(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】電気刺激装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240516BHJP
A61N 1/04 20060101ALI20240516BHJP
A61N 1/06 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/04
A61N1/06
(21)【出願番号】P 2022078619
(22)【出願日】2022-05-12
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】512210892
【氏名又は名称】株式会社リンクス
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】丸茂 一康
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/064873(WO,A1)
【文献】特許第6966812(JP,B1)
【文献】特開2005-224387(JP,A)
【文献】特開昭61-76170(JP,A)
【文献】特開2018-79272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
A61N 1/04
A61N 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体に設けられたブラシ部とを備え、
前記本体には、パルス波発生部が備えられ、
前記ブラシ部は、複数本のブラシ毛を備え、
前記ブラシ毛の先端には、通電部が備えられ、
前記通電部は、前記パルス波発生部に電気的に接続されており、
前記パルス波発生部は、第1のパルス波、第2のパルス波及び第3のパルスを発生させ、
前記第1のパルス波の周波数は、1Hz以上500Hz以下であり、
前記第1のパルス波のオン期間は、第2のパルス波が複数回繰り返されることで構成されており、
第2のパルス波の周波数は、1KHz以上5KHz以下であり、
前記第2のパルス波のオン期間は、前記第3のパルス波が複数回繰り返されることで構成されており、
前記第3のパルス波の周波数は、20MHz以上50MHz以下である、
電気刺激装置。
【請求項2】
前記第2のパルス波のオン期間は、電位の符号が異なる2つの期間からなり、
前記第2のパルス波は、前記の電位の符号が異なる2つの期間と、オフ期間とが、この順で配置された期間を1周期とする、
請求項1に記載の電気刺激装置。
【請求項3】
前記の、第2のパルス波の電位の符号が異なる2つのオン期間を、正電位期間と負電位期間とにした場合、
前記正電位期間を構成する前記第3のパルス波の最低電位は、0Vより高く、
前記負電位期間を構成する前記第3のパルス波の最高電位は、0Vより低い、
請求項1又は2に記載の電気刺激装置。
【請求項4】
前記パルス波発生部は、前記第1のパルス波を、2つの異なる周波数で交互に発生させる、
請求項1又は2に記載の電気刺激装置。
【請求項5】
前記パルス波発生部は、前記の周波数が異なる2つの第1のパルス波を、5秒以上30秒以下の間隔で交互に発生させる、
請求項4に記載の電気刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EMS(Electrical Muscle Stimulation)美容機器などの電気刺激装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低周波発生装置、高周波発生装置及びヒータ機能を兼ね備えた美容機器が提案されている。例えば、特許文献1には、機能別アプリケータ構造体を備え、その機能別アプリケータ構造体が、ヒータ、超音波発生装置、バイブレータ、低周波発生装置、高周波発生装置などになり得る美容機器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の美容機器、特には電気刺激を伴う美容機器には、その効果が十分ではない、との問題がある。従来の美容機器では、例えば、顔のたるみを低減したり、頭皮を柔らかくしたりするなど、電気刺激の効果として期待されることが、十分には達成されていない。
