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特許7489467高Qマルチモード誘電体共振構造および誘電体フィルタ
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  • 特許-高Qマルチモード誘電体共振構造および誘電体フィルタ 図1
  • 特許-高Qマルチモード誘電体共振構造および誘電体フィルタ 図2
  • 特許-高Qマルチモード誘電体共振構造および誘電体フィルタ 図3
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  • 特許-高Qマルチモード誘電体共振構造および誘電体フィルタ 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】高Qマルチモード誘電体共振構造および誘電体フィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01P 7/10 20060101AFI20240516BHJP
   H01P 1/208 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
H01P7/10
H01P1/208
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022538802
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 CN2021096886
(87)【国際公開番号】W WO2022028068
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】202010792917.5
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522248711
【氏名又は名称】物广系統有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】522248722
【氏名又は名称】アキュラ エレクトロニック テクノロジーズ プライベート リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】522248733
【氏名又は名称】アバレン インフォ システム テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】孟慶南
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109411852(CN,A)
【文献】特開2005-065040(JP,A)
【文献】特開2001-237608(JP,A)
【文献】特開平11-145705(JP,A)
【文献】実公昭58-007681(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 7/10
H01P 1/208
H01P 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティと、誘電体支持フレームと、誘電体共振器と、蓋板と、を含み、前記キャビティは、密封された空間で構成され、前記キャビティの1つの面が蓋板面であり、前記誘電体共振器は、誘電体材料で構成され、前記誘電体共振器は、キャビティの内壁と接触しないようにキャビティ内に取り付けられ、前記誘電体支持フレームは、誘電体共振器とキャビティの内壁との間の任意の位置に取り付けられ、かつ誘電体共振器およびキャビティの任意の形状とマッチングして接続固定され、ここで、誘電体共振器は、一体的な誘電体共振器、または複数の小さな誘電体共振ブロックに分割されて接続ブロックで固定されて構成された別体的な誘電体共振器を含み、
記キャビティ内には、垂直に交差する2つの単一軸方向円柱体または多面体で構成された誘電体共振器およびそれを固定するための誘電体支持フレームが設置され、キャビティと共に1つの高Qマルチモード誘電体共振構造が形成され、ここで、誘電体共振器におけるX軸方向の円柱体または多面体のX軸方向における寸法は、Y軸方向の円柱体または多面体の垂直方向かつX軸方向に平行な寸法以上であり、誘電体共振器におけるY軸方向の円柱体または多面体のY軸における寸法は、X軸方向の円柱体または多面体の垂直方向かつY軸方向に平行な寸法以上であり、
または、前記キャビティ内には、互いに垂直に交差する3つの単一軸方向円柱体または多面体で構成された誘電体共振器およびそれを固定するための誘電体支持フレームが設置され、キャビティと共に1つの高Qマルチモード誘電体共振構造が形成され、ここで、誘電体共振器におけるX軸方向の円柱体または多面体のX軸方向における寸法は、Y軸方向の円柱体または多面体およびZ軸方向の円柱体または多面体の垂直方向かつX軸方向に平行な寸法以上であり、誘電体共振器におけるY軸方向の円柱体または多面体のY軸方向における寸法は、X軸方向の円柱体または多面体およびZ軸方向の円柱体または多面体の垂直方向かつY軸方向に平行な寸法以上であり、誘電体共振器におけるZ軸方向の円柱体または多面体のZ軸方向における寸法は、X軸方向の円柱体または多面体およびY軸方向の円柱体または多面体の垂直方向かつZ軸方向に平行な寸法以上であり、
前記高Qマルチモード誘電体共振構造において、前記キャビティの内壁の寸法といずれか1つの誘電体共振器の3つの軸方向の対応する寸法との比、または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5である場合、キャビティの寸法および基本モードの周波数を変化せずに保持したときに、垂直に交差する2つの単一軸方向円柱体または多面体で構成された誘電体共振器、または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向円柱体または多面体で構成された誘電体共振器およびそれを固定するための誘電体支持フレームがキャビティと共に高Qマルチモード誘電体共振構造が形成され、高Qマルチモード誘電体共振構造は、周波数が同一であるかまたは周波数が接近する1-6個の基本モードを形成し、複数の周波数が異なる高次モードは、複数の周波数が同一である1-N個の高次モードを形成し、ここで、Nは1より大きい自然数であり、誘電体共振器の3つの軸方向の寸法とキャビティの対応する寸法との比が変化した時、対応する基本モードおよびマルチモードの数も対応して変化し、
前記高Qマルチモード誘電体共振構造は、誘電体共振器の水平および垂直方向において縁切り、溝切り、隅切りを行うことにより、隣接結合、交差結合に使用されてフィルタを形成し、キャビティの内壁の寸法と誘電体共振器の3つの軸方向の対応する寸法が変化し、または水平、垂直方向の寸法が変化すると、基本モードの周波数および複数の高次モードの周波数変させ、および基本モードに対応するQ変化させ
基本モードの周波数を変化せずに保持する場合、誘電率が異なる誘電体材料で構成された誘電体共振器と、キャビティと、誘電体支持フレームとで構成された前記高Qマルチモード誘電体共振構造は、基本モードの周波数および複数の高次モードの周波数変化させ、及び基本モードに対応するマルチモードおよびQ値変化させ、誘電率が異なる誘電体材料で構成された誘電体共振器の固有するQ値の変化が異なり、同時に高次モードの周波数も変化する、高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項2】
記キャビティ内には、垂直に交差する2つの単一軸方向円柱体または多面体で構成された誘電体共振器およびそれを固定するための誘電体支持フレームが設置され、キャビティと共に1つの高Qマルチモード誘電体共振構造が形成され、誘電体共振器の端面の中心は、それと対応するキャビティの内壁面の中心位置に近接するかまたは重なり、ここで、誘電体共振器におけるX軸方向の円柱体または多面体のX軸方向における寸法は、Y軸方向の円柱体または多面体の垂直方向かつX軸方向に平行な寸法以上であり、誘電体共振器におけるY軸方向の円柱体または多面体のY軸における寸法は、X軸方向の円柱体または多面体の垂直方向かつY軸方向に平行な寸法以上であり、その誘電体共振器の水平および垂直方向において縁切り、溝切り、隅切りを行うことにより、そのキャビティの内壁の寸法と誘電体共振器の3つの軸方向対応する寸変化、または水平、垂直方向の寸法変化すると、基本モードの周波数および複数の高次モードの周波数変化させ、並びに基本モードに対応するQ変化させ、キャビティの内壁のX、Y、Z軸における寸法が変化する場合、1つの必要な周波数を変化せずに保持したときに、前記キャビティの内壁に対応する誘電体共振器のX、Y、Z軸における寸法も対応して変化し、
前記キャビティ内には、互いに垂直に交差する3つの単一軸方向円柱体または多面体で構成された誘電体共振器およびそれを固定するための誘電体支持フレームが設置され、キャビティと共に1つの高Qマルチモード誘電体共振構造が形成され、誘電体共振器の端面の中心は、それと対応するキャビティの内壁面の中心位置に近接するかまたは重なり、ここで、誘電体共振器におけるX軸方向の円柱体または多面体のX軸方向における寸法は、Y軸方向の円柱体または多面体およびZ軸方向の円柱体または多面体の垂直方向かつX軸方向に平行な寸法以上であり、Y軸方向の円柱体または多面体のY軸方向における寸法は、X軸方向の円柱体または多面体およびZ軸方向の円柱体または多面体の垂直方向かつY軸方向に平行な寸法以上であり、誘電体共振器におけるZ軸方向の円柱体または多面体のZ軸方向における寸法は、X軸方向の円柱体または多面体およびY軸方向の円柱体または多面体の垂直方向かつZ軸方向に平行な寸法以上であり、その誘電体共振器の水平および垂直方向において縁切り、溝切り、隅切りを行うことにより、そのキャビティの内壁の寸法と誘電体共振器の3つの軸方向対応する寸変化、または水平、垂直方向の寸法変化する場合、基本モードの周波数および複数の高次モードの周波数変化させ、並びに基本モードに対応するQ変化させ、キャビティの内壁のX、Y、Z軸における寸法が変化する場合、1つの必要な周波数を変化せずに保持したときに、前記キャビティの内壁に対応する誘電体共振器のX、Y、Z軸における寸法も対応して変化し、
前記キャビティの内壁の寸法と誘電体共振器の3つの軸方向対応する寸法との比、または水平、垂直方向の寸法の比は、1.01-4.5である、請求項1に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項3】
電体共振器は、任意の軸方向、平面、斜面、対角に沿って貫通溝または盲溝を形成することにより、異なる数量の小さな誘電体共振ブロックに切断することができ、誘電体または金属接続ブロックで小さな誘電体共振ブロックを固定して誘電体共振器を構成するか、または、盲溝によって隣接する各々の小さな誘電体共振ブロックが一体的に接続されて誘電体共振器をし、
前記誘電体共振器において、貫通溝または盲溝は、溝幅が大きいほど基本モードの周波数および値に対する影響が大きく、溝幅が小さいほど基本モードの周波数および値に対する影響が小さく、
前記誘電体または金属接続ブロックが金属接続ブロックである場合、構成された別体的な誘電体共振器のQ値が大幅に低下し、
前記キャビティの内壁の寸法と誘電体共振器の3つの軸方向の対応する寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5である場合、基本モードに対応するモード数が1-Nであり、ここで、Nが2~6であり、基本モードの周波数および複数の高次モードの周波数変化させ、及び基本モードに対応するQ変化させ、誘電率が異なる誘電体共振器は、その基本モードの周波数、Q値、モード数の変化に影響を与え、
電体共振器の3つの軸方向における寸法に対応するキャビティの寸法が変化した時、基本モードの周波数および複数の高次モードの周波数変化させ、及び基本モードに対応するQ変化させる、請求項1または2に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項4】
ャビティの内壁の寸法と誘電体共振器の3つの軸方向対応する寸法との比または水平、垂直方向寸法の比が1.01-4.5である場合、基本モードの周波数および複数の高次モードの周波数変化させ、及び基本モードに対応するQ変化させ、誘電率が異なる誘電体共振器に対応する基本モードのQ値の変化が異なり、
電体共振器の3つの軸方向の寸法に対応するキャビティの寸法が変化した時、それと対応する基本モードのQ値も対応して変化する、請求項3に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項5】
ャビティの内壁の寸法と誘電体共振器の3つの軸方向対応する寸法との比または水平、垂直方向寸法の比が1.01-4.5である場合、その基本モードの周波数を変化せずに保持したときに、高次モードの周波数と基本モードの周波数との間の間隔に複数回の変化が発生し、誘電率が異なる誘電体共振器の周波数間隔の変化が異なり、
電体共振器の3つの軸方向の寸法に対応するキャビティの寸法が変化した時、それと対応する基本モードおよびマルチモードの周波数間隔も対応して変化する、請求項3に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項6】
前記誘電体共振器または/およびキャビティの、隣接する2つの電界または磁界が交差する位置に対して縁切り、溝切り、隅切りを行って隣接結合を形成し、キャビティおよび誘電体共振器を三角体または四角体に切削したり、キャビティまたは誘電体共振器のエッジを部分的または全部的に切除したり、キャビティおよび誘電体共振器を同時または個別に縁切りしたりし、縁切りによって隣接結合を形成した後に周波数およびQ値が対応して変化し、隣接結合は、その交差結合の強さに対しても影響を与える、請求項1に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項7】
誘電体共振器またはキャビティの、隣接しない電界または磁界における、位相が180°ずれている交差構造の位置に対して縁切り、溝切り、隅切りを行って交差結合を形成し、かつ対応する周波数およびQ値も対応して変化し、同時に隣接結合の強さに対しても影響を与える、請求項1に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項8】
当該誘電体共振器の電磁場の電界強度の集中位置に、少なくとも1つの同調装置が設置される、請求項1に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項9】
電体共振器に対応するキャビティの形状は、直方体、立方体、多面体を含み、キャビティの内壁の表面または内部領域の局所に凹みや突起、隅切り、溝を設置することができる、請求項1に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項10】
