IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフトの特許一覧

特許7489226骨固着装置の受け部に安定化要素を固定するための閉鎖アセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】骨固着装置の受け部に安定化要素を固定するための閉鎖アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
A61B17/70
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020076053
(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公開番号】P2020182836
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】19171415.3
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/839,203
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511211737
【氏名又は名称】ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティモ・ビーダーマン
(72)【発明者】
【氏名】ベルトホルト・ダネッカー
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0081334(US,A1)
【文献】米国特許第09636146(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0218213(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0103093(US,A1)
【文献】米国特許第05534001(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨固着装置の受け部に細長い安定化要素を固定するための閉鎖アセンブリであって、前記閉鎖アセンブリ(7a,7b,7c,7d,7e)は、
回転軸(R)および外面を有する第1の閉鎖部材(70a,70b,70c,70d,70e)を備え、前記第1の閉鎖部材内には中央通路(70)が軸方向に通っており、前記中央通路の内面は、少なくとも一部に第1の雌ねじ(76)を有し、
前記第1の閉鎖部材は、前記骨固着装置の受け部(5)の一対の脚部(55,56)の間に受け入れられるように構成されており、前記閉鎖アセンブリはさらに、
回転軸(R)および外面を有する第2の閉鎖部材(700a,700b,700c,700d,700e)を備え、前記第2の閉鎖部材の外面は、前記第1の閉鎖部材の前記第1の雌ねじ(76)と協働するように構成された第1の雄ねじ(703)を有し、
前記第1の雄ねじ(703)は、少なくとも2つのスタート(704,707)を有する多条ねじを含み、
前記第1の閉鎖部材(70a,70b,70c,70d,70e)は、前記外面の少なくとも一部に第2の雄ねじ(73)を有し、前記第2の雄ねじ(73)は、前記受け部(5)の前記脚部(55,56)に設けられた第2の雌ねじ(57,57′,57′′,57′′′)と協働するように構成され、
前記第2の雄ねじ(73)および前記第2の雌ねじ(57,57′,57′′,57′′′)は一条ねじである、閉鎖アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の閉鎖部材(70a,70b,70c,70d,70e)の前記第1の雌ねじ(76)は、少なくとも2つのスタートを有する多条ねじを含む、請求項1に記載の閉鎖アセンブリ。
【請求項3】
前記第2の閉鎖部材(700a,700b,700c,700d,700e)の前記第1の雄ねじ(703)は、角ねじを含む、請求項1または2に記載の閉鎖アセンブリ。
【請求項4】
前記第1の閉鎖部材(70a,70b,70c,70d,70e)の前記第1の雌ねじ(76)は、角ねじを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の閉鎖アセンブリ。
【請求項5】
前記第2の閉鎖部材(700a,700b,700c,700d,700e)は、第1の端部(701)と、その反対側の第2の端部(702)とを有し、
前記第1の雄ねじ(703)は、前記第2の端部(702)から距離を置いた位置で終わり、
前記第2の端部(702)には、径方向に突き出た突出部(780)が設けられ、前記径方向に突き出た突出部(780)は、前記第2の閉鎖部材(700a,700b,700c,700d,700e)が前記第1の閉鎖部材(70a,70b,70c,70d,70e)の上端部(71)を意図せず通り抜け、外に出るまで螺合されてしまうことを防止する当接部を提供する、請求項1~4のいずれか1項に記載の閉鎖アセンブリ。
【請求項6】
前記第2の閉鎖部材(700a,700b)は、前記第2の閉鎖部材内を通る軸方向の通路(795,795c)を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の閉鎖アセンブリ。
【請求項7】
