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特許7489484独立したディスプレイを備えた時計ディスプレイ機構
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】独立したディスプレイを備えた時計ディスプレイ機構
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/00 20060101AFI20240516BHJP
   G04B 19/02 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
G04B19/00 Z
G04B19/02 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022558493
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 EP2021058651
(87)【国際公開番号】W WO2021198436
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】00403/20
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】513233632
【氏名又は名称】ハリー・ウィンストン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】レデラー,ベルンハルト,カール
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール,シリル
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】スイス国特許発明第701653(CH,B5)
【文献】特表2010-528270(JP,A)
【文献】スイス国特許出願公開第717766(CH,A3)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器(1000)のためのディスプレイ機構(100)であって、第1の制御機構の作用下における第1のディスプレイ(901)における少なくとも第1の変数と、第2の制御機構の作用下における第2のディスプレイ(902)における第2の変数との同時表示のために配置された複数のユニットディスプレイ支持体(10)を備え、前記ディスプレイ機構(100)は、前記第1のディスプレイ(901)および前記第2のディスプレイ(902)のいずれか一方が他方を取り囲み、前記第1および前記第2の制御機構が、互いに独立して操作可能であり、一方が並進的な動きを制御し、他方が回転の動きを制御する、独立した機構を構成し、前記ディスプレイ機構(100)は、所与の瞬間に、1つの前記第1のディスプレイ(901)だけが、第1の変数の実際の値を示し、1つの前記第2のディスプレイ(902)だけが、第2の変数の実際の値を示すように配置され、前記ディスプレイ機構(100)は、どの前記第1のディスプレイ(901)が、前記第1の変数の実際の値を示すかをユーザに通知するための第1の光学手段と、どの前記第2のディスプレイ(902)が、前記第2の変数の前記実際の値を示すかを前記ユーザに通知するための第2の光学手段とを備え、前記ディスプレイ機構(100)は、各前記ユニットディスプレイ支持体(10)において、前記第1または前記第2のディスプレイ(901、902)が、自身の表示機能の有効性を判定するために、前記変数の実際の値が表示される場合にのみ前記ユーザに見える光学インジケータ(14)と、前記光学インジケータ(14)を前記ユーザに見せる作動位置と前記光学インジケータ(14)を前記ユーザから隠す非作動位置との間を移動可能なフラップ(16)とを備え、前記ディスプレイ機構(100)は、一度に1つの前記ユニットディスプレイ支持体(10)のみで前記フラップ(16)の、前記作動位置への操作を制御し、同じ瞬間に、前記非作動位置への切り替え、または、他のすべての前記ユニットディスプレイ支持体(10)の前記フラップ(16)の前記非作動位置における保持を制御するように配置されたアクチュエータ(2)を備えることを特徴とする、ディスプレイ機構(100)。
【請求項2】
各前記ユニットディスプレイ支持体(10)において、前記第1のディスプレイ(901)または前記第2のディスプレイ(902)は、前記表示機能を有効化またはそれぞれ無効化するために、前記ディスプレイ機構(100)の固定部分によって支えられる静的インデクス(308)に対して移動可能な動的インデクス(307)を備え、前記動的インデクス(307)および前記静的インデクス(308)は、インデクスを有する前記第1または前記第2のディスプレイ(901、902)が、このディスプレイ(901、902)によって表示される前記変数の実際の値を表示するときに、揃えられるか、または重畳されるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ機構(100)。
【請求項3】
前記ディスプレイ機構(100)は、少なくとも前記第1の変数および/または前記第2の変数の前記ディスプレイが、独立した範囲に分割されることによって細分化される、複数の前記独立したユニットディスプレイ支持体(10)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ機構(100)。
【請求項4】
すべての前記ユニットディスプレイ支持体(10)は、第1の変数を表示するための前記第1のディスプレイ(901)、または第2の変数を表示するための前記第2のディスプレイ(902)のいずれかであるか、または前記第1のディスプレイ(901)と前記第2のディスプレイ(902)との両方である、同じ種類のディスプレイインジケータを備え、すべての前記ディスプレイインジケータは、前記計時器(1000)の前記ユーザに見えるように配置され、前記ディスプレイ機構(100)は、前記ディスプレイ機構(100)に含まれる異なるディスプレイホイールセットを駆動するためのホイールまたはロッドシステムを駆動するように配置された制御機構(300)を備え、前記制御機構(300)は、時計ムーブメント(200)によって駆動され、前記時計ムーブメント(200)の中に含まれる場合、前記第1のディスプレイ(901)のすべてをそれ自体で駆動するように配置された第1のキャリア(111)と、および/または、時計ムーブメント(200)によって駆動され、前記時計ムーブメント(200)の中に含まれる場合、前記第2のディスプレイ(902)のすべてをそれ自体で駆動するように配置された第2のキャリア(112)とを備えることを特徴とする、請求項3に記載のディスプレイ機構(100)。
【請求項5】
前記ディスプレイ機構(100)は、互いに同軸である前記第1のディスプレイ(901)および前記第2のディスプレイ(902)を少なくとも、各前記ユニットディスプレイ支持体(10)に備えることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ機構(100)。
【請求項6】
前記アクチュエータ(2)は、線形的なストロークに沿って前記フラップ(16)を押すために、少なくとも1つのフィーラ(19)の前記ストロークを、直接的に、または少なくとも1つの2アームレバーを介して間接的に制御するカムを備え、前記フィーラ(19)は、弾性復帰手段(190、497)によって前記カム(2)に向かって戻されることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ機構(100)。
【請求項7】
前記光学インジケータ(14)および前記フラップ(16)を備える前記第1または前記第2のディスプレイ(901、902)は、可動支持体またはピストン(8)を備え、これに対して、前記フラップ(16)は、前記フラップ(16)が前記光学インジケータ(14)を見せる前記作動位置と、前記フラップ(16)が前記光学インジケータ(14)を前記ユーザから隠す前記非作動位置との間を移動可能であり、前記光学インジケータ(14)は、前記可動支持体またはピストン(8)によって、または前記フラップ(16)によって支えられることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ機構(100)。
【請求項8】
前記フラップ(16)は、それ自体が2つのストローク端部位置の間で同じ方向に線形的に移動可能な前記可動支持体またはピストン(8)に対して、前記作動位置と前記非作動位置との間で線形的に移動可能であることを特徴とする、請求項7に記載のディスプレイ機構(100)。
【請求項9】
