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特許7489132抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システム
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240516BHJP
   B01D 15/12 20060101ALI20240516BHJP
   B01D 15/14 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
A61K39/395 X
B01D15/12
B01D15/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022555670
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 KR2021002839
(87)【国際公開番号】W WO2021194128
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】10-2020-0035279
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522364309
【氏名又は名称】プレスティージ バイオロジクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、チュ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シン、チャ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】オ、テ ヤン
【審査官】川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-524125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
B01D 15/
C12M 1/
C07K 1/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムであって、
バッファー準備タンクから濃縮コンポーネント溶液を移送されるつ以上の濃縮コンポーネントタンク;前記濃縮コンポーネントタンクから濃縮コンポーネント溶液が排出される第1排出ラインと連結される第1パイプライン;前記第1パイプラインからそれぞれ分岐した濃縮コンポーネント流入ラインを有し、並列に配置されるつ以上のバッファー貯蔵タンク(buffer hold tank);前記それぞれのバッファー貯蔵タンクからバッファーが排出される第2排出ラインと連結される第2パイプライン;前記第2パイプラインと連結されるクロマトグラフ;および制御部;を含み、
前記二つ以上の濃縮コンポーネントタンクは互いに異なる濃縮コンポーネント溶液を含んでいてもよく、
前記それぞれのバッファー貯蔵タンクに、注射用水を注入するための注射用水注入ラインが連結され、
前記バッファー貯蔵タンクは、注入された濃縮コンポーネント溶液と注射用水を回分式でコンディショニング(conditioning)し、
前記制御部は、あらかじめ定められた値に基づいて、各濃縮コンポーネントタンクの第1排出ラインに位置する開閉弁の開閉を調節すること、及び/又は各バッファー貯蔵タンクに濃縮コンポーネントが流入する濃縮コンポーネント流入ライン上に位置する流量調節弁で流量を調節することによって、各バッファー貯蔵タンクに濃縮コンポーネント溶液を移送し、
前記バッファー準備タンク及び前記濃縮コンポーネントタンクはシングルユース(Single-Use,SU)使い捨てバッグ材質からなり、前記バッファー貯蔵タンクはステンレススチール(Stainless Steel,SS)材質からなる
抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システム。
【請求項2】
前記制御部は、各バッファー貯蔵タンクに設けられた重量センサー、伝導度センサーおよびpHセンサーの中から選ばれる1種以上のセンサーから測定された測定値をあらかじめ定められた基準値と比較して、前記各濃縮コンポーネントタンクの第1排出ラインに位置する開閉弁の開閉を調節すること、及び/又は
各バッファー貯蔵タンクに濃縮コンポーネント溶液が流入する濃縮コンポーネント流入ライン上に位置する流量調節弁で流量を調節することによって、
各バッファー貯蔵タンク内のバッファー濃度および組成を制御する、請求項1に記載の抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システム。
【請求項3】
前記開閉弁は、ピンチ弁(pinch valve)であり、前記流量調節弁は、ダイヤフラム弁(diaphragm valve)である、請求項1に記載の抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システム。
【請求項4】
前記クロマトグラフは、アフィニティー(affinity)クロマトグラフ、イオン交換クロマトグラフ、疎水性相互作用クロマトグラフおよび混合モードクロマトグラフの中から選ばれる1種またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システム。
【請求項5】
前記バッファー調製および移送システムは、アバゴボマブ(abagovomab)、アブシキシマブ(abciximab)、アダリムマブ(adalimumab)、アデカツムマブ(adecatumumab)、アレムツズマブ(alemtuzumab)、アルツモマブ(altumomab)、アルツモマブペンテテート(altumomab pentetate)、アナツモマブ(anatumomab)、アナツモマブマフ
ェナトクス(anatumomab mafenatox)、アルシツモマブ(arcitumomab)、アトリズマブ(atlizumab)、バシリキシマブ(basiliximab)、ベクツモマブ(bectumomab)、ベリムマブ(belimumab)、ベンラリズマブ(benralizumab)、ベバシズマブ(bevacizumab)、ブレンツキシマブ(brentuximab)、カナキヌマブ(canakinumab)、カプロマブ(capromab)、カプロマブペンデチド(capromab pendetide)、カツマキソマブ(catumaxomab)、セルトリズマブ(certolizumab)、クリバツズマブテトラキセタン(clivatuzumab