IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイスの特許一覧

<>
  • 特許-携行可能な電子機器 図1
  • 特許-携行可能な電子機器 図2
  • 特許-携行可能な電子機器 図3
  • 特許-携行可能な電子機器 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】携行可能な電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20240516BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20240516BHJP
   G04G 21/04 20130101ALI20240516BHJP
   G04G 21/00 20100101ALI20240516BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
H01Q1/38
G04G21/04
G04G21/00 304P
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022169741
(22)【出願日】2022-10-24
(65)【公開番号】P2023090630
(43)【公開日】2023-06-29
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】21215666.5
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ・ステーラン
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-131467(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0111953(US,A1)
【文献】特表2016-520813(JP,A)
【文献】特開2015-043504(JP,A)
【文献】米国特許第06356512(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/22
H01Q 1/38
G04G 21/04
G04G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース(3)を備える携行可能な電子機器(1)であって、
前記ケース(3)には、前記電子機器(1)の触知性インタフェースを全体的又は部分的に形成する外側部品の要素(2)があり、
前記外側部品の要素は、基材(5)を含む中空体を含み、
前記基材(5)上に、前記電子機器(1)の通信モジュール(6)のアンテナ回路(10)と、前記電子機器(1)の触知性制御メンバー(8)の触知性制御回路(13)が形成され
前記基材(5)には、メイン部分(17a)と、第1及び第2の接続部分(17b、17c)があり、
前記第1及び第2の接続部分(17b、17c)はそれぞれ、前記メイン部分(17a)に対して曲がっているように意図されており、
前記電子機器(1)は、前記基材(5)が中に配置されるハッチを備えるベゼルである前記外側部品の要素(2)を備える携行型時計であ
ことを特徴とする電子機器(1)。
【請求項2】
前記基材(5)には上面(16)があり、この上面(16)上に前記アンテナ回路(10)と前記触知性制御回路(13)が形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器(1)。
【請求項3】
前記基材(5)には上面(16)があり、この上面(16)上に前記アンテナ回路(10)と前記触知性制御回路(13)が形成され、
このアンテナ回路(10)は、前記基材(5)のメイン部分(17a)内にある前記上面(16)の第1の部分上に形成される第1及び第2のストランド(19a、19b)を備え、
前記第1及び第2のストランド(19a、19b)は、近位端と遠位端をそれぞれ有し、それらの近位端と遠位端の間で並んで延在しており、
前記第1及び第2のストランド(19a、19b)は、それらの遠位端と近位端によって接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器(1)。
【請求項4】
記触知性制御回路(13)は、前記基材(5)の前記メイン部分(17a)内にある面(16)の第2の部分上に形成される少なくとも1つの電極(22)を備え、
前記電極(22)は、前記上面(16)上に堆積される少なくとも1種類の導電性材料の層によって形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器(1)。
