(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】切断作業機
(51)【国際特許分類】
A01G 3/033 20060101AFI20240516BHJP
A01G 3/04 20060101ALI20240516BHJP
A01D 34/13 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
A01G3/033
A01G3/04 501A
A01G3/04 501B
A01D34/13 C
(21)【出願番号】P 2020208726
(22)【出願日】2020-12-16
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】花田 和矢
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-036185(JP,A)
【文献】特開2015-116131(JP,A)
【文献】実開昭55-065959(JP,U)
【文献】米国特許第04592142(US,A)
【文献】特開2015-104362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 3/033
A01G 3/04
A01D 34/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体装置と、
前記本体装置の駆動力によって駆動する切断部と、を有し、
前記切断部は、
前記本体装置から前方に向けて延びているカッターサポートと、
前記カッターサポートに対して前後方向に移動自在に連結された上下のブレードと、
前記カッターサポートの前端部に設けられたガード部材と、を備え、
前記両ブレードには、左右方向に突出した切断刃が形成され、
上下に重ねた前記両ブレードが相反して前後方向に往復動するように構成されており、
前記ガード部材には、
前記カッターサポートに対して左右一方に突出したガードプレートと、
前記カッターサポートに対して左右他方に突出した固定刃と、が形成され、
前記ガードプレートおよび前記固定刃の前縁部は、前記両ブレードの最前の前記切断刃よりも前方に配置されており、
前記ガードプレートは、上側の前記ブレードの前記切断刃の上方に配置され、
前記固定刃は、上側の前記ブレードの最前の前記切断刃に対して前方に対向していることを特徴とする切断作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の切断作業機であって、
前記固定刃の下面の上下方向の位置は、上側の前記ブレードの前記切断刃の上面の上下方向の位置以下であることを特徴とする切断作業機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の切断作業機であって、
前記固定刃は、下側の前記ブレードが最も後退した状態において、下側の前記ブレードの前記切断刃が重ならないように構成されるとともに、
前記固定刃は、下側の前記ブレードが最も前進した状態において、下側の前記ブレードの前記切断刃の少なくとも一部が重なるように構成されていることを特徴とする切断作業機。
【請求項4】
本体装置と、
前記本体装置の駆動力によって駆動する切断部と、を有し、
前記切断部は、
前記本体装置から前方に向けて延びているカッターサポートと、
前記カッターサポートに対して前後方向に移動自在に連結された上下のブレードと、
前記カッターサポートの前端部に設けられたガード部材と、を備え、
前記両ブレードには、左右方向に突出した切断刃が形成され、
上下に重ねた前記両ブレードが相反して前後方向に往復動するように構成されており、
前記ガード部材には、
前記カッターサポートに対して左右一方に突出したガードプレートと、
前記カッターサポートに対して左右他方に突出した固定刃と、が形成され、
前記ガードプレートおよび前記固定刃の前縁部は、前記両ブレードの最前の前記切断刃よりも前方に配置されており、
前記ガードプレートは、下側の前記ブレードの前記切断刃の下方に配置され、
前記固定刃は、下側の前記ブレードの最前の前記切断刃に対して前方に対向していることを特徴とする切断作業機。
【請求項5】
請求項4に記載の切断作業機であって、
前記固定刃は、上側の前記ブレードが最も後退した状態において、上側の前記ブレードの前記切断刃が重ならないように構成されるとともに、
前記固定刃は、上側の前記ブレードが最も前進した状態において、上側の前記ブレードの前記切断刃の少なくとも一部が重なるように構成されていることを特徴とする切断作業機。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の切断作業機であって、
