(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】光学フィルタアレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/28 20060101AFI20240516BHJP
G01J 3/26 20060101ALI20240516BHJP
G01J 3/36 20060101ALI20240516BHJP
G01J 3/51 20060101ALI20240516BHJP
G02B 1/11 20150101ALI20240516BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20240516BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240516BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20240516BHJP
【FI】
G02B5/28
G01J3/26
G01J3/36
G01J3/51
G02B1/11
G02B5/26
H01L27/146 D
H01L31/02 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022076248
(22)【出願日】2022-05-02
(62)【分割の表示】P 2017023195の分割
【原出願日】2017-02-10
【審査請求日】2022-05-30
(32)【優先日】2016-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ジェイ オケンファス
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/102312(WO,A1)
【文献】特表2012-530271(JP,A)
【文献】国際公開第2006/100903(WO,A1)
【文献】特開昭62-267624(JP,A)
【文献】特表2013-512445(JP,A)
【文献】特開2005-258050(JP,A)
【文献】特表2005-510756(JP,A)
【文献】国際公開第2015/194455(WO,A1)
【文献】特開2008-010773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/26-5/28
G02B 1/11
H01L 31/0232
G01J 3/51
G01J 3/36
G01J 3/26
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一組のセンサ素子と、
基板に配置されたフィルタアレイと
を備えたデバイスであって、
前記フィルタアレイは、
前記基板に配置された第1ミラーと、
前記第1ミラーに配置され、前記一組のセンサ素子を覆
う第1スペーサと、
前記フィルタアレイの他の全てのスペーサを含み、全てが前記第1スペーサに配置される複数のスペーサと、
前記第1スペーサおよび前記複数のスペーサに配置される第2ミラーと
を備え、
前記複数のスペーサのうちの第2スペーサは
、前記一組のセンサ素子のうちの第1センサ素子を覆い、
前記第1センサ素子の数は、前記一組のセンサ素子の数よりも少なく、
前記複数のスペーサのうちの第3スペーサは
、前記一組のセンサ素子のうちの第2センサ素子を覆い、
前記第2センサ素子の数は、前記一組のセンサ素子の数よりも少なく、
前記第3スペーサにより覆われる前記第2センサ素子は、前記第2スペーサにより覆われる前記第1センサ素子とは異なり、
前記第3スペーサと前記第2スペーサとは隣接していない
、デバイス。
【請求項2】
前記フィルタアレイは、センサ素子アレイと整列されており、
前記センサ素子アレイは、前記一組のセンサ素子を含むハイパースペクトル画像センサであり、
前記一組のセンサ素子は、約25万画素~4000万画素を有する
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記フィルタアレイは、ブロッカー層又は反射防止塗布層のうちの少なくとも1つを備えた、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
基板に配置されたフィルタアレイを備えたデバイスであって、
前記フィルタアレイは、
前記基板に配置されたミラーと
、
前記ミラーを覆うように配置された第1スペーサ層と、
前記フィルタアレイの他の全てのスペーサ層を含み、全てが前記第1スペーサ層に配置される複数のスペーサ層と、を備え、
前記複数のスペーサ層は、
第2スペーサ層と、
第3スペーサ層であって、前記第2スペーサ層とは隣接していない該第3スペーサ層と、を備え、
前記第3スペーサ層の厚さは、前記第2スペーサ層の厚さと異なっている
デバイス。
【請求項5】
前記第2スペーサ層の厚さは、前記第1スペーサ層の厚さよりも大きい、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記複数のスペーサ層は、さらに、前記第1スペーサ層に配置される第4スペーサ層を備える、請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第4スペーサ層の厚さは、前記第2スペーサ層の厚さよりも大きい、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
一組のフォトダイオードをさらに備え、
前記ミラーは、前記一組のフォトダイオードを覆う、
請求項4に記載のデバイス。
【請求項9】
一組のフォトダイオードをさらに備え、
前記第1スペーサ層は、前記一組のフォトダイオードを覆い、
前記第2スペーサ層は、前記一組のフォトダイオードのうちの前記第1スペーサ層よりも少ない数のフォトダイオードを覆う、
