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特許7489295乗物用シート、および、乗物用シートの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】乗物用シート、および、乗物用シートの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/08 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
B60N2/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020185635
(22)【出願日】2020-11-06
(65)【公開番号】P2022075080
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥飼 大敬
(72)【発明者】
【氏名】藤本 将志
【審査官】永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-202572(JP,A)
【文献】特開2015-217872(JP,A)
【文献】特開2006-021606(JP,A)
【文献】特開2017-196979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動でスライドする乗物用シートであって、
乗物のフロア側に組み付けられる第1レールおよび第2レールと、
前記第1レールおよび前記第2レールに対して移動可能な第1スライド部および第2スライド部と、
前記第1スライド部および前記第2スライド部を組み付けたシート部と、
前記第1スライド部に設けられ、前記第1スライド部の移動をロックする第1ロック機構と、
前記第2スライド部に設けられ、前記第2スライド部の移動をロックする第2ロック機構と、
受付けたユーザの操作に基づき、前記第1ロック機構および前記第2ロック機構をロック状態または解除状態に切り替える1つの切替部と、
前記第1スライド部に設けられ、前記第1レールおよび前記第2レールに対して前記シート部を移動させる1つのモータと、
前記第1スライド部に設けられ、前記第1ロック機構のロック状態を検知する第1検知部と、
前記切替部および前記モータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記ユーザの操作に基づき、前記シート部を第1の方向に移動するように前記モータを駆動し、前記第1検知部が前記第1ロック機構のロック状態を検知する前に、前記第2ロック機構がロック状態であると判断した場合、前記第1検知部で前記第1ロック機構のロック状態を検知できるまで、前記シート部を前記第1の方向と逆の第2の方向に移動するように前記モータを駆動する、乗物用シート。
【請求項2】
前記制御部は、前記ユーザの操作に基づき、前記シート部を第1の方向に移動するように前記モータを駆動し、前記第1検知部が前記第1ロック機構のロック状態を検知する前において、前記第2ロック機構のロック状態を前記モータの負荷に基づいて判断する、請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記第2ロック機構のロック状態を検知する第2検知部をさらに備え
前記制御部は、
前記第2検知部が前記第2ロック機構のロック状態を検知した場合に、前記第2ロック機構がロック状態であると判断する、請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記制御部は、前記シート部を前記第2の方向に移動する場合、前記シート部を所定距離移動するように前記モータを駆動する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記所定距離は、前記第1レールおよび前記第2レールに設けたロック穴の間隔である、請求項4に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記第1検知部は、前記第1ロック機構のロック状態を検知するロックセンサと、前記第1ロック機構の解除状態を検知するアンロックセンサと、を含み、
前記制御部は、前記ロックセンサで検知した状態と前記アンロックセンサで検知した状態とが一致する場合に前記第1ロック機構がロック状態または解除状態と判断する、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項7】
乗物のフロア側に組み付けられる第1レールおよび第2レールと、前記第1レールおよび前記第2レールに対して移動可能な第1スライド部および第2スライド部と、前記第1スライド部および前記第2スライド部を組み付けたシート部と、
前記第1スライド部に設けられ、前記第1スライド部の移動をロックする第1ロック機構と、前記第2スライド部に設けられ、前記第2スライド部の移動をロックする第2ロック機構と、受付けたユーザの操作に基づき、前記第1ロック機構および前記第2ロック機構をロック状態または解除状態に切り替える1つの切替部と、前記第1スライド部に設けられ、前記第1レールおよび前記第2レールに対して前記シート部を移動させる1つのモータと、前記第1スライド部に設けられ、前記第1ロック機構のロック状態を検知する第1検知部と、前記切替部および前記モータを制御する制御部と、を備える電動でスライドする乗物用シートの制御方法であって、
前記ユーザの操作に基づき、前記切替部で前記第1ロック機構および前記第2ロック機構を解除状態に切り替え、前記シート部を第1の方向に移動するように前記モータを駆動するステップと、
