(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】光走査装置及び光走査方法
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20240516BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20240516BHJP
B23K 26/082 20140101ALI20240516BHJP
【FI】
G02B26/10 C
G02B26/08 E
G02B26/10 101
B23K26/082
(21)【出願番号】P 2023520808
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2022008109
(87)【国際公開番号】W WO2022239375
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2021082638
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】難波 年賢
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-155984(JP,A)
【文献】特開2014-217875(JP,A)
【文献】米国特許第4708420(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/08 - 26/10
B23K 26/082
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を反射するミラーと、
前記ミラーを載置し、ピエゾ素子によって前記ミラーの傾きを変化させる2軸チルトステージと、
前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを制御するための第2指令波形に基づいて、前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きに起因して生じる前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを低減するための第1補正波形を生成する第1補正波形生成部と、
前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを制御するための第1指令波形に基づいて、前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きに起因して生じる前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを低減するための第2補正波形を生成する第2補正波形生成部と、
前記第1指令波形と前記第1補正波形とを合成した第1合成波形に従って、前記2軸チルトステージの前記第1方向に対する傾きを制御すると共に、前記第2指令波形と前記第2補正波形とを合成した第2合成波形に従って、前記2軸チルトステージの前記第2方向に対する傾きを制御する駆動部と、を備えている、
ことを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記第1補正波形は、前記第2指令波形に従って前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを周期的に変化させたときに生じる前記2軸チルトステージの第1方向の傾きを表す第1干渉波形の逆相波形であり、
前記第2補正波形は、前記第1指令波形に従って前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを周期的に変化させたときに生じる前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを表す第2干渉波形の逆相波形である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記第2指令波形の振幅及び周波数と前記第1補正波形の振幅及び位相との関係を表す第1テーブル、及び、前記第1指令波形の振幅及び周波数と前記第2補正波形の振幅及び位相との関係を表す第2テーブルを参照し、前記第1補正波形を生成するように前記第1補正波形生成部を制御すると共に、前記第2補正波形を生成するように前記第2補正波形生成部を制御する制御部を更に備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記第2指令波形の振幅及び周波数と前記第1干渉波形又は前記第1補正波形の振幅及び位相との関係を表す第1テーブル、及び、前記第1指令波形の振幅及び周波数と前記第2干渉波形又は前記第2補正波形の振幅及び位相との関係を表す第2テーブルを参照し、前記第1補正波形を生成するように前記第1補正波形生成部を制御すると共に、前記第2補正波形を生成するように前記第2補正波形生成部を制御する制御部を更に備えている、ことを特徴とする請求項2に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記2軸チルトステージは、ある振幅及び周波数を有する前記第2指令波形に従って前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを周期的に変化させたときに生じる前記第1方向に対する傾きを表す第1モニタ波形、及び、ある振幅及び周波数を有する前記第1指令波形に従って前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを周期的に変化させたときに生じる前記第2方向に対する傾きを表す第2モニタ波形を出力するモニタ機能を有しており、
前記制御部は、前記第1モニタ波形の振幅及び位相を、当該第2指令波形に対応する前記第1干渉波形の振幅及び位相として設定することによって、前記第1テーブルを自動生成すると共に、前記第2モニタ波形の振幅及び位相を、当該第1指令波形に対応する前記第2干渉波形の振幅及び位相として設定することによって、前記第2テーブルを自動生成する、
