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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】バーナ
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/08 20060101AFI20240516BHJP
   F23D 14/22 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
F23N5/08 A
F23D14/22 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019091332
(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公開番号】P2020186852
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-02-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】彭 宏偉
【合議体】
【審判長】鈴木 充
【審判官】村山 美保
【審判官】槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-201019(JP,A)
【文献】特開2006-300461(JP,A)
【文献】特許第3820446(JP,B2)
【文献】特開昭56-61512(JP,A)
【文献】実開昭59-23518(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D14/22
F23N 5/02
F23N 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスが流通する燃料ガス流通管と、
前記燃料ガス流通管を包囲し、前記燃料ガス流通管の外周面との間に燃焼用空気が流通する燃焼用空気流路を形成するバーナ外筒と、
基端部が前記燃料ガス流通管と接続されると共に、先端部が前記燃料ガスの流れの下流側に向かって拡開する円錐台状の保炎器と、
前記保炎器よりも基端側に配置され、前記保炎器に保炎された火炎の光を検知可能な火炎検知部と、を備え、
前記保炎器の円錐台状の周面には、前記燃焼用空気が流通する貫通孔が形成され、
先端部が拡開する前記保炎器の円錐台状の周面に形成された前記貫通孔の貫通軸方向に、前記火炎検知部が配置されている、バーナ。
【請求項2】
前記保炎器の周面には、前記燃焼用空気が流通する複数の貫通孔が形成され、
前記複数の貫通孔のうち、少なくとも2つ以上の貫通孔の貫通軸方向が同じ方向となるように、前記複数の貫通孔が形成されており、
前記少なくとも2つ以上の貫通孔の貫通軸方向に、前記火炎検知部が配置されている、請求項1に記載のバーナ。
【請求項3】
前記貫通孔の貫通軸方向が、前記燃料ガス流通管の管軸方向と一致するように、前記貫通孔が形成されており、
前記火炎検知部は、前記管軸方向の基端側に配置されている、請求項1または請求項2に記載のバーナ。
【請求項4】
前記燃料ガス流通管を流通する燃料ガスは、炭化水素ガスから水素を製造する過程で発生するオフガスである、請求項1~3のいずれか1項に記載のバーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラ等の燃焼機器では、一般的な先混合式バーナを用いることが知られている。
例えば、特許文献1には、内管の先端にホーン(ガス流れの下流側に向かって拡開する円錐台状の保炎器)を取り付け、該ホーンにはその基部近傍に導風孔(複数の貫通孔)を形成し、前記ホーンの先端部は外管より小径に構成して外管との間に間隙部を設け、前記内管の先端には、前記ホーンの内壁に沿って噴出する一次ガス噴出孔を設け、前記内管の上流側には半径方向にガスを噴出する二次ガス噴出孔を設けられたバーナが開示されている。この先混合式バーナでは、燃料ガス流通管から噴出する燃料ガスは、導風孔と間隙部から噴出する燃焼用空気と順次混合しながら燃焼する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公平5-51809号公報
【文献】特開2009-121713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボイラ等の燃焼機器では、火炎検出装置としてバーナの火炎が発する光を検出可能な光センサを設け、この光センサが検出した信号により火炎を検出してバーナの燃焼状態が判断されている。
特許文献2には、ウインドボックスに設けられた光センサを有する火炎検出装置を用いて火炎検知を行うことが示されている。しかしながら、円錐台状の保炎器により保炎されている場合は、ウインドボックス上部に位置する光センサが火炎からの光を受光する上で、保炎器が邪魔となる。
