(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240516BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240516BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
G06F3/041 495
G06F3/041 422
G06F3/041 640
G06F3/044 126
G06F3/01 510
(21)【出願番号】P 2020211545
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕太郎
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-238292(JP,A)
【文献】特開2017-165100(JP,A)
【文献】特開2017-154659(JP,A)
【文献】特開2017-068780(JP,A)
【文献】国際公開第2015/155955(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/03
G06F 3/041 - 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
布を用いて形成され、前記筐体を被覆する被覆部材と、
前記被覆部材に設けられ、前記被覆部材の変形に追従する柔軟性を有する第1の電極部と、
前記第1の電極部と対向して静電結合を行うように前記筐体に設けられた第2の電極部と、
前記筐体に設けられ、前記第1の電極部に対する検出対象の接触検出のフィードバックのため、前記被覆部材を介して照明する照明部と、
前記第2の電極部及び前記照明部と電気的に接続され、前記第1の電極部に対する前記検出対象の接触による静電容量の変化に基づいて前記検出対象の接触を判定すると共に、前記照明部を制御して照明を行う制御部と、
を備え
、
前記第1の電極部は、導電性を有する糸によって形成され、割り当てられた操作対象の機能を示す刺繍からなる少なくとも1つの刺繍電極を有する、
操作装置。
【請求項2】
前記第1の電極部は、さらに、前記糸の連続した縫い目であってなぞり操作を検出する少なくとも1つのステッチ状電極を有し、
前記第2の電極部は、前記刺繍電極と対向して静電結合を行うように前記筐体に設けられた少なくとも1つのタッチ電極、及び前記ステッチ状電極に沿って並ぶ複数の位置検出電極を有する、
請求項
1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記照明部は、前記タッチ電極に応じて配置された少なくとも1つのタッチ用光源と、前記ステッチ状電極に沿って並ぶ複数のステッチ用光源と、を有する、
請求項
2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記位置検出電極が検出した前記検出対象の前記ステッチ状電極上の位置に応じた前記ステッチ用光源を点灯させる、
請求項
3に記載の操作装置。
【請求項5】
さらに、文字や数値を、前記被覆部材を介して表示させる表示部を有する、
請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項6】
車両に搭載され、前記車両の車載装置を操作対象とする、
請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、操作者の指の触れを検出するタッチセンサを有し、当該タッチセンサによる指の触れの検出に応じて車載機器への入力操作が可能なタッチ操作スイッチを備えた車両用操作装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の車両用操作装置は、スイッチや当該スイッチが配置されたパネルなどが樹脂材料や金属材料によって形成されており、触感や見た目が硬質である印象をユーザに抱かせる可能性がある。
【0005】