ことを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
【請求項6】
レーザ光を反射するミラーと、ピエゾ素子を用いて前記ミラーの傾きを変化させる2軸チルトステージと、を用いた光走査方法であって、
前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを制御するための第2指令波形に基づいて、前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きに起因して生じる前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを低減するための第1補正波形を生成する第1補正波形生成工程と、
前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを制御するための第1指令波形に基づいて、前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きに起因して生じる前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを低減するための第2補正波形を生成する第2補正波形生成工程と、
前記第1指令波形と前記第1補正波形とを合成した第1合成波形に従って、前記2軸チルトステージの前記第1方向に対する傾きを制御すると共に、前記第2指令波形と前記第2補正波形とを合成した第2合成波形に従って、前記2軸チルトステージの前記第2方向に対する傾きを制御する駆動工程と、を含んでいる、
ことを特徴とする光走査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
レーザ光によって対象物を走査する光走査装置及び光走査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工の分野では、レーザ光によって対象物を走査する光走査装置が広く利用されている。例えば、特許文献1には、ピエゾ素子を用いた光走査装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国公開特許公報特開2014-217875号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピエゾ素子を用いてミラーの傾きを変化させる2軸チルトステージが知られている。2軸チルトステージは、第1指令波形に従って第1方向に対してミラーを傾ける機能と、第2指令波形に従って第2方向に対してミラーを傾ける機能と、を有している。しかしながら、このような2軸チルトステージを用いた光走査装置においては、以下のような問題があった。
【0005】
すなわち、第1指令波形に従って第1方向に対するミラーの傾きを周期的に変化させると、これに連動して第2方向に対するミラーの傾きが変化してしまう。このため、第2方向に対する実際のミラーの傾きは、第2指令波形が表す傾きに、第1方向に対するミラーの傾きの周期的な変化に起因する傾きが重畳したものになる。つまり、第2方向に対するミラーの傾きは、第2指令波形が表すミラーの傾きと異なるものになる。
【0006】
同様に、第2指令波形に従って第2方向に対するミラーの傾きを周期的に変化させると、これに連動して第1方向に対するミラーの傾きが変化してしまう。このため、第1方向に対するミラーの実際の傾きは、第1指令波形が表す傾きに、第2方向に対するミラーの傾きの周期的な変化に起因する傾きが重畳したものになる。つまり、第1方向に対するミラーの傾きは、第1指令波形が表すミラーの傾きと異なるものになる。
【0007】
これにより、例えば、レーザ光の照射点が円軌道を描くように、第1指令波形として正弦波を2軸チルトステージに入力し、第2指令波形として第1指令波形よりも90°遅れた正弦波を2軸チルトステージに入力しても、レーザ光の照射点の描く軌道は、円軌道ではなく、楕円軌道となってしまう。また、上述したような傾きの2軸間の干渉は、動作周波数が高くなるほど大きくなる。したがって、レーザ光の照射点が描く軌道の崩れ(目的とする軌道からのずれ)も、動作周波数が高くなるほど大きくなる。
【0008】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、第1方向及び第2方向に対するミラーの実際の傾きの、第1指令波形及び第2指令波形が表すミラーの傾きからのずれを抑制した光走査装置又は光走査方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る光走査装置は、レーザ光を反射するミラーと、前記ミラーを載置し、ピエゾ素子によって(を用いて)前記ミラーの傾きを変化させる2軸チルトステージと、前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを制御するための第2指令波形に基づいて、前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きに起因して生じる前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを低減するための第1補正波形を生成する第1補正波形生成部と、前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを制御するための第1指令波形に基づいて、前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きに起因して生じる前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを低減するための第2補正波形を生成する第2補正波形生成部と、前記第1指令波形と前記第1補正波形とを合成した第1合成波形に従って、前記2軸チルトステージの前記第1方向に対する傾きを制御すると共に、前記第2指令波形と前記第2補正波形とを合成した第2合成波形に従って、前記2軸チルトステージの前記第2方向に対する傾きを制御する駆動部と、を備えている。
