(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】サウナ装置
(51)【国際特許分類】
A61H 33/06 20060101AFI20240516BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240516BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
A61H33/06 R
G06Q50/10
A47K3/00 Z
(21)【出願番号】P 2021134816
(22)【出願日】2021-08-20
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】小林 亜令
(72)【発明者】
【氏名】江島 啓
(72)【発明者】
【氏名】服部 元
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 智基
【審査官】永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-117554(JP,A)
【文献】特開2005-098043(JP,A)
【文献】特開2019-164685(JP,A)
【文献】登録実用新案第3128748(JP,U)
【文献】特開2010-104457(JP,A)
【文献】加藤 容崇,医者が教えるサウナの教科書,第1版,日本,ダイヤモンド社,2020年03月04日,p.42-43, p.62-101
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/06
G06Q 50/10
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サウナ室と、
前記サウナ室で体が温まったユーザに冷水を触れさせる冷水ユニットと、
離れた所定場所での外気浴の状況を再現することで、前記冷水に触れた前記ユーザに疑似外気浴を体験させる外気浴提供ユニットと、
前記サウナ室、前記冷水ユニット及び前記外気浴提供ユニットが搭載され、移動可能な移動車両と、
を備え
、
前記外気浴提供ユニットは、前記移動車両の移動速度に応じて、前記所定場所に対応する映像の視点を移動させる、サウナ装置。
【請求項2】
前記外気浴提供ユニットは、前記所定場所に対応する映像を表示部に表示させると共に、前記所定場所に対応する温度又は風量を調整して、前記所定場所での外気浴の状況を再現する、
請求項1に記載のサウナ装置。
【請求項3】
サウナ室と、
前記サウナ室で体が温まったユーザに冷水を触れさせる冷水ユニットと、
離れた所定場所での外気浴の状況を再現することで、前記冷水に触れた前記ユーザに疑似外気浴を体験させる外気浴提供ユニットと、
前記サウナ室、前記冷水ユニット及び前記外気浴提供ユニットが搭載され、移動可能な移動車両と、
を備え、
前記外気浴提供ユニットは、前記移動車両の移動中の向きに応じて、前記所定場所に対応する映像の視点を移動させる、
サウナ装置。
【請求項4】
サウナ室と、
前記サウナ室で体が温まったユーザに冷水を触れさせる冷水ユニットと、
離れた所定場所での外気浴の状況を再現することで、前記冷水に触れた前記ユーザに疑似外気浴を体験させる外気浴提供ユニットと、
前記サウナ室、前記冷水ユニット及び前記外気浴提供ユニットが搭載され、移動可能な移動車両と、
を備え、
前記外気浴提供ユニットは、前記移動車両の移動速度に応じて、風発生部が発生する風量を変化させる、
サウナ装置。
【請求項5】
サウナ室と、
前記サウナ室で体が温まったユーザに冷水を触れさせる冷水ユニットと、
離れた所定場所での外気浴の状況を再現することで、前記冷水に触れた前記ユーザに疑似外気浴を体験させる外気浴提供ユニットと、
前記サウナ室、前記冷水ユニット及び前記外気浴提供ユニットが搭載され、移動可能な移動車両と、
を備え、
前記外気浴提供ユニットは、前記移動車両の移動位置に応じて、音場の範囲を変化させる、
サウナ装置。
【請求項6】
サウナ室と、
前記サウナ室で体が温まったユーザに冷水を触れさせる冷水ユニットと、
離れた所定場所での外気浴の状況を再現することで、前記冷水に触れた前記ユーザに疑似外気浴を体験させる外気浴提供ユニットと、
前記サウナ室、前記冷水ユニット及び前記外気浴提供ユニットが搭載され、移動可能な移動車両と、