各前記第1のディスプレイ(901)は、周期的な動きによってアニメーション化され、各前記第2のディスプレイ(902)は、周期的な動きによってアニメーション化され、2つのディスプレイのうちの一方のピッチは、他方のピッチの整数倍であることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ機構(100)。
【請求項10】
前記ディスプレイ機構(100)は、単一の前記ユニットディスプレイ支持体(10)を備え、前記第1のディスプレイ(901)および前記第2のディスプレイ(902)は、時間および分を表示するか、または分および秒を表示するように配置されることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ機構(100)。
【請求項11】
前記ディスプレイ機構(100)は、複数の同様の前記ユニットディスプレイ支持体(10)を備え、各前記第1のディスプレイ(901)は、前記第1の変数のディスプレイ範囲全体の整数の約数である、制限された広さ範囲を表示するように配置され、各前記第2のディスプレイ(902)は、前記第2の変数のディスプレイ範囲全体の整数の約数である、制限された広さ範囲を表示するように配置されることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ機構(100)。
【請求項12】
請求項1に記載の少なくとも1つのディスプレイ機構(100)を駆動するように配置された時計ムーブメント(200)を備えた計時器(1000)であって、前記ディスプレイ機構(100)は、各前記第1のディスプレイ(901)および各前記第2のディスプレイ(902)を直接的または間接的に駆動するために、前記時計ムーブメント(200)の分ホイールセットによって駆動されるように配置された少なくとも1つの第1のキャリア(111)と、および/または、前記時計ムーブメント(200)の時間ホイールセットによって駆動されるように配置された第2のキャリア(112)とを備えた、制御機構(300)を備えることを特徴とする、計時器(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の制御機構の作用下における第1の3次元ディスプレイにおける少なくとも第1の変数と、第2の制御機構の作用下における第2の3次元ディスプレイにおける第2の変数との同時表示のために配置された、少なくとも1つの3次元ディスプレイ支持体を備える、計時器のための時計ディスプレイ機構に関する。
【0002】
本発明はさらに、そのようなディスプレイ機構を備える計時器、特に腕時計に関する。
【0003】
本発明は、複雑な計時器のための時計ディスプレイ機構の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
時計の複雑化の目的は、要求の厳しいユーザに、複雑な機能を実行でき、および/または、革新的なディスプレイを備えることができる計時器を提供することである。これらの計時器の非常に精巧な機構と、腕時計に関して利用可能な低音量とを両立させ、さらにユーザによる正確かつ直感的な読み易さを保証するには、常に困難性を伴う。他の制約は、これら機構の信頼性に関するものであり、これら機構は、基本的なムーブメントの保証済みクロノメータ品質と連携する必要があり、複雑化の追加によって変更されてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許文献EP2595006号
【発明の概要】
【0006】
本発明は、革新的かつ非常に論理的であり、したがって、ユーザが読み易いディスプレイを備えた腕時計を製造することを目的とする。
【0007】
この目的のために、本発明は、請求項1に記載の複数の独立したユニットディスプレイ支持体を備える、計時器のための時計ディスプレイ機構に関する。
【0008】
本発明はさらに、そのようなディスプレイ機構を備える計時器、特に腕時計に関する。
【0009】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して与えられる以下の詳細な説明を読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、2つの星型の列に配置された12個の固定シリンダを備える2列航空機エンジンの形状をした、本発明によるディスプレイ機構を備える腕時計の上面の部分正面を概略的に示す。各シリンダは、一方では、回転ディスプレイの形態で時間を表示し、アクティブなシリンダは、この場合、この図において12時のシリンダである、ユーザに直接面する1つまたは複数の時間の数字を表示するシリンダであり、各シリンダは、他方では、12個の5分間隔のうちの1つを表示し、アクティブなシリンダは、たとえば、ピストンに対して移動するフラップを備え、基本方向において、腕時計の中心軸に対してシリンダにおいて放射状に移動可能な、非常に目立つ色のマーカである視覚的マークを、ユーザに表示するものであり、分は、腕時計の中心軸に対するピストンの位置の半径方向のマークによって5分間隔で推定される。各シリンダは透明部分を備え、透明部分を介してユーザは、シリンダによって表示された時間を示す1つまたは2つの数字を有する、シリンダ内部で回転移動可能な、穴あきホイールセットを見ることができ、この穴あきホイールセットは、穴あきホイールセットの動きとは無関係に、このシリンダの内部で前後に移動可能なピストンを取り囲み、このピストン自体は、他の図で見ることができる、並進移動可能なフラップを備えている。機構の中央部分は、ディスプレイ制御機構の一部、特に腕時計のムーブメントの中心軸を中心に回転するクランクシャフトを見ることができ、クランクシャフトは、すべてのピストンに前後の動きを伝達する連結ロッドアセンブリを駆動する。
図2図2は、図1の腕時計の底面を、図1と同様に示し、透明な裏面は、このディスプレイを駆動するために、さらに特別に意図された腕時計のパワーバレルを示す。
図3図3は、ピストンを駆動するように設計された第1のキャリアを備えた、ディスプレイ制御機構の一部の斜視図を概略的に示し、ディスプレイ制御機構は、このクランクシャフトを備え、その2つのクランクピンは、2つのプレートを有し、2つのプレートのおのおのは、大きな固定連結ロッドと、プレートピンの周りに関節留めされた5つの小さな連結ロッドとを備える。
図4図4は、図1の透明ケーシングの下に位置する同じシリンダの内側部分の、シリンダの1つの基本軸を通る部分的な断面図を概略的に示し、透明ケーシングは、1つまたは複数の時間の数字を有する、穴あきホイールセットである時間本体を備え、時間本体は、ピストンを同軸に取り囲み、ピストンピンの周りに関節留めされた制御棒を見ることができ、フラップは、ピストンと同軸に移動可能であり、視覚的マークである光学インジケータを備え、この場合、分を表示するための非アクティブなシリンダを示すこの図において、ユーザの視野から隠され、フラップは、ピストンに対して押し付けられ、そのフラップジャンパは、ピストンと一体化されたフック部分において止められる。
図5図5は、ディスプレイ制御機構の別の部分の、および、直線状の内部歯が、直線状の中間ピニオンと噛み合う、環状の肩部を有する中央ホイールを備えた時間本体を駆動するように設計された第2のキャリアを有する、その制御機構の部分的な斜視図を概略的に示し、これらのピニオンはそれぞれ、円錐状の中間ホイールを有する直歯プレートと噛み合い、円錐状の中間ホイールは、直歯45°設定ホイールと噛み合い、この設定ホイールは、時間の数字を有する時間本体と一体化された円錐状の時間ピニオンと噛み合う。
図6図6は、時間本体が、時間マークを備える透明ホイールセットである1つの代替実施形態における、ディスプレイ機構の可動構成要素の一部の、支持構造を除いた部分的な斜視図を概略的に示し、この図は、図3の連結ロッドアセンブリと、シリンダに配置されたピストンとの間の協働を示し、図示されている正午の位置では、時間本体は、数字の12で時間を表示するが、2時の位置では、フラップは、そのピストンに対して最大ストロークの終端にあり、5分間に限定された時間の間、このようにしてピストン本体とフラップとの間の空間に形成された溝内に、たとえば色付きのストリップなどの形態で、光学インジケータを見せる。
図7図7から図9は、そのシリンダにおける時間の数字の回転を示す。図7は、シリンダの構造にリンクされた静的インデクスに接近し、指してもいる動的ポインティングインデクスの下に位置する、図6における時間の数字11を示し、この時間の数字は、時間を表示するために、このシリンダをアクティブなシリンダにする位置に接近し、静的インデクスは、その時間ピニオンにおいて時間本体をガイドする構造に固定された、ボールベアリングによって支えられる。
