(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】物品搬送装置管理システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20240516BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K13/02 Z
(21)【出願番号】P 2020195929
(22)【出願日】2020-11-26
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森川 俊治
(72)【発明者】
【氏名】吉野 朋治
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/141366(WO,A1)
【文献】特開2008-002664(JP,A)
【文献】実開昭61-055539(JP,U)
【文献】特開2010-284276(JP,A)
【文献】特開平08-002473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に所定の対基板作業を行う複数の対基板作業機が並んで設置されている基板生産ラインの所定の前記対基板作業機に前記対基板作業で使用される物品を搬送する物品搬送装置を管理する物品搬送装置管理システムであって、
歯付きベルトと、
歯部が前記歯付きベルトに噛み合いながら前記物品搬送装置の移動に伴って転動するプーリと、
前記プーリの前記歯部の歯飛びが生じるときの前記歯付きベルトに対する前記プーリの浮き上がり量に設定される第一設定値に達する前記プーリの浮き上がりを検出する第一検出装置と、
前記第一設定値よりも小さく設定される第二設定値に達する前記歯飛びが生じない前記プーリの浮き上がりを検出する第二検出装置と、
を備え、前記プーリの回転距離に基づいて前記基板生産ラインにおける前記物品搬送装置の位置を検出する位置検出装置を具備する物品搬送装置管理システム。
【請求項2】
前記位置検出装置は、前記プーリの浮き上がりに連動して移動するドッグ部材を備える請求項1に記載の物品搬送装置管理システム。
【請求項3】
前記ドッグ部材は、前記第一検出装置によって検出される第一部位と、前記第二検出装置によって検出される第二部位とが階段状に形成されている請求項2に記載の物品搬送装置管理システム。
【請求項4】
前記位置検出装置は、
前記歯付きベルトと前記プーリとの噛み合いを維持可能な範囲内において前記プーリの支点を中心とする円弧方向に前記プーリが変位可能に前記プーリを支持する支持部材と、
前記プーリを前記歯付きベルトの側に付勢する付勢部材と、
を備える請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の物品搬送装置管理システム。
【請求項5】
前記歯付きベルトは、前記対基板作業機ごとに備えられるレールに設けられ、
前記第一検出装置が前記レール若しくは前記レールの連結部において前記プーリの浮き上がりを検出した場合、または、前記第二検出装置が前記レールにおいて前記プーリの浮き上がりを検出した場合に、前記歯付きベルトに対する前記プーリの浮き上がりが生じたと判断し、前記第二検出装置が前記レールの連結部において前記プーリの浮き上がりを検出した場合に、前記歯付きベルトに対する前記プーリの浮き上がりを判断しない判断部を備える請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の物品搬送装置管理システム。
【請求項6】
前記第一検出装置によって前記プーリの浮き上がりが検出されたときに、前記物品搬送装置を停止させる制御部を備える請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の物品搬送装置管理システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記物品搬送装置が前記対基板作業機との間で前記物品の搬入または搬出を行う停止位置において、前記第二検出装置によって前記プーリの浮き上がりが検出されたときに、前記物品搬送装置を停止させる請求項6に記載の物品搬送装置管理システム。
【請求項8】
前記歯付きベルトは、前記対基板作業機ごとに備えられるレールに設けられ、
前記物品搬送装置が前記対基板作業機との間で前記物品の搬入または搬出を行う停止位置、および、前記レールの連結部を除く前記レールにおいて、前記第二検出装置によって前記プーリの浮き上がりが検出されたときに、前記歯付きベルトに異物が付着している可能性を案内する案内部を備える請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の物品搬送装置管理システム。
【請求項9】
前記プーリの前記回転距離を取得する取得部と、
前記第一検出装置または前記第二検出装置によって前記プーリの浮き上がりが検出されたときに、前記取得部によって取得された前記回転距離に基づいて、前記プーリの浮き上がりが生じた前記対基板作業機、および、当該対基板作業機において前記プーリの浮き上がりを検出した検出位置を教示する教示部と、
を備える請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の物品搬送装置管理システム。
【請求項10】