【0010】
本発明の一態様に係る光走査方法は、レーザ光を反射するミラーと、ピエゾ素子を用いて前記ミラーの傾きを変化させる2軸チルトステージと、を用いた光走査方法であって、前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを制御するための第2指令波形に基づいて、前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きに起因して生じる前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを低減するための第1補正波形を生成する第1補正波形生成工程と、前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを制御するための第1指令波形に基づいて、前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きに起因して生じる前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを低減するための第2補正波形を生成する第2補正波形生成工程と、前記第1指令波形と前記第1補正波形とを合成した第1合成波形に従って、前記2軸チルトステージの前記第1方向に対する傾きを制御すると共に、前記第2指令波形と前記第2補正波形とを合成した第2合成波形に従って、前記2軸チルトステージの前記第2方向に対する傾きを制御する駆動工程と、を含んでいる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、第1方向及び第2方向に対するミラーの実際の傾きの、第1指令波形及び第2指令波形が表すミラーの傾きからのずれを抑制した光走査装置又は光走査方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光走査装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】(a)は、
図1に示す光走査装置における第1指令波形及び第2指令波形の振幅の周波数依存性を表すグラフである。(b)は、
図1に示す光走査装置における第1指令波形及び第2指令波形の位相差の周波数依存性を表すグラフである。
【
図3】(a)は、
図1に示す光走査装置における第1補正波形及び第2補正波形の振幅の周波数依存性を表すグラフである。(b)は、
図1に示す光走査装置における第1補正波形及び第2補正波形の位相差の周波数依存性を表すグラフである。ここで、位相差は、第1指令波形に対する位相差である。
【
図4】第1指令波形及び第2指令波形により2軸チルトステージを駆動した場合(比較例)にレーザ光の照射点が描く軌跡の真円度、及び、第1合成波形及び第2合成波形により2軸チルトステージを駆動した場合(実施例)にレーザ光の照射点が描く軌跡の真円度の周波数依存性を示すグラフである。
【
図5】1000Hz、2000Hz、4000Hzにおける円形走査に関し、第1モニタ波形及び第2モニタ波形並びにレーザ光の照射点が描く軌跡のグラフである。(a)は、第1指令波形及び第2指令波形により2軸チルトステージを駆動した場合(比較例)に得られるグラフであり、(b)は、第1合成波形及び第2合成波形により2軸チルトステージを駆動した場合(実施例)に得られるグラフである。
【
図6】第1方向2000Hz・第2方向1000Hz、及び、第1方向4000Hz・第2方向2000Hzにおける八字走査に関し、第1モニタ波形及び第2モニタ波形並びにレーザ光の照射点が描く軌跡のグラフである。(a)は、第1指令波形及び第2指令波形により2軸チルトステージを駆動した場合(比較例)に得られるグラフであり、(b)は、第1合成波形及び第2合成波形により2軸チルトステージを駆動した場合(実施例)に得られるグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(光走査装置の基本的構成)
本発明の一実施形態に係る光走査装置1の基本的構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、光走査装置1の構成を示すブロック図である。
【0014】
光走査装置1は、基本的構成として、ミラー11と、2軸チルトステージ12と、第1補正波形生成部13aと、第2補正波形生成部13bと、第1合成波形生成部14aと、第2合成波形生成部14bと、駆動部15と、を備えている。光走査装置1は、例えば、レーザ加工機に内蔵され、レーザ光の照射点を対象物上で移動させるために利用される。
【0015】
ミラー11は、レーザ光を反射するための構成である。例えば、ミラー11にて反射されたレーザ光は、直接、対象物に照射される。或いは、ミラー11にて反射されたレーザ光は、ガルバノスキャナを介して、対象物に照射される。
【0016】
2軸チルトステージ12は、ピエゾ素子を用いてミラー11の傾きを変化させるための構成である。本実施形態においては、2軸チルトステージ12として、(1)第1柱状ピエゾ素子の伸縮によって、ミラー11を載置するステージを、x軸を支点として傾かせること、及び、(2)第2柱状ピエゾ素子の伸縮によって、ミラー11を載置するステージを、y軸を支点として傾かせることが可能な2軸一体ピエゾステージを用いている。2軸チルトステージ12は、例えば、ミラー11により反射されたレーザ光の照射点が対象物上で円軌道を描くようにミラー11の傾きを変化させる。この場合、対象物の並進移動、又は、ガルバノスキャナによるレーザ光の照射点の並進移動を組み合わせることによって、レーザ光の照射点が対象物上で螺旋軌道を描くウォブリングを実現することができる。
【0017】
