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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   F21V 21/35 20060101AFI20240516BHJP
   F21V 21/096 20060101ALI20240516BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240516BHJP
【FI】
F21V21/35
F21V21/096
F21V23/00 160
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020210824
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022097306
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】府馬 秀典
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-058164(JP,A)
【文献】特開2020-112622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 21/35
F21V 21/096
F21V 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールに吸着し、前記レールから電力の供給を受けるマグネットと、
前記レールを、前記レールと直交する第1の方向に付勢する導電性の弾性体と、
を備え、
前記導電性の弾性体は、前記マグネットと、前記レールが延在する第2の方向において離間した位置に配置され、前記マグネットが前記レールに吸着する力により、前記第1の方向に圧縮される、電子機器。
【請求項2】
前記導電性の弾性体は、板バネ又はコイルバネである、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記導電性の弾性体が前記レールを第1の方向に付勢する付勢力は、前記マグネットの前記レールに対する吸着力よりも小さい、請求項1又は2に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置や監視カメラ等の電子機器を、壁面や天面等に設置されたレールに、当該レールが延在する方向に移動可能に取り付ける技術が知られている。その際、レールに電流が通され、レールを通じて電子機器に給電される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4989394号公報
【文献】実用新案登録第3053783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レールに取り付けられた電子機器に力が加わると、電子機器とレールとの接触が損なわれることにより、電子機器に対する電力供給が瞬断する場合がある。このような給電の瞬断は、照明の点滅や監視カメラの機能不全の原因となる。
【0005】
一つの側面では、安定的な電力供給を維持できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様において、電子機器は、レールに吸着し、前記レールから電力の供給を受けるマグネットと、前記レールを、前記レールと直交する第1の方向に付勢する導電性の弾性体とを備える。前記電子機器は、前記マグネットと、前記レールが延在する第2の方向において離間した位置に配置され、前記マグネットが前記レールに吸着する力により、前記第1の方向に圧縮される。
【0007】
一つの態様によれば、安定的な電力供給を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態における照明システムの一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態における固定機構の一例を示す分解斜視図である。
図3A図3Aは、第1の実施形態におけるレールの固定フレームへの取り付け手順の一例を示す斜視図である。
図3B図3Bは、第1の実施形態におけるレールの固定フレームへの取り付け手順の一例を示す斜視図である。
図4図4は、第1の実施形態における第1保持部材の一例を示す斜視図である。
図5図5は、第1の実施形態における第2保持部材の一例を示す斜視図である。
図6図6は、第1の実施形態におけるレールが取り付けられた固定フレームの一例を示す斜視図である。
図7図7は、第1の実施形態におけるレールが取り付けられた固定フレームの一例を示す上面図である。
図8図8は、第1の実施形態におけるレールが取り付けられた固定フレームの一例を示す断面図である。
図9図9は、第1の実施形態におけるレールに取り付けられた照明装置の一例を示す平面図である。
図10図10は、第1の実施形態における照明装置の一例を示す斜視図である。
図11図11は、第1の実施形態におけるスライダの一例を示す斜視図である。
図12A図12Aは、第1の実施形態におけるスライダのフック部の一例を示す拡大斜視図である。
図12B図12Bは、第1の実施形態におけるスライダのフック部の一例を示す拡大斜視図である。
図13図13は、第1の実施形態におけるレールに取り付けられた照明装置の一例を示す断面図である。
図14図14は、第1の実施形態における照明装置の一例を示す拡大斜視図である。
図15図15は、第1の実施形態におけるレールに取り付けられた照明装置の一例を示す断面図である。
図16A図16Aは、第1の実施形態におけるレールに取り付けられた照明装置の一例を示す拡大断面図である。
図16B図16Bは、第1の実施形態におけるレールに取り付けられた照明装置の一例を示す拡大断面図である。
図17図17は、第1の実施形態における筒部及び灯体を回動させた照明装置の一例を示す斜視図である。
図18A図18Aは、第1の実施形態における筒部の分解斜視図である。
図18B図18Bは、第1の実施形態における筒部の分解斜視図である。
図19図19は、第1の実施形態におけるロック機構が配置された灯体の一例を示す断面斜視図である。
図20図20は、第1の実施形態における筒部の伸縮の一例を示す斜視図である。
図21図21は、第1の実施形態におけるストッパの移動の一例を示す断面図である。
図22A図22Aは、第1の実施形態におけるストッパの移動の一例を示す拡大断面図である。
図22B図22Bは、第1の実施形態におけるストッパの移動の一例を示す拡大断面図である。
図23図23は、第1の実施形態における筒部の一例を示す拡大断面図である。
図24図24は、第1の実施形態における筒部の一例を示す断面図である。
図25図25は、第1の実施形態における筒部の断面の一例を示す分解斜視図である。
図26図26は、実施形態におけるフィルタが取り外された筒部の一例を示す断面図である。
図27図27は、第1の変形例における板バネを備えた照明装置の一例を示す拡大斜視図である。
