(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】ビームステアリングのためのエネルギー効率の良い単純化されたアナログフェーズドアレイトランスデューサ
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20240516BHJP
A61B 8/08 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
A61B8/00
A61B8/08
(21)【出願番号】P 2021552565
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(86)【国際出願番号】 NL2020050145
(87)【国際公開番号】W WO2020180184
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-02-16
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】519455575
【氏名又は名称】ノヴィオスキャン ベスローテン ベンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルバーツ,バスティアヌス テオドルス ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ウォルトジャー,ルノー
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/030282(WO,A1)
【文献】特表2017-535378(JP,A)
【文献】国際公開第2019/030045(WO,A1)
【文献】特開2016-043274(JP,A)
【文献】特開昭58-050945(JP,A)
【文献】特開2005-152630(JP,A)
【文献】特表2010-514524(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03384851(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波ビームステアリングのためのフェーズドアレイトランスデューサを使用して、ユーザの膀胱の変化を通知する、または、ユーザの膀胱の体積を決定する、無線式の、着用可能な超音波装置であって、
20kHz~50MHzの周波数で動作するn*m個のトランスデューサ素子のアレイと、
少なくとも1つの高電圧パルス源を備える前記アレイのビームステアリングのための送信制御電子機器であって、源が前記少なくとも1つのパルス源のタイミングのために、低電圧タイミング回路に連結されている、送信制御電子機器と、
受信超音波を処理するときのエネルギー消費を制限するために単純化された受信制御電子機器であって、前記n*m個のトランスデューサ素子の
うち、20%未満の
素子のみが受信電子機器に接続されまたは接続可能である、受信制御電子機器と、
前記アレイと電気的に接続される電源または前記アレイに電力を供給する電気的接続と、
を備える超音波装置。
【請求項2】
前記装置が、整流増幅器およびアナログ加算器を含み、少なくとも1つの、好ましくはすべての超音波受信トランスデューサ素子が、前記整流増幅器に接続され超音波エネルギーを決定するように適合されており、前記整流増幅器が、前記整流増幅器の出力を加算する前記アナログ加算器に接続されており、好ましくは、前記整流増幅器が、ダイオード、二次増幅器、負の振幅を正の振幅に変換し正の振幅を維持する変換器、対数増幅器、およびそれらの変形、ならびにそれらの組合せから成る回路の群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記受信制御電子機器が、少なくとも2つの超音波受信トランスデューサ素子について、受信におけるビームステアリングを最適化するように適合される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記アナログ加算器が、受信信号の正相の振幅と負相の振幅とを加算するように適合される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
トランスデューサ素子ごとに1つの高電圧パルス送信源を備え、源が好ましくは同一である、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記トランスデューサ素子に電圧を印加する電圧コントローラを備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
k個の非接続トランスデューサ素子が、接続されたトランスデューサ素子の間にあるように、接続されまたは接続可能な受信トランスデューサ素子が選択され、kは1~7から選択され、好ましくはkは2~6であり、より好ましくはkは3~5であり、例えばkは3である、請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
n∈[1-10]およびm∈[2-1024]であり、好ましくはn∈[1-3]およびm∈[4-128]であり、より好ましくはn∈[1-3]およびm∈[8-48]であり、さらにより好ましくはn∈[1,2]およびm∈[16-36]であり、例えばn∈[1]およびm∈[24-32]であり、ならびに/または、
トランスデューサ素子が、CMUTおよびPMUTなどのMEMS、セラミックおよび結晶材料などのバルク圧電材料、圧電複合体、活性圧電材料、強誘電セラミック、およびそれらの組合せを含む、
請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
