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特許7489210パンチプレス用金型、パンチプレス装置、および加工方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】パンチプレス用金型、パンチプレス装置、および加工方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 28/14 20060101AFI20240516BHJP
   B21D 28/16 20060101ALI20240516BHJP
   B21D 28/00 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
B21D28/14 A
B21D28/16
B21D28/00 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020060310
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021154381
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】394019082
【氏名又は名称】コマツ産機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】320002902
【氏名又は名称】福島キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】松浦 聡
(72)【発明者】
【氏名】原 利成
(72)【発明者】
【氏名】藏岡 一浩
(72)【発明者】
【氏名】坂本 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】金子 公俊
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公告第02727445(DE,B1)
【文献】特開2015-039706(JP,A)
【文献】特開2020-037127(JP,A)
【文献】米国特許第04144785(US,A)
【文献】特開2008-137050(JP,A)
【文献】特開平10-230329(JP,A)
【文献】特許第2864469(JP,B2)
【文献】特公昭55-26933(JP,B2)
【文献】特公昭53-11712(JP,B2)
【文献】特公昭59-35693(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/14
B21D 28/16
B21D 28/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のワークに対して第1方向に沿って加工を行うためのパンチプレス用金型であって、
前記第1方向と反対の第2方向に移動する前記ワークに対して加工を行うための加工部を有し、前記加工部の先端面の前記第1方向側の端に第1の面取り形状が形成されているパンチと、
前記加工部に対向する凹部と、前記凹部の前記第2方向側に配置され、前記ワークの加工された部分の少なくとも一部分に当接可能な第1当接面と、を有するダイと、
前記第1当接面に対向し、前記一部分に当接可能な第2当接面を有し、前記パンチの周囲に配置されたストリッパと、を備え、
前記ストリッパは、前記加工部が挿入される貫通孔を有し、
前記第2当接面の前記第1方向側の端は、前記貫通孔の前記第2方向側の縁を形成し、
前記第1当接面の前記第1方向側の端に第2の面取り形状が形成されており、
前記第1当接面の前記第1方向側の前記端は、前記第2当接面の前記第1方向側の端と対向している、
パンチプレス用金型。
【請求項2】
前記加工部の先端面の前記第2方向側の端に前記第1の面取り形状と異なる第3の面取り形状が形成されている、請求項1に記載のパンチプレス用金型。
【請求項3】
前記パンチは、前記ワークに前記加工が行われない部分を形成する非加工部分形成部を更に有し、
前記加工部分形成部は、前記加工部の前記第1方向に垂直な幅方向における両端のうち一方の端に設けられている、
請求項1に記載のパンチプレス用金型。
【請求項4】
前記加工部分形成部は、前記パンチの移動方向に沿って形成された切り欠き部を有する、請求項項に記載のパンチプレス用金型。
【請求項5】
前記凹部は、前記第1方向に垂直な方向の幅が、前記パンチの幅より狭い部分を有する、請求項1に記載のパンチプレス用金型。
【請求項6】
前記凹部は、前記第2方向側の端部付近の幅が、前記パンチの幅より広い部分を有する、請求項に記載のパンチプレス用金型。
【請求項7】
請求項1記載のパンチプレス用金型を用いて板状のワークに対して加工を行うパンチプレス装置であって、
前記パンチを駆動する第1駆動部材と、
前記パンチの周囲に配置された前記ストリッパを前記パンチと独立して駆動する第2駆動部材と、
前記ストリッパに対向して配置された前記ダイと前記ストリッパによって前記ワークを挟み込んだ状態で前記パンチを駆動して、前記加工部によって前記ワークに前記ダイ側に突出変形させた半抜き部分を形成する半抜き加工を行い、前記半抜き部分の少なくとも一部分を、前記ストリッパの前記第2当接面と前記ダイの前記第1当接面によって挟み込むことによって前記半抜き工程前の位置に戻すように移動させる戻し加工を行うように前記第1駆動部材と前記第2駆動部材を制御する制御部と、を備えた、
パンチプレス装置。
【請求項8】
請求項1記載のパンチプレス用金型を用いて板状のワークに対して前記第1方向に沿って加工を行うための加工方法であって、
前記ダイと前記ストリッパによって前記ワークを挟み込んだ状態で、前記パンチの前記加工部によって前記ワークに前記ダイ側に突出変形させた半抜き部分を形成する半抜き工程と、
前記半抜き部分の少なくとも一部分を、前記ストリッパの前記第2当接面と前記ダイの前記第1当接面によって挟み込むことによって前記半抜き工程前の位置に戻すように移動させる戻し工程と、を備え、
前記戻し工程後に行われる前記半抜き工程では、前記戻し工程が行われた部分の前記第1方向側に前記半抜き部が形成される、