tetraxetan)、ダクリズマブ(daclizumab)、デノスマブ(denosumab)、エクリズマブ(eculizumab)、エドレコロマブ(edrecolomab)、エファリズマブ(efalizumab)、エタラシズマブ(etaracizumab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、ファノレソマブ(fanolesomab)、フォントリズマブ(fontolizumab)、ゲムツズマブ(gemtuzumab)、ギレンツキシマブ(girentuximab)、ゴリムマブ(golimumab)、イブリツモマブ(ibritumomab)、イゴボマブ(igovomab)、インフリキシマブ(infliximab)、イピリムマブ(ipilimumab)、ラベツズマブ(labetuzumab)、メポリズマブ(mepolizumab)、ムロモナブ(muromonab)、ムロモナブ(muromonab)-CD3、ナタリズマブ(natalizumab)、ネシツムマブ(necitumumab)、ニモツズマブ(nimotuzumab)、オファツムマブ(ofatumumab)、オマリズマブ(omalizumab)、オレゴボマブ(oregovomab)、パリビズマブ(palivizumab)、パニツムマブ(panitumumab)、ラニビズマブ(ranibizumab)、リツキシマブ(rituximab)、サツモマブ(satumomab)、スレソマブ(sulesomab)、イブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxetan)、トシリズマブ(tocilizumab)、トシツモマブ(tositumomab)、トラスツズマブ(trastuzumab)、ウステキヌマブ(ustekinumab)、ビジリズマブ(visilizumab)、ボツムマブ(votumumab)、ザルツムマブ(zalutumumab)、ブロダルマブ(brodalumab)、アンルキンズマブ(anrukinzumab)、バピネウズマブ(bapineuzumab)、ダロツズマブ(dalotuzumab)、デムシズマブ(demcizumab)、ガニツマブ(ganitumab)、イノツズマブ(inotuzumab)、マブリリムマブ(mavrilimumab)、モキセツモマブパスドトクス(moxetumomab pasudotox)、リロツムマブ(rilotumumab)、シファリムマブ(sifalimumab)、タネズマブ(tanezumab)、トラロキヌマブ(tralokinumab)、トレメリムマブ(tremelimumab)、ウレルマブ(urelumab)、アレファセプト(alefacept)、アフリベルセプト(aflibercept)、ラキシバクマブ(Raxibacumab)、エタネルセプト(etanercept)、リロナセプト(rilonacept)、ロミプロスチム(romiplostim)、およびアバタセプト(abatacept)からなる群から選ばれる1種以上の抗体医薬品の精製工程のバッファー調製および移送に適用される、請求項1に記載の抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
バイオ医薬品は、大きく、バイオ新薬、改良バイオ医薬品(バイオベター)、バイオシミラーに区分され、化学的合成医薬品と比較して、副作用が少なく、研究開発時に前臨床要求資料が少なく、製品効能と安全性の予測が容易であり、相対的に臨床成功確率が高いので、全世界的に積極的な技術開発が行われている。
【0003】
バイオ医薬品の製造過程は、初期候補物質および細胞株開発、培養工程(upstream processing,USP)、精製工程(downstream processing,DSP)、および製剤化工程の段階で構成され、特にバイオシミラー(biosimilar)製品生産の場合、培養工程(USP)および精製工程(DSP)での工程最適化(processing optimization)は、価格競争力に直結しているので、低費用、高純度および高収率でバイオシミラーを製造する工程最適化に対する関心が一層高まっている状況である。
【0004】
これらのうち、培養工程は、細胞株を解凍した後、初期1リットル未満のフラスコ段階から最終15,000リットル以上の生産バイオリアクター段階まで約6週間細胞分裂を通じて細胞の個体数を持続的に増やす過程に該当し、この際、使用される培養方法としては、回分式培養(batch culture)、流加式培養(fed-batch culture)、連続式培養(continuous culture)、かん流式培養(perfusion culture)などがある。
【0005】
また、精製工程は、多様なクロマトグラフおよびフィルターの操作使用を通じて細胞および細胞残屑が混在する培養液から医薬品に使用されるタンパク質を高純度、高効率で抽出する過程であり、この過程でクロマトグラフおよびフィルター使用を通じてカラム精製、ウイルス除去、限外/透析ろ過などの工程が行われる。
【0006】
一方、上記のような培養および精製工程で使用される構成および装置は、材質の観点から、ステンレススチール(Stainless Steel,SS)と使い捨てバッグまたはチューブを使用するシングルユース(Sigle-Use,SU)に区分され、これらのうち、ステンレススチール材質の装置構成を含むSS工程システムは、相対的に大きいスケール(large scale)の具現が容易であり、運転費用(operation cost)が安く、自動化(automation)が容易であるという利点があるが、初期設置費用が高くかかり、汚染に脆弱であり、バイオリアクター(bioreactor、生物反応器)の大規模スケール化による精製工程のボトルネック現象(downstream bottleneck phenomenon)が発生しやすい。
【0007】
最近になって導入され始めたSU工程システムは、装置構成として、0.1から2,000リットルの間の体積を有する使い捨てバッグまたはチューブを利用し、SS工程システムに比べて相対的に低い初期設置費用、汚染時に当該部分だけを切り換えることができるので、相対的に汚染に強いという利点があるが、スケールアップ(scale up)に制限点があり、バッグの頻繁な切り換えによって持続的に発生する運転費用、装備の切り換え過程で多くの労働力が投入されるという点などが短所として指摘される。
【0008】
近年、バイオファーマ(biopharma)分野では、臨床試験、商業用医薬品の受託生産(Contract Manufacturing Organization,CMO)を提供する企業が増えていて、ひいては、細胞株開発から工程開発、スケールアップ、商業生産までワンストップで提供するサービスの改善も行われている。
【0009】