【0005】
そこで、本発明は、顔のたるみを低減したり、頭皮を柔らかくしたりするなど、電気刺激装置に求められる効果を十分に達成することができる電気刺激装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気刺激装置は、
本体と、前記本体に設けられたブラシ部とを備え、
前記本体には、パルス波発生部が備えられ、
前記ブラシ部は、複数本のブラシ毛を備え、
前記ブラシ毛の先端には、通電部が備えられ、
前記通電部は、前記パルス波発生部に電気的に接続されており、
前記パルス波発生部は、第1のパルス波、第2のパルス波及び第3のパルスを発生させ、
前記第1のパルス波の周波数は、1Hz以上500Hz以下であり、
前記第1のパルス波のオン期間は、第2のパルス波が複数回繰り返されることで構成されており、
第2のパルス波の周波数は、1KHz以上5KHz以下であり、
前記第2のパルス波のオン期間は、前記第3のパルス波が複数回繰り返されることで構成されており、
前記第3のパルス波の周波数は、20MHz以上50MHz以下である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電気刺激装置に求められる効果を十分に達成することができる電気刺激装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】本発明の5Hzの第1のパルス波の概要を示す図である。
【
図4】本発明の200Hzの第1のパルス波の概要を示す図である。
【
図5】本発明の第2のパルス波の概要を示す図である。
【
図6】本発明の5Hzの第1のパルス波、第2のパルス波及び第3のパルス波の関係を示す図である。
【
図7】本発明の200Hzの第1のパルス波、第2のパルス波及び第3のパルス波の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<電気刺激装置の概要>
以下、本発明の実施形態の電気刺激装置1について、
図1及び
図2に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の電気刺激装置1の概要を示す斜視図である。また、
図2は、電気刺激装置1を、
図1の矢印Dの方向から見た図である。
電気刺激装置1は、頭皮などに電気的な刺激を与える、いわゆるEMS美容機器である。
電気刺激装置1は、
図1及び
図2に示すように、本体2と、本体2に備えられたブラシ部3とを備える。
【0010】
本体2は、先頭部分6、ブラシ部3が備えられる部分及び手元部分5を有する。先頭部分6は、電気刺激装置1の先端部分にあたる部分である。手元部分5は、電気刺激装置1の使用者が電気刺激装置1を使用する際に、手にする部分である。以下、電気刺激装置1の使用者を、単に使用者というときがある。
【0011】
手元部分5には、パルス波発生部4及び振動発生部7が設けられている。
電気刺激装置1では、パルス波発生部1が発生させたパルス波が、ブラシ部3を介して、使用者の頭皮などに伝達される。
また、振動発生部7が発生させた振動が、ブラシ部3を介して、使用者の頭皮などに伝達される。
【0012】
<ブラシ部>
ブラシ部3には、
図1に示すように、複数本のブラシ毛10が備えられている。ブラシ毛10の先端には、通電部11が備えられている。パルス波発生部1が発生させたパルス波は、この通電部11を介して、使用者の頭皮などに伝達される。
【0013】
ブラシ毛10は、その先端の部分のみが通電するように構成されている。
これにより、電気刺激装置1は、髪の毛に通電させることなく、頭皮のみに通電させることができる。
【0014】
ブラシ毛10のなかで、手元部分5に近い位置に配置されたブラシ毛10を、手元毛12とする。ブラシ毛10のなかで、本体2の先頭部分6に近い位置に配置されたブラシ毛10を、先頭毛13とする。
手元毛12及び先頭毛13は、他のブラシ毛10と比べて、その太さが太くなっている。
【0015】
<先頭通電部>
通電部11のなかで、先頭毛13に備えられた通電部11を、先頭通電部14とする。
