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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】シクロスポリン類似体の医薬製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/13 20060101AFI20240516BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240516BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240516BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240516BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240516BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20240516BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240516BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
A61K38/13
A61P1/16
A61K47/10
A61K47/22
A61P35/00
A61P31/20
A61K47/14
A61K9/107
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021529703
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 US2019062849
(87)【国際公開番号】W WO2020112562
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】62/771,453
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521225214
【氏名又は名称】ヘピオン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】トレパニエ ダニエル ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウレ ダレン レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】フォスター ロバート トーマス
【審査官】川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0296588(US,A1)
【文献】特表2002-505271(JP,A)
【文献】特表2005-500314(JP,A)
【文献】特開平02-121929(JP,A)
【文献】特開平05-186365(JP,A)
【文献】特表2001-525363(JP,A)
【文献】特表2003-512312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CRV431:
【化1】
(CRV431)
または薬学的に許容されるその塩を含み、さらにビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)、エタノールおよびCremophor(登録商標)RH40を、それぞれ約1/1.5/2.5/5/2.4/5の質量比で含む、自己マイクロ乳化型薬物送達システム(SMEDDS)。
【請求項2】
CRV431を約10mg/mL~約90mg/mLの濃度で含む、請求項1に記載のSMEDDS
【請求項3】
前記SMEDDSが室温で安定であり、および/または、前記SMEDDSが、少なくとも約25日間~少なくとも約200日間は安定である、請求項1~2のいずれか1項に記載のSMEDDS。
【請求項4】
水溶液中に分散された前記SMEDDSによって形成される粒子の直径が約15nm~約40nmである、請求項1~3のいずれか1項に記載のSMEDDS。
【請求項5】
CRV431の濃度が、約50mg/mL~約90mg/mLであり、任意に約70mg/mLであってもよい、請求項1~4のいずれか1項に記載のSMEDDS。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の自己マイクロ乳化型薬物送達システム(SMEDDS)を含む医薬組成物。
【請求項7】
対象における疾患の処置または予防のための医薬の製造における、請求項1~のいずれか1項に記載の自己マイクロ乳化型薬物送達システム(SMEDDS)または請求項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項8】
前記疾患が、重度の肝疾患、B型肝炎(HBV)、肝線維症または肝細胞癌である、請求項に記載の使用。
【請求項9】
時間経過に伴う前記対象の血液中のCRV431の濃度をプロットしたグラフの曲線下面積(AUC)が約5000ng.時間/ml~約150000ng.時間/mlである、請求項のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記対象の血液中のCRV431の最大濃度(Cmax)が約1500ng/ml~約2500ng/mlであり、および/または、前記対象の血液中のCRV431が最大濃度に到達する時間(Tmax)が約0.5時間~約8時間である、請求項のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
前記対象の血液中のCRV431の排出半減期(T1/2)が約10時間~約200時間である、請求項10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記対象の血液中のCRV431の濃度に対する前記対象の肝臓中のCRV431の濃度が約1~約20である、請求項11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
SMEDDS治療有効量が約0.5mg/kg~約5mg/kgである、請求項12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
それによって前記対象の疾患の症状が緩和されおよび/または前記対象の疾患の重症度が低下し、それによって前記対象の肝臓の機能が改善され、および/または、それによって疾患を引き起こすウイルスの負荷が減少する、請求項13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
SMEDDS中のCRV431の治療有効量が、約1mg/kg~約3mg/kgである、請求項7~14のいずれか1項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年11月26日に出願された米国特許出願第62/771,453号の優先権の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本開示は、シクロスポリンA類似体(例えば、シクロスポリンAの非免疫抑制性類似体であるCRV431)の医薬組成物(例えば、自己マイクロ乳化型薬物送達システム「SMEDDS」)に関する。いくつかの実施形態では、SMEDDSは安定であり、CRV431を容易に溶解でき、またCRV431の高い体内曝露が可能になる。
【背景技術】
【0002】
CRV431は、肝線維症や肝細胞癌などの肝疾患の処置のために臨床開発中の小分子シクロフィリン阻害剤である。前臨床試験では、CRV431は、B型肝炎、C型肝炎およびHIVを含む数多くのウイルスに対する抗ウイルス活性と、数多くの体内(インビボ)モデルの肝臓において抗線維化活性を示している。CRV431(図1Bに示す)は、シクロスポリンA(CsA)(図1Aに示す)の誘導体であって、11個のアミノ酸からなる中性環状ペプチドであり、アミノ酸1および3は、図1Bに示すように化学的に修飾されている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、シクロスポリンAの誘導体(例えば、CRV431)を良好に溶解することができ、健康な対象に1回経口投与した後に、ヒトにおいて著しい血中曝露が得られる、CRV431の安定なSMEDDS製剤を提供する。
一態様において、本開示は、CRV431:
【化1】
(CRV431)
などのシクロスポリンAの誘導体または類似体もしく薬学的に許容されるその塩を含む自己マイクロ乳化型薬物送達システム(SMEDDS)を提供する。
【0004】
いくつかの実施形態では、このシステムはポリオキシヒマシ油(ポリオキシ40硬化ヒマシ油、マクロゴールグリセロール ヒドロキシステアレートおよびCremophor(登録商標)RH40およびKolliphor(登録商標)RH40などのPEG-40硬化ヒマシ油としても知られる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、このシステムはエタノールをさらに含む。いくつかの実施形態では、このシステムはジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol(登録商標)などの2-(2-エトキシエトキシ)エタノールとしても知られている)をさらに含む。いくつかの実施形態では、このシステムはプロピレングリコール(PG)をさらに含む。いくつかの実施形態では、このシステムはMaisine(登録商標)CCなどのモノリノール酸グリセリルをさらに含む。いくつかの実施形態では、このシステムはビタミンEをさらに含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、このシステムは、ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)、エタノールおよびCremophor(登録商標)RH40を1/1/5/5/2.4/4または1/1.5/2.5/5/2.4/5の質量比で含む。いくつかの実施形態では、このシステムは、CRV431を約10mg/mL~約90mg/mLの濃度で含む。いくつかの実施形態では、このシステムは、CRV431を約90mg/mLの濃度で含む。
【0006】
本開示ではまた、
(a)90mg/mLの濃度のCRV431などのシクロスポリンAの誘導体:
【化2】
(CRV431)
(b)ビタミンE、
(c)Maisine(登録商標)CC、
(d)プロピレングリコール、
(e)Transcutol(登録商標)、
(f)エタノール、および
(g)Cremophor(登録商標)RH40を含み、ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)、エタノールおよびCremophor(登録商標)RH40が、質量比でそれぞれ約(0.75~1.5)/(0.5~2)/(2~5)/(2~5)/(2~2.4)/(4~8)である、医薬組成物を提供する。
【0007】
別の態様において、本開示は、それを必要とする対象において疾患を処置する方法であって、本明細書に開示される治療有効量の自己マイクロ乳化型薬物送達システムまたは治療有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
別の態様において、本開示は、それを必要とする対象において疾患を予防する方法であって、本明細書に開示される治療有効量の自己マイクロ乳化型薬物送達システムまたは治療有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
いくつかの実施形態では、この疾患は重度の肝疾患である。いくつかの実施形態では、この疾患はB型肝炎(HBV)、肝線維症または肝細胞癌である。いくつかの実施形態では、この疾患はB型肝炎(HBV)である。いくつかの実施形態では、この疾患は肝細胞癌である。
