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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】風冷式冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/08 20060101AFI20240516BHJP
   F25D 17/06 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
F25D17/08 304
F25D17/06 304
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023511900
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(86)【国際出願番号】 CN2021112992
(87)【国際公開番号】W WO2022037574
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】202010833861.3
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520514425
【氏名又は名称】青島海尓電冰箱有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER REFRIGERATOR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(73)【特許権者】
【識別番号】520514414
【氏名又は名称】海尓智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】馬 堅
(72)【発明者】
【氏名】王 常志
(72)【発明者】
【氏名】費 斌
(72)【発明者】
【氏名】野田 俊典
(72)【発明者】
【氏名】董 凌云
(72)【発明者】
【氏名】陳 建全
(72)【発明者】
【氏名】劉 会
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-106751(JP,A)
【文献】特開2020-106238(JP,A)
【文献】特表2023-538062(JP,A)
【文献】特表2023-538064(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110285629(CN,A)
【文献】中国実用新案第204043273(CN,U)
【文献】中国実用新案第210832696(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/08
F25D 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風冷式冷蔵庫であって、
冷却室と貯蔵空間が区画されており、前記冷却室が前記貯蔵空間の下方に設けられる底部内箱と、
前記冷却室の後部に設けられるファンボトムケースと、
ダクトカバープレートと、を含み、
前記ダクトカバープレートは、
前記底部内箱の後壁の前方に設けられ、前記底部内箱の前記後壁とともに送風ダクトを画定しており、前記送風ダクト及び前記貯蔵空間に連通する少なくとも1つの送風口が開けられるバックプレート部と、
前記バックプレート部の下端から下へ傾斜して前記冷却室内に伸び、前記ファンボトムケースにカバーされ、前記ファンボトムケースと共にファンブレードを収納するファンキャビティを形成し、かつ、前記バックプレート部と一体成形部材になるファンカバーと、を含み、
前記ファンキャビティ内に設けられ、前記冷却室から前記送風ダクトに排出される冷凍気流の形成を促進する前記ファンブレードをさらに含み、
前記貯蔵空間の中央部に縦方向に設けられ、前記貯蔵空間を横方向に配列された2つの貯蔵室に仕切る縦方向セパレータと、
前記底部内箱の後壁に設けられ、前記貯蔵空間を向く支持ブロックを有し、前記支持ブロックによって前記縦方向セパレータを支持するバック固定アセンブリと、をさらに含む風冷式冷蔵庫。
【請求項2】
前記ファンブレードは遠心ブレードであり、