キャビティの材料は、金属または非金属であり、且つ、金属および非金属の表面に銅または銀が電気めっきされる、請求項8に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項11】
電体共振器の横断面形状は、円柱体、楕円体、多面体を含む、請求項1に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項12】
前記誘電体共振器の表面または内部領域の一部に凹みや突起、隅切り、溝、エッジを設置することができる、請求項1に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項13】
電体共振器は、実体または中空である、請求項1に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項14】
誘電体共振器の材料は、セラミック、複合誘電体材料、誘電率が1より大きい誘電体材料である、請求項1に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項15】
誘電体支持フレームは、誘電体共振器の端面、エッジ、3つの面の交差部またはキャビティの3つの面の交差部に位置し、誘電体共振器とキャビティとの間に配置され、前記誘電体共振器は、誘電体支持フレームによって当該キャビティ内に支持され、誘電体支持フレームが誘電体共振器の異なる位置に取り付けられる場合、その基本モードに対応するマルチモードの数、周波数、Q値も対応して変化し、
前記誘電体または金属接続ブロックは、任意の2つまたは2つ以上の隣接する小さな誘電体共振ブロックを接続することができ、前記誘電体または金属接続ブロックは、小さな誘電体共振ブロックの任意の位置に位置し、異なる数の小さな誘電体共振ブロックを固定して誘電体共振器を構成し、前記誘電体または金属接続ブロックは、誘電体共振器の異なる位置に位置する場合、その基本モードに対応するマルチモードの数、周波数、Q値も対応して変化し、
キャビティの内壁の寸法と誘電体共振器の3つの軸方向対応する寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5である場合、基本モードおよび高次モードのQ値の大きさが複数回の変化が発生され、
電体共振器の3つの軸方向の寸法に対応するキャビティの寸法が変化した場合、基本モードの周波数及び複数の高次モードの周波数変化させ、並びに基本モードに対応するマルチモードの数およびQ値変化させる、請求項1に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項16】
誘電体支持フレームは、前記誘電体共振器またはキャビティと組み合わせて一体的構造または別体的構造が形成される、請求項1に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項17】
電体共振器の誘電体支持フレームは、誘電体材料で製造され、誘電体支持フレームの材料は、プラスチックまたはセラミック、複合誘電体材料であり、前記誘電体または金属接続ブロックは、誘電体または金属材料とされることができる、請求項15に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項18】
前記誘電体支持フレームは、圧着、接着、接合、溶接、係止またはネジ接続の方式で誘電体共振器およびキャビティに接続され、誘電体支持フレームは、誘電体共振器の1つの端面または複数の端面に接続され、
前記誘電体または金属の接続ブロックは、圧着、接着、接合、溶接、係止またはネジ接続の方式で分割された小さな誘電体共振ブロックを固定し、前記誘電体または金属接続ブロックは、複数の任意の形状の小さな誘電体共振ブロックを接続して誘電体共振器を形成する、請求項15または16に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項19】
前記誘電体支持フレームは、両面が平行な実体的構造または誘電体支持フレームの中間が貫通する構造を含み、かつ誘電体共振器の同一の端面または異なる端面、エッジ、隅における誘電体支持フレームの数は、1つまたは複数の異なる組み合わせであり、
誘電体支持フレームの数量が異なる場合、それと対応する周波数、モード数およびQ値も異なり、キャビティの内壁の寸法と誘電体共振器の3つの軸方向の対応する寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5である場合、基本モードおよび高次モードのQ値の大きさが複数回の変化が発生され、
前記誘電体または金属接続ブロックは、任意の形状であり、かつ2つまたは複数の隣接する小さな誘電体共振ブロックの間にマッチングして取り付けられることにより、これらの複数の小さな誘電体共振ブロックが接続固定されて別体的な誘電体共振器が形成され、
前記誘電体または金属接続ブロックは、実体的構造または中間が貫通する構造を含み、かつ共振ブロックの同一の端面または異なる端面、エッジ、隅を接続する前記誘電体または金属接続ブロックの数は、1つまたは複数の異なる組み合わせであり、異なる数の前記誘電体または金属接続ブロックに対応する周波数、モード数およびQ値も異なり、キャビティの内壁の寸法と誘電体共振器の3つの軸方向対応する寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5である場合、基本モードおよび高次モードのQ値の大きさが複数回変化され、
誘電体共振器の3つの軸方向の寸法に対応するキャビティの寸法の比が変化した場合、基本モードの周波数および複数の高次モードの周波数変化させ、並びに基本モードに対応するマルチモードの数およびQ値変化させる、請求項1に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項20】
電体共振器の誘電体支持フレームとキャビティの内壁との間には、応力を除去するための弾性バネ板または弾性誘電体材料が設置される、請求項1に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項21】
前記誘電体共振器の前記誘電体支持フレームは、キャビティの内壁と接触して熱伝導を形成する、請求項1に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造。
【請求項22】
請求項1乃至21のいずれか1項に記載の高Qマルチモード誘電体共振構造を含む誘電体フィルタであって
Qマルチモード誘電体共振構造は、1-N個の異なる周波数のシングルバンドパスフィルタを構成しNは自然数であり、異なる周波数のシングルバンドパスフィルタマルチバンドパスフィルタ、デュプレクサまたはマルチプレクサまたはそれらの組み合わせを構成し、または、対応する高Qマルチモード誘電体共振構造は、金属または誘電体のシングルモード共振キャビティ、またはデュアルモード共振キャビティおよび3重モード共振キャビティと異なる形式で任意の配列組み合わせが行われることにより、必要な異なるサイズの複数のシングルバンドパスフィルタまたはマルチバンドパスフィルタを形成するか、または、必要な異なるサイズの複数のシングルバンドパスフィルタで構成されたデュプレクサまたはマルチプレクサあるいはそれらの組み合わせを形成する、誘電体フィルタ。
【請求項23】
前記高Qマルチモード誘電体共振構造に対応するキャビティと金属または誘電体の共振器のシングルモードまたはマルチモードのキャビティは、隣接結合または交差結合が行われ、請求項22に記載の誘電体フィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、通信の技術分野に関し、特に高Qマルチモード誘電体共振構造およびフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
誘電体共振器は、もはや前世紀の30年代末までに遡ることができるが、当時のプロセスおよび技術レベルが低く、マイクロ波周波数帯域での損失が十分に小さい高誘電率材料を開発することができないため、誘電体共振器を普及して応用することができなかった。60年代に至るまで、材料科学および技術の進展により、損失が低いと共に誘電率が高いマイクロ波誘電体材料を開発することが可能となった。これと同時に、空間技術の発展により、電子機器の高信頼性と小型化に対する要求はますます切実になっている。したがって、誘電体共振器に対する研究は再び活発になった。70年代に、米国および日本等の国は、性能に対する要求を満足できるような複数種類のセラミック誘電体系材料の開発に相次いで成功した。これから、誘電体共振器は、本当に新たなマイクロ波素子としてマイクロ波回路に適用された。現在、誘電体共振器は、そのQが高く、体積が小さいと共に温度安定性に優れた利点を有するので、例えばフィルタおよびアンテナなどの様々な無線周波数の用途に広く応用されている。
【0003】
現在、移動通信業界の事業者による通信ネットワークへの投資は、2015年の4G構築の最高潮から段々に低下する傾向があるが、端末ユーザの需要は、カバレッジがよりよく、データトラフィックがより多く、通信帯域幅がより大きいという方向に向けて年々急速に上昇しており、通信業界全体は、コストがより低い解決手段を期待している。また、5G技術の商用化は、フィルタの体積、重量およびコストに対してより高く要求されており、フィルタは、通信アンテナ給電システムの重要な構成部分として不可欠な重要なデバイスである。どのようにコストがより低い前提でより優れた性能、より低い重量およびより小さい体積を実現するかは、フィルタのサプライアーが市場のチャレンジに直面するために解決しなければならない問題となる。
【0004】
第4世代移動通信から第5世代移動通信への急速な発展に伴い、通信装置の小型化および高性能化に対する要求がますます高くなっている。従来のフィルタは、その金属キャビティの体積が大きくかつ性能が一般的であるため、シングルモード誘電体フィルタによって徐々に代替され、シングルモード誘電体フィルタは、主にTE01モード誘電体フィルタおよびTMモード誘電体フィルタを含み、TE01モード誘電体フィルタおよびTMモード誘電体フィルタは、一般的にシングルモード誘電体共振の方式を採用することが多く、当該共振方式は、Q値をある程度向上させることができるが、製造コストが高く、体積が大きいという欠点が存在している。
【0005】
シングルモード誘電体フィルタのコストが高く、体積が大きいという技術的問題を解決するために、3重モード誘電体フィルタが開発された。関連技術において、3重モード誘電体フィルタは、一般的にTE3重モードフィルタとTM3重モードフィルタとに分けられる。TE3重モードフィルタは、結合方式が複雑であり、体積が大きいとともにQ値が高いという特徴を有し、TM3重モードフィルタは、結合方式が簡単であり、体積が小さいとともにQ値が低いという特徴を有している。同一周波数帯域のTE3重モードフィルタおよびTM3重モードフィルタにとって、TM3重モードフィルタは、TE3重モードフィルタと比べて重量、コストおよび体積がはるかに小さくなる。したがって、関連技術において、TE3重モードフィルタは、一般的に狭帯域フィルタの設計に使用されており、他のタイプのフィルタは、一般的にTM3重モードフィルタを使用している。TM3重モードフィルタの誘電体共振ブロックに銀が焙焼され、銀が焙焼された後に銀層と誘電体共振ブロックの表面との間にガラス状態の物質が形成されるため、実際の導電率が大幅に低下することにより実際のQ値が低くなり、TM3重モードフィルタの使用範囲がさらに制限される。したがって、どのように体積が小さく、Q値が高いTM3重モードフィルタを得るかは、フィルタの新たな開発方向となる。
【0006】
高Qマルチモード技術は、フィルタを基地局システムに応用し、RRU(リモート無線ユニット)の体積を40%減少させると同時に、RRUの消費電力を10%低下させることができ、環境に対してよりやさしくなる。マルチモード技術を用いたフィルタは、その性能指標が従来のフィルタと同様である場合、その体積が大幅に50%以上減少される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような課題を解決するために、本発明の実施例は、フィルタの体積を小さくし、挿入損失を低くし、抑制能力を高くするとともに、マルチモードを形成することができ、かつQ値を従来の誘電体マルチモード技術よりも大きくすることができる高Qマルチモード誘電体共振構造および誘電体フィルタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、キャビティと、誘電体支持フレームと、誘電体共振器と、蓋板と、を含み、前記キャビティは、密封された空間で構成され、前記キャビティの1つの面が蓋板面であり、前記誘電体共振器は、誘電体で構成され、前記誘電体共振器は、キャビティの内壁と接触しないようにキャビティ内に取り付けられ、前記誘電体支持フレームは、誘電体共振器とキャビティの内壁との間の任意の位置に取り付けられ、かつ誘電体共振器およびキャビティの任意の形状とマッチングして接続固定され、ここで、誘電体共振器は、一体的な誘電体共振器、または複数の小さな誘電体共振ブロックに分割されて接続ブロックで固定されて構成された別体的な誘電体共振器を含み、ここで、前記キャビティ内には、1つの単一軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器およびそれを固定するための誘電体支持フレームが設置され、キャビティと共に1つのマルチモード誘電体共振構造が形成され、または、前記キャビティ内には、垂直に交差する2つの円柱体または多角体の単一軸方向誘電体共振器およびそれを固定するための誘電体支持フレームが設置され、キャビティと共に1つのマルチモード誘電体共振構造が形成され、ここで、X軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器のX軸方向における寸法は、Y軸の円柱体または多角体の誘電体共振器の垂直方向かつX軸方向に平行な寸法以上であり、Y軸の円柱体または多角体の誘電体共振器のY軸における寸法は、X軸の円柱体または多角体の誘電体共振器の垂直方向かつY軸方向に平行な寸法以上であり、または、前記キャビティ内には、互いに垂直に交差する3つの円柱体または多角体の単一軸方向誘電体共振器およびそれを固定するための誘電体支持フレームが設置され、キャビティと共に1つのマルチモード誘電体共振構造が形成され、ここで、X軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器のX軸方向における寸法は、Y軸の円柱体または多角体の誘電体共振器およびZ軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器の垂直方向かつX軸方向に平行な寸法以上であり、Y軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器のY軸方向における寸法は、X軸の円柱体または多角体の誘電体共振器およびZ軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