前記ユーザの操作に基づき、前記切替部で前記第1ロック機構および前記第2ロック機構をロック状態に切り替えるステップと、
前記第1検知部が前記第1ロック機構のロック状態を検知する前に、前記第2ロック機構がロック状態であると判断した場合、前記第1検知部で前記第1ロック機構のロック状態を検知できるまで、前記シート部を前記第1の方向と逆の第2の方向に移動するように前記モータを駆動するステップと、を含む、乗物用シートの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、乗物用シート、および、乗物用シートの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、自動車等の乗物用シートには、電動で前後方向にスライドさせるスライド機構を備えたものが考えられている。
【0003】
具体的に、スライド機構を備えた乗物用シートは、乗物のフロア側に組み付けられるロアレールに対してスライド可能に乗物用シート側に組み付けられるアッパレール(スライド部)、スライドをロック可能なロック機構を備えている。また、アッパレールのスライドのロック解除の動作と、このロック解除後のロアレールに対するアッパレールのスライド動作と、を1つのモータの駆動力で実施できる乗物用シートがあった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-5941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、乗物用シートがスライドをロック可能なロック機構を備えている場合、乗物の内側のレール(インナレール)と外側のレール(アウタレール)との両方にロック機構を設ける必要がある。しかし、1つのモータでスライド機構を駆動する場合、モータを取り付けていない側のスライド部が遅れて移動するため、インナレール側のロック機構がロック状態となっても、アウタレール側のロック機構がロック状態とならないことがあり、確実に両方のロック機構がロック状態となることを保証できない虞があった。
【0006】
本開示は係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、確実に両方のロック機構がロック状態となることを保証できる乗物用シート、および、乗物用シートの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示による乗物用シートは、電動でスライドする乗物用シートであって、乗物のフロア側に組み付けられる第1レールおよび第2レールと、第1レールおよび第2レールに対して移動可能な第1スライド部および第2スライド部と、第1スライド部および第2スライド部を組み付けたシート部と、第1スライド部に設けられ、第1スライド部の移動をロックする第1ロック機構と、第2スライド部に設けられ、第2スライド部の移動をロックする第2ロック機構と、受付けたユーザの操作に基づき、第1ロック機構および第2ロック機構をロック状態または解除状態に切り替える1つの切替部と、第1スライド部に設けられ、第1レールおよび第2レールに対してシート部を移動させる1つのモータと、第1スライド部に設けられ、第1ロック機構のロック状態を検知する第1検知部と、切替部およびモータを制御する制御部と、を備え、制御部は、ユーザの操作に基づき、シート部を第1の方向に移動するようにモータを駆動し、第1検知部が第1ロック機構のロック状態を検知する前に、第2ロック機構がロック状態であると判断した場合、第1検知部で第1ロック機構のロック状態を検知できるまで、シート部を第1の方向と逆の第2の方向に移動するようにモータを駆動する。
【0008】
この構成によれば、制御部が、検知部でロック機構のロック状態を検知できない場合、検知部でロック機構のロック状態を検知できるまで、シート部を第1の方向と逆の第2の方向に移動するようにモータを駆動するので、第1スライド部および第2スライド部のそれぞれに設けられた両方のロック機構を確実にロック状態にすることができる。
【0009】
制御部は、ユーザの操作に基づき、シート部を第1の方向に移動するようにモータを駆動し、第1検知部が第1ロック機構のロック状態を検知する前において、第2ロック機構のロック状態をモータの負荷に基づいて判断することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、モータを設けていない側のロック機構の状態を検知する検知部を設けなくても、当該ロック機構の状態を検知することができる。
【0011】
第2ロック機構のロック状態を検知する第2検知部をさらに備え、制御部は、第2検知部が第2ロック機構のロック状態を検知した場合に、第2ロック機構がロック状態であると判断することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、モータを設けていない側のロック機構のロック状態または解除状態を検知する第2検知部を設けているので、モータを設けていない側のロック機構の状態を確実に検知することができる。
【0013】
制御部は、シート部を第2の方向に移動する場合、シート部を所定距離移動するようにモータを駆動することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、モータを設けていない側のロック機構と同じ位置でモータを設けている側のロック機構をロック状態にできる。
【0015】
