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特許7489443連続回転モータを制御するためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】連続回転モータを制御するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   G04C 3/16 20060101AFI20240516BHJP
   H02P 29/00 20160101ALI20240516BHJP
【FI】
G04C3/16
H02P29/00
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022180134
(22)【出願日】2022-11-10
(65)【公開番号】P2023095781
(43)【公開日】2023-07-06
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】21217741.4
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ジェルミケ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ジャック・ボルン
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-92590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 3/00-3/18
H02P 7/06、29/00-29/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子および回転子(6)によって形成される連続回転モータ(4)の電源を制御するための制御デバイス(2)であって、前記固定子は少なくとも1つの供給コイル(B1、B2)を備え、また、前記回転子は、前記回転子が回転すると前記少なくとも1つの供給コイルに磁気結合されるようになされた少なくとも1つの磁石(12a、12b)を担い、この制御デバイスは、第1の供給電圧(Vdd)を供給する電源ユニット(16)によって電力が供給されるようになされており、また、この制御デバイスは、前記第1の供給電圧を分圧し、かつ、前記第1の供給電圧より低い第2の供給電圧を前記固定子に供給することができるようになされた分圧器(22、24)を備え、この制御デバイスは、前記モータの所与の動作モードすなわちレジームで、前記固定子に供給される駆動パルスである、前記回転子を駆動するための前記第2の供給電圧を有する電気パルスを生成することができるようになされており、定義された時間インターバル当たりのこれらの電気パルスの数は、詳細には前記モータに印加される負荷の関数として可変であり、前記分圧器(22、24)は、複数の異なる値を有する前記第2の供給電圧を供給することができるようになされており、したがって前記電気パルスは可変電圧を有することを特徴とし、前記制御デバイス(2)は、連続する時間期間における電気パルスの数をカウントすることができ、電気パルスのカウントされた数の関数、または電気パルスのカウントされた数の連続の関数として、前記第2の供給電圧のために提供された前記複数の異なる値の中から電圧値を周期的に選択することができ、また、この電圧値を選択した後、電気パルスを生成すると、前記分圧器が前記選択された電圧値を有する前記第2の供給電圧を供給するように前記分圧器を制御することができるようになされている論理回路(20)を備えることを特徴とし、また、前記論理回路は、個々の新しい選択で、
- 電気パルスの最後に計算された数、またはこの最後の数の第1の増加関数が第1の決定済み閾値より小さく、あるいは前記最後の数を含む電気パルスの計算された数の連続、またはこれらの数の各々の第1の増加関数の連続が、数の連続のうちの少なくとも1つの数に対する第1の選択基準を満足し、あるいはこの数の第1の増加関数が第1の決定済み閾値より小さい場合に、前記第2の供給電圧の値が所与のロー値より大きいと、この値を小さくするようになされ、
- 電気パルスの最後に計算された数、またはこの最後の数の第1の増加関数が第2の決定済み閾値より大きく、あるいは前記最後の数を含む電気パルスの計算された数の連続、またはこれらの数の各々の第1の増加関数の連続が、数の連続のうちの少なくとも1つの数に対する第2の選択基準を満足し、あるいはこの数の第1の増加関数が第2の決定済み閾値より大きい場合に、前記第2の供給電圧の値が所与のハイ値より小さいと、この値を大きくするようになされている
ことを特徴とする、制御デバイス(2)。
【請求項2】
前記論理回路(20)は、複数の決定済み値の範囲の中から、電気パルスの計算された数、もしくはこの数の第1の増加関数、または電気パルスの計算された数の連続の第2の関数、あるいはこれらの数の各々の第1の増加関数の第2の関数が存在している値の範囲を決定することができるように、また、前記第2の供給電圧のために提供された前記複数の異なる値の中から、最後の決定された値の範囲の関数として電圧値を周期的に選択することができるようになされていることを特徴とする請求項1に記載の制御デバイス。
【請求項3】
前記複数の値の範囲は、上限として前記第1の決定済み閾値を有する第1の値の範囲、下限として前記第2の決定済み閾値を有する第2の値の範囲、および前記第1の値の範囲と前記第2の値の範囲の間に位置し、それぞれ下限および上限として前記第1の決定済み閾値および前記第2の決定済み閾値を有する第3の値の範囲を含むことを特徴とし、また、前記論理回路(20)は、個々の新しい選択で、
- 電気パルスの最後に計算された数、またはこの最後の数の第1の増加関数、あるいは前記最後の数を含む電気パルスの計算された数の連続の第2の関数、またはこれらの数の各々の第1の増加関数の第2の関数が前記第1の値の範囲内である場合に、前記第2の供給電圧の値が前記ロー値より大きいと、この値を小さくするようになされ、
- 電気パルスの最後に計算された数、またはこの最後の数の第1の増加関数、あるいは前記最後の数を含む電気パルスの計算された数の連続の第2の関数、またはこれらの数の各々の第1の増加関数の第2の関数が前記第2の値の範囲内である場合に、前記第2の供給電圧の値が前記ハイ値より小さいと、この値を大きくするようになされ、