前記ファンカバーと前記ファンボトムケースにより形成されるファンキャビティはボリュート状であり、前記ファンカバーには吹込み口が開けられ、前記ファンカバーの前記バックプレート部に接する位置が排気口となる請求項1に記載の風冷式冷蔵庫。
【請求項3】
全体として扁平直方体の形状をしており、前記冷却室の前部に配置される蒸発器を含み、
前記底部内箱の底壁は、
前記蒸発器を支持するための蒸発器支持部と、
前記蒸発器支持部の後端から、前から後に向かって上へ傾斜して設けられるファン支持部と、を含み、
前記ファンボトムケースが前記ファン支持部に固定されることによって、前記ファンキャビティが全体として前記蒸発器の後部に傾斜して設けられる請求項2に記載の風冷式冷蔵庫。
【請求項4】
前記ファンボトムケースは、複数の制振性粘着パッドが底部に設けられており、複数の前記制振性粘着パッドを介して前記ファン支持部に粘着されている請求項3に記載の風冷式冷蔵庫。
【請求項5】
前記バック固定アセンブリは、
前記底部内箱の背部の後側に固定される支持ベースと、
前記底部内箱の背部の前側に設けられ、ファスナーによって前記支持ベースに接続され、前記貯蔵空間に向かって凸出して、前記支持ブロックを形成する負荷フレームと、を含み、
前記バックプレート部では、前記負荷フレームに対応する位置に前記貯蔵空間に向かって凸出する支持シースが形成されており、前記支持ブロックは前記支持シース内に挿入され、前記支持シースは前記縦方向セパレータの後端に設けられる固定構造と嵌合し、前記支持シースと前記縦方向セパレータの固定構造との嵌合によって前記縦方向セパレータが支持される請求項に記載の風冷式冷蔵庫。
【請求項6】
気流が前記負荷フレームにおいて乱流とならないように、前記バックプレート部の前記送風ダクトを向く側において前記負荷フレームの外周に導風シースが形成されている請求項に記載の風冷式冷蔵庫。
【請求項7】
前記導風シースは前記バックプレート部の高さ方向に延在しており、その底端に流線型の先端が形成され、前記先端によって気流が導流される請求項に記載の風冷式冷蔵庫。
【請求項8】
前記ダクトカバープレートは一体に射出成形された1層板であり、前記バックプレート部の上部に折り目溝を有し、
前記ダクトカバープレートを取り付ける際に前記折り目溝によって前記バックプレート部を曲げる請求項1に記載の風冷式冷蔵庫。
【請求項9】
前記バックプレート部では、前記送風口の下方には、横方向に延在している少なくとも1つの止めリブがさらに設けられ、前記送風口での凝縮水が下へ流れて前記ファンキャビティに入ることを阻止する請求項1に記載の風冷式冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷藏冷凍技術に関し、特に風冷式冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷蔵庫では、ダクトプレート及びダクト内に設けられるファンの渦巻ケーシングは一般には独立した2つの部品である。組み立てる際には、作業者が一般にはダクトプレートとファンの渦巻ケーシングを多くのファスナーで接続するが、このようにすると、取り付けるプロセスが複雑であり、コストが増加し、量産に不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目的は、従来技術における少なくとも1つの欠陥を解決して、風冷式冷蔵庫を提供することにある。
【0004】
本発明の更なる目的は冷蔵庫の取り付け手順を簡素化することにある。
【0005】
本発明の更に別の目的は、縦方向セパレータの後端を底部内箱に固定することで、蒸発器のカバーの負荷を低減させ、冷蔵庫の安定性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特に、本発明は、
冷却室と貯蔵空間が区画されており、前記冷却室が前記貯蔵空間の下方に設けられる底部内箱と、
前記冷却室の後部に設けられるファンボトムケースと、
ダクトカバープレートと、を含み、
前記ダクトカバープレートは、
前記底部内箱の後壁の前方に設けられ、前記底部内箱の前記後壁とともに送風ダクトを画定しており、前記送風ダクト及び前記貯蔵空間に連通する少なくとも1つの送風口が開けられるバックプレート部と、
