルパンを備え、前記オイルパン内部には経路(P)を形成する管路と、前記管路の入口に形成されたオイル流入ポートと、前記オイル流入ポートに隣接して設置された第1ヒータと、前記第1ヒータから所定間隔離隔されて設置された第2ヒータと、循環ポンプとが設置され、
前記操作部は、1次ヒータ温度調節ボタン、1次ヒータタイマー、2次ヒータ温度調節ボタン、及び、2次ヒータタイマーを含み、前記循環ポンプの稼動を開始するスタート(START)ボタン、稼動を中止するストップ(STOP)ボタン、及び、前記循環ポンプの駆動時間周期を設定する循環ポンプタイマーが設置されていることを特徴とする産業設備用の予熱、潤滑及び冷却システム。
【請求項2】
前記オイルパンの内部にはメインオイルシステムをなす、メインポートから始まって駆動装置に連結される油路(M)を形成する管路と、メインポートに隣接して設置されたメインオイルポンプと、及び、第3ヒータとが装着されたことを特徴とする、請求項1に記載の産業設備用の予熱、潤滑及び冷却システム。
【請求項3】
前記循環ポンプが稼動するとき、メインオイルポンプは停止した状態を維持して、加熱されたオイルが前記経路(P)を介して前記駆動装置に供給されて予熱及び潤滑機能を行い、前記メインオイルポンプが作動すると前記循環ポンプが停止した状態を維持して、メインオイルが経路(M)を介して前記駆動装置に供給されるようにしたことを特徴とする、請求項2に記載の産業設備用の予熱、潤滑及び冷却システム。
【請求項4】
産業設備の負荷運転後に即時停止をする場合には、設備に搭載された電源または外部回路とスイッチ連結を介して前記循環ポンプを稼動することを特徴とする、請求項2に記載の産業設備用の予熱、潤滑及び冷却システム。
【請求項5】
自動車のエンジン、変速機及び差動装置を含む駆動装置に連結された予熱、潤滑及び冷却システムであって、前記システムは、前記駆動装置にオイルを供給するメインオイルシステムが提供する経路によってオイルの温度を調節して前記駆動装置にオイルを供給するオイル供給装置を含み、
前記予熱、潤滑及び冷却システムは、前記オイル供給装置の動作を制御する制御部、設備自体または外部電源と連結されて電力を供給する電源部、前記制御部の動作を制御するためのパネルからなる操作部、及び、少なくともオイルの温度を表示する温度指示計を表示する表示部を含み、
前記オイル供給装置は、オイルが充填されたオイルパンを備え、前記オイルパン内部には経路(P)を形成する管路と、前記管路の入口に形成されたオイル流入ポートと、前記オイル流入ポートに隣接して設置された第1ヒータと、前記第1ヒータから所定間隔離隔されて設置された第2ヒータと、前記循環ポンプとが設置され
前記操作部は、1次ヒータ温度調節ボタン、1次ヒータタイマー、2次ヒータ温度調節ボタン、及び、2次ヒータタイマーを含み、前記循環ポンプの稼動を開始するスタート(START)ボタン、稼動を中止するストップ(STOP)ボタン、及び、前記循環ポンプの駆動時間周期を設定する循環ポンプタイマーが設置されたことを特徴とする自動車用の予熱、潤滑及び冷却システム。
【請求項6】
前記オイルパンの内部にはメインオイルシステムをなす、メインポートから始まって駆動装置に連結される油路 (M)を形成する管路と、メインポートに隣接して設置されたメインオイルポンプがさらに装着され、前記循環ポンプが稼動するとき、メインオイルポンプは停止した状態を維持して、加熱されたオイルが経路(P)を介して駆動装置に供給されて予熱及び潤滑機能を行い、前記メインオイルポンプが作動すると前記循環ポンプが停止した状態を維持して、メインオイルが経路(M)を介して駆動装置に供給されるようにしたことを特徴とする、請求項5に記載の自動車用の予熱、潤滑及び冷却システム。
【請求項7】