請求項4に記載のデバイス。
【請求項10】
一つ又は複数のセンサ素子をさらに備え、
前記ミラーは、前記一つ又は複数のセンサ素子と前記第1スペーサ層との間に配置されている、
請求項4に記載のデバイス。
【請求項11】
前記複数のスペーサ層のうちの1つ又は複数に配置された別ミラーをさらに備えた、請求項4に記載のデバイス。
【請求項12】
前記一組のセンサ素子は、一組のフォトダイオードである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第1ミラーは、金属ミラー層である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1スペーサの厚さは、前記第2スペーサの厚さと異なっている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第3スペーサの厚さは、前記第2スペーサの厚さと異なっている、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
デバイスであって、
一組のセンサ素子と、
前記一組のセンサ素子を覆う第1スペーサ層と、
前記デバイスの他の全てのスペーサ層を含み、全てが前記第1スペーサ層に配置される複数のスペーサ層と、を備え、
前記複数のスペーサ層は、
前記一組のセンサ素子のうちの第1センサ素子を覆う第2スペーサ層であって、
前記第1センサ素子の数は、前記一組のセンサ素子の数よりも少ない、該第2スペーサ層と、
前記一組のセンサ素子のうちの第2センサ素子を覆う第3スペーサ層であって、
前記第2センサ素子の数は、前記一組のセンサ素子の数よりも少なく、
前記第3スペーサ層により覆われる前記第2センサ素子は、前記第2スペーサ層により覆われる前記第1センサ素子とは異なり、
前記第3スペーサ層と前記第2スペーサ層とは隣接していない、該第3スペーサ層と、を備え、
前記第3スペーサ層の厚さは、前記第2スペーサ層の厚さよりも大きい、デバイス。
【請求項17】
前記一組のセンサ素子は、基板に設けられた一組のフォトダイオードである、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第2スペーサ層および前記第3スペーサ層は、前記第1スペーサ層に配置されている、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
基板に配置されたフィルタアレイを備えたデバイスであって、
前記基板は、センサ素子アレイに接着されるガラス基板、又は前記センサ素子アレイを含むシリコン基板であり、
前記フィルタアレイは、
前記基板に配置された第1ミラーと、
複数のスペーサ層であり、
前記複数のスペーサ層のうちの第1スペーサ層は、前記第1ミラーに配置されて、前記センサ素子アレイのうちの一組のセンサ素子を覆い、
前記複数のスペーサ層のうちの第2スペーサ層は、前記第1スペーサ層に配置されて、前記一組のセンサ素子のサブセットを覆い、
前記複数のスペーサ層のうちの第3スペーサ層は、前記第2スペーサ層に配置されて、前記サブセットのセンサ素子を覆い、
前記一組のセンサ素子のうちの各センサ素子は、約1μm未満の間隔を有する、複数のスペーサ層と、
前記複数のスペーサ層に配置された第2ミラーと、
を備え、前記第2ミラーは、前記一組のセンサ素子と整列されており、前記第2ミラーは、該第2ミラーの外周部で前記基板に接する、
デバイス。
【請求項20】
前記一組のセンサ素子は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術、又は電荷結合素子(CCD)技術を備える、請求項
19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記複数のスペーサ層のうちの第4スペーサ層は、前記第3スペーサ層に配置され、前記サブセットのセンサ素子を覆う、請求項
19に記載のデバイス。
【請求項22】
前記デバイスは、赤-緑-青-赤外(RGB、IR/B)奥行き感知システムであり、
前記RGB、IR/B奥行き感知システムは、前記複数のスペーサ層によって構成される一組の赤チャネル、一組の緑チャネル、一組の青チャネル、及び一組の赤外チャネルを含む、
請求項
21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記一組の赤外チャネルは混合スペーサ構成を有し、
前記混合スペーサ構成は、1つ又は複数の酸化ニオブチタン(NbTiOx)ベース層及び1つ又は複数の水素化シリコン(Si:H)ベース層を含む、
請求項
22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記一組のセンサ素子は、一組のフォトダイオードである、請求項
19に記載のデバイス。
【請求項25】
前記第2スペーサ層は、前記一組のセンサ素子の半分以上を覆う、請求項
19に記載のデバイス。
【請求項26】
前記第3スペーサ層は、前記一組のセンサ素子の半分を覆う、請求項
19に記載のデバイス。
【請求項27】
前記第2スペーサ層の厚さは、前記第1スペーサ層の厚さよりも大きい、請求項
19に記載のデバイス。
【請求項28】
前記第3スペーサ層の厚さは、前記第2スペーサ層の厚さよりも大きい、請求項
19に記載のデバイス。
【請求項29】
前記一組のセンサ素子は、第1センサ素子と、第2センサ素子とを備え、
前記第1センサ素子と前記第2センサ素子との間の距離は、約150nm~2μmである、
請求項
19に記載のデバイス。
【請求項30】
前記第1ミラー又は前記第2ミラーのうちの少なくとも一方は、約40nm~500nmの厚さを有する、請求項
19に記載のデバイス。
【請求項31】
前記第1ミラー又は前記第2ミラーのうちの少なくとも一方は、複数のミラー層を含む、請求項
