(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】静電入力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240516BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
G06F3/041 580
G06F3/041 522
G06F3/044 120
(21)【出願番号】P 2022553706
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 JP2021032307
(87)【国際公開番号】W WO2022070752
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2020167755
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】重高 寛
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0184552(US,A1)
【文献】国際公開第2018/051487(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出面から第1距離以内の被検出体の接近を検出する複数の第1検出電極と、
前記複数の第1検出電極同士の間に設けられ、前記検出面から前記第1距離よりも長い第2距離以内の被検出体の接近を検出する第2検出電極と、
前記複数の第1検出電極及び前記第2検出電極の静電容量の変化を検出する検出回路と
、
前記複数の第1検出電極と前記検出回路とをそれぞれ接続する複数の第1配線と、
前記複数の第1配線と同一数の複数の第1ノイズ相殺配線と
を含
み、
前記第1ノイズ相殺配線は、前記検出回路に接続され、前記複数の第1配線が取得するノイズと同位相のノイズをそれぞれ取得可能であり、
前記第2検出電極は、複数の第2検出電極片に分けられており、
前記複数の第2検出電極片と前記検出回路とを接続する複数の第2配線と、
前記複数の第2配線と同一数の複数の第2ノイズ相殺配線と
をさらに含み、前記第2ノイズ相殺配線は、前記検出回路に接続され、前記複数の第2配線が取得するノイズと同位相のノイズをそれぞれ取得可能である、静電入力装置。
【請求項2】
前記複数の第1検出電極と前記複数の第1配線との接続部にそれぞれ設けられる複数の第1接続電極と、
前記複数の第2検出電極片と前記複数の第2配線との接続部にそれぞれ設けられる複数の第2接続電極と
をさらに含み、
前記複数の第1ノイズ相殺配線の各々の端部に第1拡幅部が設けられ、
前記複数の第2ノイズ相殺配線の各々の端部に第2拡幅部が設けられ、
前記第1拡幅部の線幅は、前記第1接続電極の線幅と等しく、
前記第2拡幅部の線幅は、前記第2接続電極の線幅と等しく、
前記複数の第1接続電極、前記複数の第2接続電極、前記複数の第1拡幅部、及び前記複数の第2拡幅部は、前記複数の第1検出電極及び前記複数の第2検出電極片が設けられる領域の外側に設けられる、請求項1に記載の静電入力装置。
【請求項3】
前記検出回路は、前記複数の第1配線を介して前記複数の第1検出電極から取得する複数の静電容量値と、前記複数の第1ノイズ相殺配線によって取得されるノイズのレベルとの差分に基づいて、前記複数の第1検出電極の静電容量の変化を検出する
とともに、前記複数の第2配線を介して前記複数の第2検出電極片から取得する複数の静電容量値と、前記複数の第2ノイズ相殺配線によって取得されるノイズのレベルとの差分に基づいて、前記複数の第2検出電極片の静電容量の変化を検出する、請求項
1又は2に記載の静電入力装置。
【請求項4】
前記複数の第1配線の時定数と、前記複数の第1ノイズ相殺配線の時定数とは、互いのノイズをそれぞれ相殺可能なように揃えられており、
前記複数の第2配線の時定数と、前記複数の第2ノイズ相殺配線の時定数とは、互いのノイズをそれぞれ相殺可能なように揃えられている、請求項
1乃至3のいずれか1項に記載の静電入力装置。
【請求項5】
前記複数の第1配線と、前記複数の第1ノイズ相殺配線とは、前記時定数が揃えられている組み同士が平面視で隣接して配置され、
前記複数の第2配線と、前記複数の第2ノイズ相殺配線とは、前記時定数が揃えられている組み同士が平面視で隣接して配置される、請求項
4に記載の静電入力装置。
【請求項6】
前記複数の第1配線と、前記複数の第1ノイズ相殺配線とは、長さがそれぞれ揃えられており、
前記複数の第2配線と、前記複数の第2ノイズ相殺配線とは、長さがそれぞれ揃えられている、請求項
1乃至3のいずれか1項に記載の静電入力装置。
【請求項7】
前記複数の第1配線と、前記複数の第1ノイズ相殺配線とは、前記長さが揃えられている組み同士が平面視で隣接して配置され、
前記複数の第2配線と、前記複数の第2ノイズ相殺配線とは、前記長さが揃えられている組み同士が平面視で隣接して配置される、請求項
6に記載の静電入力装置。
【請求項8】
交流信号を出力する交流源に接続されるシールド電極と、
前記シールド電極のグランド側の第1面とは反対側の第2面側に設けられる絶縁板と、
をさらに含み、
前記複数の第1検出電極、前記複数の第1配線、前記複数の第1ノイズ相殺配線、前記複数の第2検出電極片、前記複数の第2配線、及び前記複数の第2ノイズ相殺配線は、前記絶縁板の前記シールド電極の前記第2面側の第1面とは反対側の第2面に設けられており、
前記絶縁板の前記第2面において、前記複数の第1検出電極、及び前記複数の第2検出電極片が設けられる領域の外側に、前記複数の第1配線、前記複数の第1ノイズ相殺配線、前記複数の第2配線、及び前記複数の第2ノイズ相殺配線が設けられる、請求項
1乃至
7のいずれか1項に記載の静電入力装置。
【請求項9】
前記シールド電極及び前記絶縁板は透明であり、
前記絶縁板の前記第2面と対向して透明パネルが設けられ、
前記シールド電極の前記第1面に対向して表示装置が設けられ、
前記複数の第1検出電極及び前記複数の第2検出電極片は、透明電極で構成され、
前記複数の第1配線、前記複数の第1ノイズ相殺配線、前記複数の第2配線、及び前記複数の第2ノイズ相殺配線は、不透明な導電体で構成される、請求項
8に記載の静電入力装置。
【請求項10】
前記検出回路によって前記複数の第2検出電極片のうちの少なくともいずれか1つの静電容量の変化が検出されると、前記表示装置に画像が表示される、請求項
9に記載の静電入力装置。
【請求項11】
前記複数の第1検出電極
の各々に、異なる操作が割り当てられる、請求項1乃至
10のいずれか1項に記載の静電入力装置。
【請求項12】
検出面から第1距離以内の被検出体の接近を検出する複数の第1検出電極と、
前記複数の第1検出電極の静電容量の変化を検出する検出回路と、