前記ガードプレートおよび前記固定刃の前縁部は、左右方向の外側に向かうに連れて後方に変位するように傾斜していることを特徴とする切断作業機。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の切断作業機であって、
前記ガードプレートの後縁部は、前記固定刃の後縁部よりも後方に配置されていることを特徴とする切断作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
生垣や植木の刈り込みや剪定に用いられる切断作業機としては、本体装置から前方に向けて延びているカッターサポートと、カッターサポートに連結された上下のブレードと、を備え、両ブレードが相反して前後方向に往復動するように構成されているヘッジトリマー(刈込機)がある。
また、切断作業機としては、本体装置から前方に向けて延びている筒体と、筒体の前端部に連結されたカッターサポートと、カッターサポートに連結されたブレードと、を有し、筒体内に挿通された駆動伝達軸によってブレードが往復動するように構成されているものがある。
【0003】
前記した切断作業機としては、カッターサポートにガード部材を固定し、ガード部材の前端部を、ブレードの前端部よりも前方に配置することで、刈り込み作業中にブレードの前端部が壁や建物などの構造物に当たるのを防ぐように構成されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した従来の切断作業機では、ガード部材とブレードの最前の切削刃との間で枝を切断できないため、構造物の近傍に位置した枝を刈り取り難い。そこで、作業者が構造物の近傍の枝を手作業で刈り取る必要があるため、生垣や植木の刈り込みや剪定の作業が煩雑になるという問題がある。
また、前記した従来の切断作業機では、前後方向に延長させた鋸をガード部材とブレードの最前の切削刃との間に配置し、その鋸をカッターサポートに固定しているが、この構成では、ブレードによる切断可能領域が狭くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決し、カッターサポートの前端部にガード部材を設けても、構造物の近傍の枝を容易に切断でき、また、ブレードによる切断可能領域を大きく確保できる切断作業機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、第一の発明は、切断作業機であって、本体装置と、前記本体装置の駆動力によって駆動する切断部と、を有している。前記切断部は、前記本体装置から前方に向けて延びているカッターサポートと、前記カッターサポートに対して前後方向に移動自在に連結された上下のブレードと、前記カッターサポートの前端部に設けられたガード部材と、を備えている。前記両ブレードには、左右方向に突出した切断刃が形成されている。上下に重ねた前記両ブレードが相反して前後方向に往復動するように構成されている。前記ガード部材には、前記カッターサポートに対して左右一方に突出したガードプレートと、前記カッターサポートに対して左右他方に突出した固定刃と、が形成されている。前記ガードプレートおよび前記固定刃の前縁部は、前記両ブレードの最前の前記切断刃よりも前方に配置されている。前記ガードプレートは、上側の前記ブレードの前記切断刃の上方に配置されている。前記固定刃は、上側の前記ブレードの最前の前記切断刃に対して前方に対向している。
【0008】
前記課題を解決するため、第二の発明は、切断作業機であって、本体装置と、前記本体装置の駆動力によって駆動する切断部と、を有している。前記切断部は、前記本体装置から前方に向けて延びているカッターサポートと、前記カッターサポートに対して前後方向に移動自在に連結された上下のブレードと、前記カッターサポートの前端部に設けられたガード部材と、を備えている。前記両ブレードには、左右方向に突出した切断刃が形成されている。上下に重ねた前記両ブレードが相反して前後方向に往復動するように構成されている。前記ガード部材には、前記カッターサポートに対して左右一方に突出したガードプレートと、前記カッターサポートに対して左右他方に突出した固定刃と、が形成されている。前記ガードプレートおよび前記固定刃の前縁部は、前記両ブレードの最前の前記切断刃よりも前方に配置されている。前記ガードプレートは、下側の前記ブレードの前記切断刃の下方に配置されている。前記固定刃は、下側の前記ブレードの最前の前記切断刃に対して前方に対向している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の切断作業機では、ガード部材のガードプレートおよび固定刃の前縁部によってブレードの前端部を保護するとともに、ガードプレートによって上下の切断刃の間に枝が噛み込まれるのを抑えることができる。
