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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】電力変換システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240516BHJP
【FI】
H02M7/48 E
H02M7/48 M
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022560734
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(86)【国際出願番号】 JP2021039492
(87)【国際公開番号】W WO2022097538
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2020185917
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】梶原 慎介
(72)【発明者】
【氏名】木▲崎▼ 美桜
(72)【発明者】
【氏名】秋山 大河
(72)【発明者】
【氏名】末島 賢志
(72)【発明者】
【氏名】堀部 武史
(72)【発明者】
【氏名】池田 和正
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/056491(WO,A1)
【文献】特開2016-100991(JP,A)
【文献】国際公開第2015/050093(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/026764(WO,A1)
【文献】特開2013-207831(JP,A)
【文献】特開平09-163728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電力変換装置と、
前記複数の電力変換装置とシリアル通信系統により通信可能なマスタコントローラと、を備え、
前記マスタコントローラは、
前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記複数の電力変換装置から複数のフィードバック信号を受信し、
受信した前記複数のフィードバック信号に基づいて制御指令を生成し、
生成した前記制御指令と同一の制御指令を、前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記複数の電力変換装置に送信し、
前記複数の電力変換装置のそれぞれは、前記同一の制御指令に基づいて一次側から二次側への電力変換を行う、電力変換システム。
【請求項2】
前記複数の電力変換装置は、第1電力変換装置と、第1電力変換装置と前記シリアル通信系統により通信可能な第2電力変換装置とを含み、
前記マスタコントローラは、前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記同一の制御指令を前記第1電力変換装置に送信し、
前記第1電力変換装置は、前記マスタコントローラから受信した前記同一の制御指令を、前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により前記第2電力変換装置に送信する、請求項1記載の電力変換システム。
【請求項3】
前記複数の電力変換装置は、第1電力変換装置と、前記第1電力変換装置と前記シリアル通信系統により通信可能な第2電力変換装置とを含み、
前記複数のフィードバック信号は、前記第1電力変換装置からの第1フィードバック信号と、前記第2電力変換装置からの第2フィードバック信号とを含み、
前記第2電力変換装置は、前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記第2フィードバック信号を前記第1電力変換装置に送信し、
前記第1電力変換装置は、前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記第1フィードバック信号と、前記第2電力変換装置から受信した前記第2フィードバック信号とを前記マスタコントローラに送信する、請求項記載の電力変換システム。
【請求項4】
前記マスタコントローラは、前記シリアル通信系統とは別の開始指令系統によっても前記複数の電力変換装置と通信可能であり、
前記複数の電力変換装置のそれぞれは、前記同一の制御指令を受信した場合に、前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記同一の制御指令の受信通知を前記マスタコントローラに送信し、
前記マスタコントローラは、前記複数の電力変換装置の全てから前記受信通知を受信した場合に、前記開始指令系統により、前記複数の電力変換装置に開始指令を送信し、
前記複数の電力変換装置のそれぞれは、前記開始指令を受信した場合に、受信済みの前記同一の制御指令に基づく電力変換を開始する、請求項1又は2記載の電力変換システム。
【請求項5】
前記複数の電力変換装置は、前記開始指令系統により、前記マスタコントローラから前記開始指令を並列に受信する、請求項記載の電力変換システム。
【請求項6】
前記マスタコントローラは、前記シリアル通信系統とは別の異常通知系統によっても前記複数の電力変換装置と通信可能であり、前記シリアル通信系統及び前記異常通知系統とは別の停止指令系統によっても前記複数の電力変換装置と通信可能であり、
前記複数の電力変換装置のそれぞれは、前記異常通知系統により異常確認結果を前記マスタコントローラに送信し、
前記マスタコントローラは、前記複数の電力変換装置のいずれかに異常がある場合に、前記停止指令系統により、前記複数の電力変換装置に停止指令を送信し、
前記複数の電力変換装置のそれぞれは、前記停止指令を受信した場合に、前記二次側への電力出力を停止する、請求項1~のいずれか一項記載の電力変換システム。
【請求項7】
前記複数の電力変換装置は、前記停止指令系統により、前記マスタコントローラから前記停止指令を並列に受信する、請求項記載の電力変換システム。
【請求項8】
前記複数の電力変換装置のそれぞれは、前記異常通知系統が前記マスタコントローラに送信する異常確認信号に、前記異常確認結果を示す信号を合成し、前記マスタコントローラは、前記複数の電力変換装置のそれぞれの前記異常確認結果を示す信号が合成された前記異常確認信号を受信する、請求項記載の電力変換システム。
【請求項9】
前記マスタコントローラは、前記シリアル通信系統とは別の同期系統によっても前記複数の電力変換装置と通信可能であり、前記同期系統により、前記複数の電力変換装置に同期信号を送信し、
前記複数の電力変換装置のそれぞれは、前記同期信号を受信した場合に、前記同期信号にキャリア波を同期させ、前記キャリア波の周期で1以上のスイッチング素子のオン・オフを切り替えることで前記同一の制御指令に基づく電力変換を行う、請求項1~のいずれか一項記載の電力変換システム。
【請求項10】
前記複数の電力変換装置は、前記同期系統により、前記マスタコントローラから前記同期信号を並列に受信する、請求項記載の電力変換システム。
【請求項11】
前記マスタコントローラは、前記同一の制御指令として、同一の電圧指令を送信し、 前記複数の電力変換装置のそれぞれは、前記同一の電圧指令に対応する電圧を前記二次側に印加するように電力変換を行う、請求項1~10のいずれか一項記載の電力変換システム。
【請求項12】
前記マスタコントローラは、第2シリアル通信系統により第2マスタコントローラと更に通信可能であり、
前記マスタコントローラは、
プライマリモードとセカンダリモードとの間で動作モードを切り替えるように構成され、
前記プライマリモードにおいては、前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記同一の制御指令を前記複数の電力変換装置に送信し、前記第2シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記同一の制御指令を前記第2マスタコントローラに送信し、
前記セカンダリモードにおいては、前記第2シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記第2マスタコントローラから前記同一の制御指令を受信し、受信した前記同一の制御指令を、前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により前記複数の電力変換装置に送信する、請求項1~11のいずれか一項記載の電力変換システム。
【請求項13】
前記マスタコントローラは、
前記プライマリモードにおいては、前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記複数の電力変換装置から前記複数のフィードバック信号として第1グループのフィードバック信号を受信し、前記第2シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記第2マスタコントローラから第2グループのフィードバック信号を受信し、前記第1グループのフィードバック信号及び前記第2グループのフィードバック信号に基づいて前記同一の制御指令を生成し、
前記セカンダリモードにおいては、前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記複数の電力変換装置から複数のフィードバック信号を受信し、受信した複数のフィードバック信号を、前記第2シリアル通信系統を介したシリアル通信により前記第2マスタコントローラに送信する、請求項12記載の電力変換システム。
【請求項14】
第2グループの電力変換装置と、
第2シリアル通信系統により前記マスタコントローラと通信可能であり、第3シリアル通信系統により前記第2グループの電力変換装置と通信可能な第2マスタコントローラと、を更に備え、
前記マスタコントローラは、前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により前記同一の制御指令を前記複数の電力変換装置である第1グループの電力変換装置に送信し、前記第2シリアル通信系統を介したシリアル通信により前記同一の制御指令を前記第2マスタコントローラに送信し、
前記第2マスタコントローラは、前記マスタコントローラから前記同一の制御指令を受信し、受信した前記同一の制御指令を、前記第3シリアル通信系統を介したシリアル通信により前記第2グループの電力変換装置に送信する、請求項1~13のいずれか一項記載の電力変換システム。
【請求項15】
前記第2マスタコントローラは、前記第3シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記第2グループの電力変換装置から第2グループのフィードバック信号を受信し、受信した前記第2グループのフィードバック信号を、前記第2シリアル通信系統を介したシリアル通信により前記マスタコントローラに送信し、
前記マスタコントローラは、前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記第1グループの電力変換装置から前記複数のフィードバック信号として第1グループのフィードバック信号を受信し、前記第2シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記第2マスタコントローラから前記第2グループのフィードバック信号を受信し、前記第1グループのフィードバック信号と、前記第2グループのフィードバック信号とに基づいて前記同一の制御指令を生成する、請求項14記載の電力変換システム。
【請求項16】
複数の電力変換装置と、
通信系統と、前記通信系統とは別の開始指令系統とにより前記複数の電力変換装置と通信可能なマスタコントローラと、を備え、
前記マスタコントローラは、前記通信系統を介して前記複数の電力変換装置に同一の制御指令を送信し、
前記複数の電力変換装置のそれぞれは、前記同一の制御指令を受信した場合に、前記通信系統を介して前記同一の制御指令の受信通知を前記マスタコントローラに送信し、
前記マスタコントローラは、前記複数の電力変換装置の全てから前記受信通知を受信した場合に、前記開始指令系統により、前記複数の電力変換装置に開始指令を送信し、
前記複数の電力変換装置のそれぞれは、前記開始指令を受信した場合に、受信済みの前記同一の制御指令に基づく電力変換を開始する、電力変換システム。
【請求項17】
前記複数の電力変換装置は、第1電力変換装置と、第1電力変換装置と前記通信系統により通信可能な第2電力変換装置とを含み、
前記マスタコントローラは、前記通信系統により、前記同一の制御指令を前記第1電力変換装置に送信し、
前記第1電力変換装置は、前記マスタコントローラから受信した前記同一の制御指令を、前記通信系統により前記第2電力変換装置に送信する、請求項16記載の電力変換システム。
【請求項18】
前記マスタコントローラは、前記通信系統により、前記複数の電力変換装置から複数のフィードバック信号を受信し、受信した前記複数のフィードバック信号に基づいて前記同一の制御指令を生成する、請求項16記載の電力変換システム。
【請求項19】
前記複数の電力変換装置は、第1電力変換装置と、前記第1電力変換装置と前記通信系統により通信可能な第2電力変換装置とを含み、
前記複数のフィードバック信号は、前記第1電力変換装置からの第1フィードバック信号と、前記第2電力変換装置からの第2フィードバック信号とを含み、
前記第2電力変換装置は、前記通信系統により、前記第2フィードバック信号を前記第1電力変換装置に送信し、
前記第1電力変換装置は、前記通信系統により、前記第1フィードバック信号と、前記第2電力変換装置から受信した前記第2フィードバック信号とを前記マスタコントローラに送信する、請求項18記載の電力変換システム。
【請求項20】
複数の電力変換装置と、
シリアル通信系統と、前記シリアル通信系統とは別の異常通知系統と、前記シリアル通信系統及び前記異常通知系統とは別の停止指令系統とによって前記複数の電力変換装置と通信可能なマスタコントローラと、を備え、
前記マスタコントローラは、前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記複数の電力変換装置に同一の制御指令を送信し、
前記複数の電力変換装置のそれぞれは、前記同一の制御指令に基づいて一次側から二次側への電力変換を行い、
前記複数の電力変換装置のそれぞれは、前記異常通知系統により異常確認結果を前記マスタコントローラに送信し、
前記マスタコントローラは、前記複数の電力変換装置のいずれかに異常がある場合に、前記停止指令系統により、前記複数の電力変換装置に停止指令を送信し、
前記複数の電力変換装置のそれぞれは、前記停止指令を受信した場合に、前記二次側への電力出力を停止する、電力変換システム。
【請求項21】
複数の電力変換装置と、
前記複数の電力変換装置とシリアル通信系統により通信可能なマスタコントローラと、を備え、
前記マスタコントローラは、前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記複数の電力変換装置に同一の制御指令を送信し、
前記複数の電力変換装置のそれぞれは、前記同一の制御指令に基づいて一次側から二次側への電力変換を行う、電力変換システム。
前記マスタコントローラは、
第2シリアル通信系統により第2マスタコントローラと更に通信可能であり、
プライマリモードとセカンダリモードとの間で動作モードを切り替えるように構成され、
前記プライマリモードにおいては、前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記同一の制御指令を前記複数の電力変換装置に送信し、前記第2シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記同一の制御指令を前記第2マスタコントローラに送信し、
前記セカンダリモードにおいては、前記第2シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記第2マスタコントローラから前記同一の制御指令を受信し、受信した前記同一の制御指令を、前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により前記複数の電力変換装置に送信する、電力変換システム。
【請求項22】
複数の電力変換装置と、
前記複数の電力変換装置とシリアル通信系統により通信可能なマスタコントローラと、
第2グループの電力変換装置と、
第2シリアル通信系統により前記マスタコントローラと通信可能であり、第3シリアル通信系統により前記第2グループの電力変換装置と通信可能な第2マスタコントローラと、を備え、
前記マスタコントローラは、
前記シリアル通信系統を介したシリアル通信により、前記複数の電力変換装置に同一の制御指令を送信し、
前記第2シリアル通信系統を介したシリアル通信により前記同一の制御指令を前記第2マスタコントローラに送信し、
前記複数の電力変換装置のそれぞれは、前記同一の制御指令に基づいて一次側から二次側への電力変換を行い、
前記第2マスタコントローラは、前記マスタコントローラから前記同一の制御指令を受信し、受信した前記同一の制御指令を、前記第3シリアル通信系統を介したシリアル通信により前記第2グループの電力変換装置に送信する、電力変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータに接続されたマスターインバータと、半二重通信回線を介してマスターインバータに接続されると共に、モータに対してマスターインバータと並列に接続された1以上のスレーブインバータと、を備えるインバータシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2013/190609号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、装置構成のフレキシビリティと、制御の信頼性との両立に有効な電力変換システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る電力変換システムは、複数の電力変換装置と、複数の電力変換装置とシリアル通信系統により通信可能なマスタコントローラと、を備え、マスタコントローラは、シリアル通信系統を介したシリアル通信により、複数の電力変換装置に同一の制御指令を送信し、複数の電力変換装置のそれぞれは、同一の制御指令に基づいて一次側電力から二次側電力への電力変換を行う。
【0006】
本開示の他の側面に係る電力変換システムは、 複数の電力変換装置と、通信系統と、通信系統とは別の開始指令系統とにより複数の電力変換装置と通信可能なマスタコントローラと、を備え、マスタコントローラは、通信系統を介して複数の電力変換装置に同一の制御指令を送信し、複数の電力変換装置のそれぞれは、同一の制御指令を受信した場合に、シリアル通信系統を介して同一の制御指令の受信通知をマスタコントローラに送信し、マスタコントローラは、複数の電力変換装置の全てから受信通知を受信した場合に、開始指令系統により、複数の電力変換装置に開始指令を送信し、複数の電力変換装置のそれぞれは、開始指令を受信した場合に、受信済みの同一の制御指令に基づく電力変換を開始する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、装置構成のフレキシビリティと、制御の信頼性との両立に有効な電力変換システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電力変換システムの概略構成を例示する模式図である。
図2】マスタコントローラの構成を例示する模式図である。
図3】電力変換装置の構成を例示する模式図である。
図4】シリアル通信回路の機能的な構成を例示するブロック図である。
図5】シリアル通信回路の機能的な構成を例示するブロック図である。
図6】マスタ-マスタ間のシリアル通信による情報の流れを例示するブロック図である。
