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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】積層型フィルタ
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/01 20060101AFI20240516BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20240516BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20240516BHJP
   H03H 7/075 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
H03H7/01 A
H03H7/01 Z
H01F17/00 C
H01F27/00 S
H03H7/075 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020024560
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021129274
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】塚本 和寛
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-182377(JP,A)
【文献】国際公開第2019/107081(WO,A1)
【文献】特開2008-005182(JP,A)
【文献】特開2011-147090(JP,A)
【文献】国際公開第2012/077498(WO,A1)
【文献】特開2017-079362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 7/00- 7/13
H01F 17/00
H01F 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁体層が積層されて形成されている素体と、
前記素体の外表面に配置されている第1端子及び第2端子と、を備え、
前記素体内には、
第1インダクタと第1キャパシタとが並列に接続されて構成されている第1LC並列共振部と、
第2インダクタと第2キャパシタとが並列に接続されて構成されている第2LC並列共振部と、
インダクタ及びキャパシタを含んで構成されているLC回路部と、が構成されており、
前記LC回路部は、前記第1端子と前記第2端子との間の経路において、前記第1LC並列共振部と前記第2LC並列共振部との間に二つ以上接続されており、
前記素体内において、前記第1LC並列共振部の前記第1インダクタを構成する導体パターンと、前記第2LC並列共振部の前記第2インダクタを構成する導体パターンと、の間には、前記LC回路部の前記インダクタを構成する導体パターンは配置されておらず、
前記素体内において、前記第1インダクタを構成する前記導体パターン及び前記第2インダクタを構成する前記導体パターンのそれぞれの軸心方向は、複数の前記絶縁体層の積層方向に直交する方向であり、
前記第1LC並列共振部の前記第1インダクタと前記第2LC並列共振部の前記第2インダクタとが磁気結合している、積層型フィルタ。
【請求項2】
前記LC回路部は、
第3インダクタと第3キャパシタとが直列に接続されて構成されている第1LC直列共振部と、
第4インダクタと第4キャパシタとが直列に接続されて構成されている第2LC直列共振部と、を含んで構成されており、
前記素体内において、前記第1LC直列共振部及び前記第2LC直列共振部は、前記第1LC並列共振部及び前記第2LC並列共振部を間に挟む位置に配置され、前記第1LC並列共振部及び前記第2LC並列共振部よりも外側に離間して配置されている、請求項1に記載の積層型フィルタ。
【請求項3】
前記第1インダクタ、前記第2インダクタ、前記第3インダクタ及び前記第4インダクタのそれぞれは、導体パターン及びスルーホール導体で構成されている、請求項2に記載の積層型フィルタ。
【請求項4】
前記第1LC並列共振部、前記第2LC並列共振部及び前記LC回路部を含んで構成されているバンドパスフィルタを有するマルチプレクサである、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層型フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の積層型フィルタとして、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の積層型フィルタは、素体と、素体の実装面に配置された入力端子電極及び出力端子電極と、を備える。特許文献1の積層型フィルタでは、素体内には、2つのLC並列共振部と、2つのLC並列共振部の間に接続されているLC直列共振部と、が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-79362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一側面は、減衰特性の向上を図ることができる積層型フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面に係る積層型フィルタは、複数の絶縁体層が積層されて形成されている素体と、素体の外表面に配置されている第1端子及び第2端子と、を備え、素体内には、第1インダクタと第1キャパシタとが並列に接続されて構成されている第1LC並列共振部と、第2インダクタと第2キャパシタとが並列に接続されて構成されている第2LC並列共振部と、インダクタ及びキャパシタを含んで構成されているLC回路部と、が構成されており、LC回路部は、第1端子と第2端子との間の経路において、第1LC並列共振部と第2LC並列共振部との間に接続されており、素体内において、第1LC並列共振部の第1インダクタを構成する導体パターンと、第2LC並列共振部の第2インダクタを構成する導体パターンと、の間には、LC回路部のインダクタを構成する導体パターンは配置されておらず、第1LC並列共振部の第1インダクタと第2LC並列共振部の第2インダクタとが磁気結合している。
【0006】
本発明の一側面に係る積層型フィルタでは、素体内において、第1LC並列共振部の第1インダクタを構成する導体パターンと、第2LC並列共振部の第2インダクタを構成する導体パターンと、の間には、LC回路部のインダクタを構成する導体パターンは配置されていない。このように、積層型フィルタでは、第1LC並列共振部と第2LC並列共振部との間にLC回路部のインダクタを配置しないため、第1LC並列共振部と第2LC並列共振部との間の距離を短くすることができる。これにより、積層型フィルタでは、第1インダクタと第2インダクタとの磁気結合を強くすることができる。そのため、積層型フィルタでは、第1LC並列共振部の減衰ピーク(減衰極)と第2LC並列共振部の減衰ピークとの距離を離すことができる。したがって、積層型フィルタでは、減衰を急峻にすることができる。その結果、積層型フィルタでは、減衰特性の向上を図ることができる。