前記軸方向の通路は前記第2の閉鎖部材を完全に貫通する、請求項6に記載の閉鎖アセンブリ。
【請求項8】
前記第2の閉鎖部材は、上端部(701)と、下端部(702)と、ドライバと係合するための係合部(796,796b,796c,796d,796e)とを有し、
前記係合部は、
前記軸方向の通路(795,795c)の内側輪郭に設けられた長手方向に延びる溝(796,796b,796c)、
前記上端部(701)に設けられた交差したスロット(796d)、または
前記上端部(701)に設けられた突起部(796e)
を有する、請求項6または7に記載の閉鎖アセンブリ。
【請求項9】
前記第2の雄ねじ(73)は、角ねじを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の閉鎖アセンブリ。
【請求項10】
前記第2の雌ねじ(57,57′,57′′,57′′′)は、角ねじ、負角ねじ、螺旋フランジねじ、台形ねじ、または鋸歯ねじを含む群のうちの1つである、請求項1~9のいずれか1項に記載の閉鎖アセンブリ。
【請求項11】
前記第1の閉鎖部材(70a,70b,70c,70d,70e)は、第1の端部(71)および第2の端部(72)を有し、
前記第1の端部(71)には、前記受け部(5)の前記脚部(55,56)の間に前記第1の閉鎖部材を前進させるためのドライバと係合する軸方向かつ径方向に延在する複数の凹部(78a,78b,78c,78d,78e)が設けられている、請求項1~10のいずれか1項に記載の閉鎖アセンブリ。
【請求項12】
前記軸方向かつ径方向に延在する複数の凹部(78d,78e)は、前記第1の端部(71)に向かって開口するとともに前記内面に向かって閉じている、請求項11に記載の閉鎖アセンブリ。
【請求項13】
前記軸方向かつ径方向に延在する複数の凹部(78e)は、前記外面に向かって開口している、請求項12に記載の閉鎖アセンブリ。
【請求項14】
骨の中に固定されるシャンク(2)と、
前記シャンクに接続される受け部(5)とを備える骨固着装置であって、
前記受け部は円筒状であり、前記受け部は2つの脚部(55,56)を画定するU字形の凹部(54)を有しており、前記2つの脚部(55,56)の間に安定化要素(101,102)を受け入れ可能であり、前記骨固着装置はさらに、
前記安定化要素(101,102)を前記U字形の凹部(54)に固定するための、請求項1~12のいずれか1項に記載のロックアセンブリを備える、骨固着装置。
【請求項15】
前記シャンク(2)は、前記受け部(5)に枢動可能に接続可能であり、
前記第1の閉鎖部材(70a,70b,70c,70d,70e)は、前記シャンク(2)に対する前記受け部(5)の角度位置をロックするように構成されており、
前記第2の閉鎖部材(700a,700b,700c,700d,700e)は、前記安定化要素(101,102)を前記U字形の凹部(54)にロックするように構成されている、請求項14に記載の骨固着装置。
【請求項16】
前記シャンク(2)の端部を構成する挿入された頭部(3)に圧力をかけるように構成された加圧要素(6)をさらに備え、
前記加圧要素(6)は、前記細長い安定化要素を支持するための支持面(69)を有する、請求項14または15に記載の骨固着装置。
【請求項17】
前記支持面(69)は、中心軸(C)に直交する方向から見たときにV字形の輪郭を有している、請求項16に記載の骨固着装置。
【請求項18】
前記支持面(69)の両側の側壁(67,68)は、前記支持面(69)に支持された安定化要素(101,102)の上方まで延びる、請求項16に記載の骨固着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨固着装置の受け部に安定化要素を固定するための閉鎖アセンブリ、および、その閉鎖アセンブリを備える骨固着装置に関するものである。特に、本発明は、整形外科手術、具体的には整形外科脊椎手術で利用可能である。
【背景技術】
【0002】
整形外科脊椎手術では、脊椎セグメントを安定化させるために、茎状ねじおよびロッドがしばしば用いられる。茎状ねじは、骨の中に固定されるシャンクと、安定化ロッドをシャンクに結合するための受け部とを備える骨固着装置である。シャンクは、いわゆる多軸骨固着装置では、受け部に多軸方向に接続され得る。あるいは、いわゆる一軸骨固着装置では、シャンクは受け部に固定的に接続され得る。その場合、シャンクと受け部とが成す角度は、通常ゼロである。ロッドを受け部内に捕捉し、受け部に枢動可能に接続されるシャンクの角度位置をロックし、ロッドをロックするための、さまざまな閉鎖アセンブリが知られている。
【0003】
2つの部分からなる閉鎖アセンブリが周知である。例えば、一軸骨固着装置についてはUS6,224,598B1、多軸骨固着装置についてはUS8,828,060B2に記載されている。一方、1つの部分からなる閉鎖装置についても、さまざまなものが知られている。例えば、US5,005,562、または、前述のUS8,828,060B2に記載されたものなどである。
【0004】
