(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】研磨要素を有する軌道アテローム切除システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
A61B17/3207
(21)【出願番号】P 2023526233
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(86)【国際出願番号】 US2020058477
(87)【国際公開番号】W WO2022093281
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】521442637
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】アトダリア,イシュワク
(72)【発明者】
【氏名】チャンズコ,アンジェイ・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】テンプル,カイラ
(72)【発明者】
【氏名】レップ,ギャレット
(72)【発明者】
【氏名】チャマス,フィエス
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-521012(JP,A)
【文献】特開2015-164529(JP,A)
【文献】特開2016-137238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/3207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを有する手持型ドライバと、
近位端部分および遠位端部分を有する細長の可撓性ドライブシャフトであって、前記近位端部分が、前記モータに駆動可能に結合され、前記遠位端部分が、回転軸を画定する、細長の可撓性ドライブシャフトと、
前記細長の可撓性ドライブシャフトの前記遠位端部分に固定的に配設される研磨要素であって、前記研磨要素は、第1の平坦面、第2の平坦面、先端を有する先細の先端部分、および末端を有する先細の末端部分を含み、前記第1の平坦面および前記第2の平坦面は、前記回転軸の反対側にある、研磨要素と
を備える、軌道アテローム切除システム。
【請求項2】
前記研磨要素は、前記第1の平坦面、前記第2の平坦面、前記先細の先端部分、および前記先細の末端部分を包含する外表面を有し、前記外表面の少なくとも一部分は、研磨粒子を含む、請求項1に記載の軌道アテローム切除システム。
【請求項3】
前記第1の平坦面および前記第2の平坦面は、実質的に平行である、請求項1または2に記載の軌道アテローム切除システム。
【請求項4】
前記第1の平坦面および前記第2の平坦面の各々の長手方向長さは、前記研磨要素の全体的な長手方向長さ未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の軌道アテローム切除システム。
【請求項5】
前記研磨要素の前記先細の先端部分および前記先細の末端部分は、前記回転軸に沿って反対方向に先細になる、請求項1~4のいずれか一項に記載の軌道アテローム切除システム。
【請求項6】
前記回転軸に対する前記研磨要素の前記先細の先端部分のテーパ角は、10度~75度であり、前記回転軸に対する前記研磨要素の前記先細の末端部分のテーパ角は、マイナス10度~マイナス75度である、請求項1~5のいずれか一項に記載の軌道アテローム切除システム。
【請求項7】
前記研磨要素は、
前記回転軸の周りで対称であるように、
前記回転軸の周りで不均一な質量分布を有するように、および
前記回転軸上に在る質量中心を有するように
構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の軌道アテローム切除システム。
【請求項8】
前記細長の可撓性ドライブシャフトの前記遠位端部分は、前記細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端を含み、前記研磨要素の前記先細の先端部分は、前記細長の可撓性ドライブシャフトの前記遠位端に近接する場所で終端する、請求項1~7のいずれか一項に記載の軌道アテローム切除システム。
【請求項9】
前記細長の可撓性ドライブシャフトの前記遠位端部分の副部分は、前記研磨要素の前記先細の先端部分から遠位に延びる、請求項1~8のいずれか一項に記載の軌道アテローム切除システム。
【請求項10】
前記研磨要素は、前記先細の先端部分と前記先細の末端部分との間に介在する中間区域を含み、前記中間区域は、互いに反対側を向く前記第1の平坦面と前記第2の平坦面との間に円周方向に介在する正反対の凸状側面を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の軌道アテローム切除システム。
【請求項11】
前記研磨要素の前記先細の先端部分は、先端を有し、
前記細長の可撓性ドライブシャフトは、前記細長の可撓性ドライブシャフトの前記遠位端部分の遠位終点において遠位端を有し、
前記細長の可撓性ドライブシャフトの前記遠位端は、前記研磨要素の前記先細の先端部分の前記先端において、またはこれに近接して終端する、請求項1~6のいずれか一項に記載の軌道アテローム切除システム。
【請求項12】
前記研磨要素の前記先細の先端部分は、前記研磨要素の前記先細の末端部分へと直接移行する、請求項1~6および11のいずれか一項に記載の軌道アテローム切除システム。
【請求項13】
前記研磨要素の前記先細の先端部分および前記研磨要素の前記先細の末端部分の各々は、円すい形状の表面によって少なくとも部分的に画定され、各円すい形状の表面は、前記第1の平坦面および前記第2の平坦面に隣接して移行する、請求項1~12のいずれか一項に記載の軌道アテローム切除システム。
【請求項14】
前記研磨要素は、前記細長の可撓性ドライブシャフトを受容するように構成される細長の開口部を含み、前記研磨要素は、溶接によって、または接着剤によって、前記細長の開口部において前記細長の可撓性ドライブシャフトの前記遠位端部分に固定的に取り付けられる、請求項1~13のいずれか一項に記載の軌道アテローム切除システム。
【請求項15】
ガイドワイヤを備え、前記細長の可撓性ドライブシャフトは、前記ガイドワイヤを摺動可能に受容するように構成される細長のガイドワイヤ管腔を有し、前記細長の可撓性ドライブシャフトは、前記ガイドワイヤ上で軸方向に前進され、前記ガイドワイヤの周りで回転されるように構成される、請求項1~14のいずれか一項に記載の軌道アテローム切除システム。
【請求項16】
近位端部分および遠位端部分を有する細長の可撓性ドライブシャフトであって、前記近位端部分が、モータに駆動可能に結合されるように構成され、前記遠位端部分が、回転軸を画定する、細長の可撓性ドライブシャフトと、
前記細長の可撓性ドライブシャフトの前記遠位端部分に固定的に配設される研磨要素であって、前記研磨要素は、第1の平坦面、第2の平坦面、先端を有する先細の先端部分、および末端を有する先細の末端部分を含み、前記第1の平坦面および前記第2の平坦面は、前記回転軸の反対側にある、研磨要素と
を備える、軌道デバイス。
【請求項17】