加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンチプレス用金型、パンチプレス装置、および加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄板などの板状のワークから複数の製品を切り取ることが行われている。例えば、各打ち抜き部分が連続するように打ち抜き加工を繰り返し行う加工方法によって所望形状の製品を切り取ることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に示す加工方法では、ストリッパとダイによってワークを挟み込むことでワークがダイの突出部によって押圧されてストリッパ側に突出するように変形し、半抜き加工が実施される。その後、ワークの半抜き加工が実施された部分がパンチによって打ち抜かれる。このような動作を繰り返すことによって、打ち抜き部分が連続した加工が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-39706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す加工方法では、十分にバリを抑制することができないため、後にバリ取り加工を追加で行う必要があり、工程が増えるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、バリの発生を抑制することが可能なパンチプレス用金型、パンチプレス装置、および加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明にかかるパンチプレス用金型は、板状のワークに対して第1方向に沿って加工を行うためのパンチプレス用金型であって、パンチと、ダイと、ストリッパと、を備える。パンチは、ワークに対して加工を行うための加工部を有し、加工部の第1方向側の端に面取り形状が形成されている。ダイは、加工部に対向する凹部と、凹部の第2方向側に配置され、ワークの加工された部分の少なくとも一部分に当接可能な第1当接面と、を有する。ストリッパは、第1当接面に対向し、一部分に当接可能な第2当接面を有し、パンチの周囲に配置されている。
【0008】
発明にかかるパンチプレス装置は、第1駆動部材と、第2駆動部材と、制御部と、を備える。第1駆動部材はパンチを駆動する。第2駆動部材は、パンチの周囲に配置されたストリッパをパンチと独立して駆動する。制御部は、ストリッパに対向して配置されたダイとストリッパによって板状のワークを挟み込んだ状態でパンチを駆動して、ワークにダイ側に突出変形させた半抜き部分を形成する半抜き加工を行い、半抜き部分の少なくとも一部分を、ストリッパとダイによって挟み込むことによって半抜き工程前の位置に戻すように移動させる戻し加工を行うように第1駆動部材と第2駆動部材を制御する。
【0009】
発明に係る加工方法は、板状のワークに対して第1方向に沿って加工を行うための加工方法であって、半抜き工程と、戻し工程と、を備える。半抜き工程は、ダイとストリッパによって板状のワークを挟み込んだ状態で、パンチによってワークにダイ側に突出変形させた半抜き部分を形成する。戻し工程は、半抜き部分の少なくとも一部分を、ストリッパとダイによって挟み込むことによって半抜き工程前の位置に戻すように移動させる。戻し工程後に行われる半抜き工程では、戻し工程が行われた部分の第1方向側に半抜き部が形成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バリの発生を抑制することが可能なパンチプレス用金型、パンチプレス装置、および加工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明にかかる実施の形態のパンチプレス装置の外観を示す斜視図。
図2図1に示すパンチプレス装置の正面図。
図3図1のパンチプレス機で用いる金型を示す正面断面図。
図4】(a)図3のパンチ本体の正面図、(b)図4(a)のパンチ本体の平面図、(c)図4(a)のパンチ本体の底面図、(d)図4(a)のパンチ本体の右側面図、(e)図4(a)のパンチチップの先端を示す図。
図5】(a)図3の支持リングの平面図、(b)図5(a)の支持リングのBB´間の矢視断面図。
図6】(a)図3のダイ本体の平面図、(b)図6(a)のダイ本体のCC´間の矢視断面図、(c)図6(a)のダイ本体のDD´間の矢視断面図。
図7】(a)図3のダイプレートの平面図、(b)図7(a)のダイプレートの正面図、(c)図7(a)のダイプレートの左側面図。
図8】(a)図3のダイチップの平面図、(b)図8(a)のダイチップのEE´間の矢視断面図、(c)図8(a)のダイチップの左側面図、(d)図8(a)のダイチップのF部拡大図、
図9】(a)図3のイジェクタプレートの平面図、(b)図9(a)のイジェクタプレートの正面図。
図10】(a)図8(b)のダイチップへの図9(b)のイジェクタプレートの挿入を示す図、(b)図8(b)のダイチップに図9(b)のイジェクタプレートを挿入した状態を示す図。
図11】(a)図3のストリッパを示す平面図、(b)図11(a)のストリッパのHH´間の矢視断面図、(c)図11(a)のストリッパのII´間の矢視断面図。
図12図1のパンチプレス装置のパンチプレス部を示す正面断面図。
図13図1のパンチプレス装置の制御構成を示すブロック図。
図14】板状のワークの加工を行う部分を示す平面図。
図15図1のパンチプレス装置の動作を説明する図。
図16図1のパンチプレス装置の動作を説明する図。
図17図1のパンチプレス装置の動作を説明する図。
図18図1のパンチプレス装置の動作を説明する図。
図19図1のパンチプレス装置の動作を説明する図。
図20図1のパンチプレス装置の動作を説明する図。
図21図1のパンチプレス装置の動作を説明する図。
図22図1のパンチプレス装置の動作を説明する図。
図23図1のパンチプレス装置の動作を説明する図。
図24図1のパンチプレス装置の動作を示すフロー図。
図25】(a)板状のワークの加工済みの状態を示す平面図、(b)図25(a)のワークのM部拡大図、(c)図25(b)のワークのNN´間の矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明にかかる実施の形態のパンチプレス装置について図面を参照しながら説明する。
【0013】
<構成>
(パンチプレス装置の概要)
図1は、本発明にかかる実施の形態のパンチプレス装置1の全体概要を示す斜視図である。図2は、本発明にかかる実施の形態のパンチプレス装置1の全体概要を示す正面図である。
【0014】