前記複数の第1検出電極と前記検出回路とをそれぞれ接続する複数の第1配線と、
前記複数の第1配線と同一数の複数の第1ノイズ相殺配線と
を含
み、
前記第1ノイズ相殺配線は、前記検出回路に接続され、前記複数の第1配線が取得するノイズと同位相のノイズをそれぞれ取得可能である、静電入力装置。
【請求項13】
前記複数の第1検出電極と前記複数の第1配線との接続部にそれぞれ設けられる複数の第1接続電極をさらに含み、
前記複数の第1ノイズ相殺配線の各々の端部に第1拡幅部が設けられ、
前記第1拡幅部の線幅は、前記第1接続電極の線幅と等しく、
前記複数の第1接続電極、及び、前記複数の第1拡幅部は、前記複数の第1検出電極が設けられる領域の外側に設けられる、請求項12に記載の静電入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表示領域に、検出面での近接または接触を検出することの可能な複数の第1のタッチセンサを備えると共に、額縁領域に、前記検出面への近接または接触を検出することの可能な複数の第2のタッチセンサを備えるタッチパネルがある。前記複数の第1のタッチセンサは、電極に電気的に接続された高抵抗素子を備える、静電容量センサである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-033830号公報
【文献】特開2011-180401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のタッチパネルは、複数の第2のタッチセンサが第1のタッチセンサが設けられる領域の外側の額縁領域に設けられているため、小形化が困難である。
【0005】
そこで、小形化が可能な静電入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の静電入力装置は、検出面から第1距離以内の被検出体の接近を検出する複数の第1検出電極と、前記複数の第1検出電極同士の間に設けられ、前記検出面から前記第1距離よりも長い第2距離以内の被検出体の接近を検出する第2検出電極と、前記複数の第1検出電極及び前記第2検出電極の静電容量の変化を検出する検出回路とを含む。
【発明の効果】
【0007】
小形化が可能な静電入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】静電入力装置100を含む電子機器10を示す図である。
【
図4】
図3における破線の楕円で囲む部分を拡大して示す図である。
【
図5】静電入力装置100の入力部100Aを示す図である。
【
図8】第2検出電極151におけるノイズのキャンセルを説明する図である。
【
図9】第1検出電極111について算出されるノイズがキャンセルされた差分値を説明する図である。
【
図10】第2検出電極151~155について算出されるノイズがキャンセルされた差分値を説明する図である。
【
図11】実施形態の第1変形例の静電入力装置の入力部100AM1を示す図である。
【
図12】実施形態の第2変形例の静電入力装置の入力部100AM2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の静電入力装置を適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態>
図1は、静電入力装置100を含む電子機器10を示す図である。
図2は、電子機器10の操作部を示す図である。以下では、XYZ座標系を定義して説明する。また、以下では、説明の便宜上、平面視とはXY面視をいい、Z軸負方向側を下側又は下、Z軸正方向側を上側又は上と称すが、普遍的な上下関係を表すものではない。
【0011】
電子機器10は、主な構成要素として、筐体11、パネル12を含む。筐体11は、平面視で額状であり、開口部11Aにはパネル12が設けられている。パネル12は、透明なガラス板等で構成されるカバーである。パネル12には、
図2に示すようにGUI(Graphic User Interface)による複数のアイコン12Aが表示され、利用者がパネル12のいずれかのアイコン12Aに手を翳すことによって入力が受け付けられる。手を翳すとは、パネル12に接触せずにある程度手を近づけることをいう。
【0012】
パネル12には様々な機器の操作部を表示でき、
図2では一例としてエアコンディショナの操作部に8つのアイコン12A(左上から右下にかけて、MODE、温度UP、風量UP、Timer、エアコン電源ON/OFF、温度DOWN、風量DOWN、ECO(省電力モード))を示す。例えば、エアコン電源ON/OFFのアイコン12Aの上に手を翳すと、エアコン電源のON/OFFを切り替えることができる。このような操作の受付は、電子機器10に含まれる静電入力装置100によって行われる。なお、ここでは手を翳すことによって操作を行う形態について説明するが、手でパネル12に触れることによって操作を行うこともできる。
【0013】
図3は、
図1のA-A矢視断面を示す図である。
図3には、筐体11に加えて、電子機器10に含まれる基板13及びLCD(Liquid Crystal Display)14を示す。
図4は、
図3における破線の楕円で囲む部分を拡大して示す図である。
図3及び
図4に示すように、パネル12の裏側には、透明アクリル板で構成される基板13とLCD14が配置される。基板13の上面には導電レイヤ13Lが設けられており、基板13の下面にはアクティブシールド電極70が設けられている。
【0014】
図5は、静電入力装置100の入力部100Aを示す図である。
図6は、
図5の一部分を拡大して示す図である。静電入力装置100は、自己容量式で静電容量を検出する入力装置である。入力部100Aは、基板13と、8つの第1検出電極111~118と、8つの第1接続電極121~128と、8本の第1配線131~138と、8本の第1ノイズ相殺配線141~148と、8つの第1拡幅部141A~148Aと、5つの第2検出電極151~155と、5つの第2接続電極161~165と、5本の第2配線171~175と、5本の第2ノイズ相殺配線181~185と、5つの第2拡幅部181A~185Aとを含む。また、入力部100Aは、
図4に示すアクティブシールド電極70も含むが、
図5では省略する。
【0015】
第1検出電極111~118、第1接続電極121~128、第1配線131~138、第1ノイズ相殺配線141~148、第1拡幅部141A~148A、第2検出電極151~155、第2接続電極161~165、第2配線171~175、第2ノイズ相殺配線181~185、及び第2拡幅部181A~185Aは、基板13の上面の導電レイヤ13Lによって実現される。
【0016】
