(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 30/57 20230101AFI20240517BHJP
H01L 31/0745 20120101ALI20240517BHJP
H10K 30/40 20230101ALI20240517BHJP
【FI】
H10K30/57
H01L31/06 450
H10K30/40
(21)【出願番号】P 2022552874
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(86)【国際出願番号】 KR2020017168
(87)【国際公開番号】W WO2021177552
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0027368
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523183389
【氏名又は名称】トリナ・ソーラー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TRINA SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 2 Trina Road, Trina PV Park, Xinbei District, Changzhou, Jiangsu 213031, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,キョンソ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジウォン
(72)【発明者】
【氏名】シム,クファン
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-535554(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110767774(CN,A)
【文献】特開2017-112379(JP,A)
【文献】国際公開第2017/195722(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 30/00-99/00
H01L 31/06-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
ペロブスカイト化合物で構成される光電変換層を含む第1光電変換部、及び半導体基板を含む第2光電変換部を含む光電変換部;
前記光電変換部の一面において前記光電変換部に電気的に接続される第1電極;及び、
前記光電変換部の他面において前記光電変換部に電気的に接続される第2電極;を備えてなり、
前記第2光電変換部は、
前記半導体基板と、
前記半導体基板の一面上に前記半導体基板とは別個に形成される第1半導体層と、
前記半導体基板の他面上に前記半導体基板とは別個に形成され、前記第1半導体層と異なる結晶構造を有する第2半導体層と、を備
え、
前記第2光電変換部において、前記第1光電変換部に隣接して位置する前記第1半導体層は非晶質部分を含み、
前記第2光電変換部において、前記第1光電変換部と反対の面に位置した前記第2半導体層は多結晶部分を含み、
前記第2半導体層の厚さは前記第1半導体層の厚さより大きい、太陽電池。
【請求項2】
太陽電池であって、
ペロブスカイト化合物で構成される光電変換層を含む第1光電変換部、及び半導体基板を含む第2光電変換部を含む光電変換部;
前記光電変換部の一面において前記光電変換部に電気的に接続される第1電極;及び、
前記光電変換部の他面において前記光電変換部に電気的に接続される第2電極;を備えてなり、
前記第2光電変換部は、
前記半導体基板と、
前記半導体基板の一面上に前記半導体基板とは別個に形成される第1半導体層と、
前記半導体基板の他面上に前記半導体基板とは別個に形成され、前記第1半導体層と異なる結晶構造を有する第2半導体層と、
前記半導体基板と前記第1半導体層の間に位置する第1中間膜と、
前記半導体基板と前記第2
半導体層の間に位置する第2中間膜と、
を備え、
前記第2光電変換部において、前記第1光電変換部に隣接して位置する前記第1半導体層は非晶質部分を含み、
前記第2光電変換部において、前記第1光電変換部と反対の面に位置した前記第2半導体層は多結晶部分を含み、
前記第1中間膜の物質又は厚さは、前記第2中間膜の物質又は厚さと異なる
、太陽電池。
【請求項3】
前記半導体基板及び前記第1半導体層は、半導体物質で構成された前記第1中間膜を挟んで相異なる結晶構造を有する異種接合構造を備え、
