(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】軌道レールの取得、持ち運び、及び積み換えシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A63G 21/04 20060101AFI20240516BHJP
B61B 13/04 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
A63G21/04
B61B13/04 Z
(21)【出願番号】P 2021522001
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(86)【国際出願番号】 US2019053985
(87)【国際公開番号】W WO2020086224
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-09-29
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンス エリック アラン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァモス クラリス マリー
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-509686(JP,A)
【文献】国際公開第96/022821(WO,A1)
【文献】中国特許第103505878(CN,B)
【文献】米国特許出願公開第2017/0043791(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 1/00 - 33/00
B61B 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊園地の装置であって、前記装置は、
乗物経路を定める複数の軌道部材を含む軌道システム上に位置するように構成されたボギーシステムを含み、
前記ボギーシステムは、1又は2以上のボギーを含み、各ボギーは、前記複数の軌道部材に沿った前記ボギーの運動を容易にするように、前記複数の軌道部材のうちの可動軌道部材を前記複数の軌道部材のうちの第1の固定軌道部材から
第1の作動機構を介して取り外すように、前記軌道システムに沿っ
た新しい場所に前記可動軌道部材を移動させるように、かつ
前記軌道システムに沿った前記新しい場所で前記可動軌道部材を前記複数の軌道部材のうちの第2の固定軌道部材に
第2の作動機構を介して取り付けるように構成された、軌道係合機構を含む、
装置。
【請求項2】
前記ボギーシステムは、乗物車両を受け取って前記ボギーシステムに固定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ボギーシステムは、複数のボギーと、前記複数のボギーの互いに対する回転を容易にするように構成された少なくとも1つの回転継ぎ手とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記軌道係合機構は、前記1又は2以上のボギーのうちの1つのボギーの側面上に配置された溝を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記軌道係合機構は、前記1又は2以上のボギーのうちの1つのボギーを貫通して延びる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
各ボギーは、前記可動軌道部材を前記軌道システムから取り外すために可動軌道部材を把持するように、かつ前記可動軌道部材を前記軌道システムに取り付けるために前記可動軌道部材を解放するように構成された軌道部材把持機構を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ボギーシステムは、複数のボギーを含み、前記軌道係合機構は、前記複数の軌道部材に沿った前記複数のボギーのうちの1つのボギーの双方向運動を容易にするように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
遊園地軌道システムであって、前記遊園地軌道システムは、
乗物経路を定める複数の軌道部材を含み、前記複数の軌道部材は、
前記乗物経路に対して固定されたままの固定軌道部材の第1のセットと、
可動軌道部材の第2のセットであって、前記可動軌道部材の第2のセットの各可動軌道部材は、
前記乗物経路に沿って進むボギーシステムを介して、前記固定軌道部材の第1のセットのうちの第1の固定軌道部材から取り外されるように、前記固定軌道部材の第1のセットに沿って新しい場所に移動されるように、かつ前記新しい場所で前記固定軌道部材の第1のセットに取り付けられるように構成される、可動軌道部材の第2のセットと、
を含む、遊園地軌道システム。
【請求項9】
前記可動軌道部材の第2のセットの各可動軌道部材は、前記可動軌道部材を前記固定軌道部材の第1のセットから取り外しかつ前記可動軌道部材を前記固定軌道部材の第1のセットに取り付けるよう作動するように構成された作動機構に関連付けられる、請求項
8に記載の遊園地軌道システム。
【請求項10】
前記乗物経路に沿った構造体の運動を引き起こすように構成された駆動システムを含む、請求項
8に記載の遊園地軌道システム。
【請求項11】
前記複数の軌道部材のうちの少なくとも1つの軌道部材は、前記乗物経路に対する前記構造体の位置、速度、又は加速度を検出するように構成された少なくとも1つのセンサを含む、請求項
10に記載の遊園地軌道システム。
【請求項12】
前記センサに通信可能に接続され、前記検出された位置、速度、加速度、又はこれらのいずれかの組み合わせに少なくとも部分的に基づいて前記駆動システムを制御するように構成された、制御装置を含む、請求項
11に記載の遊園地軌道システム。
【請求項13】
前記複数の軌道部材のうちの少なくとも1つの軌道部材は、前記乗物経路に沿って進む構造体の運動を停止させるように構成された停止デバイスを含む、請求項
8に記載の遊園地軌道システム。
【請求項14】
前記固定軌道部材の第1のセットの固定軌道部材のうちの少なくとも1つは、
前記可動軌道部材の第2のセットのうちの1つの可動軌道部材を介して、前記固定軌道部材の第1のセットの他の固定軌道部材から切り離され
ている、請求項
8に記載の遊園地軌道システム。
【請求項15】
ボギーシステム
及び第1の作動機構を使用して、遊園地軌道システムの可動軌道部材を前記遊園地軌道システムの第1の固定軌道部材から取り外すステップと、
前記ボギーシステムを使用して、前記可動軌道部材を前記遊園地軌道システムに沿って新しい場所に移動させるステップと、
前記ボギーシステム
及び第2の作動機構を使用して、前記新しい場所で前記可動軌道部材を前記遊園地軌道システムの第2の固定軌道部材に取り付けるステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記ボギーシステムは、
前記第1の作動機構を作動させることで
前記可動軌道部材を前記第1の固定軌道部材から取り外すように、かつ