図8図8は、図6における時間の数字2が、シリンダの後部に隠されているために見えない構成を示す。しかしながら、この詳細図は、そのピストンに対する、その最大ストロークの終端におけるフラップを明確に示し、ピストン本体とフラップとの間の空間に一時的に作られた溝に、光学インジケータを見せる。フラップは、図示された位置にあり、したがって、このシリンダは、現在、5分間隔を表示する。
図9図9は、静的インデクスと整列され、したがって現在時間を示しているその動的インデクスの下に位置する、図6における時間の数字12を示す。この図では、12時のシリンダが、アクティブな時間シリンダであり、数字の12は、ユーザの方を向いており、時間本体によって支えられる動的インデクスは、この場合、時間本体をガイドする回転ボールベアリングである固定部分によって支えられる静的インデクスに揃えられる。
図10図10は、シリンダの構造が、ピストンの中心から最も離れた端部に対応する、5分間隔内の各分を表示するために、半径方向に離間された目盛を有する代替実施形態を示す。
図11図11は、計時器、この場合は、図1に示される機構を備え、おのおの6つのシリンダを有する2つの星の2つの平行な列における入れ替わりを示す腕時計の側面図である。
図12図12は、図6に示される部品の部分的な分解斜視部分図を概略的に示しており、ここでは、ピストンの半径方向駆動機構が、中央に見られ、2つの重畳されたステージに、図示しない連結ロッドが関節留めされたクランクシャフトを、外周に、シリンダにおける時間の数字を回転させるための歯車列を備えている。
図13図13は、時間の数字を回転させるための歯車列のみを示す、図12に示される図の拡大詳細図である。
図14図14は、クランクシャフトのプレートから出ている固定連結ロッドおよび関節式連結ロッドを示す、図6に示される図の別の詳細図である。6つのフィーラもあり、おのおのは、2つの連続するシリンダと協働して、ピストンに対するフラップの伸縮を制御する。各フィーラは、ピラーの上部からムーブメントの主軸に平行に突き出た2つの上部アームを備え、おのおのは、操作されるシリンダのフラップと協働するように意図され、これらのフィーラの回転は、この図では見えない下部のカムによって制御され、このカムは、このピラーと一体化されたV字型を形成する2つの下部アームと協働し、このカムは、シリンダを貫通するフィーラの動きを制御し、そのうちの1つの下部アームだけが、そのシリンダを、分表示のためのアクティブなシリンダとしてマークするために、所与の瞬間に、ピストンに対するフラップの伸びを制御する。
図15図15は、機構の下部を図14と同様に示し、ここでは、この場合、移動中の分リングと一体化された、フィーラの回転を制御するためのカムが見えるが、図示されない別の代替実施形態では、このカムは特に、ピンと、円の扇形における長方形の開口部との間の協働によって、移動中の分リングに対して、制限された角度可動性を有することができる。
図16図16は、時間の数字を回転させる歯車列を同期させる歯付きリングの動きによる駆動を示す、図15と同様の図である。
図17図17は、ピストンの半径方向の動きを制御する連結ロッドアセンブリの俯瞰図である。
図18図18は、クランクシャフト軸と、固定連結ロッドのうちの1つとを通過する、この連結ロッドアセンブリの断面図である。
図19図19は、中心軸を通る平面に沿って切断された斜視図であり、クランクシャフトとそのプレートの部分図である。
図20図20は、シリンダと、歯車列による時間の数字の回転、連結ロッドの動きによるピストンの半径方向の移動、および、フィーラの回転によるフラップの半径方向の移動を制御する要素との概略的な斜視図であり、ピストンは、腕時計ケースの構造に固定された2つのガイドロッドによってガイドされる。
図21図21は、図20における図と同様の図であり、ピストンの上部に同軸な、時間の数字を示しており、時間の数字自体は、腕時計が正面の視点から読み取られるときに、ユーザに面して少なくとも透明である管状の時間本体の下に位置し、ピストンの動きを制御する連結ロッドの後ろにフィーラが見え、前記フィーラは、クランクシャフトの軸に平行な軸を有し、一方の上部アームは、シリンダを貫通してフラップを制御し、他方の上部アームは、図示されない近くのシリンダと協働しないように意図され、下部には、V字形に配置された2つの下部アームも示され、先端は、フィーラのピラーの軸上にあり、このV字形は、図15および図16に見られる大きな実質的に環状のカムに追従するように配置される。
図22図22は、図20に示す機構の一部の、クランクシャフト軸を通過する平面に沿った断面図である。この図は、直角の頂点で旋回する直角のジャンパを示し、ジャンパは、フラップと一体化されたフック部分のノッチのうちの1つと協働して、フラップを2つの位置のうちの1つに保持し、この場合、フラップは格納位置にあり、関連するシリンダは、現在の分を表示しない。
図23図23は、図20に示す機構の一部のクランクシャフト軸に垂直な図である。この場合、フィーラは俯瞰図から示され、120°のV字型を形成するその2つの上部アームと、その2つの下部アームとを示している。
図24図24は、単一のシリンダが所定の位置に組み立てられて示された、支持構造を示す、図6における図と同様の図である。この構造は、ムーブメントの小さなプレート、または追加のプレート、または腕時計ケースでさえある。
図25図25は、シリンダと、制御フィーラから保持ジャンパまでのフラップの半径方向の並進を制御するための要素との、概略的な断面斜視図である。
図26図26は、旋回フィーラが、カムに対して実質的に半径方向のストロークを有するフィーラに置き換えられ、このフィーラが、腕時計の構造に当接するジャンパによって押し付けられる、代替実施形態を示す図である。
図27図27は、本発明によるディスプレイ機構を備える計時器の第1の代替実施形態のブロック図である。
図28図28は、本発明によるディスプレイ機構を備える計時器の第2の代替実施形態のブロック図である。
図29図29は、本発明によるディスプレイ機構を備える腕時計の概略的な斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、変数のディスプレイが複数のエンティティ間に分布され、おのおのが特定の瞬間に作動される計時器に関する。
【0012】
特に、時間変数のディスプレイは、間隔に、特に等しい大きさの間隔に細分化される。特に、時間を表示するために、12個または24個のエンティティのうち、所与の瞬間に現在の時間を表示するエンティティは1つだけである。異なるディスプレイのために異なるエンティティを並置するのではなく、本発明は、同じエンティティを使用して、2つの異なる時計変数、たとえば、時間と分とを表示することに焦点を当てる。時間を表示するために12個のエンティティを選択すると、これらの同じエンティティを使用して5分間隔で分を表示する必要がある。整数の倍数の任意の合理的な組合せにより、論理的なディスプレイを生成できる。逆に、24個のエンティティを使用して時間を表示すると、論理的には2.5分間隔で各エンティティに分が表示されることになり、これは、あまり実用的ではないが、街路備品の時計などには十分かもしれない。
【0013】
したがって、本発明は、計時器1000、特に腕時計のための時計ディスプレイ機構100に関し、少なくとも1つの3次元ディスプレイ支持体10を備え、第1の制御機構の作用下における第1の3次元ディスプレイ901における少なくとも第1の変数と、第2の制御機構の作用下における第2の3次元ディスプレイ902における第2の変数との同時表示のために構成される。好ましくは、第1のディスプレイ901が第2のディスプレイ902を取り囲むか、または逆も同様である。図示されない代替実施形態によれば、第1のディスプレイ901は、同じディスプレイ支持体10内に並置された第2のディスプレイ902を取り囲む。
【0014】
本発明によれば、第1の制御機構および第2の制御機構は、互いに独立して操作可能であり、一方が並進的な動きを制御し、他方が回転の動きを制御するか、または逆も同様である、独立した機構を構成する。
【0015】
より具体的には、ディスプレイ機構100は、複数のそのようなユニットディスプレイ支持体10を備える。さらに、所与の瞬間に、1つの第1のディスプレイ901だけが、第1の変数の実際の値を示し、1つの第2のディスプレイ902だけが、第2の変数の実際の値を示す。
【0016】
ディスプレイ機構100はさらに、どの第1のディスプレイ901が、第1の変数の実際の値を示すかをユーザに通知するための第1の光学手段を備え、どの第2のディスプレイ902が、第2の変数の実際の値を示すかをユーザに通知するための第2の光学手段を備える。
【0017】