図28図28は、第1の変形例における照明装置の一例を示す拡大断面図である。
図29図29は、第2の変形例における板バネを備えた照明装置の一例を示す拡大斜視図である。
図30図30は、第3の変形例における照明装置の一例を示す斜視図である。
図31A図31Aは、第3の変形例における板バネの一例を示す拡大斜視図である。
図31B図31Bは、第3の変形例における板バネの一例を示す拡大斜視図である。
図32図32は、第3の変形例における照明装置の一例を示す側面図である。
図33A図33Aは、第3の変形例におけるスライダの一例を示す斜視図である。
図33B図33Bは、第3の変形例におけるスライダの一例を示す斜視図である。
図34A図34Aは、第3の変形例における板バネとスライダとの位置関係の一例を示す拡大斜視図である。
図34B図34Bは、第3の変形例における板バネとスライダとの位置関係の一例を示す拡大斜視図である。
図34C図34Cは、第3の変形例における板バネとスライダとの位置関係の一例を示す拡大斜視図である。
図35図35は、第4の変形例における照明装置の一例を示す斜視図である。
図36A図36Aは、第4の変形例における給電マグネットが変位する前の照明装置の一例を示す拡大斜視図である。
図36B図36Bは、第4の変形例における給電マグネットが変位した照明装置の一例を示す拡大斜視図である。
図37A図37Aは、第4の変形例における磁石の変位の一例を示す断面図である。
図37B図37Bは、第4の変形例における磁石の変位の一例を示す断面図である。
図38図38は、第5の変形例における照明装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。各図面において、説明を分かりやすくするために、後に説明する天井CLに向かう方向をY軸正方向、レール20が延在する方向をX軸正方向とする座標系を図示する場合がある。
【0010】
まず、本実施形態における照明システムについて、図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態における照明システムの一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態における照明システム1は、固定フレーム10と、レール20と、第1保持部材30と、第2保持部材40と、給電部50と、照明装置3とを備える。照明装置3は、本体部60と、筒部70と、灯体71と、連結部79とを備える。図1に示すように、レール20には、照明装置3等の操作対象となる電子機器が取り付けられる。
【0011】
固定フレーム10は、レール20を、天井や壁面、床面等に固定させる部材である。固定フレーム10には、図1及び図2に示すように、第1保持部材30及び第2保持部材40が取り付けられたレール20が固定される。図2は、第1の実施形態における固定機構の一例を示す分解斜視図である。以下において、固定機構2は、固定フレーム10と、レール20と、第1保持部材30と、第2保持部材40とを含むものとする。
【0012】
図2に示すように、固定フレーム10は、天板11と、一対の側壁12と、切り欠き部13と、係合溝14と、突起部15と、開口部16と、複数のタッピンネジ19とを含む。固定フレーム10の天板11及び一対の側壁12は、例えば、ステンレス鋼などの金属板を折り曲げ加工することにより形成される。この場合において、一対の側壁12は、天板11に連続し、互いに対向する。本実施形態における固定フレーム10は、複数のタッピンネジ19により、天板11が天井CLと対向する状態で、天井CLに固定される。
【0013】
切り欠き部13及び係合溝14は、一対の側壁12のそれぞれに、左右対称となるように形成される。切り欠き部13は、一対の側壁12における、Y軸負方向側の端辺から、Y軸正方向に切りかかれた部分17と、部分17からX軸負方向側に切り欠かれた部分18とを備える。切り欠き部13は、例えば、一対の側壁12のX軸における中心部よりもX軸負方向側に形成される。係合溝14は、一対の側壁12における、X軸正方向側の端辺から、X軸負方向に切り欠かれた部分を備える。
【0014】
突起部15及び開口部16は、天板11に形成される。開口部16は、例えば、X軸方向において、切り欠き部13と近接する位置に形成される。突起部15は、開口部16と連続して形成される。突起部15は、例えば、天板11の開口部16に対応する部分を切断してY軸負方向側に折り曲げ、さらにX軸正方向側にもう一度折り曲げることにより形成される。
【0015】
図3A及び図3Bは、第1の実施形態におけるレールの固定フレームへの取り付け手順の一例を示す斜視図である。図2及び図3Aに示すように、レール20は、一対の側壁21と、一対の給電レール22a及び22bと、一対の第1のネジ穴23と、一対の第2のネジ穴24と、天板25と、端部27,28とを備える。給電レール22a及び22bは、例えば、一方がプラス極、もう一方がマイナス極に対応する。
【0016】
一対の側壁21は、天板25に連続し、互いに対向する。本実施形態において、一対の側壁21及び天板25は、いずれも凹凸や孔部等を有しないように形成される。一対の給電レール22a及び22bは、例えば鉄などの導電性の磁性体により形成される。
【0017】
一対の第1のネジ穴23及び一対の第2のネジ穴24は、給電レール22a及び22bの端部27及び28にそれぞれ形成される。一対の第1のネジ穴23は、給電レール22a及び22bのX軸負方向側の端面に形成される。一対の第2のネジ穴24は、給電レール22a及び22bのX軸正方向側の端面に形成される。一対の第1のネジ穴23には、図3Aに示す第1保持部材30が固定され、一対の第2のネジ穴24には、図3Aに示す第2保持部材40が固定される。
【0018】
図2に示すように、第1保持部材30は、一対のネジ39により、レール20の一対の第1のネジ穴23に固定される。その際、第1保持部材30とレール20のX軸負方向側の端面との間には、絶縁シート38が挟持される。また、第2保持部材40は、一対のネジ49により、レール20の一対の第2のネジ穴24に固定される。その際、第2保持部材40とレール20のX軸正方向側の端面との間には、絶縁シート48が挟持される。
【0019】
図4は、第1の実施形態における第1保持部材の一例を示す斜視図である。第1保持部材30は、底面31と、一対のネジ穴32と、一対の突出部33及び34と、孔部35,36とを備える。第1保持部材30は、例えばステンレス鋼などの金属により形成される。
【0020】
一対のネジ穴32には、図2に示す一対のネジ39が挿通され、レール20の一対の第1のネジ穴23に固定される。孔部35は、一対のネジ穴32よりもY軸正方向側に、好ましくは、Y軸方向において、一対の突出部33及び34と略同一の位置に形成される。孔部35は、図2に示す突起部15に挿通される。孔部36には、図1及び図2に示す給電部50が挿通される。給電部50は、例えば配線51を介して、電力の供給を受ける。また、給電部50は、孔部36を介して給電レール22a及び22bに接続することにより、給電レール22a及び22bに対して電力を供給する。なお、図3A及び図3Bにおいては、給電部50の図示を省略する。
