(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム及び情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/904 20190101AFI20240516BHJP
【FI】
G06F16/904
(21)【出願番号】P 2021509414
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2020012832
(87)【国際公開番号】W WO2020196446
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2019061621
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗栖 俊治
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 明子
(72)【発明者】
【氏名】岡村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】巾嶋 良幸
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-199437(JP,A)
【文献】特開2007-011973(JP,A)
【文献】特開2001-184356(JP,A)
【文献】特開2018-073019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00 - 16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物体の各々を特定する物体特定部と、
表示面において前記複数の物体の各々に対応する位置を特定する位置特定部と、
ユーザによって指定された表現を特定する表現特定部と、
指定された前記表現に対応付けられている、
香り又は
味に関する表現群である
複数の関連表現からなる関連表現群を
前記表示面に表示
させる第1表示制御部と、
前記
複数の関連表
現の各々について
、前記ユーザに関する情報を用いて優先度を特定する優先度特定部と、
前記
複数の関連表現
のうち少なくとも1
つの関連表現と、
前記複数の物体のうち、当該複数の物体の各々と香り又は味との対応関係が記録された物体データベースにおいて当該関連表現によって表される
香り又は味
に対応することが示される物体
の位置との関係を、特定された前記優先度に応じた表示態様で
前記表示面に表示する第2表示制御部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1表示制御部は、指定された前記表現に対応付けられていて、且つ、当該表現に比べて
香り又は
味をユーザが想起しやすい表現として決められている
表現群を、前記関連表現群
として表示する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記
ユーザに関する情報が、
前記ユーザによって
前記複数の関連表現の各々について指定
された、前記優先度の高低を示す情報を含む
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記
ユーザに関する情報が、
前記ユーザの属性、嗜好又は行動の少なくともいずれかに
関するデータを含み、
前記優先度特定部は、前記複数の関連表現の各々が、前記ユーザの属性、嗜好又は行動の少なくともいずれかに合致するか否かに応じて、当該関連表現の前記優先度を特定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数の前記表現が指定された場
合、前記第1表示制御部は、指定された前記複数の表現
の各々について当該表現に比べて
香り又は
味をユーザが想起しやすい表現として決められている前記関連表現群
のうち、当該複数の表現に共通する関連表現を優先的に表示する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2表示制御部は、
前記複数の関連表現のうち前記優先度が高い前記関連表現と、
前記複数の物体のうち当該関連表現によって表される
香り又は味
に対応する物体
の位置との関係を表示する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2表示制御部は、前記優先度が高い前記関連表現が複数ある場合には、当該複数の関連表現と、当該複数の関連表現の全てによって表される
香り又は
味に対応する物体
の位置との関係を表示する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1表示制御部は、前記関連表現に類似する表現
としてデータベースにおいて定義されている類似表現群をさらに表示し、
前記優先度特定部は、表示された前記類似表現群について
ユーザの指定に応じて優先度を特定し、
前記第2表示制御部は、表示された前記類似表現群のうち少なくとも1以上の類似表現と、当該類似表現によって表される
香り又は味
に対応する物体
の位置との関係を、
前記表示面に表示する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
複数の物体の各々を特定する物体特定部と、