19に記載のデバイス。
【請求項32】
複数のセンサ素子を備えた基板に配置されたミラー層と、
前記ミラー層に配置され、前記複数のセンサ素子のうち、第1数量のセンサ素子を覆う第1スペーサ層と、
前記第1スペーサ層に配置され、前記複数のセンサ素子のうち、第2数量のセンサ素子を覆う第2スペーサ層と、
前記第2スペーサ層の上に配置された別ミラー層と
を備え、
前記第2数量は、前記第1数量と異なり、
前記別ミラー層は、該別ミラー層の外周部で前記基板に接する、
フィルタアレイ。
【請求項33】
)
前記ミラー層及び前記別ミラー層は、前記複数のセンサ素子の全てを覆う、請求項
32に記載のフィルタアレイ。
【請求項34】
前記第1数量のセンサ素子は、前記複数のセンサ素子の全てであり、
前記第2数量のセンサ素子は、前記複数のセンサ素子の半数以上、かつ、前記複数のセンサ素子の全数未満である
請求項
32に記載のフィルタアレイ。
【請求項35】
前記第2スペーサ層に配置され、前記複数のセンサ素子のうち、第3数量のセンサ素子を覆う第3スペーサ層をさらに備え、
前記第3数量は、前記第1数量及び前記第2数量と異なる、
請求項
32に記載のフィルタアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルタアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
センサ素子アレイなどの光学デバイスにおいて、センサ素子は特定の間隔を有する場合がある。例えば、第1センサ素子は第2センサ素子からの特定の間隔を有する場合がある。センサ素子は約50μm~200μmの大きさを持つ場合がある。一組のセンサ素子間の間隔は、約20μmよりも大きい場合がある。センサ素子アレイは3D奥行き感知システムなどの感知システムに使用することができる。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの可能な実施形態によれば、デバイスは基板に配置されたフィルタアレイを含むことができる。フィルタアレイは基板に配置させた第1ミラーを含むことができる。フィルタアレイは第1ミラーに配置された複数のスペーサを含むことができる。複数のスペーサの中の第1スペーサは第1厚さを有することができる。複数のスペーサの中の第2スペーサは、第1厚さとは異なる第2厚さを有することができる。第1スペーサに対応する第1チャネル及び第2スペーサに対応する第2チャネルは、約10μm未満の分離幅を有することができる。フィルタアレイは複数のスペーサに配置された第2ミラーを含むことができる。
【0004】
いくつかの可能な実施形態によれば、デバイスは基板に配置されたフィルタアレイを含むことができる。フィルタアレイは基板に配置された第1ミラーを含むことができる。フィルタアレイは第1ミラーに配置されたスペーサを含むことができる。スペーサは複数のスペーサ層を含むことができる。複数のスペーサ層の中の第1スペーサ層は、第1ミラーを覆うように配置させることができる。複数のスペーサ層の中の第2スペーサ層は、第1スペーサ層に配置させることができる。第1スペーサ層に対応する第1チャネル及び第2スペーサ層に対応する第2チャネルは、約5μm未満の分離幅を有することができる。フィルタアレイはスペーサに配置された第2ミラーを含むことができる。
【0005】
いくつかの可能な実施形態によれば、デバイスは基板に配置されたフィルタアレイを含むことができる。基板はセンサ素子アレイに接着されるガラス基板又はセンサ素子アレイを含むシリコン基板とすることができる。フィルタアレイは基板に配置された第1ミラーを含むことができる。フィルタアレイは複数のスペーサ層を含むことができる。複数のスペーサ層の中の第1スペーサ層を第1ミラーに配置して、センサ素子アレイの一組のセンサ素子を覆うようにしてもよい。複数のスペーサ層の中の第2スペーサ層を第1スペーサ層に配置して、一組のセンサ素子のサブセットを覆うようにしてもよい。複数のスペーサ層の中の第3スペーサ層を第2スペーサ層に配置して、センサ素子のサブセットのサブセットを覆うようにしてもよい。一組のセンサ素子の各センサ素子は約1μm未満の間隔を有することができる。フィルタアレイは複数のスペーサ層に配置された第2ミラーを含んでもよい。第2ミラーは一組のセンサ素子と整列させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】本明細書に記載する、誘電体ベース光学フィルタコーティングの例を示す図である。
【
図1B】本明細書に記載する、誘電体ベース光学フィルタコーティングの例を示す図である。
【
図2】本明細書に記載する、誘導透過フィルタ(ITF)ベース光学フィルタコーティングの例を示す図である。
【
図4A】本明細書に記載する光学フィルタコーティングの実施例を示す図である。
【
図4B】本明細書に記載する光学フィルタコーティングの実施例を示す図である。
【
図4C】本明細書に記載する光学フィルタコーティングの実施例を示す図である。
【
図4D】本明細書に記載する光学フィルタコーティングの実施例を示す図である。
【
図4E】本明細書に記載する光学フィルタコーティングの実施例を示す図である。
【
図5A】本明細書に記載する奥行き感知システムへの光学フィルタコーティングの実施例を示す図である。
【
図5B】本明細書に記載する奥行き感知システムへの光学フィルタコーティングの実施例を示す図である。
【
図5C】本明細書に記載する奥行き感知システムへの光学フィルタコーティングの実施例を示す図である。
【
図5D】本明細書に記載する奥行き感知システムへの光学フィルタコーティングの実施例を示す図である。
【
図5E】本明細書に記載する奥行き感知システムへの光学フィルタコーティングの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施例に対する詳細の説明を、添付の図面を参照して以下に説明する。種々の図面において使用されている同じ参照符号は、同じ又は類似した要素を特定するものである。
