IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社総合車両製作所の特許一覧

特許7489257ヒンジ機構及びヒンジ機構の開角度規制方法
<>
  • 特許-ヒンジ機構及びヒンジ機構の開角度規制方法 図1
  • 特許-ヒンジ機構及びヒンジ機構の開角度規制方法 図2
  • 特許-ヒンジ機構及びヒンジ機構の開角度規制方法 図3
  • 特許-ヒンジ機構及びヒンジ機構の開角度規制方法 図4
  • 特許-ヒンジ機構及びヒンジ機構の開角度規制方法 図5
  • 特許-ヒンジ機構及びヒンジ機構の開角度規制方法 図6
  • 特許-ヒンジ機構及びヒンジ機構の開角度規制方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】ヒンジ機構及びヒンジ機構の開角度規制方法
(51)【国際特許分類】
   E05D 11/06 20060101AFI20240516BHJP
   E05D 3/02 20060101ALI20240516BHJP
   B65D 88/12 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
E05D11/06
E05D3/02
B65D88/12 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020133055
(22)【出願日】2020-08-05
(65)【公開番号】P2022029651
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】712004783
【氏名又は名称】株式会社総合車両製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 成豊
(72)【発明者】
【氏名】西村 哲
(72)【発明者】
【氏名】瀬越 奈央子
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-257036(JP,A)
【文献】実開昭57-126381(JP,U)
【文献】特開平10-196199(JP,A)
【文献】実開昭50-081521(JP,U)
【文献】特開2005-188219(JP,A)
【文献】登録実用新案第3221371(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 11/00-13/00
E05D 1/00-9/00
B65D 88/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被開閉体に対して扉体が開閉されるコンテナ扉のヒンジ機構であって、
前記扉体に取り付けられる第1部材と、前記被開閉体に取り付けられる第2部材と、前記被開閉体に対する前記扉体の開角度を規制する規制手段とを含み、
前記第1部材は、前記扉体に固定されるヒンジ体と、該ヒンジ体の端部に固定される平面視円形のヒンジ軸とを含み、
前記第2部材は、前記被開閉体に固定されるヒンジ受と、該ヒンジ受に固定されると共に、前記ヒンジ軸を回転可能に軸支する支持部とを含み、
前記規制手段は、平面視で前記ヒンジ軸の外周部から突出する態様で設けられるストッパと、前記ヒンジ受に着脱可能に取り付けられ、前記扉体が閉じられた状態から開かれる開方向へ前記ヒンジ軸が回転される際に、前記ストッパが回動して当接するストッパ受とを含み、
前記ストッパは、円柱状をなし、前記ヒンジ軸の外周部の、規制する前記開角度の大きさに応じて調整された位置に溶接固定されていることを特徴とするヒンジ機構。
【請求項2】
前記ヒンジ受及び前記ストッパ受が板状をなし、
前記ヒンジ受の、前記被開閉体に固定される面とは反対の面に、前記支持部が固定されると共に該支持部に軸支された前記ヒンジ軸の近傍に前記ストッパ受が取り付けられ、
前記支持部は、前記ストッパ受が前記ヒンジ受に取り付けられた状態で、前記開方向への前記ヒンジ軸の回転により回動する前記ストッパが前記ストッパ受に当接し、かつ、前記ストッパ受が前記ヒンジ受から取り外された状態で、前記開方向への前記ヒンジ軸の回転により回動する前記ストッパが前記ヒンジ受に接触しない位置において、前記ヒンジ軸の回転を許容する位置で前記ヒンジ軸を軸支することを特徴とする請求項1記載のヒンジ機構。
【請求項3】
前記ストッパ及び前記ストッパ受が、前記ヒンジ軸の長尺方向に沿って延在するように設けられることを特徴とする請求項1又は2記載のヒンジ機構。
【請求項4】
前記ストッパ受は、ネジ止めによって前記ヒンジ受に取り付けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のヒンジ機構。
【請求項5】
被開閉体に対して扉体が開閉されるコンテナ扉の、前記扉体に取り付けられる第1部材と前記被開閉体に取り付けられる第2部材とを含むヒンジ機構において、前記被開閉体に対する前記扉体の開角度を規制する方法であって、
