特許 7489208 リーンバーンエンジン用燃料組成物

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-05-15

(45)【発行日】2024-05-23

(54)【発明の名称】リーンバーンエンジン用燃料組成物

(51)【国際特許分類】

   C10L 1/06 20060101AFI20240516BHJP

   C10L 1/182 20060101ALI20240516BHJP

   C10L 1/02 20060101ALI20240516BHJP

【ＦＩ】

C10L1/06

C10L1/182

C10L1/02

【請求項の数】 6

(21)【出願番号】P 2020058784

(22)【出願日】2020-03-27

(65)【公開番号】P2021155626

(43)【公開日】2021-10-07

【審査請求日】2023-02-24

(73)【特許権者】

【識別番号】000004444

【氏名又は名称】ＥＮＥＯＳ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100088155

【弁理士】

【氏名又は名称】長谷川 芳樹

(74)【代理人】

【識別番号】100113435

【弁理士】

【氏名又は名称】黒木 義樹

(74)【代理人】

【識別番号】100128381

【弁理士】

【氏名又は名称】清水 義憲

(74)【代理人】

【識別番号】100169454

【弁理士】

【氏名又は名称】平野 裕之

(72)【発明者】

【氏名】小畠 健

(72)【発明者】

【氏名】内木 武虎

【審査官】森 健一

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１９－０６５２１６（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平０８－１２７７８３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平０７－１８８６７８（ＪＰ，Ａ）

【文献】国際公開第２０２１／０２０１８１（ＷＯ，Ａ１）

【文献】特表２００２－５３６５３０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平１１－０６１１５７（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｃ１０Ｌ １／０２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

４０～９５体積％の炭素数４～８の炭化水素と、５～６０体積％のエタノールと、を含有し、
炭素数４～８の炭化水素に占める炭素数４～６の炭化水素の割合が８０体積％以上であり、
炭素数４～６の炭化水素に占める炭素数４～６のオレフィンの割合が１０～８０体積％であり、
芳香族分が５体積％以下である、リーンバーンエンジン用燃料組成物。

【請求項2】

炭素数４～６の炭化水素に占める炭素数４～６のオレフィンの割合が、３０～６０体積％である、請求項１に記載のリーンバーンエンジン用燃料組成物。

【請求項3】

４０～９５体積％の炭素数４～８の炭化水素と、５～６０体積％のエタノールと、を含有し、
炭素数４～８の炭化水素に占める炭素数７～８の炭化水素の割合が８０体積％以上であり、
炭素数７～８の炭化水素に占める炭素数７～８のオレフィンの割合が５～４０体積％であり、
芳香族分が１０～５０体積％である、リーンバーンエンジン用燃料組成物。

【請求項4】

炭素数４～８の炭化水素に占める炭素数７～８の炭化水素の割合が９０体積％以上であり、且つ、エタノールの含有量が４０～６０体積％である、請求項３に記載のリーンバーンエンジン用燃料組成物。

【請求項5】

炭素数７～８の炭化水素に占める炭素数７～８のオレフィンの割合が、１０～２０体積％である、請求項３又は４に記載のリーンバーンエンジン用燃料組成物。

【請求項6】

炭素数７～８の炭化水素に占める炭素数７～８の芳香族化合物の割合が、３０～５０体積％である、請求項３又は４に記載のリーンバーンエンジン用燃料組成物。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、リーンバーンエンジン用燃料組成物に関する。

【背景技術】

【0002】

従来から、理論空燃比より薄い混合気で燃料を燃焼させるリーンバーンエンジンが知られている。このようなリーンバーンエンジン用の燃料としては、例えば、特許文献１に、アルキレートガソリン、接触改質ガソリン、軽質接触分解ガソリン及びコーカーライトガソリンよりなる群から選ばれた１種以上のガソリンを配合したことを特徴とするリーンバーンエンジン用燃料組成物が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２００７－１８２５７９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

リーンバーンエンジンにおいて、運転可能な空燃比（空気／燃料）の上限はリーン限界と称され、このリーン限界を拡大することで、燃費の向上、燃焼の安定化等が期待される。

【0005】

一方、リーンバーンエンジン用燃料組成物には、ノッキングを抑制するためにオクタン価（ＲＯＮ）が高いことも求められている。しかし、従来のリーンバーンエンジン用燃料組成物では、リーン限界の拡大と高いオクタン価とを両立することが困難であった。