第1検出電極111~118、第1接続電極121~128、第1拡幅部141A~148A、第2検出電極151~155、第2接続電極161~165、及び第2拡幅部181A~185Aは、平面視でLCD14と重なる領域に設けられ、例えばITO(Indium Tin Oxide)のような透明電極によって実現される。平面視でLCDと重なる範囲の一部分の領域13Aに、第1検出電極111~118、及び第2検出電極151~155が設けられる。また、第1接続電極121~128、第1配線131~138、第1ノイズ相殺配線141~148、第1拡幅部141A~148A、第2接続電極161~165、第2配線171~175、第2ノイズ相殺配線181~185、及び第2拡幅部181A~185Aは、領域13Aの外側に配設される。第1接続電極121~128、第1配線131~138、第1ノイズ相殺配線141~148、第1拡幅部141A~148A、第2接続電極161~165、第2配線171~175、第2ノイズ相殺配線181~185、及び第2拡幅部181A~185Aは、領域13Aの外側に配設されてLCD14とは重ならないため、例えば、銀インクのように非透明な導体で作製されていてもよい。なお、第1接続電極121~128、第1配線131~138、第1ノイズ相殺配線141~148、第1拡幅部141A~148A、第2接続電極161~165、第2配線171~175、第2ノイズ相殺配線181~185、及び第2拡幅部181A~185Aは、ITOで作製されてもよい。
【0017】
静電入力装置100は、第2検出電極151~155で利用者の手のパネル12への接近を検出し、第1検出電極111~118でアイコン12Aへの操作を検出する入力装置である。第1検出電極111~118で検出可能な範囲は、パネル12(
図1乃至
図3参照)の表面から一例として約3cm~約5cm以内である。また、第2検出電極151~155で検出可能な範囲は、パネル12の表面から一例として約10cm以内である。パネル12の表面は検出面の一例である。第1検出電極111~118で検出可能な範囲を表すパネル12の表面からの距離は第1距離の一例であり、第2検出電極151~155で検出可能な範囲を表すパネル12の表面からの距離は第2距離の一例である。第2距離は第1距離よりも長い。
【0018】
静電入力装置100は、第2検出電極151~155で利用者の手のパネル12の表面から約10cm以内の接近を検出し、第1検出電極111~118でパネル12の表面から約3cm~約5cm以内への接近を検出する。例えば、静電入力装置100を含む電子機器10がLCD14の表示をオフにしている状態で、第2検出電極151~155で利用者の手のパネル12への接近が検出されるとLCD14をオンにして
図2に示すような画像を表示し、第1検出電極111~118のいずれかへの接近が検出されると、接近を検出した第1検出電極(111~118のいずれか1つ)に対応するアイコン12Aの操作が受け付けられ、電子機器10は操作が行われたアイコン12Aに対応する機能(例えばエアコンディショナの風量調節や温度調節等)を実行する。また、第2検出電極151~155で利用者の手のパネル12への接近が検出されなくなると、LCD14に時刻を表示してもよい。パネル12に手が接近したときにのみアイコン12Aを表示することによって、一つの画面に複数の機能を持たせることができる。または、第2検出電極151~155で利用者の手のパネル12への接近が検出されなくなると、LCD14がオフにしてもよい。パネル12に手が接近したときにのみLCD14をオンにすることによって、消費電力を低減するためである。
【0019】
第1検出電極111~118は、領域13A内において、X方向に4列、Y方向に2行に配列され、X方向及びY方向に等間隔で配置されている。より具体的には、+Y方向側の行には-X方向から+X方向にかけて第1検出電極111~114が配列され、-Y方向側の行には-X方向から+X方向にかけて第1検出電極115~118が配列されている。第1検出電極111~118の位置は、
図2に示す8つのアイコン12Aの位置に対応している。第1検出電極111~118の間には、第2検出電極151~155が設けられている。第1検出電極111~118は、一例としてY方向に長手方向を有する長方形状の電極であり、第1接続電極121~128がそれぞれ接続されている。
【0020】
第1接続電極121~128は、第1検出電極111~118と、第1配線131~138とをそれぞれ接続している。第1接続電極121~128は、基板13の上面において領域13Aの外側に設けられている。
【0021】
第1接続電極121は、第1検出電極111と接続され、-X方向に延在している。第1接続電極121は、第1検出電極111の-X方向側の辺の-Y方向の端に接続される。第1接続電極122は、第1検出電極112と接続され、+Y方向に延在している。第1接続電極122は、第1検出電極112の+Y方向側の辺の-X方向の端に接続される。第1接続電極123は、第1検出電極113と接続され、+Y方向に延在している。第1接続電極123は、第1検出電極113の+Y方向側の辺の+X方向の端に接続される。第1接続電極124は、第1検出電極114と接続され、+X方向に延在している。第1接続電極124は、第1検出電極114の+X方向側の辺の-Y方向の端に接続される。
【0022】
第1接続電極125は、第1検出電極115と接続され、-Y方向に延在している。第1接続電極125は、第1検出電極115の-Y方向側の辺の+X方向の端に接続される。第1接続電極126は、第1検出電極116と接続され、-Y方向に延在している。第1接続電極126は、第1検出電極116の-Y方向側の辺の+X方向の端に接続される。第1接続電極127は、第1検出電極117と接続され、-Y方向に延在している。第1接続電極127は、第1検出電極117の-Y方向側の辺の-X方向の端に接続される。第1接続電極128は、第1検出電極118と接続され、-Y方向に延在している。第1接続電極128は、第1検出電極118の-Y方向側の辺の-X方向の端に接続される。
【0023】
第1接続電極121~128の平面視でのサイズは、基板13の端子用の凸部13Bに近い第1接続電極125~128が最も小さく、凸部13Bから最も遠い第1接続電極122及び123が最も大きく、凸部13Bからの距離が第1接続電極122及び123と、第1接続電極125~128との間にある第1接続電極121及び124のサイズが中間的なサイズになっている。この理由については後述する。
【0024】
第1配線131~138は、第1接続電極121~128にそれぞれ接続され、基板13の上面の領域13Aの外側において、基板13の縁に沿って延在している。第1配線131~138は、それぞれ、第1ノイズ相殺配線141~148と8つの組をなしている。より具体的には、第1配線131と第1ノイズ相殺配線141は1つ目の組をなしており、これは第1配線132~138と第1ノイズ相殺配線142~148についても同様に2つ目から8つ目の組をなしている。8つ目の組は、第1配線138と第1ノイズ相殺配線148を含む。