【0007】
一実施形態においては、LC回路部は、第3インダクタと第3キャパシタとが直列に接続されて構成されている第1LC直列共振部と、第4インダクタと第4キャパシタとが直列に接続されて構成されている第2LC直列共振部と、を含んで構成されており、素体内において、第1LC直列共振部及び第2LC直列共振部は、第1LC並列共振部及び第2LC並列共振部を間に挟む位置に配置され、第1LC並列共振部及び第2LC並列共振部よりも外側に離間して配置されていてもよい。この構成では、第1LC並列共振部の第1インダクタと第2LC並列共振部の第2インダクタとの磁気結合に比べて、第1LC直列共振部の第3インダクタと第2LC直列共振部の第4インダクタとの磁気結合が弱くなる。これにより、積層型フィルタでは、周波数の狭帯域で減衰が深いフィルタを実現することが可能となる。したがって、積層型フィルタでは、減衰特性の向上を図ることができる。
【0008】
一実施形態においては、第1インダクタ、第2インダクタ、第3インダクタ及び第4インダクタのそれぞれは、導体パターン及びスルーホール導体で構成されていてもよい。
【0009】
一実施形態においては、第1LC並列共振部、第2LC並列共振部及びLC回路部を含んで構成されているバンドパスフィルタを有するマルチプレクサであってもよい。この構成では、積層型フィルタをマルチプレクサとして機能させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一側面によれば、減衰特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態に係る積層型フィルタの斜視図である。
図2図2は、積層型フィルタの分解斜視図である。
図3図3は、積層型フィルタの等価回路図である。
図4図4は、積層型フィルタの内部構成を示す図である。
図5図5は、減衰特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1に示されるように、積層型フィルタ1は、素体2と、第1端子電極(第1端子)3と、第2端子電極(第2端子)4と、第1グランド電極5と、第2グランド電極6と、第3グランド電極7と、第4グランド電極8と、を備えている。積層型フィルタ1は、特定の周波数帯域の信号を通過させると共に、特定の周波数帯域以外の周波数帯域の信号を通過させない(減衰させる)バントパスフィルタである。積層型フィルタ1は、第1端子電極3及び第2端子電極4がそれぞれ信号ラインに接続されると共に、第1グランド電極5、第2グランド電極6、第3グランド電極7及び第4グランド電極8がそれぞれグランドに接続されるように、電子機器(例えば、回路基板又は電子基板など)に実装される。
【0014】
素体2は、直方体形状を呈している。素体2は、その外表面として、互いに対向する長方形状の第1主面2a及び第2主面2bと、互いに対向する第1側面2c及び第2側面2dと、互いに対向する第1端面(側面)2e及び第2端面(側面)2fと、を有している。素体2の第2主面2bは、電子機器に対向する実装面を構成する。
【0015】
第1端面2eと第2端面2fとの対向方向、すなわち、素体2の長手方向が、第1方向D1である。第1側面2cと第2側面2dとの対向方向、すなわち、素体2の幅方向が、第2方向D2である。第1主面2aと第2主面2bとの対向方向が、第3方向D3である。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。素体2は、例えば、長さLが1.6mm、幅Wが0.8mm、高さTが0.7mm程度である。
【0016】
図2に示されるように、素体2は、誘電体セラミック(BaTiO系セラミック又はガラスセラミック等)からなる。素体2は、複数の誘電体層(絶縁体層)9a~9sの積層によって構成されている。各誘電体層9a~9sは、例えば、誘電体材料(BaTiO系材料、Ba(Ti,Zr)O系材料、(Ba,Ca)TiO系材料、ガラス材料、又はアルミナ材料など)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。誘電体層9a~9sのうち、誘電体層9a及び9sは、保護層として素体2の最表層に配置されている。実際の素体2では、各誘電体層9a~9sは、層間の境界が視認できない程度に一体化されている。素体2の高さ方向、すなわち第1主面2aと第2主面2bとが対向している方向は、複数の誘電体層9a~9sが積層されている方向(以下、単に「積層方向」と称する。)と一致する。
【0017】
誘電体層9bには、第1コイル導体(導体パターン)10と、第2コイル導体11と、第3コイル導体12と、第4コイル導体13と、が配置されている。第1コイル導体10、第2コイル導体11、第3コイル導体12及び第4コイル導体13は、導電材(例えば、Ag又はPdなど)を含んでいる。第1コイル導体10、第2コイル導体11、第3コイル導体12及び第4コイル導体13は、導電性材料(例えば、Ag粉末又はPd粉末など)を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。以下、コイル導体は、同様に形成されている。
【0018】
第1コイル導体10は、略直線状(略I字状)を呈している。第1コイル導体10は、誘電体層9bにおいて素体2の第2端面2f側に配置されている。第1コイル導体10は、当該第1コイル導体10の長手方向が素体2の第2方向D2に沿うように配置されている。第2コイル導体11は、略直線状を呈している。第2コイル導体11は、誘電体層9bの中央部側に配置されている。第2コイル導体11は、当該第2コイル導体11の長手方向が素体2の第2方向D2に沿うように配置されている。
【0019】
第3コイル導体12は、略直線状を呈している。第3コイル導体12は、誘電体層9bの中央部側に配置されている。第3コイル導体12は、当該第3コイル導体12の長手方向が素体2の第2方向D2に沿うように配置されている。第4コイル導体13は、略直線状を呈している。第4コイル導体13は、誘電体層9bにおいて素体2の第1端面2e側に配置されている。第4コイル導体13は、当該第4コイル導体13の長手方向が素体2の第2方向D2に沿うように配置されている。
【0020】
誘電体層9cには、第5コイル導体14と、第6コイル導体15と、第7コイル導体16と、第8コイル導体17と、が配置されている。第5コイル導体14は、第1コイル導体10と同様の構成を有している。第5コイル導体14は、積層方向において第1コイル導体10と重なる位置に配置されている。第5コイル導体14は、スルーホール導体H1及びスルーホール導体H2を介して第1コイル導体10と電気的に接続されている。
【0021】
第6コイル導体15は、第2コイル導体11と同様の構成を有している。第6コイル導体15は、積層方向において第2コイル導体11と重なる位置に配置されている。第6コイル導体15は、スルーホール導体H3及びスルーホール導体H4を介して第2コイル導体11と電気的に接続されている。
【0022】
第7コイル導体16は、第3コイル導体12と同様の構成を有している。第7コイル導体16は、積層方向において第3コイル導体12と重なる位置に配置されている。第7コイル導体16は、スルーホール導体H5及びスルーホール導体H6を介して第3コイル導体12と電気的に接続されている。
