(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】セル電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20240516BHJP
H01M 50/109 20210101ALI20240516BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20240516BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240516BHJP
H01M 50/471 20210101ALI20240516BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20240516BHJP
H01M 50/48 20210101ALI20240516BHJP
H01M 50/486 20210101ALI20240516BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20240516BHJP
H01M 50/54 20210101ALI20240516BHJP
H01M 50/545 20210101ALI20240516BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20240516BHJP
H01M 50/56 20210101ALI20240516BHJP
H01M 50/595 20210101ALI20240516BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M50/109
H01M50/119
H01M50/184 E
H01M50/471
H01M50/474
H01M50/48
H01M50/486
H01M50/533
H01M50/54
H01M50/545
H01M50/548 201
H01M50/56
H01M50/595
(21)【出願番号】P 2021567007
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(86)【国際出願番号】 EP2020060906
(87)【国際公開番号】W WO2020244837
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-11-10
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510017505
【氏名又は名称】レナタ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シャオジュン
(72)【発明者】
【氏名】フライ,レモ
(72)【発明者】
【氏名】ヘーリング,パスカル
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-081941(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03139434(EP,A1)
【文献】国際公開第2018/155211(WO,A1)
【文献】特開2017-134901(JP,A)
【文献】特開2016-110856(JP,A)
【文献】特開2011-141997(JP,A)
【文献】特表2015-533013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05-0587
H01M 50/10-198
H01M 50/40-497
H01M 50/50-598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(117)を形成するように構成しているケース(119、201)を備える電池(100、200)であって、
実質的に円筒状である積層電極のアセンブリー(113)が、前記ハウジング(117)内に配置され、かつ、1つ又は複数のユニット(120)を備え、
各ユニット(120)には、正電極(103)、負電極(104)、前記正電極(103)と前記負電極(104)の間のセパレーター(102)、及び電解質があり、
前記1つ又は複数のユニットの前記正電極は、互いに電気的に接続されて正の端子を形成し、
前記1つ又は複数のユニットの前記負電極は、互いに電気的に接続されて負の端子を形成し、
前記電池(100、200)には、前記アセンブリー(113)を一緒に保持するための保持手段(105b、118a、118b、118c、118d)があり、
