(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及び、情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20240516BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240516BHJP
G08B 21/04 20060101ALI20240516BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240516BHJP
G06Q 50/22 20240101ALI20240516BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G06T7/00 660Z
G08B21/04
G08B25/00 510M
G06Q50/22
(21)【出願番号】P 2020121403
(22)【出願日】2020-07-15
【審査請求日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2020018503
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】500133473
【氏名又は名称】新東ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏宗
(72)【発明者】
【氏名】川口 あすみ
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-076689(JP,A)
【文献】特開2013-206069(JP,A)
【文献】特開2013-022451(JP,A)
【文献】特開平08-257017(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0335550(US,A1)
【文献】中国実用新案第206790630(CN,U)
【文献】特許第6582305(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第107958572(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 1/00-31/00
G06Q 50/22
G06T 7/00
A61B 5/00- 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の赤外線イメージングに基づき前記対象の体温を決定することで前記体温を示すデータを少なくとも含む前記対象の監視データを決定する検知手段と、
前記監視データに基づき前記対象が危険状態であるかを判定する状態判定を行う判定手段と、
前記危険状態の判定条件である定義データを決定する設定手段と、を有し
、
前記検知手段は、前記対象の差分抽出と顔検出と骨格検出を行うことを含む画像認識に基づき前記監視データを決定し、前記対象の画像から検出された領域に基づく前記顔検出が失敗することを条件として前記骨格検出を行い、
前記判定手段は、前記顔検出により前記対象の顔を検知できず前記骨格検出により前記対象が一定時間動いていないと判定される場合、前記対象が第1危険状態であると判定し、前記対象の体温が前記定義データにおける閾値を超過している場合、前記対象が第2危険状態であると判定する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記検知手段は、前記対象のセンシングに基づき前記対象のバイタルを決定することで前記バイタルを示すデータをさらに含む前記監視データを決定する
請求項
1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記対象が危険状態である場合アラーティングを行う報知手段をさらに有する
請求項
1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記判定手段は、前記監視データを入力データとする予測モデルに基づき前記状態判定を行い、前記予測モデルは、学習済モデルでありラベリングされた前記監視データを教師データとする請求項
1~3の何れか
1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
コンピュータが、
対象の赤外線イメージングに基づき前記対象の体温を決定することで前記体温を示すデータを少なくとも含む前記対象の監視データを決定する検知ステップと、
前記監視データに基づき前記対象が危険状態であるかを判定する状態判定を行う判定ステップと、
前記危険状態の判定条件である定義データを決定する設定ステップと、を実行
し、
