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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20240516BHJP
   F24F 13/28 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
F24F1/0007 401C
F24F1/0007 401B
F24F13/28
F24F13/20
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021003204
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2022108309
(43)【公開日】2022-07-26
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 守
(72)【発明者】
【氏名】山崎 真吾
【審査官】塩田 匠
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207584886(CN,U)
【文献】特開2020-012585(JP,A)
【文献】実開昭57-169920(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第101576286(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
F24F 13/28
F24F 1/0073
F24F 1/0007
F24F 1/02
F24F 1/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に固定され、上面に空気を導入するための導入開口部が開けられていると共に、前下面に前記導入開口部から導入した空気を室内に送風するための送風開口部が開けられているケースと、
このケース内部への塵埃の侵入を抑制するために前記導入開口部を覆うと共に、前記ケースに着脱可能に設けられているフィルタと、を有する空調装置であって、
前記ケースは、前記フィルタの左右端部の裏面に沿って形成され前記フィルタの着脱時に前記フィルタをガイドするガイド部と、前記導入開口部を補強するために前記導入開口部の内部において前後方向に延び前記フィルタの上方に位置する縦桟部と、この縦桟部に交差するよう前記導入開口部の内部において左右方向に延び前記フィルタの上方に位置する横桟部と、を有すると共に、前記導入開口部と前記ガイド部とは、一体的に形成され、
前記フィルタを外した状態で前記ケースを上方から見た場合に、前記ガイド部は、視認可能であると共に、前記縦桟部及び前記横桟部は、左右の前記ガイド部の間に形成されている、空調装置。
【請求項2】
前記縦桟部の下面は、前記ガイド部の上面に略平行に形成されている、請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記ケースは、前記ケースの成形時に2つの型の境界部に対応した部位に形成されるパーティングラインが前部に形成されていると共に、前記導入開口部の前端を閉じるように左右に開口前端部が延び、
前記開口前端部は、前記パーティングラインに沿って形成されている、請求項1又は請求項2に記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタを有する空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの空調装置において、外部からケース内部への塵埃の侵入を抑制するために、フィルタが設けられている。フィルタを有する空調装置に関する従来技術として、特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1の図6に示されるように、空調装置は、フィルタをガイドするための支持枠が前面グリルに一体的に形成されてなる。前面グリルは、ケースの一部を構成する部位である。
【0004】
フィルタの清掃を行う作業者は、フィルタを支持枠に沿って移動させることにより、フィルタをケースから外したり、ケースに取り付けたりすることができる。換言すれば、フィルタの取り外しや取付作業時に、支持枠は、フィルタのガイドの役割を果たす。
【0005】
一般に、空調装置のケースは、樹脂成形品によって構成される。フィルタをガイドするためのガイド部等をケースの本体に一体的に形成することにより、部品点数の削減を図ることができ、好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3006590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のとおり、ケースは、一般に樹脂成形によって形成されるところ、成形型のコストが安価であることは、空調装置の製造コストを安価にすることに寄与することができ好ましい。
【0008】
本発明は、安価な空調装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本開示について説明する。
【0010】
本開示によれば、壁に固定され、上面に空気を導入するための導入開口部が開けられていると共に、前下面に前記導入開口部から導入した空気を室内に送風するための送風開口部が開けられているケースと、
このケース内部への塵埃の侵入を抑制するために前記導入開口部を覆うと共に、前記ケースに着脱可能に設けられているフィルタと、を有する空調装置であって、