さらに、本発明の切断作業機では、一方のブレードの最前の切断刃に対向している固定刃と、他方のブレードの切断刃とによって枝を挟み込んで切断できるため、構造物の近傍の枝を容易に切断できるとともに、ブレードによる切断可能領域を大きく確保できる。したがって、本発明の切断作業機では、生垣や植木の刈り込みや剪定の作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る切断作業機を前方左上から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る切断作業機の切断部を前方左上から見た斜視図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る切断作業機の切断部を示した分解斜視図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係る切断作業機の切断部を示した平面図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係る切断作業機の切断部を示した側面図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係る切断作業機の切断部を示した正面図である。
【
図7】本発明の第一実施形態に係る切断作業機において、下側のブレードを後退させた状態を示した底面図である。
【
図8】本発明の第一実施形態に係る切断作業機において、下側のブレードを前進させた状態を示した底面図である。
【
図9】本発明の第二実施形態に係る切断作業機の切断部を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
以下の説明において、上下前後左右方向とは、本実施形態の切断作業機を説明する上で便宜上設定したものであり、切断作業機の構成や使用状態を限定するものではない。
【0012】
[第一実施形態]
第一実施形態の切断作業機1Aは、
図1に示すように、生垣や植木の刈り込みや剪定に用いられる手持式のヘッジトリマーである。
切断作業機1Aは、本体装置10と、本体装置10の駆動力によって駆動する切断部20と、を有している。
【0013】
本体装置10は、樹脂製の本体ケース11を有しており、本体ケース11内に内燃機関や電動モータなどの駆動源(図示せず)が収容されている。
本体ケース11の前部に前ハンドル12が設けられ、本体ケース11の後部に後ハンドル13が設けられている。作業者が切断作業機1Aを使用するときには、前ハンドル12および後ハンドル13を把持し、後ハンドル13に設けられた電源スイッチやトリガーレバーなどの操作手段を操作する。
【0014】
切断部20は、本体ケース11から前方に向けて直線状に延びている上側カッターサポート30と、上側カッターサポート30に連結された下側カッターサポート40(
図3参照)と、を備えている。また、切断部20は、上側カッターサポート30および下側カッターサポート40に対して前後方向に移動自在に連結された上下のブレード50,60と、上側カッターサポート30の前端部に設けられたガード部材70Aと、を備えている。
【0015】
上側カッターサポート30は、前後方向に延びている直線状の金属部材であり、後端部は本体ケース11内に収容されたギヤケース(図示せず)に連結して固定されている。
下側カッターサポート40は、
図3に示すように、前後方向に延びている直線状の金属部材であり、上側カッターサポート30の直下に配置されている。下側カッターサポート40の取付穴に下方から挿通させたボルトBを、上側カッターサポート30の取付穴に挿通させ、ボルトBの先端部にナットNを螺合させている。このようにして、上側カッターサポート30の下面に対して下側カッターサポート40が上下方向に間隔を空けて連結されている。
【0016】
上下のブレード50,60は、前後方向に直線状に延びている金属製の切断具である。上下のブレード50,60は、
図5に示すように、上下に重ね合わされており、上側カッターサポート30と下側カッターサポート40との間に配置されている。つまり、両ブレード50,60の上方に上側カッターサポート30が配置され、両ブレード50,60の下方に下側カッターサポート40が配置されている。
【0017】
上側のブレード50の左右の側部には、
図3に示すように、左右両側に突出した複数の切断刃51が形成されている。左右の各切断刃51は、前後方向に互い違いに並べられている。また、下側のブレード60の左右の側部にも、上側のブレード50と同様に、左右両側に突出した複数の切断刃61が形成されている。