前記1つ又は複数のユニット(120)の少なくとも各負電極(104)には、前記保持手段(105b、118a、118b、118c、118d)のための平坦な接触面(116)を構成するように、前記アセンブリー(113)の高さに沿って鉛直方向に整列される1つ又は複数のノッチ(110)があり、
前記ノッチは、前記正の端子からも前記負の端子からも離れて配置され、
さらに、前記電池(100、200)は、前記アセンブリー(113)と前記ケース(119、201)の間に配置される基部(105a)があるパッキングテープ(105)を含み、前記保持手段には、前記基部(105a)と一体的となっている少なくとも1つのパッキングフラップ(105b)がある
ことを特徴とする電池(100、200)。
【請求項2】
前記ケース(119)は金属によって作られており、前記ケース(119)には、正側面(108)、負側面(101)及びガスケット(107)がある
ことを特徴とする請求項1に記載の電池(100)。
【請求項3】
前記基部(105a)と前記パッキングフラップ(105b)は、独立して、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイミド、フルオロポリマー、ビニルポリマー、スチロールポリマー、ガラス繊維ベースの基材、セルロースベースの材料、これらの誘導体又はこれらの組み合わせによって作られた基材を含む
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の電池(100、200)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのパッキングフラップ(105b)は、前記アセンブリー(113)に対向する接着剤層を含む
ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項に記載の電池(100、200)。
【請求項5】
前記パッキングテープ(105)は、前記アセンブリー(113)と前記ケース(119)の間の電気的接触を避けるような絶縁パッキングテープである
ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載の電池(100)。
【請求項6】
各負電極(104)は、前記1つ又は複数のユニット(120)の各正電極(103)よりも大きな面を有し、前記1つ又は複数のユニット(120)の各負電極(104)のみに、前記
1つ
又は複数のノッチ(110)がある
ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載の電池(100、200)。
【請求項7】
各正電極(103)にはカソードタブ(114)があり、
各負電極(104)にはアノードタブ(115)があり、
前記カソードタブ(114)どうしが一緒に溶接されて正の溶接連結体(111)を形成し、
前記アノードタブ(115)どうしが一緒に溶接されて負の溶接連結体(112)を形成し、
前記正の溶接連結体(111)は、前記ケース(119)の前記正側面(108)の方へと実質的に鉛直方向に折り曲げられ、
前記負の溶接連結体(112)は、前記ケース(119)の前記負側面(101)の方へと実質的に鉛直方向に折り曲げられる
ことを特徴とする請求項2~
6のいずれか一項に記載の電池(100)。
【請求項8】
前記基部(105a)と前記パッキングフラップ(105b)は、単一の部品である
ことを特徴とする請求項1~
7のいずれか一項に記載の電池(100、200)。
【請求項9】
前記パッキングテープ(105)には、前記基部(105a)の両側から延在している少なくとも2つのパッキングフラップ(105b)がある
ことを特徴とする請求項1~
8のいずれか一項に記載の電池(100、200)。
【請求項10】
前記電池(100)には、さらに、前記パッキングテープ(105)と金属
で形成された前記ケース
(119)の
正側面(108)の間に配置される接触タブ(106)があり、
前記接触タブ(106)は、前記パッキングテープ(105)の隣にあり、
前記接触タブ(106)は、前記1つ又は複数のユニット(120)の前記正電極(103)と前記正側面(108)の間の接触を導くように構成している
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の電池(100)。
【請求項11】
コイン電池である
請求項1~
10のいずれか一項に記載の電池(100)。
【請求項12】
1つ又は複数のユニット(120)を含む
、実質的に円筒状である積層電極のアセンブリー(113)であって、
各ユニット(120)には、正電極(103)、負電極(104)、及び前記正電極(103)と前記負電極(104)の間のセパレーター(102)があり、
前記1つ又は複数のユニットの前記正電極は、互いに電気的に接続されて正の端子を形成し、前記1つ又は複数のユニットの前記負電極は、互いに電気的に接続されて負の端子を形成し、