本実施の形態のパンチプレス装置1は、メインフレーム11と、ベッド12と、ワーク搬送部13と、パンチプレス部14と、金型収納部15と、金型搬送部16と、コントローラ18(図13参照)と、を備える。
【0015】
メインフレーム11は、ベッド12上に配置されている。ワーク搬送部13は、水平面上においてワークを移動させる。パンチプレス部14は、後述する金型17が装着可能であり、装着された金型を用いてワークにパンチプレス加工を行う。パンチプレス部14は、メインフレーム11の下側に配置されている。金型収納部15は、メインフレーム11に設けられており、金型17や他の種類の金型を収納する。金型搬送部16は、金型収納部15とパンチプレス部14の間で金型17の受け渡しを行う。
【0016】
なお、水平方向のうちメインフレーム11に沿った方向をX方向とし、鉛直方向をY方向とし、水平方向のうちX方向に垂直な方向をZ方向とする。なお、本明細書における「水平」、「垂直」、「鉛直」、および「平行」などの記載はいずれも厳密な意味ではなく、誤差等も含む。
【0017】
メインフレーム11は、門型構造であり、ベッド12上に立設している。メインフレーム11は、2枚の板状のフレーム部材21、22を有している。フレーム部材21、22は、門型であり、主面が鉛直方向に沿うように配置されている。また、フレーム部材21とフレーム部材22は、互いに対向して配置されている。
【0018】
フレーム部材21、22のうち一方のフレーム部材21の外側向きの主面21aには、金型収納部15が設けられている。主面21aの上端部と下端部には、レール23、24が配置されている。レール23、24は、X方向に沿って配置されている。このレール23、24に沿って、後述する金型搬送部16が移動する。
【0019】
ワーク搬送部13は、メインフレーム11の下方にメインフレーム11と交差するように配置されている。ワーク搬送部13は、ワーク移動部31と、キャリッジ32と、複数のクランプ部33と、を有する。
【0020】
ワーク移動部31は、細長い角柱状であって、メインフレーム11の下方においてメインフレーム11と交差するようにZ軸方向に沿って配置されている。ワーク移動部31は、図示しないモータの駆動力によってX方向に沿って移動可能である。ワーク移動部31は、そのパンチプレス部14側の側面の上下に2本のレール34、35を有している。レール34、35は、Z方向に沿って配置されている。レール34とレール35は、互いに平行に配置されている。
【0021】
キャリッジ32は、Z方向に移動可能にワーク移動部31に設けられている。キャリッジ32は、ワーク移動部31側の側面にスライダ36、37を有している(図2参照)。スライダ36はレール34と嵌合し、スライダ37はレール35と嵌合する。これによって、キャリッジ32は、ワーク移動部31に沿ってZ方向に移動できる。
【0022】
複数のクランプ部33は、ワークを挟んで保持する。複数のクランプ部33は、キャリッジ32に固定されている。複数のクランプ部33は、Z方向に並んで配置されている。
【0023】
これにより、複数のクランプ部33が固定されたキャリッジ32が、Z方向に移動し、キャリッジ32が支持されたワーク移動部31がX方向に移動できる。
【0024】
このようなワーク搬送部13によって、複数のクランプ部33によって保持されたワークをパンチプレス部14に対してZX平面に移動させることができる。
【0025】
なお、ワーク搬送部13の下側には、搬送時にワークを支えるテーブル19が配置されている。
【0026】
(金型)
次に、パンチプレス部14で使用される金型17(パンチプレス用金型の一例)について説明する。
【0027】
図3は、金型17の正断面構成図である。図3に示すように、金型17は、パンチ41と、ダイ42と、ストリッパ43と、を有する。各部材の配置関係は、パンチ41とダイ42の間にストリッパ43が配置されていれば特に限定されるものではないが、通常、上からパンチ41、ストリッパ43、ダイ42の順に配置されている。
【0028】
(パンチ)
パンチ41は、図3に示すように、パンチ本体50と、支持リング51と、を有する。
【0029】
図4(a)は、パンチ本体50の正面図である。図4(b)は、パンチ本体50の平面図である。図4(c)は、パンチ本体50の底面図である。図4(d)は、パンチ本体50の左側面図である。図4(e)は、パンチチップ54の先端近傍を示す斜視図である。
【0030】
パンチ本体50は、円板部52と、クランプシャフト53と、パンチチップ54(加工部の一例)と、を有する。
【0031】
円板部52は、円板状に形成されている。
【0032】
クランプシャフト53は、略円柱状であって、円板部52の略中央から上方に伸びるように形成されている。クランプシャフト53の外周部には、全周にわたって周方向の断面がV字形状の係止溝53aが形成されている。係止溝53aは、円柱がくびれて形成されている。クランプシャフト53は、係止溝53aでパンチプレス部14に係止保持される。
【0033】
パンチチップ54は、円板部52の下面から下方に伸びるように形成されている。パンチチップ54は、水平断面が矩形状である。パンチチップ54は、図4(a)における左右方向に長手方向を有する。長手方向を矢印Aで示し、矢印Aのうち一方をA1とし他方をA2とする。また、水平であってA方向に垂直な方向をB方向とする。
【0034】
パンチチップ54は、その長手方向が円板部52の直径に沿うように配置されている。パンチチップ54は、円板部52の直径において矢印A1方向寄りに設けられている。パンチチップ54の矢印A1方向側の端面54fは、円板部52の矢印A1側の端よりも矢印A1側に位置している。パンチチップ54の矢印A2方向側の端面54gは、円板部52の中心と矢印A2方向側の端の間に位置している。
【0035】
パンチチップ54は、その下方の先端に先端面54aを有する。先端面54aは、図4(a)~(d)に示すように、矩形状である。先端面54aの長手方向Aにおける両端54b、54cは、面取り形状に形成されている。本実施の形態では、端54b、54cともにR面取り形状に形成されているが、端54bのみでもよい。また、本実施の形態では、端54b、54cともにR面取り形状に形成されている。なお、本実施の形態では、端54bの面取り形状と端54cの面取り形状は異なっているが、同じであってもよい。
【0036】
