(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】発電設備管理装置および発電設備管理方法
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20240516BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J13/00 301A
H02J3/38 120
(21)【出願番号】P 2020129277
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000180313
【氏名又は名称】四国計測工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】植田 雄也
(72)【発明者】
【氏名】大野 美加
(72)【発明者】
【氏名】品川 祥一
(72)【発明者】
【氏名】平尾 成良
(72)【発明者】
【氏名】横田 直人
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-058186(JP,A)
【文献】特開2013-013178(JP,A)
【文献】特開2015-162986(JP,A)
【文献】特表2016-516393(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0074061(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発電設備と通信可能な発電設備管理装置であって、
前記複数の発電設備に対して出力制御を要求するための出力制御情報を送信する送信部と、
前記出力制御情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に前記出力制御情報を記憶する処理部と、を備え、
前記出力制御情報が、連続する各時間帯における前記複数の発電設備のそれぞれに対する出力制御値からなる単位期間出力制御データを含み、
前記処理部が、前記記憶部に前記出力制御情報を記憶する際に、前記単位期間出力制御データを、当該単位期間出力制御データの半分以下のデータ長を有するパターンIDに置き換えて、前記記憶部に記憶させることを特徴とする、発電設備管理装置。
【請求項2】
前記複数の発電設備が実施した出力制御の出力制御情報を前記複数の発電設備から受信する受信部をさらに有し、
前記処理部は、前記受信部が受信した前記出力制御情報を前記記憶部に記憶する際に、前記単位期間出力制御データを、当該単位期間出力制御データの半分以下のデータ長を有するパターンIDに置き換えて、前記記憶部に記憶させる、請求項1に記載の発電設備管理装置。
【請求項3】
前記単位期間出力制御データは、1日の連続する各時間帯における出力制御値からなる、請求項1または2に記載の発電設備管理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、過去に前記記憶部に記憶した前記出力制御情報の前記単位期間出力制御データと前記パターンIDとの対応関係を示すテーブルを記憶しており、
前記処理部は、前記記憶部に前記出力制御情報を新たに記憶する際に、前記テーブルを参照し、前記記憶部に新たに記憶する前記出力制御情報の前記単位期間出力制御データが前記テーブルに登録されている場合には、前記記憶部に新たに記憶する前記出力制御情報の前記単位期間出力制御データを、前記テーブルに登録されている当該単位期間出力制御データに対応付けられた前記パターンIDに置き換えて、前記記憶部に記憶する、請求項3に記載の発電設備管理装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記記憶部に新たに記憶する前記出力制御情報の前記単位期間出力制御データが前記テーブルに登録されていない場合には、前記テーブルに登録されていない一意のパターンIDを作成し、前記記憶部に新たに記憶する前記出力制御情報の前記単位期間出力制御データと作成した前記パターンIDとを対応付けて前記テーブルに登録する、請求項4に記載の発電設備管理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、外部から取得した過去の出力制御値のデータに基づいて、一定頻度以上の出力実績のある単位期間出力制御データに対して一意のパターンIDを予め作成しておき、当該単位期間出力制御データと当該パターンIDとを対応付けて前記テーブルに予め登録している、請求項4または5に記載の発電設備管理装置。
【請求項7】
前記パターンIDは、前記単位期間出力制御データのデータ長の1/10以下のデータ長である、請求項3ないし6のいずれかに記載の発電設備管理装置。
【請求項8】
前記単位期間出力制御データは、当該単位期間出力制御データを構成する出力制御値の組み合わせの最大数に対するN割の組み合わせが、M割以上の出現頻度を有する特性を持つデータである、請求項3ないし7のいずれかに記載の発電設備管理装置。(ただし、NおよびMは0より大きく10未満の数であり、N<Mの関係である)
【請求項9】
前記単位期間出力制御データは、当該単位期間出力制御データを構成する出力制御値の組み合わせが、当該組み合わせの最大数の十万分の1以下である、請求項3ないし7のいずれかに記載の発電設備管理装置。
【請求項10】