【請求項5】
前記基材(5)の前記メイン部分(17a)の面(16)は、記外側部品の要素(2)の外面を形成するッチの壁とは反対側にある前記外側部品の要素(2)の中空体において定められる前記ハッチ内に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器(1)。
【請求項6】
記基材(5)の前記メイン部分(17a)の面(16)は、記外側部品の要素(2)の外面を形成するハッチの壁と反対側にある、前記外側部品の要素(2)の中空体内に形成されたハッチ内に配置され、
前記基材(5)は、フレキシブルなプラスチックによって作られている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器(1)。
【請求項7】
前記基材(5)には、前記アンテナ回路(10)と前記触知性制御回路(13)が形成される上面(16)があり、
このアンテナ回路(10)は、前記基材(5)の前記メイン部分(17a)における前記上面(16)の第1の部分上に形成される第1及び第2のストランド(19a、19b)を備え、
前記第1及び第2のストランド(19a、19b)は、近位端と遠位端をそれぞれ有し、それらの近位端と遠位端の間で並んで延在しており、
前記第1及び第2のストランド(19a、19b)は、それらの遠位端と近位端によって接続され、
前記アンテナ回路(10)は、前記基材(5)の前記上面(16)上に形成される接続トラック(21)を介して前記第1及び第2のストランド(19a、19b)に接続されるマイクロ回路(11)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器(1)。
【請求項8】
前記基材(5)には、前記アンテナ回路(10)と前記触知性制御回路(13)が形成される上面(16)があり、
このアンテナ回路(10)は、前記基材(5)の前記メイン部分(17a)にある前記上面(16)の第1の部分上に形成される第1及び第2のストランド(19a、19b)を備え、
前記第1及び第2のストランド(19a、19b)は、近位端と遠位端をそれぞれ有し、それらの近位端と遠位端の間で並んで延在しており、
前記第1及び第2のストランド(19a、19b)は、それらの遠位端と近位端によって接続されており、
前記触知性制御回路(13)は、前記基材(5)の前記上面(16)上に形成される少なくとも1つの接続トラック(20)を介してなくとも1つの電極(22)に接続されるマイクロコントローラー(12)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器(1)。
【請求項9】
前記外側部品の要素(2)は、少なくとも1種類の誘電性かつ/又は非導電性材料によって作られる
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器(1)。
【請求項10】
前記通信モジュール(6)は、Bluetoothタイプのプロトコルに従って通信するように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的又は部分的に触知性インタフェースを形成する外側部品の要素を備える携行可能な電子機器であって、この外側部品の要素がこの電子機器の通信モジュールのアンテナ回路を備えるものに関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークに接続することができる携行可能な電子機器が、触知性インタフェースを備える電子的な携行型時計(例、腕時計、懐中時計)などの従来技術において多く知られている。このような触知性インタフェースは、伝統的には風防に設けられる。一般的に、このような触知性インタフェースは、携行型時計の操作性を向上させ、特に多くのメニューや機能を提供する場合に、操作を単純化するように用いられる。
【0003】
このような電子機器は、Bluetoothタイプや地理位置情報関連のネットワークのような通信ネットワークに接続するために、伝統的にはアンテナを搭載した、通信手段を備える。このようなアンテナの最適な大きさは、送受信信号の波長に直接依存することが知られている。実際に、最適な長さのアンテナは、信号をそのまま、フルパワーで送受信することを可能にする。
【0004】
携行型時計のような電子機器においては、利用可能な空間が限られるため、アンテナを適切に設計して携行型時計のケース内に組み込む必要がある。また、携行型時計が無線周波数(例、2.4GHz、1.5GHz)で動作する無線通信手段を搭載する場合、波長(120mmや200mm)に関連して製品の大きさが重要になる。