前記検知ステップは、前記対象の差分抽出と顔検出と骨格検出を行うことを含む画像認識に基づき前記監視データを決定し、前記対象の画像から検出された領域に基づく前記顔検出が失敗することを条件として前記骨格検出を行い、
前記判定ステップは、前記顔検出により前記対象の顔を検知できず前記骨格検出により前記対象が一定時間動いていないと判定される場合、前記対象が第1危険状態であると判定し、前記対象の体温が前記定義データにおける閾値を超過している場合、前記対象が第2危険状態であると判定する
情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
対象の赤外線イメージングに基づき前記対象の体温を決定することで前記体温を示すデータを少なくとも含む前記対象の監視データを決定する検知
機能と、
前記監視データに基づき前記対象が危険状態であるかを判定する状態判定を行う判定
機能と、
前記危険状態の判定条件である定義データを決定する設定機能と、を
実現させ、
前記検知機能は、前記対象の差分抽出と顔検出と骨格検出を行うことを含む画像認識に基づき前記監視データを決定し、前記対象の画像から検出された領域に基づく前記顔検出が失敗することを条件として前記骨格検出を行い、
前記判定機能は、前記顔検出により前記対象の顔を検知できず前記骨格検出により前記対象が一定時間動いていないと判定される場合、前記対象が第1危険状態であると判定し、前記対象の体温が前記定義データにおける閾値を超過している場合、前記対象が第2危険状態であると判定する
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、情報処理プログラム、及び、監視データのデータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
居住空間におけるヒト・ペット等の動物を対象とするモニタリングのための情報処理は、実社会における情報化推進・人手不足を鑑みて重要である、と認識されている。
【0003】
上記モニタリングは、例として、保育施設内の乳幼児に係る日々の健康管理や事故防止の観点において重要である、と認識されている。乳幼児の午睡・睡眠は、うつ伏せ寝に起因する乳幼児突然死症候群(SIDS)等の潜在的リスクを有する場合がある。そのため、乳幼児の異常察知を実現することができるような、好適な情報処理が求められている。
【0004】
また、上記モニタリングは、例として、在宅介護の対象となるような高齢者に係る日々の健康管理や事故防止の観点において重要である、と認識されている。高齢者の日常生活は、高齢者による深夜徘徊等の潜在的リスクを有する場合がある。そのため、高齢者の異常察知を実現することができるような、好適な情報処理が求められている。
【0005】
特許文献1では、複数の対象者の身体の向き等を一括表示、一括確認入力が可能な睡眠チェックシステム等を提供できる発明について開示されている。
【0006】
特許文献1に記載の発明は、対象の乳幼児に取り付けられたセンサにより乳幼児の姿勢を検知することを特徴としているため、乳幼児による当該センサに対する拒否反応等に起因して、好適なモニタリングを実現することができない恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記事情を鑑みて、本発明は、対象を好適にモニタリングするための情報処理に係る新規な技術を提供することを、解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、情報処理システムであって、対象の赤外線イメージングに基づき前記対象の体温を決定することで前記体温を示すデータを少なくとも含む前記対象の監視データを決定する検知手段と、前記監視データに基づき前記対象が危険状態であるかを判定する状態判定を行う判定手段と、を有する情報処理システムである。このような構成とすることで、本発明は、非接触センシングに基づく対象のモニタリングを実現することができる。また、このような構成とすることで、本発明は、データハンドリングが容易な体温のデータに基づき対象が危険状態であるかを判定することができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記検知手段は、前記対象の画像認識にさらに基づき前記監視データを決定する。このような構成とすることで、本発明は、非接触センシングによる姿勢推定等に基づき、より高精度な危険状態の判定を実現することができる。また、このような構成とすることで、本発明は、対象の赤外線イメージングにより対象の温度と姿勢とを決定できるような、モニタリングのための高効率な情報処理を実現することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記画像認識は、差分抽出を含む。また、本発明の好ましい形態では、前記画像認識は、顔検出を含む。