別の態様において、本開示は、対象における疾患の処置または予防のための自己マイクロ乳化型薬物送達システムを提供する。
【0008】
別の態様において、本開示は、対象における疾患の処置または予防のための、本明細書に開示される治療有効量の自己マイクロ乳化型薬物送達システムまたは治療有効量の医薬組成物の使用を提供する。
別の態様において、本開示は、対象における疾患の処置または予防のための医薬の製造における、本明細書に開示される治療有効量の自己マイクロ乳化型薬物送達システムまたは治療有効量の医薬組成物の使用を提供する。
いくつかの実施形態では、この疾患は、重度の肝疾患などの疾患である。いくつかの実施形態では、この疾患はB型肝炎(HBV)、肝線維症または肝細胞癌である。いくつかの実施形態では、この疾患はB型肝炎(HBV)である。いくつかの実施形態では、この疾患は肝細胞癌である。
【0009】
いくつかの実施形態では、時間経過に伴う対象の血液中のCRV431の濃度をプロットしたグラフの曲線下面積(AUC)は、約5000ng.時間/ml~約150000ng.時間/mlである。いくつかの実施形態では、対象の血液中のCRV431の最大濃度(Cmax)は、約1500ng/ml~約2500ng/mlである。いくつかの実施形態では、対象の血液中のCRV431が最大濃度に達する時間(Tmax)は、約0.5時間~約8時間である。いくつかの実施形態では、対象の血液中のCRV431の排出半減期(T1/2)は、約10時間~約200時間である。いくつかの実施形態では、対象の血液中のCRV431の濃度に対する対象の肝臓中のCRV431の濃度は、約1~約20である。
いくつかの実施形態では、SMEDDSの治療有効量は、約0.5mg/kg~約5mg/kgである。
いくつかの実施形態では、それによって対象の疾患の症状が緩和されおよび/または対象の疾患の重症度が低下する。いくつかの実施形態では、それにより対象の肝臓の機能が改善される。いくつかの実施形態では、それによって疾患を引き起こすウイルスの負荷が減少する。
【0010】
いくつかの実施形態では、医薬組成物またはSMEDDSは室温で安定である。いくつかの実施形態では、医薬組成物またはSMEDDSは少なくとも約25日~少なくとも約200日間は安定である。いくつかの実施形態では、水溶液中に分散された医薬組成物またはSMEDDSによって形成される粒子は、約15nm~約40nmである。
本開示の前述および他の態様を、本明細書の記載および提供される方法論についてより詳細に説明する。本発明は、種々の形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではないことが認識されよう。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完璧かつ完全なものとなるように提供され、また本発明の範囲を当業者に十分に伝えようとするものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】シクロスポリンAの化学構造を示す図である。
図1B】CRV431の化学構造を示す図である。
図2】Cremophor(登録商標)RH40、Maisine(登録商標)CCおよび共溶媒の比率について、油/水マイクロエマルション領域を示す疑似三成分相図である。
図3】LC-ESI-MSによるCRV431シリーズ1のSMEDDSの安定性をプロットしたグラフである。
図4】シリーズ1と比較したシリーズ2のSMEDDSの安定性をプロットしたグラフである。
図5】CRV431のSMEDDS水分散液の粒子径を測定しプロットしたグラフである。
図6】CRV431のSMEDDS水分散液の粒子径を測定しプロットしたグラフである。
図7A】ヒトにおけるCRV431の薬物動態を均等目盛にプロットしたグラフである。
図7B】75mg用量についてのヒトにおけるCRV431の薬物動態を対数目盛にプロットしたグラフである。
図7C】225mg用量についてのヒトにおけるCRV431の薬物動態を対数目盛にプロットグラフである。
図8】Sprague Dawleyラットにおける全血および肝臓のCRV431レベルをプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一般的な定義
本開示で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の実施形態および添付の特許請求の範囲の記載に使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈で別段明示しない限りは、複数形も含むことを意図する。また、本明細書で使用されるように、「および/または」は、1つまたは複数の列挙された関連事象のありとあらゆる可能な組み合わせを指し、またこれを包含する。さらに、化合物量、用量、時間、温度などの測定可能な値を指す場合に本明細書で使用される「約」という用語は、特定された量の20%、10%、5%、1%、0.5%または0.1%であっても変動を包含することを意味する。
「含む」および/または「包含している」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素および/または成分の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、成分および/またはそれらのグループが存在することまたは追加されることを除外するものではないことは理解されるであろう。別段の定義がない限り、本記載で使用される技術用語および科学用語を含むすべての用語は、本発明が属する分野の当業者が共通して理解するのと同じ意味を有する。
【0013】
本開示の組成物に適用されるように、「から本質的に成る(および文法的な変形)」という用語は、追加の成分が組成物を実質的に改変させない限り、組成物がこれら追加の成分を含むことが可能であることを意味する。組成物に適用される「実質的に改変された」という用語は、この組成物の治療効果が、列挙された成分からなる組成物の有効性と比較した時、少なくとも約20%以上増加しているかまたは減少していることを指す。
本明細書で使用されるように、ここで使用される「B型肝炎ウイルス」(または「HBV」)は、すべてのサブタイプ(adw、adr、aywおよびayr)および/またはその遺伝子型(A、B、C、D、E、F、GおよびH)を含むことを意図する。本明細書に開示されたSMEDDSは、HBVを処置するために使用できる。
【0014】
本明細書で使用されるように、「治療有効量」は、対象において少なくとも1つの臨床症状のいくらかの緩和、軽減および/または減少をもたらす量を指す。当業者は、何らかの利益がその対象にもたらされる限り、治療効果が完全であるかまたは治癒的である必要はないことを認識するであろう。
「処置すること」には、状態、病気、障害などの改善をもたらす、例えば、減少、軽減、調節または排除するなどの任意の効果が含まれる。病態を「処置すること」または「処置」には、(1)病態を阻害すること、すなわち、病態またはその臨床症状の発生を阻止すること、(2)病態を和らげること、すなわち、病態またはその臨床症状の一時的または永続的な退縮を引き起こすこと、または(3)病態の症状を軽減または減少させることが含まれる。
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の症状が発現した後に処置を施すことが可能である。他の実施形態では、症状がない状態で処置を行うことが可能である。処置は、症状が解消した後も継続することが可能である。
【0015】
本明細書で使用されるように、「予防」、「予防する」および「予防すること」という用語は病態にさらされているかまたは陥りやすいが、まだ病態の症状を経験していないかまたは発症していない対象において、この病態の臨床症状を発生させないようにすることを指す。いくつかの実施形態では、予防は、症状がない場合に適用することが可能である。例えば、予防は、症状の発生前に(例えば、病歴に照らしておよび/または遺伝的または他の感受性因子に照らして)影響を受けやすい個体に施すことが可能である。予防は、症状が解消した後も、例えば再発を遅らせるために、継続することもできる。
「SMEDDS」は、自己マイクロ乳化型薬物送達システムを指す。
【0016】
CRV431の溶解度
本開示は、シクロスポリンAの非免疫抑制性類似体であるCRV431などのシクロスポリンA(CsA)の誘導体を経口送達するための自己マイクロ乳化型薬物送達システム(SMEDDS)製剤を提供する。いくつかの実施形態では、シクロスポリンAに比較して、CRV431は脂質溶媒に難溶性である可能性があり、よって、臨床使用のために十分な経口バイオアベイラビリティを有する製剤を開発するにあたっての課題となる。したがって、本開示は、CRV431を患者(例えば、ヒト)に送達するためのSMEDDSシステムを提供する。
本明細書に記載されるように、シクロスポリンA誘導体であるCRV431の溶解度は、様々な一般的に使用される界面活性剤、オイルおよび共溶媒で確定された。最も溶解度の高い賦形剤とプロトタイプ製剤から疑似三成分相図を作成し、シリーズ1およびシリーズ2を開発した。1および3mg/kgのCRV431SMEDDSを単回経口投与した後、薬物動態を液体クロマトグラフィー-エレクトロスプレー-イオン化質量分析(LC-ESI-MS)を使用して、健康なヒトボランティアで検討した。
シリーズ1製剤の最大薬物負荷は40mg/ml未満であった。賦形剤比を調整することで、シリーズ1と比較して、より高い薬物負荷容量とCRV431の安定性を有するシリーズ2製剤の開発が可能となった。さらに調整をすると、90mg/mlまでCRV431を含むSMEDDS製剤の開発が可能となり、水性媒体に分散させた時のマイクロエマルションの平均粒径25nmの生成が可能となった。本明細書に開示されたCRV431のSMEDDSの薬物動態は、ヒトにおいて優れた全身曝露および用量比例効果を示し、ならびにラットの肝臓において高い薬物レベルを示した。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるSMEDDS製剤は、CRV431の効果的な臨床開発のために使用することが可能である。例えば、本明細書に開示される製剤は、B型肝炎(HBV)、肝線維症および肝細胞癌を含む肝疾患の処置を標的とすることが可能である。
CRV431の水溶解度は、CsAのおよそ4倍(30μg/mlに対して115μg/ml)であることがわかり、この溶解度は、計算で得られた極性表面積(273オングストロームに対して308オングストローム)にも反映していた。理論に拘束されるつもりはないが、水溶性の向上は、血漿タンパク質との結合をより低下(より高い無結合画分)させる結果となることが期待されるかもしれないが、CRV431は依然として水に難溶性であると考えられているため、理論に拘束されるつもりはないが、固形錠剤に処方された場合、目立った臨床的有用性は何ら期待されない。計算で得られたCRV431のLogP値(0)は依然として非常に高く、その結果、脂質へのCRV431の溶解度はシクロスポリンAと同じであると期待されよう。しかしながら、CRV431の様々な脂質界面活性剤およびオイルへの実際の溶解度は、シクロスポリンAの溶解度よりはるかに低い(表3)。理論に拘束されるつもりはないが、任意のSMEDDS製剤におけるCRV431固有の溶解度は、CsAの溶解度よりも大幅に低く、より低い負荷容量につながると予想されよう。理論に拘束されるつもりはないが、マイクロエマルションがSMEDDS製剤を形成するためには、少なくとも、オイル/界面活性剤の混合物を含まなければならない。この混合物に、薬物溶解度を高めるために様々な共溶媒を加えることは可能である。
【0018】