前記対基板作業機は、前記基板に部品を装着する部品装着機であり、
前記物品は、前記部品を収容するキャリアテープが巻回されるリールを回転可能に保持するフィーダである請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の物品搬送装置管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、物品搬送装置管理システムに関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のトルク伝達装置は、歯付きベルトと、プーリと、歯飛び検出機構部と、制御部とを備えている。歯飛び検出機構部には、プーリと接触する歯付きベルトの外周部に、歯付きベルトの歯飛び時の浮き上がり量を検出する検出センサが取付けられている。制御部は、検出センサの出力信号を受けて歯付きベルトに連結するアクチュエータの動作を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のトルク伝達装置では、歯飛びが生じないプーリの浮き上がりを検出することは困難である。基板生産ラインの所定の対基板作業機に対基板作業で使用される物品を搬送する物品搬送装置では、歯飛びが生じないプーリの浮き上がりであっても、物品の搬入または搬出に影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
このような事情に鑑みて、本明細書は、歯飛びが生じるプーリの浮き上がり、および、歯飛びが生じないプーリの浮き上がりの両方を検出可能な位置検出装置を具備する物品搬送装置管理システムを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、基板に所定の対基板作業を行う複数の対基板作業機が並んで設置されている基板生産ラインの所定の前記対基板作業機に前記対基板作業で使用される物品を搬送する物品搬送装置を管理する物品搬送装置管理システムを開示する。前記物品搬送装置管理システムは、歯付きベルトと、プーリと、第一検出装置と、第二検出装置とを備え、前記プーリの回転距離に基づいて前記基板生産ラインにおける前記物品搬送装置の位置を検出する位置検出装置を具備する。前記プーリは、歯部が前記歯付きベルトに噛み合いながら前記物品搬送装置の移動に伴って転動する。前記第一検出装置は、前記プーリの前記歯部の歯飛びが生じるときの前記歯付きベルトに対する前記プーリの浮き上がり量に設定される第一設定値に達する前記プーリの浮き上がりを検出する。前記第二検出装置は、前記第一設定値よりも小さく設定される第二設定値に達する前記歯飛びが生じない前記プーリの浮き上がりを検出する。
【発明の効果】
【0007】
上記の物品搬送装置管理システムでは、位置検出装置に第一検出装置および第二検出装置を備えるので、歯飛びが生じるプーリの浮き上がり、および、歯飛びが生じないプーリの浮き上がりの両方を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】基板生産ラインの構成例を示す平面図である。
【
図2】
図1の部品装着機および物品搬送装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図4】
図3の移動装置の構成例を示す斜視図である。
【
図7】第一検出装置によってプーリの浮き上がりが検出されるときの位置検出装置の状態の一例を示す正面図である。
【
図8】第二検出装置によってプーリの浮き上がりが検出されるときの位置検出装置の状態の一例を示す正面図である。
【
図9】プーリの支点と回転中心の位置関係の一例を示す透視図である。
【
図10】物品搬送装置管理システムの制御ブロックの一例を示すブロック図である。
【
図11】物品搬送装置管理システムによる制御手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
1-1.基板生産ライン1の構成例
本実施形態の物品搬送装置管理システム80は、基板生産ライン1に適用される。
図1に示すように、基板生産ライン1は、複数(同図では、4つ)の部品装着機10が
図2に示す基板90の搬送方向に並んで設置されている。部品装着機10は、基板90に所定の対基板作業を行う対基板作業機WM0に含まれる。基板生産ライン1は、例えば、はんだ印刷機、はんだ検査機、外観検査機、リフロー炉などの種々の対基板作業機WM0を備えることができる。
【0010】
基板生産ライン1の基板搬入側(
図1の紙面左側)には、保管装置BS0が設置されている。保管装置BS0は、物品搬送装置30によって搬送される種々の物品AR0を保管することができる。本実施形態の保管装置BS0は、基板90に装着される部品91を供給するカセット式のフィーダ20を保管する。基板生産ライン1の各装置および物品搬送装置30は、ネットワークを介してライン制御装置LC0と種々のデータを入出力可能に構成されている。
【0011】
保管装置BS0は、複数のスロットを備える。保管装置BS0は、複数のスロットに装備されたフィーダ20をストックする。保管装置BS0のスロットに装備されたフィーダ20は、ライン制御装置LC0との間で通信可能な状態になる。これにより、保管装置BS0のスロットと当該スロットに装備されたフィーダ20の識別情報が関連付けられて、ライン制御装置LC0に記録される。