また、図4(c)および図4(e)に示すように、先端面54aのB方向の両端54d、54eのうち一方の端54dには、非加工部分形成部55が設けられている。非加工部分形成部55は、端54dに形成された切り欠き部55aを有する。切り欠き部55aは、先端面54aから上方向に伸びて形成されている。切り欠き部55aは、先端面54aに形成された矩形状の空間から上方向に伸びて形成されているが、矩形状に限らなくてもよい。
【0037】
図5(a)は、支持リング51の平面図であり、図5(b)は、図5(a)のBB´間の矢視断面図である。
【0038】
支持リング51は、クランプシャフト53の基部の外周に配置されている。支持リング51は、クランプシャフト53に固定されている。支持リング51は、パンチ41を金型収納部15とパンチプレス部14の間で搬送する際に、金型搬送部16によって把持される。
【0039】
支持リング51の内側にパンチ本体50が配置されている。
【0040】
支持リング51の外周部には、図5(a)に示すように、周方向の全周に沿って係止溝51aが形成されている。金型搬送部16は、支持リング51を係止溝51aで係止して金型収納部15とパンチプレス部14の間で搬送する。支持リング51の上面には、支持リング51の軸線と平行に配置された位置決めピン51bが設けられている。
【0041】
(ダイ)
ダイ42は、図3に示すように、ダイ本体61と、ダイプレート62と、ダイチップ63と、イジェクタプレート64と、バネ部材65と、を有している。
【0042】
(ダイ本体)
図6(a)は、ダイ本体61の平面図である。図6(b)は、図6(a)のCC´間の矢視断面図である。図6(c)は、図6(a)のDD´間の矢視断面図である。
【0043】
ダイ本体61は、略円板状に形成されている。ダイ本体61は、ダイプレート62およびダイチップ63を載置する載置部611を有している。載置部611は、ダイ本体61の上面61sに凹状に形成されている。載置部611は、平面視において、A方向の辺が長い矩形状に形成されている。
【0044】
ダイ本体61は、後述するバネ部材65を収納する収納部612を有している。収納部612は、載置部611の底面611aに凹状に形成されている。収納部612は、B方向において載置部611の幅の中央に形成されている。収納部612は、載置部611のA方向における中央からA1方向に向かって形成されている。
【0045】
図6(b)および図6(c)に示すように、ダイ本体61の外周部には、全周にわたって周方向の断面がV字形状の係止溝61aが形成されている。金型搬送部16は、ダイ42を係止溝61aで係止して金型収納部15とパンチプレス部14の間で搬送する。
【0046】
(ダイプレート)
図7(a)は、ダイプレート62の平面図である。図7(b)はダイプレート62の正面図である。図7(c)は、ダイプレート62の左側面図(A2方向に沿って視た図)である。
【0047】
ダイプレート62は、側面視において逆T字形状である。ダイプレート62は、図3に示すように、載置部611に配置される。ダイプレート62は、載置部611において、A2方向側寄りに配置されている。ダイプレート62は、台座621と、当接部622とを有する。
【0048】
台座621は、板状である。台座621は、図7(a)に示すように、平面視において矩形状であり、4つの角のうちA2方向の2つの角がC面取り形状に形成されている。ダイプレート62が載置部611に配置された際に、台座621の底面621aが載置部611の底面611aと接触する。台座621の四角には、ボルト44を挿入するボルト孔621cが形成されており、図3に示すように、ボルト44によってダイ本体61に固定される。
【0049】
当接部622は、図7(a)~図7(c)に示すように直方体形状であり、台座621の上面621bから上方に向かって設けられている。当接部622は、平面視においてB方向における台座621の中央に配置されている。当接部622は、A方向において台座621の端から端まで形成されている。当接部622の上面622aは、図7(b)および図7(c)に示すように平面に形成されている。当接部622は、ワークに当接可能である。
【0050】
図7(b)に示すように、当接部622の上面622aのA1方向側における端622bには、面取り形状が形成されている。本実施の形態では、端622bには、R面取り形状が形成されている。
【0051】
(ダイチップ)
図8(a)は、ダイチップ63の平面図である。図8(b)は、図8(b)のEE´間の矢視断面図である。図8(c)は、左側面図である。図8(d)は、図8(a)のQ部拡大図である。
【0052】
ダイチップ63は、図3に示すように、載置部611に配置される。ダイチップ63は、載置部611において、A1方向側寄りに配置されている。ダイチップ63は、ダイプレート62と並んで載置部611に配置されている。ダイチップ63は、ダイプレート62のA1方向側に配置されている。
【0053】
ダイチップ63は、台座631と、突出部632と、を有する。台座631は、板状であり、図8(a)に示すように、平面視において矩形状であり、4つの角のうちA1方向の2つの角がC面取り形状に形成されている。ダイチップ63が載置部611に配置された際に、台座631の底面631aが載置部611の底面611aと接触する。台座631の四角には、ボルト45を挿入するボルト孔631cが形成されており、図3に示すように、ボルト45によってダイ本体61に固定される。
【0054】
突出部632は、略直方体形状であり、台座631の上面631bから上方に向かって設けられている。突出部632は、図8(a)に示すように平面視においてB方向における台座631の中央に配置されている。突出部632は、A方向において台座631の端から端まで形成されている。突出部632の上面632aには、図8(c)に示すようにA方向に沿って凹部632bが形成されている。凹部632bは、突出部632のA方向に全体に亘って形成されている。
【0055】
図8(a)および図8(d)に示すように、凹部632bのB方向における幅は、A2方向側の端からA1方向側の端に向かう途中で狭くなっている。狭くなる点がFで示されている。すなわち、凹部632bは、図8(d)に示すように、幅が広い第1部分632b1と、幅が狭い第2部分632b2と、を有する。第1部分632b1の幅G1は、パンチチップ54のB方向における幅G3(図4(c)参照)よりも若干大きく形成されている。第2部分632b2の幅G2は、パンチチップ54のB方向における幅G3よりも若干小さく形成されている。