【0006】

そこで本発明は、リーンバーンエンジンのリーン限界を拡大させることが可能であり、且つ、十分に高いオクタン価を有するリーンバーンエンジン用燃料組成物を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明の一側面は、４０～９５体積％の炭素数４～８の炭化水素と、５～６０体積％のエタノールと、を含有する、リーンバーンエンジン用燃料組成物に関する。

【0008】

一態様において、炭素数４～８の炭化水素に占める炭素数４～６の炭化水素の割合は、９０体積％以上であってよい。

【0009】

上記態様において、炭素数４～６の炭化水素に占める炭素数４～６のオレフィンの割合は、３０～６０体積％であってよい。

【0010】

上記態様に係る燃料組成物は、芳香族分が５体積％以下であってよい。

【0011】

他の一態様において、炭素数４～８の炭化水素に占める炭素数７～８の炭化水素の割合は９０体積％以上であってよく、このとき、エタノールの含有量は４０～６０体積％であってよい。

【0012】

上記態様において、炭素数７～８の炭化水素に占める炭素数７～８のオレフィンの割合は、１０～２０体積％であってよい。

【0013】

上記態様において、炭素数７～８の炭化水素に占める炭素数７～８の芳香族化合物の割合が、３０～５０体積％であってよい。

【発明の効果】

【0014】

本発明によれば、リーンバーンエンジンのリーン限界を拡大させることが可能であり、且つ、十分に高いオクタン価を有するリーンバーンエンジン用燃料組成物が提供される。

【発明を実施するための形態】

【0015】

以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。

【0016】

本実施形態の燃料組成物は、４０～９５体積％の炭素数４～８の炭化水素と、５～６０体積％のエタノールと、を含有する、リーンバーンエンジン用燃料組成物である。

【0017】

本実施形態の燃料組成物では、炭素数４～８の炭化水素とエタノールとを主要な構成成分としている。このような燃料組成物は、リーンバーンエンジンのリーン限界を拡大させることが可能であり、且つ、十分に高いオクタン価を有するため、リーンバーンエンジン用燃料組成物として（特に、リーン限界が２以上の超希薄燃焼用として）好適に用いることができる。

【0018】

なお、本明細書中、燃料組成物における各成分の含有量は、ＪＩＳ Ｋ ２５３６－２「石油製品－成分試験方法 第２部：ガスクロマトグラフによる全成分の求め方」に記載の方法で測定される値を示す。

【0019】

本実施形態の燃料組成物において、エタノールの含有量は、オクタン価がより向上する観点から、好ましくは７体積％以上であり、より好ましくは１０体積％以上であり、更に好ましくは１５体積％以上であり、一層好ましくは２０体積％以上であり、より一層好ましくは２５体積％以上である。また、エタノールの含有量は、リーン限界をより拡大できる観点から、好ましくは５５体積％以下であり、より好ましくは５３体積％以下であり、５０体積％以下、４５体積％以下、４０体積％以下又は３５体積％以下であってもよい。

【0020】

本実施形態の燃料組成物において、炭素数４～８の炭化水素の含有量は、リーン限界をより拡大できる観点から、好ましくは４５体積％以上であり、より好ましくは４７体積％以上であり、５０体積％以上、５５体積％以上、６０体積％以上又は６５体積％以上であってもよい。また、炭素４～８の炭化水素の含有量は、オクタン価がより向上する観点から、好ましくは９３体積％以下であり、より好ましくは９０体積％以下であり、更に好ましくは８５体積％以下であり、一層好ましくは８０体積％以下であり、より一層好ましくは７５体積％以下である。

【0021】

炭素数４～８の炭化水素には、例えば、炭素数４～８のパラフィン（炭素数４～８のパラフィン及び炭素数４～８のイソパラフィン）、炭素数４～８のオレフィン、炭素数６～８の芳香族化合物（ベンゼン、トルエン、キシレン等）等が含まれていてよい。

