(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】送信装置、受信装置、通信システム、送信方法、受信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 43/00 20220101AFI20240516BHJP
【FI】
H04L43/00
(21)【出願番号】P 2019195584
(22)【出願日】2019-10-28
【審査請求日】2022-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】安藤 雅
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 慶輝
(72)【発明者】
【氏名】新留 憲介
(72)【発明者】
【氏名】菅原 誠昭
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-168726(JP,A)
【文献】特開2002-094938(JP,A)
【文献】特開平04-357735(JP,A)
【文献】特開2003-298644(JP,A)
【文献】特開平10-262015(JP,A)
【文献】特開平05-030137(JP,A)
【文献】特開平10-285212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディア信号の入力の有無を判断する監視手段と、
特殊情報として特殊なパターンを有する映像を含むメディア信号を生成する生成手段と、
前記監視手段によりメディア信号の入力がないと判断された場合に、前記生成手段により生成された
、前記映像を含むメディア信号をパケットに変換し、当該パケットを
、監視パケットの送信周期よりも短い送信周期で送信する送信手段と
を備える送信装置。
【請求項2】
送信装置により監視パケットの送信周期よりも短い送信周期で送信されたパケットであって、前記送信装置から受信した
前記パケットをメディア信号に変換する変換手段と、
前記メディア信号に特殊情報として特殊なパターンを有する映像が含まれるか否かを判定する解析手段と、
出力手段とを備え、
前記出力手段は、
前記メディア信号に前記特殊情報が含まれる場合に、前記メディア信号を出力せず、
前記メディア信号に前記特殊情報が含まれない場合に前記メディア信号を出力する
受信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の送信装置と、請求項2に記載の受信装置とを備える通信システム。
【請求項4】
送信装置が実行する送信方法であって、
メディア信号の入力の有無を判断する監視ステップと、
特殊情報として特殊なパターンを有する映像を含むメディア信号を生成する生成ステップと、
前記監視ステップによりメディア信号の入力がないと判断された場合に、前記生成ステップにより生成された
、前記映像を含むメディア信号をパケットに変換し、当該パケットを
、監視パケットの送信周期よりも短い送信周期で送信する送信ステップと
を備える送信方法。
【請求項5】
受信装置が実行する受信方法であって、
送信装置により監視パケットの送信周期よりも短い送信周期で送信されたパケットであって、前記送信装置から受信した
前記パケットをメディア信号に変換する変換ステップと、
前記メディア信号に特殊情報として特殊なパターンを有する映像が含まれるか否かを判定する解析ステップと、
出力ステップとを備え、
前記出力ステップにおいて、
前記メディア信号に前記特殊情報が含まれる場合に、前記メディア信号を出力せず、
前記メディア信号に前記特殊情報が含まれない場合に前記メディア信号を出力する
受信方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1の送信装置における各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
コンピュータを、請求項2に記載の受信装置における各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケットを送受信する技術に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
映像、音声、あるいは映像と音声(これらを総称してメディア信号と呼ぶ場合がある)を、例えば撮影ポイントから放送局等へ伝送するサービスが提供されている。
【0003】
映像/音声等のメディア信号の伝送は遅延が許されないのが一般的ある。そのため、メディア信号をペイロードに持つRTP(Real-time Transport Protocol)パケットによるリアルタイム伝送が一般的に行われている。
【0004】