従って本発明の目的は、硬質な印象を抑制してユーザにとって居心地の良い空間を演出し易い操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、筐体と、布を用いて形成され、筐体を被覆する被覆部材と、被覆部材に設けられ、被覆部材の変形に追従する柔軟性を有する第1の電極部と、第1の電極部と対向して静電結合を行うように筐体に設けられた第2の電極部と、筐体に設けられ、第1の電極部に対する検出対象の接触検出のフィードバックのため、被覆部材を介して照明する照明部と、第2の電極部及び照明部と電気的に接続され、第1の電極部に対する検出対象の接触による静電容量の変化に基づいて検出対象の接触を判定すると共に、照明部を制御して照明を行う制御部と、を備えた操作装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、硬質な印象を抑制してユーザにとって居心地の良い空間を演出し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1(a)は、実施の形態に係る操作装置の一例を示す図であり、
図1(b)は、操作装置のブロック図の一例である。
【
図2】
図2(a)は、実施の形態に係る操作装置の被覆部材を取った筐体の一例を示す図であり、
図2(b)は、
図2(a)のA-A線で切断した断面を矢印方向から見た断面の一例を示している。
【
図3】
図3(a)は、実施の形態に係る操作装置の被覆部材に設けられたプラス記号の意匠を有する刺繍電極を操作した場合の動作の一例を説明するための図であり、
図3(b)は、上向の三角形状の意匠を有する刺繍電極を操作した場合の動作の一例について説明するための図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、実施の形態に係る操作装置の被覆部材に設けられたステッチ状電極に対してなぞり操作を行った場合の動作の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る操作装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る操作装置は、筐体と、布を用いて形成され、筐体を被覆する被覆部材と、被覆部材に設けられ、被覆部材の変形に追従する柔軟性を有する第1の電極部と、第1の電極部と対向して静電結合を行うように筐体に設けられた第2の電極部と、筐体に設けられ、第1の電極部に対する検出対象の接触検出のフィードバックのため、被覆部材を介して照明する照明部と、第2の電極部及び照明部と電気的に接続され、第1の電極部に対する検出対象の接触による静電容量の変化に基づいて検出対象の接触を判定すると共に、照明部を制御して照明を行う制御部と、を備えて概略構成されている。
【0010】
この操作装置は、ユーザに硬質な印象を与える金属や樹脂が露出するのではなく、金属や樹脂と比べて、ユーザに柔らかい印象を与える布で構成された被覆部材が露出している。また操作装置は、操作のフィードバックとして被覆部材を介した照明がなされるので、この構成を採用しない場合と比べて、照明自体も柔らかくなる。従って操作装置は、硬質な印象を抑制してユーザにとって居心地の良い空間を演出し易くすることができる。
【0011】
[実施の形態]
(操作装置1の概要)
図1(a)は、操作装置の一例を示す図であり、
図1(b)は、操作装置のブロック図の一例である。
図2(a)は、被覆部材を取った筐体の一例を示す図であり、
図2(b)は、
図2(a)のA-A線で切断した断面を矢印方向から見た断面の一例を示している。なお以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。また
図1(b)では、主な信号や情報の流れを矢印で示している。
【0012】
本実施の形態の操作装置1は、一例として、車両に搭載され、車両の車載装置を操作対象8としている。車載装置は、一例として、車両全体の設定や自動運転機能などの制御を行う車両制御装置、車室内の温度を調整する空調装置、現在地の地図や目的地までの誘導を行うナビゲーション装置、画像を表示する表示装置、シートの位置や傾きなどを制御するシート装置、音楽や映像を再生する音楽及び映像再生装置などである。また操作装置1は、例えば、これらの車載装置に有線又は無線によって接続された携帯端末などを操作することも可能である。なお操作装置1は、車載装置に限定されず、家で使用する電化製品、コンピュータ、携帯端末などに使用可能である。
【0013】
また操作装置1は、複数の操作対象8を操作するように構成されても良い。本実施の形態の操作装置1は、一例として、車室内に出力される音声案内や音楽の音量を調整する車両制御装置、車両のライトの点灯、消灯を制御するライト制御装置、及び空調装置を操作対象8とするがこれに限定されない。また操作装置1は、一例として、車両の運転席と助手席の間の前方のセンターコンソールに配置されるがこれに限定されない。
【0014】
操作装置1は、