【0012】
ライン制御装置LC0は、基板生産ライン1の動作状況を監視し、対基板作業機WM0、保管装置BS0および物品搬送装置30を含む基板生産ライン1の制御を行う。ライン制御装置LC0には、例えば、対基板作業機WM0を制御する各種データが記憶されている。ライン制御装置LC0は、基板生産ライン1の各装置の制御プログラムなどの各種データを各装置に適宜送出する。
【0013】
1-2.部品装着機10の構成例
図2に示すように、基板生産ライン1を構成する複数(4つ)の部品装着機10の各々は、基板搬送装置11と、上部スロット12と、下部スロット13と、装着ヘッド14と、ヘッド駆動装置15とを備えている。本明細書では、部品装着機10の幅方向であり基板90の搬送方向をX方向とする。また、部品装着機10の奥行き方向であり水平面においてX方向と直交する方向をY方向とする。さらに、X方向およびY方向と直交する鉛直方向(
図2の紙面上下方向)をZ方向とする。
【0014】
基板搬送装置11は、ベルトコンベア、位置決め装置などを備えている。基板搬送装置11は、基板90を搬送方向(X方向)に順次搬送すると共に、機内の所定位置に基板90を位置決めする。基板搬送装置11は、部品装着機10による装着処理が終了した後に、基板90を部品装着機10の機外に搬出する。
【0015】
上部スロット12および下部スロット13は、基板90に装着される部品91を供給するフィーダ20を装備することができる。上部スロット12は、部品装着機10の前部側の上部に配置され、装備されたフィーダ20を動作可能に保持する。つまり、上部スロット12に装備されたフィーダ20は、部品装着機10による装着処理において駆動制御され、当該フィーダ20の上部の規定位置に設けられている取り出し部において、部品91を供給する。
【0016】
下部スロット13は、上部スロット12の下方に配置され、装備されたフィーダ20をストックする。つまり、下部スロット13は、基板製品の生産に用いられるフィーダ20を予備的に保持する。また、下部スロット13は、基板製品の生産に用いられた使用済みのフィーダ20を一時的に保持する。なお、上部スロット12と下部スロット13との間のフィーダ20の交換は、物品搬送装置30によって行われる。
【0017】
図2に示すように、フィーダ20は、フィーダ本体21と、駆動装置22とを備えている。本実施形態のフィーダ本体21は、扁平な箱形状に形成されている。フィーダ本体21は、部品91を収容するキャリアテープが巻回されたリール23を着脱可能(交換可能)に保持する。駆動装置22は、キャリアテープに設けられた送り穴に係合するスプロケット22aを備えている。駆動装置22は、スプロケット22aを回転させてキャリアテープを送り移動させる。
【0018】
フィーダ20は、上部スロット12または下部スロット13に装備されると、コネクタを介して部品装着機10から電力が供給される。そして、フィーダ20は、部品装着機10との間で通信可能な状態になる。上部スロット12に装備されたフィーダ20は、部品装着機10による制御指令などに基づいて、部品91を収容するキャリアテープの送り動作を制御する。これにより、フィーダ20は、フィーダ20の上部に設けられている取り出し部において、装着ヘッド14の保持部材によって部品91を採取可能に供給する。
【0019】
ヘッド駆動装置15は、装着ヘッド14の保持部材によって採取された部品91を、基板90上の所定の装着位置まで移載する。ヘッド駆動装置15は、直動機構によって移動台を水平方向(X方向およびY方向)に移動させる。移動台には、クランプ部材によって装着ヘッド14が交換可能に固定される。装着ヘッド14は、部品91を採取し、部品91の鉛直方向(Z方向)の位置および回転角度を調整して、基板90に部品91を装着する。
【0020】
具体的には、装着ヘッド14には、フィーダ20によって供給される部品91を保持する保持部材が着脱可能に取り付けられている。保持部材は、例えば、供給される負圧エアによって部品91を保持する吸着ノズル、部品91を把持して保持するチャックなどを用いることができる。装着ヘッド14は、保持部材を鉛直方向(Z方向)に移動可能に、且つ、鉛直方向(Z方向)に平行なQ軸周りに回転可能に保持する。装着ヘッド14は、ヘッド駆動装置15の直動機構によって水平方向(X方向およびY方向)に移動される。
【0021】
部品装着機10は、基板90に部品91を装着する装着処理を実行する。部品装着機10は、画像処理の結果、各種センサによる検出結果、予め記憶されている制御プログラムなどに基づいて、装着処理においてヘッド駆動装置15に制御信号を送出する。これにより、装着ヘッド14に支持されている複数の保持部材(例えば、吸着ノズル)の位置および回転角度が制御される。
【0022】
なお、装着ヘッド14に保持される保持部材(例えば、吸着ノズル)は、装着処理において基板90に装着される部品91の種別に応じて適宜変更され得る。例えば、部品装着機10は、実行する装着処理において用いる吸着ノズルが装着ヘッド14に保持されていない場合に、ノズルステーションに収容されている吸着ノズルを装着ヘッド14に保持させる。ノズルステーションは、部品装着機10の機内の所定位置に着脱可能に装備されている。
【0023】
1-3.物品搬送装置30の構成例