【0008】
センサ素子アレイなどの光学デバイスにおいて、センサ素子間は特定の距離で離間させることができる。センサ素子は約50μm~200μmの大きさとすることができる。一対のセンサ素子間の距離は約20μmより大きくてもよい。しかしながら1つの光学デバイスに含まれるセンサ素子の数が増える、及び/又は光学デバイスのパッケージサイズが小さくなるにつれ、センサ素子のセンサ素子アレイを約20μm未満、約10μm未満、約1μm未満などの間隔を空けて製造するのは有利であり得る。本明細書に記載する実施例は、約20μm未満、約10μm未満、約1μm未満などの閾値未満の間隔の設けられたセンサ素子のセンサ素子アレイを可能にする光学フィルタを提供する。
【0009】
図1A及び
図1Bは、本明細書に記載する誘電体ベース光学フィルタコーティングの実施例100を示す図である。
図1Aに示す様に、実施例100は、基板110、フォトダイオード120、フォトレジスト層130、フィルタコーティング層140及び遷移領域150を含んでいる。
【0010】
図1Aに関して、誘電体ベース光学フィルタコーティングは、リフトオフプロセスを用いて基板110上に製造される。基板110はアクティブデバイスウエハとすることができる。リフトオフプロセスは化学的エッチング、物理的エッチングなどの難易度に基づいて選択することができる。フォトレジスト層130はフィルタコーティング層140の堆積されていない基板110の領域に堆積させる。例えば、フォトダイオード120又は他のタイプのセンサ素子を覆うために堆積させるように意図されているフィルタコーティング層140に基づき、フォトレジスト層130を、フォトダイオード120に整列されていない基板110の一部に配置させる。フィルタコーティング層140をフォトレジスト層130、及びフォトダイオード120と整列された基板110の露出された部分に堆積した後、リフトオフプロセスを実行してフォトレジスト層130を除去すると、フォトダイオード120と整列された基板110の一部にフィルタコーティング層140が残る。しかしながらリフトオフプロセスにより、フィルタコーティング層140が物理的厚さの減少していくテーパ状のエッジを有する遷移領域150が生じる。遷移領域150はフィルタコーティング層140の厚さの約2~3倍の幅を有することがある。
【0011】
図1Bに示す様に、上面
図160‐1及び側面
図160‐2では、一組のフォトダイオード120‐1及び120‐2が基板110に置かれ、これを一組のフィルタコーティング層140‐1及び140‐2で、これらの層が重なるように覆うことができる。フィルタコーティング層140を重ねることにより、フィルタコーティング層140間を離す場合と比較して、フォトダイオード120‐1とフォトダイオード120‐2の間隔を減少させることができる。この場合、フィルタコーティング層140は、厚さ172、フォトダイオード領域174(例えば、対応するフォトダイオード120と整列する領域)及び機能領域176(例えば、特定のフィルタコーティング層140のテーパ状のエッジ間に配置される領域)を有する。フォトダイオード120は分離幅178(例えば、フォトダイオード120とフォトダイオードの間の間隔)を有することができる。分離幅178は厚さ172の3倍よりも大きくすることができる。この場合、厚さ172は約5μmよりも大きいため、分離幅178は約15μmよりも大きくなる。しかしながら、フォトダイオード間の分離幅は、15μm未満、10μm未満、5μm未満、1μm未満などとすることは有利である。
【0012】
上述の
図1A及び1Bは単なる例として示したものである。その他の例も可能であり、
図1A及び1Bに関して説明したものと異なるものであってもよい。
【0013】
図2は本明細書に記載する誘導透過フィルタ(ITF)ベースの光学フィルタコーティングの実施例200を示す図である。
図2に示す様に、実施例200は、基板210、フォトダイオード220、フォトレジスト層230、金属層240’を含むフィルタコーティング層240及び遷移領域250を含んでいる。
【0014】
図2に関して、金属層240’には銀(Ag)層、アルミニウム(Al)層などがある。金属層240’は、金属層240’の露出に対する腐食の可能性を低減させる、フィルタコーティング層240の誘電体部分によって包み込む(encapsulated)ことができる。この場合、保護的な包み込みを提供するようにフィルタコーティング層240を製造するには、フィルタコーティング層240のテーパ状のエッジは、例えば約5°未満の閾値内角(threshold internal angle)260を有するように製造される。ITFベースの光学フィルタコーティングは厚さ約1000ナノメートル(nm)未満、例えば約500nmとすることができるが、閾値内角(threshold internal angle)を約5°未満にすると、遷移領域250は約10μm~20μmとすることができ、これはフォトダイオード220間の間隔である、約10μm~20μmに対応する。これは、約2μm~50μmの大きさで、約0.5μm~10μmの間隔を有するフォトダイオード220などのセンサ素子を含むセンサ素子アレイにとって有利なものより大きい場合もある。
【0015】
上述の
図2は単なる例として示したものである。その他の例も可能であり、
図2に関して説明したものと異なるものであってもよい。
【0016】
図3は実施例300の概要図である。実施例300は、約10μm未満、約5μm未満、約1μm未満などの間隔などの、センサ素子アレイのセンサ素子における閾値未満の間隔を有する、本明細書に記載するシングルキャビティファブリ・ペローフィルタベースの光学フィルタコーティングを示している。