長さにわたってm個のトランスデューサ素子の少なくとも1つの系列を含み、m個すべてのトランスデューサ素子の一方の側の電極のそれぞれが、それぞれのトランスデューサ電子機器に電気的に接続され、他方の側の(対向)電極が、i)すべて一緒に接続されるか、またはii)前記他方の側の電極が2つの半体に分割され、前記電極長さの半分が第1の電極コネクタに接続され、前記他方の電極長さが第2の電極コネクタに接続されるか、またはiii)前記電極長さのp≧3のp番目の小部分がp番目の電極コネクタに接続され、pは好ましくは∈[3-5]であり、前記長いトランスデューサ素子に垂直であるか、またはiv)それらの組合せ、である、請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記トランスデューサ素子が、別々に、順次に、位相シフトモードで、並列モードで、空間走査モードで、強度モードで、パルスモードで、高調波モードで、それらの変形で、およびそれらの組合せで、動作することができ、ならびに/または、
送信および受信電子機器の両方が前記トランスデューサ素子に直接結合され、好ましくは、前記送信機の出力抵抗が高く、例えば>1MΩである、
請求項1から9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
使用中、ユーザの体に前記フェーズドアレイトランスデューサを位置合わせするための少なくとも1つのトランスデューサダイレクタを備え、および/または、
前記装置をある位置に維持するポジショナ、好ましくはユーザの身体の姿勢を決定する少なくとも1つのセンサと、前記装置を前記身体の皮膚に接触させる接触手段と、エネルギー回収装置と、アナログアレイ信号をデジタル化出力信号に変換するADCとを備え、前記装置が略平坦であり、好ましくは、1つの一体型パッケージからなる、
請求項1から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
運動センサ、加速度計、ジャイロスコープ、および磁気センサのうちの少なくとも1つを備える、請求項1から11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置の電子機器が、IC、圧電素子、プリント回路基板(PCB)、およびそれらの組合せのうちの1つまたは複数である、請求項1から12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記トランスデューサが、MEMS(CMUTまたはPMUT)、圧電素子(セラミックまたは結晶)、およびそれらの組合せのうちの1つまたは複数である、請求項1から13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
膀胱などの腔内の液体体積を決定または監視するための請求項1から14のいずれか1項に記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膀胱などの体組織、体血管または体腔における変化を通知するための小型無線超音波装置用などの、超音波ビームステアリングのためのエネルギー効率の良い単純化されたアナログフェーズドアレイトランスデューサの分野にあり、トランスデューサアレイと、腔内の液体体積を決定または監視するための装置の使用と、装置を動作させる方法とを含む。
【背景技術】
【0002】
超音波は、人間の聴力範囲の上限よりも大きい周波数(したがって超音波)を有する振動音圧波である。超音波装置は、20kHzから数ギガヘルツまでの周波数で動作することができる。超音波の波長は、典型的には、超音波トランスデューサの動作周波数で超音波が伝わる媒質内の超音波の波長を指す。物理学は、媒質内の波長が、動作周波数を媒質内の音速(ヒト組織では約1500m/s)で割ったものであることを示している。超音波は、多くの異なる分野で使用され得る。超音波装置は、物体を検出し、距離を測定するために使用される。超音波撮像(超音波検査)は、獣医学および人間医学の両方で使用されている。製品および構造の非破壊検査では、目に見えない欠陥を検出するために超音波が使用される。工業的には、超音波は、洗浄および混合のため、および化学プロセスを加速するために使用される。超音波は、医療撮像、検出、測定および洗浄に使用することができる。より高いパワーレベルでは、超音波は、物質の化学的特性を変化させるのに有用であり得る。
【0003】
トランスデューサ設計、送信および受信回路設計、ならびにビームフォーミングアルゴリズムなど、サイズ、コスト、および品質に関して超音波システムを改善するためのアプローチが存在する。現在、超音波システムのサイズおよびパワーのかなりの割合が、超音波ビームの指向および/または集束に関与するビームフォーマに費やされている。64~128個の送信/受信チャネルを備えることができる標準的なビームフォーマは、サイズおよびパワーなどの設計制約が緩和される場合、実装するのが簡単であり得る。しかしながら、超音波システムがよりポータブルになるにつれて、特に画質があまり重要ではない用途のために、標準的なカートベースのシステムよりも消費電力が低いビームフォーマアーキテクチャが必要とされるように思われる。
【0004】
超音波の一応用は、膀胱監視に関する。高齢者、排尿機能障害や夜尿症の子供、出産後の女性、神経因性膀胱の患者、認知症者などの多くの人々は、膀胱の機能を制御すること、および排尿に間に合うようにトイレに入ることが困難である。この(部分的な)失禁は非常に不都合であり、心理的問題および身体的問題(例えば感染症、局所的な皮膚の問題)につながる可能性がある。この失禁の解決策は、例えばおむつおよび夜尿アラームの適用に関する。しかしながら、これは、実際の解決策を提供することなく、失禁の結果を事実上制限するにすぎず、依然として悪臭および濡れたパンツ/ドレスを防止することができない。このような解決策はまた、おむつおよびケアの時間に関してかなりの金額を要し、使用後のおむつによる汚染が著しい。
【0005】