具体的には、US9,636,146B2では、1つの部分からなる円筒閉鎖部材が提案されている。この円筒閉鎖部材は、閉鎖部材に配置された第1および第2のつる巻きねじ形状体を有する。第1のつる巻きねじ形状体は第1のスタートを有し、第2のつる巻きねじ形状体は第2のスタートを有する。これらは、受け部材の第1のアーム上で第1のつる巻きねじ形状体と協働するとともに、第1のつる巻きねじ形状体とは反対側で、受け部材の第2のアーム上で第2のつる巻きねじ形状体と協働する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】US6,224,598B1
【文献】US8,828,060B2
【文献】US5,005,562
【文献】US9,636,146B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
閉鎖アセンブリのねじ込みまたは締め付けの際の力の配分および伝達に起因する不都合を克服しようとして、さまざまな閉鎖アセンブリが先行技術に記載されているが、依然として、椎骨または骨パーツを安定化させるための骨固着装置に関連して使用される閉鎖アセンブリを改良する必要がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、閉鎖アセンブリによって生じる力の配分とロック力とが向上した改良閉鎖アセンブリ、および、そのような閉鎖アセンブリを有する骨固着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載の閉鎖アセンブリ、および請求項13に記載の骨固着装置によって解決される。さらなる展開例が従属請求項に記載される。
【0009】
一態様によれば、骨固着装置の受け部に細長い安定化要素を固定するための閉鎖アセンブリは、回転軸および外面を有する第1の閉鎖部材を備える。第1の閉鎖部材内には中央通路が軸方向に通っており、通路の内面は、少なくとも一部に雌ねじを有する。第1の閉鎖部材は、骨固着装置の受け部の一対の脚部の間に受け入れられるように構成されている。閉鎖アセンブリはさらに、回転軸および外面を有する第2の閉鎖部材を備える。第2の閉鎖部材の外面は、第1の閉鎖部材の雌ねじと協働するように構成された雄ねじを有する。雄ねじは、少なくとも2つのスタートを有する多条ねじを含む。
【0010】
多条ねじを用いることによって、第2の閉鎖部材を第1の閉鎖部材に対して螺合することによって生じる力が、1つのねじ山だけでなく、少なくとも2つまたはそれ以上のねじ山に分配される。その結果、より均一に第1の閉鎖部材に力を伝達することができる。また、骨固着要素の頭部をロックする際の脚部の広がりまたは捻じれを、さらに抑制することができる。
【0011】
別の一態様によれば、多条ねじのねじ形状は角ねじである。角ねじを用いることにより、力の配分をさらに改善することができる。
【0012】
別の一態様によれば、第1の閉鎖部材は、受け部の脚部の内面に設けられた雌ねじと協働するように構成された雄ねじを有する。第1の閉鎖部材の雄ねじおよび受け部の雌ねじは、一条ねじであってもよい。さらに、第1の閉鎖部材の雄ねじは、受け部の雌ねじとは異なるねじ形状であってもよい。例えば、雄ねじのねじ形状は角ねじであり、雌ねじのねじ形状は、第1の閉鎖部材の角ねじである雄ねじと協働するようなサイズおよび形状の台形ねじ、鋸歯ねじ、螺旋フランジねじ、負角ねじ、または別のねじ形状であってもよい。これにより、閉鎖アセンブリは、脚部に設けられる雌ねじが異なるさまざまなタイプの受け部用の閉鎖アセンブリとして使用可能になる。
【0013】
第1の閉鎖部材および第2の閉鎖部材の駆動部は、閉鎖アセンブリを挿入して締めるために使用される器具に適合するようなさまざまな形状を有し得る。
【0014】
さらに別の一態様によれば、骨固着装置は、骨の中に固定されるシャンクと、シャンクに接続される受け部とを備える。受け部は略円筒状であり、受け部は2つの脚部を画定する略U字形の凹部を有しており、それらの2つの脚部の間に細長い安定化要素を受け入れ可能である。骨固着装置はさらに、閉鎖アセンブリを備える。シャンクが受け部に枢動可能に接続可能である場合、第1の閉鎖部材がシャンクに対する受け部の角度位置をロックするとともに、第2の閉鎖部材が細長い安定化部材を凹部にロックするように、閉鎖アセンブリを構成してもよい。シャンクの端部を構成する頭部に圧力をかけるために、受け部にさらに加圧部材を設けてもよい。加圧部材は、さまざまな直径のロッドを選択的に受け入れ可能に構成されてもよい。
【0015】
少ない数の基本部品だけで、さまざまな形状の閉鎖アセンブリと組み合わせて、多様な骨固着装置を組み付けることができる。
【0016】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面を用いた実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態の閉鎖アセンブリを有する、一実施形態の骨固着装置の分解斜視図である。
図2図1の骨固着装置および閉鎖アセンブリの断面図であって、受け部の脚部の中心を通り、かつ第1の直径を有する第1のロッドの軸に直交する平面に沿った断面図である。
図3図1の骨固着装置の断面図であって、受け部の脚部の中心を通り、かつ第2の直径を有する第2のロッドの軸に直交する平面に沿った断面図である。
図4図2の一部を拡大した断面図である。
図5a】一実施形態の閉鎖アセンブリの分解斜視図である。
図5b】一実施形態の閉鎖アセンブリの分解斜視図である。
図5c】一実施形態の閉鎖アセンブリの分解斜視図である。