【0025】
第1配線131~138と第1ノイズ相殺配線141~148は、基板13の上面の導電レイヤ13Lに含まれるため同一面上に位置しており、各組の第1配線(131~138のうちの1つ)と第1ノイズ相殺配線(141~148のうちの1つ)とは隣り合って配線されている。例えば、
図6に示すように、第1配線138は、第1ノイズ相殺配線148の隣で第1ノイズ相殺配線148に沿って延在している。
【0026】
第1配線131~138は、第1接続電極121~128を介して第1検出電極111~118にそれぞれ接続されている。第1検出電極111~118、第1接続電極121~128、及び第1配線131~138は、第1ノイズ相殺配線141~148とは絶縁されているとともに、第2検出電極151~155、第2接続電極161~165、第2配線171~175、及び第2ノイズ相殺配線181~185とも絶縁されている。
【0027】
第1ノイズ相殺配線141~148は、基板13の上面の領域13Aの外側において、第1配線131~138に沿ってそれぞれ延在している。第1ノイズ相殺配線141~148は、後述する制御部が、第1配線131~138に生じるノイズをキャンセルする際に利用するノイズを取得するために設けられている。
【0028】
第1ノイズ相殺配線141~148の第1検出電極111~118側の端部には第1拡幅部141A~148Aがそれぞれ接続されている。第1ノイズ相殺配線141~148は、それぞれ、第1拡幅部141A~148Aから第1配線131~138に沿って基板13の凸部13Bに向かって延在している。第1ノイズ相殺配線141~148と第1配線131~138は、線幅及び厚さが等しく、第1ノイズ相殺配線141~148の長さは、第1配線131~138の長さと揃えられている。第1ノイズ相殺配線141~148と第1配線131~138とが受けるノイズを揃えるためである。長さが揃えられているとは、長さが同一であるか、又は、構造上の制約等によって厳密には同一ではなくてもノイズのキャンセルに影響が生じない程度の長さの差であることをいう。また、パネル周囲に手などがあると、配線131~138部分で静電容量が変化するが、第1ノイズ相殺配線141~148も同程度に静電容量が変化するので、相殺できる。
【0029】
第1拡幅部141A~148Aは、それぞれ、第1接続電極121~128の隣に配置されている。第1拡幅部141A~148Aは、後述する制御部が、第1接続電極121~128に生じるノイズをそれぞれキャンセルする際に利用するノイズを取得するために設けられている。第1拡幅部141A~148Aは、それぞれ第1ノイズ相殺配線141~148よりも広い線幅を有する。線幅とは、平面視で第1ノイズ相殺配線141~148が延在する方向に対する幅である。第1拡幅部141A~148Aの線幅は、一例として第1接続電極121~128の線幅とそれぞれ等しい。このような第1拡幅部141A~148Aは、それぞれ、第1接続電極121~128が取得するノイズと同レベルのノイズを取得する。
【0030】
なお、ここでは、第1配線131~138に生じるノイズをそれぞれキャンセルするために第1ノイズ相殺配線141~148を設けるとともに、第1接続電極121~128に生じるノイズをそれぞれキャンセルするために第1拡幅部141A~148Aを設ける形態について説明するが、互いに接続される第1配線131~138及び第1接続電極121~128のそれぞれのノイズを、互いに接続される第1ノイズ相殺配線141~148及び第1拡幅部141A~148Aでそれぞれキャンセルする構成であってもよい。
【0031】
第2検出電極151~155は、領域13A内において8つの第1検出電極111~118同士の間に設けられている。静電入力装置100の小形化を図るためである。第2検出電極151は、第1検出電極111の+X方向側でY方向に延在する端辺と、-Y方向側でX方向に延在する端辺と、第1検出電極112及び115との間でL字型に延在している。第2検出電極152は、第1検出電極116の-X方向側でY方向に延在する端辺と、+Y方向側でX方向に延在する端辺と、第1検出電極112及び115との間でL字型に延在している。第2検出電極153は、第1検出電極112、113、116、117の間で十字型に延在している。第2検出電極154は、第1検出電極117の+X方向側でY方向に延在する端辺と、+Y方向側でX方向に延在する端辺と、第1検出電極113及び118との間でL字型に延在している。第2検出電極155は、第1検出電極114の-X方向側でY方向に延在する端辺と、-Y方向側でX方向に延在する端辺と、第1検出電極113及び118との間でL字型に延在している。第2検出電極151~155には、第2接続電極161~165がそれぞれ接続される。
【0032】
第2接続電極161~165は、第2検出電極151~155と、第2配線171~175とをそれぞれ接続している。第2接続電極161~165は、基板13の上面において領域13Aの外側に設けられている。
【0033】
第2接続電極161は、第2検出電極151の領域13Aに接している部分のうち、領域13Aの外を通って最も凸部13Bに近い位置に接続されている。このため、第2接続電極161が第2検出電極151に接続される位置は、第1検出電極115の-X方向側でY方向に延在する端辺の+Y方向側の端部の隣である。第2接続電極161には第2配線171が接続される。
【0034】
第2接続電極162は、第2検出電極152の領域13Aに接している部分のうち、領域13Aの外を通って最も凸部13Bに近い位置に接続されている。このため、第2接続電極162が第2検出電極152に接続される位置は、第1検出電極116の-Y方向側でX方向に延在する端辺の-X方向側の端部の隣である。第2接続電極162には第2配線172が接続される。
【0035】
第2接続電極163は、第2検出電極153の領域13Aに接している部分のうち、領域13Aの外を通って最も凸部13Bに近い位置に接続されている。このため、第2接続電極163が第2検出電極152に接続される位置は、平面視で十字型の第2接続電極163の-Y方向側の端部のX方向における線幅の中央部である。第2接続電極163には第2配線173が接続される。
【0036】
第2接続電極164は、第2検出電極154の領域13Aに接している部分のうち、領域13Aの外を通って最も凸部13Bに近い位置に接続されている。このため、第2接続電極164が第2検出電極154に接続される位置は、第1検出電極117の-Y方向側でX方向に延在する端辺の-X方向側の端部の隣である。第2接続電極164には第2配線174が接続される。
【0037】
