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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】充電車両のワイヤハーネス配索構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20240516BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
H02G3/30
B60R16/02 620Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022518420
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(86)【国際出願番号】 IB2020000410
(87)【国際公開番号】W WO2021220029
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】又野 眞一
(72)【発明者】
【氏名】石井 祐二
(72)【発明者】
【氏名】安部 秀紀
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/073327(WO,A1)
【文献】特開2014-099256(JP,A)
【文献】特開2012-085467(JP,A)
【文献】特開2018-165105(JP,A)
【文献】特開2013-178943(JP,A)
【文献】特開2020-040579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるバッテリと、
前記車両の車体側部に設けられ、前記バッテリに対して充電を行うための充電インレットと、
前記バッテリと前記充電インレットと接続するワイヤハーネスと、を有し、
前記充電インレットは、前記ワイヤハーネスが接続される先端が前記車体側部を貫通して車両の内側に位置しており、
前記バッテリは、前記ワイヤハーネスの前記充電インレットへの接続部よりも上下方向で低い位置にあり、前記バッテリの前記ワイヤハーネスが接続される部位は、車体前方の斜め上側に向いていることを特徴とする充電車両のワイヤハーネス配索構造。
【請求項2】
前記充電インレットは、ダッシュパネルの前方のモータルームに対応する位置に設けられ、前記ダッシュパネルは、前記充電インレットが設けられた側よりも車幅方向中央側が車体前方に向けて膨出する膨出部を備え、前記充電インレットは前記膨出部よりも車体後方に位置し、前記ワイヤハーネスは、前記膨出部の車幅方向に対応する位置で前記バッテリに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の充電車両のワイヤハーネス配索構造。
【請求項3】
前記ダッシュパネルは、車幅方向と平行な前記膨出部に対し、前記充電インレット側が車体後方に位置するように傾斜する車幅方向傾斜部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の充電車両のワイヤハーネス配索構造。
【請求項4】
前記ダッシュパネルと、前記ダッシュパネルよりも車体前方に位置するストラットタワーとの間に、前記ワイヤハーネスが配索される領域が設けられていることを特徴とする請求項2または3のいずれか1項に記載の充電車両のワイヤハーネス配索構造。
【請求項5】
前記バッテリは、前記ワイヤハーネスの前記充電インレットへの接続部よりも上下方向で低い位置にあり、前記ワイヤハーネスが配索される前記領域の車体部材には、前記充電インレット側から車幅方向中央側に向けて上下方向の高さが徐々に低くなるよう傾斜する上下方向傾斜部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の充電車両のワイヤハーネス配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電車両のワイヤハーネス配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の外部に充電インレットが設けられ、充電インレットに接続されたワイヤハーネスが、車両内部に配索されて車両に搭載された蓄電装置に接続される構造が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2018/179867