- 電気パルスの最後に計算された数、またはこの最後の数の第1の増加関数、あるいは前記最後の数を含む電気パルスの計算された数の連続の第2の関数、またはこれらの数の各々の第1の増加関数の第2の関数が前記第3の値の範囲内である場合、前記第2の供給電圧の値を先行する選択によって得られた値に維持するようになされている
ことを特徴とする請求項2に記載の制御デバイス。
【請求項4】
前記制御デバイス(2)は、前記回転子が回転すると、前記供給コイル(B2)または前記少なくとも1つの供給コイルの誘導電圧の交番すなわち周期を検出し、かつ、カウントすることができるようになされた測定回路(18)を備えており、前記連続する時間期間は、それぞれ、誘導された電圧から検出された所与の数の連続する交番すなわち周期によって定義されることを特徴とし、また、前記論理回路(20)は、前記連続する時間期間毎に、誘導された電圧の1交番すなわち1周期当たりの電気パルス率を決定することができるようになされており、前記電気パルス率は、考察された時間期間にカウントされた電気パルスの数をこの時間期間における所与の数の交番すなわち周期で割ったものに等しく、前記電気パルス率は、電気パルスの計算された数の第1の増加関数を定義していることを特徴とする請求項2に記載の制御デバイス。
【請求項5】
前記測定回路(18)は、
- それぞれ前記供給コイル(B2)の第1の端子および第2の端子(27、28)に接続された2つの入力を有し、前記回転子(6)が回転すると、このコイルの誘導電圧の瞬時極性を示すデジタル信号(Pol_B2)を提供するコンパレータ(18a)と、
- 前記供給コイル(B2)の前記第1の端子(27)を前記第1の供給電圧より低い基準電圧に瞬時に接続することができる少なくとも1つの第1のスイッチ(SM1、SM2)と、
- 前記デジタル信号中の、それぞれ前記誘導電圧の2つの極性に対応しているその2つの状態の間のすべての移行をカウントし、したがってこの誘導電圧の交番、すなわち前記デジタル信号の所与の状態へのすべての移行の数をカウントし、したがって前記誘導電圧の周期の数をカウントするようになされたカウンタ(18b)と
によって形成されていることを特徴とする請求項4に記載の制御デバイス。
【請求項6】
前記複数の値の範囲は、上限として前記第1の決定済み閾値を有する前記電気パルス率の下側範囲、下限として前記第2の決定済み閾値を有する前記電気パルス率の上側範囲、およびそれぞれ前記下限および前記上限として前記第1の決定済み閾値および前記第2の決定済み閾値を有する前記電気パルス率の中間範囲を含むことを特徴とし、また、前記論理回路は、個々の新しい選択で、
- 最後の決定された電気パルス率、または前記最後の電気パルス率を含む決定された電気パルス率の連続の第2の関数が前記下側範囲内である場合に、前記第2の供給電圧の値が前記ロー値より大きいと、この値を小さくするようになされ、
- 最後の決定された電気パルス率、または前記最後の電気パルス率を含む決定された電気パルス率の連続の第2の関数が前記中間範囲内である場合に、前記第2の供給電圧の値を先行する選択によって得られた値に維持するようになされ、
- 最後の決定された電気パルス率、または前記最後の電気パルス率を含む決定された電気パルス率の連続の第2の関数が前記上側範囲内である場合に、前記第2の供給電圧の値が前記ハイ値より小さいと、この値を大きくするようになされている
ことを特徴とする請求項4に記載の制御デバイス。
【請求項7】
前記第1の決定済み閾値は50%に等しく、前記中間囲は50%と75%の間であり、また、前記第2の決定済み閾値は75%に等しいことを特徴とする請求項6に記載の制御デバイス。
【請求項8】
前記分圧器は、一方では前記固定子と、他方では前記第1の供給電圧を供給する前記電源ユニットおよび前記制御デバイスの接地との間に配置されたスイッチ回路(22)を備えており、この分圧器は、前記第1の供給電圧を1より大きい複数の整数分の1に選択的に分圧することができるようになされていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の制御デバイス。
【請求項9】
前記分圧器は、n=1~NであるN個のコンデンサCを備えており、Nは1より大きい整数であることを特徴とし、前記論理回路は、この場合、それぞれS+1個の連続電気パルスを含む一連の前記電気パルスを生成するために、前記スイッチ回路(22)のスイッチを開閉することができるようになされており、Sは1とNの間で選択される整数であり、それぞれ、
- 最初に、パルス継続時間の間、前記電源ユニットが前記固定子を介して前記N個のコンデンサのうちの第1のコンデンサCに接続され、この第1のコンデンサCは、考察されている一連のパルスのうちの第1の電気パルスを生成するために前記電源ユニットが前記第1の供給電圧を供給するコンデンサであり、
- 次に、数Sが2に等しい場合、第2の電気パルスを生成するために、前記パルス継続時間の間、コンデンサCと前記コンデンサCの間に前記固定子が接続され、あるいは前記数Sが2より大きい場合、S-1個の電気パルスを連続的に生成するために、前記パルス継続時間毎に、前記N個のコンデンサに含まれているS個のコンデンサのうちのコンデンサCとコンデンサCJ-1の間に前記固定子が連続的に接続され、Jは2からSまで変化し、
- 最後に、考察されている前記一連の電気パルスのうちの最後の電気パルスを生成するために、前記パルス継続時間の間、コンデンサCと接地の間に前記固定子が接続される
ように生成されることを特徴とし、
また、前記数Sは、前記電圧値を新たに選択する毎に、前記論理回路(20)によって選択しなおすことができ、前記第2の供給電圧のために提供される前記複数の異なる値は、前記第1の供給電圧をmで割ることによって定義される複数の電圧にそれぞれ対応しており、m=2~N+1であることを特徴とする請求項8に記載の制御デバイス。
【請求項10】
n=1~Nである前記N個のコンデンサCn、は実質的に同じ容量を有していることを特徴とする請求項9に記載の制御デバイス。
【請求項11】
前記数Nは3と6の間であり、3および6を含むことが意図されていることを特徴とする請求項9に記載の制御デバイス。
【請求項12】
前記モータの前記所与の動作モードすなわちレジームでは、(N+1)分の1に分圧された前記第1の供給電圧は、前記固定子の両端間に正常に生成される最大誘導電圧の絶対値より大きいことを特徴とする請求項9に記載の制御デバイス。