図5d】一実施形態の閉鎖アセンブリの分解斜視図である。
図5e】一実施形態の閉鎖アセンブリの分解斜視図である。
図6図1図3および図5aに示す第1の実施形態の閉鎖アセンブリの第1の閉鎖部材を上から見た斜視図である。
図7図6の第1の閉鎖部材を下から見た斜視図である。
図8図6のおよび図7の第1の閉鎖部材の側面図である。
図9図1図3および図5aに示す第1の実施形態の閉鎖アセンブリの第2の閉鎖部材を上から見た斜視図である。
図10図9の第2の閉鎖部材を下から見た斜視図である。
図11図9のおよび図10の第2の閉鎖部材の側面図である。
図12図5bに示す第2の実施形態の閉鎖アセンブリの第1の閉鎖部材を上から見た斜視図である。
図13図12の第1の閉鎖部材を下から見た斜視図である。
図14図12のおよび図13の第1の閉鎖部材の側面図である。
図15図5bに示す第2の実施形態の閉鎖アセンブリの第2の閉鎖部材を示す図である。
図16図15の第2の閉鎖部材を下から見た斜視図である。
図17図15のおよび図16の第2の閉鎖部材の側面図である。
図18図5cに示す第3の実施形態の閉鎖アセンブリの第1の閉鎖部材を上から見た斜視図である。
図19図18の第1の閉鎖部材を下から見た斜視図である。
図20図5cに示す第3の実施形態の閉鎖アセンブリの第2の閉鎖部材を上から見た斜視図である。
図21図20の第2の閉鎖部材を下から見た斜視図である。
図22図5dに示す第4の実施形態の閉鎖アセンブリの第1の閉鎖部材を上から見た斜視図である。
図23図5dに示す第4の実施形態の閉鎖アセンブリの第2の閉鎖部材を上から見た斜視図である。
図24図5eに示す第5の実施形態の閉鎖アセンブリの第1の閉鎖部材の斜視図である。
図25図24のの第1の閉鎖部材を下から見た斜視図である。
図26図5eに示す第5の実施形態の閉鎖アセンブリの第2の閉鎖部材を上から見た斜視図である。
図27図26の第2の閉鎖部材を下から見た斜視図である。
図28】変形実施形態の骨固着装置における、図5aの閉鎖アセンブリの一部を拡大した断面図である。
図29】さらなる変形実施形態の骨固着装置における、図5aの閉鎖アセンブリの一部を拡大した断面図である。
図30】別の変形実施形態の骨固着装置における、図5aの閉鎖アセンブリの一部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図3を参照して、第1の実施形態に従った閉鎖アセンブリを備える骨固着装置について説明する。骨固着装置は、ねじ付き部を有するシャンク2と頭部3とを含む骨固着要素1を備える。頭部3は球形状の外面部を有し、シャンク2とは反対側に、工具と係合するための凹部4を有する。直径dを有する第1のロッド101、またはdよりも小さい直径dを有する第2のロッド102などの細長い固着部材に骨固着要素1を結合するために、受け部5が設けられる。受け部5には、骨固着要素1の頭部3に圧力をかけるための加圧要素6が配置される。
【0019】
さらに、骨固着装置は閉鎖アセンブリ7aを備える。閉鎖アセンブリ7aは、第1の閉鎖部材すなわち外側の閉鎖部材70aと、第2の閉鎖部材すなわち内側の閉鎖部材700aとを含む。第1の閉鎖部材70aおよび第2の閉鎖部材700aは、ロッド101,102のうちの1つを受け部5内に捕捉するように構成されている。さらに、第1の閉鎖部材70aおよび第2の閉鎖部材700aは、シャンク2に対する受け部5のロックと、受け部5への第1のロッド101または第2のロッド102のロックとを独立して行なうように構成されている。
【0020】
受け部5は、第1の端部すなわち頂端部5aと、頂端部5aとは反対側の第2の端部すなわち底端部5bとを有する。受け部5の外形は、その長手方向軸Cが頂端部5aおよび底端部5bを通る略円筒状であってもよい。長手方向軸Cと同軸上に、通路51が設けられる。通路51は、頂端部5aから底端部5bまで延びており、底端部5bで開口部52を成す。通路51は、頂端部5aから距離を置いた位置で広くなり、収容空間53となる。収容空間53は、頭部3と、加圧要素6の少なくとも一部とを受け入れ可能に構成されている。底端部5bの開口部52の近傍で、収容空間53は開口部52に向かって狭くなり、狭窄部53aとなる。狭窄部53aは、加圧要素6における対応部分と協働することができる、例えばテーパ状の面、特に円錐形の面であってもよい。頭部3を底端部5bから収容空間53に挿入できるように、開口部52の幅を頭部3の最大幅よりも大きくしてもよい。頭部3を底端部5bから挿入可能にするためには、収容空間53の幅は、以下で詳述するように、頭部3の挿入を可能にする程度に加圧要素6が収容空間53内で拡張できるような幅に設定される。
【0021】
受け部5は、頂端部5aから底端部5bに向かって延在する略U字形の凹部54をさらに有する。U字形の凹部54によって、2つの自由脚部55,56が画定される。2つの自由脚部55,56は、第1の端部5aに向かって開かれており、第1のロッド101または第2のロッド102を受け入れるためのチャネルを画定している。
【0022】