図1(a)~
図2(b)に示すように、筐体10と、布を用いて形成され、筐体10を被覆する被覆部材2と、被覆部材2に設けられ、被覆部材2の変形に追従する柔軟性を有する第1の電極部3と、第1の電極部3と対向して静電結合を行うように筐体10に設けられた第2の電極部4と、筐体10に設けられ、第1の電極部3に対する検出対象の接触検出のフィードバックのため、被覆部材2を介して照明する照明部5と、第2の電極部4及び照明部5と電気的に接続され、第1の電極部3に対する検出対象の接触による静電容量の変化に基づいて検出対象の接触を判定すると共に、照明部5を制御して照明を行う制御部7と、を備えて概略構成されている。なお本実施の形態の検出対象は、一例として、ユーザの指であるがスタイラスペンなど静電容量方式のタッチセンサで検出可能なものであれば良い。
【0015】
操作装置1は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、さらに、文字や数値を、被覆部材2を介して表示させる表示部6を有している。
【0016】
筐体10は、例えば、ABS(=Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂などの絶縁性を有する材料を用いて形成されている。
【0017】
(被覆部材2の構成)
被覆部材2は、絶縁性を有する布などのファブリック素材によって少なくとも筐体10の上部が被覆されている。なお被覆部材2は、例えば、袋形状を有して筐体10の全体を覆うように構成されても良い。この被覆部材2は、一例として、照明部5の光、及び表示部6の表示の透過率が60%以下であり、かつユーザに視認される程度の透過率を有する素材を使用している。
【0018】
被覆部材2は、例えば、配置された先の周囲と統一感があるテクスチャ、つまり表面の質感や手触りを有する。例えば、操作装置1がセンターコンソールに配置される場合、センターコンソールの質感や手触りに応じた被覆部材2が使用される。また例えば、車両が自動運転機能を有し、車室内がユーザにとって落ち着ける空間となるように、車室全体がスエード調部材などの柔らかい印象を与える部材で統一されている場合、当該部材と同じ部材、又は同じではなくても違和感が少ない部材を用いて被覆部材2を構成することができる。
【0019】
(第1の電極部3の構成)
第1の電極部3は、
図1(a)に示すように、導電性を有する糸によって形成され、割り当てられた操作対象8の機能を示す刺繍からなる少なくとも1つの刺繍電極を有している。本実施の形態の刺繍電極は、一例として、刺繍電極30~刺繍電極34である。
【0020】
導電性の糸は、一例として、ナイロンやポリエステルなどの樹脂製の糸の表面を銀やステンレス鋼などの導電性金属で被膜した糸や導電性カーボンなどを糸に練り込んだ糸である。
【0021】
刺繍電極30は、例えば、音量を下げる機能が割り当てられている。そこで刺繍電極30は、一例として、設定値を下げる機能が連想し易いマイナス記号の意匠が刺繍によって形作られている。
【0022】
刺繍電極31は、例えば、音量を上げる機能が割り当てられている。そこで刺繍電極31は、一例として、設定値を上げる機能が連想し易いプラス記号の意匠が刺繍によって形作られている。
【0023】
刺繍電極32は、例えば、車両のライトを周囲の明るさによって自動で点灯させる機能が割り当てられている。そこで刺繍電極32は、一例として、ライトに関する機能が連想し易い太陽を模した意匠が刺繍によって形作られている。
【0024】
刺繍電極33は、例えば、空調装置の設定温度を1℃上げる機能が割り当てられている。そこで刺繍電極30は、一例として、刺繍電極31とは異なる意匠として、設定値を上げる機能が連想し易い上向の三角形の意匠が刺繍によって形作られている。
【0025】
刺繍電極34は、例えば、空調装置の設定温度を1℃下げる機能が割り当てられている。そこで刺繍電極34は、一例として、刺繍電極30とは異なる意匠として、設定値を下げる機能が連想し易い下向の三角形の意匠が刺繍によって形作られている。
【0026】
また第1の電極部3は、さらに、糸の連続した縫い目であってなぞり操作を検出する少なくとも1つのステッチ状電極を有している。本実施の形態の操作装置1は、一例として、
図1(a)の紙面の左右を横断するように形成された1本のステッチ状電極35を有している。筐体10には、