【請求項13】
この制御デバイスは、前記固定子の両端間の誘導電圧が最大誘導電圧に実質的に等しい場合に個々の電気パルスが生成されるようになされていることを特徴とする請求項12に記載の制御デバイス。
【請求項14】
前記電気パルスは、少なくとも前記回転子の数十回の回転にわたる時間インターバル毎に一定のパルス継続時間を有していることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の制御デバイス。
【請求項15】
前記モータ(4)はDCモータであることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の制御デバイス。
【請求項16】
この制御デバイスは、設定点速度に等しくなるように前記回転子(6)の平均回転速度を制御するようになされていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の制御デバイス。
【請求項17】
連続回転モータ(4)と、前記連続回転モータ(4)の電源を制御するための制御デバイス(2)とを備えた時計であって、前記制御デバイスは請求項1~7のいずれか一項に記載の制御デバイスであることを特徴とする時計。
【請求項18】
連続回転モータ(4)と、前記連続回転モータ(4)の電源を制御するための制御デバイス(2)とを備えた時計であって、前記制御デバイスは請求項8に記載の制御デバイスであることを特徴とする時計。
【請求項19】
連続回転モータ(4)と、前記連続回転モータ(4)の電源を制御するための制御デバイス(2)とを備えた時計であって、前記制御デバイスは請求項9に記載の制御デバイスであることを特徴とする時計。
【請求項20】
連続回転モータ(4)と、前記連続回転モータ(4)の電源を制御するための制御デバイス(2)とを備えた時計であって、前記制御デバイスは請求項10に記載の制御デバイスであることを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続回転モータの電源を制御するための制御デバイスに関する。詳細には、本発明は電気機械式の時計に関し、時計は、この時計に組み込まれるように構成される連続回転DCモータと、制御デバイスとを備える。
【背景技術】
【0002】
欧州特許文書第3663872号は、詳細には時計アプリケーションのための連続回転モータの電源を制御するためのデバイスを開示しており、デバイスはこのモータの回転子の回転を制御することができるようになされており、この回転子の速度の変化を許容することによって回転を制御することができる。この変化は突発的なものではなく、限度内を維持し、これは、望ましくない状態下であっても、あるいは外乱事象の後であってもモータを適切に動作させ、また、その一方で、現在の時刻の正しい表示を保証するために単位時間当たりの回転子の平均回転数を常に制御するために有利である。
【0003】
上記文書には、詳細には、所与の時間にモータによって駆動される負荷、モータが使用される条件、詳細にはモータに対する外乱、およびモータによって実施される回転数における、平均回転速度(単位時間当たりの回転子の回転数が対応する)に対する所与の設定点値に対する初期時間からの時間変動の関数として様々な動作モード、すなわちレジームが提供されている。この中で開示されている一動作モードでは、回転子速度調整方法の個々のサイクルで「低エネルギー」電気パルスが生成されるか、あるいはパルスが生成されないかのいずれかである。これはモータの正規動作モードであり、すなわち大きな外乱がない典型的な動作条件の下での動作モードである。本発明は、主としてこのような正規動作モードすなわちレジームに関しており、連続回転モータの回転子を回転させるために、所与の時間期間当たりの可変数で「低エネルギー」電気パルスが連続回転モータの固定子に連続的に供給されることに留意されたい。
【0004】
欧州特許文書第3663872号で言及されている「低エネルギー」電気パルスを生成するために、当業者は、とりわけ、固定子が2つのコイルによって形成され、また、回転子が多数の永久磁石(より一般的には、固定子と磁気結合された永久磁極)を備えているモータのための有利な方法を開示している欧州特許文書第3664280号の教示、および詳細には1.2Vと1.5Vの間の供給電圧を供給する電池によって供給される第1の供給電圧(この電圧範囲は電池の状態に応じてこの範囲を下回ることができる)を、所与の一定の継続時間を有する一連の「低エネルギー」電気パルスを生成する場合にモータの固定子に供給されるもっと低い電圧(第2の供給電圧)に分圧するためのとりわけ有効な分圧器を記述している欧州特許文書第3663871号の教示を使用することができる。
【0005】
欧州特許文書第3663871号はモータの電力消費の低減を目的としており、この目的は、電池によって供給される第1の供給電圧を固定子の端子に印加される第2のより低い一定の電圧に分圧することによって達成されている。言い換えると、固定子のインダクタ(コイル)に注入される電流が最小化され、したがって抵抗損を同じく最小化することができる。例えば開示されている分圧器は、電池によって供給される第1の供給電圧を3分の1に分圧する。3分の1に分圧する分圧器の選択は、モータの正規動作中に固定子の2つのコイルに誘導される電圧の最大値に関する考察の結果によるものであり、3分の1の分圧により、電気パルスが駆動を維持するための特定のマージン、すなわち第2の供給電圧が固定子に誘導される最大電圧より高い電圧を維持するための特定のマージンが提供されるが、これらの2つの電圧の差は、第1の供給電圧が固定子に直接供給される場合よりもはるかに小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許文書第3663872号
【文献】欧州特許文書第3664280号
