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特許7489276配車予約管理システム、配車システム、配車予約データ管理装置、及び配車予約データ管理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】配車予約管理システム、配車システム、配車予約データ管理装置、及び配車予約データ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/127 20060101AFI20240516BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240516BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20240516BHJP
【FI】
G08G1/127 B
G06Q50/40
G06Q10/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020152283
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022046311
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 英城
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠秀
(72)【発明者】
【氏名】高木 良貴
(72)【発明者】
【氏名】李 成博
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/170337(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/02
50/40
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共用車両を利用する複数のユーザがそれぞれ有するユーザ端末と、前記ユーザ端末に通信可能に接続されたサーバと、を備える配車予約管理システムであって、
前記サーバは、
前記複数のユーザごとの配車処理に係る予約内容を示す予約データを各ユーザ端末の識別情報に対応させて記憶する記憶部と、
前記記憶部を参照して、一つの前記共用車両に関して、第1ユーザ端末に紐付いた第1予約データと、該第1予約データにより規定される第1配車処理の次に実行される第2配車処理に係る第2予約データと、を特定する特定部と、
特定した前記第1予約データ及び前記第2予約データに基づいて、前記第1配車処理に係る予約内容の変更可能範囲を演算する変更可能範囲演算部と、
演算した前記変更可能範囲を前記第1ユーザ端末に送信する送信部と、を含み、
前記変更可能範囲演算部は、前記共用車両が前記第2配車処理に係る乗車予定時刻以前に該第2配車処理に係る乗車予定地に到達するように前記変更可能範囲を演算し、
前記第1ユーザ端末は、前記サーバから受信した前記変更可能範囲を表示する表示部を含み、
前記第1予約データには、前記第1配車処理の提供を受ける第1ユーザの乗車予定時刻、乗車予定地、降車予定時刻、及び降車予定地が規定され、
前記変更可能範囲演算部は、
前記第1ユーザの乗車予定時刻、乗車予定地、降車予定時刻、又は降車予定地の変更を仮定した場合における変更後の前記第1配車処理の乗車予定地又は降車予定地である変更地を設定し、
前記変更地から変更されない次の固定地である次固定地までの前記共用車両の走行時間としての第1走行時間を演算し、
前記変更地における前記共用車両の到着予測時刻に前記第1走行時間を加算することで、前記次固定地における前記共用車両の到着予測時刻としての次固定地到着予測時刻を演算し、
前記変更可能範囲を、前記次固定地到着予測時刻が所定の許容到着時刻よりも前となるように演算する、
配車予約管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の配車予約管理システムであって、
前記サーバが前記第1ユーザ端末から前記第1ユーザの乗車予定地に関する前記変更可能範囲の提示リクエストを受けると、
前記変更可能範囲演算部は、
前記変更地として、前記第1ユーザの乗車予定地を設定し、
前記次固定地として、前記第1ユーザの降車予定地を設定して前記変更可能範囲を演算する、
配車予約管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の配車予約管理システムであって、
前記サーバが前記第1ユーザ端末から前記第1ユーザの降車予定地に関する前記変更可能範囲の提示リクエストを受けると、
前記変更可能範囲演算部は、
前記変更地として、前記第1ユーザの降車予定地を設定し、
前記次固定地として、前記第2配車処理の提供を受ける第2ユーザの乗車予定地を設定して前記変更可能範囲を演算する、
配車予約管理システム。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の配車予約管理システムであって、
前記変更可能範囲演算部は、
前記共用車両の現在地である車両現在地を取得し、
取得した前記車両現在地に基づいて、前記変更可能範囲を補正する、
配車予約管理システム。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の配車予約管理システムであって、
前記変更可能範囲は、所定の基点時刻からの時間経過に応じた2次元領域として演算され、
前記2次元領域は、前記共用車両が前記変更地の直前に通過する固定地としての前固定地を出発点として到達可能な領域と、前記共用車両が前記次固定地に到達し得る領域と、の共通部分であり、
前記第1ユーザ端末の前記表示部は、前記2次元領域を、各配車処理が実行される配車エリアを含む既存の地図データに重ねて表示する、
配車予約管理システム。
【請求項6】
共用車両を利用する複数のユーザがそれぞれ有するユーザ端末と、前記ユーザ端末に通信可能に接続されたサーバと、を備える配車予約管理システムであって、
前記サーバは、
前記複数のユーザごとの配車処理に係る予約内容を示す予約データを各ユーザ端末の識別情報に対応させて記憶する記憶部と、
前記記憶部を参照して、一つの前記共用車両に関して、第1ユーザ端末に紐付いた第1予約データと、該第1予約データにより規定される第1配車処理の次に実行される第2配車処理に係る第2予約データと、を特定する特定部と、
特定した前記第1予約データ及び前記第2予約データに基づいて、前記第1配車処理に係る予約内容の変更可能範囲を演算する変更可能範囲演算部と、
演算した前記変更可能範囲を前記第1ユーザ端末に送信する送信部と、を含み、
前記変更可能範囲演算部は、前記共用車両が前記第2配車処理に係る乗車予定時刻以前に該第2配車処理に係る乗車予定地に到達するように前記変更可能範囲を演算し、
前記第1ユーザ端末は、前記サーバから受信した前記変更可能範囲を表示する表示部を含み、
前記サーバは、予約変更処理部をさらに含み、
前記第1ユーザ端末は、前記予約内容の変更を要求する変更リクエストを生成し、前記サーバに送信する変更リクエスト生成部をさらに含み、
前記予約変更処理部は、
前記第1ユーザ端末から前記変更リクエストを受信すると、変更後の前記予約内容が前記変更可能範囲に含まれるか否かを判定し、
判定の結果が肯定的である場合には、前記記憶部に記憶されている前記第1予約データを変更後の前記予約内容に基づいて更新し、
判定の結果が否定的である場合には、前記第1予約データを維持する、
配車予約管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の配車予約管理システムと、前記サーバに通信可能に接続され前記共用車両に搭載された車載端末と、をさらに含む配車システムであって、
前記車載端末は、
前記サーバから受信した前記予約データに基づいて、配車処理が実行される配車エリア内における前記共用車両の走行制御を実行する走行制御部を含み、
前記走行制御部は、前記予約データに含まれる前記第1予約データが更新された場合には更新後の前記第1予約データに基づいて、前記共用車両の走行制御を実行する、
配車システム。
【請求項8】
共用車両を利用する複数のユーザに対するそれぞれの配車処理に係る予約内容を示す予約データを管理する配車予約データ管理装置であって、
前記複数のユーザごとの配車処理に係る予約内容を示す予約データを各ユーザの識別情報に対応させて記憶する記憶部と、
前記記憶部を参照して、一つの前記共用車両に関して、第1ユーザに紐付いた第1予約データと、該第1予約データにより規定される第1配車処理の次に実行される第2配車処理に係る第2予約データと、を特定する特定部と、
特定した前記第1予約データ及び前記第2予約データに基づいて、前記第1配車処理に係る予約内容の変更可能範囲を演算する変更可能範囲演算部と、を含み、
前記変更可能範囲演算部は、前記共用車両が前記第2配車処理に係る乗車予定時刻以前に該第2配車処理の乗車予定地に到達するように前記変更可能範囲を演算し、
前記第1予約データには、前記第1配車処理の提供を受ける前記第1ユーザの乗車予定時刻、乗車予定地、降車予定時刻、及び降車予定地が規定され、
前記変更可能範囲演算部は、
前記第1ユーザの乗車予定時刻、乗車予定地、降車予定時刻、又は降車予定地の変更を仮定した場合における変更後の前記第1配車処理の乗車予定地又は降車予定地である変更地を設定し、
前記変更地から変更されない次の固定地である次固定地までの前記共用車両の走行時間としての第1走行時間を演算し、
前記変更地における前記共用車両の到着予測時刻に前記第1走行時間を加算することで、前記次固定地における前記共用車両の到着予測時刻としての次固定地到着予測時刻を演算し、
前記変更可能範囲を、前記次固定地到着予測時刻が所定の許容到着時刻よりも前となるように演算する、
配車予約データ管理装置。
【請求項9】
共用車両を利用する複数のユーザに対するそれぞれの配車処理に係る予約内容を示す予約データをコンピュータに管理させる配車予約データ管理プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記複数のユーザごとの配車処理に係る予約内容を示す予約データを各ユーザの識別情報に対応させて記憶する記憶部を参照させ、