膀胱監視などの一部の超音波用途では、専用の装置が使用されることが多い。これらの専用装置は、1つまたは複数の欠点、とりわけ、トランスデューサとモニタとの間の配線、装置の手持ち式使用の必要性に悩まされる可能性がある。したがって、長期監視には適していない。いくつかの従来技術の装置は、訓練された専門家がトランスデューサを扱い、見られるものを評価することを必要とすることさえある。典型的には、これらは、病院などの医療現場での断続的な検査に使用される。このような技術では、膀胱の充満を継続的に追跡し、膀胱が充満したときにユーザまたはその介護者に警報することは不可能である。これは、子供、神経因性膀胱機能障害を有する成人、一時的または永続的な脊椎の問題を有する人、介護施設の患者の尿失禁(UI)(低活動または過活動膀胱、排尿機能不全、夜尿症)を含むがこれに限定されない多くの(健康)問題に関連する。また、(例えば周術期および術後、産後の)尿閉(UR)の予防にも関連する。
【0006】
超音波装置は、典型的には手持ち式であり、断続的な使用のために構築されており、大型であるか、または少なくとも着用可能であるには大きすぎ、(半)永続的に身体に固定することはできず、通常の生活の間、座位、立位、または臥位の間に患者が使用することはできず、電力および信号伝送のためのケーブル配線を必要とする可能性があり、使用において実用的ではない。
【0007】
原則として、超音波を使用して、人体内に存在するなどの流体の量を監視および決定することができる。これは、典型的には、手持ち式であるが着用可能ではない従来技術の装置でのみ可能である。その意味の1つは、現在の超音波装置が断続的に使用され、患者は監視処置中に動くことができず、したがって非常に明確な状況を必要とすることである。このようなことは、座位、立位および臥位のシーケンスなど、ほとんどの他の実際に発生する状況において少なくとも問題となる。
【0008】
その例では、特許文献1は、音響エネルギーを使用して身体の整形外科的特徴に関する情報を取得および提供するためのシステムを記載している。電子機器は、背景技術と考えられ、エネルギー効率的ではなく、単純化されてもいないと考えられる。特許文献2は、複数の圧電トランスデューサ素子を有する少なくとも1つの圧電トランスデューサアレイを含むシステムを記載している。アレイは、典型的には傾斜しており、血管測定を目的としている。特許文献3は、着用型膀胱監視装置を備える膀胱監視システムを記載している。特許文献4は、人体または動物の体の変化を通知するための着用型超音波装置、および長期間にわたって通知するためのそのような着用型装置の使用を記載している。一例では、変化は膀胱で起こる。文献は、音響パルス源の性質およびそのタイミングについてはほとんど言及していない。これらの文献のいずれも、電子機器のエネルギー消費を制限するための大幅な単純化または対策について言及していない。
【0009】
体内などの腔内の液体体積を決定または監視するために超音波を使用する特定の装置の場合、超音波は、装置の向きに対してある角度で提供される必要があり得る。特に、成熟した人々に関しては、恥骨などの骨盤帯の骨が超音波を妨げる可能性がある。その場合、装置は、通常、恥骨の上に配置される必要があり、ある角度の下で超音波を送受信する必要がある。
【0010】
一般に、長期間の使用のために、装置、特に膀胱モニタなどの小型着用型装置は、典型的には電源が装置に「搭載」され、再充電をできるだけ少なくする必要があるため、最小限の量のエネルギーを使用する必要がある。従来技術の超音波技術の電子回路は、典型的には、例えば高品質の撮像のための動的な焦点合わせを伴う高度な電子機器およびソフトウェアを使用して、可能な限り多くの詳細な情報を得ることを目的としている。しかしながら、このような装置のエネルギー消費は比較的大きく、このような装置が配電網に有線接続されている場合にはあまり問題ではないが、独立型装置にとっては動作時間の観点から問題である。
【0011】
したがって、本質的な機能および利点を損なうことなく、上記の欠点のうちの1つまたは複数を克服する、超音波装置に使用することができる改良されたアレイが依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】US2017/100092A1
【文献】US2018/092630A
【文献】EP3384851A1
【文献】US2017/0258386A1
【発明の概要】
【0013】
本発明は、第1の態様では、超音波ビームステアリング用のエネルギー効率の良い単純化されたアナログフェーズドアレイトランスデューサに関し、第2の態様では、人間または動物の体腔内の液体体積などの、人間または動物の体の変化を通知するための小型の着用型超音波装置などの製品に関し、第3の態様では、この製品の使用に関し、第4の態様では、超音波製品を動作させる方法に関する。
【0014】
本フェーズドアレイは、トランスデューサアレイの受信側において、例えば75%超、典型的には80%超、例えば85%超のエネルギー消費の減少をもたらす。また、受信回路の複雑さは、同等の従来技術のフェーズドアレイ電子回路内の構成要素の50%未満、さらには15%を使用することなどによって低減され得る。様々な用途について、トランスデューサアレイによって取得される情報の詳細における減少が受容可能であることに留意されたい。例えば、腔の体積およびこの腔内の液体の量を認識するなどの非撮像用途は、構成要素およびエネルギー消費の上記の大幅な低減と組み合わせて達成可能であることが分かっている。本アレイは、20kHz~50MHz、典型的には100kHz~20MHz、好ましくは500kHz~15MHzの周波数で動作するn*m個のトランスデューサ素子のアレイであって、少なくとも2つの隣接するトランスデューサ素子が約0.5波長(0.5λ±10%)、好ましくは0.5λ±5%、より好ましくは0.5λ±3%の相互距離にあり、好ましくは少なくとも1*m個のトランスデューサを備える、n*m個のトランスデューサ素子のアレイと、少なくとも1つの高電圧パルス源を備えるアレイのビームステアリングのための送信制御電子回路であって、ソースが、少なくとも1つのパルス源のタイミングのために、低電圧タイミング回路に連結されている、送信制御電子回路と、受信した超音波を処理する際のエネルギー消費を制限するように適合された単純化された受信制御電子機器と、アレイと電気的に接続された電源またはアレイに電力を提供するための電気接続部とを備える。