図7】マスタ-スレーブ間のシリアル通信による情報の流れを例示するブロック図である。
図8】開始指令通信回路の機能的な構成を例示するブロック図である。
図9】異常信号通信回路の機能的な構成を例示するブロック図である。
図10】停止指令通信回路の機能的な構成を例示するブロック図である。
図11】同期信号通信回路の機能的な構成を例示するブロック図である。
図12】プライマリモードのマスタ制御手順を例示するフローチャートである。
図13】セカンダリモードのマスタ制御手順を例示するフローチャートである。
図14】スレーブ制御手順を例示するフローチャートである。
図15】プライマリモードの同期信号送信手順を例示するフローチャートである。
図16】セカンダリモードの同期信号送信手順を例示するフローチャートである。
図17】キャリア補正手順を例示するフローチャートである。
図18】異常確認結果の送信手順を例示するフローチャートである。
図19】異常確認結果の転送手順を例示するフローチャートである。
図20】異常確認結果に基づく停止指令送信手順を例示するフローチャートである。
図21】停止制御手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
〔電力変換システム〕
図1に示す電力変換システムは、複数の電力変換装置をマスタコントローラで一括制御することで、一次側電力を二次側電力に変換するシステムである。このように、複数の電力変換装置をマスタコントローラで一括制御する構成は、制御の信頼性向上に有効である。
【0011】
二次側電力に対するより多様なニーズに対応するために、マスタコントローラにより一括制御する電力変換装置の台数を柔軟に変更できることが望ましい。これに対し、電力変換システム1は、複数の電力変換装置20と、複数の電力変換装置20とシリアル通信系統により通信可能なマスタコントローラ10と、を備え、マスタコントローラ10は、シリアル通信系統を介したシリアル通信により、複数の電力変換装置20に同一の制御指令を送信し、複数の電力変換装置20のそれぞれは、同一の制御指令に基づいて一次側電力から二次側電力への電力変換を行う。一次側電力は及び二次側電力は、交流電力であってもよく、直流電力であってもよい。一例として、一次側電力及び二次側電力は、いずれも三相交流電力である。
【0012】
マスタコントローラ10から電力変換装置20への同一の制御指令の送信にシリアル通信系統を用いることで、電力変換装置20の数のフレキシビリティを向上させることができる。従って、電力変換システム1は、装置構成のフレキシビリティと、制御の信頼性との両立に有効である。制御指令は、例えば二次側電圧に対する電圧指令であってもよく、二次側電流に対する電流指令であってもよい。
【0013】
シリアル通信系統は、マスタコントローラ10と複数の電力変換装置20との間においてシリアルデータの送受信を行う系統である。シリアル通信系統は、有線式であってもよいし、無線式であってもよい。有線式のシリアル通信系統は、1以上の通信ラインにより構成される。無線式のシリアル通信系統は、所定の周波数帯域の無線信号の送受信機により構成される。
【0014】
複数の電力変換装置20は、第1電力変換装置と、第1電力変換装置とシリアル通信系統により通信可能な第2電力変換装置とを含み、マスタコントローラ10は、シリアル通信系統を介したシリアル通信により、同一の制御指令を第1電力変換装置に送信し、第1電力変換装置は、マスタコントローラ10から受信した同一の制御指令を、シリアル通信系統を介したシリアル通信により第2電力変換装置に送信してもよい。
【0015】
マスタコントローラ10は、シリアル通信系統を介したシリアル通信により、複数の電力変換装置20からフィードバック信号を受信し、受信したフィードバック信号に基づいて同一の制御指令を生成してもよい。フィードバック信号は、例えば電力変換装置20の二次側の状態を表す信号である。電力変換装置20の二次側の状態を表す信号の具体例としては、二次側電流の検出値等が挙げられる。フィードバック信号に基づいて同一の制御指令を生成することの具体例として、マスタコントローラ10は、二次側電流に基づいて電圧指令を生成してもよい。
【0016】
複数の電力変換装置20は、第1電力変換装置と、第1電力変換装置とシリアル通信系統により通信可能な第2電力変換装置とを含み、第2電力変換装置は、シリアル通信系統を介したシリアル通信により、第2フィードバック信号を第1電力変換装置に送信し、第1電力変換装置は、シリアル通信系統を介したシリアル通信により、第1フィードバック信号と、第2電力変換装置から受信した第2フィードバック信号とをマスタコントローラ10に送信してもよい。電力変換システム1は、複数の電力変換装置20と、マスタコントローラ10とを収容する筐体91を更に備えていてもよい。
【0017】
複数の電力変換装置20をマスタコントローラ10で一括制御する構成においては、同一の制御指令に応じた電力変換を、複数の電力変換装置20に同時に開始させることが求められる場合がある。例えば、複数の電力変換装置20から一つの負荷に電力を供給する場合、複数の電力変換装置20間の循環電流を抑制するために、同一の制御指令に応じた電力変換を、複数の電力変換装置20に同時に開始させることが求められる。
【0018】
しかしながら、データ通信(例えば上記シリアル通信)においては、マスタコントローラ10からの同一の制御指令を、複数の電力変換装置20に同時に受信させるのが困難な場合がある。これに対し、マスタコントローラ10は、通信系統(例えば上記シリアル通信系統)を介して複数の電力変換装置20に同一の制御指令を送信し、複数の電力変換装置20のそれぞれは、同一の制御指令を受信した場合に、上記通信系統を介して同一の制御指令の受信通知をマスタコントローラ10に送信し、マスタコントローラ10は、複数の電力変換装置20の全てから受信通知を受信した場合に、通信系統とは別の開始指令系統により、複数の電力変換装置20に開始指令を送信し、複数の電力変換装置20のそれぞれは、開始指令を受信した場合に、受信済みの同一の制御指令に基づく電力変換を開始してもよい。これにより、全ての電力変換装置20が同一の制御指令を受信するのを待って、同一の制御指令に基づく電力変換を一斉に開始させることができる。
【0019】
一例として、マスタコントローラ10は、マスタ-スレーブコネクタCN10と、マスタ-スレーブコネクタCN20とを有する。マスタ-スレーブコネクタCN10,CN20は、電力変換装置20との通信用のコネクタである。複数の電力変換装置20のそれぞれは、上位コネクタCN40と、下位コネクタCN50とを有する。上位コネクタCN40は、マスタコントローラ10との通信用のコネクタである。下位コネクタCN50は、他の電力変換装置20をマスタコントローラ10に対し中継するためのコネクタである。
【0020】
上位コネクタCN40は、マスタコントローラ10のマスタ-スレーブコネクタCN10又はマスタ-スレーブコネクタCN20に対し、マスタースレーブケーブルCA10により接続可能である。上位コネクタCN40がマスタ-スレーブコネクタCN10又はマスタ-スレーブコネクタCN20に接続されることによって、マスタコントローラ10と電力変換装置20との間に有線式のシリアル通信系統が構成される。
【0021】
上位コネクタCN40は、他の電力変換装置20の下位コネクタCN50に対しても接続可能である。電力変換装置20の上位コネクタCN40が、他の電力変換装置20の下位コネクタCN50に接続される場合、当該他の電力変換装置20を「上位の電力変換装置20」という。電力変換装置20の下位コネクタCN50が、他の電力変換装置20の上位コネクタCN40に接続される場合、当該他の電力変換装置20を「下位の電力変換装置20」という。
【0022】
電力変換装置20の上位コネクタCN40が上位の電力変換装置20の下位コネクタCN50に接続されることによって、上位の電力変換装置20との間に有線式のシリアル通信系統が構成され、上位の電力変換装置20とシリアル通信系統を介したシリアル通信を行うことが可能となる。電力変換装置20の下位コネクタCN50が下位の電力変換装置20の上位コネクタCN40に接続されることによって、下位の電力変換装置20との間に有線式のシリアル通信系統が構成され、下位の電力変換装置20とシリアル通信系統を介したシリアル通信を行うことが可能となる。
【0023】
この構成により、マスタ-スレーブコネクタCN10,CN20のそれぞれに対し、複数の電力変換装置20を連ねることが可能となっている。図示の例において、マスタ-スレーブコネクタCN10,CN20のそれぞれに対して連ねることが可能な電力変換装置20の数は3台となっている。
【0024】
一例として、図1は、マスタ-スレーブコネクタCN10に3台の電力変換装置20が連なり、マスタ-スレーブコネクタCN20に3台の電力変換装置20が連なっている場合を例示している。以下、マスタ-スレーブコネクタCN10に連なる3台の電力変換装置20を、電力変換装置21A,21B,21Cとして互いに区別する。また、マスタ-スレーブコネクタCN20に連なる3台の電力変換装置20を、電力変換装置21D,21E,21Fとして互いに区別する。マスタコントローラ10と、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fとは、一つの筐体91に収容されている。
【0025】
電力変換装置21A,21B,21Cにおいて、電力変換装置21A(第1電力変換装置)の上位コネクタCN40は、マスタースレーブケーブルCA10によりマスタコントローラ10のマスタ-スレーブコネクタCN10に接続されている。電力変換装置21B(第2電力変換装置)の上位コネクタCN40は、マスタースレーブケーブルCA10により電力変換装置21Aの下位コネクタCN50に接続されている。電力変換装置21C(第2電力変換装置)の上位コネクタCN40は、マスタースレーブケーブルCA10により電力変換装置21Bの下位コネクタCN50に接続されている。
【0026】
電力変換装置21D,21E,21Fにおいて、電力変換装置21D(第1電力変換装置)の上位コネクタCN40は、マスタースレーブケーブルCA10によりマスタコントローラ10のマスタ-スレーブコネクタCN20に接続されている。電力変換装置21E(第2電力変換装置)の上位コネクタCN40は、マスタースレーブケーブルCA10により電力変換装置21Dの下位コネクタCN50に接続されている。電力変換装置21F(第2電力変換装置)の上位コネクタCN40は、マスタースレーブケーブルCA10により電力変換装置21Eの下位コネクタCN50に接続されている。
【0027】
以上の接続関係により、マスタコントローラ10と、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fとの間にシリアル通信系統CS01が構成され、マスタコントローラ10がシリアル通信系統CS01により電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fと通信可能となっている。
【0028】
マスタコントローラ10は、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fに同一の制御指令を送信する。例えばマスタコントローラ10は、マスタ-スレーブコネクタCN10から電力変換装置21Aに制御指令を送信する。電力変換装置21Aは、マスタコントローラ10から受信した制御指令を、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により電力変換装置21Bに送信する。これにより、マスタコントローラ10から、シリアル通信系統CS01を介して、電力変換装置21A,21Bに同一の制御指令が送信されることとなる。電力変換装置21Bは、電力変換装置21Aから受信した制御指令を、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により電力変換装置21Cに送信する。これにより、マスタコントローラ10から、シリアル通信系統CS01を介して、電力変換装置21A,21B21Cに同一の制御指令が送信されることとなる。
【0029】
マスタコントローラ10は、電力変換装置21Aに送信する制御指令と同一の制御指令を、マスタ-スレーブコネクタCN20から電力変換装置21Dに送信する。電力変換装置21Dは、マスタコントローラ10から受信した制御指令を、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により電力変換装置21Eに送信する。これにより、マスタコントローラ10から、シリアル通信系統CS01を介して、電力変換装置21D,21Eに同一の制御指令が送信されることとなる。電力変換装置21Eは、電力変換装置21Dから受信した制御指令を、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により電力変換装置21Fに送信する。これにより、マスタコントローラ10から、シリアル通信系統CS01を介して、電力変換装置21D,21E,21Fに同一の制御指令が送信されることとなる。
【0030】
マスタコントローラ10は、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fから複数のフィードバック信号を受信する。例えば電力変換装置21Cは、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、自装置のフィードバック信号を電力変換装置21Bに送信する。電力変換装置21Bは、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、自装置のフィードバック信号と、電力変換装置21Cから受信したフィードバック信号とを電力変換装置21Aに送信する。電力変換装置21Aは、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、自装置のフィードバック信号と、電力変換装置21Bから受信したフィードバック信号とをマスタコントローラ10に送信する。これにより、電力変換装置21A,21B,21Cからのフィードバック信号が、マスタ-スレーブコネクタCN10を介してマスタコントローラ10に受信されることとなる。
【0031】
電力変換装置21Fは、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、自装置のフィードバック信号を電力変換装置21Eに送信する。電力変換装置21Eは、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、自装置のフィードバック信号と、電力変換装置21Fから受信したフィードバック信号とを電力変換装置21Dに送信する。電力変換装置21Dは、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、自装置のフィードバック信号と、電力変換装置21Eから受信したフィードバック信号とをマスタコントローラ10に送信する。これにより、電力変換装置21D,21E,21Fからのフィードバック信号が、マスタ-スレーブコネクタCN20を介してマスタコントローラ10に受信されることとなる。
【0032】
マスタコントローラ10は、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fから受信したフィードバック信号に基づいて同一の制御指令を生成し、生成した同一の制御指令を、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fに送信する。
【0033】
電力変換システム1は、第2グループの複数の電力変換装置20と、第3シリアル通信系統により第2グループの複数の電力変換装置20と通信可能なマスタコントローラ10と、を更に備えてもよい。以下、シリアル通信系統により複数の電力変換装置20と通信可能な上述のマスタコントローラ10をマスタコントローラ11とし、第3シリアル通信系統により第2グループの複数の電力変換装置20と通信可能なマスタコントローラ10をマスタコントローラ12として、互いに区別する。
【0034】
マスタコントローラ12(第2マスタコントローラ)は、第2シリアル通信系統によりマスタコントローラ11と通信可能であってもよい。マスタコントローラ11は、シリアル通信系統を介したシリアル通信により複数の電力変換装置20に同一の制御指令を送信し、第2シリアル通信系統を介したシリアル通信により同一の制御指令をマスタコントローラ12に送信し、マスタコントローラ12は、マスタコントローラ11から同一の制御指令を受信し、受信した同一の制御指令を、第3シリアル通信系統を介したシリアル通信により第2グループの複数の電力変換装置20に送信してもよい。
【0035】
マスタコントローラ12は、第3シリアル通信系統を介したシリアル通信により、第2グループの複数の電力変換装置20から第2グループのフィードバック信号を受信し、受信した第2グループのフィードバック信号を、第2シリアル通信系統を介したシリアル通信によりマスタコントローラ11に送信し、マスタコントローラ11は、シリアル通信系統を介したシリアル通信により、複数の電力変換装置20から第1グループのフィードバック信号を受信し、第2シリアル通信系統を介したシリアル通信により、マスタコントローラ12から第2グループのフィードバック信号を受信し、第1グループのフィードバック信号と、第2グループのフィードバック信号とに基づいて同一の制御指令を生成してもよい。第2シリアル通信系統及び第3シリアル通信系統は、有線式であってもよいし、無線式であってもよい。
【0036】
一例として、図1は、マスタコントローラ12のマスタ-スレーブコネクタCN10には、第2グループの3台の電力変換装置20が連なり、マスタコントローラ12のマスタ-スレーブコネクタCN20には、第2グループの3台の電力変換装置20が連なっている場合を例示している。以下、マスタコントローラ12のマスタ-スレーブコネクタCN10に連なる3台の電力変換装置20を、電力変換装置22A,22B,22Cとして互いに区別する。また、マスタコントローラ12のマスタ-スレーブコネクタCN20に連なる3台の電力変換装置20を、電力変換装置22D,22E,22Fとして互いに区別する。マスタコントローラ12と、電力変換装置22A,22B,22C,22D,22E,22Fとは、一つの筐体92に収容されている。
【0037】
電力変換装置22A,22B,22Cにおいて、電力変換装置22A(第1電力変換装置)の上位コネクタCN40は、マスタースレーブケーブルCA10によりマスタコントローラ12のマスタ-スレーブコネクタCN10に接続されている。電力変換装置22B(第2電力変換装置)の上位コネクタCN40は、マスタースレーブケーブルCA10により電力変換装置22Aの下位コネクタCN50に接続されている。電力変換装置22C(第2電力変換装置)の上位コネクタCN40は、マスタースレーブケーブルCA10により電力変換装置22Bの下位コネクタCN50に接続されている。
【0038】
電力変換装置22D,22E,22Fにおいて、電力変換装置22D(第1電力変換装置)の上位コネクタCN40は、マスタースレーブケーブルCA10によりマスタコントローラ12のマスタ-スレーブコネクタCN20に接続されている。電力変換装置22E(第2電力変換装置)の上位コネクタCN40は、マスタースレーブケーブルCA10により電力変換装置22Dの下位コネクタCN50に接続されている。電力変換装置22F(第2電力変換装置)の上位コネクタCN40は、マスタースレーブケーブルCA10により電力変換装置22Eの下位コネクタCN50に接続されている。
【0039】
以上の接続関係により、マスタコントローラ12と、電力変換装置22A,22B,22C,22D,22E,22Fとの間に第3シリアル通信系統CS03が構成され、マスタコントローラ12が第3シリアル通信系統CS03により電力変換装置22A,22B,22C,22D,22E,22Fと通信可能となっている。
