(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】充電保護回路、充電回路、及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H03K 17/687 20060101AFI20240516BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20240516BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240516BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240516BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240516BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240516BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20240516BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240516BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20240516BHJP
H03K 17/693 20060101ALI20240516BHJP
H03K 17/12 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
H03K17/687 A
H01L27/06 311C
H01L27/088 331G
H01L29/78 301V
H01L29/78 301K
H01L29/78 301H
H01L27/04 H
H01L29/78 301G
H01L27/04 G
H02J7/00 S
H02H7/18
H03K17/693 A
H03K17/12
H03K17/687 G
(21)【出願番号】P 2022540499
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2020138470
(87)【国際公開番号】W WO2021136025
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】201911398178.5
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010616212.8
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ホワイフオン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーン,ジアーンタオ
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ハーン
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-011388(JP,A)
【文献】特開平10-303735(JP,A)
【文献】特開平08-288817(JP,A)
【文献】特開2015-211541(JP,A)
【文献】特開2005-160169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00-17/70
H01L 27/06
H01L 27/088
H01L 21/336
H01L 21/822
H02J 7/00
H02H 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ドレイン、第2ドレイン、ゲート、及びSubポートを有し、前記第1ドレインが第1電源インターフェースへ接続され、前記第2ドレインが負荷へ接続され、前記ゲートがドライブ回路へ接続される第1の4端子N型金属酸化膜半導体(NMOS)スイッチングトランジスタと、
前記Subポートへ接続されるプルアップ回路
及び前記Subポートへ接続されるプルダウン回路を有し、前記プルアップ回路が、前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオンされるときに前記Subポートの電位を前記第1ドレイン又は前記第2ドレインの電位にプルアップするよう構成され
、前記プルダウン回路が、前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオフされるときに前記Subポートの電位をゼロ電位にプルダウンするよう構成される、Subポート管理回路と
を有
し、
前記ドライブ回路は、チャージポンプ、パルス幅変調(PWM)モジュール、及びインバータを有し、
前記チャージポンプの第1入力端子は、前記PWMモジュールの出力端子へ接続され、前記PWMモジュールによって生成される制御ロジック電圧Vpwmを受けるよう構成され、
前記チャージポンプの第2入力端子は、前記第1電源インターフェースへ接続され、前記第1電源インターフェースから入力されるバス電圧Vbusを受けるよう構成され、前記チャージポンプの出力端子は、前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートへ接続され、
前記チャージポンプは、Vpwm制御下で出力電圧Voutを取得するようVbusを処理し、Voutを前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートに印加し、
前記インバータは、前記PWMモジュールによって生成される前記制御ロジック電圧Vpwmに対して位相反転処理を実行して電圧Vpwm-を取得するよう構成され、前記プルダウン回路は、前記電圧Vpwm-に基づいて前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのスイッチング動作に同期して作動する、
充電保護回路。
【請求項2】
前記プルアップ回路は、第1の3端子NMOSスイッチングトランジスタを有し、
前記第1の3端子NMOSスイッチングトランジスタのドレインは、前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの前記第1ドレインへ接続され、前記第1の3端子NMOSスイッチングトランジスタのソースは、前記Subポートへ接続され、前記第1の3端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートは、前記ドライブ回路へ接続され、前記ドライブ回路によって供給されるドライブ電圧は、前記第1の3端子NMOSスイッチングトランジスタ及び前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの両方がオンされることを可能にする、
請求項1に記載の充電保護回路。
【請求項3】
前記第1の3端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧及び前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧は、同じ値を有し、前記ドライブ回路は、前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲート及び前記第1の3端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートに同じドライブ電圧を供給するよう構成される、
請求項2に記載の充電保護回路。
【請求項4】
前記プルアップ回路は、第2の3端子NMOSスイッチングトランジスタを更に有し、
前記第2の3端子NMOSスイッチングトランジスタのドレインは、前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの前記第2ドレインへ接続され、前記第2の3端子NMOSスイッチングトランジスタのソースは、前記Subポートへ接続され、前記第2の3端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートは、前記ドライブ回路へ接続され、前記ドライブ回路によって供給されるドライブ電圧は、前記第2の3端子NMOSスイッチングトランジスタ及び前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの両方がオンされることを可能にする、
請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の充電保護回路。
【請求項5】
前記第2の3端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧及び前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧は、同じ値を有し、前記ドライブ回路は、前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲート及び前記第2の3端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートに同じ位相を有するドライブ電圧を供給するよう構成される、
請求項4に記載の充電保護回路。
【請求項6】
前記プルダウン回路は、第3の3端子NMOSスイッチングトランジスタを有し、
前記第3の3端子NMOSスイッチングトランジスタのソースは接地され、前記第3の3端子NMOSスイッチングトランジスタのドレインは、前記Subポートへ接続され、前記第3の3端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートは、前記ドライブ回路へ接続され、前記ドライブ回路によって供給されるドライブ電圧は、前記第3の3端子NMOSスイッチングトランジスタ及び前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの一方が、他方がオフされている間にオンされることを可能にする、
請求項
1乃至5のうちいずれか一項に記載の充電保護回路。
【請求項7】
前記ドライブ回路は、前記第3の3端子NMOSスイッチングトランジスタのゲート及び前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートに反対の位相を有するドライブ電圧を供給するよう構成される、
請求項
6に記載の充電保護回路。
【請求項8】
前記インバータは、
前記電圧Vpwm-を前記第3の3端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートに印加するよう構成される、
請求項
7に記載の充電保護回路。
【請求項9】
前記Subポート管理回路は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)スイッチングトランジスタを有し、前記CMOSスイッチングトランジスタは、共通ゲートを有するP型金属酸化膜半導体(PMOS)スイッチングトランジスタ及び第4の3端子NMOSスイッチングトランジスタを有し、前記プルアップ回路が前記PMOSスイッチングトランジスタを有し、前記プルダウン回路が前記第4の3端子NMOSスイッチングトランジスタを有し、前記PMOSスイッチングトランジスタの閾電圧及び前記第4の3端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧は、同じ値を有し、
前記PMOSスイッチングトランジスタのソースは、前記第1電源インターフェースへ接続され、前記PMOSスイッチングトランジスタのドレインは、前記Subポートへ接続され、前記第4の3端子NMOSスイッチングトランジスタのドレインは、前記Subポートへ接続され、前記第4の3端子NMOSスイッチングトランジスタのソースは、接地され、
前記PMOSスイッチングトランジスタのゲート及び前記第4の3端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートに印加されるドライブ電圧
は、前記電圧Vpwm-であり、前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタに印加されるドライブ電圧
は、前記電圧Vpwm-と
は反対の位相を有する
前記出力電圧Voutである、
請求項
1乃至
5のうちいずれか一項に記載の充電保護回路。
【請求項10】
第2電源インターフェース及び第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタを更に有し、前記第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタの1つのドレインが前記第2電源インターフェースへ接続され、他のドレインが前記第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの前記第2ドレインと前記負荷との間に接続される、
請求項1乃至
9のうちいずれか一項に記載の充電保護回路。
【請求項11】
前記第2電源インターフェースは、充電コイル及び無線受信チップを有し、前記充電コイルは、前記無線受信チップの1つの端子へ接続され、前記無線受信チップの他の端子は、前記第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタのいずれかのドレインへ接続される、
請求項
10に記載の充電保護回路。
【請求項12】
前記第1電源インターフェースは、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)ポートである、
請求項1乃至
11のうちいずれか一項に記載の充電保護回路。
【請求項13】
前記負荷はバッテリである、
請求項1乃至
12のうちいずれか一項に記載の充電保護回路。
【請求項14】
第1電源インターフェースと、負荷と、請求項1乃至
13のうちいずれか一項に記載の充電保護回路とを有し、
前記充電保護回路の1つの端子は、前記第1電源インターフェースへ接続され、他の端子は、負荷へ接続され、前記充電保護回路は、前記負荷に対して、前記第1電源インターフェースから受けた電力を供給するよう構成される、
充電回路。
【請求項15】
請求項
14に記載の充電回路と、プロセッサとを有し、
前記プロセッサは、前記充電回路内の負荷の残電力情報を取得するよう構成される、
電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、パワー半導体技術及び電力システム技術の分野に、特に、充電保護回路、充電回路、及び電子デバイスに関係がある。
【背景技術】
【0002】