少なくとも1つの高電圧パルス源は、20~200V、例えば30~50Vなど、>12Vの電圧を有することができるが、低電圧タイミング回路は、0.5~3.3Vなど、少なくとも1つの高電圧パルス源のタイミングのために<5.5Vの電圧を有することができる。アレイは、従来技術の超音波撮像で使用されるよりも少ない構成要素で比較的小さくてもよく、エネルギー消費および構成要素量を制限し、1つまたは複数の行nを含むことができる。アレイは比較的小さくてもよいので、このアレイによって占有される空間も比較的小さくてもよい。アレイの行は、例えば膀胱スキャンに適用される場合、フェーズドアレイが行の(長手方向)軸に対して相対的にある角度でビームステアリングを提供するように配向される。位相モードでトランスデューサをアドレス指定するため、および受信アレイを受信およびアドレス指定するために、コントローラが提供される。コントローラは、さらなる機能を実行することができる。本発明は、受信した超音波を処理する際のエネルギー消費を低減するためにエネルギー低減手段を利用する。
【0015】
本フェーズドアレイトランスデューサでは、受信制御電子機器は、(i)超音波エネルギーを決定するように適合され整流増幅器に接続された少なくとも1つ、好ましくは2つより多く、最大ですべての超音波受信トランスデューサ素子と、整流増幅器の出力を加算するためのアナログ加算器に接続された整流増幅器と(したがって受信のためにすべてのビームステアリング電子機器の電力消費を回避する)、(ii)受信電子機器に接続され、または接続可能なn*m個のトランスデューサ素子の<50%、好ましくは<20%と(接続されないトランスデューサ素子は受信電子機器を欠いており、したがって受信電子機器の電力消費の大部分を回避する)、(iii)それらの組合せと、のうちから選択される。
【0016】
第2の態様では、本発明は、本発明によるフェーズドアレイトランスデューサを含む製品に関し、製品は、好ましくは、着用型装置、携帯型装置、医療装置、非破壊検査装置、およびそれらの組合せから選択される。製品が非破壊検査装置である場合、エネルギー効率の良い単純化されたフェーズドアレイを使用して、従来技術の製品よりも低いエネルギーならびに低い複雑さおよびコストで任意の角度でビームステアリングを可能にすることができる。例示的な実施形態では、この製品は、膀胱などの体組織、体血管または体腔の変化を通知するための小型の、典型的には着用型の無線超音波装置、好ましくは独立型装置である。
【0017】
本発明の文脈において、本製品と組み合わせた「小さい」という用語はサイズに関し、本製品がそのユーザに関連する不快感を与えることなく長期間にわたって着用され得ること、および衣服の下に着用されたときに好ましくは(ほぼ)目に見えないことを示す。「無線」という用語は、本製品を外界に接続する導電体がないことを示す。「着用型」という用語は、製品のユーザが自由に動くことができることを示す。製品が小さく、着用型であり、無線である結果として、製品は着用することができ、同様に、例えばユーザの動きを制限することなく、携帯可能かつ着用可能である。さらに、体腔は、動物またはヒトにおける血管(血管およびリンパ管など)以外の流体(液体/気体)で満たされた空間に関する。さらに、位置は、人体の配置の一般的な用語であると解釈されるが、姿勢という用語は、(非)意図的または習慣的に想定される体位に関する。典型的な体位は、例えば、立位、座位、蹲踞位、うずくまり姿勢、膝立ち位、臥位である。非定型位置およびストレス位置などの他の位置も、この用語に該当する。「(半)連続的に」という用語は、監視および通知が長期間にわたって行われ得ることを示すために使用される。この期間中、任意の所与の時点で監視/通知が発生し得る。しかしながら、典型的には、この期間中、製品は少なくとも一部の時間においてアイドルモードにある。特定の選択された瞬間にのみ能動的な測定を行うことが好ましい。「計算する」に関して、正確な結果が疑わしいこと場合があることに留意されたい。そのような場合、この用語は「推定する」を指すことがある。
【0018】
本発明の装置または製品は、永続的および半永続的な測定または監視に使用することができる。それはまた、永続モードまたは半永続モードで身体に接触することができる。接触手段は、好ましくは、例えば毒性、刺激性、接着性、経時的に安定な形態などに関して、ヒト皮膚と適合性であるべきである。
【0019】
第3の態様では、本発明は、膀胱、子宮(羊水)、洞、胸膜腔、心膜嚢、および大動脈などの血管などの腔の液体体積を決定または監視するための、動脈瘤、感染、腫瘍、脱水、胸水、少なくとも一方の腎臓からの尿流入速度、水頭症、ヒトまたは動物の腔の大きさのうちの少なくとも1つを検出または監視するための、肺の液体体積を決定するための、訓練のための、超音波画像形成のための、流量センサとしての、長期間にわたる(半)連続的な監視のための、通常の生活の間の監視のための、ならびに病院内もしくは病院外または(長期)介護環境での監視のための、任意選択でさらなる(第2の)センサまたは製品と組み合わせた、本製品の使用に関する。
【0020】
第4の態様では、本発明は、本発明による超音波製品を動作させる方法であって、決定された量に基づいて膀胱内の液体の量を決定するステップ、さらなる動作を実行するステップ、またはさらなる活動を控えるステップを含む方法に関する。
【0021】