前記半導体基板及び前記第2半導体層は、絶縁物質で構成された前記第2中間膜を挟んで接合される絶縁接合構造又はトンネル接合構造を備える、
請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1中間膜は半導体物質を含み、
前記第2中間膜は絶縁物質を含む、
請求項2に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1中間膜は真性非晶質シリコンを含み、
前記第2中間膜はシリコン酸化物を含む、
請求項2に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第2中間膜の厚さは前記第1中間膜の厚さより小さい、
請求項4に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第1中間膜の水素含量は前記第2中間膜の水素含量より大きい、
請求項4に記載の太陽電池。
【請求項8】
太陽電池であって、
ペロブスカイト化合物で構成される光電変換層を含む第1光電変換部、及び半導体基板を含む第2光電変換部を含む光電変換部;
前記光電変換部の一面において前記光電変換部に電気的に接続される第1電極;及び、
前記光電変換部の他面において前記光電変換部に電気的に接続される第2電極;を備えてなり、
前記第2光電変換部は、
前記半導体基板と、
前記半導体基板の一面上に前記半導体基板とは別個に形成される第1半導体層と、
前記半導体基板の他面上に前記半導体基板とは別個に形成され、前記第1半導体層と異なる結晶構造を有する第2半導体層と、を備え、
前記第2光電変換部において、前記第1光電変換部に隣接して位置する前記第1半導体層は非晶質部分を含み、
前記第2光電変換部において、前記第1光電変換部と反対の面に位置した前記第2半導体層は多結晶部分を含み、
前記第1光電変換部は前記第2光電変換部の一面上に位置し、
前記第1電極は前記第1光電変換部の上に位置し、
前記第2電極は前記第2光電変換部の前記第2半導体層の上に位置し、
前記第1電極と前記第2電極の積層構造が相異なり、
前記第1電極は、
前記第1光電変換部の上に形成され、透明伝導性物質を含む第1電極層と、
前記第1電極層の上に形成され、金属を含む第2電極層と、を備え、
前記第2電
極は、前記第2
半導体層の上に形成され、金属を含む金属電極層を備える、
太陽電池。
【請求項9】
前記第1電極層の上に形成される反射防止膜、及び前記第2半導体層の上に形成される光学膜のうち少なくとも1つを備える、
請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第1半導体層の水素含量は前記第2半導体層の水素含量より大きい、
請求項1~9のいずれかに記載の太陽電池。
【請求項11】
太陽電池の製造方法であって、
第2光電変換部形成段階;
第1光電変換部形成段階;及び
電極形成段階;を含んでなり、
前記第2光電変換部形成段階は、
半導体基板と、
前記半導体基板の一面上に前記半導体基板とは別個に形成される第1半導体層と、
前記半導体基板の他面上に前記半導体基板とは別個に形成され、前記第1半導体層と異なる結晶構造を有す
る第2半導体層と、を備える第2光電変換部を形成するものであり、
前記第1光電変換部形成段階は、前記第1半導体層の上にペロブスカイト化合物から構成される光電変換層を備える第1光電変換部を形成するものであり、
前記電極形成段階は、
前記第1光電変換部の一面において前記第1光電変換部に電気的に接続される第1電極、及び
前記第2光電変換部の他面において前記第2光電変換部に電気的に接続される第2電極、を備える電極を形成するものであ
り、
前記第2光電変換部形成段階は、
前記半導体基板の前記他面上に多結晶部分を含む前記第2半導体層を含む第2部分を形成する、第2部分形成段階;及び
前記半導体基板の前記一面上に非晶質部分を含む前記第1半導体層を含む第1部分を形成する、第1部分形成段階;を含み、
前記第2部分形成段階と前記第1部分形成段階の間に前記第2半導体層に水素を注入する水素注入段階を更に含み、
前記第1部分形成段階では、前記第1半導体層に水素を注入する水素注入工程を共に行う、太陽電池の製造方法。
【請求項12】
太陽電池の製造方法であって、
第2光電変換部形成段階;
第1光電変換部形成段階;及び
電極形成段階;を含んでなり、
前記第2光電変換部形成段階は、
半導体基板と、
前記半導体基板の一面上に前記半導体基板とは別個に形成される第1半導体層と、
前記半導体基板の他面上に前記半導体基板とは別個に形成され、前記第1半導体層と異なる結晶構造を有する第2半導体層と、を備える第2光電変換部を形成するものであり、