図2(b)に示すように、表面100に段差103があり、その段差103がなぞり操作のガイドとなるように、ステッチ状電極35が設けられている。なおステッチ状電極の本数、縫い目の本数、縫い目のピッチ、縫い方、全体の長さ、糸の太さ、及び方向などは、本実施の形態のステッチ状電極35に限定されない。
【0027】
このステッチ状電極35は、設定値を上下させる機能が割り当てられている。例えば、ユーザが
図1(a)の紙面左から右方向にステッチ状電極35に対してなぞり操作を行った場合、設定値がなぞり操作の距離に応じて上がり、右から左方向になぞり操作を行った場合、設定値がなぞり操作の距離に応じて下がる。なおなぞり操作の距離がゼロの場合、一例として、ステッチ用光源が点灯するものの設定値が変化しないがこれに限定されない。
【0028】
この設定値は、一例として、空調装置の風量である。つまりユーザが右方向になぞり操作を行うと、風量が上がり、左方向になぞり操作を行うと、風量が下がる。
【0029】
なお変形例として、ステッチ状電極35は、表示された画像の次の画像、又は前の画像にスクロールする機能、表示された地図画像の縮尺を変更する機能、車室内の照明の明るさや色味を変える機能などが割り当てられても良いし、これらに限定されない。
【0030】
第1の電極部3は、ユーザが触れることにより、対向して筐体10に配置された第2の電極部4と静電結合を行う。第1の電極部3は、ユーザの指を導くと共に静電結合の効率を上げるために設けられている。
【0031】
なお変形例として第1の電極部3は、導電糸による刺繍ではなく、導電性の糸によって形成された布、導電性のゴムやシリコンなどであっても良い。これらは、刺繍と同様に、割り当てられた機能を示す意匠を有している。
【0032】
(第2の電極部4の構成)
第2の電極部4は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、第1の電極部3の刺繍電極30~刺繍電極34と対向して静電結合を行うように筐体10に設けられたタッチ電極40~タッチ電極44を有している。また第2の電極部4は、ステッチ状電極35に沿って並ぶ複数の位置検出電極を有する。本実施の形態の第2の電極部4は、一例として、位置検出電極45a~位置検出電極45lを有している。
【0033】
第2の電極部4は、例えば、銅やアルミニウムなどの導電性金属により形成されている。本実施の形態の第2の電極部4は、一例として、銅箔として筐体10の上部の裏面101に設けられている。なお位置検出電極45a~位置検出電極45lは、
図2(b)に示すように、筐体10の段差103の裏面101に設けられている。
【0034】
第2の電極部4は、
図2(b)に示すように、配線46を介して、制御部7などを含む電子回路と電気的に接続されている。この電子回路は、筐体10の底面102に配置された基板11の設置面110に形成されている。配線46は、電線であっても良いし、フレキシブルケーブルであっても良い。
【0035】
タッチ電極40~タッチ電極44は、自己容量方式のタッチセンサの検出電極である。タッチ電極40~タッチ電極44は、指との間で生じる静電結合、及び指が接触した第1の電極部3の刺繍電極30~刺繍電極34との間で生じる静電結合によって検出された静電容量を静電容量情報S1~静電容量情報S5として制御部7に出力する。
【0036】
制御部7は、取得した静電容量情報S1~静電容量情報S5に基づいて検出された静電容量の変化量が後述する第1の静電しきい値71以上であった場合、第1の静電しきい値71以上となったタッチ電極に対応する刺繍電極にタッチ操作がなされたと判定する。なお第1の静電しきい値71は、刺繍電極30~刺繍電極34に対するタッチ操作を判定するためのしきい値である。
【0037】
また同様に、位置検出電極45a~位置検出電極45lは、自己容量方式のタッチセンサの検出電極である。位置検出電極45a~位置検出電極45lは、指との間で生じる静電結合、及び指が接触した第1の電極部3のステッチ状電極35との間で生じる静電結合によって検出された静電容量を静電容量情報S6~静電容量情報S17として制御部7に出力する。
【0038】
制御部7は、取得した静電容量情報S6~静電容量情報S17に基づいて検出された静電容量の変化量が後述する第2の静電しきい値72以上であった場合、第2の静電しきい値72以上となった位置検出電極に対応するステッチ状電極35の位置に指が位置すると判定する。なお第2の静電しきい値72は、ステッチ状電極35に対するなぞり操作を判定するためのしきい値である。
【0039】
タッチ電極40~タッチ電極44は、