この製品、その使用、および動作方法の詳細は、国際公開第2016/085341号に見出すことができ、その明細書および特許請求の範囲は参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
それにより、本発明は、上述の問題の1つまたは複数に対する解決策を提供する。
【0023】
本発明の利点は、説明全体を通して詳述される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、第1の態様において、請求項1に記載の超音波ビームステアリングのためのエネルギー効率の良い単純化されたフェーズドアレイトランスデューサに関する。
【0025】
参考として、
図9a(
図2と同一)は、受信における標準的な従来技術のアナログビームステアリング電子機器を示す。本フェーズドアレイトランスデューサ整流増幅器の例示的な実施形態では、これらの増幅器は、ダイオード、二次増幅器、負の振幅を正の振幅に変換し正の振幅を維持するための変換器、対数増幅器、およびそれらの変形、ならびにそれらの組合せのような回路から選択される。これらの整流増幅器の出力を加算した結果を
図5に示し、整流増幅器を有する概略図を
図9bに示す。
【0026】
本フェーズドアレイトランスデューサの例示的な実施形態では、受信制御電子機器は、超音波送信ビームの強度が強い角度に強いグレーティングローブを導入することなくビーム幅を最適化するために、トランスデューサの幅にわたって広がる少なくとも2つの、好ましくはすべてではない超音波受信トランスデューサ素子について、受信におけるビームステアリングを最適化するように適合される。受信において、接続されているトランスデューサ素子の数が少ないビームステアリング電子機器の概略図を
図9cに示す。
【0027】
低減されたチャネル数と整流増幅器との組合せの一例を
図9dに示す。
【0028】
非整流増幅器の場合、本フェーズドアレイトランスデューサの例示的な実施形態は、
図5に見られるように、受信信号の正相の振幅と負相の振幅とを加算するように適合されたアナログ加算器を有することができる。
【0029】
例示的な実施形態では、本フェーズドアレイトランスデューサは、トランスデューサごとに1つの高電圧パルス送信源を備えてもよく、ソースは同一であることが好ましい。
【0030】
例示的な実施形態では、本フェーズドアレイトランスデューサは、トランスデューサに電圧を印加するための電圧コントローラを備えることができる。
【0031】
本フェーズドアレイトランスデューサの例示的な実施形態では、受信制御電子機器は、
図9cに示すように、受信トランスデューサ素子の<20%など、受信トランスデューサ素子の<50%(
図6~
図7)に接続され、または接続可能である。
【0032】
本フェーズドアレイトランスデューサの例示的な実施形態では、接続されたまたは接続可能な受信トランスデューサ素子は、k個の非接続トランスデューサ素子が接続トランスデューサ素子の間にあるように選択され、kは1~7から選択され(
図6)、好ましくはkは2~6であり、より好ましくはkは3~5であり、例えばkは3である。kが3であるいくつかの場合、送信指向性における最大のサイドローブは、受信指向性における最小値によって補償され、特定の場合にはこの選択が好ましい。
【0033】
本フェーズドアレイトランスデューサの例示的な実施形態ではn∈[1-10]およびm∈[2-1024]であり、好ましくはn∈[1-3]およびm∈[4-128]であり、より好ましくはn∈[1-3]およびm∈[8-48]であり、さらにより好ましくはn∈[1,2]およびm∈[16-36]であり、例えばn∈[1]およびm∈[24-32]である。
【0034】
本フェーズドアレイトランスデューサ素子の例示的な実施形態では、CMUTおよびPMUTなどのMEMS、セラミックおよび結晶材料などのバルク圧電材料、圧電複合材料、活性圧電材料、強誘電セラミック、およびそれらの組合せを含む。
【0035】
本製品の例示的な実施形態では、トランスデューサ素子は、別々に、順次に、位相シフトモードで、並列モードで、空間走査モードで、強度モードで、パルスモードで、高調波モードで、それらの変形で、およびそれらの組合せで、動作することができる。
【0036】
例示的な実施形態では、本フェーズドアレイトランスデューサは、ある長さにわたってm個のトランスデューサ素子の少なくとも1つの系列を含むことができ、m個すべてのトランスデューサ素子の一方の側の電極のそれぞれは、それぞれのトランスデューサ電子機器に電気的に接続され、他方の側の(対向)電極は、i)すべて一緒に接続される(
図8a、
図8b)か、またはii)他方の側の電極は、2つの半体に分割され、各電極長さの半分は第1の電極コネクタに接続され、他方の電極長さは第2の電極コネクタに接続される(2つの半体の別個の作動を可能にするために、例えば、トランスデューサアレイのこれらの2つの別個の半体に2つの異なる音響レンズ(例えばプリズムまたは合焦レンズ)を適用する、
図8c、
図8d)か、またはiii)電極長さのp番目の小部分、p≧3、はp番目の電極コネクタに接続され、pは好ましくは∈[3-5]であり、長いトランスデューサ素子に垂直であり、さらにより多くの異なるレンズを可能にするか、またはiv)それらの組合せ、である。
【0037】
本製品の例示的な実施形態では、製品は、膀胱などの体組織、体血管または体腔における変化を通知するための小型無線超音波製品、好ましくは独立型製品である。
【0038】
例示的な実施形態では、本製品は、所与のトランスデューサが正しい位置に配置されているかどうかを判定することができる、生成および/または検出手段を指向させるための少なくとも1つのトランスデューサダイレクタを備えることができる。指向手段を使用する、例えばビームステアリングを使用するそのような位置合わせは、仙骨、直腸、恥骨、または女性では子宮頸部などの体内の基準点を使用して行うことができる。使用中に(通常の生活のすべての姿勢で)位置合わせの(電子的な)微調整を可能にするために、トランスデューサは、一方向にm個を超えるトランスデューサ素子(m+x)を含むことができ、上側m個の素子または下側m個の素子、またはその間の任意のm個の素子のみが送信電子機器に接続され、したがって、位置合わせの微調整のために最大でx個のトランスデューサ素子の距離だけビームをシフトする。