前記研磨要素は、前記第1の平坦面、前記第2の平坦面、前記先細の先端部分、および前記先細の末端部分を包含する外表面を有し、前記外表面の少なくとも一部分は、研磨粒子を含む、請求項16に記載の軌道デバイス。
【請求項18】
前記第1の平坦面および前記第2の平坦面は、実質的に平行である、請求項16または17に記載の軌道デバイス。
【請求項19】
前記第1の平坦面および前記第2の平坦面の各々の長手方向長さは、前記研磨要素の全体的な長手方向長さ未満である、請求項16~18のいずれか一項に記載の軌道デバイス。
【請求項20】
前記研磨要素の前記先細の先端部分および前記先細の末端部分は、前記回転軸に沿って互いに反対方向に先細になる、請求項16~19のいずれか一項に記載の軌道デバイス。
【請求項21】
前記回転軸に対する前記研磨要素の前記先細の先端部分のテーパ角は、10度~75度であり、前記回転軸に対する前記研磨要素の前記先細の末端部分のテーパ角は、マイナス10度~マイナス75度である、請求項16~20のいずれか一項に記載の軌道デバイス。
【請求項22】
前記研磨要素は、
前記回転軸の周りで対称であるように、
前記回転軸の周りで不均一な質量分布を有するように、および
前記回転軸上に在る質量中心を有するように
構成される、請求項16~21のいずれか一項に記載の軌道デバイス。
【請求項23】
前記細長の可撓性ドライブシャフトの前記遠位端部分は、前記細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端を含み、前記研磨要素の前記先細の先端部分は、前記細長の可撓性ドライブシャフトの前記遠位端に近接する場所で終端する、請求項16~22のいずれか一項に記載の軌道デバイス。
【請求項24】
前記細長の可撓性ドライブシャフトの前記遠位端部分の副部分は、前記研磨要素の前記先細の先端部分から遠位に延びる、請求項16~23のいずれか一項に記載の軌道デバイス。
【請求項25】
前記研磨要素は、前記先細の先端部分と前記先細の末端部分との間に介在する中間区域を含み、前記中間区域は、互いに反対側を向く前記第1の平坦面と前記第2の平坦面との間に円周方向に介在する正反対の凸状側面を有する、請求項16~24のいずれか一項に記載の軌道デバイス。
【請求項26】
前記研磨要素の前記先細の先端部分は、先端を有し、
前記細長の可撓性ドライブシャフトは、前記細長の可撓性ドライブシャフトの前記遠位端部分の遠位終点において遠位端を有し、
前記細長の可撓性ドライブシャフトの前記遠位端は、前記研磨要素の前記先細の先端部分の前記先端において、またはこれに近接して終端する、請求項16~21のいずれか一項に記載の軌道デバイス。
【請求項27】
前記研磨要素の前記先細の先端部分は、前記研磨要素の前記先細の末端部分へと直接移行する、請求項16~21および26のいずれか一項に記載の軌道デバイス。
【請求項28】
前記研磨要素の前記先細の先端部分および前記研磨要素の前記先細の末端部分の各々は、円すい形状の表面によって少なくとも部分的に画定され、各円すい形状の表面は、前記第1の平坦面および前記第2の平坦面に隣接して移行する、請求項16~27のいずれか一項に記載の軌道デバイス。
【請求項29】
前記研磨要素は、前記細長の可撓性ドライブシャフトを受容するように構成される細長の開口部を含み、前記研磨要素は、溶接によって、または接着剤によって、前記細長の開口部において前記細長の可撓性ドライブシャフトの前記遠位端部分に固定的に取り付けられる、請求項16~28のいずれか一項に記載の軌道デバイス。
【請求項30】
ガイドワイヤを備え、前記細長の可撓性ドライブシャフトは、前記ガイドワイヤを摺動可能に受容するように構成される細長のガイドワイヤ管腔を有し、前記細長の可撓性ドライブシャフトは、前記ガイドワイヤ上で軸方向に前進され、前記ガイドワイヤの周りで回転されるように構成される、請求項16~29のいずれか一項に記載の軌道デバイス。
【請求項31】
軌道アテローム切除システムにおける使用のための研磨要素であって、回転軸、第1の平坦面、第2の平坦面、先端を有する先端部分、および末端を有する末端部分を備え、前記第1の平坦面および前記第2の平坦面は、前記回転軸の反対側にある、研磨要素。
【請求項32】
前記先端部分および前記末端部分の少なくとも一方は、丸みを帯びている、請求項31に記載の研磨要素。
【請求項33】
前記研磨要素は、長手方向に対称である、請求項31または32に記載の研磨要素。
【請求項34】
前記研磨要素は、長手方向に非対称である、請求項31または32に記載の研磨要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]なし。
[0002]本発明は、アテローム切除システムに関し、より詳細には、研磨要素を有する軌道アテローム切除システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]冠動脈性心疾患は、例えば、アテローム性動脈硬化症によって引き起こされ得る。アテローム性動脈硬化症は、脂肪、コレステロール、および/または他の物質が血管壁内に蓄積するときに発生し、閉塞部と呼ばれる硬い構造体、例えば、プラークおよび/またはアテローム硬化性(狭窄性)病変を形成する。次第に、これらの閉塞部はサイズが増大し得、その結果として、血管が、実質的に詰まり、および/または完全に塞がれて、慢性完全閉塞部(CTO)を形成するようになる。
【0003】
[0004]回転アテローム切除は、例えば、石灰化動脈病変を研磨するために使用される技術である。回転アテローム切除デバイスおよび回転アテローム切除手技は、回転血管形成デバイスおよび/または回転血管形成手技とも称され得る。1つのタイプの回転アテローム切除デバイスは、Cardiovascular Systems Inc.(「CSI」)から入手可能なDiamondback360(登録商標)周辺軌道アテローム切除デバイスなどの軌道アテローム切除デバイスとして知られている。
【0004】
[0005]回転アテローム切除デバイスは、回転可能な細長の可撓性ドライブシャフトに装着される研磨要素を含み得る。研磨要素は、バリ、クラウン、および/またはビーズと称され得る。回転可能な細長の可撓性ドライブシャフトは、ガイドワイヤ上で、および/またはシースを通って、所望の場所へと送達され得る。ドライブシャフトは、高速で回転され得る(例えば、20,000~160,000rpm)。研磨要素が回転する際、それは、狭窄性病変を越えて前進され得、その結果として、研磨要素が閉塞プラークに接触する。このようにして、研磨要素は、病的な病変表面に係合し、プラークを非常に小さい粒子へと研磨する。これらの小粒子は、身体により吸収され得るか、または塞栓保護デバイスの使用により捕捉され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0006]当該技術分野において必要とされているものは、例えば、ガイドワイヤのみが通過し得る初期開口部を有する閉塞部など、小さな初期孔を有する閉塞部に、より良好に係合することができる研磨要素を有するアテローム切除システムである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0007]本発明は、例えば、ガイドワイヤのみが通過し得る初期開口部を有する閉塞部など、小さな初期孔を有する閉塞部に係合することができる研磨要素を有するアテローム切除システムを提供する。