脚部55,56の内面には、雌ねじ57が形成されている。図示のように、例示的な実施形態では、雌ねじ57は角ねじまたは四角ねじである。角ねじは、谷底571によって互いに隔てられた複数のねじ山570を有する。各ねじ山570は、頂端部5aの方を向いた第1のフランクすなわち上側フランクと、受け部5の底端部5bの方を向いた、反対側の第2のフランクすなわち下側フランクとを有する。上側フランクおよび下側フランクの各々は、中心軸Cと略90°の角度を成す。ねじ山570の断面は略矩形、または、例示的な実施形態に示すように、略正方形である。好ましくは、雌ねじ57は一条ねじである。例示的な実施形態では、雌ねじ57は上端部から距離を置いた位置で終わり、不完全ねじ部またはアンダーカットは設けない。
【0023】
さらに、脚部55,56のうちの1つには、横穴58が中心軸Cに直交する方向に貫通していてもよい。横穴58は、脚部55,56の周方向略中央の位置に設けてもよい。横穴58はピン59を受け入れ、そのピン59が横穴58を通ってチャネルに入ることを可能にする役割を果たしてもよい。ピン59は、加圧要素6を係合するように構成され、加圧要素6を回転させないように固定するための固定装置を構成する。さらに、ピン59によって、加圧要素6の上方移動を制限することができる。脚部55,56の上部の周方向略中央には、工具と係合するための凹部50を設けてもよい。
【0024】
加圧要素6は、第1の端部すなわち上端部6aと、上端部6aとは反対側の第2の端部すなわち下端部6bとを有する一体構造の部品として形成してもよい。上端部6aに隣接して、加圧要素は、略円筒状の第1の部分61を有する。第1の部分61の外径は、第1の部分61が通路51に収容され、その中で軸方向に移動可能となるように、通路51の内径よりもわずかに小さい。下端部6bに隣接して、略円筒状の第2の部分62が形成されている。第2の部分62は、少なくともその一部が受け部5内の収容空間53に入り込むように構成されている。第2の部分62の外幅は、第1の部分61の外幅よりもわずかに小さくてもよい。下端部6bに隣接して、略球セグメント形状の凹部63が第2の部分62に形成されている。凹部63の設計およびサイズは、摩擦によってその内部に骨固着要素1の頭部3を保持することができるように設定される。下端部6bに向かって開口し、長手方向に延びる複数のスリット64が設けられている。これらのスリット64は、第2の部分62の壁に延びており、第2の部分62に可撓性を持たせている。下端部6bに隣接して、第2の部分62の外面は狭窄部65を有する。狭窄部65は、収容空間53の狭窄部53aと協働するように構成された部分であり、好ましくはテーパ状であり、より好ましくは円錐テーパ状である。加圧要素6の表面65と受け部5の表面53aとが協働することによって、加圧要素6の可撓性のある第2の部分62が圧縮され、その内部に頭部3がクランプまたはロックされ得る。
【0025】
上端部6aに隣接して凹部66が設けられ、2つの開かれた脚部67,68を画定している。脚部67,68は、好ましくは、対向する平坦な内壁と、ベース69とを有する。ベース69は、中心軸Cに直交する方向から見ると、略V字形の輪郭を有する。凹部66の内側壁同士の間の距離およびベース69のV字の角度は、少なくとも第1の直径dを有する第1のロッド101と第2の直径dを有する第2のロッド102とが凹部66に収容され得るように設定される。より一般化すると、凹部66の形状およびサイズは、直径が最大であるロッドおよび直径が最小であるロッドが凹部66に挿入され、約2本の接触線でベース69に接触できるように設定される。凹部66の深さは、最小直径から最大直径までの直径を有するすべてのロッドに関して、挿入されたロッドの上面よりも上に脚部67,68がくるように設定されてもよい。
【0026】
さらに、加圧要素6は同軸穴600を有する。同軸穴600は、工具が頭部3の凹部4にアクセスすることを可能にする役割を果たすものである。また、脚部67,68の内壁には、上端部6aからベース69に向かって延在する2つの対向する凹部601を形成してもよい。凹部601のサイズおよび形状は、第2の閉鎖部材700aの一部がその内部に延在することができるように設定されてもよい。脚部67,68のうちの1つの周方向略中央には、ピン59と係合するように構成された軸方向に細長い孔602が設けられる。ピン59と細長い孔602との間の協働によって、加圧要素6が受け部5内で回転することが防止される。さらに、ピン59は、頭部3が受け部の下側開口部52から加圧要素6の凹部63に挿入されたときに、加圧要素6の上方移動を阻止する止め具を構成する。
【0027】
さらに、図5aおよび図6図11を参照して、第1の実施形態に従った閉鎖アセンブリ7aについて説明する。第1の閉鎖部材70aは、当該第1の閉鎖部材70a内を軸方向に通る中央通路70と、回転軸Rとを有する。第1の端部すなわち上端部71と、その反対側の第2の端部すなわち下端部72との間には、少なくとも一部に雄ねじ73が設けられた略円筒状の外面が延在する。この雄ねじは、脚部55,56の雌ねじ57と協働するように構成されている。言い換えると、第1の閉鎖部材70aは、受け部5の脚部55と脚部56との間に螺合可能なナットで構成されている。
【0028】
例示的な実施形態では、雄ねじ73は角ねじである。図4でより詳細に示すように、雄ねじ73は、谷底75によって互いに隔てられた複数の均等なねじ山74を有する。各ねじ山74は、上端部71の方を向いた上側フランクと、下端部72の方を向いた、反対側の下側フランクとを有する。上側フランクおよび下側フランクの各々は、回転軸Rと略90°の角度を成す。雄ねじ73の断面は略矩形であってもよく、より好ましくは正方形である。さらに、雄ねじ73は一条ねじであることが好ましい。