器の垂直方向かつY軸方向に平行な寸法以上であり、Z軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器のZ軸方向における寸法は、X軸の円柱体または多角体の誘電体共振器およびY軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器の垂直方向かつZ軸方向に平行な寸法以上であり、前記誘電体共振構造が単一軸方向誘電体共振器、垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器である場合、誘電体共振器の水平および垂直方向において縁切り、溝切り、隅切りを行うことにより、キャビティの内壁の寸法と3つの軸方向に対応する誘電体共振器の寸法を変化させ、または水平、垂直方向の寸法を変化させて、基本モードおよび複数の高次モードの周波数および対応するマルチモードの数およびQ値を変化させ、前記誘電体共振構造が垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器である場合、そのうちのいずれかの軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器が他の1つまたは2つの軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器の垂直方向かつ軸方向に平行な寸法より小さいと、それと対応する基本モードおよび複数の高次モードの周波数および対応するマルチモードの数およびQ値はいずれも対応して変化し、基本モードの周波数を変化せずに保持する場合、誘電率が異なる誘電体共振器と、キャビティと、誘電体支持フレームとで構成された高Qマルチモード誘電体共振構造は、基本モードおよび複数の高次モードの周波数に対応するマルチモードおよびQ値の大きさが変化し、誘電率が異なる誘電体共振器のQ値の変化が異なり、同時に高次モードの周波数も変化し、前記キャビティの内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器の寸法との比、または水平、垂直方向の寸法の比は、1.01-4.5であり、ここで、Q値の大きさの変化と、キャビティの内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器の寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5の変化との関係は、Q値の大きさが寸法の比の大きさの変化に正比例し、または、Q値の大きさが寸法の比の大きさの変化に正比例するとともにQ値が一定の比の近傍で大きく変化し、異なる周波数に対応するマルチモードのQ値が一定の比の近傍での変化が異なる、高Qマルチモード誘電体共振構造を開示した。
【0009】
本発明の一つの好ましい実施形態では、前記キャビティ内には、1つの単一軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器およびそれを固定するための誘電体支持フレームが設置され、キャビティと共に1つのマルチモード誘電体共振構造が形成され、誘電体共振器の端面の中心は、それと対応するキャビティの内壁面の中心位置に近接するかまたは重なり、その誘電体共振器の水平および垂直方向の寸法に対して縁切り、溝切り、隅切りを行うことにより、そのキャビティの内壁の寸法と3つの軸方向に対応する誘電体共振器の寸法を変化させ、または水平、垂直方向の寸法を変化させて、基本モードおよび複数の高次モードの周波数並びに対応するマルチモードの数およびQ値を変化させ、キャビティの内壁のX、Y、Z軸における寸法が変化する場合、少なくとも1つの必要な周波数を変化せずに保持したときに、前記キャビティの内壁に対応する誘電体共振器のX、Y、Z軸における寸法も対応して変化し、
前記キャビティ内には、垂直に交差する2つの単一軸方向円柱体または多角体の誘電体共振器およびそれを固定するための誘電体支持フレームが設置され、キャビティと共に1つのマルチモード誘電体共振構造が形成され、誘電体共振器の端面の中心は、それと対応するキャビティの内壁面の中心位置に近接するかまたは重なり、ここで、X軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器のX軸方向における寸法は、Y軸の円柱体または多角体の誘電体共振器の垂直方向かつX軸方向に平行な寸法以上であり、Y軸の円柱体または多角体の誘電体共振器のY軸における寸法は、X軸の円柱体または多角体の誘電体共振器の垂直方向かつY軸方向に平行な寸法以上であり、その誘電体共振器の水平および垂直方向において縁切り、溝切り、隅切りを行うことにより、そのキャビティの内壁の寸法と3つの軸方向に対応する誘電体共振器の寸法を変化させ、または水平、垂直方向の寸法を変化させて、基本モードおよび複数の高次モードの周波数並びに対応するマルチモードの数およびQ値を変化させ、キャビティの内壁のX、Y、Z軸における寸法が変化する場合、1つの必要な周波数を変化せずに保持したときに、前記キャビティの内壁に対応する誘電体共振器のX、Y、Z軸における寸法も対応して変化し、前記キャビティ内には、互いに垂直に交差する3つの単一軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器およびそれを固定するための誘電体支持フレームが設置され、キャビティと共に1つのマルチモード誘電体共振構造が形成され、誘電体共振器の端面の中心は、それと対応するキャビティの内壁面の中心位置に近接するかまたは重なり、ここで、X軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器のX軸方向における寸法は、Y軸の円柱体または多角体の誘電体共振器およびZ軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器の垂直方向かつX軸方向に平行な寸法以上であり、Y軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器のY軸方向における寸法は、X軸の円柱体または多角体の誘電体共振器およびZ軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器の垂直方向かつY軸方向に平行な寸法以上であり、Z軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器のZ軸方向における寸法は、X軸の円柱体または多角体の誘電体共振器およびY軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器の垂直方向かつZ軸方向に平行な寸法よりも大きく、その誘電体共振器の水平および垂直方向において縁切り、溝切り、隅切りを行うことにより、そのキャビティの内壁の寸法と3つの軸方向に対応する誘電体共振器の寸法を変化させ、または水平、垂直方向の寸法を変化させて、基本モードおよび複数の高次モードの周波数並びに対応するマルチモードの数およびQ値を変化させ、キャビティの内壁のX、Y、Z軸における寸法が変化する場合、1つの必要な周波数を変化せずに保持したときに、前記キャビティの内壁に対応する誘電体共振器のX、Y、Z軸における寸法も対応して変化し、前記キャビティの内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器の寸法との比、または水平、垂直方向の寸法の比は、1.01-4.5である。
【0010】
本発明の一つの好ましい実施形態では、単一軸方向誘電体共振構造または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振構造または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振構造は、任意の軸方向、平面、斜面、対角に沿って貫通溝または盲溝を形成したり、異なる数量の小さな誘電体共振ブロックに切断して、誘電体または金属接続ブロックで小さな誘電体共振ブロックを固定して誘電体共振器を構成したり、盲溝によって隣接する各々の小さな誘電体共振ブロックが一体的に接続されて誘電体共振器を形成したりすることができ、貫通溝および盲溝は、溝幅が大きいほど周波数、Q値およびモード数に対する影響が大きく、溝幅が小さいほど周波数、Q値およびモード数に対する影響が小さく、 接続ブロックが金属である場合、構成された別体的な誘電体共振器のQ値が大幅に低下し、前記キャビティの内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器の寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5である場合、基本モードおよび高次モードの周波数に対応するモード数が1-Nであり、基本モードおよび高次モードの異なる周波数に対応するマルチモードのQ値が変化し、誘電率が異なる誘電体共振器は、その周波数、Q値、モード数の変化に影響を与え、そのうちの1つの軸方向の誘電体共振器と他の1つまたは2つの軸方向の誘電体共振器または3つの軸方向の誘電体共振器の寸法に対応するキャビティの寸法が変化した時、それと対応する基本モードおよびマルチモードの数、周波数、Q値も対応して変化する。
【0011】
本発明の一つの好ましい実施形態では、単一軸方向誘電体共振構造または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振構造または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振構造は、キャビティの内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器の寸法との比または水平、垂直方向寸法の比が1.01-4.5である場合、基本モードおよび複数の高次モードの周波数に対応するマルチモードおよびQ値の大きさが変化し、誘電率が異なる誘電体共振器のQ値の変化が異なり、Q値の大きさの変化と、キャビティの内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器の寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5の変化との関係は、Q値の大きさが寸法の比の大きさの変化に正比例し、または、Q値の大きさが寸法の比の大きさの変化に正比例するとともにQ値が幾つかの具体的な比の近傍で大きく変化し、異なる周波数に対応するマルチモードのQ値が幾つかの具体的な比の近傍での変化が異なり、そのうちの1つの軸方向の誘電体共振器と他の1つまたは2つの軸方向の誘電体共振器または3つの軸方向の誘電体共振器の寸法に対応するキャビティの寸法が変化した時、それと対応する基本モードのQ値も対応して変化する。
【0012】
本発明の一つの好ましい実施形態では、単一軸方向誘電体共振構造または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振構造または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振構造は、キャビティの内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器の寸法との比または水平、垂直方向寸法の比が1.01-4.5である場合、その基本モードの周波数を変化せずに保持したときに、高次モードの周波数と基本モードの周波数との間の間隔、および複数の高次モードの周波数同士の間隔に複数回の変化が発生し、誘電率が異なる誘電体共振器の周波数間隔の変化が異なり、そのうちの1つの軸方向の誘電体共振器と他の1つまたは2つの軸方向の誘電体共振器または3つの軸方向の誘電体共振器の寸法に対応するキャビティの寸法が変化した時、それと対応する基本モードおよびマルチモードの周波数間隔も対応して変化する。
【0013】
本発明の一つの好ましい実施形態では、単一軸方向誘電体共振構造または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振構造または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振構造は、キャビティの内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器の寸法との比または水平、垂直方向寸法の比が1.01-4.5である場合、キャビティの寸法および基本モードの周波数を変化せずに保持したときに、単一軸方向誘電体共振器の3つの軸方向における寸法の水平垂直方向の寸法を任意に組み合わせて変化すると、単一軸方向誘電体共振構造の基本モードは、周波数が同一であるかまたは周波数が接近する1-3個のマルチモードを形成し、複数の周波数が異なる高次モードは、複数の周波数が同一である1-N個のマルチモードを形成することができ、垂直交差2軸誘電体共振構造および3軸交差誘電体共振構造の基本モードは、周波数が同一であるかまたは周波数が接近する1-6個のマルチモードを形成し、複数の周波数が異なる高次モードは、複数の周波数が同一である1-N個のマルチモードを形成することができ、そのうちの1つの軸方向の誘電体共振器と他の1つまたは2つの軸方向の誘電体共振器または3つの軸方向の誘電体共振器の寸法に対応するキャビティの寸法の比が変化した時、それと対応する基本モードおよびマルチモードの数も対応して変化する。
【0014】
本発明の一つの好ましい実施形態では、前記誘電体共振器または/およびキャビティのエッジまたは隅に対して縁切りを行って隣接結合を形成し、キャビティおよび誘電体共振器を三角体または四角体に切削したり、キャビティまたは誘電体共振器のエッジを部分的または全部的に切除したり、キャビティおよび誘電体共振器を同時または個別に縁切りしたりし、縁切りによって隣接結合を形成した後に周波数およびQ値が対応して変化し、隣接結合は、その交差結合に対しても影響を与える。
【0015】
本発明の一つの好ましい実施形態では、単一軸方向誘電体共振器または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器に対応するキャビティの3つの面の交差部の隅位置に対して隅切りを行い、またはキャビティに対して隅切りを行いかつ閉鎖して交差結合を形成し、かつ対応する周波数およびQ値も対応して変化し、同時に隣接結合に対しても影響を与える。
【0016】
本発明の一つの好ましい実施形態では、当該誘電体共振器の電界強度の集中位置に、少なくとも1つの同調装置が設置される。
【0017】
本発明の一つの好ましい実施形態では、単一軸方向誘電体共振構造または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振構造または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振構造に対応するキャビティの形状は、直方体、立方体、多角体を含むがこれらに限定されず、キャビティの内壁の表面または内部領域の局所に凹みや突起、隅切り、溝を設置することができる。