また、本発明の好ましい形態では、前記画像認識は、骨格検出を含む。このような構成とすることで、本発明は、より平易な、より低い計算コストで実現可能な、画像認識に基づき、モニタリングのための高効率な情報処理を実現することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記検知手段は、前記対象のセンシングに基づき前記対象のバイタルを決定することで前記バイタルを示すデータをさらに含む前記監視データを決定する。このような構成とすることで、空間的制約等に起因してモニタリングのためのセンシングを非接触センシングに一元化することが困難な場合においても、接触センシングを補助的に利用するような、モニタリングのための柔軟な構成を実現することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記対象が危険状態である場合アラーティングを行う報知手段をさらに有する。このような構成とすることで、本発明は、例として保育士等のモニタリング実行者による事故防止をより好適に実現することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記危険状態の判定条件である定義データを決定する設定手段をさらに有し、前記判定手段は、前記定義データにさらに基づき前記状態判定を行い、前記危険状態は、少なくとも第1危険状態及び第2危険状態を含む状態群の少なくとも1つである。このような構成とすることで、本発明は、危険状態を段階的に分類したような、第1危険状態及び第2危険状態を含む複数の危険状態の判定に基づき、より好適な健康管理や事故防止等を実現することができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記判定手段は、前記監視データを入力データとする予測モデルに基づき前記状態判定を行い、前記予測モデルは、学習済モデルでありラベリングされた前記監視データを教師データとする。このような構成とすることで、本発明は、対象が危険状態であるかの判定のためのデータ分析において機械学習モデルを援用するような、モニタリングのための高精度な情報処理を実現することができる。
【0016】
上記課題を解決するため、本発明は、情報処理方法であって、対象の赤外線イメージングに基づき前記対象の体温を決定することで前記体温を示すデータを少なくとも含む前記対象の監視データを決定する検知ステップと、前記監視データに基づき前記対象が危険状態であるかを判定する状態判定を行う判定ステップと、をコンピュータに実行させる情報処理方法である。
【0017】
上記課題を解決するため、本発明は、情報処理プログラムであって、対象の赤外線イメージングに基づき前記対象の体温を決定することで前記体温を示すデータを少なくとも含む前記対象の監視データを決定する検知手段と、前記監視データに基づき前記対象が危険状態であるかを判定する状態判定を行う判定手段と、としてコンピュータを機能させる情報処理プログラムである。
【0018】
上記課題を解決するため、本発明は、監視データのデータ構造であって、コンピュータを対象が危険状態であるかを判定する状態判定を行う判定手段として機能させる入力データとして振る舞い、コンピュータにより前記対象の赤外線イメージングに基づき決定された前記対象の体温を示すデータを少なくとも含む監視データのデータ構造である。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、対象を好適にモニタリングするための情報処理に係る新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理の概要図を示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係るハードウェア構成図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態に係る機能ブロック図を示す。
【
図4】本発明の一実施形態に係る情報処理のシーケンス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書は、本発明の一実施形態に係る構成や作用効果等について、図面を交えて説明する。本発明は、以下の一実施形態に限定されず、様々な構成を採用し得る。また、本発明の一実施形態は、各実施形態のそれぞれにおける構成の一部を、本発明の一実施形態が目的とする作用効果の実現を阻害しない範囲で互いに採用してよい。
【0022】
本発明に係る情報処理システム、情報処理方法、情報処理プログラム及び情報処理プログラム媒体のそれぞれは、同様の作用効果を奏する。例として、情報処理システム等における各手段のそれぞれと、情報処理方法における各ステップのそれぞれと、は同様の作用効果を奏する。
【0023】