前記移動車両が移動した複数の移動ルートの各々での前記ユーザの前記疑似外気浴の体験ログを取得し、各移動ルートに対する前記疑似外気浴の適性度を指標化する指標部
と、を備える、
サウナ装置。
【請求項7】
前記指標部の指標化結果に基づいて、前記適性度が高い移動ルートを推薦する推薦部を更に備える、
請求項
6に記載のサウナ装置。
【請求項8】
サウナ室と、
前記サウナ室で体が温まったユーザに冷水を触れさせる冷水ユニットと、
離れた所定場所での外気浴の状況を再現することで、前記冷水に触れた前記ユーザに疑似外気浴を体験させる外気浴提供ユニットと、
を備え、
前記外気浴提供ユニットは、複数の遠隔地の中から一の遠隔地を前記所定場所として選択し、選択した前記遠隔地での外気浴の状況を再現し、
前記複数の遠隔地の各々での前記ユーザの前記疑似外気浴の体験ログを取得し、各遠隔地に対する前記疑似外気浴の適性度を指標化する指標部を更に備える、
サウナ装置。
【請求項9】
前記指標部の指標化結果に基づいて、前記適性度が高い遠隔地を推薦する推薦部を更に備える、
請求項
8に記載のサウナ装置。
【請求項10】
前記外気浴提供ユニットは、前記疑似外気浴中に前記ユーザの脳波が所定の閾値以下に低下すると、前記疑似外気浴の体験終了を通知させる、
請求項1から
9のいずれか1項に記載のサウナ装置。
【請求項11】
前記外気浴提供ユニットは、前記疑似外気浴中に前記ユーザの心拍変動の高周波数成分が所定の閾値以上に増加すると、前記疑似外気浴の体験終了を通知させる、
請求項1から
10のいずれか1項に記載のサウナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サウナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サウナ、水風呂、外気浴の順に複数回繰り返すことで、心身ともに整った状態(以下「整う」とも呼ぶ)になることが知られている。特に、外気浴が、整うに大きく寄与していることが分かってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外気浴は、外気浴に適した場所(例えば緑に囲まれた場所)で行うことで、効果がより発揮される。しかし、通常のサウナは、外気浴に適した場所に設置されていないため、外気浴の効果が十分に発揮されていない。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、外気浴の効果を高められるサウナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、サウナ室と、前記サウナ室で体が温まったユーザに冷水を触れさせる冷水ユニットと、離れた所定場所での外気浴の状況を再現することで、前記冷水に触れた前記ユーザに疑似外気浴を体験させる外気浴提供ユニットと、を備える、サウナ装置を提供する。
【0007】
また、前記外気浴提供ユニットは、前記所定場所に対応する映像を表示部に表示させると共に、前記所定場所に対応する温度又は風量を調整して、前記所定場所での外気浴の状況を再現することとしてもよい。
【0008】
また、前記サウナ室、前記冷水ユニット及び前記外気浴提供ユニットが搭載され、移動可能な移動車両を更に備え、前記外気浴提供ユニットは、前記移動車両内の前記ユーザに前記疑似外気浴を体験させることとしてもよい。
【0009】
また、前記外気浴提供ユニットは、前記移動車両の移動速度に応じて、前記所定場所に対応する映像の視点を移動させることとしてもよい。
【0010】
また、前記外気浴提供ユニットは、前記移動車両の移動中の向きに応じて、前記所定場所に対応する映像の視点を移動させることとしてもよい。
【0011】
また、前記外気浴提供ユニットは、前記移動車両の移動速度に応じて、風発生部が発生する風量を変化させることとしてもよい。
【0012】
また、前記外気浴提供ユニットは、前記移動車両の移動位置に応じて、音場の範囲を変化させることとしてもよい。
【0013】
また、前記移動車両が移動した複数の移動ルートの各々での前記ユーザの前記疑似外気浴の体験ログを取得し、各移動ルートに対する前記疑似外気浴の適性度を指標化する指標部を更に備えることとしてもよい。
【0014】
また、前記指標部の指標化結果に基づいて、前記適性度が高い移動ルートを推薦する推薦部を更に備えることとしてもよい。
【0015】
また、前記外気浴提供ユニットは、複数の遠隔地の中から一の遠隔地を前記所定場所として選択し、選択した前記遠隔地での外気浴の状況を再現することとしてもよい。