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の内部空間は車体の構造部材や搭載部品によって複雑な形状であり、このためワイヤハーネスは、複雑な形状の内部空間を屈曲させながら配索する必要が生じ、配索作業性に課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、充電インレットに接続されたワイヤハーネスの車両内部での配索作業性を高めることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係わる充電車両のワイヤハーネス配索構造は、車両に搭載されるバッテリと、車両の車体側部に設けられた充電インレットとを接続するワイヤハーネスを備える。充電インレットは、ワイヤハーネスが接続される先端が車体側部を貫通して車両の内側に位置している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、充電インレットに接続されたワイヤハーネスの車両内部での配索作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る充電車両のワイヤハーネス配索構造を示す、フロアパネルを省略した斜視図である。
図2図2は、図1に対しフロアパネルを追加するとともに、ワイヤハーネス及び充電インレットを取り外した状態の車体の斜視図である。
図3図3は、図2の充電インレット取付部周辺を示す斜視図である。
図4図4は、図3の車体の充電インレット取付部周辺の側面図である。
図5図5は、図1の充電インレット取付部の断面図である。
図6図6は、図1のワイヤハーネス配索構造を示す平面図である。
図7図7は、図1のワイヤハーネス配索構造を示す車両前方から見た斜視図である。
図8図8は、図1のワイヤハーネス配索構造に示される、ワイヤハーネスを含むバッテリユニットの平面図である。
図9図9は、図2の車体の充電インレットに対応する位置にフロントフェンダパネルを追加した斜視図である。
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る充電車両のワイヤハーネス配索構造を示している。充電車両として、ここでは電気自動車を例にとって説明する。図1は、図2に対し車体1のフロアパネル3等の車体部材の一部を省略しており、これによりフロアパネル3の下側に配置されるバッテリユニット5が見えている。バッテリユニット5は、車両に搭載されるバッテリを構成している。以下、バッテリユニット5を単にバッテリ5と呼ぶこともある。なお、図中の矢印FR,UP,LHで示す方向が、それぞれ車両前方、車両上方、車両左方である。
【0011】
図2に示すように、フロアパネル3の前側にはダッシュパネル9を設けている。ダッシュパネル9は、車室11の前側に設けられ、車室11と前方のモータルーム13とを隔てる隔壁である。モータルーム13の下部の車幅方向両側には、フロントサイドメンバ15が車両前後方向に延在している。ダッシュパネル9は、下部が後方に向けて傾斜している。フロントサイドメンバ15は、後部がダッシュパネル9の上記した傾斜に沿って下方に向けて屈曲しており、当該屈曲した部分がダッシュパネル9の上記した傾斜した部分につながっている。
【0012】
モータルーム13におけるフロントサイドメンバ15の上方で車幅方向やや外側には、車体側部としてのフードリッジパネル17を設けている。フードリッジパネル17の後部は、上下方向に延在するフロントピラー19につながっている。フードリッジパネル17の車幅方向内側には、ストラットタワー21及びホイールハウス23を設けている。ストラットタワー21の前部とホイールハウス23の後部とが互いにつながっている。ストラットタワー21及びホイールハウス23は、上部がフードリッジパネル17につながり、下部がフロントサイドメンバ15につながっている。
【0013】
フードリッジパネル17は、ストラットタワー21付近から前側に位置する前部25と、ストラットタワー21付近から後側に位置する後部27とを備えている。図4に示すように、前部25は前後方向に長く延び、後部27は、前部25の後端から上下方向に拡がって前述したフロントピラー19につながる。フードリッジパネル17は、前部25と後部27とを含む全長にわたり、側面29と上面31と下面33とを備えている。図5に示すように、フードリッジパネル17は、アウタパネル17aとインナパネル17bとを備え、上下のフランジ接合部F1,F2で互いに接合されて閉断面を形成している。側面29、上面31及び下面33は、アウタパネル17aにそれぞれ形成されている。
【0014】
図4に示すように、前部25の前部上面31aと前部下面33aとは互いに平行な水平面となっている。後部27の後部上面31bは、前部25側から後方にいくに従って上下方向の高さが徐々に高くなるよう傾斜している。後部27の後部下面33bは、前部25側の部分が後方にいくに従って上下方向の高さが徐々に低くなるよう傾斜し、フロントピラー19側の部分が下方に凸となるように緩やかに湾曲している。
【0015】