【0022】

本実施形態の好適な一態様（以下、第一の態様）において、炭素数４～８の炭化水素に占める炭素数４～６の炭化水素の割合（すなわち、炭素数４～８の炭化水素の全量に対する炭素数４～６の炭化水素の含有量）は、８０体積％以上であってよい。

【0023】

第一の態様において、炭素数４～８の炭化水素に占める炭素数４～６の炭化水素の割合は、好ましくは８５体積％以上であり、より好ましくは８７体積％以上である。

【0024】

炭素数４～６の炭化水素には、例えば、炭素数４～６のパラフィン（炭素数４～６のパラフィン及び炭素数４～６のイソパラフィン）、炭素数４～６のオレフィン、炭素数６の芳香族化合物（ベンゼン）等が含まれていてよい。

【0025】

第一の態様において、炭素数４～６の炭化水素に占める炭素数４～６のパラフィンの割合は、例えば２０体積％以上であってよく、好ましくは２５体積％以上、より好ましくは３０体積％以上、更に好ましくは３５体積％以上である。また、炭素数４～６の炭化水素に占める炭素数４～６のパラフィンの割合は、例えば７０体積％以下であってよく、好ましくは６５体積％以下、より好ましくは６０体積％以下、更に好ましくは５５体積％以下である。これにより上記効果がより顕著に得られる傾向がある。

【0026】

第一の態様において、炭素数４～６の炭化水素に占める炭素数４～６のノルマルパラフィンの割合は、例えば１体積％以上であってよく、好ましくは２体積％以上、より好ましくは３体積％以上、更に好ましくは５体積％以上である。また、炭素数４～６の炭化水素に占める炭素数４～６のノルマルパラフィンの割合は、例えば３０体積％以下であってよく、好ましくは２５体積％以下、より好ましくは２０体積％以下、更に好ましくは１５体積％以下である。これにより上記効果がより顕著に得られる傾向がある。

【0027】

第一の態様において、炭素数４～６の炭化水素に占める炭素数４～６のイソパラフィンの割合は、例えば１０体積％以上であってよく、好ましくは１５体積％以上、より好ましくは２０体積％以上、更に好ましくは２５体積％以上、一層好ましくは３０体積％以上である。また、炭素数４～６の炭化水素に占める炭素数４～６のイソパラフィンの割合は、例えば６５体積％以下であってよく、好ましくは６０体積％以下、より好ましくは５５体積％以下、更に好ましくは５０体積％以下、一層好ましくは４５体積％以下である。これにより上記効果がより顕著に得られる傾向がある。

【0028】

第一の態様において、炭素数４～６の炭化水素に占める炭素数４～６のオレフィンの割合は、例えば１０体積％以上であってよく、好ましくは２０体積％以上、より好ましくは３０体積％以上、更に好ましくは３５体積％以上、一層好ましくは４０体積％以上である。また、炭素数４～６の炭化水素に占める炭素数４～６のオレフィンの割合は、例えば８０体積％以下であってよく、好ましくは７５体積％以下、より好ましくは７０体積％以下、更に好ましくは６５体積％以下、一層好ましくは６０体積％以下である。これにより上記効果がより顕著に得られる傾向がある。

【0029】

第一の態様の燃料組成物における芳香族分は、好ましくは５体積％以下であり、より好ましくは３体積％以下、更に好ましくは２体積％以下である。

【0030】

本実施形態の好適な他の一態様（以下、第二の態様）において、炭素数４～８の炭化水素に占める炭素数７～８の炭化水素の割合（すなわち、炭素数４～８の炭化水素の全量に対する炭素数７～８の炭化水素の含有量）は、９０体積％以上であってよい。

【0031】

第二の態様において、炭素数４～８の炭化水素に占める炭素数７～８の炭化水素の割合は、好ましくは８０体積％以上であり、より好ましくは９０体積％以上であり、１００体積％であってもよい。

【0032】

炭素数７～８の炭化水素には、例えば、炭素数７～８のパラフィン（炭素数７～８のパラフィン及び炭素数７～８のイソパラフィン）、炭素数７～８のオレフィン、炭素数７～８の芳香族化合物（トルエン、キシレン等）等が含まれていてよい。