【0021】
一対の突出部33及び34は、底面31からX軸正方向側に延在する。一対の突出部33及び34は、底面31に連続し、互いに対向する。一対の突出部33及び34は、例えば、金属の薄板を折り曲げ加工することにより形成される。これにより、一対の突出部33及び34は、図4に示す矢印の方向に弾性変形する。
【0022】
また、突出部33は、Z軸負方向側に突出する押圧部33aをさらに備える。押圧部33aは、例えば、突出部33をさらに折り曲げ加工することにより形成される。その際、押圧部33aは、突出部33に対して変形しないことが望ましい。同様に、突出部34は、Z軸正方向側に突出する押圧部34bをさらに備える。
【0023】
本実施形態における一対の突出部33及び34は、図4に示す一対の突出部33及び34の間のZ軸方向における幅W2が、図3Aに示す固定フレーム10のZ軸方向における幅W1よりも大きくなるように形成される。この場合において、一対の突出部33及び34は、押圧部33a及び34bに対して、図4に示す矢印の方向に力が加えられることにより、幅W2が幅W1よりも小さくなるように変形する。また、図4に示す矢印の方向に押圧する力がなくなると、押圧部33a及び34bは固定フレーム10の切り欠き部13から、Z軸方向における外側に突出する。この際、押圧部33a及び34bが固定フレーム10に対するフックとなることにより、固定フレーム10のX軸正方向への移動を抑制する。これにより、固定フレーム10の突起部15が、第1保持部材30の孔部35から外れることが抑止される。
【0024】
図5は、第1の実施形態における第2保持部材の一例を示す斜視図である。第2保持部材40は、主面41と、一対のネジ穴42と、一対の突出部43及び44とを備える。第2保持部材40は、例えばアルミニウムなどの金属により形成される。
【0025】
一対のネジ穴42は、第2保持部材40の主面41に形成される。一対のネジ穴42には、図2に示す一対のネジ49が挿通され、レール20の一対の第2のネジ穴24に固定される。一対の突出部43及び44は、第2保持部材40の主面41から、Z軸方向にそれぞれ延在する。本実施形態における一対の突出部43及び44は、図5に示す一対の突出部43及び44の間のZ軸方向における幅W3が、図3Aに示す固定フレーム10のZ軸方向における幅W1よりも大きくなるように形成される。
【0026】
本実施形態において、レール20は、図3A及び図3Bに示すように、固定フレーム10に対し、X軸負方向側から装着される。レール20は、レール20に固定された第1保持部材30の押圧部33a及び34bが、固定フレーム10の切り欠き部13の部分17に挿入されるように装着される。
【0027】
その際、一対の突出部33及び34は、押圧部33a及び34bに対して、図4に示す矢印の方向に力を加えられることにより、幅W2が幅W1よりも小さくなるように変形される。これにより、図3Bに示すように、一対の突出部33及び34のうち、少なくとも押圧部33a及び34bを除く部分が、固定フレーム10の一対の側壁12の間に挿入される。
【0028】
また、レール20に固定された、第2保持部材40の突出部43及び44は、図3Bに示すように、固定フレーム10の一対の側壁12における、X軸正方向側の端辺よりも、X軸正方向側に位置する。
【0029】
そして、第1保持部材30及び第2保持部材40が固定されたレール20は、固定フレーム10に対して、X軸負方向側に移動することにより、固定フレーム10に固定される。図6は、第1の実施形態におけるレールが取り付けられた固定フレームの一例を示す斜視図である。固定フレーム10に取り付けられた状態においては、レール20に固定された第1保持部材30の押圧部34bは、図3Bに示すような固定フレーム10の部分17の位置から、図6に示すような固定フレーム10の部分17の位置へと移動している。なお、押圧部34bを除いた突出部34を含む、第1保持部材30のその他の部分は、図6においては視認されない。
【0030】
また、固定フレーム10に取り付けられた状態においては、レール20に固定された第2保持部材40の突出部44は、図6に示すように、固定フレーム10の係合溝14に係合する。この場合において、第2保持部材40の主面41と、固定フレーム10の一対の側壁12におけるX軸正方向側の端辺とは、略面一になる。
【0031】
さらに、第1保持部材30の孔部35は、図7及び図8に示すように、固定フレーム10の突起部15に挿通される。図7は、第1の実施形態におけるレールが取り付けられた固定フレームの一例を示す上面図である。図8は、第1の実施形態におけるレールが取り付けられた固定フレームの一例を示す断面図である。図8では、図7のA-A線で切断した断面を示す。
【0032】
なお、レール20を固定フレーム10から離脱させる際には、図7に示す押圧部33a及び34bを矢印の方向(Z軸方向)に押圧するとともに、レール20をX軸正方向側に移動させる。そして、レール20が図3Bに示す位置に移動した状態で、レール20をY軸負方向側に移動させることで、レール20を固定フレーム10から離脱させることができる。
【0033】
このように、本実施形態において、第1保持部材30及び第2保持部材40が固定されたレール20は、第1保持部材30の突出部33及び34並びに押圧部33a及び34bと、第2保持部材40の突出部43及び44とにより、固定フレーム10に固定される。さらに、固定フレーム10の突起部15は、第1保持部材30の孔部35に挿通される。これにより、レール20が固定フレーム10に対して強固に固定されるため、レール20のぐらつきや脱落が抑制される。第1保持部材30及び第2保持部材40が装着されるレール20に、固定フレーム10に固定させるための凹凸や孔部等を設ける必要がなく、またレール20と第1保持部材30及び第2保持部材40とを同じ色とすることも容易にできるため、レール20の設計の自由度やデザイン性が向上する。
【0034】
以上説明したように、本実施形態における固定機構2は、操作対象3が取り付けられるレール20と、壁面、天面及び床面のうちいずれかに固定される固定フレーム10と、レール20を固定フレーム10に保持させる保持部材30,40とを備える。固定フレーム10には、保持部材30と係合する凹部13が、レールが延在する第1の方向に形成される。保持部材30,40は、第1の方向におけるレール20の第1の端部27に着脱可能に固定される。保持部材30は、第1の方向におけるレール20の第1の端部27に着脱可能に固定され、第1の方向において、第1の端部27から、第1の端部27とは反対側の第2の端部28へと向かう方向に突出する、第1の方向と交差する第2の方向において左右対称に形成された一対の突出部33,34を備える。保持部材40は、第1の方向におけるレールの第2の端部28に着脱可能に固定され、第2の方向に延在する突起部43,44を有する。かかる構成によれば、レール20を固定フレーム10に固定させる際の安定性を向上できる。