表示面において前記複数の物体の各々に対応する位置を特定する位置特定部と、
ユーザによって指定された表現を特定する表現特定部と、
指定された前記表現に対応付けられている、
香り又は
味に関する表現群である
複数の関連表現からなる関連表現群を
前記表示面に表示
させる第1表示制御部と、
前記
複数の関連表
現の各々について
、前記ユーザに関する情報を用いて優先度を特定する優先度特定部と、
前記
複数の関連表現
のうち少なくとも1
つの関連表現と、
前記複数の物体のうち、当該複数の物体の各々と香り又は味との対応関係が記録された物体データベースにおいて当該関連表現によって表される
香り又は味
に対応することが示される物体
の位置との関係を、特定された前記優先度に応じた表示態様で
前記表示面に表示する第2表示制御部と
を実現させるためのプログラム。
【請求項10】
操作装置と、
表示装置と、
情報処理装置と
を有し、
前記情報処理装置が、
複数の物体の各々を特定する物体特定部と、
前記表示装置の表示面において前記複数の物体の各々に対応する位置を特定する位置特定部と、
ユーザの前記操作装置に対する操作
によって指定された表現を特定する表現特定部と、
指定された前記表現に対応付けられている、
香り又は
味に関する表現群である
複数の関連表現からなる関連表現群を
前記表示面に表示
させる第1表示制御部と、
前記
複数の関連表
現の各々について
、前記ユーザに関する情報を用いて優先度を特定する優先度特定部と、
前記
複数の関連表現
のうち少なくとも1
つの関連表現と、
前記複数の物体のうち、当該複数の物体の各々と香り又は味との対応関係が記録された物体データベースにおいて当該関連表現によって表される
香り又は味
に対応することが示される物体
の位置との関係を、特定された前記優先度に応じた表示態様で
前記表示面に表示する第2表示制御部と
を有する
情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の香り又は味を表現するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
香りは、人間の感情や行動、記憶を司る大脳辺縁系に働きかけることで様々な効用を人間に与えることが知られている。例えば特許文献1には、香りを嗅いだ被験者に対し、その香りを嗅いだことによって想起された心的事象について質問を提示し、その回答を数値として取得することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、或る香りがどのようなものであるかを的確に表現することは、それほど簡単ではない。これは、大半の人間にとっては香りに関して表現する機会が少ないために、香りを表現する語彙に乏しかったり、また、香りとその香りの表現との対応関係を正確に認識できていなかったり、という事情があるためだと考えられる。
【0005】
上記のように香りを表現する行為とは逆に、或る表現からその表現に合った香りを創造することができれば、ユーザにとって新しい体験になり得る。例えばユーザ自らが好きな言葉を指定すると、その言葉のイメージに合った香りを創り出すというような、今までにない新しいサービスの提供が考えられる。このようなサービスは、物体の香りに限らず、物体の味についても適用可能である。
【0006】
そこで、本発明は、指定された表現に合う嗅覚又は味覚の物体を知ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、特定された表現を特定する表現特定部と、指定された前記表現に対応付けられている、嗅覚又は味覚に関する表現群である関連表現群を表示する第1表示制御部と、表示された前記関連表現群の各々についての優先度を特定する優先度特定部と、表示された前記関連表現群に含まれる少なくとも1以上の関連表現と、当該関連表現によって表される嗅覚又は味覚の物体との関係を、特定された前記優先度に応じた表示態様で表示する第2表示制御部とを備えることを特徴とする情報処理装置を提供する。
【0008】
前記第1表示制御部は、指定された前記表現に対応付けられていて、且つ、当該表現に比べて嗅覚又は味覚をユーザが想起しやすい表現として決められている前記関連表現群を表示するようにしてもよい。
【0009】
前記優先度特定部は、ユーザによって指定される優先度を特定するようにしてもよい。
【0010】
前記優先度特定部は、ユーザの属性、嗜好又は行動のうち少なくともいずれかに基づいて優先度を特定するようにしてもよい。
【0011】
複数の前記表現が指定された場合に、前記第1表示制御部は、指定された前記複数の表現のいずれにも対応付けられていて、且つ、当該表現に比べて嗅覚又は味覚をユーザが想起しやすい表現として決められている前記関連表現群を優先的に表示するようにしてもよい。
【0012】
前記第2表示制御部は、前記優先度が高い前記関連表現と、当該関連表現によって表される嗅覚又は味覚の物体との関係を表示するようにしてもよい。
【0013】
前記第2表示制御部は、前記優先度が高い前記関連表現が複数ある場合には、当該複数の関連表現と、当該複数の関連表現の全てによって表される嗅覚又は味覚の物体との関係を表示するようにしてもよい。
【0014】