【0039】
例示的な実施形態では、本製品は、製品を所定の位置に維持するためのポジショナ、好ましくはユーザの身体の姿勢を決定するための少なくとも1つのセンサ、製品を身体の皮膚に接触させるための接触手段、エネルギー回収装置、アナログアレイ信号をデジタル化出力信号に変換するためのADCを備えることができ、製品は着用可能であり、略平坦である。本製品は、例えば、所望の周波数および/または電力が得られるように調整することができる。製品は、典型的には、パルスを提供するためにトランスデューサを操作するため、および/または反射パルスを決定するため、製品のオン/オフを切り替えるためなど、製品を制御するための少なくとも1つのプロセッサを含む。任意選択的に、プロセッサは、データを処理する、音響信号を生成する、およびデータ通信のうちの1つまたは複数のために使用される。製品は、バッテリ、コンデンサ、エネルギー回収装置、およびそれらの組合せなど、トランスデューサ、トランシーバおよびプロセッサに関連する電力供給装置を含むことができる。電力供給装置は、本製品が取り付けられる身体の湾曲に合わせることができるように、例えば着用者の快適性を高めることができるように、柔軟な性質のものであってもよい。製品は、製品を所定の位置に維持するためのポジショナを備える。確実な測定のためには、接触手段に沿って、製品を所定の位置に保つ必要があることが分かっている。元の位置に対して数ミリメートルなどの経時的な小さなずれは、この点で受容可能である。そのため、ある程度の公差が存在する。
【0040】
本製品の一例では、製品内の電子機器は、IC、ASIC、プリント回路基板(PCB)、およびそれらの変形、ならびにそれらの組合せのうちの1つまたは複数である。
【0041】
本製品の一例では、トランスデューサは、MEMS(CMUTまたはPMUT)、圧電(セラミックまたは結晶)、およびそれらの組合せのうちの1つまたは複数である。コスト、製造性、着用の容易さ、交換性などの観点から、非常に小さい製品が好ましい。
【0042】
例示的な実施形態では、本製品は、加速度計、ジャイロスコープ、および磁気センサなどの運動センサを含むことができる。
【0043】
本製品の例示的な実施形態では、着用可能製品は1つの一体型パッケージからなる。
【0044】
本発明は、添付の図面および実施例によってさらに詳細に説明されるが、これらは例示的かつ説明的なものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】従来技術の送信装置の一部の概略構成図である。
【0046】
【
図2】従来技術の受信装置の一部の概略構成図である。
【0047】
【
図3】アナログビームフォーミングの原理を示す図である。
【0048】
【
図4】デジタルビームフォーミングの原理を示す図である。
【0049】
【
図5a-f】計算された振幅トレースを示す図である。
【0050】
【
図6】中心ピーク(細線)に対する送受信感度の幅(太線)およびサイドローブの最大高さを示す図である。
【0051】
【
図7】中心ピーク(細線)に対する送受信感度の幅(太線)およびサイドローブの最大高さを示す図である。
【0052】
【
図8a-d】例示的な実施形態による可能なアレイレイアウトを示す。
【0053】
【
図9a-d】例示的な実施形態による、受信における標準的なビームステアリング手法と比較して、簡略化し、エネルギー消費を制限するためのいくつかの選択肢を示す。
【0054】
【
図10a-c】それぞれの実施形態による、利用可能なトランスデューサ素子の一部のみを受信回路に接続するためのいくつかの選択肢を示す。
【0055】
図面の詳細な説明
図1は、従来技術で使用されるフェーズドアレイによる焦点への送信パルス形成を示している。この目的のために、所望の点Pにビーム焦点を形成するように、適切に定められた遅延Dで電圧パルスが各トランスデューサ素子Eに提供される。
【0056】
図2は、従来技術で使用されるフェーズドアレイによる焦点からの反射の受信を示す図である。各信号の遅延により、すべての信号が加算部に同時に到達する。
【0057】
図3は、従来技術で使用される、アナログ加算およびアナログ-デジタル変換の前に、遅延がアナログ領域で行われるアナログビームフォーミングの原理を示す図である。
【0058】
図4は、従来技術で使用される、各信号が最初にアナログ-デジタル変換器によってデジタル化され、次いで遅延がデジタル領域での信号処理中に追加される、デジタルビームフォーミングの原理を示す図である。
【0059】
図5a~
図5fは、従来技術から知られる、これらのデータを構築するための3つの手法(整流なし「干渉データ」、整流あり「abs(データ)」および負の値を0にした「pos(データ)」)および干渉および受信の最適遅延を伴う1つの基準線(「従来のビームステアリング」)に対する様々な方向(それぞれ8度(a)、16度(b)、24度(c)、33度(d)、42度(e)および54度(f))から来る超音波ビームの計算された振幅トレースを示す。
【0060】
中間に非受信トランスデューサ素子を有する(例えば24個のうちの)4つの受信トランスデューサを有する受信ビームステアリング手法が