いくつかの実施形態では、CRV431に対して最も高い溶解度を有する界面活性剤には、Cremophor(登録商標)RH40、Lauroglycol(商標)90およびCapryol(商標)90が含まれる。Lauroglycol(商標)90およびCapryol(商標)90は、どちらも水不溶性の界面活性剤であって、理論に拘束されるつもりはないが、水中油型マイクロエマルションの形成に有用であるとは考えにくい。Lauroglycol(商標)90またはCapryol(商標)90のいずれかとオイルおよび共溶媒賦形剤との混合物は、混和性分散液というよりはむしろ、水中で油滴を形成することが観察された(データ不表示)。したがって、Cremophor(登録商標)RH40へのCRV431の溶解度により、Cremophor(登録商標)RH40を界面活性剤として選択した。試験したオイルおよび共溶媒中のCRV431の溶解度に基づいて、SMEDDSプロトタイプの開発用に、Cremophor(登録商標)RH40と共に、賦形剤であるビタミンE、Maisine(登録商標)CC、エタノール、Transcutol(登録商標)、プロピレングリコールを選択した。薬物の非存在下で、Maisine(登録商標)CC(オイル)対Cremophor(登録商標)RH40(界面活性剤)対共溶媒混合物の配合パーセンテージをプロットして、疑似三成分相図を作成した(図2)。これらの研究により、Cremophor(登録商標)RH40/Maisine(登録商標)CCの配合比率が3未満では、マイクロエマルション(目視検査では白色不透明)が形成されないことがわかった。マイクロエマルション形成の相境界(水分散液では透明)は明確に示され、この相図の総面積のおよそ40%に相当している。
【0019】
疑似三成分相図に基づいて、Cremophor(登録商標)RH40/Maisine(登録商標)CC/PG/エタノール/ビタミンEを9/3/3/2/1の比率で含み、また50mg/mlのCRV431を含むプロトタイプのSMEDDS製剤(表4、製剤#1)を調製した。SMEDDS製剤は数日間透明なままであったが、その後透明な結晶が現れてガラス容器の底に付着した。溶解度の促進と結晶形成の減少を図るため、Transcutol(登録商標)共溶媒の割合を増加させたSMEDDSのシリーズを開発した(シリーズ1、表5)。すべてのシリーズ1製剤は、水に分散するとマイクロエマルションを形成したが、それらエマルションもまた室温では不安定であった。理論に拘束されるつもりはないが、概して、Transcutol(登録商標)のレベルが増加するにつれて、製剤の不安定性が増加した。これは、Transcutol(登録商標)の増加とは関係がなく、CRV431が適度に可溶でもある他の共溶媒の減少とより関係している可能性が高い。シリーズ1の結果に基づいて、より安定性の高い製剤を探索するためにシリーズ2製剤を製造した。
【0020】
理論に拘束されるつもりはないが、疑似三成分相図(図2)が、マイクロエマルション域も、より低い界面活性剤とオイルの比率では存在していることを示しているので、シリーズ2であるCRV431のSMEDDS製剤の開発の根底は、CRV431が最もよく溶解する(ビタミンE、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)およびエタノール)賦形剤共溶媒を増加させ、水分散時に透明なマイクロエマルションを形成する能力を維持しながら、CRV431が最も溶解しない界面活性剤およびオイル成分を最小限に抑えることにある。
シリーズ2のSMEDDSはすべて、元のプロトタイプの製剤(9/3/3/2/1)に比較して、安定性が大幅に向上している(図4)。いくつかのSMEDDS、室温で77日間保存した後で薬物の損失が見られなかったため、安定しているとみなされた。理論に拘束されるつもりはないが、安定性の向上は、シリーズ1のSMEDDSの場合のように、CRV431が溶解度の限界とはならないように、これらのSMEDDSにおいてCRV431の溶解度が増加した結果であると理論的には説明される。実際、SMEDDS 1/1/5/5/2/4および1/1.5/2.5/5/2.4/5(ビタミンE/Maisine(登録商標)CC/プロピレングリコール/Transcutol(登録商標)/エタノール/Cremophor(登録商標)RH40(w/w/w/w/w/w)も、75mg/mlで容易に調製された。製剤開発の目的はCRV431の薬物負荷を増やすことであったので、エタノールの質量比を2~2.4に増やした。いくつかの実施形態では、臨床SMEDDS製剤が製造されてソフトゲルカプセルとして患者に送達されることになるので、このエタノール量がソフトゲル適合性限界に近いことから、エタノールをさらに増量することは考えられなかった。
【0021】
CRV431のSMEDDS(1/1/5/5/2.4/4)は、90~100mg/mlの溶解限度を有することがわかり、安定しているとみなされた。1/1/5/5/2.4/4および1/1.5/2.5/5/2.4/5(ビタミンE/Maisine(登録商標)CC/プロピレングリコール/Transcutol(登録商標)/エタノール/Cremophor(登録商標)RH40(w/w/w/w/w/w))CRV431のSMEDDSを水性媒体に分散させたところ、粒径はおよそ25nmと測定された。この粒径は報告されているNeoral(登録商標)SMEDDSの粒径(30nm)と一致している。
【0022】
CRV431のSMEDDS(1/1/5/5/2.4/4)の薬物動態を、1および3mg/kgでヒトの健康な対象において検討した。曝露量と用量の優れた比例性が観察された。報告された健康なヒト対象のシクロスポリンA(2.5mg/kg)曝露量と比較して、CRV431 CmaxはNeoral(登録商標)よりわずかに大きく、全体的な曝露量(AUC)は、水性環境で直ちにマイクロエマルションを形成し、不活性成分としてCremophor(登録商標)RH40を含むシクロスポリンAの経口製剤であるNeoral(登録商標)のおよそ14倍高かった。理論に拘束されるつもりはないが、これは主に、CRV431の半減期が、健康な対象における6.3時間~重度の肝疾患における20.4時間の範囲にあると報告されているシクロスポリンAの半減期に比較して、およそ100時間であるという大きく異なることに起因するものと思われる。
ラットの反復投与試験では、肝臓のCRV431レベル(10μg/g組織)は全血の少なくとも6.5倍と高かった。
【0023】
開示のSMEDDS
本開示のSMEDDSにおける種々の成分の相対質量比は異なってもよい。いくつかの実施形態では、本開示のSMEDDSは、SMEDDS中の非CRV431成分に対して、ビタミンEを約0.75~約1.5の間(例えば、約0.75、約1、約1.25、約1.5)の質量比で含むことが可能である。例えば、SEMDDSは、SMEDDSにおいて、Maisine(登録商標)CC、プロピレン、グリコール、Transcutol(登録商標)、エタノールおよびCremophor(登録商標)RH40の1つまたは複数に対して、ビタミンEを約0.75~約1.5の間(例えば、約0.75、約1、約1.25、約1.5)の質量比で含むことが可能である。いくつかの実施形態では、SMEDDSは、SMEDDSにおいて、他の非CRV431成分(Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)、エタノールおよびCremophor(登録商標)RH40を含むがこれに限定されない)の1つまたは複数に対して、ビタミンEを、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.45、1.50、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値の質量比またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲の質量比で含むことが可能である。
【0024】
いくつかの実施形態では、本開示のSMEDDSは、SMEDDS中の非CRV431成分に対して、Maisine(登録商標)CCを約0.5~約2の間(例えば、約0.5、約0.75、約1、約1.25、約1.5、約1.75、約2)の質量比で含むことが可能である。例えば、SEMDDSは、SMEDDSにおいて、ビタミンE、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)、エタノールおよびCremophor(登録商標)RH40の1つまたは複数に対して、Maisine(登録商標)CCを約0.75~約1.5の間(例えば、約0.75、約1、約1.25、約1.5)の質量比で含むことが可能である。いくつかの実施形態では、SMEDDSは、SMEDDSにおいて、他の非CRV431成分(ビタミンE、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)、エタノールおよびCremophor(登録商標)RH40を含むがこれに限定されない)の1つまたは複数に対して、Maisine(登録商標)CCを、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値の質量比またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲の質量比で含むことが可能である。
【0025】
いくつかの実施形態では、本開示のSMEDDSは、SMEDDS中の非CRV431成分に対して、プロピレングリコールを、約2~約5の間(例えば、約2、約2.25、約2.5、約2.75、約3、約3.25、約3.5、約3.75、約4、約4.25、約4.5、約4.75、約5)の質量比で含むことが可能である。例えば、SEMDDSは、SMEDDSにおいて、ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、Transcutol(登録商標)、エタノールおよびCremophor(登録商標)RH40の1つまたは複数に対して、プロピレングリコールを約0.75~約1.5の間(例えば、約0.75、約1、約1.25、約1.5)の質量比で含むことが可能である。いくつかの実施形態では、SMEDDSは、SMEDDSにおいて、他の非CRV431成分(ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、Transcutol(登録商標)、エタノールおよびCremophor(登録商標)RH40を含むがこれに限定されない)の1つまたは複数に対して、プロピレングリコールを、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値の質量比またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲の質量比で含むことが可能である。
【0026】
いくつかの実施形態では、本開示のSMEDDSは、SMEDDS中の非CRV431成分に対して、Transcutol(登録商標)を、約2~約5の間(例えば、約2、約2.25、約2.5、約2.75、約3、約3.25、約3.5、約3.75、約4、約4.25、約4.5、約4.75、約5)の質量比で含むことが可能である。例えば、SEMDDSは、SMEDDSにおいて、ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、エタノールおよびCremophor(登録商標)RH40の1つまたは複数に対して、Transcutol(登録商標)を、約0.75~約1.5の間(例えば、約0.75、約1、約1.25、約1.5)の質量比で含むことが可能である。いくつかの実施形態では、SMEDDSは、SMEDDSにおいて、他の非CRV431成分(ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、エタノールおよびCremophor(登録商標)RH40を含むがこれに限定されない)の1つまたは複数に対して、Transcutol(登録商標)を、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値の質量比またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲の質量比で含むことが可能である。