所定距離は、第1レールおよび第2レールに設けたロック穴の間隔であることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、モータを設けていない側のロック機構と異なる位置でモータを設けている側のロック機構がロック状態となることを防止できる。
【0017】
第1検知部は、第1ロック機構のロック状態を検知するロックセンサと、第1ロック機構の解除状態を検知するアンロックセンサと、を含み、制御部は、ロックセンサで検知した状態とアンロックセンサで検知した状態とが一致する場合に第1ロック機構がロック状態または解除状態と判断することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、ロック機構がロック状態または解除状態であるかを確実に検知することができる。
【0019】
本開示の他の局面に従うと、乗物のフロア側に組み付けられる第1レールおよび第2レールと、第1レールおよび第2レールに対して移動可能な第1スライド部および第2スライド部と、第1スライド部および第2スライド部を組み付けたシート部と、第1スライド部に設けられ、第1スライド部の移動をロックする第1ロック機構と、第2スライド部に設けられ、第2スライド部の移動をロックする第2ロック機構と、受付けたユーザの操作に基づき、第1ロック機構および第2ロック機構をロック状態または解除状態に切り替える1つの切替部と、第1スライド部に設けられ、第1レールおよび第2レールに対してシート部を移動させる1つのモータと、第1スライド部に設けられ、第1ロック機構のロック状態を検知する第1検知部と、切替部およびモータを制御する制御部と、を備える電動でスライドする乗物用シートの制御方法であって、ユーザの操作に基づき、切替部で第1ロック機構および第2ロック機構を解除状態に切り替え、シート部を第1の方向に移動するようにモータを駆動するステップと、ユーザの操作に基づき、切替部で第1ロック機構および第2ロック機構をロック状態に切り替えるステップと、第1検知部が第1ロック機構のロック状態を検知する前に、第2ロック機構がロック状態であると判断した場合、第1検知部で第1ロック機構のロック状態を検知できるまで、シート部を第1の方向と逆の第2の方向に移動するようにモータを駆動するステップと、を含む。
【0020】
この構成によれば、検知部でロック機構のロック状態を検知できない場合、検知部でロック機構のロック状態を検知できるまで、シート部を第1の方向と逆の第2の方向に移動するようにモータを駆動するステップを行うので、第1スライド部および第2スライド部のそれぞれに設けられた両方のロック機構を確実にロック状態にすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、第1スライド部および第2スライド部のそれぞれに設けられた両方のロック機構を確実にロック状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施の形態1に係る乗物用シートの構成を説明するための概略図である。
図2】実施の形態1に係る乗物用シートをスライドさせる制御部の構成を説明するためのブロック図である。
図3】実施の形態1に係る乗物用シートをスライドさせる制御を説明するためのフローチャートである。
図4】実施の形態1に係る乗物用シートのECUに入出力される信号の変化を示す図である。
図5】実施の形態1に係る乗物用シートにおいて確実に両方のロック機構がロック状態となる制御を説明するための概略図である。
図6】実施の形態2に係る乗物用シートをスライドさせる制御部の構成を説明するためのブロック図である。
図7】実施の形態2に係る乗物用シートをスライドさせる制御を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0024】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る乗物用シートの構成を説明するための概略図である。図2は、実施の形態1に係る乗物用シートをスライドさせる制御部の構成を説明するためのブロック図である。なお、以下の説明にあたって、乗物用シートの例として、車両の後部に存在するシート部について説明する。また、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、ユーザがシート部に着座した状態を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。
【0025】
この車両のフロアには、図1に示すように、左右にロアレール10、11が形成されている。ユーザが着座するシート部1が車両の右側に設けられている場合、右側のロアレール10が車両の外側に位置するのでアウタレールと呼ばれる。一方、左側のロアレール11は車両の内側に位置するのでインナレールと呼ばれる。ロアレール10に対して移動可能なスライド部12と、ロアレール11に対して移動可能なスライド部13とは、シート部1に組み付けられている。そのため、ロアレール10、11に対してスライド部12、13が移動することで、シート部1を車両のフロアに対してスライドさせることができる。
【0026】
電動でシート部1を車両のフロアに対してスライドさせるために、アウタレールであるロアレール10の側のスライド部12にモータ20が取り付けられている。一方、インナレールであるロアレール11の側のスライド部13には、モータ20が取り付けられていない。つまり、乗物用シートは、1つのモータ20でシート部1を車両のフロアに対してスライドさせることができる。なお、モータ20は、アウタレールであるロアレール10の側のスライド部12に設ける場合について説明するが、インナレールであるロアレール11の側のスライド部13に設けてもよい。