一つの前記共用車両に関して、第1ユーザに紐付いた第1予約データと、該第1予約データにより規定される第1配車処理の次に実行される第2配車処理に係る第2予約データと、を特定させ、
特定した前記第1予約データ及び前記第2予約データに基づいて、前記第1配車処理に係る予約内容の変更可能範囲を演算させ、
前記変更可能範囲を、前記共用車両が前記第2配車処理に係る乗車予定時刻以前に該第2配車処理の乗車予定地に到達するように演算させ、
前記第1予約データには、前記第1配車処理の提供を受ける前記第1ユーザの乗車予定時刻、乗車予定地、降車予定時刻、及び降車予定地が規定され、
前記変更可能範囲の演算では、前記コンピュータに、
前記第1ユーザの乗車予定時刻、乗車予定地、降車予定時刻、又は降車予定地の変更を仮定した場合における変更後の前記第1配車処理の乗車予定地又は降車予定地である変更地を設定させ、
前記変更地から変更されない次の固定地である次固定地までの前記共用車両の走行時間としての第1走行時間を演算させ、
前記変更地における前記共用車両の到着予測時刻に前記第1走行時間を加算することで、前記次固定地における前記共用車両の到着予測時刻としての次固定地到着予測時刻を演算させ、
前記変更可能範囲を、前記次固定地到着予測時刻が所定の許容到着時刻よりも前となるように演算させる、
配車予約データ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車予約管理システム、配車システム、配車予約データ管理装置、及び配車予約データ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のユーザからの要望に応じてオンデマンド共用車両の運行計画を決定し、決定した運行計画に従ってオンデマンド共用車両の運行を管理する運行管理手段を備えたオンデマンド共用車両運行管理装置が提案されている。このオンデマンド共用車両運行管理装置では、複数のユーザが一台のオンデマンド共用車両を利用できるように運行計画を決定する。
【0003】
また、特許文献1では、ユーザがオンデマンド共用車両の利用に対する予約内容(乗降予定場所及び乗降予定時刻など)の変更を希望する場合、この変更を加味して運行計画の調整を行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2014-045359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、一台のオンデマンド共用車両を複数のユーザが利用する場合において、一のユーザの予約内容の変更による他のユーザの配車への影響について具体的な検討がなされていない。特に、一台のオンデマンド共用車両に対して先のユーザの乗降地及び乗降時間などを変更すれば、その変更内容によっては、当該ユーザの利用が完了した後以降にオンデマンド共用車両の利用予約を行っているユーザへの配車が遅れる可能性がある。
【0006】
このような事情に鑑み、本発明の目的は、一台の共用車両に対して複数のユーザの利用予約が設定されている場合に、後のユーザへの配車の遅れを抑制しつつ先のユーザの予約内容の変更範囲を定めることのできるシステムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、共用車両を利用する複数のユーザがそれぞれ有するユーザ端末と、ユーザ端末に通信可能に接続されたサーバと、を備える配車予約管理システムが提供される。この配車予約管理システムにおいて、サーバは、複数のユーザごとの配車処理に係る予約内容を示す予約データを各ユーザ端末の識別情報に対応させて記憶する記憶部と、記憶部を参照して、一つの共用車両に関して、第1ユーザ端末に紐付いた第1予約データと、第1予約データにより規定される第1配車処理の次に実行される第2配車処理に係る第2予約データと、を特定する特定部と、特定した第1予約データ及び第2予約データに基づいて、第1配車処理に係る予約内容の変更可能範囲を演算する変更可能範囲演算部と、演算した変更可能範囲を第1ユーザ端末に送信する送信部と、を含む。そして、変更可能範囲演算部は、共用車両が第2配車処理に係る乗車予定時刻以前に該第2配車処理に係る乗車予定地に到達するように変更可能範囲を演算する。さらに、第1ユーザ端末は、サーバから受信した変更可能範囲を表示する表示部を含む。第1予約データには、第1配車処理の提供を受ける第1ユーザの乗車予定時刻、乗車予定地、降車予定時刻、及び降車予定地が規定される。そして、変更可能範囲演算部は、第1ユーザの乗車予定時刻、乗車予定地、降車予定時刻、又は降車予定地の変更を仮定した場合における変更後の第1配車処理の乗車予定地又は降車予定地である変更地を設定し、変更地から変更されない次の固定地である次固定地までの共用車両の走行時間としての第1走行時間を演算し、変更地における共用車両の到着予測時刻に前記第1走行時間を加算することで、次固定地における共用車両の到着予測時刻としての次固定地到着予測時刻を演算し、変更可能範囲を、前記次固定地到着予測時刻が所定の許容到着時刻よりも前となるように演算する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一台の共用車両に対して複数のユーザが利用予約を行っているシーンにおいて、他のユーザへの配車の遅れを抑制しつつ一のユーザの予約内容の変更を可能とする具体的なシステムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態による配車システムの構成を説明する図である。
図2図2は、第1実施形態による配車予約管理システム及びユーザ端末の構成を説明するためのブロック図である。
図3図3は、車載端末の構成を説明する図である。
図4図4は、予約管理DBに記憶されたデータの一態様を示す図である。
図5図5は、変更可能範囲の演算を説明するための現実のモデルの一例を示す図である。
図6図6は、配車システムにおける各構成の間における主な処理及びデータの授受を表すシーケンス図である。
図7図7は、第2実施形態において、ユーザが乗車予定時刻の変更を希望する場合における変更可能範囲の演算について説明する図である。
図8図8は、第2実施形態において、ユーザが降車予定時刻の変更を希望する場合における変更可能範囲の演算について説明する図である。
図9図9は、第3実施形態において、ユーザが乗車予定地の変更を希望する場合における変更可能範囲の演算について説明する図である。
図10図10は、第3実施形態において、ユーザが降車予定地の変更を希望する場合における変更可能範囲の演算について説明する図である。
図11A図11Aは、第4実施形態に係る車両現在地に基づく変更可能範囲の補正の一態様を説明する図である。
図11B図11Bは、第4実施形態に係る車両現在地に基づく変更可能範囲の補正の一態様を説明する図である。
図11C図11Cは、第4実施形態に係る車両現在地に基づく変更可能範囲の補正の一態様を説明する図である。
図11D図11Dは、第4実施形態に係る車両現在地に基づく変更可能範囲の補正の一態様を説明する図である。
図11E図11Eは、第4実施形態に係る車両現在地に基づく変更可能範囲の補正の一態様を説明する図である。
図12図12は、第4実施形態による配車システムの構成を説明する図である。
図13図13は、配車予約管理システムの構成を説明する図である。
図14図14は、補正変更可能範囲の演算について説明するフローチャートである。
図15図15は、第5実施形態による変更可能範囲の表示のための処理を説明する図である。
図16図16は、変更可能範囲の表示のための処理を説明する図である。
図17図17は、変更可能範囲の表示態様の一例を示す図である。
図18図18は、現実の地図データに変更可能範囲を重ね合わせて表示態様の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態について説明する。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態による配車システム10の構成を説明する図である。また、図2は、配車システム10の構成要素である配車予約管理システム15及びユーザ端末UTの構成を説明する図である。さらに、図3は、配車システム10の構成要素である車載端末VTの構成を説明する図である。
【0012】
配車システム10は、複数のユーザUにより指定される共用車両Vの利用に関する予約内容にしたがって、各ユーザUに共用車両Vを用いた配車サービスの提供を行うためのシステムである。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の配車システム10は、配車予約管理システム15と、配車予約管理システム15にネットワーク100を介して通信可能に接続された車載端末VTを備える。さらに、図2に示すように、配車予約管理システム15は、共用車両Vを利用するユーザU(U1,U2・・・Un)によりそれぞれ操作されるユーザ端末UT(UTVa,UT2・・・UTn)と、各ユーザ端末UT及び車載端末VTにネットワーク100を介して通信可能に接続されたサーバ20と、を含んでいる。
【0014】
配車システム10を構成するサーバ20、ユーザ端末UT、及び車載端末VTは、それぞれ、CPU(Central processing Unit)等の演算/制御装置、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、又はハードディスク(磁気記憶装置)等の各種記憶装置、及びキーボード、マウス、タッチパネル、ディスプレイ、プリンタ、及びI/Oポート等の各種入出力装置を備えたコンピュータで構成される。そして、サーバ20、ユーザ端末UT、及び車載端末VTは、後述する各処理を上記各ハードウェア、及び記憶装置に記憶される所定のプログラム(ソフトウェア)により実行する。
【0015】
また、ネットワーク100は、各ユーザ端末UT、車載端末VT、及びサーバ20の間における相互通信を可能とするための各種ハードウェア及び通信プロトコルにより構成される。特に、ネットワーク100における車載端末VTとサーバ20の間の通信機能は、共用車両Vに搭載される広域通信インターフェースを用いたV2N(Vehicle to Network)などにより実現される。
【0016】