前記バックプレート部の下端から下へ傾斜して前記冷却室内に伸び、前記ファンボトムケースにカバーされ、前記ファンボトムケースと共にファンブレードを収納するファンキャビティを形成し、かつ、前記バックプレート部と一体成形部材になるファンカバーと、を含み、
前記ファンキャビティ内に設けられ、前記冷却室から前記送風ダクトに排出される冷凍気流の形成を促進する前記ファンブレードをさらに含む風冷式冷蔵庫を提供する。
【0007】
さらに、前記ファンブレードは遠心ブレードであり、
前記ファンカバーと前記ファンボトムケースにより形成されるファンキャビティはボリュート状であり、前記ファンカバーには吹込み口が開けられ、前記ファンカバーの前記バックプレート部に接する位置が排気口となる。
【0008】
さらに、風冷式冷蔵庫は、
全体として扁平直方体の形状をしており、前記冷却室の前部に配置される蒸発器を含み、
前記底部内箱の底壁は、
前記蒸発器を支持するための蒸発器支持部と、
前記蒸発器支持部の後端から、前から後に向かって上へ傾斜して設けられるファン支持部と、を含み、
前記ファンボトムケースが前記ファン支持部に固定されることによって、前記ファンキャビティが全体として前記蒸発器の後部に傾斜して設けられる。
【0009】
さらに、前記ファンボトムケースは複数の制振性粘着パッドが底部に設けられており、複数の前記制振性粘着パッドを介して前記ファン支持部に粘着されている。
【0010】
さらに、風冷式冷蔵庫は、
前記貯蔵空間の中央部に縦方向に設けられ、前記貯蔵空間を横方向に配列された2つの貯蔵室に仕切る縦方向セパレータと、
前記底部内箱の後壁に設けられ、前記貯蔵空間を向く支持ブロックを有し、前記支持ブロックによって前記縦方向セパレータを支持するバック固定アセンブリと、をさらに含む。
【0011】
さらに、前記バック固定アセンブリは、
前記底部内箱の背部の後側に固定される支持ベースと、
前記底部内箱の背部の前側に設けられ、ファスナーによって前記支持ベースに接続され、前記貯蔵空間に向かって凸出して、前記支持ブロックを形成する負荷フレームと、を含み、
前記バックプレート部では、前記負荷フレームに対応する位置に前記貯蔵空間に向かって凸出する支持シースが形成されており、前記支持ブロックは前記支持シース内に挿入され、前記支持シースは前記縦方向セパレータの後端に設けられる固定構造と嵌合し、前記支持シースと前記縦方向セパレータの固定構造との嵌合によって前記縦方向セパレータが支持される。
【0012】
さらに、気流が前記負荷フレームにおいて乱流とならないように、前記バックプレート部の前記送風ダクトを向く側において前記負荷フレームの外周に導風シースが形成されている。
【0013】
さらに、前記導風シースは前記バックプレート部の高さ方向に延在しており、その底端に流線型の先端が形成され、前記先端によって気流が導流される。
【0014】
さらに、前記ダクトカバープレートは一体に射出成形された1層板であり、前記バックプレート部の上部に折り目溝を有し、
前記ダクトカバープレートを取り付ける際に前記折り目溝によって前記バックプレート部を曲げる。
【0015】
さらに、前記バックプレート部では、前記送風口の下方には、横方向に延在している少なくとも1つの止めリブがさらに設けられ、前記送風口での凝縮水が下へ流れて前記ファンキャビティに入ることを阻止する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の風冷式冷蔵庫では、バックプレート部とファンカバーが一体成形部材であることにより、モジュール化が実現され、これにより、量産が容易になり、しかも、組み立てる際には、操作者がまず該一体成形部材を取り付け、次に、蒸発器カバーを該一体成形部材に直接接続することができ、これにより、取り付け手順を簡素化させ、コストを削減させるだけでなく、ダクト構造全体をより強固にする。
【0017】
本発明の風冷式冷蔵庫では、底部内箱に縦方向セパレータが設けられており、縦方向セパレータの後端はダクトカバープレートに当接し、バックプレート部には貯蔵空間に向かって凸出する支持シースが設けられ、縦方向セパレータの後端にはバックプレート部の支持シースと嵌合する凹部が設けられ、支持ブロックは支持シース内に伸び、次に、支持ブロックと支持シースとにより形成されるアセンブリは一体として凹部に入り込み、このようにして、バック固定アセンブリによって底部内箱の後壁、バックプレート部及び縦方向セパレータが一体に固定され、これにより、縦方向セパレータの重力の一部が底部内箱の後壁に伝達され、蒸発器カバーによる圧力が分散される。