図1(a)に示すように、対向する刺繍電極30~刺繍電極34よりも大きい矩形状を有している。位置検出電極45a~位置検出電極45lは、一方の辺がステッチ状電極35の糸の太さよりも十分大きくまたステッチ状電極35をなぞる指の大きさを考慮した長さであり、他方の辺がステッチ状電極35を等間隔に分けた長さとなる矩形状を有している。なおステッチ状電極35に対する位置検出電極の数は、これに限定されない。
【0040】
(照明部5の構成)
照明部5は、タッチ電極に応じて配置された少なくとも1つのタッチ用光源と、ステッチ状電極に沿って並ぶ複数のステッチ用光源と、を有する。
【0041】
本実施の形態の照明部5は、タッチ電極40~タッチ電極44に応じて筐体10に配置されたタッチ用光源50~タッチ用光源54と、ステッチ状電極35に沿って並ぶ位置検出電極45a~位置検出電極45lに応じて筐体10に配置されたステッチ用光源55a~ステッチ用光源55lと、筐体10に配置された後述するフィルム16aを照明する背面照明用光源57と、を有する。
【0042】
タッチ用光源50~タッチ用光源54、ステッチ用光源55a~ステッチ用光源55l、及び背面照明用光源57は、例えば、LED(=Light Emitting Diode)素子である。これらの光源は、基板11の設置面110に配置され、制御部7と電気的に接続されている。
【0043】
タッチ用光源50~タッチ用光源54、ステッチ用光源55a~ステッチ用光源55l、及び背面照明用光源57は、駆動信号S18~駆動信号S35に基づいて点灯する。
【0044】
タッチ用光源50~タッチ用光源54は、
図2(b)に示すように、光源ごとに筒体12の中に配置されている。またタッチ用光源50~タッチ用光源54は、筒体12ごとにライトガイド120が筐体10と筒体12の間に配置されている。ライトガイド120は、
図2(b)に示すように、先端が刺繍電極30~刺繍電極34に応じて筐体10の表面100に形成された開口15a~開口15eに挿入されている。
【0045】
背面照明用光源57は、筒体13の中に配置されている。また背面照明用光源57は、ライトガイド130が筐体10と筒体13の間に配置されている。ライトガイド130は、
図2(b)に示すように、先端が筐体10の表面100に形成された開口16に挿入されている。
【0046】
この開口16には、光を透過する意匠が形成されたフィルム16aが取り付けられている。意匠は、
図2(a)に示すように、温度の単位を示す「℃」である。温度の単位は、操作によって変更する必要がないので、フィルム16aを介して固定した表示とされている。背面照明用光源57は、このフィルム16aを、ライトガイド130を介して照明することで、被覆部材2に「℃」の意匠を表示させるものである。
【0047】
ステッチ用光源55a~ステッチ用光源55lは、1つの筒体14の中に配置されている。ステッチ用光源55a~ステッチ用光源55lは、1つのライトガイド140が筐体10と筒体14の間に配置されている。ライトガイド140は、
図2(b)に示すように、先端がステッチ状電極35に応じて筐体10の表面100に形成された細長い開口18に挿入されている。
【0048】
操作装置1は、ステッチ用光源55a~ステッチ用光源55lが1つのライトガイド140を介して光を出力するので、なぞり操作に応じた位置が周辺より強く光る、グラデーション効果を得ることができる。なお変形例としてステッチ用光源の数は、位置検出電極の数と異なっても良い。
【0049】
ライトガイド120~ライトガイド140は、例えば、透明又は乳白色のアクリルなどの光の透過率が高い樹脂を用いて形成されている。
【0050】
(表示部6の構成)
表示部6は、設定温度の温度部分を表示する。この表示部6は、一例として、7セグメントディスプレイによって構成されている。7セグメントディスプレイは、7つの区画を有し、この7つの区画のそれぞれにLED素子が配置されている。そして7セグメントディスプレイは、LED素子の点灯と消灯を組み合わせることにより、数字を表示することができる。本実施の形態の表示部6は、二桁の温度を表示するので、2つの7セグメントディスプレイを有しているがこれに限定されず、さらに小数点以下の温度(=0.5℃)を表示するように構成されても良い。
【0051】
表示部6は、筐体10に形成された開口17に配置されている。表示部6は、背面照明用光源57によって照明された「℃」と共に設定温度を示している。表示部6は、駆動信号S36に基づいて設定温度の数字部分を表示する。
【0052】