今日、多くの電子デバイスは双方向の充電能力を備えている。例えば、スマートフォンは、外部電源から電力を受け取ることができるだけではなく(通常、順方向充電と呼ばれる)、スマートフォンに接続されている他の電子デバイスが低バッテリであるときに他の電子デバイスを充電することもできる(通常、逆方向充電と呼ばれる)。電子デバイスが双方向の充電能力を備えている場合に、電子デバイスの充電回路に置かれたスイッチングコンポーネントは双方向の遮断能力を備えていなければならない。金属酸化膜半導体(Metal Oxide Semiconductor,MOS)スイッチングトランジスタは、コモンスイッチングコンポーネントで有り、一方向の遮断能力を備えている。そのため、ソース同士を直列に接続された2つのMOSスイッチングトランジスタが、通常は、双方向遮断機能を実装するために使用される。
【0003】
図1は、従来技術において電子デバイス内に配置された充電保護回路の概略図である。充電保護回路は、双方向遮断を実装するスイッチングトランジスタを含み、スイッチングトランジスタは、ソース同士が直列に接続された2つのMOSスイッチングトランジスタを含む。スイッチングトランジスタの1つの端子は、電子デバイスのユニバーサル・シリアル・バスUSBへ接続され、他の端子は、バッテリへ接続される。スイッチングトランジスタ内の2つのNMOSスイッチングトランジスタのゲートドライブ電圧は、2つのNMOSスイッチングトランジスタのターンオン及びターンオフを制御するよう制御され得る。2つのNMOSスイッチングトランジスタは両方とも、順方向充電又は逆方向充電にかかわらずターンオン状態にあり、過電圧が起きる場合には、2つのNMOSスイッチングトランジスタのゲートドライブ電圧は、2つのNMOSスイッチングトランジスタの少なくとも一方がターンオフ状態にあるように制御され、それによって過電圧保護機能を実装する。
【0004】
しかし、2つのNMOSスイッチングトランジスタが両方ともオンされるとき、2つのNMOSスイッチングトランジスタの内部抵抗は両方ともロスを生じさせる可能性があり、これは、充電保護回路の比較的に大きい内部ロスにつながり、また、2つのNMOSスイッチングトランジスタは、双方向の遮断を実装するために使用される。その結果、充電保護回路の費用は相対的に高くなる。
【発明の概要】
【0005】
本願は充電保護回路を提供する。充電保護回路は、充電保護回路の内部ロス及び費用を少なくともある程度減らすために、4端子NMOSスイッチングトランジスタ(具体的に言えば、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ)を使用することによって双方向遮断を実装する。本願の充電保護回路では、フローティング管理が更に、充電保護回路内の第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのSubポートの電位に対して実行され、それにより、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオンされるときに、Subポートと、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ内にあって、第1電源インターフェースへ接続される第1ドレインとの間の電圧は下げられ、それによって基板バイアス効果を弱める。更に、本願は、充電回路と、充電回路を含む電子デバイスとを提供する。
【0006】
第1の態様に従って、本願は充電保護回路を提供する。充電保護回路は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタと、基板(Substrate、略してSub)ポート管理回路とを含む。第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタは、第1ドレイン、第2ドレイン、ゲート、及びSubポートを含む。第1ドレインは第1電源インターフェースへ接続され、第2ドレインは負荷へ接続され、ゲートはドライブ回路へ接続される。
【0007】
Subポート管理回路は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのSubポートへ接続されるプルアップ回路を含み、プルアップ回路は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオンされるときにSubポートの電位を第1ドレイン又は第2ドレインの電位にプルアップするよう構成される。
【0008】
留意されるべきは、この実施形態では、プルアップ回路は、Subポートと第1ドレインとの間に位置してよく、あるいは、Subポートと第2ドレインとの間に位置してもよく、あるいは、Subポートと第1ドレインとの間及びSubポートと第2ドレインとの間の両方に位置してもよい点である。
【0009】
プルアップ回路がSubポートと第1ドレインとの間に存在することが例として使用され、「Subポートの電位を第1ドレインの電位に等しいようにプルアップする」ことにおける「等しい」とは、次の理由により、おおよそ等しい必要がある:プルアップ回路は、通常、プルアップ回路がオンされるときに電圧降下を有する。従って、Subポートと第1ドレインとの間には電位差があり、つまり、Subポートの電位は第1ドレインの電位に等しくない。プルアップ回路の電圧降下は通常は非常に小さいので、この実施形態では、プルアップ回路の電圧降下は無視され得る。この場合に、Subポートの電位は第1ドレインの電位と等しいと見なされ得る。
【0010】
更に、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタも電圧降下を有するので、第1ドレインと第2ドレインとの間には電圧降下がある。そのため、Subポートの電位は、第2ドレインの電位ともおおよそ等しい。本願では、コンポーネント(例えば、プルアップ回路又は第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ)の電圧降下は考慮されない。従って、Subポートの電位は、第1ドレインの電位及び第2ドレインの電位と等しいと見なされ得る。
【0011】
プルアップ回路がSubポートと第2ドレインとの間に位置するか、あるいは、Subポートと第1ドレインとの間及びSubポートと第2ドレインとの間の両方に位置する場合に、上記の説明はやはり満足される。従って、本願では、Subポートの電位は第1ドレインの電位又は第2ドレインの電位と等しいと述べられる場合に、コンポーネントの電圧降下は考慮されない。留意されるべきは、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタはゲートを更に含む点である。
【0012】
任意に、第1電源インターフェースは、具体的に、ユニバーサル・シリアル・バスUSBポートである。
【0013】
任意に、負荷はバッテリであってよい。
【0014】
この実施形態では、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタは、双方向の遮断機能を実装するために、ソース同士が直列に接続された2つNMOSスイッチングトランジスタを置換するために使用される。通常、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの内部抵抗は、ソース同士が直列に接続された2つのNMOSスイッチングトランジスタの内部抵抗の和よりも小さく、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの費用は、2つのNMOSスイッチングトランジスタの費用の和よりも安い。従って、充電保護回路の内部ロス及び費用は、この実施形態で説明されている解決法を使用することによって、ある程度低減され得る。
【0015】
更に、プルアップ回路がSubポートと第1ドレインとの間に位置することは、例として使用される。この実施形態では、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオンされるときに、Subポートの電位は、第1ドレインの電位に等しいようプルアップされる。従って、Subポートと第1ドレインとの間に電位差(又は「電圧」)はない。更に、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオンされるときに、第1ドレインの電位は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧降下を考慮しなければ、第2ドレインの電位と等しい。従って、Subポートと第2ドレインとの間に電位差はない。このようにして、この実施形態では、基板バイアス効果は、第1ドレインとSubポートとの間でも、第2ドレインとSubポートとの間でも起こらない(基板バイアス効果の意味については、具体的な実施形態中の説明を参照されたい)。この場合に、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのチャネル内の自由電子の量は減少せず、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのオン抵抗は増えない。従って、この実施形態を使用することによって、基板バイアス効果に起因して第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのロスが増えるという問題は、回避され得る。
【0016】
留意されるべきは、プルアップ回路がSubポートと第2ドレインとの間に位置するか、あるいは、Subポートと第1ドレインとの間及びSubポートと第2ドレインとの間の両方に位置する場合に、この実施形態は上記の効果をやはり実装することができる点である。その原理は同様であるから、詳細は再び説明されない。
【0017】
第1の態様を参照して、第1の可能な実施で、プルアップ回路は、第1の3端子NMOSスイッチングトランジスタ(単に「3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ」と呼ばれる)を含む。3端子NMOS-1スイッチングトランジスタのドレインは、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの第1ドレインへ接続され、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタのソースは、Subポートへ接続され、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタのゲートは、ドライブ回路へ接続され、ドライブ回路によって供給されるドライブ電圧は、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの両方がオンされることを可能にする。
【0018】
留意されるべきは、ドライブ回路によって供給されるドライブ電圧は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタをオンされるように駆動するために使用されるだけでなく、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタをオンされるように駆動するためにも使用される点である。更に、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタは、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのターンオン中にオンされる。
【0019】
3端子NMOS-1スイッチングトランジスタは第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのターンオン中にオンされるので、Subポートの電位は、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタを使用することによって第1ドレインの電位にプルアップされてよく、あるいは、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタを使用することによって、第1ドレインの電位に等しいようプルアップされてよい。第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオンされ、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧降下が考慮されない場合に、第1ドレインの電位は第2ドレインの電位と等しく、Subポートの電位も第2ドレインの電位と同じである。従って、基板バイアス効果は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタにおいて回避され、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの比較的に大きいオン抵抗により引き起こされる第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの比較的に大きいロスは、回避される。
【0020】
第1の態様の第1の可能な実施を参照して、第2の可能な実施で、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタの閾電圧及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧は、同じ値を有する。ドライブ回路は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲート及び3端子NMOS-1スイッチングトランジスタのゲートに同じドライブ電圧を供給するよう構成される。
【0021】
留意されるべきは、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタは両方ともN型MOSスイッチングトランジスタであるから、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧の位相は同じである点である。言い換えると、全てのN型MOSスイッチングトランジスタの閾電圧の位相は同じであり、全てのP型MOSスイッチングトランジスタの閾電圧の位相も同じである。しかし、N型MOSスイッチングトランジスタの閾電圧の位相は、P型MOSスイッチングトランジスタの閾電圧の位相とは反対である。
【0022】