前記アセンブリー(113)には、前記アセンブリー(113)を一緒に保持するための保持手段(105b、118a、118b、118c、118d)があり、
前記1つ又は複数のユニット(120)の少なくとも各負電極(104)には、前記保持手段(105b、118a、118b、118c、118d)のための
平坦な接触面(116)を構成するように、前記アセンブリー(113)の高さに沿って鉛直方向に整列される1つ又は複数のノッチ(110)があり、
前記ノッチは、前記正の端子からも前記負の端子からも離れて配置され、
前記アセンブリー(113)は、基部(105a)を有するパッキングテープ(105)によってパックされており、前記基部(105a)は絶縁性であり、かつ、前記アセンブリー(113)と前記アセンブリー(113)が配置されるケースとの間に配置されており、前記保持手段には、前記基部(105a)と一体的となっている少なくとも1つのパッキングフラップ(105b)がある
ことを特徴とする積層電極のアセンブリー(113)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システム、より詳細には、とりわけ着用式電子デバイスのための、電力供給源として用いることができる電池、に関する。本発明は、特に、ハウジングを形成するように構成しているケースと、及びハウジング内に配置され1つ又は複数のユニットを備える積層電極のアセンブリーとを備える電池に関し、各ユニットは、正電極、負電極、前記正電極と前記負電極の間のセパレーター、及び電解質を備え、前記電池は、さらに、アセンブリーを一緒に保持するための保持手段を備える。
【背景技術】
【0002】
携行可能であり着用可能な電子デバイスにおける最近の発展によって、最小化された電力供給システム、すなわち、大きな体積エネルギーと電力密度を与えることができるような電池、が必要とされている。このようなタイプのアプリケーションにおける必要条件を有効に満たすことができる適切な設計として、電極積層体がある。この技術分野においては、正電極と負電極の積層体を含む積層電池が知られている。正電極と負電極の間にセパレーターが設けられて、短絡を防ぎ、かつ、一方の半電池から他方の半電池への十分なイオン伝導があることを可能にする。このような積層電極のアセンブリーを含む電池は、例えば、米国特許文献US3907599B1、欧州特許文献EP2610945A1、欧州特許文献EP3139434A1、にて開示されている。積層電極のアセンブリーは、正電極と負電極から突き出た接触タブを介してそれぞれ外部回路に接続される。
【0003】
これらの積層電極を備える電池を設計するときに、当業者は、電池の全体的な電力密度を最適化するためにいかに利用可能な体積を最大限利用するかという課題に直面し、とりわけ、電極の大きさと形状、端子タブの設計、電極と端子タブの間の接触手段の設計、そして、電極パッキングの設計について考慮する必要がある。上記のすべての考慮事項は、設計された電池の製造プロセス全体を可能なかぎり単純かつ費用効果の高く維持する必要があることも考慮に入れる必要がある。
【0004】
伝統的には、いくつかの一方の電極とセパレーターを一緒に保持するために、電極積層体のまわりにパッキングテープを取り付ける。しかし、従来技術の電池の設計においては、パッキングテープのフラップと電極のエッジの間の接触面積が小さく、したがって、パッキング気密性及び電極間の積層の整列(アライメント)が不十分となってしまう。これらの要因は、電池性能の品質を低下させてしまい、組み付けプロセス中に高い精度を必要とすることになる。パッキングの気密性と積層の整列が不足していると、電池自体の内部の体積が無駄になり、電池全体のエネルギー密度が制限されてしまう。
【0005】
また、不規則に折り曲げられたフラップが大きな空き空間を発生させることによって、外力が加えられたときに電極積層体が金属ケースに対して動いてしまう。したがって、電極積層体が動くと、電池の輸送及び/又は使用時における欠陥や機能障害のリスクを大きくしてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、上記の課題を解決することを可能にする代替的な電池設計が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様において、本発明は、ハウジングを形成するように構成しているケースを備える電池に関し、積層電極のアセンブリーが、前記ハウジング内に配置され、かつ、1つ又は複数のユニットを備え、各ユニットには、正電極、負電極、前記正電極と前記負電極の間のセパレーター、及び電解質があり、前記アセンブリーには、前記アセンブリーを一緒に保持するための保持手段がある。本発明によると、前記1つ又は複数のユニットの少なくとも各負電極には、前記保持手段のための実質的に平坦な接触面を構成するように、前記アセンブリーの高さに沿って鉛直方向に整列される1つ又は複数のノッチがある。
