IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニング インコーポレイテッドの特許一覧

特許7489318HFエッチング後に低い粗さを有する無アルカリホウケイ酸塩ガラス
<>
  • 特許-HFエッチング後に低い粗さを有する無アルカリホウケイ酸塩ガラス 図1
  • 特許-HFエッチング後に低い粗さを有する無アルカリホウケイ酸塩ガラス 図2
  • 特許-HFエッチング後に低い粗さを有する無アルカリホウケイ酸塩ガラス 図3
  • 特許-HFエッチング後に低い粗さを有する無アルカリホウケイ酸塩ガラス 図4
  • 特許-HFエッチング後に低い粗さを有する無アルカリホウケイ酸塩ガラス 図5
  • 特許-HFエッチング後に低い粗さを有する無アルカリホウケイ酸塩ガラス 図6
  • 特許-HFエッチング後に低い粗さを有する無アルカリホウケイ酸塩ガラス 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】HFエッチング後に低い粗さを有する無アルカリホウケイ酸塩ガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/093 20060101AFI20240516BHJP
   C03C 15/00 20060101ALI20240516BHJP
   C03C 23/00 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
C03C3/093
C03C15/00 Z
C03C23/00 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020544430
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 US2019019120
(87)【国際公開番号】W WO2019165186
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】62/633,835
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】グロス,ティモシー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ユィホイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤングサンソン,ルチレジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,リーイン
【審査官】三村 潤一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/190303(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/180220(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/080171(WO,A1)
【文献】特表2017-533171(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194693(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/125787(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0352553(US,A1)
【文献】国際公開第2016/129255(WO,A1)
【文献】特表2016-506351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00 - 23/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品において、
ガラス基板であって、
その中に複数のビアを有する第1の表面と、
前記第1の表面に平行な第2の表面と
を含み、
前記第の表面が、0.75nm以下の表面粗さ(Ra)を有する、ガラス基板を備えており、
該ガラス基板が、酸化物基準のモルパーセントで、
65モル%≦SiO≦75モル%;
7モル%≦Al≦15モル%;
0.1モル%≦B≦2モル%
1.0モル%≦ZnO≦4モル%;を含み、ここで、
RO=MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOであり;
O=LiO+NaO+KO+RbO+CsOであり;
26.25モル%≦RO+Al-Bであり;
0モル%≦RO≦2モル%であり;かつ
SiO、Al、B 、MgO、ZnO、CaO、SrO、BaO、RO、及びROが、代表的な酸化物成分のモルパーセントを表す、物品。
【請求項2】
前記ガラス基板が、酸化物基準のモルパーセントで、
65モル%≦SiO≦75モル%;
7モル%≦Al≦15モル%;
0.1モル%≦B≦2モル%;
0モル%≦MgO≦6モル%
モル%≦CaO≦6モル%;
0モル%≦SrO≦10モル%;
0モル%≦BaO≦10モル%;
0モル%≦SnO≦0.5モル%;
0モル%≦As≦0.5モル%;
0モル%≦Sb≦0.5モル%;
を含み、ここで、
NaO、KO、SnO、As、Sbが、代表的な酸化物成分のモルパーセントを表す、
請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記複数のビアが、前記第1の表面から前記第2の表面まで延びる貫通ビアである、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記第の表面が、0.75nm以下の表面粗さ(Ra)を有する、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記複数のビアが、前記第2の表面に達することなく前記第1の表面から前記第2の表面の方へと延びるブラインドビアである、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記物品がキャリアをさらに含み;前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの少なくとも一方が前記キャリアに結合される、請求項1~5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記キャリアが0.2nm~0.4nmの表面粗さ(Ra)を有する、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
方法において、
第1の表面及び第2の表面を有するガラス基板に複数のビアを形成する工程であって、前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの少なくとも一方に損傷領域を形成し、形成された前記損傷領域をエッチングして前記複数のビアを形成することを含む、工程
を含み、
前記ガラス基板が、酸化物基準のモルパーセントで、
65モル%≦SiO≦75モル%;
7モル%≦Al≦15モル%;
0.1モル%≦B≦2モル%;
1.0モル%≦ZnO≦4.0モル%;
を含み、ここで、
RO=MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOであり;
O=LiO+NaO+KO+RbO+CsOであり;
26.25モル%≦RO+Al-Bであり;
0モル%≦RO≦2モル%であり;かつ
SiO、Al、B 、MgO、ZnO、CaO、SrO、BaO、RO、及びROが、代表的な酸化物成分のモルパーセントを表す、
方法。
【請求項9】
前記ガラス基板が、酸化物基準のモルパーセントで、
65モル%≦SiO≦75モル%;
7モル%≦Al≦15モル%;
0.1モル%≦B≦2モル%;
0モル%≦MgO≦6モル%
モル%≦CaO≦6モル%;
0モル%≦SrO≦10モル%;