加えて、水素ガスあるいは水素ガスを含む低カロリーガスは、都市ガスやLPG等と比べて光センサの感度範囲の発光強度が少ないなどの理由により、例えば燃焼量が少ない場合は、光学式の火炎検知器により火炎を検知することが困難となる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃焼用空気が流通する保炎器の貫通孔の貫通面積を必要以上に大きくすることなく、火炎検知部に到達する光量を増やすことができ、火炎検知レベルを高めることが可能なバーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、燃料ガスが流通する燃料ガス流通管と、前記燃料ガス流通管を包囲し、前記燃料ガス流通管の外周面との間に燃焼用空気が流通する燃焼用空気流路を形成するバーナ外筒と、基端部が前記燃料ガス流通管と接続されると共に、先端部が前記燃料ガスの流れの下流側に向かって拡開する円錐台状の保炎器と、前記保炎器よりも基端側に配置され、前記保炎器に保炎された火炎の光を検知可能な火炎検知部と、を備え、前記保炎器の円錐台状の周面には、前記燃焼用空気が流通する貫通孔が形成され、前記貫通孔の貫通軸方向に、前記火炎検知部が配置されている、バーナに関する。
【0007】
また、本発明の前記保炎器の周面には、前記燃焼用空気が流通する複数の貫通孔が形成され、前記複数の貫通孔のうち、少なくとも2つ以上の貫通孔の貫通軸方向が同じ方向となるように、前記複数の貫通孔が形成されており、前記少なくとも2つ以上の貫通孔の貫通軸方向に、前記火炎検知部が配置されていることが好ましい。
【0008】
また、本発明のバーナは、前記貫通孔の貫通軸方向が、前記燃料ガス流通管の管軸方向と一致するように、前記貫通孔が形成されており、前記火炎検知部は、前記管軸方向の基端側に配置されていることが好ましい。
【0009】
また、本発明のバーナの前記燃料ガス流通管を流通する燃料ガスは、炭化水素ガスから水素を製造する過程で発生するオフガスであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、燃焼用空気が流通する保炎器の貫通孔の貫通面積を必要以上に大きくすることなく、火炎検知部に到達する光量を増やすことができ、火炎検知レベルを高めることが可能なバーナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係るバーナを示す図である。
図2A】第1実施形態のバーナの保炎器周辺を示す拡大図である。
図2B図2AのE矢視図である。
図3A】比較例のバーナの保炎器周辺を示す拡大図である。
図3B図3AのE矢視図である。
図4A】第1実施形態のバーナの保炎器周辺を示す拡大図である。
図4B図4AのE矢視図である。
図5】火炎検知部による検知レベルのデータを示すグラフである。
図6】保炎器の断面を模式的に表した図である。
図7A】保炎器の貫通孔の透過面積率βの近似計算結果を示すグラフである。
図7B図7Aのグラフの一部を拡大した図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るバーナを示す図である。
図9】本発明の第3実施形態に係るバーナを示す図である。
図10A】第3実施形態のバーナの保炎器周辺を示す拡大図である。
図10B図10AのE矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係るバーナ1について、図面を参照しながら説明する。本実施形態のバーナ1は、ボイラ等の燃焼機器に用いられる先混合式バーナである。
図1は、本実施形態のバーナ1を示す概略図である。
本実施形態のバーナ1は、ウインドボックス50に取り付けられている。ウインドボックス50の空気導入口51には、送風機(図示省略)から燃焼用空気が送り込まれる。
【0013】
図1に示すように、本実施形態のバーナ1は、燃料ガス流通管20と、保炎器22と、バーナ外筒30と、着火装置60と、火炎検知部70と、を備える。
【0014】
燃料ガス流通管20は、燃料ガス(図面におけるG)が流通する燃料ガス流通路L1を形成する管状部材であり、耐熱性の部材により形成されている。燃料ガス流通管20を流通した燃料ガスは、ボイラの缶体(図示省略)の内部へ供給される。
【0015】
保炎器22は、燃料ガス流通管20の先端に接続されている。燃料ガス流通管20を構成する部分と保炎器22を構成する部分は実質的に接続されていればよく、別部材を溶接等により接合してもよいし、一体の部材により形成してもよい。
保炎器22の詳細については後述する。
【0016】
バーナ外筒30は、燃料ガス流通管20を包囲し、これにより、燃料ガス流通管20の外周面との間に燃焼用空気(図面におけるA)が流通する燃焼用空気流路L3を形成している。
バーナ外筒30の基端側の領域には、複数の開口33が形成されている。複数の開口33は、バーナ外筒30の基端側の領域の全周に亘って、略均等な間隔をあけて形成される。
バーナ外筒30における複数の開口33が形成されていない先端側の領域は、耐熱性を有する金属からなる板状部材を筒状に成形することで形成される。また、バーナ外筒30における複数の開口33が形成された基端側の領域は、パンチングメタルを筒状に成形することで形成される。そして、これらの2つの部材が溶接等により接続されることにより、バーナ外筒30が形成される。