複数の発電設備の出力制御を要求するための出力制御要求情報、または、前記複数の発電設備が実施した出力制御実績情報が、連続する各時間帯における前記複数の発電設備のそれぞれに対する出力制御値からなる単位期間出力制御データを含む出力制御情報であり、
前記出力制御情報を記憶部に記憶する際に、前記単位期間出力制御データを、当該単位期間出力制御データの半分以下のデータ長を有するパターンIDに置き換えて、前記記憶部に記憶させることを特徴とする、発電設備管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電設備や風力発電設備などの再生可能エネルギーの発電設備が複数接続された電力系統において、これら発電設備を管理する発電設備管理装置および発電設備管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電設備や風力発電設備などの再生可能エネルギー発電設備が増加し、これら発電設備による発電量が増大している。気候が温暖な春・秋においては冷暖房機器に電力を使用しないために電力の需要量は低下する傾向にあり、再生可能エネルギー発電設備による発電量が増大することで、電力の供給量が需要量を超えてしまう場合がある。従来、このような場合に、火力発電設備の出力制御や、揚水発電設備の揚水への電力の使用、連系線の活用などにより、管理エリアにおける電力供給量を抑制することで、電力の需要と供給とのバランスをとることが行われていた。しかしながら、近年の再生可能エネルギー発電設備による発電量の増加により、火力発電設備による出力制御や、揚水発電設備の揚水への電力の使用、連系線の活用だけでは、電力の供給量が需要量を大きく超えてしまう場合があり、需要と供給のバランスが大きく崩れ、発電設備の自動停止や連系線の運用容量超過にともなう自動停止などによる、大規模停電の可能性が高まってきた。そのため、気象条件の変動による再生可能エネルギー発電設備の発電量の変動と、火力発電設備および水力発電設備の発電量下限値、さらには、バーチャルパワープラント(VPP)と言われる需要を増加させる市場動向とに基づいて、再生可能エネルギー発電設備の総発電量を制御する技術(たとえば特許文献1)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
再生可能エネルギー発電設備における出力制御を適切に管理・分析するため、発電設備管理装置では、再生可能エネルギー発電設備に送信した出力制御値の情報や、再生可能エネルギー発電設備において実際に実施された出力制御値の情報が、発電設備管理装置の記憶装置に蓄積される。しかしながら、再生可能エネルギー発電設備の増加に伴い、これら出力制御情報のデータ量も増大してしまい、記憶装置のデータ記憶容量を圧迫してしまうことに加えて、出力制御の管理・分析において処理するデータ量も増加してしまうため処理負荷の増大などの問題があった。
【0005】
本発明は、記憶装置に記憶する出力制御情報のデータ量を削減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発電設備管理装置は、複数の発電設備と通信可能な発電設備管理装置であって、前記複数の発電設備に対して出力制御を要求するための出力制御情報を送信する送信部と、前記出力制御情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に前記出力制御情報を記憶する処理部と、を備え、前記出力制御情報が、連続する各時間帯における前記複数の発電設備のそれぞれに対する出力制御値からなる単位期間出力制御データを含み、前記処理部が、前記記憶部に前記出力制御情報を記憶する際に、前記単位期間出力制御データを、当該単位期間出力制御データの半分以下のデータ長を有するパターンIDに置き換えて、前記記憶部に記憶させることを特徴とする。
上記発電設備管理装置において、前記複数の発電設備が実施した出力制御の出力制御情報を前記複数の発電設備から受信する受信部をさらに有し、前記処理部は、前記受信部が受信した前記出力制御情報を前記記憶部に記憶する際に、前記単位期間出力制御データを、当該単位期間出力制御データの半分以下のデータ長を有するパターンIDに置き換えて、前記記憶部に記憶させる構成とすることができる。
上記発電設備管理装置において、前記単位期間出力制御データは、1日の連続する各時間帯における出力制御値からなる構成とすることができる。
上記発電設備管理装置において、前記出力制御情報は、一定時間ごとの出力制御値からなる単位期間出力制御データを有する構成とすることができる。
上記発電設備管理装置において、前記記憶部は、過去に前記記憶部に記憶した前記出力制御情報の前記単位期間出力制御データと前記パターンIDとの対応関係を示すテーブルを記憶しており、前記処理部は、前記記憶部に前記出力制御情報を新たに記憶する際に、前記テーブルを参照し、前記記憶部に新たに記憶する前記出力制御情報の前記単位期間出力制御データが前記テーブルに登録されている場合には、前記記憶部に新たに記憶する前記出力制御情報の前記単位期間出力制御データを、前記テーブルに登録されている当該単位期間出力制御データに対応付けられた前記パターンIDに置き換えて、前記記憶部に記憶する構成とすることができる。