0モル%≦BaO≦10モル%;
0モル%≦SnO≦0.5モル%;
0モル%≦As≦0.5モル%;
0モル%≦Sb≦0.5モル%;
を含み、ここで、
NaO、KO、SnO、As、Sbが、代表的な酸化物成分のモルパーセントを表す、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
エッチングされた前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの少なくとも一方の表面が0.75nm以下の表面粗さ(Ra)を有する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2018年2月22日出願の米国仮特許出願第62/633,835号に対する優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、基板にビアを形成するための物品及び方法に関する。特に、本開示は、基板の表面粗さ(Ra)を保持するエッチングプロセスを含む、基板に貫通ビアを形成する物品及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
ビアを備えたガラス基板は、電気的インターフェースとして用いられるインターポーザとしての使用を含めた多くの用途にとって望ましい。ガラスインターポーザは、ケイ素及び繊維強化ポリマーの魅力的な代替品となっている。しかしながら、ビアを備えたガラス基板の製造に用いられる一部のプロセスは、望ましくない表面粗さをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、低い表面粗さ(Ra)を保持しつつ、基板にビアを形成する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の実施形態では、物品はガラス基板を含む。該ガラス基板は、その中に複数のビアを有する第1の表面と、該第1の表面に平行な第2の表面とを有する。第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方は、0.75nm以下の表面粗さ(Ra)を有するエッチング面である。ガラス基板は、酸化物基準のモルパーセントで、
65モル%≦SiO≦75モル%;
7モル%≦Al≦15モル%;
0.1モル%≦B≦2モル%;
を含み、ここで、
RO=MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOであり;
O=LiO+NaO+KO+RbO+CsOであり;
26.25モル%≦RO+Al-Bであり;
0モル%≦RO≦2モル%であり;かつ
SiO、Al、B、MgO、ZnO、CaO、SrO、BaO、RO、及びROは、代表的な酸化物成分のモルパーセントを表す。
【0006】
第2の実施形態では、ガラス基板は、酸化物基準のモルパーセントで、
65モル%≦SiO≦75モル%;
7モル%≦Al≦15モル%;
0.1モル%≦B≦2モル%;
0モル%<P≦2モル%;
0モル%≦MgO≦6モル%;
0モル%≦ZnO≦4モル%;
0モル%≦CaO≦6モル%;
0モル%≦SrO≦10モル%;
0モル%≦BaO≦10モル%;
0モル%≦SnO≦0.5モル%;
0モル%≦As≦0.5モル%;
0モル%≦Sb≦0.5モル%;
を含み、ここで、
、NaO、KO、SnO、As、Sbは、代表的な酸化物成分のモルパーセントを表す。
【0007】
第3の実施形態では、第1又は第2の実施形態のいずれかの物品について、第1の実施形態の物品はガラス基板である。
【0008】
第4の実施形態では、第1~第3の実施形態のいずれかの物品について、複数のビアは、第1の表面から第2の表面まで延びる貫通ビアである。
【0009】
第5の実施形態では、第1~第3の実施形態のいずれかの物品について、複数のビアは、第2の表面に達することなく第1の表面から第2の表面の方へと延びるブラインドビアである。
【0010】
第6の実施形態では、第1~第5の実施形態のいずれかの物品について、物品はキャリアをさらに含む。第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方は、エッチングされ、0.75nm以下の表面粗さ(Ra)を有し、かつキャリアに結合される。
【0011】
第7の実施形態では、第6の実施形態の物品について、キャリアは0.2nm~0.4nmの表面粗さ(Ra)を有する。
【0012】
第8の実施形態では、第1~第7の実施形態のいずれかの物品について、ガラス基板は、エッチング後に150μm以下の厚さを有する。
【0013】
第9の実施形態では、第1~第8の実施形態のいずれかの物品について、ガラス基板は90μm~110μmの厚さを有する。
【0014】
第10の実施形態では、第1~第9の実施形態のいずれかの物品について、69モル%≦SiO≦72モル%である。
【0015】
第11~第13の実施形態では、第1~第10の実施形態のいずれかの物品について、26.5モル%≦RO+Al-B、又は26.75モル%≦RO+Al-B、又は27.0モル%≦RO+Al-Bである。
【0016】
第14及び第15の実施形態では、第1~第13の実施形態のいずれかの物品について、0モル%≦RO≦1モル%、又は0モル%≦RO≦0.5モル%である。
【0017】
第16の実施形態では、方法は、第1の表面及び第2の表面を有するガラス基板に複数のビアを形成する工程を含む。該方法は、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方をエッチングしてエッチング面を形成することを含む。ガラス基板は、酸化物基準のモルパーセントで、
65モル%≦SiO≦75モル%;
7モル%≦Al≦15モル%;
0.1モル%≦B≦2モル%;
を含み、ここで、
RO=MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOであり;
O=LiO+NaO+KO+RbO+CsOであり;
26.25モル%≦RO+Al-Bであり;
0モル%≦RO≦2モル%であり;かつ
SiO、Al、B、MgO、ZnO、CaO、SrO、BaO、RO、及びROは、代表的な酸化物成分のモルパーセントを表す。
【0018】
第17の実施形態では、ガラス基板は、酸化物基準のモルパーセントで、
65モル%≦SiO≦75モル%;
7モル%≦Al≦15モル%;
0.1モル%≦B≦2モル%;
0モル%<P≦2モル%;
0モル%≦MgO≦6モル%;
0モル%≦ZnO≦4モル%;
0モル%≦CaO≦6モル%;
0モル%≦SrO≦10モル%;
0モル%≦BaO≦10モル%;
0モル%≦SnO≦0.5モル%;
0モル%≦As≦0.5モル%;
0モル%≦Sb≦0.5モル%;
を含み、ここで、
、NaO、KO、SnO、As、Sbは、代表的な酸化物成分のモルパーセントを表す。
【0019】
第18の実施形態では、第16又は第17の実施形態のいずれかの方法について、エッチング面は0.75nm以下の表面粗さ(Ra)を有する。
【0020】
第19の実施形態では、第16~第18の実施形態のいずれかの方法について、エッチングはフッ化水素酸を含むエッチング液を用いて行われる。
【0021】
第20の実施形態では、第16~第19の実施形態のいずれかの方法について、該方法は、ガラス基板のエッチング面の一方をキャリアに結合させる工程をさらに含む。
【0022】
第4~第15の実施形態の制限は、任意の順序で、第16~第20の実施形態に記載の実施形態と組み合わせることができる。
【0023】
明細書及び図面に記載される実施形態は、本質的に例証的かつ例示的なものであり、特許請求の範囲によって定められる主題を限定することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】貫通ビアを有する基板を示す図
図2】ブラインドビアを有する基板を示す図
図3】エッチング工程を含む、基板にビアを形成するプロセスを示す図