前記第1光電変換部形成段階は、前記第1半導体層の上にペロブスカイト化合物から構成される光電変換層を備える第1光電変換部を形成するものであり、
前記電極形成段階は、
前記第1光電変換部の一面において前記第1光電変換部に電気的に接続される第1電極、及び
前記第2光電変換部の他面において前記第2光電変換部に電気的に接続される第2電極、を備える電極を形成するものであり、
前記第2光電変換部形成段階は、
前記半導体基板の前記他面上に多結晶部分を含む前記第2半導体層を含む第2部分を形成する、第2部分形成段階;及び
前記半導体基板の前記一面上に非晶質部分を含む前記第1半導体層を含む第1部分を形成する、第1部分形成段階;を含み、
前記第2部分を形成する段階では、両面蒸着工程により前記半導体基板の両面に前記第2部分を形成した後に前記一面に形成された前記第2部分を除去して前記他面に前記第2部分を形成し、
前記第1部分を形成する段階は、断面蒸着工程により前記半導体基板の前記一面に前記第1部分を形成する
、太陽電池の製造方法。
【請求項13】
太陽電池の製造方法であって、
第2光電変換部形成段階;
第1光電変換部形成段階;及び
電極形成段階;を含んでなり、
前記第2光電変換部形成段階は、
半導体基板と、
前記半導体基板の一面上に前記半導体基板とは別個に形成される第1半導体層と、
前記半導体基板の他面上に前記半導体基板とは別個に形成され、前記第1半導体層と異なる結晶構造を有する第2半導体層と、を備える第2光電変換部を形成するものであり、
前記第1光電変換部形成段階は、前記第1半導体層の上にペロブスカイト化合物から構成される光電変換層を備える第1光電変換部を形成するものであり、
前記電極形成段階は、
前記第1光電変換部の一面において前記第1光電変換部に電気的に接続される第1電極、及び
前記第2光電変換部の他面において前記第2光電変換部に電気的に接続される第2電極、を備える電極を形成するものであり、
前記第2光電変換部形成段階は、
前記半導体基板の前記他面上に多結晶部分を含む前記第2半導体層を含む第2部分を形成する、第2部分形成段階;及び
前記半導体基板の前記一面上に非晶質部分を含む前記第1半導体層を含む第1部分を形成する、第1部分形成段階;を含み、
前記第2部分を形成する段階は、前記第2半導体層を形成する工程以前に第2中間膜を形成する工程を更に含み、
前記第1部分を形成する段階は、前記第1半導体層を形成する工程以前に第1中間膜を形成する工程を更に含み、
前記第2中間膜を形成する工程と前記第2半導体層を形成する工程が連続的な工程により形成され、
前記第1中間膜を形成する工程と前記第1半導体層を形成する工程が連続的な工程により形成される
、太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記第1半導体層を形成する工程の温度が前記第2半導体層を形成する工程の温度より低く、
前記第1半導体層を形成する工程の圧力が前記第2半導体層を形成する工程の圧力より高い、
請求項11~13のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池及びその製造方法に関し、より詳しくは、構造を改善した太陽電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板を含む太陽電池は、優れた効率を有しているため、広く使われている。しかしながら、半導体基板を含む太陽電池も効率の向上に限界があるため、光電変換効率を向上できる多様な構造の太陽電池が提案されている。
【0003】
一例として、短波長の光を吸収して短波長を利用した光電変換を行うペロブスカイト化合物を光電変換部に含む太陽電池が提案された。このようなペロブスカイト化合物を光電変換部に含む太陽電池では、大韓民国開特許第10-2016-0040925号のように、ペロブスカイト化合物を含む光電変換部と異なる構造又は物質で構成されたまた他の光電変換部を積層して優れた効率を実現することが一般的である。
【0004】
このような構造の太陽電池において、効率を向上するためには互いに積層された複数の光電変換部が優れた接続特性を有することが非常に重要である。ここで、太陽電池の効率向上のために少なくとも1つの光電変換部にパシベーション特性を向上するためのパシベーション層を含んでもよいが、パシベーション層は絶縁物質からなる絶縁層で構成される。このような絶縁層が複数の光電変換部の間に位置すると、パッシベーション層がキャリアの移動に大きな障害物となって太陽電池の効率向上に困難がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施例は、優れた効率を有する太陽電池及びその製造方法を提供しようとする。特に、本実施例は、ペロブスカイト化合物を含む光電変換部と、これとは異なる物質又は構造を有するまた他の光電変換部とを備えるタンデム型構造を有するとともに、優れた効率を有する太陽電池及びその製造方法を提供しようとする。