【0016】
また、前記複数の遠隔地の各々での前記ユーザの前記疑似外気浴の体験ログを取得し、各遠隔地に対する前記疑似外気浴の適性度を指標化する指標部を更に備えることとしてもよい。
【0017】
また、前記指標部の指標化結果に基づいて、前記適性度が高い遠隔地を推薦する推薦部を更に備えることとしてもよい。
【0018】
また、前記外気浴提供ユニットは、前記疑似外気浴中に前記ユーザの脳波が所定の閾値以下に低下すると、前記疑似外気浴の体験終了を通知させてもよい。
【0019】
また、前記外気浴提供ユニットは、前記疑似外気浴中に前記ユーザの心拍変動の高周波数成分が所定の閾値以上に増加すると、前記疑似外気浴の体験終了を通知させてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、外気浴の効果を高められるサウナ装置を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一の実施形態に係るサウナ装置1の概要を説明するための模式図である。
【
図2】サウナ装置1が搭載された車両Vを説明するための模式図である。
【
図3】制御装置100の構成を説明するためのブロック図である。
【
図4】外部サーバ200に記憶された情報を説明するための模式図である。
【
図5】表示部34に表示される映像の一例を説明するための模式図である。
【
図6】サウナ装置1の利用の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図7】擬似外気浴処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<サウナ装置の概要>
一の実施形態に係るサウナ装置1の概要について、
図1を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、一の実施形態に係るサウナ装置1の概要を説明するための模式図である。サウナ装置1は、
図1に示すように、サウナ室10と、冷水ユニット20と、外気浴部30と、制御装置100を有する。サウナ室10、冷水ユニット20及び外気浴部30は、壁等で区切られている。本実施形態では、外気浴部30及び制御装置100が、外気浴提供ユニットに該当する。
【0024】
サウナ室10は、蒸気浴や熱気浴が可能な部屋である。サウナ室10は、所定温度を保つように区画されており、室内にいるユーザの体を温める。サウナ室10には、例えば、熱せられたサウナストーンが設けられており、サウナストーンに水をかけると蒸気を出し湿度を上げる。
【0025】
冷水ユニット20は、サウナ室10で体が温まったユーザに冷水を触れさせる部分である。冷水ユニット20は、ここでは水風呂である。ただし、これに限定されず、冷水ユニット20は、シャワーであってもよい。ユーザは、冷水ユニット20の冷水に触れることで、体を冷やす。
【0026】
外気浴部30は、ユーザが外気浴を行える部屋である。外気浴部30には椅子32が設けられており、ユーザは、椅子32に座って休憩可能である。外気浴部30には、表示部34と、空調部36、音出力部38が設けられている。表示部34は、例えば液晶ディスプレイであり、風景等を表示可能である。空調部36は、例えばエアコンやサーキュレーターを有し、外気浴部30の温度や風量を調整可能である。音出力部38は、スピーカーであり、外気浴部30のユーザに向けて音を出力する。なお、表示部34の周囲は窓となっており、ユーザは窓から外を見ることができる。また、外気浴部30には、香りや匂いを発生させる香り発生部が設けられていてもよい。
【0027】
制御装置100は、サウナ装置1の状態等を制御する。例えば、制御装置100は、サウナ室10の室内温度、冷水ユニット20の水の温度を制御する。制御装置100は、離れた所定場所での外気浴の状況を再現することで、冷水に触れたユーザに疑似外気浴を体験させる。例えば、制御装置100は、表示部34、空調部36及び音出力部38の動作を制御して、離れた所定場所での外気浴の状況を再現する。ここで、所定場所は、外気浴に適した場所であり、例えば山等の緑に囲まれた遠隔地である。このため、ユーザは、あたかも遠隔地で外気浴をしている感覚となる。
【0028】