【0018】
以下で図面を参照して本発明の特定実施例を詳細に説明し、これによって、本発明の上記及び他の目的、利点及び特徴が当業者によってより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下では、本発明のいくつかの特定実施例は図面を参照して限定的ではなく例示的に説明される。図面における同じ符号は同一又は類似の部材又は部分を表す。当業者にとって明らかなように、これらの図面は必ずしも比例して描かれたものではない。
図1】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の概略図である。
図2】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の分解図であり、ハウジングが示されていない。
図3】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の断面図であり、ハウジングが示されていない。
図4】本発明の一実施例に係る冷蔵庫のファンボトムケース、ファンブレード及びダクトカバープレートの位置関係図であり、バックプレート部の曲げ部分が示されていない。
図5】本発明の一実施例に係る冷蔵庫のダクトカバープレートの概略図であり、バックプレート部の曲げ部分が示されておらず、破線は導風シースを流れる気流の方向を示す。
図6】本発明の一実施例に係る冷蔵庫のバック固定アセンブリの概略図である。
図7図3のA部の拡大図である。
図8】本発明の一実施例に係る冷蔵庫のダクトカバープレートの別の視角からの概略図であり、バックプレート部の曲げ部分が下へ90°折られた状態が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
なお、本実施例の説明において、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「奥行」などの用語により示される方位又は位置関係は冷蔵庫が正常に使用される状態での方位を参照とし、また図面に示される方位又は位置関係を参照して決定されるものであり、例えば、示される方位の「前」とは冷蔵庫の利用者に面する側である。本発明を説明しやすくし、説明を簡素化させるために過ぎず、係る装置又は構成要素が必ずしも特定の方位を有したり、特定の方位で構造、操作されたりすることを指示又は示唆するものではなく、このため、本発明を限定するものとして理解すべきではない。
【0021】
図1に示すように、本実施例の冷蔵庫1は一般には箱体10を含んでもよい。箱体10はハウジング、内箱、断熱層や他の付属部品などを含んでもよい。ハウジングは冷蔵庫の外層構造であり、冷蔵庫全体を保護する。外界との熱伝導を遮断するために、箱体10のハウジングと内箱との間に断熱層が増設されており、断熱層は一般には発泡プロセスにより形成される。内箱は1つ又は複数であってもよく、機能によって冷藏内箱、可変温度内箱、冷凍内箱等に分けられてもよく、内箱の具体的な数及び機能は冷蔵庫の使用ニーズに応じて設定されてもよい。本実施例では、内箱は、少なくとも底部内箱100を含み、底部内箱100は一般には冷凍内箱である。
【0022】
図2図4に示すように、冷蔵庫1は、ファンボトムケース210、ファンブレード220及びダクトカバープレートをさらに含んでもよい。底部内箱100内には冷却室120と貯蔵空間が区画されており、冷却室120は貯蔵空間の下方に設けられ、ファンボトムケース210は冷却室120の後部に設けられる。
【0023】
ダクトカバープレートはバックプレート部230とファンカバー240をさらに含んでもよい。バックプレート部230は、底部内箱100の後壁112の前方に設けられ、底部内箱100の後壁112と送風ダクト130を画定しており、バックプレート部230には、送風ダクト130及び貯蔵空間に連通する少なくとも1つの送風口232が開けられる。ファンカバー240はバックプレート部230の下端から下へ傾斜して冷却室120内に伸び、ファンボトムケース210にカバーされ、ファンボトムケース210と共にファンブレード220を収納するファンキャビティ242を形成し、かつ、バックプレート部230はファンカバー240と一体成形部材になる。ファンブレード220はファンキャビティ242内に設けられ、冷却室120から送風ダクト130に排出される冷凍気流の形成を促進する。