【0005】
また、携行型時計のような電子機器には金属性の部分が多く、アンテナはそのような金属性の部分から絶縁されている必要があるため、他の制約も考慮に入れる必要がある。
【0006】
このような背景のために、特に従来技術にある課題がない手法を見つける必要性があることがわかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の1つは、携行型時計のような携行可能な電子機器であって、触知性インタフェースを備え、その電子機器全体によってフルパワーで信号を送受信するために最適な長さを有するアンテナ回路を搭載し、限定された受容容量しかない携行型時計のケースに取り付けられるように意図されたものを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、携行可能な電子機器であって、触知性インタフェースとアンテナ回路をこの電子機器の外側部品の要素に搭載することによって、美観、エネルギー消費及び製造コストに悪影響を与えない又はほとんど与えないものを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような状況で、本発明は、ケースを備える携行可能な電子物品に関し、前記ケースには、前記電子物品の触知性インタフェースを全体的又は部分的に形成する外側部品の要素があり、前記外側部品の要素は、基材を含む中空体を含み、前記基材上に、前記電子物品の通信モジュールのアンテナ回路と、及び前記電子物品の触知性制御メンバーの触知性制御回路が形成される。
【0010】
他の実施形態において、以下の特徴を有する。
- 前記基材には、メイン部分と、第1及び第2の接続部分があり、前記第1及び第2の接続部分はそれぞれ、前記メイン部分に対して曲がっているように意図されている。
- 前記基材には上面があり、この上面上に前記アンテナ回路と前記触知性制御回路が形成される。
- 前記アンテナ回路は、前記基材のメイン部分内にある前記上面の第1の部分上に形成される第1及び第2のストランドを備え、前記第1及び第2のストランドは、近位端と遠位端をそれぞれ有し、それらの近位端と遠位端の間で並んで延在しており、前記第1及び第2のストランドは、それらの遠位端と近位端によって接続される。
- 前記触知性制御回路は、前記基材の前記メイン部分内にある前記上面の第2の部分上に形成される少なくとも1つの電極を備え、前記電極は、前記上面上に堆積される少なくとも1種類の導電性材料の層によって形成される。
- 前記基材の前記メイン部分の前記上面は、好ましくは、前記外側部品の要素の外面を形成する前記ハッチの壁とは反対側にある前記外側部品の要素の中空体において定められるハッチ内に配置される。
- 前記基材は、フレキシブルなプラスチックによって作られている。
- 前記アンテナ回路は、前記基材の前記上面上に形成される接続トラックを介して前記第1及び第2のストランドに接続されるマイクロ回路を備える。
- 前記触知性制御回路は、前記基材の前記上面上に形成される少なくとも1つの接続トラックを介して前記少なくとも1つの電極に接続されるマイクロコントローラーを備える。
- 前記外側部品の要素は、少なくとも1種類の誘電性かつ/又は非導電性材料によって作られる。
- 前記電子機器は、前記基材が中に配置されるハッチを備えるベゼルである前記外側部品の要素を備える、携行型時計、特に、スマートウォッチである。
- 前記通信モジュールは、Bluetoothタイプのプロトコルに従って通信するように構成している。
【0011】
添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴及び利点がより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る、外側部品の要素を備える携行可能な電子機器であって、この外側部品の要素が、この電子機器の触知性インタフェースを全体的又は部分的に形成するものについての概略図である。
図2】外側部品の要素のハッチ内に備えることができる基材を示しており、この基材には、本発明の実施形態に係る物品の通信モジュールのアンテナ回路と、この物品の触知性制御メンバーの触知性制御回路がある。
図3】本発明の実施形態に係る、アンテナ回路と触知性制御回路を備える基材の変異形態を示している。
図4】本発明の実施形態に係る携行可能な電子機器が電子携行型時計である場合における、基材を備える外側部品の要素を形成するベゼルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、本発明は、携行可能な電子機器1ないし携行可能な電子装置を対象としている。本発明の本実施形態において、このような電子機器1は、好ましくは、スマートウォッチのような電子携行型時計1である。代わりに、この電子機器1は、スマートフォン、モバイルGPS装置、ノートパソコン、触知性タブレット、スポーツウォッチ、フィットネストラッカー、心拍計装置、又は音楽プレーヤーであることもできる。