図4】損傷領域を有する基板を示す図
図5】キャリアに結合された、ビアを有する基板を示す図
図6】エッチング後の粗さ(Ra)とガラス組成のパラメータRO+Al-Bとのプロットを示す図
図7図6のプロットの拡大部分を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書に記載される基板にビアを生成する物品及び方法の実施形態は、基板の表面粗さ(Ra)の保持を可能にする。これにより、ファンデルワールス結合を使用してさらに処理するために、基板を例えばキャリアに取り外し可能に結合することができ、これは、低い表面粗さを有する基板で最適に機能する。本明細書に開示される実施形態及び方法は、低い表面粗さのエッチング面が望ましい他の状況で使用することができる。
【0026】
インターポーザは、無線周波数(RF)フィルタを有するデバイスを含めた電子デバイスの電気的インターフェースとして使用して、電気的接続をより広いピッチに広げるか、又は電気的接続を別の電気的接続にリルートすることができる。ガラスインターポーザ、すなわち、電気的接続を行うことができるビアを備えたガラス基板は、ケイ素及び繊維強化ポリマーの魅力的な代替品となっている。これは、一部には、ガラスの大きい薄いシートに形成される能力によるものである。しかしながら、薄くなり続ける電子デバイスでは、多くの用途で300μm以下の厚さを有するインターポーザが必要とされる。このような薄いガラスは、ガラスの脆弱性と剛性の欠如の理由から、製造手順で取り扱うのが困難な場合がある。ガラス基板の脆弱性と剛性の欠如を打ち消すために、ガラス基板を結合するキャリアを使用した製造方法が必要とされている。
【0027】
ファンデルワールス力を使用して、ガラス物品をキャリアに一時的に接着することができる。一時的な結合のエネルギーは、剥離可能なまま維持しつつ、フラットパネルの製造を耐え抜くのに十分である。しかしながら、ガラス物品の表面粗さ(Ra)が大きすぎると、ファンデルワールス力による弱い結合が生成されうる。
【0028】
通常、ガラスインターポーザでは、電気的インターフェースを提供するために、ビア(穴)に導電性材料を充填する必要がある。ガラスインターポーザにビアを生成する既知の方法は、ガラスインターポーザの厚さを貫通する損傷領域を生成し、次に基板をエッチング液に沈めることによるものである。次に、エッチング液は、損傷領域から材料を取り除き、穴を拡大させることができる。しかしながら、エッチングプロセスはまた、ガラスインターポーザの両面から材料を取り除き、穴を拡大させることもできる。このエッチングは、ファンデルワールス結合を適切に形成することができる範囲外のガラスインターポーザ表面粗さ(Ra)を生じさせる可能性がある。
【0029】
ファンデルワールス結合及び他の用途に適した低い表面粗さを保持しつつエッチングすることができるガラス組成物が、本明細書に開示されている。
【0030】
ガラス基板のエッチング後の表面粗さを低下させる1つの方法は、ガラス組成物のアルカリ酸化物(RO)含有量を増加させることである。しかしながら、アルカリ酸化物は、ある特定の用途にとっては望ましくない。例えば、アルカリ酸化物を過剰に含むガラス組成を有するガラスインターポーザは、通常、インターポーザの近くに配置される幾つかのデバイスに悪影響を与えるか、又は「汚染」する可能性がある。したがって、より低いエッチング後の表面粗さを達成するためにアルカリ酸化物を使用することは、一部の用途には不適切である。
【0031】
ガラス基板のエッチング後の表面粗さを低下させる別の方法は、ガラス組成物のAl含有量を増加させることである。しかしながら、アルミナが多すぎると、ガラス組成物の液相温度の上昇が大きすぎるなどの望ましくない影響を与える可能性がある。アルカリ酸化物を使用して液相温度を下げることができる。しかしながら、アルカリ酸化物は、上述したような一部の用途にとって望ましくない。
【0032】
意外にも驚くべきことに、低アルカリ酸化物ガラスでは、SiO、Al、B、及びROの特定のガラス含有量により、エッチング後の表面粗さが低くなることが判明した(ここで、ROは、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOのガラス含有量の合計である)。特に、ガラス基板は、酸化物基準のモルパーセントで、
65モル%≦SiO≦75モル%;
7モル%≦Al≦15モル%;
0.1モル%≦B≦2モル%;
を含み、ここで、
26.25モル%≦RO+Al-B;かつ
0モル%≦RO≦2モル%
である。これらの組成物において、ガラスのRO含有量は、過剰のAl又は過剰のROという望ましくない影響を与えることなく、エッチング後の表面粗さを下げるのに役立つ。ガラス成分の量を適切に選択することにより、アルカリ酸化物含有量の低いガラスで、驚くほど低いエッチング後表面粗さを達成することができる。
【0033】
本明細書に開示される物品は、例えば、半導体パッケージ内のインターポーザとして使用することができ、該物品は、エッチングされた穴(例えば、ビア)と、限定はしないが、半導体デバイス、無線周波数(RF)デバイス(例えば、アンテナ、スイッチなど)、インターポーザデバイス、マイクロエレクトロニクスデバイス、オプトエレクトロニクスデバイス、マイクロエレクトロメカニカル・システム(MEMS)デバイス、並びにビアを利用することができる他の用途のためのビアメタライゼーション及び再配線層(RDL)の施用を含めた首尾のよい下流の処理を可能にする表面属性とを有する。
【0034】
ビアを備えた基板
図1は、例となる物品100の断面を示している。物品100は基板110を含む。基板110は、厚さTによって分離された第1の表面112と第2の表面114とを有する。複数のビア124は第1の表面112から第2の表面114まで延在する。すなわち、ビア124は貫通ビアである。
【0035】
図2は、例となる物品200の断面を示している。物品200は基板110を含む。基板110は、厚さTによって分離された第1の表面112と第2の表面114とを有する。複数のビア224は、第2の表面114に達することなく、第1の表面112から第2の表面114に向かって延びている。すなわち、ビア124はブラインドビアである。
【0036】
本明細書で用いられる「ビア」とは、基板の穴又は開口部を指す。図1及び図2は特定のビア構成を示しているが、他のさまざまなビア構成を使用することができる。非限定的な例として、図1及び図2に示される円筒形の幾何学形状の代わりに、砂時計の形状、バーベルの形状、面取りされたエッジ、又は他のさまざまな幾何学形状を有するビアを使用することができる。ビアは、例えば、直径が第1又は第2の表面上のビアの開口部の直径の少なくとも70%、少なくとも75%、又は少なくとも80%である、ウエスト(最小の直径を有するビアに沿った点)を有する、略円筒形でありうる。ビアは、基板を貫通して延在してよく(例えば、図1)、あるいは、基板を通して部分的にのみ延在していてもよい(例えば、図2)。他のビアの幾何学形状を使用することもできる。
【0037】
キャリアへの取り外し可能な結合のために低い表面粗さが所望される用途では、エッチング後の厚さTは、通常、50μm~250μmの範囲である。より厚い厚さでは、基板110は、キャリアを必要としないほど十分に厚くなりうる。より薄い厚さでは、基板110は、いずれにせよ破損する可能性がある。厚さTは、150μm以下、100μm、又は90μm~110μmとすることができ、これは、薄いデバイス対する要望と構造的完全性及び絶縁特性に対する要望とのバランスをとる厚さである。厚さTは、50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、又は前述の値のいずれか2つを端点とする任意の範囲でありうる。他の厚さも同様に使用することができる。例えば、キャリアへの取り外し可能な結合以外に、本明細書に記載される低い表面粗さの基板の用途が存在しうる。よって、厚さTは用途に応じて決まる可能性があり、本開示によって必ずしも制限されるわけではない。