前記第2の作動機構を作動させることで前記
可動軌道部材を前記第2の固定軌道部材に取り付けるように構成される、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記ボギーシステムの回転継ぎ手を使用して、前記ボギーシステムの第1のボギーを、前記ボギーシステムの第2のボギーに対して回転させるステップを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項18】
前記遊園地軌道システムの少なくとも1つのセンサを使用して、前記ボギーシステムの位置、速度、又は加速度を検出するステップを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項19】
前記検出された位置、速度、加速度、又はこれらのいずれかの組み合わせに少なくとも部分的に基づいて、前記ボギーシステムの動作を制御するステップを含む、請求項
18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2018年10月22日出願の米国仮出願番号62/748,931「軌道レールの取得、持ち運び、及び積み換えシステム及び方法」の優先権及びその利益を主張するものであり、その開示内容は全ての目的で本明細書に組み込まれている。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に遊園地型乗物に関し、より詳細には、遊園地型乗物の乗物車両の運動(motion)を制御するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
本セクションは、読者に以下に説明する及び/又は権利主張する本技術の種々の態様に関連し得る技術の種々の態様を紹介することを意図している。この考察は、本開示の種々の態様をさらに理解するのを容易にする背景情報を読者に提示するのを助けると考えられる。従って、これらの記載は、この観点から読む必要があり、従来技術の自認として読むべきではないことを理解されたい。
【0004】
一般に、遊園地型乗物は、例えば、軌道によって定められる乗物経路に沿って乗客を運ぶ乗物車両を含む。乗物の進路上で、乗物経路は、トンネル、曲がり角、上り坂、下り坂、ループなどを含む複数の特徴部を含むことができる。乗物車両のローラーは乗物経路を定める軌道に常に接触することができるので、乗物車両の進行方向は、乗物経路によって定めることができる。このように、方向転換を行うには、乗物車両は、多くの場合このような従来型の方向転換を行うことに関連する求心加速度を制御するために相当大きな旋回半径の運動で乗物経路に沿って向きを変える必要がある。さらに、乗物の乗客は、従来型の方向転換を予測することができるので、遊園地型乗物に関連する興奮及び感動が低減する。
【発明の概要】
【0005】
従って、特定の運動ベースの遊園地型乗物において、例えば、乗物体験の興奮及び感動を高めるために、非従来型の方向転換、例えば、皆無かそれに近い旋回半径の方向転換を行うことが望まれるが、その実現は実際に適合させるのは難しいであろう。元々権利主張された主題に範囲が相応する特定の実施形態を以下に要約する。これらの実施形態は、権利主張された主題の範囲を制限することは意図されず、むしろ、これらの実施形態は、主題の可能性のある形態の概要を提示することのみが意図される。実際には、主題は、以下に記載の実施形態と類似する又は異なることができる様々な形態を包含することができる。
【0006】
1つの実施形態によれば、遊園地の装置(apparatus)は、乗物経路を定める複数の軌道部材を含む軌道上に位置するように構成されたボギーシステムを含む。ボギーシステムは、1又は2以上のボギー(bogie)を含み、ボギーの各々は、複数の軌道部材に沿ったボギーの運動を容易にし、複数の軌道部材のうちの1又は2以上の軌道部材を軌道から取り外し、軌道に対して1又は2以上の軌道部材を移動させ、かつ1又は2以上の軌道部材を軌道に取り付けるように構成された軌道係合機構(track engagement mechanism)を含む。
【0007】
他の実施形態によれば、遊園地軌道システムは、乗物経路を定める複数の軌道部材を含む。複数の軌道部材は、乗物経路に対して固定されたままの固定軌道部材の第1のセット(a first set of stationary track members)を含む。また、複数の軌道部材は、固定軌道部材の第1のセットから取り外され、固定軌道部材の第1のセットに対して移動され、かつ固定軌道部材の第1のセットに取り付けられるように構成された可動軌道部材の第2のセット(a second set of moveable track members)を含む。
【0008】
他の実施形態によれば、方法は、ボギーシステムを使用して、遊園地軌道システムの第1の軌道部材を遊園地軌道システムの第2の軌道部材からを取り外すステップを含む。また、方法は、ボギーシステムを使用して、第1の軌道部材を遊園地軌道システムに対して移動させるステップを含む。さらに、方法は、ボギーシステムを使用して、第1の軌道部材を遊園地軌道システムの第3の軌道部材に取り付けるステップを含む。
【0009】
本開示の上記及び他の特徴、態様、及び利点は、各図面を通して類似の符号が類似の部品を示す添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むとさらに理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の態様による、遊園地の様々な構成要素の実施形態のブロック図である。
【
図2】本開示の態様による、乗物システムの実施形態の概略図である。
【
図3】本開示の態様による、ボギーシステムの実施形態の斜視図である。
【
図4】本開示の態様による、ボギーの軌道係合機構の形状を示す、
図3に示されるボギーの部分断面図である。
【
図5】本開示の態様による、ボギーの軌道係合機構の他の形状を示すボギーの部分断面図である。
【
図6】本開示の態様による、ボギーの軌道係合機構の他の形状を示すボギーの部分断面図である。
【
図7】本開示の態様による、軌道部材で定められた乗物経路に沿って進むボギーシステムのステップを示す。
【
図8】本開示の態様による、軌道部材で定められた乗物経路に沿って進むボギーシステムのステップを示す。
【
図9】本開示の態様による、軌道部材で定められた乗物経路に沿って進むボギーシステムのステップを示す。
【
図10】本開示の態様による、軌道部材で定められた乗物経路に沿って進むボギーシステムのステップを示す。
【
図11】本開示の態様による、軌道部材で定められた乗物経路に沿って進むボギーシステムのステップを示す。
【
図12】本開示の態様による、軌道部材で定められた乗物経路に沿って進むボギーシステムのステップを示す。
【
図13】本開示の態様による、軌道部材で定められた乗物経路に沿って進むボギーシステムのステップを示す。
【
図14】本開示の態様による、軌道部材で定められた乗物経路に沿って進むボギーシステムのステップを示す。
【