後部上面31bと後部下面33bの湾曲した部分との間の側面29には、充電インレット取付部35を設けている。充電インレット取付部35には、図1図5に示す充電インレット37を取り付ける。充電インレット37は、バッテリ5に対して充電を行うためのものである。充電インレット取付部35は、側面29を貫通する貫通孔39と、側面29の車幅方向外側で貫通孔39の周縁に設けられるブラケット41とを備えている。ブラケット41は、側面29に対して一体でもよく別体でもよい。
【0016】
貫通孔39は、前後方向に直線的に延びる上縁39aと、上縁39aの前後両端から下方に直線的に延びる前後一対の側縁39bと、前後一対の側縁39bの下端同士をつなぐ下縁39cとを備えている。下縁39cは、下方に凸となるよう湾曲している。ブラケット41は、前後一対の側縁39bに沿ってそれぞれ設けられている。前後一対のブラケット41は、図4に示すように、側面視でほぼ左右対称形状となっている。
【0017】
前後一対のブラケット41は、車幅方向外側の取付面41aが、図3図5に示すように、上部よりも下部のほうが車幅方向外側に突出するように傾斜している。前後一対のブラケット41は、側面29から立ち上がる前後一対の側壁面41bを備えている。前後一対の取付面41aは、前後一対の側壁面41bの車幅方向外側の端縁から互いに対向する方向に屈曲して形成されている。前後一対のブラケット41相互の間のスペースは、貫通孔39に整合している。前後一対の取付面41aには、上下二箇所に取付孔41ahを形成している。
【0018】
充電インレット37は、前後一対のブラケット41相互間及び貫通孔39に、車体外部から挿入することで充電インレット取付部35に取り付ける。充電インレット37は、前後一対のブラケット41相互間及び貫通孔39に挿入した状態で、周囲のフランジ部37aを取付面41aに当接させる。このとき、フランジ部37aに形成したフランジ取付孔が取付孔41ahに整合し、ボルト43をフランジ取付孔及び取付孔41ahに挿入してから、ナット45に締結する。
【0019】
充電インレット37は、図5に示すように、車体1に取り付けた状態で、車体側部のフードリッジパネル17のアウタパネル17aを貫通している。すなわち、充電インレット37は、車幅方向外側の充電コネクタ接続部37bがアウタパネル17aの外側に位置し、車幅方向内側のハーネス接続部37cがアウタパネル17aの内側に位置する。充電コネクタ接続部37bの車体外側の端部には、開閉蓋37b1を開閉自在に取り付けてある。開閉蓋37b1を開放した状態で、図示しない車外の充電器から引き出される充電コネクタを充電コネクタ接続部37bに接続してバッテリ5を充電する。ハーネス接続部37cにはワイヤハーネス47の一端を接続する。
【0020】
図5のように取り付けた充電インレット37は、ハーネス接続部37cがアウタパネル17aとインナパネル17bとの間に位置している。したがって、ワイヤハーネス47は、インナパネル17bに形成してあるインナ貫通孔17bhを貫通している。充電インレット37は、フードリッジパネル17のアウタパネル17aを貫通した状態で、車幅方向外側の充電コネクタ接続部37bが、車幅方向内側のハーネス接続部37cよりも上側となるように傾斜している。ハーネス接続部37cに一端を接続したワイヤハーネス47は、充電インレット37の上記した傾斜する方向に沿って車両内部の下方に向けて配索される。
【0021】
図7に示すように、ワイヤハーネス47の他端にはコネクタ49を取り付けている。一方、バッテリユニット5は、前端部にバッテリ側コネクタ51を設けている。バッテリ側コネクタ51にワイヤハーネス47のコネクタ49を接続する。バッテリ側コネクタ51が取り付けられる部分のバッテリユニット5の前端部は、下部が上部よりも車両前方となるように傾斜するバッテリ傾斜部5aを備えている。バッテリ傾斜部5aにバッテリ側コネクタ51を取り付けている。このため、バッテリ側コネクタ51の接続口は、車両前方の斜め上方に向いている。したがって、ワイヤハーネス47のコネクタ49は、車両前方から後方の斜め下方に向けてバッテリ側コネクタ51に接続する。
【0022】
バッテリ側コネクタ51は、図8に示すように、バッテリユニット5の車幅方向のほぼ中央付近に位置している。バッテリ側コネクタ51の車幅方向左側には、別のコネクタ53を設けてある。コネクタ53には、図示しないモータ側に接続されるワイヤハーネスが接続される。
【0023】
図6に示すように、ダッシュパネル9は、充電インレット37が設けられた側よりも車幅方向中央側が車体前方に向けて膨出する膨出部9aを備えている。充電インレット37は膨出部9aよりも車体後方に位置している。ワイヤハーネス47は、バッテリユニット5に対し、車幅方向の膨出部9aに対応する位置で車体後方に向けて接続されている。
【0024】