【0017】
着火装置60は、燃料ガス流通路L1から噴出される燃料ガスに着火する装置である。着火装置60は、燃料ガス流通管20に沿って延び、燃料ガス流通管20とバーナ外筒30との間の領域に配置される。着火装置60は、その先端部にスパークロッド61を備えている。
【0018】
火炎検知部70は、保炎器22よりも基端側に配置されている。火炎検知部70は、保炎器22に保炎された火炎の検知可能な紫外線火炎検知器等の光学的センサにより構成されている。この火炎検知部70は、燃料ガス流通管20およびバーナ外筒30の間の空間(燃焼用空気流路L3)を通じて火炎を検知できるような態様で、燃料ガス流通管20およびバーナ外筒30の管軸方向の基端側において、ウインドボックス50に配置されている。
【0019】
次に、保炎器22について詳細に説明する。
図2Aは、保炎器22周辺の拡大図である。図2Bは、図2AのE矢視図である。
図2Aに示すように、保炎器22の先端側は、燃料ガスGの流れの下流側(先端側)に向かって拡開する円錐台状となっている。
【0020】
保炎器22の円錐台状の周面には、燃焼用空気が流通する複数の貫通孔24が形成されている。
複数の貫通孔24は、拡開方向に間隔をおいた多列で構成されており、本実施形態においては、図2A図2Bに示すように3列で構成されている。具体的には、保炎器22には、1列目の貫通孔24Aが6個、2列目の貫通孔24Bが6個、3列目の貫通孔24Cが6個形成されている。この複数の貫通孔24を総合したものが、第1燃焼用空気(図2AにおけるA1)を噴出する第1燃焼用空気噴出部24Tとなる。
なお、2列目の貫通孔24Bのうち、1つの貫通孔には、スパークロッド61が挿入されている。これにより、スパークロッド61の先端は、保炎器22内に位置している。
【0021】
保炎器22先端部と、バーナ外筒30の内周面31との間には、燃焼用空気が流通する環状の隙間部32が形成されている。この環状の隙間部32は、第2燃焼用空気(図2AにおけるA2)が噴出する第2燃焼空気噴出部を形成する。
【0022】
保炎器22外周部には位置決め用の複数の突出部25、好ましくは3つ以上の突出部25が形成されている。図2Bに示すように、本実施形態においては3つの突出部25が形成されており、この3つの突出部25が、バーナ外筒30の内周面31と接触し、燃料ガス流通管20が、バーナ外筒30と略同軸に配置される。これにより、バーナ外筒30の内周面31と、保炎器22先端部との間には、環状の隙間部32がバランスよく形成される。
【0023】
図2Aに示すように、保炎器22の先端部には、バーナ外筒30の内周面31との間で平行面を形成する平行周面23が全周に亘って形成されている。これにより、燃焼用空気の流れが適切に整流され、保炎性が高まる。
【0024】
本実施形態の複数の貫通孔24は、その貫通軸方向が、図1図2Aにおいて矢印Dで示されるように、燃料ガス流通管20の管軸方向と一致するように形成されている。
そして図1に示すように、火炎検知部70は、燃料ガス流通管20の管軸方向の基端側に配置されている。
これにより、本実施形態のバーナ1は、複数の貫通孔24の貫通軸方向に、火炎検知部70が配置される態様となっている。
以下、この点について詳細に説明する。
【0025】
図3A、3Bは、従来技術を示す比較例のバーナ1’における、燃料ガス流通管20および保炎器22’と、バーナ外筒30を示す図である。
【0026】
比較例のバーナ1’においては、図3Aにおいて矢印D2で示されるように、保炎器22’の複数の貫通孔24’の貫通軸方向が、保炎器22’の円錐台状の周面の法線ベクトル方向となっている。
この場合、仮に火炎検知部70が図1に示されるような位置、すなわち燃料ガス流通管20の管軸方向の基端側の位置に配置されているときは、貫通孔の開口部を通過して火炎から直接に受光部へ届く光量は少なくなる。
【0027】
図3Bは、図3AのE矢視図である。
図3Bに示すように、比較例における複数の貫通孔24’は、燃料ガス流通管20の管軸方向から見たときの透過面積が非常に小さい。すなわち、この状況においては、火炎検知部70と貫通孔24’とを結ぶ線に沿って、火炎検知部70から保炎器22’の貫通孔24’を見たときの、貫通孔24’の見かけ上の面積は非常に小さくなる。
この場合、保炎器22’内の火炎を、燃料ガス流通管20の管軸方向の基端側に配置されている火炎検知部70によって検知することが困難となる。
【0028】
図4A、4Bは、本実施形態のバーナ1における、燃料ガス流通管20および保炎器22と、バーナ外筒30を示す図である。なお、保炎器の貫通孔の口径自体は、比較例の貫通孔の口径と同じである。但し、貫通孔の貫通軸方向が異なる。
本実施形態のバーナにおいては、図4Aにおいて矢印Dで示されるように、保炎器22の複数の貫通孔24の貫通軸方向が、燃料ガス流通管20の管軸方向と一致するように形成されている。換言すると、保炎器22の複数の貫通孔24の貫通軸と、燃料ガス流通管20の管軸とが平行である。