上記発電設備管理装置において、前記処理部は、前記記憶部に新たに記憶する前記出力制御情報の前記単位期間出力制御データが前記テーブルに登録されていない場合には、前記テーブルに登録されていない一意のパターンIDを作成し、前記記憶部に新たに記憶する前記出力制御情報の前記単位期間出力制御データと作成した前記パターンIDとを対応付けて前記テーブルに登録する構成とすることができる。
上記発電設備管理装置において、外部から取得した過去の出力制御値のデータに基づいて、一定頻度以上の出力実績のある単位期間出力制御データに対して一意のパターンIDを予め作成しておき、当該単位期間出力制御データと当該パターンIDとを対応付けて前記テーブルに予め登録している、構成とすることができる。
上記発電設備管理装置において、前記パターンIDは、前記単位期間出力制御データのデータ長の1/10以下のデータ長である構成とすることができる。
上記発電設備管理装置において、前記単位期間出力制御データは、当該単位期間出力制御データを構成する出力制御値の組み合わせの最大数に対するN割の組み合わせが、M割以上の出現頻度を有する特性を持つデータである構成とすることができる。(ただし、NおよびMは0より大きく10未満の数であり、N<Mの関係である)
上記発電設備管理装置において、前記単位期間出力制御データは、当該単位期間出力制御データを構成する出力制御値の組み合わせが、当該組み合わせの最大数の十万分の1以下である構成とすることができる。
【0007】
本発明に係る発電設備管理方法において、複数の発電設備の出力制御を要求するための出力制御要求情報、または、前記複数の発電設備が実施した出力制御実績情報が、連続する各時間帯における前記複数の発電設備のそれぞれに対する出力制御値からなる単位期間出力制御データを含む出力制御情報であり、前記出力制御情報を記憶部に記憶する際に、前記単位期間出力制御データを、当該単位期間出力制御データの半分以下のデータ長を有するパターンIDに置き換えて、前記記憶部に記憶させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記憶装置に記憶する出力制御情報のデータ量を削減することができるとともに、出力制御の管理・分析において処理するデータ量も削減し、処理負荷を低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る発電設備管理装置の構成図である。
【
図2】本実施形態に係る出力制御情報のデータ構成の一例を説明するための図である。
【
図3】本実施形態に係るパターン化テーブルの一例を示す図である。
【
図4】出力制御情報の単位期間出力制御データをパターンIDに変換した場合のデータ量の削減効果を説明するための図である。
【
図5】パターンIDを用いて発電設備2の運用状態および全体の制御状態を可視化したグラフの一例である。
【
図6】本実施形態に係る出力制御要求情報送信処理を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係る出力制御実績情報受信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態に係る発電設備管理装置1の構成図である。本実施形態に係る発電設備管理装置1は、
図1に示すように、複数の発電設備2
1,2
2~2
nと通信可能であり、発電設備2
1,2
2~2
nに出力制御の実施を要求するための出力制御要求情報を送信するとともに、発電設備2
1,2
2~2
nが実際に行った出力制御の出力制御実績情報を発電設備2
1,2
2~2
nから受信する。なお、以下においては、複数の発電設備2
1,2
2~2
nを総称して発電設備2とも呼ぶ。本実施形態において、発電設備2として、太陽光発電設備や風力発電設備などの再生可能エネルギー発電設備を例示して説明するが、発電設備2は再生可能エネルギー発電設備に限定されず、火力発電や水力発電などを含んでもよい。また、後述するように、出力制御要求情報と出力制御実績情報をまとめて出力制御情報とも呼ぶ。
【0011】
本実施形態に係る発電設備管理装置1は、
図1に示すように、処理装置10と、記憶装置20と、通信装置30とを備える。以下に、発電設備管理装置1の各構成について説明する。
【0012】
通信装置30は、遠隔地にある各発電設備2と通信を行い、発電設備2との間で出力制御に関する情報を授受する。具体的には、通信装置30は、処理装置10で生成された出力制御要求情報を、発電設備2に送信するとともに、発電設備2から発電設備2が実施した出力制御の出力制御実績情報を取得する。ここで、
図2は、本実施形態に係る出力制御情報(出力制御要求情報および出力制御実績情報)のデータ構成を説明するための図である。
【0013】
本実施形態に係る出力制御情報は、
図2に示すように、ヘッダ部と出力制御データ部とから構成される。ヘッダ部には、各発電設備2の設備識別番号、発電設備管理装置1から送信する出力制御要求情報であるか、発電設備2から受信する出力制御実績情報であるかを識別するための要求/実績種別、および日付などの情報が含まれている。なお、種別識別番号は、出力制御要求情報か出力制御実績情報であるかの2種類に限定されず、出力制御要求情報や出力制御実績情報の中でさらに細分化して3種類以上とすることもできる。また、日付は西暦などの形式としてもよいし、また、たとえば運用開始1年目を「1」としてカウントアップしていく方式としてもよい。
【0014】
また、出力制御情報の出力制御データ部は、連続する各時間帯における発電設備2に対する出力制御値からなる単位期間出力制御データを有する。本実施形態において、単位期間出力制御データは、