一方、精製工程では、不純物を除去して高純度の抗体を得るために、タンパク質分子の特性(表面電荷または疎水性など)を利用したクロマトグラフィー工程を必須的に含むが、この際、多様なバッファー溶液の使用が混在する。従来のバッファー調製工程は、人が一つずつ手動でバッファーを調製し、かつ、バッファー準備タンクとバッファー貯蔵タンクが1:1でマッチングされるシステムを使用しており、濃縮バッファー液を希釈してバッファーを調製する装置などを補助して使用した。このような従来技術によれば、タンク設置のために広い施設面積が必要であり、手動でバッファーを調製したので、多くの労働力と時間が投入される問題点があった。また、バッファー調製のためのパウダー作業時に、化学物質が飛散する問題があるので、作業者の健康にも良くない影響を与える問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題点に着目して、抗体医薬品の精製工程のうちクロマトグラフィー工程で使用される多様なバッファー溶液の調製および移送において、人が一つずつ手動でバッファーを調製し、かつ、バッファー準備タンクとバッファー貯蔵タンクが1:1でマッチングされるシステムを使用した従来のバッファー調製工程とは異なって、制御部を利用して多様なバッファー溶液の調製および移送を自動化する一方で、濃縮コンポーネント溶液を開閉弁および流量調節弁を通じてバッファー貯蔵タンク内に移送して、バッファー濃度および組成を制御する形態で装置構成を配置設計することによって、バッファー薬品の秤量、パウダー投入、撹拌、移送など個別的なバッファー調製による多くの労働力の投入を減少させ、工程時間を顕著に短縮できる抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムを提供しようとする。
【0011】
なお、本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、下記の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書では、バッファー準備タンクから濃縮コンポーネント溶液を移送される一つ以上の濃縮コンポーネントタンク;前記濃縮コンポーネントタンクから濃縮コンポーネント溶液が排出される第1排出ラインと連結される第1パイプライン;前記第1パイプラインからそれぞれ分岐した濃縮コンポーネント流入ラインを有し、並列に配置される一つ以上のバッファー貯蔵タンク(buffer hold tank);前記それぞれのバッファー貯蔵タンクからバッファーが排出される第2排出ラインと連結される第2パイプライン;前記第2パイプラインと連結されるクロマトグラフ;および制御部;を含み、前記制御部は、あらかじめ定められた値に基づいて、各濃縮コンポーネントタンクの第1排出ラインに位置する開閉弁の開閉を調節したり、各バッファー貯蔵タンクに濃縮コンポーネントが流入する濃縮コンポーネント流入ライン上に位置する流量調節弁で流量を調節して、各バッファー貯蔵タンクに濃縮コンポーネント溶液を移送する、抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムを提供する。
【0013】
また、本明細書において、前記それぞれのバッファー貯蔵タンクに、注射用水を注入するための注射用水注入ラインが連結され、前記バッファー貯蔵タンクは、注入した濃縮コンポーネント溶液と注射用水を回分式でコンディショニング(conditioning)する、抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムを提供する。
【0014】
また、本明細書において、前記制御部は、各バッファー貯蔵タンクに設けられた重量センサー、伝導度センサーおよびpHセンサーの中から選ばれる1種以上のセンサーから測定された測定値をあらかじめ定められた基準値と比較して、前記各濃縮コンポーネントタンクの第1排出ラインに位置する開閉弁の開閉を調節したり、各バッファー貯蔵タンクに濃縮コンポーネント溶液が流入する濃縮コンポーネント流入ライン上に位置する流量調節弁で流量を調節することによって、各バッファー貯蔵タンク内のバッファー濃度および組成を制御する、抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムを提供する。
【0015】
また、本明細書において、前記開閉弁は、ピンチ弁(pinch valve)であり、前記流量調節弁は、ダイヤフラム弁(diaphragm valve)である、抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムを提供する。
【0016】
また、本明細書において、前記濃縮コンポーネントタンクは、SU(Single-Use)使い捨てバッグ材質からなり、前記バッファー貯蔵タンクは、ステンレススチール(Stainless Steel,SS)材質からなる、抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムを提供する。
【0017】
また、本明細書において、前記精製ユニットのクロマトグラフは、アフィニティー(affinity)クロマトグラフ、イオン交換クロマトグラフ、疎水性相互作用クロマトグラフおよび混合モードクロマトグラフの中から選ばれる1種またはこれらの組み合わせである、抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムを提供する。
【0018】
また、本明細書において、前記バッファー調製および移送システムは、アバゴボマブ(abagovomab)、アブシキシマブ(abciximab)、アダリムマブ(adalimumab)、アデカツムマブ(adecatumumab)、アレムツズマブ(alemtuzumab)、アルツモマブ(altumomab)、アルツモマブペンテテート(altumomab pentetate)、アナツモマブ(anatumomab)、アナツモマブマフェナトクス(anatumomab mafenatox)、アルシツモマブ(arcitumomab)、アトリズマブ(atlizumab)、バシリキシマブ(basiliximab)、ベクツモマブ(bectumomab)、ベリムマブ(belimumab)、ベンラリズマブ(benralizumab)、ベバシズマブ(bevacizumab)、ブレンツキシマブ(brentuximab)、カナキヌマブ(canakinumab)、カプロマブ(capromab)、カプロマブペンデチド(capromab pendetide)、カツマキソマブ(catumaxomab)、セルトリズマブ(certolizumab)、クリバツズマブテトラキセタン(clivatuzumab tetraxetan)、ダクリズマブ(daclizumab)、デノスマブ(denosumab)、エクリズマブ(eculizumab)、エドレコロマブ(edrecolomab)、エファリズマブ(efalizumab)、エタラシズマブ(etaracizumab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、ファノレソマブ(fanolesomab)、フォントリズマブ(fontolizumab)、ゲムツズマブ(gemtuzumab)、ギレンツキシマブ(girentuximab)、ゴリムマブ(golimumab)、イブリツモマブ(ibritumomab)、イゴボマブ(igovomab)、インフリキシマブ(infliximab)、イピリムマブ(ipilimumab)、ラベツズマブ(labetuzumab)、メポリズマブ(mepolizumab)、ムロモナブ(muromonab)、ムロモナブ(muromonab)-CD3、ナタリズマブ(natalizumab)、ネシツムマブ(necitumumab)、ニモツズマブ(nimotuzumab)、オファツムマブ(ofatumumab)、オマリズマブ(omalizumab)、オレゴボマブ(oregovomab)、パリビズマブ(palivizumab)、パニツムマブ(panitumumab)、ラニビズマブ(ranibizumab)、リツキシマブ(rituximab)、サツモマブ(satumomab)、スレソマブ(sulesomab)、イブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxetan)、トシリズマブ(tocilizumab)、トシツモマブ(tositumomab)、トラスツズマブ(trastuzumab)、ウステキヌマブ(ustekinumab)、ビジリズマブ(visilizumab)、ボツムマブ(votumumab)、ザルツムマブ(zalutumumab)、ブロダルマブ(brodalumab)、アンルキンズマブ(anrukinzumab)、バピネウズマブ(bapineuzumab)、ダロツズマブ(dalotuzumab)、デムシズマブ(demcizumab)、ガニツマブ(ganitumab)、イノツズマブ(inotuzumab)、マブリリムマブ(mavrilimumab)、モキセツモマブパスドトクス(moxetumomab pasudotox)、リロツムマブ(rilotumumab)、シファリムマブ(sifalimumab)、タネズマブ(tanezumab)、トラロキヌマブ(tralokinumab)、トレメリムマブ(tremelimumab)、ウレルマブ(urelumab)、レビフ(Rebif)、ベカプレルミン(becaplermin)、アルテプラーゼ(alteplase)、ラロニダーゼ(laronidase)、アレファセプト(alefacept)、アフリベルセプト(aflibercept)、ラキシバクマブ(Raxibacumab)、ダルベポエチンアルファ(darbepoetin alfa)、ベカプレルミン濃縮物(Becaplermin Concentrate)、インターフェロンベータ(interferon beta)-1b、ボツリヌス毒素タイプ(Botulinum Toxin Type)A、ラスブリカーゼ(rasburicase)、アスパラギナーゼ(asparaginase)、エポエチンアルファ(epoetin alfa)、エタネルセプト(etanercept)、アガルシダーゼベータ(agalsidase beta)、インターフェロンアルファコン(interferon alfacon)-1、インターフェロンアルファ(interferon alfa)-2a、アナキンラ(anakinra)、ボツリヌス毒素タイプ(Botulinum Toxin Type)B、ペグフィルグラスチム(pegfilgrastim)、オプレルベキン(oprelvekin)、フィルグラスチム(filgrastim)、デニロイキンジフチトクス(denileukin diftitox)、ペグインターフェロンアルファ(peginterferon alfa)-2a、アルデスロイキン(aldesleukin)、ドルナーゼアルファ(dornase alfa)、インターフェロンベータ(interferon beta)-1a、レテプラーゼ(reteplase)、インターフェロンアルファ(interferon alfa)-2、テネクテプラーゼ(tenecteplase)、ドロトレコギンアルファ(drotrecogin alfa)、リロナセプト(rilonacept)、ロミプロスチム(romiplostim)、メトキシポリエチレングリコール(methoxypolyethylene glycol)-エポエチンベータ(epoetin beta)、C1エステラーゼ(esterase)阻害剤、イデュルスルファーゼ(idursulfase)、アルグルコシダーゼアルファ(alglucosidase alfa)、アバタセプト(abatacept)、ガルスルファーゼ(galsulfase)、パリフェルミン(palifermin)およびインターフェロンガンマ(interferon gamma)-1bからなる群から選ばれる1種以上の抗体医薬品の精製工程のバッファー調製および移送に適用される、抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるバッファー調製および移送システムは、人が一つずつ手動でバッファーを調製し、かつ、バッファー準備タンクとバッファー貯蔵タンクが1:1でマッチングされるシステムを使用した従来のバッファー調製工程とは異なって、制御部を利用して多様なバッファー溶液の調製および移送を自動化する一方で、濃縮コンポーネント溶液を開閉弁および流量調節弁を通じてバッファー貯蔵タンク内に移送してバッファー濃度および組成を制御する形態で装置構成を配置設計することによって、バッファー薬品の秤量、パウダー投入、撹拌、移送など個別的なバッファー調製による多くの労働力の投入を減少させ、工程時間を顕著に短縮することができる。
【0020】
また、本発明によるバッファー調製および移送システムは、従来技術とは異なって、個別バッファー貯蔵タンクに対応するバッファー準備タンクの個数を減少させて、工程間の安全距離の確保と施設面積の確保にも有利であり、自動化したシステムにより作業者の安全を確保することができる。
【0021】
また、バッファー準備タンクおよび濃縮コンポーネントタンクがSU(Single-Use)使い捨てバッグからなることによって、高濃縮バッファー溶液の使用による腐食(酸による金属の腐食など)の憂慮を最小化し、別途の洗浄および滅菌過程を省略することができ、工程時間をさらに短縮することができる。
【0022】
ひいては、従来技術に比べて、バッファーの品質が均一であり、所望のレシピ(recipe)に従ってバッファー溶液を調製できるという点から、大きな利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態によって具現された抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムを概略的に示す図である。
図2】従来技術による抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムを概略的に示す図である。
図3】他の従来技術による抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムを概略的に示す図である。
図4】さらに他の従来技術による抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書において使用される用語は、ただ例示的な実施形態を説明するために使用されるものであり、発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」、「具備する」または「有する」等の用語は、実施された特徴、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解すべきである。
【0025】