3端子NMOS-1スイッチングトランジスタの閾電圧及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧は同じ値を有するから、同じドライブ電圧が3端子NMOS-1スイッチングトランジスタのゲート及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートに印加される場合に、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタは同時にオンされ、同時にオフされる。3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタが同時にオンされるとき、Subポートの電位は第1ドレインの電位にプルアップされる。第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオンされ、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧降下が考慮されない場合に、第1ドレインの電位は第2ドレインの電位と等しく、Subポートの電位も第2ドレインの電位と同じである。従って、基板バイアス効果は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタにおいて回避され得、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの比較的に大きいオン抵抗により引き起こされる第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの比較的に大きいロスは、回避される。
【0023】
留意されるべきは、本願では、3端子NMOSスイッチングトランジスタはソース、ドレイン及びゲートを含む従来のNMOSスイッチングトランジスタであり、4端子NMOSスイッチングトランジスタは2つのドレイン、1つのゲート及び1つのSubポートを含むスイッチングトランジスタである点である。具体的に、本願の3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ、第2の3端子NMOSスイッチングトランジスタ(単に「3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ」と呼ばれる)、及び第3の3端子NMOSスイッチングトランジスタ(単に「3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ」と呼ばれる)は全て3端子NMOSスイッチングトランジスタである。本願の第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ及び第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタは、4端子NMOSスイッチングトランジスタである。
【0024】
第1の態様の第2の可能な実施を参照して、第3の可能な実施で、ドライブ回路は、パルス幅変調PWMモジュール及びチャージポンプを含む。チャージポンプの第1入力端子は、PWMモジュールの出力端子へ接続され、PWMモジュールによって入力される制御ロジック電圧Vpwmを受けるよう構成される。チャージポンプの第2入力端子は、第1電源インターフェースへ接続され、第1電源インターフェースから入力されるバス電圧Vbusを受けるよう構成される。チャージポンプの出力端子は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲート及び3端子NMOS-1スイッチングトランジスタのゲートへ接続される。
【0025】
チャージポンプは、Vpwm制御下で出力電圧Voutを取得するようVbusを処理し、Voutを第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲート及び3端子NMOS-1スイッチングトランジスタのゲートに印加する。
【0026】
第1の態様を参照して、第4の可能な実施で、プルアップ回路は、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタを含む。3端子NMOS-2スイッチングトランジスタのドレインは、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの第2ドレインへ接続され、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタのソースは、Subポートへ接続され、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタのゲートは、ドライブ回路へ接続され、ドライブ回路によって供給されるドライブ電圧は、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの両方がオンされることを可能にする。
【0027】
留意されるべきは、ドライブ電圧によって供給されるドライブ電圧は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタをオンされるように駆動するために使用されるだけでなく、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタをオンされるように駆動するためにも使用される点である。更に、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタは、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのターンオン中にオンされる。
【0028】
3端子NMOS-2スイッチングトランジスタは第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのターンオン中にオンされるので、Subポートの電位は、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタを使用することによって第2ドレインの電位にプルアップされてよく、あるいは、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタを使用することによって、第2ドレインの電位に等しいようプルアップされてよい。第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオンされ、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧降下が考慮されない場合に、第2ドレインの電位は第1ドレインの電位と等しく、Subポートの電位も第1ドレインの電位と同じである。従って、基板バイアス効果は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタにおいて回避され得、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの比較的に大きいオン抵抗により引き起こされる第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの比較的に大きいロスは、回避される。
【0029】
第1の態様の第4の可能な実施を参照して、第5の可能な実施で、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタの閾電圧及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧は、同じ値を有する。ドライブ回路は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲート及び3端子NMOS-2スイッチングトランジスタのゲートに同じドライブ電圧を供給するよう構成される。
【0030】
3端子NMOS-2スイッチングトランジスタの閾電圧及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧は同じ値を有するから、同じドライブ電圧が3端子NMOS-2スイッチングトランジスタのゲート及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートに印加される場合に、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタの閾電圧及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタは同時にオンされ、同時にオフされる。3端子NMOS-2スイッチングトランジスタがオンされるときに、Subポートの電位は第2ドレインの電位にプルアップされ得る。第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオンされ、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧降下が考慮されない場合に、第2ドレインの電位は第1ドレインの電位と等しく、Subポートの電位は第1ドレインの電位と同じである。従って、この実施形態で提供される解決法を使用することによって、Subポートと第2ドレインとの間の電圧差及びSubポートと第1ドレインとの間の電圧差によって引き起こされる基板バイアス効果は、回避され得る。
【0031】
第1の態様の第5の可能な実施を参照して、第6の可能な実施で、ドライブ回路は、パルス幅変調PWMモジュール及びチャージポンプを含む。チャージポンプの第1入力端子は、PWMモジュールの出力端子へ接続され、PWMモジュールによって入力される制御ロジック電圧Vpwmを受けるよう構成される。チャージポンプの第2入力端子は、第1電源インターフェースへ接続され、第1電源インターフェースから入力されるバス電圧Vbusを受けるよう構成される。チャージポンプの出力端子は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲート及び3端子NMOS-2スイッチングトランジスタのゲートへ接続される。
【0032】
チャージポンプは、Vpwm制御下で出力電圧Voutを取得するようVbusを処理し、Voutを第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲート及び3端子NMOS-2スイッチングトランジスタのゲートに印加する。
【0033】
第1の態様の第1乃至第3の可能な実施のうちのいずれか1つを参照して、第7の可能な実施で、プルアップ回路は、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタを更に含む。3端子NMOS-2スイッチングトランジスタのドレインは、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの第2ドレインへ接続され、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタのソースは、Subポートへ接続され、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタのゲートは、ドライブ回路へ接続され、ドライブ回路によって供給されるドライブ電圧は、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ、及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタが全てオンされることを可能にする。
【0034】
この実施形態では、プルアップ回路は、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタを含むだけではなく、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタも含む。2つの3端子NMOSスイッチングトランジスタは、互いのバックアップとして機能し、たとえ3端子NMOSスイッチングトランジスタの一方(例えば、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ)がダメージを受けるとしても、他方の3端子NMOSスイッチングトランジスタ(3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ)が依然として、Subポートの電位を第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの第1ドレイン又は第2ドレインの電位にプルアップし得る(ただし、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧降下は考慮されない)。
【0035】
第1の態様の第7の可能な実施を参照して、第8の可能な実施で、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタの閾電圧、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタの閾電圧、及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧は、同じ値を有する。ドライブ回路は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲート、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタのゲート、及び3端子NMOS-2スイッチングトランジスタのゲートに同じドライブ電圧を供給するよう構成される。
【0036】
第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ、及び3端子NMOS-2スイッチングトランジスタは同時にオンされ、同時にオフされることが分かる。2つの3端子NMOSスイッチングトランジスタは互いのバックアップとして機能し、たとえ3端子NMOSスイッチングトランジスタの一方(例えば、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ)がダメージを受けるとしても、他方の3端子NMOSスイッチングトランジスタ(3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ)は依然として、Subポートの電位を第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの第1ドレイン又は第2ドレインの電位にプルアップし得る(ただし、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧降下は考慮されない)。このようにして、Subポートと第1ドレインとの間の電圧及びSubポートと第2ドレインとの間の電圧によって引き起こされる基板バイアス効果は、回避され得る。更に、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの過度に大きいオン抵抗によって引き起こされる比較的に大きい内部ロスが回避され得る。
【0037】