本実施形態の配車予約管理システム15は、複数のユーザU(U1,U2・・・Un)のごとの配車処理に係るそれぞれに応じた予約内容を示す予約データBduの管理を実行するためのシステムとして構成される。特に、本実施形態の予約データBduの管理には、一台の共用車両Vに対して複数のユーザUに配車サービスを提供するにあたり、各ユーザUに対して実行される配車処理における場所(予定乗降地など)、及びスケジュール(予定乗降地点など)に応じた予約内容に基づく当該予約データBduの生成、予約内容の変更範囲の生成、及び更新などが含まれる。
【0017】
なお、本明細書において「各ユーザUに対する配車処理」とは、複数のユーザUに対する配車サービスの提供に関連する処理として定義される。より詳細には配車処理とは、共用車両Vを利用するユーザUが、共用車両Vの乗車予定地で乗車動作を開始した時点から、降車予定地において降車動作を完了した時点までの一連のプロセスを意味する。また、乗車動作には、ユーザU自身の共用車両Vへの乗車のための動作に加え、手荷物を共用車両Vに載せる動作、悪天候時に想定される動作(傘を閉じるなど)、及び共用車両Vの利用方法などのユーザUに報知することが要求される情報の報知(音声ガイダンスなど)などの共用車両Vの乗車時に付帯する処理が含まれる。さらに、降車動作にも、ユーザU自身が共用車両Vからの降車のための動作に加え、手荷物を共用車両Vから降ろす動作、悪天候時に想定される動作(傘を開くなど)、及び必要な情報の報知などの共用車両Vの降車時に付帯する処理が含まれる。
【0018】
また、以下では、ユーザUに対する配車処理の提供が開始される予定時刻(ユーザUによる共用車両Vへの乗車を開始することが予定されている時刻)を「乗車予定時刻ts」と称する。また、配車処理の開始が予定されている場所(すなわち、乗車予定地)を「乗車予定地ps」とも称する。さらに、各ユーザUの配車処理の完了が予定されている時刻(ユーザUによる共用車両Vからの降車の完了が予定されている時刻)を「降車予定時刻te」と称する。また、配車処理の完了が予定されている場所(すなわち、降車予定地)を「降車予定地pe」とも称する。
【0019】
次に、配車予約管理システム15のサーバ20及びユーザ端末UTの構成の詳細についてそれぞれ説明する。
【0020】
(サーバ20の構成)
サーバ20は、例えば、配車サービスを提供する業者が所在する施設に設置されるサーバ用途のコンピュータ、又はいわゆるクラウドなどのネットワーク100を介して相互に通信可能な複数の地点に分散させたハードウェア及びソフトウェアにより構成される。そして、
【0021】
特に、図2に示すように、本実施形態のサーバ20は、記憶部としての予約管理データベース22(以下、「予約管理DB22」とも称する)と、特定部26と、変更可能範囲演算部28と、予約変更処理部30と、送信部として機能する送受信部32と、を有する。なお、これらの構成は、サーバ20を構成するコンピュータのハードウェアとソフトウェア(プログラム)が協働することで実現される。
【0022】
予約管理DB22は、各ユーザU(特に各ユーザ端末UT)を識別するための識別情報に対応させた予約データBduを、所定期間(例えば、一営業日)ごとの単位で記憶している。なお、各ユーザUの識別情報としては、ユーザUの氏名、住所、又は連絡先などの個人を特定するための情報、及び各ユーザ端末UTのID情報など、各ユーザUと予約データBduの対応関係を識別可能であるものであれば任意の情報を用いることができる。
【0023】
図4は、予約管理DB22に記憶された各種データの一態様を示す表である。図示のように、予約管理DB22は、各ユーザ端末UTの識別情報に対応させて、予約データBduとしての配車処理の乗車予定時刻ts、乗車予定地ps、降車予定時刻te、及び降車予定地peが記憶されている。
【0024】
また、予約管理DB22に記憶されている識別情報及び予約データBduは、各ユーザ端末UTの入力インターフェースなどを介して各ユーザUにより予め指定する情報に基づいて生成される。
【0025】
以下では、説明の便宜上、本実施形態における予約データBduの管理を構成する主な処理に関して、サーバ20との間でデータの送受を行うユーザ端末UTを「第1ユーザ端末UTk」(1≦k<n)とも称する。また、第1ユーザ端末UTkに紐付いたユーザUを「第1ユーザUk」とも称する。さらに、第1ユーザUkに対して実行される配車処理を「第1配車処理」とも称し、第1ユーザUkに係る予約データBduを「第1予約データBduk」とも称する。
【0026】
また、第1配車処理の提供を受ける第1ユーザUkの乗車予定時刻ts、乗車予定地ps、降車予定時刻te、及び降車予定地peをそれぞれ、「第1乗車予定時刻ts_k」、「第1乗車予定地ps_k」、「第1降車予定時刻te_k」、及び「第1降車予定地pe_k」とも称する。
【0027】
一方、予約管理DB22において規定された、第1配車処理の次に実行される配車処理を「第2配車処理」とも称する。そして、第2配車処理に紐付いたユーザU(すなわち、第1ユーザUkの次に共用車両Vの予約を行っているユーザU)を「第2ユーザUk+1」とも称し、「第2ユーザUk+1」に紐付いたユーザ端末UTを「第2ユーザ端末Uk+1」とも称し、第2ユーザUk+1に係る予約データBduを「第2予約データBduk+1」とも称する。
【0028】
さらに、第2配車処理の提供を受ける第2ユーザUk+1の乗車予定時刻ts及び乗車予定地psをそれぞれ、「第2乗車予定時刻T2」及び「第2乗車予定地P2」とも称する。
【0029】
図2に戻り、サーバ20の特定部26は、第1ユーザ端末UTkの識別情報及び予約内容の変更範囲の提示を求める指令情報を含む第1リクエスト信号Sr1を受信すると、予約管理DB22を参照して、上記識別情報に基づき第1予約データBduk及び第2予約データBduk+1を特定する。特定部26は、特定した第1予約データBduk及び第2予約データBduk+1を変更可能範囲演算部28に出力する。
【0030】
変更可能範囲演算部28は、特定部26から入力された第1予約データBduk及び第2予約データBduk+1に基づいて、第1予約データBdukに係る予約内容の変更可能範囲Rを演算する。
【0031】
特に、変更可能範囲演算部28は、共用車両Vが第2乗車予定時刻T2以前に第2乗車予定地P2に到達する条件において、第1予約データBdukに含まれる第1乗車予定時刻ts_k、第1乗車予定地ps_k、第1降車予定時刻te_k、及び第1降車予定地pe_kの少なくとも何れかに対する変更を行うことのできる範囲を変更可能範囲Rとして演算する。すなわち、この演算ロジックにより得られる変更可能範囲Rは、第2ユーザUk+1の配車(第2乗車予定時刻T2以前の配車)を遅らせない第1予約データBdukの予約内容の変更範囲を規定するものとなる。以下、この演算ロジックについてより詳細に説明する。
【0032】
特に、本実施形態では、第1配車処理の予約変更に伴い、第1乗車予定時刻ts_k、第1乗車予定地ps_k、第1降車予定時刻te_k、又は第1降車予定地pe_kが変更される場合における包括的な変更可能範囲Rの演算態様を説明する。
【0033】
図5は、本実施形態における変更可能範囲Rの演算態様を説明するための図である。なお、図5では、予約管理DB22において第1配車処理の直前に設定された配車処理(以下、「前ユーザ配車処理」とも称する)の提供を受けるユーザUk-1(以下、「前ユーザUk-1」とも称する)、第1ユーザUk、及び第2ユーザUk+1における各配車処理を実行する配車エリアAを前提とした、第1ユーザUkの予約変更による変更可能範囲Rの演算が想定される。
【0034】
図5に示すように、本実施形態の変更可能範囲Rの演算においては、配車エリアA内において、「第1固定地G1」、「変更地Va」、及び「第2固定地G2」を規定する。ここで、「第1固定地G1」とは、変更地Vaの直前の共用車両Vの停車地であって、第1配車処理の予約変更の影響を受けない場所である。第1固定地G1としては、第1配車処理の予約変更の影響を受けない前ユーザUk-1の降車予定地pe(以下、「前ユーザ降車予定地P0」とも称する)、又は変更されない場合の第1乗車予定地ps_kが想定される。
【0035】
また、「変更地Va」は、第1配車処理の予約変更に伴い変更される共用車両Vの停車地である。変更地Vaとしては、第1配車処理の予約変更に伴い変更された第1乗車予定地ps_k又は第1降車予定地pe_kが想定される。さらに、この「変更地Va」の概念には、第1配車処理の予約変更によって第1乗車予定時刻ts_k又は第1降車予定時刻te_kのみが変更される場合(第1乗車予定地ps_k及び第1降車予定地pe_kが実質的に変化しない場合)も含まれ得る。
【0036】
また、「第2固定地G2」とは、変更地Vaの直後の共用車両Vの停車地であって、第1配車処理の予約変更の影響を受けない場所である。第2固定地G2としては、第1配車処理の予約変更の影響を受けない第2乗車予定地P2、又は変更されない場合の第1降車予定地pe_kが想定される。
【0037】
そして、変更可能範囲演算部28は、図5に示す配車エリアAのモデルに沿った以下の式(1)を用いて変更可能範囲Rとして演算する。
【0038】
【数1】
【0039】
ここで、式(1)の「TG1」は、共用車両Vが第1固定地G1に到着する予定の時刻である。なお、以下では、この時刻を単に「第1固定地到着予定時刻TG1」とも称する。第1固定地到着予定時刻TG1は、例えば、予約管理DB22に記録された第1配車処理の予約変更に依っては変化しない定数である。また、「tVa」は、共用車両Vが変更地Vaに到着すると予測される時刻を表す。なお、以下では、この時刻を単に「変更地到着予測時刻tVa」とも称する。変更地到着予測時刻tVaは、第1配車処理の予約変更に応じて変化し得る変数である。
【0040】
さらに、「Δt0」は、第1固定地G1から変更地Vaまでの共用車両Vの予測走行時間を表す。なお、以下では、この走行時間を単に「第0走行時間Δt0」とも称する。そして、「Δt1」は、変更地Vaから第2固定地G2までの共用車両Vの予測走行時間を表す。以下では、この走行時間を単に「第1走行時間Δt1」とも称する。
【0041】
特に、変更可能範囲演算部28は、外部サーバ又は共用車両Vの任意の記憶領域に保存された地図データ、及び配車サービスの提供にあたり共用車両Vが走行する配車エリアAの道路状況に関する情報などを参照して、第1固定地G1、変更地Va、及び第2固定地G2の位置情報(GPS座標など)を特定し、当該位置情報に基づいて第0走行時間Δt0及び第1走行時間Δt1を演算する。