【0035】
このようにして固定フレーム10に固定されたレール20には、図1に示すような照明装置3の本体部60が取り付けられる。図9は、第1の実施形態におけるレールに取り付けられた照明装置の一例を示す平面図である。図9は、図1の照明システム1を、Y軸負方向側から見た図を示す。図9に示すように、レール20には、一対の側壁21から、Z軸方向における内側に延在する鍔部26a及び26bが形成される。
【0036】
図10は、第1の実施形態における照明装置の一例を示す斜視図である。図10は、照明装置3を、Y軸正方向側、すなわちレール20に取り付けられる側から見た状態を示す。照明装置3の本体部60は、例えば樹脂等により形成される。図10に示すように、照明装置3の灯体71は、連結部79を介して、本体部60に回動可能に連結される。また、本体部60は、一対の給電マグネット61a及び61bと、予備マグネット62と、ネジ63a及び63bと、フック部64a,64b,65a,65bと、側壁66a及び66bとを備える。また、本体部60には、スライダ90が、X軸正方向側から挿入される。なお、給電マグネット61a及び61bは、マグネットの一例である。
【0037】
一対の給電マグネット61a及び61bは、照明装置3がレール20に取り付けられた状態において、一対の給電レール22a及び22bにそれぞれ吸着する。これにより、一対の給電マグネット61a及び61bは、照明装置3の本体部60をレール20に吸着させるとともに、給電レール22a及び22bから本体部60へと電力を供給する。なお、予備マグネット62は、給電レール22bに吸着するが、給電レール22bから本体部60への電力の供給は行わない。また、ネジ63a及び63bには、後に説明するコイルバネ81a及び81b等が取り付けられる。
【0038】
フック部64a,64b,65a,65bは、本体部60の側壁66a及び66bにそれぞれ形成される、側壁66a及び66bよりもZ軸方向における外側に突出する部分である。フック部64a,64b,65a,65bは、図9に示すレール20の鍔部26a及び26bよりも、Z軸方向における外側に延在する。これにより、フック部64a,64b,65a,65bは、照明装置3がレール20に取り付けられた場合、レール20からの抜け止めとなる。
【0039】
フック部64a,64b,65a,65bは、側壁66a及び66bに比べて相対的に高い弾性を有する。このため、照明装置3がレール20に取り付けられる際には、フック部64a,64b,65a,65bがZ軸方向における内側に弾性変形することにより、照明装置3がレール20に取り付けられる。
【0040】
また、フック部64a,64b,65a,65bは、スライダ90が本体部60に挿入された場合、スライダ90により、Z軸方向における内側への変形が抑制される。この場合において、照明装置3がY軸負方向側にずれた際、フック部64a,64b,65a,65bが、レール20に形成される鍔部26a及び26bに引っかかることにより、照明装置3のレール20からの脱落が抑制される。
【0041】
図11は、第1の実施形態におけるスライダの一例を示す斜視図である。図11に示すように、スライダ90には、Z軸方向における一方の端辺に、突起91a及び92aが形成される。また、スライダ90のZ軸方向における反対側の端辺にも、突起91b及び92bが形成される。スライダ90の突起92a及び92bは、スライダ90が本体部60に挿入されると、フック部65a及び65bを、Z軸方向における内側から固定する。同様に、スライダ90の突起91a及び91bは、スライダ90が本体部60に挿入される際に、フック部64a及び64bを、Z軸方向における内側から固定する。
【0042】
図12A及び図12Bは、第1の実施形態におけるスライダのフック部の一例を示す拡大斜視図である。図12Bは、スライダ90が本体部60に完全に挿入された状態を示し、図12Aは、スライダ90がX軸正方向側に一部引き抜かれた状態を示す。図12A及び図12Bに示すように、スライダ90の突起91aのZ軸方向における位置は、フック部64aのZ軸方向における内側の面64a1の位置と略同一である。
【0043】
図12Aに示す状態においては、スライダ90の突起91aはフック部64aの面64a1に接していないので、フック部64aはZ軸方向における内側方向に弾性変形する。一方、図12Bに示すように、スライダ90が本体部60に挿入されると、突起91aがフック部64aの面64a1に接する。これにより、フック部64aのZ軸方向における内側への弾性変形が抑制される。
【0044】
図13は、第1の実施形態におけるレールに取り付けられた照明装置の一例を示す断面図である。図13では、図9のC-C線で切断した断面を示す。図13に示すように、本体部60のフック部64aは、レール20の鍔部26aの端部よりもZ軸正方向側に位置する。本体部60のフック部64bは、レール20の鍔部26bの端部よりもZ軸負方向側に位置する。すなわち、フック部64a及び64bがスライダ90の突起91a及び91bにより固定されている場合、照明装置3に、Y軸負方向側に向かう外力が働いた際においても、フック部64a,64b,65a,65bが、鍔部26a及び26bに引っかかることで、照明装置3がレール20から脱落することが抑制される。また、照明装置3をレール20から外す場合、図12Aに示すように本体部60からスライダ90を一部引き抜くことで、フック部64a及び64bが弾性変形可能となる。これにより、照明装置3をレール20から容易に取り外すことができる。
【0045】
また、照明装置3がレール20から脱落しない場合においても、レール20の給電レール22a及び22bと、本体部60の給電マグネット61a及び61bとの接続が瞬間的に失われた場合、照明装置3の消灯や点滅等の不具合の原因となる。そこで、本実施形態においては、照明装置3の本体部60に、給電マグネット61a及び61bに加えて、さらに導電性のコイルバネ81a及び81bを設けることにより、照明装置3の不具合を抑制する。
【0046】
図14は、第1の実施形態における照明装置の一例を示す拡大斜視図である。図14は、図10の枠F1に示す部分を拡大した図である。図14に示すように、本体部60のネジ63a及び63bには、それぞれコイルバネ81a及び81bが装着される。コイルバネ81a及び81bは、例えば銅などの導電性の金属により形成される。コイルバネ81a及び81bは、給電レール22a及び22bを、給電レール22a及び22bと直交する方向に付勢する。
【0047】
図15は、第1の実施形態におけるレールに取り付けられた照明装置の一例を示す断面図である。図15は、図9のB-B線で切断した断面を示す。図16Aは、第1の実施形態におけるレールに取り付けられた照明装置の一例を示す拡大断面図である。図16Aは、図15の枠F2に示す部分を拡大した図である。図15及び図16Aに示すように、照明装置3の本体部60と給電レール22bとは、給電マグネット61b及び予備マグネット62に加えて、コイルバネ81bでも接している。コイルバネ81aも同様に、給電レール22aとの接点となる。この場合において、コイルバネ81bは、給電マグネット61b及び予備マグネット62が給電レール22bに吸着する力により、Y軸方向に圧縮される。