【文献】欧州特許文書第3663871号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、詳細には時計に組み込まれる連続回転モータの電源を制御するための制御デバイスであって、可能な限り効率的な方法でこのモータに電力を供給することができ、その一方で少なくとも所与の動作モードすなわちレジームにおけるモータの電力消費を最少に維持することができる制御デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、固定子および回転子によって形成される連続回転モータの電源を制御するための制御デバイスに関しており、固定子は少なくとも1つの供給コイルを備え、また、回転子は、回転子が回転すると前記少なくとも1つの供給コイルに磁気結合される少なくとも1つの永久磁石を担っている。この制御デバイスは、第1の供給電圧を供給する電源ユニットによって電力が供給されるようになされており、また、この制御デバイスは、この第1の供給電圧を分圧し、かつ、第1の供給電圧より低い第2の供給電圧を固定子に供給することができるようになされた分圧器を備えている。制御デバイスは、モータの所与の動作モードすなわちレジームで、固定子に供給される駆動電気パルスである、回転子を駆動するための第2の供給電圧を有する電気パルスを生成するようになされており、定義された時間インターバル当たりのこれらの電気パルスの数は、詳細にはモータに印加される負荷の関数として可変である。制御デバイスは、- 連続する時間期間における電気パルスの数をカウントすることができ、- 電気パルスのカウントされた数の関数、または電気パルスのカウントされた数の連続の関数として、第2の供給電圧のために提供された前記複数の異なる値の中から電圧値を周期的に選択することができ、および- この電圧値を選択した後、電気パルスを生成すると、この分圧器が選択された電圧値を有する第2の供給電圧を供給するように分圧器を制御することができるようになされている論理回路を備えている。論理回路は、個々の新しい選択で、
- 電気パルスの最後に計算された数、またはこの最後の数の第1の増加関数が第1の決定済み閾値より小さく、あるいは最後の数を含む電気パルスの計算された数の連続、またはこれらの数の各々の第1の増加関数の連続が、数の連続のうちの少なくとも1つの数に対する第1の選択基準を満足し、あるいはこの数の第1の増加関数が第1の決定済み閾値より小さい場合に、第2の供給電圧の値が所与のロー値より大きいと、この値を小さくするようになされ、
- 電気パルスの最後に計算された数、またはこの最後の数の第1の増加関数が第2の決定済み閾値より大きく、あるいは最後の数を含む電気パルスの計算された数の連続、またはこれらの数の各々の第1の増加関数の連続が、数の連続のうちの少なくとも1つの数に対する第2の選択基準を満足し、あるいはこの数の第1の増加関数が第2の決定済み閾値より大きい場合に、第2の供給電圧の値が所与のハイ値より小さいと、この値を大きくするようになされている。
【0009】
主要実施形態では、論理回路は、複数の決定済み値の範囲の中から、電気パルスの計算された数、もしくはこの数の第1の増加関数、または電気パルスの計算された数の連続の第2の関数、あるいはこれらの数の各々の第1の増加関数の第2の関数が存在している値の範囲を決定することができるように、また、第2の供給電圧のために提供された前記複数の異なる値の中から、最後の決定された値の範囲の関数として電圧値を周期的に選択することができるようになされている。
【0010】
主要実施形態に対する一般的な代替によれば、複数の値の範囲は、上限として前記第1の閾値を有する第1の値の範囲、下限として前記第2の閾値を有する第2の値の範囲、および第1の値の範囲と第2の値の範囲の間に位置し、それぞれ下限および上限として第1の閾値および第2の閾値を有する第3の値の範囲を含む。この一般的な代替実施形態では、論理回路は、個々の新しい選択で、
- 電気パルスの最後に計算された数、またはこの最後の数の第1の増加関数、あるいは最後の数を含む電気パルスの計算された数の連続の第2の関数、またはこれらの数の各々の第1の増加関数の第2の関数が第1の値の範囲内である場合に、第2の供給電圧の値が前記ロー値より大きいと、この値を小さくするようになされ、
- 電気パルスの最後に計算された数、またはこの最後の数の第1の増加関数、あるいは最後の数を含む電気パルスの計算された数の連続の第2の関数、またはこれらの数の各々の第1の増加関数の第2の関数が第2の値の範囲内である場合に、第2の供給電圧の値が前記ハイ値より小さいと、この値を大きくするようになされ、
- 電気パルスの最後に計算された数、またはこの最後の数の第1の増加関数、あるいは最後の数を含む電気パルスの計算された数の連続の第2の関数、またはこれらの数の各々の第1の増加関数の第2の関数が第3の値の範囲内である場合、第2の供給電圧の値を先行する選択によって得られた値に維持するようになされている。
【0011】
本発明の有利な実施形態では、制御デバイスは、回転子が回転すると、前記供給コイルまたは前記少なくとも1つの供給コイルの誘導電圧の交番すなわち周期を検出し、かつ、カウントすることができるようになされた測定回路を備えており、連続する時間期間は、それぞれ、誘導された電圧から検出された所与の数の連続する交番すなわち周期によって定義される。論理回路は、連続する時間期間毎に、誘導された電圧の1交番すなわち1周期当たりの電気パルス率を決定することができるようになされており、電気パルス率は、考察された時間期間にカウントされた電気パルスの数をこの時間期間における所与の数の交番すなわち周期で割ったものに等しく、電気パルス率は、電気パルスの計算された数の第1の増加関数を定義している。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、分圧器は、一方では固定子と、他方では第1の供給電圧を供給する電源ユニットおよび制御デバイスの接地との間に配置されたスイッチ回路を備えており、この分圧器は、第1の供給電圧を1より大きい複数の整数分の1に選択的に分圧することができるようになされている。
【0013】
好ましい実施形態に対する有利な代替では、分圧器は、n=1~NであるN個のコンデンサCを備えており、Nは1より大きい整数である。この場合、論理回路は、それぞれS+1個の連続電気パルスを含む一連の前記電気パルスを生成するために、スイッチ回路のスイッチを開閉することができるようになされており、Sは1とNの間で選択される整数であり、それぞれ以下のように生成される。
- 最初に、前記パルス継続時間の間、電源ユニットが固定子を介してN個のコンデンサのうちの第1のコンデンサCに接続され、この第1のコンデンサCは、考察されている一連のパルスのうちの第1の電気パルスを生成するために電源ユニットが第1の供給電圧を供給するコンデンサである。