【0023】
第8コイル導体17は、第4コイル導体13と同様の構成を有している。第8コイル導体17は、積層方向において第4コイル導体13と重なる位置に配置されている。第8コイル導体17は、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H8を介して第4コイル導体13と電気的に接続されている。
【0024】
誘電体層9dには、第9コイル導体18と、第10コイル導体19と、第11コイル導体20と、第12コイル導体21と、が配置されている。第9コイル導体18は、第1コイル導体10と同様の構成を有している。第9コイル導体18は、積層方向において第5コイル導体14と重なる位置に配置されている。第9コイル導体18は、スルーホール導体H1及びスルーホール導体H2を介して第5コイル導体14と電気的に接続されている。
【0025】
第10コイル導体19は、第2コイル導体11と同様の構成を有している。第10コイル導体19は、積層方向において第6コイル導体15と重なる位置に配置されている。第10コイル導体19は、スルーホール導体H3及びスルーホール導体H4を介して第6コイル導体15と電気的に接続されている。
【0026】
第11コイル導体20は、第3コイル導体12と同様の構成を有している。第11コイル導体20は、積層方向において第7コイル導体16と重なる位置に配置されている。第11コイル導体20は、スルーホール導体H5及びスルーホール導体H6を介して第7コイル導体16と電気的に接続されている。
【0027】
第12コイル導体21は、第4コイル導体13と同様の構成を有している。第12コイル導体21は、積層方向において第8コイル導体17と重なる位置に配置されている。第12コイル導体21は、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H8を介して第8コイル導体17と電気的に接続されている。
【0028】
誘電体層9eには、ビア導体22a,22b,22c,22d,22e,22f,22g,22hが配置されている。ビア導体22aは、スルーホール導体H1と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H1と電気的に接続されている。ビア導体22bは、スルーホール導体H2と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H2と電気的に接続されている。ビア導体22cは、スルーホール導体H3と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H3と電気的に接続されている。ビア導体22dは、スルーホール導体H4と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H4と電気的に接続されている。
【0029】
ビア導体22eは、スルーホール導体H5と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H5と電気的に接続されている。ビア導体22fは、スルーホール導体H6と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H6と電気的に接続されている。ビア導体22gは、スルーホール導体H7と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H7と電気的に接続されている。ビア導体22hは、スルーホール導体H8と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H8と電気的に接続されている。
【0030】
誘電体層9fには、ビア導体23a,23b,23c,23d,23e,23f,23g,23hが配置されている。誘電体層9gには、ビア導体24a,24b,24c,24d,24e,24f,24g,24hが配置されている。誘電体層9hには、ビア導体25a,25b,25c,25d,25e,25f,25g,25hが配置されている。誘電体層9iには、ビア導体26a,26b,26c,26d,26e,26f,26g,26hが配置されている。
【0031】
ビア導体23a,24a,25a,26aは、スルーホール導体H1と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H1と電気的に接続されている。ビア導体23b,24b,25b,26bは、スルーホール導体H2と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H2と電気的に接続されている。ビア導体23c,24c,25c,26cは、スルーホール導体H3と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H3と電気的に接続されている。ビア導体23d,24d,25d,26dは、スルーホール導体H4と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H4と電気的に接続されている。
【0032】
ビア導体23e,24e,25e,26eは、スルーホール導体H5と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H5と電気的に接続されている。ビア導体23f,24f,25f,26fは、スルーホール導体H6と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H6と電気的に接続されている。ビア導体23g,24g,25g,26gは、スルーホール導体H7と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H7と電気的に接続されている。ビア導体23h,24h,25h,26hは、スルーホール導体H8と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H8と電気的に接続されている。
【0033】
誘電体層9jには、第1内部電極27と、ビア導体28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hが配置されている。第1内部電極27は、長方形状を呈している。第1内部電極27は、当該第1内部電極27の長手方向が素体2の第1方向D1に沿うように配置されている。第1内部電極27は、導電材(例えば、Ag又はPdなど)を含んでいる。第1内部電極27は、導電性材料(例えば、Ag粉末又はPd粉末など)を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。以下、内部電極は、同様に形成されている。
【0034】
ビア導体28aは、スルーホール導体H1と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H1と電気的に接続されている。ビア導体28bは、スルーホール導体H2と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H2と電気的に接続されている。ビア導体28cは、スルーホール導体H3と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H3と電気的に接続されている。ビア導体28dは、スルーホール導体H4と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H4と電気的に接続されている。