第1補正波形生成部13aは、2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きを制御するための第2指令波形に基づいて、2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きに起因して生じる2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きを低減する(例えば、打ち消す)ための第1補正波形を生成するための構成である。本実施形態においては、第1補正波形として、第2指令波形に従って2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きを周期的に変化させたときに生じる2軸チルトステージ12の第1方向の傾きを表す第1干渉波形の逆相波形を用いている。第1補正波形生成部13aにて生成された第1補正波形は、第1合成波形生成部14aに提供される。
【0018】
第1合成波形生成部14aは、第1指令波形と第1補正波形とを合成することによって、第1合成波形を生成するための構成である。本実施形態においては、第1合成波形生成部14aとして、加算回路を用いている。第1合成波形生成部14aにて生成された第1合成波形は、駆動部15に提供される。
【0019】
第2補正波形生成部13bは、2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きを制御するための第1指令波形に基づいて、2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きに起因して生じる2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きを低減する(例えば、打ち消す)ための第2補正波形を生成するための構成である。本実施形態においては、第2補正波形として、第1指令波形に従って2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きを周期的に変化させたときに生じる2軸チルトステージ12の第2方向の傾きを表す第2干渉波形の逆相波形を用いている。第2補正波形生成部13bにて生成された第2補正波形は、第2合成波形生成部14bに提供される。
【0020】
第2合成波形生成部14bは、第2指令波形と第2補正波形とを合成することによって、第2合成波形を生成するための構成である。本実施形態においては、第2合成波形生成部14bとして、加算回路を用いている。第2合成波形生成部14bにて生成された第2合成波形は、駆動部15に供給される。
【0021】
駆動部15は、第1合成波形に従って2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きを制御すると共に、第2合成波形に従って2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きを制御するための構成である。
【0022】
第1指令波形に従って2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きを制御する場合、第2干渉波形が生じるので、2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きを第2指令波形どおりに制御することができない。これに対して、光走査装置1においては、第1指令波形に第1補正波形を加算した第1合成波形に従って2軸チルトステージ12を制御しているので、2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きを第2指令波形どおりに制御することができる。
【0023】
また、第2指令波形に従って2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きを制御する場合、第1干渉波形が生じるので、2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きを第1指令波形どおりに制御することができない。これに対して、光走査装置1においては、第2指令波形に第2補正波形を加算した第2合成波形に従って2軸チルトステージ12を制御しているので、2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きを第1指令波形どおりに制御することができる。
【0024】
(基本的構成により得られる効果)
以上のように、光走査装置1は、(1)レーザ光を反射するミラー11と、(2)ピエゾ素子を用いてミラー11の傾きを変化させる2軸チルトステージ12と、(3)2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きを制御するための第2指令波形に基づいて、2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きに起因して生じる2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きを低減する(例えば、打ち消す)ための第1補正波形を生成する第1補正波形生成部13aと、(4)2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きを制御するための第1指令波形に基づいて、2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きに起因して生じる2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きを低減する(例えば、打ち消す)ための第2補正波形を生成する第2補正波形生成部13bと、(5)第1指令波形と第1補正波形とを合成した第1合成波形に従って、2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きを制御すると共に、第2指令波形と第2補正波形とを合成した第2合成波形に従って、2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きを制御する駆動部と、を備えている。