第1の視覚的な代替実施形態によれば、各ユニットディスプレイ支持体10において、第1のディスプレイ901または第2のディスプレイ902は、その実際の有効性を判定するために、光学インジケータ14を有するディスプレイ901またはディスプレイ902が、このディスプレイ901またはディスプレイ902によって表示される変数の実際の値を表示する場合にのみユーザに見える光学インジケータ14を備える。このディスプレイは、フラップ16が光学インジケータ14を見せる作動位置と、フラップ16が光学インジケータ14をユーザから隠す非作動位置との間を移動可能なフラップ16を備える。ディスプレイ機構100は、一度に1つのユニットディスプレイ支持体10のみでフラップ16の、作動位置への操作を制御し、同じ所与の瞬間に、非作動位置への切り替え、または、他のすべてのユニットディスプレイ支持体10のフラップ16の非作動位置における保持を制御するように配置されたアクチュエータ2を備える。この場合のこのフラップ16の目的は、所与の瞬間にどのディスプレイが有効であるかをユーザに示すことであり、示された代替実施形態は、より具体的には、考慮された瞬間に、どの5分間隔が、現在適用可能であるかを示す。しかしながら、言うまでもなく、そのようなフラップは、昼夜、午前/午後、時間帯、または他のインジケーションなどの補足的なインジケーションを表示するために、それ自体において、第3または第4のディスプレイを構成することができる。
【0018】
第2の視覚的な代替実施形態によれば、各ユニットディスプレイ支持体10において、第1のディスプレイ901または第2のディスプレイ902は、その実際の有効性を判定するために、ディスプレイ機構100の固定部分によって支えられる静的インデクス308に対して移動可能な動的インデクス307を備える。この動的インデクス307およびこの静的インデクス308は、インデクスを有するディスプレイ901またはディスプレイ902が、このディスプレイ901またはディスプレイ902によって表示される変数の実際の値を表示するときに、揃えられるか、または重畳されるように配置される。
【0019】
より具体的には、ディスプレイ機構100は、少なくとも第1の変数および/または第2の変数のディスプレイが、独立した範囲に分割されることによって細分化される、複数の独立したユニットディスプレイ支持体10を備える。より具体的には、これらの独立したユニットディスプレイ支持体10は、同一の機械的構成要素を備え、ディスプレイに固有の要素のみが、互いに異なる傾向があり、本明細書では「同様の」ユニットディスプレイ支持体10と呼ばれる。
【0020】
より具体的には、すべてのユニットディスプレイ支持体10は、第1の変数を表示するための第1のディスプレイ901、または第2の変数を表示するための第2のディスプレイ902のいずれかであるか、または第1のディスプレイ901と第2のディスプレイ902との両方である、同じ種類のディスプレイインジケータを備える。すべてのディスプレイインジケータは、計時器1000のユーザに見えるように配置され、ディスプレイ機構100は、ディスプレイ機構100に含まれる異なるディスプレイホイールセットを駆動するためのホイールまたはロッドシステムを駆動するように配置された制御機構300を備える。この制御機構300は、時計ムーブメント200によって駆動され、時計ムーブメント200の中に含まれる場合、第1のディスプレイ901のすべてをそれ自体で駆動するように配置された第1のキャリア111を備え、および/または、時計ムーブメント200によって駆動され、時計ムーブメント200の中に含まれる場合、第2のディスプレイ902のすべてをそれ自体で駆動するように配置された第2のキャリア112を備える。
【0021】
より具体的には、ディスプレイ機構100は、互いに同軸である少なくとも1つの第1のディスプレイ901および1つの第2のディスプレイ902を、各ユニットディスプレイ支持体10に備える。
【0022】
より具体的には、アクチュエータ2は、線形的なストロークに沿ってフラップ16を押すために、少なくとも1つのフィーラ19のストロークを、直接的に、または少なくとも1つの2アームレバーを介して、間接的に制御するように配置されたカムを備え、このフィーラ19は、弾性復帰手段190または弾性復帰手段497によってカム2に押し付けられるようにカム2に向かって戻される。
【0023】
より具体的には、光学インジケータ14およびフラップ16を備えるディスプレイ901またはディスプレイ902は、可動支持体またはピストン8を備え、これに対して、フラップ16は、フラップ16が光学インジケータ14を見せる作動位置と、フラップ16が光学インジケータ14をユーザから隠す非作動位置との間を移動可能である。この光学インジケータ14は、特に、しかし非限定的な方式で、可動支持体またはピストン8によって、またはフラップ16によって支えられる。
【0024】
より具体的には、フラップ16は、それ自体が2つのストローク端部位置の間で同じ方向に線形的に移動可能な可動支持体またはピストン8に対して、作動位置と非作動位置との間で線形的に移動可能である。
【0025】
より具体的には、各第1のディスプレイ901は、周期的な動きによってアニメーション化され、各第2のディスプレイ902は、周期的な動きによってアニメーション化され、2つのディスプレイのうちの一方のピッチは、他方のピッチの整数倍であるか、または逆も同様である。
【0026】
より具体的には、ディスプレイ機構100は、単一のユニットディスプレイ支持体10を備え、第1のディスプレイ901および第2のディスプレイ902は、時間および分を表示するか、または分および秒を表示するように配置される。たとえば、この機構は、単一のシリンダエンジンの形状をすることができ、おのおのがディスプレイの1つを構成する、回転する移動性ジャケットと、交互する動きをするピストンとを備える。
【0027】
より具体的には、ディスプレイ機構100は、複数の同様のユニットディスプレイ支持体10を備え、各第1のディスプレイ901は、第1の変数のディスプレイ範囲全体の整数の約数である、制限された広さ範囲を表示するように配置され、各第2のディスプレイ902は、第2の変数のディスプレイ範囲全体の整数の約数である、制限された広さ範囲を表示するように配置される。
【0028】
本発明はさらに、少なくとも1つのそのようなディスプレイ機構100を駆動するように配置された時計ムーブメント200を備える、計時器1000、特に腕時計に関する。より具体的には、このディスプレイ機構100は、各第1のディスプレイ901および各第2のディスプレイ902を直接的または間接的に駆動するために、時計ムーブメント200のホイールセット、特に分ホイールセットによって駆動されるように配置された少なくとも1つの第1のキャリア111と、および/または、時計ムーブメント200のホイールセット、特に時間ホイールセットによって駆動されるように配置された第2のキャリア112とを備えた、制御機構300を備える。
【0029】
本発明は、本明細書では、図面において、計時器1000の形態の非限定的な代替実施形態によって示され、この場合、2列航空機エンジンの形状をした腕時計であり、そのようなディスプレイ機構100を備え、
- 歯車列によって作動される、機械加工された時間本体30によって、時間が生成され、
- 少なくとも1つのクランクシャフト1と、連結ロッド4、5とを含む、連結ロッドアセンブリによって作動されるピストン8によって、分が生成されるディスプレイである。
【0030】
この時計ディスプレイ機構100は、複数の独立したユニットディスプレイ支持体10を備え、おのおのが、半径方向基本軸DAに平行または一致する方向に延在し、すべて中心軸Dの周りに分布する。基本軸DAは、特に、中心軸Dに垂直な半径方向軸であるか、またはそのような半径方向軸に平行な方向である。計時器1000は、星または二重星の形状の航空機エンジンの形状しており、各半径方向シリンダは、この場合、非限定的な方式で、ユニットディスプレイ支持体10を囲む。
【0031】
このディスプレイ機構100は、複数のユニットディスプレイ支持体10に少なくとも1つの変数の値を表示するように配置される。
【0032】
より具体的には、各ユニットディスプレイ支持体10は、実質的に円筒状の本体であり、構造900の周りに中心軸Dに対して半径方向に延在し、構造900から半径方向に突出している。
【0033】
このユニットディスプレイ支持体10は、変数の値を表示するために、少なくとも1つのインジケータを取り囲み、そのディスプレイインジケータは、その基本軸DAに沿って並進移動可能な第1のディスプレイ901か、その基本軸DAを中心に回転移動可能な第2のディスプレイ902かのいずれかである。
【0034】