先頭通電部14は、他の通電部11と比べて、その表面積が広い。
先頭通電部14は、
図1の領域A及び
図2の領域Aに示されるように、先頭毛13の先端に加えて、先頭毛13の先頭部分6側の表面の全体にわたって配置されている。
【0016】
<ブラシ毛の配置>
手元部分5から先頭部分6までのブラシ毛10の先端の高さは、
図1に示すように、一定ではない。手元毛12の先端が最も高い。ブラシ毛10の先端の高さは、手元毛12から先頭毛13の方向に、なだらかな曲線を描きながら低くなっている。なお、ブラシ毛10の先端の高さとは、本体2から、ブラシ毛10の先端までの距離をいう。
また、ブラシ毛10は、
図2に示すように、2列に配置されている。各列を構成するブラシ毛10の先端は、直線を描くようには配置されていない。ブラシ毛10の先端は、
図2の線Lに示すように、曲線を描くように配置されている。
ブラシ毛10の先端の高さや、ブラシ毛10の先端が構成する列の形状を前述にようにすることで、ブラシ部3を頭皮に沿わせやすくすることができる。
【0017】
<タッチセンサ>
先頭通電部14は、タッチセンサを兼ねることができる。
先頭通電部14がタッチセンサを兼ねることで、ブラシ毛10が使用者の頭皮などに接触しているときのみに、電気刺激装置1の電源をオンにすることができる。
また、ブラシ毛10が使用者の頭皮などに接触しているときのみに、タイマーの計測が進むようにすることができる。ここでのタイマーとは、例えば、電気刺激装置1の使用時間を計測し、電気刺激装置1を自動的にオフにするためのタイマーなどをさす。
【0018】
<振動発生部>
振動発生部7は、ブラシ部3を振動させるように機能する。
電気刺激装置1が振動発生部7を備えることで、使用者は、電気的な刺激に加えて、振動、すなわちバイブレーションの刺激を受けることができる。
【0019】
<動作の説明>
電気刺激装置1の動作、言い換えると、電気刺激装置1の使用方法について説明する。
電気刺激装置1の動作は、Aモードによる動作とBモードによる動作との繰り返しとなる。AモードとBモードとでは、使用されるパルス波の周波数が異なる。
AモードとBモードとは、10秒ごとに切り替えられる。そして、電気刺激装置1のオンの期間が6分になると、タイマーにより、電気刺激装置1が自動的にオフされる。なお、電気刺激装置1は、例えば、1日に3回まで使用することができる。
【0020】
<AモードとBモード>
使用者が受ける刺激には、前述のように、電気的な刺激及びバイブレーションによる刺激の2種類がある。
AモードとBモードとでは、特に電気的な刺激が異なる。
【0021】
<電気的な刺激>
電気的な刺激は、パルス波発生部4が発生させたパルス波が、通電部11から使用者の頭皮などに伝達されることで、使用者が受ける刺激である。
電気刺激装置1は、電気的な刺激に20MHzのパルス波を利用している。ただし、人は、20MHzのパルス波を体感することが困難である。そこで、電気刺激装置1は、20MHzのパルス波を、5Hz及び200Hzの電気的な刺激にして使用者に伝達している。
【0022】
Aモードは、5Hzの電気的な刺激が使用者に伝達されるモードである。一方、Bモードは、200Hzの電気的な刺激が使用者に伝達されるモードである。
【0023】
<バイブレーションによる刺激>
バイブレーションによる刺激は、Aモードにおいても、Bモードにおいても、使用者に伝達される。
バイブレーションの速さは、例えば、11000回転/1分とすることができる。バイブレーションの速さは、AモードとBモードとで同じである。
【0024】
<電気刺激装置の当て方>
電気刺激装置1は、頭皮全体、後頭部、眉上から生え際及び側頭部など、種々の箇所に用いることができる。
【0025】
電気刺激装置1のブラシ部3は、
図1に示すように、通電部11の形態や配置が異なる3つの領域を有している。3つの領域とは、領域A、領域B及び領域Cである。領域Aは、ブラシ部3の先頭領域である。領域Bは、ブラシ部3の主領域である。領域Cは、ブラシ部3の手元領域である。領域Bは、ブラシ部3の長手方向において、領域Aと領域Bとに挟まれた領域である。
【0026】
<領域A>
