(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】電極用バインダー、及び電極
(51)【国際特許分類】
H01M 4/62 20060101AFI20240516BHJP
H01G 11/38 20130101ALI20240516BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240516BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20240516BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01G11/38
H01M4/13
H01M4/139
(21)【出願番号】P 2020074874
(22)【出願日】2020-04-20
(62)【分割の表示】P 2019031489の分割
【原出願日】2018-08-06
【審査請求日】2021-08-05
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2017160428
(32)【優先日】2017-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】UBE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 剛成
(72)【発明者】
【氏名】成田 一貴
(72)【発明者】
【氏名】井上 翔平
【合議体】
【審判長】岩間 直純
【審判官】畑中 博幸
【審判官】須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第00/068318(JP,A1)
【文献】特開平10-152558(JP,A)
【文献】国際公開第2007/114168(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点が200℃以下であるポリイミド系樹脂からなる電極用バインダー
であり、
前記ポリイミド系樹脂が、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とから得られるポリイミドであって、テトラカルボン酸成分またはジアミン成分の少なくとも一方が、脂肪族化合物を50モル%以上含むポリイミドを含み、
前記ポリイミドが、下記化学式(1)で表される構造単位1種以上からなるポリイミドである、
電極用バインダー
。
【化1】
(式中、R
1は、芳香環を1個または2個有する4価の基であり、R
2は、炭素数1~20の2価のアルキレン基である。)
【請求項2】
前記化学式(1)中のR
1が、下記化学式(2)~(5)の4価の基からなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の電極用バインダー
。
【化2】
【請求項3】
前記ポリイミド系樹脂が、平均重合度が50以下であるイミドオリゴマーの少なくとも一方の末端に付加反応基を有する付加反応性イミドオリゴマーを含む、請求項1に記載の電極用バインダー
。
【請求項4】
前記付加反応基が、フェニルエチニル基、またはアセチレン結合を含む基である、請求項3に記載の電極用バインダー
。
【請求項5】
前記付加反応性イミドオリゴマーが、下記化学式(6)で表される付加反応性イミドオリゴマーである、請求項4に記載の電極用バインダー
。
【化3】
(式中、R
3は、芳香環を1個または2個有する4価の基からなる群から選択される1種以上であり、R
4は、炭素数1~20の2価の炭化水素基からなる群から選択される1種以上であり、R
5は、アセチレン結合を含む1価の基であり、nは1~15の整数である。ここで、各構造単位に含まれるR
3及びR
4は、同一であっても、異なっていてもよい。)
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の電極用バインダー
と、電極活物質とを含む電極合剤層を有する電極。
【請求項7】
前記電極合剤層が、金属箔からなる集電体の表面に形成されている、請求項6に記載の電極。
【請求項8】
前記電極合剤層が、固体電解質をさらに含む、請求項6または7に記載の電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタなどの電気化学素子の電極用のバインダー樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるため、移動情報端末の駆動電源などとして広く利用されている。近年は、大容量を必要とする電気・ハイブリッド自動車への搭載など産業用途での使用も広まりつつあり、更なる高容量化や高性能化のための検討がなされている。その試みの一つは、例えば負極活物質として単位体積あたりのリチウム吸蔵量の多いケイ素やスズ、或いはこれらを含む合金を用いて、充放電容量を増大させようとするものである。