【0025】
このため、光走査装置1によれば、2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きの、第1の指令波形が表す傾きからのずれを抑制する共に、2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きの、第2の指令波形が表す傾きからのずれを抑制することができる。
【0026】
また、光走査装置1においては、(1)第1補正波形として、第2指令波形に従って2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きを周期的に変化させたときに生じる2軸チルトステージ12の第1方向の傾きを表す第1干渉波形の逆相波形を用い、(2)第2補正波形として、第1指令波形に従って2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きを周期的に変化させたときに生じる2軸チルトステージ12の第2方向の傾きを表す第2干渉波形の逆相波形を用いている。
【0027】
このため、光走査装置1によれば、2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きの、第1の指令波形が表す傾きからのずれを更に抑制する共に、2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きの、第2の指令波形が表す傾きからのずれを更に抑制することができる。
【0028】
(光走査装置の追加的構成)
光走査装置1の追加的構成について、引き続き
図1を参照して説明する。
【0029】
光走査装置1は、上述した基本的構成に加えて、第1指令波形生成部16aと、第2指令波形生成部16bと、制御部17と、を、追加的構成として備えている。
【0030】
第1指令波形生成部16aは、第1指令波形を生成するための構成である。例えば、第1指令波形生成部16aは、第1指令波形として、制御部17により指定された振幅及び周波数を有する正弦波を生成する。第1指令波形生成部16aにて生成された第1指令波形は、第2補正波形生成部13b及び第1合成波形生成部14aに提供される。
【0031】
第2指令波形生成部16bは、第2指令波形を生成するための構成である。例えば、第2指令波形生成部16bは、第2指令波形として、制御部17により指定された振幅及び周波数を有する正弦波を生成する。第2指令波形生成部16bにて生成された第2指令波形は、第1補正波形生成部13a及び第2合成波形生成部14bに提供される。
【0032】
制御部17は、第2指令波形の振幅及び周波数から、第1補正波形の振幅及び位相を導出する。上述したとおり、第1補正波形は、第2指令波形に従って2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きを周期的に変化させたときに生じる第1干渉波形の逆相波形であり、第1補正波形の周波数は、第2指令波形の周波数と同一である。一例として、制御部17は、第2指令波形の振幅及び周波数と、第1補正波形の振幅及び位相との関係を表す第1テーブルを参照して、第2指令波形の振幅及び周波数から、第1補正波形の振幅及び位相を導出する。なお、第1テーブルには、幾つかの第2指令波形の振幅及び周波数と、これらに対応する幾つかの第1補正波形の振幅及び位相が登録されていればよい。第1テーブルに登録されていない第2指令波形の振幅及び周波数に対応する第1補正波形の振幅及び位相は、第1テーブルに登録されている第2指令波形の振幅及び周波数に対応する第1補正波形の振幅及び位相から、線形補完により求めればよい。別の例として、制御部17は、第2指令波形の振幅及び周波数と、第1干渉波形の振幅及び位相との関係を表す第1テーブルを参照して、第2指令波形の振幅及び周波数から、第1干渉波形の振幅及び位相を導出する。この場合、第1干渉波形の位相を反転させることによって、第1補正波形を生成する。線形補完を利用可能なことは、本例においても同様である。
【0033】
また、制御部17は、第1指令波形の振幅及び周波数から、第2補正波形の振幅及び位相を導出する。上述したとおり、第2補正波形は、第1指令波形に従って2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きを周期的に変化させたときに生じる第2干渉波形の逆相波形であり、第2補正波形の周波数は、第1指令波形の周波数と同一である。一例として、制御部17は、第1指令波形の振幅及び周波数と、第2補正波形の振幅及び位相との関係を表す第2テーブルを参照して、第1指令波形の振幅及び周波数から、第2補正波形の振幅及び位相を導出する。なお、第2テーブルには、幾つかの第1指令波形の振幅及び周波数と、これらに対応する幾つかの第2補正波形の振幅及び位相が登録されていればよい。第2テーブルに登録されていない第1指令波形の振幅及び周波数に対応する第2補正波形の振幅及び位相は、第2テーブルに登録されている第1指令波形の振幅及び周波数に対応する第2補正波形の振幅及び位相から、線形補完により求めればよい。別の例として、制御部17は、第1指令波形の振幅及び周波数と、第2干渉波形の振幅及び位相との関係を表す第2テーブルを参照して、第1指令波形の振幅及び周波数から、第2干渉波形の振幅及び位相を導出する。この場合、第2干渉波形の位相を反転させることによって、第2補正波形を生成する。線形補完を利用可能なことは、本例においても同様である。
【0034】
(追加的構成により得られる効果)
以上のように、光走査装置1は、第2指令波形の振幅及び周波数と第1干渉波形又は第1補正波形の振幅及び位相との関係を表す第1テーブル、及び、第1指令波形の振幅及び周波数と第2干渉波形又は第2補正波形の振幅及び位相との関係を表す第2テーブルを参照し、第1補正波形を生成するように第1補正波形生成部13aを制御すると共に、第2補正波形を生成するように第2補正波形生成部13bを制御する制御部17を更に備えている。
【0035】