図3に示す様に、実施例300は、基板310、一組のフォトダイオード320、第1ミラー層330、一組のスペーサ層340及び第2ミラー層350を含んでいる。フォトダイオード320は分離幅360の間隔を有する。
【0017】
いくつかの実施形態において、基板310は約50mm~500mm、例えば約100mm、約150mm、約200mm、約300mm、約450mmなどのウエハ幅を有す
ることができる。いくつかの実施形態において、基板310は約50μm~1.0mmの厚さを有することができる。いくつかの実施形態において、基板310が裏面照射型フォトダイオード320を有する場合、基板310の厚さを約5μm~70μm、約25μm~50μmなどとし、例えば他の厚さのキャリアウエハと一時的に接着させてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、フォトダイオード320は約1μm~20μmの幅を有することができる。いくつかの実施形態において、第1ミラー層330又は第2ミラー層350などのミラーは、約20ナノメートル(nm)~80nmの厚さを有することができる。いくつかの実施形態において、スペーサ層340は約15nm~300nmの厚さを有することができる。
【0019】
図3に関して、第1ミラー層330及び第2ミラー層350は一組のスペーサ層340を挟んでいる。スペーサ層340は物理蒸着工程、化学蒸着工程などを用いて堆積させ、一組のスペーサ層340及びそれによって形成されたチャネルの厚さを変えることができる。一組のスペーサ層340の厚さの変化に基づき、各フォトダイオード320又は別のタイプのセンサ素子は、対応して変化する光の中心波長に露出される。このようにして、分離幅360を閾値未満、例えば10μm未満、5μm未満、1μm未満、500nm未満などとすることのできる光学フィルタコーティングを製造することができる。いくつかの実施形態において、分離幅360は約0.5μm~10μmであってもよい。いくつかの実施形態において、分離幅360は約150nmであってもよい。
【0020】
上述の
図3は単なる例として示したものである。その他の例も可能であり、
図3に関して説明したものと異なるものであってもよい。
【0021】
図4A~4Eは、本明細書に記載するシングルキャビティファブリ・ペローフィルタベースの光学フィルタコーティング実施例400/400’/400”を示す図である。
図4Aに示す様に、実施例400は、基板410、一組のフォトダイオード420‐1~420‐4、第1ミラー層430、一組のスペーサ層440‐1~440‐4及び第2ミラー層450を含んでいる。
【0022】
図4Aに関して、第1ミラー層430及び第2ミラー層450は二酸化ケイ素(SiO2)及び水酸化ケイ素(Si:H又はSi_H)の層を用いた1/4波長積層であってもよい。別の例において、1/4波長積層は、別の一組の材料、例えば他の高屈折率材料(例えば、五酸化ニオブ(Nb2O5)、五酸化タンタル(Ta2O5)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ハフニウム(HfO2)及びこれらの組み合わせなど)、他の低屈折材料(例えばフッ化マグネシウム(MgF2)など)などであってもよい。いくつかの実施形態において、堆積の困難性を低減させるには非フッ化系材料が好適である。いくつかの実施形態において、比較的高い有効指数を有する材料は、角度シフトの低減、ブロッカー又はミラーの層数の低減のために好適である。スペーサ層440は1つ又は複数の水素化ケイ素の層を使って製造されたスペーサであってもよい。別の例において、スペーサ層440は、Nb2O5、Ta2O5、TiO2、HfO2などの他の材料、他のタイプの酸化物、これらの組み合わせなどを含むことができる。第1ミラー層430及び/又は第2ミラー層450は、フォトダイオード420などのセンサ素子と整列させて配置させることができる。
【0023】
本明細書に記載する別の例においては、1/4波長堆積に代えて半透過金属ミラーを使用することができる。例えば、銀(Ag)層を含む金属ミラーを、紫外線(UV)‐Aスペクトル領域、可視スペクトル領域、近赤外領域(NIR)などにおいて使用することができる。同様に、アルミニウム(Al)層を含む金属ミラーをUVスペクトル領域など(約200nm~400nm)に使用することができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、第1ミラー層430は、第1ミラー層430の表面に配置されたブロッカー層、第1ミラー層430の表面に配置された保護層などを含むことができる。各スペーサ層440は、対応するフォトダイオード420又は別のタイプのセンサ素子を通過する光の特定の中心波長に対応する特定の厚さを有する。例えば、表460に示す様に、スペーサ層440‐1は約96.6nmの厚さを有することができ、スペーサ層440‐2は約115.3nmの厚さを有することができ、スペーサ層440‐3は約131.5nmの厚さを有することができ、スペーサ層440‐4は約147.6nmの厚さを有することができる。この場合、各スペーサ層440は、各スペーサ層440に対するパターニング及びコーティングのステップを用いて第1ミラー層430に堆積させることができる。図に示す様に、第2ミラー層450を第1ミラー層430及びスペーサ層440の露出された部分に堆積させ、そうすることによってスペーサ層440を第1ミラー層430で包み込んでもよい。このようにして、フォトダイオード220間又はその他のセンサ素子間の間隔を約600nm~10μm、約600nm未満などとすることができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、スペーサ層440は物理蒸着(PVD)工程によって堆積させることができる。