【0042】
そして、「Tb」は、共用車両Vが第2固定地G2に到着すると予測される時間(以下、単に「第2固定地到着予測時間tG2」とも称する)として、許容される最も遅い時刻を表す。以下、これを単に「許容到着時刻Tb」とも称する。なお、許容到着時刻Tbは、共用車両Vを第2乗車予定時刻T2以前に第2乗車予定地P2に到着させる観点から適宜定められる。また、第2固定地到着予測時間tG2は、第1固定地到着予定時刻TG1に、第0走行時間Δt0及び第1走行時間Δt1を加算した時刻として演算することができる。
【0043】
式(1)により規定される演算アルゴリズムにより、第2ユーザUk+1に対する配車の遅延を抑制し得る変更可能範囲Rの演算が可能となる。また、式(1)による変更可能範囲Rの演算は、予約管理DB22に営業日単位などで記憶されている連続する配車処理に繰り返し適用することで、各ユーザUに関して好適な変更可能範囲Rの演算を実現することができる。
【0044】
そして、変更可能範囲演算部28は、演算した変更可能範囲Rを予約変更処理部30及び送受信部32に出力する。
【0045】
予約変更処理部30は、第1ユーザ端末UTkの識別情報、第1予約データBdukに係る予約内容の変更の指令、及び要求される変更内容(変更後)の予約内容に関する情報を含む第2リクエスト信号Sr2を受信する。そして、予約変更処理部30は、変更後の予約内容が、変更可能範囲演算部28で変更可能範囲Rに含まれるか否かを判定する。
【0046】
特に、予約変更処理部30は、第2リクエスト信号Sr2に含まれる第1乗車予定時刻ts_k、第1乗車予定地ps_k、第1降車予定時刻te_k、及び第1降車予定地pe_kの少なくとも何れかに対して要求される変更内容を特定する。そして、予約変更処理部30は、この変更内容が式(1)で規定される変更許可条件を満たすか否かを判定する。
【0047】
そして、予約変更処理部30は、当該判定結果が肯定的である場合には、予約管理DB22に記憶されている第1予約データBdukを要求された変更内容に更新する。なお、この場合、当該変更が許可された旨の情報を含む変更許可信号を生成して送受信部32に出力する。なお、以下では、予約管理DB22において更新された第1予約データBdukを「更新第1予約データBduk_up」とも称する。
【0048】
一方、予約変更処理部30は、上記判定結果が否定的である場合には、上記変更内容を反映せずに、予約管理DB22の第1予約データBdukを元のまま維持する。なお、この場合、当該変更が許可されない旨の情報を含む変更不許可信号を生成して、送受信部32を介して第1ユーザ端末UTkに送信する構成を採用しても良い。
【0049】
なお、第1ユーザ端末UTkにおいては上記変更許可信号又は変更不許可信号を受信したことをトリガとして、表示処理部52がディスプレイ54に予約内容の変更の許可又は不許可を報知するための所定の表示を実行する構成を採用しても良い。
【0050】
送受信部32は、第1ユーザ端末UTkの第1リクエスト生成部50から第1リクエスト信号Sr1を受信し、特定部26に出力する。また、第1ユーザ端末UTkの第2リクエスト生成部56から第2リクエスト信号Sr2を受信し、特定部26に出力する。さらに、送受信部32は、変更可能範囲演算部28から変更可能範囲Rを受信し、第1ユーザ端末UTkの表示処理部52に出力する。また、送受信部32は、予約管理DB22に記憶されている第1予約データBduk(更新第1予約データBduk_upも含む)を後述する車載端末VTに送信する。
【0051】
(ユーザ端末UTの構成)
【0052】
次に、図2等を参照してユーザ端末UT(特に第1ユーザ端末UTk)の構成について説明する。
【0053】
第1ユーザ端末UTkは、第1ユーザUkが操作する端末であって、スマートフォン、タブレット端末、フィーチャーフォン(ガラパゴス携帯)及びPDA等の携帯端末、又はノートパソコン(ラップトップ)及びデスクトップ等のパーソナルコンピュータなどから構成される。
【0054】
特に、図2に示すように、本実施形態の第1ユーザ端末UTkは、第1リクエスト生成部50と、表示部を構成する表示処理部52及びディスプレイ54と、変更リクエスト生成部としての第2リクエスト生成部56と、を有している。なお、これらの構成は、第1ユーザ端末UTkを構成するコンピュータのハードウェアとソフトウェア(プログラム)が協働することで実現される。
【0055】
第1ユーザ端末UTkは、第1リクエスト生成部50と、表示処理部52と、ディスプレイ54と、第2リクエスト生成部56と、を有している。
【0056】
第1リクエスト生成部50は、第1ユーザ端末UTkへの入力インターフェース(タッチパネルなど)への操作に応じて上述した第1リクエスト信号Sr1を生成し、生成した第1リクエスト信号Sr1をサーバ20に送信する。
【0057】
表示処理部52は、サーバ20で演算された変更可能範囲Rを所定の表示態様でディスプレイ54に表示するための表示制御を実行する。なお、表示処理部52の演算機能は、表示処理以外の処理も行う第1ユーザ端末UTkは主演算装置(CPU)、表示処理の実行に特化した補助演算装置(GPU)、又はこれらの併用により実現される。
【0058】
ディスプレイ54は、表示処理部52からの指令に応じて、上記表示態様に従った表示を行う液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどで構成される表示装置である。
【0059】
一方、第1ユーザ端末UTkの第2リクエスト生成部56は、第1ユーザ端末UTkへの入力インターフェース(タッチパネルなど)への操作に応じて上述した第2リクエスト信号Sr2を生成し、生成した第2リクエスト信号Sr2をサーバ20に送信する。
【0060】
(車載端末VTの構成)
【0061】
次に、図3等を参照して、車載端末VTの構成について説明する。
【0062】
本実施形態の車載端末VTは、予約管理DB22に記憶された予約データBdu(特に第1予約データBduk又は更新第1予約データBduk_up)で規定された予約内容に基づいて、配車エリアAにおける共用車両Vの走行制御を行う。
【0063】
車載端末VTは、いわゆるカーナビゲーションシステム、及び各種オーディオ機能などのユーザUの使用に与するための各種機能を実現するとともに、共用車両VのユーザUによる所定の入力操作を受け付けるインターフェース機能を備えた車載コンピュータ、及び上記運転支援装置としての機能を実現するためのECU(Electronic Control Unit)又はADAS(Advanced driver-assistance systems)により構成される。
【0064】
特に、図3に示すように、車載端末VTは、共用車両Vの走行アクチュエータ70を制御する走行制御部60を備える。なお、走行制御部60は、車載端末VTを構成するコンピュータのハードウェアとソフトウェア(プログラム)が協働することで実現される。
【0065】
走行制御部60は、サーバ20から受信した予約データBduに基づいて、配車エリアA内における共用車両Vの走行制御を実行する。
【0066】
より詳細には、走行制御部60は、予約データBduから、外部サーバ又は共用車両Vの任意の記憶領域に保存された地図データ、及び配車サービスの提供にあたり共用車両Vが走行する配車エリアAの道路状況に関する情報などを適宜参照して、配車エリアA内において設定される共用車両Vの各走行予定ルートの情報を特定する。なお、サーバ20において、各走行予定ルートの情報を予め特定して予約管理DB22に記憶させておき、走行制御部60は、予約管理DB22を参照して各走行予定ルートを特定する構成を採用しても良い。
【0067】
特に、本実施形態において、走行制御部60は、上述した予約管理DB22に記憶されている第1予約データBdukの更新が行われた場合には、更新第1予約データBduk_upに基づいて各走行予定ルートの情報を特定する。
【0068】
走行制御部60は、共用車両Vが特定した各走行予定ルートに従って走行するように、共用車両Vに搭載されている走行アクチュエータ70を操作する。なお、走行アクチュエータ70は、主に、駆動系アクチュエータ及び操舵系アクチェータにより構成される。
【0069】
特に、駆動系アクチュエータとしては、例えば、エンジン又はモータ等の走行アクチュエータ及び油圧ブレーキなどの制動アクチュエータにより構成される。また、操舵系アクチェータは、例えば、電動パワーステアリングシステムにおけるステアリングトルクを制御するアシストモータなどにより構成される。
【0070】
上記車載端末VTの構成によれば、第1予約データBdukが更新された場合には、更新第1予約データBduk_uが反映された上で共用車両Vの走行制御が実行されることとなる。すなわち、第1ユーザUkの予約内容の変更に応じて、当該変更内容を自動的に配車エリアA内における共用車両Vの走行制御に反映することができる。
【0071】
なお、図6には、参考のため、上述した本実施形態にかかる配車システム10における各構成の間における主な処理及びデータの授受を表すシーケンス図を示す。
【0072】
以上説明した本実施形態において提供される各構成及びそれによる作用効果について説明する。
【0073】
本実施形態によれば、共用車両Vを利用する複数のユーザUがそれぞれ有するユーザ端末UTと、ユーザ端末UTに通信可能に接続されたサーバ20と、を備える配車予約管理システム15が提供される。
【0074】
そして、この配車予約管理システム15のサーバ20は、複数のユーザUごとの配車処理(第1配車処理及び第2配車処理など)に係る予約内容(配車処理に係る乗車予定時刻ts、乗車予定地ps、降車予定時刻te、及び降車予定地pe)を示す予約データBduを各ユーザ端末UTの識別情報(端末ID等)を対応させて記憶する記憶部としての予約管理DB22(図3)を含む。
【0075】
また、配車予約管理システム15のサーバ20は、予約管理DB22を参照して、一つの共用車両Vに関して、第1ユーザ端末UTkに紐付いた第1予約データBdukから、第1予約データBdukにより規定される第1配車処理の次に実行される第2配車処理に係る第2予約データBduk+1を特定する特定部26と、特定した第1予約データBduk及び第2予約データに基づいて第1配車処理に係る予約内容の変更可能範囲Rを演算する変更可能範囲演算部28と、演算した変更可能範囲Rを第1ユーザ端末UTkに送信する送信部(送受信部32)と、を含む。そして、変更可能範囲演算部28は、共用車両Vが第2配車処理の乗車予定時刻ts以前に該第2配車処理の乗車予定地psに到達するように変更可能範囲Rを演算する。