より具体的には、第1のディスプレイ901および第2のディスプレイ902は、両方とも、中心軸Dに垂直な半径方向基本軸DAに平行または一致する方向に並進移動可能であるか、または、両方とも、そのような半径方向基本軸DAに平行または一致する方向に対して同軸に回転移動可能であるか、または、第1のディスプレイ901および第2のディスプレイ902のうちの一方が、そのような半径方向基本軸DAに平行または一致する方向に並進移動可能であり、この第1のディスプレイ901およびこの第2のディスプレイ902のうちの他方が、そのような半径方向基本軸DAに平行または一致する方向に回転移動可能である。
【0035】
本発明の有利な代替実施形態によれば、すべてのユニットディスプレイ支持体10は同様であり、第1の変数を表示するための第1のディスプレイ901、または第2の変数を表示するための第2のディスプレイ902のいずれかであるか、または、第1のディスプレイ901と第2のディスプレイ902との両方である、同じ種類のディスプレイインジケータを備える。より具体的には、ディスプレイインジケータ901およびディスプレイインジケータ902は、実質的に軸対称であり、特に円筒形状である。
【0036】
さらに、ディスプレイ機構100は、ディスプレイ機構100に含まれる異なるディスプレイホイールセットを駆動するためのホイールまたはロッドシステムを共通軸Dの周りで駆動するように配置された制御機構300を備える。
【0037】
より具体的には、ディスプレイ機構100は、各ユニットディスプレイ支持体10に第1のディスプレイ901を備え、各第1のディスプレイ901は、第1の変数の値を有効にするか、またはそれぞれ無効にするために、作動位置と非作動位置との間を、基本軸DAの方向において線形的に移動可能なフラップ16によって、あるいは別の方法で隠される第1の光学インジケータ14を備える。
【0038】
さらに、制御機構300は、一度に単一のユニットディスプレイ支持体10において、フラップ16の作動位置への切り替え、または作動位置における保持を制御し、同じ瞬間に、他のすべてのユニットディスプレイ支持体10のフラップ16の非作動位置への切り替え、または非作動位置における保持を制御するように配置された第1のアクチュエータを備える。
【0039】
より具体的には、この第1のアクチュエータは、第1の光学インジケータ14を隠したり、見せるために配置されたそのようなフラップ16を、線形的なストロークに沿って押すために、少なくとも1つのフィーラ19のストロークを、直接的に、または少なくとも1つの2アームレバーを介して間接的に制御するカム2を備える。有利なことに、このカム2は非常に単純であり、平坦であり、環状構造に対して、この環状構造と同心で、半径方向外側に突出し、2つの棚付きランプ206によって接続された突起201を備える。
【0040】
図26に示される代替実施形態では、フィーラ19は、カム2の縁部である、上縁208、下縁209、および傾斜面206に沿って延在するカムトラックに直接当接する段付きねじの周りに、長方形のガイドスロット496を備えた直線的な脚部490と、カム2の中心から最も離れて位置するU字形部分495とを備え、フラップ16を直接制御する。
【0041】
他のすべての図によって示される別の代替実施形態によれば、ピラーの上端に、第1のシリンダのフラップ16を制御するための第1の上部アーム191と、第2のシリンダのフラップ16を制御するための第2の上部アーム192とを備えるフィーラ19は、このピラーの下部で旋回するレバーによって回転するように制御され、カム2の周囲に当接し、この周囲に追従するV字形をともに形成する2つの下部アームを備え、このレバーは、突起の上に上がるときは第1の方向に、下に戻るときは反対方向に旋回する。図示される例では、カム2は分を駆動し、1時間に1回転する。
【0042】
より具体的には、フィーラ19は、代替実施形態に応じて、少なくとも1つの弾性アーム190または弾性アーム497を備え、構造900または構造498に当接するように配置され、フィーラ19をカム2に向かって反発させる傾向がある。
【0043】
フラップ16は、半径方向基本軸DAに平行または一致する方向に平行に並進移動可能であるか、または、半径方向基本軸DAに平行または一致する方向に対して回転移動可能である。
【0044】
より具体的には、各フラップ16は、第1のディスプレイ901に含まれる移動支持体8に対して、作動位置と非作動位置との間で線形的に移動可能であり、それ自体は、2つのストローク端部位置の間で基本軸DAと同じ方向に線形的に移動可能である。より具体的には、各可動支持体8はピストンであり、2つのストローク端部位置の間を、周期的な動きで、線形的に移動可能である。
【0045】
より具体的には、第1のディスプレイ901は、特に切り欠きにおいて、可動支持体8またはピストンに固定されたフック部18に対してフラップ16を係合位置に保持し、フィーラ19が反動し、可動支持体8が方向転換したときに、その解放を可能にするように配置された、特に直角の形態のジャンパ17を備える。
【0046】
より具体的には、ディスプレイ機構100は、各ユニットディスプレイ支持体10に第1のディスプレイ901を備え、第1のキャリア111は、時計ムーブメント200によって駆動されるように配置されたクランクシャフト1を備える。このクランクシャフト1の少なくとも1つのクランクピン41は、おのおのが、交互する線形的な前後の動きに従って、第1のディスプレイ901を移動させるように配置された固定連結ロッド4または関節式連結ロッド5を有する、少なくとも1つのプレート40を駆動する。
【0047】
図示されない別の実施形態によれば、ディスプレイ機構100は、各ユニットディスプレイ支持体10に第2のディスプレイ902を備え、各第2のディスプレイ902は、第2の変数の値を決定するために、作動位置と非作動位置との間で、基本軸DAの方向に線形的に移動可能である第2の光学インジケータを備え、制御機構300は、一度に単一のユニットディスプレイ支持体10において、第2の光学インジケータの作動位置への切り替え、または作動位置における保持を制御し、同じ瞬間に、他のすべてのユニットディスプレイ支持体10の第2の光学インジケータの非作動位置への切り替え、またはそれぞれ非作動位置における保持を制御するように配置された第2のアクチュエータを備える。
【0048】
より具体的には、ディスプレイ機構100は、各ユニットディスプレイ支持体10に第2のディスプレイ902を備える。
【0049】
図示される代替実施形態では、第2のディスプレイ902は管状本体30を備え、管状本体30は、少なくとも1つの識別マーキングを有し、管状本体30の内部に収容されたディスプレイ機構100に含まれる任意の構成要素を、ユーザに見せるための少なくとも1つの切り抜きおよび/または透明表面を含む。
【0050】
図示される代替実施形態では、制御機構300は、すべての第2のディスプレイ902を同期して駆動するための減速機構を有する歯車列を備える。
【0051】
より具体的には、各ユニットディスプレイ支持体10は、ディスプレイ機構100を有する計時器1000の外部環境に対して密閉され、その内部で各ディスプレイインジケータ901、902が移動可能なチャンバを備える。
【0052】
図示される1つの特定の実施形態によれば、構造900は、時計ムーブメント200の上に位置するように配置された追加のプレートである。
【0053】
別の代替実施形態によれば、構造900は、時計ムーブメント200を囲む計時器1000のミドルまたはケースである。
【0054】
より具体的には、ディスプレイ機構100または時計ムーブメント200は、ディスプレイ機構100と時計ムーブメント200との間の界面において、ディスプレイ機構100を調整できるようにムーブメント200に係合される、調整可能な摩擦ホイールセットを備え、特に時刻は、ムーブメント200の巻き上げおよび設定ステムによって設定される。
【0055】
ここでは、本発明は、時計ムーブメント200の中心軸Dを中心に円形タイプのディスプレイを生成する計時器1000の特定のケースについて説明されるが、それにも関わらず、他のタイプのディスプレイ、たとえば線形ディスプレイ用に生成することができる。
【0056】
同様に、本発明は文字盤の周りを一回転する連続型の機構について説明されているが、レトログラード型のディスプレイにも適用することができる。
【0057】
図面に示される代替実施形態によれば、計時器1000は、全体的に、星、またはより具体的には、有名な「Pratt&Whitney(R)R-2800」18気筒2列航空機エンジンのように、2ステージのクランクシャフト1と協働するために、中心軸に対して半径方向にあり、軸方向にオフセットした2ステージのシリンダ10を有する二重星形の2列航空機エンジンの形状をしている。これらのシリンダ10は、構造900に固定され、構造900を取り囲む。この構造900は、計時器のミドルまたはケース、またはこのミドルまたはこのケースに取り付けられた追加のプレートなどの要素であり、シリンダ10は、図示されるように、この構造から半径方向に突出する。