【0029】
第1の閉鎖部材70aはさらに、雌ねじ76が設けられた内面を有する。雌ねじ76は多条ねじであることが好ましく、例示的な実施形態では二条ねじである。雌ねじ76は、複数の均等な第1のねじ山77aを含む。第1のねじ山77aは、第1のねじスタート(thread start)、すなわちねじ入口(thread entry)を有する第1のねじ部を構成する。雌ねじ76はさらに、複数の均等な第2のねじ山77bを含む。第2のねじ山77bは、第2のねじ入口を有する第2のねじ部を構成しており、第1のねじ山77aの間に延びている。例示的な実施形態では、第1および第2のねじ部の各々は角ねじとして形成される。したがって、ねじ山77a,77bの上側フランクおよび下側フランクの各々は回転軸Rと略90°の角度を成し、ねじ山77a,77bの各々の断面は略矩形であってもよく、より好ましくは正方形である。上端部71において、ねじ入口同士は周方向に180°離れていてもよい。特に図2および図3に示すように、第1および第2のねじ部の深さを、受け部5の雌ねじ57の深さよりも浅くしてもよい。
【0030】
雌ねじ76を下端部72から距離を置いた位置まで形成し、下端部72の近傍にねじのない面部80を設けてもよい。
【0031】
最後に、第1の閉鎖部材70aは、その上端部71の近傍に係合構造を備える。この係合構造は、受け部5の脚部55と脚部56との間で第1の閉鎖部材70aを回転および前進させるように構成された器具と係合するためのものである。例示的な実施形態では、この係合構造には、少なくとも2つの、好ましくは、例えば4つなど複数の凹部78aが等間隔に設けられる。凹部78aは上端部71に向かって開口しており、上端部71から距離を置いた位置まで延びる。さらに、凹部78aは、第1の閉鎖部材70aの外面から内面まで、第1の閉鎖部材70aを完全に貫通している。凹部の輪郭は、例えば矩形状であってもよい。
【0032】
第2の閉鎖部材700aは、第1の閉鎖部材70a内に螺合されるように構成された止めねじであってもよい。したがって、第2の閉鎖部材700aは、装着状態において第1の閉鎖部材70aの回転軸Rと一致する回転軸Rと、略円筒状の外面とを有する。上端部701と、その反対側の下端部702とによって、第2の閉鎖部材700aの向きが規定される。装着状態における向きは、上端部701が第1の閉鎖部材の上端部71と同じ側に位置するとともに、下端部702が第1の閉鎖部材70aの下端部72と同じ側に位置するような向きである。
【0033】
第2の閉鎖部材700aの外面には、雄ねじ703が設けられる。この雄ねじは多条ねじであり、例示的な実施形態では二条ねじである。より詳細には、雄ねじ703は、第1の均等なねじ山703aを有する第1のねじ部を含む。第1のねじ山703aは、谷底705によって互いに隔てられており、第1のねじ入口704を有している。雄ねじ703はさらに、第2のねじ山703bを含む。第2のねじ山703bは、第1のねじ山703aの間に配置され、第2のねじ入口707を有している。特に図9に示すように、第1のねじ入口704と第2のねじ入口707とは周方向に略180°離れている。第1の閉鎖部材70aの雌ねじ76に対応して、雄ねじ703を角ねじとして形成してもよい。ねじ山703a,703bの各々は、上端部701の方を向いた上側フランクと、下端部702の方を向いた下側フランクとを有する。上側フランクおよび下側フランクの各々は、回転軸Rと略90°の角度を成す。各ねじ山の断面は略矩形であり、より好ましくは正方形である。概括的には、第2の閉鎖部材700aの雄ねじ703は、第1の閉鎖部材70aの雌ねじ76と噛み合って協働するように構成されている。
【0034】
特に図10に示すように、雄ねじ703は上端部701から始まり、下端部702から距離を置いた位置まで延びる。下端部702に隣接して、環状縁部780が形成される。環状縁部780の外径は、雄ねじ703のねじ直径と略等しくてもよい。環状縁部780と雄ねじとの間には、ねじのない面790を設けてもよい。環状縁部780は、上端部701の方を向いた上面781を有する。この上面781は、回転軸Rに直交してもよい。これにより、上面781は、組み付け配置において第1の閉鎖部材70aの雌ねじ76の最下部ねじターン部に当接する際に、当接部を提供する。これにより、閉鎖アセンブリが受け部5内に位置する装着状態において、第2の閉鎖部材700aが第1の閉鎖部材70aの上端部71を意図せず通り抜け、外に出るまで螺合されてしまうことを防止することができる。
【0035】
最後に、第2の閉鎖部材700aは、上端部701から下端部702まで、第2の閉鎖部材700aを完全に貫通する同軸通路795を有する。通路795の内壁には係合構造が設けられる。この係合構造は、略多角形の内側輪郭の通路795が、当該多角形のエッジの箇所に、長手方向に延びる丸みを帯びた溝796を有することによって形成されてもよい。
【0036】
第2の閉鎖部材700aを下端部72から第1の閉鎖部材70a内に入れ、環状縁部780の上面781が第1の閉鎖部材70aの雌ねじ76の最下部ねじターン部に当接するまで螺合することによって、閉鎖アセンブリ7aを組み付ける。閉鎖アセンブリは、予め組み付けられた形で用いてもよい。
【0037】