第1の態様の第8の可能な実施を参照して、第9の可能な実施で、ドライブ回路は、パルス幅変調PWMモジュール及びチャージポンプを含む。チャージポンプの第1入力端子は、PWMモジュールの出力端子へ接続され、PWMモジュールによって入力される制御ロジック電圧Vpwmを受けるよう構成される。チャージポンプの第2入力端子は、第1電源インターフェースへ接続され、第1電源インターフェースから入力されるバス電圧Vbusを受けるよう構成される。チャージポンプの出力端子は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲート、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタのゲート、及び3端子NMOS-2スイッチングトランジスタのゲートへ接続される。
【0038】
チャージポンプは、Vpwm制御下で出力電圧Voutを取得するようVbusを処理し、Voutを第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲート、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタのゲート、及び3端子NMOS-2スイッチングトランジスタのゲートに印加する。
【0039】
第1の態様を参照して、第10の可能な実施で、Subポート管理回路は、プルダウン回路を更に含む。プルダウン回路は、Subポートへ接続され、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオフされるときにSubポートの電位をゼロ電位にプルダウンするよう構成される。
【0040】
第1の態様の第1、第2、第4、第5、及び第7乃至第9の可能な実施のいずれか1つを参照して、第11の可能な実施で、Subポート管理回路は、プルダウン回路を更に含む。プルダウン回路は、Subポートへ接続され、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオフされるときにSubポートの電位をゼロ電位にプルダウンするよう構成される。
【0041】
第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオフされるとき、Subポートの電位は接地(GND)にプルダウンされ、それによって、Subポートのフローティングを回避する。Subポートの電位がゼロ電位であるとき、Subポートと第2ドレインとの間の電圧は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ内の寄生トランジスタをオンさせる電圧よりも小さい(
図7を参照)。従って、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ内の寄生トランジスタは誤ってトリガされず、更には、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧耐性能力は低下しない。
【0042】
通常、トランジスタのベース電圧が0.7Vよりも大きいとき、トランジスタはオンされる。この実施形態では、トランジスタのベース電圧は、Subポートと第2ドレインとの間の電圧である。
【0043】
言い換えると、この実施形態では、第1電源インターフェースから入力されるバス電圧Vbusを使用することによって3端子NMOS-2スイッチングトランジスタの寄生キャパシタC2を充電することを回避するために(
図7を参照)、SubポートはGNDに直接に接続されるので、C2の両端子に電圧はなく、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ内の寄生トランジスタは誤ってオンされるようにトリガされず、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧耐性能力は低下しない。
【0044】
第1の態様の第3、第6、又は第9の可能な実施のいずれか1つを参照して、第12の可能な実施で、Subポート管理回路は、プルダウン回路を更に含む。プルダウン回路は、Subポートへ接続され、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオフされるときにSubポートの電位をゼロ電位にプルダウンするよう構成される。
【0045】
第1の態様の第12の可能な実施を参照して、第13の可能な実施で、プルダウン回路は、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタを含む。3端子NMOS-3スイッチングトランジスタのソースは接地され、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタのドレインはSubポートへ接続され、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタのゲートはドライブ回路へ接続され、ドライブ回路によって供給されるドライブ電圧は、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの一方が、他方がオフされている間にオンされることを可能にする。
【0046】
3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの一方は、他方がオフされている間にオンされるので、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタはオンされる一方で、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタはオフされる。更に、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタがオンされるとき、Subポートの電位はGNDにプルダウンされる。従って、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの寄生トランジスタは、オンされるようトリガされず(詳細については、上記の説明を参照されたい)、更には、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧耐性能力は低下しない。
【0047】
第1の態様の第13の可能な実施を参照して、第14の可能な実施で、ドライブ回路は、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタのゲート及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートに反対の位相を有するドライブ電圧を供給するよう構成される。
【0048】
留意されるべきは、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタの閾電圧及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧は、同じ値を有しても、又は有さなくてもよい点である。
【0049】
この実施形態では、ドライブ回路は、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの一方が、他方がオフされている間2オンされることを確かにするために、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタに反対の位相を有するドライブ電圧を供給するよう構成される。具体的に、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタはオンされる一方で、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタはオフされる。3端子NMOS-3スイッチングトランジスタがオンされるとき、Subポートの電位はGNDにプルダウンされる。従って、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの寄生トランジスタは、オンされるようトリガされず(詳細については、上記の説明を参照されたい)、更には、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧耐性能力は低下しない。
【0050】
第1の態様の第14の可能な実施を参照して、第15の可能な実施で、Subポート管理回路はインバータを更に含む。インバータの1つの端子は、PWMモジュールの出力端子へ接続され、他の端子は、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタのゲートへ接続される。インバータは、電圧Vpwm-を取得するようVpwmに対して位相反転処理を実行し、Vpwm-を3端子NMOS-3スイッチングトランジスタのゲートに印加するよう構成される。
【0051】
この実施形態では、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタの閾電圧及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧は同じ位相を有するが、値が異なり、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧は、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタの閾電圧よりも大きい。
【0052】
第1の態様の第10又は第11の可能な実施を参照して、第16の可能な実施で、プルダウン回路はプルダウン抵抗を含む。プルダウン抵抗の第1端子はSubポートへ接続され、プルダウン抵抗の第2端子は接地される。
【0053】
この実施形態では、プルダウン抵抗がSubポートと接地(GND)との間に位置しているので、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオフされるとき、プルダウン抵抗に電流は流れない。そのため、プルダウン抵抗は電圧降下を有さず、Subポートの電圧はプルダウン抵抗によってGNDに引っ張られる。Subポートと第2ドレインとの間の電圧は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ内の寄生トランジスタをオンさせる(通常、トランジスタのベース電圧、つまり、Subポートと第2ドレインとの間の電圧が0.7Vよりも大きいとき、トランジスタはオンされる)電圧よりも小さい。従って、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ内の寄生トランジスタは誤ってトリガされず、更には、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧耐性能力は低下しない。
【0054】
第1の態様の第10の可能な実施を参照して、第17の可能な実施で、Subポート管理回路は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)スイッチングトランジスタを含む。CMOSスイッチングトランジスタは、共通ゲートを有するP型金属酸化膜半導体(PMOS)スイッチングトランジスタ及び第4の3端子NMOSスイッチングトランジスタ(単に、「3端子NMOS-4スイッチングトランジスタ」と呼ばれる)を含む。
【0055】
PMOSスイッチングトランジスタのソースは第1電源インターフェースへ接続され、PMOSスイッチングトランジスタのドレインはSubポートへ接続され、端子NMOS-4スイッチングトランジスタのドレインはSubポートへ接続され、3端子NMOS-4スイッチングトランジスタのソースは接地される。
【0056】
PMOSスイッチングトランジスタのゲート及び3端子NMOS-4スイッチングトランジスタのゲートに印加されるドライブ電圧と、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタに印加されるドライブ電圧とは、反対の位相を有する。
【0057】
PMOSスイッチングトランジスタの閾電圧及び3端子NMOS-4スイッチングトランジスタの閾電圧は同じ値を有するが、位相が反対である。これは、PMOSスイッチングトランジスタ及び3端子NMOS-4スイッチングトランジスタのうちの一方がオンされる一方で、他方のスイッチングトランジスタはオフされることを意味する。
【0058】
任意に、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧及びPMOSスイッチングトランジスタの閾電圧は同じ値及び同じ位相を有する。
【0059】
この実施形態では、PMOSスイッチングトランジスタは、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオンされるとき、Subポートの電位を第1ドレイン又は第2ドレインの電圧にプルアップするよう構成される。従って、プルアップ回路はPMOSスイッチングトランジスタを含む。3端子NMOS-4スイッチングトランジスタは、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオフされるとき、Subポートの電位を接地(GND)にプルダウンするよう構成される。従って、プルダウン回路は3端子NMOS-4スイッチングトランジスタを含む。
【0060】
ハイ電圧が第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートに印加されて、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタをオンさせ、ロー電圧がCMOSスイッチングトランジスタのゲートに印加される場合に、CMOSスイッチングトランジスタ内のPMOSスイッチングトランジスタはオンされ、CMOSスイッチングトランジスタ内の3端子NMOS-4スイッチングトランジスタはオフされる。この場合に、SubポートはPMOSスイッチングトランジスタを使用することによって第1電源インターフェースへ接続されるので、Subポートの対地電圧Vsubは、第1電源インターフェースの対地電圧Vbusに等しい。
図11Aを参照して、Vbusは第1ドレインの対地電圧に等しいことが分かるはずである。従って、Vsubは、第1ドレインの対地電圧に等しいと言える。第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオンされるとき、第1ドレインの対地電圧は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧降下を考慮しなければ、第2ドレインの対地電圧に等しく、Vsubも第2ドレインの対地電圧に等しい。従って、第1ドレインとSubポートとの間又は第2ドレインとSubポートとの間に電圧はなく(つまり、電圧は印加されず)、それによって、2つのドレインのいずれか1つと基板との間の基板バイアス効果を回避し、更には、基板バイアス効果に起因して、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧及びオン抵抗が大幅に増大し、かつ、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのロスが増えるという問題を回避する。