また、本発明において、各層または要素が各層または要素の「上に」または「の上に」形成されるものと言及される場合には、各層または要素が直接各層または要素の上に形成されることを意味したり、他の層または要素が各層間、対象体、基材上にさらに形成されることができることを意味する。
【0026】
発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるところ、特定の実施形態を例示し、下記で詳細に説明しようとする。しかしながら、これは、発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解すべきである。
【0027】
一方、本発明の明細書および請求範囲の全般で使用される用語である「コンポーネント」は、バッファー溶液の個別成分を意味するものと理解すべきである。
【0028】
また、本発明において、明細書および請求範囲の全般で使用される用語「部」は、ソフトウェアまたはハードウェア構成要素を意味し、「部」は、所定の役割を行う。ところが、「部」は、ソフトウェアまたはハードウェアに限定される意味ではない。「部」は、アドレッシングすることができる保存媒体に位置するように構成されることもでき、一つまたはそれ以上のプロセッサを再生させるように構成されることもできる。したがって、一例として、「部」は、ソフトウェア構成要素、オブジェクト指向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素およびタスク構成要素のような構成要素と、プロセス、関数、属性、プロシーザー、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバー、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイおよび変数を含む。構成要素と「部」内で提供される機能は、さらに小さい数の構成要素および「部」に結合されるか、さらなる構成要素と「部」にさらに分離されることができる。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、「部」は、プロセッサおよびメモリで具現されることができる。用語「プロセッサ」は、汎用プロセッサ、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサー、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、制御器、マイクロ制御器、状態マシンなどを含むように広く解すべきである。いくつかの環境では、「プロセッサ」は、注文型半導体(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等を指すこともできる。用語「プロセッサ」は、例えば、DSPとマイクロプロセッサーの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサーの組み合わせ、DSPコアと結合した一つ以上のマイクロプロセッサーの組み合わせ、または任意の他のそのような構成の組み合わせのような処理デバイスの組み合わせを指すこともできる。
【0030】
用語「メモリ」は、電子情報を保存可能な任意の電子コンポーネントを含むように広く解すべきである。用語「メモリ」は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、磁気または光学データ記憶装置、レジスターなどのようなプロセッサ-読み取り可能な媒体の多様な類型を指すこともできる。プロセッサがメモリから情報を読み出し/読み出すか、メモリに情報を記録できると、メモリは、プロセッサと電子通信状態にあると呼ばれる。プロセッサに集積されたメモリは、プロセッサと電子通信状態にある。
【0031】
以下、本発明の具体的な実施形態による抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムについてより詳細に説明する。
【0032】
抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システム
本発明の一実施形態による抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムは、バッファー準備タンクから濃縮コンポーネント溶液を移送される一つ以上の濃縮コンポーネントタンク;前記濃縮コンポーネントタンクから濃縮コンポーネント溶液が排出される第1排出ラインと連結される第1パイプライン;前記第1パイプラインからそれぞれ分岐した濃縮コンポーネント流入ラインを有し、並列に配置される一つ以上のバッファー貯蔵タンク(buffer hold tank);前記それぞれのバッファー貯蔵タンクからバッファーが排出される第2排出ラインと連結される第2パイプライン;前記第2パイプラインと連結されるクロマトグラフ;および制御部;を含み、前記制御部は、あらかじめ定められた値に基づいて、各濃縮コンポーネントタンクの第1排出ラインに位置する開閉弁の開閉を調節したり、各バッファー貯蔵タンクに濃縮コンポーネントが流入する濃縮コンポーネント流入ライン上に位置する流量調節弁で流量を調節して、各バッファー貯蔵タンクに濃縮コンポーネント溶液を移送するものであってもよい。
【0033】
より詳細に説明すると、抗体医薬品製造工程は、初期候補物質および細胞株開発、培養工程(USP)、精製工程(DSP)および製剤化工程の段階で構成される。
【0034】
これらのうち、精製工程は、多様なクロマトグラフおよびフィルターの操作使用を通じて細胞および細胞残屑が混在する培養液から医薬品に使用されるタンパク質を高純度、高効率で抽出する過程に該当する。
【0035】
本発明の一実施形態による、精製ユニット(purification unit)は、精製工程のための装置構成の集合として、バッファーをあらかじめ準備するバッファー準備タンク(buffer preparation tank);前記バッファー準備タンクからバッファーを移送されて、バッファーを貯蔵するバッファー貯蔵タンク(buffer hold tank);培養工程から移送された培養液と、前記バッファー貯蔵タンクから移送されたバッファーを利用して培養液内に混在する不純物を除去して目的タンパク質の純度を高めるクロマトグラフ;および前記クロマトグラフによるクロマトグラフィー実行される前または後バッファー交換および濃縮を行う一つ以上のろ過装置(filtration system);を含んでもよい。
【0036】
前記バッファー準備タンクとバッファー貯蔵タンクの間に、濃縮コンポーネント溶液を貯蔵する一つ以上の濃縮コンポーネントタンクが設けられてもよい。
【0037】
一方、精製工程では、不純物を除去し、高純度の抗体を得るために、タンパク質分子の特性(表面電荷または疎水性など)を利用したクロマトグラフィー工程を必須的に含むが、この際、多様なバッファー溶液の使用が混在する。従来のバッファー調製工程は、人が一つずつ手動でバッファーを調製し、かつ、バッファー準備タンクとバッファー貯蔵タンクが1:1でマッチングされるシステムを使用し、濃縮バッファー液を希釈してバッファーを調製する装置などを補助して使用した。このような従来技術によれば、タンク設置のために広い施設面積が必要であり、手動でバッファーを調製したので、多くの労働力と時間が投入される問題点があった。また、バッファー調製のためのパウダー作業時に化学物質が飛散する問題があるので、作業者の健康にも良くない影響を与える問題点があった。