【0007】
[0008]本発明は、1つの形態において、モータを有する手持型ドライバを含む軌道アテローム切除システムを対象とする。細長の可撓性ドライブシャフトは、近位端部分および遠位端部分を有する。近位端部分は、モータに駆動可能に結合される。遠位端部分は、回転軸を画定する。研磨要素は、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端部分に固定的に配設される。研磨要素は、第1の平坦面、第2の平坦面、先端を有する先細の先端部分、および末端を有する先細の末端部分を含む。第1の平坦面および第2の平坦面は、回転軸の反対側にある。
【0008】
[0009]本発明は、別の形態において、細長の可撓性ドライブシャフトおよび研磨要素を含む軌道デバイスを対象とする。細長の可撓性ドライブシャフトは、近位端部分および遠位端部分を有する。近位端部分は、モータに駆動可能に結合されるように構成される。遠位端部分は、回転軸を画定する。研磨要素は、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端部分に固定的に配設される。研磨要素は、第1の平坦面、第2の平坦面、先端を有する先細の先端部分、および末端を有する先細の末端部分を含む。第1の平坦面および第2の平坦面は、回転軸の反対側にある。
【0009】
[0010]本発明は、別の形態において、軌道アテローム切除システムにおける使用のための研磨要素を対象とする。研磨要素、例えば、本体は、回転軸、第1の平坦面、第2の平坦面、先端を有する先細の先端部分、および末端を有する先細の末端部分を含み、第1の平坦面および第2の平坦面は、回転軸の反対側にある。
【0010】
[0011]本発明の利点は、研磨要素の平坦面が、同じ全体的な断面直径を維持しながらも、質量がより小さく、研磨中に小さい前部表面積接触を有する設計を提供することである。研磨要素のより小さい質量およびより小さい接触面積は、システムを全速力にするためにモータによって必要とされる電力の量を低減するのを助ける。
【0011】
[0012]本発明の別の利点は、研磨要素が高速度で回転されるとき、研磨要素が、同心運動よりもむしろ、軌道運動経路を経ることである。少なくともいくつかの実施形態において、軌道運動は、カンチレバーの特徴であり、平坦面のある研磨要素の不均一な質量分布によって強化される。
【0012】
[0013]別の利点は、軌道運動に起因して、軌道デバイス(すなわち、細長の可撓性ドライブシャフトおよび研磨要素)が、研磨要素の外径よりも大きい直径の管腔を閉塞部内に生成することである。
【0013】
[0014]別の利点は、本発明の軌道デバイスが、作動中および閉塞部を通って前進中に、ユーザに円滑な反応を提供することである。
[0015]本発明によって提供される研磨要素実施形態の別の利点は、研磨要素が、2つの先細の部分の間に介在される中間区域を有し得ることであり、中間区域の長さは、軌道デバイスの重量およびバランスを最適化するために所望される通りに変動または除去され得る。
【0014】
[0016]研磨要素が細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端に搭載される実施形態において、既存の軌道アテローム切除デバイスに勝る別の利点は、本設計が、ガイドワイヤが閉塞部を部分的に通過することだけを必要として、小さい初期管腔を伴う閉塞部または完全閉塞部により良好に係合することができることである。
【0015】
[0017]添付の図面と併せて本発明の実施形態の以下の説明を参照することにより、本発明の上述および他の特徴および利点、ならびにそれらを実現する様式は、より明白となり、本発明は、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】[0018]本発明の態様に従って構成される、細長の可撓性ドライブシャフトおよび研磨要素を有する軌道デバイスに結合される手持型ドライバを有する軌道アテローム切除システムの実施形態の概略斜視図である。
【
図2】[0019]本発明の態様による細長の可撓性ドライブシャフトの遠位部分に結合される研磨要素であって、研磨要素が細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端に近接する、研磨要素を示す、
図1の円2-2における
図1の軌道デバイスの一部分の拡大斜視図である。
【
図3】[0020]
図1および
図2の研磨要素の側面図である。
【
図5】[0022]
図1の手持型ドライバとの使用に好適な軌道デバイスであって、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端が、研磨要素の先端で、またはこれに近接して終端する、軌道デバイスの別の実施形態を示す拡大側面図である。
【
図6】[0023]
図5の軌道デバイスの端面図である。
【
図7】[0024]
図1~
図6の実施形態のいずれかにおける研磨要素の代替となり得る研磨要素の別の実施形態の側面図である。
【
図8】[0025]
図7の研磨要素の端面図である。
【
図9】[0026]
図5の軌道デバイスであって、研磨要素の遠位端が丸みを帯びた先端を有する、軌道デバイスの実施形態の変形を示す図である。
【
図10】[0027]
図9の軌道デバイスの端面図である。
【
図11】[0028]
図9および
図10の軌道デバイスであって、研磨要素が長手方向に非対称である、軌道デバイスの実施形態の変形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0030]対応する参照文字は、いくつかの図面を通して対応する部分を示す。本明細書に明記される例示は、本発明の実施形態を例証し、そのような例示は、本発明の範囲をいかようにも制限するものと解釈されるべきではない。
【0018】
[0031]これより図面、およびより詳細には
図1および
図2を参照すると、本発明の実施形態による軌道アテローム切除システム10が示される。
[0032]軌道アテローム切除システム10は、高速(例えば、20,000~160,000rpm)で軌道デバイス14を回転させるように構成される手持型ドライバ12を含む。軌道デバイス14は、細長の可撓性ドライブシャフト(換言すれば、駆動軸)16および研磨要素18を含む。細長の可撓性ドライブシャフト16は、血管系の湾曲に適合可能であり得るように可撓性である。研磨要素18は、細長の可撓性ドライブシャフト16上に配設され、またこれに固定的に(すなわち、取り外し不可能または除去不可能に)装着される(換言すれば、取り付けられる)。本実施形態において、軌道デバイス14は、ガイドワイヤ20を軸方向に横断し、またこれの周りを回転し得る。当業者は、当該技術分野において知られるように、潤滑剤または生理食塩水が、コイルシャフト/ガイドワイヤ界面を冷却/潤滑するために細長の可撓性ドライブシャフト16を通じて供給され得ることを認識するものとする。研磨要素18は、閉塞部の少なくとも一部分を小粒子へと低減するように、研磨要素18が閉塞部と接触した状態での軌道デバイス14の高速回転によって、血管内の閉塞、例えば、石灰化プラーク、および/またはアテローム硬化性(狭窄性)病変の研磨(例えば、サンディング)を実施する。研磨要素18が高速で回転されるとき、研磨要素18は、同心運動よりもむしろ、軌道運動経路を経る。