図2に示すように、1日の各時間帯における出力制御値(数値データ群)からなる出力制御データであり、30分ごとに出力制御を行うため、48個(24時間×2)の数値データ群からなる。また、各時間帯の出力制御値は、0~100の%に対応する数値データであり、3桁までの数値を示すために3バイトの固定データ長を有する。たとえば、本実施形態では、
図2に示すように、単位期間出力制御データにおいて左から1番目の数値データ(単位期間出力制御データ左から1~3バイト目の数値データ)は0:00~0:30までの出力制御値を示し、また、左から25番目の数値データ(単位期間出力制御データ左から73~75バイト目の数値データ)は12:00~12:30までの出力制御値を示す。
【0015】
また、本実施形態では、出力制御値を「0」~「100」の数値で表す。出力制御値は発電設備2における出力上限値の要求値または実績値であり、たとえば、出力制御要求情報において、「0」は発電設備2において発電量が最大発電量の0%となるように、すなわち、発電を実施しないように出力制御を要求するものとなる。また、「10」は発電設備2の最大発電量の10%までの出力制御を要求するものとなり、「100」は発電設備2の最大発電量の100%までの出力制御を要求するもの、すなわち、制限なく出力することを許容するものとなる。一方、出力制御実績情報においては、「0」~「100」は各発電設備2が実際に実施した出力制御の値を示し、「0」は出力制御により発電を行わなかったこと、「10」は最大発電量の10%までの範囲内において発電を行ったこと、「100」は出力制御を実施せずに発電を行ったことを示す。
【0016】
たとえば、
図2に示す例では、25番目から27番目までの出力制御値が「0」であり、他の出力制御値が「100」の単位期間出力制御データを有している。この場合、
図2に示すデータが出力制御要求情報である場合には、12:00から13:30までにおいて、最大発電量が0%となるように出力制御を行うよう要求するものであることを意味することとなる。
【0017】
上述したように、本実施形態において、出力制御情報の出力制御データ部は、30分毎の出力制御値の要求値または実績値を表す「0」~「100」までの3バイトの数値データからなる単位期間出力制御データを有している。すなわち、出力制御データ部の単位期間出力制御データは、48(24時間÷30分)×3=144バイトのデータ長となる。本実施形態では、この144バイトの単位期間出力制御データを、後述する4バイトのパターンIDで置き換えることで、出力制御情報のデータ量を削減することを特徴とする。なお、パターンIDを用いた出力制御情報のデータ量の削減方法については後述する。
【0018】
記憶装置20は、発電設備2の出力制御を管理者が管理・分析できるように、出力制御情報(出力制御要求情報および出力制御実績情報)を記憶する。ここで、発電設備管理装置1が管理する発電設備2が20~100万箇所あり、1日に、各発電設備2に出力制御要求情報を1回送信し、各発電設備2から出力制御実績情報を1回受信する場合、記憶装置20は、20~100万×2=40~200万件の出力制御情報を記憶することとなり、1年間では、40~200万×365=1億4600万~7億3000万件の出力制御情報を記憶することとなる。
【0019】
また、本実施形態において、記憶装置20は、パターン化テーブルを記憶している。
図3は、パターン化テーブルの一例を示す図である。
図3に示すように、パターン化テーブルは、過去に送信した出力制御要求情報の出力制御データ部の単位期間出力制御データ、または、過去に受信した出力制御実績情報の出力制御データ部の単位期間出力制御データと、当該単位期間出力制御データに対応するパターンIDとを関連付けて記憶するテーブルである。パターンIDは、一意のデータであり、後述するように、処理装置10により生成される。なお、パターンIDは、単位期間出力制御データよりもデータ長が短いデータであり、単位期間出力制御データよりもデータ長が短ければデータ長は特に限定されないが、単位期間出力制御データの半分以下のデータ長であることが好ましく、1/10以下のデータ長であることがより好ましい。また、
図3に示す例においては、パターンIDとして、4文字の数字からなる4バイトのデータを例示しているが、パターンIDは、4バイトの数値データに限定されず、未来の出現パターンと頻度予測に基づき、5バイト以上の値や、数字以外の値を用いてもよい。
【0020】
本実施形態において、処理装置10は、各発電設備2の出力制御を管理するための出力制御機能を有する。処理装置10の出力制御機能は、各発電設備2の出力を制御するための出力制御要求情報を生成し、生成した出力制御要求情報を発電設備2に送信することで、発電設備2に出力制御を実施させる。本実施形態において、出力制御機能は、各発電設備2の出力制御要求情報として、30分毎の発電設備2の出力制御値を「0」~「100」の数値で設定する。たとえば、出力制御機能は、発電設備2に発電を実行しないように出力制御を要求する場合は、出力制御値を「0」と設定し、また、最大発電量の10%までの発電を許容する場合は、出力制御値を「10」と設定する。また、出力制御機能は、発電設備2の最大発電量の100%までの発電を許可する場合は、出力制御値を「100」に設定する。
【0021】