【0038】
第1の表面112及び第2の表面114は、エッチング前の表面粗さ(Ra)を有する。本明細書で用いられる場合、「表面粗さ」とは、算術平均表面粗さを指す。文献では、平均表面粗さを算術するために「Ra」という表記がしばしば使用される。表面粗さRaは、局所表面高さと平均表面高さの差の算術平均として定義され、次式で表すことができる:
【0039】
【数1】
【0040】
式中、yは、平均表面高さに対する局所表面高さである。表面粗さ(Ra)は、さまざまな技術を使用して測定値から計測及び/又は計算することができる。特に指定しない限り、本明細書に記載される表面粗さは、Veeco Dimension Icon原子間力顕微鏡(AFM)を使用して次のパラメータ:1Hz、512のスキャン/ライン、及び2μMの画像サイズで測定される。
【0041】
ガラス組成物
本明細書に記載されるガラス組成物は、通常、SiO、Al、及びROの組合せを含む、無アルカリホウケイ酸塩ガラスであり、ここで、RO=MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOである。無アルカリとは、ガラスに含まれるアルカリ酸化物(RO)が多くても少量であることを意味し、RO=LiO+NaO+KO+RbO+CsOである。加えて、本明細書に記載されるガラス組成物は、26.25≦RO+Al-Bの条件を満たしている。HF及び同様のエッチング液でエッチングした場合、ガラス組成物は、無アルカリガラス組成物について、特に低いエッチング後の表面粗さを示す。
【0042】
幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、P、Bなどの追加の酸化物を含みうる。これらの成分を添加して、例えば、液相粘度を変化させること、及び/又はガラスの機械的耐久性を改善することができる。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、本明細書に記載されるように、例えば、SnO、As、Sbなどの1つ以上の追加の酸化物をさらに含みうる。これらの成分は清澄剤として添加することができる。
【0043】
基板110は、さまざまなガラス組成物から形成することができる。第1の実施形態では、ガラス基板は、酸化物基準のモルパーセントで、
65モル%≦SiO≦75モル%;
7モル%≦Al≦15モル%
0.1モル%≦B≦2モル%;
0モル%<P≦2モル%;
0モル%≦MgO≦6モル%;
0モル%≦ZnO≦4モル%;
0モル%≦CaO≦6モル%;
0モル%≦SrO≦10モル%;
0モル%≦BaO≦10モル%;
0モル%≦SnO≦0.5モル%;
0モル%≦As≦0.5モル%;
0モル%≦Sb≦0.5モル%;
を含み、ここで、
RO=MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOであり;
O=LiO+NaO+KO+RbO+CsOであり;
26.25モル%≦RO+Al-Bであり;
0モル%≦RO≦2モル%であり;かつ
SiO、Al、B、P、NaO、KO、MgO、ZnO、CaO、SrO、BaO、SnO、As、Sb、RO、及びROは、代表的な酸化物成分のモルパーセントを表す。
【0044】
シリカ
本明細書に記載されるガラス組成物の実施形態では、SiOは、組成物の最大の構成要素であり、それ自体、得られるガラスネットワークの主要な構成要素である。SiOは、ガラスの化学的耐久性、特に、ガラス組成物の酸分解に対する耐性、及びガラス組成物の水中分解に対する耐性を高める。SiOの含有量が少なすぎると、ガラスの化学的耐久性及び耐薬品性が低下する可能性があり、ガラスが腐食しやすくなりうる。したがって、高いSiO濃度が一般的に望ましい。しかしながら、SiOの含有量が高すぎると、高濃度のSiOがガラスの溶融の困難さを増大させ、これが次にガラスの成形性に悪影響を与えるため、ガラスの成形性が低下する可能性がある。第1の実施形態では、基板110のシリカ含有量は65モル%≦SiO≦75モル%である。第10の実施形態では、69モル%≦SiO≦72モル%である。SiO含有量は、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、又は75モル%、若しくは端点として前述の値のいずれか2つを有する任意の範囲でありうる。
【0045】
ガラスにビアを形成する多くの方法は、酸を使用してガラスをエッチングすることを含む。例えば、1つの方法は、レーザを用いてガラスに損傷トラックを形成すること、及びガラスを酸に曝露することを含む。酸は、損傷トラックに浸透して、該損傷トラックの容積からガラスを取り除く。しかしながら、酸はまた、ガラスの損傷していない領域をエッチングして除去する可能性もある。シリカ含有量が高いと、この損傷していない領域のエッチングを遅延させるのに役立ち、望ましい場合がある。
【0046】
Al
本明細書に記載されるガラス組成物はAlをさらに含む。Alは、ガラス組成物中に存在するアルカリ土類酸化物及びZnO(RO)と組み合わせて、HFなどのエッチング液でエッチングした後のガラス表面に低い表面粗さをもたらす。Alはまた、ガラスの硬度及び損傷耐性も向上させることができる。しかしながら、ガラスの液相粘度は、ガラス組成物中のAlの濃度が増加するにつれて低下する。ガラス組成物中のAlの濃度が高すぎる場合、ガラス組成物の液相粘度が低下し、それにより、フュージョンダウンドロープロセスでの製造中にガラス組成物が結晶化する可能性がある。加えて、過剰のAlを含むことにより、他のすべての望ましいガラス成分を含むと同時に、望ましい高いSiO含有量を有することが困難になる可能性がある。第1の実施形態では、基板110のAl含有量は、7モル%≦Al≦15モル%である。Al含有量は、7、8、9、10、11、12、13、14又は15モル%、若しくは端点として前述の値のいずれか2つを有する任意の範囲でありうる。
【0047】
RO
本明細書に記載されるガラス組成物は、アルカリ土類酸化物及びZnOをさらに含む。アルカリ土類酸化物には、MgO、CaO、SrO、及びBaOが含まれる。ZnOは、技術的にはアルカリ土類酸化物ではないが、本開示の目的では、ガラス組成物に同様の効果を有すると考えられる。「RO」は、MgO、CaO、SrO、BaO及びZnOを総称するために用いられる。また、ガラス組成物のRO含有量は、モル%でのMgO、CaO、SrO、BaO、及びZnOのガラス含有量の合計である。RO含有量を増加させることは、HFなどのエッチング液でエッチングした後のガラス表面のエッチング後の粗さを低下させる1つの方法である。また、ROの使用は、ROの有害な影響を有しない。第1の実施形態では、26.25モル%≦RO+Al-Bである。Alの最大量は15モル%であることから、これは、RO含有量が少なくとも11.25モル%であることを意味する。幾つかの実施形態では、パラメータRO+Al-Bは、26.25、26.5、26.75、又は27.0モル%以上である。このパラメータにさらに高い値を使用することもできる。しかしながら、27.5モル%よりも高い値では、パラメータが、材料の熱膨張係数(CTE)を一部の用途にとって望ましくない高レベルへと増加させる可能性があると考えられる。
【0048】
RO酸化物は、処理中のガラス組成物の溶融特性を改善すると同時に、熱膨張係数(CTE)及び密度などのガラスの特性を望ましい値に調整するために添加される。少量のCaO及びMgOは、ガラスの溶融を助け、ガラスの液相粘度を向上させることができる。しかしながら、6モル%を超えると、CaO及びMgOはガラスの液相の性能に悪影響を及ぼし、ガラスの溶融中に失透をもたらす可能性がある。ZnOはガラスの硬度と弾性率を改善する。しかしながら、ZnOはまた、ガラスの密度も増加させ、4モル%を超える量では、ガラスの圧縮を悪化させる可能性がある。BaO及びSrOはいずれも、ガラスの成形性及び熱安定性に優れている。しかしながら、BaO及びSrOは比較的高価であり、ガラス密度も高くなる。これらの理由により、BaO及びSrOは10モル%以下である。