領域Aは、領域Bよりも長さが短い。また、領域Aの先頭通電部14は、他の通電部11に比べて、表面積が広い。そのため、領域Aは、眉上から生え際での使用に適している。
【0027】
<領域B>
領域Bは、3つの領域の中で長さが最も長い。また、領域Bに含まれる複数の通電部11は、全体として、高さ方向において緩やかな凹型の曲線を描くように配置されている。そのため、領域Bは、頭皮全体での使用に適している。
【0028】
<領域C>
領域Cは、3つの領域の中で長さが最も短い。また、領域Cに含まれる複数の通電部1は、高さ方向において曲線を描くように配置されている。ただし、この曲線の曲率は、領域Bにおける曲線の曲率よりも小さい。
言い換えると、領域Cに含まれる複数の通電部1の高さは、領域Bにおける通電部1の高さよりも、急な勾配で変化する。そのため、領域Cは、側頭部での使用に適している。
【0029】
<パルス波>
図3から
図7に基づいて、パルス波発生部4が発生させるパルス波について説明する。
図3及び
図4は、第1のパルス波の概要を示す図である。
図3は、Aモードにおける第1のパルス波を示す。
図4は、Bモードにおける第2のパルス波を示す。
図5は、第2のパルス波の概要を示す図である。
図6及び
図7は、第1のパルス波、第2のパルス波及び第3のパルス波の関係を示す図である。
図6は、第1のパルス波として、Aモードで使用される5Hzの第1のパルス波を示す。
図7は、第1のパルス波として、Bモードで使用される200Hzの第1のパルス波を示す。
【0030】
<パルス波の概要>
電気刺激装置1は、20MHzのパルス波を利用して、電気的な刺激を使用者に伝達している。
パルス波発生部4は、20MHzのパルス波に基づいて、第1から第3の3つのパルス波を発生させる。
第1のパルス波は、周波数5Hzのパルス波と、周波数200Hzのパルス波とを含む。
第1のパルス波のオン期間は、第2のパルス波が複数回繰り返されることで構成されている。第2のパルス波は、バースト波であり、その周波数は、3KHzである。なお、バースト波とは、電位の符号が異なる2つのオン期間と、オフ期間とが、この順で配置された期間を1周期とする波を意味する。
第2のパルス波のオン期間は、第3のパルス波が複数回繰り返されることで構成されている。第3のパルス波の周波数は、20MHzである。
このように、第1のパルス波は、第2のパルス波を介して、20MHzの第3のパルス波によって構成されている。
【0031】
言い換えると、まず、20MHzのパルス波(第3のパルス波)を約3000個の塊(第2のパルス波)にする。その塊(第2のパルス波)で、5Hz又は200Hzのパルス波(第1のパルス波)を構成する。そして、5Hz又は200Hzのパルス波(第1のパルス波)を使用者に伝達する。
これにより、20MHzのパルス波(第3のパルス波)を使用者に伝達している。
【0032】
<パルス波の詳細>
以下、図面に基づいて、パルス波の詳細を説明する。
<第1のパルス波>
第1のパルス波は、5Hzのパルス波及び200Hzのパルス波を含む。
5Hzのパルス波は、Aモードで使用される。200Hzのパルス波は、Bモードで使用される。
<5Hzの第1のパルス波>
まず、Aモードで使用される5Hzのパルス波について説明する。
図3は、5Hzの第1のパルス波を示す図である。
5Hzの第1のパルス波では、
図3に示すように、68msのオン期間T1及び132msのオフ期間T2で、1周期が構成されている。そして、このオン期間T1及びオフ期間T2が、1秒間に5回繰り返される。
【0033】
<第2のパルス波>
5Hzの第1のパルス波のオン期間T1は、第2のパルス波が繰り返されることで構成されている。
図5は、第2のパルス波を示す図である。
第2のパルス波では、
図5に示すように、83.5μs+83.5μs=167μsのオン期間(T5+T6)及び166μsのオフ期間T7で、1周期が構成されている。
言い換えると、第2のパルス波は、波長T8が333μsであり、周波数が3KHzであるバースト波である。
なお、167μsのオン期間(T5+T6)は、83.5μsのオン期間T5及び83.5μsのオン期間T6で構成されている。オン期間T5とオン期間T6とでは、電位の符号が異なる。
