(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】獣害対策捕獲装置
(51)【国際特許分類】
A01M 23/16 20060101AFI20240516BHJP
A01M 29/30 20110101ALI20240516BHJP
【FI】
A01M23/16
A01M29/30
(21)【出願番号】P 2020126038
(22)【出願日】2020-07-26
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】710010331
【氏名又は名称】大平 祐介
(74)【代理人】
【識別番号】100113077
【氏名又は名称】高橋 省吾
(72)【発明者】
【氏名】大平 正
(72)【発明者】
【氏名】大平 祐介
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3219067(JP,U)
【文献】特開2019-076024(JP,A)
【文献】特開2019-004703(JP,A)
【文献】登録実用新案第3106222(JP,U)
【文献】特開2019-176844(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0205244(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 23/16
A01M 29/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の周囲を囲むように設置された対象害獣相応の害獣侵入防止装置と、
前記害獣侵入防止装置に設けられた対象害獣相応の
害獣侵入口と、
前記害獣侵入口から前期圃場に続くように設けられた対象害獣相応の捕獲用罠と、
前記害獣侵入防止装置に設けられた管理者出入口とを有し、
前記捕獲用罠においては、
2か所の通過可能な開口を有する檻本体と、
前記開口に開閉自在に装着された扉と、
前記扉を開状態に保持する保持状態と前記開状態の保持を解除する解除状態とになる扉保
持手段と、
前記扉保持手段を作動させる作動手段と、
前記檻本体に動物を感知するセンサを動物の侵入方向に沿い並列する前後に複数備え、
前記センサが動物を感知すると、
前記作動手段は前記センサからの感知信号に基づいて、前記動物が前記檻本体内部を、前記圃場の外部から前記圃場の内部に向かう方向に移動したか、前記圃場の内部から前記圃場の外部に向かう方向に移動したかを判断し、
前記動物が圃場の外部から圃場の内部に向かう方向に移動したと判断した場合は前記作動手段が作動して前記扉保持手段が前記保持状態から前記解除状態になり、前記扉は前記開口を閉じ、
前記動物が前記檻本体内部を、前記圃場の内部から前記圃場の外部に向かう方向に移動したと判断した場合は、前記作動手段が作動して前記扉保持手段が前記保持状態から前記解除状態になり、前記扉は前記開口を閉じる動作か、
又は前記作動手段が作動せずに前記開口を開放したままの状態を維持するか、
を選択的に設定できるようにしたことを特徴とする獣害対策捕獲装置。
【請求項2】
前記檻本体を監視するカメラセンサを備えたことを特徴とする請求項1記載の獣害対策捕獲装置。
【請求項3】
前記捕獲用罠が動作したことを使用者に知らせる通信手段を有することを特徴とする請求項1
又は2に記載の獣害対策捕獲装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、獣害対策捕獲装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圃場において、獣害対策は不可欠な項目であり、古くは案山子から、爆音機など多種多様な対策が講じられて来た。現在では電気牧柵装置などにより、圃場周辺を囲い高電圧を流し、害獣の圃場への侵入を阻む装置が用いられている。また、猟友会などによる、害獣駆除も行われ、猟銃や罠などを用いた狩猟を行っている。
【0003】
しかし、案山子や爆音機などは有効的な使用方法でそれなりの改善はみられるが、対象害獣の馴れ等により、徐々に効果を発揮しなく成りやすい。また、電気牧柵装置などは、漏電原因でもある下草処理が大変重要であるが、機材の配置上、処理しづらく、下草処理中に機材を巻き込み、機材を破損するなどの事象が稀に起こりうる。更には、漏電や配線切断など環境次第では、対象害獣に充分に感電駆逐効果を発揮できないこともある。
【0004】
猟友会などで行われる害獣駆除などにおいても、山間部などに及ぶ狩猟の難しさや、狩猟期間、人材不足の問題など多くの問題を抱えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実願2018-002693号公報
【文献】特開2019-146535号公報
【文献】実願2004-003756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
圃場において、害獣の特性に則した高い害獣捕獲能力と、捕獲時に捕獲対象となる害獣に余計な損傷が加わり難い機能を有し、効果を持続するための重大な管理作業を伴いにくい獣害対策捕獲装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、警戒心の強い野生動物は圃場への侵入が困難な場合、一番入りやすい
場所を探し侵入するという特性に則し、
圃場の周囲を囲むように設置された対象害獣相応の害獣侵入防止装置と、前記害獣侵入防止装置に設けられた対象害獣相応の害獣侵入口と、前記害獣侵入口から前期圃場に続くように設けられた対象害獣相応の捕獲用罠と、前記害獣侵入防止装置に設けられた管理者出入口とを有し、前記捕獲用罠においては、2か所の通過可能な開口を有する檻本体と、前記開口に開閉自在に装着された扉と、前記扉を開状態に保持する保持状態と前記開状態の保持を解除する解除状態とになる扉保持手段と、前記扉保持手段を作動させる作動手段と、前記檻本体に動物を感知するセンサを動物の侵入方向に沿い並列する前後に複数備え、