また、本実施形態において、処理装置10は、1日分の出力制御値を30分ごとの時間帯に分けて要求するために、
図2に示すように、3バイト(3文字分)の出力制御値の数値を時間順に48個(24時間÷30分)並べた単位期間出力制御データを生成し、出力制御要求情報の出力制御データ部のデータとする。この場合、処理装置10は、たとえば0:00~0:30までの出力制御値として「100」を設定する場合、
図2に示すように、単位期間出力制御データにおいて左から1番目の数値(左から1~3バイト目の数値データ)に「100」を設定し、12:00~12:30までの出力制御値として「0」を設定する場合には、単位期間出力制御データの25番目の数値(左から73~75バイト目の数値データ)を「0」に設定する。
【0022】
そして、出力制御機能は、送信先の発電設備2、要求/実績種別、および日付を示すヘッダ部と、出力制御要求情報の出力制御データ部とからなる出力制御要求情報を、通信装置30を介して、発電設備2に送信する。また、同様に、出力制御機能は、送信元の発電設備2、要求/実績種別、および日付を示すヘッダ部と、出力制御データ部とからなる出力制御実績情報を、発電設備2から受信する。なお、出力制御実績情報は、発電設備2において作成される情報であり、発電設備2の処理装置が、実施した出力制御値の実績値を記録した情報となっている。具体的には、出力制御実績情報は、出力制御要求情報と同様のデータ構成(ヘッダ部および出力制御データ部)を有しており、要求/実績種別は「実績」を示す値となっている。また、出力制御実績情報の出力制御データ部には、送信元の発電設備2が出力制御要求情報に基づいて実際に実行した出力制御値の実績値「0」~「100」からなる単位期間出力制御データが含まれる。また、出力制御実績情報でも、
図2に示すように、1日における30分毎の出力制御値として、3バイト(3文字分)の出力制御値の数値データが48個(24時間÷30分)並んだ単位期間出力制御データが、出力制御データ部に登録される。なお、発電設備2は、一定の条件下において、出力制御要求情報の出力制御値に応じないで発電を行う場合も否めず、出力制御要求情報の単位期間出力制御データと、それに対応する出力制御実績情報の単位期間出力制御データとが異なる場合もある。
【0023】
また、本実施形態において、処理装置10は、発電設備2の出力制御の実績や状況を管理するために、発電設備2に送信した出力制御要求情報および発電設備2から受信した出力制御実績情報を、記憶装置20に記憶し、記憶した出力制御情報(出力制御要求情報および出力制御実績情報)に基づいて、分析を行う機能を有する。しかしながら、近年、発電設備2の数が急増し、それに伴い、出力制御情報の件数も急増しているため、出力制御情報のデータ量が大きいと、その分、記憶装置20において膨大な記憶容量が必要となり、また、統計処理などの処理負荷も高くなってしまうという問題があった。
【0024】
これに対して、本実施形態に係る処理装置10は、記憶装置20に記憶する出力制御情報のデータ量を削減するための機能を有することを特徴とする。具体的には、処理装置10は、出力制御情報の出力制御データ部の単位期間出力制御データと、パターン化テーブルに記憶されている単位期間出力制御データとを照合し、パターン化テーブルに、出力制御情報の単位期間出力制御データと同じ単位期間出力制御データが登録されている場合には、当該単位期間出力制御データに対応するパターンIDをパターン化テーブルから取得し、出力制御情報の単位期間出力制御データを、取得したパターンIDに変換して、記憶装置20に記憶することで、記憶装置20に記憶する出力制御情報のデータ量を削減する。また、処理装置10は、パターン化テーブルに、出力制御情報の単位期間出力制御データと同一の単位期間出力制御データが登録されていない場合には、当該単位期間出力制御データに対応するパターンIDを作成し、作成したパターンIDを当該単位期間出力制御データと関連付けてパターン化テーブルに登録するとともに、出力制御情報の単位期間出力制御データを、作成したパターンIDで変換して、記憶装置20に記憶することで、記憶装置20に記憶する出力制御情報のデータ量を削減する。
【0025】
このように、処理装置10は、発電設備2の出力制御を管理する機能に加えて、出力制御情報のデータ量を削減するための機能を有する。具体的には、処理装置10は、出力制御情報の単位期間出力制御データがパターン化テーブルに登録されているか否かを照合するデータ照合機能と、出力制御情報の単位期間出力制御データがパターン化テーブルに登録されていない場合に出力制御情報の単位期間出力制御データに対応するパターンIDを作成し、単位期間出力制御データと作成したパターンIDとを対応付けてパターン化テーブルに登録するテーブル登録機能と、出力制御情報の単位期間出力制御データをパターンIDに変換するデータ変換機能と、パターンIDで変換された出力制御情報を記憶装置20に記憶する記憶制御機能と、記憶装置20に記憶した出力制御情報を分析し分析結果を表示する情報分析機能と、を有する。以下に、処理装置10の各機能について説明する。
【0026】