【0033】

第二の態様において、炭素数７～８の炭化水素に占める炭素数７～８のパラフィンの割合は、例えば２０体積％以上であってよく、好ましくは２５体積％以上、より好ましくは３０体積％以上、更に好ましくは４０体積％以上である。また、炭素数７～８の炭化水素に占める炭素数７～８のパラフィンの割合は、例えば８０体積％以下であってよく、好ましくは７０体積％以下、より好ましくは６０体積％以下、更に好ましくは５０体積％以下である。これにより上記効果がより顕著に得られる傾向がある。

【0034】

第二の態様において、炭素数７～８の炭化水素に占める炭素数７～８のノルマルパラフィンの割合は、例えば３体積％以上であってよく、好ましくは５体積％以上、より好ましくは７体積％以上、更に好ましくは１０体積％以上である。また、炭素数７～８の炭化水素に占める炭素数７～８のノルマルパラフィンの割合は、例えば２０体積％以下であってよく、好ましくは１８体積％以下、より好ましくは１５体積％以下、更に好ましくは１３体積％以下である。これにより上記効果がより顕著に得られる傾向がある。

【0035】

第二の態様において、炭素数７～８の炭化水素に占める炭素数７～８のイソパラフィンの割合は、例えば２０体積％以上であってよく、好ましくは２５体積％以上、より好ましくは２８体積％以上、更に好ましくは３０体積％以上である。また、炭素数７～８の炭化水素に占める炭素数７～８のイソパラフィンの割合は、例えば７０体積％以下であってよく、好ましくは６０体積％以下、より好ましくは５０体積％以下、更に好ましくは４０体積％以下である。これにより上記効果がより顕著に得られる傾向がある。

【0036】

第二の態様において、炭素数７～８の炭化水素に占める炭素数７～８のオレフィンの割合は、例えば５体積％以上であってよく、好ましくは７体積％以上、より好ましくは９体積％以上、更に好ましくは１１体積％以上である。また、炭素数７～８の炭化水素に占める炭素数７～８のオレフィンの割合は、例えば４０体積％以下であってよく、好ましくは３０体積％以下、より好ましくは２０体積％以下、更に好ましくは１５体積％以下である。これにより上記効果がより顕著に得られる傾向がある。

【0037】

第二の態様において、炭素数７～８の炭化水素に占める炭素数７～８の芳香族化合物の割合は、例えば２０体積％以上であってよく、好ましくは２５体積％以上、より好ましくは３０体積％以上、更に好ましくは４０体積％以上である。また、炭素数７～８の炭化水素に占める炭素数７～８の芳香族化合物の割合は、例えば８０体積％以下であってよく、好ましくは７０体積％以下、より好ましくは６０体積％以下、更に好ましくは５０体積％以下である。これにより上記効果がより顕著に得られる傾向がある。

【0038】

第二の態様の燃料組成物における芳香族分は、例えば１０体積％以上であってよく、好ましくは１５体積％以上、より好ましくは２０体積％以上である。また、第二の態様の燃料組成物における芳香族分は、例えば５０体積％以下であってよく、好ましくは４０体積％以下、より好ましくは３０体積％以下である。

【0039】

第二の態様の燃料組成物において、エタノールの含有量は、オクタン価がより向上する観点から、好ましくは３０体積％以上であり、より好ましくは４０体積％以上であり、更に好ましくは４５体積％以上である。

【0040】

本実施形態の燃料組成物は、炭素数９以上の炭化水素を更に含んでいてもよい。炭素数９以上の炭化水素は、例えば炭素数９～１５の炭化水素であってよく、炭素数９～１０の炭化水素であってもよい。

【0041】

本実施形態の燃料組成物において、炭素数９以上の炭化水素の含有量は、例えば５０体積％未満であってよく、好ましくは４０体積％以下、より好ましくは３０体積％以下、更に好ましくは２０体積％以下、一層好ましくは１０体積％以下である。

【0042】

本実施形態の燃料組成物は、エタノール以外の含酸素化合物を更に含有していてもよい。

【0043】

含酸素化合物は、構成元素として酸素を含む有機化合物である。含酸素化合物としては、例えば、含酸素複素環式化合物、含酸素芳香族化合物、含酸素脂肪族化合物等が挙げられる。含酸素化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。