図6に示されており、すべての可能性が詳しく示されている。この図から、超音波の受信に4つのトランスデューサ素子のみを使用する場合、受信トランスデューサ素子間の3つの非受信トランスデューサ素子が最適な構成であることが分かる。これにより、24個のトランスデューサ素子のアレイが得られ、24個すべてのトランスデューサが送信に使用され、トランスデューサ番号6、10、14および18のみが超音波を受信するために使用される。送信における第1の(そして最大の)サイドローブの指向角は、受信における第1の最小値の角度と一致し、送受信感度におけるサイドローブを大幅に低減することが観察される。参考として、24個のトランスデューサが送信するフェーズドアレイを示す。点線は単一の受信トランスデューサ素子を示し、破線は24個すべての受信を示す。24個の素子数は、原理を示すための例としてのみ使用されていることに留意されたい。異なる数の素子に対して異なる最適化が適用され得る。
【0061】
3つの非受信トランスデューサ素子を間に有するトランスデューサを有する受信ビームステアリング手法が
図7に示されており、トランスデューサ素子の距離が固定されたまま、トランスデューサ素子の数が変更されている。この図から、受信トランスデューサ間に3つの非受信トランスデューサ素子を有する5つの受信トランスデューサが、この例では最適な構成であることが分かる。これにより、24個のトランスデューサ素子のアレイが得られ、すべてのトランスデューサが送信に使用され、トランスデューサ番号4、8、12、16および20のみが超音波を受信するために使用される。参考として、24個のトランスデューサが送信するフェーズドアレイを示す。点線は単一の受信トランスデューサ素子を示し、破線は24個すべての受信を示す。
【0062】
図8a、
図8bは、底面に1つの電気接点、上面に10個の電気接点で接続されたアレイを示し(上面図および底面図)、
図8c、
図8dは、底面に2つの電気接点、上面に10個の電気接点で接続されたアレイを示す(上面図および底面図)。
【0063】
図9a~
図9dは、受信における標準的な従来技術のビームステアリング手法(
図9a)、ダイオード、二次増幅器、負の振幅を正の振幅に変換し正の振幅を維持するための変換器、対数増幅器、およびそれらの変形、およびそれらの組合せ(
図9b)のような回路から選択される整流増幅器を用いる手法、接続されたトランスデューサ素子の数を減らしたビームステアリングの手法(
図9c)、および上記の組合せ(
図9d)の例を示す。
【0064】
図10a~
図10cは、それぞれの実施形態による、利用可能なトランスデューサ素子の一部のみを動作させ、または受信回路に接続するいくつかの概念を示す。パルスエコー超音波システムのこのような構成では、トランスデューサは送信機と受信機の両方として機能する。トランスデューサは、典型的には25~150ボルトの高電圧および典型的には100~500ナノ秒の短い持続時間のパルスによって作動させることができ、受信機は、典型的にはミリボルト範囲の1ボルト未満の電圧を受け取る。
【0065】
図10aは、複数のトランスデューサ素子Eが、対応するスイッチSを介して送信回路Txおよび受信回路Rxの両方に接続される実施形態を示す。それぞれの動作、すなわち送信または受信は、スイッチSをそれに応じて動作させることによって設定される。一実施形態では、送信段階中にすべての、または比較的多数のトランスデューサ素子が送信回路に切り替えられる一方で、受信段階中に一部の、または比較的少数のトランスデューサ素子のみが受信回路に切り替えられる。このようにして、受信段階中にすべてのトランスデューサ素子を使用する能力を原則として維持しながら、それに応じてスイッチSを制御するだけで省エネルギーモードを実施することができる。
【0066】
図10bに示す選択肢は、受信段階中に実際に使用されるトランスデューサ素子に対して、低減された数のスイッチSのみが設けられる実施形態を示す。この実施形態は、特に受信中のエネルギーおよび電力節約に関する利点を提供することに加えて、受信電子機器の素子数および回路の複雑さを低減することにさらに寄与することができる。
【0067】
図10cは、送信および受信電子機器の両方が、間にスイッチを介さずにトランスデューサ素子に直接結合される実施形態を示す。これは、受信信号が入ったときに電流が流れないように(通常は<1μA)、パルサの出力抵抗が>1MΩなどの十分に高い場合に可能である。この実施形態は、
図10aおよび
図10bのスイッチSを回避することによって、要素数および回路の複雑さをさらに低減することにさらに寄与し得る。
【0068】
本発明は、詳細な説明の文脈で説明されているが、添付の実施例および図と併せて最もよく理解され得る。
(発明の開示)
(項目1)
超音波ビームステアリングのためのフェーズドアレイトランスデューサであって、
20kHz~50MHzの周波数で動作するn*m個のトランスデューサ素子のアレイであって、好ましくは少なくとも2つの隣接するトランスデューサ素子が約0.5波長(λ±10%)の相互距離にあり、好ましくは少なくとも1*m個のトランスデューサである、n*m個のトランスデューサ素子のアレイと、
少なくとも1つの、好ましくは>12Vの、高電圧パルス源を備える前記アレイのビームステアリングのための送信制御電子機器であって、ソースが前記少なくとも1つのパルス源のタイミングのために、低電圧タイミング回路、好ましくは<5.5Vの低電圧タイミング回路に連結されている、送信制御電子機器と、
受信超音波を処理するときのエネルギー消費を制限するために単純化された受信制御電子機器であって、前記受信制御電子機器が、(i)超音波エネルギーを決定するように適合され整流増幅器に接続された少なくとも1つ、好ましくはすべての超音波受信トランスデューサ素子と、前記整流増幅器の出力を加算するアナログ加算器に接続された前記整流増幅器と、(ii)受信電子機器に接続されまたは接続可能な前記n*m個のトランスデューサ素子の<50%、好ましくは<20%と、(iii)それらの組合せと、から選択される、受信制御電子機器と、
前記アレイと電気的に接続される電源または前記アレイに電力を供給する電気的接続と、
を備えるフェーズドアレイトランスデューサ。
(項目2)
前記整流増幅器が、ダイオード、二次増幅器、負の振幅を正の振幅に変換し正の振幅を維持する変換器、対数増幅器、およびそれらの変形、ならびにそれらの組合せのような回路から選択される、項目1に記載のフェーズドアレイトランスデューサ。