【0061】
第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートが接地されるために第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタがオフされるとき、相応して、ハイ電圧がCMOSスイッチングトランジスタのゲートに印加され、CMOSスイッチングトランジスタ内のPMOSスイッチングトランジスタはオフされ、3端子NMOS-4スイッチングトランジスタはオンされる。この場合に、Subポートの電圧は、オンされている3端子NMOS-4スイッチングトランジスタによって接地(GND)に引っ張られ、それによってSubポートのフローティングを回避する。更には、Subポートと第2ドレインとの間の電圧又はSubポートと第1ドレインとの間の電圧は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ内の寄生トランジスタをオンさせる(通常、トランジスタのベース電圧、つまり、Subポートと第2ドレインとの間の電圧が0.7Vよりも大きいとき、トランジスタはオンされる)電圧よりも小さい。従って、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ内の寄生トランジスタは誤ってトリガされず、更には、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧耐性能力は低下しない。
【0062】
第1の態様の第1乃至第17の可能な実施のうちのいずれか1つを参照して、第18の可能な実施で、充電保護回路は、第2電源インターフェース及び第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタを更に含む。第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタの1つのドレインは第2電源インターフェースへ接続され、他のドレインは第2ドレインと負荷との間に接続される。この実施形態を参照して、電力は複数の電源インターフェースを使用することによって負荷へ供給され得ることが分かる。
【0063】
留意されるべきは、第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタは1つのゲート及び1つのSubポートを更に備え、第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタのSubポートもSubポート管理回路へ接続され得る点である。更には、Subポート管理回路の設定については、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタのSubポートを管理するよう構成される上記のSubポート管理回路を参照されたい。第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタのSubポートを管理するよう構成されるSubポート管理回路については、本願で説明されない。
【0064】
第1の態様の第18の可能な実施を参照して、第19の可能な実施で、第2電源インターフェースは充電コイル及び無線受信チップを含む。充電コイルは無線受信チップの1つの端子へ接続され、無線受信チップの他の端子は第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタのドレインへ接続される。第2電源インターフェースに対応する電力供給方式は無線方式であることが分かる。
【0065】
第2の態様に従って、本願は充電回路を提供する。充電回路は、第1電源インターフェースと、負荷と、充電保護回路とを含む。充電保護回路の1つの端子は第1電源インターフェースへ接続され、他の端子は負荷へ接続される。
【0066】
充電保護回路の第1の態様又は第1の態様の第1乃至第3の可能な実施のうちのいずれか1つで、充電保護回路は、負荷に対して、第1電源インターフェースから受けた電力を供給するよう構成される。
【0067】
充電保護回路の第1の態様の第4乃至第6の可能な実施のうちのいずれか1つで、充電保護回路は、負荷から第1電源インターフェースを通って電力を送るよう構成される。
【0068】
充電保護回路の第1の態様の第17の可能な実施又は第1の態様の第7乃至第9の可能な実施のうちいずれか1つで、充電保護回路は、負荷に対して、第1電源インターフェースから受けた電力を供給するよう構成されるか、あるいは、負荷から第1電源インターフェースを通って電力を送るよう構成される。
【0069】
充電回路の効果(又は改善)については、上記の充電保護回路の効果(又は改善)を参照されたい。詳細はここで再び説明されない。
【0070】
第3の態様に従って、本願は電子デバイスを更に提供する。電子デバイスは、第2の態様に係る充電回路と、プロセッサとを含み、プロセッサは、充電回路内の負荷の残電力情報を取得するよう構成される。電子デバイスは上記の充電回路を含み、上記の充電回路は上記の充電保護回路を含むので、電子デバイスの効果については、上記の充電保護回路の効果を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】電子デバイスに置かれた充電保護回路の回路構造図である。
【
図2】電子デバイスに置かれた充電保護回路の他の回路構造図である。
【
図3】
図2に示された4端子NMOSスイッチングトランジスタの物理断面図である。
【
図4】Subポートが接地される場合の、
図2に示された4端子NMOSスイッチングトランジスタのパラメータ伝達特性曲線のシミュレーション結果である。
【
図5】MOSスイッチングトランジスタの概略図である。
【
図6】本願に係る充電保護回路の回路構造図である。
【
図7】4端子NMOSスイッチングトランジスタがオフされる場合の、
図6に示された充電保護回路内の4端子NMOSスイッチングトランジスタの寄生トランジスタの略物理断面図である。
【
図8】4端子NMOSスイッチングトランジスタがオフされる場合の、
図6に示された充電保護回路内の4端子NMOSスイッチングトランジスタの寄生トランジスタの回路構造図である。
【
図9A】Subポートが接地される場合の、4端子NMOSスイッチングトランジスタの2つのドレインの電圧耐性特性の曲線図である。
【
図9B】Subポートが浮いている場合の、4端子NMOSスイッチングトランジスタの2つのドレインの電圧耐性特性の曲線図である。
【
図10A】本願に係る電子デバイスの概略図である。
【
図11A】本願に係る充電保護回路の構造図である。
【
図11B】本願に係る充電保護回路の他の構造図である。
【
図11C】本願に係る充電保護回路の更なる他の構造図である。
【
図11D】本願に係る充電保護回路の更なる他の構造図である。
【
図12】本願に係る充電保護回路の更なる他の構造図である。
【
図13】本願に係る充電保護回路の更なる他の構造図である。
【
図14】本願に係る充電保護回路の電圧の動作シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本願の実施形態が説明される前に、次に現れる可能性がある用語が最初に定義される。
【0073】
基板バイアス効果:4端子NMOSスイッチングトランジスタの基板と4端子NMOSスイッチングトランジスタのいずれかのドレインとの間の電子がゼロでないときに、4端子NMOSスイッチングトランジスタ内の圧力下での逆バイアスをかけられたPN接合の空乏領域が広がり、その結果、4端子NMOSスイッチングトランジスタのチャネル内の可動電荷が減り、導電率レベルが下がる。
【0074】
空乏層:空乏層は空乏領域、ブロッキング層、障壁領域、又は空間電荷領域とも呼ばれ、PN接合内にあり、キャリアの量がドリフト運動及び拡散の二重効果により極めて少ない高抵抗領域を意味する。
【0075】
ドリフト領域:ドリフト領域は、半導体PN接合内の、不純物ドーピング濃度が低い領域を意味する。
【0076】
エピタキシャル層:エピタキシャル層は、基板上に成長及び堆積し、N型ドリフト領域と基板との間及びP型ボディ部と基板との間に位置している半導体層を意味する。
【0077】
チャネル:
図5は、MOSスイッチングトランジスタの概略図であり、チャネルは、MOSスイッチングトランジスタのソース及びドレインの間に位置している薄い半導体層を意味する。
【0078】
図2は、電子デバイス内に置かれている充電保護回路の構造図である。ソースがなく、双方向遮断(又は双方向電圧耐性)を実装可能な4端子NMOSスイッチングトランジスタが、充電保護回路で使用されている。4端子NMOSスイッチングトランジスタは、第1ドレイン(Drain 1)、第2ドレイン(Drain 2)、ゲート(Gate)、及び基板Subポートを含む。充電保護回路において、4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲート(Gate)は、ドライブ回路(又は「ドライブチップ」)を使用することによって制御される。具体的に、4端子NMOSスイッチングトランジスタのターンオン又はターンオフは、ドライブ回路内のチャージポンプ(Charge Pump)によって出力されるドライブ電圧を使用することによって、制御される。
図2を参照して、4端子NMOSスイッチングトランジスタのSubポートは接地されることが容易に把握され得る。従って、Subポートの電位は、通常はローレベルにある。
【0079】
4端子NMOSスイッチングトランジスタがオンされ、第1ドレイン(ここで、第1ドレインは、ユニバーサル・シリアル・バスUSBポートに近いドレインを意味するか、あるいは、バス電圧Vbusの入力端子に近いドレインを意味する)がバス電圧Vbusに接続されるとき、Subポートは接地されるので、第1ドレインとSubポートとの間の寄生ダイオードD1のPN接合及び第2ドレインとSubポートとの間の寄生ダイオードD2のPN接合は、夫々が比較的に高い逆電圧をかけられる(
図3に示される4端子NMOSスイッチングトランジスタの構造図を参照)。その結果、第1ドレインとSubポートとの間の基板バイアス効果及び第2ドレインとSubポートとの間の基板バイアス効果は深刻であり、空乏領域(又は空間電荷領域)は大いに広げられる。更に、N型ドリフト領域とP型エピタキシャル層との間の一部のキャリアは失われ、P型ボディ部(P_body)に位置するN型チャネル内の自由電子は減少するか又は完全に失われ、そのために、チャネルは形成され得ない。
【0080】
留意されるべきは、4端子NMOSスイッチングトランジスタがオンされ、4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧降下が考慮されない場合に、第1ドレインの対地電圧は第2ドレインの対地電圧に等しく、あるいは、第1ドレインの電位は第2ドレインの電位に等しい点である。従って、Subポートが接地され、第1ドレインがバス電圧Vbusに接続されるとき、第1ドレインとSubポートとの間の電圧Vd1s及び第2ドレインとSubポートとの間の電圧Vd2sは夫々がバス電圧Vbusに等しい。更に、第1ドレインとSubポートとの間の寄生ダイオードD1及び第2ドレインとSubポートとの間の寄生ダイオードD2は夫々が比較的に高い逆電圧Vbusをかけられる。
【0081】
図4は、Sub
ポートが接地される場合の、4端子NMOSスイッチングトランジスタのパラメータ伝達特性曲線のシミュレーション結果を示す。
図4は3つの曲線を含み、3つの曲線に対応する電圧Vd1sは夫々0V、2V及び5Vである。上述されたように、電圧Vd1sは、第1ドレインとSubポートとの間の電圧を意味する。Vd1sが0Vに等しい場合に、4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧Vgd1は約2Vである。Vd1sが2Vに等しい場合に、4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧Vgd1は約5.5Vである。Vd1sが5Vに等しい場合に、4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧Vgd1は約10Vである。従って、Vd1sが増大するにつれて、4端子NMOSスイッチングトランジスタの閾電圧Vgd1も増大する。4端子NMOSスイッチングトランジスタのオン電流が0.002Aであり、Vd1s=0Vである場合に、4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートと第1ドレインとの間の電圧は約3Vであり、相応して、4端子NMOSスイッチングトランジスタの内部抵抗は約1.5
KΩであり、4端子NMOSスイッチングトランジスタのロスは約0.006Wである。4端子NMOSスイッチングトランジスタのオン電流が0.002Aであり、Vd1s=2Vである場合に、4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートと第1ドレインとの間の電圧は約6.5Vであり、相応して、4端子NMOSスイッチングトランジスタの内部抵抗は3.25
KΩであり、4端子NMOSスイッチングトランジスタのロスは約0.013Wである。4端子NMOSスイッチングトランジスタのオン電流が0.002Aであり、Vd1s=5Vである場合に、4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートと第1ドレインとの間の電圧は12Vであり、相応して、4端子NMOSスイッチングトランジスタの内部抵抗は6
KΩであり、4端子NMOSスイッチングトランジスタのロスは約0.024Wである。従って、Vd1sが増大するにつれて、4端子NMOSスイッチングトランジスタの内部抵抗及び内部ロスも増大する。そのため、第1ドレインとSubポートとの間の電圧Vd1sを下げることが、解決される必要がある課題となる。
【0082】
留意されるべきは、4端子NMOSスイッチングトランジスタがオンされるとき、4端子NMOSスイッチングトランジスタの第1ドレイン及び第2ドレインの間の電圧(つまり、4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧降下)は0Vよりも大きい(例えば、0.1Vであり得る)点である。本願では、別段特定されない限りは、4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧降下は無視され、言い換えると、4端子NMOSスイッチングトランジスタは電圧降下を有さないと見なされる。
【0083】
更に、
図6は、充電保護回路の他の構造図である。留意されるべきは、当該充電保護回路に位置している4端子NMOSスイッチングトランジスタも第1ドレイン(Drain 1)、第2ドレイン(Drain 2)、ゲート(Gate)、及び基板Subポートを含む点である。