【0018】
本発明の一つの好ましい実施形態では、キャビティの材料は、金属または非金属であり、金属および非金属の表面に銅または銀が電気めっきされる。
【0019】
本発明の一つの好ましい実施形態では、単一軸方向誘電体共振器または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器の横断面形状は、円柱体、楕円体、多角体を含むがこれらに限定されない。
【0020】
本発明の一つの好ましい実施形態では、前記誘電体共振器の表面または内部領域の一部に凹みや突起、隅切り、溝、エッジを設置することができる。
【0021】
本発明の一つの好ましい実施形態では、単一軸方向誘電体共振器または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器は、実体または中空である。
【0022】
本発明の一つの好ましい実施形態では、誘電体共振器の材料は、セラミック、複合誘電体材料、誘電率が1より大きい誘電体材料である。
【0023】
本発明の一つの好ましい実施形態では、誘電体支持フレームは、誘電体共振器の端面、エッジ、隅またはキャビティの隅に位置し、誘電体共振器とキャビティとの間に配置され、前記誘電体共振器は、誘電体支持フレームによって当該キャビティ内に支持され、誘電体支持フレームが誘電体共振器の異なる位置に取り付けられる場合、それと対応する基本モードおよびマルチモードの数、周波数、Q値も対応して変化し、接続ブロックは、任意の2つまたは2つ以上の隣接する小さな誘電体共振ブロックを接続することができ、接続ブロックは、小さな誘電体共振ブロックの任意の位置に位置し、異なる数の小さな誘電体共振ブロックを固定して誘電体共振器を構成し、接続ブロックは、誘電体共振器の異なる位置に位置する場合、それと対応する基本モードおよびマルチモードの数、周波数、Q値も対応して変化し、キャビティの内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器の寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5である場合、基本モードおよび高次モードのQ値の大きさが複数回の変化が発生され、そのうちの1つの軸方向の誘電体共振器と他の1つまたは2つの軸方向の誘電体共振器または3つの軸方向の誘電体共振器の寸法に対応するキャビティの寸法が変化した場合、それと対応する基本モードおよび複数の高次モードの周波数並びに対応するマルチモードの数およびQ値も対応して変化する。
【0024】
本発明の一つの好ましい実施形態では、誘電体支持フレームは、前記誘電体共振器またはキャビティと組み合わせて一体的構造または別体的構造が形成される。
【0025】
本発明の一つの好ましい実施形態では、単一軸方向誘電体共振器または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器の誘電体支持フレームは、誘電体材料で製造され、誘電体支持フレームの材料は、空気、プラスチックまたはセラミック、複合誘電体材料であり、接続ブロックは、誘電体または金属材料とされることができる。
【0026】
本発明の一つの好ましい実施形態では、前記誘電体支持フレームは、圧着、接着、接合、溶接、係止またはネジ接続の方式で誘電体共振器およびキャビティに接続され、誘電体支持フレームは、単一軸方向誘電体共振器または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器の1つの端面または複数の端面に接続され、前記誘電体または金属の接続ブロックは、圧着、接着、接合、溶接、係止またはネジ接続の方式で分割された小さな誘電体共振ブロックを固定し、接続ブロックは、複数の任意の形状の小さな誘電体共振ブロックを接続して誘電体共振器を形成する。
【0027】
本発明の一つの好ましい実施形態では、誘電体支持フレームは、誘電体共振器とキャビティの内壁との対応する任意の位置に取り付けられ、かつ誘電体共振器およびキャビティの任意の形状と合わせつつ接続固定され、誘電体支持フレームは、両面が平行な実体的構造または中間が貫通する構造を含み、かつ誘電体共振器の同一の端面または異なる端面、エッジ、隅における誘電体支持フレームの数は、1つまたは複数の異なる組み合わせであり、誘電体支持フレームの数量が異なる場合、それと対応する周波数、モード数およびQ値も異なり、キャビティの内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器の寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5である場合、基本モードおよび高次モードのQ値の大きさが複数回の変化が発生され、接続ブロックは、任意の形状であり、かつ2つまたは複数の隣接する小さな誘電体共振ブロックの間にマッチングして取り付けられることにより、これらの複数の小さな誘電体共振ブロックが接続固定されて別体的な誘電体共振器が形成され、接続ブロックは、実体的構造または中間が貫通する構造を含み、かつ共振ブロックの同一の端面または異なる端面、エッジ、隅を接続する接続ブロックの数は、1つまたは複数の異なる組み合わせであり、異なる数の接続ブロックに対応する周波数、モード数およびQ値も異なり、キャビティの内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器の寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5である場合、基本モードおよび高次モードのQ値の大きさが複数回変化され、そのうちの1つの軸方向の誘電体共振器と他の1つまたは2つの軸方向の誘電体共振器または3つの軸方向の誘電体共振器の寸法に対応するキャビティの寸法の比が変化した場合、それと対応する基本モードおよび複数の高次モードの周波数並びに対応するマルチモードの数およびQ値も対応して変化する。
【0028】
本発明の一つの好ましい実施形態では、単一軸方向誘電体共振器または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器の誘電体支持フレームとキャビティの内壁との間には、応力を除去するための弾性バネ板または弾性誘電体材料が設置される。
【0029】
本発明の一つの好ましい実施形態では、誘電体共振器の誘電体支持フレームは、キャビティの内壁と接触して熱伝導を形成する。
【0030】
本発明の実施例は、単一軸方向誘電体高Qマルチモード誘電体共振構造、垂直交差2軸高Qマルチモード誘電体共振構造または3軸垂直高Qマルチモード誘電体共振構造は、1-N個の異なる周波数のシングルバンドパスフィルタを構成することができ、異なる周波数のシングルバンドパスフィルタは、マルチバンドパスフィルタ、デュプレクサまたはマルチプレクサの任意の組み合わせを構成し、対応する高Qマルチモード誘電体共振構造は、さらに金属または誘電体のシングルモード共振キャビティ、デュアルモード共振キャビティおよび3重モード共振キャビティと異なる形式で任意の配列組み合わせが行われることができ、必要な異なるサイズの複数のシングルバンドパスフィルタまたはマルチバンドパスフィルタ、デュプレクサ、マルチプレクサあるいは任意の組み合わせを形成する高Qマルチモード誘電体共振構造の誘電体フィルタをさらに開示した。
【0031】
本発明の一つの好ましい実施形態では、単一軸方向誘電体高Qマルチモード誘電体共振構造、垂直交差2軸高Qマルチモード誘電体共振構造または3軸垂直高Qマルチモード誘電体共振構造に対応するキャビティと金属共振器のシングルモードまたはマルチモードのキャビティ、誘電体共振器のシングルモードまたはマルチモードのキャビティは、任意の隣接結合または交差結合の組み合わせが行われることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の実施例の有益な効果は、本発明の実施例によると、フィルタの体積を小さくし、挿入損失を低くし、抑制能力を高くするとともに、マルチモードを形成することができ、かつQ値を従来のマルチモード誘電体技術よりも大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下、本発明の実施例または関連技術の技術案をより明瞭に説明するために、実施例または関連技術の説明に必要な図面を簡単に説明するが、以下に説明される図面は、本発明の幾つかの実施例に関するものに過ぎなく、当業者にとっては、創造的な作業をすることなくこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができることは明らかなことである。
【0034】
図1】本発明の単一軸方向誘電体共振構造を示す図である。
図2】本発明の2つの単一軸方向共振構造が互いに垂直に交差した2軸共振構造を示す図である。
図3】本発明の3つの単一軸方向共振構造が互いに垂直に交差した3軸共振構造を示す図である。
図4】本発明の誘電体支持フレームが誘電体共振器の端面に設置される構造を示す図である。
図5】本発明の誘電体支持フレームがキャビティのエッジに設置される構造を示す図である。
図6】本発明の誘電体支持フレームがキャビティの隅に設置される構造を示す図である。
図7】本発明の誘電体共振器の端面に溝が掘られた構造を示す図である。
図8】本発明の他の3つの単一軸方向共振構造が互いに垂直に交差した3軸共振構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施例の目的、技術手段および利点をより明瞭にするために、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術手段を明確で完全に説明するが、以下に説明される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。また、当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な作業をせずに得られる他の実施例も全て本発明の保護範囲に含まれる。
【0036】
なお、本発明の説明において、「長さ」、「幅」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」等の用語で表す方位または位置関係は、図面に基づいた方位または位置関係であって、本発明の便宜な説明および説明の簡素化のためのものに過ぎなく、その装置または部品が必ず特定の方位を有し、かつ特定の方位で構成や操作されなければならないことを指示または暗示するのではないので、本発明を限定するものと理解されるべきではない。
【0037】
また、「第1」、「第2」のような用語は、単に説明するためのものであり、相対的な重要性を指示または暗示し、または指示された技術的特徴の数量を暗示的に示すものではないと理解すべきである。これにより、「第1」、「第2」が限定されている特徴は、当該特徴を明示的または暗黙的に1つまたはそれ以上含むことができる。なお、本発明の説明では、特に明記しない限り、「複数」は、2つまたはそれ以上であることを意味する。
【0038】
本発明の実施例は、キャビティ1と、誘電体支持フレーム2と、誘電体共振器3と、蓋板とを含む高Qマルチモード誘電体共振構造を開示する。キャビティ1は、密封された空間で構成され、そのうちの1つの面が蓋板面となる。前記誘電体共振器3は、誘電体で構成される。誘電体共振器3は、キャビティ1の内壁と接触しないようにキャビティ1内に取り付けられる。誘電体支持フレーム2は、誘電体共振器3とキャビティ1の内壁との間の任意の位置に取り付けられ、かつ誘電体共振器3およびキャビティ1の任意の形状とマッチングして接続固定される。ここで、誘電体共振器3は、一体的な誘電体共振器3、または複数の小さな誘電体共振ブロックに分割されて接続ブロックで固定されて構成された別体的な誘電体共振器3を含む。ここで、前記キャビティ1内に1つの単一軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3およびそれを固定するための誘電体支持フレーム2が設置され、キャビティ1と共に1つのマルチモード誘電体共振構造が形成され、または、前記キャビティ1内に垂直に交差する2つの円柱体または多角体の単一軸方向誘電体共振器3およびそれを固定するための誘電体支持フレーム2が設置され、キャビティ1と共に1つのマルチモード誘電体共振構造が形成され、ここで、X軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3のX軸方向における寸法は、Y軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3の垂直方向かつX軸方向に平行な寸法以上であり、Y軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3のY軸における寸法は、X軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3の垂直方向かつY軸方向に平行な寸法以上であり、または、前記キャビティ1内に互いに垂直に交差する3つの円柱体または多角体の単一軸方向誘電体共振器3およびそれを固定するための誘電体支持フレーム2が設置され、キャビティ1と共に1つのマルチモード誘電体共振構造が形成され、ここで、X軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3のX軸方向における寸法は、Y軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3およびZ軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3の垂直方向かつX軸方向に平行な寸法以上であり、Y軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3のY軸方向における寸法は、X軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3およびZ軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3の垂直方向かつY軸方向に平行な寸法以上であり、Z軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3のZ軸方向における寸法は、X軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3およびY軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3の垂直方向かつZ軸方向に平行な寸法以上であり、前記誘電体共振構造が単一軸方向誘電体共振器3、垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器3または