サウナ装置1において、ユーザは、区画されたサウナ室10、冷水ユニット20、外気浴部30の順に利用する。例えば、ユーザは、サウナ室10を5分~10分程度利用し、冷水ユニット20を30秒~1分程度利用し、外気浴部30を5分~10分程度利用する。特に、ユーザは、サウナ室10、冷水ユニット20、外気浴部30の順に複数回(例えば、2~3回)利用することで、心身ともに整った状態になる。整った状態になると、リラックスしたり集中力が高くなったりすることが知られている。
【0029】
本実施形態では、制御装置100は、上述したように離れた所定場所での外気浴の状況を再現することでユーザに疑似外気浴を体験させることにより、ユーザは、実際には外気浴に適した場所にいなくても、前記場所での疑似外気浴を体験できるので、外気浴の効果を高められる。この結果、サウナ室10、冷水ユニット20及び外気浴部30を複数回利用することで、より心身ともに整った状態になりやすい。
【0030】
サウナ装置1は、ここでは、移動可能な移動車両(以下、単に車両と呼ぶ)に搭載されている。すなわち、車両に、サウナ室10、冷水ユニット20、外気浴部30及び制御装置90が、搭載されている。ただし、上記に限定されず、サウナ装置1は車両に搭載されていなくてもよい。
【0031】
図2は、サウナ装置1が搭載された車両Vを説明するための模式図である。車両Vは、例えば、ユーザUの近くまで移動可能である。ユーザUは、例えば仕事の休憩中に、自分の近くまで移動してきた車両Vに搭載されたサウナ装置1を利用することで、上述した疑似外気浴を体験できる。これにより、ユーザUは、リラックスして集中した状態になりやすくなる。この結果、ユーザUは、集中力をアップさせたり、アイディアを発想しやすくなったり、脳疲労が取れたりして、仕事のパフォーマンスが向上する。
【0032】
<制御装置の構成>
制御装置100の構成について、
図3を参照しながら説明する。
【0033】
図3は、制御装置100の構成を説明するためのブロック図である。制御装置100は、記憶部110と、制御部120を有する。
【0034】
記憶部110は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含む記憶媒体である。記憶部110は、制御部120が実行するプログラムを記憶している。
【0035】
制御部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部120は、記憶部110が記憶しているプログラムを実行することにより、場所情報取得部122、車両情報取得部123、外気浴提供部124、モニタリング部125、指標部126、推薦部127として機能する。
【0036】
場所情報取得部122は、外気浴に適した所定場所(例えば、遠隔地)に関する場所情報を取得する。場所情報は、例えば外部サーバ200に記憶されており、場所情報取得部122は、外部サーバ200から場所情報を取得する。外部サーバ200には、外気浴に適した複数の遠隔地の各々について記憶している。
【0037】
図4は、外部サーバ200に記憶された情報を説明するための模式図である。ここでは、外部サーバ200が、外気浴に適した所定場所として、遠隔地A、遠隔地B、遠隔地C、遠隔地Dを記憶している。また、各遠隔地A~Dについて、映像データ、温度データ、風量データ及び音場データが対応づけて記憶されている。例えば、遠隔地Aには、映像データA、温度データA、風量データA及び音場データAが対応づけて記憶されている。
【0038】
車両情報取得部123は、サウナ装置1が搭載された車両に関する車両情報を取得する。例えば、車両情報取得部123は、車両情報として、車両の移動速度、移動位置、向き、走行ルートに関する情報を取得する。車両情報取得部123は、ユーザがサウナ装置1の利用を開始すると、車両情報を取得する。車両情報取得部123は、取得した車両情報を外気浴提供部124に出力する。
【0039】
外気浴提供部124は、所定場所である遠隔地での外気浴の状況を再現することで、ユーザに疑似外気浴を体験させる。外気浴提供部124は、場所情報取得部122が取得した場所情報に基づいて、当該遠隔地での外気浴の状況を再現する。例えば、外気浴提供部124は、遠隔地に対応する映像を表示部34に表示させると共に、遠隔地に対応する温度又は風量を調整して、遠隔地での外気浴の状況を再現する。すなわち、外気浴提供部124は、遠隔地の景色、風、音等を再現する。この際、外気浴提供部124は、映像に連動して、遠隔地に対応した香りや匂いを発生させてもよい。例えば、外気浴部30に設けられた香り発生部が、遠隔地の木の香りを発生させる。このため、ユーザは、あたかも遠隔地で外気浴をしていると感じる。