【0024】
本実施例では、底部内箱100の下方に蒸発器カバー250が設けられており、蒸発器カバー250は底部内箱100内に横方向に設けられ、内箱100を冷却室120及び貯蔵空間に区画し、冷却室120は貯蔵空間の下方に設けられ、蒸発器300は冷却室120内に設けられる。
【0025】
つまり、本実施例では、蒸発器300は底部内箱100の下方に位置し、このような構成によれば、従来の冷蔵庫のように蒸発器が冷凍室の後部空間を占有して冷凍室の奥行寸法を小さくすることを回避することができ、特に観音開き冷蔵庫の場合、冷凍室の横方向寸法がそもそも小さい場合、冷蔵庫1の空間利用率を高め、体積が大きくかつ分離しにくい物品の保存し易さから、冷凍室の深さ寸法を増加することが特に重要になる。
【0026】
また、従来の冷蔵庫では、最下方に位置する冷凍室の位置が低いため、利用者は大きく腰をかがめたりしゃがんだりしなければ、該冷凍室に対して物品を出し入れすることができず、利用者による使用、特に高齢者による使用に不便である。一方、本実施例では、冷却室120が底部内箱100の下方空間を占有し、冷却室120より上の貯蔵空間の高さが大きくなり、貯蔵空間に対して物品を出し入れするときに利用者の腰のかがめる度合が低下し、利用者の使用上の快適作業性が向上する。
【0027】
本実施例では、蒸発器300は全体として扁平直方体の形状をしており、冷却室120の前部に配置され、冷却室120内に傾斜して設けられる。このような形態は、従来技術において奥行寸法を小さくするには蒸発器を水平に配置する必要があるという技術的な制限を解消する。扁平直方体の形状の蒸発器300が傾斜して配置されると、前後方向の長さが増加するが、蒸発器300が傾斜して配置されることによって、冷却室120内の他の部材のレイアウトがより合理的になり、また、気流の流れ場を実施に分析した結果、風のサイクル効率がより高まり、排水もより順調になることが実証された。蒸発器300が傾斜して設けられるようなレイアウトの形態は本実施例における主な技術的改良の1つである。いくつかの特定実施例では、蒸発器300の傾斜角度の範囲は7~8°、例えば7°、7.5°、8°、好ましくは7.5°に設定されてもよい。
【0028】
バックプレート部230は底部内箱100のダクトプレートの少なくとも一部として機能することができ、底部内箱100の後壁112に略平行であって、底部内箱100の後壁112の前方に位置して、底部内箱100の後壁112とともに送風ダクト130を画定するようにしてもよい。ファンカバー240はバックプレート部230の下端から下へ傾斜して冷却室120内に伸び、蒸発器カバー250は冷却室120と貯蔵空間との仕切り部であり、つまり、蒸発器カバー250はファンカバー240の上方に位置するため、蒸発器カバー250の上端はバックプレート部230に接続されて、冷却室120と送風ダクト130との間の間隙をシールする役割を果たしてもよい。
【0029】
本実施例では、バックプレート部230とファンカバー240は一体成形部材であり、このような形態は従来技術におけるダクトプレートとファン渦巻ケーシングとは異なる。背景技術に記載のように、従来の冷蔵庫では、ダクトプレート及びダクト内に設けられるファン渦巻ケーシングは一般には独立した2つの部品である。組み立てる際には、作業者が一般にはダクトプレートとファンの渦巻ケーシングを多くのファスナーで接続するが、このようにすれば、取り付けるプロセスが複雑であり、コストが増加し、量産に不利である。
【0030】
一方、本実施例では、バックプレート部230とファンカバー240が一体成形部材であることにより、モジュール化が実現され、これにより、量産が容易になる。しかも、組み立てる際には、操作者がまず該一体成形部材を取り付け、次に、蒸発器カバー250を該一体成形部材に直接接続することができ、これにより、取り付け手順を簡素化させ、コストを削減させせるだけでなく、ダクト構造全体をより強固にする。
【0031】