正常なパケット伝送を行うためには網(ネットワークと呼んでもよい)の導通性を確認する必要があり、そのための方法としてE-OAM(Ethernet(登録商標) OAM)やBFD(Bidirectional Forwarding Detection)等がある。これらの方法を用いれば、Ether伝送区間やIP伝送区間の導通性は保証できる。なお、E-OAMやBFDにおける監視周期(監視パケット送信間隔)は100msあるいは1s等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、メディア信号をペイロードに持つパケットの送信間隔は、監視パケットの監視周期に比べて短い。例えば、比較的伝送速度の遅い音声の場合でも、パケットの送信間隔は4ms以下である。
【0007】
そのため、メディア信号の入力がなくてRTPパケットが伝送されず、監視パケットのみが網に伝送される場合には、網あるいは装置の正常性の監視を適切に行えない場合があるという課題がある。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、メディア信号の入力がない場合でも、適切に正常性の監視を行うことを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示の技術によれば、メディア信号の入力の有無を判断する監視手段と、
特殊情報として特殊なパターンを有する映像を含むメディア信号を生成する生成手段と、
前記監視手段によりメディア信号の入力がないと判断された場合に、前記生成手段により生成された、前記映像を含むメディア信号をパケットに変換し、当該パケットを、監視パケットの送信周期よりも短い送信周期で送信する送信手段と
を備える送信装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
開示の技術によれば、メディア信号の入力がない場合でも、適切に正常性の監視を行うことを可能とする技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態におけるシステムの全体構成図である。
【
図2】主信号入力がある場合の状態の例を示す図である。
【
図3】主信号入力がない場合の状態の例を示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態におけるシステムの動作概要を示す図である。
【
図8】実施例1における送信装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図9】実施例1における受信装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図10】実施例2における送信装置の構成図である。
【
図12】実施例2における受信装置の構成図である。
【
図13】実施例2における送信装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図14】実施例2における受信装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施形態に限られるわけではない。以下、メディア信号は、音声信号、映像信号、又は、音声信号と映像信号を意図しているが、メディア信号がこれら以外の信号であってもよい。
【0013】
(システム構成)
図1は、本発明の実施の形態における通信システムの全体構成図である。
図1に示すように、本通信システムは、送信装置100と受信装置200を有し、これらがネットワーク300により接続された構成を有している。
【0014】
基本的な動作として、送信装置100は、外部にあるユーザ設備等から出力されたメディア信号を受信し、当該メディア信号をパケットに変換し、当該パケットをネットワーク300に送出する。受信装置200は、ネットワーク300からパケットを受信し、パケットをメディア信号に変換し、当該メディア信号を出力する。本実施の形態では、メディア信号はRTPパケットで伝送される。また、本実施の形態では、例えば、RTPパケットはUDPパケットにより伝送され、UDPパケットはIPパケットにより伝送され、IPパケットはイーサフレームにより伝送される。ただし、このような形態は一例である。
【0015】
なお、以降、「パケット」は、特に断らない限り、RTPパケット(RTPヘッダとペイロードを有するパケット)であるが、本発明を適用可能なパケットはRTPパケットに限定されるわけではない。
【0016】
また、
図1に示す例では、送信側の装置を送信装置100とし、受信側の装置を受信装置200としているが、送信側の装置と受信側の装置は同じ構成を持つ装置であってもよい。この場合、当該装置は送信機能と受信機能を含み、送信機能に着目した当該装置を送信装置100と呼び、受信機能に着目した当該装置を受信装置200と呼ぶ。
【0017】
(実施の形態の概要)
以下、本実施の形態の概要について、課題(課題1、課題2、課題3)とともに説明する。
【0018】
<課題1について>
前述したように、E-OAMやBFDの監視パケットによる監視では100msあるいは1s等の監視周期となるが、メディア信号のIP伝送(RTP伝送)では、数ms以下等の周期でパケット伝送がなされる。
【0019】
図1に示すシステム構成において、例えば、送信装置100には、映像撮影等を行うユーザ設備から出力されたメディア信号が入力される。しかし、ユーザ設備から常にメディア信号が出力されるわけではない。ユーザ設備からメディア信号が出力されない場合、送信装置100へのメディア信号の入力はない。