本発明に係る情報処理システム、情報処理プログラム及び情報処理プログラム媒体のそれぞれにおける各手段の作用効果は、後述のプロセッサ等の演算装置11が発揮する、と把握することができる。また、情報処理方法の各ステップの作用効果も当該プロセッサ等である演算装置11により実現される、と把握することができる。
【0024】
本発明に係る情報処理プログラム媒体は、情報処理プログラムが格納された記録媒体であり、フラッシュメモリ等の非一過性の記録媒体である。当該情報処理プログラム媒体は、既知又は慣用のコンピュータに対して情報処理プログラムの少なくとも一部をインストール可能である、という作用効果を奏する。
【0025】
図1に例示されるように、本発明の一実施形態に係る「情報処理」とは、対象0の赤外線イメージングに基づき対象0の体温を決定することで体温を示すデータを少なくとも含む監視データ1001を決定し、監視データ1001に基づき対象0が危険状態であるかを判定する状態判定を行う情報処理を指す。
【0026】
〈ハードウェア構成〉
図2に例示されるように、情報処理装置・情報処理方法・情報処理プログラム・情報処理プログラム媒体は、既知又は慣用のコンピュータ1を含む(利用する)。コンピュータ1は、演算装置11、主記憶装置12、補助記憶装置13、入力装置14、出力装置15、通信装置16、検知装置17及びバスインタフェースを有する。これらの各装置は、本発明が発揮する作用効果を実現する上で、用いられる。
【0027】
なお、本発明の一実施形態に係るコンピュータ1は、1つの端末であってよく、1つのサーバ装置であってよく、当該端末及びサーバ装置の組み合わせであってよく、複数のサーバ装置からなるサーバ群であってよい。1以上のコンピュータのそれぞれは、コンピュータ1が有する各手段の少なくとも一部を有する。本発明の一実施形態に係る1以上のコンピュータは、ネットワークNWを介し相互接続される構成であってよく、APIを介してそれぞれの機能が連携する構成であってよい。
【0028】
演算装置11は、命令セットを実行可能な既知又は慣用のプロセッサやコプロセッサを有する。主記憶装置12は、命令セットを記憶可能な既知又は慣用の揮発性メモリを有する。補助記憶装置13は、プログラム等を記録可能な既知又は慣用の不揮発性メモリ等の記録媒体を有する。入力装置14は、例えば意思入力が可能な既知又は慣用のインタフェースである。出力装置15は、視覚的・聴覚的・触覚的な報知を可能とするような既知又は慣用のインタフェースである。通信装置16は、ネットワークNWへの接続を実現するための有線方式又は無線方式に基づく既知又は慣用のネットワークインタフェースを有する。上記ネットワークNWは、既知又は慣用のプロトコル(トランスポート層及びアプリケーション層を指す。)に基づく。検知装置17は、赤外線イメージング・画像認識等を行うための既知又は慣用のイメージセンサや、バイタルを取得可能な既知又は慣用のウェアラブルデバイスを備える。
【0029】
〈機能ブロック〉
図3に例示されるように、コンピュータ1は、対象0の赤外線イメージングに基づき対象0の体温を決定することで体温を示すデータを少なくとも含む監視データ1001を決定する検知手段101(検知ステップ101s)と、監視データ1001に基づき対象0が危険状態であるかを判定する状態判定を行う判定手段102(判定ステップ102s)と、を少なくとも有する。このとき、判定手段102は、例として、監視データ1001に基づきルールベースで上記状態判定を行う。このとき、コンピュータ1は、コンピュータ1と対応し、RDB・KVS等の既知又は慣用のデータベース構造の態様をとり、監視データ1001・定義データ1002・予測モデル1003等を有するデータベースDBとネットワークNWを介して通信可能であってよい。当該データベースDBは、例として、補助記憶装置13により構成され、コンピュータ1に含まれる構成であってよい。
【0030】
本明細書中の説明における「対象0」は、居住空間内のモニタリング対象である生体を指す。対象0は、例として、生後から1歳未満の範囲の乳児や、1歳から小学校入学前の未就学児を含む幼児であってよい。対象0は、例として、高齢者であってよい。対象0は、例として、イヌ・ネコ等のヒトに飼育される動物であってよい。
【0031】
本明細書中の説明における「監視データ1001」は、対象0の既知又は慣用の生命兆候が数値化されたデータ全般や画像認識の結果を示すデータ全般を指す。監視データ1001は、対象0毎に決定される。監視データ1001は、1以上の種別のデータを含み、そのデータフォーマットに制限はない。監視データ1001は、当該生命兆候の経時変化を示す構成であってよい。
【0032】