【0027】
スライド部12、13には、ロアレール10、11の移動をロックするロック機構22、23がそれぞれ設けられている。具体的に、ロック機構22は、ロアレール10に対して等間隔に設けられているロック穴10aに嵌合する突起部を有しており、当該突起部を移動することでロック状態または解除状態を切り替える。ロック機構23は、ロアレール11に対して等間隔に設けられているロック穴11aに嵌合する突起部を有しており、当該突起部を可動させることでロック状態または解除状態を切り替える。乗物用シートでは、ロック穴10a,11aを設けた間隔ごとにシート部1を移動させて固定することができる。つまり、ロック穴10a,11aの間隔10b,11bが、シート部1をスライドさせるピッチとなる。なお、ロック機構22、23は、ロック穴10a,11aに対して突起部を嵌合させることでロック状態とする構成に限定されず、ロアレール10、11に設けたツメ部に対して突起部を係止することでロック状態とする構成など、他の構成であってもよい。
【0028】
ロック機構22,23においてロック状態または解除状態を切り替える切替部がシート部1に取り付けてある。具体的に、切替部は、ロック機構22の突起部を可動するアクチュエータ21であり、当該アクチュエータ21はロック機構23の突起部も可動する。つまり、1つのアクチュエータ21で2つのロック機構22,23のロック状態または解除状態を切り替えている。
【0029】
ロック機構22のロック状態または解除状態を検知するために検知部がスライド部12に取り付けてある。具体的に、検知部は、ロック機構22のロック状態のときONとなり、ロック機構22の解除状態のときOFFとなるアウタロックセンサ16である。スライド部12には、さらにアウタアンロックセンサ18が設けてある。アウタアンロックセンサ18は、ロック機構22がロック状態から解除状態または解除状態からロック状態への切り替えを検知した場合、OFFのパルス信号を出力する。実施の形態1に係る乗物用シートでは、ロック機構22のロック状態または解除状態を確実に検知するために、2つの検知部(アウタロックセンサ16,アウタアンロックセンサ18)を重複させて設けてある。
【0030】
一方、ロック機構23のロック状態または解除状態の検知には、検知部を設けず、後述するようにモータ20の負荷に基づいて検知する。つまり、ロック機構23の状態は、モータ20の負荷が大きい場合、ロック機構23のロック状態、モータ20の負荷が小さい場合、ロック機構23の解除状態と検知できる。このように、実施の形態1に係る乗物用シートでは、スライド部13に検知部を設けないことで製造コストを低減することができる。
【0031】
シート部1には、アクチュエータ21およびモータ20を制御する制御部が設けてある。具体的に、制御部は、ECU(Electronic Control Unit)30である。
【0032】
図2に示されるように、ECU30は、主として、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)32、ROM(Read Only Memory)34、RAM(Random Access Memory)36、ストレージ38、入力部40、および出力部50を含んで構成されている。各構成は、バス52を介して相互に通信可能に接続されている。
【0033】
CPU32は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU32は、ROM34又はストレージ38からプログラムを読み出し、RAM36を作業領域としてプログラムを実行する。CPU32は、ROM34又はストレージ38に記録されているプログラムに従って、各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0034】
ROM34は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM36は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ38は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0035】
入力部40は、各種スイッチおよび各種センサからの信号を受け付ける。具体的に、入力部40には、図2に示すようにスライドスイッチ(スライドSW)5、アウタロックセンサ16、およびアウタアンロックセンサ18が接続されている。さらに、入力部40には、モータ20の電流値または電圧値が入力される。
【0036】
出力部50は、各種構成に対して制御信号を出力する。具体的に、出力部50には、モータ20、およびアクチュエータ21が接続されている。
【0037】
次に、実施の形態1に係る乗物用シートにおいて、シート部1を車両のフロアに対してスライドさせる制御について詳しく説明する。図3は、実施の形態1に係る乗物用シートをスライドさせる制御を説明するためのフローチャートである。まず、ECU30は、ユーザがスライドスイッチ5を操作したことに基づき、スライドスイッチ5からON信号の入力を受け付けたか否かを判断する(ステップS101)。ON信号の入力を受け付けていない場合(ステップS101でNO)、ECU30は、処理をステップS101に戻す。
【0038】