【0003】
しかし、ケイ素やスズ、或いはこれらを含む合金のような充放電容量の大きな活物質を用いると、充放電に伴って活物質が非常に大きな体積変化を起こすため、これまでの炭素を活物質として用いた電極で広く用いられていたポリフッ化ビニリデンやゴム系の樹脂をバインダー樹脂として用いたのでは、活物質層が破壊され易くなったり、集電体と活物質層との界面で剥離が発生し易くなったりするために、電極内の集電構造が破壊され、電極の電子伝導性が低下して電池のサイクル特性が容易に低下するという問題があった。
【0004】
このため、活物質が非常に大きな体積変化を起こしても、電極の破壊や剥離を起こしにくい、電池環境下での靭性が高いバインダー樹脂の開発が望まれていた。
【0005】
特許文献1に記載されているとおり、リチウムイオン二次電池の電極用の結着剤としてポリイミド樹脂を用いることは公知である。
【0006】
特許文献2には、ケイ素やケイ素合金を含む活物質に対して、特定の機械的特性を有するポリイミドをバインダー樹脂として用いることが提案されている。これにより、充放電に伴って活物質が大きな体積変化を起こしても、活物質層の破壊や、集電体と活物質層の剥離を抑制できることが示されている。しかしながら、ここではポリイミドの機械的特性、ガラス転移温度、線膨張係数、及び熱分解開始温度は開示されているが、その具体的な化学構造は開示されていない。
【0007】
特許文献3には、靭性が高いバインダー樹脂として、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸残基を有するポリイミド等が提案されている。
【0008】
特許文献4には、固体電解質層を備える固体電池の負極の結着剤として、固体電解質に結着し、当該固体電解質に対して不活性な第1の結着剤と、負極集電体に対する結着性が第1の結着剤よりも優れた第2の結着剤とを用いることが開示されており、第2の結着剤として全芳香族ポリイミドを含む高弾性樹脂が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平6-163031号公報
【文献】国際公開第2004/004031号
【文献】国際公開第2011/040308号
【文献】特開2014-116154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ポリイミドはバインダー樹脂として優れた特性を有する一方、溶媒への溶解性が高くないために取り扱いが難しいという問題がある。そのため、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸の溶液を用いて電極合剤ペーストを作製し、これを集電体上に塗工して電極合剤層を形成した後、熱処理によりイミド化してポリイミドとする方法が採用されることが多い。しかし、イミド化反応は高温での加熱を必要とし、また、反応により水が生成するため、電極合剤層に含まれる電極活物質や固体電解質等に悪影響を与えることが懸念される。また、可溶性ポリイミドを用い、溶媒に溶解させて電極合剤ペーストを作製し、これを集電体上に塗工した後、熱処理により溶媒を除去して電極合剤層を形成する方法が採用されることもある。しかし、ポリイミドが溶解する溶媒は、一般に、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等の極性溶剤であり、使用は好ましくない。
【0011】
本発明の目的は、極性溶剤を用いることなく、比較的低温の熱処理により、集電体と電極合剤層の接着性に優れた電極を形成することが可能であり、また、電極作製時に水の生成を伴うイミド化反応を行う必要がない、ポリイミド系樹脂からなる電極用バインダー樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明者らは、種々検討した結果、融点が特定の温度より低いポリイミド系樹脂をバインダー樹脂として用いることによって、極性溶剤を用いることなく、比較的低温の熱処理により、集電体と電極合剤層の接着性に優れた電極を形成することが可能であることを見出して、本発明に至った。
【0013】
すなわち、本発明は以下の項に関する。
1.融点が300℃以下であるポリイミド系樹脂からなる電極用バインダー樹脂。
2.前記ポリイミド系樹脂が、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とから得られるポリイミドであって、テトラカルボン酸成分またはジアミン成分の少なくとも一方が、脂肪族化合物を50モル%以上含むポリイミドを含む、前記項1に記載の電極用バインダー樹脂。