【0040】
図5は、表示部34に表示される映像の一例を説明するための模式図である。ここでは、表示部34は、遠隔地である景勝地の映像を表示しており、遠隔地で外気浴をする際の周囲の風景である。表示部34は、車両の向きを変えると、その方向に合わせて映像の視点を切り替わる。表示部34には動画である映像が表示されるとしたが、これに限定されず、例えば静止画が表示されてもよい。例えば、車両が移動しない場合には、静止画を表示した状態で擬似外気浴を体験させることができる。
なお、ユーザが例えばヘッドマウントディスプレイを装着することで、複数の遠隔地の中から所望の遠隔地の映像を選択できるようにし、選択した遠隔地の映像を表示させることとしてもよい。この際、複数の遠隔地の状況(温度、風、音等)を別々に再現できるように、外気浴部30を複数の区画(例えば、3区画)に分けてもよい。ユーザは、ヘッドマウントディスプレイに表示された映像に対応する区画で、擬似外気浴を体験することになる。
【0041】
ユーザは、所定場所を選択可能であり、ユーザが選択した所定場所である遠隔地での外気浴を体験できる。すなわち、外気浴提供部124は、複数の遠隔地の中から一の遠隔地を所定場所として選択し、選択した遠隔地での外気浴の状況を再現する。これにより、外気浴提供部124は、ユーザが希望する遠隔地での外気浴の状況を再現できるので、擬似外気浴の効果を高められる。
【0042】
ユーザが車両に搭載されたサウナ装置1を利用する場合には、外気浴提供部124は、車両内のユーザに疑似外気浴を体験させることになる。例えば、外気浴提供部124は、車両の移動中に、ユーザに擬似外気浴を体験させる。このように車両の移動に連動して擬似外気浴を行うことで、ユーザに高い臨場感を与えることができるので、擬似外気浴の効果をより高められる。
【0043】
外気浴提供部124は、車両の移動速度に応じて、所定場所に対応する映像の視点を移動させる。すなわち、外気浴提供部124は、車両情報取得部123が取得した車両の移動速度に応じて、表示部34に表示される映像の視点を移動させる。例えば、外気浴提供部124は、車両の移動速度が速いと、映像の視点の移動を速くする。
【0044】
外気浴提供部124は、車両の移動中の向きに応じて、所定場所に対応する映像の視点を移動させる。すなわち、外気浴提供部124は、車両情報取得部123が取得した車両の向きに応じて、表示部34に表示される映像の視点を移動させる。例えば、外気浴提供部124は、車両が右向きになると映像の視点も右に移動させ、車両が左向きになると映像の視点も左に移動させる。
【0045】
外気浴提供部124は、車両の移動速度に応じて、空調部36が発生する風量を変化させる。空調部36は風発生部としてのサーキュレーターを有しており、外気浴提供部124は、サーキュレーターが発生する風量を変化させる。例えば、外気浴提供部124は、車両の移動速度が速くなると風量を多くし、車両の移動速度が遅くなると風量を少なくする。
【0046】
外気浴提供部124は、車両の移動位置に応じて、音出力部38が発生する音場の範囲を変化させる。外気浴提供部124は、車両と所定場所との位置に基づいて、外気浴部30での音の再現位置を異ならせる。また、外気浴提供部124は、車両が所定場所に近づくと、音を大きくさせてもよい。
【0047】
モニタリング部125は、外気浴中のユーザの状態をモニタリングする。例えば、モニタリング部125は、擬似外気浴を体験しているユーザの脳波や心拍変動を測定する。一例として、モニタリング部125は、脳波センサを介してユーザの脳波を測定し、脈波センサを介して心拍変動を測定する。なお、脳波センサや脈波センサは、ユーザが身に着けているウェアラブル端末に搭載されていてもよいが、外気浴部30に非接触で測定可能に設置されていてもよい。また、モニタリング部125は、ユーザが擬似外気浴を行っている時間を計測する。
【0048】
モニタリング部125は、ユーザが副交感神経優位状態になっているかを判定してもよい。人の自律神経には、からだを活動モードにする交感神経と、休養・回復モードにする副交感神経とがあり、副交感神経が交換神経よりも優位な状態である副交感神経優位状態は、例えばリラックスした状態である。このため、擬似外気浴中のユーザが副交感神経優位状態にある場合には、擬似外気浴の効果が発揮されていると推定できる。