このため、光走査装置1によれば、第2指令波形に応じた第1補正波形、及び、第1指令波形に応じた第2補正波形を、複雑な演算を行うことなく簡便に生成することが可能になる。また、例えば、第2指令波形に応じた第1補正波形、及び、第1指令波形に応じた第2補正波形を、短時間で作成することが可能になる。
【0036】
(テーブルの自動作成)
上述した第1テーブル及び第2テーブルは、光走査装置1の製造者又は使用者が手動で作成したものであってもよいし、光走査装置1が自動で作成したものであってもよい。後者の場合、2軸チルトステージ12のモニタ機能、すなわち、第1方向に対する傾きを表す第1モニタ波形、及び、第2方向に対する傾きを表す第2モニタ波形を出力する機能を利用する。このモニタ機能は、例えば、プログラムをプロセッサが実行することによって、実現することができる。以下、第2指令波形の振幅及び周波数と第1干渉波形の振幅及び位相との関係を表す第1テーブル、及び、第1指令波形の振幅及び周波数と第2干渉波形の振幅及び位相との関係を表す第2テーブルを自動作成する方法について説明する。
【0037】
ステップ1a:特定の振幅及び周波数を有する第2指令波形(正弦波)を用いて、2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きを周期的に変化させながら、2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きを表す第1モニタ波形を取得する。
【0038】
ステップ2a:ステップ1aにて取得した第1モニタ波形の振幅及び位相を特定する。
【0039】
ステップ3a:ステップ2aにて特定した振幅及び位相を、第1干渉波形の振幅及び位相として、第2指令波形の振幅及び周波数と関連付けて第1テーブルに登録する。
【0040】
ステップ1a、ステップ2a、及びステップ3aを第2指令波形の振幅及び周波数を変化させながら繰り返すことによって、第1テーブルが作成される。
【0041】
なお、ステップ2aは、光走査装置1の制御部17が実施してもよいし、光走査装置1の製造者又は使用者が実施してもよい。後者の場合、例えば、ステップ1aにて取得した第1モニタ波形をオシロスコープに出力する。この場合、光走査装置1の製造者又は使用者は、オシロスコープを用いて第1モニタ波形の振幅及び位相を特定し、特定した振幅及び位相を制御部17に入力する。第1干渉波形の振幅及び位相と関連付ける第2指令波形の振幅及び周波数についても、オシロスコープを用いて測定してもよい。
【0042】
ステップ1b:特定の振幅及び周波数を有する第1指令波形(正弦波)を用いて、2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きを周期的に変化させながら、2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きを表す第2モニタ波形を取得する。
【0043】
ステップ2b:ステップ1bにて取得した第2モニタ波形の振幅及び位相を特定する。
【0044】
ステップ3b:ステップ2bにて特定した振幅及び位相を、第2干渉波形の振幅及び位相として、第1指令波形の振幅及び周波数と関連付けて第2テーブルに登録する。
【0045】
ステップ1b、ステップ2b、及びステップ3bを第1指令波形の振幅及び周波数を変化させながら繰り返すことによって、第2テーブルが作成される。
【0046】
なお、ステップ2bは、光走査装置1の制御部17が実施してもよいし、光走査装置1の製造者又は使用者が実施してもよい。後者の場合、例えば、ステップ1bにて取得した第2モニタ波形をオシロスコープに出力する。この場合、光走査装置1の製造者又は使用者は、オシロスコープを用いて第2モニタ波形の振幅及び位相を特定し、特定した振幅及び位相を制御部17に入力する。第2干渉波形の振幅及び位相と関連付ける第1指令波形の振幅及び周波数についても、オシロスコープを用いて測定してもよい。
【0047】
(テーブルの自動生成による効果)
光走査装置1において、2軸チルトステージ12は、第1方向に対する傾きを表す第1モニタ波形、及び、第2方向に対する傾きを表す第2モニタ波形を出力するモニタ機能を有している。また、光走査装置1において、制御部17は、ある振幅及び周波数を有する第2指令波形に従って2軸チルトステージ12の第2方向に対する傾きを周期的に変化させたときに得られる第1モニタ波形の振幅及び位相を、当該第2指令波形に対応する第1干渉波形の振幅及び位相として設定することによって、第1テーブルを自動生成すると共に、ある振幅及び周波数を有する第1指令波形に従って2軸チルトステージ12の第1方向に対する傾きを周期的に変化させたときに得られる第2モニタ波形の振幅及び位相を、当該第1指令波形に対応する第2干渉波形の振幅及び位相として設定することによって、第2テーブルを自動生成する。
【0048】
このため、光走査装置1においては、第1テーブル及び第2テーブルを自動的に生成することができる。したがって、光走査装置1の製造者又は使用者が手動で第1テーブル又は第2テーブルを作成した場合と比べて、第1補正波形及び第2補正波形を作成する手間を減らすことが可能になる。
【0049】
(動作例1)
光走査装置1の第1の動作例を
図2~
図5を参照して説明する。本動作例は、1000Hz、2000Hz、3000Hz、及び4000Hzにおける円形走査の動作例である。
【0050】
図2において、(a)は、第1指令波形及び第2指令波形の振幅の周波数依存性を表すグラフであり、(b)は、第1指令波形及び第2指令波形の位相差の周波数依存性を表すグラフである。ここで、位相差は、第1指令波形に対する位相差である。
【0051】
図2の(a)に示すように、各周波数において第1指令波形の振幅と第2指令波形の振幅は略一致する。また、
図2の(b)に示すように、各周波数において第1指令波形の位相と第2指令波形の位相差とは略90°異なる。したがって、2軸チルトステージ12の第1方向及び第2方向に対する傾きが、それぞれ、第1指令波形及び第2指令波形どおりに変化すれば、ミラー11にて反射されたレーザ光の照射点は、対象物上で円を描く。