【0019】
[0033]手持型ドライバ12は、直流(DC)モータなどのモータ22、モータ制御器回路24、およびユーザインターフェース26を含み得る。内蔵バッテリ電源28は、モータ22、モータ制御器回路24、およびユーザインターフェース26と電気通信状態に接続される。電力は、内蔵バッテリ電源28を介して、モータ22、モータ制御器回路24、およびユーザインターフェース26に供給され得る。本実施形態において、内蔵バッテリ電源28は、再充電可能または交換可能なバッテリ28-1を含む。代替的に、交流(AC)壁コンセントなどのオフボード電源が、手持型ドライバ12に電力を供給し得る。
【0020】
[0034]ユーザインターフェース26は、例えば、モータ制御器回路24にユーザ入力コマンドを供給するための物理または仮想ボタンを有するタッチスクリーンまたはパネルであってもよい。モータ制御器回路24は、ユーザ入力コマンドを受信し、プログラム命令を実行し、モータ22に電力および動作信号を供給するように、処理回路および電力回路を含む。そのようなユーザ入力コマンドは、例えば、選択可能な回転速度コマンド、モータ加速および/もしくはトルクプロファイルコマンド、ならびに/または回転方向コマンドを含み得る。
【0021】
[0035]細長の可撓性ドライブシャフト16および研磨要素18を含む軌道デバイス14は、患者の血管、例えば、動脈内へ延びるように構成される。本実施形態において、細長の可撓性ドライブシャフト16は、例えば、細長の緊密に巻かれた金属コイルであってもよい。代替的に、細長の可撓性ドライブシャフト16は、可撓性金属またはポリマー管であってもよい。細長の可撓性ドライブシャフト16は、近位端部分16-1、遠位端部分16-2、遠位端16-3、および細長の管腔16-4、例えば、細長のガイドワイヤ管腔を含む。遠位端16-3は、細長の可撓性ドライブシャフト16の遠位端部分16-2の遠位終点である。
【0022】
[0036]細長の可撓性ドライブシャフト16の近位端部分16-1は、例えば、直接的または間接的に歯車列を通じて、モータ22の回転可能なモータシャフト22-1に駆動可能に結合、すなわち、接続される。本実施形態において、遠位端部分16-2は、例えば、細長の可撓性ドライブシャフト16の全長の0.5~10%を構成し得る。細長の可撓性ドライブシャフト16の遠位端部分16-2は、回転軸30を画定し、この回転軸30の周りを、研磨要素18が細長の可撓性ドライブシャフト16と合わせて回転される。
【0023】
[0037]細長の管腔16-4は、ガイドワイヤ20を収容するように、例えば、サイズおよび形状において、構成される。細長の管腔16-4は、研磨要素18を保持する細長の可撓性ドライブシャフト16が、ガイドワイヤ20および回転軸30上で軸方向に前進され得、またこの周りを回転され得るように、ガイドワイヤ20を摺動可能に受容するように構成される。本実施形態において、細長の可撓性ドライブシャフト16の遠位端部分16-2、および研磨要素18は、血管内の閉塞部に係合するように、ガイドワイヤ20を上で、および患者の血管内へ、長手方向に前進可能であり得る。代替的に、いくつかの実施形態において、軌道アテローム切除システム10は、ガイドワイヤ20なしで使用され得、ここでは、例えば、シース(図示せず)が、軌道デバイス14を患者の血管内へ導入するために使用され得る。
【0024】
[0038]
図3および
図4も参照すると、独立して研磨要素18の側面図および端面図が示される。軌道デバイス14の研磨要素18は、細長の可撓性ドライブシャフト16の遠位端部分16-2に固定的に配設される(すなわち、そこに配設され、またそこに固定的に装着される)。細長の可撓性ドライブシャフト16の遠位端部分16-2への研磨要素18のそのような固定式装着は、例えば、溶接によって、または接着剤によって達成され得る。
【0025】
[0039]
図1および
図2の実施形態において、研磨要素18は、細長の可撓性ドライブシャフト16の遠位端16-3に近接する、細長の可撓性ドライブシャフト16の遠位端部分16-2内の場所に結合される。
図1および
図2の実施形態において、研磨要素18は、例えば、細長の可撓性ドライブシャフト16の遠位端16-3に近接する、8ミリメートル(mm)~25mmの範囲内にある場所において、細長の可撓性ドライブシャフト16に結合され得る。
【0026】
[0040]
図1~
図6に描写される実施形態の各々において、研磨要素18は、回転軸30の周りで対称であるように構成され、回転軸30の周りで不均一の質量分布を有するように構成され、および/または回転軸30上に在る質量中心を有するように構成される。本発明の態様によると、本実施形態において、研磨要素18は、第1の平坦面32、第2の平坦面34、先端36-1を有する先細の先端部分36、末端38-1を有する先細の末端部分38、先細の先端部分36と先細の末端部分38との間に介在する中間区域40、および細長の開口部42を含む。本明細書で使用される場合、用語「平坦面」は、際立ったこぶ、刻み目、もしくは高くなった点などの表面のむらを含み得る、または代替的に滑らかであり得る、平面表面を意味する。
【0027】
[0041]研磨要素18の細長の開口部42は、細長の可撓性ドライブシャフト16の、例えば、少なくとも一部分、を受容するように、例えば、サイズおよび形状において、構成される。研磨要素18は、例えば、溶接によって、または接着剤によって、細長の開口部42において、細長の可撓性ドライブシャフト16の遠位端部分16-2に固定的に装着される。
【0028】
[0042]研磨要素18は、第1の平坦面32、第2の平坦面34、先細の先端部分36、先細の末端部分38、および中間区域40を包含する(換言すれば、含む)外表面18-1を有し、外表面18-1の少なくとも一部分は、粗くされ、例えば、研磨粒子44(図面では点描で表される)を含む。本実施形態において、第1の平坦面32、第2の平坦面34、先細の先端部分36、先細の末端部分38、および中間区域40の各々は、研磨粒子44を含み得る。しかしながら、いくつかの用途において、外表面18-1のいくつかの部分、例えば、第1の平坦面32および第2の平坦面34は、研磨粒子44がないことが望ましい場合がある。さらなる代替案として、いくつかの用途において、第1の平坦面32および第2の平坦面34が、研磨要素18の残部と比較して低減された量または増加された量の研磨粒子44を有することが望ましい場合がある。
【0029】
[0043]研磨粒子44は、例えば、第1の平坦面32、第2の平坦面34、先細の先端部分36、先細の末端部分38、および中間区域40によって画定される本体基板(例えば、金属またはポリマー本体)の上に外表面18-1を形成するために塗布される接着剤研磨コーティング内に存在するダイヤモンド粒子であってもよい。代替的に、研磨要素18は、外表面18-1において露出される研磨粒子44を有する圧縮または接合材料で形成され得る。
【0030】
[0044]第1の平坦面32および第2の平坦面34は、回転軸30の互いに反対の側にあり、反対向きであり、すなわち、第1の平坦面32および第2の平坦面34は、互いに反対方向を向く。中間区域40は、反対向きの第1の平坦面32と第2の平坦面34との間に円周方向に介在される、直径40-3において正反対の凸状側面40-1、40-2を有する。