この状態であれば、火炎検知部70が図1に示されるような位置、すなわち燃料ガス流通管20の管軸方向の基端側の位置に配置されている場合において、貫通孔の開口部を通過して火炎から直接に受光部へ届く光量は多くなる。
【0029】
図4Bは、図4AのE矢視図である。
図4Bに示すように、本実施形態における貫通孔24は、燃料ガス流通管20の管軸方向から見たときの透過面積が最大化される。すなわち、この状況においては、火炎検知部70と貫通孔24とを結ぶ線に沿って、火炎検知部70から保炎器22の貫通孔24を見たときの、貫通孔24の見かけ上の面積が最大化される。
この場合、貫通孔24の貫通面積(貫通孔を通過する空気量)を変えることなく、燃料ガス流通管20の管軸方向の基端側に配置されている火炎検知部70に到達する光量を増やすことができ、火炎検知レベルを高めることができる。
なお、貫通孔24の貫通軸方向とは、貫通孔24の中心軸が延びる方向を意味する。
【0030】
図5は、オフガスを燃料ガスとして供給し、空気比を変化させて燃焼させたときの、火炎検知部70による検知感度のデータを示すグラフである。横軸が燃焼条件としての空気比であり、縦軸が火炎検知部70による検知感度である。
図5に示されるように、比較例のバーナ1’と比べると本実施形態のバーナ1の方が、どの空気比においても、明らかに検知感度が高くなっている。これは、保炎器22の複数の貫通孔24の貫通軸方向を、燃料ガス流通管20の管軸方向と一致させる構成を採用したことによる効果である。
【0031】
以上のように、本実施形態のバーナ1を用いれば、広い燃焼範囲において十分良好な燃焼性能が得られ、かつ火炎検知部70による検知感度が上昇する。
【0032】
次に、図6図7A図7Bを用いて、保炎器22の円錐台状の周面の拡開角度と透過面積率の関係について検討する。
図6は、保炎器の断面を模式的に表した図である。ここでは、比較例の保炎器22’と同様、保炎器の貫通孔の貫通軸方向は、保炎器の円錐台状の周面の法線ベクトル方向となっている。なお、αは拡開角度の半分の角度、tは保炎器の肉厚、φは貫通孔の口径である。そして、図6の右側には、図6の左側の図を矢印Fの方向(管軸方向)から矢視したときの貫通孔の透過面積S’を示す図が示されている。
貫通孔を貫通軸方向から見たときの面積S(貫通面積S)に対する透過面積S’の割合(百分率)は透過面積率βとされ、貫通孔の開口部を通過して火炎から受光部へ届く光量の指標とすることができる。
【0033】
図7Aは、比較例と同様の保炎器(貫通孔の貫通軸方向は、保炎器の円錐台状の周面の法線ベクトル方向と一致)において、保炎器の肉厚が2mm、貫通孔の口径φが4mm、5mm、6mmの場合に、角度α(図6)と、透過面積率βの近似計算結果の関係を示すグラフである。グラフの横軸は角度αであり、縦軸は透過面積率βである。図7Bのグラフは、図7Aのグラフの一部を拡大したものである。
【0034】
図7Aに示されるように、比較例の構成であると、角度αが90°から減少していくにしたがって、透過面積率βは小さくなり、保炎器の肉厚が一定の場合には貫通孔の口径が小さいほどその減少率は大きい。
図7Bに示されるように、角度αが32.5°を下回るような状況では、貫通孔の口径φが6mmであっても、透過面積率βは20%を下回っており、保炎器が障害物となり火炎から受光部へ届く光量が大きく制限されるために、火炎があるにも拘らず火炎検知できない状況が起こりやすくなる。
本実施形態の保炎器(貫通孔の貫通軸方向は、受光部に向く)では、受光部から見た時の透過面積は90%以上であり、角度αが32.5°以下、すなわち保炎器の拡開角度2αが65°以下の場合には、本実施形態による効果がより好適に得られる。
一方、保炎器の拡開角度2αが40°(角度αが20°)を下回ると、保炎器の長さ、貫通孔の形成などの、保炎器の設計的な自由度が狭くなる。よって本実施形態の保炎器22の効果を特に好適に得られる拡開角度2αは、40°~65°の範囲内である。もちろん、拡開角度2αが90°以下の場合、120°以下の場合など、それ以外の範囲においても、本実施形態の効果を得ることができる。
なお、本実施形態の保炎器22であれば、保炎器22の肉厚tを厚くしても、貫通孔の透過面積S’が確保され、火炎検知部70に到達する光量を確保することが可能となる。
【0035】
次に、本実施形態の先混合式のバーナ1の動作について説明する。
送風機(図示省略)より、ウインドボックス50の空気導入口51から燃焼用空気A(図1参照)が供給される。空気導入口51から供給された燃焼用空気Aは、バーナ外筒30の複数の開口33からバーナ外筒30の内部に流入する。
【0036】
次いで、バーナ外筒30の内部に流入した燃焼用空気Aは、燃焼用空気流路L3を通じて基端側から先端側に向かって供給され、その一部が第1燃焼用空気A1(図1A参照)として、保炎器22に形成された複数の貫通孔24を通じて保炎器22内に噴出する。
また、それ以外の燃焼用空気Aは、第2燃焼用空気A2(図2A参照)として、バーナ外筒30の内周面31と保炎器22先端部との間に形成された環状の隙間部32から保炎器22の先端側に噴出する。
【0037】