【0076】
さらに、第1ユーザ端末UTkは、サーバ20から受信した変更可能範囲Rを表示する表示部としての表示処理部52及びディスプレイ54を含む。
【0077】
これにより、第1ユーザ端末UTk(第1ユーザUk)に紐づいた第1予約データBdukにより規定されている第1配車処理に対する変更範囲(すなわち、予約内容の変更範囲)を、第1配車処理の次に実行されるべき第2ユーザUk+1に係る第2配車処理の開始に対して遅らせないように設定することのできる具体的な制御ロジックを備えたシステムが実現されることとなる。すなわち、本実施形態の配車予約管理システム15を用いれば、同営業日において1台の共用車両Vに対して複数のユーザUの利用予約が設定されているシーンにおいて、後の第2ユーザUk+1に対する配車サービスの提供に影響(配車の遅延)をもたらさないように、第1ユーザUkの予約内容の変更範囲を定めることができる。
【0078】
また、第1ユーザ端末UTkにより演算された変更可能範囲Rの表示が行われるので、第1ユーザUkに対して後の第2ユーザUk+1に対する配車サービスを遅延させない観点から許容される予約内容の変更範囲を認識させることができる。
【0079】
特に、本実施形態では、第1予約データBdukには、第1配車処理に係る第1ユーザUkの乗車予定時刻(第1乗車予定時刻ts_k)、乗車予定地(第1乗車予定地ps_k)、降車予定時刻(第1降車予定時刻te_k)、及び降車予定地(第1降車予定地pe_k)が規定される(図4参照)。また、変更可能範囲演算部28は、第1乗車予定時刻ts_k、第1乗車予定地ps_k、第1降車予定時刻te_k、又は第1降車予定地pe_kの変更を仮定した場合における変更後の第1乗車予定地ps_k又は第1降車予定地pe_kである変更地Vaを設定する。
【0080】
また、変更可能範囲演算部28は、変更地Vaにおける共用車両Vの到着時刻としての変更地到着予測時刻tVaを演算し、変更地Vaから変更されない次の固定地である次固定地(第2固定地G2)までの共用車両Vの走行時間としての第1走行時間Δt1を演算する。さらに、変更可能範囲演算部28は、変更地Vaにおける共用車両Vの到着予測時刻としての変更地到着予測時刻tVaに第1走行時間Δt1を加算することで、第2固定地G2における共用車両Vの到着予測時刻としての次固定地到着予測時刻(第2固定地到着予測時間tG2)を演算する。そして、変更可能範囲演算部28は、変更可能範囲Rを、第2固定地到着予測時間tG2が所定の許容到着時刻Tbよりも前となるように演算する。
【0081】
これにより、第2ユーザUk+1に対する配車サービスの提供に影響(配車の遅延)をもたらさないという条件下において、第1ユーザUkの予約内容を変更し得る範囲をより好適に定量化するための具体的な制御ロジックが実現される。
【0082】
また、本実施形態による配車予約管理システム15のサーバ20は、予約変更処理部30をさらに含む。また、配車予約管理システム15の第1ユーザ端末UTkは、予約内容の変更を要求する変更リクエスト(第1リクエスト信号Sr1)を生成し、サーバ20に送信する変更リクエスト生成部としての第2リクエスト生成部56をさらに含む。
【0083】
そして、予約変更処理部30は、第1ユーザ端末UTkから第1リクエスト信号Sr1を受信すると、変更後の予約内容が変更可能範囲Rに含まれるか否かを判定する。そして、予約変更処理部30は、判定結果が肯定的である場合には、予約管理DB22に記憶されている第1予約データBdukを変更後の予約内容に基づいて更新する(更新第1予約データBduk_up)。一方、予約変更処理部30は、判定結果が肯定的である場合には、第1予約データBdukを維持する。
【0084】
これにより、第1ユーザUkから第1配車処理に係る予約内容の変更リクエストを受け付けた場合において、その変更内容が第2ユーザUk+1に対する配車を遅延させない範囲内(変更可能範囲R)である場合に限って、当該予約内容の変更を予約管理DB22に反映するシステムを実現することができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、配車予約管理システム15と、サーバ20に通信可能に接続され共用車両Vに搭載された車載端末VTと、をさらに含む配車システム10が提供される。
【0086】
サーバ20から受信した予約データBduに基づいて、配車処理が実行される配車エリアA内における共用車両Vの走行制御を実行する走行制御部60を含む。そして、走行制御部60は、予約データBduに含まれる第1予約データBdukが更新された場合には更新後の第1予約データBdukとしての更新第1予約データBduk_upに基づいて、共用車両Vの走行制御を実行する。
【0087】
これにより、サーバ20の予約管理DBに記憶されている予約データBduに係る情報に基づき、配車エリアA内において共用車両Vの走行を自動的に制御する機能を実現することができる。特に、車載端末VTは、予約内容の変更が実際に反映された更新第1予約データBduk_upに基づいて共用車両Vの走行制御を行う。このため、サーバ20により管理される第1ユーザUkの予約内容の変更を、当該サーバ20と離れて走行する共用車両Vの走行制御に自動的に反映することができる。
【0088】
さらに、本実施形態によれば、共用車両Vを利用する複数のユーザUに対するそれぞれの配車処理に係る予約内容を示す予約データBduを管理する配車予約データ管理装置としてのサーバ20が提供される。
【0089】
そして、このサーバ20は、複数のユーザUごとの配車処理(第1配車処理及び第2配車処理など)に係る予約内容(配車処理に係る乗車予定時刻ts、乗車予定地ps、降車予定時刻te、及び降車予定地pe)を示す予約データBduを各ユーザUの識別情報(ユーザ名等)を対応させて記憶する記憶部としての予約管理DB22(図3)を含む。
【0090】
また、サーバ20は、予約管理DB22を参照して、一つの共用車両Vに関して、第1ユーザUkに紐付いた第1予約データBdukから、第1予約データBdukにより規定される第1配車処理の次に実行される第2配車処理に係る第2予約データBduk+1を特定する特定部26と、特定した第1予約データBduk及び第2予約データに基づいて第1配車処理に係る予約内容の変更可能範囲Rを演算する変更可能範囲演算部28と、を含む。そして、変更可能範囲演算部28は、共用車両Vが第2配車処理の乗車予定時刻ts以前に該第2配車処理の乗車予定地psに到達するように変更可能範囲Rを演算する。
【0091】
これにより、第1ユーザUkの第1配車処理に対する変更範囲(すなわち、予約内容の変更範囲)を、第1配車処理の次に実行されるべき第2ユーザUk+1に係る第2配車処理の開始に対して遅らせないように設定することのできる具体的な制御ロジックを備えた配車予約データ管理装置が実現されることとなる。
【0092】
さらに、本実施形態によれば、共用車両Vを利用する複数のユーザUに対するそれぞれの配車処理に係る予約内容を示す予約データBduをコンピュータとしてのサーバ20に管理させる配車予約データ管理プログラムが提供される。
【0093】
特に、本実施形態の配車予約データ管理プログラムは、サーバ20に、複数のユーザUごとの配車処理(第1配車処理及び第2配車処理など)に係る予約内容(配車処理に係る乗車予定時刻ts、乗車予定地ps、降車予定時刻te、及び降車予定地pe)を示す予約データBduを各ユーザUの識別情報(ユーザ名等)を対応させて記憶する記憶部としての予約管理DB22を参照させる。そして、サーバ20に、一つの共用車両Vに関して、第1ユーザUkに紐付いた第1予約データBdukから、第1予約データBdukにより規定される第1配車処理の次に実行される第2配車処理に係る第2予約データBduk+1を特定させる(特定部26)。
【0094】
さらに、サーバ20に、特定した第1予約データBduk及び第2予約データに基づいて第1配車処理に係る予約内容の変更可能範囲Rを演算させる。特に、本実施形態の配車予約データ管理プログラムは、サーバ20に、共用車両Vが第2配車処理の乗車予定時刻ts以前に該第2配車処理の乗車予定地psに到達するように変更可能範囲Rを演算させる(変更可能範囲演算部28)。
【0095】
これにより、第1ユーザUkの第1配車処理に対する変更範囲(すなわち、予約内容の変更範囲)を、第1配車処理の次に実行されるべき第2ユーザUk+1に係る第2配車処理の開始に対して遅らせないように設定することのできる具体的な演算をコンピュータに実行させるためのプログラムが実現されることとなる。
【0096】
なお、この配車予約データ管理プログラムは、当該配車予約データ管理プログラムにより処理を主に実行するサーバ20の記憶領域に格納しても良いし、当該処理をサーバ20に実行させることができるように当該サーバ20と通信可能な任意のコンピュータの記憶領域に格納されても良い。また、当該配車予約データ管理プログラムを記憶した記憶媒体も、本出願における出願時の明細書等に記載された事項の範囲内に含まれる。
【0097】
(変形例)
変形例では、変更可能範囲Rを、各乗降地における停車処理時間を考慮して補正する演算態様が提供される。
【0098】
ここで、「停車処理時間」とは、ユーザUの乗車動作及び降車動作に費やされる時間、その他の必要な処理時間、及び共用車両Vを停車させることが可能な時間に基づいて設定される各乗降予定地における共用車両Vの停車時間範囲を意味する。
【0099】
停車処理時間は、例えば、配車エリアAの道路情報(駐停車禁止エリアの情報)、天候、及びユーザU個人の情報(荷物の有無、飲酒の有無、過去の平均的な乗降時間など)若しくはユーザUの属性(年齢及び身体障害の有無など)に応じた乗降時間に関する統計情報などに応じて適宜に定められる。
【0100】
例えば、変更可能範囲演算部28は、変更地到着予測時刻tVa、及び/又は許容到着時刻Tbに必要に応じて上記停車処理時間を加算又は減算する補正を行った上で、上記式(1)に基づく変更可能範囲Rの演算を行う。これにより、変更可能範囲Rを、ユーザUの乗降動作や荷物の積み下ろしに要する時間などが考慮されたより現実の配車オペレーションに合致した値として演算することができる。また、式(1)における許容到着時刻Tbから上記停車処理時間相当の補正値を減じることで、当該停車処理時間を変更可能範囲Rの演算に反映する構成を採用しても良い。