3.前記ポリイミドが、下記化学式(1)で表される構造単位1種以上からなるポリイミドである、前記項2に記載の電極用バインダー樹脂。
【化1】
(式中、R
1は、芳香環を1個または2個有する4価の基であり、R
2は、炭素数1~20の2価のアルキレン基である。)
4.前記化学式(1)中のR
1が、下記化学式(2)~(5)の4価の基からなる群から選択される1種以上である、前記項3に記載の電極用バインダー樹脂。
【化2】
【0014】
5.前記ポリイミド系樹脂が、平均重合度が50以下であるイミドオリゴマーの少なくとも一方の末端に付加反応基を有する付加反応性イミドオリゴマーを含む、前記項1に記載の電極用バインダー樹脂。
6.前記付加反応基が、フェニルエチニル基、またはアセチレン結合を含む基である、前記項5に記載の電極用バインダー樹脂。
7.前記付加反応性イミドオリゴマーが、下記化学式(6)で表される付加反応性イミドオリゴマーである、前記項6に記載の電極用バインダー樹脂。
【化3】
(式中、R
3は、芳香環を1個または2個有する4価の基からなる群から選択される1種以上であり、R
4は、炭素数1~20の2価の炭化水素基からなる群から選択される1種以上であり、R
5は、アセチレン結合を含む1価の基であり、nは1~15の整数である。ここで、各構造単位に含まれるR
3及びR
4は、同一であっても、異なっていてもよい。)
【0015】
8.前記項1~7のいずれか1項に記載の電極用バインダー樹脂を含む電極用バインダー樹脂組成物。
9.前記項1~7のいずれか1項に記載の電極用バインダー樹脂と、電極活物質と、溶剤とを含む電極合剤ペースト。
10.前記溶剤が、非極性溶剤である、前記項9に記載の電極合剤ペースト。
11.固体電解質をさらに含む、前記項9または10に記載の電極合剤ペースト。
【0016】
12.前記項9~11のいずれか1項に記載の電極合剤ペーストを、金属箔からなる集電体の表面に塗布する工程と、塗布した電極合剤ペーストを、電極合剤ペーストに含まれるポリイミド系樹脂の融点以上、350℃以下の温度で熱処理する工程とを有することを特徴とする電極の製造方法。
【0017】
13.前記項1~7のいずれか1項に記載の電極用バインダー樹脂と、電極活物質とを含む電極合剤層を有する電極。
14.前記電極合剤層が、金属箔からなる集電体の表面に形成されている、前記項13に記載の電極。
15.前記電極合剤層が、固体電解質をさらに含む、前記項13または14に記載の電極。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、極性溶剤を用いることなく、比較的低温の熱処理により、集電体と電極合剤層の接着性に優れた電極を形成することが可能である、ポリイミド系樹脂からなる電極用バインダー樹脂を提供することができる。また、本発明の電極用バインダー樹脂は、電極作製時にイミド化反応を行う必要がないため、イミド化反応により生成する水によって、電極合剤層に含まれる電極活物質や固体電解質等に悪影響を与えるのを防ぐことが可能である。加えて、バインダー樹脂が溶媒に溶解せずに分散した状態で電極合剤層の形成に用いても、十分な結着力、集電体と電極合剤層の接着性を得ることを可能にしている。また、比較的低温の熱処理により電極を形成することが可能であり、電極作製時に極性溶剤を用いる必要がなく、水が生成するイミド化反応を行う必要もないため、電極合剤層に含まれる電極活物質や固体電解質等に与える悪影響も抑制できる。その結果、本発明によれば、良好な特性を有する電極を得ることができる。
【0019】
本発明の電極用バインダー樹脂を用いて得られる電極は、リチウムイオン二次電池の電極、特に、充放電容量の大きいリチウムイオン二次電池用の電極として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の電極用バインダー樹脂に用いるポリイミド系樹脂は、イミド化反応が実質的に完結しており、融点が300℃以下であることを特徴とする。ポリイミド系樹脂の融点は250℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることが更に好ましい。ここで、「イミド化反応が実質的に完結」とは、電極作製時に加熱処理しても、電極合剤層に含まれる電極活物質や固体電解質等に悪影響が生じるほどには、イミド化反応が進行して水が生成することがないことを意味し、本発明の効果が得られる範囲内であれば、本発明の電極用バインダー樹脂に用いるポリイミド系樹脂は、イミド化反応前のアミック酸構造の繰り返し単位を含むものであってもよい。
【0021】