【0014】
これに関連して、このような携行可能な電子機器1は、電子機器1の触知性インタフェースを全体的又は部分的に形成する外側部品の要素2を備えるケース3を備え、この触知性インタフェースを介して、電子機器1の着用者が電子機器1とやりとりすることができる。また、このケース3は、ミドル部を備え、このミドル部は、金属(例えば、鋼、好ましくは、ステンレス鋼)、合成材料(例えば、繊維、典型的には炭素繊維、で強化されたポリマーマトリクスを含む複合材料)、セラミックス、又は少なくとも1種類の誘電性かつ/又は電気不導性の材料によって作ることができる。また、このケース3は、裏部と風防を備え、これらは、ミドル部とともに、このケース3のハッチを形成することに寄与する。このハッチ内には、特に、電子機器1の表示デバイス7と電子デバイス4が配置される。
【0015】
表示デバイス7は、表示要素を備え、この表示要素は、針のようなアナログ要素、及び/又はLCD、LED、OLEDスクリーンのようなデジタル要素であることができる。このような表示デバイス7は、風防と電子デバイス4の間に配置され、風防とこの表示デバイス7の間にスペーサ又はフランジを配置することができる。
【0016】
電子デバイス4は、この表示デバイス7に表示すべき少なくとも1つの情報を提供するように構成している。この電子デバイス4は、通信モジュール6、携行可能な電子機器1の制御モジュール、電気エネルギー蓄積器、特に、電池、そして、現在地の地理的位置、高度や温度の決定に関わるセンサー、又は電子機器1の着用者の生体測定、生命的及び/又は行動的パラメーターの決定に関わるセンサーのような様々なセンサーを備える。なお、これらはすべてを網羅しているわけではなく、これらには限定されない。
【0017】
なお、この構成において、制御モジュールは、このような電子機器1の着用者が、特に、この電子機器1によって実行することができる様々な機能を、アクティブ化/非アクティブ化/選択することを可能にすることによって、電子機器1とやりとりすることができるようにする。この制御モジュールは、触知性制御メンバー8を備え、いくつかの代替的形態においては、ミドル部に配置される押し部品やボタンのような他の制御メンバーを備える。
【0018】
電子デバイス4において、通信モジュール6は、マイクロ回路11に接続されるアンテナ回路10を備え、触知性制御メンバー8は、触知性制御回路13に接続されるマイクロコントローラー12を備える。後述するように、アンテナ回路10と制御回路13は、外側部品の要素2内に含まれる基材5上に配置され、この外側部品の要素2は、全体的又は部分的に電子機器1の触知性インタフェースを形成する。
【0019】
好ましくは、このような外側部品の要素2は、ケース3のミドル部に固定される。この外側部品の要素2は、ミドル部に取り外し可能に固定された部品であることができ、また、このミドル部と一体的に形成された部品であることができる。外側部品の要素2は、一体成形された部品によって構成していることができ、逆に、可逆的かつ/又はきつく連結している2つの部品によって構成していることができる。外側部品の要素2は、ハッチを含む中空体を備え、このハッチ内に、アンテナ回路10と触知性制御回路13が設けられた基材5が配置される。このアンテナ回路10とこの制御回路13が効果的かつ/又は最適に動作するために、この外側部品の要素2は、少なくとも1種類の誘電性かつ/又は非導電性の材料によって作られる。この少なくとも1種類の誘電性かつ/又は非導電性の材料のおかげで、触知性制御メンバー8の容量性効果の達成に寄与することができる。この材料は、アンテナ回路10の放射を劣化させないこと、アンテナ回路10の電気長を大きくすること、物理的な大きさに関する効率を向上させることにも寄与する。例えば、このような材料は、ポリマー、チタン、セラミックス又は任意の他の合成材料であることができる。なお、この外側部品の要素2の本体全体がこのタイプの材料によって作られているのではなく、この本体のうちアンテナ回路10と制御回路13が配置されている部分のみがこのタイプの材料によって作られていることもできる。
【0020】