【0018】
上下のブレード50,60には、前後方向に延びている複数の長穴52,62が形成されている。上下に連通した長穴52,62には、上側カッターサポート30および下側カッターサポート40の取付穴に挿通させたボルトBが挿通されている。
【0019】
上下のブレード50,60の後端部は、
図1に示すように、本体ケース11内に挿入されており、本体ケース11内のギヤケース(図示せず)に連結されている。
そして、本体装置10の駆動力によって、上下のブレード50,60が相反して前後方向に往復動し、上側のブレード50の切断刃51と、下側のブレード60の切断刃61との間に枝を挟み込んで切断するように構成されている。
【0020】
ガード部材70Aは、
図2に示すように、上側カッターサポート30の前端部に設けられている。ガード部材70Aは、切断作業機1Aによる刈り込み作業中に、上下のブレード50,60の前端部が、壁や建物などの構造物に当たるのを防ぐための金属部材である。
【0021】
ガード部材70Aは、両ブレード50,60よりも上方で上側カッターサポート30に固定されている。ガード部材70Aには、上側カッターサポート30の前端部に取り付けられる取付部71と、取付部71から右方に突出したガードプレート72と、取付部71から左方に突出した固定刃73と、が形成されている。
【0022】
取付部71は、上側カッターサポート30の前端部の上面に重ねられる部位である。
図3に示すように、取付部71に形成された前後の取付穴75,75に、上側カッターサポート30および下側カッターサポート40の取付穴に挿通させたボルトBを挿通させ、取付部71の上面側でボルトBにナットNを螺合させることで、取付部71が上側カッターサポート30の上面に固定されている(
図2参照)。取付部71の前縁部は、両ブレード50,60の前端部よりも前方に配置されている。
第一実施形態の取付部71では、前後の取付穴75,75の間に開口部76を形成することで、ガード部材70Aが軽量化されている。
【0023】
ガードプレート72は、
図4に示すように、取付部71の前部から右方に突出している板状の部位である。ガードプレート72の右端部は、右側の切断刃51,61の右端部よりも右方に配置されている。
【0024】
ガードプレート72は、平面視で略三角形に形成されている。ガードプレート72の前縁部72aは、右方(左右方向の外側)に向かうに連れて後方に変位するように傾斜している。また、ガードプレート72の前縁部72aは、外側に凸形状となるように弧状に湾曲している。
【0025】
ガードプレート72の前縁部72aおよび後縁部は、
図6に示すように、取付部71(上側カッターサポート30の上面)の位置よりも、その高さが低く形成されている。つまり、ガードプレート72は、下から見たときに、前縁部72aおよび後縁部よりも内側の部位が窪んでいる。
【0026】
ガードプレート72は、
図6に示すように、上側のブレード50の切断刃51よりも上方に配置されている。ガードプレート72は、上側のブレード50の切断刃51に接しないように、切断刃51の上面に対して所定間隔を空けて配置している。本実施形態では、上側のブレード50の切断刃51の最上面とガードプレート72の最下面との距離を、約3mmに設定することで、切断刃51とガードプレート72との間に枝葉が挟み込まれるのを防止している。
【0027】
ガードプレート72は、
図7および
図8に示すように、上下のブレード50,60の右側の最前の切断刃51,61を覆うように構成されている。また、ガードプレート72の前縁部72aは、両ブレード50,60の最前の切断刃51,61よりも前方に配置されている。
【0028】
固定刃73は、
図4に示すように、取付部71の前部から左方に突出している板状の部位である。固定刃73の左端部は、左側の切断刃61の左端部よりも左方に配置されている。
固定刃73は、平面視で略三角形に形成されている。固定刃73の後縁部73bは、上側カッターサポート30の軸方向に対して直交する左右方向に直線状に延びている。
【0029】
固定刃73の前縁部73aは、左方(左右方向の外側)に向かうに連れて後方に変位するように傾斜している。固定刃73の前縁部73aは、外側に凸形状となるように弧状に湾曲している。
ヘッジトリマーである切断作業機1Aの刈込作業においては、作業者は本体装置10を持って、上下のブレード50,60を左右方向に振って作業する。すなわち、上下のブレード50,60の先端部が左右方向に弧を描くように移動する。このとき、ガードプレート72および固定刃73が構造物などを傷付けないように、ガードプレート72の前縁部72aおよび固定刃73の前縁部73aを、外側に凸形状となるように弧状に湾曲させている。