【0027】
いくつかの実施形態では、本開示のSMEDDSは、SMEDDS中の非CRV431成分に対して、エタノールを約2~約2.4の間(例えば、約2、約2.25、約2.4)の質量比で含むことが可能である。例えば、SEMDDSは、SMEDDSにおいて、ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)およびCremophor(登録商標)RH40の1つまたは複数に対して、エタノールを約0.75~約1.5の間(例えば、約0.75、約1、約1.25、約1.5)の質量比で含むことが可能である。いくつかの実施形態では、SMEDDSは、SMEDDSにおいて、他の非CRV431成分(ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)およびCremophor(登録商標)RH40を含むがこれに限定されない)の1つまたは複数に対して、エタノールを、2.1、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.2、2.21、2.22、2.23、2.24、2.25、2.26、2.27、2.28、2.29、2.3、2.31、2.32、2.33、2.34、2.35、2.36、2.37、2.38、2.39、2.4、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値の質量比またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲の質量比で含むことが可能である。
【0028】
いくつかの実施形態では、本開示のSMEDDSは、SMEDDS中の非CRV431成分に対して、Cremophor(登録商標)RH40を、約4~約8の間(例えば、約4、約4.25、約4.5、約4.75、約5、約5.25、約5.5、約5.75、約6、約6.25、約6.5、約6.75、約7、約7.25、約7.5、約7.75、約8)の質量比で含むことが可能である。例えば、SEMDDSは、SMEDDSにおいて、ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)およびエタノールの1つまたは複数に対して、Cremophor(登録商標)RH40を、約0.75~約1.5の間(例えば、約0.75、約1、約1.25、約1.5)の質量比で含むことが可能である。好ましい実施形態では、本開示のSMEDDSは、Cremophor(登録商標)RH40を約4~約6の間の質量比で含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、SMEDDSは、SMEDDSにおいて、他の非CRV431成分(ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)およびCremophor(登録商標)RH40を含むがこれに限定されない)の1つまたは複数に対して、Cremophor(登録商標)RH40を、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値の質量比またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲の質量比で含むことが可能である。いくつかの実施形態では、SMEDDSは、ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)およびCremophor(登録商標)RH40を約(0.75~1.5)/(0.5~2)/(2~5)/(2~5)/(2~2.4)/(4~8)の質量比で含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、本開示のSMEDDSは、CRV431を、約1mg/mL~約100mg/mLの間(例えば、約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約35mg/mL、約40mg/mL、約45mg/mL、約50mg/mL、約55mg/mL、約60mg/mL、約65mg/mL、約70mg/mL、約75mg/mL、約80mg/mL、約85mg/mL、約90mg/mL、約95mg/mL、約100mg/mL)の濃度で含むことが可能である。好ましい実施形態では、本開示のSMEDDSは、CRV431を約10mg/mL~約90mg/mLの濃度で含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、SMEDDSは、CRV431などのシクロスポリンA(CsA)の誘導体を、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、11mg/mL、12mg/mL、13mg/mL、14mg/mL、15mg/mL、16mg/mL、17mg/mL、18mg/mL、19mg/mL、20mg/mL、21mg/mL、22mg/mL、23mg/mL、24mg/mL、25mg/mL、26mg/mL、27mg/mL、28mg/mL、29mg/mL、30mg/mL、31mg/mL、32mg/mL、33mg/mL、34mg/mL、35mg/mL、36mg/mL、37mg/mL、38mg/mL、39mg/mL、40mg/mL、41mg/mL、42mg/mL、43mg/mL、44mg/mL、45mg/mL、46mg/mL、47mg/mL、48mg/mL、49mg/mL、50mg/mL、51mg/mL、52mg/mL、53mg/mL、54mg/mL、55mg/mL、56mg/mL、57mg/mL、58mg/mL、59mg/mL、60mg/mL、61mg/mL、62mg/mL、63mg/mL、64mg/mL、65mg/mL、66mg/mL、67mg/mL、68mg/mL、69mg/mL、70mg/mL、71mg/mL、72mg/mL、73mg/mL、74mg/mL、75mg/mL、76mg/mL、77mg/mL、78mg/mL、79mg/mL、80mg/mL、81mg/mL、82mg/mL、83mg/mL、84mg/mL、85mg/mL、86mg/mL、87mg/mL、88mg/mL、89mg/mL、90mg/mL、91mg/mL、92mg/mL、93mg/mL、94mg/mL、95mg/mL、96mg/mL、97mg/mL、98mg/mL、99mg/mL、100mg/mL、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値の濃度でまたはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲の濃度で含むことが可能である。
【0030】
いくつかの実施形態では、CRV431以外のSMEDDSの成分の質量比は、CRV431以外のSMEDDSの他の成分に対するものである。いくつかの実施形態では、本開示のSMEDDSは、CRV431以外のSMEDDSの成分(例えば、ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)、エタノールおよびCremophor(登録商標)RH40)を、本明細書に開示される任意の濃度(例えば、90mg/mL)のCRV431を有するSMEDDSを得るために、CRV431を混合物に混ぜ合わせる(例えば、CRV431を混合物に溶解させるまたは混合物をCRV431に加える)前に、本明細書に開示される質量比で混合物に混ぜ合わせる(例えば、混合する)ことで調製される。いくつかの実施形態では、本開示のSMEDDSは、SMEDDSの成分を一度に混ぜ合わせる(例えば、混合する)ことによって調製される。
【0031】
いくつかの実施形態では、SMEDDSは室温で安定である。いくつかの実施形態では、SMEDDSは4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲で安定である。
【0032】
本明細書に開示されるSMEDDSは、保存中安定である。例えば、SMEDDSは、数時間、数日、数カ月または数年の間は安定であることが可能である。いくつかの実施形態では、SMEDDSは、約1カ月~約3年の間は安定である。いくつかの実施形態では、SMEDDSは、少なくとも約25日~少なくとも約1年の間は安定である。SMEDDSは、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、40日、41日、42日、43日、44日、45日、46日、47日、48日、49日、50日、51日、52日、53日、54日、55日、56日、57日、58日、59日、60日、61日、62日、63日、64日、65日、66日、67日、68日、69日、70日、71日、72日、73日、74日、75日、76日、77日、78日、79日、80日、81日、82日、83日、84日、85日、86日、87日、88日、89日、90日、91日、92日、93日、94日、95日、96日、97日、98日、99日、100日、111日、112日、113日、114日、115日、116日、117日、118日、119日、120日、121日、122日、123日、124日、125日、126日、127日、128日、129日、130日、131日、132日、133日、134日、135日、136日、137日、138日、139日、140日、141日、142日、143日、144日、145日、146日、147日、148日、149日、150日、51日、152日、153日、154日、155日、156日、157日、158日、159日、160日、161日、162日、163日、164日、165日、166日、167日、168日、169日、170日、171日、172日、173日、174日、175日、176日、177日、178日、179日、180日、181日、182日、183日、184日、185日、186日、187日、188日、189日、190日、191日、192日、193日、194日、195日、196日、197日、198日、199日、200日、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲の間は安定であることが可能である。SMEDDSは、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11月カ月、12カ月、13カ月、14カ月、15カ月、16カ月、17カ月、18カ月、19カ月、20カ月、21カ月、22カ月、23カ月、24カ月、2.5年、3年、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲の間は安定であることが可能である。SMEDDSは、例えば、CRV431が実質的におよび/または視認できる程度に結晶化または沈殿しないならば、安定であるとみなすことが可能である。
【0033】
SMEDDSは、例えば、SMEDDSに溶解したCRV431の濃度が、0.1%、0.2%、0.3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%を超えてまたはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲で減少するまで、CRV431がSMEDDS内で結晶化または沈殿しないならば、安定しているとみなすことが可能である。SMEDDSは、例えば、SMEDDSに溶解したCRV431の濃度が0.1mg/ml、0.2mg/ml、0.3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/mlを超えてまたはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲で減少するまで、CRV431がSMEDDS内で結晶化または沈殿しないならば、安定しているとみなすことが可能である。
【0034】
いくつかの実施形態では、水溶液中に分散したSMEDDSによって形成される粒子の直径は、約15nm~約40nmである。いくつかの実施形態では、水溶液中に分散したSMEDDSによって形成される粒子の直径は、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲である。