【0008】
本発明の一実施形態において、前記ケースは金属によって作られており、前記ケースには、正側面、負側面及びガスケットがある。
【0009】
本発明の別の実施形態において、前記保持手段は、粘着テープ、接着剤、クランプ、又はこれらの組み合わせの形態である。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態において、前記保持手段は、ゴムベースの材料、アクリルベースの材料、シリコーンベースの材料、又はこれらの組み合わせを含む。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態において、前記電池は、さらに、前記アセンブリーと前記ケースの間に配置される基部があるパッキングテープを含む。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態において、前記保持手段には、前記基部と一体的となっている少なくとも1つのパッキングフラップがある。一実施形態において、前記基部と前記パッキングフラップは、独立して、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイミド、フルオロポリマー、ビニルポリマー、スチロールポリマー、ガラス繊維ベースの基材、セルロースベースの材料、これらの誘導体又はこれらの組み合わせによって作られた基材を含む。
【0013】
本発明の別の実施形態において、前記少なくとも1つのパッキングフラップは、前記アセンブリーに対向する接着剤層を含む。
【0014】
本発明の別の実施形態において、前記パッキングテープは、前記アセンブリーと前記ケースの間の電気的接触を避けるような絶縁パッキングテープである。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態において、各負電極は、前記1つ又は複数のユニットの各正電極よりも大きな面を有し、前記1つ又は複数のユニットの各負電極のみに、前記少なくとも1つのノッチがある。
【0016】
本発明の別の実施形態において、各正電極にはカソードタブがあり、各負電極にはアノードタブがあり、前記カソードタブどうしが一緒に溶接されて正の溶接連結体を形成し、前記アノードタブどうしが一緒に溶接されて負の溶接連結体を形成し、前記正の溶接連結体は、前記ケースの前記正側面の方へと実質的に鉛直方向に折り曲げられ、前記負の溶接連結体は、前記ケースの前記負側面の方へと実質的に鉛直方向に折り曲げられる。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態において、前記基部と前記パッキングフラップは、単一の部品である。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態において、前記パッキングテープには、前記絶縁体基部の両側から、好ましくは対称的に、延在している少なくとも2つのパッキングフラップがある。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態において、前記電池には、さらに、前記パッキングテープと金属ケースの前記正側面の間に配置される接触タブがあり、前記接触タブは、前記絶縁パッキングテープの隣にあり、前記接触タブは、前記1つ又は複数のユニットの前記正電極と前記正側面の間の接触を導くように構成している。
【0020】
本発明の別の実施形態において、前記電池はコイン電池である。
【0021】
別の態様において、本発明は、1つ又は複数のユニットを含む積層電極のアセンブリーに関し、各ユニットには、正電極、負電極、及び前記正電極と前記負電極の間のセパレーターがあり、前記アセンブリーには、前記アセンブリーを一緒に保持するための保持手段があり、前記1つ又は複数のユニットの少なくとも各負電極には、前記保持手段のための実質的に平坦な接触面を構成するように、前記アセンブリーの高さに沿って鉛直方向に整列される1つ又は複数のノッチがある。
【0022】
別の態様において、本発明は、上記の電池を作る方法に関し、この方法は、
a)正電極と負電極の間にセパレーターを配置して積層電極のアセンブリーを形成することによって、正電極と負電極を交互に積み重ねるステップと、
b)積層電極を恒久的にしっかりと互いに整列させるように維持するために、積層電極のアセンブリーに保持手段を適用するステップと、
c)ステップb)によって得られた積層電極のアセンブリーに電解質を充填するステップと、
d)ステップc)によって得られた積層電極のアセンブリーをケース内に配置するステップと、