【0030】
固定刃73は、
図5に示すように、上側のブレード50の最前の切断刃51に対して前方に対向している。固定刃73の前縁部73aは、下側の両ブレード50,60の左側の最前の切断刃51,61よりも前方に配置されている。また、固定刃73の後縁部73bよりもガードプレート72の後縁部が後方に配置されている。
【0031】
固定刃73の下面の上下方向の位置と、上側のブレード50の切断刃51の下面の上下方向の位置とは略同じ位置に配置されている。なお、固定刃73の下面の上下方向の位置は、上側のブレード50の切断刃51の上面の上下方向の位置以下に設定することが好ましい。
【0032】
図7に示すように、下側のブレード60が最も後退し、上側のブレード50が前進したときには、固定刃73と下側のブレード60の左側の最前の切断刃61とが前後方向に離れた状態となる。このように、固定刃73は、下側のブレード60が最も後退した状態において、下側のブレード60の切断刃61が重ならないように構成されている。また、固定刃73と上側のブレード50の左側の最前の切断刃51とは前後方向に離れている。
【0033】
図8に示すように、下側のブレード60が最も前進したときに、下側のブレード60の左側の最前の切断刃61の上面が、固定刃73の下面に重なるように構成されている。このように、固定刃73は、下側のブレード60が最も前進した状態において、下側のブレード60の切断刃61の少なくとも一部が重なるように構成されている。これにより、固定刃73と下側の切断刃61とによって枝を前後から挟み込んで切断できる。
【0034】
なお、下側のブレードが最も後退した状態で、固定刃73と下側のブレード60の切断刃61とが、完全に重ならないように構成するのが好ましい。固定刃73と切断刃61との前後方向の間隔が約10~20mmを設定するのが好ましく、本実施形態では、約15mmの間隔となるよう構成している。これにより、切断作業機1Aの先端部における固定刃73と下側の切断刃61とによる刈込可能領域を拡張できる。
【0035】
第一実施形態の切断作業機1Aは、
図1に示すように、本体装置10と、本体装置10の駆動力によって駆動する切断部20と、を有している。
切断部20は、
図2に示すように、本体装置10から前方に向けて延びている上側カッターサポート30と、上側カッターサポート30に対して前後方向に移動自在に連結された上下のブレード50,60と、上側カッターサポート30の前端部に設けられたガード部材70Aと、を備えている。
両ブレード50,60には、左右方向に突出した切断刃51,61が形成されている。上下に重ねた両ブレード50,60は相反して前後方向に往復動するように構成されている。
【0036】
ガード部材70Aには、上側カッターサポート30に対して右方に突出したガードプレート72と、上側カッターサポート30に対して左方に突出した固定刃73と、が形成されている。ガードプレート72および固定刃73の前縁部72a,73aは、両ブレード50,60の最前の切断刃51,61よりも前方に配置されている。ガードプレート72は、上側のブレード50の切断刃51の上方に配置されている。固定刃73は、上側のブレード50の最前の切断刃51に対して前方に対向している。
【0037】
そして、第一実施形態の切断作業機1Aでは、
図7に示すように、下側のブレード60が最も後退した状態において、固定刃73に下側のブレード60の切断刃61が重ならないように構成されている。また、固定刃73は、
図8に示すように、下側のブレード60が最も前進した状態において、下側のブレード60の切断刃61の少なくとも一部が重なるように構成されている。
【0038】
以上のような切断作業機1Aでは、
図2に示すように、ガード部材70Aのガードプレート72および固定刃73によって、両ブレード50,60の前端部が構造物に当たるのを防ぐことができ、両ブレード50,60を保護することができる。
【0039】
第一実施形態の切断作業機1Aでは、ガード部材70Aのガードプレート72によって、両ブレード50,60の前部の切断刃51,61が覆われるため、上下の切断刃51,61の間に枝が噛み込まれるのを抑えることができる。
【0040】
第一実施形態の切断作業機1Aでは、
図8に示すように、上側カッターサポート30の前端部に設けたガード部材70Aの固定刃73と、下側のブレード60の最前の切断刃61とによって、枝を挟み込んで切断できるため、構造物の近傍の枝を容易に切断できる。したがって、第一実施形態の切断作業機1Aでは、生垣や植木の刈り込みや剪定の作業効率を高めることができる。
【0041】
第一実施形態の切断作業機1Aでは、