本実施例では、ファンボトムケース210は冷却室120の後部に設けられ、かつファンカバー240の下方に位置し、中央部が下へ窪み、外縁に複数の係合凸部(図示せず)が設けられ、ファンカバーの外縁には、ファンボトムケースの係合凸部と嵌合する係合凹部(図示せず)が形成されており、これらは、ファンボトムケース210とファンカバー240を一体に固定することに用いられる。
【0032】
ファンボトムケース210とファンカバー240によりファンブレード220を収納するファンキャビティ242が形成され、ファンブレード220はファンキャビティ242内に設けられる。冷却室120内においては、蒸発器300は周囲の空気と熱交換を行い、この空気の温度を下げ、ファンブレード220によって冷凍気流が冷却室120から送風ダクト130に排出され、バックプレート部230の送風口232から貯蔵空間に入り、貯蔵空間内の空気と熱交換を行い、貯蔵空間の温度を下げる。蒸発器カバー250の前側には、貯蔵空間と冷却室120を連通させる還気口(図示せず)を有してもよく、これにより、冷凍気流が熱交換を受けた後、還気口から冷却室120に戻り、蒸発器300との熱交換を持続することができ、このように循環的な気流経路が形成される。
【0033】
図2図4に示すように、いくつかの特定実施例では、ファンブレード220は遠心ブレードであり、ファンカバー240とファンボトムケース210により形成されるファンキャビティ242はボリュート状であり、ファンカバー240には吹込み口244が開けられ、ファンカバー240のバックプレート部230に接する位置が排気口140となるようにしてもよい。
【0034】
遠心ブレードにより、吹込み口244からの気流は吹込み口244に垂直な方向に沿って排出されてもよい。本実施例では、ファンカバー240には吹込み口244が設けられており、冷却室120の気流は遠心ブレードによって吸い込まれた後、吹込み口244に垂直な方向に沿ってファンキャビティ242に排出され、ファンカバー240のバックプレート部230に接する位置が排気口140となり、排気口140は、ファンブレード220により増圧された冷凍気流を送風ダクト130に排出するように、ファンキャビティ242と送風ダクト130を接続する。
【0035】
図3に示すように、本発明のいくつかの実施例では、底部内箱100の底壁は蒸発器支持部150とファン支持部160を含む。蒸発器支持部150は蒸発器300を支持するものであり、ファン支持部160は蒸発器支持部150の後端から、前から後に向かって上へ傾斜して設けられ、ファンボトムケース210はファン支持部160に固定され、これにより、ファンキャビティ242は全体として蒸発器300の後部に傾斜して設けられる。
【0036】
本実施例では、蒸発器支持部150はファン支持部160に接続され、箱体10において内箱100と圧縮機室180を仕切るセパレータの一部として機能してもよい。ここでは、蒸発器支持部150の前部には傾斜部170がさらに設けられてもよく、傾斜部170は、底部内箱100の底壁の先端から、前から後に向かって下へ傾斜して設けられ、蒸発器支持部150は傾斜部170の後端から、前から後に向かって上へ傾斜して設けられ、これにより、蒸発器300は冷却室120に傾斜して設けられ、そして、傾斜部170の蒸発器支持部150に接する位置には、蒸発器300の除霜水を受けるための排水溝152が形成される。
【0037】
ファン支持部160は蒸発器支持部150の後端から、前から後に向かって上へ傾斜して設けられ、いくつかの好ましい実施例では、ファン支持部160の傾斜角度は蒸発器支持部150の傾斜角度よりも大きく、水平方向に対するファン支持部160の傾斜角度は36~37°、例えば36°、36.5°、37°、好ましくは36.7°に設定されてもよい。このような場合、ファンボトムケース210はファン支持部160に作用し、同様に、上記の角度をなして傾斜して設けられてもよい。
【0038】
図4及び図5に示すように、本発明のいくつかの実施例では、ファンボトムケース210は底部に複数の制振性粘着パッド212が設けられ、複数の制振性粘着パッド212を介してファン支持部160に粘着される。制振性粘着パッド212は粘性力を有する可撓性材料で製造される。図4及び図5に示すように、ファンボトムケース210の底部には、3つの制振性粘着パッド212は外へ凸設されており、また、これらは略120°をなしてファンボトムケース210の下部に分布しており、ファン支持部160とファンボトムケース210を粘着し、さらに、可撓性材料で製造される制振性粘着パッド212はファンブレード220の作動時の騒音を効果的に低減させ、ファンブレード220の作動時の振動伝達効率を低下させ、利用者の快適作業性を向上させる。なお、制振性粘着パッド212の数は2つ、4つ、5つ又はこれ以上であってもよいが、本発明では、制振性粘着パッド212の具体的な数及び分布位置は特に限定されない。
