IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 福島SiC応用技研株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-中性子発生器 図1
  • 特許-中性子発生器 図2
  • 特許-中性子発生器 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】中性子発生器
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
A61N5/10 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024008248
(22)【出願日】2024-01-23
【審査請求日】2024-01-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515332207
【氏名又は名称】株式会社J-BEAM
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】古村 翔太郎
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-201581(JP,A)
【文献】特表2020-518352(JP,A)
【文献】特表平08-511619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療対象の病巣を含む部分を該治療対象の外面に沿って囲み、該病巣に対応する位置に開口部を有する放射線遮蔽部と、
中性子線を散乱させる部材で構成され、空間を介して該放射線遮蔽部を囲む中性子反射部とを備え、
前記中性子反射部は、前記空間に中性子線を導入するための中性子照射口と、前記治療対象のうちの前記放射線遮蔽部により囲まれた前記病巣を含む部分を通過させて前記空間に配置するための開放部とを有することを特徴とする中性子捕捉療法装置。
【請求項2】
前記放射線遮蔽部の形状、前記中性子照射口の開口面積、及び前記中性子照射口から前記病巣までの距離が、それぞれ独立に調節し得るように構成されることを特徴とする請求項1に記載の中性子捕捉療法装置。
【請求項3】
前記放射線遮蔽部は異なる複数の遮蔽材料でそれぞれ形成された複数の遮蔽層を積層して構成され、該放射線遮蔽部の前記開口部は遮蔽層毎に設けられ、該開口部の位置は、該遮蔽層間で必ずしも一致していないことを特徴とする請求項1に記載の中性子捕捉療法装置。
【請求項4】
前記放射線遮蔽部は、前記複数の遮蔽層として、熱外中性子線及び高速中性子線を遮蔽する第1遮蔽層と、熱中性子線を遮蔽する第2遮蔽層と、ガンマ線を遮蔽する第3遮蔽層とを備えることを特徴とする請求項3に記載の中性子捕捉療法装置。
【請求項5】
前記開口部は、前記第1遮蔽層及び前記第2遮蔽層に設けられ、前記第1遮蔽層の該開口部に該第2遮蔽層が存在し、該第2遮蔽層の該開口部に該第1遮蔽層が存在し、該第1遮蔽層の該開口部は、前記治療対象における前記病巣の位置応じ、前記中性子照射口からの直接的な中性子線に対応する位置と、前記中性子反射部からの間接的な中性子線に対応する位置とに設けられることを特徴とする請求項4に記載の中性子捕捉療法装置。
【請求項6】
前記中性子照射口は、前記中性子反射部の2箇所以上に設けられることを特徴とする請求項1に記載の中性子捕捉療法装置。
【請求項7】
前記放射線遮蔽部の前記開口部は、前記治療対象における前記病巣の位置応じ、前記中性子照射口からの直接的な中性子線に対応する位置と、前記中性子反射部からの間接的な中性子線に対応する位置とに設けられることを特徴とする請求項1に記載の中性子捕捉療法装置。
【請求項8】
前記放射線遮蔽部における前記開口部は、その数、位置、大きさ又は形状が、モンテカルロ・シミュレーションを用いて前記治療対象の病巣及び正常組織に付与される線量分布を計算することによって、治療対象ごとに最適化されることを特徴とする請求項1に記載の中性子捕捉療法装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中性子線を治療対象の病巣に照射して治療を行う中性子捕捉療法装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中性子線を治療対象の病巣に照射して治療を行う中性子捕捉療法装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような中性子捕捉療法装置では、病巣に取り込まれたホウ素などと、中性子線との核反応によって病巣の癌細胞などを死滅させ、治療効果を得るものである。
【0003】
特許文献1に記載された装置は、荷電粒子線が照射されることによって中性子線を発生させるターゲットと、この中性子線の照射野を成形するコリメータと、このコリメータの出口側に設けられ、患者とコリメータとの間から漏れる中性子線を患者に向かって反射可能に構成された反射部とを備える。
【0004】