図4に示すように、ガードプレート72および固定刃73の前縁部72a,73aが、左右方向の外側に向かうに連れて後方に変位するように傾斜している。この構成では、ガード部材70Aよりも前方の枝を、ガードプレート72および固定刃73の前縁部72a,73aに沿わせて、ガード部材70Aの後方に案内し易いため、構造物の近傍の枝を容易に切断できる。
【0042】
第一実施形態の切断作業機1Aでは、
図5に示すように、固定刃73の下面の上下方向の位置が、上側のブレード50の切断刃51の上面の上下方向の位置以下である。この構成では、固定刃73の下面と、下側のブレード60の最前の切断刃61の上面と、によって通常の切断刃と同様に刈込作業を行うことができる。
【0043】
第一実施形態の切断作業機1Aでは、
図4に示すように、ガードプレート72の後縁部が固定刃73の後縁部よりも後方に配置されている。この構成では、ガードプレート72の後方で噛み込みが生じ難くなる。
【0044】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は前記第一実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
第一実施形態のガード部材70Aでは、
図2に示すように、ガードプレート72が上側カッターサポート30に対して右方に突出し、固定刃73が上側カッターサポート30に対して左方に突出している。しかしながら、ガードプレート72を上側カッターサポート30に対して左方に突出させ、固定刃73を上側カッターサポート30に対して右方に突出させてもよい。
【0045】
第一実施形態のガード部材70Aでは、
図4に示すように、ガードプレート72および固定刃73が平面視で略三角形に形成されているが、ガードプレート72および固定刃73の形状は限定されるものではなく、例えば、左右方向に直線状に延ばしてもよい。
第一実施形態の固定刃73の後端面は、上面および下面に対して垂直に形成されているが、上面および下面に対して傾斜させることで、固定刃73の切断性能を高めてもよい。
【0046】
第一実施形態の切断作業機1Aでは、
図3に示すように、上側カッターサポート30とガード部材70Aとが別体に形成されているが、上側カッターサポート30の前端部にガード部材70Aを一体に形成してもよい。
【0047】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態に係る切断作業機1Bについて説明する。
第二実施形態の切断作業機1Bは、
図9に示すように、前記第一実施形態の切断作業機1A(
図6参照)と略同様な構成であり、ガード部材70Bの配置が異なっている。
【0048】
第二実施形態のガード部材70Bは、下側カッターサポート40の前端部に設けられている。つまり、第二実施形態のガード部材70Bは、下側カッターサポート40を介して、上側カッターサポート30に連結されている。ガード部材70Bのガードプレート72は、下側のブレード60の切断刃61よりも下方に配置されている。
【0049】
第二実施形態の固定刃73は、下側のブレード60の最前の切断刃61に対して前方に対向している。そして、上側のブレード50が最も後退した状態において、固定刃73に上側のブレード50の切断刃51が重ならないように構成されている。また、上側のブレード50が最も前進した状態において、固定刃73に上側のブレード50の切断刃51の少なくとも一部が重なるように構成されている。これにより、固定刃73と上側のブレード50の最前の切断刃51とによって枝を前後から挟み込んで切断できる。
【0050】
以上、本発明の第二実施形態について説明したが、本発明は前記第二実施形態に限定されることなく、前記第一実施形態と同様に、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
第二実施形態の切断作業機1Bでは、下側カッターサポート40にガード部材70Bが一体に形成されているが、下側カッターサポート40とガード部材70Bとを別体に形成してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1A 切断作業機(第一実施形態)
1B 切断作業機(第二実施形態)
10 本体装置
11 本体ケース
12 前ハンドル
13 後ハンドル
20 切断部
30 上側カッターサポート
40 下側カッターサポート
50 上側のブレード
51 切断刃
52 長穴
60 下側のブレード
61 切断刃
70A ガード部材(第一実施形態)
70B ガード部材(第二実施形態)
71 取付部
72 ガードプレート
72a 前縁部
73 固定刃
73a 前縁部
73b 後縁部
B ボルト
N ナット