物品搬送装置30は、基板90に所定の対基板作業を行う複数の対基板作業機WM0が並んで設置されている基板生産ライン1の所定の対基板作業機WM0に対基板作業で使用される物品AR0を搬送する。本実施形態では、対基板作業機WM0は、基板90に部品91を装着する部品装着機10である。また、物品AR0は、部品91を収容するキャリアテープが巻回されるリール23を回転可能に保持するフィーダ20である。よって、物品搬送装置30は、基板90に装着される部品91を供給するフィーダ20を搬送する。物品搬送装置30は、基板生産ライン1を構成する複数(4つ)の部品装着機10との間、および、保管装置BS0との間でフィーダ20の補給および回収を行う。
【0024】
具体的には、物品搬送装置30は、保管装置BS0から部品装着機10の上部スロット12または下部スロット13にフィーダ20を搬送する。また、物品搬送装置30は、部品装着機10の上部スロット12と下部スロット13との間でフィーダ20を交換する。さらに、物品搬送装置30は、基板製品の生産で使用されたフィーダ20を部品装着機10から保管装置BS0に搬送する。
【0025】
図3に示すように、本実施形態の物品搬送装置30は、交換装置31と、第一レール32と、第二レール33と、離脱防止ガイド34と、移動装置40とを備えている。交換装置31は、複数(4つ)の部品装着機10に装備されるフィーダ20の補給および回収を行う。具体的には、交換装置31は、フィーダ20を把持するクランプをY方向およびZ方向に移動させる移動機構を備える。
【0026】
交換装置31は、上部スロット12との間でフィーダ20を移載する上部移載部31aと、下部スロット13との間でフィーダ20を移載する下部移載部31bとを備えている。交換装置31は、部品装着機10またはライン制御装置LC0による制御指令に基づいて、上部移載部31aまたは下部移載部31bにおいて、クランプのY方向位置、Z方向位置および把持状態を制御する。
【0027】
図1に示すように、第一レール32は、複数(4つ)の部品装着機10の前部に設けられている。具体的には、第一レール32は、複数(4つ)の部品装着機10の各々において、上部スロット12と下部スロット13との間に設けられている。なお、本実施形態の第一レール32は、複数(4つ)の部品装着機10および保管装置BS0において、同型のレール部材がX方向に連続するように連結されている。
【0028】
また、
図4および
図5に示すように、第一レール32は、走行路32aと、上面部32bと、側面部32cとを備えている。走行路32aは、平面状に形成されており、交換装置31側を向いてZ方向に延伸している。走行路32aは、後述する駆動輪52が転動する。そのため、走行路32aは、全体として平面状であれば良く、例えば、駆動輪52の空転を抑制するための凹凸やスリットが形成されていても良い。上面部32bは、X方向およびY方向によって形成される水平面と平行に形成されている。側面部32cは、上面部32bからZ方向に突出するように形成されている。
【0029】
第二レール33は、複数(4つ)の部品装着機10の前部において、第一レール32と異なるZ方向位置に設けられている。
図3に示すように、本実施形態の第二レール33は、部品装着機10の下部スロット13よりも下方に設けられている。第二レール33は、支持部33aを備えている。支持部33aは、平面状に形成されており、交換装置31の側を向いてZ方向に延伸している。
【0030】
第二レール33の支持部33aは、後述する第三ガイドローラ44が転動可能に第三ガイドローラ44を支持する。離脱防止ガイド34は、支持部33aと対向する対向面を有し、第二レール33の支持部33aを転動する第三ガイドローラ44が支持部33aから離脱することを抑制する。これにより、離脱防止ガイド34は、交換装置31全体が傾動する外力が加えられたときに、第三ガイドローラ44と接触して交換装置31の傾動を抑制する。
【0031】
第一レール32および第二レール33は、基板生産ライン1のX方向の略全域に亘って設置されている。例えば、基板90の搬入側の第一レール32および第二レール33は、保管装置BS0まで延伸している。よって、交換装置31は、後述する移動装置40によって、複数(4つ)の部品装着機10および保管装置BS0の前部側を含むX方向の任意の位置に位置決め可能になっている。
【0032】
移動装置40は、駆動ユニット50の駆動輪52を第一レール32の走行路32aに沿って転動させることにより交換装置31を第一レール32に沿って移動させる。この際、駆動輪52と走行路32aとの間には、摩擦力が生じる。
図3~
図5に示すように、移動装置40は、本体部41と、第一ガイドローラ42と、第二ガイドローラ43と、第三ガイドローラ44と、付勢機構45と、駆動ユニット50とを備えている。本体部41は、交換装置31を保持するフレーム部材である。また、本体部41には、駆動ユニット50を取り付けるためのブラケット41aが形成されている。
【0033】
図4に示すように、第一ガイドローラ42は、第一レール32の上面部32bを転動することができる。これにより、第一ガイドローラ42は、本体部41に保持されている交換装置31のZ方向の移動を規制する。第二ガイドローラ43は、第一レール32の側面部32cを転動することができる。これにより、第二ガイドローラ43は、交換装置31のY方向の移動を規制する。本実施形態では、複数の第一ガイドローラ42と複数の第二ガイドローラ43とが、X方向に沿って交互に配置されている。