ON信号の入力を受け付けた場合(ステップS101でYES)、ECU30は、アクチュエータ21をON状態にする(ステップS102)。図4は、実施の形態1に係る乗物用シートのECU30に入出力される信号の変化を示す図である。ユーザがスライドスイッチ5を操作してスライドスイッチ5の信号がON信号となると、ECU30は、図4に示すようにアクチュエータ21に対してONのパルス信号を出力する。アクチュエータ21は、ONのパルス信号が入力されるとロック状態の突起部を可動させてロック機構22,23を解除状態に切り替える。
【0039】
図3に戻って、ECU30は、アウタ側のロック機構22が解除状態(ロック解除)になったか否かを検知部で検知する(ステップS103)。アウタ側のロック機構22が解除状態になっていない場合(ステップS103でNO)、ECU30は、処理をステップS103に戻す。
【0040】
アウタ側のロック機構22が解除状態になった場合(ステップS103でYES)、ECU30は、モータ20をON状態にする(ステップS104)。モータ20をON状態にすることで、車両のフロアに対してシート部1をスライドさせる動作が開始される。アウタ側のロック機構22が解除状態になったことを検知する検知部には、アウタロックセンサ16およびアウタアンロックセンサ18が設けてある。具体的に、アウタロックセンサ16は、アウタ側のロック機構22が解除状態になった場合、図4に示すようにOFF信号をECU30に出力する。アウタアンロックセンサ18は、アウタ側のロック機構22が解除状態になった場合、図4に示すようにON信号-OFF信号-ON信号となる変化(OFFのパルス信号)をECU30に出力する。ECU30は、アウタロックセンサ16およびアウタアンロックセンサ18からアウタ側のロック機構22が解除状態になった信号を受け付けた場合、モータ20に対してON信号を出力する(図4参照)。
【0041】
図3に戻って、ECU30は、ユーザがスライドスイッチ5を操作したことに基づき、スライドスイッチ5からOFF信号の入力を受け付けたか否かを判断する(ステップS105)。OFF信号の入力を受け付けていない場合(ステップS105でNO)、ECU30は、処理をステップS104に戻し、モータ20のON状態を継続させる。なお、スライドスイッチ5は、ユーザが押し続けることでON信号をECU30に出力する構成でも、ユーザが1度押して次に押すまでON信号をECU30に出力する構成でもよい。
【0042】
OFF信号の入力を受け付けた場合(ステップS105でYES)、ECU30は、アクチュエータ21をON状態にする(ステップS106)。ユーザがスライドスイッチ5を操作してスライドスイッチ5の信号がOFF信号になると、ECU30は、図4に示すようにアクチュエータ21に対してONのパルス信号を出力する。アクチュエータ21は、ONのパルス信号が入力されると解除状態の突起部を可動させてロック機構22,23をロック状態に切り替える。
【0043】
実施の形態1に係る乗物用シートでは、アウタ側のスライド部12にモータ20が取り付けてあるので、ロアレール10、11に対してスライド部12、13を移動させた場合、インナ側のスライド部13がアウタ側のスライド部12に対して遅れて移動する。そのため、アウタ側のスライド部12において、あるロック穴10aでロック状態となるタイミングで突起部を可動させた場合、アウタ側の突起部がロック穴10aに嵌合した後、遅れてインナ側の突起部が対応するロック穴11aに嵌合することになる。しかし、あるロック穴10aでロック状態となるタイミングで突起部を可動させた場合であっても、アウタ側の突起部がロック穴10aを既に通り過ぎて嵌合できずにインナ側の突起部のみが対応するロック穴11aに嵌合することがあった。
【0044】
そこで、実施の形態1に係る乗物用シートでは、確実に両方のロック機構22,23がロック状態となることを保証できるように、以下の説明する制御を行っている。図5は、実施の形態1に係る乗物用シートにおいて確実に両方のロック機構22,23がロック状態となる制御を説明するための概略図である。ロアレール10、11に対してスライド部12、13をスライドの進行方向に移動させた場合、モータ20が取り付けてあるアウタ側のスライド部12の方が先に進むため、図5に示すようにアウタ側の突起部14がロック穴10aを通り過ぎて上手く嵌合できないことがある。
【0045】
このとき、インナ側のスライド部13はアウタ側のスライド部12に対して遅れているので、図5に示すようにインナ側の突起部15はロック穴11aに上手く嵌合できる。インナ側の突起部15がロック穴11aに嵌合してインナ側のロック機構23がロック状態となるとアウタ側に取り付けたモータ20への負荷が大きくなる。そのため、ECU30は、モータ20の電流値または電圧値に基づいてモータ20の負荷を検知することにより、検知部なしにインナ側のロック機構23がロック状態であることを検知できる。
【0046】
ECU30は、インナ側のロック機構23がロック状態であることを検知した場合、アウタロックセンサ16、およびアウタアンロックセンサ18によりアウタ側のロック機構22がロック状態であるか否かを検知する。図5に示すように、アウタ側の突起部14がロック穴10aを通り過ぎて上手く嵌合できずアウタ側のロック機構22が解除状態であることをアウタロックセンサ16、およびアウタアンロックセンサ18が検知した場合、ECU30は、スライド部12をスライドの逆方向に移動させるためにモータ20を反転駆動する。ロアレール10に対してスライド部12をスライドの逆方向に移動させることにより、ロック穴10aを通り過ぎていたアウタ側の突起部14を上手くロック穴10aに嵌合することができアウタ側のロック機構22をロック状態にできる。
【0047】