図15】本開示の態様による、2つのボギーの間に結合された回転継ぎ手(rotary joint)を有するボギーシステムの実施形態の透視図である。
【
図16】本開示の態様による、回転継ぎ手なしの単一ボギーを有するボギーシステムの実施形態の透視図である。
【
図17】本開示の態様による、軌道部材に沿って進むボギーシステムの実施形態の断面側面図である。
【
図18】本開示の態様による、可動軌道部材を固定軌道部材に取り付ける及び/又はそこから取り外すためにボギーシステムによって切り替えるように構成された作動機構(actuation mechanisms)を有する、可動軌道部材と2つの隣接する固定軌道部材の断面側面図である。
【
図19】本開示の態様による、可動軌道部材を固定軌道部材に取り付ける及び/又はそこから取り外すためにボギーシステムによって切り替えるように構成された作動機構を有する、可動軌道部材と2つの隣接する固定軌道部材の断面側面図である。
【
図20】本開示の態様による、可動軌道部材を捕らえる作動機構の他の実施形態の断面側面図である。
【
図21】本開示の態様による、軌道部材に並んで配置された電力伝送レールの実施形態を示す。
【
図22】本開示の態様による、複数のボギーシステムに結合された乗物車両の実施形態の側面図である。
【
図23】本開示の態様による、乗物システムの動作方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の1又は2以上の特定の実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するために、本明細書では実際の実装の特徴を全て説明していない場合もある。あらゆる工学又は設計プロジェクトにおいて見られるようなあらゆるこのような現実の実装の開発においては、実装によって異なり得るシステム関連及びビジネス関連の制約の順守などの開発者の個別の目的を達成するために、数多くの実装固有の決定を行わなければならないと理解されたい。さらに、このような開発努力は複雑かつ時間の掛かるものとなり得るが、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては設計、製作及び製造という日常的な取り組みであると理解されたい。
【0012】
本開示の様々な実施形態の要素を導入するとき、冠詞「a」「an」、「the」は、要素のうちの1又は2以上があることを意味することを目的としている。用語「備える」、「含む」、及び「有する」は、包括的であり、記載された要素以外の別の要素があり得ることを意味することが意図されている。さらに、本開示の「1つの実施形態」又は「実施形態」に言及したとしても、記載された特徴部を同様に包含する追加的な実施形態の存在を除外すると解釈されることを目的していないことを理解されたい。
【0013】
以下の考察は、一般的に遊園地型乗物との関連で提示されるが、本明細書に記載された実施形態は、このような娯楽関連状況に限定されないことを理解されたい。実際には、このような娯楽用途に関する実施例及び説明の提供は、現実世界の実装及び用途の実例を提供することで説明を容易にするためのものである。本明細書に記載された実施形態は、例を挙げれば、輸送システム(例えば、鉄道システム)、搬送ラインシステム、流通システム、物流システム、自動化動的システム、及び/又は他の工業、商業、及び/又はレクレーションシステムなどの他の用途において有用であろうことを理解されたい。
【0014】
例えば、遊園地型乗物は、例えば軌道で定められた乗物経路に沿って乗客を運ぶ乗物車両を用いることができる。乗物の進路上で、乗物経路は、トンネル、曲がり角、上り坂、下り坂、ループなどを含む複数の特徴部を含むことができる。乗物車両(例えば、ボギーシステムにより)は乗物経路を定める軌道に常に接触することができるので、乗物車両の進行方向は、乗物経路によって定めることができる。このように、方向転換を行うには、乗物車両は、このような方向転換を行うことに関連する求心加速度を制御するために相当大きな旋回半径の運動で乗物経路に沿って向きを変える必要がある。さらに、乗物の乗客は、従来型の方向転換を予測することができるので、遊園地型乗物に関連する興奮及び感動が低減する。従って、特定の運動ベースの遊園地型乗物において、例えば、乗物体験の興奮及び感動を高めるために、乗物経路に沿って進む間に乗物車両に、例えば、90度の方向転換(例えば、皆無かそれに近い旋回半径の方向転換)といった特定の非従来型の方向転換を行わせることは、実際に実現するのは難しいであろう。
【0015】
上記のことを考慮して、本明細書に記載されたシステム及び方法を採用することで、乗物体験を向上させることができる。特定の実施形態において、システムは、乗物経路を定める軌道部材に沿って進み、特定の軌道部材を隣接する軌道部材から取り外し、取り外された軌道部材を直交しない又は同一平面にない場合がある他の軌道部材に再び取り付けるように構成されたボギーシステムを含む。本明細書に記載された実施形態を採用することで、システムは、乗物車両の進行方向を、例を挙げれば、横方向から縦方向へ、横方向から垂直方向へ、又は垂直方向から縦方向へ途切れなく変更することができる。
【0016】
説明を助けるために、
図1は、本開示の態様による、遊園地10の様々な構成要素の実施形態のブロック図である。遊園地10は、乗物システム12を含むことができ、乗物システム12は、例えば乗物車両16と関連し、乗物経路14に沿った乗物車両16の移動を容易にするボギーシステム18と係合することで、乗物車両16を受け入れて案内する乗物経路14を含む。このように、乗物経路14は、曲がり角、下り坂、上り坂、下り、バンク、ループなどを含む軌道及び進行方向を定めることができる。特定の実施形態において、乗物車両16は、空気圧式システム、モータ式システム、タイヤ駆動システム、電磁気駆動システムに結合されたフィン、カタパルトシステムなどによって受動的に駆動すること又は能動的に駆動することができる。特定の実施形態において、乗物車両16は、キャビン、ケージ、コースター様の構造体、プラットホームなどを含むことができる。実際には、本明細書には乗物車両16が例えば乗客20用の座席を有するとして記載されているが、他の実施形態において、乗物車両16は、代替的に又は追加的に展示装置を含む構造体(structure)を含むことができる。特定の実施形態において、ボギーシステム18は、モータ、空気圧式駆動システム、電気システムなどを支持することができる。ボギーシステム18は、乗物車両16の様々な構成要素及び乗客20及び/又は展示装置の様々な構成要素の荷重を支持するように構成することができる。このような構成要素は、例えば、照明機器、音響機器、特殊効果機器(例えば、レッグティックラー(leg tickler)など)、又はこれらの何らかの組み合わせを含むことができる。
【0017】