【0101】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、第1乗車予定時刻ts_k、又は第1降車予定時刻te_kを変更する場合の変更可能範囲Rの演算について説明する。
【0102】
(第1乗車予定時刻ts_kの変更)
図7は、第1乗車予定時刻ts_kの変更を想定した場合の変更可能範囲Rの演算について説明する図である。
【0103】
図7に示すように、変更可能範囲演算部28は、第1ユーザUkが乗車予定時刻の変更を希望する場合(第1リクエスト信号Sr1に第1乗車予定時刻ts_kの変更を希望する情報が含まれている場合)には、第1固定地G1を前ユーザ降車予定地P0、変更地Vaを第1乗車予定地ps_k、及び第2固定地G2を第1降車予定地pe_kにそれぞれ設定する。なお、前ユーザ降車予定地P0、第1乗車予定地ps_k、及び第1降車予定地pe_kは予約変更の影響を受けないため、第0走行時間Δt0及び第1走行時間Δt1はそれぞれ固定値m0及び固定値m1とみなすことができる。したがって、変更可能範囲演算部28は、式(1)において図7に示すシーンで特定される条件を反映することで、第1乗車予定時刻ts_kを変数とする以下の式(2)に基づいて変更可能範囲Rを演算することができる。
【0104】
【数2】
【0105】
(第1降車予定時刻te_kの変更)
図8は、第1降車予定時刻te_kの変更を想定した場合の変更可能範囲Rの演算について説明する図である。
【0106】
図8に示すように、変更可能範囲演算部28は、第1ユーザUkが降車予定時刻の変更を希望する場合(第1リクエスト信号Sr1に第1降車予定時刻te_kの変更を希望する情報が含まれている場合)には、第1固定地G1を第1乗車予定地ps_k、変更地Vaを第1降車予定地pe_k、及び第2固定地G2を第2乗車予定地P2にそれぞれ設定する。なお、第1乗車予定時刻ts_k、第1乗車予定地ps_k、第1降車予定地pe_k、及び第1降車予定地pe_kは予約変更の影響を受けないため、第0走行時間Δt0、及び第1走行時間Δt1はそれぞれ固定値m0、及び固定値m1とみなすことができる。したがって、変更可能範囲演算部28は、式(1)において図7に示すシーンで特定される条件を反映することで、第1降車予定時刻te_kを変数とする以下の式(3)に基づいて変更可能範囲Rを演算することができる。
【0107】
【数3】
【0108】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態又は第2実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、第1乗車予定地ps_k、又は第1降車予定地pe_kを変更する場合の変更可能範囲Rの演算について説明する。
【0109】
(第1乗車予定地ps_kの変更)
図9は、第1乗車予定地ps_kの変更を想定した場合の変更可能範囲Rの演算について説明する図である。
【0110】
図9に示すように、変更可能範囲演算部28は、第1ユーザUkが乗車予定時刻の変更を希望する場合(第1リクエスト信号Sr1に第1乗車予定地ps_kの変更を希望する情報が含まれている場合)には、第1固定地G1を前ユーザ降車予定地P0、変更地Vaを第1乗車予定地ps_k、及び第2固定地G2を第1降車予定地pe_kにそれぞれ設定する。そして、変更可能範囲演算部28は、式(1)において図9に示すシーンで特定される条件を反映することで、以下の式(4)に基づいて変更可能範囲Rを演算することができる。
【0111】
【数4】
【0112】
式(4)において、前ユーザ降車予定時刻T0、及び許容到着時刻Tbは固定値である。したがって、変更可能範囲演算部28は、変更可能範囲Rを2変数の第0走行時間Δt0及び第1走行時間Δt1で規定される領域として定めることができる。
【0113】
(第1降車予定地pe_kの変更)
図10は、第1降車予定地pe_kの変更を想定した場合の変更可能範囲Rの演算について説明する図である。
【0114】
図10に示すように、変更可能範囲演算部28は、第1ユーザUkが降車予定時刻の変更を希望する場合(第1リクエスト信号Sr1に第1降車予定地pe_kの変更を希望する情報が含まれている場合)には、第1固定地G1を第1乗車予定地ps_k、変更地Vaを第1降車予定地pe_k、及び第2固定地G2を第2乗車予定地P2にそれぞれ設定する。そして、変更可能範囲演算部28は、式(1)において図10に示すシーンで特定される条件を反映することで、以下の式(5)に基づいて変更可能範囲Rを演算することができる。
【0115】
【数5】
【0116】
式(5)において、第1乗車予定時刻T1、及び第2乗車予定時刻T2は固定値である。したがって、第1乗車予定地ps_kが変更される場合と同様に、変更可能範囲演算部28は、変更可能範囲Rを2変数の第0走行時間Δt0及び第1走行時間Δt1で規定される領域として定めることができる。
【0117】
以上説明した本実施形態において提供される各構成及びそれによる作用効果について説明する。
【0118】
本実施形態では、サーバ20が第1ユーザ端末UTkから第1乗車予定地ps_kに関する変更可能範囲Rの提示リクエスト(第1リクエスト信号Sr1)を受けると、変更可能範囲演算部28は、第1固定地G1として第1配車処理の直前の配車処理の提供を受ける前ユーザUk-1の降車予定地(前ユーザ降車予定地P0)を設定し、変更地Vaとして第1乗車予定地ps_kを設定し、第2固定地G2として第1降車予定地pe_kを設定して変更可能範囲Rを演算する。
【0119】
これにより、第1ユーザUkが第1乗車予定地ps_kの変更を希望する場合において、第2配車処理の開始を遅延させないような変更可能範囲Rを定めるための具体的な演算ロジックが実現される。
【0120】
一方、本実施形態では、サーバ20が第1ユーザ端末UTkから第1降車予定地pe_kに関する変更可能範囲Rの提示リクエスト(第1リクエスト信号Sr1)を受けると、変更可能範囲演算部28は、第1固定地G1として第1乗車予定地ps_kを設定し、変更地Vaとして第1降車予定地pe_kを設定し、第2固定地G2として第2配車処理の提供を受ける第2ユーザの乗車予定地(第2乗車予定地P2)を設定して変更可能範囲Rを演算する。
【0121】
これにより、第1ユーザUkが第1降車予定地pe_kの変更を希望する場合において、第2配車処理の開始を遅延させないような変更可能範囲Rを定めるための具体的な演算ロジックが実現される。
【0122】
[第4実施形態]
以下、第4実施形態について説明する。なお、第1~第3実施形態の何れかと同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0123】
本実施形態では、第3実施形態で説明した構成をベースとし、共用車両Vが配車エリアA内における配車オペレーションの実行下にあるシーンを想定し、当該共用車両Vの現在地(以下、単に「車両現在地pv」とも称する)に基づいて変更可能範囲Rを補正する例について説明する。
【0124】
先ず、図11A図11Eを参照して本実施形態に係る制御が適用される具体的なシーンの例について説明する。
【0125】
より詳細には、図11A及び図11Bは、いずれも、共用車両Vが前ユーザ降車予定地P0に向かって移動している状況(前ユーザ配車処理の実行中)において、変更可能範囲Rを補正する状況を想定している。特に、図11Aは、この状況の下、第1乗車予定地ps_kを変更する場合における変更可能範囲Rの補正を説明する図である。また、図11Bは、同じ状況の下、第1降車予定地pe_kを変更する場合における変更可能範囲Rの補正を説明する図である。
【0126】
図11A及び図11Bに示すシーンにおける変更可能範囲Rの補正は、例えば、共用車両Vが前ユーザ降車予定地P0に実際に到着した時刻が想定された時刻(前ユーザ降車予定時刻T0)に対して遅れ、上記予約データBduで規定されたスケジュール通りに前ユーザ配車処理が完了しない可能性などを想定して実行される。
【0127】
また、図11C及び図11Dでは、前ユーザ降車予定地P0から第1乗車予定地ps_kに向かって走行している状況(すなわち、第1配車処理を実行するための第1ユーザUkに対する迎車時)において、変更可能範囲Rを補正する場合を想定している。特に、図11Cは、この状況の下、第1乗車予定地ps_kを変更する場合における変更可能範囲Rの補正を説明する図である。また、図11Dは、同じ状況の下、第1降車予定地pe_kを変更する場合における変更可能範囲Rの補正を説明する図である。
【0128】
図11Cに示すシーンにおける変更可能範囲Rの補正は、例えば、第1乗車予定地ps_kに向かっている共用車両Vが、変更後の第1乗車予定地ps_kに向かうように走行経路を変更する可能性を想定して実行される。また、図11Dに示すシーンにおける変更可能範囲Rの補正は、例えば、第1配車処理の進行が想定よりも早くなる又は遅れる可能性などを想定して実行される。
【0129】
さらに、図11Eは、既に第1ユーザUkが共用車両Vに乗車し、第1乗車予定地ps_kから第1降車予定地pe_kに向かって走行している状況(すなわち、第1配車処理の実行中)における、変更可能範囲Rの補正を説明する図である。
【0130】
図11Eに示すシーンにおける変更可能範囲Rの補正は、例えば、第1降車予定地pe_kに向かっている共用車両Vが、変更後の第1降車予定地pe_kに向かうように走行経路を変更する可能性を想定して実行される。
【0131】
本実施形態の配車システム10(特に配車予約管理システム15のサーバ20)は、図11A図11Eで例示したシーンにおいても第2配車処理の開始を遅らせないように、リアルタイムに取得される車両現在地pvに基づいて変更可能範囲Rを補正するための機能を備える。以下では、この機能を実現するための具体的な構成について説明する。
【0132】
図12は、本実施形態の配車システム10の構成を説明する図である。また、図13は、本実施形態の配車予約管理システム15を説明する図である。なお、図13では簡略化のため、配車予約管理システム15におけるサーバ20の構成を中心的に示し、ユーザ端末UTの構成に関する記載は省略している。