前記第1部材が、前記扉体に固定されるヒンジ体と、該ヒンジ体の端部に固定される平面視円形のヒンジ軸とを含むと共に、前記第2部材が、前記被開閉体に固定されるヒンジ受と、該ヒンジ受に固定されて前記ヒンジ軸を回転可能に軸支する支持部とを含むものであり、
前記ヒンジ軸の外周部に、平面視で該外周部から突出する態様でストッパを設けると共に、前記ヒンジ受に着脱可能にストッパ受を取り付け、前記扉体が閉じられた状態から開かれる開方向へ前記ヒンジ軸を回転させたときに、それに伴って回動する前記ストッパを前記ストッパ受に当接させ
前記ヒンジ軸の外周部の、規制する前記開角度の大きさに応じて調整した位置に、前記ストッパとして円柱状のストッパを溶接固定することを特徴とするヒンジ機構の開角度規制方法。
【請求項6】
板状をなす前記ヒンジ受と板状をなす前記ストッパ受とを用い、
前記ヒンジ受の、前記被開閉体に固定する面とは反対の面に、前記支持部を固定すると共に該支持部に軸支された前記ヒンジ軸の近傍に前記ストッパ受を取り付け、
前記ストッパ受を前記ヒンジ受に取り付けた状態で、前記開方向への前記ヒンジ軸の回転により回動する前記ストッパが前記ストッパ受に当接し、かつ、前記ストッパ受を前記ヒンジ受から取り外した状態で、前記開方向への前記ヒンジ軸の回転により回動する前記ストッパが前記ヒンジ受に接触しない位置において、前記ヒンジ軸の回転を許容する位置で前記支持部により前記ヒンジ軸を軸支することを特徴とする請求項5記載のヒンジ機構の開角度規制方法。
【請求項7】
前記ストッパ及び前記ストッパ受を、前記ヒンジ軸の長尺方向に沿って延在するように設けることを特徴とする請求項5又は6記載のヒンジ機構の開角度規制方法。
【請求項8】
前記ストッパ受を、ネジ止めによって前記ヒンジ受に取り付けることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項記載のヒンジ機構の開角度規制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ扉のヒンジ機構と、そのヒンジ機構の開角度規制方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンテナの妻面や側面に設けられるコンテナ扉は、その開閉のために、コンテナ本体の柱部材や隣接する扉にヒンジ機構を介して取り付けられる(例えば特許文献1参照)。そのようなヒンジ機構には、扉の開角度が過大となることに起因する、扉の損傷や扉とコンテナ周辺の他の物体との衝突などを防止するために、扉の開角度を規制する規制手段が設けられている。例えば、図6に示すように、この種の規制手段を有するヒンジ機構100は、被開閉体70(上記の柱部材や隣接する扉に相当)に対して開閉可能に扉体72(上記の扉に相当)を取り付けており、扉体72に固定されたヒンジ体102、ヒンジ体102に固定された円筒状のヒンジ軸104、被開閉体70に固定されたヒンジ受110、ヒンジ受110に固定された一対のヒンジラグ114、116、ヒンジ軸104に挿通された状態でその両端側が一対のヒンジラグ114、116に固定されることで、ヒンジ軸104を回転可能に軸支するヒンジピン112、及び、ヒンジ軸104の外周部に固定されたストッパ120などを含んでいる。そして、扉体72の開時にストッパ120がヒンジ受110に当接することで、扉体72の開角度を規制している。なお、符号106で示されているのは、ヒンジ機構100の可動部分に潤滑油を注油するための注油口である。
【0003】
一方、コンテナ扉の隣接する扉間や扉とコンテナ柱との間(被開閉体70と扉体72との間)には、図7に示すように、コンテナ外部から内部への雨水浸入等を防止するために、ゴム等で構成されるパッキン76が設けられている。このパッキン76は、コンテナの製造時に取り付けられると共に、劣化してきた場合はメンテナンス時などに交換作業を行う必要がある。パッキン76の着脱作業を行う際は、レイアウトによっては隣接する扉などが邪魔になることから、作業性確保のために、開角度を規制せずに扉を全開にして作業することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-188105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の理由により、従来のヒンジ機構100を有するコンテナの製造時では、パッキン76の取付作業を行う前にストッパ120のヒンジ軸104への取り付けを行わず、扉体72の開角度を全開可能な状態としておき、パッキン76の取付作業の完了後に、ストッパ120をヒンジ軸104へ溶接固定している。しかしながら、工程の便宜上、ストッパ120の取り付け前にコンテナ全体の塗装を行う場合は、ストッパ120の溶接固定後にその周囲の再塗装が必要となってしまい、工数増大の一因となっている。又、メンテナンス時においても、経年劣化に伴うパッキン76の取替作業では、溶接固定されたストッパ120を一度取り外し、パッキン76の取替完了後に、ストッパ120の再度の溶接固定及び当該部位の再塗装が必要となるため、作業負荷が大きいものであった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンテナの製造時及びメンテナンス時において、パッキン取付作業の作業性を確保しつつ、工数低減を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0008】