乗物車両16は、ボギーシステム18に物理的に結合するように構成することができる。例えば、特定の実施形態において、ボギーシステム18は、乗物車両16を受け取って、乗物車両16をボギーシステム18に固定するように構成することができる。本明細書で詳細に記載するように、ボギーシステム18は、乗物経路14を定める軌道システム24と直接相互作用するように構成される1又は2以上のボギー22を含むことができる。例えば、特定の実施形態において、ボギー22は、乗物経路14に沿ったボギーシステム18及び乗物車両16の動きを案内する軌道システム24の複数の軌道部材26、28と直接相互作用するように構成される。本明細書で詳細に記載するように、軌道システム24の軌道部材26、28は、概して乗物経路14に対して固定位置のままである(すなわち、動かない)軌道部材の第1のセット26と、軌道部材の第1のセット26に対して取り外し可能に結合するように構成される軌道部材の第2のセット28とを含むことができ、軌道部材の第2のセット28の各々は、ボギーシステム18のボギー22によって軌道部材の第1のセット26のうちの隣接する軌道部材26から取り外し、乗物経路14に対して新しい場所に搬送し、軌道部材の第1のセット26のうちの新しい軌道部材26に取り付けることができるようになっている。
【0018】
加えて、特定の実施形態において、ボギーシステム18は、ボギーシステム18の各ボギー22に結合しかつその間に配置された1又は2以上の回転継ぎ手30を含むことができ、各回転継ぎ手30は、ボギー22の相互の回転を容易にするようになっている。一般に、回転継ぎ手30は、ボギーシステム18がこれに沿って進む軌道部材26、28に対してボギーシステム18のボギー22を向けるように構成される。特定の実施形態において、ボギーシステム18は、2以上のボギー22を含むことができ、隣接するボギー22の各セットは、複数のボギー22の間の比較的複雑な配向を得ることができるようにそれぞれの回転継ぎ手30によって分離される。
【0019】
特定の実施形態において、ボギーシステム18は、サスペンションシステム32を含むことができ、これは、乗物車両16が特定の速度で方向転換などの特定の運動を行う場合に、例えば、振動を低減しかつ遠心力を低減することで、乗物車両16の動作時に運動又は振動を抑制することができる。サスペンションシステム32は、例えば、サスペンションシステム32の構成要素を補剛する、振動させる、又は回転させることで乗客20の乗物経験を高めるために作動させることができる。
【0020】
さらに、特定の実施形態において、ボギーシステム18は、ボギー22と乗物車両16との間に配置された運動基台34を含むことができる。特定の実施形態において、運動基台34は、乗物車両16がボギーシステム18に対して何らかの適切な方向に移動するのを可能にすることができる。このために、運動基台34は、乗物車両16がヨー軸、ピッチ軸、又はロール軸の周りで回転するか又はこれらの軸に沿って振動するのを可能にする。このように、運動基台34は、乗物車両16のボギーシステム18に対する6自由度の運動を可能にすることができる。特定の実施形態において、乗物車両16は、乗物車両16の3つの直交軸に沿った直線運動、並びにローリング、ピッチング、及びヨーイングなどの、乗物車両16の運動を決定するのに用いられる(制御システムによって)フィードバックを提供するように構成された、ジャイロスコープ及び/又は加速度計などの方位センサを含むことができる。
【0021】
乗物経路14は、本明細書で詳細に記載するような運動システム36を含むことができる。運動システム36は、軌道部材26、28のセット及び駆動システム38を含むことができる。軌道部材26、28は、乗物経路14に沿って配置することができ、実質的に同じ寸法(例えば、断面領域)を有することができ、乗物車両16は、軌道部材26、28を通って乗物経路14に沿って途切れなく進むことができる。換言すると、軌道部材26、28は、少なくとも部分的に乗物経路14を定める乗物システム12の構成要素である。特定の実施形態において、軌道部材26、28のうちの1又は2以上は、1又は2以上の対応する駆動システム38に結合することができる。例えば、駆動システム38は、乗物車両16が乗物経路14に対して運動する際にその運動を助長するように構成された、モータ、歯車組立体、電気機械式又は空気圧式アクチュエータ、又はこれらの何らかの組み合わせを含むことができる。
【0022】
特定の実施形態において、軌道部材26、28のうちの1又は2以上は、乗物車両16を減速させて乗物車両16を軌道部材26、28のうちの1又は2以上の上の目標位置で停止させるように構成された、終端停止ピン又は何らかの適切なデバイス(例えば、特定の実施形態において、柔軟材料)などの停止デバイス(stopping device)を含むことができる。例えば、停止デバイスは、軌道部材26、28に対する乗物車両16の回転を制限して、これにより乗物車両16を軌道部材26、28に対して動かない状態にするように構成することができる。
【0023】
特定の実施形態において、運動システム36は、乗物経路14に対する乗物車両16の位置、速度、及び/又は加速度を示すフィードバックを提供するように構成された1又は2以上のセンサ組立体40を含むことができる。例えば、特定の実施形態において、センサ組立体40は、乗物経路14に沿って配置され、乗物経路14に沿った乗物車両16の位置、速度、及び/又は加速度を決定するように構成された赤外線センサを備えることができる。このように、センサ組立体40は、乗物車両16が、軌道部材26、28のうちの1又は2以上の上の又はこれに対する所望位置又は目標位置にあることを確認するために用いることができる。例えば、特定の実施形態において、センサ組立体40は、制御システム42に通信可能に接続することができ、制御システム42は、本明細書で詳細に記載するような1又は2以上のセンサ組立体40で検出された動作パラメータに少なくとも部分的に基づいて、乗物システム12の様々な構成要素の動作を制御するように構成することができる。例えば、特定の実施形態において、センサ組立体40は、ボギーシステム18の位置、速度、及び/又は加速度を決定するように構成することができ、制御システム42は、少なくとも部分的にボギーシステム18の位置、速度、及び/又は加速度に基づいて、駆動システム38及び/又はボギーシステム18の動作を制御するように構成することができる。加えて、特定の実施形態において、センサ組立体40は、軌道部材26、28のうちの1又は2以上の上に配置され、ボギーシステム18が軌道部材26、28上の特定の位置に到達した時を決定するための1又は2以上のセンサを含むことができ、ボギーシステム18が軌道部材26、28に沿った特定の位置に到達すると、駆動システム38及び/又はボギーシステム18は、制御システム42によって適切に制御できるようになっている。
【0024】
一般に、制御システム42は、乗物車両16及び乗物経路14の他の構成要素に通信可能に接続する(例えば、有線又は無線機能によって)ことができる。特定の実施形態において、遊園地10は、2以上の制御システム42を含むことができる。例えば、特定の実施形態において、遊園地10は、乗物車両16に関連する1つの制御システム42、運動システム36に関連する別の制御システム42などを含むことができ、制御システム42の各々は、互いに通信可能に接続するようになっている(例えば、それぞれの送受信機又は有線接続によって)。