【0040】
マスタコントローラ11,12のそれぞれは、マスタ-マスタコネクタCN30を更に有する。マスタ-マスタコネクタCN30は、マスタコントローラ10間の通信用のコネクタである。マスタコントローラ12のマスタ-マスタコネクタCN30は、マスタ-マスタケーブルCA20によりマスタコントローラ11のマスタ-マスタコネクタCN30に接続されている。これにより、マスタコントローラ12とマスタコントローラ11との間に第2シリアル通信系統CS02が構成され、マスタコントローラ12が第2シリアル通信系統CS02によりマスタコントローラ11と通信可能となっている。
【0041】
マスタコントローラ11は、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信により同一の制御指令(電力変換装置21Aに送信する制御指令と同一の制御指令)をマスタコントローラ12に送信する。マスタコントローラ12は、マスタ-マスタコネクタCN30を介してマスタコントローラ11から同一の制御指令を受信し、受信した同一の制御指令を、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により電力変換装置22A,22B,22C,22D,22E,22Fに送信する。
【0042】
例えばマスタコントローラ12は、マスタ-スレーブコネクタCN10から電力変換装置22Aに同一の制御指令を送信する。電力変換装置22Aは、マスタコントローラ12から受信した制御指令を、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により電力変換装置22Bに送信する。これにより、マスタコントローラ12から、第3シリアル通信系統CS03を介して、電力変換装置22A,22Bに同一の制御指令が送信されることとなる。電力変換装置22Bは、電力変換装置22Aから受信した制御指令を、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により電力変換装置22Cに送信する。これにより、マスタコントローラ12から、第3シリアル通信系統CS03を介して、電力変換装置22A,22B,22Cに同一の制御指令が送信されることとなる。
【0043】
同様に、マスタコントローラ12は、マスタ-スレーブコネクタCN20から電力変換装置22Dに同一の制御指令を送信する。電力変換装置22Dは、マスタコントローラ12から受信した制御指令を、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により電力変換装置22Eに送信する。これにより、マスタコントローラ12から、第3シリアル通信系統CS03を介して、電力変換装置22D,22Eに同一の制御指令が送信されることとなる。電力変換装置22Eは、電力変換装置22Dから受信した制御指令を、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により電力変換装置22Fに送信する。これにより、マスタコントローラ12から、第3シリアル通信系統CS03を介して、電力変換装置22D,22E,22Fに同一の制御指令が送信されることとなる。
【0044】
マスタコントローラ12は、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、電力変換装置22A,22B,22C,22D,22E,22Fから複数のフィードバック信号を受信する。例えば電力変換装置22Cは、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、自装置のフィードバック信号を電力変換装置22Bに送信する。電力変換装置22Bは、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、自装置のフィードバック信号と、電力変換装置22Cから受信したフィードバック信号とを電力変換装置22Aに送信する。電力変換装置22Aは、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、自装置のフィードバック信号と、電力変換装置22Bから受信したフィードバック信号とをマスタコントローラ12に送信する。これにより、電力変換装置22A,22B,22Cからのフィードバック信号が、マスタ-スレーブコネクタCN10を介してマスタコントローラ12に受信されることとなる。
【0045】
電力変換装置22Fは、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、自装置のフィードバック信号を電力変換装置22Eに送信する。電力変換装置22Eは、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、自装置のフィードバック信号と、電力変換装置22Fから受信したフィードバック信号とを電力変換装置22Dに送信する。電力変換装置22Dは、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、自装置のフィードバック信号と、電力変換装置22Eから受信したフィードバック信号とをマスタコントローラ12に送信する。これにより、電力変換装置22D,22E,22Fからのフィードバック信号が、マスタ-スレーブコネクタCN20を介してマスタコントローラ12に受信されることとなる。
【0046】
マスタコントローラ12は、電力変換装置22A,22B,22C,22D,22E,22Fから受信した第2グループのフィードバック信号を、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信によりマスタコントローラ11に送信する。
【0047】
マスタコントローラ11は、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fから第1グループのフィードバック信号を受信し、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信により、マスタコントローラ12から第2グループのフィードバック信号を受信し、第1グループのフィードバック信号と、第2グループのフィードバック信号とに基づいて同一の制御指令を生成する。
【0048】
マスタコントローラ11は、生成した同一の制御指令を、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fに送信し、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信により、マスタコントローラ12に送信する。マスタコントローラ12は、マスタコントローラ11から受信した同一の制御指令を、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、電力変換装置22A,22B,22C,22D,22E,22Fに送信する。
【0049】
上述したマスタコントローラ11,12のいずれとしても機能し得るように、マスタコントローラ10は、プライマリモードとセカンダリモードとの間で動作モードを切り替えるように構成されていてもよい。例えばマスタコントローラ10は、ユーザの設定に基づいて、プライマリモードとセカンダリモードとを切り替える。プライマリモードは、マスタコントローラ10を上記マスタコントローラ11として機能させるモードであり、セカンダリモードは、マスタコントローラ10を上記マスタコントローラ12として機能させるモードである。
【0050】
プライマリモードにおいて、マスタコントローラ10は、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、複数の電力変換装置20に同一の制御指令を送信し、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信により、同一の制御指令をマスタコントローラ12(第2マスタコントローラ)に送信する。セカンダリモードにおいて、マスタコントローラ10は、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信により、マスタコントローラ11(第2マスタコントローラ)から同一の制御指令を受信し、受信した同一の制御指令を、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により複数の電力変換装置20に送信する。
【0051】
マスタコントローラ10は、プライマリモードにおいて、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、複数の電力変換装置20から第1グループのフィードバック信号を受信し、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信により、マスタコントローラ12(第2マスタコントローラ)から第2グループのフィードバック信号を受信し、第1グループのフィードバック信号及び第2グループのフィードバック信号に基づいて同一の制御指令を生成してもよい。
【0052】
マスタコントローラ10は、セカンダリモードにおいて、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、第2グループの複数の電力変換装置20からフィードバック信号を受信し、受信したフィードバック信号を、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信によりマスタコントローラ11(第2マスタコントローラ)に送信してもよい。
【0053】
図2は、マスタコントローラ10の構成を例示する模式図である。図2に示すように、マスタコントローラ10は、上述したマスタ-スレーブコネクタCN10,CN20と、マスタ-マスタコネクタCN30とに加え、マスタ制御回路100を更に有する。
【0054】
マスタ-スレーブコネクタCN10は、シリアル通信ポートCN11を含む。マスタ-スレーブコネクタCN20は、シリアル通信ポートCN21を含む。マスタースレーブケーブルCA10は、シリアル通信ポートCN11,CN21に接続されるシリアル通信ラインCA11を含む。シリアル通信ポートCN11,CN21と、シリアル通信ラインCA11とは、シリアル通信系統CS01又は第3シリアル通信系統CS03の少なくとも一部を構成する。
【0055】
マスタ-マスタコネクタCN30は、シリアル通信ポートCN31を含む。マスタ-マスタケーブルCA20は、シリアル通信ポートCN31に接続されるシリアル通信ラインCA21を含む。シリアル通信ポートCN31と、シリアル通信ラインCA21とは、第2シリアル通信系統CS02の少なくとも一部を構成する。
【0056】
マスタ制御回路100は、プロセッサ111と、メモリ112と、ストレージ113と、シリアル通信回路114とを有する。シリアル通信回路114は、マスタ-スレーブコネクタCN10のシリアル通信ポートCN11と、マスタ-スレーブコネクタCN20のシリアル通信ポートCN21と、マスタ-マスタコネクタCN30のシリアル通信ポートCN31とに接続されている。
【0057】
プライマリモードのマスタコントローラ11において、シリアル通信回路114は、シリアル通信ポートCN11,CN21を介してシリアル通信系統CS01に接続され、シリアル通信系統CS01を介して複数の電力変換装置20とシリアル通信を行う。また、シリアル通信回路114は、シリアル通信ポートCN31を介して第2シリアル通信系統CS02に接続され、第2シリアル通信系統CS02を介してマスタコントローラ12とシリアル通信を行う。
【0058】
セカンダリモードのマスタコントローラ12において、シリアル通信回路114は、シリアル通信ポートCN11,CN21を介して第3シリアル通信系統CS03に接続され、第3シリアル通信系統CS03を介して複数の電力変換装置20とシリアル通信を行う。また、シリアル通信回路114は、シリアル通信ポートCN31を介して第2シリアル通信系統CS02に接続され、第2シリアル通信系統CS02を介してマスタコントローラ11とシリアル通信を行う。
【0059】
ストレージ113は、例えば不揮発性の半導体メモリ、又はハードディスクドライブ等、コンピュータによって読み取り可能な1以上の記憶媒体を有する。ストレージ113は、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、制御指令をシリアル通信回路114から複数の電力変換装置20に送信することをマスタ制御回路100に実行させるプログラムを記憶している。
【0060】
ストレージ113が記憶するプログラムは、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、複数の電力変換装置20からシリアル通信回路114にフィードバック信号を受信し、受信したフィードバック信号に基づいて制御指令を生成することをマスタ制御回路100に更に実行させるように構成されていてもよい。
【0061】
ストレージ113が記憶するプログラムは、プライマリモードとセカンダリモードとの間で動作モードを切り替えることをマスタ制御回路100に更に実行させ、プライマリモードにおいては、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、制御指令をシリアル通信回路114から複数の電力変換装置20に送信し、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信により、制御指令をシリアル通信回路114からマスタコントローラ12に送信することをマスタ制御回路100に実行させ、セカンダリモードにおいては、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信により、マスタコントローラ11からシリアル通信回路114に制御指令を受信し、受信した制御指令を、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により複数の電力変換装置20に送信することをマスタ制御回路100に実行させてもよい。
【0062】
ストレージ113が記憶するプログラムは、プライマリモードにおいては、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、複数の電力変換装置20からシリアル通信回路114に第1グループのフィードバック信号を受信し、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信により、マスタコントローラ12からシリアル通信回路114に第2グループのフィードバック信号を受信し、第1グループのフィードバック信号及び第2グループのフィードバック信号に基づいて制御指令を生成することをマスタ制御回路100に更に実行させ、セカンダリモードにおいては、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、第2グループの複数の電力変換装置20からフィードバック信号を受信し、受信したフィードバック信号を、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信によりシリアル通信回路114からマスタコントローラ11に送信することをマスタ制御回路100に更に実行させるように構成されていてもよい。
【0063】
メモリ112は、例えばRAM(Random Access Memory)等、コンピュータによって読み取り可能な1以上の一時記憶媒体を有する。メモリ112は、ストレージ113からロードしたプログラム及びプロセッサ111による演算結果等を一時的に記憶する。プロセッサ111は、1以上の演算処理装置を有し、メモリ112と協働して上記プログラムを実行する。
【0064】
これにより、プロセッサ111は、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、制御指令をシリアル通信回路114から複数の電力変換装置20に送信させる。プロセッサ111は、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、複数の電力変換装置20からのフィードバック信号をシリアル通信回路114に受信させ、シリアル通信回路114が受信したフィードバック信号に基づいて制御指令を生成することを更に実行してもよい。
【0065】
プロセッサ111は、プライマリモードとセカンダリモードとの間で動作モードを切り替えてもよい。プライマリモードにおいて、プロセッサ111は、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、制御指令をシリアル通信回路114から複数の電力変換装置20に送信させ、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信により、制御指令をシリアル通信回路114からマスタコントローラ12に送信させてもよい。セカンダリモードにおいて、プロセッサ111は、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信により、マスタコントローラ11からの制御指令をシリアル通信回路114に受信させ、シリアル通信回路114が受信した制御指令を、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、シリアル通信回路114から第2グループの複数の電力変換装置20に送信させてもよい。
【0066】
プライマリモードにおいて、プロセッサ111は、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、複数の電力変換装置20からの第1グループのフィードバック信号をシリアル通信回路114に受信させ、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信により、マスタコントローラ12からの第2グループのフィードバック信号をシリアル通信回路114に受信させ、第1グループのフィードバック信号及び第2グループのフィードバック信号に基づいて制御指令を生成してもよい。セカンダリモードにおいて、プロセッサ111は、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、第2グループの複数の電力変換装置20からのフィードバック信号をシリアル通信回路114に受信させ、シリアル通信回路114が受信したフィードバック信号を、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信によりシリアル通信回路114からマスタコントローラ11に送信させてもよい。
【0067】
図3は、電力変換装置20の構成を例示する模式図である。図3に示すように、電力変換装置20は、上述した上位コネクタCN40及び下位コネクタCN50に加え、電力変換回路30と、スレーブ制御回路300とを有する。
【0068】
上位コネクタCN40は、シリアル通信ポートCN41を含む。下位コネクタCN50は、シリアル通信ポートCN51を含む。シリアル通信ポートCN41,CN51には、マスタースレーブケーブルCA10のシリアル通信ラインCA11が接続される。シリアル通信ポートCN41,CN51も、シリアル通信系統CS01又は第3シリアル通信系統CS03の少なくとも一部を構成する。
【0069】
電力変換回路30は、複数のスイッチング素子のオン・オフをキャリア周波数で切り替えて一次側電力を二次側電力に変換する。電力変換回路30は、例えば電圧形インバータであり、電圧指令に従った二次側電圧を負荷82に印加する。例えば電力変換回路30は、電源接続端子36R,36S,36Tと、負荷接続端子37U,37V,37Wと、整流回路31と、平滑コンデンサ33と、インバータ回路34と、電流センサ35とを有する。
【0070】