【0049】
外気浴提供部124は、モニタリング部125のモニタリング結果に基づいて、擬似外気浴を制御しうる。
例えば、外気浴提供部124は、疑似外気浴中にユーザの脳波が所定の閾値以下に低下すると、疑似外気浴の体験終了を通知させる。一例として、外気浴提供部124は、ユーザの脳波としてのα波が所定の閾値以下になると、ユーザがリラックスした状態になったと判定し、擬似外気浴の体験終了を通知させる。なお、体験終了を推奨してもよい。上記の脳波の閾値は、ユーザ毎に設定されうる。
【0050】
また、外気浴提供部124は、疑似外気浴中にユーザの心拍変動の高周波数成分(HF)が所定の閾値以上に増加すると、疑似外気浴の体験終了を通知させる。上記のHFは、0.15~0.4Hzの周波帯のパワースペクトルであり、副交感神経の活動を反映する。外気浴提供部124は、HFが所定の閾値以上に増加すると、ユーザがリラックスした状態になったと判定し、擬似外気浴の体験終了を通知させる。なお、上記のHFの閾値は、ユーザ毎に設定されうる。
【0051】
指標部126は、ユーザの擬似外気浴の適性度を指標化する。擬似外気浴の対象となる遠隔地が複数ある場合には、指標部126は、ユーザの各遠隔地に対する適性度を指標化する。例えば、指標部126は、複数の遠隔地の各々でのユーザの疑似外気浴の体験ログを取得し、各遠隔地に対する疑似外気浴の適性度を数値化する。このように指標化することで、複数の遠隔地の中でユーザの擬似外気浴が最も適した遠隔地を特定できる。
【0052】
サウナ装置1においては、車両が移動する移動ルート毎に、擬似外気浴を異ならせてもよい。例えば、移動ルートによって、車両の向きや速度等が異なるので、外気浴提供部124は、映像の視点や風量を変化させる。そこで、指標部126は、車両の移動ルート毎のユーザの擬似外気浴の適性度を指標化する。例えば、指標部126は、車両が移動した複数の移動ルートの各々でのユーザの疑似外気浴の体験ログを取得し、各移動ルートに対する疑似外気浴の適性度を数値化する。このように指標化することで、複数の移動ルートの中でユーザの擬似外気浴が最も適した移動ルートを特定できる。
【0053】
推薦部127は、ユーザの擬似外気浴に適した状況を推薦する。ここでは、推薦部127は、指標部126の指標化結果に基づいて、擬似外気浴に適した状況を推薦する。例えば、推薦部127は、指標部126の複数の遠隔地に対する指標化結果に基づいて、適性度が高い遠隔地を推薦する。これにより、ユーザは、推薦された遠隔地を選択することで、最適な遠隔地での擬似外気浴を体験できる。
【0054】
また、推薦部127は、指標部126の複数の移動ルートに対する指標化結果に基づいて、適性度が高い移動ルートを推薦する。これにより、ユーザは、推薦された移動ルートを選択することで、最適な移動ルートでの擬似外気浴を体験できる。
【0055】
<サウナ装置1の利用の流れ>
ユーザがサウナ装置1を利用する際の流れについて、
図6を参照しながら説明する。ここでは、サウナ装置1が車両に搭載されているものとする。
【0056】
図6は、サウナ装置1の利用の流れを説明するためのフローチャートである。
図6のフローチャートは、ユーザがサウナ装置1に入室するところから開始される。まず、ユーザが擬似外気浴の対象となる所定場所である遠隔地と車両の移動ルートを選択すると、制御装置100は、ユーザが選択した遠隔地及び移動ルートを設定する(ステップS102)。
【0057】
次に、制御装置100は、ユーザがサウナ室10、冷水ユニット20の順に利用したことを確認する(ステップS104)。例えば、制御装置100は、カメラでユーザがサウナ室10、冷水ユニット20を利用したことを確認する。
【0058】
その後、制御装置100は、ユーザが外気浴部30に入室したか否かを判定する(ステップS106)。そして、ステップS106でユーザが外気浴部30に入室したと判定すると(Yes)、制御装置100は、ユーザに擬似外気浴を体験させる擬似外気浴処理を行う(ステップS108)。擬似外気浴処理の詳細は、後述する。
【0059】
擬似外気浴処理の終了後に、制御装置100は、整うプロセスが完了したか否かを判定する(ステップS110)。整うプロセスは、サウナ室10、冷水ユニット20、外気浴部30の利用を複数回(例えば、3回)行うプロセスである。
【0060】