産業設備の駆動装置が加熱された状態であるときは、第1ヒータ及び第2ヒータでオイルを加熱せず循環ポンプを稼動することを特徴とする、請求項4に記載の産業設備用の予熱、潤滑及び冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関、産業機械装置の自己起動、潤滑及び予熱装置において、稼動即時の負荷運転、車両の出発のための事前、事後潤滑、予熱及び冷却運転において効率を高めるよう改善された予熱、潤滑及び冷却のためのオイル循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車や産業設備に適用される予熱方式は、自己エンジンまたは駆動源(発電機)を一定の時間単純に予熱運転するか、電気、温水、スチーム等の外部エネルギーで潤滑油や油圧油を単純予熱させる方式に依存していた。この場合、負荷運転後に停止のために準備冷却運転(cold start)を行っても応力除去程度にとどまり、機関停止後も回転している高熱、高回転で運転されるターボチャージャーのような部品は、潤滑がされず摩耗や焼き付き(seizure)の原因になり得る。
【0003】
事情がこうであるため、長時間稼動していなかった機関は始動即時の負荷運転が難しいが、たとえ負荷運転をしてもオイルの循環不足により作動摩擦部に油膜が形成され得ず過摩耗をもたらすようになる。通常、相対的に上の方に設置されたターボチャージャーは、始動後に自己潤滑システムによる潤滑が遅くなる場合がよくある。事前に潤滑による十分な油膜形成がなされる前に負荷運転をすると、複雑で精巧な摩擦部やベアリング、ギアの歯等に過摩耗が発生する。これによる維持管理に費用、時間、不便さをもたらすこととなり、始動即時にエンジンの性能を発揮することが難しかった。そのため予熱稼動が必要であり、稼動後の応力除去停止のための冷却運転が不可避である。
【0004】
特に大型内燃機関を搭載した非常発電機、大型トラック、建設機械あるいは高性能機関搭載装備は、予熱、潤滑及び停止冷却に非常に敏感で、このような運転に失敗した場合、相当なダメージを受けることになる。したがって、従来の方法は、予熱稼動と冷却稼動以外の方法が存在せず、システムが準備できていない状態での無理な負荷運転と停止運転により、性能発揮が難しく、システムの過摩耗、寿命短縮、煤煙の増加、燃料の浪費、環境への否定的影響、経済性と便宜性の不足等の浪費といった問題をもたらしていた。
【0005】
最近になって、ディーゼル内燃機関の場合、環境問題の台頭により、世界共通の規制に対応するために排気ラインにDPF、PMC、CPF類の浄化フィルタが搭載されている。しかし、このような浄化装置類の共通の弱点は、極地、酷暑地方で再始動不能に備えなければならなかったり、冷暖房のために長時間の低速空転をした場合、性能低下により別途に相当な時間の回復稼動(リジェネレーション)をしなければ負荷運転が不可能で、即時の使用や運行が難しいという点と、回復稼動のための燃料浪費や環境汚染、及び時間の遅滞が発生するという点である。このような車両や装備の構成要素である各種ギアボックス内のギア類の潤滑と油圧作動油類でも過冷却、過熱が問題となり完全な負荷運転は不可能である。
【0006】
特許文献として、米国特許第9561704号明細書は、自動車のラジエータと関連して、第1循環経路と第2循環経路をおき熱伝達媒体が相互スイッチング伝達可能な熱管理システムを開示している。米国特許第10,124,652号は、熱媒体の加熱と加熱中断を行うヒータ、熱媒体と変速装置に用いられる潤滑油間の熱交換を行う熱交換器からなる車両の熱管理システムを開示している。しかし、これらの特許文献において、熱管理の主な対象は化学物質からなる熱媒体であり、熱管理の対象となる部品と領域が狭小で前記問題を解決することができない。
【0007】