【0020】
入力されるメディア信号がない場合には、RTPパケットが伝送されないため、E-OAMやBFDの監視に頼っていると、いざメディア信号が入って伝送し始めて、実はエラーが検出されるようなケースが発生してしまう。これを
図2、
図3を用いて説明する。
【0021】
図2は、メディア信号(主信号とも呼ぶ)の入力がある場合におけるパケットの伝送イメージ(右方向に時間が進むイメージ)を示した図である。
【0022】
(1)は、通常の導通状態を示しており、主信号パケットが短い時間間隔で流れ、OAMパケット(監視パケット)が長い時間間隔で流れていることが示されている。
【0023】
仮に、伝送路でのエラーがある場合、(2)に示すように、OAMによるエラー監視とともに、主信号パケットのエラー監視が可能である。(2)の例は、「×」で示されるように、主信号パケットのみにエラーが検出された例である。
【0024】
図3の(3)は、
図2(2)のようなエラーが発生し得る伝送路(回線と呼んでもよい)の状態において、主信号入力がない場合のイメージを示している。
図3(3)では、主信号パケットが流れないため、図示している「×」があることを検知することができない。送信周期の長いOAMパケットではこのエラーを検知できない。すなわち、伝送路品質が事前に分からないので、いざ主信号が送信されてから、異常に気づくことになる。
【0025】
そこで、本実施の形態では、
図3(4)に示すように、主信号の入力がない場合でも、送信側からRTPパケットを伝送することで、伝送路状態を把握可能としている。
【0026】
<課題2について>
送信装置へのメディア信号の入力がない場合、伝送されるRTPパケットもなくなる。従って、入力がないという状態に伴い、受信装置でバッファアラームや出力異常等のアラームが発生する。受信装置では、発生したアラームの原因が送信装置へのメディア信号の入力がないことなのか、それとも、回線の断なのかの判別がすぐにはつき難い。これを
図4を用いて説明する。
【0027】
図4は、従来の一般的な送信装置10及び受信装置20を使用する場合を示している。
図4(1)は入力のメディア信号(入力信号)がある場合を示しており、「○」で示されるようにエラーは発生していない。
図4(2)は、入力のメディア信号がない場合を示しており、「×」で示すように受信装置20においてエラーが発生している。しかし、受信装置20では、このエラーが送信側での入力信号なしに起因するエラーなのか、それとも回線断に起因するエラーなのかはすぐにはわからない。
【0028】
そこで、本実施の形態では、前述したとおり、送信装置100は、入力信号がない場合でも、RTPパケットを送信するので、受信側で不要アラームを発生させないことを可能としている。これを
図5に示している。
【0029】
<課題3について>
送信装置への入力メディア信号がない場合、受信装置では、バッファアンダーフロー等に伴い、出力されるメディア信号もない状態となる。
【0030】
送信装置へのメディア信号の入力が、「なし」から「あり」になると、RTPパケットが受信装置に届き始め、受信装置からメディア信号が出力され始めるが、受信装置におけるクロックが安定するまでに時間がかかるため、メディア信号が安定して出力されるまでに時間がかかる場合がある。
【0031】
本実施の形態では、送信装置へのメディア信号の入力がない場合でも、タイムスタンプ(クロック情報)を有するパケットを送信するので、クロック情報を送り続けることができ、継続してクロックを安定動作させることができる。よって、メディア信号の入力が、「なし」から「あり」になる場合でも、迅速にメディア信号を安定して出力できる。本実施の形態のパケットのヘッダであるRTPヘッダ、RTP拡張ヘッダのいずれにもタイムスタンプ(例:送信装置100でパケットを生成した時刻)が送信装置100により付される。
【0032】
上述したとおり、本実施の形態では、送信装置100へのメディア信号の入力がない場合でも、送信装置100はパケットを送信する。パケットの送信方法として、ペイロードとしてメディア信号(映像、音声)をパケットに含めて送信する方法(方法1)と、ペイロードを含めずRTP拡張ヘッダのみを送信する方法(方法2)がある。以下、方法1を実施例1として説明し、方法2を実施例2として説明する。
【0033】
(実施例1)
<送信装置>
図6は、実施例1における送信装置100の構成図である。
図6に示すように、実施例1における送信装置100は、メディア受信部110、入力状態監視部120、転送メディア情報生成部130、セレクタ140、メディア/パケット変換部150、パケット送信部160を有する。各部の機能は下記のとおりである。
【0034】
メディア受信部110は、メディア信号を受信する。入力状態監視部120は、メディア受信部110を監視し、メディア信号が入力されているか否かの判断を行い、判断結果をセレクタ140に対して通知する。
【0035】
転送メディア情報生成部130は、メディア信号の入力がない場合に送るためのメディア信号を生成し、セレクタ140に与える。転送メディア情報生成部130が生成するメディア信号には特殊情報が埋め込まれている。