【0034】
図3の丸囲みXは、5Hzの第1のパルス波のオン期間T1の1つ分を示している。
このオン期間T1の1つ分は、第2のパルス波が206回繰り返されることで構成されている。
図6に基づいて説明する。
図6は、5Hzの第1のパルス波、第2のパルス波及び第3のパルス波の関係を示す図である。
図3の丸囲みXに対応する5Hzの第1のパルス波のオン期間T1は、68msである。一方、
図5で説明したように、第2のパルス波の1周期T8は、333μsである。
【0035】
図6に、T1及びT8を示している。
図6に示すように、5Hzの第1のパルス波のオン期間T1の68msの間に、3KHzの第2のパルス波は、68ms/333μs=206回繰り返されている。
言い換えると、5Hzの第1のパルス波のオン期間T1は、第2のパルス波が206回繰り返されることで構成されている。
【0036】
<200Hzの第1のパルス波>
Bモードで使用される200Hzのパルス波についても同様である。
図4は、200Hzの第1のパルス波を示す図である。
200Hzの第1のパルス波では、
図4に示すように、2msのオン期間T3及び3msのオフ期間T4で、1周期が構成されている。そして、このオン期間T3及びオフ期間T4が、1秒間に200回繰り返される。
【0037】
図4の丸囲みXは、200Hzの第1のパルス波のオン期間T3の1つ分を示している。
このオン期間T3の1つ分は、第2のパルス波が6回繰り返されることで構成されている。
図7に基づいて説明する。
図7は、200Hzの第1のパルス波、第2のパルス波及び第3のパルス波の関係を示す図である。
図4の丸囲みXに対応する200Hzの第1のパルス波のオン期間T3は、2msである。一方、
図5で説明したように、第2のパルス波の1周期T8は、333μsである。
【0038】
図7に、T3及びT8を示している。
図7に示すように、200Hzの第1のパルス波のオン期間T3の2msの間に、3KHzの第2のパルス波は、2ms/333μs=6回繰り返されている。
言い換えると、200Hzの第1のパルス波のオン期間T3は、第2のパルス波が6回繰り返されることで構成されている。
【0039】
<第3のパルス波>
第2のパルス波と第3のパルス波との関係について、
図5に基づいて説明する。第2のパルス波のオン期間は、第3のパルス波が複数回繰り返されることで、構成されている。
【0040】
第3のパルス波の周波数は、20MHzである。すなわち、第3のパルス波の波長T9は、50nsである。
第3のパルス波は、第1のパルス波及び第2のパルス波に比べて、非常に高周波である。そのため、第3のパルス波を複数回繰り返すことで、第2のパルス波のオン期間を正確に構成することができる。
【0041】
具体的に説明する。
第2のパルス波のオン期間(T5+T6)は、
図5に示すように、83.5μs+83.5μs=167μsである。
図5に示す第3のパルス波の周波数は、20MHzである。すなわち、第3のパルス波の波長T9は、50nsである。
そのため、第2のパルス波の167μsのオン期間(T5+T6)は、第3のパルス波を、167μs/50ns=3340回繰り返すことで構成されている。
【0042】
<電位の正負>
詳しくは、第2のパルス波のオン期間(T5+T6)は、83.5μsのオン期間T5及び83.5μsのオン期間T6に分けることができる。このオン期間T5とオン期間T6とでは、電位の正負が異なる。オン期間T5の電位は、正であり、オン期間T6の電位は、負である。
そこで、オン期間T5は、正電位の第3のパルス波を複数回繰り返すことで構成されている。一応、オン期間T6は、負電位の第3のパルス波が複数回繰り返されることで構成されている。
【0043】
具体的には、第2のパルス波の83.5μsのオン期間T5は、正の電位に振幅を有する第3のパルス波が83.5μs/50ns=1670回繰り返されることで構成されている。なお、正の電位に振幅を有するパルス波とは、パルス波の最低電位が0Vより高いパルス波をいう。
同様に、第2のパルス波の83.5μsのオン期間T6は、負の電位に振幅を有する第3のパルス波が83.5μs/50ns=1670回繰り返されることで構成されている。なお、負の電位に振幅を有するパルス波とは、パルス波の最高電位が0Vより低いパルス波をいう。