【0039】
図2図7に示すように、本発明のいくつかの実施例では、冷蔵庫1は縦方向セパレータ400とバック固定アセンブリをさらに含んでもよく、縦方向セパレータ400は縦方向に沿って貯蔵空間の中央部に設けられ、貯蔵空間を横方向に配列された2つの貯蔵室に仕切る。バック固定アセンブリは底部内箱100の後壁112に設けられ、貯蔵空間を向く支持ブロック410を有し、支持ブロック410によって縦方向セパレータ400を支持する。
【0040】
本実施例では、縦方向セパレータ400は蒸発器カバー250と貯蔵空間の天壁との間に設けられてもよく、また、縦方向セパレータ400の後部はバックプレート部230に当接してもよく、これにより、貯蔵空間を横方向に配列された2つの貯蔵室に仕切るとともに、横方向に配列された貯蔵室が1つの蒸発器300を共用することを確保できる。
【0041】
セパレータが内箱内に設けられた従来の冷蔵庫では、セパレータは主に先端がビームに垂直な支持構造及び底部のカバープレートにより支持され負荷され、背部のダクトには負荷構造が設けられていないので、後部の負荷にはリスクが存在する。
【0042】
従来技術の欠陥を解決するために、本実施例における冷蔵庫1では、底部内箱100の後壁112にバック固定アセンブリが設けられ、支持ブロック410によって縦方向セパレータ400が支持され、縦方向セパレータ400は底部内箱100の後壁112に間接的に接続され、これにより、縦方向セパレータ400の重量の一部が底部内箱100に分散され、蒸発器カバー250の負荷が低下し、過度の負荷による蒸発器カバー250の変形が回避される。
【0043】
具体的には、バック固定アセンブリは支持ベース420と負荷フレームをさらに含んでもよく、支持ベース420は底部内箱100の背部の後側に固定され、負荷フレームは底部内箱100の背部の前側に設けられ、ファスナーによって支持ベース420に接続され、負荷フレームは貯蔵空間に向かって凸出し、支持ブロック410を形成し、また、バックプレート部230では、負荷フレームに対応する位置に貯蔵空間に向かって凸出する支持シース234が形成されており、支持ブロック410は支持シース234内に挿入され、支持シース234は縦方向セパレータ400の後端に設けられる固定構造と嵌合し、支持シース234と縦方向セパレータ400の固定構造との嵌合によって縦方向セパレータ400が支持される。
【0044】
支持ベース420では、底部内箱100を向く面には複数の位置決めピン422と複数の固定柱424が凸設されており、固定柱424の内部には、ねじ山が加工されてもよく、このような場合、負荷フレームには、位置決めピン422が嵌め込まれる複数の位置決め孔412と、固定柱424に接続される複数の接続孔414があり、底部内箱100の後壁112には、位置決めピン422と固定柱424が伸びることを可能とする取り付け孔114が開けられる。位置決めピン422は取り付け孔114を通り抜けて位置決め孔412内に伸び、固定柱424はファスナーによって接続孔414に固定され、支持ベース420及び支持ブロック410は底部内箱100の後壁112に固定して設けられる。
【0045】
縦方向セパレータの後端に設けられる固定構造は支持シース234と嵌合する凹部430であり、バックプレート部230では、負荷フレームに対応する位置に貯蔵空間に向かって凸出する支持シース234が形成されており、支持ブロック410は支持シース234内に伸び、次に、支持ブロック410と支持シース234とにより形成されるアセンブリは一体として凹部430に入り込み、このようにして、バック固定アセンブリによって底部内箱100の後壁112、バックプレート部230及び縦方向セパレータ400が一体に固定され、これにより、縦方向セパレータ400の重力の一部が底部内箱100の後壁112に伝達され、蒸発器カバー250による圧力が分散される。
【0046】