図6に示されている充電保護回路と
図2に示された充電保護回路との間の違いは、
図6に示されている充電保護回路では、Subポートが常にフローティング状態にある点にある。4端子NMOSスイッチングトランジスタのゲートがロー電位に接続されるとき、4端子NMOSスイッチングトランジスタはオフされる必要がある。しかし、同時に、バス電圧Vbusも第1ドレインに印加される場合には、共通アノードを有し、第1ドレインと第2ドレインとの間にある2つのバック・トゥ・バックダイオード(D1及びD2)は、圧力下にある。
図7に示されるように、D1及びD2は夫々が接合キャパシタ(ここで、D1の接合キャパシタはC1であり、D2の接合キャパシタはC1である)を有するので、バス電圧Vbusは2つの接合キャパシタC1及びC2を充電するために使用され、それに応じて、接合キャパシタC1及びC2の夫々にかかる電圧は増大する。
【0084】
図7及び
図8を参照すると、共通アノードを有するバック・トゥ・バックダイオードD1及びD2は、1つのNPNトランジスタと等価である。バス電圧Vbusが増大するにつれて、C2の分割電圧が0.7Vを超える場合に、寄生NPNトランジスタはオンされるようトリガされ(通常、トランジスタのベース電圧、つまり、Subポートと第2ドレインとの間の電圧が0.7Vよりも大きいとき、トランジスタはオンされる)、それに応じて、4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧耐性能力は低下する。
図9A及び
図9Bは夫々、4端子NMOSスイッチングトランジスタのSubポートが接地される場合(
図9Aに示される)及び4端子NMOSスイッチングトランジスタのSubポートが浮いている場合(
図9Bに示される)の、4端子NMOSスイッチングトランジスタの第1ドレイン及び第2ドレインの間の電圧耐性特性の曲線図である。
【0085】
図9Aに示されるように、Subポートが接地されるとき、4端子NMOSスイッチングトランジスタの第1ドレイン及び第2ドレインの間にかけられ得る最大電圧は約32Vである。
図9Bに示されるように、Subポートが浮いているとき、4端子NMOSスイッチングトランジスタの第1ドレイン及び第2ドレインの間の最大電圧は約15Vである。簡潔に、4端子NMOSスイッチングトランジスタの第1ドレイン及び第2ドレインの間の電圧耐性能力は、30V超から20V未満に低下する。実際の使用では、4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧耐性能力が低下するので、4端子NMOSスイッチングトランジスタは壊れる可能性があり、4端子NMOSスイッチングトランジスタが適用される充電保護回路の悲惨な結果を引き起こす。従って、4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧耐性能力を維持すること(又は低下させないこと)も、解決される必要がある課題である。
【0086】
上記の説明を参照して、本願の4端子NMOSスイッチングトランジスタでは、4端子NMOSスイッチングトランジスタのSubポートが接地されることは、第1ドレインとSubポートとの間の電圧Vd1sを大きくし、これは更に、深刻な基板バイアス効果と、4端子NMOSスイッチングトランジスタのロスの増大とを引き起こし、また、4端子NMOSスイッチングトランジスタのSubポートが浮いていることは、4端子NMOSスイッチングトランジスタの電圧耐性能力に影響を及ぼす、ことが分かる。
【0087】
上記の全ての課題を解決するために、本願は最初に、電子デバイスを提供する。電子デバイスは具体的に、スマートフォン、電動輸送機、タブレットコンピュータ、スマートウォッチ、スマートバンド、などであってよい。具体的に、電子デバイスは充電されることが可能であり、また、外部デバイスを充電することもできる。充電は有線又は無線方式であることができる。例えば、スマートフォンは有線方式で充電されることが可能であり、また、無線方式で外部デバイス(例えば、スマートウォッチ又はスマートバンド)を充電することもできる。代替的に、例えば、電動輸送機は、有線方式で充電されることが可能であり、また、有線方式でスマートフォンなどの外部デバイスを充電することもできる。
【0088】
留意されるべきは、
図10Aに示されるように、電子デバイス1は、少なくとも1つの充電回路10と、プロセッサ20とを含む点である。具体的に、プロセッサ20は、充電回路10内の負荷15の残電力情報を取得するよう構成される。確かに、電子デバイス1は、他のコンポーネント、例えば、メモリ及びドライブ回路(いずれも図示せず)を更に含んでもよい。
【0089】
図10Bに示されるように、充電回路10は、第1電源インターフェース11、負荷15、及び充電保護回路13を含む。負荷15は、通常はバッテリである。電子デバイス1がスマートフォンである場合に、第1電源インターフェース11はUSBポートであってよい。充電保護回路13については、以下で詳細に説明される。
【0090】
本願で提供される充電保護回路13において、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131は、双方向遮断を実装するために、ソース同士が直列に接続されている2つのNMOSスイッチングトランジスタを置換するために使用され、更には、基板(Substrate,Sub)ポート管理回路(単に、「Subポート管理回路」と呼ばれる)133も、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のSubポートの電位に対してフローティング管理を実行するために設けられる。
【0091】
説明を簡単にするために、
図10Bでは、第1電源インターフェース11はUSBポートである。
図11Aに示される充電保護回路13において、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131は、第1ドレイン(Drain 1)、第2ドレイン(Drain 2)、ゲート(Gate 1)、及びSubポートを含む。第1ドレインはUSBポート11へ接続され、第2ドレインは負荷15へ接続され、ゲートはドライブ回路140へ接続される。更に、Subポート管理回路133はプルアップ回路1331を含み、プルアップ回路1331はSubポートへ接続され、プルアップ回路1331は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131がオフされるとき、Subポートを第1ドレイン又は第2ドレインの電位にプルアップするよう構成される。
【0092】
図11Aに示されるように、プルアップ回路1331は第1の3端子NMOSスイッチングトランジスタ121(単に、「3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ」と呼ばれる)であってよい。
図11Aを参照して、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121のドレインは第1ドレインへ接続され、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121のソースはSubポートへ接続され、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121のゲート(Gate 2)はドライブ回路140へ接続される。更には、ドライブ回路140によって供給されるドライブ電圧は、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131の両方がオンされることを可能にする。
【0093】
具体的な実施では、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121の閾電圧及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131の閾電圧は同じ位相を有し(上記の関連する説明を参照)、また、同じ値を有する。ドライブ回路140は、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131に同じゲートドライブ電圧を供給するよう構成される。
【0094】
ゲートドライブ電圧は、MOSスイッチングトランジスタがオンされること又はオフされることを可能にすることが説明されるべきである。通常、ゲートドライブ電圧がMOSスイッチングトランジスタの閾電圧よりも高い場合に、MOSスイッチングトランジスタはオンされ、ゲートドライブ電圧がMOSスイッチングトランジスタの閾電圧よりも低い場合に、MOSスイッチングトランジスタはオンされない(つまり、オフされる)、と考えられる。この実施形態では、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121の閾電圧及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131の閾電圧は等しい。この場合に、同じドライブ電圧が3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートに入力されるとき、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131は両方ともオン又はオフされる。
【0095】
留意されるべきは、本願で説明される3端子NMOSスイッチングトランジスタは従来のNMOSスイッチングトランジスタであり、ソース、ドレイン、及びゲートを含む3つの端子を含む点である。相応して、本願の4端子NMOSスイッチングトランジスタは、夫々2つのドレイン、1つのゲート、及び1つのSubポートである4つの端子を含む。
【0096】
留意されるべきは、本願での「第1」及び「第2」は、異なった類似のコンポーネントを表すためにのみ使用され、例えば、「第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ」及び「第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタ」は、2つのトランジスタが2つの異なった4端子NMOSスイッチングトランジスタであるという事実を単に示すために使用される点である。
【0097】
更に留意されるべきは、本願では、別段特定されない限りは、3端子MOSスイッチングトランジスタの電圧降下は考慮されず、言い換えると、3端子MOSスイッチングトランジスタは電圧降下を有さないと見なされる点である。
【0098】
上記の実施形態を参照して、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131がオンされるとき、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121もオンされる。この場合に、Subポートの電位(又は「対地電圧」)は第1ドレインの電位(又は「対地電圧」)に等しい。更には、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131がオンされるとき、第1ドレインの電位(又は「対地電圧」)は第2ドレインの電位(又は「対地電圧」)に等しい。そのため、Subポートの電位も第2ドレインの電位に等しい。従って、第1ドレインとSubポートとの間の電圧Vd1s又は第2ドレインとSubポートとの間の電圧Vd2sのいずれか一方はゼロである。
【0099】
上記の説明を参照して、この実施形態で提供される技術的解決法を使用することによって、第1ドレインとSubポートとの間の基板バイアス効果及び第2ドレインとSubポートとの間の基板バイアス効果は低減又は除去され得ることが分かる。第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131内のN型チャネルの自由電子の減少は、少なくともある程度回避又は阻止され、更には、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のオン抵抗及び内部ロスの増大は、少なくともある程度回避又は阻止される。
【0100】
本願の他の実施形態では、
図11Bに示されるように、プルアップ回路1331は第2の3端子NMOSスイッチングトランジスタ(単に、「3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ」と呼ばれる)122であってよい。
図11Bを参照して、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122のドレインは第2ドレインへ接続され、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122のソースはSubポートへ接続され、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122のゲート(Gate 3)はドライブ回路140へ接続される。更には、ドライブ回路140によって供給されるドライブ電圧は、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131の両方がオンされることを可能にする。
【0101】
具体的な実施では、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122の閾電圧及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131の閾電圧は、同じ位相を有し、また、同じ値を有するので、ドライブ回路140は、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131に同じゲートドライブ電圧を供給するよう構成される。それに応じて、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131は両方ともオン又はオフされる。
【0102】
第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131がオンされるとき、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122もオンされる。この場合に、Subポートの電位(又は「対地電圧」)は第2ドレインの電位に等しい。更には、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131がオンされるとき、第2ドレインの電位は第1ドレインの電位に等しい。そのため、Subポートの電位も第1ドレインの電位に等しい。従って、第1ドレインとSubポートとの間の電圧Vd1s又は第2ドレインとSubポートとの間の電圧Vd2sのいずれか一方はゼロである。従って、本願で提供される技術的解決法を使用することによって、第1ドレインとSubポートとの間の基板バイアス効果及び第2ドレインとSubポートとの間の基板バイアス効果は低減又は除去され得る。第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131内のN型チャネルの自由電子の減少は、少なくともある程度回避又は阻止され、更には、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のオン抵抗及び内部ロスの増大は、少なくともある程度回避又は阻止される。