【0058】
言うまでもなく、この計時器1000は、すべてのシリンダが同じ平面上にある単一の星の形状とすることもできる。多列星型ディスプレイの具体的かつ非限定的な選択は、主に、計時器の直径を妥当なサイズに制限しながら、シリンダにおける動きを分配する連結ロッドアセンブリを簡素化することを目的としている。
【0059】
各シリンダ10は、ケーシング20からなる透明部分を含み、透明部分を介して、ユーザは、少なくとも1つのディスプレイホイールセットを見ることができる。選択された構成に応じて、これらのホイールセットは、中実、穴あき、または透明にすることができ、マーキングを有することができる。選択されるシリンダの数は、所望されるアプリケーションに依存し、非限定的な例として、時間ディスプレイのために3、6、12、または24個、分または秒ディスプレイのために6、10、12、または15個、曜日ディスプレイのために7個、月ディスプレイのために3、4、6、または12個、日付ディスプレイのために4、6、8、または12個、単純年または閏年のディスプレイのために4個を挙げることができ、唯一の制限は、選択された複雑化に関連する機構の複雑性および量である。
【0060】
より具体的には、図示されるこの実施形態では、時間は、おのおのがシリンダ10(この特定の実施形態では、1ステージにつき6つ)に収容された12個の回転する時間本体30に含まれるインデクスによって表示され、インデクスのおのおのは、12時間ごとに1回転する。さらに、5分間隔での別の分ディスプレイは、12個の時間本体30内を線形的に循環する12個のピストン8によって生成され、光学インジケータ14によって現在の5分間隔を表示し、これは、関係するピストン8において開くフラップ16によって見ることができ、ユーザに容易に見られる。
【0061】
したがって、時間は、シリンダ10に収容された実質的に円筒状の時間本体30において表示される。これらの時間本体30は、切断された円筒状の金属キャリッジなど、または透明材料、特にサファイアなどで作られたチューブを含み、メタライゼーション、レーザエッチングなどによって、1つまたは複数の対応する時間の数字301を有するマーキングを有することができ、計時器1000のムーブメント200は、24時間ごとに2回転するように、時間本体30、キャリッジ、またはチューブを駆動する。
【0062】
各シリンダ10は、ピストン8を取り囲むこの時間本体30を受け入れる密閉ケーシング20を備え、このケーシング20は、時刻を読むために腕時計のユーザに見える少なくとも1つの側面において透明であり、たとえばサファイアなどで作られている。このシリンダ10は、構造900、または腕時計のミドルに取り付けられるか、または、この構造900、またはこのミドル、または腕時計のケースの一部を形成するかのいずれかとすることができる。時間本体30において判読可能な暗号化された銘刻文字が、ユーザに直接面しているシリンダ10は、現在の時間の表示を提供するアクティブなシリンダである。
【0063】
有利なことに、時間を表示するためにアクティブであるこのシリンダ10は、時間本体30によって支えられる動的インデクス307と、シリンダ10、支持構造900、ミドル、またはケースによって支えられる静的インデクス308との視認性の高い一致によって視覚的に具現化される。
【0064】
この一致は、視覚的な一致である可能性がある。アクティブな時間シリンダインジケータを表示するために、機械式、電気式、または磁気式とすることもできる。たとえば、1つの機械式の代替実施形態では、時間本体30は、構造900の側面に、シリンダと並んで構造900に収容されたレバーと協働するために、ラグ、またはノッチ、またはカムを備えることができ、ブランパン社によって出願された欧州特許文献EP2595006などに開示されているように、シリンダの旋回によって、アパーチャにフラグが現れる。1つの磁気式の代替実施形態では、時間本体30および構造900によって支えられる同じまたは反対の極性の磁石の協働によって、そのようなフラグを制御することも可能になる。電気機械式計時器では、時間本体30および構造900のインデクスと揃えられた電気接点により、照明機能または他の機能を制御することができる。
【0065】
同様に、様々なシリンダ10の中から、分を表示するために所与の瞬間に、1つのシリンダ10だけがアクティブとなる。5分間隔を表示するためにアクティブであるシリンダ10は、光学インジケータ14を強調表示することによって、特に、連結ロッドアセンブリの反対側の、たとえばピストン8の遠位端に位置するフラップ16の開口部を強調表示することによって表示され、たとえば赤色または同様の色付きの表面140などの非常に目立つ色のマークによって見え、このフラップ16は、所与の瞬間に、ただ1つのシリンダ10において開き、他のすべての上で閉じ、5分間隔の終わりに、フラップ16は、ちょうど分を表示したシリンダ10のピストン8の上で閉じ、次のシリンダ10のピストン8の上で、好ましくは時計回りに開くと理解される。
【0066】
特定の代替実施形態では、現在の分が、シリンダ10によって、ケーシング20によって、または時間本体30によって支えられた目盛306によって、各5分間隔で表示され、これらの目盛306は、使用される連結ロッドアセンブリの運動学に依存するため、等距離、またはこの場合、非線形であり得、ピストン8、またはピストン8の遠位端におけるマーク、またはフラップ16における色付きマーク140は、この目盛り尺の反対側で容易に読み取ることができる。
【0067】
図示される実施形態は、可読性、審美性、および異なる機構を収容するために利用可能な空間の間の良好な折衷を表している。この特定の非限定的なケースでは、
- 腕時計1000のムーブメント200によって作動され、時間本体30を回転駆動するように配置された円錐状の歯の歯車列と、
- それぞれの時間本体30における前後の並進的な動きに従ってピストン8を作動させるように配置された少なくとも1つの中央クランクシャフト1と、
- 現在の分間隔に関連するピストン8において、色付きマーク140を見せ、時間の読み取りの容易性を高めるピストンフラップ16の解放機構とを備える。
【0068】
より具体的には、時間ディスプレイは、時間の数字301をカットされた金属部品である時間本体30を備え、これは、視認性および可読性を高める。
【0069】
この特定のケースでは、12個のホイールセットを制御する必要があるため、連結ロッドアセンブリは必然的に複雑になる。12個の連結ロッドを備えたクランクシャフトプレートが考えられるが、機構の全体的な寸法と脆弱性を考慮すると、おのおのが12の約数を駆動する複数のクランクシャフトプレート40を使用する解決策が好ましいことを意味し、図示されるバージョンは、おのおのが6つのピストンを制御できる2つの重畳されたクランクシャフトプレート40を備え、その解放機構により、現在の分を表示するピストン8を区別することができる。
【0070】
大型腕時計用に十分な寸法、たとえば、シリンダヘッドにおける取付直径が約43mm、全体直径が約53mmであり、シリンダがはっきりと見えるように十分に大きく、高さ10~12mm、直径8~12mmで、50時間以上の十分なパワーリザーブを保証するパワーソースを提供する必要がある。より具体的には、クランクシャフトにおけるトルクは約3N.mmに等しい。このように、複数のバレルが設置され、たとえば、おのおのが8または9N.mmの容量を有しており、そのような4つのバレルの並列構成により、そのようなパワーリザーブを備えた高い力のモーメントを発生させることができる。他の代替実施形態は、特に、限定されないが、パワーリザーブを増加させるために、並列配置された直列の2対のバレル、またはスペースを節約するために、3つのバレルが可能である。
【0071】
ムーブメント200は、歯車列を介して、クランクシャフト1、分解放カム2、および時間ピニオン3を駆動するムーブメントの出力ホイールセットにエネルギを伝達する。
【0072】
クランクシャフト1は、分配機能およびその視覚的影響の両方に関して重要な構成要素である。その多くの機能のために、非常に精密な構成要素が必要とされる。なぜなら、一体型構成要素、特に、一方におけるストーンと、他方におけるねじ付きベアリングとの間をガイドすることが有利だからである。長期にわたって高精度を維持するために、この配置は、オーバーハングや、アセンブリにおける公差の蓄積によって生じる位置決めエラーのリスクを制限し、構成要素の信頼性を高める。
【0073】