なお変形例として表示部6は、液晶ディスプレイや有機EL(=Electro Luminescence)ディスプレイなどの数字や文字、それら以外の画像を表示するものであっても良い。
【0053】
(制御部7の構成)
制御部7は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(=Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(=Random Access Memory)及びROM(=Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部7が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。また制御部7は、その内部にクロック信号を生成する手段を有し、このクロック信号に基づいて動作を行う。
【0054】
制御部7は、
図1(b)に示すように、記憶部70と電気的に接続されている。この記憶部70は、基板11に配置された半導体メモリであるがこれに限定されず、制御部7のRAMやROMであっても良い。この記憶部70には、刺繍電極に対するタッチ操作を判定するための第1の静電しきい値71と、ステッチ状電極35に対するなぞり操作を判定するための第2の静電しきい値72と、が記憶されている。この第1の静電しきい値71と第2の静電しきい値72は、一例として、異なる値を有している。
【0055】
図3(a)は、プラス記号の意匠を有する刺繍電極を操作した場合の動作の一例を説明するための図であり、
図3(b)は、上向の三角形状の意匠を有する刺繍電極を操作した場合の動作の一例について説明するための図である。
図4(a)及び
図4(b)は、ステッチ状電極に対してなぞり操作を行った場合の動作の一例を説明するための図である。
図4(b)の矢印は、操作指90の移動方向を示している。ここでは、一例として、右手9の操作指90(=人差指)によって操作するものとする。
図3(a)~
図4(b)に示す太い右肩上がりの斜線は、照明部5の光源が点灯している状態である照明箇所58を示している。
【0056】
・刺繍電極31に対するタッチ操作
図3(a)に示すように、ユーザが音量を上げるために刺繍電極31に操作指90を接触させると、操作指90及びタッチ電極41との間、刺繍電極31及びタッチ電極41との間の静電結合により、非接触時と比べて、検出される静電容量が変化する。制御部7は、タッチ電極41から取得した静電容量情報S
2に基づく変化量が第1の静電しきい値71以上となった場合、刺繍電極31にタッチ操作がなされたと判定する。
【0057】
制御部7は、刺繍電極31に対するタッチ操作が受け付けられたことを示すフィードバックとして刺繍電極31に対応するタッチ用光源51を点灯させる駆動信号S19を生成してタッチ用光源51に出力する。
【0058】
タッチ用光源51は、駆動信号S19が供給されている期間、点灯する。この期間は、例えば、タッチ操作が検出されている間であるがこれに限定されず、タッチ操作が終了した後も点灯状態が一定時間継続されても良い。
【0059】
制御部7は、刺繍電極31に対してタッチ操作がなされたことを示す操作情報S37を生成して操作対象8に出力する。
【0060】
・刺繍電極33に対するタッチ操作
図3(b)に示すように、ユーザが設定温度を上げるために刺繍電極33に操作指90を接触させると、操作指90及びタッチ電極43との間、刺繍電極33及びタッチ電極43との間の静電結合により、非接触時と比べて、検出される静電容量が変化する。制御部7は、タッチ電極43から取得した静電容量情報S
4に基づく変化量が第1の静電しきい値71以上となった場合、刺繍電極33にタッチ操作がなされたと判定する。
【0061】
制御部7は、刺繍電極33に対するタッチ操作が受け付けられたことを示すフィードバックとして刺繍電極33に対応するタッチ用光源53を点灯させる駆動信号S21を生成してタッチ用光源53に出力する。また制御部7は、表示部6の表示を変えるための駆動信号S36を生成して表示部6に出力する。
【0062】
タッチ用光源53は、駆動信号S21が供給されている期間、点灯する。この期間は、例えば、タッチ操作が検出されている間であるがこれに限定されず、タッチ操作が終了した後も点灯状態が一定時間継続されても良い。表示部6は、駆動信号S36に基づいて表示を「27」から「28」に変更する。
【0063】