(1)被開閉体に対して扉体が開閉されるコンテナ扉のヒンジ機構であって、前記扉体に取り付けられる第1部材と、前記被開閉体に取り付けられる第2部材と、前記被開閉体に対する前記扉体の開角度を規制する規制手段とを含み、前記第1部材は、前記扉体に固定されるヒンジ体と、該ヒンジ体の端部に固定される平面視円形のヒンジ軸とを含み、前記第2部材は、前記被開閉体に固定されるヒンジ受と、該ヒンジ受に固定されると共に、前記ヒンジ軸を回転可能に軸支する支持部とを含み、前記規制手段は、平面視で前記ヒンジ軸の外周部から突出する態様で設けられるストッパと、前記ヒンジ受に着脱可能に取り付けられ、前記扉体が閉じられた状態から開かれる開方向へ前記ヒンジ軸が回転される際に、前記ストッパが回動して当接するストッパ受とを含み、前記ストッパは、円柱状をなし、前記ヒンジ軸の外周部の、規制する前記開角度の大きさに応じて調整された位置に溶接固定されているヒンジ機構(請求項1)。
【0009】
本項に記載のヒンジ機構は、コンテナ扉において被開閉体に対し開閉可能に扉体を取り付けるものであり、ここでの扉体は、開閉される扉自体に相当し、被開閉体は、コンテナ本体の柱部材や、コンテナ扉が連結された複数の扉で構成される場合の、開閉される扉に隣接する別の扉に相当する。そして、本ヒンジ機構は、第1部材、第2部材、及び規制手段を含み、第1部材は、扉体に取り付けられるものであって、その扉体に固定されるヒンジ体と、ヒンジ体の端部に固定される平面視円形のヒンジ軸とを含んでいる。これに対し、第2部材は、被開閉体に取り付けられるものであって、その被開閉体に固定されるヒンジ受と、ヒンジ受に固定される支持部とを含んでいる。そして、第2部材の支持部が、第1部材のヒンジ軸を回転可能に軸支することで、それらの支持部及びヒンジ軸により、本ヒンジ機構の実質的な可動部分が構成される。
【0010】
一方、規制手段は、被開閉体に対する扉体の開角度を規制するものであり、ストッパ及びストッパ受を含んでいる。ストッパは、平面視でヒンジ軸の外周部から突出する態様で設けられ、ヒンジ軸の回転に伴ってヒンジ軸と同軸で回動する。また、ストッパは、円柱状をなし、ヒンジ軸の外周部の、被開閉体に対する扉体の規制する開角度の大きさに応じて調整された位置に溶接固定されている。ストッパ受は、ヒンジ受に着脱可能に取り付けられ、扉体が閉じられた状態から開かれる方向へヒンジ軸が回転されると、それに伴って回動するストッパがストッパ受に当接することで、扉体の開角度を規制するようになっている。これにより、着脱可能なストッパ受がヒンジ受に取り付けられた状態では、コンテナに必要な扉体の開角度の規制が図られるものとなり、着脱可能なストッパ受がヒンジ受から取り外された状態では、ストッパがストッパ受に接触しないことから、ストッパ受が取り付けられた状態よりも扉体の開角度が大きくなるものである。
【0011】
従って、被開閉体と扉体との間に、コンテナ内部への雨水浸入等を防止するためのパッキンを取り付ける際や、そのようなパッキンを交換する際に、ヒンジ受からストッパ受を取り外しておくことで、パッキンの取付作業や交換作業に支障のない程度に扉体が開かれるため、作業性が確保されるものとなる。しかも、コンテナの製造時におけるコンテナ全体の塗装の際に、ストッパ受をヒンジ受に取り付けておくことで、ストッパ受やその周囲に塗装が施されるため、その後にストッパ受を取り外して再度取り付けても、再塗装を行う必要がない。このため、コンテナの製造時やメンテナンス時に、パッキンの取付作業や交換作業の作業性が確保されながらも、再塗装の不要化などによって工数が低減されるものである。
【0012】
(2)上記(1)項において、前記ヒンジ受及び前記ストッパ受が板状をなし、前記ヒンジ受の、前記被開閉体に固定される面とは反対の面に、前記支持部が固定されると共に該支持部に軸支された前記ヒンジ軸の近傍に前記ストッパ受が取り付けられ、前記支持部は、前記ストッパ受が前記ヒンジ受に取り付けられた状態で、前記開方向への前記ヒンジ軸の回転により回動する前記ストッパが前記ストッパ受に当接し、かつ、前記ストッパ受が前記ヒンジ受から取り外された状態で、前記開方向への前記ヒンジ軸の回転により回動する前記ストッパが前記ヒンジ受に接触しない位置において、前記ヒンジ軸の回転を許容する位置で前記ヒンジ軸を軸支するヒンジ機構(請求項2)。
【0013】