第2接続電極165は、第2検出電極155の領域13Aに接している部分のうち、領域13Aの外を通って最も凸部13Bに近い位置に接続されている。このため、第2接続電極165が第2検出電極155に接続される位置は、第1検出電極118の+X方向側でY方向に延在する端辺の+Y方向側の端部の隣である。第2接続電極165には第2配線175が接続される。
【0038】
第2配線171~175は、第2接続電極161~165にそれぞれ接続され、基板13の上面の領域13Aの外側において、基板13の縁に沿って延在している。第2配線171~175は、それぞれ、第2ノイズ相殺配線181~185と5つの組をなしている。具体的には、第2配線171と第2ノイズ相殺配線181とは1つ目の組をなしており、第2配線172~175と第2ノイズ相殺配線182~185とはそれぞれ2つ目の組から5つ目の組をなしている。5つ目の組には第2配線175と第2ノイズ相殺配線185とが含まれる。
【0039】
第2配線171~175と第2ノイズ相殺配線181~185は、基板13の上面の導電レイヤ13Lに含まれるため同一面上に位置しており、各組の第2配線(171~175のうちの1つ)と第2ノイズ相殺配線(181~185のうちの1つ)とは隣り合って配線されている。例えば、
図6に示すように、第2配線174は、第2ノイズ相殺配線184の隣で第2ノイズ相殺配線184に沿って延在しており、第2配線175は、第2ノイズ相殺配線185の隣で第2ノイズ相殺配線185に沿って延在している。
【0040】
第2配線171~175は、第2接続電極161~165を介して第2検出電極151~155にそれぞれ接続されている。第2検出電極151~155、第2接続電極161~165、及び第2配線171~175は、第2ノイズ相殺配線181~185とは絶縁されているとともに、第1検出電極111~118、第1接続電極121~128、第1配線131~138、及び第1ノイズ相殺配線141~148とも絶縁されている。
【0041】
第2ノイズ相殺配線181~185は、基板13の上面の領域13Aの外側において、第2配線171~175に沿ってそれぞれ延在している。第2ノイズ相殺配線181~185は、後述する制御部が、第2配線171~175に生じるノイズをキャンセルする際に利用するノイズを取得するために設けられている。
【0042】
第2ノイズ相殺配線181~185の第2検出電極151~155側の端部には第2拡幅部181A~185Aがそれぞれ接続されている。第2ノイズ相殺配線181~185は、それぞれ、第2拡幅部181A~185Aから第2配線171~175に沿って基板13の凸部13Bに向かって延在している。第2ノイズ相殺配線181~185と第2配線171~175は、線幅及び厚さが等しく、第2ノイズ相殺配線181~185の長さは、第2配線171~175の長さと揃えられている。第2ノイズ相殺配線181~185と第2配線171~175の受けるノイズを揃えるためである。長さが揃えられているとは、長さが同一であるか、又は、構造上の制約等によって厳密には同一ではなくてもノイズのキャンセルに影響が生じない程度の長さの差であることをいう。
【0043】
第2拡幅部181A~185Aは、それぞれ、第2接続電極161~165の隣に配置されている。第2拡幅部181A~185Aは、後述する制御部が、第2接続電極161~165に生じるノイズをそれぞれキャンセルする際に利用するノイズを取得するために設けられている。第2拡幅部181A~185Aは、それぞれ第2ノイズ相殺配線181~185よりも広い線幅を有する。線幅とは、平面視で第2ノイズ相殺配線181~185が延在する方向に対する幅である。第2拡幅部181A~185Aの線幅は、一例として第2接続電極161~165の線幅とそれぞれ等しい。このような第2拡幅部181A~185Aは、それぞれ、第2接続電極161~165が取得するノイズと同レベルのノイズを取得する。
【0044】
なお、ここでは、第2配線171~175に生じるノイズをそれぞれキャンセルするために第2ノイズ相殺配線181~185を設けるとともに、第2接続電極161~165に生じるノイズをそれぞれキャンセルするために第2拡幅部181A~185Aを設ける形態について説明するが、互いに接続される第2配線171~175及び第2接続電極161~165のそれぞれのノイズを、互いに接続される第2ノイズ相殺配線181~185及び第2拡幅部181A~185Aでそれぞれキャンセルする構成であってもよい。
【0045】
図7は、静電入力装置100の構成を示す図である。静電入力装置100は、入力部100Aと検出回路100Bとを含む。入力部100Aは、
図5に示す構成を有するが、
図7では簡略化して示す。
図7には、入力部100Aの構成要素のうち、第1検出電極111~118、第1配線131~138、第1ノイズ相殺配線141~148、第1拡幅部141A~148A、第2検出電極151~155、第2配線171、175、第2ノイズ相殺配線181、185、及び第2拡幅部181A~185Aを示す。なお、
図7では、第1接続電極121~128及び第2接続電極161~165を省略する。また、第2配線172~174については図示を省略するが、第2配線171及び175の間に同様に存在するものとして説明を行う。また、第2ノイズ相殺配線182~184については図示を省略するが、第2ノイズ相殺配線181及び185の間に同様に存在するものとして説明を行う。
図7では、入力部100Aに含まれる各配線を模式的に示す。
【0046】
第1検出電極111~118、第1配線131~138、第1ノイズ相殺配線141~148、第1拡幅部141A~148A、第2検出電極151~155、第2配線171~175、第2ノイズ相殺配線181~185、及び第2拡幅部181A~185Aは、アクティブシールド電極70の上側に配置される。
図7では省略する第1接続電極121~128及び第2接続電極161~165もアクティブシールド電極70の上側に配置される。
【0047】
第2配線171~175は、検出回路100Bで接続され、1本の配線191がMUX20に接続される。第2ノイズ相殺配線181~185は、検出回路100Bで接続され、1本の配線192がMUXに接続される。
【0048】
検出回路100Bは、MUX(マルチプレクサ)20、測定ブロック30、及び制御部50を含む。MUX20の入力側は、第1配線131~138を介して第1検出電極111~118に接続されるとともに、第1ノイズ相殺配線141~148に接続されている。また、第2検出電極151~155は、第2配線171~175、配線191を介してMUX20に接続される。第2ノイズ相殺配線181~185は、配線192を介してMUX20に接続される。また、MUX20の出力側は、測定ブロック30に接続されている。MUX20は、測定ブロック30が第1検出電極111~118の各静電容量、第1ノイズ相殺配線141~148を合わせた静電容量、第2検出電極151~155の静電容量、第2ノイズ相殺配線181~185を合わせた静電容量を測定する際に、入力側と出力側の接続を時系列的に切り替える。