本明細書中の説明における「赤外線イメージング」は、赤外線光源を利用して行われる対象0のイメージセンシング全般を指す。本明細書中の説明における「赤外線」は、可視光線と対応する波長帯を逸脱するような、例として、700nm-1.0μmの波長帯の近赤外線である。本発明の一実施形態に係る赤外線イメージングは、体温測定に慣用的に用いられる波長であれば、特に制限なく採用することができる。なお、上記体温を示すデータは、例として、連続値データ又はカテゴリカルデータの態様をとる。
【0033】
本発明の一実施形態に係る赤外線イメージングによる体温の決定は、赤外線イメージングにより得られた赤外線画像において対象0を示すような温度領域の平均値や、当該温度領域の最大値や、当該温度領域における温度分布に基づき、決定されてよい。
【0034】
本明細書中の説明における「対象0の状態判定を行う」とは、対象0が危険状態にあるか否か、又は、対象0が危険状態にある蓋然性を決定することを指す。
【0035】
検知手段101は、対象0の既知又は慣用の手法に基づく画像認識にさらに基づき監視データ1001を決定する構成であってよい。
【0036】
本明細書中の説明における「画像認識」とは、既知又は慣用のイメージセンサによるイメージング処理(赤外線イメージングを含む。)により得られた画像データに基づく画像処理を指す。当該画像認識は、好ましくは、対象0の顔検出を含む。また、当該画像認識、好ましくは、対象0の骨格検出を含む。また、当該画像認識は、好ましくは、画像データの差分抽出である。検知手段101は、当該顔検出の結果を監視データ1001に反映させる構成であってよい。このとき、監視データ1001は、例として、当該顔検出及び/又は骨格検出の結果を2値データ又は連続値データとして含む構成であってよい。なお、本発明の一実施形態において、検知手段101は、対象0の顔検出が失敗することを条件として対象0の骨格検出を行ってよい。
【0037】
当該画像認識は、例として、複数の静止画像(画像データに相当。)にかかる差分抽出を含む。ここで、複数の静止画像とは、例として、その撮像タイミングが前後する複数の静止画像である。なお、当該差分抽出は、画像データを構成する画素が複数の静止画像間において一致するか否かを判定するものである。検知手段101は、当該差分抽出の結果を監視データ1001に反映させる構成であってよい。
【0038】
また、当該画像認識は、例として、検知手段101による対象0のイメージング処理の結果に基づき、所定の特徴量を得ることで行われる構成であってよい。なお、検知手段101は、当該特徴量を監視データ1001に含める構成であってよい。
【0039】
なお、上記画像認識は、例として、対象0の顔認識であってよい。本明細書中の説明における「顔認識」とは、顔検出により画像から検出された領域に基づき、対象0の性別・年齢・表情等を識別するような処理を指す。検知手段101は、当該顔認識の結果を監視データ1001に反映させる構成であってよい。このとき、監視データ1001は、例として、当該性別に係る2値データ、連続値データ又はカテゴリカルデータを含む構成であってよい。また、監視データ1001は、例として、当該年齢に係る連続値データ又はカテゴリカルデータを含む構成であってよい。また、監視データ1001は、また、監視データ1001は、当該表情に係るデータとして、所定の感情軸に基づく2値データ、連続値データ又はカテゴリカルデータを含む構成であってよい。
【0040】
なお、上記画像認識は、例として、対象0の顔認証であってよい。本明細書中の説明における「顔認証」とは、顔検出により画像から検出された領域と照合データとを照合することで認証するような処理を指す。このとき、当該顔認証に係る照合データは、コンピュータ1が有する構成であってよい。また、当該照合データは、データベースDBや外部サーバから取得される構成であってよい。当該顔認証により得られる認証結果、又は、照合データとの合致に係る蓋然性は、監視データ1001に含まれる構成であってよい。検知手段101は、当該顔認証の結果を監視データ1001に反映させる構成であってよい。
このとき、監視データ1001は、例として、当該認証結果に係る2値データ又は連続値データを含む構成であってよい。
【0041】
なお、上記画像認識は、例として、対象0の骨格検出であってよい。本明細書中の説明における「骨格検出」とは、既知又は慣用の手法に基づく骨格検出であり、対象0が一定時間動いているか否かを適宜、判定する処理を指す。検知手段101は、当該骨格検出の結果を監視データ1001に反映させる構成であってよい。このとき、監視データ1001は、例として、対象0が動いているか否かに係る2値データ、連続値データ又はカテゴリカルデータを含む構成であってよい。
【0042】
検知手段101は、対象0のセンシングに基づき対象0のバイタルを決定することでバイタルを示すデータをさらに含む監視データ1001を決定する。当該センシングは、上記ウェアラブルデバイスにより既知又は慣用の手法に基づき行われる。当該バイタルは、脈拍・呼吸数・血圧・SpO2等の既知又は慣用のバイタルサイン全般を指す。なお、対象0の体温に係るセンシングは、好ましくは、非接触センシングにより行われる。