【0044】
以上より、第2のパルス波の合計167μsのオン期間(T5+T6)は、第3のパルス波が1670回+1670回=3340回繰り返されることで構成されている。すなわち、第2のパルス波の1周期には、3340個の第3のパルス波が含まれる。
【0045】
以上を基に、第1のパルス波、第2のパルス波及び第3のパルス波の関係をまとめる。
<第1のパルス波と第2のパルス波との関係>
まず、第1のパルス波と第2のパルス波との関係は以下の通りになる。
すなわち、
図6に示すように、5Hzの第1のパルス波の68msのオン期間T1は、第2のパルス波が68ms/333μs=206回繰り返されることで構成されている。
そのため、5Hzの第1のパルス波には、1秒間に、第2のパルス波が、206個×5=1030個含まれている。
【0046】
また、
図7に示すように、200Hzの第1のパルス波の2msのオン期間T3は、第2のパルス波が2ms/333μs=6回繰り返されることで構成されている。
そのため、200Hzの第1のパルス波には、1秒間に、第2のパルス波が、6個×200=1200個含まれている。
【0047】
<第2のパルス波と第3のパルス波との関係>
そして、
図5に示すように、第2のパルス波の1周期には、第3のパルス波が、(83.5+83.5)us/50ns=3340個含まれている。
【0048】
<第1のパルス波と第3のパルス波との関係>
以上から、第1のパルス波と、第3のパルス波との関係は、以下のようになる。
前述のように、5Hzの第1のパルス波には、1秒間に、第2のパルス波が、1030個含まれている。
そのため、5Hzの第1のパルス波には、1秒間に、第3のパルス波が、3340個×1030個=3440200個含まれている。
【0049】
同様に、200Hzの第1のパルス波には、1秒間に、第2のパルス波が、1200個含まれている。
そのため、200Hzの第1のパルス波には、1秒間に、第3のパルス波が、3340個×1200個=4008000個が含まれている。
【0050】
<Vp-p>
次にパルス波の電位について説明する。
第1のパルス波の電位Vp-pは、任意の値にすることができる。
例えば、Vp-pは、10V以上100V以下とすることができる。また、用途や使用者の好みなどに応じて、複数のVp-pを設定できるようにしてもよい。
複数のVp-pを設定できるようにする場合、例えば、Vp-pの値をレベル1からレベル6の6種類とし、その各々を、レベル1:20Vp-p、レベル2:28Vp-p、レベル3:38Vp-p、レベル4:50Vp-p、レベル5:60Vp-p、レベル6:70Vp-pとすることができる。
これにより、使用者は、電気的な刺激について、種々の強度のを選択することができる。
【0051】
<20MHzのパルス波の効能>
電気刺激装置1は、パルス波を使用者に伝達する際、まず、20MHzのパルス波を約3000個の塊にする。そして、その塊で、5Hz又は200Hzのパルス波を構成する。この5Hz又は200Hzのパルス波を使用者に伝達することで、20MHzのパルス波を使用者に伝達している。
【0052】
20MHzのパルスは、電気刺激装置1に用いられると、これまでの電気刺激装置では得られない効能を人体にもたらす。
電気刺激装置1が例えば美容の分野に用いられた場合、以下のような効能が考えられる。
【0053】
<20MHzのパルス波の浸透>
20MHzは、これまでの一般的な低周波機器の周波数の約40万倍の周波数である。また、20MHzは、一般的なポレーションにおける周波数の約1万倍の周波数である。
20MHzがこのような極めて高い周波数であるため、電気刺激装置1は、美容液など、薬効成分を含む液体を、肌のこれまでにはない奥深くまで浸透させることができる。
電気刺激装置1によるパルス波が極端に細い波で形成されているため、その波が肌の奥深くまで浸透するからである。
詳しくは、20MHzなどの極めて高い周波数のパルス波は、肌の深くまで浸透することができる。浸透したパルス波は、肌の深くの筋肉を動かす。また、浸透したパルス波は、肌の奥深くの細胞を柔らかくする。これにより、美容液などに含まれる有効成分を肌の深くまで浸透させる。