一方、燃料ガスGは、燃料ガス流通管20を流通して保炎器22から噴出する。
そして、保炎器22の先端側において、保炎器22から噴出した燃料ガスGと、前述の第1燃焼用空気A1および前述の第2燃焼用空気A2とが混合され、この混合された気体がスパークロッド61により着火されて燃焼する。
【0038】
なお、燃料ガスGは、まず、第1燃焼用空気A1と混合され燃焼し、さらに、燃料ガスGを含む燃焼ガスは第2燃焼用空気A2と混合され燃焼する。言い換えれば、空気比が低い(過剰空気量が少ない)ときは、第1燃焼用空気A1が主に燃焼に使われ、空気比が高い(過剰空気量が多い)ときは、第2燃焼用空気A2が燃焼に使われる割合が増加する。これにより、空気比が変動しても、燃焼域(燃料と空気の混合域)の空気比が適切に保たれ、燃焼を安定化させることができる。
【0039】
燃焼状態において保炎器22によって保炎されている火炎は、燃料ガス流通管20の管軸方向の基端側の位置に配置されている火炎検知部70によって検知される。
ここで、本実施形態における保炎器22の複数の貫通孔24は、その貫通軸方向が、燃料ガス流通管20の管軸方向と一致するように形成されている。すなわち、本実施形態のバーナ1は、保炎器22の複数の貫通孔24の貫通軸方向に、火炎検知部70が配置される態様となっている。
これにより、管軸方向から貫通孔24を見たときの透過面積が最大化され、保炎器22内の火炎を、火炎検知部70によって容易に検知することができる。
すなわち、保炎器22の貫通孔24の貫通面積を必要以上に大きくすることなく、火炎検知部70に到達する光量を増やすことができ、火炎検知レベルを高めることができる。
【0040】
なお、本実施形態のバーナ1の構成、すなわち、保炎器22の複数の貫通孔24の貫通軸方向を、燃料ガス流通管20の管軸方向と一致するように形成し、かつ火炎検知部70を、燃料ガス流通管20の管軸方向の基端側の位置に配置する構成は、バーナ外筒30がある程度長尺のバーナに対しても有効である。
バーナ外筒30の壁面等に特別な加工をせずに火炎検知部70を配置する場合、その配置場所は、バーナ外筒30の基端側となってしまう場合が多い。例えば本実施形態においては、火炎検知部70をバーナ外筒30の基端側のウインドボックス50に配置している。
このような場合、前述の比較例の保炎器の構成では、貫通孔の貫通軸は保炎器の法線ベクトル方向であるため、管軸方向から貫通孔24を見たときの透過面積が必然的に小さくなるため、保炎器内の火炎を検知することが難しい。その一方、本実施形態の保炎器の構成を採用すれば、保炎器22内の火炎を検知しやすい。
【0041】
なお、保炎器22に形成されている全ての貫通孔24の貫通軸方向が、燃料ガス流通管20の管軸方向と一致するように形成されていることが好ましいが、一部の貫通孔24の貫通軸方向が、燃料ガス流通管20の管軸方向と一致するように形成されていればよい。
例えば、少なくとも1つの貫通孔の貫通軸方向が、燃料ガス流通管20の管軸方向と一致するように形成されていればよいが、2つ以上の貫通孔の貫通軸方向が、燃料ガス流通管20の管軸方向と一致するように形成されていることが好ましい。
換言すると、少なくとも2つの貫通孔の貫通軸方向が同じ方向となるように、複数の貫通孔を形成し、この少なくとも2つの貫通孔の貫通軸方向に、火炎検知部70を配置することが好ましい。
具体的には、図1に示す例では、全ての貫通孔24の貫通軸方向が、燃料ガス流通管20の管軸方向と一致するように形成されていることが好ましいが、火炎検知部70から見て、燃料ガス流通管20によって隠れない部分に配置されている貫通孔24について、その貫通軸を燃料ガス流通管20の管軸方向と一致するように形成すれば、高い効果が得られる。
【0042】
なお、燃焼状態において保炎器22に保炎されている火炎の光は、環状の隙間部32を通じて検知することもできる。しかしながら、低燃焼状態の場合は、火炎があまり広がらないため、環状の隙間部32から光を検知することが困難となる場合がある。しかしながら、本実施形態のバーナ1であれば、保炎器22の貫通孔24を通じて光を検知しやすい構成となっているため、低燃焼状態を含む燃焼状態の調節が可能な燃焼装置に対して、特に高い効果が得られる。
例えば、複数の燃焼位置(例えば、燃焼停止位置、低燃焼位置、中燃焼位置および高燃焼位置)を備え、燃焼位置を切り換えることで、燃焼量が段階的に制御可能とされている段階値制御ボイラや、最小燃焼状態(例えば、最大燃焼量の20%の燃焼量における燃焼状態)から最大燃焼状態の範囲で、燃焼量が連続的に制御可能とされている比例制御ボイラなどのボイラに対しても好適に適用可能である。
【0043】
なお、本実施形態の保炎器22の複数の貫通孔24は、拡開方向に間隔をおいた多列で構成されている。
これにより、低燃焼状態の場合などにおける火炎が小さいときにおいても、保炎器22の基端部付近に形成された1列目の貫通孔24Aを通じて、保炎器22に保炎された火炎を良好に検知することができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、火炎の光を検知可能な火炎検知部として紫外線火炎検知器を用いているが、その他の光学的な火炎検知部、例えば可視光線式火炎検知器などを用いてもよい。