制御部7は、刺繍電極33に対してタッチ操作がなされたことを示す操作情報S37を生成して操作対象8に出力する。なおユーザが刺繍電極33を長押しした場合、制御部7は、長押しされている時間に応じて表示部6の表示を変更すると共に、設定温度を連続的に変化させる操作情報S37を出力する。
【0064】
・ステッチ状電極35に対するなぞり操作
制御部7は、位置検出電極が検出した検出対象のステッチ状電極上の位置に応じたステッチ用光源を点灯させるように構成されている。なお制御部7は、操作指90を検出した位置検出電極を予め定められた期間、記憶部70に記憶し、予め定められた期間の操作量を操作情報S37として出力するものとする。また操作指90が接触した状態で予め定められた期間、移動しない場合、一例として、操作量がゼロのなぞり操作とされるものとするがこれに限定されない。
【0065】
図4(a)に示すように、ユーザが風量を上げるためにステッチ状電極35に操作指90を接触させなぞり操作を開始すると、まず接触した位置(=位置検出電極45c)において操作指90及び位置検出電極45cとの間、ステッチ状電極35及び位置検出電極45cとの間の静電結合により、非接触時と比べて、検出される静電容量が変化する。制御部7は、位置検出電極45cから取得した静電容量情報S
8に基づく変化量が第2の静電しきい値72以上となった場合、位置検出電極45cに操作がなされたと判定する。
【0066】
制御部7は、位置検出電極45cに対する操作が受け付けられたことを示すフィードバックとして位置検出電極45cに対応するステッチ用光源55cを点灯させる駆動信号S25を生成してステッチ用光源55cに出力する。
【0067】
ステッチ用光源55cは、駆動信号S25が供給されている期間、点灯する。この期間は、例えば、操作指90が検出されている間であるがこれに限定されず、操作指90が検出されなくなった後も徐々に弱くなるような点灯状態が一定時間継続されても良い。
【0068】
図4(b)に示すように、続いてユーザが位置検出電極45gまでなぞり操作を行うと、操作指90が検出された位置検出電極に対応するステッチ用光源を順に駆動する。このステッチ用光源の照明は、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、操作指90の移動に追従して照明箇所58が移動するものである。
【0069】
この照明箇所58は、ユーザが左から右方向、右から左方向、また途中で方向を変えてなぞり操作を行っても、操作指90の接触位置に追従して移動する。
【0070】
照明箇所58は、点灯しているステッチ用光源の位置が最も明るく、この位置から離れるほど暗くなっていく、つまりグラデーションとなっている。
【0071】
制御部7は、操作指90を検出した位置検出電極を予め定められた期間、記憶部70に記憶する。そして制御部7は、予め定められた期間の操作指90の移動量、つまりなぞり操作の操作量に基づいて操作情報S37を生成して操作対象8に出力する。なお予め定められた期間は、一例として、位置検出電極45a~位置検出電極45lの静電容量を取得する周期の整数倍として定められる。
【0072】
操作対象8は、取得したなぞり操作がなされたことを示す操作情報S37に基づく操作量に応じて風量を増減させる。
【0073】
なお変形例としてステッチ用光源及びライトガイド140の少なくとも一方は、位置検出電極45a~位置検出電極45lに応じて色が変化するように構成されても良い。例えば、
図1(a)の紙面左から右に、青色から赤色に徐々に変わるようにステッチ用光源及びライトガイド140の少なくとも一方が構成されても良い。
【0074】
以下に、本実施の形態の操作装置1の動作の一例について
図5のフローチャートに従って説明する。
【0075】
(動作)
操作装置1の制御部7は、一例として、タッチ電極40~タッチ電極44から静電容量情報S1~静電容量情報S5、及び位置検出電極45a~位置検出電極45lから静電容量情報S6~静電容量情報S17を周期的に順に取得する。制御部7は、静電容量情報S1~静電容量情報S5に基づく静電容量の変化量と第1の静電しきい値71とを比較し、静電容量情報S6~静電容量情報S17に基づく静電容量の変化量と第2の静電しきい値72とを比較して操作の有無を判定する。
【0076】
制御部7は、ステップ1の「Yes」が成立する、つまり操作が検出され(Step1:Yes)、そして検出された操作が刺繍電極に対するタッチ操作であった場合(Step2:Yes)、タッチ操作のフィードバックを行うと共に操作情報S37を出力する(Step3)。
【0077】