本項に記載のヒンジ機構は、第2部材のヒンジ受と規制手段のストッパ受との双方が板状をなすものであり、そのうちヒンジ受の一方の面が被開閉体に固定され、それとは反対のヒンジ受の他方の面に、第2部材の支持部とストッパ受とが取り付けられる。すなわち、支持部がヒンジ受の他方の面に固定され、その支持部によって軸支された第1部材のヒンジ軸の近傍に、板状のストッパ受がその一方の面をヒンジ受の他方の面に対向させて着脱可能に取り付けられる。そして、ヒンジ受に固定された支持部は、以下のような位置においてヒンジ軸の回転を許容する位置でヒンジ軸を軸支する。
【0014】
つまり、ストッパ受がヒンジ受に取り付けられた状態では、扉体が開く開方向へのヒンジ軸の回転により回動するストッパが、ストッパ受のヒンジ受に対向する面とは反対の面に当接するような位置での、ヒンジ軸の回転が支持部により許容される。更に、ストッパ受がヒンジ受から取り外された状態では、扉体が開く開方向へのヒンジ軸の回転により回動するストッパが、ストッパ受は勿論のことヒンジ受の他方の面にも接触しないような位置における、ヒンジ軸の回転が支持部により許容される。これにより、ストッパ受がヒンジ受に取り付けられていると、ストッパがストッパ受に当接して扉体の開角度が規制され、ストッパ受がヒンジ受から取り外されていると、ストッパがヒンジ受に接触せずにヒンジ軸が回転するため、扉体が全開状態まで開かれることになる。従って、扉体の開角度がより確実に規制されると共に、パッキンの取付作業や交換作業の作業性が向上されるものとなる。
【0015】
(3)上記(1)(2)項において、前記ストッパ及び前記ストッパ受が、前記ヒンジ軸の長尺方向に沿って延在するように設けられるヒンジ機構(請求項3)。
本項に記載のヒンジ機構は、規制手段のストッパ及びストッパ受の双方が、第1部材のヒンジ軸の長尺方向に沿って延在するように設けられるものである。これにより、扉体が開かれる方向へ加えられる力が、ストッパ及びストッパ受を介してそれらの延在方向に分散されて受けられるため、扉体の開角度が効率よく規制されるものである。
【0016】
(4)上記(1)から(3)項において、前記ストッパ受は、ネジ止めによって前記ヒンジ受に取り付けられるヒンジ機構(請求項4)。
本項に記載のヒンジ機構は、ヒンジ受に対してストッパ受がネジ止めによって取り付けられることで、ストッパ受の着脱作業が容易に行われるものとなり、コンテナの製造時やメンテナンス時の工数が、より一層低減されるものである。
【0017】
(5)上記(1)から(4)項において、前記ヒンジ軸が円筒状をなし、前記支持部は、前記ヒンジ軸に挿通されたヒンジピンと、前記ヒンジ受から突出するように該ヒンジ受に固定されると共に、前記ヒンジピンの両端側が固定された一対のヒンジラグとを含むヒンジ機構。
本項に記載のヒンジ機構は、第1部材のヒンジ軸が円筒状をなすと共に、第2部材の支持部がヒンジピンと一対のヒンジラグとを含むものである。そして、ヒンジピンが円筒状のヒンジ軸に挿通され、ヒンジ軸の両端から突出したヒンジピンの一端側及び他端側が、ヒンジ受から突出した一対のヒンジラグに固定されている。このような構成により、一対のヒンジラグを介してヒンジ受に固定されたヒンジピンを回転軸として、ヒンジ軸が安定して回転するものとなり、それによってヒンジ軸の回転を伴う扉体の開閉及び開角度の規制が安定して行われるものとなる。
【0018】
(6)被開閉体に対して扉体が開閉されるコンテナ扉の、前記扉体に取り付けられる第1部材と前記被開閉体に取り付けられる第2部材とを含むヒンジ機構において、前記被開閉体に対する前記扉体の開角度を規制する方法であって、前記第1部材が、前記扉体に固定されるヒンジ体と、該ヒンジ体の端部に固定される平面視円形のヒンジ軸とを含むと共に、前記第2部材が、前記被開閉体に固定されるヒンジ受と、該ヒンジ受に固定されて前記ヒンジ軸を回転可能に軸支する支持部とを含むものであり、前記ヒンジ軸の外周部に、平面視で該外周部から突出する態様でストッパを設けると共に、前記ヒンジ受に着脱可能にストッパ受を取り付け、前記扉体が閉じられた状態から開かれる開方向へ前記ヒンジ軸を回転させたときに、それに伴って回動する前記ストッパを前記ストッパ受に当接させ、前記ヒンジ軸の外周部の、規制する前記開角度の大きさに応じて調整した位置に、前記ストッパとして円柱状のストッパを溶接固定するヒンジ機構の開角度規制方法(請求項5)。
【0019】
(7)上記(6)項において、板状をなす前記ヒンジ受と板状をなす前記ストッパ受とを用い、前記ヒンジ受の、前記被開閉体に固定する面とは反対の面に、前記支持部を固定すると共に該支持部に軸支された前記ヒンジ軸の近傍に前記ストッパ受を取り付け、前記ストッパ受を前記ヒンジ受に取り付けた状態で、前記開方向への前記ヒンジ軸の回転により回動する前記ストッパが前記ストッパ受に当接し、かつ、前記ストッパ受を前記ヒンジ受から取り外した状態で、前記開方向への前記ヒンジ軸の回転により回動する前記ストッパが前記ヒンジ受に接触しない位置において、前記ヒンジ軸の回転を許容する位置で前記支持部により前記ヒンジ軸を軸支するヒンジ機構の開角度規制方法(請求項6)。
【0020】