【0036】
この特殊情報により、受信側で、受信したパケットの中のメディア信号が、ユーザ設備から出力されたメディア信号か、それとも送信装置100が生成したメディア信号かを識別できる。
【0037】
特殊情報は、例えば、特殊なパターンを有する映像(黒やグレーの映像)、音(ミュートや非常に小さなレベルの音)等である。より具体的には、例えば、1125ラインあるHD-SDIの信号フォーマットにおいて、有効映像領域(ユーザのTVモニタ画面に絵として表示される領域)に、下位数ビットの値をライン毎に変化させた特殊な黒あるいはグレーを特殊情報として埋め込む。また、HD-SDIの信号フォーマットにおける補助データ領域に特殊パターンを特殊情報として埋め込むこととしてもよい。
【0038】
セレクタ140は、入力状態監視部120からの通知に基づき、メディア受信部110へのメディア信号の入力がない場合には、転送メディア情報生成部130から入力されたメディア信号を出力し、メディア受信部110へのメディア信号の入力がある場合には、メディア受信部110から入力されたメディア信号を出力する。
【0039】
メディア/パケット変換部150は、セレクタ140から受け取ったメディア信号をパケットに変換し、当該パケットを出力する。当該パケットは、RTPヘッダとペイロードを有する。
【0040】
パケット送信部160は、メディア/パケット変換部150から受け取ったパケットを送信する。
【0041】
<受信装置>
図7は、実施例1における受信装置200の構成図である。
図7に示すように、実施例1における受信装置200は、パケット受信部210、パケットバッファ220、パケット/メディア変換部230、情報解析部240、メディア出力部250を有する。各部の機能は下記のとおりである。
【0042】
パケット受信部210は、送信装置100から送信されたパケットを受信する。パケットバッファ220は、パケット受信部210が受信したパケットを一時的に格納する。なお、実施例1では、送信装置100へのメディア信号の入力がない場合でも、入力がある場合と同様のペイロード付きのパケットが送信装置100から送信されるので、パケットバッファ220にパケットが格納される。よって、バッファにデータが蓄積されないことに起因するアラーム等は発生しない。
【0043】
パケット/メディア変換部230は、パケットバッファ220から読み出したパケットをメディア信号に変換し、出力する。出力されたメディア信号は、情報解析部240とメディア出力部250に送られる。
【0044】
情報解析部240は、メディア信号に特殊情報が含まれるか否かを判定し、含まれる場合に、メディア出力部250にメディア信号の出力停止を指示する。メディア出力部250は、メディア信号の出力停止指示が無ければ、パケット/メディア変換部230から入力されたメディア信号を出力する。
【0045】
なお、上記の制御は一例である。情報解析部240は、メディア信号に特殊情報が含まれるか否かを判定し、含まれる場合に、メディア出力部250に対して、黒あるいはグレーの映像(特殊情報ではない単純な黒あるいはグレー)、及びミュート等の音を有するメディア信号(予め定めたメディア信号)を出力するよう指示してもよい。
【0046】
この場合、黒やグレーの映像、ミュート等の音を有するメディア信号がユーザ側に出力される。このように、黒やグレー、ミュート等のメディア信号を出力し続けることで、送信側で入力メディア信号が「なし」から「あり」に変化する場合でも、メディア信号を受けるユーザの機器(モニタ・スピーカ)では、メディア信号(フレームフォーマット)が連続するので、メディア信号が「あり」になってからのモニタ・スピーカの出力が早くなる。よって、視覚・聴覚的なショックを抑えることができ、ユーザの視覚・聴覚体験の改善につながる。
【0047】
また、送信側の入力メディア信号がない場合において、受信側でメディア信号の出力を停止するか、あるいは、単純な黒あるいはグレー、ミュート等のメディア信号を出力するかを受信装置200の設定で変更できるようにしてもよい。
【0048】
また、例えば、パケット/メディア変換部230は、パケットのヘッダのクロック情報を解析してメディア出力部250のクロック動作を制御する。つまり、メディア出力部250は、受信パケットに含まれるクロック情報に基づいて、送信装置100と同期した適切なタイミングでメディア信号を出力できる。なお、送信装置100へのメディア信号の入力がない場合には、メディア出力部250はメディア信号を出力しないが、受信パケットに含まれるクロック情報、及びメディア信号のクロック(所定の伝送周波数で送信されるデジタル信号毎に持つクロック)に基づいて、常に正常なクロック動作を維持できるので、送信装置100へのメディア信号の入力が「なし」から「あり」になった場合でも、迅速に、送信装置100と同期した適切なタイミングでのメディア信号の出力を開始できる。
【0049】
<送信装置及び受信装置の動作フロー>
図8のフローチャートを参照して、
図6の構成を有する送信装置100の動作例を説明する。
【0050】