【0052】
図3において、(a)は、第1補正波形及び第2補正波形の振幅の周波数依存性を表すグラフであり、(b)は、第1補正波形及び第2補正波形の位相差の周波数依存性を表すグラフである。ここで、位相差は、第1指令波形に対する位相差である。
【0053】
図4は、第1指令波形及び第2指令波形により2軸チルトステージ12を駆動した場合(比較例)にミラー11により反射されたレーザ光の照射点が描く軌跡の真円度、及び、第1合成波形及び第2合成波形により2軸チルトステージ12を駆動した場合(実施例)にミラー11により反射されたレーザ光の照射点が描く軌跡の真円度の周波数依存性を示すグラフである。ここで、第1合成波形は、第1指令波形に第1補正波形を加えたものであり、第2合成波形は、第2指令波形に第2補正波形を加えたものである。
【0054】
図4に示すグラフによれば、以下のことが分かる。すなわち、第1指令波形及び第2指令波形により2軸チルトステージ12を駆動した場合、周波数が高くなるほどレーザ光の照射点が描く軌跡の真円度が低下する。例えば、4000Hzにおいては、レーザ光の照射点が描く軌跡の真円度が64%程度まで低下する。これは、第1干渉波形及び第2干渉波形の影響による。一方、第1合成波形及び第2合成波形により2軸チルトステージ12を駆動した場合、周波数が高くなってもレーザ光の照射点が描く軌跡の真円度が保たれる。例えば、4000Hzにおいても、レーザ光の照射点が描く軌跡の真円度は95%程度に保たれる。これは、第1干渉波形及び第2干渉波形の影響が第1補正波形及び第2補正波形により打ち消されたことによる。また、
図4に示すグラフによれば、レーザ光の照射点が描く軌跡を円に近づける効果、すなわち、2軸チルトステージ12の第1方向及び第2方向に対する傾きを第1指令波形及び第2指令波形どおりに変化させる効果が1000Hz以上で十分に得られることが分かる。
【0055】
図5は、1000Hz、2000Hz、4000Hzにおける第1モニタ波形及び第2モニタ波形並びにレーザ光の照射点が描く軌跡のグラフである。
図5の(a)においては、第1指令波形及び第2指令波形により2軸チルトステージ12を駆動した場合(比較例)に得られるグラフを示し、
図5の(b)においては、第1合成波形及び第2合成波形により2軸チルトステージ12を駆動した場合(実施例)に得られるグラフを示している。
【0056】
図5に示すグラフからも、第1指令波形及び第2指令波形により2軸チルトステージ12を駆動した場合には、周波数が高くなるほどレーザ光の照射点が描く軌跡の真円度が低下するのに対して、第1合成波形及び第2合成波形により2軸チルトステージ12を駆動した場合には、周波数が高くなってもレーザ光の照射点が描く軌跡の真円度が保たれることが確かめられる。
【0057】
(動作例2)
光走査装置1の第2の動作例を
図6を参照して説明する。本動作例は、第1方向2000Hz・第2方向1000Hz、及び、第1方向4000Hz・第2方向2000Hzにおける八字走査の動作例である。
【0058】
図6は、第1方向2000Hz・第2方向1000Hz、及び、第1方向4000Hz・第2方向2000Hzにおける第1モニタ波形及び第2モニタ波形並びにレーザ光の照射点が描く軌跡のグラフである。
図6の(a)においては、第1指令波形及び第2指令波形により2軸チルトステージ12を駆動した場合(比較例)に得られるグラフを示し、
図6の(b)においては、第1合成波形及び第2合成波形により2軸チルトステージ12を駆動した場合(実施例)に得られるグラフを示している。
【0059】
図6に示すグラフによれば、第1指令波形及び第2指令波形により2軸チルトステージ12を駆動した場合には、周波数が高くなるほどレーザ光の照射点が描く軌跡の八字形状が崩れるのに対して、第1合成波形及び第2合成波形により2軸チルトステージ12を駆動した場合には、周波数が高くなってもレーザ光の照射点が描く軌跡の八字形状が保たれることが確かめられる。
【0060】
(付記事項)
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0061】
また、上述した実施形態では、本発明を装置(光走査装置)として表現したが、本発明は方法(光走査方法)としても表現することができる。すなわち、「レーザ光を反射するミラーと、ピエゾ素子を用いて前記ミラーの傾きを変化させる2軸チルトステージと、を用いた光走査方法であって、前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを制御するための第2指令波形に基づいて、前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きに起因して生じる前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを低減するための第1補正波形を生成する第1補正波形生成工程と、前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを制御するための第1指令波形に基づいて、前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きに起因して生じる前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを低減するための第2補正波形を生成する第2補正波形生成工程と、前記第1指令波形と前記第1補正波形とを合成した第1合成波形に従って、前記2軸チルトステージの前記第1方向に対する傾きを制御すると共に、前記第2指令波形と前記第2補正波形とを合成した第2合成波形に従って、前記2軸チルトステージの前記第2方向に対する傾きを制御する駆動工程と、を含んでいる、ことを特徴とする光走査方法」も本発明の範疇に含まれる。
【0062】
(まとめ)