【0056】
凹部632bの底面632cには、図8(c)に示すように突出部632および載置部611の全体を貫通する貫通孔633が形成されている。貫通孔633は、上下方向に沿って底面631aに対して垂直に形成されている。貫通孔633は、平面視においてA方向に沿って長手方向を有する長孔に形成されている。
【0057】
(イジェクタプレート)
図9(a)は、イジェクタプレート64の平面図である。図9(b)は、イジェクタプレート64の正面図である。
【0058】
イジェクタプレート64は、被押圧部641と、挿入部642と、を有する。被押圧部641は、板状であって、水平に配置されている。被押圧部641は、ダイ本体61の収納部612の底面と平行に配置されており、収納部612の内側に収納されている。被押圧部641は、収納部612に収納されているバネ部材65によって上方(ストリッパ43側)に向かって付勢されている。
【0059】
挿入部642は、被押圧部641の上面641aに対して垂直に設けられた板状の部分である。挿入部642は、被押圧部641のB方向における中央に設けられている。挿入部642は、A方向に沿って配置されている。挿入部642は、ダイチップ63の貫通孔633に下方(台座631側)から挿入されている。
【0060】
図10(a)は、ダイチップ63へのイジェクタプレート64の挿入を示す図であり、図10(b)は、ダイチップ63にイジェクタプレート64を挿入した状態を示す図である。
【0061】
挿入部642の高さは、ダイチップ63の高さと概ね同じ高さに形成されており、挿入部642の上面642aと、突出部632の上面632aの位置は概ね同じ高さとなっている。なお、台座631の底面631aと被押圧部641の上面641aの間にスペーサを設けることによって、突出部632の上面632aに対する挿入部642の上面642aの高さ位置を調整することができる。
【0062】
(バネ部材)
バネ部材65は、図3に示すように収納部612に収納されている。本実施の形態では、バネ部材65は、収納部612にA方向に沿って3つ並んで配置されている。バネ部材65は、イジェクタプレート64をダイチップ63に押し付けるように上方に向かって付勢している。図10(b)には、バネ部材65によってダイチップ63が下方から付勢されている状態が示されている。
【0063】
イジェクタプレート64の挿入部642の上面642aは、パンチチップ54の先端面54aに対向している。このバネ部材65によって、突出部632の上面632aおよび挿入部642の上面642aによってワークを下方から支持し、パンチチップ54の先端面54aによってワークが下方に押されると、その分、イジェクタプレート64の上面642aが下方に下げられ、ワークの加工を行うことができる。
【0064】
(ストリッパ)
図11(a)は、ストリッパ43の平面図である。図11(b)は、図11(a)のHH´間の矢視断面図である。図11(c)は、図11(a)のII´間の矢視断面図である。
【0065】
ストリッパ43は、ワークを押さえるための部材であって、パンチ41とダイ42の間に配置される。
【0066】
ストリッパ43は円板状の部材である。ストリッパ43の外周部には、全周にわたって断面視V字形状の係止溝43aが形成されている。金型搬送部16は、ストリッパ43を係止溝43aで係止して金型収納部15とパンチプレス部14の間で搬送する。
【0067】
ストリッパ43の上面43cには、円柱状の空間である凹部43dが形成されている。凹部43dには、パンチ41の支持リング51が挿入可能である。ストリッパ43は、上下方向に形成された貫通孔431を有している。貫通孔431は、凹部43dの底面43eに形成されている。貫通孔431は、パンチチップ54に対応する位置に設けられている。貫通孔431は、A方向に沿って長く形成されている。貫通孔431には、パンチ41のパンチチップ54が挿入可能である。パンチチップ54は、貫通孔431を介してワークに加工を行う。
【0068】
ストリッパ43の下面43fでは、B方向における中央部分432が、A方向に沿って凸条に形成されている。図11(b)に示すように、中央部分432は、貫通孔431のA2方向側に当接部433を有している。当接部433は、ダイ42の当接部622に対向するように配置されている。当接部433の下面433a(第2当接面の一例)は平面状に形成されている。ストリッパ43の下面433aとダイ42の上面622a(第1当接面の一例)によってワークが挟まれて、ワークの半抜き加工(後述する)された部分が元の位置に戻すように移動される。
【0069】
(パンチプレス部)
図12は、パンチプレス装置1のパンチプレス部14を示す正面断面図である。図13は、本実施の形態のパンチプレス装置1の制御構成を示すブロック図である。
【0070】
パンチプレス部14は、図12に示すように第1駆動部材141と、第2駆動部材142と、第3駆動部材143と、を有する。
【0071】
第1駆動部材141は、パンチ41が上下方向に移動するようにパンチ41を駆動する。第1駆動部材141の駆動源144としては、油圧シリンダまたは電動モータなどを挙げることができる。第1駆動部材141は、その下端部においてパンチ41のクランプシャフト53の上端部を把持している。
【0072】
第2駆動部材142は、ストリッパ43が上下方向に移動するように、ストリッパを駆動する。第2駆動部材142の駆動源145としては、油圧シリンダまたは電動モータ等を挙げることができる。第2駆動部材142は、その下端部において、ストリッパ43の外周部を把持している。
【0073】
第3駆動部材143は、ダイ42が上下方向に移動するようにダイ42を駆動する。第3駆動部材143の駆動源146としては、油圧シリンダまたは電動モータ等を挙げることができる。第3駆動部材143は、その上端部においてダイ本体61の外周部を把持している。
【0074】
また、パンチプレス部14は、図13に示すようにパンチ41、ダイ42およびストリッパ43の位置を検知する第1位置センサ147、第2位置センサ148および第3位置センサ149を備えている。第1位置センサ147はパンチ41の上下方向の位置を検知し、第2位置センサ148はストリッパ43の上下方向の位置を検知し、第3位置センサ149はダイ42の上下方向の位置を検知する。
【0075】
(コントローラ)