【0035】
開示の医薬組成物の使用
本開示の活性化合物(例えば、SMEDDS組成物の一部である)は、任意選択で、本明細書に記載される1つまたは複数の他の活性化合物および/またはウイルス感染の処置に有用な薬剤と併用して(または同時に)投与してもよい。「併用して」または「同時に」2つ以上の化合物を投与するとは、2つ以上の化合物が、併用効果、例えば相加的および/または相乗的効果を、発揮するのに時間的に十分近接して投与されることを意味する。2つ以上の化合物は、同時に(併用して)または連続して投与してもよく、または互いに前後した短い期間内に2つ以上の事象が生じてもよい。同時投与は、投与前に化合物を混合することによって、または時間的に同じ時点で解剖学的には異なる部位に化合物を投与することによって、もしくは異なる投与経路を使用することによって実施してもよい。いくつかの実施形態では、他の抗ウイルス剤は、任意選択で同時に投与してもよい。
【0036】
例えば、いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物(例えば、SMEDDS組成物)は、別の活性薬剤(例えば、別の抗ウイルス剤または追加免疫剤)と時間的に近接して投与してもよい。いくつかの実施形態では、「時間的近接」は、1つの治療剤(例えば、本開示の医薬組成物)が、別の治療剤(例えば、追加の抗ウイルス剤)の投与の前または後の期間内に、一方の治療剤の治療効果が他方の治療剤の治療効果と重複するように、投与されることを意味する。いくつかの実施形態では、1つの治療剤の治療効果は、他の治療剤の治療効果と完全に重複する。いくつかの実施形態では、「時間的近接」は、一方の治療剤が、別の治療剤の投与の前または後のある期間内に、一方の治療剤と他方の治療剤との間に相乗効果があるように投与されることを意味する。「時間的近接」は、治療剤が投与される対象の年齢、性別、体重、遺伝的背景、病状、病歴および処置歴、処置または改善されるべき疾患または状態、達成されるべき治療結果、治療剤の投与量、投与頻度および投与期間、治療剤の薬物動態および薬力学、および治療剤が投与される経路(これらには限定されないが)を含む様々な要因によって異なってもよい。いくつかの実施形態では、「時間的近接」とは、15分以内、30分以内、1時間以内、2時間以内、4時間以内、6時間以内、8時間以内、12時間以内、18時間以内、24時間以内、36時間以内、2日以内、3日以内、4日以内、5日以内、6日以内、1週間以内、2週間以内、3週間以内、4週間以内、6週間以内または8週間以内を意味する。いくつかの実施形態では、1つの治療剤は、別の治療剤の単回投与に時間的に近接して、複数回投与してもよい。いくつかの実施形態では、時間的近接は、処置サイクル中または投薬レジメンの中で変えてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、本開示のSMEDDSは、疾患、例えば、重度の肝疾患、B型肝炎(HBV)、肝線維症または肝細胞癌などの肝疾患を処置するために使用することが可能である。肝疾患の非限定的な例には、肝内胆汁うっ滞(アラギル症候群、胆汁性肝硬変)、脂肪肝(アルコール性脂肪肝、ライ症候群)、肝静脈血栓症、肝レンズ核変性症、肝腫大、肝膿瘍(アメーバ性肝膿瘍)、肝硬変(アルコール性、胆汁性および実験的)、アルコール性肝疾患(脂肪性肝臓、肝炎、肝硬変)、寄生虫性(肝エキノコックス症、肝蛭症、アメーバ性肝膿瘍)、黄疸(溶血性、肝細胞性および胆汁うっ滞性)、胆汁うっ滞、門脈圧亢進症、肝肥大、腹水、肝炎(アルコール性肝炎、動物性肝炎、慢性肝炎(自己免疫性、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、薬物誘発性)、毒性肝炎、ウイルス性ヒト肝炎(A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎)、ウィルソン病、肉芽腫性肝炎、続発性胆汁性肝硬変、肝脳症、静脈瘤、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、肝細胞腺腫、血管腫、胆石、肝不全(肝脳症、急性肝不全)および肝新生物(血管筋脂肪腫、石灰化肝転移、嚢胞性肝転移、上皮性腫瘍、線維層状肝細胞癌、限局性結節性過形成、肝腺腫、肝胆嚢胞腺腫、肝芽腫、肝細胞癌、肝細胞腫、肝がん、肝血管内皮腫、間葉性過誤腫、肝臓の間質性腫瘍、結節性再生過形成、良性肝腫瘍(肝嚢胞[単純嚢胞、多嚢胞性肝疾患、肝胆道嚢胞腺腫、総胆管嚢胞]、間葉性腫瘍[間葉性過誤腫、乳児血管内皮腫、血管腫、肝紫斑病、脂肪腫、炎症性偽腫瘍、他]、上皮性腫瘍[胆管上皮(胆管過誤腫、胆管腺腫)、肝細胞(腺腫、限局性結節性過形成、結節性再生過形成)]悪性肝腫瘍[肝細胞性、肝芽腫、肝細胞癌、胆管細胞癌、胆管癌、嚢胞腺癌、血管腫瘍、血管肉腫、カポジ肉腫、血管内皮腫、胚性肉腫、肝臓の線維肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、癌肉腫、奇形腫、カルチノイド、扁平上皮癌、原発性リンパ腫])肝紫斑病、赤血球肝性ポルフィリン症、肝性ポルフィリン症(急性間欠性ポルフィリン症、晩発性皮膚ポルフィリン症)、ゼルウェーガー症候群)がある。いくつかの実施形態では、肝疾患は、肝炎、肝硬変、胆汁うっ滞または肝不全である。
【0038】
いくつかの実施形態では、処置中または処置後に、対象の疾患の症状が緩和されおよび/または対象の疾患の重症度が低下する。症状の非限定的な例には、皮膚および眼が黄色みをおびる(黄疸)こと、腹痛と腫れ、脚と足首の腫れ、皮膚のかゆみ、暗色尿、薄い便の色または血性またはタール色の便、慢性疲労、吐き気または嘔吐、食欲不振、打撲しやすい傾向が挙げられる。病気の重症度は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲の疾患重症度スコア単位(例えば、末期肝疾患モデル(MELDスコア)単位)で、増加(または低下)する可能性がある。いくつかの実施形態では、処置中または処置後に、対象の肝臓の機能が改善される。例えば、対象の肝臓の機能は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲で改善される。いくつかの実施形態では、処置中または処置後に、疾患を引き起こすウイルスの負荷が低下する。例えば、病気を引き起こすウイルスの負荷は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲で減少する可能性がある。
【0039】
疾患または障害の処置に関して、「有効量」は、SMEDDSの推奨投与量を参照して決定される。選択される投与量は、選択される化合物の活性、投与経路、処置される状態の重症度および処置される患者の状態および以前の病歴に応じて変わりうる。しかし、所望の治療効果を達成するために必要とされるよりも低いレベルで化合物の投与を開始し、そして所望の効果が達成されるまで用量を徐々に増加させることは、当技術分野の範囲内である。必要であれば、有効な1日の服用量を、投与する目的上、複数の用量、例えば、1日あたり2~4用量に分割してもよい。しかしながら、特定の患者の特定の用量レベルは、体重、健康全般、食事、時間、投与経路および他の薬物との組み合わせ、ならびに処置中の疾患の重症度を含む多様な要因に依存して決まることが理解されよう。
【0040】
いくつかの実施形態では、本開示のSMEDDSは、例えば、約1mg/kg~約13mg/kgの投与量で、例えば、約1mg/kg~約10mg/kgの投与量で、投与される。例えば、前記化合物は、1mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2mg/kg、2.1mg/kg、2.2mg/kg、2.3mg/kg、2.4mg/kg、2.5mg/kg、2.6mg/kg、2.7mg/kg、2.8mg/kg、2.9mg/kg、3mg/kg、3.1mg/kg、3.2mg/kg、3.3mg/kg、3.4mg/kg、3.5mg/kg、3.6mg/kg、3.7mg/kg、3.8mg/kg、3.9mg/kg、4mg/kg、4.1mg/kg、4.2mg/kg、4.3mg/kg、4.4mg/kg、4.5mg/kg、4.6mg/kg、4.7mg/kg、4.8mg/kg、4.9mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲の投与量で前記対象に投与することが可能である。もしくはまたはさらに、前記化合物は、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲の量で、前記対象に投与される。本開示のSMEDDSは、例えば、単回投与として、毎日または毎週投与することが可能である。本明細書に開示されるいずれの実施形態においても、SMEDDSは経口投与することが可能である。
【0041】
処置コースあたりの投与回数は異なることが可能である。いくつかの実施形態では、処置コースあたりの投与回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲であり得る。投与量は、すぐ前の投与の後、数日、数週間または数カ月、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、12カ月、1年、2年、3年、4年、5年またはそれ以上、もしくはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲で投与することが可能である。
【0042】
対象が受ける処置コースの数は異なることが可能である。いくつかの実施形態では、処置コースの数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲であることが可能である。処置コースは、すぐ前の処置コースの後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、12カ月またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲といった数日、数週間または数カ月間、施すことが可能である。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSMEDDSは、例えば、単回投与として、毎週または隔週もしくは3週間ごともしくは毎月、投与することが可能である。本開示のSMEDDSは、1日1回で1、2、3、4、5、6、7、8、9または10日以上投与することが可能である。例えば、5mgのCRV431を含むSMEDDSを毎日投与することが可能である。例えば、10mgのCRV431を含むSMEDDSを毎日投与することが可能である。例えば、15mgのCRV431を含むSMEDDSを毎日投与することが可能である。例えば、20mgのCRV431を含むSMEDDSを毎日投与することが可能である。例えば、25mgのCRV431を含むSMEDDSを毎日投与することが可能である。例えば、50mgのCRV431を含むSMEDDSを毎日投与することが可能である。例えば、100mgのCRV431を含むSMEDDSを毎日投与することが可能である。例えば、150mgのCRV431を含むSMEDDSを毎日投与することが可能である。例えば、200mgのCRV431を含むSMEDDSを毎日投与することが可能である。例えば、300mgのCRV431を含むSMEDDSを毎日投与することが可能である。例えば、350mgのCRV431を含むSMEDDSを毎日投与することが可能である。例えば、400mgのCRV431を含むSMEDDSを毎日投与することが可能である。例えば、450mgのCRV431を含むSMEDDSを毎日投与することが可能である。例えば、500mgのCRV431を含むSMEDDSを毎日投与することが可能である。例えば、750mgのCRV431を含むSMEDDSを毎日投与することが可能である。