【0048】
図16Bは、第1の実施形態におけるレールに取り付けられた照明装置3の別の一例を示す拡大断面図である。図16Bは、図16Aに示す照明装置3に外力が加わり、Y軸負方向側かつX軸正方向側に照明装置3の本体部60が傾いた状態を示す。図16Bに示す例においては、本体部60が傾いたことにより、給電マグネット61bと給電レール22bとの間に間隔G1が生じ、図16Aの部分C0における接触が損なわれる。この場合、予備マグネット62が給電レール22bと接している状態においても、照明装置3の消灯又は点滅が生じる場合がある。しかし、本実施形態においては、Y軸方向に圧縮されたコイルバネ81bが復元しようとする力により、図16の部分C1におけるコイルバネ81bと給電レール22bとの接触は維持される。これにより、本体部60への給電が維持されるので、照明装置3の消灯や点滅等の不具合が抑制される。
【0049】
以上説明したように、本実施形態における電子機器3は、レール22aに吸着し、レール22aから電力の供給を受けるマグネット61aと、レール22aを、レール22aと直交する第1の方向(Y軸正方向)に付勢する導電性の弾性体81aとを備える。電子機器3は、マグネット61aと、レール22aが延在する第2の方向(X軸正方向)において離間した位置に配置され、マグネット61aがレール22aに吸着する力により、レール22aと第2の方向に圧縮される。かかる構成によれば、電子機器3に対する安定的な電力供給を維持できる。
【0050】
レール20に取り付けられる照明装置3は、例えば照明装置3の灯体71の方向を変化させることにより、照明の照射方向を変更できる。本実施形態において、照明装置3の灯体71は、図9及び図10に示すように連結部79に軸支されており、例えば図9及び図10に示すような方向(Y軸負方向)から、図17に示すような方向(Y軸負方向かつX軸正方向)へと回動可能である。図17は、第1の実施形態における筒部及び灯体を回動させた照明装置の一例を示す斜視図である。図9図10、及び図17に示す例において、灯体71は、連結部79を中心として、X軸正方向側からX軸負方向側へと回動可能である。
【0051】
また、照明の配光を制御するために、照明装置3の灯体71に装着された筒部70を、Y軸方向に伸縮させる場合がある。筒部70は、例えば内周側に内ネジ78が形成されており、周方向(図17の矢印に示す方向)に回動することにより、灯体71に対する相対的な位置が変化する。この場合、筒部70が伸長する方向に回動する際、筒部70が灯体71から脱落することがある。
【0052】
そこで、本実施形態における照明装置3の筒部70及び灯体71は、筒部70を伸縮させる方向に回動させる範囲を制限するためのロック機構を備える。図18A及び図18Bは、第1の実施形態における筒部の分解斜視図である。図18Aに示すように、本実施形態における照明装置3の筒部70は、灯体71に取り付けられる。筒部70は、例えばアルミニウムなどの金属により形成される。灯体71は、例えばアルミなどの金属により形成される。本実施形態において、例えばLED(Light Emiting Diode)などの光源A2は、基板A1に搭載される。基板A1は、灯体71に配置される。
【0053】
筒部70の内周面には、例えば、内ネジ74及び78が形成される。灯体71の外周面には、外ネジ72が形成される。外ネジ72が、筒部70に形成された内ネジ78と螺合することにより、筒部70が灯体71に固定される。また、図18Bに示すように、筒部70の内ネジ78が形成された内周面には、ロック機構B0を構成する凹部75がさらに形成される。なお、灯体71は、本体の一例である。
【0054】
また、灯体71における、外ネジ72が形成された外周部には、開口部73が形成される。図19は、第1の実施形態におけるロック機構が配置された灯体の一例を示す断面斜視図である。図19は、図18Aにおける灯体71の断面S1における断面斜視図を示す。なお、図19において破線で示された部分は、ロック機構B0を構成する、ホルダB1と、板バネB2と、揺動軸B3と、ローラB4と、ストッパB5と、押圧部B6とに対応する。図19に示すように、灯体71の外周部には、開口部73が形成される。本実施形態におけるロック機構B0は、筒部70に形成される凹部75と、灯体71に配置されるホルダB1乃至押圧部B6とを含むものとする。本実施形態において、ロック機構B0を構成するホルダB1乃至押圧部B6は、図19に示すように、灯体71の開口部73付近に配置される。
【0055】
ホルダB1は、ローラB4を保持する。ホルダB1は、例えば樹脂により形成される。板バネB2は、押圧部B6を、灯体71の径方向における外側に付勢する。図19に示す例においては、板バネB2は、押圧部B6を、Z軸負方向側に付勢する。揺動軸B3は、例えば灯体71に嵌合され、ホルダB1を揺動可能に支持する。揺動軸B3は、例えばステンレス鋼などの金属により形成される。なお、ホルダB1は、回動部材を保持する部材の一例であり、板バネB2は、付勢部の一例である。
【0056】
ローラB4は、開口部73を介して、灯体71の外周面に形成された外ネジ72よりも径方向における外側に露出する。ローラB4は、筒部70の内周面に回動可能に接する。本実施形態において、ローラB4は、押圧部B6が付勢されることにより、筒部70の内周面に押し付けられる。ローラB4は、例えばニッケルメッキを施した真鍮により形成される。なお、ローラB4は、回動部材の一例である。
【0057】
ストッパB5は、後に説明するように、筒部70の凹部75に引っかかることにより、筒部70の回り止めとなる。押圧部B6は、板バネB2から付勢されることにより、ローラB4を保持するホルダB1を径方向における外側に押圧する。なお、径方向における外側に押圧されるローラB4と、筒部70の内ネジ78との間に生じる摩擦力により、筒部70のぐらつきが抑制される。なお、ストッパB5は、凸部の一例である。
【0058】
図20は、第1の実施形態における筒部の伸縮の一例を示す斜視図である。図20の(a)は、筒部70が伸長する前の状態を示し、図20の(b)は、筒部70が最大まで伸長した状態を示す。図20の(a)に示す状態においては、筒部70を伸長させる回転はロックされておらず、図20の(b)に示す状態においては、筒部70を伸長させる回転はロックされる。また、Y軸方向において、図20の(a)におけるE-E線における灯体71の位置と、図20の(b)におけるF-F線における灯体71の位置とは、いずれも灯体71の断面S1に示す位置(図19に示される位置)と略同一である。すなわち、図20に示す例においては、図20の(b)に示す灯体71の位置は、図20の(a)に示す灯体71の位置からは変化しておらず、筒部70のY軸方向における位置だけが変化している。