【0034】
図3に示すように、第三ガイドローラ44は、第二レール33の支持部33aに沿って転動することができる。これにより、第三ガイドローラ44は、交換装置31の姿勢を維持する。ここで、第一ガイドローラ42が上面部32bを転動し、且つ、第二ガイドローラ43が側面部32cを転動すると、交換装置31の支持位置と交換装置31の重心位置との関係から、交換装置31にはX方向に平行な軸線周りに交換装置31を回転させるモーメントが発生する。具体的には、交換装置31の下部が第二レール33側に接近する力が発生する。
【0035】
これに対して、交換装置31の下部において、Z方向に平行な軸線周りに回転可能な第三ガイドローラ44が第二レール33の支持部33aを転動することにより、上記のモーメントに抗して交換装置31の姿勢が維持される。このように、交換装置31は、三種類のガイドローラによって支持されるので、
図3に示す床面US0に対して非接触で直立した姿勢を維持することができる。
【0036】
図5に示すように、駆動ユニット50は、ベースプレート51と、駆動輪52と、駆動モータ53と、伝達機構54とを備えている。ベースプレート51は、Y方向に延伸する板状部51aを備えている。板状部51aは、本体部41のブラケット41aに対してY方向にスライド可能に取り付けられている。また、ベースプレート51には、板状部51aの下面から下方に延伸する鍔部51bが形成されている。
【0037】
図3に示すように、駆動輪52は、交換装置31の上部移載部31aと、下部移載部31bとの間に設けられている。また、
図5に示すように、駆動輪52は、Z方向に平行な軸線周りに回転可能に、ベースプレート51に設けられている。駆動輪52の外周部は、例えば、ウレタンなどのゴム状の弾性材料で形成されている。駆動輪52は、例えば、金属製の第一レール32の走行路32aに付勢されることによって、所定の摩擦力を受けて走行路32aを転動する。駆動モータ53は、駆動電力が供給されて駆動輪52を回転させる。本実施形態の駆動モータ53は、出力軸(シャフト)がZ方向と平行になるようにベースプレート51に支持されている。
【0038】
伝達機構54は、駆動モータ53の出力を駆動輪52に伝達する。本実施形態の伝達機構54は、ベルト式の伝達機構であり、プーリ54aと、無端ベルト54bとを備える。プーリ54aは、駆動輪52と同軸に配置され、駆動輪52と一体的に回転する。無端ベルト54bは、駆動モータ53の出力軸とプーリ54aとの間に掛け渡されている。伝達機構54は、駆動モータ53の回転速度を減速して、駆動輪52に駆動モータ53の出力を伝達する。
【0039】
付勢機構45は、駆動輪52を走行路32aに付勢する。駆動輪52は、ベースプレート51に設けられている駆動モータ53および伝達機構54と共にユニット化されている。つまり、駆動ユニット50は、全体として本体部41に対してY方向にスライド可能に設けられている。そこで、本実施形態の付勢機構45は、スプリング45aの弾性力によって、本体部41に対して駆動ユニット50を第一レール32側に押圧することにより、駆動輪52を走行路32aに付勢する。
【0040】
付勢機構45のスプリング45aは、本体部41のブラケット41aとベースプレート51の鍔部51bとの間に圧縮された状態で配置されている。これにより、駆動ユニット50は、本体部41に対してY方向の走行路32a側に押圧された状態になる。よって、付勢機構45は、仮に、第一レール32を構成するレール部材同士の連結部に隙間や段差が生じても、駆動輪52が第一レール32の走行路32aに接触した状態を維持することができる。
【0041】
1-4.物品搬送装置管理システム80の構成例
物品搬送装置管理システム80は、位置検出装置70を具備し、物品搬送装置30を管理する。
図6~
図9に示すように、位置検出装置70は、歯付きベルト71と、プーリ72と、第一検出装置73と、第二検出装置74とを備えている。位置検出装置70は、ドッグ部材75を備えることができる。位置検出装置70は、支持部材76および付勢部材77を備えることもできる。
【0042】
また、位置検出装置70は、プーリ72の回転距離に基づいて、基板生産ライン1における物品搬送装置30の位置を検出する。そのため、位置検出装置70は、物品搬送装置30の位置を検出する位置検出器78を備えている。本実施形態の位置検出装置70は、歯付きベルト71と、プーリ72と、第一検出装置73と、第二検出装置74と、ドッグ部材75と、支持部材76と、付勢部材77と、位置検出器78とを備えている。
【0043】
歯付きベルト71は、ゴム等の弾性材料で形成された有端ベルトである。歯付きベルト71は、対基板作業機WM0ごとに備えられるレールRL0に設けられる。レールRL0は、既述した第一レール32に相当する。
図4に示すように、本実施形態の歯付きベルト71は、レールRL0(第一レール32)の上面において、基板90の搬送方向(X方向)に沿って設けられている。プーリ72は、歯部72aが歯付きベルト71に噛み合いながら、物品搬送装置30の移動に伴って転動する。プーリ72は、水平面においてX方向と直交するY方向に平行な軸線周りに回転可能に、移動装置40の本体部41に設けられている。後述するように、プーリ72は、歯付きベルト71との噛み合い状態が維持されるように保持されている。
【0044】