膨出部9aは、車体前後方向に対してほぼ直角で車幅方向に対してほぼ平行な面を有している。ダッシュパネル9は、膨出部9aに対し充電インレット37が設けられた側が、屈曲部9bにて車体後方に向けて屈曲して傾斜する車幅方向傾斜部9cを備えている。車幅方向傾斜部9cの膨出部9aと反対側の端部は、フードリッジパネル17のインナパネル17bに接合している。車幅方向傾斜部9cのフードリッジパネル17に対する接続部は、充電インレット37よりも車体後方に位置している。
【0025】
充電インレット37は、車体前後方向で車幅方向傾斜部9cに対応する位置にある。したがって、充電インレット37から車両内部に引き込まれるワイヤハーネス47は、図6の平面視では、車幅方向傾斜部9cに沿うようにして車体前方に向けて屈曲し、屈曲部9bを乗り越えたのち、膨出部9aの前面に沿って車幅方向内側に向けて配索される。
【0026】
ダッシュパネル9の屈曲部9b付近における膨出部9a及び車幅方向傾斜部9cと、ストラットタワー21との間に、ワイヤハーネス47が配索される領域Sを設けている。領域Sに充電インレット37から引き出されるワイヤハーネス47が配索される。領域Sにおける車体部材には、上下方向傾斜部としての傾斜面55が形成されている。傾斜面55は、充電インレット37側から車幅方向中央側に向けて上下方向の高さが徐々に低くなるよう傾斜している。傾斜面55は、車体前方側がストラットタワー21につながり、車体後方側がダッシュパネル9につながっている。
【0027】
傾斜面55の車体前後方向から見た傾斜角度は、充電インレット37の車体前後方向から見た傾斜角度とほぼ同等となっている。すなわち、充電インレット37から引き出されたワイヤハーネス47は、車体前後方向から見た場合に、充電インレット37の傾斜方向からそのまま直線的に傾斜面55に沿って斜め下方に向けて配索される。ワイヤハーネス47は、図6及び図7に示すように、ダッシュパネル9に対し、配索方向に沿って適宜間隔をあけて複数個所を固定具57(57a~57d)によって固定している。
【0028】
ワイヤハーネス47は、図7に示すように、車両前方から見た場合に、車幅方向左側(図7では右側)の充電インレット37が接続された端部から、バッテリユニット5への接続端部まで徐々に下がるよう傾斜する状態で配索してある。ワイヤハーネス47は、図6に示すように平面視では、充電インレット37が接続された端部付近から、第1屈曲部47aで車両前方へ向けて屈曲してから第2屈曲部47bで車幅方向内側に向けて屈曲し、膨出部9aの前面に沿うように車幅方向中央に向けて配索される。
【0029】
ワイヤハーネス47は、膨出部9aの前面では、固定具57bに対応する部位付近の第3屈曲部47cで、さらに車両前方へ向けて僅かに屈曲し、車両前方の斜め右側へ向けて配索される。ワイヤハーネス47は、図6に示す平面視では、バッテリ側コネクタ51の前方において、第4屈曲部47dでほぼ90度の角度で車両後方に向けて屈曲している。なお、第1屈曲部47a、第2屈曲部47b及び第3屈曲部47cの平面視での屈曲角度は、いずれも150度前後の鈍角となっている。
【0030】
ワイヤハーネス47は、平面視で第4屈曲部47dにおいて車両後方に向けて屈曲させる際に、膨出部9aを形成することによって第1屈曲部47a及び第3屈曲部47cで車両前方へ向けて事前に屈曲させている。このため、第4屈曲部47dでの屈曲角度がより小さく抑えられている。ワイヤハーネス47の第4屈曲部47dとコネクタ49との間は、ダッシュパネル9の下部の傾斜部分に沿って配索してある。ワイヤハーネス47は、ダッシュパネル9の下部の傾斜部分において固定具57dにより固定している。すなわち、ワイヤハーネス47は、第4屈曲部47dからコネクタ49に向けて、車両後方の斜め下方に向けて傾斜している。
【0031】
図9は、図2に対し、車体外板であるフロントフェンダパネル59を追加している。フロントフェンダパネル59の充電インレット37に対応する位置には、開口部59aを形成している。開口部59aには、リッド61を開閉自在に設けている。リッド61を開放することで、充電インレット37が開口部59aを通して外部に露出する。この状態で図示しない充電器の充電コネクタを充電インレット37に接続して充電する。
【0032】
ワイヤハーネス47は、充電インレット37が接続された状態で、車体に取り付ける。その際、ワイヤハーネス47のコネクタ49側を、図3図4の状態から充電インレット取付部35の貫通孔39及びインナ貫通孔17bhから車両内部に挿入する。このとき、コネクタ49及びワイヤハーネス47は、領域Sの傾斜面55上を滑るようにして案内されて車幅方向中央の下方に向けて挿入される。挿入時には、車両内部からワイヤハーネス47を引っ張る作業も行う。コネクタ49及びワイヤハーネス47を車両内に挿入し終えたら、充電インレット37は充電インレット取付部35のブラケット41に固定し、ワイヤハーネス47は固定具57により車体に固定する。その後、車体に搭載したバッテリユニット5のバッテリ側コネクタ51にコネクタ49を接続する。