韓国公開特許第10-2017-0075211号公報は、オイルを加熱するためのグロープラグと、グロープラグと隣接して備えられオイルの温度を感知する温度センサと、車両の始動を感知する始動感知センサを設置し、車両の始動が始まった場合、グロープラグがオイルを加熱するようにした自動変速機のオイル予熱装置を開示している。韓国登録特許第10-1001073号公報は、自動車用エンジンオイルと燃料浄化及び燃料予熱アセンブリに関する構造で、オイルと燃料の流入及び流出が可能な構造体、構造体への燃料供給を担当する燃料誘導コア体、内部に冷却水放熱空間部を形成し、冷却水流路を形成した燃料予熱ユニットを開示している。しかし、これらもやはり基本的な先行方式の予熱構造を土台として予熱を迅速に行う電熱装置や熱交換を行う予熱装置を付加したものであるため、前記指摘した問題を根本的に解消することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第9561704号明細書
【文献】韓国公開特許第10-2017-0075211号公報
【文献】韓国登録特許第10-1001073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのため本発明は、本エンジン(本機械)を稼動しなくても停止間の適正空気圧を維持し、フル充電状態のバッテリーコンディションで予熱及び事前潤滑効果が倍加し、始動準備が非常に良好な産業設備に用いられる効率的な予熱システムを提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、上述した先行技術の不便さや費用、時間の支出を減らし多様な便益を提供することができ、極地の酷寒や熱帯の酷暑等の外部気候と運転条件に関係なく始動即時の負荷運転が可能であり、負荷運転で即時始動を切ることができる、産業設備に用いられる効率的な予熱システムを提供することを目的とする。
【0011】
本発明は、例えば自動車、建設機械類だけでなく、特に不特定の時間と条件で即時対応運転がされなければならない非常発電機、国防装備、消防装備は、状況発生時に即刻稼動、運行されなければならないが時間が遅滞し厳しい環境下の装備に幅広く適用されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために本発明は、産業設備のエンジンまたは内燃機関または発電機を含む駆動装置に連結された予熱、潤滑及び冷却システムであって、前記システムは、駆動装置にオイルを供給するメインオイルシステムが提供する経路によってオイルの温度を調節して前記駆動装置にオイルを供給するオイル供給装置を含む産業設備用の予熱、潤滑及び冷却システムを提供する。
【0013】
前記予熱、潤滑及び冷却システムは、前記オイル供給装置の動作を制御する制御部、設備自体または外部電源と連結されて電力を供給する電源部、前記制御部の動作を制御するためのパネルからなる操作部、及び少なくともオイルの温度を表示する温度指示計を表示する表示部を含む。
【0014】
前記オイル供給装置は、オイルが充填されたオイルパンを備え、前記オイルパン内部には経路Pを形成する管路と、管路の入口に形成されたオイル流入ポートと、オイル流入ポートに隣接して設置された第1ヒータと、第1ヒータから所定間隔離隔されて設置された第2ヒータと、循環ポンプが設置される。
【0015】
前記ハウジングの内部には、メインオイルシステムをなす、メインポートから始まって駆動装置に連結される油路Mを形成する管路と、メインポートに隣接して設置されたメインオイルポンプがさらに装着される。
【0016】
前記操作部は、1次ヒータ温度調節ボタン、1次ヒータタイマー、2次ヒータ温度調節ボタン、及び2次ヒータタイマーを含み、循環ポンプの稼動を開始するスタート(START)ボタンと、稼動を中止するストップ(STOP)ボタンが設置される。
【0017】
前記操作部は、循環ポンプの稼動周期を調節するタイマーをさらに含むことができる。
【0018】
前記循環ポンプ、1次及び2次ヒータが稼動するときメインオイルポンプは停止した状態を維持して、加熱されたオイルが経路Pを介して駆動装置に供給されて予熱及び冷却機能を行い、メインオイルポンプが作動すると循環ポンプが停止した状態を維持して、オイルが経路Mを介して駆動装置に供給される。
【0019】