【0049】
BeO及びRaOもまたアルカリ土類酸化物であり、他のROと同様にガラスの特性に影響を与えるはずである。しかしながら、それらはコストが高いことから、一般にガラス組成物中に意図的には含まれない。
【0050】

ガラス組成物中のアルカリ酸化物の量は最小限に抑えられる。アルカリ酸化物は、LiO、NaO、KO、RbO、及びCsOのうちの1つ以上を含みうる。「RO」は、一般的にアルカリ酸化物を指すために用いられる。また、ガラス組成物のRO含有量は、モル%でのLiO、NaO、KO、RbO、及びCsOのガラス含有量の合計である。アルカリ酸化物の含有量を増加させることは、HFなどのエッチング液でエッチングした後のガラス表面のエッチング後の粗さを低下させる1つの方法であり、望ましいことである。しかしながら、アルカリ酸化物は、一部の用途に悪影響を与える可能性がある。例えば、貫通ガラスビア(TGV)を提供するためにガラス基板を使用する場合、アルカリ酸化物の存在により、TGVによって通常接続されるタイプのデバイスが汚染される可能性がある。TGVが有望であることを示す1つのタイプのデバイス、RFアンテナなどのRF(無線周波数)デバイスでは、ROの存在は、ガラスの透過率を望ましくなく低下させる。より良好な信号伝達のためには、高い透過率が所望される。第1の実施形態では、RO含有量は0モル%≦RO≦2モル%である。RO含有量は、0モル%≦RO≦2モル%、0モル%≦RO≦1モル%、又は0モル%≦RO≦0.5モル%でありうる。幾つかの実施形態では、ガラス組成物はROを含まない(ROはトランプ量でのみ存在しうる)。
【0051】
他の成分
ガラス組成物は、酸化リン(P)も含みうる。Pの存在は、ガラス組成物中のムライトの結晶化を抑制することにより、ガラス組成物の液相粘度を増加させる。ガラス組成物の液相温度は、Alの量がガラス組成物中のアルカリ酸化物(ROモル%)及びアルカリ土類酸化物(ROモル%)の量の合計を2モル%超、又はさらには1モル%超、超過する場合に、急速に上昇する。この問題は、ROの量が限られている本明細書に記載される組成物にとって、特に深刻である。Al(モル%)が(RO(モル%)+RO(モル%))より1モル%を超えて大きい場合に、ガラス組成物中のPの存在が、液相温度を低下させ、したがってガラス組成物の液相粘度を増加させることによって、過剰のAlを相殺する。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、過剰のAlを相殺するのに十分な量のPを有しうる。例えば、幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、(Al(モル%)-RO(モル%)-RO(モル%)-P(モル%))が2以下又はさらには1以下になるように十分な量のPを有しうる。幾つかの実施形態では、ガラス組成物はPを含まない。この場合、Al及びROの量は、液相温度が急激に上昇しないような量でありうる。あるいは、より高い液相温度がその用途にとって許容できる可能性がある。しかしながら、ガラスのP含有量が高すぎる場合には、加熱するとガラスが永久に収縮する、望ましくない圧縮を生じる可能性がある。一部のビア充填プロセスは600℃以上の温度を使用するため、圧縮が深刻な問題になりうる。第2の実施形態では、P含有量は0モル%<P≦2モル%である。P含有量は、0、1、又は2モル%、若しくは端点として前述の値のいずれか2つを有する任意の範囲でありうる。
【0052】
酸化ホウ素(B)は、所与の温度でガラスの粘度を下げるためにガラス組成物に添加することができるフラックスであり(例えば、ガラスが溶融する、200ポアズの粘度に対応する温度であり、通常、ガラス溶融炉で最も高い温度である)、それによってガラスの品質及び成形性が改善する。Bの存在はまた、ガラス組成物から製造されたガラスの耐損傷性も改善することができる。第1の実施形態では、B含有量は0.1モル%<B≦2モル%である。Pと同様に、Bが多すぎると、ガラスが加熱された場合に望ましくない圧縮をもたらす可能性がある。B含有量は、0.1、0.5、1、1.5、又は2モル%、若しくは端点として前述の値のいずれか2つを有する任意の範囲でありうる。
【0053】
他の箇所に記載されている成分に加えて、本明細書に記載されるガラス組成物は、任意選択的に、例えば、SnO、As又はSbなどの1つ以上の清澄剤をさらに含んでいてもよい。清澄剤は、成形中にガラス組成物中の気泡を最小限に抑えるか、又は排除するためにガラス組成物中に含まれうる。しかしながら、清澄剤は一般に、ガラス組成物への溶解度が低い。したがって、ガラス組成物中の清澄剤の量が多すぎる場合、溶融成形中に清澄剤の失透が起こる可能性がある。また、清澄剤は比較的高価でありうる。よって、清澄剤が含まれる場合には、所望の結果を達成するために必要とされる最小量でそれらを含めることが望ましい。清澄剤がガラス組成物中に存在する場合、清澄剤は、0.5モル%以下、0.2モル%以下、又はさらには0.1モル%以下の量で存在しうる。第2の実施形態では、SnO含有量は0モル%<SnO≦0.5モル%である。SnO含有量は、0、0.1、0.2、0.3、0.4、又は0.5モル%、若しくは端点として前述の値のいずれか2つを有する任意の範囲でありうる。第2の実施形態では、As含有量は0<As≦0.5モル%である。As含有量は、0、0.1、0.2、0.3、0.4、又は0.5モル%、若しくは端点として前述の値のいずれか2つを有する任意の範囲でありうる。第2の実施形態では、Sb含有量は0<Sb≦0.5モル%である。Sb含有量は、0、0.1、0.2、0.3、0.4、又は0.5モル%、若しくは端点として前述の値のいずれか2つを有する任意の範囲でありうる。
【0054】
ガラス組成物には、0.05モル%未満のトランプ化合物、例えば、マンガン化合物、セリウム化合物、ハフニウム化合物、又は他の化合物などが含まれる可能性があり、これらは、組成物に意図的に含まれる金属酸化物中の不純物として、ガラス組成物に導入されうる。トランプ化合物はまた、フュージョンダウンドロー成形プロセスの耐火性構成要素などの処理機器との接触を通じてガラス組成物に入る可能性がある。
【0055】
基板におけるビアの生成
図3は、物品100を生成し、続いて処理するためのプロセス300のフローチャートを示している。プロセス300は、物品100を生成するために基板にビアを生成するためのステップを含む、プロセス310を含む。プロセス300はまた、物品100をキャリアに結合すること、追加の処理を実行すること、及び物品100をキャリアから剥離することを含む、プロセス350を含む。
【0056】
プロセス310は、以下を順番に含む:
ステップ312:基板に損傷領域を形成する
ステップ314:損傷領域をエッチングしてビアを形成する。
【0057】
損傷領域の形成
ステップ310では、損傷領域120が基板100に形成される。損傷領域120は、さまざまな方法で基板110に形成することができる。
【0058】
幾つかの実施形態では、高エネルギーレーザパルスを適用して、基板110を通して損傷領域120を生成することができる。損傷領域120は、下流のエッチングプロセス中にエッチング液がその中に流入可能にする。幾つかの実施形態では、損傷領域120は、パルスレーザによって形成された一連のレーザ誘起損傷でありうる。パルスレーザは、例えば、非線形多光子吸収によって損傷線を形成することができる。続いてエッチングする場合、このような損傷領域120内の材料を除去する速度は、損傷領域120の外側の材料を除去する速度よりも速い。レーザ損傷の生成及びその後のエッチングを実行するための例示的な方法は、それぞれが参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第9,278,886号及び米国特許出願公開第2015/0166395号の各明細書に開示されている。幾つかの実施形態では、損傷領域の代わりにレーザを使用して削剥された穴を形成することができ、この削剥された穴をエッチングによって広げることができる。