S101において、入力状態監視部120が、メディア受信部110の入力状態を監視する。S102において、入力状態監視部120は、メディア信号の入力の有無を判断し、入力がある場合(S102のYes)にはS103に進み、入力がない場合(S102のNo)にはS104に進む。
【0051】
S103において、セレクタ140はメディア受信部110から受け取ったメディア信号を出力する。S104において、セレクタ140は、転送メディア情報生成部130から受け取ったメディア信号を出力する。
【0052】
S105において、メディア/パケット変換部150は、セレクタ140から受信したメディア信号をパケットに変換し、出力する。S106において、パケット送信部160は、パケットを出力する。
【0053】
次に、
図9のフローチャートを参照して、
図7の構成を有する受信装置200の動作例を説明する。
【0054】
S201において、パケット受信部210がパケットを受信する。パケットはパケットバッファ220に格納される。S202において、パケット/メディア変換部230が、パケットバッファ220からパケットを読み出し、読み出したパケットをメディア信号に変換し、出力する。
【0055】
S203において、情報解析部240は、パケット/メディア変換部230から出力されたメディア信号に特殊情報が含まれているか否かを判断する。
【0056】
メディア信号に特殊情報が含まれる場合(S203のYes)、S204に進み、メディア出力部250は、メディア信号を出力しない。メディア信号に特殊情報が含まれない場合(S203のNo)、S205に進み、メディア出力部250は、メディア信号を出力する。
【0057】
前述したように、メディア信号に特殊情報が含まれる場合において、メディア出力部250は、予め定めたメディア信号(単純な黒やグレー、ミュート等)を出力してもよい。
【0058】
(実施例2)
<送信装置>
図10は、実施例2における送信装置100の構成図である。
図10に示すように、実施例2における送信装置100は、メディア受信部110、入力状態監視部120、メディア/パケット変換部150、パケット送信部160、RTP拡張ヘッダ情報生成部170を有する。各部の機能は下記のとおりである。
【0059】
メディア受信部110は、メディア信号を受信する。入力状態監視部120は、メディア受信部110を監視し、メディア信号が入力されているか否かの判断を行い、判断結果をRTP拡張ヘッダ情報生成部170に対して通知する。
【0060】
RTP拡張ヘッダ情報生成部170は、入力状態監視部120からの通知に基づいて、メディア信号が入力されていないことを検知すると、RTP拡張ヘッダを生成し、メディア/パケット変換部150に入力する。
【0061】
図11に、RTP拡張ヘッダの一例を示す。例えば、「Header extension」のフィールドに、"このRTP拡張ヘッダはメディア信号が送信装置100に入力されていない場合に送信されるヘッダである"ことを示す情報が格納される。ただし、この情報をRTP拡張ヘッダに含めないこととしてもよい。その場合、受信装置200は、パケットにペイロードがないことを検知することで、そのパケット(RTPヘッダあるいはRTP拡張ヘッダのみ)は、メディア信号が送信装置100に入力されていない場合に送信されたパケットであることを識別できる。
【0062】
図10のメディア/パケット変換部150は、送信装置100へのメディア信号の入力がある場合には入力されたメディア信号をパケットに変換し、当該パケットを出力する。当該パケットは、RTPヘッダとペイロードを有する。メディア信号の入力がない場合には、RTP拡張ヘッダ情報生成部170から受け取ったRTP拡張ヘッダをパケットとして出力する。
【0063】
パケット送信部160は、メディア/パケット変換部150から受け取ったパケットを送信する。
【0064】
<受信装置>
図12は、実施例2における受信装置200の構成図である。
図12に示すように、実施例2における受信装置200は、パケット受信部210、パケットバッファ220、パケット/メディア変換部230、メディア出力部250、パケット受信状態監視・RTP拡張ヘッダ解析部260を有する。各部の機能は下記のとおりである。
【0065】
パケット受信部210は、送信装置100から送信されたパケットを受信する。当該パケットは、パケットバッファ220とパケット受信状態監視・RTP拡張ヘッダ解析部260に送られる。
【0066】
パケットバッファ220は、パケット受信部210から入力されたパケットを一時的に格納する。
【0067】
ただし、パケットがRTP拡張ヘッダのみからなるパケットである場合、パケットバッファ220に格納されないため、パケットバッファ220は、何もしなければアラームを出力する。そのため、実施例2では、受信したパケットがRTP拡張ヘッダのみからなるパケットである場合、パケット受信状態監視・RTP拡張ヘッダ解析部260からの制御に基づいて、パケットバッファ220は、アラームを出力しないよう、アラームをマスクする(アラームを受信装置200の外部に出力しない)。アラームをマスクするを、アラームを抑止する、と言い換えてもよい。パケットバッファ220が出力するアラームを抑止する手段は、パケットバッファ220自身が備えてもよいし、その他の機能部が備えてもよい。