(項目3)
前記受信制御電子機器が、少なくとも2つ、好ましくはすべてではない超音波受信トランスデューサ素子について、受信におけるビームステアリングを最適化するように適合される、項目1または2に記載のフェーズドアレイトランスデューサ。
(項目4)
前記アナログ加算器が、受信信号の正相の振幅と負相の振幅とを加算するように適合される、項目1から3のいずれか1項に記載のフェーズドアレイトランスデューサ。
(項目5)
トランスデューサ素子ごとに1つの高電圧パルス送信源を備え、ソースが好ましくは同一である、項目1から4のいずれか1項に記載のフェーズドアレイトランスデューサ。
(項目6)
前記トランスデューサ素子に電圧を印加する電圧コントローラを備える、項目1から5のいずれか1項に記載のフェーズドアレイトランスデューサ。
(項目7)
前記受信制御電子機器が、前記受信トランスデューサ素子の<50%、例えば前記受信トランスデューサ素子の<20%に接続されまたは接続可能であり、および/またはk個の非接続トランスデューサ素子が、前記接続されたトランスデューサ素子の間にあるように、接続されまたは接続可能な受信トランスデューサ素子が選択され、kは1~7から選択され、好ましくはkは2~6であり、より好ましくはkは3~5であり、例えばkは3である、項目1から6のいずれか1項に記載のフェーズドアレイトランスデューサ。
(項目8)
n∈[1-10]およびm∈[2-1024]であり、好ましくはn∈[1-3]およびm∈[4-128]であり、より好ましくはn∈[1-3]およびm∈[8-48]であり、さらにより好ましくはn∈[1,2]およびm∈[16-36]であり、例えばn∈[1]およびm∈[24-32]であり、ならびに/または、
トランスデューサ素子が、CMUTおよびPMUTなどのMEMS、セラミックおよび結晶材料などのバルク圧電材料、圧電複合体、活性圧電材料、強誘電セラミック、およびそれらの組合せを含む、
項目1から7のいずれか1項に記載のフェーズドアレイトランスデューサ。
(項目9)
長さにわたってm個のトランスデューサ素子の少なくとも1つの系列を含み、m個すべてのトランスデューサ素子の一方の側の電極のそれぞれが、それぞれのトランスデューサ電子機器に電気的に接続され、他方の側の(対向)電極が、i)すべて一緒に接続されるか、またはii)前記他方の側の電極が2つの半体に分割され、前記電極長さの半分が第1の電極コネクタに接続され、前記他方の電極長さが第2の電極コネクタに接続されるか、またはiii)前記電極長さのp≧3のp番目の小部分がp番目の電極コネクタに接続され、pは好ましくは∈[3-5]であり、前記長いトランスデューサ素子に垂直であるか、またはiv)それらの組合せ、である、項目1から8のいずれか1項に記載のフェーズドアレイトランスデューサ。
(項目10)
前記トランスデューサ素子が、別々に、順次に、位相シフトモードで、並列モードで、空間走査モードで、強度モードで、パルスモードで、高調波モードで、それらの変形で、およびそれらの組合せで、動作することができ、ならびに/または、
送信および受信電子機器の両方が前記トランスデューサ素子に直接結合され、好ましくは、前記送信機の出力抵抗が高く、例えば>1MΩである、
項目1から9のいずれか1項に記載のフェーズドアレイトランスデューサ。
(項目11)
項目1から10のいずれか1項に記載のフェーズドアレイトランスデューサを備える製品であって、好ましくは、着用型装置、携帯型装置、医療装置、非破壊検査装置、それらの変形、およびそれらの組合せから選択される製品。
(項目12)
膀胱などの体組織、体血管または体腔における変化を通知する小型無線超音波装置、好ましくは独立型装置である、項目11に記載の製品。
(項目13)
少なくとも1つのトランスデューサダイレクタを備え、および/または、
前記製品をある位置に維持するポジショナ、好ましくはユーザの身体の姿勢を決定する少なくとも1つのセンサと、前記製品を前記身体の皮膚に接触させる接触手段と、エネルギー回収装置と、アナログアレイ信号をデジタル化出力信号に変換するADCとを備え、前記製品が着用可能であり、略平坦である、
項目11または12に記載の製品。
(項目14)
運動センサ、加速度計、ジャイロスコープ、および磁気センサのうちのいずれか1つを備える、項目11から13のいずれか1項に記載の製品。
(項目15)
前記製品の電子機器が、IC、圧電素子、プリント回路基板(PCB)、およびそれらの組合せのうちの1つまたは複数である、項目11から14のいずれか1項に記載の製品。
(項目16)
前記トランスデューサが、MEMS(CMUTまたはPMUT)、圧電素子(セラミックまたは結晶)、およびそれらの組合せのうちの1つまたは複数である、項目11から15のいずれか1項に記載の製品。
(項目17)
前記着用型製品が1つの一体型パッケージからなる、項目11から16のいずれか1項に記載の製品。
(項目18)
膀胱、子宮(羊水)、洞、胸膜腔、心膜嚢、および大動脈などの血管などの腔内の液体体積を決定または監視するための、動脈瘤、感染、腫瘍、脱水、胸水、少なくとも一方の腎臓からの尿流入速度、水頭症、ヒトまたは動物の腔の大きさのうちの少なくとも1つを検出または監視するための、肺内の液体体積を決定するための、訓練のための、超音波画像形成のための、流量センサとしての、長期間にわたる(半)連続的な監視のための、通常の生活の間の監視のための、および病院内もしくは病院外または(長期)介護環境の監視のための、
任意選択的にさらなる(第2の)装置と組み合わせての、
項目11から17のいずれか1項に記載の製品の使用。
(項目19)
項目11から17のいずれか1項に記載の超音波製品を動作させる方法であって、
膀胱内の液体の量を決定するステップと、
前記決定された量に基づいて、さらなる行為を行い、またはさらなる活動を控えるステップと、
を含む、超音波製品を動作させる方法。