e)ケースどうしを組み付けるステップと
を備える。
【0023】
代わりに、上記の方法において、ステップc)及びd)を逆にすることができる。すなわち、積層電極のアセンブリーを先にケース内に配置して、次に電解質を充填することができる。
【0024】
本発明に係る電池は、電極積層体の緊密性及び整列性を向上させ、性能を向上させ持続可能性を向上させる。少なくとも1つのノッチが存在するために、電極と保持手段の間の接触面は相当に大きくなり、大きな平坦な領域になる。これによって、保持手段と電極積層体を完璧に適合させることが可能になる。
【0025】
また、本発明に係る電池は、電池のケースに対する電極積層体の全体的な気密性を高めることを可能にし、したがって、外力が加えられたときにも信頼性の高い性能を確実にする。
【0026】
本発明に係る電池は、活性電極材料の体積利用を改善させ、したがって、電池のエネルギー密度を相当に大きくすることを可能にする。
【0027】
また、電池ケース内に配置された後にアセンブリーの緊密に整列された電極には動く自由度がないために、電池の組み付けプロセスの複雑性を低下させることができる。
【0028】
例として与えられ添付の図面によって示されている本発明の少なくとも1つの実施形態(これに限定されない)についての以下の詳細な説明において、本発明の目的、利点及び特徴が、より明確に現れる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明のリチウムコイン電池の斜視図である。
【
図2】
図1のリチウムコイン電池についての概略分解図である。
【
図3】
図1のコイン電池の積層電極のアセンブリーの負の溶接連結体の側から見た斜視図である。
【
図4】
図1のコイン電池の積層電極のアセンブリーの正の溶接連結体の側から見た斜視図である。
【
図5】単独で又は組み合わせて用いることができる異なる保持手段とともに、
図1のコイン電池の積層電極のアセンブリーを示している詳細斜視図である。
【
図6】上から見た
図1のコイン電池の平面図において断面を示している。
【
図7】折り曲げられた正の溶接連結体を示している
図1のコイン電池の断面を示している。
【
図9】積層電極のアセンブリーを示している
図8のポーチ電池の縦方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1~7を参照すると、リチウムコイン電池100は、2つの金属面、より詳細には、負電極ケースに対応する蓋101及び正電極ケースに対応するカップ108、によって構成しているケース119を備える。蓋101とカップ108は、組み付けられると、互いの間にハウジング117を形成し、そのハウジング117の中に、積層電極113のアセンブリーが配置される(
図6)。蓋101とカップ108の間にガスケット107が挟まれ、蓋101が前記ガスケット107内に押し込まれている。
【0031】
アセンブリー113は、いくつかのユニット120によって作られている。各ユニット120には、負電極104(アノード)と、電解質(図示せず)と、正電極103(カソード)と、及び負電極104と正電極103の間のセパレーター102がある。各負電極104には、蓋101へと接触を導くように構成しているアノードタブ115がある。各正電極103には、カップ108へと接触を導くように構成しているカソードタブ114がある。一実施形態において、下にて説明するように、すべてのアノードタブ115が一緒に溶接されて、第1の負電極104’を介して負電極104を蓋101に電気的に接続する負の溶接連結体112を形成し、また、すべてのカソードタブ114が一緒に溶接されて、付加的な正の接触タブ106を介して正電極103をカップ108に電気的に接続する正の溶接連結体111を形成する。本発明の一実施形態において、
図7に示しているように、正の溶接連結体111は、ケース119の正側面108の方へと実質的に鉛直方向に折り曲げられ、また、負の溶接連結体112は、ケース119の負側面101の方へと実質的に鉛直方向に折り曲げられる(図示せず)。このようにして、組み付け時と使用時に溶接連結体111及び112が電池100の間違った極に偶発的に接触してしまうことを避けて、短絡のリスクを防ぐことができる。また、
図7における断面は、溶接連結体111及び112の折れ曲がりによって、アセンブリー113をガスケット107の近くまで拡げて、電池100のエネルギー密度を大きくすることができることを明確に示している。
【0032】
一実施形態において、例として
図6に示しているように、正及び負の溶接連結体111、112は、互いにアセンブリー113の反対側に配置される。代わりに、正及び負の溶接連結体111、112を、アセンブリー113のエッジのあたりにて他の任意の構成となるように配置することができる。
【0033】