本実施例では、縦方向セパレータ400の上部には上部固定部材がさらに設けられてもよく、上部固定部材は掛着部440、サスペンションプレート450及び弾性係止爪460を含んでもよく、縦方向セパレータ400の頂部には、掛着部440と嵌合する掛着嵌合部画設けられてもよく、サスペンションプレート450は板状であって、底部内箱の天壁116の下方、上方に当接したり、底部内箱の天壁116の内部に設けられたりしてもよく、弾性係止爪460はサスペンションプレート450の上表面から上へ延びており、上部固定部材の支持体に連結され、これにより、縦方向セパレータ400の重量が底部内箱100と上部固定部材の支持体にさらに分散され、蒸発器カバー250による圧力がさらに分散される。
【0047】
図5に示すように、本発明のいくつかの実施例では、バックプレート部230では、気流が負荷フレームにおいて乱流とならないように、送風ダクト130を向く側において、負荷フレームの外周に導風シース260が形成されている。
【0048】
支持ブロック410が支持シース234に挿入されると、支持ブロック410を流れる気流は干渉を受けて支持ブロック410の上方で乱流になりやすく、所定の風速損失をもたらす。本実施例では、導風シース260は支持ブロック410を流れる気流を導流して、気流の流れをより順調にすることができる。
【0049】
図5に示すように、図5における破線は導風シース260を流れる気流を示している。具体的には、導風シース260はバックプレート部230の高さ方向に延在しており、底端に流線型の先端が形成され、先端によって気流が導流される。流線型の先端は下から上に向かうに従って大きくなる形状であってもよく、しかも、少なくとも1つの縁部が滑らかな円弧状とされ、これにより、気流は支持ブロック410を順調に通過し、気流の低下が減少する。
【0050】
図4及び図8に示すように、本発明のいくつかの実施例では、ダクトカバープレートは一体に射出成形された1層板であり、バックプレート部230の上部に折り目溝236を有し、ダクトカバープレートを取り付ける際に折り目溝236によってバックプレート部230を曲げる。
【0051】
本実施例では、バックプレート部230の上部に曲げ部分238が設けられており、曲げ部分238の下部は折り目溝236に延びて、折り目溝236の周りに所定の角度回転することができ、これにより、バックプレート部230の高さが小さくなる。取り付ける際には、操作者は曲げ部分238を折り目溝236内に入れて外へ所定角度回転させ(図8に示すように、曲げ部分238を外へ90°回転させる)、バックプレート部230の高さを小さくし、次に、ダクトカバープレートの残りの部位を内箱100や他の部材に接続し、最後に、曲げ部分238を折って復位させることができ、このようにして、取り付け手順が簡単になる。
【0052】
図4に示すように、本発明のいくつかの実施例では、バックプレート部230では、送風口232の下方には、横方向に延在している少なくとも1つの止めリブ235がさらに設けられ、送風口232での凝縮水が下へ流れてファンキャビティ242に入ることを阻止する。
【0053】
本実施例では、止めリブ235はバックプレート部230の貯蔵区画室を向く面に設けられてもよく、気流には凝縮水が含まれているので、気流がバックプレート部230に遭遇するとその表面に付着することがあり、止めリブ235は凝縮水の落下を遅延させ、凝縮水をできるだけ完全に蒸発させ、凝縮水がファンキャビティ242に落ちて故障を引き起こすことを回避する。
【0054】
本実施例では、横方向に延在するとは、水平に延在してもよく、止めリブ235が所定の傾斜角度を有するものとして理解してもよく、上記の2つの形態はいずれも止めリブ235における凝縮水の落下を遅延させることができる。
【0055】
以上より、当業者にとって明らかなように、本明細書は本発明の複数の例示的な実施例を示して説明したが、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、本発明で開示された内容に基づいて本発明の原理に合致する多くの他の変形や修正を直接決定又は導出することができる。よって、本発明の範囲はこれらの他の変形や修正をカバーするものとして理解、確認すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8