これによれば、コリメータの出口から出射される中性子線のうち、患者に直接照射されない漏れ中性子線を、反射部により患者に向かって反射するので、患者の腫瘍への照射量が増加する。腫瘍への照射量は、反射部の形状を設定することによって制御される。これにより、治療時間を短縮し、患者の負担をある程度低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-084808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の装置によれば、反射部で反射された中性子線は、反射部での散乱により反射するものであるため、反射部の反射面の方向に対してランダムな方向に散乱してゆく。このため、反射される中性子線の照射範囲を制御することができないので、耐容線量の低い組織を防護することができない。また、意図しない部位に中性子線が集中的に照射される場合がある。
【0007】
また、腫瘍から遠い反射面で反射された中性子線は、腫瘍への寄与が小さい一方、当該反射面に近い正常組織に不要な被曝をもたらす。また、照射量を有意に増加させるためには、相当な重量の反射材料、例えば厚さ10cm以上の鉛の反射材量が必要である。このため、反射材量を、腫瘍の位置や大きさが異なる患者ごとに最適化することは困難である。
【0008】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、照射範囲を容易に制御できる中性子捕捉療法装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の中性子捕捉療法装置は、治療対象の病巣を含む部分を該治療対象の外面に沿って囲み、該病巣に対応する位置に開口部を有する放射線遮蔽部と、中性子線を散乱させる部材で構成され、空間を介して該放射線遮蔽部を囲む中性子反射部とを備える。
【0010】
中性子反射部は、前記空間に中性子線を導入するための中性子照射口と、治療対象のうちの該放射線遮蔽部により囲まれた病巣を含む部分を通過させて該空間に配置するための開放部とを有する。
【0011】
本発明によれば、中性子照射口から空間内に照射される中性子線は、治療対象に向かって進み、又は中性子反射部でランダムな方向に反射される。したがって、放射線遮蔽部の開口部の数や位置、大きさ、形状を適切に設定することにより、中性子照射口から直接的に治療対象に向かって進む中性子線に加え、中性子反射部で散乱される中性子線をも利用して、中性子線が治療対象の病巣に適切に照射されるように、中性子線の照射範囲を容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る中性子捕捉療法装置の断面図である。
図2図1の中性子捕捉療法装置における放射線遮蔽部の変形例を示す断面図である。
図3図1の中性子捕捉療法装置における中性子発生装置、中性子源側部及びコリメータの部分の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る中性子捕捉療法装置の断面を示す。図1に示すように、この中性子捕捉療法装置1は、治療対象である患者2の病巣(治療部位)3を含む部分である頭部を患者2の外面に沿って囲む放射線遮蔽部4と、空間5を介して放射線遮蔽部4を囲む中性子反射部6とを備える。病巣3は、脳深部に位置する腫瘍細胞である。
【0014】
放射線遮蔽部4は、それが囲んでいる頭部の病巣3に対応する位置に開口部7を有する。また、放射線遮蔽部4は、病巣周辺の正常組織に付与される最大線量が耐容線量よりも小さくなるように構成される。具体的には、耐容線量の低い組織や、中性子線が集中的に照射される部位、患部から遠く離れた領域などを防護するように構成される。
【0015】
すなわち、放射線遮蔽部4における開口部7の数、位置、大きさ又は形状は、モンテカルロ・シミュレーションを用いて、病巣および正常組織に付与される線量分布を計算することによって、患者ごとに最適化され得る。また、開口部7は、患者2の病巣3の位置応じ、後述の中性子照射口8からの中性子線に対応する位置と、中性子反射部6からの中性子線に対応する位置とに設けられる。
【0016】
放射線遮蔽部4の開口部7以外の部分は、熱・熱外中性子線(熱中性子線又は熱外中性子線)9及び高速中性子線10を遮蔽するために、例えば、軽水やフッ化リチウム入ポリエチレンなどの素材を用い、厚さ数cmとなるように形成される。この素材は、加工性に優れるので、開口部7の配置(数、位置、大きさ又は形状)を容易に患者ごとに最適化することができる。
【0017】
放射線遮蔽部4は、数cmの厚さを有することにより、熱・熱外中性子線9及び高速中性子線10を十分に遮蔽できる場合が多い。ただし、厚さが増すほど、中性子線の照射範囲を開口部7によって、より強力に制限することができる。
【0018】
中性子反射部6は、中性子線を散乱させる部材で構成される。例えば、中性子反射部6は、高速中性子線10及び熱・熱外中性子線9を効率よく散乱させる、鉄、鉛、ビスマスなどで構成される。中性子反射部6の厚さは、10~30cm程度であるが、厚さが増すほど散乱による中性子線の空間5側への反射量が増え、病巣3への中性子線の照射量を増大させることができる。