データ照合機能は、出力制御要求情報を発電設備2に送信する場合、あるいは、出力制御実績情報を発電設備2から受信した場合に、記憶装置20のパターン化テーブルを参照し、出力制御情報の単位期間出力制御データと、パターン化テーブルに記憶されている単位期間出力制御データと照合する。そして、データ照合機能は、パターン化テーブルに、出力制御情報の単位期間出力制御データと一致する単位期間出力制御データが登録されている場合には、当該単位期間出力制御データに対応するパターンIDを、パターン化テーブルから取得する。たとえば、全ての出力制御値が「100」である出力制御要求情報を発電設備2に送信する場合において、
図3に示すパターン化テーブルの一番上のレコードにおける単位期間出力制御データの全ての数値データが「100」である場合、データ照合機能は、出力制御要求情報の単位期間出力制御データがパターン化テーブルの一番上のレコードの単位期間出力制御データと一致すると判断し、パターン化テーブルの一番上のレコードのパターンIDである「0100」を取得する。
【0027】
テーブル登録機能は、データ照合機能により出力制御情報の単位期間出力制御データとパターン化テーブルに記憶されている単位期間出力制御データとを照合した結果、出力制御情報の単位期間出力制御データがパターン化テーブルに登録されていない場合に、当該単位期間出力制御データに対応する一意のパターンIDを作成し、作成したパターンIDを単位期間出力制御データと対応付けて、パターン化テーブルに登録する。
【0028】
ここで、本実施形態に係る出力制御情報の単位期間出力制御データは、「0」から「100」までの101の出力制御値を示す48個の数値データからなるため、単位期間出力制御データにおける数値データの組み合わせは最大で(101)48通りとなる。しかしながら、出力制御において出力制限が行われる頻度は少なく年に数回~数十回程度であるものと想定され、また、出力制御において出力が制限される場合には、出力制御値を「0」とすることが多く、実際の出力制御値の数値としては「0」と「100」とで90%以上を占めている。さらに、発電設備2の出力制御は、天候、気象条件、需要特性とある程度の相関関係を有し、天候、気象条件、需要特性などに応じてある程度パターン化されている。加えて、発電設備2においては太陽光発電設備の数が急増していることから太陽光発電により電力が得られる昼間の時間帯において出力制御を行うことが多くなっており、出力制御値は時間帯の点からもある程度パターン化されている。そのため、実際の出力制御情報の単位期間出力制御データにおける数値データの組み合わせは、気象情報などに基づく出力制御システムの制御アルゴリズムおよび処理分解能に依存して決定される数百~数千通り程度と予想され、パターン化テーブルに登録されるレコード件数は、論理上のレコード件数の最大値である(101)48件と比べて大幅に少なくなる(たとえば十万分の1以下で運用される)ものと想定される。言い換えれば、単位期間出力制御データは、単位期間出力制御データを構成する出力制御値の組み合わせの最大数(10148件)に対するN割(たとえば2割)の組み合わせが、M割(たとえば8割)以上の出現頻度を有する特性を持つデータであるとも言える(ただし、NおよびMは0より大きく10未満の数であり、N<Mの関係である)。
【0029】
また、実際の出力制御システムでは、発電と需要のバランスに応じて、たとえば20~100万箇所の発電設備2の発電を抑制する出力制御を行う場合、一般的に、(1)目標値に対して、全ての発電設備2を一律に制御する場合、あるいは、(2)予め設定された優先順位に基づき、まず、特定の発電設備2において0%あるいは100%の出力制御を積み上げた後、目標値との乖離に合わせて、残りの少数の発電設備2を0%、100%以外の1~99の範囲で、補正制御する場合など、各種のアルゴリズムが採用される。前者および後者のいずれの場合においても、昼間帯12時間において24個(12時間÷30分)のパターンIDが新たに生成され、新たにパターンIDが生成された発電設備2が10箇所であるとした場合、1日あたり、240個のパターンIDが生成されることとなり、20~100万箇所の発電設備2に対して、その比率は、0.00005となる。さらに、時間軸においては、年間を通じて、出力制御が行われる日は、1/10以下の日数と考えられる。このため、年間で出力される期間単位出力制御データの数に対して新たにパターンIDが生成される比率は約0.000005となり、2σを超え、3σ(99.7%)以上のパターンIDの新規生成分布となる(パターンIDが生成される確率は0.07%未満となる)と想定される。
【0030】
データ変換機能は、記憶装置20に記憶する出力制御情報の単位期間出力制御データを、データ照合機能またはテーブル登録機能により取得されたパターンIDに変換する。また、記憶制御機能は、データ変換機能により変換された出力制御情報を記憶装置20に記憶する。ここで、
図4は、出力制御情報の単位期間出力制御データをパターンIDに変換した場合のデータ量の削減効果を説明するための図である。本実施形態では、出力制御情報の出力制御データ部の単位期間出力制御データを144バイトとし、単位期間出力制御データに対応するパターンIDを4バイトとしている。この場合、データ変換機能により、出力制御情報の単位期間出力制御データをパターンIDに変換することで、出力制御情報1件で144-4=140バイトのデータ量を削減することができる。
【0031】