前記第1表示制御部は、前記関連表現に類似する表現である類似表現群をさらに表示し、前記優先度特定部は、表示された前記類似表現群についての優先度を特定し、前記第2表示制御部は、表示された前記類似表現群のうち少なくとも1以上の類似表現と、当該類似表現によって表される嗅覚又は味覚の物体との関係を、表示するようにしてもよい。
【0015】
また、本発明は、コンピュータに、特定された表現を特定する表現特定部と、指定された前記表現に対応付けられている、嗅覚又は味覚に関する表現群である関連表現群を表示する第1表示制御部と、表示された前記関連表現群の各々についての優先度を特定する優先度特定部と、表示された前記関連表現群に含まれる少なくとも1以上の関連表現と、当該関連表現によって表される嗅覚又は味覚の物体との関係を表示する第2表示制御部であって、特定された前記優先度に応じた表示態様で前記関係を表示する第2表示制御部とを実現させるためのプログラムを提供する。
【0016】
また、本発明は、操作装置と、表示装置と、前記操作装置に対する操作による特定された表現を特定する表現特定部と、前記表示装置を制御して、指定された前記表現に対応付けられている、嗅覚又は味覚に関する表現群である関連表現群を表示する第1表示制御部と、表示された前記関連表現群の各々についての優先度を特定する優先度特定部と、前記表示装置を制御して、表示された前記関連表現群に含まれる少なくとも1以上の関連表現と、当該関連表現によって表される嗅覚又は味覚の物体との関係を表示する第2表示制御部であって、特定された前記優先度に応じた表示態様で前記関係を表示する第2表示制御部とを備える情報処理装置とを有することを特徴とする情報提供システムを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、指定された表現に合う嗅覚又は味覚の物体を知ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報提供システムの全体構成を例示するブロック図である。
【
図2】情報提供システムの構造を例示する側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】情報処理装置が記憶するカードDBの一例を示す図である。
【
図5】情報処理装置が記憶するサンプルDBの一例を示す図である。
【
図6】情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】情報提供システムの利用時において、センサ装置のセンシング面を上方から見たときの様子を例示する平面図である。
【
図9】情報提供システムの利用時において、センサ装置のセンシング面を上方から見たときの様子を例示する平面図である。
【
図10】情報提供システムの利用時において、センサ装置のセンシング面を上方から見たときの様子を例示する平面図である。
【
図11】情報提供システムの利用時において、センサ装置のセンシング面を上方から見たときの様子を例示する平面図である。
【
図12】情報提供システムの利用時において、センサ装置のセンシング面を上方から見たときの様子を例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[構成]
本発明の一実施形態に係る情報提供システム1の全体構成について説明する。情報提供システム1は、ユーザが指定した表現に合う香りの物体を知るための情報提供を行うシステムである。
図1に示すように、情報提供システム1は、情報処理装置10と、プロジェクタ装置20と、センサ装置40と、複数のサンプル60と、複数のカード70とを備えている。情報処理装置10、プロジェクタ装置20及びセンサ装置40は、有線又は無線によって通信可能に接続されている。情報処理装置10は、本発明に係る情報処理装置の一例であり、情報提供システム1において中枢的な制御を司る装置である。プロジェクタ装置20は、ユーザに対して情報を表示する表示装置の一例である。センサ装置40は、ユーザの操作を受け付ける操作装置の一例である。
【0020】
複数のサンプル60はいずれも、ユーザの嗅覚を刺激する香りを発する物体である。例えば、サンプル60は、香りを発する自然物(例えばラベンダーという植物そのもの)であってもよいし、その香りを含む人工生成物(例えばラベンダーの香りが抽出された揮発性の液体や、その液体をしみこませたシートなど)であってもよい。本実施形態では、サンプル60として、香りを発する自然物から抽出された香りを含むアロマオイルと呼ばれる液体を収容した円筒状の蓋付き小瓶を用いる。各サンプル60には、そのサンプルの名称(例えば「ラベンダー」という植物の名称)が記されたシールや札が付されている。ユーザはこの名称を参照することによって、各サンプルを視覚的に識別する。
【0021】
複数のカード70は、それぞれ異なる表現が記された媒体である。カード70に記された表現は、予め用意されたものであり、例えば名詞や形容詞等のあらゆる品詞を用いた表現であってもよいし、複数の単語から成る言葉や文章であってもよい。
【0022】
図2は、情報提供システム1の構造を例示する側面図、より具体的には、プロジェクタ装置20、センサ装置40、サンプル60及びカード70を水平方向から見たときの位置関係を例示する図である。センサ装置40は、例えば薄い矩形の板状であり、その上面が水平なセンシング面となっている。サンプル60には、各サンプル60を識別する識別情報(サンプルIDという)を記憶した記憶媒体であるタグ61が設けられている。カード70には、各カード70を識別する識別情報(カードIDという)を記憶した記憶媒体であるタグ71が設けられている。