【0044】

含酸素複素環式化合物は、含酸素複素環を有する化合物である。含酸素複素環式化合物としては、例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、エチレンオキシド環、プロピレンオキシド環、ピラン環、テトラヒドロピラン環、ベンゾフラン環、ベンゾピラン環等の含酸素複素環を有する化合物が挙げられる。含酸素複素環式化合物としては、上記効果がより顕著に得られる観点から、フラン環を有する化合物が好ましい。フラン環を有する化合物としては、例えば、フラン、２－メチルフラン、２，５－ジメチルフランが挙げられる。フラン環を有する化合物としては、フラン、２－メチルフランが特に好ましい。

【0045】

含酸素芳香族化合物は、構成元素として酸素を含み、芳香環を有する化合物である。含酸素芳香族化合物としては、例えば、芳香環に直接結合する酸素原子を有する芳香族化合物（例えば、アルコキシベンゼン、フェノール類等）等が挙げられる。アルコキシベンゼンとしては、例えば、アニソール、フェネトール、プロピルオキシベンゼン等が挙げられる。アルコキシベンゼンとしては、沸点範囲の観点から、アニソール及びフェネトールが好ましい。

【0046】

含酸素脂肪族化合物としては、例えば、エタノール以外のアルコール類、エーテル類等（例えば、イソブチルアルコール、ＥＴＢＥ（エチル－ｔｅｒｔ－ブチルエーテル）等が挙げられる。

【0047】

本実施形態の燃料組成物において、エタノール以外の含酸素化合物の含有量は、燃料組成物の全量に対して、例えば２０体積％未満であってよく、１５体積％以下、１０体積％以下、５体積％以下又は１体積％以下であってよい。

【0048】

本実施形態の燃料組成物は、上記以外の他の成分を更に含有していてもよい。他の成分としては、例えば、清浄分散剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、表面着火防止剤、氷結防止剤、助燃剤、帯電防止剤、着色剤、防錆剤、水抜き剤、識別剤、着臭剤、摩擦調整剤等が挙げられる。これらの他の成分の合計含有量は、燃料組成物の全量に対して、例えば１体積％以下であってよく、０．５体積％以下が好ましく、０．１体積％以下がより好ましい。また、上記の他の成分の合計含有量は、燃料組成物の総量に対して、例えば０．００１体積％以上であってよく、０．００２体積％以上であってもよい。

【0049】

清浄分散剤としては、通常使用される清浄分散剤を用いることができ、例えば、コハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミンなどのガソリン清浄分散剤として公知の化合物を用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、Ｎ，Ｎ’－ジイソプロピル－ｐ－フェニレンジアミン、Ｎ，Ｎ’－ジイソブチル－ｐ－フェニレンジアミン、２，６－ジ－ｔ－ブチル－４－メチルフェノール、ヒンダードフェノール類等が挙げられる。金属不活性化剤としては、例えば、Ｎ，Ｎ’－ジサリチリデン－１，２－ジアミノプロパンのようなアミンカルボニル縮合化合物等が挙げられる。表面着火防止剤としては、例えば、有機リン系化合物等が挙げられる。氷結防止剤としては、例えば、多価アルコール又はそのエーテル等が挙げられる。助燃剤としては、例えば、有機酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、高級アルコール硫酸エステル等が挙げられる。帯電防止剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。着色剤としては、例えば、アゾ染料等が挙げられる。防錆剤としては、例えば、有機カルボン酸又はその誘導体類、アルケニルコハク酸エステル等が挙げられる。水抜き剤としては、例えば、ソルビタンエステル類等が挙げられる。識別剤としては、例えば、キリザニン、クマリン等が挙げられる。着臭剤としては、例えば、天然精油合成香料等が挙げられる。摩擦調整剤としては、例えば、高級カルボン酸モノグリセリド及び高級カルボン酸のアミド化合物の混合物等が挙げられる。