- 次に、数Sが2に等しい場合、第2の電気パルスを生成するために、パルス継続時間の間、コンデンサCとコンデンサCの間に固定子が接続され、あるいは数Sが2より大きい場合、S-1個の電気パルスを連続的に生成するために、パルス継続時間毎に、N個のコンデンサに含まれているS個のコンデンサのうちのコンデンサCとコンデンサCJ-1の間に固定子が連続的に接続され、Jは2からSまで変化する。
- 最後に、考察されている一連の電気パルスのうちの最後の電気パルスを生成するために、パルス継続時間の間、コンデンサCと接地の間に固定子が接続される。
【0014】
数Sは、前記電圧値を新たに選択する毎に、論理回路によって選択しなおすことができる。第2の供給電圧のために提供される複数の異なる値は、第1の供給電圧をmで割ることによって定義される複数の電圧にそれぞれ対応しており、m=2~N+1である。n=1~NであるN個のコンデンサCnは、実質的に同じ容量を有していることが好ましい。詳細には、数Nは3と6の間であり、3および6を含むことが意図されている。
【0015】
モータの前記所与の動作モードすなわちレジームでは、電気パルスを常に駆動しているようにするために、(N+1)分の1に分圧された第1の供給電圧は、固定子の両端間に正常に生成される最大誘導電圧の絶対値より大きいことに留意されたい。
【0016】
好ましい代替実施形態では、制御デバイスは、固定子の両端間の誘導電圧が最大誘導電圧に実質的に等しい場合に個々の電気パルスが生成されるようになされている。
【0017】
一般的な代替実施形態では、電気パルスは、モータの前記所与の動作モードすなわちレジームにおいて、少なくとも回転子の数十回の回転にわたる時間インターバル毎に一定のパルス継続時間を有している。
【0018】
一般的な実施形態では、モータは、一次単電池または電池によって電力が供給されるDCモータである。
【0019】
特定の代替実施形態では、制御デバイスは、所与の設定点速度に等しくなるようにモータの回転子の平均回転速度を制御するようになされている。
【0020】
本発明は、さらに、連続回転モータと、上で定義したように、このモータの電源を制御するためのデバイスとを備えた時計に関している。
【0021】
本発明の特徴のおかげで、ジュール効果による損失とも呼ばれる抵抗損を最適に低減することができる。抵抗損は、導体を流れる電流によって熱が生じることによるものであることを思い出されたい。ジュールの第1の法則は、電気導体によって生成される加熱電力Pは、電気導体の抵抗Rと電流Iの二乗の積に比例し、すなわちP=R×Iであることを述べている。しかしながら有用な機械的電力Pmecは、電流の二乗ではなく、電流に比例する。より詳細には機械的電力はPmec=k×w×Iであり、kはトルク定数、wは回転子の回転速度である。したがって本発明は、注目するに足る方法で、モータにおけるジュール効果による損失を低減し、その一方で、適切で、かつ、安全なモータの動作を保証し、すなわち十分な機械的電力、詳細にはモータに与えられる負荷に対する十分な機械的電力の提供を保証する。これはモータの極めて有効な動作をもたらし、モータの電力消費を可能な限り低減することができる。
【0022】
以下、本発明について、本発明を何ら制限しない例として与えられる添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】連続回転モータおよびこのモータの電源を制御するためのデバイスを示す図である。
図2】本発明による、前記連続回転モータの固定子の電気図、およびこのモータの電源を制御するためのデバイスの好ましい実施形態に対する代替の電気図である。
図3】固定子の2つのコイルの各々の誘導電圧、およびこれらの2つの誘導電圧のうちの一方から引き出された測定信号を示す図である。
図4】測定モードにおける制御デバイスのスイッチ回路の管理を示す表である。
図5】正の電気パルスを生成する際のモータ駆動モードにおける制御デバイスのスイッチ回路の管理を示す表である。
図6】負の電気パルスを生成する際の前記モータ駆動モードにおける制御デバイスの前記スイッチ回路の管理を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図を参照して、連続回転DCモータ4、すなわち固定子に電力が供給されて回転子が回転すると、実質的に一定の電圧で電力が供給されるモータに電力を供給するための本発明による制御デバイス2の好ましい実施形態について説明する。
【0025】
連続回転モータ4は、時計に組み込むために特定のサイズにすることができる小型モータである。このモータ4は、磁心がない2つの供給コイルB1およびB2によって形成された固定子、およびシャフトによって形成された回転子6を備えており、シャフトには、モータによって駆動される負荷のためのパワー・テイク・オフを画定しているピニオン8、および永久磁石12aおよび12bを担っている2つのフランジ10が取り付けられている。これらの磁石は、2つのフランジの間の内部空間の側に交番する極性を有しており、回転子が回転すると、これらの磁石が固定子のコイルに磁気結合されるよう、この内部空間に2つのコイルB1およびB2が部分的に挿入されている。
【0026】
2つのコイルB1およびB2は制御デバイス2に電気接続されており、制御デバイス2は、スイッチ回路22および複数のコンデンサ24によって形成された分圧器、論理回路20および測定回路18を備えている。スイッチ回路は、一方では固定子と、他方では電源ユニット16および制御デバイスの接地との間に配置されている。制御デバイスは、電源ユニット16、詳細には電池によって電気エネルギーが供給されるようになされており、電池は制御デバイスに第1の供給電圧Vddを供給している。分圧器は、以下でより詳細に説明されるように、第1の供給電圧Vddを1より大きい複数の整数分の1に選択的に分圧することができるようになされている。
【0027】