【0133】
図示のように、本実施形態の配車システム10及び配車予約管理システム15において、サーバ20の変更可能範囲演算部28が、例えば外部装置又は共用車両Vに搭載されて自己位置検出センサなどから車両現在地pvを取得する点、及び取得した車両現在地pvに基づいて補正された変更可能範囲R(以下、単に「補正変更可能範囲Rc」とも称する)を演算する点で第1実施形態と異なる。
【0134】
図14は、本実施形態における補正変更可能範囲Rcの演算の詳細を説明するフローチャートである。なお、変更可能範囲演算部28は、本フローチャートで規定される各処理を所定の演算周期で繰り返し実行する。
【0135】
ステップS110において、変更可能範囲演算部28は車両現在地pvを取得する。特に、変更可能範囲演算部28は、車両現在地pvを、その取得時刻(以下、単に「現在時刻tpv」とも称する)とともにサーバ20の内部メモリ等に記憶させる。
【0136】
次に、変更可能範囲演算部28は、ステップS120の判定、及びその後のステップS130の判定を実行する。
【0137】
ステップS120の判定において、変更可能範囲演算部28は、取得した車両現在地pv及び現在時刻tpvに基づいて、共用車両Vが前ユーザ降車予定地P0を通過したか否かを判定する。例えば、変更可能範囲演算部28は、現在時刻tpvが前ユーザ降車予定時刻T0を過ぎており、且つ車両現在地pvが前ユーザ降車予定地P0から第1乗車予定地ps_kに向かう走行経路上に位置しているか否かを判定する。ステップS120の判定結果が肯定的である場合には、変更可能範囲演算部28は、ステップS130に移行する。
【0138】
一方、ステップS130の判定において、変更可能範囲演算部28は、取得した車両現在地pv及び現在時刻tpvに基づいて、共用車両Vが第1乗車予定地ps_kを通過したか否かを判定する。例えば、変更可能範囲演算部28は、現在時刻tpvが第1乗車予定時刻ts_kを過ぎており、且つ車両現在地pvが第1乗車予定地ps_kから第1降車予定地pe_kに向かう走行経路上に位置しているか否かを判定する。
【0139】
そして、ステップS120の判定結果が否定的である場合には、変更可能範囲演算部28は、ステップS140に進み、第1補正変更可能範囲Rc1を演算する。具体的に、変更可能範囲演算部28は、第1乗車予定地ps_kを変更する場合(図11Aに示すシーンである場合)には、以下の式(6)に基づいて第1補正変更可能範囲Rc1を演算する。
【0140】
【数6】
【0141】
式(6)中の「Tc0」は、前ユーザ降車予定時刻T0の補正値(以下、「補正前ユーザ降車予定時刻Tc0」とも称する)である。特に、変更可能範囲演算部28は、車両現在地pvから前ユーザ降車予定地P0までの共用車両Vの予測走行時間を演算し、現在時刻tpvに当該予測走行時間を加算することで補正前ユーザ降車予定時刻Tc0を演算する。なお、式(6)は実質的に式(4)の「T0」を「Tc0」に置き換えたものである。
【0142】
次に、変更可能範囲演算部28は、第1降車予定地pe_kを変更する場合(図11Bに示すシーンである場合)には、以下の式(7)に基づいて第1補正変更可能範囲Rc1を演算する。
【数7】
【0143】
ここで、式(7)中の「Tc1」は、第1乗車予定時刻T1の補正値(以下、「補正第1乗車予定時刻Tc1」とも称する)である。特に、変更可能範囲演算部28は、車両現在地pvから前ユーザ降車予定地P0を経由して第1乗車予定地ps_kに到達するまでの共用車両Vの予測走行時間を演算し、現在時刻tpvに当該予測走行時間を加算することで補正第1乗車予定時刻Tc1を演算する。なお、式(7)は実質的に式(5)の「T1」を「Tc1」に置き換えたものである。
【0144】
次に、ステップS120の判定結果が肯定的であって且つステップS130の判定結果が否定的である場合には、変更可能範囲演算部28は、ステップS150に進み、第2補正変更可能範囲Rc2を演算する。具体的に、変更可能範囲演算部28は、第1乗車予定地ps_kを変更する場合(図11Cに示すシーンである場合)には、以下の式(8)に基づいて第2補正変更可能範囲Rc2を演算する。
【0145】
【数8】
【0146】
ここで、式(8)中の「TG1c」は、第1固定地到着予定時刻TG1の補正値(以下、「補正第1固定地到着予定時刻TG1c」とも称する)である。特に、変更可能範囲演算部28は、補正第1固定地到着予定時刻TG1cを現在時刻tpvと同一の時刻に設定する。また、「Δtc0」は、第0走行時間Δt0の補正値(以下、「補正第0走行時間Δtc0」)を表す。特に、変更可能範囲演算部28は、補正後の第1固定地G1とされる車両現在地pvから変更後の第1乗車予定地ps_kに向かう走行経路における予測走行時間を演算し、これを補正第0走行時間Δtc0とする。なお、式(8)は実質的に式(4)の「T0」を「TG1c」、及び「Δt0」を「Δtc0」にそれぞれ置き換えたものである。
【0147】
一方、変更可能範囲演算部28は、第1降車予定地pe_kを変更する場合(図11Dに示すシーンである場合)には、以下の式(9)に基づいて第2補正変更可能範囲Rc2を演算する。
【0148】
【数9】
【0149】
なお、この場合、変更可能範囲演算部28は、補正第0走行時間Δtc0を、車両現在地pv(補正された第1固定地G1)から第1乗車予定地ps_kを経由して変更後の第1降車予定地pe_kに向かう走行経路(図11Dの太い実線で表す走行経路)における予測走行時間として演算する。式(9)は実質的に式(5)の「T1」を「TG1c」、及び「Δt0」を「Δtc0」にそれぞれ置き換えたものである。
【0150】
次に、ステップS130の判定結果が否定的である場合(図11Eに示すシーンである場合)には、変更可能範囲演算部28は、ステップS150に進み、第3補正変更可能範囲Rc3を演算する。具体的に、変更可能範囲演算部28は、図11Dの場合と同様に上記式(9)に基づいて第3補正変更可能範囲Rc3を演算する。
【0151】
ただし、この場合、変更可能範囲演算部28は、補正第0走行時間Δtc0を、車両現在地pvから変更後の第1降車予定地pe_kに向かう走行経路(図11Eの太い実線で表す走行経路)における予測走行時間として演算する。
【0152】
そして、変更可能範囲演算部28は、補正変更可能範囲Rcを、上記図14で説明した判定ロジックに応じて第1補正変更可能範囲Rc1、第2補正変更可能範囲Rc2、及び第3補正変更可能範囲Rc3の何れかとして演算する。さらに、サーバ20は、演算した変更可能範囲Rを補正変更可能範囲Rcに置き換えて以降の処理(表示処理部52への送信など)を実行する。
【0153】
以上説明した本実施形態において提供される各構成及びそれによる作用効果について説明する。
【0154】
本実施形態の配車システム10又は配車予約管理システム15において、サーバ20の変更可能範囲演算部28は、共用車両Vの現在地である車両現在地pvを取得し、取得した車両現在地pvに基づいて変更可能範囲Rを補正する。
【0155】
これによれば、配車オペレーションの実行下における共用車両Vの現在地に応じて変更可能範囲Rを適切に補正することができる。したがって、実際の配車オペレーションの進行が考慮されたより高精度な変更可能範囲Rの演算ロジックが実現される。
【0156】
特に、このように変更可能範囲Rが、上記第1実施形態で説明した後の処理(第1ユーザ端末UTkにおける表示、予約変更処理部30における処理、及び車載端末VTにおける走行制御)に用いられることで、これらの処理においても配車オペレーション中の共用車両Vのリアルタイム挙動が反映されることとなる。
【0157】
[第5実施形態]
以下、第5実施形態について説明する。なお、第1実施形態~第4実施形態の何れかと同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、特に、第1ユーザ端末UTkの表示部(表示処理部52及びディスプレイ54)における変更可能範囲Rの表示処理の一形態について説明する。
【0158】
図15及び図16は、本実施形態における変更可能範囲Rの表示のための処理を説明する図である。
【0159】
図15には、第1固定地G1(図5参照)を基点として第0走行時間Δt0の間に共用車両Vが到達可能な範囲に相当する第1円領域SG1(半径=Δt0)、及び第1走行時間Δt1の間に第2固定地G2に到着可能な共用車両Vの存在範囲に相当する第2円領域SG2(半径=Δt1)が示されている。
【0160】
特に、図15(a)~図15(f)では、任意の基点時刻tbを基準として、第0走行時間Δt0及び第1走行時間Δt1を段階的に変化させた場合の各第1円領域SG1及び各第2円領域SG2をそれぞれ示している。より詳細には、第0走行時間Δt0を10min間隔で増加させる一方、第1走行時間Δt1を10min間隔で減少させた場合の第1円領域SG1及び第2円領域SG2をそれぞれ示している。また、図15(a)~図15(f)に示される各第1円領域SG1及び各第2円領域SG2は、第0走行時間Δt0と第1走行時間Δt1の和が所定値(特に、70min)をとる条件を満たしている。そして、この所定値は、基点時刻tbに当該所定値を加算した時刻が許容到着時刻Tb以下となるように設定される。すなわち、各第1円領域SG1及び各第2円領域SG2は、式(1)の条件を満たす領域として定まる。なお、本実施形態における具体的な数値は説明の便宜上示したものであり、本発明の技術的範囲を限定するものでは無い。
【0161】
したがって、図15(a)~図15(f)の各第1円領域SG1は、それぞれ、基点時刻tbから10分経過、20分経過、30分経過、40分経過、50分経過、60分経過、及び70分経過した場合に、共用車両Vが第1固定地G1を出発して到達し得る範囲を表す。一方、図15(a)~図15(f)の各第2円領域SG2は、それぞれ、同じ基点時刻tbから、70分以内、60分以内、50分以内、40分以内、30分以内、20分以内、及び10分以内に第2固定地G2に到達可能な共用車両Vの存在範囲を表す。このため、各第1円領域SG1及び各第2円領域SG2の共通領域として定まる各2次元領域Sは、式(1)を満たすように設定可能な変更地Vaの候補領域となる。したがって、本実施形態の変更可能範囲演算部28は、これを変更可能範囲Rとして演算する。
【0162】