制御部7は、タッチ操作が検出された刺繍電極に対応するタッチ用光源に対して駆動信号を出力して点灯させると共に、当該刺繍電極に対するタッチ操作がなされたことを示す操作情報S37を生成して操作対象8に出力する。
【0078】
制御部7は、ステップ4の「Yes」が成立する、つまりタッチ操作が終了すると(Step4:Yes)、刺繍電極に応じた処理を行い(Step5)、ステップ1に処理を進める。本実施の形態の刺繍電極に応じた処理とは、例えば、刺繍電極30、刺繍電極31、刺繍電極33及び刺繍電極34では、タッチ用光源の消灯処理であり、刺繍電極32では、タッチ操作により点灯したのであれば点灯状態を継続し、タッチ操作により消灯したのであれば消灯状態を継続する処理である。
【0079】
ここでステップ2において制御部7は、なされた操作がステッチ状電極35に対するなぞり操作であった場合(Step2:No)、なぞり操作のフィードバックを行うと共に操作情報S37を出力する(Step6)。
【0080】
制御部7は、なぞり操作が検出された位置検出電極に対応するステッチ用光源に対して駆動信号を出力して点灯させる。制御部7は、操作指の移動によって検出する位置検出電極が変わるたびに当該位置検出電極に対応するステッチ用光源を点灯させ、検出しなくなった位置検出電極に対応するステッチ用光源を消灯する。そして制御部7は、なぞり操作が検出されてから予め定められた期間経過するたびに、この期間の移動距離、つまり操作量となぞり操作が行われたことを示す操作情報S37を生成して操作対象8に出力する。
【0081】
なお移動距離は、一例として、予め定められた期間に操作指を検出した位置検出電極の数として示される。従ってユーザが予め定められた期間を超えてステッチ状電極35に接触した状態で操作指を止めていた場合、又はタッチ操作を行った場合、制御部7は、一例として、操作が終了するまで操作指を検出した位置検出電極に対応するステッチ用光源を点灯させると共に移動距離がゼロのなぞり操作が検出されたことを示す操作情報S37を生成して操作対象8に出力する。
【0082】
制御部7は、ステッチ状電極35に対するなぞり操作が終了した場合(Step7:Yes)、ステッチ状電極35に応じた処理を行い(Step8)、ステップ1に処理を進める。本実施の形態のステップ状電極35に応じた処理とは、例えば、ステッチ用光源の消灯である。また制御部7は、ステッチ状電極35に対するなぞり操作が継続している場合(Step7:No)、ステップ6に処理を進める。
【0083】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る操作装置1は、硬質な印象を抑制してユーザにとって居心地の良い空間を演出し易くすることができる。具体的には、自動運転機能が高度化すると、ユーザは、運転する機会よりもシートに座ってくつろぐ機会が増えていく。その際、車室は、今までにはないインテリアが求められることが予想され、硬質な材料よりも布などのファブリック素材による居心地の良い空間の演出が必要となる。本実施の形態の操作装置1は、ユーザに硬質な印象を与える金属や樹脂が露出するのではなく、金属や樹脂と比べて、ユーザに柔らかい印象を与える布などのファブリック素材で構成された被覆部材2が筐体10を覆っている。また操作装置1は、タッチ操作及びなぞり操作のフィードバックとして被覆部材2を介した照明がなされるので、この構成を採用しない場合と比べて、照明自体も柔らかくなる。従って操作装置1は、硬質な印象を抑制してユーザにとって居心地の良い空間を演出し易くすることができる。
【0084】
操作装置1は、割り当てられた機能を示す意匠を刺繍電極によって表し、この刺繍電極が操作指とタッチ電極との間の静電結合の精度を高めている。また操作装置1は、なぞり操作を可能とすると共に操作指と位置検出電極との間の静電結合の精度を高めるステッチ状電極35を備えている。従って操作装置1は、導電性を有する糸を用いた刺繍や縫い目によって操作指とタッチ電極及び位置検出電極との間の静電結合の精度を高めるので、この構成を採用しない場合と比べて、操作指の検出精度を高めると共に意匠としても優れ、より良い空間を演出することができる。
【0085】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1…操作装置、2…被覆部材、3…第1の電極部、4…第2の電極部、5…照明部、6…表示部、7…制御部、8…操作対象、30~34…刺繍電極、35…ステッチ状電極、40~44…タッチ電極、45a~45l…位置検出電極、50~54…タッチ用光源、55a~55l…ステッチ用光源