【0043】
本発明の一実施形態に係る検知手段101によるセンシングや監視データ1001の決定は、常時実行される構成であってよく、所定時間毎に実行される構成であってよく、所定期間中に常時実行される構成であってよく、所定期間中に所定時間毎に行われる構成であってよく、予め設定された時刻に行われる構成であってよい。
【0044】
図3に例示されるように、コンピュータ1は、対象0が危険状態である場合アラーティングを行う報知手段103(報知ステップ103s)をさらに有する。報知手段103は、判定手段102による上記状態判定の結果、対象0が危険状態であると判定されることを転機として、当該アラーティングを行う。
【0045】
本明細書中の説明における「アラーティング」は、コンピュータ1の表示画面上で所定の文字や画像を含むオブジェクトを表示処理する構成であってよく、コンピュータ1の表示画面上で表示処理されているオブジェクトの外観を強調するよう表示処理を行う構成であってよく、所定の音声ファイルを再生処理する構成であってよく、所定のパターンに基づき振動処理又は発光処理を実行する構成であってよく、その態様に特に制限はない。当該振動処理又は発光処理は、報知手段103と、コンピュータ1に含まれる/コンピュータ1と協調するデバイスと、が協調することで実行される。
【0046】
図3に例示されるように、コンピュータ1は、危険状態の判定条件である定義データ1002を決定する設定手段104(設定ステップ104s)をさらに有する。このとき、判定手段102は、定義データ1002にさらに基づき状態判定を行う。
【0047】
本明細書中の説明における「危険状態」は、対象0の生命活動に影響を及ぼすような、未然に防止されるべきと把握されるような状態である。危険状態は、少なくとも第1危険状態及び第2危険状態を含む状態群の少なくとも1つであってよい。当該状態群における第1危険状態及び第2危険状態を含む複数の状態のそれぞれは、包含関係を有する構成であってよく、互いに独立する構成であってよく、各状態の関係性に制限はない。
【0048】
本発明の一実施形態に係る危険状態は、例として、対象0である乳幼児がうつ伏せ寝をしている状態である。このとき、第1危険状態及び第2危険状態のそれぞれは、例として、うつ伏せ寝をしている状態及びうつ伏せ寝に推移する可能性がある状態を指す。
【0049】
本発明の一実施形態に係る危険状態は、例として、対象0である高齢者が徘徊等により居住空間等の所定の空間から離脱しているような状態である。このとき、第1危険状態及び第2危険状態のそれぞれは、例として、徘徊をしている状態及び徘徊に推移する可能性がある状態を指す。
【0050】
本明細書中の説明における「定義データ1002」は、例として、監視データ1001が示す数値化された生命兆候における閾値(固定値)・範囲等を示す。当該閾値は、例として、37.5(「発熱」の状態に相当。)や38.0(「高熱」の状態に相当。)であり、任意に設定され得る。定義データ1002では、危険状態と、当該閾値(固定値)・範囲等と、が対応付けられている。このとき、定義データ1002における閾値(固定値)・範囲等は、体重・年齢別に設定されるような構成であってよい。
【0051】
定義データ1002において、危険状態と対応する値全般は、複数の種別の生命兆候を示す構成であってよい。具体的には、定義データ1002では、例として、危険状態と、対象0の体温及び画像認識の結果に係る値のそれぞれと、を対応付けられている構成であってよい。また、定義データ1002は、監視データ1001に基づき算出され得る平均値・偏差等の既知又は慣用の統計的指標に係る閾値(固定値)・範囲を示してよい。
【0052】
本明細書中の説明における「定義データ1002にさらに基づき状態判定を行う」とは、監視データ1001が示す数値化された生命兆候と、定義データ1002における危険状態の定義と、が合致又は部分合致するかの判定処理を行うことを指す。
【0053】
本発明の一実施形態に係る判定手段102による状態判定では、例として、上記画像認識の結果がうつ伏せ寝を示す場合、対象0が第1危険状態であると判定する。換言すると、当該状態判定では、例として、上記画像認識の結果が対象0の顔を検知できないような姿勢(状態)を示す場合、対象0が第1危険状態であると判定する。また、当該状態判定は、例として、対象0の体温が定義データ1002における閾値を超過している場合、対象0が第2危険状態であると判定する。また、当該状態判定は、例として、上記画像認識(差分抽出)により画像データの変化の度合いが所定の閾値を超過すると判定される場合、対象0が第1危険状態であると判定する。なお、当該状態判定では、例として、上記画像認識(顔検出)により対象0の顔を検知できず、上記画像認識(骨格検出)により対象0が一定時間、動いていないと判定される場合、対象0が第1危険状態であると判定する。なお、当該状態判定は、一実施形態に係る画像認識の一態様である差分抽出、顔検出及び骨格検出の少なくとも1つに基づく。このとき、当該状態判定では、差分抽出、顔検出及び骨格検出の少なくとも1つが、この順に沿って行われる。なお、当該状態判定では、差分抽出、顔検出及び骨格検出の少なくとも1つが、対象0が第2危険状態であるか否かの判定に用いられてよい。