再び図1図3を参照すると、第1のロッド101および第2のロッド102は、その全長にわたって円形の断面を有してもよい。代替的には、ロッドの断面うち、例えば受け部5に受け入れられるように構成された部分の断面など、特定の断面のみを円形としてもよい。第1のロッド101および第2のロッド102のサイズは、凹部54と、特に加圧部材の凹部66とによって画定されたチャネル内でそれらのロッドがロッド軸を中心として回転可能であるような、および/または移動可能であるようなサイズであってもよい。
【0038】
骨固着装置および閉鎖アセンブリの部品および要素は、好ましくは、たとえばチタンまたはステンレス鋼といった生体適合性材料、NiTi合金、たとえばニチノールといった生体適合性合金、マグネシウムまたはマグネシウム合金で、もしくは、たとえばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはポリ-L-ラクチド酸(PLLA)といった生体適合性プラスチック材料から作られてもよい。部品は、互いに同じ材料から作られてもよいし、異なる材料から作られてもよい。
【0039】
使用時には、加圧要素6をピン59で受け部に保持することによって、受け部5を加圧要素6に予め組み付けてもよい。次いで、頭部3を開口部52から加圧要素6の凹部63内に挿入することによって、加圧要素6に組み付けられた受け部5を骨固着要素1に結合してもよい。頭部3が凹部63内に入ると、加圧要素6は、ピン59によってさらなる上方移動が制限されるまで、通路51内を上方向に移動する。加圧要素6の可撓性のある第2の部分62が収容空間53で拡張し、頭部3上にぴったりとはまる。次いで、加圧要素6が押下され、その結果、協働する受け部5の表面53aと加圧要素6の65とが係合することにより、頭部3を枢動可能に受け部に予め保持することができる。
【0040】
骨パーツまたは椎骨の中に一旦挿入された2つの骨固着装置を接続するために、第1のロッド101または第2のロッド102のうちの1つを選択して、そのロッドを受け部5内に挿入してベース69上に載せる。シャンク2に対する受け部5の角度位置をロックするとともに、挿入されたロッド101,102の位置を固定するために、閉鎖アセンブリ7aを上端部5aから受け部5内に挿入する。第1の閉鎖部材70aは、その下端部72が加圧要素6の上端部6aに押し付けられるまで、下方に螺合される。第1の閉鎖部材70aを締めることによって、頭部3の角度位置がロックされ、それに伴って、受け部5に対してシャンク2がロックされる。その後、第2の閉鎖部材700aは、その下端部702が、挿入された第1のロッド101または第2のロッド102に接触するまで、下方に螺合される。第2の閉鎖部材700aを締めることによって、挿入されたロッドの位置が固定される。なお、第2の閉鎖部材700aを締めることによってロッド101,102の位置をまず固定し、その後、第1の閉鎖部材70aを締めることによって頭部3の角度位置をロックしてもよい。
【0041】
頭部3のロックまたはロッド101,102の固定を緩めることも、独立して行なうことが可能である。これにより、さまざまな補正ステップおよび調整ステップを繰り返し行なうことが可能である。
【0042】
第2の閉鎖部材700aがロッドに圧力をかけたときに、第2の閉鎖部材700aが受ける反力は、多条ねじ(具体的には、二条ねじ)である雄ねじ703によって、より均等に第1の閉鎖部材70aに分配される。このことは、第2の閉鎖部材700aと第1の閉鎖部材70aとの間の力の配分、および/または、第1の閉鎖部材70aと受け部5の脚部55,56との間の力の配分に好ましい影響を与える。
【0043】
次に、図5bおよび図12図17を参照して、第2の実施形態の閉鎖アセンブリについて説明する。第1の実施形態と同一または類似の部品または部分には同じ参照番号を付し、その説明は繰り返さない。第2の実施形態の閉鎖アセンブリ7bは、第1の閉鎖部材70bと第2の閉鎖部材700bとを備える。第1の閉鎖部材70bは、係合構造および上端部71の形状が第1の実施形態の第1の閉鎖部材70aとは異なる。この例示的な実施形態では、係合凹部78bは、上端部71に向かって開口するとともに第1の閉鎖部材70bの内面に向かって開口しているが、外面に向かって閉じている。これにより、第1の閉鎖部材70bの外側には環状の壁79bが残る。図示された例示的な実施形態では、係合凹部78bは4つ以上の凹部であり、工具との係合を容易にするために、上端部71に向かって幅が若干広くなっている。また、第1の閉鎖部材70bの雌ねじ76は、ねじの直径、ピッチなどの観点から、第1の実施形態とは異なるサイズを有してもよい。
【0044】
第2の閉鎖部材700bが第1の実施形態の第2の閉鎖部材と異なる点は、係合凹部796bが異なる形状、例えばトルクス(登録商標)形状または星形などを有する点である。さらに、係合凹部796bは、下端部702から距離を置いた位置までしか延在しない。下端部702に隣接する通路795は、同軸穴795cとして形成されてもよい。環状縁部780bの外径は、雄ねじ703のねじ直径の外径よりも大きくてもよい。それに応じて、第1の閉鎖部材70bのねじのない面80と、加圧部材6の凹部601とは、環状縁部780bを収容できるように拡大された内径を有する。
【0045】