【0045】
なお、光学的な火炎検知部が、検知方向の中心軸を示す光軸を有する場合は、その光軸が、保炎器の貫通孔の貫通軸と一致または平行となっていることが好ましい。
【0046】
以上説明した本実施形態のバーナ1によれば、以下のような効果が奏される。
【0047】
(1)本実施形態のバーナ1は、燃料ガスが流通する燃料ガス流通管20と、燃料ガス流通管20を包囲し、燃料ガス流通管20の外周面との間に燃焼用空気が流通する燃焼用空気流路L3を形成するバーナ外筒30と、基端部が燃料ガス流通管20と接続されると共に、先端部が燃料ガスの流れの下流側に向かって拡開する円錐台状の保炎器22と、保炎器22よりも基端側に配置され、保炎器22に保炎された火炎の光を検知可能な火炎検知部70と、を備え、保炎器22の円錐台状の周面には、燃焼用空気が流通する貫通孔24が形成され、貫通孔24の貫通軸方向に、火炎検知部70が配置されている。
これにより、燃焼用空気が流通する保炎器22の貫通孔24の貫通面積を必要以上に大きくすることなく、火炎検知部70に到達する光量を増やすことができる。
また、保炎器22の設計の自由度も高まる。すなわち、保炎器22の拡開角度2αの許容範囲、肉厚tの許容範囲、燃焼用空気の流通および光の通過を考慮した複数の貫通孔24の設定などについて、設計の自由度が高まる。
【0048】
(2)本実施形態のバーナ1の保炎器22の周面には、燃焼用空気が流通する複数の貫通孔24が形成され、複数の貫通孔24のうち、少なくとも2つ以上の貫通孔24の貫通軸方向が同じ方向となるように、複数の貫通孔24が形成されており、少なくとも2つ以上の貫通孔24の貫通軸方向に、火炎検知部70が配置されている。
これにより、火炎検知部70は、貫通軸方向が同じ方向である2つ以上の貫通孔24を通じて、高い検知力で、保炎器22に保炎された火炎を検知することができる。
【0049】
(3)本実施形態のバーナ1は、保炎器22の貫通孔24の貫通軸方向が、燃料ガス流通管20の管軸方向と一致するように、貫通孔24が形成されており、火炎検知部70は、管軸方向の基端側に配置されている。
これにより、火炎検知部70を燃料ガス流通管20の管軸方向の基端側に配置した場合であっても、高い検知力で、保炎器22に保炎された火炎を検知することができる。よって、バーナ外筒30の壁面等に特別な加工等を施すことなく、火炎の検知に適した位置に火炎検知部70を配置することも可能となる。
【0050】
(4)本実施形態のバーナ1は、燃料ガスが流通する燃料ガス流通管20と、燃料ガス流通管20を包囲し、燃料ガス流通管20の外周面との間に燃焼用空気が流通する燃焼用空気流路L3を形成するバーナ外筒30と、基端部が燃料ガス流通管20と接続されると共に、先端部が燃料ガスの流れの下流側に向かって拡開する円錐台状の保炎器22と、保炎器22よりも基端側に配置され、保炎器22に保炎された火炎の光を検知可能な火炎検知部70と、を備え、保炎器22は、拡開角度が40°~65°の範囲内となるように形成され、保炎器22の円錐台状の周面には、燃焼用空気が流通する貫通孔24が形成され、貫通孔24の貫通軸方向に、火炎検知部70が配置されている。
これにより、拡開角度が40°~65°の範囲内となるように形成された保炎器を用いる場合であっても、燃焼用空気が流通する保炎器22の貫通孔24の貫通面積を必要以上に大きくすることなく、火炎検知部70に到達する光量を増やすことができ、火炎検知レベルを高めることが可能となる。
【0051】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について、図8を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同様の構成についてはその説明を省略する。
第1実施形態のバーナは、保炎器22の複数の貫通孔24の貫通軸方向を、燃料ガス流通管20の管軸方向と一致するように形成し、かつ火炎検知部70を、燃料ガス流通管20の管軸方向の基端側の位置に配置していた。これにより、複数の貫通孔24の貫通軸方向に、火炎検知部70が配置される態様としていた。本実施形態においては、保炎器の貫通孔の貫通軸方向と、火炎検知部70の配置位置が、第1実施形態とは異なっている。
【0052】
図8は、本実施形態に係るバーナ1を示す図である。
図8に示すように、本実施形態のバーナ1は、火炎検知部70が、バーナ外筒30の壁面近傍領域に配置されている。具体的には、保持部材75によって保持された火炎検知部70が、バーナ外筒30の壁面に形成された開口部34に位置するように固定されている。
なお、固定された火炎検知部70の向きは、保炎器82に向かう方向が火炎の検知領域となるような向きとなっている。
【0053】
そして、保炎器82に形成されている複数の貫通孔84のうち、少なくとも1つの貫通孔84の貫通軸方向に、火炎検知部70が配置されるよう、保炎器82の貫通孔84を形成する。