図2に示されている有利な代替実施形態では、スイッチ回路22は、電源ユニットの第1の供給電圧を受け取る供給端子と、固定子のそれぞれ2つの端子26および28との間に配置された2つのスイッチSA+およびSB+、固定子の第1の端子26と、それぞれ接地および複数のコンデンサ24との間に配置された第1の一連のスイッチ22A、および固定子の第2の端子28と、それぞれ接地および複数のコンデンサ24との間に配置された第2の一連のスイッチ22Bを備えている。小型モータ、とりわけ時計タイプの小型モータの場合、スイッチは典型的にはMOSトランジスタによって形成される。特定の代替実施形態では、複数のコンデンサは5個のコンデンサC1~C5によって形成されている。第1の一連のスイッチ22Aは6個のスイッチSA0、SA1~SA5からなっており、スイッチSA0は接地に接続され、また、5個のスイッチSA1~SA5はそれぞれコンデンサC1~C5に接続されている。第2の一連のスイッチ22Bは6個のスイッチSB0、SB1~SB5からなっており、スイッチSB0は接地に接続され、また、5個のスイッチSB1~SB5はそれぞれコンデンサC1~C5に接続されている。
【0028】
測定回路は、2つのスイッチSM1およびSM2(一般的な代替実施形態では少なくとも1つのスイッチが提供されている)、コンパレータ18a、および論理回路20と結合したカウンタ18bからなっている。コンパレータ18aは、それぞれコイルB2の第1の端子27および第2の端子28に接続された2つの入力を有しており、回転子が回転すると、その2つの状態「0」および「1」の間を実質的に周期方式で交互に通過するデジタル信号Pol_B2を提供する(回転子速度が一定である場合、デジタル信号は周期的である)。デジタル信号Pol_B2は、コイルB2の誘導電圧32の瞬時極性を示している。コイルB1の誘導電圧30をさらに示している図3では、信号Pol_B2の状態「0」は誘導電圧32の負の極性に対応しており、一方、信号Pol_B2の状態「1」はこの誘導電圧の正の極性に対応している。その2つの状態の間のデジタル信号Pol_B2の移行は、中間電圧による誘導電圧の経路を決定しており、この中間電圧より低い電圧は負の極性として定義され、一方、この中間電圧より高い電圧は誘導電圧の正の極性として定義されている。
【0029】
スイッチSM2により、直列に配置された2つのコイルB1およびB2の間の電気接続を瞬時に遮断することができ、また、スイッチSM1により、コイルB2の第1の端子27を基準電圧VRefに瞬時に接続することができ、基準電圧VRefはコイルB2の誘導電圧Uの中間電圧を決定し、この基準電圧は第1の供給電圧Vddより低い(「測定モード」と呼ばれる測定モードの動作については以下で説明される)。カウンタ18bは、デジタル信号Pol_B2中の、それぞれ前記誘導電圧Uの2つの極性に対応しているその2つの状態の間のすべての移行をカウントすることができ、したがってこの誘導電圧の交番、すなわちデジタル信号Pol_B2の2つの状態の間の所与の状態へのすべての移行の数をカウントすることができ、したがって誘導電圧の周期の数をカウントすることができるようになされている。
【0030】
以下、好ましい実施形態による制御デバイスの動作について説明する。一般に、分圧器は、第1の供給電圧Vddを分圧し、この第1の供給電圧(電池電圧VBat)より低い第2の供給電圧を固定子に供給することができるようになされている。本発明によれば、分圧器は、複数の異なる値を有する第2の供給電圧を供給することができるようになされている。したがって本発明による制御デバイスは、連続回転モータの所与の動作モードすなわちレジームで、固定子に供給される駆動パルスである、回転子を駆動するための前記第2の供給電圧を有する電気パルスを生成することができるようになされている。したがってこれらの電気パルスは可変電圧を有しており、この可変電圧は、以下で説明される基準の関数として変化する。定義された時間インターバル当たりの電気パルスの数は、詳細にはモータに印加される負荷の関数として可変である。制御デバイスの論理回路は、1)連続する時間期間における電気パルスの数をカウントすることができ、2)電気パルスのカウントされた数の関数、または電気パルスのカウントされた数の連続の関数として、第2の供給電圧のために提供された複数の異なる値の中から電圧値を周期的に選択することができ、また、3)前記電圧値を選択した後、電気パルスを生成すると、この分圧器がこの選択された電圧値を有する第2の供給電圧を供給するように分圧器を制御することができるようになされている。一般に、論理回路は、第2の供給電圧のための電圧値の個々の新しい選択毎に、
- 電気パルスの最後に計算された数、またはこの最後の数の第1の増加関数が第1の決定済み閾値より小さく、あるいは最後の数を含む電気パルスの計算された数の連続、またはこれらの数の各々の第1の増加関数の連続が、数の連続のうちの少なくとも1つの数に対する第1の選択基準を満足し、あるいはこの数の第1の増加関数が第1の決定済み閾値より小さい場合に、第2の供給電圧の値が所与のロー値より大きいと、この値を小さくするようになされ、
- 電気パルスの最後に計算された数、またはこの最後の数の第1の増加関数が第2の決定済み閾値より大きく、あるいは最後の数を含む電気パルスの計算された数の連続、またはこれらの数の各々の第1の増加関数の連続が、数の連続のうちの少なくとも1つの数に対する第2の選択基準を満足し、あるいはこの数の第1の増加関数が第2の決定済み閾値より大きい場合に、第2の供給電圧の値が所与のハイ値より小さいと、この値を大きくするようになされている。
【0031】
第1の選択基準および第2の選択基準に対する例は、1)電気パルスの数またはこの数の第1の増加関数が2つの連続する時間期間において第1の閾値より小さいか、あるいはそれぞれ第2の閾値より大きいこと、2)電気パルスの数またはこの数の第1の増加関数が5つの連続する時間期間のうちの2つの期間、より一般的にはX+Y個の連続する時間期間(XおよびYは非ゼロの正の整数である)のうちのX個の時間期間において第1の閾値より小さいか、あるいはそれぞれ第2の閾値より大きいことである。
【0032】
主要実施形態では、論理回路は、複数の決定済み値の範囲の中から、電気パルスの計算された数、もしくはこの数の第1の増加関数、または電気パルスの計算された数の連続の第2の関数、あるいはこれらの数の各々の第1の増加関数の第2の関数が存在している値の範囲を決定することができるように、また、第2の供給電圧のために提供された前記複数の異なる値の中から、最後の決定された値の範囲の関数として電圧値を周期的に選択することができるようになされている。上記第2の関数は、例えば電気パルスの計算された数の連続、またはこれらの数の各々の第1の増加関数の連続の算術平均である。別の例では、第2の関数は、電気パルスの計算された数の連続、またはこれらの数の各々の第1の増加関数の連続における最大値である。