(8)上記(6)(7)項において、前記ストッパ及び前記ストッパ受を、前記ヒンジ軸の長尺方向に沿って延在するように設けるヒンジ機構の開角度規制方法(請求項7)。
(9)上記(6)から(8)項において、前記ストッパ受を、ネジ止めによって前記ヒンジ受に取り付けるヒンジ機構の開角度規制方法(請求項8)。
そして、(6)から(9)項に記載のヒンジ機構の開角度規制方法は、各々、上記(1)から(4)項のヒンジ機構において実行されることで、上記(1)から(4)項のヒンジ機構と同等の作用を奏するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上記のような構成であるため、コンテナの製造時及びメンテナンス時において、パッキン取付作業の作業性を確保しながら、工数低減を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態に係るヒンジ機構の構造を概略的に示しており、(a)が平面図、(b)が正面図である。
図2図1のヒンジ機構の構成部材である第1部材及びストッパを示す平面図である。
図3図1のヒンジ機構の構成部材を示しており、(a)がヒンジ受及びヒンジラグの平面図、(b)がヒンジ受及びヒンジラグの正面図、(c)がヒンジピンの正面図、(d)がストッパ受の平面図、(e)がストッパ受の正面図である。
図4図1のヒンジ機構において、規制手段により扉体の開角度が規制された状態を示す平面図である。
図5図1のヒンジ機構において、規制手段による規制を解除し、扉体が限界近くまで開かれた状態を示す平面図である。
図6】従来のヒンジ機構の構造を概略的に示しており、(a)が平面図、(b)が正面図である。
図7】従来のヒンジ機構で接続されたコンテナの扉間を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略することとし、又、図面の全体を通して、同一部分若しくは相当する部分は、同一の符号で示している。
図1には、コンテナの妻面や側面に設けられるコンテナ扉において、被開閉体70へ開閉可能に扉体72を接続する、本発明の実施の形態に係るヒンジ機構10の構造を示している。扉体72は、開閉される扉そのものであり、被開閉体70は、コンテナの四隅を支える柱部材や、コンテナ扉がヒンジ機構10により接続された複数の扉を有する場合の、開閉される扉に連結された他の扉に相当するものである。図1の扉体72は、被開閉体70に対して閉じられた状態である。図1及び後述する図4図5では、それらの被開閉体70及び扉体72を仮想線で図示している。なお、図1のようなヒンジ機構10が、被開閉体70と扉体72との間の、コンテナの高さ方向に位置が異なる複数個所に設けられて、被開閉体70と扉体72とが接続される。
【0024】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係るヒンジ機構10は、扉体72に取り付けられる第1部材12と、被開閉体70に取り付けられる第2部材30と、扉体72の開角度を規制する規制手段50とで大略構成されている。そして、第1部材12がヒンジ体14及びヒンジ軸18を含み、第2部材30がヒンジ受32及び支持部38を含み、規制手段50がストッパ52及びストッパ受54を含んでいる。更に、支持部38がヒンジピン40及び一対のヒンジラグ42、44を含んでいる。図2及び図3には、ヒンジ機構10を構成するそれらの構成部材の一部を、単体で或いは組み合わせて図示している。これらの構成部材は、各部材に必要な性能を満たす任意の鋼材によって形成される。
【0025】
図1及び図2を参照して、第1部材12のヒンジ体14は、中途部分で折れ曲がった板状をなしており、その一方の面が扉体72に対して溶接などで固定される。ヒンジ体14の端部には、同じく第1部材12を構成するヒンジ軸18が溶接などで固定されている。このヒンジ軸18は、本実施形態では円筒状をなしており、ヒンジ軸18の中心孔20に、後述するようにヒンジピン40が挿通される。又、図1(a)及び図2に示すような平面視で、ヒンジ軸18の円形をなす外周部の、ヒンジ体14への接続箇所から本実施形態では約180°異なる位置に、ヒンジ軸18の外周部から突出する態様で、規制手段50のストッパ52が溶接固定されている。
【0026】
ストッパ52は、ヒンジ軸18の長尺方向(図1(b)における上下方向)に延在する、本実施形態では円柱状をなしており、図2ではヒンジ軸18との間の溶接の肉盛部分が黒く示されている。このストッパ52の、ヒンジ軸18の外周部における固定位置は、後述するように、ヒンジ機構10の規制手段50によって規制する、被開閉体70に対する扉体72の開角度の大きさに応じて調整されるものである。ここで、図1に示すヒンジ軸18の外周部におけるストッパ52の固定位置は、図6に示した従来構造のヒンジ軸104の外周部におけるストッパ120の固定位置と異なっているが、これは扉体72の規制される開角度の大きさが異なるためである。なお、ヒンジ軸18には、ヒンジ体14への接続箇所及びストッパ52の固定箇所から外れた位置の外周部から、中心孔20まで貫通した注油口22が設けられている。