【0059】
図4は、ステップ310の後かつステップ320の前の例示的な物品の断面を示している。損傷領域120が基板110に形成されている。図4は、説明の目的で円筒形の損傷領域120を示しているが、損傷領域120は任意の形状を有することができる。損傷領域120は、エッチング中の材料の除去を考慮して、最終的に所望されるビア124よりも小さめにすることができる。
【0060】
エッチング
ステップ320では、損傷領域120がエッチングされて、ビア124(又は、他の幾何学形状を有するビア、例えば、ビア224)を形成する。エッチングプロセスは、ガラス物品100をエッチング液180の浴に沈めることを含みうる。追加的又は代替的に、エッチング液180をガラス物品100に噴霧してもよい。エッチング液180は、基板110の材料を除去して、損傷領域120を拡大することができる。任意の適切なエッチング液及びエッチング方法を利用することができる。エッチング液の非限定的な例には、硝酸、塩酸、アシル酸、又はリン酸などの強鉱酸;フッ化水素酸、二フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウムなどのフッ素含有エッチング液;並びにそれらの混合物が含まれる。幾つかの実施形態では、エッチング液はフッ化水素酸である。
【0061】
図1及び2は、異なるビア形状に対してエッチングを行なった後の基板100を示している。
【0062】
ステップ320のエッチングは、損傷領域120以外の基板100の一部を、第1の表面112及び第2の表面114の一方又は両方を含むエッチング液に曝露することができる。この曝露により、これらの他の部分にもエッチングが生じ、表面粗さ(Ra)の増加を引き起こす可能性がある。基板110に従来の無アルカリのガラス材料を使用する場合、表面粗さ(Ra)は、0.75nmよりも高い値、又はさらには1.0nmよりも高い値へと望ましくなく増加する可能性がある。この高い表面粗さは、基板100を以下に説明するファンデルワールス結合プロセスにとって適さないものにする可能性がある。
【0063】
意外にも、本明細書に記載される無アルカリガラス組成物は、組成物中にアルカリ酸化物が存在しないか又は少量であるにもかかわらず、低いエッチング後粗さを示す。この低いエッチング後の粗さは、以下に説明するファンデルワールス結合プロセスに適している。また、ガラス組成物はアルカリ(RO)含有量が低いことから、アルカリの存在が望ましくない可能性があるか、又は最終製品に損傷を与える可能性がある用途での使用に特に適している。例えば、本明細書に記載される組成物から作られた基板100は、0.75nm以下、0.7nm以下、0.65nm以下、0.6nm以下、0.55nm以下、又は0.5nm以下のエッチング後の表面粗さ(Ra)を有する、第1の表面112及び/又は第2の表面114を有することができる。この低い表面粗さは、ガラス組成物が低アルカリ又は無アルカリであっても、以下に説明するファンデルワールス結合プロセスの使用を可能にすることができる。
【0064】
エッチングされているガラス表面は独特の構造的特徴を有しており、当業者は、ガラス表面を検査することにより、その表面がエッチングされているかどうかを知ることができる。エッチングにより、ガラスの表面粗さは、しばしば変化する。よって、ガラスの供給源及びその供給源の粗さがわかっている場合には、表面粗さの測定値を使用して、ガラスがエッチングされているかどうかを判断することができる。加えて、エッチングは概して、ガラス中の異なる材料の差分除去をもたらす。この差分除去は、電子プローブマイクロアナリシス(EPMA)などの技法によって検出することができる。
【0065】
結合及びエッチング後の処理
図3はまた、キャリアを使用したエッチング後の処理である、プロセス350も示している。プロセス350は、以下を順番に含む:
ステップ352:物品100をキャリアに結合する
ステップ354:さらなる処理を実行する
ステップ356:物品100をキャリアから剥離する
例えば、基板110は、インターポーザとして使用することが予定されており、追加のインターポーザ特性を付与するために、さらなる処理ステップ(ステップ320)に供することができる。
【0066】
ガラスインターポーザは非常に薄い場合がある(例えば、300μm未満~700μmの範囲)。このような薄い材料は、基板110の脆弱性及び剛性の欠如の理由から、製造手順中の取り扱いが難しい場合がある。脆弱性及び剛性の欠如を打ち消すために、ビア124が形成された後、基板110をキャリア200に取り外し可能に結合すること(ステップ352)が望ましく、その結果、基板110への損傷を、さらなる処理(ステップ354)中に回避することができる。
【0067】
ファンデルワールス結合
基板110をキャリアに取り外し可能に結合する1つの例示的な方法は、参照することによってその全体が組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0170378号明細書に開示されるものなど、ファンデルワールス結合を使用することによるものである。例えば、ファンデルワールス結合は、キャリアの接着面に物品の表面を配置し、物品の温度を上昇させ、続いて物品を室温に冷却することを含みうる。その結果、物品とキャリアが取り外し可能に結合される。ファンデルワールス結合は、必要に応じて、基板の全領域をキャリア200から一度に又は部分的に剥離することを可能にしつつ(ステップ356)、処理(例えば、高温処理)に耐えることができる結合を形成する能力があるため、下流の処理に有益である。基板110が剥離された後、キャリア200は、さらなる基板を処理するために再利用することができる。
【0068】
ファンデルワールス表面結合技術を使用して基板を結合することの課題は、結合される表面の粗さが、結合される表面の能力に影響を与えることである。非限定的な例として、0.75nm又は1.0nmを超える表面粗さ(Ra)は、自発的な結合を実質的に妨げる可能性があり、基板110のキャリア200への弱い結合をもたらしうる。弱い結合は、1つ以上のプロセスからの液体が基板110とキャリア200との間に浸透することを可能にし、それにより、1つのプロセスからの残留物が後のプロセスに影響を与えうるため、層間剥離又はプロセス汚染をもたらしうる。図5に示される構成では、第2の表面114及び接着面210の表面粗さ(Ra)は、基板110がキャリア200に結合する能力に影響を与える。
【0069】
図5は、キャリア200に取り外し可能に結合された基板110を示している。基板110の第2の表面114は、キャリア200の接着面210に結合される。
【0070】
キャリア
キャリア200は、例えばガラスなどの任意の適切な材料のものでありうる。キャリア200はガラスである必要はなく、代わりに、例えば、セラミック、ガラスセラミック、又は金属でありうる。ガラスでできている場合には、キャリア200は、限定はしないが、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノホウケイ酸塩、ソーダ石灰ケイ酸塩を含む、任意の適切な組成物であってよく、その最終的な用途に応じてアルカリ含有又は無アルカリのいずれかでありうる。キャリア200は、任意の適切な厚さを有しうる。キャリア200は、示されているように1つの層、又は(例えば、積層によって)一緒に結合された複数の層(複数の薄いシートを含む)から作ることができる。キャリア200の熱膨張係数は、基板110の熱膨張係数と実質的に一致し、高温での処理中に基板110の反り又はキャリア200からの基板110の剥離を防止することができる。キャリア200は、その目的がエッチング後の処理中に基板110に支持を提供することであることから、必ずしも基板110と同じエッチングプロセスに曝露されるとは限らない(キャリア200には通常ビアがなく、ビアの生成に用いられるエッチングプロセスに曝露される必要はない)。よって、キャリア200の接着面210は、エッチング液に曝露される基板110の第1の表面112及び第2の表面114のものよりも低い表面粗さ(Ra)を有しうる。