本発明の電極用バインダー樹脂は、融点が300℃以下、好ましくは250℃以下であるポリイミド系樹脂の1種からなるものであってもよく、融点が300℃以下、好ましくは250℃以下であるポリイミド系樹脂の2種以上の混合物であってもよい。ただし、本発明の電極用バインダー樹脂は、通常、単独の融点を示すものであることが好ましい。
【0022】
本発明におけるポリイミド系樹脂とは、テトラカルボン酸成分およびジアミン成分に由来する、環状イミド基を2個有する繰り返し単位、すなわち、下記の化学式で表される繰り返し単位を1個以上有するポリマーおよびオリゴマーを意味する。なお、テトラカルボン酸成分には、テトラカルボン酸に加えて、テトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸誘導体も含まれる。
【化4】
(式中、Aは、テトラカルボン酸成分からカルボキシル基を除いた4価の基であり、Bは、ジアミン成分からアミノ基を除いた2価の基である。)
【0023】
前記ポリイミド系樹脂として、テトラカルボン酸成分およびジアミン成分で構成され、それらの少なくとも一方が、より好ましくはテトラカルボン酸成分またはジアミン成分のいずれか一方が、脂肪族化合物を50モル%以上、より好ましくは80モル%以上含むポリイミドを挙げることができる。脂肪族化合物を用いることにより、融点が300℃以下であるポリイミドを得ることが容易となる。ある実施態様においては、芳香族テトラカルボン酸成分と脂肪族ジアミン成分とから得られるポリイミド、あるいは、脂肪族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られるポリイミドが特に好ましいことがある。
【0024】
前記テトラカルボン酸成分としては、例えば、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、p-ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、m-ターフェニルテトラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物、及び、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
【0025】
前記ジアミン成分としては、例えば、1,2-プロパンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、2-メチル-1,3-プロパンジアミン、1,4-ジアミノブタン、1,3-ジアミノペンタン、1,5-ジアミノペンタン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン)、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカンなどの脂肪族ジアミンを挙げることができる。
【0026】
また、前記ジアミン成分としては、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、1,5-ジアミノナフタレン、ビス(4-アミノ-3-カルボキシフェニル)メタン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニルなどの芳香族ジアミンを挙げることができる。
【0027】
前記のように、テトラカルボン酸成分またはジアミン成分の少なくとも一方が、脂肪族化合物を50モル%以上含むポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸成分と脂肪族ジアミン成分とから得られるポリイミドであることが好ましく、電極用バインダー樹脂としての性能の点から、下記化学式(1)で表される構造単位1種以上からなるポリイミドであることが特に好ましい。
【化5】
化学式(1)において、R
1は、芳香環を1個または2個有する4価の基であり、R
2は、炭素数1~20の2価のアルキレン基である。
【0028】
化学式(1)において、R
1は、芳香環としてベンゼン環を1個または2個有する4価の基であることが好ましく、下記化学式(2)~(5)の4価の基であることがより好ましい。
【化6】
【0029】
化学式(1)において、R2は、炭素数3~16のアルキレン基であることが好ましく、炭素数3~14のアルキレン基であることがより好ましい。なお、R2は、直鎖アルキレン基であっても、分岐アルキレン基であってもよい。
【0030】