【0023】
センサ装置40は、センシング面にサンプル60が置かれると、例えばNFC(Near Field Communication)と呼ばれる近距離無線通信規格を用いて、そのサンプル60のタグ61に記憶されたサンプルIDを読み取るとともに、そのサンプル60が置かれた位置(つまりセンシング面におけるタグ61の読み取り位置)を検出する。また、センサ装置40は、センシング面にカード70が置かれると、NFC等の近距離無線通信規格を用いて、そのカード70のタグ71に記憶されたカードIDを読み取るとともに、そのカード70が置かれた位置(つまりセンシング面におけるタグ71の読み取り位置)を検出する。さらに、センサ装置40は、いわゆるタッチスクリーンとしても機能し、例えばユーザの指や所定の操作子でセンシング面がタッチされると、センシング面においてタッチされた位置を検出する。サンプル60が置かれた位置やユーザによりタッチされた位置は、センシング面の或る位置を原点とした2次元座標平面におけるX,Y座標として表現される。
【0024】
プロジェクタ装置20は、センサ装置40の上方(例えば部屋の天井)に設置されている。プロジェクタ装置20は、
図2の破線で示すようにセンサ装置40のセンシング面の全範囲を投影範囲としており、上記X,Y座標に基づいて、センシング面の任意の位置に光を投影して画像を表示することができるようになっている。つまり、センサ装置40のセンシング面は、画像が表示される表示面としても機能する。
【0025】
図3は、情報処理装置10のハードウェア構成を例示する図である。情報処理装置10は、CPU101(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、補助記憶装置104及び通信IF(Interface)105を有するコンピュータである。
【0026】
CPU101は、各種の演算を行うプロセッサである。ROM102は、例えば情報処理装置10の起動に用いられるプログラム及びデータを記憶した不揮発性メモリである。RAM103は、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する揮発性メモリである。補助記憶装置104は、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置であり、情報処理装置10において用いられるプログラム及びデータを記憶する。CPU101はこのプログラムを実行することにより、後述する機能を実現し、また、後述する動作を実行する。通信IF105は、所定の通信規格に従って通信を行うためのインターフェースである。この通信規格は、有線通信の規格であってもよいし、無線通信の規格であってもよい。なお、情報処理装置10は、
図3に例示した構成以外に、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置やキーボード等の操作装置などの、他の構成を含んでいてもよい。
【0027】
補助記憶装置104は、
図4に示すようなカードデータベース(以下、データベースをDBと表現する)と、
図5に示すようなサンプルDBとを記憶している。
図4に示すように、カードDBにおいては、各々のカードIDと、そのカードIDに対応するカードに記された表現(指定表現という)と、その指定表現に対応付けられている、嗅覚に関する1以上の表現(関連表現という)と、これらの関連表現の各々を表示するときの表示態様が含まれている。関連表現群は、指定表現の意味に関連する意味を持つ表現群であるが、指定表現に比べて嗅覚をユーザが想起しやすい、つまり香りを意味する表現と慣用されている表現群である。関連表現は、例えば名詞や形容詞等のあらゆる品詞を用いた表現であってもよいし、複数の単語から成る言葉や文章であってもよい。センサ装置40にカード70が置かれると、そのカード70の周囲に、そのカード70に記された表現(指定表現)に対応付けられた関連表現群が表示されるようになっている。
【0028】
関連表現の表示態様は、例えば、関連表現を表示する位置、関連表現を表示する位置とカード70の位置との距離、カード70に対する関連表現の表示位置の方向、関連表現を表示するときの色、関連表現を表示するときの大きさ、表現を表示するときのフォント、関連表現を表示するときの修飾、関連表現を表示する時間、関連表現を表示する時期、関連表現の動き(表現の空間的な変化又は時間的な変化を含む)、又は、関連表現に用いられる言語等を含む。この表示態様は、指定表現と関連表現との関係や、関連表現の属性に応じて変わる。指定表現と関連表現との関係とは、例えば指定表現と関連表現との関係の強さ/大きさであり、両者の関係が強い(つまり指定表現から関連表現を連想しやすい)場合には、カード70の近くにその関連表現を表示するとか、その関連表現を大きく又は目立つ色で表示するとか、その関連表現を振動するように動くことで目立つように表示するといった例が考えられる。関連表現の属性とは、例えば、関連表現から受けるイメージ、関連表現の品詞の別、関連表現に用いる文字の種別(ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット等)、関連表現を構成する文字数/単語数等を含む。例えば「甘い」という関連表現は、暖色で表示したり、丸ゴシック体で表示する例が考えられる。