コントローラ18は、CPUあるいはGPU等のプロセッサと、記憶装置と、を含む。プロセッサは、パンチプレス装置1の自動制御のための処理を行う。記憶装置は、RAM或いはROMなどのメモリ、およびHDD(Hard Disk Drive)或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含む。記憶装置は、自動制御のためのデータ及びプログラムを記憶している。データおよびプログラムは、作業者によって設定することもできる。このプログラムとして、後述する図24に示すフローを実行するプログラムが含まれていてもよい。
【0076】
コントローラ18には、第1位置センサ147、第2位置センサ148、第3位置センサ149の検出信号が入力される。コントローラ18は、各検出信号に基づいて、駆動源144、145、146を駆動することによって第1駆動部材141と、第2駆動部材142と、第3駆動部材143を駆動する。
【0077】
このように各センサによって各部材の位置が検知され、その検知信号がコントローラに入力され、コントローラ18によってワークWに対して半抜き加工や戻し加工を行うことができる。
【0078】
また、コントローラ18は、ワーク搬送部13および金型搬送部16の制御も行う。
【0079】
(加工方法)
次に、本実施の形態のパンチプレス装置1の動作について説明するとともに、加工方法の一例についても同時に述べる。
【0080】
図14は、板状のワークWの加工を行う部分を示す平面図である。ワークWから二点鎖線で示す製品70を切り取る際に辺70aを形成するようにワークWを加工する際の加工方法について説明する。なお、辺70aを形成するためにワークWの部分71(ハッチング部分)について加工が行われる。
【0081】
なお、部分71の両端には、予め貫通孔72a、72bが形成されている。この貫通孔72a、72bの形成は、従来から使用されている金型を用いてよい。なお、貫通孔72aから貫通孔72bに向かって加工が行われ、貫通孔72aから貫通孔72bに向かう方向が方向A1と一致する。
【0082】
図15図23は、加工の際のパンチプレス部14および金型17の動作を示す図である。図24は、本実施の形態の加工方法を示すフロー図である。
【0083】
はじめに、図12に示すように、ワークWがダイ42とストリッパ43の間に配置される(ステップS10)。なお、パンチ41およびストリッパ43と、ダイ42とは、上下方向において離れるように位置している。
【0084】
また、ワークWは、貫通孔72aのA1方向側の縁72aeが、上下方向においてパンチチップ54の先端面54aに対向する位置に配置される。ワークWは、ワーク搬送部13によって移動される。
【0085】
次に、図15に示すように、第2駆動部材142がストリッパ43を下方に移動させるとともに、第3駆動部材143がダイ42を上方に移動させることによって、ダイ42とストリッパ43でワークWが挟み込まれる(ステップS20)。
【0086】
次に、図16に示すように、第1駆動部材141がパンチ41を下方に移動させることによって、ワークWはパンチチップ54によって下方に押圧される。そして、ワークWは、パンチチップ54によって押圧された部分が下方に突出するように変形する(ステップS30)。このようにワークWを抜き切らない範囲で突出変形させる加工が、半抜き加工である。これによって、ワークWに半抜き部分W1が形成される。このとき、イジェクタプレート64がパンチ41のパンチチップ54によって下方に押されて沈み込む。
【0087】
次に、図17に示すように、第2駆動部材142がストリッパ43を上方へ移動させるとともに、第3駆動部材143がダイ42を下方へと移動させることによって、ダイ42とストリッパ43によるワークWの挟み込みが解除される。このとき、イジェクタプレート64は、パンチ41のパンチチップ54による押圧から解除されるため、バネ部材65の付勢力によって上方へと移動してダイチップ63に押圧される。これにより、イジェクタプレート64の上面642aがダイチップ63の上面632aと同じ高さになるため、イジェクタプレート64はワークWを上方に押圧するように作用する。この結果、ワークWがダイチップ63の凹部632b(図8(b)参照)に食い込んでいる場合であっても、凹部632bからワークWを容易に外すことができる。
【0088】
次に、図18に示すように、ワーク搬送部13がワークWをA2方向へと直線状に移動させる。なお、ワークWがA2方向に移動することは、A1方向に向かって加工が進むことになる(ステップS40)。
【0089】
また、このときのワークWの移動量L1は、パンチチップ54の長手方向(A方向)における長さL2よりも小さい。すなわち、ワークWの移動後は、半抜き部分W1の左端部W1Lがパンチチップ54の下方に位置している。これにより、次に、半抜き部分W2が形成されるときに、L3の長さ分、半抜き部分W1とオーバーラップして半抜き加工が行われる
次に、図19に示すように、第2駆動部材142がストリッパ43を下方に移動させるとともに、第3駆動部材143がダイ42を上方に移動させることによって、ダイ42とストリッパ43でワークWが挟み込まれる。ここで、半抜き部分W1の一部分W11が、ダイプレート62の当接部622の上面622aと、ストリッパ43の当接部433の下面433aによって挟み込まれて、半抜き加工前の位置に戻すように移動される戻し加工が行われる(ステップS50)。この戻し加工によって、部分W11のB方向における両端は、非加工部分形成部55による接続部分71c(後述する)を除いて、ワークWから切り離される。
【0090】
なお、上述したように凹部632bの第1部分632b1の幅G1がパンチチップ54のB方向における幅G3よりも若干大きく形成され、第2部分632b2の幅G2がパンチチップ54のB方向における幅G3よりも若干小さく形成されている。これによって、ステップS50において、半抜き部分W1の一部分W11以外の部分がダイ刃先に当たり、2度切りになって切カスが発生することを抑制できる。
【0091】
次に、ステップS60において、コントローラ18によって戻し加工が貫通孔72aまで到達しているか否かを判定し、到達していない場合には、制御はステップS70に進む。
【0092】