例えば、1000mgのCRV431を含むSMEDDSを毎日投与することが可能である。本開示のSMEDDSは、1日1回で1、2、3、4、5、6、7日以上投与することが可能である。本開示のSMEDDSは、1日1回で1、2、3、4、5、6、7、8、9または10週間以上投与することが可能である。例えば、5mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、10mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、15mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、20mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、25mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、50mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、100mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、150mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、200mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、300mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、350mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、400mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、450mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、500mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、750mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、1000mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、1250mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、1500mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、1750mgのCRV431を含むSMEDDSを毎週投与することが可能である。例えば、2000mgのCRV431を含むSMEDDSは毎週投与することが可能である。
【0044】
いくつかの実施形態では、投薬量が与えられた後、時間経過に伴う対象の血液中のCRV431の濃度をプロットしたグラフの曲線下面積(AUC)は、約5000ng.時間/ml~約150000ng.時間/mlである。時間経過に伴う対象の血液中のCRV431の濃度をプロットしたグラフのAUCは、5000ng.時間/ml、10000ng.時間/ml、11000ng.時間/ml、12000ng.時間/ml、13000ng.時間/ml、14000ng.時間/ml、15000ng.時間/ml、16000ng.時間/ml、17000ng.時間/ml、18000ng.時間/ml、19000ng.時間/ml、20000ng.時間/ml、30000ng.時間/ml、40000ng.時間/ml、50000ng.時間/ml、60000ng.時間/ml、70000ng.時間/ml、80000ng.時間/ml、90000ng.時間/ml、100000ng.時間/ml、110000ng.時間/ml、120000ng.時間/ml、130000ng.時間/ml、140000ng.時間/ml、150000ng.時間/ml、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲である可能性がある。
【0045】
いくつかの実施形態では、単回投与(例えば、1mg/kgまたは3mg/kgで、もしくは1mg/kgおよび3mg/kgの間の数値または範囲でのCRV431の単回投与を含む、本明細書に開示される単回投与)した後の対象の血液中のCRV431の最大濃度(Cmax)は、約1500ng/ml~約2500ng/mlである。例えば、このCmaxは、1500ng/ml、1550ng/ml、1600ng/ml、1650ng/ml、1700ng/ml、1750ng/ml、1800ng/ml、1850ng/ml、1900ng/ml、1950ng/ml、2000ng/ml、2050ng/ml、2100ng/ml、2150ng/ml、2200ng/ml、2250ng/ml、2300ng/ml、2350ng/ml、2400ng/ml、2450ng/ml、2500ng/ml、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲である可能性がある。いくつかの実施形態では、対象の血液中のCRV431のCmaxは、本開示のSMEDDSの複数回投与後に測定される。例えば、複数回投与後のCmaxは、1500ng/ml、1550ng/ml、1600ng/ml、1650ng/ml、1700ng/ml、1750ng/ml、1800ng/ml、1850ng/ml、1900ng/ml、1950ng/ml、2000ng/ml、2050ng/ml、2100ng/ml、2150ng/ml、2200ng/ml、2250ng/ml、2300ng/ml、2350ng/ml、2400ng/ml、2450ng/ml、2500ng/ml、3000ng/ml、3500ng/ml、4000ng/ml、4500ng/ml、5000ng/ml、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲である可能性がある。
【0046】
いくつかの実施形態では、対象の血液ある投与量が加えられ後、CRV431が最大濃度に達するまでの時間(Tmax)は、約0.5時間~約8時間である。Tmaxは、0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲である可能性がある。
いくつかの実施形態では、対象の血液中のCRV431の排出半減期(T1/2)は、約10時間~約200時間である。このT1/2は、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、110時間、120時間、130時間、140時間、150時間、160時間、170時間、180時間、190時間、200時間、これらの値のおおよその値、少なくともこれらの値もしくは最大でこれらの値またはこれらの値の任意の2つの間の数値または範囲である可能性がある。
いくつかの実施形態では、対象の血液中のCRV431の濃度に対する対象の肝臓中のCRV431の濃度は、約1~約20である。
【実施例
【0047】
本開示は、以下の実施例によってさらに説明されるが、これら実施例が、範囲または意図で、本明細書に記載の特定の手順に本開示を限定するものと解釈されるものではない。実施例は特定の実施形態を説明するために提供されており、それによって本開示の範囲の限定を意図するものではないことを理解されたい。本開示の意図および/または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者にそれら自体を示唆しうる他の様々な実施形態、変更およびその等価物に頼らなければならないかもしれないことをさらに理解されたい。
【0048】
(実施例1)
自己マイクロ乳化型薬物送達システムの開発
薬物および試薬
CRV431は、CsAを修飾することで純度97.3%までに合成して5℃で保存した。CsAは、IVAX(Opava、Czech Republic)から入手した。Lauroglycol(商標)90、Labrasol(登録商標)、Labrafil(登録商標)M2125、Labrafil(登録商標)1944、Peceol(商標)、Labrafac(商標)WL1349、Capryol(商標)90、Maisine(登録商標)CCおよびTranscutol(登録商標)は、Gattefosse(Montreal、Canada)から購入した。プロピレングリコール、ろ過水、アセトニトリル、メタノール、シンチレーションバイアルおよび12×75mlのホウケイ酸塩の試験管は、Fischer Scientific(Pittsburgh、USA)から購入した。無水エタノールは、Commercial Alcohols(Toronto、Canada)から購入した。ビタミンE、Tween(登録商標)80、Tween(登録商標)40、Tween(登録商標)20、ヒマシ油、ジメチルスルホキシド、Cremophor(登録商標)ELおよびCremophor(登録商標)RH40は、Sigma-Aldrich)(St. Louis、USA)から購入した。Span(登録商標)80は、EMD Millipore Corporation(Burlington、USA)から購入した。ポリエチレングリコール400(PEG400)は、BDH Incorporated(Mississauga、Canada)から購入した。
【0049】
物理化学的性質
CRV431およびCsAの水溶解度を確定するために、ジメチルスルホキシド(DMSO)中20mMの薬物ストックを30倍に希釈して、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)666μMを最終濃度とし、シェーカーに入れて一晩置き、3,300rpmで5分間遠心分離して、不溶性薬物をペレット化した。上澄みを収集し、メタノールで1:1に希釈し、薬物濃度をHPLC(Agilent、1100シリーズ、紫外線検出)で測定し、標準曲線と比べた。極性表面積と分配係数の対数値(LogP)は、Molinspiration Cheminformatics(V2018.10、USA)を使用して計算した。血漿タンパクの結合は、平衡透析アッセイによって確定した。薬物血漿サンプルは、2.5mMのDMSO-薬物ストックの500倍希釈物で、ヒト血漿中の最終濃度が5μMになるように調製した。血漿溶液(300μl)およびPBS、pH7.4(500μl)を、Rapid Equilibrium Dialysisユニット(Thermo Scientific、8K MWCO)の隣り合うチャンバーに加えた。プレートをプラスチックフィルムで密封し、オービタルシェーカーによって225rpm、37℃で4.5時間振とうした。血漿およびPBSサンプルを収集し、薬物を硫酸亜鉛/メタノール沈殿法で抽出した。3,300rpmで10分間遠心分離した後、メタノール上清中の可溶性薬物を液体クロマトグラフィー(LC)エレクトロスプレー-イオン化(ESI)質量分析(LC-ESI-MS)(Agilent、1100シリーズ、Santa Clara、USA)で分析し、標準曲線に比較して定量した。
【0050】
賦形剤の溶解度
CRV431の溶解度を、水分散液およびソフトジェルカプセルでの使用に適したSMEDDS製剤の調製のために、界面活性剤、オイルおよび共溶媒のグループで測定した。CRV431(50mg)を75×125mmのガラス試験管の底に添加し、賦形剤で1mlの印にまで持ってきた。サンプルをロッカーに入れて一晩混合した後、溶解度を視覚的に評価した。溶解度が得られなかった場合、賦形剤を0.5ml刻みで添加し、透明な溶液に到達するまで、続けて一晩混合した。視覚的な評価は、賦形剤間のCsAに対する溶解度を区別するために使用した。
【0051】
疑似三成分相図の構築
疑似三成分相図の構築には、Cremophor(登録商標)RH40(界面活性剤)、Maisine(登録商標)CC(オイル)および共溶媒(ビタミンE、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)およびエタノール)が異なる組成を含む混合物を評価して、様々な賦形剤比について、マイクロエマルション形成(透明に見える)と非マイクロエマルション形成(曇って見える)している相の境界を査定した。