前記ポリイミドは、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを溶剤中で反応させることにより製造することができる。反応の方法は、好ましくはジアミン成分を溶剤に溶解した溶液に、テトラカルボン酸成分を一度に、または、多段階で添加し、加熱して重合(イミド化反応)を行う方法が好適である。反応温度は、通常、120℃~220℃が好ましく、150℃~200℃がさらに好ましく、160℃~190℃が特に好ましい。反応温度が120℃より低いとイミド化反応が遅くなることから好ましくなく、220℃より高いと溶媒の沸点よりも高くなり好ましくない。反応時間は、通常、0.5時間~72時間の範囲が好ましく、1時間~60時間がさらに好ましく、1.5時間~48時間が特に好ましい。反応時間が0.5時間より短いとイミド化反応が完結しない場合があり、一方、72時間以上の時間をかけるのは生産性の面から好ましくない。
【0031】
テトラカルボン酸成分とジアミン成分とのモル比[テトラカルボン酸成分/ジアミン成分]は略等モル、具体的には0.95~1.05、好ましくは0.97~1.03になるようにすることが好ましい。このモル比の範囲外では、得られるポリイミドの靭性が低くなる恐れがある。
【0032】
前記反応によって得られたポリイミドを含む溶液を、例えば、水、アルコール、ヘキサン等の貧溶媒と混合することによって、ポリイミドを粉末として析出させることができる。この粉末を、ろ過等の手段によって溶媒と分離し、乾燥させることによって、ポリイミドが得られる。
【0033】
前記ポリイミドの調製において用いる溶媒には、公知の有機溶剤を使用することができる。例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2-(2-メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4-ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール、m-クレゾール、フェノール、γ-ブチロラクトンが挙げられる。これらの溶剤は、単独で使用してもよく、または2種以上混合して使用しても差し支えない。
【0034】
また、本発明の電極用バインダー樹脂に用いるポリイミド系樹脂として、テトラカルボン酸成分およびジアミン成分で構成される平均重合度が50以下、好ましくは40以下、更に好ましくは30以下であるイミドオリゴマーの少なくとも一方の末端に付加反応基を有する付加反応性イミドオリゴマーも挙げることができる。平均重合度を50以下とすることにより、融点が300℃以下である付加反応性イミドオリゴマーを得ることが容易となる。なお、イミドオリゴマーの重合度が50であるとは、テトラカルボン酸成分およびジアミン成分がそれぞれ25分子反応した状態を示す。
【0035】
付加反応性イミドオリゴマーを構成するテトラカルボン酸成分およびジアミン成分としては、前述のポリイミドを構成するテトラカルボン酸成分およびジアミン成分として例示したものと同様なものを好適に用いることができる。なお、この場合は、芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分の組み合わせ(全芳香族イミドオリゴマー)も好適である。
【0036】
付加反応性イミドオリゴマーの末端の付加反応基は、加熱によって付加重合反応(硬化反応)を行う基であれば特に限定されないが、電極用バインダー樹脂の性能の点から、好ましくはフェニルエチニル基等のアセチレン結合を含む基、ナジック酸基、及びマレイミド基からなる群から選ばれるいずれかの反応基であり、より好ましくはフェニルエチニル基等のアセチレン結合を含む基であり、更に好ましくはフェニルエチニル基である。
【0037】
これらの付加反応基は、分子内に付加反応基と共に酸無水物基又はアミノ基を有する化合物が、イミドオリゴマーの末端のアミノ基又は酸無水物基と反応することによって、イミドオリゴマーの末端に導入される。この反応は、好ましくはイミド環を形成する反応である。分子内に付加反応基と共に酸無水物基又はアミノ基を有する化合物は、例えば、4-(2-フェニルエチニル)無水フタル酸、フェニルエチニルトリメリット酸無水物、4-(2-フェニルエチニル)アニリン、4-エチニル-無水フタル酸、4-エチニルアニリン、ナジック酸無水物、マレイン酸無水物が挙げられる。
【0038】
本発明の電極用バインダー樹脂に用いる付加反応性イミドオリゴマーは、下記化学式(6)で表される付加反応性イミドオリゴマーであることが好ましい。
【化7】
化学式(6)において、R
3は、芳香環を1個または2個有する4価の基からなる群から選択される1種以上であり、R
4は、炭素数1~20の2価の炭化水素基からなる群から選択される1種以上であり、R
5は、アセチレン結合を含む1価の基、好ましくはフェニルエチニル基を有する1価の基であり、nは1~15の整数である。ただし、各構造単位に含まれるR
3及びR
4は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0039】