電源接続端子36R,36S,36Tは、一次側電力を供給する電源81の三相(例えばR相、S相及びT相)にそれぞれ接続される。負荷接続端子37U,37V,37Wは、二次側電力により駆動される負荷82の三相(例えばU相、V相及びW相)にそれぞれ接続される。
【0071】
整流回路31は、例えばダイオードブリッジ回路又はPWMコンバータ回路であり、上記電源接続端子36R,36S,36Tに入力された一次側電力を直流電力に変換する。平滑コンデンサ33は、上記直流電力を平滑化する。
【0072】
インバータ回路34は、上記直流電力を二次側電力に変換して負荷接続端子37U,37V,37Wに出力する。例えばインバータ回路34は、複数のスイッチング素子38を有し、複数のスイッチング素子38のオン・オフを切り替えることによって上記電力変換を行う。スイッチング素子38は、例えばパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)又はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等であり、ゲート駆動信号に応じてオン・オフを切り替える。
【0073】
電流センサ35は、インバータ回路34と負荷接続端子37U,37V,37Wとの間に流れる電流を検出する。例えば電流センサ35は、三相交流の全相(U相、V相及びW相)の電流を検出するように構成されていてもよいし、三相交流のいずれか2相の電流を検出するように構成されていてもよい。零相電流が生じない限り、U相、V相、及びW相の電流の合計はゼロなので、2相の電流を検出する場合にも全相の電流の情報が得られる。
【0074】
負荷82の具体例としては、電動機(例えば三相交流電動機)が挙げられる。複数の電力変換装置20の電力変換回路30は、同一の負荷82に対して並列に回路接続されていてもよい。複数の電力変換装置20の電力変換回路30は、複数の負荷82にそれぞれ接続されていてもよい。
【0075】
スレーブ制御回路300は、上記制御指令に基づいて一次側電力から二次側電力への電力変換を行うように電力変換回路30を制御する。スレーブ制御回路300は、プロセッサ311と、メモリ312と、ストレージ313と、センサ情報取得回路314と、PWM制御回路315と、シリアル通信回路316とを有する。
【0076】
センサ情報取得回路314は、電流センサ35による電流検出結果を取得する。PWM制御回路315は、制御指令に基づき、一次側電力から二次側電力への電力変換を行うように電力変換回路30を制御する。例えばPWM制御回路315は、キャリア波の周期でインバータ回路34の複数のスイッチング素子38のオン・オフを切り替え、キャリア周期(キャリア波の周期)におけるスイッチング素子38のオン期間の比率を変更することで、二次側電力を調節する。例えばPWM制御回路315は、電圧指令(制御指令の一例)に従った二次側電圧を発生させるように、キャリア波の周期でスイッチング素子38のオン・オフを切り替える。
【0077】
シリアル通信回路316は、上位コネクタCN40のシリアル通信ポートCN41と、下位コネクタCN50のシリアル通信ポートCN51とに接続されている。マスタコントローラ11に接続される電力変換装置20において、シリアル通信回路316は、シリアル通信ポートCN41,CN51を介してシリアル通信系統CS01に接続され、シリアル通信系統CS01を介してマスタコントローラ11及び下位の電力変換装置20とシリアル通信を行う。
【0078】
上位の電力変換装置20を介してマスタコントローラ11に接続される電力変換装置20において、シリアル通信回路316は、シリアル通信ポートCN41,CN51を介してシリアル通信系統CS01に接続され、シリアル通信系統CS01を介して上位の電力変換装置20及び下位の電力変換装置20とシリアル通信を行う。
【0079】
マスタコントローラ12に接続される電力変換装置20において、シリアル通信回路316は、シリアル通信ポートCN41,CN51を介して第3シリアル通信系統CS03に接続され、第3シリアル通信系統CS03を介してマスタコントローラ12及び下位の電力変換装置20とシリアル通信を行う。
【0080】
上位の電力変換装置20を介してマスタコントローラ12に接続される電力変換装置20において、シリアル通信回路316は、シリアル通信ポートCN41,CN51を介して第3シリアル通信系統CS03に接続され、第3シリアル通信系統CS03を介して上位の電力変換装置20及び下位の電力変換装置20とシリアル通信を行う。
【0081】
ストレージ313は、例えば不揮発性の半導体メモリ、又はハードディスクドライブ等、コンピュータによって読み取り可能な1以上の記憶媒体を有する。ストレージ313は、シリアル通信ポートCN41を介したシリアル通信によりシリアル通信回路316がマスタコントローラ10から受信した制御指令に基づいて、一次側電力から二次側電力への電力変換を行うようにPWM制御回路315により電力変換回路30を制御することをスレーブ制御回路300に実行させるためのプログラムを記憶している。
【0082】
ストレージ313が記憶するプログラムは、電力変換回路30の状態を示すフィードバック信号を取得し、シリアル通信ポートCN41を介したシリアル通信により、フィードバック信号をシリアル通信回路316からマスタコントローラ10に送信することをスレーブ制御回路300に更に実行させるように構成されていてもよい。
【0083】
メモリ312は、例えばRAM(Random Access Memory)等、コンピュータによって読み取り可能な1以上の一時記憶媒体を有する。メモリ312は、ストレージ313からロードしたプログラム及びプロセッサ311による演算結果等を一時的に記憶する。
【0084】
プロセッサ311は、1以上の演算処理装置を有し、メモリ312と協働して上記プログラムを実行する。これにより、プロセッサ311は、シリアル通信ポートCN41を介したシリアル通信によりシリアル通信回路316が受信した制御指令に基づいて、一次側電力から二次側電力への電力変換を行うように電力変換回路30を制御することをPWM制御回路315に実行させる。
【0085】
プロセッサ311は、電力変換回路30の状態を示すフィードバック信号を取得し、シリアル通信ポートCN41を介したシリアル通信により、上記フィードバック信号をシリアル通信回路316からマスタコントローラ10に送信させてもよい。例えばプロセッサ311は、電力変換回路30の状態を示すフィードバック信号の一例として、電流センサ35による電流検出結果をセンサ情報取得回路314に取得させ、シリアル通信ポートCN41を介したシリアル通信により、上記電流検出結果をシリアル通信回路316からマスタコントローラ10に送信させてもよい。
【0086】
図4は、マスタコントローラ10のシリアル通信回路114の機能的な構成を例示するブロック図である。シリアル通信回路114は、3つの通信モジュール120,130,140を有する。通信モジュール120は、シリアル通信ポートCN31を介して他のマスタコントローラ10とシリアル通信を行い、通信モジュール130は、シリアル通信ポートCN11を介して電力変換装置20とシリアル通信を行い、通信モジュール140は、シリアル通信ポートCN21を介して電力変換装置20とシリアル通信を行う。
【0087】
通信モジュール120は、マスタ通信部121と、スレーブ通信部122と、入力セレクタ124と、出力セレクタ125とを有する。マスタ通信部121は、シリアル通信ポートCN31を介して他のマスタコントローラ12に制御指令を送信し、シリアル通信ポートCN31を介して他のマスタコントローラ12からフィードバック信号を受信する。スレーブ通信部122は、シリアル通信ポートCN31を介して他のマスタコントローラ11から制御指令を受信し、シリアル通信ポートCN31を介して他のマスタコントローラ11にフィードバック信号を送信する。
【0088】
入力セレクタ124は、プライマリモードにおいて、シリアル通信ポートCN31からマスタ通信部121にフィードバック信号を入力させ、セカンダリモードにおいて、シリアル通信ポートCN31からスレーブ通信部122に制御指令を入力させる(図6参照)。出力セレクタ125は、プライマリモードにおいて、マスタ通信部121からシリアル通信ポートCN31に制御指令を出力させ、セカンダリモードにおいて、スレーブ通信部122からシリアル通信ポートCN31にフィードバック信号を出力させる。
【0089】
通信モジュール130は、マスタ通信部131を有する。マスタ通信部131は、シリアル通信ポートCN11を介して電力変換装置20に制御指令を送信し、シリアル通信ポートCN11を介して電力変換装置20からフィードバック信号を受信する。通信モジュール140は、マスタ通信部141を有する。マスタ通信部141は、シリアル通信ポートCN21を介して電力変換装置20に制御指令を送信し、シリアル通信ポートCN21を介して電力変換装置20からフィードバック信号を受信する。
【0090】
図5は、電力変換装置20のシリアル通信回路316の機能的な構成を例示するブロック図である。シリアル通信回路316は、一つの通信モジュール320を有する。通信モジュール320は、スレーブ通信部322と、リピータ323と、セレクタ324とを有する。スレーブ通信部322は、シリアル通信ポートCN41を介してマスタコントローラ10又は上位の電力変換装置20から制御指令を受信し、シリアル通信ポートCN41を介してマスタコントローラ10又は上位の電力変換装置20にフィードバック信号を送信する(図7参照)。
【0091】
リピータ323は、スレーブ通信部322が受信した制御指令を、シリアル通信ポートCN51を介して下位の電力変換装置20に送信する。リピータ323は、シリアル通信ポートCN51を介して下位の電力変換装置20からフィードバック信号を受信し、受信したフィードバック信号を、シリアル通信ポートCN41を介してマスタコントローラ10又は上位の電力変換装置20に送信する。
【0092】
セレクタ324は、スレーブ通信部322がマスタコントローラ10又は上位の電力変換装置20にフィードバック信号を送信する際には、リピータ323にマスタコントローラ10又は上位の電力変換装置20へのフィードバック信号の送信を待機させる。また、セレクタ324は、リピータ323がマスタコントローラ10又は上位の電力変換装置20にフィードバック信号を送信する際には、スレーブ通信部322にマスタコントローラ10又は上位の電力変換装置20へのフィードバック信号の送信を待機させる。
【0093】
図1に戻り、マスタコントローラ10は、シリアル通信系統CS01とは別の開始指令系統によっても複数の電力変換装置20と通信可能であってもよい。複数の電力変換装置20のそれぞれは、制御指令を受信した場合に、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、制御指令の受信通知をマスタコントローラ10に送信し、マスタコントローラ10は、複数の電力変換装置20の全てから制御指令の受信通知を受信した場合に、開始指令系統により、複数の電力変換装置20のそれぞれに開始指令を送信し、複数の電力変換装置20のそれぞれは、開始指令を受信した場合に、受信済みの制御指令に基づく電力変換を開始してもよい。
【0094】
例えば電力変換装置21Cは、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、自装置における制御指令の受領通知を電力変換装置21Bに送信する。電力変換装置21Bは、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、自装置における制御指令の受領通知と、電力変換装置21Cから受信した受領通知とを電力変換装置21Aに送信する。電力変換装置21Aは、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、自装置における制御指令の受領通知と、電力変換装置21Bから受信した受領通知とをマスタコントローラ10に送信する。これにより、電力変換装置21A,21B,21Cからの受領通知が、マスタ-スレーブコネクタCN10を介してマスタコントローラ10に受信されることとなる。
【0095】
電力変換装置21Fは、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、自装置における制御指令の受領通知を電力変換装置21Eに送信する。電力変換装置21Eは、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、自装置における制御指令の受領通知と、電力変換装置21Fから受信した受領通知とを電力変換装置21Dに送信する。電力変換装置21Dは、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、自装置における制御指令の受領通知と、電力変換装置21Eから受信した受領通知とをマスタコントローラ10に送信する。これにより、電力変換装置21D,21E,21Fからの受領通知が、マスタ-スレーブコネクタCN20を介してマスタコントローラ10に受信されることとなる。
【0096】
マスタコントローラ10は、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fの全てから制御指令の受領通知を受信した場合に、開始指令系統により、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fのそれぞれに開始指令を送信する。電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fのそれぞれは、開始指令を受信した場合に、受信済みの制御指令(上記受領通知の対象である制御指令)に基づく電力変換を開始する。
【0097】
電力変換システム1がマスタコントローラ11,12を備える場合、マスタコントローラ12は、第2シリアル通信系統CS02とは別の第2開始指令系統によってもマスタコントローラ11と通信可能であってもよい。また、マスタコントローラ12は、第3シリアル通信系統CS03とは別の第3開始指令系統によっても第2グループの複数の電力変換装置20と通信可能であってもよい。
【0098】
第2グループの複数の電力変換装置20のそれぞれは、制御指令を受信した場合に、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、制御指令の受信通知をマスタコントローラ12に送信し、マスタコントローラ12は、第2グループの複数の電力変換装置20の全てから制御指令の受信通知を受信した場合に、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信により、制御指令の受信通知をマスタコントローラ11に送信してもよい。
【0099】
マスタコントローラ11は、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、複数の電力変換装置20の全てから制御指令の受信通知を受信し、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信により、マスタコントローラ12から制御指令の受信通知を受信した場合に、開始指令系統により複数の電力変換装置20のそれぞれに開始指令を送信し、第2開始指令系統及び第3開始指令系統により第2グループの複数の電力変換装置20のそれぞれに開始指令を送信してもよい。
【0100】
例えば電力変換装置22Cは、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、自装置における制御指令の受領通知を電力変換装置22Bに送信する。電力変換装置22Bは、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、自装置における制御指令の受領通知と、電力変換装置22Cから受信した受領通知とを電力変換装置22Aに送信する。電力変換装置22Aは、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、自装置における制御指令の受領通知と、電力変換装置22Bから受信した受領通知とをマスタコントローラ12に送信する。これにより、電力変換装置22A,22B,22Cからの受領通知が、マスタ-スレーブコネクタCN10を介してマスタコントローラ12に受信されることとなる。
【0101】
電力変換装置22Fは、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、自装置における制御指令の受領通知を電力変換装置22Eに送信する。電力変換装置22Eは、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、自装置における制御指令の受領通知と、電力変換装置22Fから受信した受領通知とを電力変換装置22Dに送信する。電力変換装置22Dは、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、自装置における制御指令の受領通知と、電力変換装置22Eから受信した受領通知とをマスタコントローラ12に送信する。これにより、電力変換装置22D,22E,22Fからの受領通知が、マスタ-スレーブコネクタCN20を介してマスタコントローラ12に受信されることとなる。
【0102】
マスタコントローラ12は、電力変換装置22A,22B,22C,22D,22E,22Fの全てから制御指令の受領通知を受信した場合に、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信により、制御指令の受信通知をマスタコントローラ11に送信する。
【0103】
マスタコントローラ11は、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fの全てから制御指令の受信通知を受信し、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信により、マスタコントローラ12から制御指令の受信通知を受信した場合に、開始指令系統により電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fのそれぞれに開始指令を送信し、第2開始指令系統及び第3開始指令系統により電力変換装置22A,22B,22C,22D,22E,22Fのそれぞれに開始指令を送信する。電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21F,22A,22B,22C,22D,22E,22Fのそれぞれは、開始指令を受信した場合に、受信済みの制御指令(上記受領通知の対象である制御指令)に基づく電力変換を開始する。
【0104】
開始指令系統、第2開始指令系統及び第3開始指令系統は、有線式であってもよく、無線式であってもよい。例えば有線式の開始指令系統は、シリアル通信系統を構成する通信ラインから独立した別の通信ラインにより構成される。無線式の開始指令系統は、シリアル通信系統の周波数帯域とは異なる周波数帯域の無線信号の送受信機により構成される。
【0105】
例えば図2に示すように、マスタ-スレーブコネクタCN10は、シリアル通信ポートCN11から独立した開始指令ポートCN12を更に含んでもよい。マスタ-スレーブコネクタCN20は、シリアル通信ポートCN21から独立した開始指令ポートCN22を更に含んでもよい。
【0106】
マスタースレーブケーブルCA10は、シリアル通信ラインCA11から独立して開始指令ポートCN12,CN22に接続される開始指令ラインCA12を含んでもよい。開始指令ポートCN12,CN22と、開始指令ラインCA12とは、開始指令系統CS11又は第3開始指令系統CS13の少なくとも一部を構成する(図8参照)。
【0107】
マスタ-マスタコネクタCN30は、シリアル通信ポートCN31から独立した開始指令ポートCN32を更に含んでもよい。マスタ-マスタケーブルCA20は、シリアル通信ラインCA21から独立して開始指令ポートCN32に接続される開始指令ラインCA22を含んでもよい。開始指令ポートCN32と、開始指令ラインCA22とは、第2開始指令系統CS12の少なくとも一部を構成する(図8参照)。