【0049】
測定ブロック30は、16個の測定部31と1つの波形発生器32とを有する。各測定部31は、AFE回路及びADC(Analog to Digital Converter)を含む。16個の測定部は、第1シーケンスで、第1検出電極111~118の静電容量、第1ノイズ相殺配線141~148の静電容量にそれぞれ信号調整及びAD変換を行って制御部50に出力する。また、第2シーケンスで、第2検出電極151~155を合わせた静電容量と、第2ノイズ相殺配線181~185を合わせた静電容量にそれぞれ信号調整及びAD変換を行って制御部50に出力する。ここで、第1検出電極111~118の静電容量は、それぞれ、第1接続電極121~128及び第1配線131~138を介して測定される静電容量であり、第1接続電極121~128及び第1配線131~138における静電容量を含む。また、第2検出電極151~155を合わせた静電容量は、それぞれ、第2接続電極161~165及び第2配線171~175を介して測定される静電容量であり、第2接続電極161~165及び第2配線171~175における静電容量を含む。
【0050】
波形発生器32は、配線71を介してアクティブシールド電極70に接続されており、アクティブシールド信号としての交流信号をアクティブシールド電極70に印加する。アクティブシールド電極70は、第1検出電極111~118、第1接続電極121~128、第1配線131~138、第1ノイズ相殺配線141~148、第2検出電極151~155、第2接続電極161~165、第2配線171~175、第2ノイズ相殺配線181~185をLCD14のノイズ等から遮蔽するために設けられている。
【0051】
制御部50は、第1検出電極111~118の各静電容量と、所定の基準値との差分値を算出して出力する。制御部50は、測定ブロック30から入力される第1検出電極111~118についての静電容量の測定値について次のような処理を行う。制御部50は、第1検出電極111~118についての静電容量の測定値が閾値未満のときに、時系列的に複数回測定して得る静電容量の測定値の平均値を求める。そして、制御部50は、求めた平均値を第1検出電極111~118が静電容量を測定する際の基準値として取得する。制御部50は、第1検出電極111~118についての静電容量の測定値から基準値を減算して第1検出電極111~118と手との間の距離に応じた静電容量の差分値を求める。
【0052】
制御部50は、第1ノイズ相殺配線141~148の各静電容量、第2検出電極151~155を合わせた静電容量、及び第2ノイズ相殺配線181~185を合わせた静電容量についても第1検出電極111~118の静電容量と同様の処理を行い、第1ノイズ相殺配線141~148の静電容量、第2検出電極151~155を合わせた静電容量、及び第2ノイズ相殺配線181~185を合わせた静電容量の差分値(以下、差分値と称す)を求める。各差分値は、手とパネル12の距離に応じた値になる。
【0053】
また、制御部50は、第1検出電極111~118について算出した差分値から、第1ノイズ相殺配線141~148について算出した差分値をそれぞれ減じることによって、第1接続電極121~128及び第1配線131~138について算出した差分値に含まれるノイズの成分をキャンセルする。また、制御部50は、第2検出電極151~155を合わせた静電容量について算出した差分値から、第2ノイズ相殺配線181~185を合わせた静電容量について算出した差分値をそれぞれ減じることによって、第2接続電極161~165及び第2配線171~175を合わせた静電容量について算出した差分値に含まれるノイズの成分をキャンセルする。
【0054】
図8は、第2検出電極151におけるノイズのキャンセルを説明する図である。
図8には、第2検出電極151、第2接続電極161、及び第2配線171に相当する抵抗器R1と、アクティブシールド電極70に相当する抵抗器R2と、LCD14と、第2ノイズ相殺配線181及び第2拡幅部181Aに相当する抵抗器Rsとを示す。第2検出電極151、第2接続電極161、及び第2配線171に相当する抵抗器R1と、アクティブシールド電極70に相当する抵抗器R2との間の容量をコンデンサCrs1で示す。コンデンサCrs1は、主に第2検出電極151とアクティブシールド電極70との間の容量である。また、アクティブシールド電極70に相当する抵抗器R2とLCD14との間の容量をコンデンサCsgで示す。また、第2ノイズ相殺配線181及び第2拡幅部181Aと、アクティブシールド電極70との間の容量をコンデンサCrs2で示す。第2検出電極151、第2接続電極161、及び第2配線171を合わせた面積は、第2ノイズ相殺配線181及び第2拡幅部181Aを合わせた面積とは異なる。この為、キャパシタを加えて、コンデンサCrs1とコンデンサCrs2の静電容量を等しくする。
【0055】
図8において、LCD14で発生したノイズ等、広い範囲に加わるノイズは、破線の矢印で示すように、コンデンサCsgを通じてアクティブシールド電極70に伝搬し、さらにコンデンサCrs1を通じて第2検出電極151、第2接続電極161、及び第2配線171に伝搬する。同様に、LCD14で発生したノイズは、コンデンサCgsを通じてアクティブシールド電極70に伝搬し、さらにコンデンサCrs2を通じて第2ノイズ相殺配線181及び第2拡幅部181Aにも伝搬する。このため、第2配線171と第2ノイズ相殺配線181の長さを揃えて時定数を揃えておくとともに、第2接続電極161と第2拡幅部181Aとが同レベルのノイズを取得可能にすれば、制御部50は、第2検出電極151、第2接続電極161、及び第2配線171について算出する差分値から、第2ノイズ相殺配線181及び第2拡幅部181Aについて算出する差分値を減じることによって、第2検出電極151、第2接続電極161、及び第2配線171について算出する差分値から第2接続電極161及び第2配線171が受けるノイズの影響をキャンセルすることができる。なお、
図8に示すような等価回路は、第2検出電極152~155についても同様に存在するため、制御部50は、第2検出電極152~155、第2接続電極162~165、及び第2配線172~175についてそれぞれ算出する差分値から第2接続電極162~165及び第2配線172~175が受けるノイズの影響をキャンセルすることができる。
【0056】
第2検出電極151~155が存在する領域は比較的広いので、1つの検出電極で構成すると、抵抗及び容量の分布が広がり第2検出電極151~155と第2ノイズ相殺配線181~185との位相差を合わせにくくなる。第2検出電極151~155を分割することで、第2検出電極151~155と、第2ノイズ相殺配線181~185との位相差を合わせやすくなり、ノイズのキャンセルしやすい構成になる。