前記センサが動物を感知すると、前記作動手段は前記センサからの感知信号に基づいて前記動物が前記圃場の外部から前記圃場の内部に向かう方向に移動したか、前記圃場の内部から前記圃場の外部に向かう方向に移動したかの進行方向を判断し、前記動物が圃場の外部から圃場の内部に向かう方向に移動したと判断した場合は前記作動手段が作動して前記扉保持手段が前記保持状態から前記解除状態になり、これによって、前記扉は自重やバネによって移動し前記開口を閉じ、前記動物が前記圃場の内部から前記圃場の外部に向かう方向に移動したと判断した場合は、前記作動手段が作動して前記扉保持手段が前記保持状態から前記解除状態になり、前記扉は自重やバネによって移動し前記開口を閉じる動作か、又は前記作動手段が作動せずに前記開口を開放したままの状態を維持するかを選択的に設定できるようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の考案は、圃場の周囲を囲むように設置された対象害獣相応の害獣侵入防止装置と、前記害獣侵入防止装置に設けられた対象害獣相応の害獣入口と、前記害獣入口から前期圃場に続くように設けられた対象害獣相応の捕獲用罠と、前記害獣侵入防止装置に設けられた管理者出 入口3とを有し、前記捕獲用罠においては、2か所の通過可能な開口を有する檻本体と、前記開口に開閉自在に装着された扉と、前記扉を開状態に保持する保持状態と前記開状態の保持を解除する解除状態とになる扉保持手段と、前記扉保持手段を作動させる作動手段と、前記檻本体を監視するカメラセンサーを備え、前記カメラセンサーが前記檻本体内部に動物を感知すると、前記カメラセンサーを通じての画像認識に基づいて進行方向やサイズを判断し、前記作動手段が作動して前記扉保持手段が前記保持状態から前記解除状態になり、これによって、前記扉は自重やバネによって移動し前記開口を閉じることを特徴とする。
【0009】
さらに、請求項3の考案は、前記作動手段が作動し、前記捕獲用罠が動作したことを使用者に知らせる通信手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び2の考案によれば、本発明の獣害対策防護装置は、害獣の特性に則することにより、対象害獣を捕獲用罠に誘引し高い捕獲性能を提供することができ、また捕獲時にセンサーで対象害獣の前記捕獲用罠内での位置を把握することにより、安全に前記扉を閉じることができ対象害獣を扉に挟み込み死傷させる事態を避けることができ、さらにまた、前記害獣入口以外の侵入経路の助長にならない程度であれば、前記害獣侵入防止装置付近の下草処理などの管理作業も厳重でなくても構わない。
【0011】
さらに、請求項3の考案を採用するならば、前記通信手段により前記作動手段が作動し、前記捕獲用罠が動作したことを使用者に早期に知らせることが可能となり、捕獲された害獣の衰弱などを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本考案装置の実施例1及び2を示す全体俯瞰図である。(実施例1・2)
【
図2】本考案装置の実施例1の細部を示す説明図である。(実施例1)
【
図3】本考案装置の実施例2の細部を示す説明図である。(実施例2)
【
図4】本考案装置の実施例1及び2の請求項3を用いた場合の細部を示す説明図である。(実施例1・2)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基いて本発明の好適な実施形態を詳述する。
【実施例1】
【0014】
害獣侵入防止装置1は、圃場4の周囲を取り囲むように、高強度の化繊素材を用いたネットや金網等の対象害獣の侵入を物理的、または、心理的に防除しうるように設置する。
【0015】
害獣対策において、一見完璧であるよう害獣侵入防止装置1を設置していても、害獣は必ずと言っていいほど、入れる隙間を探すか、器具を破損させたり直下にの土を掘るなどの手段を講じ侵入を図る。
【0016】
したがって害獣侵入防止装置1には、害獣入口2を設ける。これは、対象害獣に一番入りやすい場所を誤認させるためである。
【0017】
捕獲用罠5は対象害獣相応のサイズや強度を選定し、害獣入口2から圃場4に続くように設置する。
【0018】
捕獲用罠5においては、2か所の通過可能な開口6を有する檻本体13と、開口6に開閉自在に装着された扉7と、扉7を開状態に保持する保持状態と開状態の保持を解除する解除状態とになる扉保持手段8と、扉保持手段8を作動させる作動手段 と、檻本体13に動物の進行方向やサイズを感知するセンサ10を備え、センサ10が動物を感知すると、前記作動手段9が作動して前記扉保持手段8が前記保持状態から前記解除状態になり、これによって、前記扉7は自重やバネによって移動し前記開口6を閉じることを特徴としている。
【0019】
また、檻本体13内部における害獣の進行方向やサイズなどを詳細に把握し、安全に罠を稼働させるために、複数のセンサ10を用いる。
【0020】
さらにまた、複数のセンサ10を複合的に管理することにより、間違って圃場4内部に害獣が入り込んでしまった場合などにも、出るときに捕まえるのか、そのまま逃がすのかなどの細かな選択も使用者が事前に設定することが可能になる。
【実施例2】
【0021】
図2実施例は、実施例1における檻本体13に動物の侵入方向に沿い並列する前後に設置された動物を感知するセンサを、カメラセンサ11に置換した獣害対策捕獲装置である。
【0022】
当該装置にカメラセンサ11を用いることにより、より精細な捕獲タイミングなどを設定することができる。
またカメラを用いるので、状態を録画し、害獣の種類や行動観察も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本装置は、捕獲用罠を圃場に効果的に仕掛けることにより、対象害獣を意図して捕獲することができ、無為に野生動物を対象とすることがなくなる。また、センサ類を用いることにより、対象害獣の生命に直接的に打撃を与えることなく選別の機会を得ることができる。さらにまた、農地管理者と狩猟者と食肉処理業者が連携することにより、野山の狩猟に比べ、安全で画一的な新鮮な野生鳥獣肉の供給ラインへ寄与することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 害獣侵入防止装置
2 害獣入口
3 管理者出入口
4 圃場
5 捕獲用罠
6 開口
7 扉
8 扉保持手段
9 作動手段
10 センサ
11 カメラセンサー
12 通信手段