【0108】
マスタ制御回路100は、開始指令通信回路150を更に有してもよい。開始指令通信回路150は、マスタ-スレーブコネクタCN10の開始指令ポートCN12と、マスタ-スレーブコネクタCN20の開始指令ポートCN22と、マスタ-マスタコネクタCN30の開始指令ポートCN32とに接続されている。開始指令ポートCN12,CN22,CN32は、開始指令通信回路150において互いに接続されている。
【0109】
プライマリモードのマスタコントローラ11において、開始指令通信回路150は、開始指令ポートCN12,CN22を介して開始指令系統CS11に接続され、開始指令系統CS11により複数の電力変換装置20に開始指令を送信する。また、開始指令通信回路150は、開始指令ポートCN32を介して第2開始指令系統CS12に接続され、第2開始指令系統CS12及び第3開始指令系統CS13により第2グループの複数の電力変換装置20に開始指令を送信する。
【0110】
この場合、ストレージ113が記憶するプログラムは、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、シリアル通信回路114が複数の電力変換装置20の全てから制御指令の受信通知を受信した場合に、開始指令ポートCN12,CN22を介した通信により、開始指令通信回路150から複数の電力変換装置20のそれぞれに開始指令を送信することをマスタ制御回路100に更に実行させるように構成されていてもよい。
【0111】
上述したように、ストレージ113が記憶するプログラムは、プライマリモードとセカンダリモードとの間で動作モードを切り替えることをマスタ制御回路100に更に実行させるように構成されていてもよい。この場合のプログラムは、プライマリモードにおいて、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信によりシリアル通信回路114が複数の電力変換装置20の全てから制御指令の受信通知を受信し、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信によりシリアル通信回路114がマスタコントローラ12から制御指令の受信通知を受信した場合に、開始指令ポートCN12,CN22を介した通信により、開始指令通信回路150から複数の電力変換装置20のそれぞれに開始指令を送信し、開始指令ポートCN32を介した通信により、マスタコントローラ12に開始指令を送信することをマスタ制御回路100に更に実行させるように構成されていてもよい。
【0112】
また、この場合のプログラムは、セカンダリモードにおいて、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信によりシリアル通信回路114が第2グループの複数の電力変換装置20の全てから制御指令の受信通知を受信した場合に、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信によりシリアル通信回路114からマスタコントローラ11に制御指令の受信通知を送信することをマスタ制御回路100に更に実行させるように構成されていてもよい。
【0113】
プロセッサ111は、ストレージ113が記憶するプログラムを実行することで、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信によりシリアル通信回路114が複数の電力変換装置20の全てから制御指令の受信通知を受信した場合に、開始指令ポートCN12,CN22を介した通信により、開始指令通信回路150から複数の電力変換装置20のそれぞれに開始指令を送信させてもよい。
【0114】
プライマリモードにおいて、プロセッサ111は、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、シリアル通信回路114が複数の電力変換装置20の全てから制御指令の受信通知を受信し、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信により、シリアル通信回路114がマスタコントローラ12から制御指令の受信通知を受信した場合に、開始指令ポートCN12,CN22を介した通信により、開始指令通信回路150から複数の電力変換装置20のそれぞれに開始指令を送信させ、開始指令ポートCN32を介した通信により、開始指令通信回路150からマスタコントローラ12に開始指令を送信させてもよい。
【0115】
上述のように、開始指令ポートCN12,CN22,CN32は、開始指令通信回路150において互いに接続されている。このため、開始指令ポートCN32を介した通信によりマスタコントローラ12に送信された開始指令は、マスタコントローラ12の開始指令ポートCN12,CN22を介した通信により、マスタコントローラ12の開始指令通信回路150から第2グループの複数の電力変換装置20のそれぞれに送信される。
【0116】
セカンダリモードにおいて、プロセッサ111は、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、シリアル通信回路114が第2グループの複数の電力変換装置20の全てから制御指令の受信通知を受信した場合に、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信によりシリアル通信回路114からマスタコントローラ11に制御指令の受信通知を送信させてもよい。
【0117】
図3に示すように、上位コネクタCN40は、シリアル通信ポートCN41から独立した開始指令ポートCN42を更に含んでいてもよい。下位コネクタCN50は、シリアル通信ポートCN51から独立した開始指令ポートCN52を更に含んでいてもよい。開始指令ポートCN42,CN52には、マスタースレーブケーブルCA10の開始指令ラインCA12が接続される。開始指令ポートCN42,CN52も、開始指令系統CS11又は第3開始指令系統CS13の少なくとも一部を構成する(図8参照)。
【0118】
スレーブ制御回路300は、開始指令通信回路330を更に有してもよい。開始指令通信回路330は、上位コネクタCN40の開始指令ポートCN42と、下位コネクタCN50の開始指令ポートCN52とに接続されている。開始指令ポートCN42,CN52は、開始指令通信回路330において互いに接続されている。
【0119】
マスタコントローラ11に接続される電力変換装置20において、開始指令通信回路330は、開始指令ポートCN42,CN52を介して開始指令系統CS11に接続され、開始指令系統CS11を介してマスタコントローラ11及び下位の電力変換装置20と通信する。上位の電力変換装置20を介してマスタコントローラ11に接続される電力変換装置20において、開始指令通信回路330は、開始指令ポートCN42,CN52を介して開始指令系統CS11に接続され、開始指令系統CS11を介して上位の電力変換装置20及び下位の電力変換装置20と通信する。
【0120】
マスタコントローラ12に接続される電力変換装置20において、開始指令通信回路330は、開始指令ポートCN42,CN52を介して第3開始指令系統CS13に接続され、第3開始指令系統CS13を介してマスタコントローラ12及び下位の電力変換装置20と通信する。上位の電力変換装置20を介してマスタコントローラ12に接続される電力変換装置20において、開始指令通信回路330は、開始指令ポートCN42,CN52を介して第3開始指令系統CS13に接続され、第3開始指令系統CS13を介して上位の電力変換装置20及び下位の電力変換装置20と通信する。
【0121】
この場合、ストレージ313が記憶するプログラムは、シリアル通信ポートCN41を介したシリアル通信によりシリアル通信回路316が制御指令を受信した場合に、シリアル通信ポートCN41を介したシリアル通信により、シリアル通信回路316からマスタコントローラ10に制御指令の受信通知を送信し、開始指令ポートCN42を介した通信により開始指令通信回路330が開始指令を受信した場合に、受信済みの制御指令に基づく電力変換をPWM制御回路315に開始させることを更にスレーブ制御回路300に実行させるように構成されていてもよい。
【0122】
プロセッサ311は、ストレージ313が記憶するプログラムを実行することで、シリアル通信ポートCN41を介したシリアル通信によりシリアル通信回路316が制御指令を受信した場合に、シリアル通信ポートCN41を介したシリアル通信により、シリアル通信回路316からマスタコントローラ10に制御指令の受信通知を送信させ、開始指令ポートCN42を介した通信により開始指令通信回路330が開始指令を受信した場合に、受信済みの制御指令に基づく電力変換回路30による電力変換をPWM制御回路315に開始させてもよい。
【0123】
図8は、マスタ制御回路100の開始指令通信回路150及びスレーブ制御回路300の開始指令通信回路330の機能的な構成を例示するブロック図である。図8に示すように、開始指令通信回路150は開始指令送信部151を有し、開始指令通信回路330は開始指令受信部331を有する。
【0124】
マスタコントローラ11の開始指令送信部151は、開始指令ポートCN32を介してマスタコントローラ12に開始指令を送信し、開始指令ポートCN12,CN22を介して複数の電力変換装置20に開始指令を送信する。上述のように、開始指令ポートCN12,CN22,CN32は、開始指令通信回路150において互いに接続されている。このため、開始指令ポートCN32を介してマスタコントローラ12に送信された開始指令は、マスタコントローラ12の開始指令ポートCN12,CN22を介して第2グループの複数の電力変換装置20に送信される。
【0125】
開始指令受信部331は、開始指令ポートCN42を介してマスタコントローラ10又は上位の電力変換装置20から開始指令を受信する。上述のように、開始指令ポートCN42,CN52は、開始指令通信回路330において互いに接続されている。このため、開始指令受信部331が受信する開始指令は、開始指令ポートCN52を介して下位の電力変換装置20に更に送信される。
【0126】
複数の電力変換装置20は、開始指令系統CS11又は第3開始指令系統CS13により、マスタコントローラ10に対して並列に通信接続されていてもよい。並列な通信接続は、マスタコントローラ10の出力が、複数の電力変換装置20それぞれにそのまま入力される接続を意味する。開始指令系統CS11による並列な通信接続によって、複数の電力変換装置20は、マスタコントローラ10からの開始指令を並列に受信する。
【0127】
図1に戻り、マスタコントローラ10は、シリアル通信系統CS01とは別の異常通知系統によっても複数の電力変換装置20と通信可能であり、シリアル通信系統CS01及び異常通知系統とは別の停止指令系統によっても複数の電力変換装置20と通信可能であってもよい。複数の電力変換装置20のそれぞれは、異常通知系統により異常確認結果をマスタコントローラ10に送信し、マスタコントローラ10は、複数の電力変換装置20のいずれかに異常がある場合に、停止指令系統により、複数の電力変換装置20に停止指令を送信し、複数の電力変換装置20のそれぞれは、停止指令を受信した場合に、二次側電力の出力を停止してもよい。
【0128】
例えば電力変換装置21Cは、異常通知系統により、自装置における異常確認結果を電力変換装置21Bに送信する。電力変換装置21Bは、異常通知系統により、自装置における異常確認結果と、電力変換装置21Cから受信した異常確認結果とを電力変換装置21Aに送信する。電力変換装置21Aは、異常通知系統により、自装置における異常確認結果と、電力変換装置21Bから受信した異常確認結果とをマスタコントローラ10に送信する。これにより、電力変換装置21A,21B,21Cからの異常確認結果が、マスタ-スレーブコネクタCN10を介してマスタコントローラ10に受信されることとなる。自装置における異常確認結果の具体例としては、過電流の有無の確認結果、各種アラームの有無の確認結果等が挙げられる。
【0129】
電力変換装置21Fは、異常通知系統により、自装置における異常確認結果を電力変換装置21Eに送信する。電力変換装置21Eは、異常通知系統により、自装置における異常確認結果と、電力変換装置21Fから受信した異常確認結果とを電力変換装置21Dに送信する。電力変換装置21Dは、異常通知系統により、自装置における異常確認結果と、電力変換装置21Eから受信した異常確認結果とをマスタコントローラ10に送信する。これにより、電力変換装置21D,21E,21Fからの異常確認結果が、マスタ-スレーブコネクタCN20を介してマスタコントローラ10に受信されることとなる。
【0130】
マスタコントローラ10は、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fのいずれかに異常がある場合に、停止指令系統により、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fのそれぞれに停止指令を送信する。電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fのそれぞれは、停止指令を受信した場合に、二次側電力の出力を停止する。
【0131】
電力変換システム1がマスタコントローラ11,12を備える場合、マスタコントローラ12は、第2シリアル通信系統CS02とは別の第2異常通知系統によってもマスタコントローラ11と通信可能であり、第2シリアル通信系統CS02及び第2異常通知系統とは別の第2停止指令系統によってもマスタコントローラ11と通信可能であってもよい。
【0132】
また、マスタコントローラ12は、第3シリアル通信系統CS03とは別の第3異常通知系統によっても第2グループの複数の電力変換装置20と通信可能であり、第3シリアル通信系統CS03及び第3異常通知系統とは別の第3停止指令系統によっても第2グループの複数の電力変換装置20と通信可能であってもよい。
【0133】
第2グループの複数の電力変換装置20のそれぞれは、第3異常通知系統により異常確認結果をマスタコントローラ12に送信してもよい。以下、第2グループの複数の電力変換装置20がマスタコントローラ12に送信する異常確認結果を「第2グループの異常確認結果」という。マスタコントローラ12は、第3異常通知系統により受信した第2グループの異常確認結果を、第2異常通知系統によりマスタコントローラ11に送信してもよい。
【0134】
マスタコントローラ11は、複数の電力変換装置20、及び第2グループの複数の電力変換装置20のいずれかに異常がある場合に、停止指令系統により複数の電力変換装置20のそれぞれに停止指令を送信し、第2停止指令系統及び第3停止指令系統により第2グループの複数の電力変換装置20のそれぞれに停止指令を送信してもよい。複数の電力変換装置20、及び第2グループの複数の電力変換装置20のそれぞれは、停止指令を受信した場合に、二次側電力の出力を停止してもよい。
【0135】
例えば電力変換装置22Cは、第3異常通知系統により、自装置における異常確認結果を電力変換装置22Bに送信する。電力変換装置22Bは、第3異常通知系統により、自装置における異常確認結果と、電力変換装置22Cから受信した異常確認結果とを電力変換装置22Aに送信する。電力変換装置22Aは、第3異常通知系統により、自装置における異常確認結果と、電力変換装置22Bから受信した異常確認結果とをマスタコントローラ12に送信する。これにより、電力変換装置22A,22B,22Cからの異常確認結果が、マスタ-スレーブコネクタCN10を介してマスタコントローラ12に受信されることとなる。
【0136】
電力変換装置22Fは、第3異常通知系統により、自装置における異常確認結果を電力変換装置22Eに送信する。電力変換装置22Eは、第3異常通知系統により、自装置における異常確認結果と、電力変換装置22Fから受信した異常確認結果とを電力変換装置22Dに送信する。電力変換装置22Dは、第3異常通知系統により、自装置における異常確認結果と、電力変換装置22Eから受信した異常確認結果とをマスタコントローラ12に送信する。これにより、電力変換装置22D,22E,22Fからの異常確認結果が、マスタ-スレーブコネクタCN20を介してマスタコントローラ12に受信されることとなる。マスタコントローラ12は、第3異常通知系統により電力変換装置22A,22B,22C,22D,22E,22Fから受信した第2グループの異常確認結果を、第2異常通知系統によりマスタコントローラ11に送信する。
【0137】
マスタコントローラ11は、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21F,22A,22B,22C,22D,22E,22Fのいずれかに異常がある場合に、停止指令系統により電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fのそれぞれに停止指令を送信し、第2停止指令系統及び第3停止指令系統により電力変換装置22A,22B,22C,22D,22E,22Fのそれぞれに停止指令を送信してもよい。電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21F,22A,22B,22C,22D,22E,22Fのそれぞれは、停止指令を受信した場合に、二次側電力の出力を停止する。
【0138】
異常通知系統、第2異常通知系統、及び第3異常通知系統は、有線式であってもよく、無線式であってもよい。例えば有線式の異常通知系統は、シリアル通信系統を構成する通信ラインから独立した別の通信ラインにより構成される。無線式の異常通知系統は、シリアル通信系統の周波数帯域とは異なる周波数帯域の無線信号の送受信機により構成される。
【0139】
停止指令系統は、第2停止指令系統、及び第3停止指令系統は、有線式であってもよく、無線式であってもよい。例えば有線式の停止指令系統は、シリアル通信系統を構成する通信ライン及び異常通知系統を構成する通信ラインから独立した別の通信ラインにより構成される。無線式の停止指令系統は、シリアル通信系統の周波数帯域及び異常通知系統の周波数帯域とは異なる周波数帯域の無線信号の送受信機により構成される。
【0140】
例えば図2に示すように、マスタ-スレーブコネクタCN10は、シリアル通信ポートCN11及び開始指令ポートCN12から独立した異常信号ポートCN14を更に含んでもよい。また、マスタ-スレーブコネクタCN10は、シリアル通信ポートCN11、開始指令ポートCN12及び異常信号ポートCN14から独立した停止指令ポートCN15を更に含んでもよい。
【0141】
マスタ-スレーブコネクタCN20は、シリアル通信ポートCN21及び開始指令ポートCN22から独立した異常信号ポートCN24を更に含んでもよい。また、マスタ-スレーブコネクタCN20は、シリアル通信ポートCN21、開始指令ポートCN22及び異常信号ポートCN24から独立した停止指令ポートCN25を更に含んでもよい。
【0142】
マスタースレーブケーブルCA10は、シリアル通信ラインCA11及び開始指令ラインCA12から独立して異常信号ポートCN14,CN24に接続される異常信号ラインCA14を含んでもよい。異常信号ポートCN14,CN24と、異常信号ラインCA14とは、異常通知系統CS31又は第3異常通知系統CS33の少なくとも一部を構成する(図9参照)。
【0143】
また、マスタースレーブケーブルCA10は、シリアル通信ラインCA11、開始指令ラインCA12及び異常信号ラインCA14から独立して停止指令ポートCN15,CN25に接続される停止指令ラインCA15を含んでもよい。停止指令ポートCN15,CN25と、停止指令ラインCA15とは、停止指令系統CS41又は第3停止指令系統CS43の少なくとも一部を構成する(図10参照)。
【0144】