【0035】
ビア導体28eは、スルーホール導体H5と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H5と電気的に接続されている。ビア導体28fは、スルーホール導体H6と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H6と電気的に接続されている。ビア導体28gは、スルーホール導体H7と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H7と電気的に接続されている。ビア導体28hは、スルーホール導体H8と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H8と電気的に接続されている。
【0036】
誘電体層9kには、ビア導体29a,29b,29c,29d,29e,29f,29g,29hが配置されている。誘電体層9lには、ビア導体30a,30b,30c,30d,30e,30f,30g,30hが配置されている。
【0037】
ビア導体29a,30aは、スルーホール導体H1と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H1と電気的に接続されている。ビア導体29b,30bは、スルーホール導体H2と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H2と電気的に接続されている。ビア導体29c,30cは、スルーホール導体H3と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H3と電気的に接続されている。ビア導体29d,30dは、スルーホール導体H4と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H4と電気的に接続されている。
【0038】
ビア導体29e,30eは、スルーホール導体H5と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H5と電気的に接続されている。ビア導体29f,30fは、スルーホール導体H6と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H6と電気的に接続されている。ビア導体29g,30gは、スルーホール導体H7と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H7と電気的に接続されている。ビア導体29h,30hは、スルーホール導体H8と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H8と電気的に接続されている。
【0039】
誘電体層9mには、第2内部電極31と、第3内部電極32と、ビア導体33a,33b,33c,33d,33e,33fと、が配置されている。第2内部電極31は、誘電体層9mにおいて第2端面2f側で且つ第2側面2d側に配置されている。第2内部電極31は、本体部31aと、本体部31aの一端から延在する引出部31bと、を有している。本体部31aは、略矩形状を呈している。引出部31bは、本体部31aの一辺から素体2の第2端面2fに向かって延在している。本体部31aは、スルーホール導体H4と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H4と電気的に接続されている。
【0040】
第3内部電極32は、誘電体層9mにおいて第1端面2e側で且つ第2側面2d側に配置されている。第3内部電極32は、本体部32aと、本体部32aの一端から延在する引出部32bと、を有している。本体部32aは、略矩形状を呈している。引出部32bは、本体部32aの一辺から素体2の第1端面2eに向かって延在している。本体部32aは、スルーホール導体H6と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H6と電気的に接続されている。
【0041】
ビア導体33aは、スルーホール導体H1と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H1と電気的に接続されている。ビア導体33bは、スルーホール導体H2と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H2と電気的に接続されている。ビア導体33cは、スルーホール導体H3と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H3と電気的に接続されている。ビア導体33dは、スルーホール導体H4と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H4と電気的に接続されている。ビア導体33eは、スルーホール導体H5と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H5と電気的に接続されている。ビア導体33fは、スルーホール導体H6と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H6と電気的に接続されている。
【0042】
誘電体層9nには、第4内部電極34と、第5内部電極35と、ビア導体36a,36b,36c,36d,36e,36fと、が配置されている。第4内部電極34は、誘電体層9nにおいて第2端面2f側に配置されている。第4内部電極34は、略矩形状を呈している。第4内部電極34は、スルーホール導体H3と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H3と電気的に接続されている。第5内部電極35は、誘電体層9nにおいて第1端面2e側に配置されている。第5内部電極35は、略矩形状を呈している。第5内部電極35は、スルーホール導体H5と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H5と電気的に接続されている。
【0043】
ビア導体36aは、スルーホール導体H1と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H1と電気的に接続されている。ビア導体36bは、スルーホール導体H2と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H2と電気的に接続されている。ビア導体36cは、第2内部電極31の引出部31bと積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H9によって第2内部電極31と電気的に接続されている。ビア導体36dは、スルーホール導体H7と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H7と電気的に接続されている。ビア導体36eは、スルーホール導体H8と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H8と電気的に接続されている。ビア導体36fは、第3内部電極32の引出部32bと積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H10によって第3内部電極32と電気的に接続されている。