【0057】
図9は、第1検出電極111について算出されるノイズがキャンセルされた差分値を説明する図である。
図9(A)には制御部50が第1検出電極111について算出する差分値を示し、
図9(B)には制御部50が第1ノイズ相殺配線141及び第1拡幅部141Aについて算出する差分値を示し、
図9(C)には
図9(A)の差分値から
図9(B)の差分値を減じた結果を示す。
【0058】
図9(A)に示す差分値は、第1検出電極111の静電容量と、第1接続電極121及び第1配線131の静電容量との合計の静電容量から基準値を減じて得られる値であり、第1検出電極111、第1接続電極121及び第1配線131が取得するノイズ成分を含む。
図9(B)に示す差分値は、第1ノイズ相殺配線141及び第1拡幅部141Aの静電容量から基準値を減じて得られる値である。コンデンサCrswと抵抗器Rsを、コンデンサCrs1と抵抗器R2に合わせることで、第1検出電極111、第1接続電極121及び第1配線131が取得するノイズ成分と第1ノイズ相殺配線141及び第1拡幅部141Aが取得するノイズ成分とを合わせることができる。このため、
図9(A)の差分値から
図9(B)の差分値を減じて得られる
図9(C)に示す差分値は、第1検出電極111のみによって得られる静電容量から基準値を減じた差分値を表す。このように、第1ノイズ相殺配線141及び第1拡幅部141Aを用いることにより、第1検出電極111のみによって得られる差分値を高精度に求めることができる。なお、このような高精度な差分値は、第1検出電極112~118についても同様に求めることができる。
【0059】
図10は、第2検出電極151~155について算出されるノイズがキャンセルされた差分値を説明する図である。
図10(A)には制御部50が第2検出電極151~155を合わせた差分値を示し、
図10(B)には制御部50が第2ノイズ相殺配線181~185及び第2拡幅部181A~185Aを合わせた差分値を示し、
図10(C)には
図10(A)の差分値から
図10(B)の差分値を減じた結果を示す。
【0060】
図10(A)に示す差分値は、第2検出電極151~155の静電容量と、第2接続電極161~165及び第2配線171~175の静電容量との合計の静電容量から基準値を減じて得られる値であり、第2検出電極151~155、第2接続電極161~165及び第2配線171~175が取得するノイズ成分を含む。
図10(B)に示す差分値は、第2ノイズ相殺配線181~185及び第2拡幅部181A~185Aの静電容量から基準値を減じて得られる値である。第1検出電極111、第1接続電極121及び第1配線131が取得するノイズ成分と第1ノイズ相殺配線141及び第1拡幅部141Aが取得するノイズ成分とが同じ大きさになるように電気回路の回路定数を調整している。このため、
図10(A)の差分値から
図10(B)の差分値を減じて得られる
図10(C)に示す差分値は、第2検出電極151~155のみによって得られる静電容量から基準値を減じた差分値を表す。このように、第2ノイズ相殺配線181~185及び第2拡幅部181A~185Aを用いることにより、第2検出電極151~155によって得られる差分値を高精度に求めることができる。
【0061】
第2検出電極151~155を分割しない場合には、第2検出電極151~155を合わせた1つの大きな検出電極を用いることになる。検出電極が大きいと、検出電極の任意の点から接続電極までの経路の長さのばらつきが大きくなる。特に検出電極は透明電極を用いる為、抵抗値が高く、経路の長さの影響が大きい。
【0062】
しかしながら、5つの第2検出電極151~155に分割することにより、第2検出電極151~155の任意の点から、第2接続電極161~165までの経路の長さの差が小さくなる。かつ、ノイズをキャンセルするための第2ノイズ相殺配線181~185及び第2拡幅部181A~185Aを設けているので、ノイズをキャンセルできる。
【0063】
以上のように、領域13A内において8つの第1の検出電極111~118同士の間に第2検出電極151~155を設けた。このため、静電入力装置100の小形化を図ることができる。
【0064】
したがって、小形化が可能な静電入力装置100を提供することができる。また、手の近接を検出するための検出電極として5つに分割した第2検出電極151~155を含むとともに、ノイズをキャンセルするために第2ノイズ相殺配線181~185及び第2拡幅部181A~185Aを設けた。第2ノイズ相殺配線181~185の長さは第2配線171~175の長さにそれぞれ揃えてあり、第2ノイズ相殺配線181~185の時定数を第2配線171~175の時定数に揃えたため、第2ノイズ相殺配線181~185が取得するノイズの位相と、第2配線171~175が取得するノイズの位相とを揃えることができる。このため、第2ノイズ相殺配線181~185が取得するノイズと、第2配線171~175が取得するノイズとを相殺可能である。また、第2拡幅部181A~185Aは、第2接続電極161~165が取得するノイズと同レベルのノイズを取得可能であるため、第2接続電極161~165が取得するノイズと、第2拡幅部181A~185Aが取得するノイズとを相殺可能である。このため、第2検出電極151~155の各々のみによって得られる差分値を高精度に求めることができ、手の近接を高精度に検出することができる。また、5つに分割した第2検出電極151~155は、分布定数が比較的小さく、ノイズの影響を受けにくいため、第1検出電極111~118について求めた差分値の位相に対する第2検出電極151~155について求めた差分値の位相の遅れを最小限にすることができる。
【0065】
また、第2配線171~175に手が近づくと、第2配線171~175と手との間に静電容量が形成され、第2配線171~175を介して得られる差分値が変化するが、第2配線171~175の隣にそれぞれ第2ノイズ相殺配線181~185を配置したため、第2配線171~175に手が近づいた際の差分値の変化分を第2ノイズ相殺配線181~185を介して得られる差分値で相殺できる。このため、第2検出電極151~155への手の接近を高精度に検出することができる。
【0066】
また、操作を検出するための第1検出電極111~118についても、ノイズをキャンセルするために第1ノイズ相殺配線141~148及び第1拡幅部141A~148Aを設けた。第1ノイズ相殺配線141~148の長さは、第1配線131~138の長さに揃えられており、第1ノイズ相殺配線141~148の時定数は、第1配線131~138の時定数に揃えられているため、第1ノイズ相殺配線141~148が取得するノイズの位相と、第1配線131~138が取得するノイズの位相とを揃えることができる。このため、第1配線131~138が取得するノイズを第1ノイズ相殺配線141~148が取得するノイズでそれぞれ相殺可能である。また、第1拡幅部141A~148Aは、第1接続電極121~128が取得するノイズと同レベルのノイズを取得可能である。これにより、第1拡幅部141A~148Aが取得するノイズと、第1接続電極121~128が取得するノイズとを相殺可能である。このため、第1検出電極111~118の各々のみによって得られる差分値を高精度に求めることができる。この結果、いずれのアイコン12Aが非接触で操作されたかを高精度に判定することができる。