【0029】
図4の例では、カードID「CID001」のカード70には「初恋」という指定表現が記されており、関連表現1として「甘い」、関連表現2として「フレッシュ」…が設定されている。これらの関連表現のうち、「甘い」という関連表現1の表示態様は、関連表現を表示する位置とカード70の位置との距離が「2単位」であり(1単位は、センシング面において任意に決められる長さ)、色は「赤」であり、フォントは「ゴシック体」であり、サイズ(大きさ)は「25ポイント」であり、動きは「点滅」である。なお、関連表現Nにおいて、Nの値が小さいほど、指定表現との関係が強い又は大きいことを意味している。つまり、
図4の例において、「初恋」という指定表現に対して関係が最も強い又は最も大きい関連表現は、「甘い」である。
【0030】
次に、サンプルDBにおいては、
図5に示すように、各々のサンプルIDと、そのサンプルIDに対応するサンプル60によって刺激される嗅覚に関する1以上の表現(つまりサンプル60の香りを表した1以上の表現)が対応付けられている。この表現は、上述したカードDBにおける関連表現群と同じものが用いられる。
図5の例では、サンプルID「SID001」のサンプル60のサンプル名称は「A」であり、そのサンプル60の香りを表す表現1として「甘い」、表現2として「花」、表現3として「春」…が設定されている。なお、表現Mにおいて、Mの値が小さいほど、サンプル60との関係が強い又は大きいことを意味している。つまり、
図5の例において、サンプル「A」に対して関係が最も強い又は最も大きい表現は、「甘い」である。
【0031】
次に、
図6は、情報処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、サンプル特定部11、サンプル位置特定部12、表現特定部13、優先度特定部14、第1表示制御部15及び第2表示制御部16という機能を実現する。なお、表示制御部17は、第1表示制御部15及び第2表示制御部16を含む。
【0032】
サンプル特定部11は、センサ装置40のセンシング面にサンプル60が置かれると、そのサンプル60のタグ61に記憶されたサンプルIDの読み取り結果に基づいて、どのサンプル60がセンシング面に置かれたかを特定する。
【0033】
サンプル位置特定部12は、センサ装置40のセンシング面にサンプル60が置かれると、そのサンプル60のタグ61に記憶されたサンプルIDが読み取られた位置に基づいて、サンプル60がセンシング面のどの位置に置かれたか(つまりセンサ装置40においてサンプル60が置かれる操作がなされた位置)を特定する。
【0034】
表現特定部13は、センサ装置40のセンシング面にカード70が置かれると、そのカード70のタグ71に記憶されたカードIDの読み取り結果に基づいて、どのカード70(つまり、どの指定表現)がセンシング面のどこに置かれたかを特定する。
【0035】
第1表示制御部15は、プロジェクタ装置20を制御して、表現特定部13により特定されたカード70の位置に対応する表示領域に、そのカード70に記された指定表現に対応付けられている関連表現群を表示する。このとき、第1表示制御部15は、カードDBにおいて、表現特定部13により特定された関連表現に対応する表示態様で表示する。カード70の位置に対応する表示領域とは、例えばそのカード70の位置から決められた距離の範囲内のセンシング面上の領域であり、具体的には、センシング面においてカード70の位置を中心とした半径10センチ以内の円形の領域であるという例が考えられる。ただし、カード70の位置に対応する表示領域はこの例に限らず、表示された表現がどのサンプルに関する表現であるかをユーザが認識することができるような領域であればよい。
【0036】
優先度特定部14は、第1表示制御部15によって表示された関連表現群の各々についての優先度を特定する。具体的には、ユーザが、表示されている関連表現のうちいずれかを指定すると、指定された関連表現の優先度を高くする。このとき、ユーザにより複数の表現が指定されると、その指定された順番が早いほうの優先度がより高くなる。
【0037】
第2表示制御部16は、第1表示制御部15によって表示された関連表現群のうち少なくとも1以上の関連表現と、その関連表現によって表される嗅覚の物体との関係を表示する。このとき、第2表示制御部16は、優先度特定部14により特定された優先度に応じた表示態様で上記の関係を表示する。具体的には、第2表示制御部16は、表示されている関連表現群のうちいずれかがユーザにより指定されると、指定された関連表現と、その関連表現に合った香りを発するサンプル60との関係を示す画像である関係画像を 特定された優先度に応じた表示態様で表示する。これについては、
図11を参照しながら後で詳述する。
【0038】
[動作]
次に、
図7のフローチャートに沿って、本実施形態の動作を説明する。まず、ユーザは、サンプル60に付されたサンプルの名称を参考にして、興味があるサンプル60をいくつか選び、これらをセンサ装置40のセンシング面に置く。
【0039】
ここで、
図8は、センサ装置40のセンシング面を上方から見たときの様子を例示する平面図である。この例では、センサ装置40のセンシング面に、6つのサンプル60a~60fが置かれている。このとき、情報処理装置10のサンプル特定部11及びサンプル位置特定部12は、センサ装置40によるサンプルIDの読み取り結果に基づいて、どのサンプルIDのサンプル60がセンシング面のどの位置に置かれているかを特定する(