【0033】
次に、実施形態の作用効果を説明する。
【0034】
本実施形態は、車両に搭載されるバッテリユニット5と、車体側部のフードリッジパネル17に設けられ、バッテリユニット5に対して充電を行うための充電インレット37と、バッテリユニット5と充電インレット37と接続するワイヤハーネス47と、を有する。充電インレット37は、ワイヤハーネス47が接続される先端がフードリッジパネル17のインナパネル17bを貫通して車両の内側に位置している。
【0035】
このため、ワイヤハーネス47は、インナパネル17bの内側に位置する充電インレット37の先端から、そのまま車両の内部に向けてほぼ直線的に引き込み配索することができる。これにより、ワイヤハーネス47の配索作業性が向上するとともに、ワイヤハーネス47の全長もより短くなって材料費の削減を達成できる。
【0036】
本実施形態の充電インレット37は、ダッシュパネル9の前方のモータルーム13に対応する位置に設けられ、ダッシュパネル9は、充電インレット37が設けられた側よりも車幅方向中央側が車体前方に向けて膨出する膨出部9aを備えている。充電インレット37は膨出部9aよりも車体後方に位置し、ワイヤハーネス47は、膨出部9aの車幅方向に対応する位置でバッテリユニット5に、車体前方から接続されている。
【0037】
この場合、充電インレット37から車両内に引き込まれたワイヤハーネス47は、膨出部9aがあることによって、一旦車体前方へ変位させている。これにより、第4屈曲部47dでの曲率がより小さくなり、太く曲げにくいワイヤハーネス47の配索作業性を高めている。
【0038】
本実施形態のダッシュパネル9は、車幅方向とほぼ平行な膨出部9aに対し、充電インレット37側が車体後方に位置するように傾斜する車幅方向傾斜部9cを備えている。このため、充電インレット37から車両内へ引き込まれるワイヤハーネス47は、車幅方向傾斜部9cに沿って緩やかに車両前方へ向かわせることができる。
【0039】
本実施形態は、ダッシュパネル9と、ダッシュパネル9よりも車体前方に位置するストラットタワー21との間に、ワイヤハーネス47が配索される領域Sが設けられている。ここで、充電インレット37及びワイヤハーネス47を車体に取り付ける際には、充電インレット37が接続された状態のワイヤハーネス47のコネクタ49側を、充電インレット取付部35の貫通孔39及びインナ貫通孔17bhから車両内部に挿入する。このとき、車外から車両内部は作業者にとって見にくいが、領域Sを設けることによって、ワイヤハーネス47の配索作業が容易となる。
【0040】
本実施形態のバッテリ5は、ワイヤハーネス47の充電インレット37への接続部よりも上下方向で低い位置にある。ワイヤハーネス47が配索される領域Sの車体部材には、充電インレット37側から車幅方向中央側に向けて上下方向の高さが徐々に低くなる傾斜面55が設けられている。このため、ワイヤハーネス47のコネクタ49側を、充電インレット取付部35の貫通孔39及びインナ貫通孔17bhから車両内部に挿入するときに、傾斜面55上を滑らせながら押し込むことができ、配索作業が容易となる。
【0041】
本実施形態のバッテリ5は、ワイヤハーネス47の充電インレット37への接続部よりも上下方向で低い位置にあり、バッテリユニット5のワイヤハーネス47が接続される部位は、車体前方の斜め上側に向いている。このため、ワイヤハーネス47のコネクタ49は、車両前方から後方の斜め下方に向けてバッテリ側コネクタ51に接続でき、接続作業が容易となる。
【0042】
なお、上記した実施形態では、充電インレット37を車両左側の助手席側に設けている。この場合の充電インレット37は急速充電用であり、車両右側の運転席側の車体側部には普通充電用の充電インレットを設ける。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含む。
【0044】
例えば、上記した実施形態では、充電インレット37を車両左側に設けているが、充電インレット37を車両右側に設けてもよい。この場合、運転席は車両左側となる。
【符号の説明】
【0045】
1 車体
5 バッテリユニット(バッテリ)
9 ダッシュパネル
9a ダッシュパネルの膨出部
9c ダッシュパネルの車幅方向傾斜部
13 モータルーム
17 フードリッジパネル(車体側部)
21 ストラットタワー
37 充電インレット
47 ワイヤハーネス
55 傾斜面(上下方向傾斜部)
S ワイヤハーネスが配索される領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9