化学式(6)において、R3は、芳香環としてベンゼン環を1個または2個有する4価の基であることが好ましく、前記化学式(2)~(5)の4価の基であることがより好ましい。R4は、ベンゼン環を1個~3個有する2価の基、または炭素数1~20のアルキレン基であることが好ましい。
【0040】
前記の付加反応性イミドオリゴマーは、テトラカルボン酸成分としてのテトラカルボン酸二無水物、ジアミン成分、及び分子内に付加反応基と共に酸無水物基又はアミノ基を有する化合物を、各酸無水物基の合計と各アミノ基の合計とが概略等量、具体的には、使用する化合物に含まれる酸無水物基の合計量とアミノ基の合計量との比[酸無水物基の合計量/アミノ基の合計量]が0.95~1.05、好ましくは0.97~1.03となるように使用して、好適には溶媒中で反応させることによって容易に製造することができる。反応の方法は、前述のポリイミドの製造と同様な方法が好適であり、溶媒も同様なものを用いることができる。
【0041】
本発明の電極用バインダー樹脂組成物は、前述のような本発明の電極用バインダー樹脂を含むものであり、本発明の電極合剤ペーストは、本発明の電極用バインダー樹脂と、電極活物質と、溶剤とを含むものである。溶剤は、非極性溶剤であることが好ましい。本発明の電極用バインダー樹脂、または電極用バインダー樹脂組成物と電極活物質と溶剤とを混合することにより、電極合剤ペーストを調製することができる。
【0042】
ここで、高容量を得るには、電極中の電極活物質の量が多いことが望ましく、したがって、より少ない量のバインダー樹脂で十分な結着力を得ることが望ましい。電極の作製において、粉末の状態のバインダー樹脂よりも、溶媒に溶解した状態のバインダー樹脂を用いる方が、少量であっても、バインダー樹脂の偏在がなく、高い結着力を容易に得ることができるため、ポリイミド系のバインダー樹脂の場合は、従来、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸の溶液、または、可溶性ポリイミドの溶液を用いて電極合剤ペーストが作製されている。しかしながら、ポリアミック酸の溶液、及び、可溶性ポリイミドの溶液の使用には、前記のような問題がある。ポリイミドは、一般的に、融点が存在しないか、400℃以上、さらには500℃以上と非常に高いが、本発明においては、融点が300℃以下、好ましくは250℃以下である特殊なポリイミド系樹脂を電極用バインダー樹脂にすることにより、極性溶剤を用いることなく、すなわち、バインダー樹脂が溶媒に溶解せずに分散した状態で電極合剤層の形成に用いても、十分な結着力、集電体と電極合剤層の接着性を得ることを可能にしている。また、比較的低温の熱処理により電極を形成することが可能であり、電極作製時に極性溶剤を用いる必要がなく、水が生成するイミド化反応を行う必要もないため、電極合剤層に含まれる電極活物質や固体電解質等に与える悪影響も抑制できる。その結果、本発明によれば、良好な特性を有する電極を得ることができる。
【0043】
電極活物質は公知のものを好適に用いることができるが、リチウム含有金属複合酸化物、炭素粉末、ケイ素粉末、スズ粉末、またはケイ素若しくはスズを含む合金粉末が好ましい。電極合剤ペースト中の電極活物質の量は、特に限定されないが、通常、電極用バインダー樹脂に対して、質量基準で0.1~1000倍、好ましくは1~1000倍、より好ましくは5~1000倍、さらに好ましくは10~1000倍である。活物質量が多すぎると活物質が集電体に十分に結着されずに脱落しやくなる。一方、活物質量が少なすぎると、集電体に形成された活物質層(電極合剤層とも言う。)に不活性な部分が多くなり、電極としての機能が不十分になることがある。
【0044】
電極合剤ペーストに用いる溶剤は、本発明の電極用バインダー樹脂を溶解しないものであってもよく、非極性溶剤であることが好ましい。電極合剤ペーストの溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類等の非極性溶剤を挙げることができる。
【0045】
電極合剤ペーストは、本発明の電極用バインダー樹脂に加えて、ポリイミド系樹脂以外の他のバインダー樹脂を含んでいてもよい。ポリイミド系樹脂以外のバインダー樹脂の含有量は、バインダー成分の総量に対して、50質量%未満であることが好ましく、30質量%未満であることがより好ましい。
【0046】
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ポリアクリロニトリル、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、フッ素ゴム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。