位置検出器78は、公知の位置検出器を用いることができる。本実施形態では、位置検出器78は、ロータリエンコーダである。位置検出器78は、プーリ72が所定角度、回転するごとにパルスを出力する。位置検出装置70は、位置検出器78の出力パルスをカウントする。位置検出装置70は、位置検出器78の出力パルス数に基づいて、基準位置(原点位置)からプーリ72が回転した回転距離を取得し、基板生産ライン1における物品搬送装置30の位置を検出する。
【0045】
歯付きベルト71は、レールRL0(第一レール32)の上面に設けられているので、例えば、部品91、ゴミ、紙テープなどの異物が、歯付きベルト71の上に付着する可能性がある。大きな異物ほど、プーリ72が異物に乗り上げたときに、プーリ72の歯部72aの歯飛びが生じ易くなる。歯飛びが生じると、位置検出装置70によって検出される物品搬送装置30の検出位置が、実際の位置から大幅にずれる。その結果、物品搬送装置30の位置決め精度が大きく低下して、物品搬送装置30による物品AR0の搬送が困難になる可能性がある。
【0046】
異物のサイズが小さくなるほど、プーリ72が異物に乗り上げたときに、歯飛びが生じ難くなる。しかしながら、プーリ72が異物に乗り上げた状態で物品搬送装置30が停止すると、プーリ72の停止位置が不安定になり、位置検出装置70によって検出される物品搬送装置30の検出位置が、実際の位置からずれる可能性がある。その結果、物品搬送装置30の位置決め精度が低下して、物品搬送装置30による物品AR0の搬入または搬出に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、物品AR0がフィーダ20の場合、物品搬送装置30が搬入するフィーダ20の側面と、搬入済みのフィーダ20の側面とが擦れ合う可能性がある。
【0047】
そこで、位置検出装置70は、第一検出装置73および第二検出装置74の両方の検出装置を備えている。第一検出装置73は、第一設定値TH1に達するプーリ72の浮き上がりを検出する。第一設定値TH1は、プーリ72の歯部72aの歯飛びが生じるときの歯付きベルト71に対するプーリ72の浮き上がり量に設定される。第二検出装置74は、第一設定値TH1よりも小さく設定される第二設定値TH2に達する歯飛びが生じないプーリ72の浮き上がりを検出する。
【0048】
第一設定値TH1および第二設定値TH2は、シミュレーション、実機による検証などによって、予め取得しておくことができる。例えば、設計者は、想定される異物を歯付きベルト71に付着させて、プーリ72が異物に乗り上げたときに、歯飛びが生じるか否かを検証する。そして、設計者は、歯飛びが生じるプーリ72の最小浮き上がり量を第一設定値TH1とすることができる。
【0049】
第二設定値TH2についても同様であり、設計者は、想定される異物を歯付きベルト71に付着させて、プーリ72が異物に乗り上げたときに、歯飛びは生じないが物品搬送装置30による物品AR0の搬送に悪影響が生じるか否かを検証する。そして、設計者は、物品AR0の搬送に悪影響が生じるプーリ72の最小浮き上がり量を第二設定値TH2とすることができる。
【0050】
第一検出装置73および第二検出装置74は、プーリ72の浮き上がりを検出することができれば良く、種々の形態をとり得る。第一検出装置73および第二検出装置74は、プーリ72の浮き上がりを直接検出することもでき、プーリ72の浮き上がりを間接的に検出することもできる。本実施形態では、第一検出装置73および第二検出装置74は、プーリ72の浮き上がりに連動して移動するドッグ部材75を検出することにより、プーリ72の浮き上がりを間接的に検出する。
【0051】
ドッグ部材75は、第一検出装置73によって検出される第一部位75aと、第二検出装置74によって検出される第二部位75bとが階段状に形成されている。第一検出装置73の第一検出部73sおよび第二検出装置74の第二検出部74sは、例えば、光(レーザ光)を照射している。
図7に示すように、第一部位75aがプーリ72の浮き上がりに連動して移動して第一検出装置73の第一検出部73sに到達すると、第一検出部73sが照射する光が第一部位75aによって遮光される。これにより、第一検出装置73は、第一設定値TH1に達するプーリ72の浮き上がりを検出することができる。
【0052】
図8に示すように、第二部位75bがプーリ72の浮き上がりに連動して移動して第二検出装置74の第二検出部74sに到達すると、第二検出部74sが照射する光が第二部位75bによって遮光される。これにより、第二検出装置74は、第二設定値TH2に達するプーリ72の浮き上がりを検出することができる。このように、第一検出装置73および第二検出装置74は、プーリ72の所定の浮き上がりを、それぞれのタイミングで検出することができる。
【0053】
位置検出装置70は、支持部材76と、付勢部材77とを備えている。
図9に示すように、支持部材76は、歯付きベルト71とプーリ72との噛み合いを維持可能な範囲内において、プーリ72の支点72bを中心とする円弧方向(矢印D0方向)にプーリ72が変位可能にプーリ72を支持する。同図では、プーリ72の支点72bを視認可能に、プーリ72が透視されて図示されている。
【0054】