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器3である場合、誘電体共振器3の水平および垂直方向において縁切り、溝切り、隅切りを行うことにより、そのキャビティ1の内壁の寸法と3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法を変化させ、または水平、垂直方向の寸法を変化させて、基本モードおよび複数の高次モードの周波数並びに対応するマルチモードの数およびQ値を変化させ、前記誘電体共振構造が垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器3または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器3である場合、そのうちのいずれかの軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3が他の1つまたは2つの軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3の垂直方向かつ軸方向に平行な寸法より小さくなると、それと対応する基本モードおよび複数の高次モードの周波数並びに対応するマルチモードの数およびQ値はいずれも対応して変化し、基本モードの周波数を変化せずに保持する場合、誘電率が異なる誘電体共振器3と、キャビティ1と、誘電体支持フレーム2とで構成された高Qマルチモード誘電体共振構造は、基本モードおよび複数の高次モードの周波数に対応するマルチモードおよびQ値の大きさが変化し、誘電率が異なる誘電体共振器3のQ値の変化が異なり、これと同時に高次モードの周波数も変化し、前記キャビティ1の内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比は、1.01-4.5であり、ここで、Q値の大きさの変化と、キャビティ1の内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5の変化との関係は、Q値の大きさが寸法の比の大きさの変化に正比例し、または、Q値の大きさが寸法の比の大きさの変化に正比例するとともにQ値が一定の比の近傍で大きく変化し、異なる周波数に対応するマルチモードのQ値が一定の比の近傍での変化が異なる。
【0039】
ここで、キャビティ1内に1つの単一軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3およびそれを固定するための誘電体支持フレーム2が設置され、キャビティ1と共に1つのマルチモード誘電体共振構造が形成され、誘電体共振器3の端面の中心は、それと対応するキャビティ1の内壁面の中心位置に近接するかまたは重なり、その誘電体共振器3の水平および垂直方向の寸法に対して縁切り、溝切り、隅切りを行うことにより、そのキャビティ1の内壁の寸法と3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法を変化させ、または水平、垂直方向の寸法を変化させて、基本モードおよび複数の高次モードの周波数並びに対応するマルチモードの数およびQ値を変化させ、キャビティ1の内壁のX、Y、Z軸における寸法が変化する場合、少なくとも1つの必要な周波数を変化せずに保持したときに、前記キャビティ1の内壁に対応する誘電体共振器3のX、Y、Z軸における寸法も対応して変化し、前記キャビティ1内に垂直に交差する2つの単一軸方向円柱体または多角体の誘電体共振器3およびそれを固定するための誘電体支持フレーム2が設置され、キャビティ1と共に1つのマルチモード誘電体共振構造が形成され、誘電体共振器3の端面の中心は、それと対応するキャビティ1の内壁面の中心位置に近接するかまたは重なり、ここで、X軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3のX軸方向における寸法は、Y軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3の垂直方向かつX軸方向に平行な寸法以上であり、Y軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3のY軸における寸法は、X軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3の垂直方向かつY軸方向に平行な寸法以上であり、その誘電体共振器3の水平および垂直方向において縁切り、溝切り、隅切りを行うことにより、そのキャビティ1の内壁の寸法と3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法を変化させ、または水平、垂直方向の寸法を変化させて、基本モードおよび複数の高次モードの周波数並びに対応するマルチモードの数およびQ値を変化させ、キャビティ1の内壁のX、Y、Z軸における寸法が変化する場合、1つの必要な周波数を変化せずに保持したときに、前記キャビティ1の内壁に対応する誘電体共振器3のX、Y、Z軸における寸法も対応して変化し、前記キャビティ1内に互いに垂直に交差する3つの単一軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3およびそれを固定するための誘電体支持フレーム2が設置され、キャビティ1と共に1つのマルチモード誘電体共振構造が形成され、誘電体共振器3の端面の中心は、それと対応するキャビティ1の内壁面の中心位置に近接するかまたは重なり、ここで、X軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3のX軸方向における寸法は、Y軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3およびZ軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3の垂直方向かつX軸方向に平行な寸法以上であり、Y軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3のY軸方向における寸法は、X軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3およびZ軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3の垂直方向かつY軸方向に平行な寸法以上であり、Z軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3のZ軸方向における寸法は、X軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3およびY軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3の垂直方向かつZ軸方向に平行な寸法よりも大きくなり、その誘電体共振器3の水平および垂直方向において縁切り、溝切り、隅切りを行うことにより、そのキャビティ1の内壁の寸法と3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法を変化させ、または水平、垂直方向の寸法を変化させて、基本モードおよび複数の高次モードの周波数並びに対応するマルチモードの数およびQ値を変化させ、キャビティ1の内壁のX、Y、Z軸における寸法が変化する場合、1つの必要な周波数を変化せずに保持したときに、前記キャビティ1の内壁に対応する誘電体共振器3のX、Y、Z軸における寸法も対応して変化し、前記キャビティ1の内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比は、1.01-4.5である。
【0040】
ここで、単一軸方向誘電体共振構造または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振構造または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振構造は、任意の軸方向、平面、斜面、対角に沿って貫通溝または盲溝を形成したり、異なる数量の小さな誘電体共振ブロックに切断して、誘電体または金属接続ブロックで小さな誘電体共振ブロックを固定して誘電体共振器3を構成したり、盲溝によって隣接する各々の小さな誘電体共振ブロックが一体的に接続して誘電体共振器3を形成したりすることができ、貫通溝および盲溝は、溝幅が大きいほど周波数、Q値およびモード数に対する影響が大きく、溝幅が小さいほど周波数、Q値およびモード数に対する影響が小さく、接続ブロックが金属である場合、構成された別体的な誘電体共振器3のQ値が大幅に低下し、前記キャビティ1の内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5である場合、基本モードおよび高次モードの周波数に対応するモード数が1-Nであり、基本モードおよび高次モードの異なる周波数に対応するマルチモードのQ値が変化し、誘電率が異なる誘電体共振器3は、その周波数、Q値、モード数の変化に影響を与え、そのうちの1つの軸方向の誘電体共振器3と他の1つまたは2つの軸方向の誘電体共振器3または3つの軸方向の誘電体共振器3の寸法に対応するキャビティの寸法が変化した時、それと対応する基本モードおよびマルチモードの数、周波数、Q値も対応して変化する。
【0041】
ここで、単一軸方向誘電体共振構造または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振構造または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振構造は、キャビティ1の内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法との比または水平、垂直方向寸法の比が1.01-4.5である場合、基本モードおよび複数の高次モードの周波数に対応するマルチモードおよびQ値の大きさが変化し、誘電率が異なる誘電体共振器3のQ値の変化が異なり、ここで、Q値の大きさの変化と、キャビティ1の内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5の変化との関係は、Q値の大きさが寸法の比の大きさの変化に正比例し、または、Q値の大きさが寸法の比の大きさの変化に正比例するとともにQ値が幾つかの具体的な比の近傍で大きく変化し、異なる周波数に対応するマルチモードのQ値が幾つかの具体的な比の近傍での変化が異なり、そのうちの1つの軸方向の誘電体共振器3と他の1つまたは2つの軸方向の誘電体共振器3または3つの軸方向の誘電体共振器3の寸法に対応するキャビティの寸法が変化した時、それと対応する基本モードのQ値も対応して変化する。
ここで、単一軸方向誘電体共振構造または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振構造または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振構造は、キャビティ1の内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法との比または水平、垂直方向寸法の比が1.01-4.5である場合、その基本モードの周波数を変化せずに保持したときに、高次モードの周波数と基本モードの周波数との間の間隔、および複数の高次モードの周波数同士の間隔に複数回の変化が発生され、誘電率が異なる誘電体共振器3の周波数間隔の変化が異なり、そのうちの1つの軸方向の誘電体共振器3と他の1つまたは2つの軸方向の誘電体共振器3または3つの軸方向の誘電体共振器3の寸法に対応するキャビティの寸法が変化した時、それと対応する基本モードおよびマルチモードの周波数間隔も対応して変化する。
【0042】
ここで、単一軸方向誘電体共振構造または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振構造または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振構造は、キャビティ1の内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法との比または水平、垂直方向寸法の比が1.01-4.5である場合、キャビティ1の寸法および基本モードの周波数を変化せずに保持したときに、単一軸方向誘電体共振器3の3つの軸方向における寸法の水平垂直方向の寸法を任意に組み合わせて変化すると、単一軸方向誘電体共振構造の基本モードは、周波数が同一であるかまたは周波数が接近する1-3個のマルチモードを形成し、複数の周波数が異なる高次モードは、複数の周波数が同一である1-N個のマルチモードを形成することができ、垂直交差2軸誘電体共振構造および3軸交差誘電体共振構造の基本モードは、周波数が同一であるかまたは周波数が接近する1-6個のマルチモードを形成し、複数の周波数が異なる高次モードは、複数の周波数が同一である1-N個のマルチモードを形成することができ、そのうちの1つの軸方向の誘電体共振器3と他の1つまたは2つの軸方向の誘電体共振器3または3つの軸方向の誘電体共振器3の寸法に対応するキャビティの寸法の比が変化した時、それと対応する基本モードおよびマルチモードの数も対応して変化する。
【0043】
ここで、誘電体共振器3または/およびキャビティ1のエッジまたは隅に対して縁切りを行って隣接結合を形成し、キャビティ1および誘電体共振器3を三角体または四角体に切削したり、キャビティ1または誘電体共振器3のエッジを部分的または全部的に切除したり、キャビティ1および誘電体共振器3を同時または個別に縁切りしたりし、縁切りによって隣接結合が形成された後に周波数およびQ値が対応して変化し、隣接結合は、その交差結合に対しても影響を与える。
【0044】
ここで、単一軸方向誘電体共振器3または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器3または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器3に対応するキャビティ1の3つの面の交差部の隅位置に対して隅切りを行い、またはキャビティ1に対して隅切りを行いかつ閉鎖して交差結合を形成し、かつ対応する周波数およびQ値も対応して変化し、同時に隣接結合に対しても影響を与える。
【0045】
つまり、誘電体共振器または/およびキャビティ1のエッジまたは隅に対して縁切りを行って隣接結合を形成し、キャビティ1に対して縁切りを行った後に密封を保持する必要があり、キャビティ1および誘電体共振器を、三角体または四角体に切削したり、キャビティ1または誘電体共振器のエッジを部分的または全部的に切除したり、キャビティ1および誘電体共振器を同時または個別に縁切りしたりすることができるが、構造上に干渉しないようにする必要があり、縁切り後に周波数およびQ値が対応して変化する。
【0046】