例えば、スペーサ層440及び/又は本明細書に記載する実施例のその他の部分を、マグネトロンスパッタ工程、電子ビーム及び熱蒸発工程などによって製造することができる。いくつかの実施例において、スペーサ層440は化学蒸着(CVD)工程によって堆積することができる。いくつかの実施例において、スペーサ層440の厚さは、UVスペクトル領域(例えば約200nm~400nm)、可視スペクトル領域(例えば約400nm~700nm)、NIRスペクトル領域(例えば約700nm~2000nm)、中波長IR(MWIR)スペクトル領域(例えば約2μm~6μm)、低波長IR(LWIR)スペクトル領域(例えば約6μm~14μm)などの特定のスペクトル領域を実現させるように選択することができる。層の厚さは所望のスペクトル領域と関連させてもよい。例えば、約2μm~6μm又は約6μm~14μmのスペクトル領域に対して、ミラー層430又は450の厚さは約20nm~400nmとしてもよく、スペーサ層440の厚さは約15nm~1500nmなどとしてもよい。いくつかの実施例において、スペーサ層440を堆積させて、シリコンベース検出器、インジウムガリウム砒素(InGaAs)ベース検出器などを製造してもよい。いくつかの実施例において、スペーサ層440をハイパースペクトル画像センサに堆積させてもよい。いくつかの実施例において、スペーサ層440を裏面照射センサ又は表面照射センサに堆積させてもよい。
【0026】
図4Bに示す類似の実施例400’は、基板410、一組のフォトダイオード420‐1~420‐4、第1ミラー層430、一組のスペーサ層440‐1~440‐4及び第2ミラー層450を含んでいる。
【0027】
図4Bにおいては、第1ミラー層430及び各々のフォトダイオード420を全て覆うようにスペーサ層440‐1を堆積させ、その他のスペーサ層440をそれぞれスペーサ層440‐1に堆積させている。このように、実施例400’においては、実施例400においてスペーサ層440を堆積するために行われるパターニング及びコーティングのステップ数を減らすことができる。いくつかの実施例において、ミラー層430などのミラー層が金属ミラー層(例えば銀系材料)である場合、スペーサ層440‐1などのスペーサ層は金属ミラー層の保護コーティングを提供することができる。別の例において、スペーサ層440‐2~440‐4の各々を第1ミラー層430上にパターン化してコーティングしてもよく、スペーサ層440‐1は、第2ミラー層450に堆積させる前に、第1ミラー層430及びスペーサ層440‐2~440‐4の各々の露出部に堆積させることができる。すなわち、第1スペーサ層440‐1の全表面は、第1ミラー層430ではな
く第2ミラー層450の表面に隣接させて堆積させる。表460’に示す様に、スペーサ層440‐2~440‐4の各々は、スペーサ層440‐1の厚さ(例えば約96.6nm)に加え、特定の厚さを有している。例えば、スペーサ層440‐2は約18.7nmの付加的な厚さを有し、スペーサ層440‐3は約34.9nmの付加的な厚さを有し、スペーサ層440‐4は約51nmの付加的な厚さを有している。
【0028】
図4Cに示す様に、類似の実施例400”は、基板410、一組のフォトダイオード420‐1~420‐4、第1ミラー層430、一組のスペーサ層440‐1~440‐4及び第2ミラー層450を含んでいる。
【0029】
図4Cにおいて、スペーサ層440‐1は第1ミラー層430に堆積され、フォトダイオード420‐1~420‐4の各々を覆っている。同様に、スペーサ層440‐2はスペーサ層440‐1の一部に堆積され、フォトダイオード420‐2~420‐4の各々を覆っている。同様に、スペーサ層440‐3はスペーサ層440‐2の一部に堆積され、フォトダイオード420のサブセット(例えば、フォトダイオード420‐3~420‐4の各々)を覆っている。同様に、スペーサ層440‐4はスペーサ層440‐3の一部に堆積され、フォトダイオード420‐4を覆っている。このように実施例400”では、実施例400においてスペーサ層440を堆積させるために行われるパターニングとコーティングのステップの数を低減することができる。表460”に示す様に、スペーサ層440‐2~440‐4の各々は、先のスペーサ層440の厚さに対する付加的な厚さを有している。例えば、スペーサ層440‐2は、(例えば約96.6nmの厚さを有する)スペーサ層440‐1に堆積される約18.7nmの付加的な厚さを有しており、スペーサ層440‐3はスペーサ層440‐2に堆積される約16.2nmの付加的な厚さを有し、スペーサ層440‐4はスペーサ層440‐3に堆積される約16.1nmの付加的な厚さを有している。このように、フォトダイオード220間又はその他のセンサ素子間の間隔を、約150nm~2μm、約150nm未満などとすることができる。
【0030】
図4Dに示すグラフ470は実施例400/400’/400”のチャネルに関する一組の光学的特性を示している。例えば、スペーサ層440‐1及びフォトダイオード420‐1と関連する第1チャネルに対して、スペーサ層440‐1の厚さは約795nmの中心波長となっている。同様に、スペーサ層440‐2及びフォトダイオード420‐2と関連する第2チャネルにおいて、スペーサ層440‐2の厚さは約870nmの中心波長となっている。同様に、スペーサ層440‐3及びフォトダイオード420‐3と関連する第3チャネルにおいて、スペーサ層440‐3の厚さは約935nmの中心波長となっている。同様に、スペーサ層440‐4及びフォトダイオード420‐4と関連する第4チャネルにおいて、スペーサ層440‐4の厚さは約1000nmの中心波長となっている。ここでは特定の一組の中心波長を示したが、その他の中心波長も可能であり、
図4Dに関して記載したものと異なるものであってもよい。
【0031】