【0025】
制御システム42は、何らかに適切な有線及び/又は無線接続を介して(例えば、送受信機を介して)、遊園地10の1又は2以上の乗物車両16に通信可能に接続することができる。本明細書に記載されるように、制御システム42は、運動システム36を作動させて乗物車両16の運動を引き起こすことで、乗物経路14の特定の場所での乗物車両16の進行方向などの乗物システム12の様々な態様を制御することができる。例えば、制御システム42は、センサ組立体40からデータを受信して、例えば、運動システム36の動作を制御することができる。特定の実施形態において、制御システム42は、例えば、送受信機を介する1又は2以上のセンサ組立体40からの乗物車両16に関連するデータを処理するように構成された電気回路を有する電子制御装置とすることができる。さらに、特定の実施形態において、制御システム42は、遊園地10の様々な構成要素に接続することができる(例えば、遊園地アトラクション、遊園地制御装置、及び無線ネットワーク)。
【0026】
制御システム42は、メモリ素子44及びマイクロプロセッサなどのプロセッサ46を含むことができる。また、制御システム42は、1又は2以上の記憶装置48及び/又は他の適切な構成要素を含むこともできる。プロセッサ46は、乗物車両16及び乗物経路14に沿う乗物車両16に関連した他の構成要素(例えば、運動システム36、ボギーシステム18など)を制御するためのソフトウェアなどのソフトウェアを実行するために用いることができる。さらに、特定の実施形態において、プロセッサ46は、複数のマイクロプロセッサ、1又は2以上の「汎用」マイクロプロセッサ、1又は2以上の専用マイクロプロセッサ、及び/又は1又は2以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、又はこれらの何らかの組み合わせを含むことができる。例えば、特定の実施形態において、プロセッサ46は、1又は2以上の縮小命令セット(RISC)プロセッサを含むことができる。
【0027】
メモリ素子44は、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ、及び/又は読み取り専用メモリ(ROM)などの不揮発性メモリを含むことができる。メモリ素子44は、様々な情報を格納することができ、様々な目的で使用することができる。例えば、メモリ素子44は、プロセッサ46が実行する、乗物車両16の構成要素、運動システム36、ボギーシステム18などを制御するための命令などのプロセッサ実行可能な命令(例えば、ファームウェア又はソフトウェア)を格納することができる。
【0028】
記憶装置48(例えば、不揮発性記憶装置)は、ROM、フラッシュメモリ、ハードドライブ、又は何らかの他の適切な光学、磁気、又は半導体記憶媒体、又はこれらの組み合わせを含むことができる。記憶装置48は、データ(例えば、乗客情報、遊園地10に関連したデータ、乗物経路14の軌道に関連したデータなど)、命令(例えば、ボギーシステム18、運動システム36、乗物車両16などを制御するためのソフトウェア又はファームウェア)、及び何らかの他の適切な情報を格納することができる。
【0029】
図2は、本開示の態様による、乗物システム12の実施形態の概略図である。乗物経路14は、乗物車両16の進行方向を定める何らかの特徴部を含むことができる。本明細書で詳細に記載するように、制御システム42は、何らかの所望の方法で乗物経路14に沿って進むよう乗物車両16に命令する。例えば、制御システム42は、乗物車両16が乗物経路14に沿って進む際にその動き(例えば、方向、速度、及び/又は向き)を制御することができる。特定の実施形態において、制御システム42は、本明細書に詳細に記載するように小さな旋回半径で乗物車両16が一連の実質的に90度の方向転換を行うのを可能にすることができる(例えば、乗物車両16の方位を調節することなく)。
【0030】
図3は、本開示の態様によるボギーシステム18の実施形態の斜視図である。
図3に示すように、特定の実施形態において、ボギーシステム18は、2つのボギー22の互いに対する回転を容易にする回転継ぎ手30(
図15参照)によって互いに連結することができる2つのボギー22を含むことができる。2つボギー22を有するとして
図3に示され本明細書に記載されているが、他の実施形態において、ボギーシステム18は、代わりに3以上のボギー22を含むことができ、ボギー22の各々は、それぞれの回転継ぎ手30によって隣接するボギー22から分離される。この実施形態は、ボギーシステム18のボギー22にさらなる自由度を与えることになる。本明細書に記載されるように、特定の実施形態において、乗物車両16(及び/又は図示の機器のような他の遊園地関連特徴部)は、ボギーシステム18のボギー22のうちの1つに結合することができ、ボギーシステム18は、複数の軌道部材26、28によって定められた乗物経路14に沿う乗物車両16の移動を容易にする。
【0031】
詳細には、
図3に示すように、特定の実施形態において、ボギーシステム18のボギー22の各々は、軌道部材26、28に沿うボギー22の運動を容易にするように構成された軌道係合機構50を含むことができる。例えば、
図3に示すように、軌道係合機構50は、対応する軌道部材26、28の形状に一致するように構成された形状を有することができる。
図3にはボギー22の側面54に設けられ、対応する形状を有する軌道部材26、28と一致するように構成されている溝として示されているが、ボギー22の軌道係合機構50は、他の実施形態において、本明細書で詳細に記載するようにボギー22を貫通して延びる1又は2以上のボアなどの異なる形を取ることができる。
【0032】
例えば、
図4は、本開示の態様による、
図3に示すボギー22の部分断面図であり、ボギー22の軌道係合機構50の形状を示す。
図4に示すように、特定の実施形態において、ボギー22の軌道係合機構50は、溝52が、主矩形セクション56、主矩形セクション56の第1の側面上の第2の(例えば、差し込み)セクション58、及び主矩形セクション56の反対側の第2の側面上の2つのリップ62で形成された開口60を含むような断面を有することができる。特定の実施形態において、第2のセクション58及び開口60は、ボギー22の溝52が軌道部材26、28のどちらかの側面上で軌道部材26、28と相互作用するよう構成することができるように、同じ形状とすることができ、このことは、ボギー22の軌道部材26、28に対するさらなる運動能力を可能にする。さらに、ボギー22の軌道係合機構50の溝52の第2のセクション58及び開口60は、軌道部材26、28に対するボギー22の横安定をもたらすことができることを理解されたい。
【0033】
図5及び6は、本開示の態様による、他のボギー22の部分断面図であり、ボギー22の軌道係合機構50の他の形状を示す。詳細には、
図5及び6に示すように、特定の実施形態において、ボギー22の軌道係合機構50は、ボギー22を完全に貫通して延びる1又は2以上のボア64をもつ断面を有することができる。