単一軸方向高Qマルチモード誘電体共振構造、垂直交差2軸高Qマルチモード誘電体共振構造または3軸交差高Qマルチモード誘電体共振構造において、隣接する基本モードの間の結合数量および位置は、誘電体共振器の軸方向に隣接するエッジと対角のエッジまたは平行なエッジに対して隅切りを行うことにより結合を実現し、さらに誘電体およびキャビティ1に対して同時に隅切りを行うことにより隣接結合を実現することもでき、結合係数の強さは、シングルエッジまたはダブルエッジによって決定され、隣接結合調整装置は、エッジの隅切り箇所に対応するキャビティ1に取り付けられてもよく、サイズが完全に保証される前提で、結合調整装置を取り付ける必要がなく、基本モードの間の結合を単独で調整する場合、隣接する高次モードの間の結合への影響が小さく、隣接する高次モードの間の結合を単独で調整する場合、基本モードの間の結合への影響が小さくなる。隣接する基本モードの結合の間の結合量の大きさは、誘電体共振器のエッジまたはキャビティ1のエッジに対して縁切りを行ったり、エッジに対して全体的または局所的に縁切りを行ったり、誘電体共振器またはキャビティ1の隣接する2つの面に対して+45度の角度または異なる角度で縁切りを行ったりすることによって、縁切りされた箇所に調整装置を取り付けて垂直結合調整を行ってもよい。
【0047】
単一軸方向高Qマルチモード誘電体共振構造、垂直交差2軸高Qマルチモード誘電体共振構造または3軸交差高Qマルチモード誘電体共振構造が隣接結合される場合、その軸方向の磁界方向が平行に交差することにより、隣接結合の間のウィンドウサイズおよび形状を調整してその結合強さを変化させることができる。
【0048】
単一のエッジに対する隅切りも交差結合のゼロ点に対して影響を与えて、単一のエッジの結合強さを減少させることができ、対角エッジの隣接結合を増加させることにより、ゼロ点への影響を減少させることができる。
【0049】
高Qマルチモード誘電体共振構造は、基本モードおよび隣接する高次モードの隣接結合、交差結合および入出力結合を形成することができる。隣接結合は、高Qマルチモード誘電体共振構造における誘電体共振器およびキャビティ1のエッジに対して縁切りを行い、縁切りの大きさおよび誘電体支持フレーム2の位置や面積はいずれも隣接結合の強さに対して影響を与え、交差結合は、高Qマルチモード誘電体共振構造における誘電体共振器およびキャビティ1の隅またはエッジに対して縁切りを行い、縁切りの大きさおよび誘電体支持フレーム2の位置や面積はいずれも交差結合の強さに対して影響を与え、入出力結合は、高Qマルチモード誘電体共振構造において結合線または結合シートによってキャビティ1の内壁に接続され、高Qマルチモード誘電体共振構造における結合信号を入出力コネクタに導入して接続し、結合強さは、結合線または結合シートのサイズを変化させることによって調整することができる。基本モードの間の結合を単独で調整する場合、隣接する高次モードの間の結合への影響が小さく、隣接する高次モードの間の結合を単独で調整する場合、基本モードの間の結合への影響が小さくなる。
【0050】
単一軸方向高Qマルチモード誘電体共振構造、垂直交差2軸高Qマルチモード誘電体共振構造または3軸交差高Qマルチモード誘電体共振構造において、交差結合の数と隣接する基本モードの間の結合数は、基本モードが3つの縮退マルチモードである場合、誘電体共振器の3つの面の交差部の隅に隅切りを行うことにより容量性または誘導性の交差結合を形成することができ、必要に応じて、誘電体共振器には、1つの隅に対して隅切りを行い、または2つの対角に対して隅切りを行うことによって交差結合が形成されてもよく、キャビティ1の3つの面の交差部の隅位置に隅切りを行い、または誘電体共振器およびキャビティ1に同時に隅切りを行うことによって交差結合が設置されてもよい。
【0051】
単一軸方向高Qマルチモード誘電体共振構造、垂直交差2軸高Qマルチモード誘電体共振構造または3軸交差高Qマルチモード誘電体共振構造をキャビティ1とシングルモードで組み合わせる場合、隣接するキャビティ1が結合することによって1つの寄生の結合ゼロ点を形成することができ、さらに、隣接する結合の間のウィンドウサイズの大きさを調整することにより、ゼロ点の位置を変化させることができる。
【0052】
単一軸方向高Qマルチモード誘電体共振構造、垂直交差2軸高Qマルチモード誘電体共振構造または3軸交差高Qマルチモード誘電体共振構造は、隣接する単一軸方向、垂直に交差する2軸および互いに交差する3軸の共振構造と組み合わせる場合、多くとも容量性または誘導性の複数の交差結合ゼロ点を形成することができ、基本モードおよび隣接する高次モードで形成されたL+Nモード共振と関係がある。
【0053】
ここで、当該誘電体共振器3の電界強度の集中位置に、少なくとも1つの同調装置が設置される。同調装置は、キャビティ1の任意の面に取り付けられる。上記の各実施例の前提で、別の好ましい実施形態として、高Qマルチモード誘電体共振構造の共振周波数は、1つのモードの電界強度の集中位置で同調することができ、単一軸方向高Qマルチモード誘電体共振構造、垂直交差2軸高Qマルチモード誘電体共振構造および3軸垂直高Qマルチモード誘電体共振構造は、電界強度の集中位置またはその近傍に周波数同調装置を追加させることができ、同一周波数または異なる周波数のL+Nモードの場合、L個の基本モードの周波数同調装置またはL+N個のモードの同調装置を有し、同一の軸方向面において複数の同調装置で同調することができる。基本モードの共振周波数を単独で同調する場合、隣接する高次モードの周波数への影響が小さく、隣接する高次モードの共振周波数を単独で同調する場合、基本モードの周波数への影響も小さくなる。
【0054】
特殊な垂直交差2軸構造では、基本モードが3重モードであり、高次モードが3重モードである場合の電磁場は、各々の面を単独で添加するいかなるスクリューがいずれも基本モードの周波数のみに影響を与え、高次モードの周波数に影響を与えることができない。
【0055】
ここで、単一軸方向誘電体共振構造または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振構造または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振構造に対応するキャビティ1の形状は、直方体、立方体、多角体を含むがこれらに限定されず、キャビティ1の内壁の表面または内部領域の局所に凹みや突起、隅切り、溝を設置することができる。
【0056】
ここで、キャビティ1の材料は、金属または非金属であり、金属および非金属の表面に銅または銀が電気めっきされる。
【0057】
ここで、単一軸方向誘電体共振器3または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器3または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器3の横断面形状は、円柱体、楕円体、多角体を含むがこれらに限定されない。高Qマルチモード誘電体共振構造における誘電体共振器の形状は、円柱体、楕円体、多角体を含むがこれらに限定されず、誘電体共振器は、キャビティ1の中心位置に近接しかつ重ね合わせるように設置され、誘電体支持フレーム2に固定接続される。
【0058】
単一軸方向高Qマルチモード誘電体共振構造、垂直交差2軸高Qマルチモード誘電体共振構造、3軸交差高Qマルチモード誘電体共振構造における誘電体共振器の形状が円柱体である場合、キャビティ1の内壁の寸法と円柱体の誘電体共振器のある断面の直径の寸法との比がKであり、キャビティ1の内壁の寸法と誘電体共振器のある断面に垂直な軸方向の寸法との比がMであり、誘電体共振器の形状が楕円形である場合、キャビティ1の内壁の寸法と楕円体の誘電体共振器の等価直径の寸法との比がKであり、誘電体共振器の形状が多角形である場合、キャビティ1の内壁の寸法と多角形に対応する2つの等価直線の距離が最も遠い角の間の寸法との比がKであり、多角形の形状が立方体であると特定する場合、キャビティ1の内壁の寸法と立方体の辺長の寸法との比がKであり、キャビティ1の内壁の寸法と誘電体共振器のある断面に垂直な軸方向寸法との比がMである。
【0059】
単一軸方向高Qマルチモード共振構造における誘電体共振器が円柱体または楕円体である場合、キャビティ1および誘電体共振器は、異なるK値およびM値の組み合わせでは、基本モードと隣接する高次モードが異なる周波数のL+N個のモード共振を形成し、基本モードと隣接する高次モードの周波数とが接近する場合、同一周波数のL個のモード共振を形成し、単一軸方向高Qマルチモード共振構造における誘電体共振器が多角体である場合、辺数が少ないほど、基本モードおよび隣接する高次モードがL個の縮退モードおよびN個の隣接する高次モードを形成することができ、多角体の辺数が多いほど、その基本モードおよび隣接する高次モードの共振モードの変化規律が円柱体および楕円体の共振モードの変化規律に接近し、垂直交差2軸高Qマルチモード共振構造における誘電体共振器が円柱体または楕円体である場合、キャビティ1および垂直交差2軸共振器は、異なるK値およびM値の組み合わせで、基本モードおよび隣接する高次モードが異なる周波数のL+N個のモード共振を形成し、基本モードと隣接する高次モードの周波数は、K値およびM値が一定の組み合わせである場合に重なり、かつ同一周波数のL個のモード共振を形成し、垂直交差2軸共振器が多角体である場合、キャビティ1および垂直交差2軸共振器は、異なるK値およびM値の組み合わせで、基本モードおよび隣接する高次モードがL+N個のモード共振であり、垂直交差2軸高Qマルチモード共振構造における誘電体共振器が多角形である場合、辺数が多いほど、高Qマルチモード誘電体共振構造における誘電体共振器が円柱体に近い場合、同一周波数および異なる周波数の基本モードおよび隣接する高次モードは、円柱または楕円体のモード数の変化規律に接近する。高Qマルチモード誘電体共振構造における誘電体共振器の辺数が少ないほど、誘電体共振器が立方体に接近し、基本モードおよび隣接する高次モードは、異なる周波数のL個の縮退モードおよびN個の隣接する高次モードまたは同一周波数のL個の基本モードを形成することができる。
【0060】
3軸交差高Qマルチモード共振構造における誘電体共振器が円柱体または楕円体である場合、異なるK値およびM値の組み合わせで、基本モードおよび隣接する高次モードは異なる周波数のL+N個のモード共振を形成し、基本モードと隣接する高次モードの周波数はK値およびM値が一定の組み合わせである場合に重なり、かつ同一周波数のL個のモード共振を形成し、そして隣接する高次モードは異なる周波数のN個のモード共振であり、3軸交差高Qマルチモード共振構造における誘電体共振器が多角形である場合、辺数が多いほど、高Qマルチモード誘電体共振構造における誘電体共振器が円柱体または楕円体に近接すると、同一周波数および異なる周波数の基本モードおよび隣接する高次モードは、円柱または楕円体のモード数の変化規律に接近する。高Qマルチモード誘電体共振構造における誘電体共振器の辺数が少ないほど、誘電体共振器が立方体に接近し、基本モードおよび隣接する高次モードは、異なる周波数のL個の縮退モードおよびN個の隣接する高次モードまたは同一周波数のL個の基本モードを形成することができる。
【0061】
キャビティ1の体積が変化しない場合、高Qマルチモード誘電体共振構造における誘電体共振器の同一軸方向のいずれか1つまたは2つの寸法が大きくなるのに伴って、周波数が低下し、同一軸方向の寸法が小さくなるのに伴って、周波数が上昇する。誘電体支持フレーム2の誘電体共振器への固定面積が大きいほど、周波数が大きく低下し、接触面が小さいほど、周波数が少なく低下し、誘電体支持フレーム2が誘電体共振器の断面とキャビティ1の内壁に取り付けられる場合、周波数の低下による影響が最も大きく、誘電体支持フレーム2が誘電体共振器の任意の2つの隣接する面のエッジに取り付けられる場合、周波数による影響がちょうどよい。誘電体支持フレーム2がキャビティ1の内壁の隣接する面で形成された隅に取り付けられ、対応する誘電体共振器の隣接する面で形成された隅位置に接続固定される場合、周波数への影響が最も小さい。
【0062】
基本モードと隣接する高次モードの周波数とが接近する場合、基本モードの周波数を変化せずに保持したときに、誘電体支持フレーム2の位置、寸法、形状、誘電率、数量の組み合わせを変化させることにより基本モードと隣接する高次モードの周波数間隔を調整することができるが、Q値および結合に対してある程度で影響を与える。
【0063】
ここで、前記誘電体共振器3の表面または内部領域の一部に凹みや突起、隅切り、溝、エッジを設置することができる。
【0064】
ここで、単一軸方向誘電体共振器3または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器3または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器3は、実体または中空である。
【0065】
ここで、誘電体共振器3の材料は、セラミック、複合誘電体材料、誘電率が1より大きい誘電体材料である。
【0066】
ここで、誘電体支持フレーム2は、誘電体共振器3の端面、エッジ、隅またはキャビティの隅に位置し、誘電体共振器3とキャビティとの間に配置され、前記誘電体共振器3は、誘電体支持フレーム2によって当該キャビティ内に支持され、誘電体支持フレーム2が誘電体共振器3の異なる位置に取り付けられる場合、それと対応する基本モードおよびマルチモードの数、周波数、Q値も対応して変化し、接続ブロックは、任意の2つまたは2つ以上の隣接する小さな誘電体共振ブロックを接続することができ、接続ブロックは、小さな誘電体共振ブロックの任意の位置に位置し、異なる数の小さな誘電体共振ブロックを固定して誘電体共振器3を構成し、接続ブロックは、誘電体共振器3の異なる位置に位置する場合、それと対応する基本モードおよびマルチモードの数、周波数、Q値も対応して変化し、キャビティ1の内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5である場合、基本モードおよび高次モードのQ値の大きさが複数回の変化を発生し、そのうちの1つの軸方向の誘電体共振器3と他の1つまたは2つの軸方向の誘電体共振器3または3つの軸方向の誘電体共振器3の寸法に対応するキャビティの寸法が変化した場合、それと対応する基本モードおよび複数の高次モードの周波数並びに対応するマルチモードの数およびQ値も対応して変化する。
【0067】
ここで、誘電体支持フレーム2は、前記誘電体共振器3またはキャビティ1と組み合わせて一体的構造または別体的構造を形成する。
【0068】
ここで、単一軸方向誘電体共振器3または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器3または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器3の誘電体支持フレーム2は、誘電体材料で製造され、誘電体支持フレーム2の材料は、空気、プラスチックまたはセラミック、複合誘電体材料であり、接続ブロックは、誘電体または金属材料である。
【0069】