【0054】
設定手段104は、定義データ1002を意思入力に基づき決定する構成であってよい。本明細書中の説明における「定義データ1002を意思入力に基づき決定する」とは、例として、表示画面上のユーザ操作(意思入力に相当。)を転機として、操作内容に応じて定義データ1002を決定することを指す。
【0055】
判定手段102は、監視データ1001を入力データとする予測モデル1003に基づき状態判定を行う。当該予測モデル1003は、状態判定の結果が数値化されたデータを出力データとする。当該出力データは、対象0が危険状態であるか否かを示す2値データ又は連続値データを示す構成であってよく、対象0が危険状態である蓋然性を示す構成であってよい。なお、当該入力データは、例として、設定手段104により入力された対象0の年齢・体重・性別等を含む構成であってよい。当該年齢・体重・性別等に係るデータは、連続値データ又はカテゴリカルデータの態様をとる。
【0056】
このとき、設定手段104は、例として、予測モデル1003の出力データと対応する値を、定義データ1002における危険状態と対応付け、定義データ1002を決定する構成であってよい。また、このとき、設定手段104は、予測モデル1003の出力データが示す値に関して、対象0が危険状態であると判定するための閾値を設定してよい。
【0057】
本明細書中の説明における「予測モデル1003」は、好ましくは、学習済モデルでありラベリングされた監視データ1001を教師データとする。このとき、予測モデル1003は、例として、既知又は慣用のニューラルネットワークモデルである。このとき、「ラベリングされた監視データ1001」とは、ある時点又はある期間の生命兆候として監視データ1001を、対象0が危険状態にあった否かのラベルを付与することを指す。
【0058】
予測モデル1003は、例として、単純ベイズ・ブースティング・ランダムフォレスト・サポートベクターマシン・ディシジョンツリー等の既知又は慣用の手法に基づく分類モデルであってよい。また、予測モデル1003は、例として、線形回帰・最小角度回帰・関連度自動決定回帰・フーバー回帰・リッジ回帰・ラッソ回帰・ロジスティック回帰・Elastic Net回帰等の既知又は慣用の手法に基づく回帰モデルであってよい。
【0059】
図3に例示されるように、コンピュータ1は、上記教師データに基づき予測モデル1003の学習処理を行う構築手段105(構築ステップ105s)をさらに有する。
【0060】
図3に例示されるように、本発明の一実施形態に係るコンピュータ1は、例として、検知手段101を有するノード1aと、判定手段102、報知手段103、設定手段104及び構築手段105を有するサーバ1bと、を含む構成であってよい。
【0061】
〈処理シークエンス〉
図4に例示されるように、本発明の一実施形態に係る情報処理は、少なくとも検知手段101及び判定手段102の協調により実現される。当該情報処理では、先ず、検知手段101によるセンシング・監視データ1001の決定を開始する。当該決定は、例として、センシングの結果に応じてリアルタイムに行われる監視データ1001の更新を指す。このとき、検知手段101及び判定手段102において、監視データ1001は共有される。判定手段102は、監視データ1001に基づき対象0の状態判定を行う。対象0が危険状態である場合、報知手段103はアラーティングを行う。本発明の一実施形態に係るアラーティングは、上記第1危険状態及び第2危険状態を含む複数の状態のそれぞれにおいて、個別に実行される構成であってよい。
【0062】
本発明によれば、居住空間におけるヒト・ペット等の動物を対象0とするモニタリングのための情報処理に係る新規な技術を提供することができる。
【符号の説明】
【0063】
0 :対象
1 :コンピュータ
1a :ノード
1b :サーバ
11 :演算装置
12 :主記憶装置
13 :補助記憶装置
14 :入力装置
15 :出力装置
16 :通信装置
17 :検知装置
101 :検知手段
101s :検知ステップ
102 :判定手段
102s :判定ステップ
103 :報知手段
103s :報知ステップ
104 :設定手段
104s :設定ステップ
105 :構築手段
105s :構築ステップ
1001 :監視データ
1002 :定義データ
1003 :予測モデル
NW :ネットワーク