ステップS110で整うプロセスが完了していないと判定した場合には(No)、制御装置100は、前述したステップS104~S108の処理を繰り返す。すなわち、ユーザは、サウナ室10、冷水ユニット20、外気浴部30の利用を再度繰り返す。
【0061】
一方で、ステップS110で整うプロセスが完了したと判定した場合には(Yes)、制御装置100は、ユーザにサウナ装置1の利用の結果を通知する(ステップS112)。例えば、制御装置100は、今回の擬似外気浴の対象となった遠隔地が適性であったかを通知する。
【0062】
以下では、ステップS108の擬似外気浴処理の流れについて、
図7を参照しながら説明する。
図7は、擬似外気浴処理の流れを説明するためのフローチャートである。まず、制御装置100は、
図6のステップS102で設定した遠隔地に対応するデータを取得する(ステップS122)。例えば、制御装置100は、設定した遠隔地に対応する映像、温度、風量データ等を、外部サーバ200から取得する。
【0063】
次に、制御装置100は、ステップS102で設定した移動ルートでの車両の移動を要求する(ステップS124)。要求を受けた車両のドライバは、設定された移動ルートに沿って移動するように運転する。
【0064】
次に、モニタリング部125は、外気浴部30にいるユーザのモニタリングを開始する(ステップS126)。例えば、モニタリング部125は、ユーザの脳波や脈波の測定を行う。
【0065】
次に、制御装置100(具体的には、外気浴提供部124)は、ユーザの擬似外気浴の体験を開始させる(ステップS128)。すなわち、制御装置100は、ステップS122で取得した映像、温度、風量データに基づいてユーザに擬似外気浴を体験させる。表示部34は、取得した映像データを表示し、空調部36は、取得した温度及び風量になるように調整する。
【0066】
次に、制御装置100は、車両が移動しているか否かを判定する(ステップS130)。例えば、制御装置100は、車両の位置、速度、向きを取得して、車両が移動しているか否かを判定する。
【0067】
ステップS130で車両が移動していると判定された場合には(Yes)、制御装置100は、移動後の車両の位置、速度、向きに対応した映像、風量、温度データ等を、外部サーバ200から取得する(ステップS132)。そして、制御装置100は、ステップS132で取得したデータに基づいて擬似外気浴の設定を変更する(ステップS134)。すなわち、制御装置100は、表示部34に映像を切り替えさせ、空調部36に風量及び温度を変更させる。
【0068】
次に、制御装置100は、ユーザが副交感神経優位状態になっているかを判定する(ステップS136)。例えば、制御装置100は、ユーザの副交感神経優位度(LF/HF)が閾値以下になっている場合には、副交感神経優位状態になっていると判定する。
【0069】
ステップS136でユーザが副交感神経優位状態になっていると判定した場合には(Yes)、制御装置100は、ユーザに擬似外気浴が完了した旨を報知する(ステップS138)。ユーザは、報知を受けて擬似外気浴の効果が出たと判断し、外気浴部30から退出する。
【0070】
制御装置100は、ユーザが外気浴部30から退出すると、ユーザの擬似外気浴のログを記憶し、擬似外気浴処理を終了する(ステップS140)。その後、制御装置100は、
図6のステップS110以降の処理を行う。
【0071】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態に係るサウナ装置1においては、ユーザがサウナ室10、冷水ユニット20、外気浴部30の順に利用することになっている。そして、サウナ装置1の制御装置100は、外気浴部30で所定場所(遠隔地)での外気浴の状況を再現することで、ユーザに疑似外気浴を体験させる。
このようにユーザに遠隔地での擬似外気浴を体験させることで、ユーザは、あたかも外気浴に適した遠隔地で外気浴を行っていると感じるので、外気浴の効果を高められる。この結果、ユーザは、サウナ装置1を利用することで、心身ともに整った状態になりやすくなる。
【0072】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0073】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0074】
1 サウナ装置
10 サウナ室
20 冷水ユニット
30 外気浴部
100 制御装置
124 外気浴提供部
126 指標部
127 推薦部
U ユーザ
V 車両