【0059】
図21は、第1の実施形態におけるストッパの移動の一例を示す断面図である。図21の(a)は、図20のE-E線で切断した断面を示し、図21の(b)では、図20のF-F線で切断した断面を示す。すなわち、図21の(a)は、図20の(a)に対応する、筒部70を伸長させる回転がロックされていない状態を示し、図21の(b)は、図20の(b)に対応する、筒部70を伸長させる回転がロックされた状態を示す。
【0060】
図22A及び図22Bは、第1の実施形態におけるストッパの移動の一例を示す拡大断面図である。図22Aは、筒部70を伸長させる回転がロックされていない状態におけるロック機構B0に関する部分、すなわち図21の(a)の枠F3に示す部分を拡大した図である。図22Bは、筒部70を伸長させる回転がロックされた状態におけるロック機構B0に関する部分、すなわち図21の(b)の枠F4に示す部分を拡大した図である。
【0061】
図22Aに示すように、本実施形態において、揺動軸B3のX軸方向における位置X1は、図22Aに示すホルダB1のX軸方向における中心X4よりもX軸正方向側に位置する。一方、押圧部B6のX軸方向における位置X6は、図22Aに示すホルダB1のX軸方向における中心X4よりもX軸負方向側に位置する。この場合において、押圧部B6が板バネB2により押圧された場合、図22Bに示すように、ホルダB1は、揺動軸B3を中心として矢印R1に示す方向に揺動する。これにより、図22Bに示すように、ホルダB1の角部B9は、矢印V2に示す方向(Z軸正方向)に揺動するのに対し、ストッパB5は、矢印V1に示す方向(Z軸負方向)に揺動する。なお、図22Aに示すように、ローラB4は、例えば、ホルダB1のX軸方向における中心X4付近に配置される。
【0062】
図23は、第1の実施形態における筒部の一例を示す拡大断面図である。図23では、図20のF-F線で切断した断面を示す。図23に示すように、筒部70の内周面に形成された凹部75は、湾曲部7Aと、段差部7Bとを備える。なお、湾曲部7Aは、第1の部分の一例であり、段差部7Bは、第2の部分の一例である。
【0063】
湾曲部7Aは、凹部75の中間部7Cと、筒部70の内周面における湾曲部7Aと隣接する部分7Dとが、スムーズに接続されるように形成される。一方、段差部7Bは、凹部75の中間部7Cと、及び筒部70の内周面における段差部7Bと隣接する部分7Eとを、不連続的に接続するように形成される。湾曲部7Aと、段差部7Bとは、中間部7Cを挟んで、周方向において互いに反対側に形成される。
【0064】
この場合において、ローラB4が矢印R3に示す方向に回動する場合、図22Bの矢印V2に示す方向に揺動する角部B9は、筒部70の湾曲部7A又は隣接する部分7Dに接しないため、筒部70は灯体71に対してスムーズに回動する。一方、ローラB4が矢印R2に示す方向に回動する場合、矢印V1に示す方向に揺動するストッパB5が、凹部75の段差部7Bに引っかかるため、筒部70の灯体71に対する回動が抑止される。すなわち、凹部75とローラB4とを含むロック機構B0が、筒部70の回り止めとなる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態における電子機器3は、外周面に外ネジ72が形成された本体71と、内周面に内ネジ78が形成され、内ネジ78が本体71の外ネジ72と螺合する筒部70とを備える。本体71の外周面には開口部73が形成される。本体71は、開口部73から径方向における外側に露出し、筒部70の内周面に回動可能に接する回動部材B4をさらに備える。筒部70の内周面には、回動部材B4の回動を抑制する凹部75がさらに形成される。かかる構成によれば、筒部を安定的に保持できる。
【0066】
また、照明装置3による配光の制御は、筒部70又は灯体71に、レンズやフィルタを取り付けることによっても実現可能である。図24は、第1の実施形態における筒部の一例を示す断面図である。図25は、第1の実施形態における筒部の断面の一例を示す分解斜視図である。図24では、図9のD-D線で切断した断面を示す。図24及び図25に示すように、本実施形態における筒部70には、鍔部76がさらに形成される。また、筒部70には、レンズA4と、レンズホルダA3とが装着される。レンズホルダA3には、例えば外ネジが形成される。この場合、レンズホルダA3は、筒部70に形成された内ネジ78に螺合することにより、筒部70に装着される。本実施形態において、レンズA4は、Y軸方向において、レンズホルダA3と、筒部70の鍔部76とに挟持されることにより、筒部70に装着される。
【0067】
また、図24及び図25に示すように、本実施形態における筒部70には、フードA5と、フィルタA6とがさらに装着される。フードA5には、例えば外ネジが形成される。この場合、フードA5は、筒部70に形成された内ネジ74に螺合することにより、筒部70に装着される。本実施形態において、フィルタA6は、Y軸方向において、筒部70の鍔部76と、フードA5とに挟持されることにより、筒部70に装着される。
【0068】
以上説明したような構成によれば、照明装置3の配光の制御に用いられるレンズやフィルタ等を、容易に照明装置3に着脱させることができる。例えば、フィルタA6を交換したり、取り外したりする際には、図25の分解図に示すように、筒部70にネジ止めされたフードA5を取り外せばよい。図26は、実施形態におけるフィルタが取り外された筒部の一例を示す断面図である。また、かかる構成によれば、レンズA4はレンズホルダA3と鍔部76とに挟持され、フィルタA6は鍔部76とフードA5とに挟持されるので、装着されたレンズやフィルタ等のぐらつきを抑制することができる。
【0069】
[変形例]
以上、本実施形態における構成について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、図19図21に示すようなロック機構B0における板バネB2は、押圧部B6を付勢する弾性体の一例であり、コイルバネやゴム等のその他の弾性を有する部材によっても実現可能である。また、ローラB4に代えて、ボールベアリング等を用いてもよい。
【0070】
さらに、図14乃至図16Bを用いて説明した、給電を維持するための構成に用いられる弾性体も、図14に示すようなコイルバネ81a及び81bに限られない。例えば、弾性体として、導電性を有する板バネを用いてもよい。図27は、第1の変形例における板バネを備えた照明装置の一例を示す拡大斜視図である。本変形例における照明装置4は、コイルバネ81a及び81bの代わりに、図27に示す板バネ82a及び82bを備える点が、図14に示す照明装置3と異なる。
【0071】
図27に示すように、板バネ82a及び82bは、例えば、それぞれネジ63a及び63bにより、本体部60に取りつけられる。板バネ82aは、第1突出部83aと、第2突出部84bとを備える。同様に、板バネ82bは、第1突出部83bと、第2突出部84bとを備える。板バネ82a及び82bは、例えば銅などの導電性の金属により形成される。