図4Eに示す様に、表480は実施例400/400’/400”に関する一組の物理的特性を示している。例えば、ミラー層430又はミラー層450などのミラーは約40nm~500nmの厚さを有している。同様に、スペーサ層440‐4などのスペーサ層は約147.61nmの厚さを有している。いくつかの実施形態において、ミラー層430又はミラー層450などのミラー層は複数の層を有している。例えば、ミラー層はSi:H層、SiO2層などを含むことができる。
【0032】
上述の
図4A~
図4Eは単なる例として示したものである。その他の例も可能であり、
図4A~
図4Eに示したものと異なるものであってもよい。
【0033】
図5A~
図5Eは、本明細書に記載する奥行き感知システムの光学フィルタコーティン
グの実施例500を示している。
図5Aに示す様に、実施例500は、基板510(例えば窒化ケイ素(S3N4)、又はその他の例においてはSiO2若しくはSi)、一組の酸化亜鉛(ZnO)層520‐1~520‐4、一組の銀(Ag)層530‐1~530‐2、一組の酸化ニオブチタン(NbTiOx)層540‐1~540‐3及び一組の二酸化ケイ素(SiO2)層550‐~550‐2を含んでいる。いくつかの実施形態において、実施例500の光学フィルタコーティングは、ファブリ・ペロー光学フィルタであってもよい。いくつかの実施形態において、別の実施例は、センサデバイスに接着される透明基板510を含むことができる。
【0034】
図5Aに関して、ZnO層520はそれぞれ約1.5nmの厚さを有することができる。NbTiOx 540‐1によって形成される一組のスペーサ層を囲む一組の半透過金
属ミラーであるAg層530は、約40nmの厚さを有している。NbTiOx540‐1は
図4A~
図4Cのスペーサ440に対応するので、所望されるスペーサの厚さに応じてNbTiOx540‐1の厚さは変化してしまう。表560に示す様に、NbTiOx540‐1は撮像のための可視光(例えば、赤/緑/青(RGB)光)検出用の一組の3つのチャネルと奥行き感知(例えば3D奥行き感知)用の第4のチャネル(例えばIR及び青の光)とを形成することができる。全部で4つのチャネルが
図4A~4Cに示すスペーサ440‐1~440‐4に対応することができる。青の可視光検出用の第1チャネルは約44.8nmの総厚を有し、緑の可視光検出用の第2チャネルは総厚約60.5nmを有し、赤の可視光検出用の第3チャネルは総厚約82.9nmを有し、IR及び青の光検出(奥行き感知)用の第4チャネルは総厚約134.5nmを有する。いくつかの実施形態において、NbTiOx540‐1の層を
図4A~4Cに示す形態で堆積させることができる。例えば、各チャネルは個々のフィルタ層の積層であってもよく、共通の第1フィルタ層を共有してもよく、先に堆積されたフィルタ層の一部に堆積させてもよい。この場合、
図4B及び4Cに示す様に、各チャネルに共通の少なくとも1つの層を堆積することにより、保護層を提供してAg層530の耐久性を向上させることができる。
【0035】
更に
図5Aを参照すると、 NbTiOx層540‐2は約50nmの厚さを有し、S
iO2層550‐1は約18nmの厚さを有し、NbTiOx層540‐3は約16nmの厚さを有し、SiO2層550‐2は約101nmの厚さを有することができる。層540‐2、550‐1、540‐3及び550‐2は共に、基板510に埋め込まれた、又は基板510に配置されたセンサ素子の反射防止膜を形成することができる。
【0036】
図5Bに示すグラフ570は実施例500のチャネルに関する一組の光学特性を示している。例えば、赤い可視光の感知に関係する第1チャネルは、約620nmの中心波長を有している。同様に、緑の可視光の感知に関係する第2チャネルは約520nmの中心波長を有している。同様に、青い可視光の感知に関係する第3チャネルは約450nmの中心波長を有している。同様に、奥行き感知(例えば青い光とIR光の感知)に関係する第4チャネルは約450nm(青い光)及び850nm(IR光)の中心波長を有している。本明細書には特定の一組の中心波長を示すが、その他の中心波長も可能であり、
図5Bに関して記載したものと異なるものであってもよい。
【0037】
図5Cに示す表580は、実施例500に関するセンサ素子のセンサ素子アレイを示している。例えば、センサ素子アレイ(例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術、電荷結合素子(CCD)技術など)は、一組の第1チャネル(例えばRで示される赤い光チャネル)、一組の第2チャネル(例えばGで示される緑の光チャネル)、一組の第3チャネル(例えばBで示される青い光チャネル)及び一組の第4チャネル(例えIR/Bで示されるIR及び青い光のチャネル)を含む。この場合、センサ素子アレイのスペーサ層は、
図4Cに関して本明細書に記載する様に、各スペーサ層を先のスペーサ層の一部に堆積させることによって製造される。これにより、IR/Bチャネルは他のチャネルと比
べて、約51.6nmの最大厚さを持つようになる。その厚さに基づき、センサ素子アレイにおけるセンサ素子の間隔を約150nmとすることができる。
【0038】
いくつかの実施形態において、センサ素子を裏面照射型センサ素子として、別の構成のセンサ素子よりも向上した量子効率及びスペクトル反応再現性を提供することができる。いくつかの実施形態において、誘電体ブロッカーを約750nmの厚さを有するIR/Bチャネルに適用して、間隔を約2μmとすることができる。本明細書では、チャネルの4つのスペクトル領域を配置させる特定のパターンに関して説明しがが、その他のチャネルパターン及び/又は数量であってもよい。例えば、表580は64のチャネルを有するセンサ素子アレイを示しているが、本明細書に記載する実施例においては、例えば64以下(例えば、64、63、62...2つのチャネル)、32以下、16以下、8以下、4以下などの閾値以下のチャネル数としてもよい。別の実施例においては、センサ素子の別の数量(例えば画素)であってもよい。例えば、本明細書に記載する実施例は、約1000万~4000万画素、約25万~4000万画素などのカウントに使用することができる。これに加えて、又はこれに代えて、本明細書に記載する実施例は、約25万、約100万、約400万、約2000万よりも大きな画素数のカウントに使用することもできる。