2つのクランクシャフトプレート40を備えた図示されるバージョンでは、これらの2つのプレート40はおのおの、クランクシャフト1のクランクピン41を中心に旋回し、おのおのが6つの連結ロッドを有し、そのうちの1つがプレートと一体化されて、大きな固定連結ロッド4を形成し、他の小さな関節式連結ロッド5が、プレート40に打ち込まれたプレートピン7上で旋回することができる。大きな連結ロッドの回転は、できるだけ滑らかにする必要がある。衝撃吸収ハブ6は、有利なことに、クランクシャフトピン41と、関連するプレート40との間に位置している。ニッケルPTFEタイプのガルバニック処理により、優れた焼き付き防止機能および自己潤滑機能を備えた旋回点が得られ、したがって、静摩擦係数を0.15に下げることができ、動摩擦係数を0.10に下げることができる。連結ロッドとピンとの連結部にも、同様のガルバニック処理は有利である。
【0074】
各連結ロッド4、5は、ピストン8の内部を貫通し、ピストン8は、半径方向ボア内に固定ピン9を含み、固定ピン9を中心に連結ロッドが旋回する。ピストン8は、考慮されている連結ロッドに垂直な自由度の周りを自由に動作する必要があり、この目的のために、ピストン8は、連結ロッドの最大動作角度を可能にするのに十分な大きさの、この連結ロッドの通路のための開口部を備える。固定ピン9はメンテナンスのために届きにくく、ピストン8はユーザによく見える領域で移動するため、少なくとも視覚的な汚染を引き起こす液体潤滑を避けることが望ましく、固定ピン9と、そのそれぞれの連結ロッドとの間の連結も、好ましくは、ニッケルPTFEまたは同様のタイプのガルバニック処理で処理される。
【0075】
ピストン8は、可能な限り最良のガイドを備えている必要があり、これは、機構の焼き付きやジャミングのリスクを防ぐために、精密かつ非常に滑らかである必要がある。
【0076】
可能な解決策の中で、図は、この場合、非限定的な方式で、サファイアの円筒管20の内側に位置する、2つのロッド12によってガイドされるピストン8を示す。ピストン8は、ロッド12をスライド方式にガイドする中間ガイド13または緩衝片を受け入れるための2つの横方向ノッチ81を備える。この場合、摩擦係数を低減し、自己潤滑性接触を得るために、ニッケルPTFEまたは同様のタイプのガルバニック処理も有利である。中間ガイド13は、これらのロッド12におけるピストン8の最適な距離および良好なガイドを保証する、実質的に正反対に対向していることが好ましい。
【0077】
別のタイプのガイドは、特にピストン8における円形溝に収容された緩衝リングを介在させて、ガラスまたはサファイアなどで作られた透明な管20の内壁において、ピストン8を外側からガイドすることからなり、この緩衝リングは、この透明なチューブにおけるガイドを提供する。
【0078】
適用可能な5分間隔を判定するために、本発明による機構は、終了したばかりの5分間隔のピストン8のフラップ16を閉じ、開始したばかりの新たな5分間隔に対応するピストン8のフラップ16を開くことによって、対応するピストン8の解放を制御する。フラップ16の開口部は、好ましくは、連結ロッドアセンブリの反対側の、ピストン8の遠位端に位置し、視認性の高い色付きマーク140、たとえば赤色の表面、または反射材料で処理された表面、またはピストン8の外側との良好な視覚的コントラストを提供する他の任意の表面を見せる。この視覚的マーク14は、シリンダ30、またはその中に含まれる透明チューブ20が、目盛306を備える場合、5分間隔内の現在の分を判定するためのインデクスとして使用されることが明らかである。
【0079】
有利なことに、ピストン8は、ピストン本体15と、解放されたときに視覚的マーク14を見えるようにし、さもなければそれを隠し、ピストン本体15に対して制限された軸方向ストロークを有するフラップ16とを備える。フラップ16は、後述するフラップ制御機構によって解放されると、腕時計に対して半径方向外側に押される。フラップ16は係合されると、ピストン本体15に固定されたフック部分18に対してこのフラップ16を保持するジャンパ17を備える弾性機構によって適所に保持される。
【0080】
フラップ制御機構は、より具体的には、カム2を有し、腕時計1000のムーブメント200によって駆動され、1時間に1回転する分ホイールセット201、特に分リングまたはディスクを備える。このカム2は、カム2の残りの部分に含まれる下部トラック209の直径よりも大きい直径を有する上部トラック208を有する半径方向突起202を備え、半径方向突起202は、ランプ206によって結合される。カム2は、フィーラ19を半径方向に押すように配置され、フィーラ19は、各ピストン8に固有であり、構造900の、ミドルの、または腕時計ケースの固定部分にガイドされ、ピストン8を貫通し、作動中にフラップ16を押すように配置される。このフィーラ19は、カム2に保持されることを確実にするために、この同じ固定部分に当接するスプリングアーム190を有利に備える。5分の終了時に、フィーラ19は、カム2の突起202の上部トラック208を離れ、下部トラック209に戻り、スプリングアーム190がフィーラ19をムーブメントの中心に向かって押し戻し、フラップ16を解放する。
【0081】
ピストン8は、各5分間隔の終了時に、ピストン8がそれぞれのシリンダの底部に半径方向に到達し、ムーブメントの中心から最も離れた位置にあるときに係合する。したがって、ピストン8は、それぞれの連結ロッド4または連結ロッド5によって、ジャンパ17に抗してムーブメントの中心に向けて操作され、連結ロッドによるこの操作により、このピストン8のフラップ16を閉位置にリセットする。
【0082】
ムーブメント200は、1つのピニオン3が各時間本体30を駆動する、一連の時間ピニオン3を駆動する。たとえば、ムーブメント200は、環状ベアリングを備える中央真鍮ホイール309を駆動し、その真っ直ぐな内歯は、真っ直ぐな中間鋼ピニオン302と噛み合い、これらのピニオン302のおのおのは、円錐状の中間鋼ホイール304を支持する真っ直ぐな歯を有する真鍮プレート303と噛み合い、真鍮プレート303は、同じく鋼製の円錐状の時間ピニオン3と噛み合う、真っ直ぐな歯の鋼製45°設定ホイール305と噛み合う。時間本体30は、有利なことに、軽合金、たとえばアルミニウムまたはチタン合金で作られる。ピストン8およびフラップ16は、好ましくは、それらの接触面にDLCまたは同様のコーティングを施した鋼で作られる。
【0083】
これらの図は、時間本体30が剛性構造であり、特に金属でできているがこれに限定されない好ましい代替実施形態を示している。所与のシリンダ10に表示される時間の1つまたは複数の数字301を表す機械加工されたチューブは、優れた視認性を提供し、さらに従来の時計手段による時間ピニオン3への固定、すなわち、ねじ込み、リベット留め、打ち込み、または他の手段がより簡単である。前述のように、このまたはこれらの1つまたは複数の数字301は、ユーザのあらゆる疑いを取り除くことができるように、静的インデクス308と揃えられるように意図された視覚的な動的インデクス307によって有利に補足される。各時間ピニオン3は、好ましくは円錐状のピニオンであり、円錐状のホイール34と、ムーブメント200の中心軸Dに平行な軸で、直接、またはこの場合、図に示される45°傾斜した設定ホイール305を介して協働する。時間本体30とその時間ピニオン3によって形成されるブロックは、有利なことに、構造900に、またはミドルに、またはケースに固定されたボールベアリングブロック22によってガイドされ、これは、摩擦によって消費されるエネルギが少ないことを保証しながら、良好な位置決め精度を保証する。このボールベアリングブロック22は、時間本体30とその中に含まれるピストン8との両方を取り囲むために使用される、少なくとも部分的に透明なケーシング20と有利に組み合わされ、密閉的に当接する。
【0084】
上記の別の代替実施形態は、1つまたは複数の時間マークを有する透明な時間本体30に関し、視認性を損なわないように管の直径を十分に大きくできる時計などの静的な計時器により適しており、より具体的には、腕時計に、小さな半径を有する2つの同軸の透明な管状構造に複数の反射が存在すると、ピストンにおける他の分ディスプレイの読み取りと干渉する傾向がある。
【0085】
エネルギは、5分間隔の各変化中に、個別に消費されると理解される。残りの時間、余分なエネルギを管理する必要がある。
【0086】
図27に示される第1の代替実施形態によれば、最適なエネルギ管理のために、時計ムーブメント200を備える計時器1000は、並列および/または直列に複数のバレル50を有利に備え、その結果として生じるその単一の出力51は、増速列52に動力を供給し、増速列52は、少なくとも1つのクランクシャフト1に動力を供給し、クランクシャフト1は、定力デバイス53に動力を供給し、定力デバイス53は、振動子55と従来の方式で協働する脱進機54に動力を供給する。バレル50の平行化は、クランクシャフト1の高トルクを解放する。定力デバイス53は、調整器55のために知られている制御された最適な力を解放する。
【0087】