前記ケースは、前記フィルタの左右端部の裏面に沿って形成され前記フィルタの着脱時に前記フィルタをガイドするガイド部と、前記導入開口部を補強するために前記導入開口部の内部において前後方向に延び前記フィルタの上方に位置する縦桟部と、この縦桟部に交差するよう前記導入開口部の内部において左右方向に延び前記フィルタの上方に位置する横桟部と、を有し、
前記ケースを上方から見た場合に、前記縦桟部及び前記横桟部は、左右の前記ガイド部の間に形成されている、空調装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、安価な空調装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例による空調装置の斜視図である。
図2図1の2-2線断面図である。
図3図1に示した空調装置から前面パネル及び右のフィルタを取り外し右側部分を拡大した状態の平面図である。
図4図4Aは、図3の4A-4A線断面図、図4Bは、図4Aの部分の成形方法について説明する図である。
図5図5Aは、比較例による空調装置のガイド部を上方から見た状態の図、図5Bは、図5Aの5B-5B線断面に対応する部位の成形方法について説明する図、図5Cは、図3の5C部拡大図、図5Dは、図5Cの5D-5D線断面に対応する部位の成形方法について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明中、左右とは空調装置を正面から見た状態を基準として左右、前とは壁から室内に離間する方向、後とは室内から壁に向かう方向を指す。また、図中Frは前、Rrは後、Leは左、Riは右、Upは上、Dnは下を示している。添付図に示した形態は本発明の一例であり、本発明は当該形態に限定されない。
【0014】
<実施例>
図1を参照する。図1には、空調装置10の室内機20が示されている。一般に、空調装置10は、屋内において壁Waに固定して用いられる室内機20と、屋外に配置され冷媒を適温に調節するための室外機と、これらの室内機20と室外機とを繋ぎ内部に冷媒が流れる配管と、を有する。本発明においては、室外機及び配管については、周知のものを用いることができるため、説明を省略する。
【0015】
空調装置10は、例えば室内の温度や湿度に応じて、室内の温度を下げる冷房モード、室内の温度を上げる暖房モード、室内の湿度を下げる除湿モードを切り替えることができる。
【0016】
図2を併せて参照する。室内機20は、壁Waに固定されている板状の支持板部21と、この支持板部21に支持されているケース22と、このケース22の内部に収納され室内の空気と内部に流れる冷媒とで熱交換を行う複数の熱交換器23と、これらの熱交換器23の下方に回転可能に設けられ室内に向かって送風を行うためのファン24と、ケース22の前下部にスイング可能に設けられ送風する方向を調節するためのルーバー25と、このルーバー25の上方に設けられケース30にスイング可能に支持されている前面パネル26と、ケース30の前部から上部に亘って設けられケース30の内部に塵埃が侵入することを抑制するフィルタ27と、を有している。
【0017】
支持板部21は、金属の一枚板によって構成される。支持板部21は、金属板をプレスすることにより所定の形状とされている。支持板部21は、上端及び下端がそれぞれ前方に向かって折り曲げられ突出している上部突出部21a、下部突出部21bとされている。
【0018】
ケース30は、支持板部21によって支持されている後部ケース31と、この後部ケース31に支持されている前部ケース40と、を有する。後部ケース31、前部ケース40は、共に樹脂成形品が用いられている。前面が開口している後部ケース31と、後面が開口している前部ケース40とを合わせることにより、ケース30の内部には空間が形成されている。
【0019】
前面パネル26は、上端が前部ケース40に固定され、上端を中心に下端を上方に向かってスイングさせることができる。また、前面パネル26は、フィルタ27の清掃時等において前部ケース40から取り外すことができる。つまり、前面パネル26は、前部ケース40に対してスイング可能に支持されていると共に、前部ケース40に着脱可能に設けられている。
【0020】
図3を参照する。図3には、左側のみにフィルタ27が設けられている状態の前部ケース40が示されている。前部ケース40の右側にもフィルタ27は設けられるが、説明のために右側のフィルタ27を外した状態としている。
【0021】
フィルタ27は、前部ケース40に着脱可能に設けられている。フィルタ27は、前部ケース40に支持され略矩形状に形成されたフィルタ枠体27aと、このフィルタ枠体27aの内部に設けられ網状に形成されているフィルタ本体27bと、を有する。網状に形成されたフィルタ本体27bにケース30外部の塵埃が引っかかることにより、ケース30内部への塵埃の侵入は抑制される。
【0022】
図2を参照する。後部ケース31は、上部突出部21aに掛けられる上部係合部31aと、下部突出部21bに掛けられる下部係合部31bと、を有している。後部ケース31は、上部係合部31a及び下部係合部31bを介して支持板部21に支持されている。
【0023】
図3を併せて参照する。前部ケース40は、後部ケース31に重ねあわされているケース本体部41と、このケース本体部41の上面41uに開けられ空気を導入するための導入開口部42、42と、ケース本体部41の前下面に開けられ導入開口部42、42から導入した空気を室内に送風するための送風開口部43と、フィルタ枠体27aの左右端部の裏面に沿って形成されフィルタ27の着脱時にフィルタ27をガイドするガイド部44、44と、導入開口部42、42を補強するために導入開口部42、42の内部において前後方向に延びフィルタ27の上方に位置する縦桟部45と、これらの縦桟部45に交差するよう導入開口部42、42の内部において左右方向に延びている横桟部46と、この横桟部46に略平行に形成され導入開口部42、42の前端を閉じるように左右に延びる開口前端部47と、を有している。