【0071】
適切なファンデルワールス結合を形成する能力を考慮すると、基板110の表面粗さ(Ra)は、キャリア200の表面粗さに対して付加的(additive)である。良好なファンデルワールス結合には、キャリアと基板の表面粗さの合計を0.95nm以下、好ましくは0.9nm以下にする必要がある。妥当なコストで入手することができる最も低い粗さのガラスの1つであるフュージョンドローガラスは、0.2nm~0.4nmの典型的な表面粗さを有している。0.2nmの表面粗さを有するフュージョンドローガラスは、ガラス組成を適切に選択することによって、得ることができる。よって、現時点では約0.2nmである、妥当なコストで達成することができる、可能な限り低い表面粗さを有するキャリアを選択することが推奨される。したがって、基板とキャリアとの間のファンデルワールス結合がうまく機能するためには、キャリアが約0.2nmの表面粗さを有する場合、基板の表面粗さは0.75nm以下、好ましくは0.7nm以下である必要がある。
【0072】
さらなる処理
ステップ354のさらなる処理は、基板110へのアルカリ洗浄溶液の適用、基板110のウェットエッチング、基板110の研磨、基板110の金属めっき、ウェットエッチングによる基板110の金属パターン化、堆積による基板110への材料の堆積、及び基板110のアニーリングなどのステップを含みうる。基板110がキャリア200に結合されていない場合には、この頑強なさらなる処理は、基板110を損傷する可能性が高いであろう。しかしながら、基板110はキャリア200に結合されていることから、このさらなる処理が基板110を損傷する可能性ははるかに低い。
【0073】
剥離
剥離は、任意の適切な手段によって達成することができる。例えば、ウェッジを、結合した基板110とキャリア200の外側部分に使用して、剥離を開始し、続いてピーリングすることができる。適切な剥離技術の例は、国際公開第2017/127489号の「Methods for Processing a Substrate(基板の処理方法)」に記載されている。
【実施例
【0074】
以下の比較例及び実施例は、酸エッチングの結果としての表面粗さ(Ra)の変化を比較するものである。
【0075】
フュージョンドロープロセスによって調製された16個のガラス試料を入手した。各ガラス試料は厚さ0.7mmであり、損傷領域を有していなかった。各試料の表面粗さ(Ra)を、表1に示されるように、エッチング前に測定した。特に指定しない限り、実施例の表面粗さは、次のパラメータ:1Hz、512のスキャン/ライン、及び2μMの画像サイズを用いてVeeco Dimension ICON AFMで測定した。
【0076】
表1及び図6は、ガラス試料の各々についてのパラメータRO+Al-Bを示している。試料1から7はまた、次の基準を満たしていた:ガラス基板は、酸化物基準のモルパーセントで、
65モル%≦SiO≦75モル%;
7モル%≦Al≦15モル%;
0.1モル%≦B≦2モル%;
0モル%<P≦2モル%;
0モル%≦MgO≦6モル%;
0モル%≦ZnO≦4モル%;
0モル%≦CaO≦6モル%;
0モル%≦SrO≦10モル%;
0モル%≦BaO≦10モル%;
0モル%≦SnO≦0.5モル%;
0モル%≦As≦0.5モル%;
0モル%≦Sb≦0.5モル%;
を含み、ここで、
RO=MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOであり;
O=LiO+NaO+KO+RbO+CsOであり;
0モル%≦RO≦2モル%であり;かつ
、NaO、KO、SnO、As、Sbは、代表的な酸化物成分のモルパーセントを表す。
【0077】
試験した試料はいずれも、次の基準:26.25モル%≦RO+Al-Bを満たしていなかった。しかしながら、試験した試料は、パラメータ26.25モル%≦RO+Al-Bが変化するときに生じる、HF後の表面粗さの傾向を示している。
【0078】
次に、ガラス試料を、高pH洗剤洗浄液(2%Semiclean-KG、60℃で4分間)及び脱イオン(DI)水すすぎ液で洗浄した。洗浄したガラスを2.5質量%のHF(又は1.45MのHF)でエッチングして、5μmのガラス表面を除去した。エッチングしたガラスを、2回目の高pH洗剤洗浄液及びDI水すすぎ液で洗浄した。
【0079】
エッチング及び洗浄後、表1に示されるように、各試料の表面粗さを再び測定した。
【0080】
【表1】
【0081】
26.25モル%≦RO+Al-Bの基準を満たす組成物には次のものが含まれる:
【0082】
【表2】
【0083】
表2の組成は、先見的な例として提供されている。表2の値はモル%単位である。
【0084】
結論
本明細書に記載される実施形態は、基板の表面粗さ(Ra)を実質的に増加させることなく、基板にビアを形成することを提供するものであることを理解されたい。ビア形成中に基板の低い表面粗さを保持することにより、基板を、さらなる処理のためにキャリアに取り外し可能に結合することができる。処理後、キャリアをさらなる基板の処理に再利用することができるように、基板をキャリアから取り外すことができる。さらには、貫通ビアは、両端からエッチングすることができるため、略円筒形に生成することができる。
【0085】
ビアのエッチング及びキャリアの使用を含む特定の手順が本明細書に記載されているが、本明細書に記載されるガラス組成物は、低いエッチング後の表面粗さが所望されるエッチングを含めた、さまざまな異なるプロセスで有利に使用することができる。
【0086】
本明細書で用いられる場合、用語「約」とは、量、サイズ、配合、パラメータ、及び他の量及び特性が正確ではなく、かつ、正確である必要はなく、許容誤差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、及び当業者に知られている他の要因を反映して、必要に応じて近似及び/又はより大きく又はより小さくてもよいことを意味する。範囲の値又は端点を説明する際に「約」という用語が用いられる場合には、言及される特定の値又は端点が含まれる。明細書の範囲の数値又は端点が「約」を記載しているかどうかにかかわらず、2つの実施形態が説明される:一方は「約」によって変更され、もう一方は「約」によって変更されない。さらには、範囲の各々の端点は、他の端点に関連して、及び他の端点とは独立してのいずれにおいても重要であることが理解されよう。
【0087】
「含まない」及び「実質的に含まない」という用語は、ガラス組成物中の特定の構成成分の濃度及び/又は不存在を説明するために使用される場合には、構成成分が意図的にガラス組成物に添加されないことを意味する。しかしながら、ガラス組成物は、0.05モル%未満の量で汚染物質又はトランプとして微量の構成成分を含みうる。
【0088】
「トランプ」という用語は、ガラス組成物中の特定の構成成分を説明するために用いられる場合、ガラス組成物に意図的には添加されるのではない、0.05モル%未満の量で存在する、構成成分を指す。トランプ成分は、別の構成成分中の不純物として、又はガラス組成物の処理中のトランプ成分の組成物への移動を通じて、ガラス組成物に意図せずに添加されうる。
【0089】
図に示される実施形態は、必ずしも一定の縮尺である必要はない。説明を簡単にするために、相対的なサイズ及び幅が選択されている場合がある。
【0090】