本発明の態様1に係る光走査装置は、レーザ光を反射するミラーと、前記ミラーを載置し、ピエゾ素子によって(を用いて)前記ミラーの傾きを変化させる2軸チルトステージと、前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを制御するための第2指令波形に基づいて、前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きに起因して生じる前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを低減するための第1補正波形を生成する第1補正波形生成部と、前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを制御するための第1指令波形に基づいて、前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きに起因して生じる前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを低減するための第2補正波形を生成する第2補正波形生成部と、前記第1指令波形と前記第1補正波形とを合成した第1合成波形に従って、前記2軸チルトステージの前記第1方向に対する傾きを制御すると共に、前記第2指令波形と前記第2補正波形とを合成した第2合成波形に従って、前記2軸チルトステージの前記第2方向に対する傾きを制御する駆動部と、を備えている。
【0063】
本発明の態様2に係る光走査装置においては、態様1の構成に加えて、前記第1補正波形は、前記第2指令波形に従って前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを周期的に変化させたときに生じる前記2軸チルトステージの第1方向の傾きを表す第1干渉波形の逆相波形であり、前記第2補正波形は、前記第1指令波形に従って前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを周期的に変化させたときに生じる前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを表す第2干渉波形の逆相波形である、という構成が採用されている。
【0064】
本発明の態様3に係る光走査装置においては、態様1の構成に加えて、前記第2指令波形の振幅及び周波数と前記第1補正波形の振幅及び位相との関係を表す第1テーブル、及び、前記第1指令波形の振幅及び周波数と前記第2補正波形の振幅及び位相との関係を表す第2テーブルを参照し、前記第1補正波形を生成するように前記第1補正波形生成部を制御すると共に、前記第2補正波形を生成するように前記第2補正波形生成部を制御する制御部を更に備えている、という構成が採用されている。
【0065】
本発明の態様4に係る光走査装置においては、態様2の構成に加えて、前記第2指令波形の振幅及び周波数と前記第1干渉波形又は前記第1補正波形の振幅及び位相との関係を表す第1テーブル、及び、前記第1指令波形の振幅及び周波数と前記2干渉波形又は前記第2補正波形の振幅及び位相との関係を表す第2テーブルを参照し、前記第1補正波形を生成するように前記第1補正波形生成部を制御すると共に、前記第2補正波形を生成するように前記第2補正波形生成部を制御する制御部を更に備えている、という構成が採用されている。
【0066】
本発明の態様5に係る光走査装置においては、態様4の構成に加えて、前記2軸チルトステージは、ある振幅及び周波数を有する前記第2指令波形に従って前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを周期的に変化させたときに生じる第1方向に対する傾きを表す第1モニタ波形、及び、ある振幅及び周波数を有する前記第1指令波形に従って前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを周期的に変化させたときに生じる第2方向に対する傾きを表す第2モニタ波形を出力するモニタ機能を有しており、前記制御部は、前記第1モニタ波形の振幅及び位相を、当該第2指令波形に対応する前記第1干渉波形の振幅及び位相として設定することによって、前記第1テーブルを自動生成すると共に、前記第2モニタ波形の振幅及び位相を、当該第1指令波形に対応する前記第2干渉波形の振幅及び位相として設定することによって、前記第2テーブルを自動生成する、という構成が採用されている。
【0067】
本発明の態様6に係る光走査方法は、レーザ光を反射するミラーと、ピエゾ素子を用いて前記ミラーの傾きを変化させる2軸チルトステージと、を用いた光走査方法であって、前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを制御するための第2指令波形に基づいて、前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きに起因して生じる前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを低減するための第1補正波形を生成する第1補正波形生成工程と、前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きを制御するための第1指令波形に基づいて、前記2軸チルトステージの第1方向に対する傾きに起因して生じる前記2軸チルトステージの第2方向に対する傾きを低減するための第2補正波形を生成する第2補正波形生成工程と、前記第1指令波形と前記第1補正波形とを合成した第1合成波形に従って、前記2軸チルトステージの前記第1方向に対する傾きを制御すると共に、前記第2指令波形と前記第2補正波形とを合成した第2合成波形に従って、前記2軸チルトステージの前記第2方向に対する傾きを制御する駆動工程と、を含んでいる。
【符号の説明】
【0068】
1 光走査装置
11 ミラー
12 2軸チルトステージ
13a 第1補正波形生成部
13b 第2補正波形生成部
14a 第1合成波形生成部
14b 第2合成波形生成部
15 駆動部
16a 第1指令波形生成部
16b 第2指令波形生成部
17 制御部