【0031】
[0045]第1の平坦面32および第2の平坦面34は、実質的に平行であり得、本実施形態において、第1の平坦面32および第2の平坦面34は、互いに平行である。本明細書で使用される場合、用語「実質的に平行」は、平行および最大でプラスまたはマイナス3度の平行からの許容変動を含む範囲を意味する。
図4を参照して、特に
図3を参照すると、第1の平坦面32および第2の平坦面34の各々の長手方向長さ46は、研磨要素18の全体的な長手方向長さ48未満である。研磨要素18の全体的な長手方向長さ48は、例えば、長さ約1~15mmであり得る。1つの実施形態において、例えば、研磨要素18の全体的な長手方向長さ48は、8mmであり得る。
【0032】
[0046]本実施形態において、研磨要素18の先細の先端部分36および先細の末端部分38は、回転軸30に沿って反対方向に先細になる。また、研磨要素18の先細の先端部分36および先細の末端部分38は、軸方向に(長手方向に)対称、例えば、回転軸30に垂直な平面に対して対称であり得る。本実施形態において、研磨要素18の先細の先端部分36および研磨要素18の先細の末端部分38の各々は、円すい形状の表面によって少なくとも部分的に画定され、各々の円すい形状の表面は、第1の平坦面32および第2の平坦面34に隣接し、これらへと移行する。前向きの先細の先端部分36は、血管の閉塞部(例えば、狭窄性病変またはプラーク)内の低減された直径の開口部内へ入ることを可能にし、例えば、開口部は、本質的に、ガイドワイヤ20の直径を収容するのに十分に大きい必要があるだけである。研磨要素18の後向きの先細の末端部分38は、手技中、軌道デバイス14の後退中のより低い引き抜き力の印加を可能にする。
【0033】
[0047]
図3を参照すると、回転軸30に対する研磨要素18の先細の先端部分36のテーパ角50は、例えば、10度~75度の範囲にあり得、回転軸30に対する研磨要素18の先細の末端部分38のテーパ角52は、例えば、マイナス10度~マイナス75度の範囲にあり得る。そのようなものとして、
図4を参照すると、先端36-1における先細の先端部分36および末端38-1における先細の末端部分38の各々の直径53は、中間区域40の直径40-3未満である。
【0034】
[0048]
図1および
図2に描写される実施形態において、
図3および
図4も参照すると、研磨要素18の先細の先端部分36は、細長の可撓性ドライブシャフト16の遠位端16-3に近接する場所において終端する。異なる言い方をすると、細長の可撓性ドライブシャフト16の遠位端部分16-2の副部分16-5が、研磨要素18の先細の先端部分36の先端36-1から遠位に延びる。研磨要素18が高速で回転されるとき、研磨要素18は、同心運動よりもむしろ、軌道運動経路を経るが、これは、第1の平坦面32および第2の平坦面34を有することから生じる研磨要素18の不均一な質量分布によって強化される。研磨要素18の軌道運動は、研磨要素18自体の最大直径、例えば、直径40-3よりも大きい開口部を血管の閉塞部内に生成する。
【0035】
[0049]
図5および
図6は、代替的な軌道デバイス54を一緒になって形成する細長の可撓性ドライブシャフト16および研磨要素18を利用する別の実施形態を描写する。軌道デバイス54は、
図1および
図2の軌道デバイス14の代替となり得る。
【0036】
[0050]
図5および
図6に描写される軌道デバイス54において、細長の可撓性ドライブシャフト16の遠位端16-3は、研磨要素18の先細の先端部分36の先端36-1において、またはこれに近接して終端する。研磨要素18が回転されるとき、研磨要素18は、同心運動よりもむしろ、軌道運動経路を経る。軌道デバイス54として構成される、細長の可撓性ドライブシャフト16上の研磨要素18の軌道運動は、カンチレバーの特徴であり、これは、第1の平坦面32および第2の平坦面34から生じる研磨要素18の不均一な質量分布によって強化される。
【0037】
[0051]末端38-1から測定されるような、研磨要素18内への細長の可撓性ドライブシャフト16の挿入深度56は、研磨要素18の軌道運動の大きさを操作するように組み立て中に変動され得、挿入深度56が小さいほど、軌道運動の大きさは大きくなる。研磨要素18の軌道運動は、研磨要素18自体の最大直径、例えば、直径40-3よりも大きい開口部を閉塞部内に生成する。
【0038】
[0052]
図7および
図8は、
図1~
図6と関連付けられた先に説明された実施形態のいずれかにおける研磨要素18の代替となり得る、研磨要素58のための構成の別の実施形態を示す。研磨要素58の全体構成および研磨要素18の全体構成における主な違いは、研磨要素18の中間区域40の除去である(例えば、
図3および
図5を比較)。
図7および
図8に描写される実施形態において、研磨要素58は、回転軸30の周りで対称であるように構成され、回転軸30の周りで不均一の質量分布を有するように構成され、および/または回転軸30上に在る質量中心を有するように構成される。
【0039】
[0053]
図7および
図8の実施形態において、研磨要素58は、第1の平坦面62、第2の平坦面64、先端66-1を有する先細の先端部分66、末端68-1を有する先細の末端部分68、および細長の開口部70を含む。研磨要素58の先細の先端部分66は、研磨要素58の先細の末端部分68へと直接的に移行して、直径72-3において、例えば、研磨要素58の長手方向の中点において、正反対の曲げ部72-1、72-2を有する山型の頂点72を形成する。
【0040】
[0054]研磨要素58の細長の開口部70は、細長の可撓性ドライブシャフト16の、例えば、少なくとも一部分、を受容するように、例えば、サイズおよび形状において、構成される。研磨要素58は、例えば、溶接によって、または接着剤によって、細長の開口部70において、細長の可撓性ドライブシャフト16の遠位端部分16-2に固定的に装着され得る。
【0041】
[0055]研磨要素58は、第1の平坦面62、第2の平坦面64、先細の先端部分66、および先細の末端部分68を包含する外表面58-1を有し、外表面58-1の少なくとも一部分は、粗くされ、例えば、研磨粒子44(図面では点描で表される)を含む。本実施形態において、第1の平坦面62、第2の平坦面64、先細の先端部分66、および先細の末端部分68の各々は、研磨粒子44を含み得る。しかしながら、いくつかの用途において、外表面58-1のいくつかの部分、例えば、第1の平坦面62および第2の平坦面64は、研磨粒子44がないことが望ましい場合がある。さらなる代替案として、いくつかの用途において、第1の平坦面62および第2の平坦面64が、研磨要素18の残部と比較して低減された量または増加された量の研磨粒子44を有することが望ましい場合がある。
【0042】
[0056]研磨粒子44は、例えば、第1の平坦面62、第2の平坦面64、先細の先端部分66、および先細の末端部分68によって画定される本体基板(例えば、金属またはポリマー本体)の上に外表面58-1を形成するために塗布される接着剤研磨コーティング内に存在するダイヤモンド粒子であってもよい。代替的に、研磨要素58は、外表面58-1において露出される研磨粒子44を有する圧縮材料で形成され得る。