特許請求の範囲に記載の主題の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される実施形態にさまざまな修正及び変更を加えることができることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本明細書は、このような修正及び変更が添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に入る限り、本明細書に記載されるさまざまな実施形態の修正及び変更に及ぶことが意図されている。
【0091】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0092】
実施形態1
物品において、
ガラス基板であって、
その中に複数のビアを有する第1の表面と、
前記第1の表面に平行な第2の表面と
を含み、
前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの少なくとも一方が、0.75nm以下の表面粗さ(Ra)を有するエッチング面である、
ガラス基板を備えており、
該ガラス基板が、酸化物基準のモルパーセントで、
65モル%≦SiO≦75モル%;
7モル%≦Al≦15モル%;
0.1モル%≦B≦2モル%
を含み、ここで、
RO=MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOであり;
O=LiO+NaO+KO+RbO+CsOであり;
26.25モル%≦RO+Al-Bであり;
0モル%≦RO≦2モル%であり;かつ
SiO、Al、B、MgO、ZnO、CaO、SrO、BaO、RO、及びROが、代表的な酸化物成分のモルパーセントを表す、
物品。
【0093】
実施形態2
前記ガラス基板が、酸化物基準のモルパーセントで、
65モル%≦SiO≦75モル%;
7モル%≦Al≦15モル%;
0.1モル%≦B≦2モル%;
0モル%<P≦2モル%;
0モル%≦MgO≦6モル%;
0モル%≦ZnO≦4モル%;
0モル%≦CaO≦6モル%;
0モル%≦SrO≦10モル%;
0モル%≦BaO≦10モル%;
0モル%≦SnO≦0.5モル%;
0モル%≦As≦0.5モル%;
0モル%≦Sb≦0.5モル%;
を含み、ここで、
、NaO、KO、SnO、As、Sbが、代表的な酸化物成分のモルパーセントを表す、
実施形態1に記載の物品。
【0094】
実施形態3
前記物品が前記ガラス基板である、実施形態1又は2に記載の物品。
【0095】
実施形態4
前記複数のビアが、前記第1の表面から前記第2の表面まで延びる貫通ビアである、実施形態1~3のいずれかに記載の物品。
【0096】
実施形態5
前記複数のビアが、前記第2の表面に達することなく前記第1の表面から前記第2の表面の方へと延びるブラインドビアである、実施形態1~3のいずれかに記載の物品。
【0097】
実施形態6
前記物品がキャリアをさらに含み;前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの少なくとも一方がエッチングされ、0.75nm以下の表面粗さ(Ra)を有し、かつ前記キャリアに結合される、
実施形態1~5のいずれかに記載の物品。
【0098】
実施形態7
前記キャリアが0.2nm~0.4nmの表面粗さ(Ra)を有する、実施形態6に記載の物品。
【0099】
実施形態8
前記ガラス基板が150μm以下の厚さを有する、実施形態1~7のいずれかに記載の物品。
【0100】
実施形態9
前記ガラス基板が90μm~110μmの厚さを有する、実施形態1~8のいずれかに記載の物品。
【0101】
実施形態10
69モル%≦SiO≦72モル%である、実施形態1~9のいずれかに記載の物品。
【0102】
実施形態11
26.5モル%≦RO+Al-Bである、実施形態1~10のいずれかに記載の物品。
【0103】
実施形態12
26.75モル%≦RO+Al-Bである、実施形態11に記載の物品。
【0104】
実施形態13
27.0モル%≦RO+Al-Bである、実施形態11に記載の物品。
【0105】
実施形態14
0モル%≦RO≦1モル%である、実施形態1~13のいずれかに記載の物品。
【0106】
実施形態15
0モル%≦RO≦0.5モル%である、実施形態14に記載の物品。
【0107】
実施形態16
方法において、
第1の表面及び第2の表面を有するガラス基板に複数のビアを形成する工程であって、前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの少なくとも一方をエッチングしてエッチング面を形成することを含む、工程
を含み、
前記ガラス基板が、酸化物基準のモルパーセントで、
65モル%≦SiO≦75モル%;
7モル%≦Al≦15モル%;
0.1モル%≦B≦2モル%;
を含み、ここで、
RO=MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOであり;
O=LiO+NaO+KO+RbO+CsOであり;
26.25モル%≦RO+Al-Bであり;
0モル%≦RO≦2モル%であり;かつ
SiO、Al、B、MgO、ZnO、CaO、SrO、BaO、RO、及びROが、代表的な酸化物成分のモルパーセントを表す、
方法。
【0108】
実施形態17
前記ガラス基板が、酸化物基準のモルパーセントで、
65モル%≦SiO≦75モル%;
7モル%≦Al≦15モル%;
0.1モル%≦B≦2モル%;
0モル%<P≦2モル%;
0モル%≦MgO≦6モル%;
0モル%≦ZnO≦4モル%;
0モル%≦CaO≦6モル%;
0モル%≦SrO≦10モル%;
0モル%≦BaO≦10モル%;
0モル%≦SnO≦0.5モル%;
0モル%≦As≦0.5モル%;
0モル%≦Sb≦0.5モル%;
を含み、ここで、
、NaO、KO、SnO、As、Sbが、代表的な酸化物成分のモルパーセントを表す、
実施形態16に記載の方法。
【0109】
実施形態18
前記エッチング面が0.75nm以下の表面粗さ(Ra)を有する、実施形態16又は17に記載の方法。
【0110】
実施形態19
前記エッチングが、フッ化水素酸を含むエッチング液を用いて行われる、実施形態16~18のいずれかに記載の方法。
【0111】
実施形態20
前記ガラス基板の前記エッチング面の一方をキャリアに結合させる工程をさらに含む、実施形態16~19のいずれかに記載の方法。
【0112】
実施形態21
前記複数のビアが、前記第1の表面から前記第2の表面まで延びる貫通ビアである、実施形態16~20のいずれかに記載の方法。
【0113】
実施形態22
前記複数のビアが、前記第2の表面に達することなく前記第1の表面から前記第2の表面の方へと延びるブラインドビアである、実施形態16~20のいずれかに記載の方法。
【0114】
実施形態23
前記キャリアが0.2nm~0.4nmの表面粗さ(Ra)を有する、実施形態16~22のいずれかに記載の方法。
【0115】
実施形態24
前記ガラス基板が、エッチング後に150μm以下の厚さを有する、実施形態16~23のいずれかに記載の方法。
【0116】
実施形態25
前記ガラス基板が、エッチング後に90μm~110μmの厚さを有する、実施形態24に記載の方法。
【0117】
実施形態26
69モル%≦SiO≦72モル%である、実施形態16~25のいずれかに記載の方法。
【0118】
実施形態27
26.5モル%≦RO+Al-Bである、実施形態16~26のいずれかに記載の方法。
【0119】
実施形態28
26.75モル%≦RO+Al-Bである、実施形態27に記載の方法。
【0120】
実施形態29
27.0モル%≦RO+Al-Bである、実施形態27に記載の方法。
【0121】
実施形態30
0モル%≦RO≦1モル%である、実施形態16~29のいずれかに記載の方法。
【0122】
実施形態31
0モル%≦RO≦0.5モル%である、実施形態30に記載の方法。
【符号の説明】
【0123】
100,200 物品
110 基板
112 第1の表面
114 第2の表面
120 損傷領域
124,224 ビア
200 物品/キャリア
210 接着面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7