図7のステップS11)。これにより、サンプル60a~60fが
図8に例示した各々の位置に置かれたことが特定される。
【0040】
次に、ユーザは、カード群70に記された表現を参考にして、自身が好む表現のカード70を選び、センサ装置40のセンシング面に置く。
図9は、センサ装置40のセンシング面を上方から見たときの様子を例示する平面図である。この例では、センサ装置40のセンシング面に、「初恋」と記されたカード70が置かれている。このとき、情報処理装置10の表現特定部13は、センサ装置40によるカードIDの読み取り結果に基づいて、どのカードIDのカード70がセンシング面のどの位置に置かれているかを特定する(
図7のステップS12)。これにより、「初恋」と記されたカード70が
図9に例示した位置に置かれたことが特定される。
【0041】
次に、第1表示制御部15は、カード70のカードIDをキーにして、カードDBにおいてそのカードIDに対応する関連表現を検索する(
図7のステップS13,S14)。そして、第1表示制御部15は、プロジェクタ装置20を制御して、表現特定部13により特定されたカード70の位置に対応する表示領域に、ステップS14で検索した関連表現を、その関連表現について対応付けられた表示態様で表示する(
図7のステップS15)。
【0042】
これにより、
図10に例示するように、カード70に記された「初恋」という指定表現に関連する関連表現が、例えばそのカード70の位置を中心とした任意の大きさの円の内部に表示される。これら関連表現は、前述したとおり、カードDBによって規定された表示態様で表示される。例えば
図10の例では、「初恋」と記されたカード70の周囲に、「甘い」「さわやか」「苦い」「軽い」「温もり」「花」「朝」というような関連表現群が、それぞれについて決められた表示態様で表示されている。
【0043】
次に、ユーザは、表示されている関連表現群のうち、自身が香りのイメージとして好む関連表現に対し、それ以外の表現よりも高い優先度を指定する操作を行う。この操作は、例えば優先したい関連表現をタッチする、優先したい関連表現をいわゆるピンチアウト操作でより大きく表示させる、優先したい関連表現をいわゆるドラッグ操作でカード70のより近くに移動させる等である。一方、ユーザは優先したくない関連表現を指定する操作を行い、その結果として、優先したい関連表現を指定するようにしてもよい。ユーザは優先したくない関連表現を指定する操作とは、例えば優先したくない関連表現を所定の操作で非表示とする、優先したくない関連表現をタッチする、優先したくない関連表現をいわゆるピンチイン操作で小さく表示させる、優先したくない関連表現をいわゆるドラッグ操作でカード70からより遠くに移動させる等の操作である。
【0044】
優先度特定部14は、このような操作がなされると(
図7のステップS16;YES)、ユーザにより指定された優先度を特定する(
図7のステップS17)。このとき、どの関連表現に対して高い優先度が特定されたかをユーザが分かるように、第1表示制御部15がその関連表現の背景を特定の色の画像で表示したり、その関連表現を反転表示したりすることが望ましい。ここでは、
図10に例示した「甘い」「さわやか」「苦い」「軽い」「温もり」「花」「朝」のうち、ユーザは「甘い」と「さわやか」という関連表現を順番にタッチすることで、「甘い」に対して第1順位の優先度が指定され、「さわやか」に対して第2順位の優先度が指定されたと仮定する。
【0045】
次に、第2表示制御部16は、サンプルDBにおいて、ステップS11において特定されたサンプルID群のうち、ステップS17において特定された優先度の高い関連表現と同じ表現に対応付けられているサンプルIDを検索する(
図7のステップS18)。この検索の結果、優先度の高い関連表現と同じ表現に対応付けられたサンプルIDがあれば(
図7のステップS19;YES)、第2表示制御部16は、プロジェクタ装置20を制御して関係画像を表示する(ステップS20)。この関係画像は、例えば、優先度の高い関連表現の表示位置と、検索されたサンプルIDに対応するサンプル60が置かれた位置とを結ぶ線状の画像である。
【0046】
これにより、
図11に例示するように、ユーザにより最も高い優先度が指定された「甘い」という関連表現と、その「甘い」という関連表現に対応付けられたサンプル(ここでは、サンプル60a及びサンプル60cとする)とを結ぶ線状の関係画像R1,R2が表示される。この関係画像R1,R2により、ユーザは、自身が指定した「甘い」という関連表現の香りを発するサンプルとして、サンプル60a及びサンプル60cがあることが分かる。また、ユーザにより次に高い優先度が指定された「さわやか」という関連表現と、その「さわやか」という関連表現に対応付けられたサンプル(ここでは、サンプル60eとする)とを結ぶ線状の関係画像R3が表示される。この関係画像R3により、ユーザは、「さわやか」という関連表現の香りを発するサンプルとして、サンプル60eがあることが分かる。なお、
図11において、どの関連表現に対して高い優先度が指定されたかは、その関連表現の背景を特定の色の画像S1,S2で表示することで、ユーザに分かるようにしている。高い優先度が指定された複数の関連表現における優先度の高低は、画像S1,S2の色や大きさを変えることで、ユーザに分かるようにしている。