【0033】
本発明の有利な実施形態では、制御デバイスの測定回路は、回転子が回転すると、前記供給コイルまたは前記少なくとも1つの供給コイルの誘導電圧の交番すなわち周期を検出し、かつ、カウントすることができるようになされている。連続する時間期間は、それぞれ、誘導された電圧から検出された所与の数の連続する交番すなわち周期によって定義される。一例として、ある時間期間の間に提供される交番すなわち周期の数は実質的に数秒または1分に対応している。一般に、時間期間は実質的に一定の継続時間を有しており、この事例では、より詳細には誘導電圧の交番すなわち周期の数は同じである。しかしながら特定の一代替実施形態では時間期間を変えることができる。例えば短い期間と長い期間を交番させることができ、あるいは1つまたは複数の先行する時間期間の結果の関数として時間期間の長さを変えることも可能である。時間期間は連続しているか、あるいは測定が実施されない時間インターバルを伴って周期的であることができる。
【0034】
この場合、論理回路は、連続する時間期間毎に、上記誘導電圧の1交番すなわち1周期当たりの電気パルス率を決定することができるようになされている。定義により、前記電気パルス率は、考察された時間期間にカウントされた電気パルスの数をこの時間期間における所与の数の交番すなわち周期で割ったものに等しい。この電気パルス率は、電気パルスの計算された数の第1の増加関数を定義している。
【0035】
特定の代替実施形態では、複数の値の範囲は、- 上限として第1の閾値を有する電気パルス率の下側範囲、- 下限として第2の閾値を有する前記電気パルス率の上側範囲、および- それぞれ下限および上限として第1の閾値および第2の閾値を有する前記電気パルス率の中間範囲を含む。論理回路は、第2の供給電圧のための電圧値の個々の新しい選択毎に、
- 最後の決定された電気パルス率、または最後の電気パルス率を含む決定された電気パルス率の連続の前記第2の関数が下側範囲内である場合に、第2の供給電圧の値が前記ロー値より大きいと、この値を小さくするようになされ、
- 最後の決定された電気パルス率、または最後の電気パルス率を含む決定された電気パルス率の連続の第2の関数が中間範囲内である場合に、第2の供給電圧の値を先行する選択によって得られた値に維持するようになされ、
- 最後の決定された電気パルス率、または最後の電気パルス率を含む決定された電気パルス率の連続の第2の関数が上側範囲内である場合に、第2の供給電圧の値が前記ハイ値より小さいと、この値を大きくするようになされている。
【0036】
例えば、第1の閾値は50%に等しく、また、第2の閾値は75%に等しく、中間率範囲は50%と75%の間である。
【0037】
好ましい実施形態では、制御デバイスは、2つのモード、すなわち「測定」モード(第1のモード)および「電気パルス発生」モード(第2のモード)で交互に動作する。これらの2つのモードは論理回路20によって管理される。
【0038】
図で説明されている代替実施形態では、分圧器は5個のコンデンサC、n=1~5を備えており、これらは実質的に同じ容量を有している。モータの考察されている動作モードすなわちレジームでは、(複数のコンデンサのコンデンサの数プラス1)分の1、すなわち6分の1に分圧された第1の供給電圧は、固定子の両端間に正常に生成される最大誘導電圧の絶対値より高い。制御デバイスは、固定子の両端間の誘導電圧が実質的に最大誘導電圧に等しい場合、詳細にはコイルB2の誘導電圧が絶対値の形で実質的にUMaxに等しい場合に、個々の電気パルスが生成されるようになされている(図3参照)。コイルB2の誘導電圧Uが基準電圧VRefを通過したことを決定することができるよう、電気パルス同士の間のインターバルで制御デバイスが「測定」モードに設定されることに留意されたい。制御デバイスが「電気パルス発生」モードに置かれるのは、モータの回転子を回転させるために駆動電気パルスの各々が生成される場合のみである。したがって「電気パルス発生」モードは個々の電気パルスを生成するために起動され、また、「測定」モードは、少なくとも、デジタル信号Pol_B2を生成する、コイルB2の誘導電圧が基準電圧VRefに近づき、また、誘導電圧がこの基準電圧に到達し、かつ、この基準電圧よりわずかに高くなるまで起動され、より詳細には、少なくとも、この事象に関連してデジタル信号Pol_B2の移行が生じるまで起動される。
【0039】
この場合、論理回路は、それぞれS+1個の連続電気パルスを含む一連の電気パルスを生成するために、スイッチ回路22のスイッチを開閉することができるようになされており、Sは1とNの間で選択される整数であり、Nはコンデンサの数であり、示されている代替実施形態では5に等しい。スイッチ(トランジスタ)は開くと導通し、閉じると非導通であることに留意されたい。「電気パルス発生」モードを記述している図5および図6の表では、×印は対応するスイッチ/トランジスタが開/導通であることを示しており、一方、非×印は対応するスイッチ/トランジスタが閉/非導通であることを示している。「測定」モードに関連している図4の表にも同じ原理が適用されている。
【0040】
個々の一連の電気パルスは、スイッチ回路22を制御している論理回路によって以下のように生成される。
- 最初に、パルス継続時間の間、電源ユニット16が固定子を介して5個のコンデンサC~Cのうちの第1のコンデンサCに接続され、したがってこの第1のコンデンサCは、考察されている一連のパルスのうちの第1の電気パルスを生成するために電源ユニットが第1の供給電圧Vddを供給するコンデンサである(図5および図6に列挙されている可能分圧の各々のうちの位相1)。
- 次に、数Sが2に等しい場合(3分の1分圧)、第2の電気パルス(3分の1分圧のうちの位相2)を生成するために、パルス継続時間の間、コンデンサCとコンデンサCの間に固定子が接続され、あるいは選択されたコンデンサの数Sが2より大きい場合(使用されているコンデンサの数Sがそれぞれ3、4または5に等しいように選択されているかどうかに応じて4分の1分圧、5分の1分圧または6分の1分圧)、S-1個の電気パルス(4分の1分圧のうちの位相3、5分の1分圧のうちのそれぞれ位相3および位相4、6分の1分圧のうちの位相3および位相4および位相5、電気パルスの生成に対応する位相の各々)を連続的に生成するために、パルス継続時間毎に、S個の決定されたコンデンサC~CのうちのコンデンサCとコンデンサCJ-1の間に固定子が連続的に接続され、Jは2からSまで変化する。