図5に示すように、特定の実施形態において、1又は2以上のボア64は円形とすることができる。しかしながら、
図6に示すように、他の実施形態において、1又は2以上のボア64は矩形とすることができる。実際には、さらに他の実施形態において、1又は2以上のボア64は、何らかの適切な形状を有することができる。加えて、
図5及び6には、ボギー22を貫通する2つのボア64が示されているが、他の実施形態において、ボギー22の軌道係合機構50は、ボギー22を貫通する3以上のボア64を含むことができる。
【0034】
本明細書で詳細に記載するように、軌道部材26、28で定められた乗物経路14に沿ったボギーシステム18の運動を容易にすることに加えて、本明細書に記載されたボギーシステム18のボギー22は、また(可動の)軌道部材の第2のセット28を(固定の)軌道部材の第1のセット26から取り外し、(可動の)軌道部材の第2のセット28を(固定の)軌道部材の第1のセット26に対して移動させ、及び(可動の)軌道部材の第2のセット28を(固定の)軌道部材の第1のセット26に他の場所で再び取り付けるように構成されている。
【0035】
図7から14は、本開示の態様による、軌道部材26、28によって定められた乗物経路14に沿って進むボギーシステム18の一連のステップを示す。
図7から14に示すように、軌道部材26、28は、互いに対する様々な高さ及び方位で配置することができる。例えば、軌道部材26、28は、互いに直交する又は同一平面上にある必要はない。むしろ、ボギーシステム18は、軌道部材26、28の間で何らかの空間的関係を得るために軌道部材26、28の間で移ることができる。
図7から14に示すように、固定軌道部材26の各々は、固定軌道部材26の上にボギーシステム18を挿入するのを可能にする間隙又有限端部を有することができる。さらに、軌道部材26、28は、様々な速度及び動作でボギーシステム18の双方向運動を可能にすることを理解されたい。加えて、ボギーシステム18は、一般的なローラーコースターが行うことができる回転、ねじり、方向変化、及び何らかの他の動作(maneuvers)をもたらす軌道部材26、28を下方に移動させることができる。
【0036】
特定の実施形態において、固定軌道部材26の間の乗物車両16の固定された移送(すなわちボギーシステム18による)が生じ得る。例えば、特定の実施形態において、ボギーシステム18(及び、ボギーシステム18に結合した乗物車両16)は、第1の固定軌道部材26に対して完全停止になり、ボギーシステム18のボギー22(及び特定の実施形態において乗物車両16)の向きを変え、可動軌道部材28を取り出す又は降ろし、次に、第2の固定軌道部材26に沿って移動を続ける。このような移送は、軌道部材26、28によって定められた乗物経路14に沿った非平行移動を可能にする。しかしながら、特定の実施形態において、ボギーシステム18は、ボギーシステム18のボギー22が互いに対して向きを変える前に完全停止する必要はないことに留意されたい。むしろ、特定の実施形態において、ボギー22のうちの1つは、固定軌道部材26に沿って移動している間に到来する可動軌道部材28の交換点を見越して、それ自体で他のボギー22に対して向きを変えることができる。そうすることで、到来する可動軌道部材28の交換点での可動軌道部材28の交換は、ボギーシステム18が完全停止になるとボギー22の再配向を待つことなく実現することができる。
【0037】
或いは、特定の状況では、軌道部材26、28の間のオンザフライ(on-the-fly)の移送は、同じボギーシステム18を用いて引き起こすことができる(すなわち、走行軌道移送)。このタイプの移送は、一般に、平行な軌道部材26、28を含み、可動軌道部材28を残すボギーシステム18を含む。このような実施形態において、第1の可動軌道部材28が残されている場合、第2の可動軌道部材28は、ボギーシステム18によって取り出されない場合がある。換言すると、このような実施形態において、ボギーシステム18は、「1つを取って1つを残す(take one, leave one)」方法に限定されない。実際には、他の実施形態において、ボギーシステム18は、他の可動軌道部材28を残すことなく可動軌道部材28を取り出すことができる。例えば、ボギーシステム18のボギー22の内部の溝52は、係合に先だって適切な方位を確認するために、例えば、乗物車両16(及び/又は特定の実施形態において展示装置)に対して比較的有意な軌道許容差が与えられる場合は、可動軌道部材28なしで固定軌道部材26に係合することができる。
【0038】
図7は、固定軌道部材26Aに沿って進むボギーシステム18を示し、ボギーシステム18のボギー22Aの1つは、2つの可動軌道部材28A、28Bを搬送している。
図8に示すように、ボギーシステム18が固定軌道部材26Aに取り付けられた可動軌道部材28Cに整列すると、本明細書で詳細に記載するように、ボギーシステム18の他のボギー22Bは、可動軌道部材28Cを把持し、例えば、可動軌道部材28C及び固定軌道部材26Aに関連する作動機構を作動させることで、固定軌道部材26Aから可動軌道部材28Cを取り外す。加えて、ボギーシステム18が、固定軌道部材26Aに取り付けられた可動軌道部材28Cに整列すると、本明細書で詳細に記載するように、ボギーシステム18のボギー22Aは、可動軌道部材28Aを解放し、例えば、可動軌道部材28A及び固定軌道部材26Bに関連する作動機構を作動させることで、可動軌道部材28Aを他の固定軌道部材26Bに取り付ける。
【0039】
図9は、固定軌道部材26Bに沿って進むボギーシステム18を示す。
図10に示すように、ボギーシステム18が固定軌道部材26Bに取り付けられた可動軌道部材28Dに整列すると、本明細書で詳細に記載するように、ボギーシステム18のボギー22Aは、可動軌道部材28Dを把持し、例えば、可動軌道部材28D及び固定軌道部材26Bに関連する作動機構を作動させることで、固定軌道部材26Bから可動軌道部材28Dを取り外す。加えて、ボギーシステム18が、固定軌道部材26Bに取り付けられた可動軌道部材28Dに整列すると、本明細書で詳細に記載するように、ボギーシステム18のボギー22Bは、可動軌道部材28Cを解放し、例えば、可動軌道部材28C及び固定軌道部材26Cに関連する作動機構を作動させることで、可動軌道部材28Cを他の固定軌道部材26Cに取り付ける。
【0040】
図11は、固定軌道部材26Cに沿って進むボギーシステム18を示す。
図12に示すように、ボギーシステム18が、固定軌道部材26Cに取り付けられた可動軌道部材28Eに整列すると、本明細書で詳細に記載するように、ボギーシステム18のボギー22Bは、可動軌道部材28Eを把持し、例えば、可動軌道部材28E及び固定軌道部材26Cに関連する作動機構を作動させることで、可動軌道部材28Eを固定軌道部材26Cから取り外す。加えて、ボギーシステム18が固定軌道部材26Cに取り付けられた可動軌道部材28Eに整列すると、本明細書で詳細に記載するように、ボギーシステム18のボギー22Aは、可動軌道部材28Bを解放し、例えば、可動軌道部材28B及び固定軌道部材26Dに関連する作動機構を作動させることで、可動軌道部材28Bを他の固定軌道部材26Dに取り付ける。