産業設備の負荷運転後に即時停止をする場合には、設備に搭載された電源または外部回路とスイッチ連結を介して循環ポンプだけが稼動して事後冷却及び潤滑作用を行う。産業設備の駆動装置が加熱された状態であるときは、第1ヒータ及び第2ヒータでオイルを加熱せず循環ポンプのみ稼動することができる。
【0020】
産業設備は、代表的に、自動車、建設機械及び内燃機関を用いた発電機であり得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、大型トラックのような移動性装備では外部の発電機搭載により、本エンジンを稼動しなくても本発明の外部の電気とエア供給と同一の効力を得ることができ、住居に必要な冷暖房、その他電気装備も容易に使用することができて便益を図り、騒音減少、燃料節約及びシステムを保護することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の予熱、潤滑及び冷却システムを備えた全体作動システムの構成図である。
図2】本発明の予熱、潤滑及び冷却システムの構成図である。
図3】本発明の操作部の一例を示す図である。
図4】本発明の表示部の一例を示す図である。
図5】本発明のオイル供給装置の構成図である。
図6】本発明の予熱、潤滑及び冷却システムを備えた全体作動システムの他の実施例による構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に記述する本発明の実施例の特徴は、ほとんど全ての装備の潤滑、耐摩耗及び冷却に必須的に用いられるオイルを予熱、潤滑及び冷却媒体として活用し、既存のメイン駆動オイルシステムと分離した別途の予熱、潤滑及び冷却システムを介して、管理者が各装備の負荷駆動に最適化されたオイルを供給し、この際のオイル供給経路は、既存のオイルシステムの経路をそのまま活用するようにした点にある。
【0024】
既存のメイン駆動オイルシステムによれば、供給されたオイルは、例えばエンジンやタービンのような装備に供給されオイル自体は予熱媒体として活用されていない。しかし、メイン駆動オイルシステムに用いられるオイルを加熱媒体として使用し、オイルの温度と粘性を制御して負荷駆動に最適化できるように別途の供給ラインを介して装備に予めオイルを供給して作動させれば、酷寒期や酷暑期の稼動条件でも、無理なく負荷駆動にすぐ進むことができる。このためには、既存のメイン駆動オイルシステムと概念的に全く異なる予熱、潤滑及び冷却システムが提供されなければならない。
【0025】
以下、本発明の好ましい実施例を添付図面を参照にして詳細に説明する。
【0026】
以下の技術でオイルの「予熱」を主に説明しても、予熱以外の潤滑及び冷却機能を含むものと解釈される。予熱の場合、負荷運転前に行われるため「事前予熱」に該当し、冷却機能の場合、装置の負荷運転後にオイルが加熱部品を冷却させることを意味するため「事後冷却」に該当する。「潤滑」の場合、オイルによる油膜形成により耐摩耗機能を付与して部品の損傷を防止するものであり、オイルの供給から始まって比較的長時間維持される。
【0027】
本発明は、予熱、潤滑及び冷却が必要な産業設備に幅広く適用されることができる。以下では、まず主に自動車のような移動手段及び内燃機関を例示として説明することにする。
【0028】
図1は本発明の予熱、潤滑及び冷却システム1を備えた車両全体の駆動及び作動システムAの構成図である。全体システムAは、予熱、潤滑及び冷却システム1と、予熱、潤滑及び冷却システム1に連結された駆動装置4を含む。駆動装置4は、予熱、潤滑及び冷却システム1の熱伝達物質であるオイル、すなわち潤滑油が供給されて使用され得る全ての装置を含む。エンジン、変速機(トランスミッション)、差動装置(ディファレンシャル)、サスペンション、ブレーキ装置がこれに属する。移動手段のうち建設機械の油圧駆動アクチュエータも駆動装置4に含まれる。
【0029】