【0054】
<フェイスリフト>
20MHzのパルス波は、肌の奥深くまで浸透することで、美容液の浸透に加えて、頭皮リフト、フェイスリフト、血行促進、発毛効果、育毛効果及び白髪対策など、種々の効能をもたらす。
まず、フェイスリフトについて説明する。
電気刺激装置1が頭皮に用いられると、パルス波の作用により、頭皮がリフトアップされる。頭皮と、顔の皮膚とはつながっている。そのため、頭皮がリフトアップされると、それに伴い、顔の皮膚もリフトアップされる。
このように、頭皮のリフトアップが、フェイスリフトや、顔の皮膚のたるみ改善をもたらす。
【0055】
具体的には、電気刺激装置1により、顔全体で、例えば、2.4cmのフェイスリフトを行うことが可能である。
2.4cmの内訳は以下となる。
すなわち、口角下垂が3mm、眼瞼下垂が2mm、額下垂が3mm、眉毛下垂が2mm、目尻下垂が2mmm、それぞれリフトアップされる。これらの合計が12mmとなる。
顔の左右のそれぞれで12mmのリフトアップがなされる。そのため、顔全体では、12mm×2=24mm、すなわち、2.4cmのリフトアップとなる。
なお、これらの効能をより確実に得るためには、ローションなどの、薬効成分を含有する美容液などを併用することが好ましい。
【0056】
<ヘアケア>
20MHzのパルス波は、前述のように、スムーズな筋肉運動を誘発し、それと同時に、肌を柔らかくする。そのため、20MHzのパルス波が頭皮に伝達されると、頭皮が柔らかくなる。
そこで、特に薬効成分を含む美容液などを併用した場合、発毛や育毛を促し、また、白髪を抑制するなどの効能を得ることができる。
【0057】
<第1のパルス波を用いる理由>
人は、20MHzのパルス波に対する体感を有さないことが多い。そこで、20MHzのパルス波に体感を付与し、また、20MHzの効果をより高めるために、20MHzのパルス波を第1のパルス波に乗せて、使用者に伝達する。
本実施形態の電気刺激装置1では、第1のパルス波として、5Hzの第1のパルス波及び200Hzの第1のパルス波を用いる。
前述のように、5Hzの第1のパルス波は、Aモードで使用される。また、200Hzの第1のパルス波は、Bモードで使用される。
【0058】
<AモードとBモードがある理由>
本実施形態の電気刺激装置1では、前述のように、使用するパルス波の周波数が異なる、Aモード及びBモードを併用する。これは、AモードとBモードとで、使用者の体感や、得られる効能が異なるからである。
【0059】
<Aモード>
Aモードで使用者が受ける体感は、「癖になる痛さ」である。
Aモードでは、強い筋肉運動及び強いポレーションが、使用者の肌にもたらされる。ポレーションとは、電気の力を利用して有効成分を肌の奥に浸透させることである。
【0060】
Aモードでは、使用者は、ビリッとした体感を得る。そして、使用者の肌に、大きな筋肉運動が生じる。これは、使用者に、筋肉が一気に動き出す感覚を与える。また、大きな筋肉運動により、普段動かしにくい筋肉を、効率よく強制的に運動させることができる。
このような筋肉の運動により、美容液の有効成分を、肌の奥まで強制的に浸透させることができる。また、このような筋肉の運動により、皮膚を柔らかくすることができる。
さらに、Aモードは、前述した2.4cmのリフトアップに特に貢献するモードである。
【0061】
<Bモード>
Bモードで使用者が受ける体感は、「ジワッとした刺激」である。
Bモードでは、筋肉の強い引き締め及びポレーションが使用者の肌にもたらされる。
【0062】
Bモードでは、使用者は、筋肉が引っ張り上げられるような体感及びしびれているような体感を得る。
Aモードでの体感を、例えば、瞬間的な強い体感であるとすると、Bモードでの体感は、例えば、強くはないが継続的な体感であるとすることができる。
【0063】
また、Bモードにおいても、リフトアップをする、美容液の有効成分を強制的に浸透させる、及び皮膚を柔らかくする、などの効能を得ることができる。
【0064】
<バイブレーション>
つぎに、バイブレーションの効能について説明する。
バイブレーションの効能には、例えば、パルス波の浸透、体感の緩和及び血行の促進などがある。