マスタ-マスタコネクタCN30は、シリアル通信ポートCN31及び開始指令ポートCN32から独立した異常信号ポートCN34を更に含んでもよい。また、マスタ-マスタコネクタCN30は、シリアル通信ポートCN31、開始指令ポートCN32及び異常信号ポートCN34から独立した停止指令ポートCN35を更に含んでもよい。
【0145】
マスタ-マスタケーブルCA20は、シリアル通信ラインCA21及び開始指令ラインCA22から独立して異常信号ポートCN34に接続される異常信号ラインCA24を含んでもよい。異常信号ポートCN34と、異常信号ラインCA24とは、第2異常通知系統CS32の少なくとも一部を構成する(図9参照)。
【0146】
また、マスタ-マスタケーブルCA20は、シリアル通信ラインCA21、開始指令ラインCA22及び異常信号ラインCA24から独立して停止指令ポートCN35に接続される停止指令ラインCA25を含んでもよい。停止指令ポートCN35と、停止指令ラインCA25とは、第2停止指令系統CS42の少なくとも一部を構成する(図10参照)。
【0147】
マスタ制御回路100は、異常信号通信回路170と、停止指令通信回路180とを更に有してもよい。異常信号通信回路170は、マスタ-スレーブコネクタCN10の異常信号ポートCN14と、マスタ-スレーブコネクタCN20の異常信号ポートCN24と、マスタ-マスタコネクタCN30の異常信号ポートCN34とに接続されている。
【0148】
プライマリモードのマスタコントローラ11において、異常信号通信回路170は、異常信号ポートCN14,CN24を介して異常通知系統CS31に接続され、異常通知系統CS31により複数の電力変換装置20から異常確認結果を受信する。また、異常信号通信回路170は、異常信号ポートCN34を介して第2異常通知系統CS32に接続され、第2異常通知系統CS32によりマスタコントローラ12から第2グループの異常確認結果を受信する。
【0149】
セカンダリモードのマスタコントローラ12において、異常信号通信回路170は、異常信号ポートCN14,CN24を介して第3異常通知系統CS33に接続され、第3異常通知系統CS33により第2グループの複数の電力変換装置20から第2グループの異常確認結果を受信する。また、異常信号通信回路170は、異常信号ポートCN34を介して第2異常通知系統CS32に接続され、第2異常通知系統CS32により第2グループの異常確認結果をマスタコントローラ11に送信する。
【0150】
停止指令通信回路180は、マスタ-スレーブコネクタCN10の停止指令ポートCN15と、マスタ-スレーブコネクタCN20の停止指令ポートCN25と、マスタ-マスタコネクタCN30の停止指令ポートCN35とに接続されている。停止指令ポートCN15,CN25,CN35は、停止指令通信回路180において互いに接続されている。
【0151】
プライマリモードのマスタコントローラ11において、停止指令通信回路180は、停止指令ポートCN15,CN25を介して停止指令系統CS41に接続され、停止指令系統CS41により複数の電力変換装置20に停止指令を送信する。また、停止指令通信回路180は、停止指令ポートCN35を介して第2停止指令系統CS42に接続され、第2停止指令系統CS42及び第3停止指令系統CS43により第2グループの複数の電力変換装置20に停止指令を送信する。
【0152】
この場合、ストレージ113が記憶するプログラムは、異常信号ポートCN14,CN24を介した通信により、複数の電力変換装置20から異常信号通信回路170に異常確認結果を受信し、複数の電力変換装置20のいずれかに異常がある場合に、停止指令ポートCN15,CN25を介した通信により、停止指令通信回路180から複数の電力変換装置20に停止指令を送信することを更にマスタ制御回路100に実行させるように構成されていてもよい。
【0153】
上述したように、ストレージ113が記憶するプログラムは、プライマリモードとセカンダリモードとの間で動作モードを切り替えることをマスタ制御回路100に更に実行させるように構成されていてもよい。この場合のプログラムは、プライマリモードにおいて、異常信号ポートCN14,CN24を介した通信により、複数の電力変換装置20から異常信号通信回路170に異常確認結果を受信し、異常信号ポートCN34を介した通信により、マスタコントローラ12から第2グループの異常確認結果を受信し、複数の電力変換装置20及び第2グループの複数の電力変換装置20のいずれかに異常がある場合に、停止指令ポートCN15,CN25を介した通信により、停止指令通信回路180から複数の電力変換装置20に停止指令を送信し、停止指令ポートCN35を介した通信により、停止指令通信回路180からマスタコントローラ12に停止指令を送信することをマスタ制御回路100に更に実行させるように構成されていてもよい。
【0154】
また、この場合のプログラムは、セカンダリモードにおいて、異常信号ポートCN14,CN24を介した通信により、第2グループの複数の電力変換装置20から異常信号通信回路170に第2グループの異常確認結果を受信し、異常信号ポートCN34を介した通信により、異常信号通信回路170からマスタコントローラ11に第2グループの異常確認結果を送信することをマスタ制御回路100に更に実行させるように構成されていてもよい。
【0155】
プロセッサ111は、ストレージ113が記憶するプログラムを実行することで、異常信号ポートCN14,CN24を介した通信により、複数の電力変換装置20から異常信号通信回路170に異常確認結果を受信させ、複数の電力変換装置20のいずれかに異常がある場合に、停止指令ポートCN15,CN25を介した通信により、停止指令通信回路180から複数の電力変換装置20に停止指令を送信させてもよい。
【0156】
プライマリモードにおいて、プロセッサ111は、異常信号ポートCN14,CN24を介した通信により、複数の電力変換装置20から異常信号通信回路170に異常確認結果を受信させ、異常信号ポートCN34を介した通信により、マスタコントローラ12から第2グループの異常確認結果を受信させ、複数の電力変換装置20及び第2グループの複数の電力変換装置20のいずれかに異常がある場合に、停止指令ポートCN15,CN25を介した通信により、停止指令通信回路180から複数の電力変換装置20に停止指令を送信させ、停止指令ポートCN35を介した通信により、停止指令通信回路180からマスタコントローラ12に停止指令を送信させてもよい。
【0157】
上述のように、停止指令ポートCN15,CN25,CN35は、停止指令通信回路180において互いに接続されている。このため、停止指令ポートCN35を介してマスタコントローラ12に送信された停止指令は、マスタコントローラ12の停止指令ポートCN15,CN25を介して第2グループの複数の電力変換装置20に送信される。
【0158】
セカンダリモードにおいて、プロセッサ111は、異常信号ポートCN14,CN24を介した通信により、第2グループの複数の電力変換装置20から異常信号通信回路170に第2グループの異常確認結果を受信させ、異常信号ポートCN34を介した通信により、停止指令通信回路180からマスタコントローラ11に第2グループの異常確認結果を送信させてもよい。
【0159】
図3に示すように、上位コネクタCN40は、シリアル通信ポートCN41及び開始指令ポートCN42から独立した異常信号ポートCN44を更に含んでいてもよい。また、上位コネクタCN40は、シリアル通信ポートCN41、開始指令ポートCN42及び異常信号ポートCN44から独立した停止指令ポートCN45を更に含んでいてもよい。
【0160】
下位コネクタCN50は、シリアル通信ポートCN51及び開始指令ポートCN52から独立した異常信号ポートCN54を更に含んでいてもよい。また、下位コネクタCN50は、シリアル通信ポートCN51、開始指令ポートCN52及び異常信号ポートCN54から独立した停止指令ポートCN55を更に含んでいてもよい。
【0161】
異常信号ポートCN44,CN54には、マスタースレーブケーブルCA10の異常信号ラインCA14が接続される。異常信号ポートCN44,CN54は、異常通知系統CS31又は第3異常通知系統CS33の少なくとも一部を構成する(図9参照)。停止指令ポートCN45,CN55には、マスタースレーブケーブルCA10の停止指令ラインCA15が接続される。停止指令ポートCN45,CN55は、停止指令系統CS41又は第3停止指令系統CS43の少なくとも一部を構成する(図10参照)。
【0162】
スレーブ制御回路300は、異常信号通信回路350と、停止指令通信回路360とを更に有してもよい。異常信号通信回路350は、上位コネクタCN40の異常信号ポートCN44と、下位コネクタCN50の異常信号ポートCN54とに接続されている。マスタコントローラ11に接続される電力変換装置20において、異常信号通信回路350は、異常信号ポートCN44,CN54を介して異常通知系統CS31に接続され、異常通知系統CS31を介してマスタコントローラ11及び下位の電力変換装置20と通信する。
【0163】
上位の電力変換装置20を介してマスタコントローラ11に接続される電力変換装置20において、異常信号通信回路350は、異常信号ポートCN44,CN54を介して異常通知系統CS31に接続され、異常通知系統CS31を介して上位の電力変換装置20及び下位の電力変換装置20と通信する。
【0164】
マスタコントローラ12に接続される電力変換装置20において、異常信号通信回路350は、異常信号ポートCN44,CN54を介して第3異常通知系統CS33に接続され、第3異常通知系統CS33を介してマスタコントローラ12及び下位の電力変換装置20と通信する。
【0165】
上位の電力変換装置20を介してマスタコントローラ12に接続される電力変換装置20において、異常信号通信回路350は、異常信号ポートCN44,CN54を介して第3異常通知系統CS33に接続され、第3異常通知系統CS33を介して上位の電力変換装置20及び下位の電力変換装置20と通信する。
【0166】
停止指令通信回路360は、上位コネクタCN40の停止指令ポートCN45と、下位コネクタCN50の停止指令ポートCN55とに接続されている。停止指令ポートCN45,CN55は、停止指令通信回路360において互いに接続されている。
【0167】
マスタコントローラ11に接続される電力変換装置20において、停止指令通信回路360は、停止指令ポートCN45,CN55を介して停止指令系統CS41に接続され、停止指令系統CS41を介してマスタコントローラ11及び下位の電力変換装置20と通信する。
【0168】
上位の電力変換装置20を介してマスタコントローラ11に接続される電力変換装置20において、停止指令通信回路360は、停止指令ポートCN45,CN55を介して停止指令系統CS41に接続され、停止指令系統CS41を介して上位の電力変換装置20及び下位の電力変換装置20と通信する。
【0169】
マスタコントローラ12に接続される電力変換装置20において、停止指令通信回路360は、停止指令ポートCN45,CN55を介して第3停止指令系統CS43に接続され、第3停止指令系統CS43を介してマスタコントローラ12及び下位の電力変換装置20と通信する。
【0170】
上位の電力変換装置20を介してマスタコントローラ12に接続される電力変換装置20において、停止指令通信回路360は、停止指令ポートCN45,CN55を介して第3停止指令系統CS43に接続され、第3停止指令系統CS43を介して上位の電力変換装置20及び下位の電力変換装置20と通信する。
【0171】
この場合、ストレージ313が記憶するプログラムは、センサ情報取得回路314が取得した電流検出結果等に基づいて、自装置の異常有無を確認し、異常信号ポートCN44を介した通信により、異常信号通信回路350からマスタコントローラ10に異常確認結果(上記異常有無の確認結果)を送信し、停止指令ポートCN45を介した通信により停止指令通信回路360がマスタコントローラ10から停止指令を受信した場合に、PWM制御回路315により二次側電力の出力を停止させることをマスタ制御回路100に更に実行させるように構成されていてもよい。
【0172】
プロセッサ311は、ストレージ313が記憶するプログラムを実行することで、センサ情報取得回路314が取得した電流検出結果等に基づいて、自装置の異常有無を確認し、異常信号ポートCN44を介した通信により、異常信号通信回路350からマスタコントローラ10に異常確認結果(上記異常有無の確認結果)を送信させ、停止指令ポートCN45を介した通信により停止指令通信回路360がマスタコントローラ10から停止指令を受信した場合に、PWM制御回路315により二次側電力の出力を停止させてもよい。
【0173】
複数の電力変換装置20は、異常通知系統CS31又は第3異常通知系統CS33により、マスタコントローラ10に対して直列に通信接続され、停止指令系統CS41又は第3停止指令系統CS43により、マスタコントローラ10に対して並列に通信接続されていてもよい。
【0174】
ここで、直列な通信接続とは、複数の電力変換装置20の出力が合算された状態でマスタコントローラ10に入力される接続を意味する。合算は、ORの論理演算を含む。上述のように、並列な通信接続は、マスタコントローラ10の出力が、複数の電力変換装置20それぞれにそのまま入力される接続を意味する。停止指令系統CS41による並列な通信接続によって、複数の電力変換装置20は、マスタコントローラ10からの停止指令を並列に受信する。複数の電力変換装置20のそれぞれは、異常通知系統CS31又は第3異常通知系統CS33がマスタコントローラ10に送信する異常確認信号に、自装置の異常確認結果を示す信号を合成するように構成されていてもよい。この場合、マスタコントローラ10は、複数の電力変換装置20のそれぞれの異常確認結果を示す信号が合成された異常確認信号を受信することとなる。
【0175】
例えば図9に示すように、異常信号通信回路170は、異常信号受信部171と、OR演算部172,173とを有する。OR演算部172は、プライマリモードにおいて、異常信号ポートCN14を介した通信により電力変換装置20から受信した異常確認結果と、異常信号ポートCN24を介した通信により電力変換装置20から受信した異常確認結果と、異常信号ポートCN34を介した通信によりマスタコントローラ12から受信した異常確認結果とのOR演算を行う。異常信号受信部171は、プライマリモードにおいて、OR演算部172による演算結果を取得する。
【0176】
OR演算部173は、セカンダリモードにおいて、異常信号ポートCN14を介した通信により電力変換装置20から受信した異常確認結果と、異常信号ポートCN24を介した通信により電力変換装置20から受信した異常確認結果とのOR演算を行い、演算結果を、異常信号ポートCN34を介した通信によりマスタコントローラ11に送信する。
【0177】
異常信号通信回路350は、OR演算部351と、確認結果取得部352とを有する。確認結果取得部352は、自装置の異常確認結果を取得する。OR演算部351は、異常通知系統CS31又は第3異常通知系統CS33によりマスタコントローラ10に送信される信号に、確認結果取得部352による異常確認結果を合成する。例えばOR演算部351は、確認結果取得部352による異常確認結果と、異常信号ポートCN54を介した通信により下位の電力変換装置20から受信した異常確認結果とのOR演算を行い、演算結果を、異常信号ポートCN44を介した通信によりマスタコントローラ10又は上位の電力変換装置20に送信する。
【0178】
以上の構成によれば、第2グループの複数の電力変換装置20のいずれかの異常確認結果が一つのOR演算結果に合成されてマスタコントローラ12の異常信号ポートCN14に入力され、第2グループの複数の電力変換装置20の残りの異常確認結果が一つのOR演算結果に合成されてマスタコントローラ12の異常信号ポートCN24に入力される。
【0179】
例えば、異常信号ポートCN14には、電力変換装置22A,22B,22Cの異常確認結果のOR演算結果が入力され、異常信号ポートCN24には、電力変換装置22D,22E,22Fの異常確認結果のOR演算結果が入力される。異常信号ポートCN14に入力されたOR演算結果と、異常信号ポートCN24に入力されたOR演算結果とは、OR演算部173のOR演算によって一つのOR演算結果に合成される。これにより、電力変換装置22A,22B,22C,22D,22E,22Fの異常確認結果のOR演算結果が生成される。以下、これを第2グループのOR演算結果という。第2グループのOR演算結果は、異常信号ポートCN34を介した通信によりマスタコントローラ11に送信される。
【0180】
また、複数の電力変換装置20のいずれかの異常確認結果が一つのOR演算結果に合成されてマスタコントローラ11の異常信号ポートCN14に入力され、複数の電力変換装置20の残りの異常確認結果が一つのOR演算結果に合成されてマスタコントローラ11の異常信号ポートCN24に入力される。
【0181】
例えば、異常信号ポートCN14には、電力変換装置21A,21B,21Cの異常確認結果のOR演算結果が入力され、異常信号ポートCN24には、電力変換装置21D,21E,21Fの異常確認結果のOR演算結果が入力される。異常信号ポートCN34には、マスタコントローラ12が送信した第2グループのOR演算結果が入力される。異常信号ポートCN14に入力されたOR演算結果と、異常信号ポートCN24に入力されたOR演算結果と、異常信号ポートCN34に入力されたOR演算結果とは、OR演算部172のOR演算によって一つのOR演算結果に合成される。これにより、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21F,22A,22B,22C,22D,22E,22Fの異常確認結果のOR演算結果が生成される。以下、これを全てのOR演算結果という。
【0182】
全てのOR演算結果は、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21F,22A,22B,22C,22D,22E,22Fのいずれかに異常があるか否かを表す。例えば全てのOR演算結果は、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21F,22A,22B,22C,22D,22E,22Fのいずれかに異常がある場合にTRUEとなり、電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21F,22A,22B,22C,22D,22E,22Fのいずれにも異常がない場合にFALSEとなる。全てのOR演算結果は、マスタコントローラ11の異常信号受信部171に取得される。
【0183】
図10に示すように、停止指令通信回路180は停止指令送信部181を有し、停止指令通信回路360は停止指令受信部361を有する。マスタコントローラ11の停止指令送信部181は、停止指令ポートCN35を介してマスタコントローラ12に停止指令を送信し、停止指令ポートCN15,CN25を介して複数の電力変換装置20に停止指令を送信する。
【0184】
上述のように、停止指令ポートCN15,CN25,CN35は、停止指令通信回路180において互いに接続されている。このため、停止指令ポートCN35を介してマスタコントローラ12に送信された停止指令は、マスタコントローラ12の停止指令ポートCN15,CN25を介して第2グループの複数の電力変換装置20に送信される。
【0185】
停止指令受信部361は、停止指令ポートCN45を介してマスタコントローラ10又は上位の電力変換装置20から停止指令を受信する。上述のように、停止指令ポートCN45,CN55は、停止指令通信回路360において互いに接続されている。このため、停止指令受信部361が受信する停止指令は、停止指令ポートCN55を介して下位の電力変換装置20に更に送信される。
【0186】