【0038】
本発明者らは、人が一つずつ手動でバッファーを調製し、かつ、バッファー準備タンクとバッファー貯蔵タンクが1:1でマッチングされるシステムを使用した従来のバッファー調製工程とは異なって、制御部を利用して多様なバッファー溶液の調製および移送を自動化する一方で、濃縮コンポーネント溶液を開閉弁および流量調節弁を通じてバッファー貯蔵タンク内に移送してバッファー濃度および組成を制御する形態で装置構成を配置設計する場合、およびバッファー準備タンクおよび濃縮コンポーネントタンクがSU(Single-Use)使い捨てバッグからなる場合、バッファー薬品の秤量、パウダー投入、撹拌、移送など個別的なバッファー調製による多くの労働力の投入を減少させ、工程時間を顕著に短縮することができ、高濃縮バッファー溶液の使用による腐食(酸による金属の腐食など)の憂慮を最小化し、別途の洗浄および滅菌過程を省略することができ、工程時間をさらに短縮できるという点を確認して、本発明を完成するに至った。
【0039】
具体的に、本発明の一実施形態によれば、液状形態の緩衝剤であり、且つ酸度調節剤であり、タンパク質を安定的に抽出するのに使用されるバッファー溶液の各成分を調製するバッファー準備タンク(buffer preparation tank)から濃縮コンポーネント溶液を移送される一つ以上の濃縮コンポーネントタンクを具備し、濃縮コンポーネントタンクから濃縮されたコンポーネント溶液成分と注射用水をコンディショニングした後、クロマトグラフに送るバッファー貯蔵タンクを具備することができる。 一方、前記濃縮コンポーネントタンクは、濃縮コンポーネント溶液を排出する第1排出ラインが連結される第1パイプラインおよび前記第1パイプラインから分岐した濃縮コンポーネント流入ラインを通じて一つ以上のバッファー貯蔵タンクと連結される。一方、前記第1排出ライン上に開閉弁が位置し、前記濃縮コンポーネント流入ライン上に流量調節弁が位置する。一方、それぞれのバッファー貯蔵タンクから排出される第2排出ラインは、第2パイプラインと連結され、第2パイプラインは、クロマトグラフと連結される(図1参照)。一方、前記一つ以上の濃縮コンポーネントタンクに、目的とするバッファー溶液を調製するために、バッファー溶液を構成する個別成分がそれぞれ設けられてもよく、一例として、前記一つ以上の濃縮コンポーネントタンクに、互いに異なるバッファー成分が設けられてもよい。
【0040】
一方、本発明の一実施形態によるバッファー調製および移送システムの装置構成として、バッファー準備タンク、濃縮コンポーネントタンク、バッファー貯蔵タンク、第1排出ライン、第1パイプライン、第2排出ライン、第2パイプラインおよびクロマトグラフは、ステンレススチール(stainless steel,SS)材質およびSU使い捨てバックの中から選ばれる1種以上の材質を有するものであってもよく、例えば、前記システムは、SS材質およびSU使い捨てバッグが混在するハイブリッドシステムであってもよい。
【0041】
一方、本発明においてバッファー準備タンクおよび前記一つ以上の濃縮コンポーネントタンクは、使い捨てバッグからなってもよいが、前記バッファー準備タンクと濃縮コンポーネントタンクが前記材質を有する場合、従来のSS材質の装置構成と比較して、高濃縮コンポーネントの使用による腐食(酸による金属の腐食など)の憂慮が最小化され、洗浄および滅菌上の困難が減少し、簡単な切り換えだけで新しい工程に移行することができるので、工程時間が短縮される効果がある。一方、本明細書および請求範囲の全般で使用される用語「SU(Sigle-Use)使い捨てバッグ(bag)」は、SU使い捨てバッグはもちろん、洗浄可能なプラスチックボトル(plastic bottle)の構成を包括する概念でありうる。
【0042】
また、本発明によるバッファー調製および移送システムは、高度で濃縮された濃縮コンポーネント溶液を使用するので、基準バッファー準備タンクに対して1/25の比率までサイズを減少させることができ、バッファー貯蔵タンクも、濃縮コンポーネントを移送された後、クロマトグラフへの注入直前に注射用水で濃度を調節するので、バッファー溶液の貯蔵による負担を減少させることができ、これによって、従来のバッファー貯蔵タンクに対して1/10の比率までサイズを減少させることができる。
【0043】
一方、本発明の一実施形態による前記それぞれのバッファー貯蔵タンクに、注射用水を注入するための注射用水注入ラインが連結され、前記バッファー貯蔵タンクは、注入した濃縮コンポーネント溶液と注射用水を回分式でコンディショニング(conditioning)することができる。一方、注射用水は、バッファー貯蔵タンクに注入した一つ以上の濃縮されたコンポーネント溶液と混合されて、バッファー溶液の濃度調節を行うことができる。一方、前記バッファー貯蔵タンクに、目的とするバッファー溶液を調製するために、一つ以上のコンポーネント溶液が制御部により流量調節されて流入することができる。
【0044】
一方、本発明の一実施形態によるバッファー調製および移送システムは、制御部を含む。
【0045】
前記制御部は、各バッファー貯蔵タンクに設けられた重量センサー、伝導度センサーおよびpHセンサーの中から選ばれる1種以上のセンサーから測定された測定値をあらかじめ定められた基準(基準値)と比較して前記各濃縮コンポーネントタンクの第1バッファー排出ラインに位置する開閉弁の開閉を調節したり、各バッファー準備タンクに濃縮コンポーネント溶液が流入する濃縮コンポーネント流入ライン上に位置する流量調節弁で流量を調節することによって、各バッファー貯蔵タンク内のバッファー濃度および組成を制御する装置構成でありうる。
【0046】
具体的に、前記制御部は、プロセッサおよびメモリの中から選ばれる1種以上の装置構成を含むものであってもよく、プロセッサは、メモリに保存された命令語を行うものであってもよい。一方、プロセッサは、例えば、中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理デバイス(GPU)または両方を含むものであってもよく、一例として、前記制御部内のプロセッサおよびメモリによって前記工程運転が自動化(調節および制御)される形態でありうる。
【0047】
一例として、本発明の一実施形態による制御部は、PLC(Programmable Logic Controller)でありうる。特に、前記制御部がPLCである場合、各バッファー貯蔵タンクに設けられた重量センサー、伝導度センサーおよびpHセンサーの中から選ばれる1種以上のセンサーから測定された測定値をあらかじめ定められた臨界値と比較して、前記各濃縮コンポーネントタンクの第1排出ラインに位置する開閉弁、例えばピンチ弁(pinch valve)の開閉を調節したり、各バッファー貯蔵タンクで濃縮コンポーネント溶液が流入する濃縮コンポーネント流入ライン上に位置する流量調節弁、例えばダイヤフラム弁(diaphragm valve)の流量を調節することによって、前記バッファー貯蔵タンク内のバッファー濃度および組成を制御することができる。