図11に示すように、ボギーシステム18が固定軌道部材26Cに沿って進む際に、回転継ぎ手30は、ボギーシステム18が可動軌道部材28E及び固定軌道部材26Dと相互作用するのを見越して、ボギー22Aをボギー22Bに対して回転させる。
【0041】
図13は、固定軌道部材26Dに沿って進むボギーシステム18を示す。
図14に示すように、ボギーシステム18が固定軌道部材26Dに取り付けられた可動軌道部材28Fに整列すると、本明細書で詳細に記載するように、ボギーシステム18のボギー22Aは、可動軌道部材28Fを把持し、例えば、可動軌道部材28F及び固定軌道部材26Dに関連する作動機構を作動させることで、固定軌道部材26Dから可動軌道部材28Fを取り外す。加えて、ボギーシステム18が固定軌道部材26Dに取り付けられた可動軌道部材28Fに整列すると、本明細書で詳細に記載するように、ボギーシステム18のボギー22Bは、可動軌道部材28Eを解放し、例えば、可動軌道部材28E及び固定軌道部材26Eに関連する作動機構を作動させることで、可動軌道部材28Eを他の固定軌道部材26Eに取り付ける。
【0042】
このように、ボギーシステム18及び複数の軌道部材26、28は、軌道部材交換の「1つを取って1つを残す(take one, leave one)」方法を実行するように構成され(例えば、
図7から14に示されるような)、これにより、ボギーシステム18が軌道部材26、28によって定められた乗物経路14を進む際に、ボギーシステム18のボギー22は、可動軌道部材28を持って回る。ボギーシステム18が乗物経路14に沿って移動する際に、可動軌道部材28は、軌道部材26、28によって定められた乗物経路14内の間隙を埋める。可動軌道部材28の交換時、ボギーシステム18のボギー22は、1つの可動軌道部材28を残し、他の可動軌道部材28を取り出す。そのため、
図7から14に示す軌道部材の交換方法は、ボギーシステム18の構成要素(例えば、ボギー22及び回転継ぎ手30)、軌道部材26、28、及び乗物システム12の他の構成要素(例えば、駆動システム38など)の間の連係を利用する。例えば、特定の実施形態において、本明細書で詳細に記載するように、制御システム42は、駆動システム38、ボギーシステム18の回転継ぎ手30、並びに固定軌道部材26及び可動軌道部材28に関連する作動機構の制御を連係させることができる。
【0043】
本明細書に記載されるように、特定の実施形態において、ボギーシステム18は、ボギー22の互いに対する回転を容易にする回転継ぎ手30によって連結された複数のボギー22を含み、ボギー22は、乗物経路14を定める軌道部材26、28に整列する目的で、互いに対して再配向することができる。例えば、
図15は、本開示の態様による、2つのボギー22の間に結合された回転継ぎ手30を有するボギーシステム18の実施形態の透視図である。
図15に示すように、ボギーシステム18の回転継ぎ手30は、ボギーシステム18のボギー22が、矢印66で示すように互いに対して回転するように構成することができる。本明細書で詳細に記載するように、
図15には2つのボギー22が示されているが、他の実施形態において、ボギーシステム18は、代わりに3以上のボギー22を有することができ、隣接するボギー22の各ペアは、隣接するボギー22の間に設けられた回転継ぎ手30を有する。もしくは、他の実施形態において、ボギーシステム18は、単一のボギー22(すなわち、回転継ぎ手30がない)を含むことができる。例えば、
図16は、本開示の態様による、回転継ぎ手30のない単一のボギー22を有するボギーシステム18の実施形態の透視図である。
【0044】
図17は、本開示の態様による.軌道部材26、28に沿って進むボギーシステム18の実施形態の断面側面図である。
図17に示すように、第1の固定軌道部材26Aに沿って進む(矢印68で示すように)際に、ボギーシステム18の回転継ぎ手30は、可動軌道部材28Aを運んでいるボギーシステム18の第1のボギー22Aが、ボギーシステム18の他のボギー22Bに対して向きを定めるのを保証することができ、その結果、ボギーシステム18が固定軌道部材26A及び26Bに取り付けられた他の可動軌道部材28Bに到達すると、第1のボギー22Aで運ばれる可動軌道部材28Aは、他の固定軌道部材26Cに整列することができ、可動軌道部材28Aは、第1のボギー22Aによって固定軌道部材26Cに取り付けることができる。次に、ボギーシステム18の他のボギー22Bが可動軌道部材28Bを固定軌道部材26A及び26Bから取り外すと、ボギーシステム18は、固定軌道部材26Cに沿って進み始めることができる。
【0045】
本明細書に記載されるように、ボギーシステム18は、可動軌道部材28を固定軌道部材26から取り外すと共に可動軌道部材28を他の固定軌道部材26のもとに取り付けるように構成することができる。詳細には、特定の実施形態において、ボギーシステム18のボギー22の各々の軌道係合機構50は、可動軌道部材28を把持し、可動軌道部材28及び可動軌道部材28が取り付けられる及び/又はそこから取り外される固定軌道部材26に関連する作動機構を切り替えるように構成することができる。例えば、特定の実施形態において、ボギーシステム18のボギー22の軌道係合機構50は、把持デバイス(gripping device)72を固定軌道部材28に向かって(又はそこから離れるように)作動させて固定軌道部材28に対して把持力を与える(又は把持力を解放する)ように構成された動力モータ70を含むことができる。
【0046】
加えて、特定の実施形態において、ボギーシステム18のボギー22の各々は、特定の軌道部材26、28の中に配置された(又はこれに関連する)作動機構を切り替えるように構成することができる。
図18及び19は、本開示の態様による可動軌道部材28及び2つの隣接する固定軌道部材26の断面側面図であり、これは可動軌道部材28を固定軌道部材26に取り付ける及び/又はそこから取り外すためにボギーシステム18によって切り替えるように構成された作動機構74を有する。
図18に示す実施形態において、作動機構74は、固定軌道部材26の軸端78で固定軌道部材26の内部に配置された同軸固定装置76を含み、これは、矢印84で示すように、可動軌道部材28の反対側の軸端82に配置された嵌合ボア80に出入りするように切り替えられる(例えば、ボギーシステム18のボギー22の軌道係合機構50によって)ように構成されている。もしくは、
図19に示す実施形態において、作動機構74は、可動軌道部材28の軸端82で可動軌道部材28の内部に配置された同軸固定装置76を含み、これは、矢印84で示すように、固定軌道部材26の反対側の軸端78に配置された嵌合ボア80に出入りするように切り替えられる(例えば、ボギーシステム18のボギー22の軌道係合機構50によって)ように構成されている。
【0047】