- 最後に、考察されている一連の電気パルスのうちの最後の電気パルス(図5および図6の表に列挙されている可能分圧の各々の最後の位相)を生成するために、パルス継続時間の間、コンデンサCと接地の間に固定子が接続される。
【0041】
数Sは、第2の供給電圧のために電圧値を新たに選択する毎に、論理回路によって選択しなおすことができる。図5の表は、固定子の誘導電圧が正の場合に提供される、好ましくはこの誘導電圧の正の最大電圧に近い正のパルスを生成するための、論理回路によるスイッチ回路22の制御および2つの測定スイッチSM1およびSM2の制御に関しており、一方、図6の表は、固定子の誘導電圧が負の場合に提供される、好ましくはこの誘導電圧の負の最大電圧に近い負のパルスを生成するための、論理回路によるスイッチ回路22の制御および2つの測定スイッチSM1およびSM2の制御に関していることに留意されたい。選択された値Sに対して、誘導電圧の正の交番または負の交番のいずれかで電気パルスを生成することができるだけでなく、正の交番および負の交番で交互に電気パルスを生成することができるよう、生じる連続位相で正および負のパルスを交互に生成することができることに留意されたい。
【0042】
定常状態が速やかに確立され、それぞれ固定子の2つの端子26および28に同時に接続されるS個の選択されたコンデンサのうちのすべての対のコンデンサの第1の2つの端子(固定子側に配置されている)間の電圧差が実質的に等しく、これらの電圧差は、供給電圧VddとコンデンサCの第1の端子の電圧の間の差に同じく実質的に等しく、また、コンデンサCの第1の端子の電圧と接地(接地によって定義される電圧)の間の差に同じく実質的に等しいため、駆動電気パルスを生成するための分圧器およびこの分圧器を制御するための方法は偽りなく注目に値する。したがって個々の一連の電気パルスのパルスは、すべて、定常状態で、選択される同じ決定済み電圧で生成される。電気駆動パルスを生成している間、固定子の供給電圧のための複数の異なる可能値は、m分の1に分圧された供給電圧Vddによって定義される複数の電圧にそれぞれ対応しており、m=2~N+1であり、mは定義によりS+1に等しい。したがって第2の供給電圧(少なくとも1つの一連の電気パルス、好ましくはいくつかの連続する一連の電気パルスを生成するためにモータの固定子に印加される)のための複数の異なる値はそれぞれVdd/(S+1)に等しく、Sは選択可能な数であり、一連のS+1個の電気パルスを生成している間、供給電圧Vddを(S+1)分の1に分圧するための分圧器に使用されるコンデンサの1個とN個(複数のコンデンサ24のコンデンサの数)の間で変更することができる。したがってこれは、ここで詳細に説明されている好ましい実施形態では、固定子の誘導電圧の交番すなわち周期毎に生成される電気パルス率の範囲の関数として変更することができ、かつ、選択することができる電圧を有する駆動電気パルスを生成することができる、効率が極めて高い分圧器を提供する。
【0043】
図4の表は、電気パルス同士の間、詳細には個々の対の連続する電気パルス同士の間に生じる測定モード(「測定」モード)で開く(×印が付けられている)スイッチを示している。測定モードの開始時は、スイッチSM2は閉じており(非導通)、また、スイッチSM1は開いている(導通)。測定モードの終了時は、固定子の2つのコイルがもう一度直列に接続されるよう、スイッチSM1は閉じており、また、スイッチSM2は開いている。これは、コンデンサの第1の端子に利用することができる電圧を使用して、実質的にVdd/2に等しいか、あるいは可能な限りVdd/2に近い基準電圧VRefを有するために、供給電圧に対して提供される分圧((S+1)分の1の分圧であり、Sは1~N=5に等しい)に従って区別立てられている。
【0044】
一般に、上で説明した好ましい実施形態では、電気パルスは一定のパルス継続時間を有している。しかしながら特定の代替実施形態では、電気パルスは、回転子6の数十回転にわたる時間インターバル毎に一定であるパルス継続時間を有している。したがってこの特定の代替実施形態では、固定子に供給される電圧に加えて、電気パルスの継続時間を同じく変更している間、モータに供給される電力の量が変更されることが意図されており、したがって固定子に印加される供給電圧の値を同じく制限することができ、延いてはモータの抵抗損を同じく制限することができる。電気パルスの発生を制御する論理回路は、この代替実施形態では、分圧器を管理する際に、詳細には比較可能要素に基づいて分圧器の分圧レベルを選択するために使用される決定済みパラメータをカウントし、および/または分類するために、電気パルスの継続時間に対する変化を考慮している。
【0045】
本発明による制御デバイスにとりわけ適した実施形態では、この制御デバイスは、所与の設定点速度におけるモータの回転子の平均回転速度を制御するようになされている。詳細には、この回転速度制御は、欧州特許文書第3663872号に記載されている方法と同様の方法で達成される。
【0046】
本発明は、さらに、連続回転DCモータと、本発明による制御デバイスの実施形態のうちの1つまたは他の実施形態による、このモータの電源を制御するためのデバイスとを備える時計、詳細には携帯用時計に関している。
【符号の説明】
【0047】
2 制御デバイス
4 連続回転DCモータ
6 回転子
8 ピニオン
10 フランジ
12a、12b 永久磁石
16 電源ユニット
18 測定回路
18a コンパレータ
18b カウンタ
20 論理回路
22 スイッチ回路
22A 第1の一連のスイッチ
22B 第2の一連のスイッチ
24 コンデンサ
B1、B2 供給コイル
26 固定子の第1の端子
27 コイルB2の第1の端子
28 固定子の第2の端子(コイルB2の第2の端子)
30 コイルB1の誘導電圧
32 コイルB2の誘導電圧
SA+、SB+、SA0、SA1~SA5、SB0、SB1~SB5、SM1、SM2 スイッチ
C1~C5 コンデンサ
dd 第1の供給電圧
Ref 基準電圧
Pol_B2 デジタル信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6