支持部材76は、プーリ72を回転可能に支持するプーリ側部材76aと、移動装置40の本体部41に固定される移動装置側部材76bとを備えている。プーリ側部材76aは、移動装置側部材76bに対して、支点72bを中心に円弧方向(矢印D0方向)に変位可能に保持されている。支点72bとプーリ72の回転中心72cは、異なる。付勢部材77は、プーリ72を歯付きベルト71の側に付勢する。例えば、付勢部材77は、ばね、ゴム等の弾性材料で形成される。付勢部材77の一端側は、プーリ側部材76aに固定され、付勢部材77の他端側は、移動装置側部材76bに固定されている。これらにより、プーリ72は、上記範囲内で上記方向に変位可能に保持される。仮に、レールRL0(第一レール32)の連結部JT0に隙間や段差が生じても、歯付きベルト71とプーリ72との噛み合い状態が維持される。
【0055】
1-5.物品搬送装置管理システム80による制御例
物品搬送装置管理システム80は、判断部81を備えることができる。物品搬送装置管理システム80は、制御部82を備えることもできる。物品搬送装置管理システム80は、案内部83を備えることもできる。物品搬送装置管理システム80は、取得部84および教示部85を備えることもできる。
図10に示すように、本実施形態の物品搬送装置管理システム80は、判断部81と、制御部82と、案内部83と、取得部84と、教示部85とを備えている。
【0056】
判断部81、制御部82、案内部83、取得部84および教示部85は、種々の制御装置、管理装置に設けることができる。本実施形態では、判断部81、制御部82、案内部83、取得部84および教示部85は、ライン制御装置LC0に設けられている。また、物品搬送装置管理システム80は、例えば、
図11に示すフローチャートに従って、制御を実行する。判断部81は、ステップS11に示す判断を行う。制御部82は、ステップS12、ステップS13およびステップS14に示す判断および処理を行う。案内部83は、ステップS15に示す処理を行う。取得部84は、ステップS16に示す処理を行う。教示部85は、ステップS17に示す処理を行う。
【0057】
既述したように、歯付きベルト71は、対基板作業機WM0ごとに備えられるレールRL0(第一レール32)に設けられる。第一検出装置73によって検出される歯飛びするプーリ72の浮き上がり量は、比較的に大きく、レールRL0(第一レール32)の連結部JT0に生じる隙間や段差の影響を受け難い。しかしながら、第二検出装置74によって検出される歯飛びが生じないプーリ72の浮き上がり量は、比較的小さく、レールRL0(第一レール32)の連結部JT0に生じる隙間や段差の影響を受け易い。
【0058】
そこで、判断部81は、第一検出装置73または第二検出装置74による検出結果をそのまま用いずに、プーリ72の浮き上がりが検出された検出位置に基づいて、プーリ72の浮き上がりの有無を判断すると良い(
図11に示すステップS11)。判断部81は、第一検出装置73がレールRL0若しくはレールRL0の連結部JT0においてプーリ72の浮き上がりを検出した場合、または、第二検出装置74がレールRL0においてプーリ72の浮き上がりを検出した場合に、歯付きベルト71に対するプーリ72の浮き上がりが生じたと判断する。
【0059】
また、判断部81は、第二検出装置74がレールRL0の連結部JT0においてプーリ72の浮き上がりを検出した場合に、歯付きベルト71に対するプーリ72の浮き上がりを判断しない。
図1に示す第一範囲DR1は、第一検出装置73によってプーリ72の浮き上がりが検出されたときに、判断部81が第一設定値TH1に達するプーリ72の浮き上がりが生じたと判断する範囲を示している。第二範囲DR2は、第二検出装置74によってプーリ72の浮き上がりが検出されたときに、判断部81が第二設定値TH2に達するプーリ72の浮き上がりが生じたと判断する範囲を示している。
【0060】
なお、プーリ72の浮き上がりが検出された検出位置は、既述した位置検出器78の検出結果に基づいて、既述した方法で取得することができる。判断部81によってプーリ72の浮き上がりが判断された場合(ステップS11でYesの場合)、制御は、ステップS12で示す判断に進む。判断部81によってプーリ72の浮き上がりが判断されなかった場合(ステップS11でNoの場合)、制御は、一旦、終了する。
【0061】
第一検出装置73によってプーリ72の浮き上がりが検出された場合、歯飛びが生じており、位置検出装置70によって検出される物品搬送装置30の検出位置が、実際の位置から大幅にずれる。既述したように、この場合、物品搬送装置30による物品AR0の搬送を継続することは困難である。よって、制御部82は、第一検出装置73によってプーリ72の浮き上がりが検出されたときに、物品搬送装置30を停止させる。
【0062】
具体的には、制御部82は、第一検出装置73によってプーリ72の浮き上がりが検出されたか否かを判断する(ステップS12)。第一検出装置73によってプーリ72の浮き上がりが検出された場合(ステップS12でYesの場合)、制御部82は、物品搬送装置30を停止させる(ステップS13)。第一検出装置73によってプーリ72の浮き上がりが検出されなかった場合(ステップS12でNoの場合)、制御は、ステップS14で示す判断に進む。
【0063】