【0027】
図1及び図3(a)、(b)を参照して、第2部材30のヒンジ受32は、本実施形態では板状をなしており、その一方の面32aが被開閉体70に溶接などで固定され、ヒンジ受32の他方の面32bに、支持部38を構成する一対のヒンジラグ42、44が、他方の面32bから突出する態様で、溶接などにより固定されている。一対のヒンジラグ42、44は、図1(a)及び図3(a)のような平面視で、本実施形態では六角形をなし、ヒンジ受32の他方の面32bから僅かに離れた位置に、図1(b)及び図3(b)における上下方向に貫通した挿通孔46が設けられている。
【0028】
そして、一対のヒンジラグ42、44の間に、図2に示した構成の第1部材12のヒンジ軸18が設置された状態で、図3(c)に示すような円柱状のヒンジピン40が、ヒンジラグ42の挿通孔46、ヒンジ軸18の中心孔20、及びヒンジラグ44の挿通孔46に挿通される。このとき、ヒンジ軸18とヒンジラグ44との間に座金48が配置され、ヒンジピン40の上端がヒンジラグ42から突出すると共に、ヒンジピン40の下端がヒンジラグ44から突出するような位置で、ヒンジピン40が一対のヒンジラグ42、44に対して溶接などで固定される。これにより、ヒンジピン40及び一対のヒンジラグ42、44で構成される支持部38によって、第1部材12のヒンジ軸18が回転可能に軸支される。
【0029】
又、図1に示すように、ヒンジ受32の他方の面32bには、図3(d)、(e)に示すような板状のストッパ受54が、支持部38により軸支されたヒンジ軸18の近傍に、本実施形態では図示しないボルトを用いたネジ止めによって、着脱可能に取り付けられている。すなわち、ストッパ受54には、その一方の面54aから他方の面54bに貫通し、ボルトのネジ部分が挿通される2つの貫通孔56が設けられ、ヒンジ受32には、その他方の面32bからタップでネジが切られた2つのネジ穴34が設けられている。そして、ヒンジ受32の他方の面32bに対してストッパ受54の一方の面54aが向けられ、2つの貫通孔56と2つのネジ穴34との位置が合わされて、それらに挿通及び螺合するボルトによって固定されている。この状態で、ストッパ受54は、ヒンジ軸18に固定されたストッパ52よりも長く、ヒンジ軸18の長尺方向に延在している。
【0030】
次に、図4には、上述した構成のヒンジ機構10において、被開閉体70に対する扉体72の開角度が規制される様子を示している。すなわち、扉体72に固定された図4の第1部材12は、図1(a)の状態の第1部材12との比較において、ヒンジピン40を回転軸としてヒンジ軸18が右回り方向(扉体72が開かれる方向)に回転されている。このヒンジ軸18の回転により、ヒンジ軸18の外周部に固定されたストッパ52が、同じくヒンジピン40を回転軸として回動し、ストッパ52と共に規制手段50を構成するストッパ受54の他方の面54bに当接している。このため、ヒンジ軸18は、図4の状態以上に右回り方向に回転できず、これによって、第1部材12のヒンジ体14に固定された扉体72の開角度が規制される。
【0031】
これに対し、図5に示されているヒンジ機構10は、ネジ止めによって着脱可能に取り付けられるストッパ受54が、ヒンジ受32から取り外されている。そして、図5の第1部材12は、図1(a)との比較において、図4の第1部材12と同様に、ヒンジピン40を回転軸としてヒンジ軸18が右回り方向に回転され、それに伴ってストッパ52が回動している。しかしながら、ストッパ受54がヒンジ受32から取り外されているため、ストッパ52がストッパ受54に当接せずにそのまま回動し、更に、ストッパ52がヒンジ受32にも接触せずに回動し続け、第1部材12に固定された扉体72が限界位置まで開かれている。
【0032】
図4に示したような扉体72の開角度の規制と、図5に示したような扉体72の全開状態までの開扉の許容とは、ストッパ受54の有無によって切り替えられる。そして、これらを実現するように、ストッパ受54の厚み、ヒンジ受32の厚み、ストッパ52の太さ(ヒンジ軸18の外周部からのストッパ52の突出量)、ヒンジ軸18の外径、支持部38によるヒンジ軸18の軸支位置(ヒンジ受32からの一対のヒンジラグ42、44の突出量、挿通孔46の形成位置など)といった、ヒンジ機構10の構成部材の大きさや位置の関係が決定されるものである。
【0033】
又、上述したように、ヒンジ軸18の外周部におけるストッパ52の固定位置は、扉体72の規制される開角度の大きさに応じて調整される。例えば、ストッパ52が、図1(a)に示す位置から、ヒンジ軸18の外周部に沿って左回り方向にずらされた位置に固定されると、扉体72は、図4の状態よりも大きく開いた位置で開角度が規制される。これとは反対に、ストッパ52が、図1(a)に示す位置から、ヒンジ軸18の外周部に沿って右回り方向にずらされた位置に固定されると、扉体72は、図4の状態よりも小さく開いた位置で開角度が規制される。