【0019】
中性子反射部6は、空間5に中性子線を導入するための中性子照射口8と、患者2のうちの中性子反射部6により囲まれた頭部を通過させて空間5に配置するための開放部11とを有する。中性子照射口8は、導入する中性子線の拡散を抑制するためのコリメータ12で構成される。
【0020】
コリメータ12は、高速中性子やガンマ線が中性子照射口8外から漏出することを防ぐために、フッ化リチウム入りポリエチレンや鉛などの材料で形成され、かつ形状や、大きさが異なる複数のブロックとして形成される。これらのブロックは、中性子反射部6に対して着脱可能な構造を有する。
【0021】
すなわち、これらのブロックは、それぞれ中性子反射部6に対して適宜選択的に着脱することにより、中性子照射口8の開口面積を数段階で調節し得るように構成される。かかる開口面積の数段階の調節により、病巣3を含む部分への中性子線の照射量だけでなく、該部分に対する直接的な照射量と、中性子反射部6からの反射による照射量との割合も調整される。
【0022】
放射線遮蔽部4は、その形状、中性子照射口8の開口面積、及び中性子照射口8から治療対象の病巣3までの距離が、それぞれ独立に調節し得るように構成される。放射線遮蔽部4の形状の調整は、放射線遮蔽部4を成形する際に行われる。中性子照射口8の開口面積や病巣3までの距離の調整は、上記のコリメータ12を構成する各ブロックを選択的に着脱することにより行われる。
【0023】
放射線遮蔽部4には、それが囲む空間5内に、開放部11を介して病巣3を含む頭部を位置させるために、寝台13が設けられる。開口部7は、中性子反射部6で囲まれた頭部を、患者2が横たわる寝台13とともに開放部11を通過させて空間5内に配置するのに適した大きさを有する。
【0024】
寝台13は、長さ方向、上下方向、左右方向の3方向に移動可能に構成される。これにより、中性子照射口8に対する病巣3の位置が調節可能となっている。また、これにより、中性子線の病巣3に対する照射量だけでなく、中性子照射口8から直接照射される中性子線の照射量と、中性子反射部6からの反射により照射される中性子線の照射量との割合も調節可能となっている。
【0025】
また、中性子捕捉療法装置1は、高速中性子線10を発生する中性子発生装置14と、中性子発生装置14からの高速中性子線10を散乱させて熱・熱外中性子線9に効率的に減速させる中性子減速部15とを備える。中性子減速部15は、フッ化物、アルミ、鉄、鉛などで構成される。
【0026】
中性子減速部15には、熱中性子線とガンマ線を除去する除去フィルターとして、薄いフッ化リチウムや鉛などを追加する場合もある。中性子減速部15により減速された中性子は、コリメータ12に供給される。
【0027】
この構成において、中性子捕捉療法装置1により治療を行う際には、寝台13に横たわった患者2の放射線遮蔽部4により囲まれた病巣3を含む頭部が、寝台13とともに開放部11を経て空間5内の方に移動され、空間5内に配置される。
【0028】
この状態において、中性子発生装置14が高速中性子線10を発生すると、その中性子線は、中性子減速部15と、コリメータ12で形成された中性子照射口8とを通過し、中性子反射部6で囲まれた空間5を満たす。この間、高速中性子線10は、中性子減速部15や中性子反射部6において散乱を繰り返すことにより、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に適した熱・熱外中性子線9に変化する。
【0029】
このとき、コリメータ12からの中性子線は、病巣3に直接照射されないその一部が中性子反射部6により病巣3の方向に戻される。これにより、病巣3に対する十分な照射量が確保される。すなわち、空間5内に配置された患者2の頭部の病巣3に対して、放射線遮蔽部4の開口部7に対応する複数の方向から、熱・熱外中性子線9が開口部7を経て照射される。
【0030】
このとき、放射線遮蔽部4の開口部7により、照射範囲が制限される。すなわち、中性子照射口8から直接到来する中性子線だけでなく、中性子反射部6で反射されてから到来する中性子線の照射範囲も制限される。これにより、患者2の病巣3周辺の正常組織に付与される最大線量をその耐容線量以下として、耐容線量の低い正常組織を防護しつつ、病巣3に対して熱・熱外中性子線9が集中的に照射される。
【0031】
病巣3に照射される熱・熱外中性子線9は、予め注射により病巣3の病巣内の腫瘍細胞に集積されたホウ素薬剤に衝突し、核反応によりアルファ粒子とリチウム核を発生する。この放射線により、選択的に腫瘍細胞をピンポイントで破壊し、死滅させ、病巣3に対する治療効果が得られる。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、上述の放射線遮蔽部4と、中性子反射部6とを備えるので、患者2の病巣3の位置や大きさ、形状に応じて、放射線遮蔽部4の開口部7の数や位置、大きさ、形状を選定することにより、該開口部7を介して中性子線の照射範囲を適切に制御しつつ、病巣3に対する中性子線の照射を行うことができる。