そして、図20に示すように、第1駆動部材141がパンチ41を下方に移動させることによって、ワークWはパンチチップ54によって下方に押圧される。そして、ワークWのうち、パンチチップ54によって押圧された部分が下方に突出して半抜き部分W2が形成される(ステップS70)。ここで、図18に示したように、半抜き部分W1の左端部W1Lがパンチチップ54の下方に位置していることによって、半抜き部分W2は、L3の長さ分、半抜き部分W1とオーバーラップして半抜き加工される。図20において、オーバーラップしている部分がW12として示されている。ダイチップ54の凹部632bの第1部分632b1のA方向長さは、少なくとも前記オーバーラップ部分12よりは大きく、かつ、A方向と直角方向幅は、パンチチップ54の幅より広くすることにより、オーバーラップすることによって、半抜き部分W1と半抜き部分W2の継目である部分W12のB方向における両端のバリの発生を抑制することができる。
【0093】
次に、制御はステップS40に戻り、上述した図17および図18の動作と同様に、図21に示すように、第1駆動部材141がパンチプレス用金型41を上方へ移動させるとともに、第2駆動部材142がストリッパ43を上方へ移動させ、第3駆動部材143がダイ42を下方へと移動させることによって、ダイ42とストリッパ43によるワークWの挟み込みが解除され、ワーク搬送部13がワークWをA2方向へと直線状に移動量L1分移動される。
【0094】
次に、上述した図19および図20の動作と同様に、図22に示すように、第2駆動部材142がストリッパ43を下方に移動させるとともに、第3駆動部材143がダイ42を上方に移動させることによって、ダイ42とストリッパ43でワークWが挟み込まれる。これによって、半抜き部分W2の一部分がダイプレート62の当接部622の上面622aと、ストリッパ43の当接部433の下面433aによって挟み込まれて、半抜き加工前の位置に戻すように移動される(ステップS50)。
【0095】
次に、ステップS60において、コントローラ18によって戻し加工が貫通孔72bまで到達しているか否かを判定し、到達していない場合には、制御はステップS70に進む。
【0096】
そして、第1駆動部材141がパンチ41を下方に移動させることによって、ワークWはパンチチップ54によって下方に押圧され、半抜き部分が形成される(ステップS70)。
【0097】
戻し加工が貫通孔72bに到達するまで、ステップS40~S70が繰り返され、ワークWのA1方向に沿って半抜き加工および戻し加工が進む。
【0098】
そして、図23に示すように、ワークWの戻し加工が貫通孔72bまで到達すると、コントローラ18によって制御が終了し、図14で示した部分71の加工が終了する(ステップS60)。
【0099】
図25(a)は、部分71の加工が終了した状態を示すワークWの平面図である。図25(b)は、図25(a)のM部拡大図である。図25(c)は、図25(b)のNN´間の矢視断面図である。
【0100】
図25(a)において、A1方向に沿って視て部分71の左側の端を71Lとし、A1方向に沿って視て部分71の右側の端を71Rとする。
【0101】
製品70の辺70aを形成する端71Lは、製品70との間が切り離されている。
【0102】
一方、パンチチップ54の端71R側には、非加工部分形成部55の切り欠き部55aが形成されているため、図25(b)に示すように、端71Rには、所定間隔を空けてワークWと接続された接続部分71cが形成されている。
【0103】
これによって、部分71がワークWに接続された状態となっているため、部分71を加工した際のカスの発生を抑制することができる。
【0104】
また、図25(c)に示すように、半抜き加工を行った後に戻し加工を行うことによって、部分71の端71Lの厚み方向の角71m、71nには、ダレが形成されている。また、製品70の辺70aの厚み方向の角70m、70nにもダレが形成されている。このようにダレを形成することによって、バリの発生を抑制することができる。
【0105】
<特徴等>
(1)
本実施の形態の金型17(パンチプレス用金型の一例)は、図3に示すように、板状のワークWに対してA1方向(第1方向の一例)に沿って加工を行うためのパンチプレス用金型であって、パンチ41と、ダイ42と、ストリッパ43と、を備える。パンチ41は、ワークWに対して加工を行うためのパンチチップ54(加工部の一例)を有し、パンチチップ54の先端面54aのA1方向側の端54bに面取り形状が形成されている。ダイ42は、パンチチップ54に対向する凹部632bと、凹部632bのA2方向側に配置され、ワークWの加工された半抜き部分W1の少なくとも一部分W11に当接可能な上面622a(第1当接面の一例)と、を有する。ストリッパ43は、上面622aに対向し、一部分W11に当接可能な下面433a(第2当接面の一例)を有し、パンチ41の周囲に配置されている。
【0106】
このような構成のパンチプレス用の金型17を用いることによって、ワークWにダイ42方向に突出変形させた半抜き部分W1を形成する半抜き加工を行った後に、半抜き部分W1の一部分W11を加工前の位置に戻すように移動させる戻し加工を連続してA1方向に沿って行うことができる。
【0107】
半抜き加工を行った後に打ち抜かずに加工前の位置に戻すように移動することによって、加工を行った部分の厚み方向における角71m、71n、70m、70nにダレが発生するため、バリの発生を抑制することができる。
【0108】
パンチチップ54の先端面54aの端54bを面取り形状に形成することによって、連続した加工の継目におけるニブリング跡の発生を抑制できるため、バリの発生を抑制することが可能となる。
【0109】
なお、面取り形状は、湾曲したR面取り、傾斜面であるC面取りを、含み、角が形成されていなければよい。
【0110】
ここで、継目とは、例えば、図20に示す半抜き部分W1と半抜き部分W2の重なり部分W12である。
【0111】
(2)
本実施の形態の金型17では、図3に示すように、パンチチップ54の先端面54aのA1方向と反対のA2方向(第2方向の一例)側の端54cに面取り形状が形成されている。
【0112】
また、先端面54aの端54cの面取り形状によって逃げ形状を形成することができ、ダイ42の凹部632bの形状がワークWに発生することを低減し、バリの発生を抑制することが可能となる。なお、面取り形状は、上記と同様に湾曲したR面取り、傾斜面であるC面取りを、含み、角が形成されていなければよい。
【0113】
(3)
本実施の形態の金型17では、図3に示すように、上面622a(第1当接面の一例)のA1方向側の端622bは、面取り形状に形成されている。
【0114】