【0034】
ここで、本発明の実施の形態に係るヒンジ機構10は、図1図5に示したような構成に限定されるものではなく、例えば、構成部材の一部が削除や変更されてもよく、新たな構成部材が追加されてもよく、各構成部材の形状が図示の例と異なっていてもよい。又、ストッパ受54の取り付け方法は、ヒンジ受32に対して着脱可能に取り付けられるものであれば、ネジ止め以外の別の方法であってもよい。更に、支持部38は、ヒンジ軸18を回転可能に軸支するものであれば、ヒンジピン40及び一対のヒンジラグ42、44の構成に限定されるものではなく、それに合わせて、ヒンジ軸18が円筒状以外で平面視円形をなす形状であってもよい。加えて、ストッパ52は、ヒンジ受32からストッパ受54が取り外された状態で、扉体72が開かれる方向にヒンジ軸18が回転されたときに、ストッパ受54に当接するような位置で回動するものであってもよい。この場合でも、ヒンジ受32にストッパ受54が取り付けられた状態と比較して、ストッパ受54の厚みに相当する分だけ、扉体72の開角度が広がることになる。
【0035】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係るヒンジ機構10は、図1に示すように、コンテナ扉において被開閉体70に対し開閉可能に扉体72を取り付けるものであり、第1部材12、第2部材30、及び規制手段50を含んでいる。第1部材12は、扉体72に取り付けられるものであって、その扉体72に固定されるヒンジ体14と、ヒンジ体14の端部に固定される平面視円形のヒンジ軸18とを含んでいる。これに対し、第2部材30は、被開閉体70に取り付けられるものであって、その被開閉体70に固定されるヒンジ受32と、ヒンジ受32に固定される支持部38とを含んでいる。そして、第2部材30の支持部38が、第1部材12のヒンジ軸18を回転可能に軸支することで、それらの支持部38及びヒンジ軸18により、本ヒンジ機構10の実質的な可動部分が構成される。
【0036】
一方、規制手段50は、被開閉体70に対する扉体72の開角度を規制するものであり、ストッパ52及びストッパ受54を含んでいる。ストッパ52は、平面視でヒンジ軸18の外周部から突出する態様で設けられ、ヒンジ軸18の回転に伴ってヒンジ軸18と同軸で回動する。ストッパ受54は、ヒンジ受32に着脱可能に取り付けられ、扉体72が閉じられた状態から開かれる方向(図1(a)における右回り方向)へヒンジ軸18が回転されると、図4に示すように、それに伴って回動するストッパ52がストッパ受54に当接することで、扉体72の開角度を規制するようになっている。これにより、着脱可能なストッパ受54がヒンジ受32に取り付けられた状態では、コンテナに必要な扉体72の開角度の規制を図ることができ、着脱可能なストッパ受54がヒンジ受32から取り外された状態では、ストッパ52がストッパ受54に接触しないことから、ストッパ受54が取り付けられた状態よりも扉体72の開角度を大きくすることができる。
【0037】
従って、被開閉体70と扉体72との間に、コンテナ内部への雨水浸入等を防止するための、図7に示すようなパッキン76を取り付ける際や、そのようなパッキン76を交換する際に、ヒンジ受32からストッパ受54を取り外しておくことで、パッキン76の取付作業や交換作業に支障のない程度に扉体72を開くことができるため、作業性を確保することができる。しかも、コンテナの製造時におけるコンテナ全体の塗装の際に、ストッパ受54をヒンジ受32に取り付けておくことで、ストッパ受54やその周囲に塗装が施されるため、その後にストッパ受54を取り外して再度取り付けても、再塗装を行う必要がない。このため、コンテナの製造時やメンテナンス時に、パッキン76の取付作業や交換作業の作業性を確保しながらも、再塗装の不要化などによって工数を低減することが可能となる。
【0038】
又、本発明の実施の形態に係るヒンジ機構10は、図1及び図3に示すように、第2部材30のヒンジ受32と規制手段50のストッパ受54との双方が板状をなすものであり、そのうちヒンジ受32の一方の面32aが被開閉体70に固定され、それとは反対のヒンジ受32の他方の面32bに、第2部材30の支持部38とストッパ受54とが取り付けられる。すなわち、支持部38がヒンジ受32の他方の面32bに固定され、その支持部38によって軸支された第1部材12のヒンジ軸18の近傍に、板状のストッパ受54がその一方の面54aをヒンジ受32の他方の面32bに対向させて着脱可能に取り付けられる。そして、ヒンジ受32に固定された支持部38は、以下のような位置においてヒンジ軸18の回転を許容する位置でヒンジ軸18を軸支する。
【0039】