【0050】

以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。

【実施例】

【0051】

以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

【0052】

（実施例１）
燃料組成物用原料として、軽質分解ガソリンを準備し、軽質分解ガソリンを７０体積％、エタノールを３０体積％の割合で混合し、下記表１に示す組成の燃料組成物を得た。なお、燃料組成物の組成は、ＪＩＳ Ｋ ２５３６－２「石油製品－成分試験方法 第２部：ガスクロマトグラフによる全成分の求め方」により測定された値を示す。

【0053】

得られた燃料組成物を用いて、以下の方法でリーン限界の測定及びオクタン価の算出を行った。結果を表１に示す。

【0054】

＜リーン限界の測定＞
リーン限界は、下記の試験エンジンを使用し、回転数２０００ｒｐｍ、図示平均有効圧力８００ｋＰａ、トルク最大となる最小進角点火時期（ＭＢＴ）の条件下で空気過剰率を変更することで測定した。リーン限界は、図示平均有効圧力の変動率が３％を超える点における空気過剰率とした。なお、空気過剰率とは試験時の混合気の空燃比を燃料組成物の理論空燃比で除したものであり、当量比φの逆数となる。
（試験エンジン）
エンジン：単気筒
排気量：５６３ｃｃ
噴射方式：ポート噴射式

【0055】

＜オクタン価の算出＞
燃料組成物の組成は、ＪＩＳ Ｋ ２２８０－１「石油製品－オクタン価、セタン価およびセタン指数の求め方 第１部：リサーチ方オクタン価」により測定された値を示す。

【0056】

（実施例２）
燃料組成物用原料として軽質分解ガソリンと軽質改質ガソリン（ＬＦＭＴ）とを準備し、軽質分解ガソリンを５２．５体積％、ＬＦＭＴを１７．５体積％、エタノールを３０体積％の割合で混合し、下記表１に示す組成の燃料組成物を得た。得られた燃料組成物を用いて、実施例１と同様にリーン限界の測定及びオクタン価の算出を行った。結果を表１に示す。

【0057】

（実施例３）
燃料組成物用原料として軽質分解ガソリンを準備し、軽質分解ガソリンを９０体積％、エタノールを１０体積％の割合で混合し、下記表１に示す組成の燃料組成物を得た。得られた燃料組成物を用いて、実施例１と同様にリーン限界の測定及びオクタン価の算出を行った。結果を表１に示す。

【0058】

（実施例４）
燃料組成物用原料として表３に示す組成のハイオクガソリン相当燃料を準備し、ハイオクガソリン相当燃料を５０体積％、エタノールを５０体積％の割合で混合し、下記表１に示す組成の燃料組成物を得た。得られた燃料組成物を用いて、実施例１と同様にリーン限界の測定及びオクタン価の算出を行った。結果を表１に示す。

【0059】

（比較例１）
燃料組成物として、下記表３に示す組成のハイオクガソリン相当燃料を準備した。準備した燃料組成物を用いて、実施例１と同様にリーン限界の測定及びオクタン価の算出を行った。結果を表２に示す。

【0060】

（比較例２）
比較例１で用いた燃料組成物とエチル－ｔｅｒｔ－ブチルエーテル（ＥＴＢＥ）とを１：１（体積比）で配合し、下記表２に示す組成の燃料組成物を得た。得られた燃料組成物を用いて、実施例１と同様にリーン限界の測定及びオクタン価の算出を行った。結果を表２に示す。

【0061】

（比較例３）
比較例１で用いた燃料組成物と軽質直留ナフサ（ＬＳＲ）とを１：１（体積比）で配合し、下記表２に示す組成の燃料組成物を得た。得られた燃料組成物を用いて、実施例１と同様にリーン限界の測定及びオクタン価の算出を行った。結果を表２に示す。

【0062】

（比較例４）
燃料組成物用原料として軽質分解ガソリンと軽質直留ナフサ（ＬＳＲ）とを準備し、軽質分解ガソリンを７０体積％、ＬＳＲを３０体積％の割合で混合し、下記表２に示す組成の燃料組成物を得た。

【0063】

なお、表１～３中、各成分の割合を示す数値の単位は体積％である。

【0064】

【表1】

【0065】

【表2】

【0066】

【表3】