【0047】
また、電極合剤ペーストは、固体電解質を含んでいてもよい。固体電解質としては、例えば、ペロブスカイト型結晶のLa0.51Li0.34TiO2.94、ガーネット型結晶のLi7La3Zr2O12、NASICON型結晶のLi1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3、アモルファスのLIPON(Li2.9PO3.3N0.46)などの酸化物系固体電解質、Li2S-SiS2系やLi2S-P2S5系などの硫化物系固体電解質が挙げられる。
【0048】
電極合剤ペーストには、さらに、必要に応じて界面活性剤や粘度調整剤や導電補助剤などの添加剤を加えることができる。
【0049】
本発明の電極は、前述のような本発明の電極用バインダー樹脂と、電極活物質とを含む電極合剤層を有するものである。電極合剤層は、例えば、金属箔からなる集電体の表面に形成される。本発明の電極の電極合剤層は、さらに、前述のようなポリイミド系樹脂以外の他のバインダー樹脂や固体電解質を含んでいてもよい。また、本発明の電極用バインダー樹脂が、前述のような少なくとも一方の末端に付加反応基を有する付加反応性イミドオリゴマー等、反応性の官能基を有するものである場合は、分子内もしくは分子間で反応性官能基同士が反応して生成した反応物を含むものであってもよい。
【0050】
前述のような本発明の電極合剤ペーストを、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、チタン、コバルトなどの金属箔またはこれらの組み合わせからなる合金箔からなる導電性の集電体上に流延あるいは塗布し、加熱処理して溶剤を除去することにより、電極を製造することができる。加熱処理は、電極合剤ペーストに含まれるポリイミド系樹脂を溶融させ、電極活物質等の電極合剤層を形成する成分を一体化させると共に、集電体と電極合剤層を接着させることができる条件で行うことが好ましい。具体的には、用いるポリイミド系樹脂の融点以上、350℃以下の温度で、好ましくは加圧下で熱処理を行うことが好ましい。固体電解質などの電極、及び電池に含まれる成分の分解を抑制して、良好な特性を有する電極、及びリチウムイオン二次電池などの電気化学素子を得るためには、通常、加熱処理の温度は350℃以下であることが好ましい。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0052】
以下の例で用いた特性の測定方法を以下に示す。
<融点測定方法(DSC法)>
示差走査熱量計DSC-50(島津製作所)を用い、室温(25℃)から500℃まで20℃/minにて昇温を行い、融点を測定した。
<付着性試験(クロスカット法)>
付着性試験は、JIS K 5600-5-6に準拠して行った。なお、評価は目視により、評価基準(3)に準拠した分類0~分類5(数字が小さいほど強固に付着している)で示した。
【0053】
以下の例で使用した化合物の略号について説明する。
ODPA:4,4’-オキシジフタル酸二無水物、
s-BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
a-BPDA:2,3’,3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
PMDA:ピロメリット酸二無水物、
PEPA:4-フェニルエチニルフタル酸無水物、
PETA:フェニルエチニルトリメリット酸無水物、
PPD:p-フェニレンジアミン、
MPD:m-フェニレンジアミン、
ODA:4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、
TPE-R:1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、
DMD:デカメチレンジアミン、
HMD:ヘキサメチレンジアミン、
NMP:N-メチル-2-ピロリドン、
PVdF:ポリフッ化ビニリデン、
SBR:スチレンブタジエンゴム
【0054】
〔実施例1〕
酸無水物としてs-BPDA、ジアミンとしてDMDを用い(s-BPDA:DMD=1:1(モル比))、NMP中、180℃で12時間重合させてイミド化が完結したポリイミド溶液を得た。この溶液を水中に分散させ、析出させたポリイミドを濾別した。水洗及び濾別を3回繰り返し、回収したポリイミドを150℃で24時間乾燥させて電極用バインダー樹脂を得た。この樹脂の融点は190℃であった。
得られた電極用バインダー樹脂3gに珪素粉末7g及びヘキサン90gを添加して混錬し、電極合剤ペーストを調製した。このペーストを銅箔に塗布し、常圧、窒素雰囲気下の熱風乾燥機にて120℃で60分間加熱処理した後、250℃で熱プレスして電極を作製した。この電極について付着性試験を行った結果、付着性は分類0であった。