具体的には、バイブレーションは、その振動により、パルス波の肌への浸透を促進することができる。また、バイブレーションは、その振動により、使用者の皮膚の血行を促進することができる。また、バイブレーションは、その振動により、使用者がパルス波から受ける体感を和らげることができる。
【0065】
バイブレーションは、Aモード及びBモードのいずれでも作動する。
また、バイブレーションは、電気刺激装置1が通電している間のみ作動するようにすることができる。
ここで、電気刺激装置1は、そのタッチセンサの作用により、通電部11が頭皮などに接触している間のみ通電される。
そのため、使用者は、バイブレーションが作動しているか否かにより、通電部11が頭皮などに接触しているか否かを判断することができる。
【0066】
<周波数の範囲など>
なお、前述のパルス波の説明は、例示である。特に、各パルス波の周波数は、上述の周波数に限定されない。
第1のパルス波の周波数は、例えば、1Hz以上500Hz以下とすることができる。また、第2のパルス波の周波数は、例えば、1KHz以上5KHz以下とすることができる。さらに、第3のパルス波の周波数は、例えば、20MHz以上50MHz以下とすることができる。
各パルス波の周波数を前述の範囲にすることで、実施形態の電気刺激装置1と同様の効果や効能を得ることができる。
また、周波数が異なる2つの第1のパルス波の切り替えも、例えば、5秒以上30秒以下で適宜設定することができる。
【0067】
また、電気刺激装置1の用途は、頭皮に用いられる美容機器に限定されない。例えば、顔や首や手足など、身体の他の部分に使用される美容機器とすることができる。
また、電気刺激装置1は、美容機器以外の用途に用いることができる。例えば、電気刺激装置1は、健康機器や医療機器などに用いることもできる。
【0068】
<1>
本体と、前記本体に設けられたブラシ部とを備え、
前記本体には、パルス波発生部が備えられ、
前記ブラシ部は、複数本のブラシ毛を備え、
前記ブラシ毛の先端には、通電部が備えられ、
前記通電部は、前記パルス波発生部に電気的に接続されており、
前記パルス波発生部は、第1のパルス波、第2のパルス波及び第3のパルスを発生させ、
前記第1のパルス波の周波数は、1Hz以上500Hz以下であり、
前記第1のパルス波のオン期間は、第2のパルス波が複数回繰り返されることで構成されており、
第2のパルス波の周波数は、1KHz以上5KHz以下であり、
前記第2のパルス波のオン期間は、前記第3のパルス波が複数回繰り返されることで構成されており、
前記第3のパルス波の周波数は、20MHz以上50MHz以下である、
電気刺激装置。
【0069】
<2>
前記第2のパルス波のオン期間は、電位の符号が異なる2つの期間からなり、
前記第2のパルス波は、前記の電位の符号が異なる2つの期間と、オフ期間とが、この順で配置された期間を1周期とする、
<1>に記載の電気刺激装置。
【0070】
<3>
前記の、第2のパルス波の電位の符号が異なる2つのオン期間を、正電位期間と負電位期間とにした場合、
前記正電位期間を構成する前記第3のパルス波の最低電位は、0Vより高く、
前記負電位期間を構成する前記第3のパルス波の最高電位は、0Vより低い、
<1>又は<2>に記載の電気刺激装置。
【0071】
<4>
前記パルス波発生部は、前記第1のパルス波を、2つの異なる周波数で交互に発生させる、
<1>から<3>のいずれか1つに記載の電気刺激装置。
【0072】
<5>
前記パルス波発生部は、前記の周波数が異なる2つの第1のパルス波を、5秒以上30秒以下の間隔で交互に発生させる、
<4>に記載の電気刺激装置。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更及び変形が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 電気刺激装置
2 本体
3 ブラシ部
4 パルス波発生部
5 本体の手元部分
6 本体の先頭部分
7 振動発生部
10 ブラシ毛
11 通電部
12 手元毛
13 先頭毛
14 先頭通電部
A ブラシ部の先頭領域
B ブラシ部の主領域
C ブラシ部の手元領域