図28に示す第2の代替実施形態によれば、同じ目的のために、計時器1000は、2つのエネルギ回路を備え、一方はクランクシャフト1に動力を供給し、他方は発振器55に動力を供給する。少なくとも2つの第1のバレル501、すなわちバレルのグループが、並列配置され、第1の増速列56を介してディスプレイ機構100のクランクシャフト1に動力を供給し、一方、第1の増速列56は、幾何学的解放機構58の制御下で、第1の脱進機機構57によって調整される。少なくとも1つの独立した第2のバレル502、またはバレルのグループが、第2の増速列59および第2の脱進機機構54を介して振動子55に動力を供給する。第1の増速列56の幾何学的解放機構58は、発振器55によって調整される第2の増速列59に運動学的にリンクされ、調整される。第1の代替実施形態よりもわずかにより複雑であるこの解決策の利点は、腕時計の動作精度が、クランクシャフト1の動作によって妨げられないことを保証することである。
【0088】
本発明は、ここでは12個のシリンダ10を有する構成で説明されているが、所望されるディスプレイの性質に応じて、2つ、3つ、4つ、または6つのシリンダ、または別の数のような、異なる数のシリンダで実施できることが理解される。単一のシリンダに、第1のディスプレイと、第2のディスプレイとを有する同軸ディスプレイも可能である。
【0089】
また、追加のシリンダに、たとえば、ここで説明した時間/分ディスプレイ、昼/夜、またはAM/PMディスプレイに加えて、異なるディスプレイに専用の1つまたは複数のシリンダ10を備えていると推定することもできる。分ピストンおよび時間本体に同軸のケーシング20における昼/夜またはAM/PMディスプレイも可能であり、たとえば、シリンダ10は、その軸からその周囲まで、分ピストン8、時間本体30、昼/夜マーキング付きの透明ケーシング、およびAM/PMマーキング付きの別の透明ケーシングを備えることができる。
【0090】
午前中の表示に固有の色や装飾が、また夕方の表示に固有の色や装飾が施された、24時間ディスプレイも可能であり、したがって、時間に応じて区別されるディスプレイを有する、12個のシリンダ10も考えられる。
【0091】
言うまでもなく、第1のディスプレイ901と第2のディスプレイ902とを逆にする、したがって、第1のディスプレイが第2のディスプレイを取り囲むこともできる。
【0092】
透明な管状の二重ケーシングと、偏光子とを備えた1つの代替実施形態でも、特定のディスプレイを得ることができる。
【0093】
1つまたは複数のアクティブなシリンダ、この例では、時間シリンダと分シリンダとを照明することも考慮される。
【0094】
したがって、要約すると、本発明は、ムーブメントを囲むケースと、ケースの裏面とクリスタルとの間に配置されたディスプレイ機構とを備える腕時計に関する。このディスプレイ機構は、複数の独立したユニットディスプレイを備える。
【0095】
ケースは通常、ミドル、上部クリスタルを有するベゼル、および下部クリスタルを備えた、または備えていない裏面を備えている。
【0096】
移動中のユニットディスプレイはおのおの、ムーブメントを囲むメインチャンバと連通するユニットチャンバに収納され、ケースの密閉により、すべてのチャンバが密閉されることを保証する。これらのユニットディスプレイはおのおの、ケースの外延を形成する突起に収容され、各突起は、ユニットチャンバを備える。
【0097】
同じ時計変数のディスプレイは、これら複数のユニットディスプレイに細分化される。
【0098】
各ユニットチャンバは、エンジンシリンダに類似しており、これらの突起の1つによって形成されたこのユニットチャンバのケーシングは、ユーザが、対応するユニットディスプレイの位置を見ることができるように配置された少なくとも1つの透明部分を備える。各ユニットチャンバケーシングの透明部分は、計時器のクリスタル側にある。
【0099】
各ユニットディスプレイは、キャリッジ、またはシリンダ内を移動可能なエンジンピストン、または織機溝内のシャトルに類似しており、その固有のユニットチャンバ内を循環する。
【0100】
各ユニットディスプレイは、突起の内面に接触することなく、そのユニットチャンバ内を循環する。
【0101】
より具体的には、ユニットディスプレイは、ユニットディスプレイに固有のガイドサポート、回転中のユニットディスプレイが旋回するローラベアリング、または並進中のユニットディスプレイがそれに沿ってスライドするガイドロッドを有する。したがって、ユニットチャンバのケーシングの内面も、ユニットディスプレイの外面も、円筒状である必要はない。しかしながら、パフォーマンスに悪影響を与える可能性のある摩擦を防ぐために、大きな半径方向クリアランスを有する円筒状の設計は、費用対効果が高く、審美性にも優れている。
【0102】
このガイドサポートの支持構造は、ムーブメントの小型プレートと一体化される。
【0103】
各ユニットディスプレイは、そのユニットチャンバ内の線形的または回転の動きによってアニメーション化される。
【0104】
ユニットディスプレイは、星形、より具体的には、完全な、さらには360°の星形に配置される。より具体的には、それらはムーブメントの周りまたは上に配置される。
【0105】
計時器は、星の形状をした航空機のエンジン、または二重星(2つの星形の列が重なったもの)に類似しており、星の各枝は、1つまたは複数のユニットディスプレイを備えている。ユニットチャンバは、共通軸に対して半径方向に配置され、計時器の制御機構は、カム機構、および/または線形的な動きのためのクランクシャフトおよび連結ロッド、および/または回転の動きのための歯車列によって、異なるディスプレイホイールセットを駆動するためのホイールまたはロッドシステムを駆動する。
【0106】
ユニットチャンバは、互いにV字形に配置される。
【0107】
各ユニットディスプレイは、表示されている時計変数の全範囲の一部のみにインジケーションを与えるように配置される。各ユニットディスプレイは機能的に連続しており、それぞれが実際の情報を順番に表示する。
【0108】
所与の瞬間に、そのユニットチャンバにおける各ユニットディスプレイのストロークは、そのそれぞれのユニットチャンバにおける他のユニットディスプレイのストロークとは異なる。
【0109】
ユニットディスプレイは、それぞれのユニットチャンバ内で同期運動を有する。
【0110】
所与の瞬間に、単一のユニットディスプレイが、変数の実際の値を表示し、この目的のために、計時器は、各ユニットディスプレイに固有のディスプレイインジケータを、アクティブな位置または非アクティブな位置の間で操作する解放機構を備え、このディスプレイインジケータは、ユーザに表示され、変数の実際の値を表示しているユニットディスプレイを、ユーザが簡単かつ迅速に識別できるようにする。
【0111】
同じユニットチャンバは、互いに重ね合わされた、特に互いの内側に取り付けられた、異なるタイプの複数のユニットディスプレイを含むことができる。
【0112】
腕時計は、歯車列によってムーブメントから駆動される、時間を表示するための12個の穴あき、または透明な回転キャリッジを備えている。
【0113】
腕時計は、分を表示するために、クランクシャフトまたはカムシャフトシステムによって、ロッドシステムとカムによってムーブメントから駆動される線形的な動きピストンを備える。これらのピストンは、回転キャリッジの内部を循環し、ユーザは、各ピストンの縦方向の位置を見ることができる。
【0114】
したがって、所与の瞬間に、回転キャリッジは、ユーザに、すべての時間を読み取る可能性を提示し、デバイスは、どのシリンダが(5分間隔で)分を表示しているかを示し、対応するチャンバにおけるピストンの縦方向のストロークは、5分間隔内の分の読み取りを決定する。
【0115】
代替の実施形態によれば、計時器は、分を表示するための線形的な動きシャトルを備え、これらのシャトルは、ロッドシステムおよびカムによる動きから駆動される。これらのシャトルは、ユーザが各シャトルの縦方向の位置を見ることができるように、部分的に透明または穴の開いた回転キャリッジ内を循環する。さらに、各シャトルはディスプレイインジケータを覆うか、またはディスプレイインジケータによって覆われ、解放機構によって制御されて、シャトルに対して線形的なストロークを実行し、それがアクティブであるか、または非アクティブであるかをユーザに通知する。
【0116】
本発明は、腕時計と互換性のある合理的な全体寸法を有する、高度に動的で、信頼性が高く、読み易い、非常に複雑な機械式ディスプレイを製造することを可能にする。
図1
図2
図3
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図5
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