【0048】
従来技術によるバッファー調製および移送方法は、準備タンクにWFI(注射用水、Water For Injection)を充填後、定量で秤量されたバッファー成分物質を入れ、撹拌した後、伝導度とpHを調整し、体積を確認した後、Fill-upする方式で進行され、準備タンクで調製されたバッファーは、ろ過後、全量がバッファー貯蔵タンクに移送され、精製工程の各ステップ(step)ごとに様々な種類のバッファー使用が混在するにつれて、前記バッファー調製および移送を繰り返し行わなければならなかった(図2参照)。
【0049】
製品および工程ごとに差異はあるが、1バッチ生産中、精製工程に投入されるバッファー量は、培養工程に使用される培地量の数倍に達する。また、このような方式の場合、バッファー準備タンクとバッファー貯蔵タンクが1:1でマッチングされるので、個別タンク設置のために広い施設面積が必要な一方で、多くの労働力が投入され、工程時間が遅れる問題点があった。
【0050】
また、このような問題認識によって現在Skid形態で濃縮コンポーネント(component)溶液別投入流量比を制御して、Skid内部配管中で混合して、すぐにカラムに注入する装備(Inline Conditioning System)が商用化されたが、これは、非常に高価であり、伝統的方式に比べてバッファー品質のVarianceが大きくて、Validationに多くの時間がかかるという短所があった(図3参照)。
【0051】
しかも、従来バッファー調製および移送方法の代案として提示されたさらに他の方式は、Columnにすぐに入れる方式でなく、バッファー貯蔵タンクに入れる方式であり、数個のポンプを利用して流量を制御し、Line mixerを設置して、移送ラインでミキシング(mixing)する方式があるが、これも、wasteが多く発生し、回分式調製のような品質が保障されないという問題点があった(図4参照)。
【0052】
他方で、本発明の場合、制御部を利用して多様なバッファー溶液の調製および移送を自動化する一方で、濃縮コンポーネント溶液を開閉弁および流量調節弁を通じてバッファー貯蔵タンク内に移送してバッファー濃度および組成を制御する形態で装置構成を配置設計することだけで、バッファー薬品の秤量、パウダー投入、撹拌、移送など個別的なバッファー調製による多くの労働力の投入を減少させ、工程時間を顕著に短縮することができる。
【0053】
また、個別バッファー貯蔵タンクに対応するバッファー準備タンクの個数を減少させて、工程間の安全距離の確保と施設面積の確保にも有利であり、自動化したシステムによって作業者の安全を確保することができる。
【0054】
また、バッファー準備タンクおよび濃縮コンポーネントタンクがSU(Single-Use)使い捨てバッグからなることによって、高濃縮バッファー溶液の使用による腐食(酸による金属の腐食など)の憂慮を最小化し、別途の洗浄および滅菌過程を省略することができ、工程時間をさらに短縮できる一方で、従来技術に比べてバッファーの品質が均一であり、所望のレシピ(recipe)に従ってバッファー溶液を調製できるという点から、大きな利点を有する。
【0055】
一方、本発明の一実施形態によるバッファー調製および移送システムは、アバゴボマブ(abagovomab)、アブシキシマブ(abciximab)、アダリムマブ(adalimumab)、アデカツムマブ(adecatumumab)、アレムツズマブ(alemtuzumab)、アルツモマブ(altumomab)、アルツモマブペンテテート(altumomab pentetate)、アナツモマブ(anatumomab)、アナツモマブマフェナトクス(anatumomab mafenatox)、アルシツモマブ(arcitumomab)、アトリズマブ(atlizumab)、バシリキシマブ(basiliximab)、ベクツモマブ(bectumomab)、ベリムマブ(belimumab)、ベンラリズマブ(benralizumab)、ベバシズマブ(bevacizumab)、ブレンツキシマブ(brentuximab)、カナキヌマブ(canakinumab)、カプロマブ(capromab)、カプロマブペンデチド(capromab pendetide)、カツマキソマブ(catumaxomab)、セルトリズマブ(certolizumab)、クリバツズマブテトラキセタン(clivatuzumab tetraxetan)、ダクリズマブ(daclizumab)、デノスマブ(denosumab)、エクリズマブ(eculizumab)、エドレコロマブ(edrecolomab)、エファリズマブ(efalizumab)、エタラシズマブ(etaracizumab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、ファノレソマブ(fanolesomab)、フォントリズマブ(fontolizumab)、ゲムツズマブ(gemtuzumab)、ギレンツキシマブ(girentuximab)、ゴリムマブ(golimumab)、イブリツモマブ(ibritumomab)、イゴボマブ(igovomab)、インフリキシマブ(infliximab)、イピリムマブ(ipilimumab)、ラベツズマブ(labetuzumab)、メポリズマブ(mepolizumab)、ムロモナブ(muromonab)、ムロモナブ(muromonab)-CD3、ナタリズマブ(natalizumab)、ネシツムマブ(necitumumab)、ニモツズマブ(nimotuzumab)、オファツムマブ(ofatumumab)、オマリズマブ(omalizumab)、オレゴボマブ(oregovomab)、パリビズマブ(palivizumab)、パニツムマブ(panitumumab)、ラニビズマブ(ranibizumab)、リツキシマブ(rituximab)、サツモマブ(satumomab)、スレソマブ(sulesomab)、イブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxetan)、トシリズマブ(tocilizumab)、トシツモマブ(tositumomab)、トラスツズマブ(trastuzumab)、ウステキヌマブ(ustekinumab)、ビジリズマブ(visilizumab)、ボツムマブ(votumumab)、ザルツムマブ(zalutumumab)、ブロダルマブ(brodalumab)、アンルキンズマブ(anrukinzumab)、バピネウズマブ(bapineuzumab)、ダロツズマブ(dalotuzumab)、デムシズマブ(demcizumab)、ガニツマブ(ganitumab)、イノツズマブ(inotuzumab)、マブリリムマブ(mavrilimumab)、モキセツモマブパスドトクス(moxetumomab