【0024】
導入開口部42、42は、ケース本体部41の上面41uの左右に2か所形成され略矩形状を呈する。
【0025】
送風開口部43は、ケース本体部41の左右に1か所に形成されている。
【0026】
ガイド部44、44は、それぞれの導入開口部42、42の左右の端部に臨むように形成された前後に長い略矩形状の部位である。また、ガイド部44、44は、ケース本体部41の上面41uよりも下方に形成され、前方から後方に向かって上り勾配に形成されている。
【0027】
縦桟部45は、それぞれの導入開口部42、42に4本ずつ形成されている。4本ずつ形成された縦桟部45は、上方から見た状態を基準として、全て左右のガイド部44、44の間に形成されている。縦桟部45の上面は、ケース本体部41の上面41uと略同じ高さであり、縦桟部45の下面45dは、ガイド部44、44よりも上方に位置し、ガイド部44、44の上面44uに略平行に形成されている。縦桟部45の下面45dは、フィルタ27の上方に位置する。
【0028】
横桟部46は、それぞれの導入開口部42、42に1本ずつ形成され、それぞれ縦桟部45の略中央部を繋ぐように左右に延びている。横桟部46の左右の両端は、縦桟部45に接続されている。このため、横桟部46は、上方から見た状態を基準として、左右のガイド部44、44の間に形成されている。
【0029】
図3及び図4Aを参照する。開口前端部47は、導入開口部42、42の前端を閉じるように梁状に形成され、上面が略U字状に形成されている。開口前端部47の後面は、ケース本体部41に形成されたパーティングライン48に沿って形成されている。パーティングライン48は、前部ケース40の成形時に2つの型の境界部に対応した部位に形成される線である。
【0030】
図4A及び図4B参照して、パーティングライン48について、詳細に説明する。例えば、前部ケース40は、前部に配置され移動しない固定型61と、この固定型61に対して前後方向に移動可能な第1の可動型62と、固定型61に対して上下方向に移動可能な第2の可動型63と、によって成形される。
【0031】
より詳細には、型61~63によってキャビティを形成し、キャビティに溶融樹脂を流し込む。その後、樹脂が固まることにより、前部ケース40は、形成される。このとき、固定型61と第2の可動型63との合わせ面にも僅かに溶融樹脂が入り込む。入り込んだ樹脂が固まることにより、パーティングライン48は、形成される。
【0032】
詳細は後述するが、導入開口部42、42の左右端部に亘って形成される部位を開口前端部47のみとすることにより、ケース30を簡便な型61~63のみによって成形することができる。
【0033】
図5Aを参照する。比較例による前部ケース140は、横桟部146が導入開口部142の左右に亘って形成されている。このため、横桟部146の端部は、ガイド部144の上方に重なっている。
【0034】
図5Bを併せて参照する。ガイド部144を導入開口部142の左右の両端位置に合わせて一体的に形成するためには、前部ケース140の内面を形成する第1の可動型162に、第1の可動型162の抜き方向と直交する左右方向にスライドするスライド部162aを、第1の可動型162に形成する必要がある。スライド部162aが必要な分、第1の可動型162が高価となり、空調装置110の製造コストが嵩むこととなる。
【0035】
図3及び図5Cを参照する。実施例による空調装置10では、ケース30を上方から見た場合に、縦桟部45及び横桟部46は、左右のガイド部44、44の間に形成されている。つまり、ガイド部44、44の上方に縦桟部45及び横桟部46が重なっていない。
【0036】
図5C及び図5Dを参照する。ガイド部44、44の上方に縦桟部45及び横桟部46が重ならない構成とすることにより、第1の可動型62にスライド部(図5B参照)を設ける必要がなくなる。このため、前部ケース40を製造するために必要な金型のコストを下げることができ、安価な空調装置10を提供することができる。
【0037】
図2を参照する。縦桟部45の下面45dは、ガイド部44、44の上面44uに略平行に形成されている。これにより、縦桟部45の下面45dによって着脱時におけるフィルタ27をガイドすることができる。フィルタ27を上下からガイドすることにより、より着脱性を高めることができる。
【0038】
図3及び図4Bを参照する。開口前端部47は、パーティングライン48に沿って形成されている。導入開口部42、42の前端にのみガイド部44、44に重なる部位を形成することとした。開口前端部47は、2つの型61、63の境界となる部分に形成されるため、スライド部(図5B参照)が不要である。このため、導入開口部42、42を補強しつつも製造コストが安価な空調装置10を提供することができる。
【0039】
尚、本発明による空調装置は、暖房機能及び除湿機能を有するものを例に説明したが、本発明は、冷房機能のみを有する空調装置や除湿機能のみを有する空調装置、暖房機能を有さず冷房機能と除湿機能を有する空調装置であっても適用可能である。即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の空調装置は、家庭用エアコン装置に好適である。
【符号の説明】
【0041】
10…空調装置
27…フィルタ
30…ケース
42…導入開口部
43…送風開口部
44…ガイド部
45…縦桟部
46…横桟部
47…開口前端部
48…パーティングライン
Wa…壁
図1
図2
図3
図4
図5