ここで、発電設備2が20万箇所あり、1日に、2種類の出力制御要求情報と3種類の出力制御実績情報を授受する場面について検討する。従来では、たとえば1年間、出力制御を行わない場合、出力制御データ部に相当するデータ量だけで、5(要求/実績種類)×20万×365×144≒49GBとなり、また1年において30回の出力制御が5万箇所の発電設備2で行われ、1回あたりの出力制御において出力制御値の変更が10回であると想定した場合、5(要求/実績種類)×30×10×5万×144≒10GBとなり、このケースにおいて、合計59GB程度のデータ量を記憶する必要がある。これに対して、本実施形態では、たとえば1年間、出力制御を行わない場合、出力制御データ部に相当するデータ量だけで、5(要求/実績種類)×20万×365×4≒1.4GBとなり、また1年において30回の出力制御が5万箇所の発電設備2で行われ、1回あたりの出力制御において出力制御値の変更が10回であると想定した場合、5(要求/実績種類)×30×10×5万×4≒0.056GBとなる。また、本実施形態では、パターン化テーブルにパターンIDを登録する必要があるため、30回の出力制御において、各発電設備2で出力制御情報の単位期間出力制御データが全て異なるパターンであったと仮定した場合、30×10×5万×148(パターンID+単位期間出力制御データのバイト数)≒2GBのデータ量となる。そのため、本実施形態では、同じケースにおいて、年間で2.5GB程度のデータ量を記憶することで足りる。すなわち、従来は59GB必要であったデータ量を、本実施形態では、2.5GBまで削減することが可能となる。なお、上記「出力制御値の変更が10回である」場合とは、処理装置10において、気象台などからの気象状況と需給バランスに基づいて出力制御が必要か否かを判断する際に、前日の夕方、前日の夜間、当日の朝、実需給時などに出力制御値の見直しが行われ、このように出力制御値を見直した結果、単位期間出力制御データが変更され、パターンIDが生成されることを想定したものである。
【0032】
情報分析機能は、記憶装置20に記憶された出力制御情報に基づいて、発電設備2の出力制御を統計分析し、分析結果を出力する。ここで、本実施形態では、記憶装置20に記憶された出力制御情報は、出力制御データ部の情報が、データ変換機能によりパターンIDに変換されている。情報分析機能は、たとえば、発電設備2ごとに、出力制御情報において変換したパターンIDごとの出現頻度を統計分析し、状態・形状母数を生成することで、
図5に示すように、発電設備2の運用状況を可視化して出力することができる。なお、
図5は、パターンIDを用いて発電設備2の運用状態および全体の制御状態を可視化したグラフの一例を示す図である。また、情報分析機能は、たとえば、給湯器の稼働時間を深夜から昼間に変化した場合において引用されたパターンIDの引用回数から、給湯器の稼働時間を深夜から昼間に変化した場合にどのような出力制御が行われるかなども分析することができる。
【0033】
次に、本実施形態に係る出力制御要求情報送信処理および出力制御実績情報受信処理について説明する。
図6は、本実施形態に係る出力制御要求情報送信処理を示すフローチャートであり、
図7は、本実施形態に係る出力制御実績情報受信処理を示すフローチャートである。まず、
図6を参照して、本実施形態に係る出力制御要求情報送信処理について説明する。
【0034】
ステップS101では、処理装置10の出力制御機能により、発電設備2に出力制御要求情報を送信するために、出力制御要求情報を作成する処理が行われる。そして、ステップS102では、処理装置10の出力制御機能により、ステップS101で作成した出力制御要求情報が、通信装置30を介して発電設備2に送信される。
【0035】
ステップS103では、処理装置10のデータ照合機能により、ステップS102で送信した出力制御要求情報の単位期間出力制御データが、パターン化テーブルに登録されているか否かの照合が行われる。そして、ステップS104では、データ照合機能により、ステップS103の照合の結果、送信した出力制御要求情報の単位期間出力制御データがパターン化テーブルに登録されていないと判断された場合には、ステップS105に進み、送信した出力制御要求情報の単位期間出力制御データがパターン化テーブルに登録されていると判断された場合には、ステップS106に進む。
【0036】
出力制御要求情報の単位期間出力制御データがパターン化テーブルに登録されていない場合(ステップS104=No)、ステップS105において、処理装置10のテーブル登録機能により、出力制御要求情報の単位期間出力制御データに対応するパターンIDが新たに作成され、出力制御要求情報の単位期間出力制御データと新たに作成したパターンIDがパターン化テーブルに登録される。そして、ステップS106において、処理装置10のデータ変換機能により、出力制御要求情報の出力制御データ部の単位期間出力制御データが、ステップS105で作成したパターンIDに変換され、ステップS107において、処理装置10の記憶制御機能により、パターンIDに変換された出力制御要求情報が記憶装置20に記憶される。
【0037】
また、出力制御要求情報の単位期間出力制御データがパターン化テーブルに予め登録されていると判断された場合(ステップS104=Yes)、ステップS106に進み、処理装置10のデータ変換機能により、出力制御要求情報の単位期間出力制御データに対応するパターンIDがパターン化テーブルから取得され、当該単位期間出力制御データが取得されたパターンIDに変換された後、ステップS107で、記憶制御機能により、変換された出力制御要求情報が記憶装置20に記憶される。
【0038】
このように、