第二検出装置74によってプーリ72の浮き上がりが検出された場合、歯飛びは生じておらず、物品搬送装置30が対基板作業機WM0との間で物品AR0の搬入または搬出を行う停止位置SP0を除く領域では、物品搬送装置30による物品AR0の搬送を継続することができる。しかしながら、停止位置SP0においてプーリ72の浮き上がりが検出された場合、既述したように、物品搬送装置30による物品AR0の搬入または搬出に悪影響を及ぼす可能性がある。よって、制御部82は、物品搬送装置30が対基板作業機WM0との間で物品AR0の搬入または搬出を行う停止位置SP0において、第二検出装置74によってプーリ72の浮き上がりが検出されたときに、物品搬送装置30を停止させる。
【0064】
具体的には、制御部82は、第二検出装置74によって停止位置SP0においてプーリ72の浮き上がりが検出されたか否かを判断する(ステップS14)。第二検出装置74によって停止位置SP0においてプーリ72の浮き上がりが検出された場合(ステップS14でYesの場合)、制御部82は、物品搬送装置30を停止させる(ステップS13)。第二検出装置74によって停止位置SP0においてプーリ72の浮き上がりが検出されなかった場合(ステップS14でNoの場合)、制御は、ステップS15で示す処理に進む。
【0065】
停止位置SP0およびレールRL0の連結部JT0を除くレールRL0において、第二検出装置74によってプーリ72の浮き上がりが検出された場合、歯付きベルト71に歯飛びが生じない程度の異物が付着している可能性がある。この場合、例えば、使用者に歯付きベルト71に異物が付着している可能性を案内して、異物を除去するのが好ましい。
【0066】
そこで、案内部83は、停止位置SP0およびレールRL0の連結部JT0を除くレールRL0において、第二検出装置74によってプーリ72の浮き上がりが検出されたときに、歯付きベルト71に異物が付着している可能性を案内する(ステップS15)。案内部83は、例えば、基板生産ライン1に設けられる表示装置DS0などに上記案内を表示することができる。これにより、使用者は、基板生産ライン1の停止時などに異物を除去することができる。
【0067】
第一検出装置73または第二検出装置74によって、プーリ72の浮き上がりが検出された場合、例えば、使用者は、プーリ72の浮き上がりが生じた対基板作業機WM0、および、当該対基板作業機WM0においてプーリ72の浮き上がりを検出した検出位置を知得できると、対処を行い易い。そこで、本実施形態の物品搬送装置管理システム80は、取得部84および教示部85を備えている。
【0068】
取得部84は、プーリ72の回転距離を取得する(ステップS16)。取得部84は、既述した位置検出器78の検出結果に基づいて、プーリ72の回転距離を取得することができる。教示部85は、第一検出装置73または第二検出装置74によってプーリ72の浮き上がりが検出されたときに、取得部84によって取得された回転距離に基づいて、プーリ72の浮き上がりが生じた対基板作業機WM0、および、当該対基板作業機WM0においてプーリ72の浮き上がりを検出した検出位置を教示する。
【0069】
教示部85は、例えば、既述した表示装置DS0などにおいて、プーリ72の浮き上がりが生じた対基板作業機WM0、および、当該対基板作業機WM0においてプーリ72の浮き上がりを検出した検出位置(例えば、上部スロット12または下部スロット13のスロット番号など)を教示する(ステップS17)。これにより、使用者は、プーリ72の浮き上がりが生じた対基板作業機WM0、および、当該対基板作業機WM0においてプーリ72の浮き上がりを検出した検出位置を容易に知得することができ、対処を行い易い。対処には、例えば、異物の除去、歯飛びが生じた場合の原点調整などが含まれる。
【0070】
1-6.その他
本実施形態では、対基板作業機WM0は、基板90に部品91を装着する部品装着機10である。また、物品AR0は、部品91を収容するキャリアテープが巻回されるリール23を回転可能に保持するフィーダ20である。しかしながら、対基板作業機WM0は、部品装着機10に限定されない。対基板作業機WM0は、例えば、はんだ印刷機、はんだ検査機、外観検査機などであっても良い。
【0071】
また、物品AR0は、フィーダ20に限定されない。物品AR0は、例えば、部品91が配列されているトレイ、部品装着機10において交換可能に装備されるノズルステーション、廃棄テープ回収容器などであっても良い。物品AR0は、はんだを収容するはんだ収容器などであっても良い。物品AR0は、装着ヘッド14、ディスペンスヘッド、検査ヘッドなどであっても良い。
【0072】
2.実施形態の効果の一例
物品搬送装置管理システム80では、位置検出装置70に第一検出装置73および第二検出装置74を備えるので、歯飛びが生じるプーリ72の浮き上がり、および、歯飛びが生じないプーリ72の浮き上がりの両方を検出することができる。
【符号の説明】
【0073】
1:基板生産ライン、10:部品装着機、20:フィーダ、
23:リール、30:物品搬送装置、70:位置検出装置、
71:歯付きベルト、72:プーリ、72a:歯部、72b:支点、
73:第一検出装置、74:第二検出装置、75:ドッグ部材、
75a:第一部位、75b:第二部位、76:支持部材、
77:付勢部材、80:物品搬送装置管理システム、81:判断部、
82:制御部、83:案内部、84:取得部、85:教示部、
90:基板、91:部品、AR0:物品、TH1:第一設定値、
TH2:第二設定値、RL0:レール、JT0:連結部、
SP0:停止位置、WM0:対基板作業機。