図3に示すフローチャートに基づいて、さらに説明する。まず、ECU30は、モータ20の電流値または電圧値に基づいてモータ20の負荷を検知する(ステップS107)。モータ20の負荷が所定の値未満の場合(ステップS107でNO)、ECU30は、ロアレール10、11に対してスライド部12、13が移動中であると判断して、処理をステップS107に戻す。
【0048】
モータ20の負荷が所定の値以上の場合(ステップS107でYES)、ECU30は、インナ側のロック機構23がロック状態であると判断して、モータ20をOFF状態にする(ステップS108)。モータ20をOFF状態にすることで、車両のフロアに対してシート部1をスライドさせる動作が停止される。さらに、モータ20をOFF状態にしたときに、ECU30は、アウタロックセンサ16、およびアウタアンロックセンサ18からの信号に基づきアウタ側のロック機構22がロック状態か否かを判断する(ステップS109)。アウタ側のロック機構22がロック状態の場合(ステップS109でYES)、ECU30は、確実に両方のロック機構22,23がロック状態となったと判断して、スライドの制御を終了する。
【0049】
一方、アウタ側のロック機構22が解除状態の場合(ステップS109でNO)、ECU30は、モータ20を反転駆動させる(ステップS110)。モータ20を反転駆動させた場合、図5で示したように、ロック穴10aを通り過ぎていたアウタ側の突起部14を上手くロック穴10aに嵌合することができアウタ側のロック機構22をロック状態にできる。ECU30は、モータ20を反転駆動させて、アウタロックセンサ16、およびアウタアンロックセンサ18からの信号に基づきアウタ側のロック機構22がロック状態か否かを判断する(ステップS111)。アウタ側のロック機構22がロック状態の場合(ステップS111でYES)、ECU30は、確実に両方のロック機構22,23がロック状態となったと判断して、スライドの制御を終了する。図4では、モータ20を反転駆動させるためにON信号が出力されている期間に、アウタロックセンサ16が、アウタ側のロック機構22がロック状態になったことを示すON信号となり、アウタアンロックセンサ18が、アウタ側のロック機構22がロック状態になったことを示すOFFのパルス信号を出力している様子が図示されている。
【0050】
アウタ側のロック機構22が解除状態の場合(ステップS111でNO)、ECU30は、ロアレール10に対してスライド部12をスライドの逆方向に所定距離移動させたか否かを判断する(ステップS112)。なお、スライド部12を所定距離移動させたか否かの判断は、例えば、モータ20に出力しているON信号の期間で判断する。また、所定距離は、ロック穴10a,11aの間隔10b,11bである。インナ側のロック機構23がロック状態で、アウタ側のスライド部12をロック穴10aの間隔10b以上移動させると、アウタ側のロック機構22とインナ側のロック機構23とが対応しないロック穴10a,11aにそれぞれロックされてしまう虞がある。つまり、アウタ側のロック機構22がロックしたロック穴10aと、インナ側のロック機構23がロックしたロック穴11aとがずれる場合がある。
【0051】
スライド部12を所定距離移動させていない場合、ECU30は、処理をステップS110に戻し、モータ20の反転駆動を継続させる。一方、スライド部12を所定距離移動させた場合、ECU30は、アウタ側のロック機構22がロック状態にできない異常を報知する(ステップS113)。なお、ECU30は、アウタ側のロック機構22がロック状態にできないことをユーザにエラー情報として提供してもよいし、エラー情報としてメモリに記憶するだけに留めてもよい。ECU30は、その後、モータ20をOFF状態にして(ステップS114)、スライドの制御を終了する。
【0052】
以上のように、実施の形態1に係る乗物用シートは、電動でスライドする乗物用シートである。乗物用シートは、ロアレール10、11(第1レールおよび第2レール)、スライド部12,13(第1スライド部および第2スライド部)、シート部1、ロック機構22,23、アクチュエータ21(切替部)、モータ20、検知部(アウタロックセンサ16,アウタアンロックセンサ18)、ECU30(制御部)を備える。ロアレール10、11は、乗物のフロア側に組み付けられる。スライド部12,13は、ロアレール10、11に対して移動可能である。シート部1は、スライド部12,13を組み付けている。ロック機構22,23は、スライド部12,13のそれぞれに設けられ、スライド部12,13の移動をロックする。アクチュエータ21は、受付けたユーザの操作に基づき、各々のロック機構22,23をロック状態または解除状態に切り替える。モータ20は、アウタ側のスライド部12に設けられ、シート部1をロアレール10、11に対してスライドの進行方向(第1の方向)に移動させる。検知部は、スライド部12,13のうち少なくともモータ20を設けた側に、ロック機構22,23のロック状態または解除状態を検知する。ECU30は、アクチュエータ21およびモータ20を制御する。ECU30は、ユーザの操作に基づき、シート部1をスライドの進行方向に移動するようにモータ20を駆動した後に、アクチュエータ21で各々のロック機構22,23をロック状態に切り替えたが検知部でロック機構22のロック状態を検知できない場合、検知部でロック機構22のロック状態を検知できるまで、シート部1をスライドの逆方向(第2の方向)に移動するようにモータ20を駆動する。
【0053】
この構成によれば、ECU30が、検知部でロック機構22のロック状態を検知できない場合、検知部でロック機構22のロック状態を検知できるまで、シート部を第1の方向と逆の第2の方向に移動するようにモータを駆動するので、第1スライド部および第2スライド部のそれぞれに設けられた両方のロック機構22,23を確実にロック状態にすることができる。