図6に示す出力制御要求情報送信処理では、出力制御要求情報を送信し、送信した出力制御要求情報を記憶装置20に記憶する際に、出力制御要求情報の出力制御データ部の単位期間出力制御データを、当該単位期間出力制御データよりもデータ長の短いパターンIDに変換することで、記憶装置20に記憶する出力制御要求情報のデータ量を削減することができる。
【0039】
次に、
図7に示す出力制御実績情報受信処理について説明する。ステップS201では、処理装置10の出力制御機能により、通信装置30を介して、発電設備2から送信された出力制御実績情報を受信する。そして、ステップS202では、処理装置10のデータ照合機能により、ステップS201で受信した出力制御実績情報の単位期間出力制御データが、パターン化テーブルに登録されているか否かの照合が行われる。そして、ステップS203では、データ照合機能により、受信した出力制御実績情報の単位期間出力制御データがパターン化テーブルに登録されていないと判断された場合には、ステップS204に進み、受信した出力制御実績情報の単位期間出力制御データがパターン化テーブルに登録されていると判断された場合には、ステップS205に進む。
【0040】
出力制御実績情報の単位期間出力制御データがパターン化テーブルに登録されていない場合(ステップS203=No)、ステップS204において、処理装置10のテーブル登録機能により、出力制御実績情報の単位期間出力制御データに対応する一意のパターンIDが生成され、当該単位期間出力制御データおよびパターンIDが関連付けられて、パターン化テーブルに登録される。そして、ステップS205において、処理装置10のデータ変換機能により、出力制御実績情報の単位期間出力制御データが、ステップS204で作成されたパターンIDに変換され、ステップS206において、パターンIDで変換された出力制御実績情報が記憶装置20に記憶される。
【0041】
また、出力制御実績情報の単位期間出力制御データがパターン化テーブルに予め登録されている場合(ステップS203=Yes)、ステップS205に進み、処理装置10のデータ変換機能により、出力制御実績情報の出力制御データ部の単位期間出力制御データが、パターン化テーブルに登録されている、当該単位期間出力制御データに対応するパターンIDに変換され、パターンIDに変換された出力制御実績情報が記憶装置20に記憶される。
【0042】
このように、
図7に示す出力制御実績情報受信処理では、出力制御実績情報を受信し、受信した出力制御実績情報を記憶装置20に記憶する際に、出力制御実績情報の出力制御データ部の単位期間出力制御データを、当該単位期間出力制御データよりもデータ長の短いパターンIDに変換することで、記憶装置20に記憶する出力制御実績情報のデータ量を削減することができる。
【0043】
以上のように、本実施形態に係る発電設備管理装置1においては、記憶装置20に出力制御情報を記憶する際に、出力制御情報のうち出力制御値に対応する単位期間出力制御データを、当該データよりもデータ長の短いパターンIDに置き換えて、記憶装置20に記憶させることで、記憶装置20に記憶する出力制御情報のデータ量を削減することができる。そして、データ長が短いパターンIDに変換された出力制御情報を用いて分析処理を行うことで、分析の処理負荷も軽減することができる。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0045】
たとえば、上述した実施形態では、発電設備2に送信する出力制御指示情報の単位期間出力制御データ、または、発電設備2から受信する出力制御実績情報の単位期間出力制御データと、パターン化テーブルに登録されている単位期間出力制御データとを比較し、出力制御情報の単位期間出力制御データがパターン化テーブルに登録されていない場合に、新たに当該単位期間出力制御データに対応するパターンIDを作成する構成を例示したが、この構成に加えて、外部から取得した過去の出力制御値の単位期間出力制御データから、一定頻度以上の出力実績のある単位期間出力制御データに対してパターンIDを予め作成しておき、当該単位期間出力制御データとパターンIDとを対応付けてパターン化テーブルに予め登録しておくことで、運用初期におけるパターンIDの作成の時間や負荷を軽減し、出力制御情報の単位期間出力制御データをパターンIDで円滑に変換することができる。なお、パターン化テーブルに予め登録しておく単位期間出力制御データとしては、制御対象となる発電設備2、気象条件などの特性ごとに、一定頻度以上の頻度で出力された単位期間出力制御データを特定し、記憶しておくことが好ましい。
【0046】
また、上述した実施形態に加えて、処理装置10は、記憶装置20の記憶容量と、パターンIDの登録状況とを監視する機能としてもよい。特に、処理装置10は、パターンIDで変換した出力制御情報のデータ量に基づいて、記憶装置20の記憶容量を判断することで、記憶装置20の記憶容量の減少を適切に管理者に警告等することができる。また、パターンIDの登録件数が9000件(4桁)を超えて、パターンIDが4バイトで不足するような場合には、処理装置10は、パターンIDを6バイト、または8バイトで生成するように、テーブル登録機能に指示する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…発電設備管理装置
10…処理装置
20…記憶装置
30…通信装置
2…発電設備