【0052】
CRV431SMEDDS開発
CRV431(50~100mg)を75×125mmのガラス試験管の底に添加した。賦形剤(例、ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)、エタノールおよびCremophor(登録商標)RH40)は、CRV431に添加する前に別々に混ぜ合わせて十分に混合し、1mlの印にまで持ってきた。数シリーズのSMEDDS製剤を調製し、薬物の溶解度、安定性(LC-ESI-MSによる)および水性媒体中でのマイクロエマルションの形成と安定性(目視検査)について査定した。
【0053】
SMEDDS製剤中のCRV431のLC-ESI-MS定量
すべてのSMEDDS製剤分析では、10μlを取り出し、シンチレーションバイアル中の10mlのメタノールに加えた。サンプルを10秒間ボルテックスして混合し、この溶液1mlを別のシンチレーションバイアル中の9mlのメタノールに加えた(合計10,000倍希釈)。メタノール中5μg/mlのCRV431標準液も調製した。サンプル(1ml)を注入バイアルに移し、Agilent HP 1100 LC-MSによる液体クロマトグラフィー-エレクトロスプレー-イオン化質量分析(LC-ESI-MS)で分析した。サンプルを5℃に維持されたオートサンプラーに入れた。サンプルおよびCRV431標準液を、0.02%氷酢酸および20μM酢酸ナトリウムを含むアセトニトリル-水勾配系を使用して75℃に維持されたZorbax SB-C18逆相HPLCカラム(1.8μm Rapid Resolution HT Cartridge、4.6×30mm)に注入した(1μl)(表1)。
【表1】
【0054】
CRV431(1326m/z)のナトリウム付加物を、陽イオンモードでエレクトロスプレーイオン化(ESI)を使用した質量分析(MS)によって分析した。ESI-MSは、350℃に温度設定された窒素ガスおよび乾燥ガスにより12L/分で行った。フラグメンターとキャピラリーの電圧は、それぞれ260ボルトと4000ボルトに設定した。噴霧器の圧力は、40psigに設定した。CRV431の溶出時間は、通常6.0分の時点で観察された。製剤の濃度は、1点の標準(5μg/ml)と比較したピーク面積によって計算した。
【0055】
分散研究
選択培地(水、0.1N HCLまたはリン酸緩衝液(pH6.8))およそ5mLをバイアルに入れて、1/1/5/5/2.4/4(ビタミンE/Maisine(登録商標)CC/プロピレングリコール/Transcutol(登録商標)/エタノール/Cremophor(登録商標)RH40(w/w/w/w/w/w))のSMEDDSを4滴(約40mg)を加えた。混合物を最初と反転した後、および1/1/5/5/2.4/4(ビタミンE/Maisine(登録商標)CC/プロピレングリコール/Transcutol(登録商標)/エタノール/Cremophor(登録商標)RH40(w/w/w/w/w/w))のSMEDDSを加えた1時間後に観察した。同様の手順を1/1.5/2.5/5/2.4/5SMEDDSについても行った。
【0056】
粒径
1/1/5/5/2.4/4および1/1.5/2.5/5/2.4/5(ビタミンE/Maisine(登録商標)CC/プロピレングリコール/Transcutol(登録商標)/Ethanol/Cremophor(登録商標)RH40(w/w/w/w/w/w))のSMEDDSの両方の平均粒径を、173°の角度で、動的光散乱(Zetasizer Nano、Malvern Instruments、Malvern、UK)により、25℃で測定した。各サンプルを3回重複して測定した。値は平均±標準偏差で表した。平均値はおよそ25nmであった。
【0057】
1/1.5/2.5/5/2.4/5(ビタミンE/Maisine(登録商標)CC/プロピレングリコール/Transcutol(登録商標)/エタノール/Cremophor(登録商標)RH40(w/w/w/w/w/w))CRV431のSMEDDSのヒトにおける薬物動態
CRV431のSMEDDSは、絶食させた6人の健康なボランティアに1または3mg/kg(75mgまたは225mg)投与量で単回経口で投与した。この研究は、治験薬の臨床研究施設(Celerion、Arizona、USA)で、臨床フェーズ1単回上昇用量(SAD)試験の一部として、すべてのFDA倫理ガイドラインに従って行った。患者は、フェーズ1のSAD試験の標準化された包含/除外基準に従って選択した。進行中の疾患(研究調査員が確定した)またはニコチンの使用(スクリーニングの30日前)または乱用薬物(過去2年以内)または処方薬の長期的使用(30日以内)または処方薬の緊急使用(14日以内)またはビタミンやハーブ/天然サプリメントを含む市販薬の全身投与(試験投与前7日以内)の証拠がない18~55歳の健康なボランティアが、この研究に登録された。SMEDDSを100mlのGibcoクリアボトルに分注し(およそ3ml)、15倍を超えるろ過水(HPLCグレード)を加えた。混合物が完全に分散されるまで1~2分間穏やかに混合物を回転させた。水に入れたSMEDDS一服を冷蔵庫に入れ、2時間以内に経口投与した。全血サンプル(0.5ml)を、0.5、1、2、4、6、8、12、24、48および72時間に静脈穿刺によってK2-EDTA採血管に採取した。サンプルは直ちに凍結し、LC-ESI-MSによって5日以内に分析した。簡潔には、全血サンプルを解凍し、硫酸亜鉛/メタノール沈殿法を使用して抽出を行った。定量分析は7点全血標準曲線と比較して妥当性を確認したLC-ESI-MS法によって行った。非コンパートメント解析を、市販のソフトウェア(WinNonlin Professional Edition、バージョン7.0、Pharsightソフトウェア)を使用して行い、薬物動態パラメーター(Cmax、AUC、t1/2およびTmax)を計算した。
【0058】
ラットにおけるCRV431のSMEDDSの薬物動態
シリーズ1の1/3/3/2/9(ビタミンE/Maisine(登録商標)CC/プロピレングリコール/エタノール/Cremophor(登録商標)RH40(w/w/w/w/w))CRV431のSMEDDS(50mg/ml)をSprague Dawleyラット(n=6)に30mg/kg/日で7日間強制的に経口投与した。7日目の投与後12時間に、動物を犠牲にし、全血と肝臓を摘出して凍結した。CRV431は、(ヒトの薬物動態研究に関しての)LC-ESI-MS使用して全血で定量した。肝臓中のCRV431を定量するために、肝臓組織のサンプル、1グラムを9mlの均質化溶液(水中1%ギ酸)に加え、TissueLyser(Qiagen)を使用して30Hzで10分間、均質化した。一定分量を取り、上記に記載のLC-ESI-MSで分析した。
【0059】
CRV431の物理化学的性質
表2に示すCRV431とCsAの物理化学的特性は、CRV431がCsAに比較してより高い水溶解度を有していることを示している。この高い水溶解度は、より高い無血漿画分とより高い極性表面積(PSA)に反映されている。両方の薬物のLоgP値は高い。理論に拘束されるつもりはないが、CsAもCRV431もどちらもドライタブレットとしての経口剤開発には適していない。
【表2】
【0060】
賦形剤の溶解度
CRV431の溶解度を、経口投薬形態の水分散液およびソフトゲルカプセルで好適に使用するためのSMEDDS製剤の商業的調製に利用される界面活性剤、オイルおよび共溶媒のグループで測定した。
SMEDDS開発のための賦形剤の選択
CRV431のCremophor(登録商標)RH40への溶解度に基づいて、Cremophor(登録商標)RH40を界面活性剤として選択した。油相では、CRV431がビタミンEへの溶解度が最も高く、Maisine(登録商標)CCがそれに続くことがわかった。一方、共溶媒については、CRV431の溶解度はエタノールで最も高く、続いてTranscutol(登録商標)とプロピレングリコールであった。したがって、上記のすべての賦形剤を、製剤のプロトタイプ予備開発のために選択した。
【0061】
【表3】
【0062】
テストした界面活性剤(表3に示す)中のCRV431の溶解度は、10~30mg/mlの範囲であったが、CsAは少なくとも50mg/mlであり、ほとんどの場合100mg/mlより低かった。CRV431の親油性が高いとすると、溶解度が比較的低いことは驚くべき発見であった。CRV431の溶解度は、Cremophor(登録商標)RH40、Lauroglycol(商標)90およびCapryol(商標)90で最も高かった。テストしたオイル中のCRV431の溶解度は、ビタミンE(25mg/ml)の場合は例外として、CsA(100mg/mlより大)よりも低かった(通常は10mg/ml)。様々な共溶媒へのCRV431の溶解度は、テストした界面活性剤やオイルよりも高い(10~50mg/ml)ことがわかったが、CsAの溶解度も一般的に高かった。
【0063】
CRV431SMEDDSの開発
予備製剤研究では、薬物の非存在下で、SMEDDSの混和性とマイクロエマルション形成に対する様々な賦形剤比の影響を評価した。研究結果(表4)は、Cremophor(登録商標)RH40/Maisineの配合比率が3未満の場合、水に分散してもマイクロエマルションが形成されないことを示している。マイクロエマルションの形成は目視検査によって評価され、開発の継続を考えるには透明に見える必要がある。Cremophor(登録商標)RH40/Maisine比が3未満である水分散液はすべて曇った。データはマイクロエマルション形成のための相境界が明確に示されている疑似三成分相図で図式化されている(図2)。
【0064】
【表4】
【0065】
CRV431のSMEDDS製剤の開発と安定性:シリーズ1および2
シリーズ1
予備的なSMEDDSマイクロエマルション研究に基づいて、プロトタイプのSMEDDS製剤(表5、製剤#1)を調製し、CRV431の溶解度と安定性を評価した。目的は、CRV431を少なくとも50mg/mlに溶解し、水性媒体中で透明なマイクロエマルションを形成し、混和性で安定なSMEDDS製剤を製造することであった。製剤#1は最初にCRV431を50mg/mlまで溶解し、透明なマイクロエマルションを生成したが、その後の保管時に、CRV431結晶が形成されてガラス容器に付着していることが数日内に明らかになり、LCMSによって定量されたCRV431の喪失と一致した(図3)。製剤#1は、図2の相図の左上の円内にある。
【0066】
【表5】
【0067】
さらに溶解度を促進し、結晶形成を減少させるために、Transcutol(登録商標)共溶媒の割合を増加させたSMEDDSがさらに開発された(シリーズ1、表5)。シリーズ1のすべての製剤は、水に分散してマイクロエマルションを生成できた(図2の相図の中央の円内に表示)。しかし、安定性の結果(図3)では、シリーズ1のすべてのSMEDDSが不安定であり、室温で保存すると著しいCRV431結晶が形成されることが示されている。
【0068】
シリーズ2のSMEDDS
シリーズ2のすべてのSMEDDSは、透明なSMEDDS溶液を形成した(表6)。これらの製剤は、疑似三成分相図のマイクロエマルション相内にあることが示されている(図2の右下の円)。
【表6】
【0069】
CRV431のSMEDDS
CRV431の溶解度をさらに高めるために、エタノール含有量を増やした。表7および8は、エタノールの質量比を2.4に増やすと、CRV431の薬物負荷を少なくとも90mg/mlに増やすことが可能で、負荷が安定とみなされることを示している。100mg/mlのサンプルを調製したが、CRV431を完全に溶解できなかったため、以降のテストから除外した。室温で54日間保存した後に測定すると、すべてのサンプル調製物は安定化していた。ビタミンE/Maisine(登録商標)CC/プロピレングリコール/Transcutol(登録商標)/エタノール/Cremophor(登録商標)RH40を、質量比で1/1/5/5/2.4/4と1/1.5/2.5/5/2.4/5で含むCRV431のSMEDDS製剤は、よって、溶解度と安定性が高いCRV431SMEDDSとみなされる。