駆動装置4には、メインオイルシステム2が連結される。メインオイルシステム2は、車両にオイル、すなわち潤滑油を供給する全てのシステムを意味する。メインオイルシステム2は、例えばエンジンオイル回路及び変速機オイル回路を含むがこれに限定されず、前記列挙した様々な駆動装置4の潤滑、冷却及び摩耗防止のために供給されるオイルの全システムを総括する意味として解釈される。このような点で、メインオイルシステム2は既存のシステムに該当するといえる。
【0030】
本発明の特徴のうちの一つは、予熱、潤滑及び冷却システム1が、既存に設置されたメインオイルシステム2の経路をそのまま利用して駆動装置4にオイルを供給し、したがって設備の構築と維持補修が便利であるという点である。このような意味で、予熱、潤滑及び冷却システム1とメインオイルシステム2を矢印Bで示した。
【0031】
予熱、潤滑及び冷却システム1は、車両に設置された各種センサ180に連結される。自動車に装着されるセンサは多いが、センサ180は燃料駆動と関連する各種温度センサを最低限含んでいる。
【0032】
図2は本発明の予熱、潤滑及び冷却システム1の構成図である。
【0033】
本発明の予熱、潤滑及び冷却システム1は、制御部12を中心に電源部14、操作部16、表示部18、及びオイル供給装置20を含む。
【0034】
電源部14は、予熱、潤滑及び冷却システム1の駆動に必要な全ての電力を供給し、外部の電気電源と連結されたバッテリーを含む。電源部14は、外部から供給されるバッテリー充電回路と連結されて即時稼動が可能である。電源部14は、後述するヒータはもちろん補助機器、その他冷却水や作動油を予熱することができる。大型トラックのような移動式装備には、小型発電機が搭載されて電源部14及びエア供給ラインに連結されることができる。
【0035】
管理者は、操作部16を介して制御部12を制御する。制御部12は、駆動ドライバを介してオイル供給装置20の駆動を制御する。上述したとおり、オイル供給装置20で加熱されたオイルは、オイルシステム2の既存経路を用いて車両の駆動装置4に供給される。
【0036】
後述するように、本発明のオイル供給装置20は、第1ヒータ228と第2ヒータ224を介して予熱オイルの温度を調節する。したがって、図3に示したように、本発明の操作部16は、1次ヒータ温度調節ボタン16a、1次ヒータタイマー16b、2次ヒータ温度調節ボタン16c、及び2次ヒータタイマー16dを含む。操作部16は、パネルタイプで車両の運転席に隣接して設置される。上部の1次及び2次ヒータ調節ボタン16a、16cを押すと、1次及び2次ヒータの電熱線に供給される電流値が増加して予熱オイルの温度が上昇し、下部の1次及び2次ヒータ調節ボタン16a、16cを押すと、1次及び2次ヒータの電熱線に供給される電流値が下がって予熱オイルの温度が下降する。1次ヒータタイマー16bを介して1次ヒータの加熱時間を調節する。2次ヒータタイマー16dを介して2次ヒータの加熱時間を調節する。
【0037】
操作部16には、オイル供給装置20で、後述する循環ポンプ226Mの稼動を開始するSTARTボタン16eと、稼動を中止するSTOPボタン16f、及び稼動周期を設定する循環ポンプタイマー16gが設置される。管理者は、ヒータと循環ポンプの駆動を制御して駆動装置4に供給されるオイルの温度と供給時間周期を調節する。
【0038】
自動車の場合、始動が切れた状態で、センサによって循環ポンプ226Mのみが稼動して一定の時間オイル循環が行われるようにすることができる。自動駆動だけでなくマニュアル方式の手動駆動も可能である。
【0039】
管理者が以上の作業を行うためには、車両内部に装着された複数のセンサ180が検出した情報が必要である。図4はこのような機能を行うための本発明の表示部18の一例を示す。表示部18はパネルタイプで、車両の運転席に隣接して好ましくは前記操作部16と並んで設置される。
【0040】