【0044】
誘電体層9oには、第6内部電極37と、第7内部電極38と、ビア導体39a,39b,39c,39d,39e,39fと、が配置されている。第6内部電極37は、誘電体層9oにおいて第2端面2f側に配置されている。第6内部電極37は、全体として略L字形状を呈している。第6内部電極37は、第1電極部37aと、第1電極部37aの一端から延在する第2電極部37bと、第1電極部37aの一端から延在する引出部37cと、を有している。引出部37cは、スルーホール導体H2と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H2と電気的に接続されている。
【0045】
第7内部電極38は、誘電体層9oにおいて第1端面2e側に配置されている。第7内部電極38は、全体として略L字形状を呈している。第7内部電極38は、第1電極部38aと、第1電極部38aの一端から延在する第2電極部38bと、第1電極部38aの一端から延在する引出部37cと、を有している。引出部38cは、スルーホール導体H8と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H8と電気的に接続されている。
【0046】
ビア導体39aは、スルーホール導体H1と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H1と電気的に接続されている。ビア導体39bは、スルーホール導体H9と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H9と電気的に接続されている。ビア導体39cは、スルーホール導体H11と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H11によって第4内部電極34と電気的に接続されている。ビア導体39dは、スルーホール導体H12と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H12によって第5内部電極35と電気的に接続されている。ビア導体39eは、スルーホール導体H10と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H10と電気的に接続されている。ビア導体39fは、スルーホール導体H7と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H7と電気的に接続されている。
【0047】
誘電体層9pには、第8内部電極40と、第9内部電極41と、第10内部電極42と、第11内部電極43と、ビア導体44a,44b,44c,44dと、が配置されている。第8内部電極40は、誘電体層9pにおいて第2端面2f側で且つ第1側面2c側に配置されている。第8内部電極40は、凸形状を呈している。第8内部電極40は、スルーホール導体H11と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H11と電気的に接続されている。第9内部電極41は、誘電体層9pにおいて第1端面2e側で且つ第1側面2c側に配置されている。第9内部電極41は、凸形状を呈している。第9内部電極41は、スルーホール導体H12と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H12と電気的に接続されている。
【0048】
第10内部電極42は、誘電体層9pにおいて第2側面2d側に配置されている。第10内部電極42は、略L字形状を呈している。第10内部電極42の端部は、第7内部電極38の第1電極部38aと積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H13によって第7内部電極38と電気的に接続されている。第11内部電極43は、誘電体層9pにおいて第2側面2d側に配置されている。第11内部電極43は、略L字形状を呈している。第11内部電極43の端部は、第6内部電極37の第1電極部37aと積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H14によって第6内部電極37と電気的に接続されている。
【0049】
ビア導体44aは、スルーホール導体H1と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H1と電気的に接続されている。ビア導体44bは、スルーホール導体H9と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H9と電気的に接続されている。ビア導体44cは、スルーホール導体H7と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H7と電気的に接続されている。ビア導体44dは、スルーホール導体H10と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H10と電気的に接続されている。
【0050】
誘電体層9qには、第12内部電極45と、第13内部電極46と、第14内部電極47と、ビア導体48a,48bと、が配置されている。第12内部電極45は、誘電体層9qにおいて第1側面2c側に配置されている。第12内部電極45は、素体2の第1方向D1に沿って延在している。第12内部電極45は、スルーホール導体H1及びスルーホール導体H7と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H1及びスルーホール導体H7と電気的に接続されている。第13内部電極46は、誘電体層9qにおいて第2端面2f側で且つ第2側面2d側に配置されている。第13内部電極46は、矩形状を呈している。第14内部電極47は、誘電体層9qにおいて第1端面2e側で且つ第2側面2d側に配置されている。第14内部電極47は、矩形状を呈している。
【0051】
ビア導体48aは、スルーホール導体H9と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H9と電気的に接続されている。ビア導体48bは、スルーホール導体H10と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H10と電気的に接続されている。
【0052】