【0068】
パケット受信状態監視・RTP拡張ヘッダ解析部260は、パケット受信部210から受け取ったパケットのRTPヘッダを解析することで、メディア信号が送信装置100に入力されているか否かを判断する。
【0069】
すなわち、パケットのRTPヘッダが、メディア信号が送信装置100に入力されていないことを示す情報を含むRTP拡張ヘッダであれば、送信装置100へのメディア信号の入力がないと判断し、パケットバッファ220に対してアラーム通知制御(マスクすること)を指示する。パケットのRTPヘッダが通常のヘッダである場合には、送信装置100へのメディア信号の入力があると判断し、パケット/メディア変換部230に対して、パケットバッファ220からパケットを読み出すことを指示する。なお、送信装置100へのメディア信号の入力がない場合、パケットバッファ220からのパケット読み出しは行われない。
【0070】
パケット/メディア変換部230は、パケットバッファ220から読み出したパケットをメディア信号に変換し、出力する。出力されたメディア信号は、メディア出力部250に送られる。メディア出力部250はメディア信号を出力する。
【0071】
なお、送信装置100へのメディア信号の入力がない場合、パケットバッファ220からのパケット読み出しは行われないので、メディア出力部250からのメディア信号の出力も行われない。ただし、これは一例であり、パケット受信状態監視・RTP拡張ヘッダ解析部260が、送信装置100へのメディア信号の入力がないことを検知した場合に、実施例1と同様に、メディア出力部250が予め定めたメディア信号(黒・グレー、ミュート等)を出力してもよい。
【0072】
また、送信装置100へのメディア信号の入力がない場合において、受信側でメディア信号の出力を行わないか、あるいは、単純な黒あるいはグレー、ミュート等のメディア信号を出力するかを受信装置200の設定で変更できるようにしてもよい。
【0073】
また、例えば、パケット受信状態監視・RTP拡張ヘッダ解析部260あるいはパケット/メディア変換部230は、パケットのヘッダのクロック情報を解析してメディア出力部250のクロック動作を制御する。つまり、メディア出力部250は、受信パケットに含まれるクロック情報に基づいて、送信装置100と同期した適切なタイミングでメディア信号を出力できる。なお、送信装置100へのメディア信号の入力がない場合には、メディア出力部250はメディア信号を出力しないが、受信パケットに含まれるクロック情報に基づいて、常に正常なクロック動作を維持できるので、送信装置100へのメディア信号の入力が「なし」から「あり」になった場合でも、迅速に、送信装置100と同期した適切なタイミングでのメディア信号の出力を開始できる。
【0074】
<送信装置と受信装置の動作フロー>
図13のフローチャートを参照して、
図10の構成を有する送信装置100の動作例を説明する。
【0075】
S301において、入力状態監視部120が、メディア受信部110の入力状態を監視する。S302において、入力状態監視部120は、メディア信号の入力の有無を判断し、入力がある場合(S302のYes)にはS305に進み、入力がない場合(S302のNo)にはS303に進む。
【0076】
S303において、RTP拡張ヘッダ情報生成部170は、RTP拡張ヘッダを生成し、メディア/パケット変換部150に渡す。S304において、メディア/パケット変換部150は、RTP拡張ヘッダをパケットとして出力する。
【0077】
S305において、メディア/パケット変換部150は、メディア受信部110から受信したメディア信号をパケットに変換し、出力する。S306において、パケット送信部160は、パケットを送信する。
【0078】
次に、
図14のフローチャートを参照して、
図12の構成を有する受信装置200の動作例を説明する。
【0079】
S401において、パケット受信部210がパケットを受信する。パケットはパケットバッファ220に格納されるとともに、パケット受信状態監視・RTP拡張ヘッダ解析部260に渡される。
【0080】
S402において、パケット受信状態監視・RTP拡張ヘッダ解析部260は、パケットのヘッダに基づいて、送信装置100へのメディア信号の入力があるか否かを判断する。なお、この判断は、パケットにペイロードがあるか否かに基づいて行ってもよい。
【0081】
送信装置100へのメディア信号の入力がある場合(S402のYes)、S403に進み、パケット/メディア変換部230は、パケットをパケットバッファ220から読み出し、メディア信号に変換し、メディア出力部250が当該メディア信号を出力する。
【0082】
送信装置100へのメディア信号の入力がない場合(S402のNo)、S404に進み、パケットバッファ220はアラームをマスクする。この場合、パケットバッファ220からパケットは読み出されず、メディア出力部250からメディア信号は出力されない。前述したとおり、これは一例であり、パケット受信状態監視・RTP拡張ヘッダ解析部260が、送信装置100へのメディア信号の入力がないことを検知した場合に、実施例1と同様に、メディア出力部250が予め定めたメディア信号(黒・グレー、ミュート等)を出力してもよい。