還元電位の低いリチウム金属又はリチウム含有合金、グラファイト様材料、金属酸化物、硫化物、窒化物などを活性アノード材料として用いることができる。一般的には、水系に溶解しないリチウム塩を電解質として用い、ゲル状電解質をリチウムポリマー電池に用い、固体電解質を固体リチウム電池に用いることができる。カソードは、電気化学反応とともにリチウムイオンを当該構造に取り込みその間にエネルギーを発生させることができる化合物である。カソード活物質として、硫黄、金属酸化物、硫化物、リン酸塩、ケイ酸塩のような化合物を用いることができる。
【0034】
積層電極構造が高出力性能のリチウム電池において採用される。この目標を達成するために、金属性の箔又はメッシュ上にカソードとアノードの材料が被覆され、そして、カソードとアノードの間にセパレーター102を配置して交互に積層して一緒にする。セパレーター102の材料は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はこれらの混合物のような多孔質構造を有するポリマーの中から選択することができる。積層電極内に電解質が充填される。
【0035】
アセンブリー113の電極103及び104は、実質的に円盤状である。正電極103は、バッグ状のセパレーター102内に入れられ、電極103及び104は、特定の高さないし厚みを有する実質的に円筒状の積層体113を形成するように交互に積層される。アセンブリー113には、両方の端面に負電極104があり、第1の負電極104’は、蓋101の隣にあり、最後の負電極104”は、積層体の他方の端に配置される。負電極104、104’及び104”は、両面が被覆された電極である。別の実施形態において、負電極104’及び104”は片面被覆されており、ブランクの金属性の面がそれぞれ、蓋101に対向していることができ、さらに随意的にテープ105に対向していることができる。別の実施形態において、負電極104’及び104”のブランクの金属性の面には、アモルファス、結晶又はグラフェンとして構造化された炭素を含む導電性被覆があることができる。
【0036】
一実施形態において、負電極104の合計ディスク面は、正電極103のものよりも大きく、各負電極104には、そのエッジのまわりに対称的に配置される4つのノッチ110がある。
図2~6に示しているように、各負電極104のノッチ110は、実質的に平坦な接触面116を構成するように、アセンブリー113の高さに沿って鉛直方向に整列している。これらのノッチ110は、下で説明するように、アセンブリー113を一緒に保持するために用いられる手段に応じて、異なる形状であることができる。一実施形態において、ノッチ110は、正方形の接触面116を構成するように、実質的に正方形の形状である。
【0037】
図示しているように、コイン電池100は、さらに、絶縁体基部105aがある絶縁パッキングテープ105、そして、この図示している実施形態において、絶縁体基部105aの両側から対称的に延在している、パッキングフラップ105bの形態である、4つの保持手段を備えることができる。パッキングフラップ105bは、負電極104のエッジにあるノッチ110によって形成される平坦な接触面116に適合するように設計される。他の実施形態において、パッキングフラップ105bは、他の適切な数のパッキングフラップを備えることができ、それに応じて対応する平坦な接触面116が構成される。別の実施形態において、
図5に示しているように、保持手段は、粘着テープ118b、接着剤(図示せず)、クランプ118a、118c、118dの形態であることができる。このような代替的な保持手段の形状は、アセンブリー113の平坦な接触面116に適合するように構成される。保持手段(105b、118a、118b、118c、118d)は、ゴムベースの材料、アクリルベースの材料、シリコーンベースの材料、又はこれらの組み合わせを含む。
【0038】
絶縁パッキングテープ105は、積層電極のアセンブリーと前記ケースの間の電気的接触を避けるように絶縁体基部105aが積層電極のアセンブリーとケースの1つとの間にあるように配置されるべきであり、前記ケースとパッキングフラップ105bは、積層電極のアセンブリー113を保持して、コンパクトな電極パックを形成する。より詳細には、絶縁パッキングテープ105は、前記最後の負電極104”とカップ108の間の電気的接触を避けるように絶縁体基部105aが前記最後の負電極104”とカップ108の間にあるように配置される。
【0039】
パッキングフラップ105bは、
図3、4及び6に示しているように、積層電極のアセンブリーの高さないし厚みに沿うように折り曲げられ、そして、第1の負電極104’の方に折り曲げられて、積層電極の前記アセンブリー113をしっかりと保持しパックする。
【0040】