つまり、図4に示すように、ストッパ受54がヒンジ受32に取り付けられた状態では、扉体72が開く開方向へのヒンジ軸18の回転により回動するストッパ52が、ストッパ受54のヒンジ受32に対向する面54aとは反対の面54bに当接するような位置での、ヒンジ軸18の回転が支持部38により許容される。更に、図5に示すように、ストッパ受54がヒンジ受32から取り外された状態では、扉体72が開く開方向へのヒンジ軸18の回転により回動するストッパ52が、ストッパ受54は勿論のことヒンジ受32の他方の面32bにも接触しないような位置における、ヒンジ軸18の回転が支持部38により許容される。これにより、ストッパ受54がヒンジ受32に取り付けられていると、ストッパ52がストッパ受54に当接して扉体72の開角度を規制することができ、ストッパ受54がヒンジ受32から取り外されていると、ストッパ52がヒンジ受32に接触せずにヒンジ軸18が回転するため、扉体72を全開状態まで開くことができる。従って、扉体72の開角度をより確実に規制することができると共に、パッキン76の取付作業や交換作業の作業性を向上させることが可能となる。
【0040】
更に、本発明の実施の形態に係るヒンジ機構10は、図1(b)で確認できるように、規制手段50のストッパ52及びストッパ受54の双方が、第1部材12のヒンジ軸18の長尺方向(上下方向)に沿って延在するように設けられるものである。これにより、扉体72が開かれる方向へ加えられる力を、ストッパ52及びストッパ受54を介してそれらの延在方向に分散させて受けることができるため、扉体72の開角度を効率よく規制することが可能となる。
又、本発明の実施の形態に係るヒンジ機構10は、ヒンジ受32に対してストッパ受54がネジ止めによって取り付けられることで、ストッパ受54の着脱作業を容易に行うことができるため、これによって、コンテナの製造時やメンテナンス時の工数を、より一層低減することができる。
【0041】
しかも、本発明の実施の形態に係るヒンジ機構10は、図1図3に示すように、第1部材12のヒンジ軸18が円筒状をなすと共に、第2部材30の支持部38がヒンジピン40と一対のヒンジラグ42、44とを含むものである。そして、ヒンジピン40が円筒状のヒンジ軸18に挿通され、ヒンジ軸18の両端から突出したヒンジピン40の一端側及び他端側が、ヒンジ受32の他方の面32bから突出した一対のヒンジラグ42、44に固定されている。このような構成により、一対のヒンジラグ42、44を介してヒンジ受32に固定されたヒンジピン40を回転軸として、ヒンジ軸18が安定して回転するものとなり、それによってヒンジ軸18の回転を伴う扉体72の開閉及び開角度の規制を、安定して行うことができる。
【0042】
一方、本発明の実施の形態に係るヒンジ機構の開角度規制方法は、図1に示すように、被開閉体70に対して扉体72が開閉されるコンテナ扉の、扉体72に取り付けられる第1部材12と被開閉体70に取り付けられる第2部材30とを含む、上述したような構成のヒンジ機構10において、被開閉体70に対する扉体72の開角度を規制する方法である。具体的には、ヒンジ軸18の外周部に、平面視でこの外周部から突出する態様でストッパ52を設けると共に、ヒンジ受32に着脱可能にストッパ受54を取り付け、扉体72が閉じられた状態から開かれる開方向へヒンジ軸18を回転させたときに、それに伴って回動するストッパ52を、図4に示すようにストッパ受54に当接させるものである。
【0043】
又、本発明の実施の形態に係るヒンジ機構の開角度規制方法は、図1及び図3に示すように、板状をなすヒンジ受32と板状をなすストッパ受54とを用い、ヒンジ受32の、被開閉体70に固定する面32aとは反対の面32bに、支持部38を固定すると共に支持部38に軸支されたヒンジ軸18の近傍にストッパ受54を取り付ける。そして、図4に示すように、ストッパ受54をヒンジ受32に取り付けた状態で、扉体72が開く開方向へのヒンジ軸18の回転により回動するストッパ52がストッパ受54に当接し、かつ、図5に示すように、ストッパ受54をヒンジ受32から取り外した状態で、扉体72が開く開方向へのヒンジ軸18の回転により回動するストッパ52がヒンジ受32に接触しない位置において、ヒンジ軸18の回転を許容する位置で支持部38によりヒンジ軸18を軸支するものである。
【0044】
更に、本発明の実施の形態に係るヒンジ機構の開角度規制方法は、図1(b)に示すように、ストッパ52及びストッパ受54を、ヒンジ軸18の長尺方向に沿って延在するように設けるものであり、又、ストッパ受54を、ネジ止めによってヒンジ受32に取り付けるものである。
これらの構成により、本発明の実施の形態に係るヒンジ機構の開角度規制方法は、上述した本発明の実施の形態に係るヒンジ機構10と同等の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0045】
10:ヒンジ機構、12:第1部材、14:ヒンジ体、18:ヒンジ軸、30:第2部材、32:ヒンジ受、32a:ヒンジ受の一方の面、32b:ヒンジ受の他方の面、38:支持部、50:規制手段、52:ストッパ、54:ストッパ受、70:被開閉体、72:扉体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7