【0083】
(実施例1、実施例2の組み合わせ)
送信装置100と受信装置200はいずれも、実施例1の機能と実施例2の機能の両方を含んでもよい。その場合、送信装置100と受信装置200は、入力されるメディア信号がない場合に、例えば、下記の方法((A)又は(B))で、実施例1の方法と実施例2の方法のどちらを用いるかを判断し、使用する機能部を切り替えることができる。ただし、下記は一例である。
【0084】
(A)送信するメディア信号用にネットワーク300の帯域を専用線のように占有してよい場合、実施例1の方法(ペイロードを含むパケットを送信)を用いる。
【0085】
(B)ネットワーク300がIP網のように帯域を占有できない(他のトラフィックと多重する)場合、実施例2の方法(RTP拡張ヘッダのみを送信)を用いる。
【0086】
(ハードウェア構成)
実施例1、実施例2で説明した送信装置100、受信装置200はいずれもその内部の各機能部を専用のハードウェア回路を用いて実現することができる。また、実施例1、実施例2で説明した送信装置100、受信装置200はいずれも、汎用のコンピュータを用いてソフトウェアで実現することもできる。
【0087】
汎用のコンピュータを用いてソフトウェアで実現する場合において、上記の各装置が有する機能は、コンピュータに内蔵されるCPUやメモリ等のハードウェア資源を用いて、当該装置で実施される処理に対応するプログラムを実行することによって実現することが可能である。上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(可搬メモリ等)に記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メール等、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0088】
図15は、上記装置のハードウェア構成例を示す図である。
図15の装置は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置1000、補助記憶装置1002、メモリ装置1003、CPU1004、インタフェース装置1005、表示装置1006、及び入力装置1007等を有する。なお、上述した各装置(送信装置100、受信装置200)において、表示装置1006及び入力装置1007を備えないこととしてもよい。
【0089】
当該装置での処理を実現するプログラムは、例えば、CD-ROM又はメモリカード等の記録媒体1001によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体1001がドライブ装置1000にセットされると、プログラムが記録媒体1001からドライブ装置1000を介して補助記憶装置1002にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体1001より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置1002は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0090】
メモリ装置1003は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置1002からプログラムを読み出して格納する。CPU1004は、メモリ装置1003に格納されたプログラムに従って当該装置に係る機能を実現する。インタフェース装置1005は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置1006はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置1007はキーボード及びマウス、ボタン、又はタッチパネル等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。
【0091】
(実施の形態の効果等)
前述したとおり、入力されるメディア信号がない場合に、E-OAMやBFDの監視のみに頼っていると、いざ入力メディア信号が復帰して伝送し始めて、実はエラーが検出されることが発生し得る。これに対し、本実施の形態では、入力されるメディア信号がない状態においても、パケットの信号を流し続けているため、正常性を適切に監視することが可能となる。また、受信側でのバッファアンダーフロー等に起因する不要アラームを発生せずに済む。
【0092】
映像モニタや音声スピーカは、映像や音声のフレーム構造を認識してから、絵や音を出力するが、本実施の形態のように入力メディア信号がない場合に、黒やグレーの映像、及びミュート等の音を含むメディア信号を出力し続ける設定とすることで、ユーザのモニタ・スピーカでは映像や音声のフレーム構造を継続して認識できる。そのため、モニタやスピーカでの出力が早くなり、ユーザの視覚・聴覚体験が改善される。