図1に戻り、マスタコントローラ10は、シリアル通信系統CS01、開始指令系統CS11、異常通知系統CS31及び停止指令系統CS41とは別の同期系統によっても複数の電力変換装置20と通信可能であってもよい。マスタコントローラ10は、同期系統により、複数の電力変換装置20に同期信号を送信し、複数の電力変換装置20のそれぞれは、同期信号を受信した場合に、同期信号に自装置のキャリア波を同期させ、同期済みのキャリア波の周期で1以上のスイッチング素子38のオン・オフを切り替えることで制御指令に基づく電力変換を行ってもよい。
【0187】
電力変換システム1がマスタコントローラ11,12を備える場合、マスタコントローラ12は、第2シリアル通信系統CS02、第2開始指令系統CS12、第2異常通知系統CS32、及び第2停止指令系統CS42とは別の第2同期系統によってもマスタコントローラ11と通信可能であってもよい。また、マスタコントローラ12は、第3シリアル通信系統CS03、第3開始指令系統CS13、第3異常通知系統CS33、及び第3停止指令系統CS43とは別の第3同期系統によっても第2グループの複数の電力変換装置20と通信可能であってもよい。
【0188】
マスタコントローラ11は、同期系統により、複数の電力変換装置20に同期信号を送信し、第2同期系統により、マスタコントローラ12に同期信号を送信してもよい。マスタコントローラ12は、マスタコントローラ11から受信した同期信号に同期した第2同期信号を、第3同期系統により、第2グループの複数のマスタコントローラ12に送信してもよい。
【0189】
複数の電力変換装置20のそれぞれは、同期信号を受信した場合に、同期信号に自装置のキャリア波を同期させ、同期済みのキャリア波の周期で1以上のスイッチング素子38のオン・オフを切り替えることで制御指令に基づく電力変換を行ってもよい。第2グループの複数の電力変換装置20のそれぞれは、第2同期信号を受信した場合に、第2同期信号に自装置のキャリア波を同期させ、同期済みのキャリア波の周期で1以上のスイッチング素子38のオン・オフを切り替えることで制御指令に基づく電力変換を行ってもよい。
【0190】
同期系統、第2同期系統及び第3同期系統は、有線式であってもよく、無線式であってもよい。例えば有線式の同期系統は、シリアル通信系統を構成する通信ラインから独立した別の通信ラインにより構成される。無線式の停止指令系統は、シリアル通信系統の周波数帯域とは異なる周波数帯域の無線信号の送受信機により構成される。
【0191】
例えば図2に示すように、マスタ-スレーブコネクタCN10は、シリアル通信ポートCN11、開始指令ポートCN12、異常信号ポートCN14及び停止指令ポートCN15から独立した同期ポートCN13を更に含んでもよい。マスタ-スレーブコネクタCN20は、シリアル通信ポートCN21、開始指令ポートCN22、異常信号ポートCN24及び停止指令ポートCN25から独立した同期ポートCN23を更に含んでもよい。
【0192】
マスタースレーブケーブルCA10は、シリアル通信ラインCA11、開始指令ラインCA12、異常信号ラインCA14及び停止指令ラインCA15から独立して同期ポートCN13,CN23に接続される同期ラインCA13を含んでもよい。同期ポートCN13,CN23と、同期ラインCA13とは、同期系統CS21又は第3同期系統CS23の少なくとも一部を構成する(図11参照)。
【0193】
マスタ-マスタコネクタCN30は、シリアル通信ポートCN31、開始指令ポートCN32、異常信号ポートCN34及び停止指令ポートCN35から独立した同期ポートCN33を更に含んでもよい。
【0194】
マスタ-マスタケーブルCA20は、シリアル通信ラインCA21、開始指令ラインCA22、異常信号ラインCA24及び停止指令ラインCA25から独立して同期ポートCN33に接続される同期ラインCA23を含んでもよい。同期ポートCN33と、同期ラインCA23とは、第2同期系統CS22の少なくとも一部を構成する(図11参照)。
【0195】
マスタ制御回路100は、同期信号通信回路160を更に有してもよい。同期信号通信回路160は、マスタ-スレーブコネクタCN10の同期ポートCN13と、マスタ-スレーブコネクタCN20の同期ポートCN23と、マスタ-マスタコネクタCN30の同期ポートCN33とに接続されている。
【0196】
プライマリモードのマスタコントローラ11において、同期信号通信回路160は、同期ポートCN13,CN23を介して同期系統CS21に接続され、同期系統CS21により複数の電力変換装置20に同期信号を送信する。また、同期信号通信回路160は、同期ポートCN33を介して第2同期系統CS22に接続され、第2同期系統CS22によりマスタコントローラ12に停止指令を送信する。
【0197】
セカンダリモードのマスタコントローラ12において、同期信号通信回路160は、同期ポートCN33を介して同期系統CS21に接続され、第2同期系統CS22によりマスタコントローラ11から同期信号を受信し、同期信号に同期した第2同期信号を生成する。また、同期信号通信回路160は、同期ポートCN13,CN23を介して第3同期系統CS23に接続され、第3同期系統CS23により第2グループの複数の電力変換装置20に第2同期信号を送信する。
【0198】
この場合、ストレージ113が記憶するプログラムは、同期ポートCN13,CN23を介した通信により、停止指令通信回路180から複数の電力変換装置20に同期信号を送信することをマスタ制御回路100に更に実行させるように構成されていてもよい。
【0199】
上述したように、ストレージ113が記憶するプログラムは、プライマリモードとセカンダリモードとの間で動作モードを切り替えることをマスタ制御回路100に更に実行させるように構成されていてもよい。この場合のプログラムは、プライマリモードにおいて、同期ポートCN13,CN23を介した通信により、停止指令通信回路180から複数の電力変換装置20に同期信号を送信し、同期ポートCN33を介した通信により、同期信号通信回路160からマスタコントローラ12に同期信号を送信することをマスタ制御回路100に更に実行させるように構成されていてもよい。
【0200】
また、この場合のプログラムは、セカンダリモードにおいて、同期ポートCN33を介した通信により、マスタコントローラ11から同期信号通信回路160に同期信号を受信し、同期信号に同期した第2同期信号を同期信号通信回路160により生成し、ステップS13,S23を介した通信により、同期信号通信回路160から第2グループの複数の電力変換装置20に第2同期信号を送信することをマスタ制御回路100に更に実行させるように構成されていてもよい。
【0201】
プロセッサ111は、ストレージ113が記憶するプログラムを実行することで、同期ポートCN13,CN23を介した通信により、同期信号通信回路160から複数の電力変換装置20に同期信号を送信させてもよい。
【0202】
プライマリモードにおいて、プロセッサ111は、同期ポートCN13,CN23を介した通信により、同期信号通信回路160から複数の電力変換装置20に同期信号を送信させ、同期ポートCN33を介した通信により、同期信号通信回路160からマスタコントローラ12に同期信号を送信させてもよい。
【0203】
セカンダリモードにおいて、プロセッサ111は、同期ポートCN33を介した通信により、マスタコントローラ11からの同期信号を同期信号通信回路160に受信させ、同期信号に同期した第2同期信号を同期信号通信回路160に生成させ、同期ポートCN13,CN23を介した通信により、同期信号通信回路160から第2グループの複数の電力変換装置20に第2同期信号を送信させてもよい。
【0204】
図3に示すように、上位コネクタCN40は、シリアル通信ポートCN41、開始指令ポートCN42、異常信号ポートCN44及び停止指令ポートCN45から独立した同期ポートCN43を更に含んでいてもよい。下位コネクタCN50は、シリアル通信ポートCN51、開始指令ポートCN52、異常信号ポートCN54及び停止指令ポートCN55から独立した同期ポートCN53を更に含んでいてもよい。同期ポートCN43,CN53には、マスタースレーブケーブルCA10の同期ラインCA13が接続される。同期ポートCN43,CN53は、同期系統CS21又は第3同期系統CS23の少なくとも一部を構成する(図11参照)。
【0205】
スレーブ制御回路300は、同期信号通信回路340を更に有してもよい。同期信号通信回路340は、上位コネクタCN40の同期ポートCN43と、下位コネクタCN50の同期ポートCN53とに接続されている。同期ポートCN43,CN53は、同期信号通信回路340において互いに接続されている。
【0206】
マスタコントローラ11に接続される電力変換装置20において、同期信号通信回路340は、同期ポートCN43,CN53を介して同期系統CS21に接続され、同期系統CS21を介してマスタコントローラ11及び下位の電力変換装置20と通信する。上位の電力変換装置20を介してマスタコントローラ11に接続される電力変換装置20において、同期信号通信回路340は、同期ポートCN43,CN53を介して同期系統CS21に接続され、同期系統CS21を介して上位の電力変換装置20及び下位の電力変換装置20と通信する。
【0207】
マスタコントローラ12に接続される電力変換装置20において、同期信号通信回路340は、同期ポートCN43,CN53を介して第3同期系統CS23に接続され、第3同期系統CS23を介してマスタコントローラ12及び下位の電力変換装置20と通信する。上位の電力変換装置20を介してマスタコントローラ12に接続される電力変換装置20において、同期信号通信回路340は、同期ポートCN43,CN53を介して第3同期系統CS23に接続され、第3同期系統CS23を介して上位の電力変換装置20及び下位の電力変換装置20と通信する。
【0208】
この場合、ストレージ313が記憶するプログラムは、同期ポートCN43を介した通信により、同期信号又は第2同期信号を受信した場合に、同期信号又は第2同期信号にPWM制御回路315におけるキャリア波を同期させ、同期済みのキャリア波の周期で、PWM制御回路315により1以上のスイッチング素子38のオン・オフを切り替えさせることをスレーブ制御回路300に更に実行させるように構成されていてもよい。
【0209】
プロセッサ311は、ストレージ313が記憶するプログラムを実行することで、同期ポートCN43を介した通信により、同期信号又は第2同期信号を受信した場合に、同期信号又は第2同期信号にPWM制御回路315におけるキャリア波を同期させ、同期済みのキャリア波の周期で、PWM制御回路315により1以上のスイッチング素子38のオン・オフを切り替えさせてもよい。
【0210】
図11に示すように、同期信号通信回路160は、キャリア生成部161と、同期信号送信部162と、キャリア補正部163とを有する。キャリア生成部161は、キャリア波を生成する。例えば同期信号送信部162は、プライマリモードにおいて、キャリア生成部161が生成するキャリア波に同期した同期信号を生成し、同期ポートCN13,CN23を介して複数の電力変換装置20に同期信号を送信し、同期ポートCN33を介してマスタコントローラ12に同期信号を送信する。
【0211】
キャリア補正部163は、セカンダリモードにおいて、同期ポートCN33を介してマスタコントローラ11から同期信号を受信し、受信した同期信号に、キャリア生成部161が生成するキャリア波を同期させる。例えばキャリア補正部163は、キャリア生成部161が生成するキャリア波の周期及び位相の少なくとも一方を変更することによって、当該キャリア波を同期信号に同期させる。その後、同期信号送信部162は、キャリア生成部161が生成するキャリア波に同期した第2同期信号を生成し、同期ポートCN13,CN23を介して複数の電力変換装置20に第2同期信号を送信する。なお、セカンダリモードにおいて、同期信号送信部162は、マスタコントローラ11から受信した同期信号をそのまま第2同期信号として複数の電力変換装置20に送信してもよい。
【0212】
同期信号通信回路340は、キャリア生成部341と、キャリア補正部343とを有する。キャリア生成部341は、PWM制御回路315にスイッチング素子38のオン・オフを切り替えさせるためのキャリア波を生成する。キャリア補正部343は、同期ポートCN43を介して同期信号又は第2同期信号を受信し、受信した同期信号又は第2同期信号に、キャリア生成部341が生成するキャリア波を同期させる。例えばキャリア補正部343は、キャリア生成部341が生成するキャリア波の周期及び位相の少なくとも一方を変更することによって、当該キャリア波を同期信号又は第2同期信号に同期させる。これにより、PWM制御回路315におけるキャリア波が同期信号又は第2同期信号に同期する。
【0213】
上述のように、同期ポートCN43,CN53は、同期信号通信回路340において互いに接続されている。このため、キャリア補正部343が受信する同期信号又は第2同期信号は、同期ポートCN53を介して下位の電力変換装置20に更に送信される。
【0214】
複数の電力変換装置20は、同期系統CS21又は第3同期系統CS23により、マスタコントローラ10に対して並列に通信接続されていてもよい。上述のように、並列な通信接続は、マスタコントローラ10の出力が、複数の電力変換装置20それぞれにそのまま入力される接続を意味する。同期系統CS21又は第3同期系統CS23による並列な通信接続によって、複数の電力変換装置20は、マスタコントローラ10からの同期信号を並列に受信する。
【0215】
〔電力変換手順〕
続いて、電力変換方法の一例として、電力変換システム1が実行する電力変換手順を例示する。この手順は、プライマリモードのマスタ制御手順と、セカンダリモードのマスタ制御手順と、スレーブ制御手順と、を含む。この手順は、プライマリモードの同期信号送信手順と、セカンダリモードの同期信号送信手順と、キャリア同期手順とを更に含んでもよい。この手順は、異常確認結果の送信手順と、異常確認結果の転送手順と、異常確認結果に基づく停止指令送信手順と、停止制御手順とを更に含んでもよい。以下、各手順を詳細に例示する。
【0216】
(プライマリモードのマスタ制御手順)
この手順は、プライマリモードのマスタコントローラ11のマスタ制御回路100が実行する制御手順である。図12に示すように、マスタ制御回路100は、ステップS01,S02,S03,S04,S05を順に実行する。ステップS01では、プロセッサ111が、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、シリアル通信回路114が複数の電力変換装置20から第1グループのフィードバック信号を受信し、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信により、シリアル通信回路114がマスタコントローラ12から第2グループのフィードバック信号を受信するのを待機する。
【0217】
ステップS02では、プロセッサ111が、第1グループのフィードバック信号と、第2グループのフィードバック信号とに基づいて制御指令を生成する。ステップS03では、プロセッサ111が、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、制御指令をシリアル通信回路114から複数の電力変換装置20に送信させ、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信により、制御指令をシリアル通信回路114からマスタコントローラ12に送信させる。
【0218】
ステップS04では、プロセッサ111が、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、シリアル通信回路114が複数の電力変換装置20の全てから制御指令の受信通知を受信し、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信により、シリアル通信回路114がマスタコントローラ12から制御指令の受信通知を受信するのを待機する。
【0219】
ステップS05では、プロセッサ111が、開始指令ポートCN12,CN22を介した通信により、開始指令通信回路150から複数の電力変換装置20のそれぞれに開始指令を送信させ、開始指令ポートCN32を介した通信により、開始指令通信回路150からマスタコントローラ12に開始指令を送信させる。これにより、マスタコントローラ12の開始指令通信回路150から第2グループの複数の電力変換装置20のそれぞれにも開始指令が送信される。その後、マスタコントローラ11は処理をステップS01に戻す。マスタ制御回路100は、以上の処理を繰り返す。
【0220】
(セカンダリモードのマスタ制御手順)
この手順は、セカンダリモードのマスタコントローラ12のマスタ制御回路100が実行する制御手順である。図13に示すように、マスタ制御回路100は、ステップS11,S12,S13,S14,S15,S16を順に実行する。
【0221】
ステップS11では、プロセッサ111が、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、シリアル通信回路114が第2グループの複数の電力変換装置20から第2グループのフィードバック信号を受信するのを待機する。ステップS12では、プロセッサ111が、シリアル通信回路114が受信したフィードバック信号を、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信によりシリアル通信回路114からマスタコントローラ11に送信させる。
【0222】
ステップS13では、プロセッサ111が、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信により、マスタコントローラ11からの制御指令をシリアル通信回路114が受信するのを待機する。ステップS14では、プロセッサ111が、シリアル通信回路114が受信した制御指令を、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、シリアル通信回路114から第2グループの複数の電力変換装置20に送信させる。
【0223】
ステップS15では、プロセッサ111が、シリアル通信ポートCN11,CN21を介したシリアル通信により、シリアル通信回路114が第2グループの複数の電力変換装置20の全てから制御指令の受信通知を受信するのを待機する。ステップS16では、プロセッサ111が、シリアル通信ポートCN31を介したシリアル通信によりシリアル通信回路114からマスタコントローラ11に制御指令の受信通知を送信する。その後、マスタ制御回路100は処理をステップS11に戻す。マスタ制御回路100は、以上の処理を繰り返す。
【0224】
(スレーブ制御手順)
この手順は、電力変換装置20のスレーブ制御回路300が実行する制御手順である。図14に示すように、スレーブ制御回路300は、ステップS21,S22,S23,S24,S25,S26を順に実行する。ステップS21では、プロセッサ311が、電力変換回路30の状態を示すフィードバック信号を取得する。例えばプロセッサ311は、電流センサ35による電流検出結果をセンサ情報取得回路314に取得させる。ステップS22では、プロセッサ311が、シリアル通信ポートCN41を介したシリアル通信により、フィードバック信号をシリアル通信回路316からマスタコントローラ10に送信させる。
【0225】
ステップS23では、プロセッサ311が、シリアル通信ポートCN41を介したシリアル通信により、シリアル通信回路316が制御指令を受信するのを待機する。ステップS24では、プロセッサ311が、シリアル通信ポートCN41を介したシリアル通信により、シリアル通信回路316からマスタコントローラ10に制御指令の受信通知を送信させる。
【0226】