【0039】
図5Dに示すグラフ590及び590’は、センサ素子の角度シフトに関する例示的光学特性を認識するために設けたものである。グラフ590及び590’はセンサ素子の角度シフトを示している。例えば、グラフ590は近赤外フィルタの混合スペーサ構成体(例えば約44.8nmの酸化ニオブチタン(NbTiOx)及び約42nmのSi:Hスペーサ)の使用に関するものである。別の例において、混合スペーサ構成体は、1つ又は複数の第1層の別の第1材料(例えば別の酸化物)と1つ又は複数の第2層の別の第2材料とを含むことができる。グラフ590は
図5Eの表595に示されている一組のコーティングを使った光学フィルタに関するものである。
図590’は実施例500と同様のスペーサ構成体の使用に関するものである。
図590’は
図5Eの表595’に示す一組のコーティングを使った光学フィルタに関するものである。
図5Eに示す様に、グラフ590の光学フィルタ及びグラフ590’の光学フィルタは、赤いチャネル、緑のチャネル及び青のチャネルの類似した積層を有しているが、NIRチャネル用の異なる積層も含んでいる。例えば、グラフ590の光学フィルタは、本明細書に記載する第2オーダーのピークをブロックする水素化シリコンを有する。
【0040】
図5Dに示す様に、NIR(例えば約850nm)スペクトルにおける0°の入射角(AOI)から30°のAOIへのシフトでは、NIR光を受光するグラフ590の光学フィルタと関連するセンサ素子は、グラフ590’の光学フィルタと関連するセンサ素子と比較して、角度シフトの低減及び透過率の向上を呈している。同様に、青い光のスペクトル領域(例えば約450nm)における0°から30°へのAOIのシフトにおいて、グラフ590の光学フィルタを用いたセンサ素子は、グラフ590’の光学フィルタを用いたセンサ素子と比較して、角度シフトの低減及び透過率の向上を呈している。更に、ブロッカーはグラフ590の光学フィルタを用いてセンサ素子の第2オーダーのピークを制御する必要はない。
【0041】
上述の
図5A~5Eは単なる例として示したものである。その他の例も可能であり、
図5A~5Eに示すものと異なるものであってもよい。
【0042】
このようにして、約10μm未満、5μm未満、1μm未満、500nm未満、200nm未満、150nm未満などの間隔を持つセンサ素子アレイ用の光学フィルタを製造することができる。更に、光学フィルタは、別のタイプの光学フィルタと比較して低減された角度シフトと向上された透過率とを有している。
【0043】
上述の開示は例示及び説明を提供するものであるが、全てを網羅している訳ではなく、実施例を開示された形態に厳密に制限することを意図するものではない。変更及び変形は、上述の開示に照らして行うことができる、又は実施例の実施から取得することができる。
【0044】
本明細書で使用するコンポーネントという用語は、ハードウェア、ファームウェア及び/又はハードウェアとファームウェアの組み合わせとして広く解釈されることを意図している。
【0045】
本明細書に記載するいくつかの実施形態は閾値に関するものである。本明細書に記載する、閾値を満足させるとは、閾値よりも大きい値、閾値を超える値、閾値よりも高い値、閾値以上の値、閾値未満の値、閾値よりも少ない値、閾値よりも低い値、閾値以下の値、閾値と等しい値などを指す。
【0046】
本明細書に記載するシステム及び/又は方法は、ハードウェア、ファームウェア及び/又はハードウェアとファームウェアの組み合わせの異なる形態で実施することができる。これらのシステム及び/又は方法を実施するために使用される、実際の専用制御ハードウェア又はソフトウェアコードは実施例を制限するものではない。従って、本明細書に記載するシステム及び/又は方法の操作及び挙動は特定のソフトウェアコードを参照したものではなく、ソフトウェア及びハードウェアは、本明細書の記載に基づいてシステム及び/又は方法を実施するように設計することができると理解されたい。
【0047】
特性の特別な組み合わせを請求項に記載し、及び/又は明細書に開示したが、これらの組み合わせは可能な実施形態の開示を制限することを意図するものではない。実際、これらの特性の多くは、請求項に具体的に記載されていない方法、及び/又は明細書に開示されていない方法で組み合わせることができる。以下に記載する各々の従属請求項は1つの請求項のみに従属させることができるが、可能な実施例の開示は、各々の従属請求項と請求項の範囲における他の全ての請求項との組み合わせを含んでいる。
【0048】
本明細書で使用される要素、行為又は命令は、明示的な記載のない限り、重要又は必須であると解釈してはならない。また、本明細書で使用する「a」及び「an」の冠詞は1つ又は複数のアイテムを含むものとし、「1つ又は複数の」と代替可能に使用することができる。更に、本明細書で使用する「組(set)」という用語は、1つ又は複数のアイテ
ム(例えば関連アイテム、非関連アイテム、関連アイテムと非関連アイテムの組み合わせなど)を含むものとし、「1つ又は複数の」と代替可能に使用することができる。1つのアイテムのみが意図される場合、「1つの」という用語又は類似の言葉が使用される。また、本明細書で使用する「有する(has, have, having)」などの用語は開放型用語であ
るものとする。更に、「に基づく(based on)」という言い回しは、特に断りのない限り、「少なくとも部分的に~に基づく」ことを意味するものとする。