【0093】
また、入力メディア信号が「なし」から「あり」になった場合、受信側では通常、一旦パケットバッファにデータを蓄積してから、クロック安定化処理を開始する必要があるが、本実施の形態ではクロック情報を送り続けることとしているので、入力メディア信号が「なし」から「あり」になった場合において早期のクロック安定化を実現できる。
【0094】
(実施の形態のまとめ)
本明細書には、少なくとも、下記の各項に記載された送信装置、受信装置、通信システム、送信方法、受信方法、及びプログラムが記載されている。
(第1項)
メディア信号の入力の有無を判断する監視手段と、
特殊情報を含むメディア信号を生成する生成手段と、
前記監視手段によりメディア信号の入力がないと判断された場合に、前記生成手段により生成されたメディア信号をパケットに変換し、当該パケットを送信する送信手段と
を備える送信装置。
(第2項)
受信したパケットをメディア信号に変換する変換手段と、
前記メディア信号に特殊情報が含まれるか否かを判定する解析手段と、
出力手段とを備え、
前記出力手段は、
前記メディア信号に前記特殊情報が含まれる場合に、前記メディア信号を出力せず、又は、予め定めたメディア信号を出力し、
前記メディア信号に前記特殊情報が含まれない場合に前記メディア信号を出力する
受信装置。
(第3項)
第1項に記載の送信装置と、第2項に記載の受信装置とを備える通信システム。
(第4項)
メディア信号の入力の有無を判断する監視手段と、
ヘッダ情報を生成する生成手段と、
前記監視手段によりメディア信号の入力がないと判断された場合に、前記生成手段により生成されたヘッダ情報を含み、ペイロードを含まないパケットを送信する送信手段と
を備える送信装置。
(第5項)
受信したパケットを格納するバッファと、
ペイロードを含まないパケットを受信した場合に生じるアラームを抑止する手段と、
ペイロードを含むパケットを前記バッファから読み出し、当該パケットをメディア信号に変換し、当該メディア信号を出力する出力手段と
を備える受信装置。
(第6項)
前記受信装置がペイロードを含まないパケットを受信した場合において、
前記出力手段は、メディア信号を出力しない、又は、予め定めたメディア信号を出力する
第5項に記載の受信装置。
(第7項)
第4項に記載の送信装置と、第5項又は第6項に記載の受信装置とを備える通信システム。
(第8項)
送信装置が実行する送信方法であって、
メディア信号の入力の有無を判断する監視ステップと、
特殊情報を含むメディア信号を生成する生成ステップと、
前記監視ステップによりメディア信号の入力がないと判断された場合に、前記生成ステップにより生成されたメディア信号をパケットに変換し、当該パケットを送信する送信ステップと
を備える送信方法。
(第9項)
受信装置が実行する受信方法であって、
受信したパケットをメディア信号に変換する変換ステップと、
前記メディア信号に特殊情報が含まれるか否かを判定する解析ステップと、
出力ステップとを備え、
前記出力ステップにおいて、
前記メディア信号に前記特殊情報が含まれる場合に、前記メディア信号を出力せず、又は、予め定めたメディア信号を出力し、
前記メディア信号に前記特殊情報が含まれない場合に前記メディア信号を出力する
受信方法。
(第10項)
送信装置が実行する送信方法であって、
メディア信号の入力の有無を判断する監視ステップと、
ヘッダ情報を生成する生成ステップと、
前記監視ステップによりメディア信号の入力がないと判断された場合に、前記生成ステップにより生成されたヘッダ情報を含み、ペイロードを含まないパケットを送信する送信ステップと
を備える送信方法。
(第11項)
受信したパケットを格納するバッファを備える受信装置が実行する受信方法であって、
ペイロードを含まないパケットを受信した場合に生じるアラームを抑止するステップと、
ペイロードを含むパケットを前記バッファから読み出し、当該パケットをメディア信号に変換し、当該メディア信号を出力する出力ステップと
を備える受信方法。
(第12項)
コンピュータを、第1項又は第4項に記載の送信装置における各手段として機能させるためのプログラム。
(第13項)
コンピュータを、第2項、第5項又は第6項に記載の受信装置における各手段として機能させるためのプログラム。
【0095】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0096】
100 送信装置
110 メディア受信部
120 入力状態監視部
130 転送メディア情報生成部
140 セレクタ
150 メディア/パケット変換部
160 パケット送信部
170 RTP拡張ヘッダ情報生成部
200 受信装置
210 パケット受信部
220 パケットバッファ
230 パケット/メディア変換部
240 情報解析部
250 メディア出力部
260 パケット受信状態監視・RTP拡張ヘッダ解析部
300 ネットワーク
1000 ドライブ装置
1001 記録媒体
1002 補助記憶装置
1003 メモリ装置
1004 CPU
1005 インタフェース装置
1006 表示装置
1007 入力装置