【0067】
また、第1配線131~138に手が近づくと、第1配線131~138と手との間に静電容量が形成され、第1配線131~138を介して得られる差分値が変化するが、第1配線131~138の隣にそれぞれ第1ノイズ相殺配線141~148を配置したため、第1配線131~138に手が近づいた際の差分値の変化分を第1ノイズ相殺配線141~148を介して得られる差分値で相殺できる。このため、第1検出電極111~118への手の接近を高精度に検出することができる。
【0068】
また、静電入力装置100は、LCD14と導電レイヤ13Lとの間にアクティブシールド電極70を含むので、LCD14が発生するノイズが導電レイヤ13Lの第1検出電極111~118、第1接続電極121~128、第1配線131~138、第1ノイズ相殺配線141~148、第1拡幅部141A~148A、第2検出電極151~155、第2接続電極161~165、第2配線171~175、第2ノイズ相殺配線181~185、及び第2拡幅部181A~185Aに影響することを抑制することができる。
【0069】
なお、以上では、静電入力装置100がアクティブシールド電極70を含む形態について説明したが、静電入力装置100は、アクティブシールド電極70を含まない構成であってもよい。
【0070】
また、以上では、静電入力装置100が自己容量式である形態について説明したが、静電入力装置100は、相互容量式であってもよい。
【0071】
また、以上では、静電入力装置100が手の近接を検出するための検出電極として5つに分割した第2検出電極151~155を含む形態について説明したが、第2検出電極151~155の代わりに、第2検出電極151~155を1つにまとめた1つの検出電極を含む構成であってもよい。特に、位相の遅れが問題にならない大きさの場合には、このような構成であってもよい。
【0072】
図11は、実施形態の第1変形例の静電入力装置の入力部100AM1を示す図である。入力部100AM1は、
図5に示す入力部100Aの第2検出電極151~155の代わりに非分割の第2検出電極150を含み、第2接続電極161~165及び第2配線171~175の代わりに、2つの第2接続電極161M1及び162M1と、2本の第2配線171M1及び172M1とを含む。また、入力部100AM1は、
図5に示す第2ノイズ相殺配線181~185及び第2拡幅部181A~185Aの代わりに第2ノイズ相殺配線181M1及び182M1と第2拡幅部181AM1及び182AM1を含む。
【0073】
したがって、小形化が可能な静電入力装置(静電入力装置100の入力部100A(
図5参照)の代わりに
図11に示す入力部100AM1を含む静電入力装置)を提供することができる。
【0074】
図12は、実施形態の第2変形例の静電入力装置の入力部100AM2を示す図である。入力部100AM2は、
図5に示す入力部100Aの第2検出電極151~155の代わりに3分割の第2検出電極151M2~153M2を含み、第2接続電極161~165及び第2配線171~175の代わりに、3つの第2接続電極161M2~163M2と、3本の第2配線171M2~173M2とを含む。また、入力部100AM2は、
図5に示す第2ノイズ相殺配線181~185及び第2拡幅部181A~185Aの代わりに3本の第2ノイズ相殺配線181M2~183M2と第2拡幅部181AM2~183AM2を含む。
【0075】
第2検出電極151M2は、
図5に示す第2検出電極151及び152を合わせた構成であり、第2検出電極152M2は、
図5に示す第2検出電極153と同一であり、第2検出電極153M2は、
図5に示す第2検出電極154及び155を合わせた構成である。また、第2接続電極161M2は
図5に示す第2接続電極162に相当し、第2接続電極162M2は
図5に示す第2接続電極163に相当し、第2接続電極163M2は
図5に示す第2接続電極164に相当する。
【0076】
第2配線171M2は
図5に示す第2配線172に相当し、第2配線172M2は
図5に示す第2配線173に相当し、第2配線173M2は
図5に示す第2配線174に相当する。第2ノイズ相殺配線181M2は
図5に示す第2ノイズ相殺配線182に相当し、第2ノイズ相殺配線182M2は
図5に示す第2ノイズ相殺配線183に相当し、第2ノイズ相殺配線183M2は
図5に示す第2ノイズ相殺配線184に相当する。第2拡幅部181AM2は
図5に示す第2拡幅部182Aに相当し、第2拡幅部182AM2は
図5に示す第2拡幅部183Aに相当し、第2拡幅部183AM2は
図5に示す第2拡幅部184Aに相当する。
【0077】
したがって、小形化が可能な静電入力装置(静電入力装置100の入力部100A(
図5参照)の代わりに
図12に示す入力部100AM2を含む静電入力装置)を提供することができる。
【0078】
更に、第1ノイズ相殺配線141~148と、第2ノイズ相殺配線181~185、181M1、182M1、181M2~183M2とを設けることで、ノイズを除去し、検出精度を向上できる。
【0079】
以上、本発明の例示的な実施形態の静電入力装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0080】
なお、本国際出願は、2020年10月2日に出願した日本国特許出願2020-167755に基づく優先権を主張するものであり、その全内容は本国際出願にここでの参照により援用されるものとする。
【符号の説明】
【0081】
10 電子機器
12 パネル
13 基板
14 LCD
70 アクティブシールド電極
100 静電入力装置
100A、100AM1、100AM2 入力部
111~118 第1検出電極
121~128 第1接続電極
131~138 第1配線
141~148 第1ノイズ相殺配線
141A~148A 第1拡幅部
151~155、150、151M2~153M2 第2検出電極
161~165、161M1、162M1、161M2~163M2 第2接続電極
171~175、171M1、172M1、171M2~173M2 第2配線
181~185、181M1、182M1、181M2~183M2 第2ノイズ相殺配線
181A~185A、181AM1、182AM1、181AM2~183AM2 第2拡幅部
100B 検出回路