ステップS25では、プロセッサ311が、開始指令ポートCN42を介した通信により開始指令通信回路330が開始指令を受信するのを待機する。ステップS26では、プロセッサ311が、受信済みの制御指令に基づく電力変換回路30による電力変換をPWM制御回路315に開始させる。その後、マスタコントローラ10は処理をステップS21に戻す。スレーブ制御回路300は、以上の処理を繰り返す。
【0227】
(プライマリモードの同期信号送信手順)
この手順は、プライマリモードのマスタコントローラ11のマスタ制御回路100が実行する同期信号の送信手順である。図15に示すように、マスタ制御回路100は、ステップS31,S32,S33を順に実行する。ステップS31では、プロセッサ111が、所定のキャリア調整タイミングを待機する。キャリア調整タイミングは、所定のキャリア調整周期で繰り返すように予め定められている。
【0228】
ステップS32では、プロセッサ111が、同期信号通信回路160に同期信号の生成を要求する。これに応じ、同期信号送信部162が、キャリア生成部161が生成するキャリア波に基づいて同期信号を生成する。ステップS33では、同期信号送信部162が、同期ポートCN13,CN23を介した通信により、複数の電力変換装置20に同期信号を送信し、同期ポートCN33を介した通信により、マスタコントローラ12に同期信号を送信する。その後、マスタ制御回路100は処理をステップS31に戻す。マスタ制御回路100は以上の処理を繰り返す。
【0229】
(セカンダリモードの同期信号送信手順)
この手順は、セカンダリモードのマスタコントローラ12のマスタ制御回路100が実行する同期信号の送信手順である。図16に示すように、マスタ制御回路100は、ステップS41,S42,S43,S44を順に実行する。ステップS41では、キャリア補正部163が、同期ポートCN33を介した通信により、マスタコントローラ11からの同期信号を受信するのを待機する。
【0230】
ステップS42では、キャリア補正部163が、受信した同期信号に、キャリア生成部161が生成するキャリア波を同期させる。ステップS43では、同期信号送信部162が、キャリア生成部161が生成するキャリア波に同期した第2同期信号を生成する。
【0231】
ステップS44では、同期信号送信部162が、同期ポートCN13,CN23を介した通信により、第2グループの複数の電力変換装置20に第2同期信号を送信する。その後、マスタ制御回路100は処理をステップS41に戻す。マスタ制御回路100は以上の処理を繰り返す。なお、上述したように、同期信号送信部162は、マスタコントローラ11から受信した同期信号をそのまま第2同期信号として複数の電力変換装置20に送信してもよい。
【0232】
(キャリア同期手順)
この手順は、電力変換装置20のスレーブ制御回路300が実行するキャリア波の同期手順である。図17に示すように、スレーブ制御回路300は、ステップS51,S52を順に実行する。ステップS51では、キャリア補正部343が、同期ポートCN43を介した通信により、同期信号又は第2同期信号を受信するのを待機する。
【0233】
ステップS52では、キャリア補正部343が、受信した同期信号又は第2同期信号に、キャリア生成部341が生成するキャリア波を同期させる。これにより、PWM制御回路315におけるキャリア波が同期信号又は第2同期信号に同期する。その後、マスタ制御回路100は処理をステップS51に戻す。スレーブ制御回路300は以上の処理を繰り返す。
【0234】
(異常確認結果の送信手順)
この手順は、電力変換装置20のスレーブ制御回路300が実行する異常確認結果の送信手順である。図18に示すように、スレーブ制御回路300は、ステップS61,S62,S63を順に実行する。ステップS61では、確認結果取得部352が、自装置の異常確認結果を取得する。
【0235】
ステップS62では、OR演算部351が、異常通知系統CS31又は第3異常通知系統CS33によりマスタコントローラ10に送信される信号に、確認結果取得部352による異常確認結果を合成する。例えばOR演算部351は、確認結果取得部352による異常確認結果と、異常信号ポートCN54を介した通信により下位の電力変換装置20から受信した異常確認結果とのOR演算を行う。
【0236】
ステップS63では、OR演算部351が、上記OR演算の演算結果を、異常信号ポートCN44を介した通信によりマスタコントローラ10又は上位の電力変換装置20に送信する。その後、スレーブ制御回路300は処理をステップS61に戻す。スレーブ制御回路300は以上の処理を繰り返す。
【0237】
(異常確認結果の転送手順)
この手順は、セカンダリモードのマスタコントローラ12のマスタ制御回路100が、第2グループの複数の電力変換装置20の異常確認結果をマスタコントローラ11に転送する手順である。図19に示すように、マスタ制御回路100は、ステップS71,S72を順に実行する。ステップS71では、OR演算部173が、異常信号ポートCN14を介した通信により電力変換装置20から受信した異常確認結果と、異常信号ポートCN24を介した通信により電力変換装置20から受信した異常確認結果とのOR演算を行う。
【0238】
ステップS72では、OR演算部173が、上記OR演算の演算結果を、異常信号ポートCN34を介した通信によりマスタコントローラ11に送信する。その後、マスタ制御回路100は処理をステップS71に戻す。マスタ制御回路100は以上の処理を繰り返す。
【0239】
(異常確認結果に基づく停止指令送信手順)
この手順は、プライマリモードのマスタコントローラ11のマスタ制御回路100が実行する停止指令の送信手順である。図20に示すように、マスタ制御回路100は、まずステップS81,S82を実行する。
【0240】
ステップS81では、OR演算部172が、異常信号ポートCN14を介した通信により電力変換装置20から受信した異常確認結果と、異常信号ポートCN24を介した通信により電力変換装置20から受信した異常確認結果と、異常信号ポートCN34を介した通信によりマスタコントローラ12から受信した異常確認結果とのOR演算を行い、演算結果を異常信号受信部171が取得する。ステップS82では、プロセッサ111が、異常信号受信部171が取得した演算結果に基づいて、複数の電力変換装置20及び第2グループの複数の電力変換装置20のいずれかに異常があるか否かを確認する。
【0241】
ステップS82において複数の電力変換装置20及び第2グループの複数の電力変換装置20のいずれにも異常がないと判定した場合、マスタ制御回路100は処理をステップS81に戻す。
【0242】
ステップS82において複数の電力変換装置20及び第2グループの複数の電力変換装置20のいずれかに異常があると判定した場合、プロセッサ111は、停止指令ポートCN15,CN25を介した通信により、停止指令送信部181から複数の電力変換装置20に停止指令を送信させ、停止指令ポートCN35を介した通信により、停止指令送信部181からマスタコントローラ12に停止指令を送信する。停止指令ポートCN35を介してマスタコントローラ12に送信された停止指令は、マスタコントローラ12の停止指令ポートCN15,CN25を介して第2グループの複数の電力変換装置20にも送信される。その後、マスタ制御回路100は処理をステップS81に戻す。マスタ制御回路100は以上の処理を繰り返す。
【0243】
(停止制御手順)
この手順は、電力変換装置20のスレーブ制御回路300が、停止指令に基づいて二次側電力の出力を停止する手順である。図21に示すように、スレーブ制御回路300は、ステップS91,S92を順に実行する。ステップS91では、プロセッサ311が、停止指令ポートCN45を介した通信により停止指令通信回路360がマスタコントローラ10から停止指令を受信するのを待機する。ステップS92では、プロセッサ311が、PWM制御回路315により二次側電力の出力を停止させる。以上で停止制御手順が完了する。
【0244】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、電力変換システム1は、複数の電力変換装置20と、複数の電力変換装置20とシリアル通信系統CS01により通信可能なマスタコントローラ10と、を備え、マスタコントローラ10は、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、制御指令を複数の電力変換装置20に送信し、複数の電力変換装置20のそれぞれは、制御指令に基づいて一次側電力から二次側電力への電力変換を行う。
【0245】
複数の電力変換装置20をマスタコントローラ10で一括制御する構成は、制御の信頼性向上に有効である。この構成において、マスタコントローラ10から電力変換装置20への制御指令の送信にシリアル通信系統CS01を用いることで、電力変換装置20の数のフレキシビリティを向上させることもできる。従って、装置構成のフレキシビリティと、制御の信頼性との両立に有効である。
【0246】
複数の電力変換装置20は、電力変換装置21A(第1電力変換装置)と、電力変換装置21Aとシリアル通信系統CS01により通信可能な電力変換装置21B,21C(第2電力変換装置)とを含み、マスタコントローラ10は、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、制御指令を電力変換装置21Aに送信し、電力変換装置21Aは、マスタコントローラ10から受信した制御指令を、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により電力変換装置21B,21Cに送信してもよい。この場合、シリアル通信系統の簡素化を図ることができる。
【0247】
マスタコントローラ10は、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、複数の電力変換装置20からフィードバック信号を受信し、受信したフィードバック信号に基づいて制御指令を生成してもよい。この場合、複数の電力変換装置20からのフィードバック信号に基づいて制御指令を生成することで、制御の信頼性が更に向上する。また、フィードバック信号の送受信もシリアル通信により行うことで、電力変換装置20の数のフレキシビリティが向上する。従って、出力のフレキシビリティと、制御の信頼性との両立に更に有効である。
【0248】
複数の電力変換装置20は、電力変換装置21D(第1電力変換装置)と、電力変換装置21Aとシリアル通信系統CS01により通信可能な電力変換装置21B,21C(第2電力変換装置)とを含み、電力変換装置21B,21Cは、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、第2フィードバック信号を電力変換装置21Aに送信し、電力変換装置21Aは、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、第1フィードバック信号と、電力変換装置21B,21Cから受信した第2フィードバック信号とをマスタコントローラ10に送信してもよい。この場合、配線の更なる簡素化を図ることができる。
【0249】
マスタコントローラ10は、シリアル通信系統CS01とは別の開始指令系統CS11によっても複数の電力変換装置20と通信可能であり、複数の電力変換装置20のそれぞれは、制御指令を受信した場合に、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、制御指令の受信通知をマスタコントローラ10に送信し、マスタコントローラ10は、複数の電力変換装置20の全てから制御指令の受信通知を受信した場合に、開始指令系統CS11により、複数の電力変換装置20のそれぞれに開始指令を送信し、複数の電力変換装置20のそれぞれは、開始指令を受信した場合に、受信済みの制御指令に基づく電力変換を開始してもよい。この場合、全ての電力変換装置20が制御指令を受信するのを待って、制御指令に基づく電力変換を一斉に開始させることができる。従って、制御の信頼性を更に向上させることができる。
【0250】
マスタコントローラ10は、シリアル通信系統CS01とは別の異常通知系統CS31によっても複数の電力変換装置20と通信可能であり、シリアル通信系統CS01及び異常通知系統CS31とは別の停止指令系統CS41によっても複数の電力変換装置20と通信可能であり、複数の電力変換装置20のそれぞれは、異常通知系統CS31により異常確認結果をマスタコントローラ10に送信し、マスタコントローラ10は、複数の電力変換装置20のいずれかに異常がある場合に、停止指令系統CS41により、複数の電力変換装置20に停止指令を送信し、複数の電力変換装置20のそれぞれは、停止指令を受信した場合に、二次側電力の出力を停止してもよい。この場合、シリアル通信エラーによる異常検知遅れを抑制し、更に異常検知に応じた停止の遅れを抑制することができる。従って、制御の信頼性を更に向上させることができる。
【0251】
複数の電力変換装置20は、異常通知系統CS31により、マスタコントローラ10に対して直列に通信接続され、停止指令系統CS41により、マスタコントローラ10に対して並列に通信接続されていてもよい。この場合、情報伝達の確実性と、配線の簡素化との両立を図ることができる。
【0252】
複数の電力変換装置20のそれぞれは、異常通知系統CS31によりマスタコントローラ10に送信される信号に、異常確認結果を示す信号を合成してもよい。この場合、情報伝達の確実性と、配線の簡素化との両立をより確実に図ることができる。
【0253】
マスタコントローラ10は、シリアル通信系統CS01とは別の同期系統CS21によっても複数の電力変換装置20と通信可能であり、同期系統CS21により、複数の電力変換装置20に同期信号を送信し、複数の電力変換装置20のそれぞれは、同期信号を受信した場合に、同期信号にキャリア波を同期させ、キャリア波の周期で1以上のスイッチング素子38のオン・オフを切り替えることで制御指令に基づく電力変換を行ってもよい。この場合、シリアル通信エラーによる同期遅れを抑制することができる。従って、制御の信頼性を更に向上させることができる。
【0254】
マスタコントローラ11は、第2シリアル通信系統CS02によりマスタコントローラ12(第2マスタコントローラ)と更に通信可能であり、マスタコントローラ11は、プライマリモードとセカンダリモードとの間で動作モードを切り替えるように構成され、プライマリモードにおいては、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、制御指令を複数の電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fに送信し、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信により、制御指令をマスタコントローラ12に送信し、セカンダリモードにおいては、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信により、マスタコントローラ12から制御指令を受信し、受信した制御指令を、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により複数の電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fに送信してもよい。この場合、マスタコントローラ11と、他のマスタコントローラ12とを組み合わせることで、電力変換装置20の数のフレキシビリティを更に向上させることができる。また、プライマリモード及びセカンダリモードでハードウェアを共通化することで、マスタコントローラ10の汎用性が向上する。
【0255】
マスタコントローラ11は、プライマリモードにおいては、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、複数の電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fから第1グループのフィードバック信号を受信し、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信により、マスタコントローラ12(第2マスタコントローラ)から第2グループのフィードバック信号を受信し、第1グループのフィードバック信号及び第2グループのフィードバック信号に基づいて制御指令を生成し、セカンダリモードにおいては、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、複数の電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fからフィードバック信号を受信し、受信したフィードバック信号を、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信によりマスタコントローラ12に送信してもよい。この場合、マスタコントローラ10の汎用性が更に向上する。
【0256】
電力変換システム1は、第2グループの複数の電力変換装置22A,22B,22C,22D,22E,22Fと、第2シリアル通信系統CS02によりマスタコントローラ11と通信可能であり、第3シリアル通信系統CS03により第2グループの複数の電力変換装置22A,22B,22C,22D,22E,22Fと通信可能なマスタコントローラ12と、を更に備え、マスタコントローラ11は、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により制御指令を複数の電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fに送信し、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信により制御指令をマスタコントローラ12に送信し、マスタコントローラ12は、マスタコントローラ11から制御指令を受信し、受信した制御指令を、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により第2グループの複数の電力変換装置22A,22B,22C,22D,22E,22Fに送信してもよい。この場合、電力変換装置20の数のフレキシビリティを更に向上させることができる。
【0257】
マスタコントローラ12は、第3シリアル通信系統CS03を介したシリアル通信により、第2グループの複数の電力変換装置22A,22B,22C,22D,22E,22Fから第2グループのフィードバック信号を受信し、受信した第2グループのフィードバック信号を、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信によりマスタコントローラ11に送信し、マスタコントローラ11は、シリアル通信系統CS01を介したシリアル通信により、複数の電力変換装置21A,21B,21C,21D,21E,21Fから第1グループのフィードバック信号を受信し、第2シリアル通信系統CS02を介したシリアル通信により、マスタコントローラ12から第2グループのフィードバック信号を受信し、第1グループのフィードバック信号と、第2グループのフィードバック信号とに基づいて制御指令を生成してもよい。この場合、電力変換装置20の数のフレキシビリティを更に向上させることができる。
【0258】
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0259】
1…電力変換システム、10…マスタコントローラ、11,12…マスタコントローラ(第2マスタコントローラ)、20…電力変換装置、21A,21D,22A,22D…電力変換装置(第1電力変換装置)、21B,21C,21E,21F,22B,22C,22E,22F…電力変換装置(第2電力変換装置)、38…スイッチング素子、CS01…シリアル通信系統、CS02…第2シリアル通信系統、CS03…第3シリアル通信系統、CS11…開始指令系統、CS21…同期系統、CS31…異常通知系統、CS41…停止指令系統。

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