携行可能な電子機器1が電子携行型時計である場合、外側部品の要素2は、図4に示しているベゼルであることができる。そして、このようなベゼル2は、ミドル部に位置して、風防を挟み込む。ベゼルは、回転式ベゼルであることができ、また、固定式ベゼルであることができる。また、ベゼル2は、ケース3にて、ミドル部と一体的な部品を形成するように構成していることができ、すなわち、ミドル部-ベゼルを構成していることができる。ミドル部とベゼル2には、この携行型時計の着用者が見ることのできる面である外面がある。ベゼル2には、その外面上に目盛りがあることができる。図示している例において、目盛りには、数字(好ましくは、アラビア数字)の形態である形象インデックス24がある。また、これに関連して、電子デバイス4は、例えば、電子的な計時器用ムーブメントであることがわかる。
【0021】
図2~4を参照すると、この外側部品の要素2内に含まれる基材5は、好ましいことに、フレキシブルプリント回路(一般的に「フレックス」と呼ばれている)の形態によって作られている。好ましくは、「支持体」又は「プレート」とも呼ばれるこのような基材5は、高性能なフレキシブルなプラスチック材料によって製造される。このプラスチック材料は、Kapton(商標)として知られているポリイミドやポリエステルのようなポリマーであることができる。この基材5には、実質的に環状であるメイン部分17aと、第1及び第2の接続部分17b、17cがあり、この第1及び第2の接続部分17b、17cは、基材5のメイン部分17aの外側エッジ23a(図2に示している)又は内側エッジ23b(図3に示している)にて形成され、これらのエッジ23a、23bから半径方向に延在している。これらの第1及び第2の接続部分17b、17cは、基材5の突出部の形態である。このような基材5には、平坦であり互いに平行な上面16と下面とがある。基材5のメイン部分17aの形は、ベゼル2のハッチの形に類似している又は実質的に類似している。このハッチ内に基材5が配置されることが意図されている。この構成において、この基材5のメイン部分17aの上面16は、好ましくは、このハッチ内で、このハッチの壁に対向して配置される。このハッチは、この外側部品の要素2の外面を構成/形成する。第1及び第2の接続部分17b、17cはそれぞれ、上面16に対して曲がっており、制御メンバー8のマイクロコントローラー12、及び通信モジュール6のマイクロ回路11、に接続されるように意図されている。このために、外側部品の要素2は、制御メンバー8のマイクロコントローラー12及び通信モジュール6のマイクロ回路11を備える電子デバイス4のプリント回路14へのアクセスを可能にする開口を形成することができる。この外側部品の要素2の本体に形成されるこのような開口を、これらの第1及び第2の接続部分17b、17cがまたがることがある。
【0022】
図2及び3を参照すると、制御メンバー8は、触知性制御回路13に接続されるマイクロコントローラー12を備える。このような触知性制御回路13は、外側部品の要素2にある基材5のメイン部分17a上に堆積された電極22を備える。各電極22は、接続点を形成する導電材料の層の形態であることができる。このような電極22は、環状、平行六面体又は三角形の形である。この構成において、制御回路13は、さらに、基材5の上面16上にある少なくとも1つの接続トラック20を備える。この少なくとも1つの接続トラック20は、マイクロコントローラー12を備える電子デバイス4のプリント回路14の少なくとも1つの電気トラック15bと連係することができる。このようにして、各電極22は、前記少なくとも1つの接続トラック20と前記少なくとも1つの電気トラック15bからマイクロコントローラー12に接続される。したがって、前記少なくとも1つの接続トラック20は、基材5の上面16上にて、電極22から第1の接続部分17bの自由端まで延在している。最後に、触知性制御回路13は、好ましくは、メイン部分17aに含まれる電極22と同数の接続トラック20を備えることがわかる。
【0023】
電子機器1が電子携行型時計である図2~4に示している本実施形態において、触知性制御メンバー8は、基材5のメイン部分17aの上面16上に分布している6つの電極22を備える。特に、これらの電極22は、基材5のこの上面16上に堆積/蒸着されて、ベゼル2の外面25上に2つの別個の触知性領域18a、18bを規定/形成する。これら2つの触知性領域18a、18bは、電子機器1の触知性インタフェースを形成する。第1の触知性領域18aには、ベゼル2の外面25上に形成された、2、3及び4のインデックス24の下にそれぞれ配置される3つの電極22がある。また、第2の触知性領域18bには、ベゼル2のこの外面25上に形成された、5、6及び7のインデックス24の下にそれぞれ配置される3つの電極22がある。