本実施形態においては、少なくとも2つの貫通孔84、具体的には貫通孔84A1および貫通孔84B1の貫通軸方向が同じ方向となるように、複数の貫通孔84が形成されており、この少なくとも2つの貫通孔84の貫通軸方向に、火炎検知部70が配置されている。
【0054】
これにより、例えば火炎検知部70を、燃料ガス流通管20の管軸方向の基端部近くの位置に配置するのが困難な場合であっても、保炎器82内の火炎を良好に検知することができる。
【0055】
なお、本実施形態においては、少なくとも1つ、あるいは2つ以上の貫通孔84の貫通軸方向に、火炎検知部70を配置する構成を説明したが、火炎検知レベルをより高める上では、このような貫通軸方向で形成されている貫通孔84の数は、多い方がよい。
保炎器82の大きさ等との兼ね合いとなるが、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上、可能であれば4つ以上の貫通孔84の貫通軸方向に、火炎検知部70が配置されるよう、複数の貫通孔84を形成する。
これにより、より火炎検知レベルを高めることができる。
【0056】
なお、火炎検知部70が検知方向の中心軸を示す光軸を有する場合は、その光軸が、保炎器82の貫通孔84の貫通軸と一致または平行となるように配置することが好ましい。
【0057】
以上説明した本実施形態のバーナ1によれば、(1)~(2)、(4)に加えて、以下のような効果が奏される。
【0058】
(5)本実施形態のバーナ1は、火炎検知部70が、保炎器82の複数の貫通孔84のうち、少なくとも1つの貫通孔84の貫通軸方向であって、該貫通孔の貫通軸はガス流通管の管軸と一定の角度を成し、バーナ外筒30の外側に配置される。
これにより、火炎検知部70を、燃料ガス流通管20の管軸方向の基端部近くの位置に配置するのが困難な場合であっても、保炎器82内の火炎を良好に検知することができる。
【0059】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について、図9、10A、10Bを参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同様の構成についてはその説明を省略する。
第1実施形態においては、ボイラに用いられる先混合式バーナとして適用する例を説明した。本実施形態においては、都市ガスやプロパンガスを使う燃料電池や水素製造装置で発生する水素を含むオフガス(低カロリーガス)を燃焼するバーナとして適用する例を説明する。
【0060】
例えば燃料電池システムにおいては、燃料電池を運転するための原料ガスとして都市ガスやプロパンガスなどの炭化水素ガスを用い、これと水蒸気を改質器で反応させて、水素を主成分とする改質ガスを生成する。ここで、改質器における改質反応は触媒による吸熱反応であるため、この反応を進めるためには、改質器に燃焼装置を設ける必要がある。
このような燃焼装置のバーナには、都市ガスやプロパンガスなどの高カロリーガスに加えて、燃料電池から発生する未反応の改質ガスであるオフガスが燃料ガスとして用いられる。
但し、改質器の運転開始時にはオフガスをバーナの燃料ガスとすることはできないため、この運転開始時は天然ガスやプロパンガス等の高カロリーガスが用いられる。その後、改質器が立ち上がり、燃料電池からオフガスが発生する状況となったところで、燃料ガスを高カロリーガスからオフガスに切り替える。
本実施形態のバーナ1は、燃料ガスとして、第1ガスとしての高カロリーガスに加えて、第2ガスとしてのオフガス(低カロリーガス)を用いることが可能なバーナである。
【0061】
図9は、本実施形態に係るバーナ1を示す図である。図10Aは、バーナ1の保炎器22周辺を示す拡大図であり、図10Bは、図10AのE矢視図である。
図9に示すように、本実施形態のバーナ1は、基端ブロック55に取り付けられている。基端ブロック55の空気導入口56には、送風機(図示省略)から燃焼用空気が送り込まれる。
【0062】
図9、10A、10Bに示すように、本実施形態のバーナ1は、燃料ガス流通管20の内側に、第1ガス流通管10が配置されている。
すなわち、本実施形態のバーナ1は、第1ガス(高カロリーガス、図面におけるG1)が流通する第1ガス流通路L1を形成する第1ガス流通管10と、第1ガス流通管10を包囲し、第1ガス流通管10の外周面との間に第1ガスよりも発熱量の低い第2ガス(低カロリーガス、図面におけるG2)が流通する第2ガス流通路L2を形成する燃料ガス流通管20と、燃料ガス流通管20を包囲し、燃料ガス流通管20の外周面との間に燃焼用空気(図面におけるA)が流通する燃焼用空気流路L3を形成するバーナ外筒30とを備える。
【0063】
第1ガス流通管10は、第1ガス(高カロリーガス、図面におけるG1)が流通する第1ガス流通路L1を形成する管状部材であり、耐熱性の部材により形成されている。第1ガス流通管10の先端部12は封止されており、その先端部付近には、図10A、10Bに示すように、第1ガスG1を径方向外側に向けて噴出する複数の第1ガス噴出孔13が設けられている。本実施形態においては、6個の第1ガス噴出孔13が設けられている。この複数の第1ガス噴出孔13を総合したものが、第1ガス噴出部13Tとなる。