誘電体層9rには、第1接続導体49と、第2接続導体50と、第3接続導体51と、ビア導体52a,52bと、が配置されている。第1接続導体49は、誘電体層9rにおいて第2端面2f側で且つ第1側面2c側に配置されている。第1接続導体49は、直線状を呈している。第1接続導体49は、第12内部電極45と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H15によって第12内部電極45と電気的に接続されている。第1接続導体49は、第3グランド電極7と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H17によって第3グランド電極7と電気的に接続されている。
【0053】
第2接続導体50は、誘電体層9rにおいて第1端面2e側で且つ第1側面2c側に配置されている。第2接続導体50は、直線状を呈している。第2接続導体50は、第12内部電極45と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H16によって第12内部電極45と電気的に接続されている。第2接続導体50は、第4グランド電極8と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H18によって第4グランド電極8と電気的に接続されている。
【0054】
第3接続導体51は、誘電体層9rにおいて第2側面2d側に配置されている。第3接続導体51は、長方形状を呈している。第3接続導体51は、第13内部電極46及び第1グランド電極5と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H19によって第13内部電極46及び第1グランド電極5と電気的に接続されている。第3接続導体51は、第14内部電極47及び第2グランド電極6と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H20によって第14内部電極47及び第2グランド電極6と電気的に接続されている。
【0055】
ビア導体52aは、スルーホール導体H9と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H9と電気的に接続されている。ビア導体52aは、スルーホール導体H9によって、第1端子電極3と電気的に接続されている。ビア導体52bは、スルーホール導体H10と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H10と電気的に接続されている。ビア導体52bは、スルーホール導体H10によって、第2端子電極4と電気的に接続されている。
【0056】
図1に示されるように、第1端子電極3及び第2端子電極4は、素体2の第2主面2bに配置されている。第1端子電極3及び第2端子電極4のそれぞれは、長方形状を呈している。第1端子電極3は、第2主面2bの第2端面2f側に位置し、当該第1端子電極3の長手方向が素体2の第2方向D2に沿うように配置されている。第2端子電極4は、第2主面2bの第1端面2e側に位置し、当該第2端子電極4の長手方向が素体2の第2方向D2に沿うように配置されている。第1端子電極3と第2端子電極4とは、素体2の第1方向D1において所定の間隔をあけて配置されている。
【0057】
第1グランド電極5、第2グランド電極6、第3グランド電極7及び第4グランド電極8は、素体2の第2主面2bに配置されている。第1グランド電極5、第2グランド電極6、第3グランド電極7及び第4グランド電極8のそれぞれは、長方形状を呈している。第1グランド電極5及び第2グランド電極6は、第1端子電極3と第2端子電極4との間に配置されている。第1グランド電極5及び第2グランド電極6は、第2主面2bの第2側面2d側に配置されている。第1グランド電極5は、第2主面2bの第2端面2f側に配置されている。第2グランド電極6は、第2主面2bの第1端面2e側に配置されている。第1グランド電極5と第2グランド電極6とは、素体2の第1方向D1において所定の間隔をあけて配置されている。
【0058】
第3グランド電極7及び第4グランド電極8は、第1端子電極3と第2端子電極4との間に配置されている。第3グランド電極7及び第4グランド電極8は、第2主面2bの第1側面2c側に配置されている。第3グランド電極7は、第2主面2bの第2端面2f側に配置されている。第3グランド電極7は、第1グランド電極5と素体2の第2方向D2において所定の間隔をあけて配置されている。第4グランド電極8は、第2主面2bの第1端面2e側に配置されている。第4グランド電極8は、第2グランド電極6と素体2の第2方向D2において所定の間隔をあけて配置されている。第3グランド電極7と第4グランド電極8とは、素体2の第1方向D1において所定の間隔をあけて配置されている。
【0059】
第1端子電極3、第2端子電極4、第1グランド電極5、第2グランド電極6、第3グランド電極7及び第4グランド電極8は、導電材(例えば、Ag又はPdなど)を含んでいる。第1端子電極3、第2端子電極4、第1グランド電極5、第2グランド電極6、第3グランド電極7及び第4グランド電極8は、導電性材料(例えば、Ag粉末又はPd粉末など)を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。第1端子電極3、第2端子電極4、第1グランド電極5、第2グランド電極6、第3グランド電極7及び第4グランド電極8の表面にはめっき層が形成されている。めっき層は、例えば電気めっきにより形成される。めっき層は、Cuめっき層、Niめっき層、及びSnめっき層からなる層構造、又は、Niめっき層及びSnめっき層からなる層構造などを有する。
【0060】
図3に示されるように、積層型フィルタ1は、信号が入出力される第1ポートPort1と、信号が入出力される第2ポートPort2と、第1LC並列共振部RP1と、第2LC並列共振部RP2と、第1LC直列共振部(LC回路部)RS1と、第2LC直列共振部(LC回路部)RS2と、を含んでいる。積層型フィルタ1は、グランドGnd1と、グランドGnd2と、グランドGnd3と、グランドGnd4と、グランドGnd5と、グランドGnd6と、を含んでいる。各共振部は、共振器又は共振回路と言い換えることもできる。
【0061】
第1ポートPort1は、第1端子電極3により構成されている。第2ポートPort2は、第2端子電極4により構成されている。グランドGnd1は、第3グランド電極7により構成されている。グランドGnd2は、第3グランド電極7により構成されている。グランドGnd3は、第4グランド電極8により構成されている。グランドGnd4は、第4グランド電極8により構成されている。グランドGnd5は、第1グランド電極5により構成されている。グランドGnd6は、第2グランド電極6により構成されている。
【0062】
第1LC並列共振部RP1は、第1インダクタLin1及び第1キャパシタCin1を含んで構成されている。第1インダクタLin1と第1キャパシタCin1とは、並列に接続されている。第1LC並列共振部RP1の一端部は、第1ポートPort1に接続されている。第1インダクタLin1は、第2コイル導体11、第6コイル導体15、第10コイル導体19、ビア導体22c,23c,24c,25c,26c,28c,29c,30c、ビア導体22d,23d,24d,25d,26d,28d,29d,30d、及び、スルーホール導体H3及びH4を含んで構成されている。第1キャパシタCin1は、第2内部電極31及び第4内部電極34により構成されている。
【0063】