また、上面622aの端622bの面取り形状によって逃げ形状を形成することができ、ダイ42の凹部632bの形状がワークWに発生するバリを抑制することが可能となる。
【0115】
なお、面取り形状は、湾曲したR面取り、傾斜面であるC面取りを、含み、角が形成されていなければよい。
【0116】
(4)
本実施の形態の金型17では、パンチ41は、ワークWに半抜き加工が行われない部分を形成する非加工部分形成部55を更に有する。非加工部分形成部55は、パンチチップ54のA1方向に垂直なB方向(幅方向の一例)における両端54d、54eのうち一方の端54dに設けられている。
【0117】
これによって、図25に示すように、半抜き加工を行った部分である部分71がワークWから外れることを防止することができ、抜きカスの散乱を防止することができる。
【0118】
(5)
本実施の形態の金型17では、非加工部分形成部55は、パンチ41の移動方向に沿って形成された切り欠き部55aを有する。
【0119】
これによって、ワークWの半抜き加工を行った部分71を、接続部分71cで、それ以外の部分と接続した状態で保持できるため、抜きカスの散乱を防止することができる。
【0120】
(6)
本実施の形態の金型17では、凹部632bは、パンチチップ54のA1方向(第1方向の一例)に垂直なB方向の幅G2が、パンチ41の幅G3より狭い第2部分632b2を有する、
これによって、適切に半抜き加工を行うことができる。
【0121】
(7)
本実施の形態の金型17では、凹部632bは、A2方向(第2方向の一例)側の端部付近の幅G1が、パンチ41の幅G3より広い第1部分632b1を有する。
【0122】
これによって、オーバーラップすることによって、半抜き部分W1と半抜き部分W2の継目である部分W12のB方向における両端のバリの発生を抑制することができる。
【0123】
(8)
本実施の形態のパンチプレス装置1は、第1駆動部材141と、第2駆動部材142と、コントローラ18(制御部の一例)と、を備える。第1駆動部材141はパンチ41を駆動する。第2駆動部材142は、パンチ41の周囲に配置されたストリッパ43をパンチ41と独立して駆動する。コントローラ18は、ストリッパ43に対向して配置されたダイ42とストリッパ43によって板状のワークWを挟み込んだ状態でパンチ41を駆動して、ワークWにダイ42側に突出変形させた半抜き部分W1を形成する半抜き加工を行い、半抜き部分W1の少なくとも一部分W11を、ストリッパ43とダイ42によって挟み込むことによって半抜き工程前の位置に戻すように移動させる戻し加工を行うように第1駆動部材141と第2駆動部材142を制御する。
【0124】
これにより、第2駆動部材142によってストリッパ43が独立して駆動されるため、ストリッパ43とダイ42によってワークWを確実に挟み込むことができる。
【0125】
また、ワークWにダイ42方向に突出変形させた半抜き部分W1を形成する半抜き加工を行った後に、半抜き部分W1の一部分W11を加工前の位置に戻すように移動させる戻し加工を連続してA1方向に沿って行うことができる。
【0126】
半抜き加工を行った後に打ち抜かずに加工前の位置に戻すように移動することによって、加工を行った部分の厚み方向における角71m、71n、70m、70nにダレが発生するため、バリの発生を抑制することができる。
【0127】
(9)
本実施の形態の加工方法は、図24に示すように、板状のワークWに対してA1方向(第1方向の一例)に沿って加工を行うための加工方法であって、ステップS30、S70(半抜き工程の一例)と、ステップS50(戻し工程の一例)と、を備える。ステップS30、S70は、ダイ42とストリッパ43によって板状のワークWを挟み込んだ状態で、パンチ41によってワークWにダイ42側に突出変形させた半抜き部分W1を形成する。ステップS50は、半抜き部分W1の少なくとも一部分W11を、ストリッパ43とダイ42によって挟み込むことによってステップS30、S70前の位置に戻すように移動させる。ステップS50後に行われるステップS70では、ステップS50が行われた部分W11のA1方向側に半抜き部分W2が形成される。
【0128】
このようにワークWに半抜き加工を行った後に、半抜き加工を行った半抜き部分W1を加工前の位置に戻す戻し加工を連続してA1方向に沿って行うことができる。
【0129】
半抜き加工を行った後に打ち抜かずに加工前の位置に戻すことによって、加工を行った部分の厚み方向における角71m、71n、70m、70nにダレが発生するため、バリの発生を抑制することができる。
【0130】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0131】
(A)
上記実施の形態では、半抜き加工されたワークWがダイ42から離間しやすくするために、イジェクタプレート64およびバネ部材65が設けられているが、これらが設けられておらず、ダイチップ63のみが設けられていてもよい。
【0132】
(B)
本実施の形態では、ダイ本体61とダイプレート62が別部材で構成されているが、これに限らなくてもよく、ダイプレート62がダイ本体61に一体的に形成されていてもよい。
【0133】
(C)
本実施の形態では、ダイ本体61とダイチップ63が別部材で構成されているが、これに限らなくてもよく、ダイチップ63がダイ本体61に一体的に形成されていてもよい。
【0134】
(D)
上記実施の形態では、端54b、54cともにR面取り形状に形成されているが、これに限らなくてもよく、C面取りであってもよく、端54b、54cに角が形成されていなければよい。
【0135】
本実施の形態では、端622bには、R面取り形状が形成されているが、C面取りであってもよく、要するに端622bに角が形成されなければよい。
【0136】
(E)
上記実施の形態では、ダイ42も駆動させているが、ダイは固定されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明のパンチプレス用金型によれば、バリの発生を抑制する効果を有し、パンチプレス機などとして有用である。
【符号の説明】
【0138】
17 :金型
41 :パンチ
42 :ダイ
43 :ストリッパ
54 :パンチチップ
54a :先端面
54b :端
54c :端
433a :下面
622a :上面
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