【0054】
ECU30は、アクチュエータ21で各々のロック機構22,23をロック状態に切り替えた後、モータ20の負荷に基づいてモータ20を設けていない側のロック機構23のロック状態を検知することが好ましい。
【0055】
この構成によれば、モータ20を設けていない側のロック機構23の状態を検知する検知部を設けなくても、当該ロック機構23の状態を検知することができる。
【0056】
ECU30は、ロック機構22,23のロック状態を検知できるように、または所定距離までシート部1をスライドの逆方向に移動するようにモータを駆動することが好ましい。
【0057】
この構成によれば、モータ20を設けていない側のロック機構23と同じ位置でモータ20を設けている側のロック機構22をロック状態にできる。
【0058】
所定距離は、ロアレール10、11に設けたロック穴10a,11aの間隔であることが好ましい。
【0059】
この構成によれば、モータ20を設けていない側のロック機構23と異なる位置でモータ20を設けている側のロック機構22がロック状態となることを防止できる。
【0060】
検知部は、各々のスライド部12,13に対して複数設けられ、ECU30は、複数の検知部で検知した状態のすべてが一致する場合にロック機構22,23がロック状態または解除状態と判断することが好ましい。
【0061】
この構成によれば、ロック機構22,23がロック状態または解除状態であるかを確実に検知することができる。
【0062】
実施の形態1に係る乗物用シートの制御方法は、ユーザの操作に基づき、アクチュエータ21で各々のロック機構22,23を解除状態に切り替え、シート部1をスライドの進行方向に移動するようにモータ20を駆動するステップと、ユーザの操作に基づき、アクチュエータ21で各々のロック機構22,23をロック状態に切り替えるステップと、検知部でロック機構22のロック状態を検知できない場合、検知部でロック機構22のロック状態を検知できるまで、シート部1をスライドの逆方向に移動するようにモータ20を駆動するステップと、を含む。
【0063】
この構成によれば、検知部でロック機構22のロック状態を検知できない場合、検知部でロック機構22のロック状態を検知できるまで、シート部をスライドの逆方向に移動するようにモータを駆動するステップを行うので、スライド部12,13のそれぞれに設けられた両方のロック機構22,23を確実にロック状態にすることができる。
【0064】
[実施の形態2]
図6は、実施の形態2に係る乗物用シートをスライドさせる制御部の構成を説明するためのブロック図である。なお、実施の形態2に係る乗物用シートの構成のうち、図1および図2に示した実施の形態1に係る乗物用シートの構成と同じ構成については、同じ符号を付して詳細な説明を繰り返さない。
【0065】
実施の形態2に係る乗物用シートでは、図6に示すように、入力部40にインナロックセンサ17、およびインナアンロックセンサ19がさらに接続されている。インナロックセンサ17、およびインナアンロックセンサ19は、インナ側のロック機構23のロック状態または解除状態を検知するために検知部でインナ側のスライド部13に取り付けてある。具体的に、インナロックセンサ17、ロック機構23のロック状態のときONとなり、ロック機構23の解除状態のときOFFとなる。また、インナアンロックセンサ19は、ロック機構23がロック状態から解除状態または解除状態からロック状態への切り替えを検知した場合、OFFのパルス信号を出力する。実施の形態2に係る乗物用シートでは、インナ側のロック機構23のロック状態または解除状態を確実に検知するために、2つの検知部(インナロックセンサ17,インナアンロックセンサ19)を重複させて設けてある。
【0066】
実施の形態1に係る乗物用シートでは、インナ側にロック機構23のロック状態を検知するための検知部を設けずに、モータ20の負荷に基づいて検知する。一方、実施の形態2に係る乗物用シートでは、インナ側のスライド部13にインナロックセンサ17、およびインナアンロックセンサ19を設け、当該センサでインナ側のロック機構23のロック状態または解除状態を確実に検知する。
【0067】
図7は、実施の形態2に係る乗物用シートをスライドさせる制御を説明するためのフローチャートである。図7に示すフローチャートでは、図3に示したフローチャートで示したステップと同じステップについて同じ番号を付して詳細な説明を繰り返さない。図7に示すフローチャートおいても、まず、ECU30は、ユーザがスライドスイッチ5を操作したことに基づき、スライドスイッチ5からON信号の入力を受け付けたか否かを判断する(ステップS101)。ON信号の入力を受け付けていない場合(ステップS101でNO)、ECU30は、処理をステップS101に戻す。
【0068】
ON信号の入力を受け付けた場合(ステップS101でYES)、ECU30は、アクチュエータ21をON状態にする(ステップS102)。さらに、ECU30は、アウタ側のロック機構22が解除状態(ロック解除)になったか否かを検知部で検知する(ステップS103)。アウタ側のロック機構22が解除状態になっていない場合(ステップS103でNO)、ECU30は、処理をステップS103に戻す。
【0069】