ここで、前記誘電体支持フレーム2は、圧着、接着、接合、溶接、係止またはネジ接続の方式で誘電体共振器3およびキャビティ1に接続され、誘電体支持フレーム2は、単一軸方向誘電体共振器3または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器3または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器3の1つの端面または複数の端面に接続され、前記誘電体または金属の接続ブロックは、圧着、接着、接合、溶接、係止またはネジ接続の方式で分割された小さな誘電体共振ブロックを固定し、接続ブロックは、複数の任意の形状の小さな誘電体共振ブロックを接続して誘電体共振器3を形成する。
【0070】
ここで、誘電体支持フレーム2は、誘電体共振器3とキャビティ1の内壁との対応する任意の位置に取り付けられ、かつ誘電体共振器3およびキャビティ1の任意の形状と合わせつつ接続固定される。誘電体支持フレーム2は、両面が平行な実体的構造または中間が貫通する構造を含み、かつ誘電体共振器3の同一の端面または異なる端面、エッジ、隅における誘電体支持フレーム2の数は、1つまたは複数の異なる組み合わせであり、誘電体支持フレーム2の数量が異なる場合、それと対応する周波数、モード数およびQ値も異なり、キャビティ1の内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5である場合、基本モードおよび高次モードのQ値の大きさが複数回の変化を発生し、接続ブロックは、任意の形状であり、かつ2つまたは複数の隣接する小さな誘電体共振ブロックの間にマッチングして取り付けられることにより、これらの複数の小さな誘電体共振ブロックが接続固定されて別体的な誘電体共振器3が形成され、接続ブロックは、実体的構造または中間が貫通する構造を含み、かつ共振ブロックの同一の端面または異なる端面、エッジ、隅を接続する接続ブロックの数は、1つまたは複数の異なる組み合わせであり、異なる数の接続ブロックに対応する周波数、モード数およびQ値も異なり、キャビティ1の内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法との比または水平、垂直方向の寸法の比が1.01-4.5である場合、基本モードおよび高次モードのQ値の大きさが複数回変化し、そのうちの1つの軸方向の誘電体共振器3と他の1つまたは2つの軸方向の誘電体共振器3または3つの軸方向の誘電体共振器3の寸法に対応するキャビティの寸法の比が変化した場合、それと対応する基本モードおよび複数の高次モードの周波数並びに対応するマルチモードの数およびQ値も対応して変化する。
【0071】
ここで、単一軸方向誘電体共振器3または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器3または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器3の誘電体支持フレーム2とキャビティ1の内壁との間には、応力を除去するための弾性バネ板または弾性誘電体材料が設置される。
【0072】
ここで、誘電体共振器3の誘電体支持フレーム2は、キャビティ1の内壁と接触して熱伝導を形成する。
【0073】
本発明は、さらに高Qマルチモード誘電体共振構造の誘電体フィルタを開示し、ここで、単一軸方向誘電体高Qマルチモード誘電体共振構造、垂直交差2軸高Qマルチモード誘電体共振構造または3軸垂直高Qマルチモード誘電体共振構造は、1-N個の異なる周波数のシングルバンドパスフィルタを構成することができ、異なる周波数のシングルバンドパスフィルタは、マルチバンドパスフィルタ、デュプレクサまたはマルチプレクサの任意の組み合わせを構成し、対応する高Qマルチモード誘電体共振構造は、さらに金属または誘電体のシングルモード共振キャビティ1、デュアルモード共振キャビティ1および3重モード共振キャビティ1と異なる形式で任意の配列組み合わせを行うことができ、必要な異なるサイズの複数のシングルバンドパスフィルタまたはマルチバンドパスフィルタ、デュプレクサ、マルチプレクサあるいは任意の組み合わせを形成する。
【0074】
ここで、単一軸方向誘電体高Qマルチモード誘電体共振構造、垂直交差2軸高Qマルチモード誘電体共振構造または3軸垂直高Qマルチモード誘電体共振構造に対応するキャビティ1と金属共振器のシングルモードまたはマルチモードのキャビティ1、誘電体共振器3のシングルモードまたはマルチモードのキャビティ1は、任意の隣接結合または交差結合の組み合わせを行うことができる。
【0075】
以下、図1-図8および実験データを参照しながら詳細に説明する。
【0076】
図1-図3に示すように、本発明の実施例が提供する高Qマルチモード誘電体共振構造は、キャビティ1と、誘電体支持フレーム2と、誘電体共振器と、蓋板とを含み、キャビティ1は、密封された空間で構成され、そのうちの1つの面が蓋板面となる。誘電体共振器は、誘電体で構成され、誘電体共振器は、キャビティの内壁と接触しないようにキャビティ内に取り付けられる。誘電体支持フレーム2は、誘電体共振器とキャビティの内壁との対応する任意の位置に取り付けられ、かつ誘電体共振器およびキャビティ1の任意の形状と合わせつつ接続固定され、図1に示すように、キャビティ1内に1つの円柱体または多角体の誘電体共振器3およびそれを固定するための誘電体支持フレーム2が設置され、キャビティ1と共に1つのマルチモード誘電体共振構造が形成される。例1、例2および例3に示すように、誘電体マルチモード共振構造は、一定の寸法の数値範囲内で基本モードのシングルモード、デュアルモードおよび3重モードを実現することができ、すなわち、誘電体共振器3の水平および垂直方向に縁切り、溝切り、隅切りを行うことにより、そのキャビティ1の内壁の寸法と3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法を変化させ、または水平、垂直方向の寸法を変化させて、基本モードおよび複数の高次モード周波数および対応するマルチモードの数およびQ値を変化させる。
【0077】
例1:キャビティ1が正方体であり、辺長が30mmであり、誘電体共振器3が単一軸方向円柱体であり、誘電率が43であり、Q*Fが43000であり、直径が27.1mmであり、高さが26mmであり、誘電体支持フレーム2が円環体であり、誘電率が9.8であり、Q*Fが100000であり、外径が27.1mmであり、内径が26.5mmであり、高さが2mmであり、誘電体共振器3が2つの誘電体支持フレームによって正対するように支持され、キャビティ1内に設置され、固有モード計算により、このようなサイズの組み合わせで単一軸方向誘電体共振器の基本モードがシングルモード特性であることを実現することができ、シミュレーション結果は、以下のとおりである。
【0078】
ここで、モード1は、基本モードであり、モード2およびモード3は、高次モードである。
【0079】
例2:例1の構造における対応する構造の寸法を以下のように変化させ、すなわち、キャビティ1が正方体であり、辺長が32mmであり、誘電体共振器3が単一軸方向円柱体であり、誘電率が43であり、Q*Fが43000であり、直径が24.4mmであり、高さが28mmであり、誘電体支持フレーム2が円環体であり、誘電率が9.8であり、Q*Fが100000であり、外径が24.4mmであり、内径が23.8mmであり、高さが2mmであり、誘電体共振器3が2つの誘電体支持フレームによって正対するように支持され、キャビティ1内に設置され、固有モード計算により、このようなサイズの組み合わせで単一軸方向誘電体共振器の基本モードがデュアルモード特性であることを実現することができ、シミュレーション結果は、以下のとおりである。
【0080】
ここで、モード1およびモード2は、基本モードであり、モード3は、高次モードである。
【0081】
例3:例1および例2の構造における対応する構造の寸法を以下のように変化させ、すなわち、キャビティ1が正方体であり、辺長が35mmであり、誘電体共振器3が単一軸方向円柱体であり、誘電率が43であり、Q*Fが43000であり、直径が24mmであり、高さが24mmであり、誘電体支持フレーム2が円環体であり、誘電率が9.8であり、Q*Fが100000であり、外径が24mmであり、内径が23.4mmであり、高さが5.5mmであり、誘電体共振器3が1つの誘電体支持フレームによって正対するように支持され、キャビティ1内に設置され、固有モード計算により、このようなサイズの組み合わせで単一軸方向誘電体共振器の基本モードが3重モード特性であることを実現することができ、シミュレーション結果は、以下のとおりである。
【0082】
ここで、モード1、モード2およびモード3は、基本モードであり、モード4は、高次モードである。
【0083】
図2に示すように、キャビティ1内に2つの垂直に交差する円柱体または多角体の誘電体共振器3およびそれを固定するための誘電体支持フレーム2が設置され、キャビティ1と共に1つのマルチモード誘電体共振構造が形成され、ここで、X軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3のX軸方向における寸法は、Y軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3の垂直方向かつX軸方向に平行な寸法よりも大きくなり、Y軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3のY軸における寸法は、X軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3の垂直方向かつY軸方向に平行な寸法よりも大きくなる。例4、例5および例6に示すように、前記誘電体マルチモード共振構造は、基本モードのシングルモード、デュアルモードおよび3重モードを実現することができ、すなわち、誘電体共振器3の水平および垂直方向に縁切り、溝切り、隅切りを行うことにより、そのキャビティ1の内壁の寸法と3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法を変化させ、または水平、垂直方向の寸法を変化させて、基本モードおよび複数の高次モード周波数および対応するマルチモードの数およびQ値を変化させる。
【0084】
例4:キャビティ1が正方体であり、辺長が35mmであり、誘電体共振器3が垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器であり、誘電率が43であり、Q*Fが43000であり、直径が17.5mmであり、高さが31mmであり、誘電体支持フレーム2が円環体であり、誘電率が9.8であり、Q*Fが100000であり、外径が17.5mmであり、内径が17.1mmであり、高さが2mmであり、誘電体共振器3が1つの誘電体支持フレームによって支持され、キャビティ1内に設置され、固有モード計算により、このようなサイズの組み合わせで垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器の基本モードがシングルモード特性であることを実現することができ、シミュレーション結果は、以下のとおりである。
【0085】
ここで、モード1は、基本モードであり、モード2およびモード3は、高次モードである。
【0086】
例5:例4の構造における対応する構造の寸法を以下のように変化させ、すなわち、キャビティ1が正方体であり、辺長が45mmであり、誘電体共振器3が垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器であり、誘電率が43であり、Q*Fが43000であり、直径が13.7mmであり、高さが41mmであり、誘電体支持フレーム2が円環体であり、誘電率が9.8であり、Q*Fが100000であり、外径が13.7mmであり、内径が13.6mmであり、高さが2mmであり、誘電体共振器3が4つの誘電体支持フレームによって支持され、キャビティ1内に設置され、固有モード計算により、このようなサイズの組み合わせで単一軸方向誘電体共振器の基本モードがデュアルモード特性であることを実現することができ、シミュレーション結果は、以下のとおりである。
【0087】
ここで、モード1およびモード2は、基本モードであり、モード3は、高次モードである。
【0088】
例6:例4および例5の構造における対応する構造の寸法を以下のように変化させ、すなわち、キャビティ1が正方体であり、辺長が35mmであり、誘電体共振器3が垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器であり、誘電率が43であり、Q*Fが43000であり、直径が22.7mmであり、高さが22.7mmであり、誘電体支持フレーム2が円環体であり、誘電率が9.8であり、Q*Fが100000であり、外径が11.3mmであり、内径が11.1mmであり、高さが6.15mmであり、誘電体共振器3が4つの誘電体支持フレームによって支持され、キャビティ1内に設置され、固有モード計算により、このようなサイズの組み合わせで単一軸方向誘電体共振器の基本モードが3重モード特性であることを実現することができ、シミュレーション結果は、以下のとおりである。
【0089】
ここで、モード1、モード2およびモード3は、基本モードであり、モード4は、高次モードである。
【0090】
図3および図8に示すように、キャビティ1内に互いに垂直に交差する3つの円柱体または多角体の誘電体共振器3およびそれを固定するための誘電体支持フレーム2が設置され、キャビティ1と共にマルチモード誘電体共振構造が形成され、ここで、X軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3のX軸方向における寸法は、Y軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3およびZ軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3の垂直方向かつX軸方向に平行な寸法よりも大きくなり、Y軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3のY軸方向における寸法は、X軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3およびZ軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3の垂直方向かつY軸方向に平行な寸法よりも大きくなり、Z軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3のZ軸方向における寸法は、X軸の円柱体または多角体の誘電体共振器3およびY軸方向の円柱体または多角体の誘電体共振器3の垂直方向かつZ軸方向に平行な寸法よりも大きくなる。例7、例8および例9に示すように、前記誘電体マルチモード共振構造は、基本モードのシングルモード、デュアルモードおよび3重モードを実現することができ、すなわち、誘電体共振器3の水平および垂直方向に縁切り、溝切り、隅切りを行うことにより、そのキャビティ1の内壁の寸法と3つの軸方向に対応する誘電体共振器3の寸法を変化させ、または水平、垂直方向の寸法を変化させて、基本モードの数およびQ値を変化させる。