【0103】
本願の更なる他の実施形態では、
図11Cに示されるように、プルアップ回路1331は、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121及び3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122の両方を含んでもよい。
図11Cを参照して、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121のドレインは第1ドレインへ接続され、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122のドレインは第2ドレインへ接続される。3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121のソース及び3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122のソースは両方ともSubポートへ接続される。3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121のゲート及び3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122のゲートは両方ともドライブ回路140へ接続される。ドライブ回路140によって供給されるドライブ電圧は、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122、及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131が全てオンされることを可能にする。
【0104】
具体的な実施では、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131の閾電圧と、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121の閾電圧及び3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122の閾電圧の夫々とは、同じ値を有し、また、同じ位相を有する。それに応じて、ドライブ回路140は、3つ全てのスイッチングトランジスタ(3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122、及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131)をオン又はオフされるように駆動するために、3つのトランジスタに同じゲートドライブ電圧を供給するよう構成される。
【0105】
この実施形態では、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121及び3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122は、相互バックアップの役割を果たし、言い換えると、たとえ2つのトランジスタの一方が故障するとしても、Subポートの電位は依然として第1ドレインの電位及び第2ドレインの電位にプルアップされ得る。
【0106】
図11A、
図11B、及び
図11Cに示されるように、ドライブ回路140は、パルス幅変調PWMモジュール141及びチャージポンプ(Charge Pump)142を含む。チャージポンプ142は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを含み、2つの入力端子は夫々、第1入力端子及び第2入力端子と呼ばれる。具体的に、チャージポンプ142の第1入力端子は、PWMモジュール141の出力端子へ接続され、PWMモジュール141によって出力される制御ロジック電圧Vpwmを受けるよう構成される。チャージポンプ142の第2入力端子は、第1電源インターフェース11へ接続され、第1電源インターフェース11から入力されるバス電圧Vbusを受けるよう構成される。チャージポンプ142は、制御ロジック電圧Vpwmの制御下で、受け取られたバス電圧Vbusを処理して、出力電圧Voutを取得し、出力電圧Voutをチャージポンプ142の出力端子から出力するよう構成される。
【0107】
任意に、Vpwmがハイ電位にあるとき、Voutはハイ電圧であり、Vpwmがロー電位にあるとき、Voutはロー電圧である。任意に、Vpwmがハイ電位にあるとき、5Vが、Voutを取得するよう、チャージポンプの第2入力端子から入力されるバス電圧Vbusに加えられる。Vpwmがロー電位にあるとき、Voutの値はゼロである。
【0108】
図11Aに示されるように、チャージポンプ142の出力端子は、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121のゲート及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートへ接続される。チャージポンプ142は、出力電圧Voutを3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121のゲート及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートへ出力するよう構成される。出力電圧Voutは、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121のゲートドライブ電圧及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートドライブ電圧として使用され、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131がオン又はオフされることを可能にする。
【0109】
図11Bに示されるように、チャージポンプ142の出力端子は、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122のゲート及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートへ接続される。チャージポンプ142は、出力電圧Voutを3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122のゲート及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートへ出力するよう構成される。出力電圧Voutは、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122のゲートドライブ電圧及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートドライブ電圧として使用され、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131がオン又はオフされることを可能にする。
【0110】
図11Cに示されるように、チャージポンプ142の出力端子は、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121のゲート、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122のゲート、及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートへ接続される。チャージポンプ142は、出力電圧Voutを3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121のゲート、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122のゲート、及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートへ出力するよう構成される。出力電圧Voutは、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121のゲートドライブ電圧、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122のゲートドライブ電圧、及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートドライブ電圧として使用され、3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121、3端子NMOS-2スイッチングトランジスタ122、及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131がオン又はオフされることを可能にする。
【0111】
更に、
図10Bに示されるように、充電保護回路13はプルダウン回路1332を更に含む。プルダウン回路1332はSubポートへ接続され、プルダウン回路1332は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131がオフされるとき、Subポートの電位をゼロ電位にプルダウンする(又は電位をゼロにプルダウンする)よう構成される。第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131がオフされるとき、Subポートの電位がゼロにプルダウンされるので、Subポートの第1ドレインとの間の電圧又はSubポートと第2ドレインとの間の電圧は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131内の寄生トランジスタをオンさせる(
図8を参照)電圧よりも小さい。従って、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131は誤ってトリガされず、更には、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131の電圧耐性能力は低下せず、あるいは、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131の電圧耐性能力の低下は、少なくともある程度防がれる。
【0112】
通常、トランジスタのベース電圧が0.7Vよりも大きいとき、トランジスタはオンされる。本願では、電流が第1電源インターフェース11から負荷15へ流れる場合に、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131内の寄生トランジスタのベース-エミッタ電圧(又はベースとエミッタとの間の電圧)は、Subポートと第2ドレインとの間の電圧であり、相応して、電流が負荷15から第1電源インターフェース11へ流れる場合には、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131内の寄生トランジスタのベース-エミッタ電圧(又はベースとエミッタとの間の電圧)は、Subポートと第1ドレインとの間の電圧である。説明を簡単にするために、以下は、電流が第1電源インターフェース11から負荷15へ流れる、言い換えると、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131内の寄生トランジスタのベース-エミッタ電圧がSubポートとの第2ドレインとの間の電圧である、ところの例を使用する。留意されるべきは、
図8で、電流はやはり第1電源インターフェース11から負荷15へ流れる点である。
【0113】
より具体的には、
図8に示されるように、第1の4端子スイッチングトランジスタは、寄生キャパシタC1、寄生キャパシタC2、及び寄生トランジスタを有する。第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131がオフされるとき、Subポートの電位がゼロにプルダウンされるので、次の場合は回避される:3端子NMOS-2スイッチングトランジスタの寄生キャパシタC2が第1電源インターフェース11から入力されるバス電圧Vbusを使用することによって充電される。従って、寄生キャパシタC2の両方の端子に電圧はない。更に、寄生キャパシタC2の両方の端子に電圧がないので、寄生トランジスタは誤ってオンされるようトリガされず、従って、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131の電圧耐性能力は低下しない。
【0114】
実施形態において、
図11A~
図11Cに示されるように、プルダウン回路1332は、具体的に、
第3の3端子NMOSスイッチングトランジスタ(単に、「3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ」と呼ばれる)161である。3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ161のソースは接地され、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ161のドレインはSubポートへ接続され、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ161のゲートはドライブ回路140へ接続される。ドライブ回路140によって供給されるドライブ電圧は、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ161及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131の一方が、他方がオフされている間にオンされることを可能にする。
【0115】
特定のアプリケーションでは、ドライブ回路140によって3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ161及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131へ供給されるゲートドライブ電圧は、反対の位相を有する。
【0116】
3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ161の閾電圧及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131の閾電圧は、同じ又は異なる値を有してよい。