【0047】
この関係画像の色、太さ、大きさ、動き等の表示態様は、関連表現に対して指定された優先度に応じて異なる。例えば、関連表現に対して指定された優先度が高いほど、その関連表現とサンプル60とを結ぶ関係画像がより目立つような色、太さ、大きさ、動き等の表示態様となるし、その優先度が低いほどその逆の表示態様となる。
図11の例では、第1順位の「甘い」という関連表現に対する関係画像は、第2順位の「さわやか」という関連表現に対する関係画像よりも濃い色の画像になっている。つまり、第2表示制御部16は、関連表現と、その関連表現によって表される嗅覚の物体との関係を、特定された優先度に応じた表示態様で表示する。
【0048】
また、この関係画像の色、太さ、大きさ、動き等の表示態様は、関連表現と、その関連表現によって表される香りのサンプル60との関係に応じて異なる。例えば、関連表現とサンプル60との関係が強い場合には、関係画像がより目立つような色、太さ、大きさ、動き等の表示態様となるし、関係が弱い場合にはその逆の表示態様となる。関連表現とサンプル60との関係の強さ/大きさは、前述したように、サンプルDBにおいて表現に付された「M」という数値によって特定し得る。つまりMが小さいほど、関連表現とサンプル60との関係が強い又は大きい。
図11の例では、「甘い」という関連表現に対してサンプル60cはより強い関係があるため、「甘い」という関連表現とサンプル60cとを結ぶ関係画像R1は、「甘い」という関連表現とサンプル60aとを結ぶ関係画像R2よりも太い画像になっている。
【0049】
ユーザはこれらの表示を見て、指定表現及び関連表現とサンプル60との関係を意識しながら、サンプル60を嗅ぐことで、自身が指定した表現に合う香りを発する物体を知ることができる。ユーザがさらに他の指定表現について試してみたい場合には、いったん終了操作を行い(ステップS21;YES)、今度は別のカード70をセンサ装置40のセンシング面に置くことで上記のステップS11~S20が繰り返される。
【0050】
以上説明した実施形態によれば、ユーザは自身が指定した表現に合う香りを発する物体を知ることが可能となる。
【0051】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態を以下のように変形してもよい。また、以下の2つ以上の変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0052】
[変形例1]
本発明は、嗅覚を対象としたものに限らず、味覚を対象としたもの(例えばワイン、日本酒、スパイス、調味料等)にも適用可能である。つまり、実施形態における「香り」を「味」に置き換えて本発明を実施してもよい。
【0053】
[変形例2]
上記実施形態において、ユーザは予め用意された指定表現群からいずれかを指定していたが、指定表現を指定する方法はこれに限らない。例えば、ユーザが任意の言葉や単語等の表現を操作装置に入力する方法であってもよい。また、ユーザが書籍等から表現を選んで操作装置に入力する方法であってもよい。また、入力手段は、ユーザの手によるものに限らず、音声やジェスチャによるものであってもよい。
【0054】
[変形例3]
上記実施形態において、ユーザが関連表現群から指定した関連表現を、優先度の高い関連表現として特定していたが、優先度を特定する方法はこれに限らない。例えば、ユーザの属性、嗜好又は行動のうち少なくともいずれかに関するデータを蓄積しておき、その蓄積内容からユーザの属性、嗜好又は行動のうち少なくともいずれかに合致する関連表現(例えば20代女性が好む表現、映画を趣味としたユーザが好む表現、旅行好きなユーザが好む表現等)を推定して優先度を特定してもよい。ユーザの属性、嗜好又は行動と、そのような属性、嗜好又は行動のユーザが高い優先度を指定する関連表現との関係は、例えばユーザが好む関連表現として指定した履歴に基づいてディープラーニング等の機械学習により学習したアルゴリズムを用いて特定すればよい。
【0055】
[変形例4]
上記実施形態においては、1つの指定表現が指定される例で説明したが、複数の指定表現が指定されてもよい。この場合、第1表示制御部15は、指定された複数の指定表現のいずれにも対応付けられていて、且つ、指定表現に比べてユーザが嗅覚を想起しやすい表現として決められている関連表現群を優先的に表示するようにしてもよい。例えば「初恋」と記されたカード70と「青空」と記されたカード70がセンサ装置40のセンシング面に置かれた場合を想定する。この例において、「初恋」という指定表現には、「甘い」「さわやか」「苦い」「軽い」「温もり」「花」「朝」という関連表現群が対応付けられており、「青空」という指定表現には、「さわやか」「透明感」「すっきり」「爽快」「朝」という関連表現群が対応付けられているとする。このような場合は、第1表示制御部15は、これらの指定表現に共通する関連表現である「さわやか」「朝」を、その共通性が分かるように、例えば太い線、目立つ色、目立つ動き、大きい文字等の優先的な表示を行う。
【0056】
[変形例5]
上記実施形態において、優先度が高い関連表現として複数のものが特定された場合、