【0055】
〔実施例2〕
実施例1で得られた電極用バインダー樹脂3gにカルボキシメチルセルロース1g、珪素粉末7g及び水90gを添加して混錬し、電極合剤ペーストを調製した。このペーストを用いた以外は実施例1と同様にして電極を作製した。この電極について付着性試験を行った結果、付着性は分類0であった。
【0056】
〔実施例3〕
酸無水物をODPAに変更した以外は実施例1と同様にして電極用バインダー樹脂を得た。この樹脂の融点は150℃であった。この電極用バインダー樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして電極を作製した。この電極について付着性試験を行った結果、付着性は分類0であった。
【0057】
〔実施例4〕
酸無水物としてa-BPDA及びPEPA、ジアミンとしてTPE-R及びMPDを用いた(a-BPDA:PEPA:TPE-R:MPD=1:2:1:1(モル比))以外は実施例1と同様にして電極用バインダー樹脂を得た。この樹脂の融点は175℃であった。この電極用バインダー樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして電極を作製した。この電極について付着性試験を行った結果、付着性は分類0であった。
【0058】
〔実施例5〕
酸無水物としてODPA及びPETA、ジアミンとしてHMDを用いた(ODPA:PETA:HMD=1:2:2(モル比))以外は実施例1と同様にして電極用バインダー樹脂を得た。この樹脂の融点は170℃であった。この電極用バインダー樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして電極を作製した。この電極について付着性試験を行った結果、付着性は分類0であった。
【0059】
〔実施例6〕
酸無水物としてODPA、s-BPDA及びPETA、ジアミンとしてODA、PPDを用いた(ODPA:s-BPDA:PETA:ODA:PPD=5:5:20:14:6(モル比))以外は実施例1と同様にして電極用バインダー樹脂を得た。この樹脂の融点は250℃であった。この電極用バインダー樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして電極を作製した。この電極について付着性試験を行った結果、付着性は分類0であった。
【0060】
〔比較例1〕
酸無水物としてs-BPDA、ジアミンとしてPPDをNMP中、180℃で12時間重合させ、イミド化が完結したポリイミド分散NMP溶液を得た。析出したポリイミドを濾別した後、水洗及び濾別を3回繰り返し実施し、回収したポリイミドを150℃で24時間乾燥させてポリイミド粉末を得た。この樹脂の融点を測定したが、融点は観測されなかった。
得られたポリイミド粉末3gに珪素粉末7g及びヘキサン90gを添加して混錬し、電極合剤ペーストを調製した。このペーストを銅箔に塗布し、常圧、窒素雰囲気下の熱風乾燥機にて120℃で60分間加熱処理した後、350℃で熱プレスしたが、電極合剤層と銅箔が接着しなかったため電極は作製できなかった。
【0061】
〔比較例2〕
酸無水物としてPMDA、ジアミンとしてODAをNMP中、180℃で12時間重合させ、イミド化が完結したポリイミド分散NMP溶液を得た。析出したポリイミドを濾別した後、水洗及び濾別を3回繰り返し実施し、回収したポリイミドを150℃で24時間乾燥させてポリイミド粉末を得た。この樹脂の融点を測定したが、融点は観測されなかった。
得られたポリイミド粉末3gに珪素粉末7g及びヘキサン90gを添加して混錬し、電極合剤ペーストを調製した。このペーストを銅箔に塗布し、常圧、窒素ガス雰囲気下の熱風乾燥機にて120℃で60分間加熱処理した後、350℃で熱プレスしたが、電極合剤層と銅箔が接着しなかったため電極は作製できなかった。
【0062】
〔比較例3〕
PVdF3gに珪素粉末7g及びヘキサン90gを添加して混錬し、電極合剤ペーストを調製した。このペーストを銅箔に塗布し、常圧、窒素ガス雰囲気下の熱風乾燥機にて120℃で60分間加熱処理した後、250℃で熱プレスして電極を作製した。この電極について付着性試験を行った結果、付着性は分類5であり、接着性は非常に悪かった。
【0063】
〔比較例4〕
SBR3gに珪素粉末7g及びヘキサン90gを添加して混錬し、電極合剤ペーストを調製した。このペーストを塗布した銅箔を、常圧、窒素ガス雰囲気下の熱風乾燥機にて120℃で60分間加熱処理した後、250℃で熱プレスして電極を作製した。この電極について付着性試験を行った結果、付着性は分類4であり、接着性は悪かった。