【0043】
[0057]第1の平坦面62および第2の平坦面64は、回転軸30の反対側にあり、反対向きであり、すなわち、第1の平坦面62および第2の平坦面64は、互いに反対方向を向く。山型の頂点72の正反対の曲げ部72-1、72-2は、反対向きの第1の平坦面62と第2の平坦面64との間に円周方向に介在される。
【0044】
[0058]第1の平坦面62および第2の平坦面64は、互いに実質的に平行であり得、本実施形態において、第1の平坦面62および第2の平坦面64は、平行である。
図8を参照して、特に
図7を参照すると、第1の平坦面62および第2の平坦面64の各々の長手方向長さ74は、研磨要素58の全体的な長手方向長さ76未満である。研磨要素58の全体的な長手方向長さ76は、例えば、長さ約1~15mmであり得る。1つの実施形態において、例えば、研磨要素58の全体的な長手方向長さ76は、8mmであり得る。
【0045】
[0059]本実施形態において、研磨要素58の先細の先端部分66および先細の末端部分68は、回転軸30に沿って反対方向に先細になる。また、研磨要素58の先細の先端部分66および先細の末端部分68は、軸方向に対称であり得る。本実施形態において、研磨要素58の先細の先端部分66および研磨要素58の先細の末端部分68の各々は、円すい形状の表面によって少なくとも部分的に画定され、各々の円すい形状の表面は、第1の平坦面62および第2の平坦面64に隣接し、またこれらへと移行する。前向きの先細の先端部分66は、血管の閉塞部(例えば、狭窄性病変またはプラーク)内の低減された直径の開口部内へ入ることを可能にし、例えば、開口部は、本質的に、ガイドワイヤ20の直径を収容するのに十分に大きい必要があるだけである(参照のために
図1および
図2も参照)。研磨要素58の後向きの先細の末端部分68は、手技中、軌道デバイスの後退中のより低い引き抜き力の印加を可能にする。
【0046】
[0060]
図7を参照すると、回転軸30に対する研磨要素58の先細の先端部分66のテーパ角78は、例えば、10度~75度の範囲にあり得、回転軸30に対する研磨要素58の先細の末端部分68のテーパ角80は、例えば、マイナス10度~マイナス75度の範囲にあり得る。そのようなものとして、先端66-1における先細の先端部分66および末端68-1における先細の末端部分68の各々の直径82は、山型の頂点72の直径72-3未満である。
【0047】
[0061]
図9および
図10は、一緒になって代替的な軌道デバイス154を形成する、細長の可撓性ドライブシャフト16および研磨要素118を利用する実施形態を描写する。軌道デバイス154は、
図1および
図2の軌道デバイス14の代替となり得る。軌道デバイス154は、
図5および
図6の軌道デバイス54の変形である。
【0048】
[0062]研磨要素118は、研磨要素18の実施形態(例えば、
図1~
図6を参照)のように、第1の平坦面32、第2の平坦面34、末端38-1を有する先細の末端部分38、中間区域40、および細長の開口部42を含む。しかしながら、研磨要素118は、回転軸30上にある丸みを帯びた先端136-1およびガイドワイヤ開口部136-2を有する先細の先端部分136を含む。中間区域40は、先細の先端部分136と先細の末端部分38との間に介在される。ガイドワイヤ開口部136-2は、ガイドワイヤ20を摺動可能に受容するようにサイズ決定および成形される。
【0049】
[0063]本実施形態において、研磨要素118の先細の先端部分136は、円すい形状の表面によって少なくとも部分的に画定され、円すい形状の表面は、第1の平坦面32および第2の平坦面34に隣接し、またこれらへと移行する。回転軸30に対する研磨要素118の先細の先端部分136のテーパ角150は、例えば、10度~75度の範囲にあり得る。丸みを帯びた先端136-1は、丸みを帯びた、例えば、半球状の表面を有する。丸みを帯びた先端136-1は、ガイドワイヤ20から先細の先端部分136の先細の表面への滑らかな移行が始まるという、丸みを帯びた表面のおかげで閉塞部に進入することにおけるさらなる利益を提供し得る。
【0050】
[0064]末端38-1から測定されるような、研磨要素118内への細長の可撓性ドライブシャフト16の挿入深度156は、研磨要素118の軌道運動の大きさを操作するように組み立て中に変動され得、挿入深度156が小さいほど、軌道運動の大きさは大きくなる。研磨要素118の軌道運動は、研磨要素118自体の最大直径、例えば、直径40-3よりも大きい開口部を閉塞部内に生成する。
【0051】
[0065]軌道デバイス154として構成される、細長の可撓性ドライブシャフト16上の研磨要素118の軌道運動は、カンチレバーの特徴であり、これは、第1の平坦面32および第2の平坦面34から生じる研磨要素118の不均一な質量分布によって強化される。
【0052】
[0066]
図11および
図12は、代替的な軌道デバイス254を一緒になって形成する細長の可撓性ドライブシャフト16および研磨要素218を利用する実施形態を描写する。軌道デバイス254は、
図1および
図2の軌道デバイス14の代替となり得る。軌道デバイス254は、
図9および
図10の軌道デバイス154の変形である。
【0053】
[0067]本実施形態において、研磨要素218は、第1の平坦面232、第2の平坦面234、先端136-1を有する先細の先端部分136(
図9も参照)、末端238-1を有する末端部分238、先細の先端部分136と末端部分238との間に介在される中間区域240、および細長の開口部242を含む長手方向に非対称の構成を有する。
【0054】
[0068]研磨要素218の細長の開口部242は、細長の可撓性ドライブシャフト16の、例えば、少なくとも一部分を受容するように、例えば、サイズおよび形状において、構成される。研磨要素218は、例えば、溶接によって、または接着剤によって、細長の開口部242において、細長の可撓性ドライブシャフト16の遠位端部分16-2に固定的に装着される。
【0055】
[0069]研磨要素218は、第1の平坦面232、第2の平坦面234、先細の先端部分136、末端部分238、および中間区域240を包含する外表面218-1を有し、外表面218-1の少なくとも一部分は、粗くされ、例えば、研磨粒子44(図面では点描で表される)を含む。本実施形態において、第1の平坦面232、第2の平坦面234、先細の先端部分136、末端部分238、および中間区域240の各々は、研磨粒子44を含み得る。しかしながら、いくつかの用途において、外表面218-1のいくつかの部分、例えば、第1の平坦面232および第2の平坦面234は、研磨粒子44がないことが望ましい場合がある。さらなる代替案として、いくつかの用途において、第1の平坦面232および第2の平坦面234が、研磨要素218の残部と比較して低減された量または増加された量の研磨粒子44を有することが望ましい場合がある。
【0056】
[0070]研磨粒子44は、例えば、第1の平坦面232、第2の平坦面234、先細の先端部分136、末端部分238、および中間区域240によって画定される本体基板(例えば、金属またはポリマー本体)の上に外表面218-1を形成するために塗布される接着剤研磨コーティング内に存在するダイヤモンド粒子であってもよい。代替的に、研磨要素218は、外表面218-1において露出される研磨粒子44を有する圧縮または接合材料で形成され得る。