【0033】
また、正常組織に時間当たりに付与される線量の最大値を放射線遮蔽部4によって引き下げることができるので、病巣3に付与できる線量の総量を増加させることができる。したがって、従来は対象外であった高い放射線抵抗性を示す腫瘍も新たに治療対象とすることができる。
【0034】
また、放射線遮蔽部4の材料として、加工が容易かつ軽量な材料を選択できるので、患者2ごとに最適化した放射線遮蔽部4を容易に成型し、より高い精度で照射範囲を制御することができる。
【0035】
また、放射線遮蔽部4の形状、中性子照射口8の開口面積、及び中性子照射口8から病巣3までの距離が、それぞれ独立に調節し得るので、さらに高い精度で照射範囲を制御することができる。
【0036】
また、放射線遮蔽部4の開口部7は、患者2における病巣3の位置応じ、中性子照射口8からの直接的な中性子線に対応する位置と、中性子反射部からの間接的な中性子線に対応する位置とに設けられるので、病巣3に対する照射量を、該直接的な中性子線及び間接的な中性子線の割合を調整しつつ、双方の中性子線を有効活用することができる。
【0037】
また、放射線遮蔽部4における開口部7は、その数、位置、大きさ又は形状が、モンテカルロ・シミュレーションを用いて患者2の病巣3及び正常組織に付与される線量分布を計算することによって、患者2ごとに最適化されるので、患者2ごとに高い精度で照射範囲を制御することができる。
【0038】
図2は放射線遮蔽部4の変形例を示す。図2に示すように、放射線遮蔽部4は、異なる複数の遮蔽材料でそれぞれ構成される遮蔽層16、17、18を積層して構成してもよい。すなわち、放射線遮蔽部4は、熱外中性子線及び高速中性子線10の遮蔽層16に加えて、熱中性子線の遮蔽層17、及びガンマ線の遮蔽層18を追加し、これらを重ねて層構造のものとすることができる。
【0039】
この場合、遮蔽層16、17は、それぞれが開口部7a、7bを有する。ただし、病巣3の位置などに応じて遮蔽層16、17による遮蔽が必要な部位が異なるため、遮蔽層16、17の開口部7a、7bの位置は必ずしも一致しない。例えば、遮蔽層16の開口部7aに遮蔽層17が存在し、遮蔽層17の開口部7bに遮蔽層16が存在する。
【0040】
この場合、遮蔽層16の開口部7aは、病巣3の位置応じ、中性子照射口8からの直接的な中性子線に対応する位置と、中性子反射部6からの間接的な中性子線に対応する位置とに設けてもよい。
【0041】
これによれば、耐容線量の低い組織が照射野に含まれる場合であっても、新たに治療対象とすることができる。例えば、水晶体や口内粘膜と近接する脳深部にある腫瘍、浸潤性や播種性の広範囲に広がった腫瘍、小型の愛玩動物のように全身が照射野に入る場合などの場合でも、その腫瘍の位置、大きさなどに応じて、遮蔽層16、17、18の厚さや開口部7a、7bの位置、大きさ、形状などを設定することにより、治療対象とすることができる。
【0042】
図3は、中性子発生装置14、中性子減速部15及びコリメータ12の部分の変形例を示す。図3に示すように、中性子発生装置14及び中性子減速部15の周囲を、鉛などの中性子反射材19で囲んでもよい。これによれば、中性子発生装置14からの中性子線を効率的に中性子照射口8に導くことができる。
【0043】
さらに、コリメータ12及び中性子減速部15の周囲を、ポリエチレンや鉛などの放射線遮蔽材20で囲んでもよい。これによれば、中性子線やガンマ線の漏出による被ばくを防止することができる。
【0044】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、適宜変形して実施することができる。例えば、治療対象は、患者2に限らず、動物であってもよい。また、中性子照射口8は、中性子反射部6の2箇所以上に設けてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…中性子捕捉療法装置、2…患者、3…病巣、4…放射線遮蔽部、5…空間、6…中性子反射部、7、7a、7b…開口部、8…中性子照射口、9…熱・熱外中性子線、10…高速中性子線、11…開放部、12…コリメータ、13…寝台、14…中性子発生装置、15…中性子減速部、16、17、18…遮蔽層、19…中性子反射材、20…放射線遮蔽材。
【要約】
【課題】照射範囲を容易に制御できる中性子捕捉療法装置を提供する。
【解決手段】中性子捕捉療法装置1は、患者2の病巣3を含む頭部を患者2の外面に沿って囲み、病巣3に対応する位置に開口部7を有する放射線遮蔽部4と、中性子線を散乱させる部材で構成され、空間5を介して放射線遮蔽部4を囲む中性子反射部6とを備える。中性子反射部6は、空間5に中性子線を導入するための中性子照射口8と、患者2のうちの放射線遮蔽部4により囲まれた病巣3を含む頭部を通過させて空間5に配置するための開放部11とを有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3