図11に例示したように、優先度が高い関連表現の各々とサンプル60との関係が表示されていたが、これ以外に、優先度が高い複数の関連表現全体とサンプル60との関係が表示されてもよい。具体的には、第2表示制御部16は、
図12に例示するように、ユーザにより高い優先度が指定された「甘い」という関連表現及び「さわやか」という関連表現と、「甘い」という関連表現に対応付けられたサンプル60a、60c及び「さわやか」という関連表現に対応付けられたサンプル60eとを結ぶ線状の関係画像R1,R2,R3を表示する。つまり、第2表示制御部16は、優先度が高い(優先度が閾値を超える)関連表現が複数ある場合には、当該複数の関連表現と、当該複数の関連表現の全てによって表される嗅覚の物体との関係を表示するようにしてもよい。
【0057】
[変形例6]
図11において、ユーザが例えば「甘い」という関連表現を指定すると、「甘酸っぱい」「蜂蜜の甘さ」「ほんのりした甘さ」などの、「甘い」という関連表現に類似する類似表現群がさらに表示され、ユーザはその中から任意の類似表現について高い優先度を指定すると、指定された類似表現とサンプル60との関係が表示されるようにしてもよい。つまり、第1表示制御部15は、関連表現に類似する表現である類似表現群を表示し、優先度特定部14は、表示された類似表現群についての優先度を特定し、第2表示制御部16は、表示された類似表現群のうち少なくとも1以上の類似表現と、当該類似表現によって表される嗅覚の物体との関係を、特定された優先度に応じた表示態様で表示するようにしてもよい。
【0058】
[変形例7]
関係画像は、
図11,12に例示した線状の画像に限らず、関連表現とその関連表現によって表されるサンプル60とが関係していることが分かるような画像であればよい。例えば、
図11,12において、「甘い」という関連表現を囲む円環画像と、その「甘い」という表現によって表されるサンプル60a,60cの位置を囲む円環画像とを、関係画像としてもよい。同様に、
図11,12において、「さわやか」という関連表現を囲む円環画像と、その「さわやか」という表現によって表されるサンプル60ecの位置を囲む円環画像とを、関係画像としてもよい。
【0059】
[変形例8]
上記実施形態において、第2表示制御部16は、高い優先度の関連表現と、その関連表現によって表される嗅覚の物体との関係を、その優先度に応じた表示態様で表示していたが、これに限らず、全ての関連表現と、各々の関連表現によって表される嗅覚の物体との
関係を示す関係画像を表示し、且つ、その関係画像を特定された優先度に応じた表示態様で表示すればよい。例えば
図11の例において、第2表示制御部16は、「甘い」「さわやか」「苦い」「軽い」「温もり」「花」「朝」という各関連表現と、各々の関連表現に対応付けられたサンプル60とを結ぶ関係画像を表示する。このとき、第2表示制御部16は、優先度が高い関連画像とサンプル60との関係画像については、それ以外の関係画像とは異なる色、太さ、大きさ、動き等の表示態様で表示する。つまり、第2表示制御部16は、表示された関連表現群に含まれる少なくとも1以上の関連表現と、当該関連表現によって表される嗅覚の物体との関係を、特定された優先度に応じた表示態様で表示すればよい。
【0060】
[変形例9]
表示装置や操作装置は、
図1で例示したプロジェクタ装置20やセンサ装置40に限定されない。例えば表示装置は、実施形態のように操作装置であるセンサ装置40のセンシング面に画像を投影するものに限らず、例えば操作装置自体が表示装置であってもよい。また、表示装置は壁面に画像を表示するものであってもよい(壁面に画像を投影する場合や壁面自体が表示装置である場合を含む)。また、表示装置はいわゆる拡張現実を実現する表示装置であってもよい。具体的には、スマートホンやタブレット或いはグラス型ウェアラブル装置の撮像装置でサンプル60を撮像すると、その撮像画像中のサンプル60の周囲に、対応する表現群を表示するものであってもよい。また、操作装置は、ユーザの操作を画像認識技術によって検知する装置であってもよい。
【0061】
[変形例10]
表現の表示形態は、2次元表示でもよいし、3次元表示であってもよい。また、指定表現や関連表現は、文字に限らず、色、抽象画、或いは人物/景色等の画像であってもよい。
【0062】
本発明は、情報処理装置10において行われる処理のステップを備える情報処理方法として提供されてもよい。また、本発明は、情報処理装置10において実行されるプログラムとして提供されてもよい。かかるプログラムは、光ディスク等の記録媒体に記録した形態で提供されたり、インターネット等のネットワークを介して、コンピュータにダウンロードさせ、これをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されたりすることが可能である。
【0063】
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0064】
1…情報提供システム、20…プロジェクタ装置、40…センサ装置、60…サンプル、61…タグ、70…カード、71…タグ、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…補助記憶装置、105…通信IF、11…サンプル特定部、12…サンプル位置特定部、13・・・表現特定部、14…優先度特定部、15…第1表現制御部、16…第2表現制御部、17…表示制御部。