図16(a)~図16(f)には、図15(a)~図15(f)のそれぞれ規定される各2次元領域Sを表す。なお、以下では、説明の便宜上、図16(a)~図16(f)に示す各2次元領域Sにそれぞれ、符号「S1」、「S2」、「S3」、「S4」、「S5」、及び「S6」を付す。
【0163】
さらに、図17には、各2次元領域S1,S2,S3,S4,S5,S6を一つの2次元平面上に重ね合わせた状態を示す。したがって、変更可能範囲Rは、各2次元領域S1,S2,S3,S4,S5,S6を重ね合わせてなる全領域として演算されることとなる。変更可能範囲演算部28は、このように各2次元領域S1,S2,S3,S4,S5,S6を重ね合わせてなる変更可能範囲Rを表示処理部52に送信する。
【0164】
さらに、表示処理部52は、受信した変更可能範囲Rに基づいて表示データを生成する。具体的に、表示処理部52は、変更可能範囲Rを内部メモリ等に記憶された配車エリアAを含む現実の地図データに重ね合わせることで上記表示データを生成する。そして、表示処理部52は、生成した表示データをディスプレイ54に表示させる。
【0165】
図18は、現実の地図データに変更可能範囲Rを重ね合わせた表示態様の一例を示す図である。図18に示す例では、基点時刻tbからの経過時間ごとに変更地Vaを設定可能な領域が各2次元領域S1,S2,S3,S4,S5,S6として表されている。したがって、本実施形態によれば、基点時刻tbからの時間経過に応じて、予約変更に係る変更地Va(変更後の第1乗車予定地ps_k又は変更後の第1降車予定地pe_k)の候補を定め、表示することができる。
【0166】
特に、本実施形態の表示態様は、第1実施形態で定義した「第1固定地G1」、「変更地Va」、及び「第2固定地G2」を、より具体化した第2~第4実施形態の定義に基づいて、図18に示す表示態様を実行することで、変更可能範囲Rを第1ユーザUkの視覚を通じて好適に認識させることができる表示バリエーションが実現される。例えば、乗車前に乗車予定地を変更することが希望される場合(図11A又は図11Bに示すシーン)には、変更地Vaを第1乗車予定地ps_kに設定し、任意の基点時刻tbからの所定時間間隔の経過時間(図18では10分毎)とした場合、時間別の第1乗車予定地ps_kの変更先の候補を表示することができる。
【0167】
より具体的には、変更可能範囲Rを、基点時刻tbから10分後までに第1乗車予定地ps_kを変更する場合には2次元領域S1~S6の和として定まる領域、10分後~20分後までに変更する場合には2次元領域S2~S6の和として定まる領域、20分後~30分後までに変更する場合には2次元領域S3~S6の和として定まる領域、30分後~40分後までに変更する場合には2次元領域S4~S6の和として定まる領域、40分後~50分後までに変更する場合には2次元領域S5~S6の和として画定する領域、及び50分後~60分後までに変更する場合には2次元領域S6で表される領域として求めることができる。特に、図11Aのシーンでは基点時刻tbを補正前ユーザ降車予定時刻Tc0、図11Bのシーンでは基点時刻tbを補正第1乗車予定時刻Tc1、図11C図11Eのシーンでは基点時刻tbを現在時刻tpv(補正第1固定地到着予定時刻TG1c)とすることで、適宜、図18に示す変更可能範囲Rの表示態様の実現が可能となる。
【0168】
以上説明した本実施形態において提供される各構成及びそれによる作用効果について説明する。
【0169】
本実施形態の配車システム10又は配車予約管理システム15において、変更可能範囲Rは、所定の基点時刻tbからの時間経過に応じた2次元領域S1~S6として演算される。また、2次元領域S1~S6は、共用車両Vが変更地Vaの直前に通過する前固定地としての第1固定地G1を出発点として到達可能な領域としての第1円領域SG1と、共用車両Vが第2固定地G2に到達し得る領域としての第2円領域SG2と、の共通部分である。そして、本実施形態の表示処理部52は、2次元領域S1~S6を配車エリアAを含む現実の地図データに重ねて表示する。
【0170】
これにより、変更可能範囲Rを第1ユーザUkに認識させるための様々な表示態様を実現することができる。また、変更可能範囲Rが配車エリアA内における現実の地図に重なって表示されるため、第1ユーザUkによる変更可能範囲Rに対する視覚を通じた認識を促進することができる。
【0171】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、上記各実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記各実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0172】
例えば、上記各実施形態における配車システム10の各ハードウェア構成及びソフトウェア構成は一態様であり、本発明の技術的範囲に含まれる範囲で任意に変更が可能である。一例として、配車システム10における各ハードウェア構成及び各ソフトウェア構成は、一台のコンピュータで実現されても良いし、適宜複数台のコンピュータの機能を統合させて実現するようにしても良い。例えば、上記実施形態において配車予約データ管理装置としてのサーバ20の各機能を、必要に応じてユーザ端末UT、車載端末VT、又はその他のサーバ20とは物理的に離れた種々のハードウェア資源に分散させて構成しても良い。
【0173】
また、上記各実施形態では、説明の簡略化の観点から配車システム10に含まれる共用車両Vが一台である例について説明している。しかしながら、上記各実施形態の演算ロジックは、配車システム10に複数の共用車両Vが属しており、当該複数の共用車両Vの中の何れかに対して所定時間内に複数のユーザUに係る配車処理が設定されているシーンにおいても、各共用車両Vごとに適用することが可能である。
【0174】
さらに、上記各実施形態では、予約内容の変更範囲の確認を求めるリクエスト(第1リクエスト信号Sr1)と、実際に予約内容の変更の指示を求めるリクエスト(第2リクエスト信号Sr2)と、が個別に生じることを前提としている。しかしながら、これら両リクエストを同時に受け付け、第1ユーザ端末UTkに対する変更可能範囲Rの出力、当該変更を受け付けたことに基づく予約管理DB22の更新等の処理を同時に実行する構成を採用しても良い。また、第1ユーザ端末UTkの表示部と同様の機能を車載端末VTに備え、ユーザUが共用車両Vに乗車している際に、上記変更可能範囲Rの表示を実行する構成としても良い。さらに、第1ユーザ端末UTkの表示処理部52における表示のための演算処理を行う機能をサーバ20のハードウェア及びソフトウェア構成により実現するか、サーバ20及び第1ユーザ端末UTk若しくは車載端末VTにおける各ハードウェア及びソフトウェア構成に分散させても良い。
【0175】
また、第2実施形態において、車両現在地pvに基づいて図11A図11Eに示すシーンを推定し、補正された変更可能範囲Rを演算する例について説明した。しかしながら、これに代えて、現在の配車オペレーションの進捗状況を示す任意の情報をサーバ20がアクセスすることのできる任意の記憶領域に記憶させておき、当該情報を参照して又は当該情報と車両現在地pvの双方を参照して、現在の状態が図11A図11Eに示すいずれのシーンに該当するのかを判断する構成を採用しても良い。これにより、例えば、配車オペレーションにおいて、第1ユーザUkの配車処理に係る走行経路と異なるユーザUの配車処理の走行経路の一部が共通する場合などにおいても、より高精度に図11A図11Eに示す各シーンを特定することができる。
【0176】
また、本出願における出願時の明細書等に記載された事項の範囲には、共用車両Vを利用する複数のユーザUに対するそれぞれの配車処理に係る予約内容を示す予約データBduをコンピュータとしてのサーバ20に管理させる配車予約データ管理方法が含まれる。
【0177】
特に、この配車予約データ管理方法では、サーバ20に、複数のユーザUごとの配車処理(第1配車処理及び第2配車処理など)に係る予約内容(配車処理に係る乗車予定時刻ts、乗車予定地ps、降車予定時刻te、及び降車予定地pe)を示す予約データBduを各ユーザUの識別情報(ユーザ名等)を対応させて記憶する記憶部としての予約管理DB22を参照させる。そして、サーバ20に第1ユーザUkに紐付いた第1予約データBdukから、第1予約データBdukにより規定される第1配車処理の次に実行される第2配車処理に係る第2予約データBduk+1を特定させる(特定部26)。
【0178】
さらに、サーバ20に、特定した第1予約データBduk及び第2予約データに基づいて第1配車処理に係る予約内容の変更可能範囲Rを演算させる。特に、この配車予約データ管理方法では、サーバ20に、共用車両Vが第2配車処理の乗車予定時刻ts以前に該第2配車処理の乗車予定地psに到達するように変更可能範囲Rを演算させる(変更可能範囲演算部28)。
【0179】
上記各実施形態の構成は、論理的に矛盾しない範囲で相互に組み合わせることが可能である。例えば、第2実施形態と第3実施形態を組み合わせることにより、車両現在地pv(現在の配車オペレーションの進捗状況)に応じて、リアルタイムに図13に示す乗車予定時刻に応じた乗車予定地(又は降車予定地)の変更先候補の表示を更新することもできる。
【0180】
上記各実施形態では、予約変更にあたり、第1乗車予定時刻ts_k、第1降車予定時刻te_k、第1乗車予定地ps_k、及び第1降車予定地pe_kの何れか一つが変更される場合を想定して変更可能範囲Rの演算及びその表示を行う例について説明した。一方で、これらの要素の内の2種以上が変更される場合には、上記各実施形態で説明した演算ロジックを各要素ごとに変更可能範囲Rの演算を実行し、各演算結果を統合した一つの変更可能範囲Rを生成し、これを表示処理部52による表示する構成を採用しても良い。
【符号の説明】
【0181】
10 配車システム
15 配車予約管理システム
20 サーバ
22 予約管理DB(記憶部)
26 特定部
28 変更可能範囲演算部
30 予約変更処理部
32 送受信部(送信部)
50 第1リクエスト生成部
52 表示処理部
54 ディスプレイ
56 第2リクエスト生成部
60 走行制御部
70 走行アクチュエータ
100 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18