第2LC並列共振部RP2は、第2インダクタLin2及び第2キャパシタCin2を含んで構成されている。第2インダクタLin2と第2キャパシタCin2とは、並列に接続されている。第2LC並列共振部RP2の一端部は、第2ポートPort2に接続されている。第2インダクタLin2は、第3コイル導体12、第7コイル導体16、第11コイル導体20、ビア導体22e,23e,24e,25e,26e,28e,29e,30e,33d、ビア導体22f,23f,24f,25f,26f,28f,29f,30f、及び、スルーホール導体H5及びH6を含んで構成されている。第2キャパシタCin2は、第3内部電極32及び第5内部電極35により構成されている。
【0064】
第1LC直列共振部RS1は、第3インダクタLg1及び第3キャパシタCg1を含んで構成されている。第1LC直列共振部RS1の一端部は、グランドGnd2に接続されており、第1LC直列共振部RS1の他端部は、グランドGnd5に接続されている。第3インダクタLg1と第3キャパシタCg1とは、直列に接続されている。
【0065】
第3インダクタLg1は、第1コイル導体10、第5コイル導体14、第9コイル導体18、ビア導体22a,23a,24a,25a,26a,28a,29a,30a,33a,36a,39a,44a、ビア導体22b,23b,24b,25b,26b,28b,29b,30b,33b,36b、及び、スルーホール導体H1及びH2を含んで構成されている。第3キャパシタCg1は、第11内部電極43及び第14内部電極47により構成されている。
【0066】
第2LC直列共振部RS2は、第4インダクタLg2及び第4キャパシタCg2を含んで構成されている。第2LC直列共振部RS2の一端部は、グランドGnd3に接続されており、第2LC直列共振部RS2の他端部は、グランドGnd6に接続されている。第4インダクタLg2と第4キャパシタCg2とは、直列に接続されている。
【0067】
第4インダクタLg2は、第4コイル導体13、第8コイル導体17、第12コイル導体21、ビア導体22g,23g,24g,25g,26g,28g,29g,30g,33e,36d,39f,44c、ビア導体22h,23h,24h,25h,26h,28h,29h,30h,33f,36e、及び、スルーホール導体H7及びH8を含んで構成されている。第4キャパシタCg2は、第10内部電極42及び第13内部電極46により構成されている。
【0068】
キャパシタCt1は、第1LC並列共振部RP1とグランドGnd1との間に配置されている。キャパシタCt1は、第8内部電極40及び第12内部電極45により構成されている。キャパシタCt2は、第2LC並列共振部RP2とグランドGnd2との間に配置されている。キャパシタCt2は、第9内部電極41及び第12内部電極45により構成されている。
【0069】
キャパシタCl1は、第1LC並列共振部RP1と第1LC直列共振部RS1との間に配置されている。キャパシタCl1は、第4内部電極34及び第6内部電極37により構成されている。キャパシタCl2は、第2LC並列共振部RP2と第2LC直列共振部RS2との間に配置されている。キャパシタCl2は、第5内部電極35及び第7内部電極38により構成されている。
【0070】
キャパシタCm1及びキャパシタCm2は、第1LC直列共振部RS1と第2LC直列共振部RS2との間に配置されている。キャパシタCm1とキャパシタCm2とは、並列に接続されている。キャパシタCm1は、第6内部電極37及び第10内部電極42により構成されている。キャパシタCm2は、第7内部電極38及び第11内部電極43により構成されている。
【0071】
キャパシタCb1及びキャパシタCb2は、第1LC並列共振部RP1と第2LC並列共振部RP2との間に配置されている。キャパシタCb1とキャパシタCb2とは、直列に接続されている。キャパシタCb1は、第1内部電極27及び第4内部電極34により構成されている。キャパシタCb2は、第1内部電極27及び第5内部電極35により構成されている。
【0072】
積層型フィルタ1では、第1ポートPort1と第2ポートPort2との間の信号の経路において、第1LC並列共振部RP1と第2LC並列共振部RP2との間に、第1LC直列共振部RS1及び第2LC直列共振部RS2が設けられている。積層型フィルタ1では、第1LC並列共振部RP1の第1インダクタLin1と第2LC並列共振部RP2の第2インダクタLin2とが互いに磁気結合する。積層型フィルタ1では、第1LC直列共振部RS1の第3インダクタLg1と第2LC直列共振部RS2の第4インダクタLg2とが互いに磁気結合する。積層型フィルタ1では、第1LC並列共振部RP1の第1インダクタLin1と第2LC並列共振部RP2の第2インダクタLin2との磁気結合の方が、第1LC直列共振部RS1の第3インダクタLg1と第2LC直列共振部RS2の第4インダクタLg2との磁気結合よりも強い。
【0073】
積層型フィルタ1では、素体2内において、第1LC並列共振部RP1の第1インダクタLin1を構成する導体パターンと、第2LC並列共振部RP2の第2インダクタLin2を構成する導体パターンとの間には、第1LC直列共振部RS1を構成する第3インダクタLg1を構成する導体パターン及び第2LC直列共振部RS2を構成する第4インダクタLg2を構成する導体パターンは配置されていない。
【0074】
具体的には、図4に示されるように、第1LC並列共振部RP1の第1インダクタLin1を構成する第2コイル導体11、第6コイル導体15、第10コイル導体19、ビア導体22c,23c,24c,25c,26c,28c,29c,30c、ビア導体22d,23d,24d,25d,26d,28d,29d,30d、及び、スルーホール導体H3及びH4と、第2LC並列共振部RP2の第2インダクタLin2を構成する第3コイル導体12、第7コイル導体16、第11コイル導体20、ビア導体22e,23e,24e,25e,26e,28e,29e,30e,33d、ビア導体22f,23f,24f,25f,26f,28f,29f,30f、及び、スルーホール導体H5及びH6との間には、第1LC直列共振部RS1の第3インダクタLg1を構成する第1コイル導体10、第5コイル導体14、第9コイル導体18、ビア導体22a,23a,24a,25a,26a,28a,29a,30a,33a,36a,39a,44a、ビア導体22b,23b,24b,25b,26b,28b,29b,30b,33b,36b、及び、スルーホール導体H1及びH2と、第2LC直列共振部RS2の第4インダクタLg2を構成する第4コイル導体13、第8コイル導体17、第12コイル導体21、ビア導体22g,23g,24g,25g,26g,28g,29g,30g,33e,36d,39f,44c、ビア導体22h,23h,24h,25h,26h,28h,29h,30h,33f,36e、及び、スルーホール導体H7及びH8と、が配置されていない。
【0075】