表示部18は、バッテリーの電圧を示す電圧表示部18a、予熱オイルの現在温度を表示する予熱オイル温度表示部18b、冷却水の温度を表示する冷却水温度表示部18c、及び空気圧を表示する空気圧計18dを含む。これらの情報は、センサ180から感知されて表示部18に伝達される。管理者は、表示部18が表示する情報を見ながら操作部16のパネルを操作して、オイル供給装置20を駆動する。表示部18は、循環ポンプ226Mの駆動時間周期を表示する指示部をさらに含むことができる。
【0041】
図5は本発明の一実施例によるオイル供給装置20の構成図である。オイル供給装置20と表記したが、予熱はもちろんオイル膜形成による潤滑及び運転後の冷却機能を含む広義の装置と解釈されるべきものである。
【0042】
オイル供給装置20は、オイルが充填されたオイルパン220で外観が形成される。メインポート232から始まって駆動装置4に連結される油路Mは、上述のメインオイルシステム2の一部をなす。この点で、予熱、潤滑及び冷却システム1とメインオイルシステム2の一部は物理的に同一の空間に位置するといえるが、両者は概念的に明らかに区別されることに留意しなければならない。車両でエンジンや変速機または差動装置に供給される作動メインオイルの供給経路が異なりそれぞれ独立して設置されているなら、オイルパン220を含んだオイル供給装置20を図5と同一の構造で複数個設置する。油路Mに設置されたチェックバルブ234は、オイルの逆流を防ぐために設置される。また、メインポート232に隣接した上部には、メインオイルポンプ232Mが装着される。メインオイルポンプ232Mは、周知のとおり、負荷運転によって既存の方式どおり駆動する。メインオイルポンプ232Mの下部には第3ヒータ232Hが設置される。第3ヒータ232Hは、メインオイルの温度を上げて駆動装置4に供給するためのもので、自動または手動で操作されることができる。
【0043】
本発明の特徴をなすものは、予熱、潤滑及び冷却経路Pを形成する管路222と、管路222の入口に形成されたオイル流入ポート240と、オイル流入ポート240に隣接して上部に設置された第1ヒータ228と、第1ヒータ228から所定間隔離隔されて設置された第2ヒータ224と、第1及び第2ヒータ224、228の間に設置された循環ポンプ226Mである。第1及び第2ヒータ224、228は電熱線を備え、図示しない電源に連結される。
【0044】
上述したとおり、循環ポンプ226Mは、その作動周期と時間を設定することができ、これは装備内部の自体操作スイッチ及び分配器と連結され得る。
【0045】
油路Pに設置されたチェックバルブ230は、オイルの逆流を防ぐために設置されるが、チェックバルブ234と統合するように二つの経路M、Pが交差する分岐点に、例えば電磁石駆動する三方バルブ(3way valve)を設置してもよい。循環ポンプ226Mが駆動されると、オイルがオイル流入ポート240を介して流入して、第1ヒータ228と第2ヒータ224を順に通過しながら加熱されて駆動装置4に供給される。予熱作業時に第1ヒータ228は必須的に用いられ、第2ヒータ224はオイルの温度をさらに増加させるために選択的に用いられることができる。上述したとおり、管理者は、表示部18を介してオイルの温度をチェック、またはフィードバックを受けながら操作部16を用いて1次及び2次ヒータ224、228の温度と加熱時間及び循環ポンプ226Mの駆動周期を制御することにより、駆動装置4に供給されるオイルの温度と供給時間周期を調節することができる。チェックバルブ230を通過した加熱されたオイルは、メインオイルシステム1が既存に提供する経路によってそれぞれの駆動装置4に供給され、管理者によって温度と加熱循環周期が調整されながら各設備の内部を加熱、潤滑及び冷却するようになる。
【0046】
以上は予熱、潤滑及び冷却システム1とメインオイルシステム2の一部が同一のオイルパン220に収容されるものを説明したが、経路Pをなす構成のみを分離して独立したオイル供給装置20を構築することも可能である。
【0047】
車両の負荷運転後に即時停止間、潤滑冷却は、装備内外の循環ポンプ操作スイッチで直接駆動することができ、一定時間自動循環が可能である。
【0048】