図18図21を参照して、第3の例示的な実施形態の閉鎖アセンブリについて説明する。第1の閉鎖部材70cが第2の実施形態の第1の閉鎖部材と異なる点は、係合構造が略多角形の形状の凹部を有しており、厚い環状の壁部79cを残して長手方向に延びる溝78cが第1の閉鎖部材70cの内面に形成され、壁部79cの外面が第1の閉鎖部材70cの外面の一部を成している点である。これにより、第1の閉鎖部材70cの安定性が向上し得る。
【0046】
第2の閉鎖部材700cは、下端部702において閉じている点で第2の実施形態の第2の閉鎖部材とは異なる。係合凹部796cは、上端部701から距離を置いた位置まで延びる。第2の閉鎖部材700cの残りの部分は中実体である。
【0047】
図5dおよび図22図23を参照して、第4の実施形態の閉鎖アセンブリについて説明する。第1の閉鎖部材70dが前述の実施形態の第1の閉鎖部材と異なる点は、係合凹部78dが上端部71に向かっての開口しており、内面および外面に向かって閉じている点である。言い換えると、係合凹部78dは、上端部71内のポケットによって画定されている。ポケット78dは、エッジが丸みを帯びた弓形の輪郭を有してもよいし、他の如何なる形状を有してもよい。
【0048】
第2のロック部材700dが第2および第3の実施形態の第2のロック部材と異なる点は、第2のロック部材700dの全体が中実体であり、係合構造が上端部701の交差したスロット796dとして形成されている点である。
【0049】
図5eおよび図24図27を参照して、第5の実施形態の閉鎖アセンブリについて説明する。第5の実施形態の第1の閉鎖部材70eが前述の実施形態の第1の閉鎖部材と異なる点は、係合構造が複数の凹部78eを有しており、複数の凹部78eが上端部71に向かって開口するとともに外面に向かって開口することによって、内面に環状の壁79eを提供している点である。これにより、第2の閉鎖部材700eを締めたときの第1の閉鎖部材70eの安定性が向上し得る。言い換えると、第2の閉鎖部材700eを締めたときに、環状の壁79eによって第1の閉鎖部材70eの歪みを防止または抑制することができる。
【0050】
第2の閉鎖部材700eは中実体であるが、第4の実施形態の第2の閉鎖部材700dと異なる点は、係合構造が、上端部701に設けられた突起部796eを有する点である。突起部796eは、多角形、例えば六角形の外形を有してもよい。
【0051】
なお、第1~第5の実施形態の第1および第2の閉鎖部材の特徴を組み合わせ、適合させることによって、さらに他の実施形態の閉鎖アセンブリを作ることも可能である。第1および第2の閉鎖部材の係合構造の形状として、他にも多数のものが考えられる。
【0052】
図28図30を参照して、骨固着アセンブリの変形例について説明する。変形例は、受け部5の脚部55,56に設けられた雌ねじ57に関するものである。図28に示す第1の変形例では、雌ねじ57′が螺旋フランジねじである点で、第1の実施形態の角ねじ57とは異なる。雌ねじ57′は、下側フランクにアンダーカット部57aを有する。アンダーカット部57aは、谷底571′に隣接して延在し、下側フランクにつながる。
【0053】
さらなる変形例では、受け部の雌ねじ57′′は、図29に示すような台形ねじとして形成される。台形ねじのサイズ、特に台形ねじの谷底571′′の幅は、台形ねじがその内部に第1の閉鎖部材の雄ねじ73のねじ山74を受け入れることができるように設定される。
【0054】
さらなる変形実施形態の受け部5は、図30に示すような負角ねじを有する。負角ねじ57′′′はねじ山570′′′を有し、ねじ山570′′′の下側フランクは、中心軸Cとの間で負角を成す。負角ねじ57′′′のサイズは、その内部に第1の閉鎖部材70aの雄ねじを受け入れることができるように設定される。
【0055】
なお、鋸歯ねじ、Vねじ(または三角ねじ)、および他のねじなど、他のさまざまなねじ形状を受け部5の雌ねじに用いることが可能である。場合によっては、不完全ねじ部またはアンダーカットを形成してもよい。
【0056】
第1の閉鎖部材の雄ねじは角ねじに限定されず、受け部の雌ねじと協働するように構成された別のねじ形状であってもよい。
【0057】
また、第1の閉鎖部材の雌ねじのねじ形状、および第2の閉鎖部材の雄ねじは、角ねじに限定されない。Vねじ、台形ねじ、鋸歯ねじなどのねじ形状が好適な場合もある。
【0058】
骨固着装置および閉鎖アセンブリのさらなる変形例が種々考えられる。図示の多軸骨固着装置は特定のタイプの底部荷重多軸骨固着装置であるが、上部荷重多軸骨固着装置を採用してもよい。このタイプの場合、固着要素を頂端部から受け部に挿入する。このような実施形態では、加圧要素は、受け部の下部にある座部に置かれる頭部の上部を押圧するように構成されてもよい。さらに、加圧要素を含めた受け部の形状は図示の実施形態に限定されない。受け部および/または加圧要素の形状としては、他にも多数のものが可能である。受け部および/または加圧要素は、2つの部品からなる設計であってもよい。
【0059】
骨固着要素としては、骨または椎骨の中に固定するあらゆるタイプの骨固着要素(特に骨釘など)を好適に使用することができる。細長い安定化要素は、受け部の脚部同士の間に受け入れられるように構成された任意のロッドまたは他の安定化要素であってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30