pasudotox)、リロツムマブ(rilotumumab)、シファリムマブ(sifalimumab)、タネズマブ(tanezumab)、トラロキヌマブ(tralokinumab)、トレメリムマブ(tremelimumab)、ウレルマブ(urelumab)、レビフ(Rebif)、ベカプレルミン(becaplermin)、アルテプラーゼ(alteplase)、ラロニダーゼ(laronidase)、アレファセプト(alefacept)、アフリベルセプト(aflibercept)、ラキシバクマブ(Raxibacumab)、ダルベポエチンアルファ(darbepoetin alfa)、ベカプレルミン濃縮物(Becaplermin Concentrate)、インターフェロンベータ(interferon beta)-1b、ボツリヌス毒素タイプ(Botulinum Toxin Type)A、ラスブリカーゼ(rasburicase)、アスパラギナーゼ(asparaginase)、エポエチンアルファ(epoetin alfa)、エタネルセプト(etanercept)、アガルシダーゼベータ(agalsidase beta)、インターフェロンアルファコン(interferon alfacon)-1、インターフェロンアルファ(interferon alfa)-2a、アナキンラ(anakinra)、ボツリヌス毒素タイプ(Botulinum Toxin Type)B、ペグフィルグラスチム(pegfilgrastim)、オプレルベキン(oprelvekin)、フィルグラスチム(filgrastim)、デニロイキンジフチトクス(denileukin diftitox)、ペグインターフェロンアルファ(peginterferon alfa)-2a、アルデスロイキン(aldesleukin)、ドルナーゼアルファ(dornase alfa)、インターフェロンベータ(interferon beta)-1a、レテプラーゼ(reteplase)、インターフェロンアルファ(interferon alfa)-2、テネクテプラーゼ(tenecteplase)、ドロトレコギンアルファ(drotrecogin alfa)、リロナセプト(rilonacept)、ロミプロスチム(romiplostim)、メトキシポリエチレングリコール(methoxypolyethylene glycol)-エポエチンベータ(epoetin beta)、C1エステラーゼ(esterase)阻害剤、イデュルスルファーゼ(idursulfase)、アルグルコシダーゼアルファ(alglucosidase alfa)、アバタセプト(abatacept)、ガルスルファーゼ(galsulfase)、パリフェルミン(palifermin)およびインターフェロンガンマ(interferon gamma)-1bからなる群から選ばれる1種以上の抗体医薬品の精製工程のバッファー調製および移送に適用されるものであってもよく、バイオ新薬、改良バイオ医薬品(バイオベター)およびバイオシミラーのような抗体医薬品製造工程の全般に多様に活用されることができる。
【0056】
また、本発明によるシステムは、抗体医薬品の精製工程のうちクロマトグラフィー(カチオン交換、疎水性相互作用交換、アニオン交換など)工程の洗浄および溶出に使用されるバッファー溶液の成分を単純化させた場合(一例として二つ以上の成分を含み、かつ、一つの成分だけを増加させる方式で多数のバッファー溶液を製造する場合など)に有用に活用されることができる。また、この場合、バッファー準備タンクは、バッファー貯蔵タンクと1:1でマッチングされる必要がなく、これによって、従来技術に比べて工程間の安全距離の確保と施設面積の確保にも有利な効果がある。
【0057】
また、前記抗体医薬品製造工程のためのバッファー調製および移送システムを活用する場合、個別バッファー溶液を一つずつ調製しなくても、自動化したシステムで多様な種類のバッファー溶液を簡単に調製することができる。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
一例として、カチオン交換クロマトグラフィー工程に要求されるバッファー溶液が前記表1および表2のような場合、従来技術によってそれぞれ手動でバッファー溶液を調製すると、それぞれ合計7個のバッファー溶液およびバッファー準備タンクが必要であり、バッファー薬品の秤量、パウダー投入、撹拌、移送など個別的なバッファーの調製による多くの労働力の投入が要求されるだけでなく、工程時間が顕著に増える。
【0061】
他方で、本発明によって濃縮コンポーネント溶液および制御部を活用して自動化工程でバッファー貯蔵タンクに濃縮コンポーネント溶液および注射用水を定量注入する場合、表1の場合には、合計4種のコンポーネントタンク(NaAc、HAc、NaClおよびNaOH)、表2では、全体三つのコンポーネントタンク(HCl、HAcおよびNaOH)を具備することだけで、自動化したバッファー溶液の調製が可能になるので、工程の経済性と効率性が向上することができる。
【0062】
以上で説明した本発明のバッファー調製および移送システムは、人が一つずつ手動でバッファーを調製し、かつ、バッファー準備タンクとバッファー貯蔵タンクが1:1でマッチングされるシステムを使用した従来のバッファー調製工程とは異なって、制御部を利用して多様なバッファー溶液の調製および移送を自動化する一方で、濃縮コンポーネント溶液を開閉弁および流量調節弁を通じてバッファー貯蔵タンク内に移送してバッファー濃度および組成を制御する形態で装置構成を配置設計することによって、バッファー薬品の秤量、パウダー投入、撹拌、移送など個別的なバッファー調製による多くの労働力の投入を減少させ、工程時間を顕著に短縮することができる。
【0063】
また、本発明のバッファー調製および移送システムは、従来技術とは異なって、個別バッファー貯蔵タンクに対応するバッファー準備タンクの個数を減少させて、工程間の安全距離の確保と施設面積の確保にも有利であり、自動化したシステムによって作業者の安全を確保することができる。
【0064】
また、本発明のバッファー調製および移送システムは、バッファー準備タンクおよび濃縮コンポーネントタンクがSU(Single-Use)使い捨てバッグからなることによって、高濃縮バッファー溶液の使用による腐食(酸による金属の腐食など)の憂慮を最小化し、別途の洗浄および滅菌過程を省略することができ、工程時間をさらに短縮することができる。
【0065】
ひいては、従来技術に比べてバッファーの品質が均一であり、所望のレシピ(recipe)に従ってバッファー溶液を調製できるという点から、大きな利点を有する。
【0066】
以上、本発明の特定の実施形態が説明され、図示されたが、本発明は、記載された実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想および範囲を逸脱することなく、多様に修正および変形できることは、この技術の分野における通常の知識を有する者に自明であろう。したがって、そのような修正例または変形例は、本発明の技術的思想や観点から個別的に理解するのではなく、変形された実施形態は、本発明の特許請求範囲に属すると言える。
図1
図2
図3
図4