【0070】
【表7】
【表8】
【0071】
図2に示すように、左上の丸で囲まれた領域内のSMEDDSは、界面活性剤を高配合するプロトタイプ製剤を表している。中央の丸で囲まれた領域内のSMEDDSは、共溶媒を高配合するシリーズ1の製剤を表している。右下の領域内のSMEDDSは、界面活性剤が低配合で共溶媒を高配合するシリーズ2の製剤を表している。表6に示すように、すべての製剤は、特に明記されている場合を除き、CRV431を50mg/mlで含んでいた。SMEDDS製剤の一定分量を指定された時間に取り出し、LCMSで分析した。シリーズ2からのすべてのSMEDDSは、元のシリーズ1のSMEDDSプロトタイプ(1/3/3/9/2)と比較して安定性が高まっていることがわかった(図4)。シリーズ2のSMEDDSは、室温で77日間保存した後、観察できる薬物の損失は有していない。
【0072】
CRV431のSMEDDS製剤(1/1/5/5/2.4/4および1/1.5/2.5/5/2.4/5(ビタミンE/Maisine(登録商標)CC/プロピレングリコール/Transcutol(登録商標)/エタノール)/Cremophor(登録商標)RH40(w/w/w/w/w/w))の特性評価
CRV431SMEDDSのマイクロエマルション形成と安定性
CRV431のSMEDDS(1/1/5/5/2.4/4および1/1.5/2.5/5/2.4/5(ビタミンE/Maisine(登録商標)CC/プロピレングリコール/Transcutol(登録商標)/エタノール/Cremophor(登録商標)RH40(w/w/w/w/w/w))を水性媒体に分散させると、1分未満の静かな回転および/または反転で、目視による透明な溶液を形成する。水、0.1N HClおよびリン酸緩衝液のマイクロエマルション溶液は、37℃で1時間まで透明なままであった(表9)。
【0073】
【表9】
【0074】
粒径
水に分散した時の1/1.5/2.5/5/2.4/5であるCRV431のSMEDDS製剤の平均粒子径は、24.6±5.7nm(平均±標準偏差)と測定された(図5)。このサイズは、Neoral(登録商標)水分散液の報告されている粒径と一致する。さらに、1/1/5/5/2.4/4SMEDDS製剤は、ほぼ同じ粒径を有する(図6)。
【0075】
CRV431のSMEDDSの薬物動態
ヒトにおける1/1.5/2.5/5/2.4/5であるCRV431のSMEDDSの薬物動態は、曝露量と概算用量とが優れた比例性を示すことを実証した(図7A~7Cおよび表10)。患者(n=6)にCRV431を単回投与し、指示された時点において、一定分量の全血を、LC-ESI-MSで分析した。エラーバーは、平均±標準偏差を表す(図7A:等分目盛、図7B:75mg用量に対する対数目盛、図7C:225mg用量に対する対数目盛)。健康なヒト対象(23)で報告されたシクロスポリンA(2.5mg/kg)曝露量に対して、CRV431のCmaxはNeoral(登録商標)よりわずかに大きく、全体的な曝露量(AUC)はNeoral(登録商標)のおよそ14倍大きかった。
【表10】
【0076】
別途行ったラットの研究で、血液に対する肝臓に分布するCRV431のレベルを測定した(図8を参照)。この研究では、Sprague Dawleyラット(n=6)に30mg/kgで、1/3/3/2/9(ビタミンE/Maisine(登録商標)CC/プロピレングリコール/エタノール/Cremophor(登録商標)RH40(w/w/w/w/w))CRV431のSMEDDS(50mg/ml)を7日間、強制的に経口投与し、一定分量の全血と肝臓ホモジネートを最終投与の12時間後にLC-ESI-MSで分析した。肝臓に分布するCRV431のレベル(10μg/g組織)が、全血画分におけるレベルよりも6.5倍高いことがわかった。エラーバーは平均±標準偏差を表す。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕CRV431:
【化1】
(CRV431)
または薬学的に許容されるその塩を含む自己マイクロ乳化型薬物送達システム(SMEDDS)。
〔2〕Cremophor(登録商標)RH40を含む、前記〔1〕に記載の自己マイクロ乳化型薬物送達システム。
〔3〕エタノールを含む、前記〔1〕または〔2〕に記載の自己マイクロ乳化型薬物送達システム。
〔4〕Transcutol(登録商標)を含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の自己マイクロ乳化型薬物送達システム。
〔5〕プロピレングリコールを含む、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の自己マイクロ乳化型薬物送達システム。
〔6〕Maisine(登録商標)CCを含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の自己マイクロ乳化型薬物送達システム。
〔7〕ビタミンEを含む、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の自己マイクロ乳化型薬物送達システム。
〔8〕ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)、エタノールおよびCremophor(登録商標)RH40を、1/1/5/5/2.4/4または1/1.5/2.5/5/2.4/5の質量比で含む、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の自己マイクロ乳化型薬物送達システム。
〔9〕CRV431を約10mg/mL~約90mg/mLの濃度で含む、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の自己マイクロ乳化型薬物送達システム。
〔10〕CRV431を約90mg/mLの濃度で含む、前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の自己マイクロ乳化型薬物送達システム。
〔11〕(a)約10mg/mL~約90mg/mLの濃度のCRV431:
【化2】
(CRV431)
(b)ビタミンE、
(c)Maisine(登録商標)CC、
(d)プロピレングリコール、
(e)Transcutol(登録商標)、
(f)エタノール、および
(g)Cremophor(登録商標)RH40を含み、ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)、エタノールおよびCremophor(登録商標)RH40が、質量比でそれぞれ約(0.75~1.5)/(0.5~2)/(2~5)/(2~5)/(2~2.4)/(4~8)である、医薬組成物。
〔12〕それを必要とする対象において疾患を処置する方法であって、前記〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載の治療有効量の自己マイクロ乳化型薬物送達システム(SMEDDS)または前記〔11〕に記載の治療有効量の医薬組成物を前記対象に投与することを含む方法。
〔13〕それを必要とする対象において疾患を予防する方法であって、前記〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載の治療有効量の自己マイクロ乳化型薬物送達システム(SMEDDS)または前記〔11〕に記載の治療有効量の医薬組成物を前記対象に投与することを含む方法。
〔14〕対象における疾患の処置または予防のための、前記〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載の自己マイクロ乳化型薬物送達システム(SMEDDS)または前記〔11〕に記載の医薬組成物。
〔15〕対象における疾患の処置または予防のための医薬の製造における、前記〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載の治療有効量の自己マイクロ乳化型薬物送達システム(SMEDDS)または前記〔11〕に記載の医薬組成物の使用。
〔16〕前記疾患が重度の肝疾患である、前記〔12〕~〔13〕のいずれか1項に記載の方法、前記〔14〕に記載のSMEDDSまたは医薬組成物もしくは前記〔15〕に記載の使用。
〔17〕前記疾患がB型肝炎(HBV)、肝線維症または肝細胞癌である、前記〔12〕~〔13〕のいずれか1項に記載の方法、前記〔14〕に記載のSMEDDSまたは医薬組成物もしくは前記〔15〕に記載の使用。
〔18〕前記疾患がB型肝炎(HBV)である、前記〔12〕~〔13〕のいずれか1項に記載の方法、前記〔14〕に記載のSMEDDSまたは医薬組成物もしくは前記〔15〕に記載の使用。
〔19〕前記疾患が肝線維症である、前記〔12〕~〔13〕のいずれか1項に記載の方法、前記〔14〕に記載のSMEDDSまたは医薬組成物もしくは前記〔15〕に記載の使用。
〔20〕前記疾患が肝細胞癌である、前記〔12〕~〔13〕のいずれか1項に記載の方法、前記〔14〕に記載のSMEDDSまたは医薬組成物もしくは前記〔15〕に記載の使用。
〔21〕時間経過に伴う前記対象の血液中のCRV431の濃度をプロットしたグラフの曲線下面積(AUC)が約5000ng.時間/ml~約150000ng.時間/mlである、前記〔12〕~〔20〕のいずれか1項に記載の方法、SMEDDS、医薬組成物または使用。
〔22〕前記対象の血液中のCRV431の最大濃度(C max )が約1500ng/ml~約2500ng/mlである、前記〔12〕~〔21〕のいずれか1項に記載の方法、SMEDDS、医薬組成物または使用。
〔23〕前記対象の血液中のCRV431が最大濃度に到達する時間(T max )が約0.5時間~約8時間である、前記〔12〕~〔22〕のいずれか1項に記載の方法、SMEDDS、医薬組成物または使用。
〔24〕前記対象の血液中のCRV431の排出半減期(T 1/2 )が約10時間~約200時間である、前記〔12〕~〔23〕のいずれか1項に記載の方法、SMEDDS、医薬組成物または使用。
〔25〕前記対象の血液中のCRV431の濃度に対する前記対象の肝臓中のCRV431の濃度が約1~約20である、前記〔12〕~〔24〕のいずれか1項に記載の方法、SMEDDS、医薬組成物または使用。
〔26〕SMEDDSの治療有効量が約0.5mg/kg~約5mg/kgである、前記〔12〕~〔25〕のいずれか1項に記載の方法、SMEDDS、医薬組成物または使用。
〔27〕それによって前記対象の疾患の症状が緩和されおよび/または前記対象の疾患の重症度が低下する、前記〔12〕~〔26〕のいずれか1項に記載の方法、SMEDDS、医薬組成物または使用。
〔28〕それによって前記対象の肝臓の機能が改善される、前記〔12〕~〔27〕のいずれか1項に記載の方法、SMEDDS、医薬組成物または使用。
〔29〕それによって疾患を引き起こすウイルスの負荷が減少する、前記〔12〕~〔28〕のいずれか1項に記載の方法、SMEDDS、医薬組成物または使用。
〔30〕前記医薬組成物またはSMEDDSが室温で安定である、前記〔1〕から〔29〕のいずれか1項に記載のSMEDDS、医薬組成物、方法または使用。
〔31〕前記医薬組成物またはSMEDDSが、少なくとも約25日~少なくとも約200日間は安定である、前記〔1〕から〔30〕のいずれか1項に記載のSMEDDS、医薬組成物、方法または使用。
〔32〕水溶液中に分散された前記医薬組成物またはSMEDDSによって形成される粒子の直径が約15nm~約40nmである、前記〔1〕から〔31〕のいずれか1項に記載のSMEDDS、医薬組成物、方法または使用。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8