特定の実施形態において、固定装置76は、ガス作動式ばね復帰デバイスを含むことができる。このような実施形態において、作動は、例えば、軌道部材26、28をガスで満たし、次にこれを磁気的に作動させてばね復帰デバイスを作動させることで成し遂げることができる。しかしながら、本明細書に記載の固定装置76に関して何らかの適切な作動技術を用いることができるので、この実施形態は、単なる例示であり、限定されることが意図されていない。
【0048】
主として本明細書では、ボギーシステム18のボギー22の軌道係合機構50などの外部の供給源(例えば、軌道部材26、28の外部で)によって作動されると記載されているが、他の実施形態において、可動軌道部材28及び隣接する固定軌道部材26に関連する固定装置76は、代わりに内部で作動させることができる。例えば、特定の実施形態において、可動軌道部材28及び隣接する固定軌道部材26に関連する固定装置76は、単に可動軌道部材28及び隣接する固定軌道部材26に加えられる(又はそこから除かれる)力に基づいて作動させることができる。1つの非限定的な実施例では、ボギーシステム18が特定の可動軌道部材28に整列すると、ボギーシステム18(及び特定の実施形態において関連する乗物車両16)の重量から生み出される力が、可動軌道部材28の内部に内力を引き起こし、さもなければ可動軌道部材28を隣接する固定軌道部材26に対して所定位置に保持する、固定装置76を解放する。
【0049】
図18及び19に示す同軸固定装置76は、可動軌道部材28を隣接する固定軌道部材26に取り付けるための及び/又はそこから取り外すための作動機構74の特定の実施形態の単なる例示である。例えば、
図20は、本開示の態様による、可動軌道部材28を捕まえるための作動機構74の他の実施形態の断面側面図である。
図20に示すように、特定の実施形態において、作動機構74は、可動軌道部材28から延びるノブ88の上を挟み付けて路傍(wayside)又は外部(off-board)固定を可能にするように構成された一組のジョー86を含むことができる。
【0050】
特定の実施形態において、ボギーシステム18の特定の構成要素(例えば、回転継ぎ手30、モータ70など)は、例えば、ボギーシステム18の内部のバッテリ又は他の電力供給源によって局部的に電力を供給することができる。しかしながら、他の実施形態において、軌道部材26、28は、ボギーシステム18に電力を供給する電力伝送レール(例えば、バスバー)90に関連することができる。例えば、
図21は、本開示の態様による軌道部材26、28と並行して配置される電力伝送レール90の実施形態を示す。特定の実施形態において、ボギーシステム18が可動軌道部材28に整列すると、本明細書で詳細に記載するように、ボギーシステム18は、可動軌道部材28を隣接する固定軌道部材26から取り外すだけでなく、電力伝送レール90の可動セクション92も取り外し、次に、可動軌道部材28及び電力伝送レール90の可動セクション92の両方を他の場所に搬送し、この場所で可動軌道部材28及び電力伝送レール90の可動セクション92を再度取り付けることができる。このような実施形態において、電力伝送レール90の可動セクション92が、ボギーシステム18によって取り外されると、ジャンパー箱94を使用して、残された電力伝送レール90の各固定セクション96の間の電気接触を維持することができる。
【0051】
本明細書に記載されるように、特定の実施形態において、各ボギーシステム18は、単一の乗物車両16に関連付けることができる。しかしながら、他の実施形態において、乗物車両16は、複数のボギーシステム18に結合することができ、この場合、ボギーシステム18のうちの1つは、目下、軌道部材26、28によって定められた乗物経路14に沿って乗物車両16を搬送するために使用することができ、他のボギーシステム18は、軌道部材26、28によって定められた乗物経路14の他の区域に沿って乗物車両16を搬送するために使用することができる。
図22は、本開示の態様による、複数のボギーシステム18に結合する乗物車両16の実施形態の側面図である。
図22に示すように、特定の実施形態において、乗物車両16は、各ボギーシステム18の間で切り替えることで引き起こすことができる乗物車両16の向きの変化に対応するように構成されている座席98を含むことができる。例えば、特定の実施形態において、座席98は、回転して(矢印100で示すように)、例えば、重力に応答して乗客20を再配向することができる。
【0052】
本明細書に記載されるように、制御システム42は、1又は2以上のセンサ組立体40で検出された作動パラメータに少なくとも部分的に基づいて、乗物システム12の様々な構成要素の動作を制御するように構成することができる。例えば、
図23は、本開示の態様による、制御システム42によって制御することができる、本明細書に記載された乗物システム12の動作方法102のフローチャートである。特定の実施形態において、方法102は、ボギーシステム18を使用して、軌道システム24の第1の(例えば、可動の)軌道部材28を、軌道システム24の第2の(例えば、固定の)軌道部材26から取り外すステップを含むことができる(ブロック104)。加えて、特定の実施形態において、方法102は、ボギーシステム18を使用して、第1の(例えば、可動の)軌道部材28を軌道システム24に対して移動させるステップを含む(ブロック106)。加えて、特定の実施形態において、方法102は、ボギーシステム18を使用して、第1の(例えば、可動の)軌道部材28を軌道システム24の第3の(例えば、固定の)軌道部材26に取り付けるステップを含む(ブロック108)。本明細書に記載されるように、特定の実施形態において、制御システム42は、少なくとも部分的に、例えば、1又は2以上のセンサ組立体40によって検出した乗物車両16の位置、速度、及び/又は加速度(例えば、乗物経路14に対する)に基づいて乗物システム12の様々な構成要素を制御することができる。例えば、乗物車両16の位置、速度、及び/又は加速度は、ボギーシステム18によって取り外すか又は取り付けることができる(制御システムによって引き起こされる)特定の軌道部材28に対する乗物車両16の相対的な位置、速度、及び/又は加速度を決定するために使用することができる。
【0053】
本明細書では本発明の実施形態の特定の特徴のみを図示して説明したが、当業者であれば多くの修正例及び変更例を想定できるはずである。従って、特許請求の範囲は、本開示の真の精神に該当する全ての当該修正例及び変更例を包含することが意図されていると理解される。
【0054】
本明細書に示して特許請求する技術は、本技術分野を確実に改善する、従って抽象的なもの、無形のもの又は純粋に理論的なものではない実際的性質の有形物及び具体例を参照し、これらに適用される。さらに、本明細書の最後に添付するいずれかの請求項が、「...[機能]を[実行]する手段」又は「...[機能]を[実行]するステップ」として指定されている1又は2以上の要素を含む場合、このような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈すべきである。一方で、他のいずれかの形で指定された要素を含むあらゆる請求項については、このような要素を米国特許法112条(f)に従って解釈すべきではない。