【0091】
例7:キャビティ1が正方体であり、辺長が32mmであり、誘電体共振器3が互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器であり、誘電率が43であり、Q*Fが43000であり、直径が13.7mmであり、高さが28mmであり、誘電体支持フレーム2が円柱体であり、誘電率が9.8であり、Q*Fが100000であり、外径が13.7mmであり、高さが2mmであり、誘電体共振器3が1つの誘電体支持フレームによって支持され、キャビティ1内に設置され、固有モード計算により、このようなサイズの組み合わせで垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器の基本モードがシングルモード特性であることを実現することができ、シミュレーション結果は、以下のとおりである。
【0092】
ここで、モード1は、基本モードであり、モード2およびモード3は、高次モードである。
【0093】
例8:例7の構造における対応する構造の寸法を以下のように変化させ、すなわち、キャビティ1が正方体であり、辺長が30mmであり、誘電体共振器3が互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器であり、誘電率が43であり、Q*Fが43000であり、直径が13.5mmであり、高さが26mmであり、誘電体支持フレーム2が円環体であり、誘電率が9.8であり、Q*Fが100000であり、外径が13.5mmであり、内径が9.5mmであり、高さが2mmであり、誘電体共振器3が4つの誘電体支持フレームによって支持され、キャビティ1内に設置され、固有モード計算により、このようなサイズの組み合わせで垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器の基本モードがデュアルモード特性であることを実現することができ、シミュレーション結果は、以下のとおりである。
【0094】
ここで、モード1およびモード2は、基本モードであり、モード3は、高次モードである。
【0095】
例9:例7および例8の構造における対応する構造の寸法を以下のように変化させ、すなわち、キャビティ1が正方体であり、辺長が34mmであり、誘電体共振器3が互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器であり、誘電率が43であり、Q*Fが43000であり、直径が13.7mmであり、高さが30mmであり、誘電体支持フレーム2が円環体であり、誘電率が9.8であり、Q*Fが100000であり、外径が13.7mmであり、内径が11.7mmであり、高さが2mmであり、誘電体共振器3が6つの誘電体支持フレームによって支持され、キャビティ1内に設置され、固有モード計算により、このようなサイズの組み合わせで垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器の基本モードが3重モード特性であることを実現することができ、シミュレーション結果は、以下のとおりである。
【0096】
ここで、モード1、モード2およびモード3は、基本モードであり、モード4は、高次モードである。
【0097】
上記の実験データから分かるように、誘電体共振構造が単一軸方向共振器(すなわち、円柱体または多角体の誘電体共振器3)、垂直に交差する単一軸方向共振器または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向共振器である場合、その誘電体共振器を水平および垂直方向に縁切り、溝切り、隅切りを行った場合、そのキャビティの内壁の寸法と軸方向に垂直する誘電体共振器の直径の寸法との比の変化は、その対応する基本モードおよび高次モードの周波数およびQ値を変化させる。当然のことながら、実際の応用では、好ましくは、キャビティの内壁の寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器に対応する寸法との比は、1.01-4.5である。キャビティ1のサイズおよび基本モードの周波数を変化せずに保持した場合、そのうちの1つの軸方向の誘電体共振器のサイズと軸方向に垂直な方向のサイズとが任意に組み合わせて変化すると、単一軸方向誘電体共振構造の基本モードは、1-3個の同一周波数のマルチモードを形成することができ、垂直交差2軸誘電体共振構造および3軸交差誘電体共振構造の基本モードは、1-6個の同一周波数のマルチモードを形成することができ、そのうちの1つの軸方向の誘電体共振器と他の1つまたは2つの軸方向の誘電体共振器または3つの軸方向の誘電体共振器のサイズに対応するキャビティのサイズの比が変化すると、その対応する基本モードの数も対応して変化する。
【0098】
単一軸方向誘電体共振構造または垂直交差2軸誘電体共振構造または3軸交差誘電体共振構造のK1の値の範囲は、1.01<K1<4.5であり、K2の値の範囲は、1.01<K2<4.5であり、K1≦K≦K2である。高Qマルチモード誘電体共振構造は、単一軸方向、垂直交差2軸および3軸交差高Qマルチモード誘電体共振構造である場合、K値およびM値が変化すると、周波数が接近する基本モードの数をL、周波数が接近する隣接する高次モードの数をNと定義し、異なる周波数の基本モードおよび隣接する高次モードは、L+N個のモード共振の組み合わせを形成し、ここで、1≦L≦6であり、Lの数は、キャビティ1、誘電体支持フレーム2、誘電体共振器の寸法の組み合わせと関係があり、高次モードの周波数は、基本モードよりも高く、かつ、高次モードの数は、高次モードの周波数の異なる間隔の組み合わせと関係がある。
【0099】
高Qマルチモード誘電体共振構造は、基本モードの周波数が変化しない場合、単一軸方向高Qマルチモード誘電体共振構造の同一周波数および異なる周波数の基本モード、および隣接する高次モードL+NまたはLモードの共振数が垂直交差2軸高Qマルチモード誘電体共振構造より小さく、垂直交差2軸共振構造の同一周波数および異なる周波数の基本モードおよび隣接する高次モードL+NまたはLモードの数が3軸交差高Qマルチモード誘電体共振構造より小さい。
【0100】
図4-図7に示すとおりである。誘電体支持フレーム2は、誘電体共振器3の端面、エッジ、隅またはキャビティの隅に位置し、誘電体共振器3とキャビティとの間に配置され、前記誘電体共振器3は、誘電体支持フレーム2によって当該キャビティ内に支持され、誘電体支持フレーム2が誘電体共振器3の異なる位置に取り付けられる場合、それと対応する基本モードおよびマルチモードの数、周波数、Q値も対応して変化する。誘電体支持フレーム2は、両面が平行な実体的構造または中間が貫通する構造を含み、かつ誘電体共振器3の同一の端面または異なる端面、エッジ、隅における誘電体支持フレーム2の数は、1つまたは複数の異なる組み合わせであり、異なる数の誘電体支持フレーム2は、その対応する周波数、モード数およびQ値も異なる。
【0101】
誘電体支持フレーム2は、誘電体共振器3またはキャビティ1と組み合わせて一体的構造または別体的構造を形成する。誘電体支持フレーム2は、圧着、接着、接合、溶接、係止またはネジ接続の方式で誘電体共振器3およびキャビティ1に接続され、誘電体支持フレーム2は、単一軸方向誘電体共振器3または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器3または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器3の1つの端面または複数の端面に接続され、前記誘電体または金属の接続ブロックは、圧着、接着、接合、溶接、係止またはネジ接続の方式で分割された小さな誘電体共振ブロックを固定し、接続ブロックは、複数の任意の形状の小さな誘電体共振ブロックを接続して誘電体共振器3を形成する。
【0102】
ここで、単一軸方向誘電体共振器3または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器3または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器3の誘電体支持フレーム2は、誘電体材料で製造され、誘電体支持フレーム2の材料は、空気、プラスチックまたはセラミック、複合誘電体材料であり、接続ブロックは、誘電体または金属材料とすることができる。
【0103】
ここで、単一軸方向誘電体共振器3または垂直に交差する単一軸方向誘電体共振器3または互いに垂直に交差する3つの単一軸方向誘電体共振器3の誘電体支持フレーム2とキャビティ1の内壁との間には、応力を除去するための弾性バネ板または弾性誘電体材料が設置される。
【0104】
ここで、誘電体共振器3の誘電体支持フレーム2は、キャビティ1の内壁と接触して熱伝導を形成する。単一軸方向誘電体高Qマルチモード誘電体共振構造、垂直交差2軸高Qマルチモード誘電体共振構造または3軸交差高Qマルチモード誘電体共振構造の場合、無線周波数信号は、例えばX軸、Y軸の共振の間の結合によって無線周波数通路が形成され、またはX軸、Y軸、Z軸の共振モードの間のうちのXとYの結合、YとZの結合によって無線周波数通路が形成された後に損失および熱量を発生し、X、YまたはZ軸の任意の2つまたは3つの方向の縮退モードが動作する場合に発生した熱量は、誘電体支持フレーム2を介してキャビティ1のX、YまたはZ軸方向の両側の内壁と十分に接触して熱伝導を形成し、製品の発熱量を減少させる。
【0105】
熱は、熱膨張および冷収縮を引き起こして通過帯域のずれを発生させることがあり、誘電体共振器および誘電体支持フレーム2の材料の配合比例を調整することにより高低温による通過帯域のずれを低減させ、または誘電体共振器およびキャビティ1の寸法配合を変化させることにより高低温による通過帯域のずれを低減させることができる。
【0106】
本発明の実施例は、高Qマルチモード誘電体共振構造を含む誘電体フィルタをさらに提供し、上記の各実施例における高Qマルチモード誘電体共振構造を含み、具体的には、単一軸方向誘電体高Qマルチモード誘電体共振構造、垂直交差2軸高Qマルチモード誘電体共振構造または3軸交差高Qマルチモード誘電体共振構造であってもよい。単一軸方向誘電体高Qマルチモード誘電体共振構造、垂直交差2軸高Qマルチモード誘電体共振構造または3軸交差高Qマルチモード誘電体共振構造に対応するキャビティは、シングルモード共振キャビティ、デュアルモード共振キャビティおよび3重モード共振キャビティと異なる形式で任意に組み合わせて配列し、必要な異なるサイズのシングルバンドパスフィルタまたはマルチバンドパスフィルタ、デュプレクサおよびマルチプレクサを形成する。
【0107】
単一軸方向誘電体高Qマルチモード誘電体共振構造の場合、単一軸方向共振器に対応するキャビティは、シングルモード共振キャビティと任意に組み合わせてシングルバンドパスマルチモードフィルタ、デュプレクサおよびマルチプレクサを構成する。
【0108】
垂直交差2軸高Qマルチモード誘電体共振構造の基本モードがデュアルモードであるとともに、隣接する高次モードがシングルモードおよびマルチモードである場合、垂直交差2軸共振器に対応するキャビティは、シングルモード共振キャビティと任意に組み合わせて異なる周波数帯域のダブルバンドパスフィルタ、デュプレクサおよびマルチプレクサを構成する。
【0109】
3軸交差高Qマルチモード誘電体共振構造の基本モードが3重モードである場合、対応するキャビティは、シングルモード共振キャビティと任意に組み合わせて3重モードフィルタまたはデュプレクサおよびマルチプレクサを構成し、隣接する高次モードおよびさらに隣接する高次モードがマルチモードである場合、3軸交差共振器に対応するキャビティは、キャビティと任意に組み合わせて異なる周波数帯域のマルチモードマルチバンドパスフィルタ、デュプレクサおよびマルチプレクサを構成する。
【0110】
X、Y、Z軸方向に形成されたデュアルモードおよびマルチモード共振構造は、シングルモード共振キャビティ、デュアルモード共振キャビティおよび3重モード共振キャビティと異なる形式で任意に組み合わせて配列して、必要な異なるサイズのフィルタを形成し、組み合わせられたフィルタに対応する誘電体共振キャビティは、需要に応じて異なるK値およびM値を選択して基本モードと隣接する高次モードの周波数間隔を変化させ、またはキャビティ1との組み合わせにより隣接する高次モードとその基本モードの周波数間隔を大きくするかまたは小さくする。
【0111】
フィルタの機能特性は、帯域通過、帯域阻止、ハイパス、ローパスおよびそれらの間に形成されたデュプレクサ、コンバイナ、マルチプレクサを含むがこれらに限定されない。
【0112】
以上に説明した装置の実施例は、例示的なものに過ぎず、ここで、分離部材として説明したユニットは、物理的に分離されまたはされていなくてもよく、ユニットとして表示される部材は、物理的ユニットであってもでなくてもよく,1箇所にあってもよく、あるいは複数のネットワークユニットに分布していてもよい。また、実際の需要に応じてそのうちの一部または全部のモジュールを選択して本実施例の技術案の目的を達成することができる。当業者は、創造的な労力を要せずに理解して実施することができる。
【0113】
最後に、以上の実施例は、本発明の技術手段を説明するためのものに過ぎず、それを限定するためのものではない。前記の実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したにもかかわらず、当業者は、依然として前記の各実施例に記載されている技術手段を修正し、またはそのうちの一部の技術的特徴を同等置換することができ、これらの修正または置換は、対応する技術手段の本質を本発明の各実施例の技術手段の精神および範囲から逸脱させるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の実施例は、キャビティと、誘電体支持フレームと、誘電体共振器と、蓋板とを含み、キャビティは、密封された空間で構成され、そのうちの1つの面が蓋板面であり、誘電体共振器は、誘電体で構成され、誘電体支持フレームは、誘電体共振器とキャビティの内壁との間の任意の位置に取り付けられかつ誘電体共振器とキャビティの任意の形状とマッチングして接続固定され、キャビティの内壁寸法とその3つの軸方向に対応する誘電体共振器の対応する寸法の比は、1.01-4.5の間である高Qマルチモード誘電体共振構造および誘電体フィルタを開示する。本発明の実施例は、フィルタの体積を小さくし、挿入損失を低くし、抑制能力を高くするとともに、マルチモードを形成することができ、かつQ値を従来のマルチモード誘電体技術よりも大きくすることができる。
図1
図2
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図7
図8