【0064】
第1ガス流通管10の外周面と燃料ガス流通管20の間に形成された環状の隙間部32からなる第2ガス流通路L2の出口部分(後述の保炎器22の基端部付近)は、第2ガスG2を前方に向けて噴出する第2ガス噴出部26を形成している。
なお、保炎器22および保炎器22に形成されている複数の貫通孔24の構成については、第1実施形態と同様である。
【0065】
次に、本実施形態のバーナ1の動作について説明する。
送風機(図示省略)より、基端ブロック55の空気導入口56から燃焼用空気A(図9参照)が供給される。空気導入口56から供給された燃焼用空気Aは、バーナ外筒30の内部に流入する。
【0066】
バーナ外筒30の内部に流入した燃焼用空気Aは、燃焼用空気流路L3を通じて基端側から先端側に向かって供給され、その一部が第1燃焼用空気A1(図10A参照)として、保炎器22に形成された複数の貫通孔24を通じて保炎器22内に噴出する。
また、それ以外の燃焼用空気Aは、第2燃焼用空気A2(図10A参照)として、バーナ外筒30の内周面31と保炎器22先端部との間に形成された環状の隙間部32から保炎器22の先端側に噴出する。
【0067】
改質器の運転開始時においては、燃料ガスとして高カロリーガスが用いられる。
このときにおいては、高カロリーガスである第1ガスG1は、第1ガス流通路L1を通過して、第1ガス流通管10の先端部付近に形成された第1ガス噴出部13Tを構成する複数の第1ガス噴出孔から周方向に向けて噴出する。これにより、第1ガスG1と燃焼用空気Aとの混合が促進される。そして、この混合された気体が、保炎器22内おいてスパークロッド61により着火されて燃焼する。
【0068】
次に、改質器が立ち上がった後は、燃料ガスを、高カロリーガスからオフガス(低カロリーガス)に切り替える。
このとき、オフガス(低カロリーガス)である第2ガスG2は、第2ガス流通路L2を通過して、第2ガス噴出部26から前方周方向に向けて噴出する。これにより、第2ガスG2と燃焼用空気Aとの混合が促進され、引き続き燃焼状態を継続する。
【0069】
ここで、オフガス(低カロリーガス)による燃焼時の火炎は、高カロリーガスによる燃焼時の火炎と比べて炎検知器の感度範囲の発光強度が低い。特に、燃焼量が少ない場合は、高カロリーガスによる燃焼時の火炎と比較して、かなり発光強度が低くなる。しかしながら、本実施形態の構成、すなわち、保炎器22の貫通孔24の貫通軸方向に、火炎検知部70が配置されている構成であれば、燃焼時における発光強度が少ないオフガスを用いた場合であっても、火炎検知部70に到達する光量を増やすことができ、火炎検知レベルを高めることができる。
【0070】
このように、都市ガスよりも燃焼時の火炎の発光(紫外領域等)の少ないオフガス(低カロリーガス)を燃料ガスとして用いる場合においても、燃焼用空気が流通する保炎器の貫通孔の貫通面積を必要以上に大きくすることなく、火炎検知部に到達する光量を増やすことができる。よって、火炎検知レベルを高めることが可能となる。
【0071】
なお、このような改質器用の燃焼装置に用いられるバーナ1は、システムの構成上、長尺となる場合が多い。本実施形態のバーナは700mm以上であり、第1実施形態において説明した効果、すなわち、保炎器22の複数の貫通孔24の貫通軸方向を、燃料ガス流通管20の管軸方向と一致するように形成し、かつ火炎検知部70を、燃料ガス流通管20の管軸方向の基端側の位置に配置する構成によって得られる効果が顕著に得られる。
【0072】
なお、本実施形態のバーナ1は、炭化水素ガスから水素を製造する過程で発生するオフガスを燃料ガスとして用いるバーナにおいて適用可能であり、燃料電池に限らず、水素製造装置等にも適用可能である。
【0073】
以上説明した本実施形態のバーナ1によれば、(1)~(5)に加えて、以下のような効果が奏される。
【0074】
(6)本実施形態のバーナ1の燃料ガス流通管を流通する燃料ガスは、炭化水素ガスから水素を製造する過程で発生するオフガスである。
このように、都市ガスなどの炭化水素ガスよりも燃焼時の火炎の発光(紫外領域等)の少ないオフガスや水素ガスなどを燃料ガスとして用いる場合においても、燃焼用空気が流通する保炎器の貫通孔の貫通面積を必要以上に大きくすることなく、火炎検知部に到達する光量を増やすことができる。よって、火炎検知レベルを高めることが可能となる。
【0075】
以上、本発明のバーナの好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、ボイラや燃料電池用のバーナに限らず、各種燃焼装置用のバーナとしても用いることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 バーナ
20 燃料ガス流通管
22 保炎器
24(24A、24B、24C) 貫通孔
82 保炎器
84(84A、84B、84C) 貫通孔
30 バーナ外筒
70 火炎検知部
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B