【0117】
任意に、
図11A~
図11Cに示されるように、Subポート管理回路133はインバータ1333を更に含み、インバータ1333の入力端子はPWMモジュール141へ接続され、出力端子は3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ161のゲートへ接続される。インバータ1333は、電圧Vpwm-を取得するようVpwmに対して位相反転処理を実行し、Vpwm-を3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ161のゲートに印加するよう構成される。Vpwm-は、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ161のゲートドライブ電圧として使用され、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタがオン又はオフされることを可能にすることが分かる。
【0118】
3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ161のゲートへ印加されるドライブ電圧及び第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートへ印加されるドライブ電圧は反対の位相を有するので、この実施形態では、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ161はオンされる一方で、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131はオフされる。3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ161がオンされるとき、Subポートの電位はGNDにプルダウンされるので、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131内の寄生トランジスタはオンされるようトリガされず、従って、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131の電圧耐性能力は低下しない。他の実施形態では、
図11Dに示されるように、プルダウン回路1332は、具体的に、プルダウン抵抗162である。プルダウン抵抗162の一方の端子はSubポートへ接続され、他方の端子は接地される。第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131がオフされるとき、プルダウン抵抗162に電流は流れない。従って、プルダウン抵抗162は電圧を有さず、Subポートの電圧はプルダウン抵抗162によってGNDにプルダウンされる。Subポートと第2ドレインとの間の電圧は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131内の寄生トランジスタをオンさせる電圧よりも小さい。従って、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131内の寄生トランジスタは誤ってトリガされず、更には、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131の電圧耐性能力は低下せず、あるいは、低下は少なくともある程度防がれる。
【0119】
図12は、本願に係る充電保護回路13の他の概略図である。充電保護回路13はCMOSスイッチングトランジスタ17を含む。CMOSスイッチングトランジスタ17は、共通ゲートを有するPMOSスイッチングトランジスタ171及び3端子NMOS-4スイッチングトランジスタ172を含む。PMOSスイッチングトランジスタ171のソースは第1電源インターフェース11へ接続され、ドレインはSubポートへ接続される。3端子NMOS-4スイッチングトランジスタ172のドレインはSubポートへ接続され、ソースは接地される。留意されるべきは、PMOSスイッチングトランジスタ171の閾電圧及び3端子NMOS-4スイッチングトランジスタ172の閾電圧は同じ値を有するが、位相が反対である点である(PMOSスイッチングトランジスタ171及び3端子NMOS-4スイッチングトランジスタ172は、位相が反対の閾電圧を有するP型MOSスイッチングトランジスタ及びN型MOSスイッチングトランジスタである)。更には、PMOSスイッチングトランジスタ171及び3端子NMOS-4スイッチングトランジスタ172のゲート(Gate 5)に印加される電圧と、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲート(Gate 1)に印加されるドライブ電圧とは、反対の位相を有する。
【0120】
図12に示されるように、充電保護回路13はドライブ回路18を更に含む。ドライブ回路18の出力端子は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートへ接続される。ドライブ回路18は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートへドライブ電圧を出力するよう構成され、更には、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のターンオン又はターンオフを制御するよう構成される。
【0121】
任意に、
図12に示されるように、ドライブ回路18は、PWMモジュール181及びチャージポンプ182を含む。チャージポンプ182は、第1入力端子、第2入力端子、及び出力端子を含む。具体的に、チャージポンプ182の第1入力端子は、PWMモジュール181の出力端子へ接続され、PWMモジュール181によって出力される制御ロジック電圧Vpwmを受けるよう構成される。チャージポンプ182の第2入力端子は、第1電源インターフェース11へ接続され、第1電源インターフェース11から入力されるバス電圧Vbusを受けるよう構成される。チャージポンプ182は、制御ロジック電圧Vpwmの制御下で、受け取られたバス電圧Vbusを処理して、出力電圧
Voutを取得し、出力電圧Voutをチャージポンプ182の出力端子から第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートへ出力するよう構成される。
【0122】
図12に示されるように、充電保護回路13はインバータ19を更に含む。インバータ19の一方の端子はPWMモジュール181の出力端子へ接続され、他方の端子はCMOSスイッチングトランジスタ17(具体的に言えば、PMOSスイッチングトランジスタ171及び3端子NMOS-4スイッチングトランジスタ172)のゲート(Gate 5)へ接続され、PWMモジュール181は制御ロジック電圧Vpwmをインバータ19へ出力し、インバータ19は、電圧Vpwm-を取得するよう、制御ロジック電圧Vpwmに対して位相反転処理を実行し、電圧Vpwm-をCMOSスイッチングトランジスタ17(具体的に言えば、PMOSスイッチングトランジスタ171及び3端子NMOS-4スイッチングトランジスタ172)のゲートへ出力する。電圧Vpwm-は、PMOSスイッチングトランジスタ171のターンオン及びターンオフを制御するために使用され、かつ、3端子NMOS-4スイッチングトランジスタ172のターンオン及びターンオフを制御するために使用される。
【0123】
この実施形態では、ハイ電圧が第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートへ印加されて、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131をオンさせ、ロー電圧がCMOSスイッチングトランジスタ17のゲートに印加される場合に、CMOSスイッチングトランジスタ17内のPMOSスイッチングトランジスタ171はオンされ、3端子NMOS-4スイッチングトランジスタ172はオフされる。この場合に、SubポートはPMOSスイッチングトランジスタ171を使用することによって第1電源インターフェース11へ接続されるので、Subポートの対地電圧Vsubは、第1電源インターフェース11の対地電圧Vbusに等しい。更に、第1電源インターフェース11は第1ドレインへ接続されるので、第1ドレインの対地電圧は第1電源インターフェースの対地電圧Vbusに等しい。上記の説明を参照して、Subポートの対地電圧Vsubは第1ドレインの対地電圧に等しいことが分かる。第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131がオンされるとき、第1ドレインの対地電圧は第2ドレインの対地電圧に等しいので、Subポートの対地電圧Vsubも第2ドレインの対地電圧に等しい。このようにして、第1ドレインとSubポートとの間にも第2ドレインとSubポートとの間にも電圧はない。従って、Subポート(基板)と2つのドレインの夫々との間の基板バイアス効果は回避される。相応して、以下の課題も少なくともある程度回避又は阻止される:第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131の閾電圧及びオン抵抗が、基板バイアス効果により増大し、それに応じて、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のロスは増大する。
【0124】
第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートが接地されて、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131がオフされ、ハイ電圧がCMOSスイッチングトランジスタ17のゲートに印加される場合に、CMOSスイッチングトランジスタ17内の3端子NMOS-4スイッチングトランジスタ172はオンされ、PMOSスイッチングトランジスタ171はオフされる。この場合に、Subポートの電位は、オンされている3端子NMOS-4スイッチングトランジスタ172によって接地へプルダウンされる。そのため、Subポートと第1ドレインとの間の電圧又はSubポートと第1ドレインとの間の電圧は、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131内の寄生トランジスタをオンさせる電圧よりも小さい。従って、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131内の寄生トランジスタは誤ってトリガされず、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131の電圧耐性能力は低下せず、あるいは、少なくともある程度低下しない。
【0125】
上記の実施形態のいずれか1つに基づき、
図13に示されるように、本願で提供される充電保護回路13は、第2電源インターフェース21及び第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタ22を更に含む。第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタ22の1つのドレインは第2電源インターフェース21へ接続され、第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタ22の他のドレインは、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131の第2ドレインと負荷15との間に接続される。留意されるべきは、第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタ22については、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131に関する上記の制限を参照されたい点である。具体的に言えば、電位フローティング管理が、本願での、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のSubポートに対して電位フローティング管理を実行する方法を参照して、第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタ22のSubポートに対して実行される。本願で提供される充電保護回路13は、複数の電源インターフェースを備えてよいことが分かる。スマートフォンが例として使用される。スマートフォンは、有線方式で充電されることが可能であり、また、無線方式で充電されることも可能であるから、スマートフォンは少なくとも2つの電源インターフェースを備えている。
【0126】
留意されるべきは、第2電源インターフェース21は、充電コイル211及び無線受信チップ212を含み得る点である。無線受信チップ212の一方の端子は充電コイル211へ接続され、他方の端子は第2の4端子NMOSスイッチングトランジスタ22のドレインへ接続される。第2電源インターフェース21は充電コイル211を含むので、第2電源インターフェース21に対応する電力供給方式は無線方式である。
【0127】
図14は、本願の充電保護回路の動作シーケンス図を更に示す。
図14で説明される動作シーケンスは
図11Aを参照して理解されることが推奨される。
図14に示されるように、第1ドレインの電圧Vdrain1はバス電圧Vbusに等しく、Subポートの電圧VsubはPWMモジュールの出力電圧Vpwmに関連する。Vpwmがハイ電圧であるとき、Vsubもハイ電圧であり、Vpwmがロー電圧である(又は接地される)とき、Vsubもロー電圧である(又は接地される)。依然として
図14を参照して、第1の4端子NMOSスイッチングトランジスタ131のゲートドライブ電圧Vgate1及び3端子NMOS-1スイッチングトランジスタ121のゲートドライブ電圧Vgate2は同じ値及び同じ位相を有し、3端子NMOS-3スイッチングトランジスタ161のゲートドライブ電圧Vgate4及びVpwmは同じ値を有するが、位相が反対である。
図11B及び
図11Cに対応する実施形態については、
図14のそれに類似した動作シーケンス図を参照されたい。詳細は、ここで再び説明されない。
【0128】
留意されるべきは、本願では、充電保護回路の実施形態が比較的に詳細に説明される点である。更に、充電回路及び電子デバイスの夫々の実施形態の説明は比較的に簡単である。しかし、充電回路は充電保護回路を含み、電子デバイスは充電回路を含むので、充電回路及び電子デバイスの両方について、本願で説明される充電保護回路の実施形態を参照されたい。言い換えると、全ての他の実施形態も、本願のいずれかの関連部分の内容を参照して理解され得る。本願では、実施形態は相互に参照されてよい。