【0072】
板バネ82a及び82bは、コイルバネ81a及び81bと同様に、それぞれ給電レール22a及び22bとの接点となる。図28は、第1の変形例における照明装置の一例を示す拡大断面図である。図28では、図27のG-G線で切断した断面を示す。図28に示す板バネ82bの第1突出部83b及び第2突出部84bは、照明装置4がレール20に取り付けられると、コイルバネ81bと同様に、給電マグネット61b及び予備マグネット62が給電レール22bに吸着する力により、Y軸負方向に圧縮される。例えば、第1突出部83b及び第2突出部84bは、照明装置4がレール20に取り付けられる前の状態においては、給電マグネット61bに対して高さH1だけY軸正方向に突出しているが、照明装置4がレール20に取り付けられることにより、Y軸正方向における高さが給電マグネット61bと略同一になるように圧縮される。
【0073】
図14乃至図16Bに示すように、コイルバネ81a及び81bが有する付勢力により、実施形態における照明装置3と給電レール22a及び22bとの接触が維持される。しかし、付勢力が大き過ぎると、給電マグネット61b及び予備マグネット62による照明装置3と給電レール22bとの吸着力に影響を及ぼす。そこで、本変形例においては、図28に示すような板バネ82a及び82bを用いることにより、給電レール22a及び22bに対する付勢力を適切に調整しやすくなる。
【0074】
また、図28では、板バネ82bが2つの突出部83b及び84bを備える構成について説明したが、付勢力を調整するため、突出部の数を変更してもよい。図29は、第2の変形例における板バネを備えた照明装置の一例を示す拡大斜視図である。図29に示す照明装置5は、突出部86aを備えた板バネ85aと、突出部86bを備えた板バネ85bとを備える。なお、図29に示すように、突出部86aと86bとは、X軸方向において互い違いになるように配置されてもよい。このように、板バネが備える突出部の数、及び突出部が配置される位置を変更することにより、板バネによる付勢力をより適切に調整できる。
【0075】
また、図16Bに示すように、給電マグネット61bと給電レール22bとの接触が損なわれる場合における、弾性体が給電レール22bとの接触を維持するために必要な付勢力は、給電マグネット61bと弾性体との距離に左右される。例えば、図28に示すような、給電マグネット61bと板バネ82bの第2突出部84bとの距離L1がより大きくなることで、弾性体と給電レール22bとの接触を維持するために必要な付勢力はより小さくなる。距離L1が大きく成ることにより、給電マグネット61a又は61bが、給電レール22a又は22bから離脱する際の各弾性体の変位量は小さくなる。また、弾性体の付勢力による、給電マグネット61a及び予備マグネット62への分力も、距離L1に応じて変化する。
【0076】
そこで、図30以下に示すように、給電マグネット61bから突出部までの距離が長くなるような板バネを用いてもよい。図30は、第3の変形例における照明装置の一例を示す斜視図である。図30に示すように、本変形例における板バネ87a及び87bも、例えば、それぞれネジ63a及び63bにより、本体部60に取りつけられる。板バネ88a及び88bも、例えば銅などの導電性の金属により形成される。
【0077】
板バネ87a及び88bは、他の変形例に示すその他の板バネよりも、X軸方向における長さが大きくなるように形成される。板バネ87a及び87bは、それぞれ突出部88a及び88b、及び先端部89a及び89bを備える。本変形例において、給電マグネット61bから突出部88bまでの距離L2は、図32に示すように、他の実施形態及び変形例における距離よりも大きくなる。本変形例において、距離L2は、例えば、給電マグネット61aと予備マグネット62との分力を均等にするために、照明装置5のX軸正方向における給電マグネット61aと予備マグネット62の間隔(マグネットピッチ)の1/3よりも大きいことが好ましい。また、距離L2は、例えば、照明装置5におけるマグネットピッチの長さにできるだけ近い、すなわち弾性体の先端にあたる突出部88の位置を、予備マグネット62に近づけるようになることが好ましい。これにより、突出部88の先端のY軸方向における変位量が小さくなるので、突出部88と給電レール22a又は22bとの接触部の荷重変動が少なくなる。この結果、突出部88の給電レール22a又は22bに対する接触圧力の変動も小さくなるので、給電マグネット61a又は61bにおける導通確保に対する余裕度を大きくすることができる。
【0078】
図32は、第3の変形例における照明装置の一例を示す側面図である。図32に示す板バネ87aの突出部88aは、他の変形例と同様に、照明装置6がレール20に取り付けられると、給電マグネット61aが給電レール22aに吸着する力により、Y軸負方向に圧縮される。例えば、突出部88aは、照明装置6がレール20に取り付けられる前の状態においては、図31Aに示すように、給電マグネット61aに対して高さH2だけY軸正方向に突出している。そして、突出部88aは、照明装置4がレール20に取り付けられることにより、図31Bに示すように、Y軸正方向における高さが給電マグネット61aと略同一になるように圧縮される。すなわち、板バネ87a及び突出部88aは、87a2及び88a2の状態から、87a1及び88a1の状態へと変化する。図31B及び図31Aは、第3の変形例における板バネの一例を示す拡大斜視図である。図31B及び図31Aは、図30の枠F5に示す部分を拡大した図である。
【0079】
図32に示すように、本変形例における照明装置6がレール20に取り付けられる前の状態における給電マグネット61aと突出部88aとの高さH2は、図28に示す、第1の変形例における照明装置4がレール20に取り付けられる前の状態における給電マグネット61bと突出部84bとの高さH1よりも小さい。このように、給電マグネット61aと突出部88aとの距離L2を大きくとることで、突出部88aのY軸方向における変位量を小さくすることができる。
【0080】
板バネ87aの突出部88aは、例えば、スライダ95に形成された開口部96aからY軸負方向側へ突出する。また、本変形例において、板バネ87aの先端部89aが、スライダ95とY軸方向において接するような構成であってもよい。図33A及び図33Bは、第3の変形例におけるスライダの一例を示す斜視図である。図33A及び図33Bに示すように、本変形例におけるスライダ95は、開口部96a及び96bと、移動部97a及び97bと、抑止部98a及び98bとを備える点において、実施形態におけるスライダ90と異なる。
【0081】
スライダ95の移動部97aは、X軸方向に移動可能に形成される。移動部97aは、板バネ87aの突出部88aが開口部96aから突出する場合において、X軸正方向に移動することにより、突出部88aを移動部97aと抑止部98aとの間に挟持する。この場合において、抑止部98aは、板バネ87aの先端部89aに、Y軸正方向側から接する。これにより、抑止部98aは、先端部89aがY軸正方向側に変形又は移動しようとすることを抑止する。