この実施形態において、絶縁体基部105aとパッキングフラップ105bは、一体的な部品を形成する。別の実施形態において、パッキングフラップ105bどうしが別個に製造されて、そして、当業者に知られる任意の適切な手段によって、絶縁体基部105aと一体的にされ又は絶縁体基部105aに取り付けられるようにすることができる。
【0041】
絶縁体基部105aとパッキングフラップ105bは、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイミド、フルオロポリマー及びビニルポリマーからなる群から選択される材料によって作られた基材、及び積層電極のアセンブリーに対向する接着剤層を含む。前記接着剤層は、ゴムベースの材料、アクリルベースの材料、及びシリコーンベースの材料からなる群から選択される材料によって作られる。他の実施形態において、前記接着剤層を、パッキングフラップ205b上における積層電極のアセンブリーに対向する側にのみ設けることができる。
【0042】
好ましい実施形態において、絶縁パッキングテープ105は、ポリイミド基材とアクリレート接着剤層を含むKapton(登録商標)によって作られている。
【0043】
絶縁パッキングテープ105の形状は、正電極と負電極の形態に応じて設計することができる。好ましくは、絶縁体基部105aは、最後の負電極104”とカップ108が接触することによる短絡のリスクを最小限にするために、積層電極のアセンブリーの対向する最後の負電極104”よりも大きな面積を有する。
【0044】
コイン電池100には、さらに、絶縁パッキングテープ105とカップ108の間に配置される付加的な金属性の正の接触タブ106があり、この付加的な正の接触タブ106は、正電極103と前記カップ108の間の接触を導くように構成している。前記付加的な正の接触タブ106は、正の接触タブ114とともに溶接されるように構成している。
【0045】
本発明のコイン電池100は、以下のステップを備える方法によって組み付けられる。
a)正電極103と負電極104の間にセパレーター102を配置して積層電極のアセンブリーを形成することによって、正電極103と負電極104を交互に積み重ねるステップ
b)保持手段105b、118a、118b、118c及び/又は118dを用いて、ステップa)によって得られた積層電極のアセンブリーを保持するステップ
c)前記絶縁パッキングテープ105を用いて、ステップb)によって得られた積層電極のアセンブリーをパックするステップ
d)負の溶接点112を形成するようにアノードタブ114どうしを一緒に溶接し、正の溶接点111を形成するようにカソードタブ115を付加的な正の接触タブ106とともに一緒に溶接するステップ
e)随意的な、溶接連結体111をケース119の正側面108の方へと実質的に鉛直方向に折り曲げ、負の溶接連結体112をケース119の負側面101の方へと実質的に鉛直方向に折り曲げるステップ
f)ステップc)又はd)によって得られた積層電極のアセンブリーに電解質を充填するステップ
g)ステップe)によって得られた積層電極のアセンブリーを蓋101とカップ108内に配置するステップ
h)コイン電池100を閉じるように蓋101をガスケット107内に押し込むことによって、蓋101とカップ108を組み付けるステップ
【0046】
得られたアセンブリーを充填するステップf)及びステップg)のシーケンスは、どちらが先の順序でも行うことができる。
【0047】
図8及び9を参照して、本発明の別の実施形態について説明する。電池200は、ハウジング117を形成する非導電性のポーチフォイル201の2つの部分によって構成しているケースを備え、これらの部分は、シール部分205によってシールされて一緒にされる。ハウジング117は、上記のように電極アセンブリー113を収容する。電子アセンブリー113のカソードタブどうしとアノードタブどうしは、一緒に溶接されて、それぞれアノードタブの溶接体206及びカソードタブの溶接体207を形成する。アノードタブの溶接体206及びカソードタブの溶接体207はそれぞれ、ポーチフォイル201を通り抜ける導電性を可能にする溶融シール204を用いて、負の端子タブ202及び正の端子タブ203に接続される。
【0048】
ポーチフォイルは、両方の外層がポリマーであり中間層がアルミニウムフォイルであるようなサンドイッチ構造であることができる。また、ポーチフォイルは、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイミド、フルオロポリマー、ビニルポリマー、スチロールポリマー、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル又はこれらの混合物などによって作られたポリマーの単層又は多層構造であることができる。