【0057】
[0071]第1の平坦面232および第2の平坦面234は、回転軸30の反対側にあり、反対向きであり、すなわち、第1の平坦面232および第2の平坦面234は、互いに反対方向を向き、実質的に同一であり得る。中間区域240は、反対向きの第1の平坦面232と第2の平坦面234との間に円周方向に介在される、直径240-3での正反対の凸状側面240-1、240-2を有する。
【0058】
[0072]第1の平坦面232および第2の平坦面234は、互いに実質的に平行であり得、本実施形態において、第1の平坦面232および第2の平坦面234は、平行である。第1の平坦面232および第2の平坦面234の各々の長手方向長さは、研磨要素218の全体的な長手方向長さ未満である。研磨要素218の全体的な長手方向長さは、例えば、長さ約1~15mmであり得る。1つの実施形態において、例えば、研磨要素218の全体的な長手方向長さは、8mmであり得る。
【0059】
[0073]本実施形態において、研磨要素218の先細の先端部分136および末端部分238は、回転軸30に沿って反対方向を向く。また、研磨要素218の先細の先端部分136および末端部分238は、軸方向に(長手方向に)非対称である。
【0060】
[0074]本実施形態において、研磨要素218の先細の先端部分136は、円すい形状の表面によって少なくとも部分的に画定され、円すい形状の表面は、第1の平坦面232および第2の平坦面234に隣接し、またこれらへと移行する。回転軸30に対する研磨要素218の先細の先端部分136のテーパ角150は、例えば、10度~75度の範囲にあり得る。
【0061】
[0075]研磨要素218の末端部分238は、第1の平坦面232および第2の平坦面234に隣接し、またこれらへと移行する、丸みを帯びた、例えば、半球状の表面である。前向きの先細の先端部分136は、血管の閉塞部(例えば、狭窄性病変またはプラーク)内の低減された直径の開口部内へ進入することを可能にし、例えば、開口部は、本質的に、ガイドワイヤ20の直径を収容するのに十分に大きい必要があるだけである。研磨要素218の後向きの末端部分238は、手技中、軌道デバイス254の後退中のより低い引き抜き力の印加を可能にする。
【0062】
[0076]末端238-1から測定されるような、研磨要素218内への細長の可撓性ドライブシャフト16の挿入深度256は、研磨要素218の軌道運動の大きさを操作するように組み立て中に変動され得、挿入深度256が小さいほど、軌道運動の大きさは大きくなる。研磨要素218の軌道運動は、研磨要素218自体の最大直径、例えば、直径240-3よりも大きい開口部を閉塞部内に生成する。
【0063】
[0077]軌道デバイス254として構成される、細長の可撓性ドライブシャフト16上の研磨要素218の軌道運動は、カンチレバーの特徴であり、これは、第1の平坦面232および第2の平坦面234から生じる研磨要素218の不均一な質量分布によって強化される。
【0064】
[0078]以下の項目もまた、本発明に関する。
[0079]1つの実施形態において、本発明は、軌道アテローム切除システムに関する。軌道アテローム切除システムは、手持型ドライバ、細長の(可撓性)ドライブシャフト、および研磨要素を含み得る。手持型ドライバは、モータを有し得る。細長の可撓性ドライブシャフトは、近位端部分および遠位端部分を有し得る。近位端部分は、モータに駆動可能に結合され得るか、またはモータに駆動可能に結合されるように構成される。遠位端部分は、回転軸を画定する。研磨要素は、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端部分に(固定的に)配設され得る。研磨要素は、第1の平坦面、第2の平坦面、先端を有する先細の先端部分、および末端を有する(先細の)末端部分を含み得る。第1の平坦面および第2の平坦面は、回転軸の反対側/研磨要素の反対側の円周面にある。
【0065】
[0080]実施形態のいずれかによると、研磨要素は、第1の平坦面、第2の平坦面、先細の先端部分、および(先細の)末端部分を包含する外表面を有し得る。外表面の少なくとも一部分は、研磨粒子を含む。
【0066】
[0081]実施形態のいずれかによると、第1の平坦面および第2の平坦面は、(実質的に)平行であり得る。
[0082]実施形態のいずれかによると、第1の平坦面および第2の平坦面の各々の長手方向長さは、研磨要素の全体的な長手方向長さ未満であり得る。
【0067】
[0083]いくつかの実施形態によると、研磨要素の先細の先端部分および(先細の)末端部分は、回転軸に沿って反対方向に先細になる。
[0084]先細の先端部分および先細の末端部分を有する実施形態によると、回転軸に対する研磨要素の先細の先端部分のテーパ角は、10度~75度であり得、回転軸に対する研磨要素の先細の末端部分のテーパ角は、マイナス10度~マイナス75度であり得る。
【0068】
[0085]実施形態のいずれかによると、研磨要素は、回転軸の周りで対称であり、回転軸の周りで不均一な質量分布を有し、回転軸上に在る質量中心を有する(ように構成される)ことができる。
【0069】
[0086]実施形態のいずれかによると、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端部分は、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端を含む。いくつかの実施形態によると、研磨要素の先細の先端部分は、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端に近接する場所において終端し得る。また、他の実施形態によると、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端部分の副部分は、研磨要素の先細の先端部分から遠位に延び得る。
【0070】
[0087]いくつかの実施形態によると、研磨要素は、先細の先端部分と(先細の)末端部分との間に介在する中間区域を含み得る。中間区域は、互いに反対側を向く第1の平坦面と第2の平坦面との間に円周方向に介在される正反対の凸状側面を有し得る。
【0071】
[0088]いくつかの実施形態によると、研磨要素の先細の先端部分は、先端を有し得、細長の可撓性ドライブシャフトは、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端部分の遠位終点において遠位端を有し得、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端は、研磨要素の先細の先端部分の先端において、またはこれに近接して終端し得る。
【0072】
[0089]いくつかの実施形態によると、研磨要素の先細の先端部分は、研磨要素の(先細の)末端部分へと直接移行し得る。
[0090]先細の先端部分および先細の末端部分を有する実施形態によると、研磨要素の先細の先端部分および研磨要素の先細の末端部分の各々は、円すい形状の表面によって少なくとも部分的に画定され得る。各々の円すい形状の表面は、第1の平坦面および第2の平坦面に隣接して移行し得る。