この構成において、第1の触知性領域18aは、携行型時計の着用者が、スタイラスのようなアクセサリー又は指のような着用者の手足のいずれかの先端による、この第1の領域18aの上での、運動、特に「鉛直方向の運動」(図4における参照符号Dv)、によって、携行型時計とやりとりすることを可能にする。第2の触知性領域18bは、携行型時計の着用者が、この領域18bの上で、前記のようなアクセサリー又は手足のいずれかの先端による、運動、特に、「水平方向の運動」(図4の参照符号Dh)、によって、携行型時計とやりとりすることを可能にする。鉛直方向の運動は、ベゼル2の対称軸Aに実質的に平行又は平行な軌跡を描き、次に、水平方向の運動は、この軸A又は鉛直方向の運動が描く軌跡に対して実質的に垂直又は垂直である軌跡を描く。このような軸Aは、このベゼル2の外面25上に存在する12と6のインデックス24を連結しつつ、ベゼル2を2等分する。
【0024】
電子デバイス4において、通信モジュール6は、携行可能な電子機器1をBluetoothタイプの通信ネットワークに接続することを可能にする。すなわち、通信モジュール6は、Bluetoothタイプのプロトコルに従って通信するように構成している。代わりに、この通信モジュール6は、GPS(Global Positioning System)、Glonass又はGalileoのようなGNSS(Geolocation and Navigation Satellite System)衛星測位ネットワークに、携行可能な電子機器1を接続することを可能にするものであることができる。この通信モジュール6は、マイクロ回路11に接続されたアンテナ回路10を備える。このようなアンテナ回路10は、基材5の上面16上に配置される。このアンテナ回路10は、第1及び第2のストランド19a、19bを備え、これらの第1及び第2のストランド19a、19bは、近位端と遠位端をそれぞれ有し、その近位端と遠位端の間を並んで延在している。このアンテナ回路10において、2つのストランドを並んで配置したアーキテクチャのおかげで、周波数帯(100MHz)をBluetoothタイプの通信ネットワークで通信するためなどに必要な周波数帯(2.4GHz)まで広くすることができる。このアンテナ回路10において、第1及び第2のストランド19a、19bは、それらの近位端と遠位端によって接続される。この構成において、アンテナ回路10は、2つのストランド19a、19bを含む円弧状の軌跡に従って実質的に延在しており、この2つのストランド19a、19bは、この軌跡に従う基材5上に並んで配置される。また、このアンテナ回路10は、ストランド19a、19bの近位端に接続される接続トラック21を含み、これは、基材5の上面16上に配置される。この接続トラック21は、通信モジュール6のマイクロ回路11を備える電子デバイス4のプリント回路14の少なくとも1つの電気トラック15aと連係することができる。このようにして、アンテナ回路10は、この少なくとも1つの接続トラック21から、また、少なくとも1つの電気トラック15aから、このマイクロ回路11に接続される。また、この接続トラック21は、第1及び第2のストランド19a、19bの近位端から基材5の第2の接続部分17cの自由端まで延在しつつ、基材5の上面16上に配置されている。
【0025】
上記のように、アンテナ回路10と触知性制御回路13は、全体的又は部分的に、基材5のメイン部分17aの上面16の別個の部分上に形成されている。特に、このメイン部分17aの上面16には、表面積が実質的に同じ又は同じである2つの部分がある。この第1の部分は、第1及び第2のストランド19a、19bの他、アンテナ回路10の接続トラック21の一部を備える。次に、第2の部分は、制御回路13の電極22と接続トラック20の一部を備える。
【0026】
さらに、制御回路13とアンテナ回路10は、ポリエステル製の基材5上に銀でスクリーン印刷することができ、又はポリイミド製の基材5上に銅でスクリーン印刷することができる。
【0027】
当然、本発明は、本明細書において説明した実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な単純な変更及び変異形態を考えることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 電子機器
2 外側部品の要素
3 ケース
5 基材
6 通信モジュール
8 触知性制御メンバー
10 アンテナ回路
11 マイクロ回路
12 マイクロコントローラー
13 触知性制御回路
16 上面
17a メイン部分
17b、17c 第1の接続部分
17b、17c 第2の接続部分
19a 第1のストランド
19b 第2のストランド
20、21 接続トラック
22 電極
図1
図2
図3
図4