積層型フィルタ1では、素体2内において、第1LC直列共振部RS1及び第2LC直列共振部RS2は、第1LC並列共振部RP1及び第2LC並列共振部RP2を間に挟む位置に配置され、第1LC並列共振部RP1及び第2LC並列共振部RP2よりも外側に離間して配置されている。これにより、積層型フィルタ1では、素体2内において、第1LC並列共振部RP1の第1インダクタLin1を構成する導体パターンと第2LC並列共振部RP2の第2インダクタLin2を構成する導体パターンとの間の素体2の第1方向D1における距離は、第1LC直列共振部RS1の第3インダクタLg1を構成する導体パターンと第2LC直列共振部RS2の第4インダクタLg2を構成する導体パターンとの間の距離よりも短い。すなわち、積層型フィルタ1では、素体2内において、第1LC直列共振部RS1の第3インダクタLg1を構成する導体パターンと第2LC直列共振部RS2の第4インダクタLg2を構成する導体パターンとは、第1LC並列共振部RP1の第1インダクタLin1を構成する導体パターンと第2LC並列共振部RP2の第2インダクタLin2を構成する導体パターンとよりも、素体2の第1方向D1において離間して配置されている。
【0076】
以上説明したように、本実施形態に係る積層型フィルタ1では、素体2内において、第1LC並列共振部RP1の第1インダクタLin1を構成する導体パターンと、第2LC並列共振部RP2の第2インダクタLin2を構成する導体パターンと、の間には、第1LC直列共振部RS1及び第2LC直列共振部RS2を構成するインダクタを構成する導体パターンは配置されていない。このように、積層型フィルタ1では、第1LC並列共振部RP1と第2LC並列共振部RP2との間に第1LC直列共振部RS1及び第2LC直列共振部RS2のインダクタを配置しないため、第1LC並列共振部RP1と第2LC並列共振部RP2との間の物理的な距離を短くすることができる。これにより、積層型フィルタ1では、第1インダクタLin1と第2インダクタLin2との磁気結合を強くすることができる。そのため、積層型フィルタ1では、第1LC並列共振部RP1の減衰ピーク(減衰極)と第2LC並列共振部RP2の減衰ピークとの距離を離すことができる。したがって、積層型フィルタ1では、減衰を急峻にすることができる。その結果、積層型フィルタ1では、減衰特性の向上を図ることができる。
【0077】
図5では、従来の積層型フィルタの減衰特性を破線、本実施形態に係る積層型フィルタ1の減衰特性を実線で示している。図5では、横軸を周波数[GHz]、縦軸を絶対値[dB]としている。従来の積層型フィルタは、素体内において、第1LC並列共振部の第1インダクタを構成する導体パターンと、第2LC並列共振部の第2インダクタを構成する導体パターンと、の間に、第1LC直列共振部及び第2LC直列共振部のそれぞれを構成する導体パターンが配置されている。図5では、積層型フィルタ1の第1LC並列共振部RP1の減衰ピークFr1及び第2LC並列共振部RP2の減衰ピークFr2を破線で囲んでいる。同様に、従来の積層型フィルタの第1LC並列共振部の減衰ピークFr11及び第2LC並列共振部の減衰ピークFr22を破線で囲んでいる。
【0078】
図5に示されるように、積層型フィルタ1では、第1LC並列共振部RP1と第2LC並列共振部RP2との磁気結合を強くできるため、第1LC並列共振部RP1の減衰ピークFr1を低周波側にシフトさせることができると共に、第2LC並列共振部RP2の減衰ピークFr2を高周波側にシフトさせることができる。これにより、積層型フィルタ1では、高周波側の周波数帯域において、従来の積層型フィルタの減衰ピークFr11及び減衰ピークFr22に比べて、第1LC並列共振部RP1の減衰ピークFr1と第2LC並列共振部RP2の減衰ピークFr2との距離を離すことができる。これにより、積層型フィルタ1では、高周波側の周波数帯域において、減衰を急峻にすることができる。したがって、積層型フィルタでは、減衰特性の向上を図ることができる。
【0079】
本実施形態に係る積層型フィルタ1は、第3インダクタLg1と第3キャパシタCg1とが直列に接続されて構成されている第1LC直列共振部RS1と、第4インダクタLg2と第4キャパシタCg2とが直列に接続されて構成されている第2LC直列共振部RS2と、を含んでいる。素体2内において、第1LC直列共振部RS1及び第2LC直列共振部RS2は、第1LC並列共振部RP1及び第2LC並列共振部RP2を間に挟む位置に配置され、第1LC並列共振部RP1及び第2LC並列共振部RP2よりも外側に離間して配置されている。この構成では、第1LC並列共振部RP1の第1インダクタLin1と第2LC並列共振部RP2の第2インダクタLin2との磁気結合に比べて、第1LC直列共振部RS1の第3インダクタLg1と第2LC直列共振部RS2の第4インダクタLg2との磁気結合が弱くなる。これにより、積層型フィルタ1では、周波数の狭帯域で減衰が深いフィルタを実現することが可能となる。したがって、積層型フィルタ1では、減衰特性の向上を図ることができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0081】
上記実施形態では、LC回路部が第1LC直列共振部RS1及び第2LC直列共振部RS2である形態を一例に説明した。しかし、LC回路部は、平衡ローパスフィルタ等であってもよい。
【0082】
上記実施形態では、積層型フィルタ1が、第1LC並列共振部RP1、第2LC並列共振部RP2、第1LC直列共振部RS1及び第2LC直列共振部RS2を含んで構成されているバンドパスフィルタである形態を一例に説明した。しかし、積層型フィルタは、当該バンドパスフィルタを有するマルチプレクサであってもよい。この構成では、積層型フィルタは、端子電極を更に備える。
【0083】
上記実施形態では、第1LC直列共振部RS1及び第2LC直列共振部RS2を備える形態を一例に説明した。しかし、LC直列共振部を更に備えていてもよい。
【0084】
上記実施形態では、第1インダクタLin1が、第2コイル導体11、第6コイル導体15、第10コイル導体19、ビア導体22c,23c,24c,25c,26c,28c,29c,30c、及び、ビア導体22d,23d,24d,25d,26d,28d,29d,30dで構成されている形態を一例に説明した。しかし、第1インダクタLin1は、第2コイル導体11、第6コイル導体15及び第10コイル導体19で構成されていてもよい。すなわち、第1インダクタLin1は、導体パターンのみで構成されていてもよい。第2インダクタLin2、第3インダクタLg1及び第4インダクタLg2についても同様である。
【0085】
上記実施形態では、第1端子電極3、第2端子電極4、第1グランド電極5、第2グランド電極6、第3グランド電極7及び第4グランド電極8が、素体2の第2主面2bに配置されている形態を一例に説明した。しかし、各電極の配置はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0086】
1…積層型フィルタ、2…素体、3…第1端子電極(第1端子)、4…第2端子電極(第2端子)、9a~9s…誘電体層(絶縁体層)、Cg1…第3キャパシタ、Cg2…第4キャパシタ、Cin1…第1キャパシタ、Cin2…第2キャパシタ、Lg1…第3インダクタ、Lg2…第4インダクタ、Lin1…第1インダクタ、Lin2…第2インダクタ、RS1…第1LC直列共振部(LC回路部)、RS2…第2LC直列共振部(LC回路部)、RP1…第1LC並列共振部、RP2…第2LC並列共振部。
図1
図2
図3
図4
図5