【0073】
[0091]実施形態のいずれかによると、研磨要素は、細長の可撓性ドライブシャフトを受容するように構成される細長の開口部を含み得る。研磨要素は、溶接によって、または接着剤によって、細長の開口部において、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端部分に固定的に取り付けられ得る。
【0074】
[0092]実施形態のいずれかによると、実施形態は、任意選択的にガイドワイヤを含み得、細長の可撓性ドライブシャフトは、ガイドワイヤを摺動可能に受容するように構成され得る細長のガイドワイヤ管腔を有し得る。細長の可撓性ドライブシャフトは、ガイドワイヤ上で軸方向に前進され、またガイドワイヤの周りを回転されるように構成され得る。
【0075】
[0093]別の実施形態において、本発明は、細長の可撓性ドライブシャフトおよび研磨要素、ならびに任意選択的に、先行段落の軌道アテローム切除システムを含み得る、軌道デバイスに関する。細長の可撓性ドライブシャフトは、近位端部分および遠位端部分を有し得る。近位端部分は、モータに駆動可能に結合されるように構成され得る。遠位端部分は、回転軸を画定し得る。研磨要素は、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端部分に固定的に配設され得る。研磨要素は、第1の平坦面、第2の平坦面、先端を有する先細の先端部分、および末端を有する(先細の)末端部分を含む。第1の平坦面および第2の平坦面は、回転軸の反対側にある。
【0076】
[0094]実施形態のいずれかによると、研磨要素は、第1の平坦面、第2の平坦面、先細の先端部分、および(先細の)末端部分を包含する外表面を有し得る。外表面の少なくとも一部分は、研磨粒子を含む。
【0077】
[0095]実施形態のいずれかによると、第1の平坦面および第2の平坦面は、(実質的に)平行であり得る。
[0096]実施形態のいずれかによると、第1の平坦面および第2の平坦面の各々の長手方向長さは、研磨要素の全体的な長手方向長さ未満であり得る。
【0078】
[0097]先細の先端部分および先細の末端部分を有する実施形態によると、研磨要素の先細の先端部分および先細の末端部分は、回転軸に沿って互いに反対方向に先細になる。
[0098]先細の先端部分および先細の末端部分を有する実施形態によると、回転軸に対する研磨要素の先細の先端部分のテーパ角は、10度~75度であり得、回転軸に対する研磨要素の先細の末端部分のテーパ角は、マイナス10度~マイナス75度であり得る。
【0079】
[0099]実施形態のいずれかによると、研磨要素は、回転軸の周りで対称であり、回転軸の周りで不均一な質量分布を有し、回転軸上に在る質量中心を有する(ように構成される)ことができる。
【0080】
[00100]実施形態のいずれかによると、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端部分は、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端を含む。いくつかの実施形態によると、研磨要素の先細の先端部分は、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端に近接する場所において終端し得る。また、他の実施形態によると、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端部分の副部分は、研磨要素の先細の先端部分から遠位に延びる。
【0081】
[00101]いくつかの実施形態によると、研磨要素は、先細の先端部分と(先細の)末端部分との間に介在する中間区域を含み得る。中間区域は、互いに反対側を向く第1の平坦面と第2の平坦面との間に円周方向に介在される正反対の凸状側面を有し得る。
【0082】
[00102]いくつかの実施形態によると、研磨要素の先細の先端部分は、先端を有し得、細長の可撓性ドライブシャフトは、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端部分の遠位終点において遠位端を有し得、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端は、研磨要素の先細の先端部分の先端において、またはこれに近接して終端し得る。
【0083】
[00103]いくつかの実施形態によると、研磨要素の先細の先端部分は、研磨要素の(先細の)末端部分へと直接移行する。
[00104]先細の先端部分および先細の末端部分を有する実施形態によると、研磨要素の先細の先端部分および研磨要素の先細の末端部分の各々は、円すい形状の表面によって少なくとも部分的に画定され得る。各々の円すい形状の表面は、第1の平坦面および第2の平坦面に隣接して移行し得る。
【0084】
[00105]実施形態のいずれかによると、研磨要素は、細長の可撓性ドライブシャフトを受容するように構成される細長の開口部を含み得る。研磨要素は、溶接によって、または接着剤によって、細長の開口部において、細長の可撓性ドライブシャフトの遠位端部分に固定的に取り付けられ得る。
【0085】
[00106]実施形態のいずれかによると、実施形態は、任意選択的にガイドワイヤを含み得、細長の可撓性ドライブシャフトは、ガイドワイヤを摺動可能に受容するように構成され得る細長のガイドワイヤ管腔を有し得る。細長の可撓性ドライブシャフトは、ガイドワイヤをつたって軸方向に前進され、またガイドワイヤの周りを回転されるように構成され得る。
【0086】
[00107]別の実施形態において、本発明は、軌道アテローム切除システムにおける使用のための、および/または軌道アテローム切除システムのために構成される、研磨要素に関する。研磨要素は、回転軸、第1の平坦面、第2の平坦面、先端を有する先端部分、および末端を有する末端部分を含み得る。第1の平坦面および第2の平坦面は、回転軸の反対側にある。
【0087】
[00108]いくつかの実施形態によると、先端部分および末端部分の少なくとも一方は、丸みを帯びていてもよい。
[00109]いくつかの実施形態によると、研磨要素は、長手方向に対称であり得る。
【0088】
[00110]いくつかの実施形態によると、研磨要素は、長手方向に非対称であり得る。
[00111]本明細書で使用される場合、およびその使用の文脈において別途の記載または補正のない限り、用語「実質的に」、「約」、および度合いの他の言葉は、そのように修飾される特徴からの許容変動、その反対よりも多くの物理的または機能的特徴を保有すること、およびそのような物理的または機能的特徴に接近すること、またはこれを近似することを示すことが意図される相対的な修飾語句である。
【0089】
[00112]本発明は、少なくとも1つの実施形態に関して説明されているが、本発明は、本開示の趣旨および範囲内でさらに変更され得る。本出願は、したがって、その一般原理を使用して、本発明のいかなる変形、使途、または適合も網羅することが意図される。さらに、本出願は、本発明が関連する、および添付の特許請求の範囲の制限内に入る、当該技術分野における既知の実践または慣行に該当する場合、本開示のそのような逸脱を網羅することが意図される。