【0082】
図34A乃至図34Cは、第3の変形例における板バネとスライダとの位置関係の一例を示す拡大斜視図である。図34Aに示すように、板バネ87aの突出部88aは、スライダ95の開口部96aから、Y軸正方向に突出する。突出部88aは、そして、図34Bに示すようにY軸負方向に圧縮されることにより、突出部88aは、88a2の状態から88a1の状態へと変化する。そして、スライダ95の移動部97aがX軸負方向に移動すると、図34Cに示すように、突出部88aは、スライダ95の移動部97aと抑止部98aとの間に挟持される。この場合において、図34Bに示す板バネ87aの先端部89aは、スライダ95の抑止部98aにより、Y軸正方向への変形や移動を抑止される。
【0083】
このように、本変形例においては、板バネ87aにY軸正方向の力(板バネ87aを本体部60から外そうとする力)が加わっても、板バネ87a及び突出部88aがY軸負方向側に変形することが抑制される。
【0084】
また、上記の実施形態及び各変形例においては、給電レール22a及び22bとの接触を維持するために、導電性を有する弾性体を用いる構成について説明したが、これに限られず、給電マグネット61a及び61bを変位させるような構成であってもよい。図35は、第4の変形例における照明装置の一例を示す斜視図である。図35に示すように、本変形例における照明装置7の本体部60は、実施形態及び他の各変形例における導電性を有する弾性体に代えて、サスペンションD0aを備える。サスペンションD0aは、例えば銅などの導電性の金属により形成される。本変形例におけるサスペンションD0aも、例えば、ネジ63aにより、本体部60に取りつけられる。なお、以下においては、給電マグネット61aを保持するサスペンションD0aを備える構成について説明するが、給電マグネット61aを保持するサスペンションD0bをさらに含む構成であってもよい。
【0085】
図36Aは、第4の変形例における給電マグネットが変位する前の照明装置の一例を示す拡大斜視図である。図37Aは、第4の変形例における磁石の変位の一例を示す断面図である。図36Aは、図35の枠F7に示す部分を拡大した図である。図37Aは、図35のH-H線で切断した断面を示す。図36A及び図37Aに示すように、サスペンションD0aは、開口部D1aと、先端部D2aと、側辺部D3aとを備える。
【0086】
本変形例において、給電マグネット61aの凸部61a1のY軸正方向側の面は、サスペンションD0aの先端部D2aに接している。また、本変形例における本体部60には、サスペンションD0aのY軸正方向への変位を抑制する、リミッタ69が形成される。
【0087】
本変形例において、給電マグネット61aは、本体部60への接触を維持しながら、Y軸方向に変位又は回動可能に配置される。例えば、照明装置8が、Y軸負方向側へ傾き又は移動した場合においても、給電マグネット61aの位置は、給電レール22aに対する吸引力により変化しない。すなわち、給電マグネット61aは、照明装置8が傾き又は移動する場合、照明装置8に対して相対的に変位する。
【0088】
図36Bは、第4の変形例における給電マグネットが変位した照明装置の一例を示す拡大斜視図である。図37Bは、第4の変形例における磁石の変位の一例を示す断面図である。図37Bは、図35のI-I線で切断した断面を示す。図36B及び図37Bに示すように、Y軸負方向側に変位する給電マグネット61aは、サスペンションD0aをY軸負方向に押圧する。一方、サスペンションD0aの側辺部D3aが、リミッタ69に接することにより、サスペンションD0aのY軸負方向側への変位は抑制される。これにより、サスペンションD0aを押圧する給電マグネット61aの変位幅及び変位角度が制限される。
【0089】
このような本変形例においては、マグネット保持力とサスペンションD0aの荷重(サスペンション力)をバランスさせる必要がある為、マグネット保持力>サスペンション力とすることが望ましい。また、本変形例においては、サスペンションD0aの形状によって、サスペンション力を調整することができるが、サスペンションD0aの板厚を調整することでも可能である。また、導電性の弾性体を別途用意しなくてもよいため、本体部60の部品点数を削減できる。
【0090】
なお、実施形態における照明装置3に、配光を手動で制御するためのスイッチ等が設けられていてもよい。図38は、第5の変形例における照明装置の一例を示す斜視図である。図38に示すように、変形例における照明装置8は、ダイヤル6Aをさらに備える。
【0091】
本実施形態における固定フレーム10は、天井CLに取り付けられる例について説明したが、床面や壁面など、その他の対象に取り付けられてもよい。また、筒部70及び灯体71は、ロック機構B0に加えて、筒部70を短縮させる方向における回転をロックする別のロック機構をさらに備えてもよい。
【0092】
また、例えば図10において、電子機器3が1つの予備マグネット62を備える構成を示したが、電子機器3が予備マグネットを含まないような構成であってもよく、また2つ以上の予備マグネットを備えてもよい。
【0093】
以上、本発明を実施形態及び各変形例に基づき説明したが、本発明は実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0094】
1 照明システム、 2 固定機構、 3,4,5,6,7,8 照明装置、 10 固定フレーム、 11 天板、 12 側壁、 13 切り欠き部、 14 係合溝、 15 突起部、 16 開口部、 19 タッピンネジ、 20 レール、 21 側壁、 22(22a,22b) 給電レール、 23,24 ネジ穴、 25 天板、 26(26a,26b) 鍔部、 27,28 端部、 30 第1保持部材、 31 底面、 32,42 ネジ穴、 33,34 突出部、 33a,34b 押圧部、 35 孔部、 36 孔部、 38,48 絶縁シート、 39,49 ネジ、 40 第2保持部材、 41 図面、 43,44 突出部、 50 給電部、 51 配線、 60 本体部、 61a,61b 給電マグネット、 62 予備マグネット、 63a,63b ネジ、 64a,64b,65a,65b フック部、 70 筒部、 71 灯体、 79 連結部、 81(81a,81b) コイルバネ、 82a,82b,85a,85b,87a,87b 板バネ、 90,95 スライダ、 91a,91b,92a,92b 突起、 A1 基板、 A2 光源、 A3 レンズホルダ、 A4 レンズ、 A5 フード、 A6 フィルタ、 B0 ロック機構、 B1 ホルダ、 B2 板バネ、 B3 揺動軸、 B4 ローラ、 B5 ストッパ、 B6 押圧部、 D0a サスペンション、 CL 天井
図1
図2
図3A
図3B
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図37B
図38