アウタ側のロック機構22が解除状態になった場合(ステップS103でYES)、ECU30は、モータ20をON状態にする(ステップS104)。モータ20をON状態にすることで、車両のフロアに対してシート部1をスライドさせる動作が開始される。その後、ECU30は、ユーザがスライドスイッチ5を操作したことに基づき、スライドスイッチ5からOFF信号の入力を受け付けたか否かを判断する(ステップS105)。OFF信号の入力を受け付けていない場合(ステップS105でNO)、ECU30は、処理をステップS104に戻し、モータ20のON状態を継続させる。
【0070】
OFF信号の入力を受け付けた場合(ステップS105でYES)、ECU30は、アクチュエータ21をON状態にする(ステップS106)。ユーザがスライドスイッチ5を操作してスライドスイッチ5の信号がOFF信号になると、ECU30は、図4に示すようにアクチュエータ21に対してONのパルス信号を出力して、ロック機構22,23をロック状態に切り替える。そして、ECU30は、インナ側のロック機構23がロック状態となったか否かを検知する(ステップS107a)。ステップS107aでは、モータ20の負荷に基づいてインナ側のロック機構23がロック状態されたことを検知するのではなく、インナロックセンサ17、およびインナアンロックセンサ19で検知する。
【0071】
具体的に、インナロックセンサ17は、インナ側のロック機構23がロック状態になった場合、ON信号をECU30に出力する。インナアンロックセンサ19は、インナ側のロック機構23がロック状態になった場合、ON信号-OFF信号-ON信号となる変化(OFFのパルス信号)をECU30に出力する。ECU30は、インナロックセンサ17、およびインナアンロックセンサ19からインナ側のロック機構23がロック状態になった信号を受け付けた場合(ステップS107aでYES)、モータ20をOFF状態にする(ステップS108)。モータ20をOFF状態にすることで、車両のフロアに対してシート部1をスライドさせる動作が停止される。なお、インナ側のロック機構23がロック状態となっていない場合(ステップS107aでNO)、ECU30は、ロアレール10、11に対してスライド部12、13が移動中であると判断して、処理をステップS107aに戻す。ステップS108の処理は、図3に示すフローチャートの処理と同じであるため、以下の処理の説明は繰り返さない。
【0072】
以上のように、実施の形態2に係る乗物用シートでは、検知部に、モータ20を設けた側のロック機構22のロック状態または解除状態を検知する第1検知部(アウタロックセンサ16,アウタアンロックセンサ18と、モータ20を設けていない側のロック機構23のロック状態または解除状態を検知する第2検知部(インナロックセンサ17,インナアンロックセンサ19)と、含む。ECU30は、アクチュエータ21で各々のロック機構22,23をロック状態に切り替えた後、第2検知部でロック機構23のロック状態を検知したが、第1検知部でロック機構22のロック状態を検知できない場合、第1検知部でロック機構22のロック状態を検知できるまで、シート部1をスライドの逆方向に移動するようにモータ20を駆動する。
【0073】
この構成によれば、モータ20を設けていない側のロック機構23のロック状態または解除状態を検知する第2検知部(インナロックセンサ17,インナアンロックセンサ19)を設けているので、モータ20を設けていない側のロック機構23の状態を確実に検知することができる。
【0074】
[実施形態の変形例]
(1) 図1の乗物用シートが設けられる対象となる車両は、自動車を一例として説明したが、これに限らず、電車のような軌道車両、および、ブルドーザーのような無限軌道車両も含まれる。また、乗物用シートは、は、各種の乗物のシート、例えば、船舶のシート、飛行機のシート等であっても構わない。
【0075】
(2) 前述の実施の形態では、モータ20が、アウタ側のスライド部12に設けられると説明したが、インナ側のスライド部13に設けられ、シート部1をロアレール10、11に対してスライドの進行方向(第1の方向)に移動させてもよい。なお、モータ20が、インナ側のスライド部13に設けられた場合、実施の形態1では、検知部(インナロックセンサ17,インナアンロックセンサ19)が、モータ20を設けたインナ側のスライド部13に設けられ、インナ側のロック機構23のロック状態または解除状態を検知する。実施の形態2では、第1検知部がインナロックセンサ17およびインナアンロックセンサ19に、第2検知部がアウタロックセンサ16およびアウタアンロックセンサ18となる。
【0076】
(3) 前述の実施の形態では、アウタ側にアウタロックセンサ16およびアウタアンロックセンサ18が設けられ、インナ側にインナロックセンサ17およびインナアンロックセンサ19が設けられると説明した。しかし、これに限られず。アウタ側にアウタロックセンサ16またはアウタアンロックセンサ18の一方が設けられ、インナ側にインナロックセンサ17またはインナアンロックセンサ19の一方が設けられてもよい。
【0077】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合せても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0078】
1 シート部、5 スライドスイッチ、10,11 ロアレール、10a,11a ロック穴、10b,11b 間隔、12,13 スライド部、14,15 突起部、16 アウタロックセンサ、17 インナロックセンサ、18 アウタアンロックセンサ、19 インナアンロックセンサ、20 モータ、21 アクチュエータ、22,23 ロック機構、34 ROM、36 RAM、38 ストレージ、40 入力部、50 出力部、52 バス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7