以上の説明を土台として、本発明の一実施例による作動原理について説明する。
【0049】
まず、停止中に予熱をする場合には、電源部14が外部の供給装備と連結されて稼動される。このとき、操作部16のスイッチと表示部18の各計器盤も同時に電源に連結される。1次及び2次ヒータ224、228、必要時に変速機、作動油タンク、差動ギア及びその他の構成要素に、外部スイッチを介して電源を印加する。外部電源を用いない場合には、装備内部に搭載されたバッテリーや発電機を用いることができる。次にスイッチを用いて循環ポンプ226Mを駆動させ、作動時間周期を調整する。当然に、簡単な回路構成を介して設定された自動温度維持も可能である。
【0050】
循環ポンプ226Mが稼動するとき、メインオイルポンプ232Mは停止した状態であるためオイルは経路Pを介して流れ、チェックバルブ234によってメインオイルシステム2に逆流しない。加熱されて供給されたオイルは、事前予熱機能と同時にオイル膜形成による潤滑機能を行って、始動後の負荷運転に備えた最適の状態を形成し、負荷運転後は継続して潤滑及び冷却機能を行うようになる。
【0051】
始動がなされメインオイルポンプ232Mが作動すると、循環ポンプ226Mがオフになって作動を止め、チェックバルブ230によって予熱、潤滑及び冷却システム1に逆流しない。必要であれば、第3ヒータ232Hを駆動して始動が切れた状態ですでに供給された加熱オイルとの温度差を減らして負荷運転をさらに円滑することができる。メインオイルポンプ232Mによって供給されたオイルは、駆動装置4に伝達されて公知となったものと同じ機能を行う。
【0052】
また、外部のバッテリー充電回路とエア圧を補正すれば、始動がさらに容易になる。このような予熱と循環連動作用によって、始動即時の負荷運転が可能なのである。
【0053】
次に、負荷運転後に即時停止をする場合には、装備に搭載された電源または外部回路とスイッチ連結を介して循環ポンプ226Mを正常時と同様に稼動することができる。温度と周囲条件を考慮して始動が切れ次第一定の時間自動稼働も可能で、これによって高熱のエンジン各部を潤滑及び冷却することができる。
【0054】
このように内燃機関が稼動していない状態で冷却状態のときは、1次及び2次ヒータを介してオイルを加熱するが、内燃機関に熱が十分にあるなら、1次及び2次ヒータを加熱せず循環ポンプ226Mのみが稼動してオイルを供給すれば、自動で予熱機能を行うと同時に油膜を形成することができる長所がある。
【0055】
次に、図6は本発明のシステム1を移動手段ではない固定ステーションである産業設備、例えばエンジンのような大型駆動手段を備えた発電所、生産工場や大型ビルに適用した場合の構成図を例示する。本発明の予熱、潤滑及び冷却システム1は、搭載された発電機(G;generator)によって電源の供給を受け、エアコンプレッサーAと連結されて駆動手段4であるエンジンEを予熱、潤滑及び負荷運転後の冷却機能を行う。空気圧センサがシステム1と連結され、空気圧がオイル供給の基準として活用される。オイルはいわゆる「分配共有器」を介してエンジンを含んだ駆動装置に供給される。
【0056】
以上、自動車及び建設機械のような移動手段を主に例示していくつかの実施例を説明したが、本発明の特徴は、内燃機関式の発電機を含んだほとんど全ての装備の潤滑、耐摩耗及び冷却に必須で用いられるオイルを予熱媒体として活用し、既存のメイン駆動オイルシステムと分離した別途の予熱システムを介して管理者が各装備の負荷駆動に最も最適化されたオイルを供給し、油路システムは既存のメイン駆動オイルシステムをそのまま活用するようにした点にあるのである。
【0057】
このような本発明の基本精神を逸脱しない範囲で、本発明については多様な変形が可能であり、このような変形例も本発明の権利範囲に属し、本発明の権利範囲は以下記述する請求の範囲と同一または均等な領域にまで及ぶことは自明である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6