【0006】
より具体的には、本実施例は、複数の光電変換部を備えるタンデム型構造においてパシベーション特性を向上させるとともにキャリアの移動が円滑に行われるようにすることで、優れた効率を有する太陽電池及びその製造方法を提供しようとする。
【0007】
また、本実施例は、簡単な工程により製造されることで、生産性を向上できる太陽電池及びその製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施例による太陽電池は、ペロブスカイト化合物から構成される光電変換層を含む第1光電変換部、及び半導体基板を含む第2光電変換部を含む光電変換部を含むタンデム型構造を有する。ここで、第2光電変換部は、半導体基板の一面及び他面において半導体基板とは別個に形成される第1半導体層及び第2半導体層が相異なる構造を有してもよい。これにより、タンデム型構造においてパッシベーション特性及びキャリア移動特性を向上し、製造工程を単純化することができる。本実施例による太陽電池は、光電変換部の一面において光電変換部に電気的に接続される第1電極と光電変換部の他面において光電変換部に電気的に接続される第2電極をさらに含む(備える;構成する;構築する;設定する;包接する;包含する;含有する)。
【0009】
より具体的に、半導体基板の前面上に位置する第1半導体層が非晶質部分を含み、半導体基板の後面上に位置する第2半導体層が多結晶部分を含んでもよい。または、第2光電変換部において第1光電変換部に隣接して位置する第1半導体層が非晶質部分を含み、第2光電変換部において第1光電変換部と反対の面に位置する第2半導体層が多結晶部分を含んでもよい。
【0010】
ここで、多結晶部分を含む第2半導体層の厚さが非晶質部分を含む第1半導体層の厚さより大きくてもよく、非晶質部分を含む第1半導体層の水素含量が多結晶部分を含む第2半導体層の水素含量より大きくてもよい。
【0011】
本実施例による太陽電池は、半導体基板と第1半導体層の間に位置する第1中間膜と、半導体基板と第2導電型領域の間に位置する第2中間膜をさらに含む。第1半導体層と第2半導体層が相異なる結晶構造を有しているため、第1中間膜と第2中間膜の物質又は厚さが異なることがあり、これにより、第1半導体層と第2半導体層の接合構造が異なることがある。
【0012】
例えば、半導体基板及び第1半導体層が半導体物質で構成された第1中間膜を挟んで相異なる結晶構造を有する異種接合構造を有し、半導体基板及び第2半導体層が絶縁物質で構成された第2中間膜を挟んで接合される絶縁接合構造またはトンネル接合構造を有してもよい。または、第1中間膜が半導体物質を含み、第2中間膜が絶縁物質を含んでもよい。一例として、第1中間膜が真性非晶質シリコンを含み、第2中間膜がシリコン酸化物を含んでもよい。
【0013】
ここで、第2中間膜の厚さが第1中間膜の厚さより小さく、第1中間膜の水素含量が第2中間膜の水素含量より大きくてもよい。
【0014】
そして、第1半導体層と第2半導体層が相異なる結晶構造を有しているため、第1光電変換部の上に位置する第1電極と、第2光電変換部に含まれ、多結晶部分を有する第2半導体層の上に位置する第2電極の積層構造が異なることがある。
【0015】
例えば、第1電極は、第1光電変換部の上に形成され、透明伝導性物質を含む第1電極層と、第1電極層の上に形成され、金属を含む第2電極層とを含む。そして、第2電極層は、第2電極層の上に形成され、金属を含む金属電極層を含む。
【0016】
そして、本実施例による太陽電池は、第1電極層の上に形成される反射防止膜及び第2半導体層の上に形成される光学膜のうち少なくとも1つを含む。
【0017】
本実施例による太陽電池の製造方法は、第2光電変換部形成段階、第1光電変換部形成段階及び電極形成段階を含む。第2光電変換部形成段階では、半導体基板と、半導体基板の一面上に半導体基板とは別個に形成される第1半導体層と、半導体基板の他面上に半導体基板とは別個に形成され、第1半導体層と異なる結晶構造を有する第2半導体層とを形成する含む第2光電変換部を形成する。第1光電変換部形成段階では、第1半導体層の上にペロブスカイト化合物から構成される光電変換層を含む第1光電変換部を形成する。電極形成段階では、第1光電変換部の一面において第1光電変換部に電気的に接続される第1電極及び第2光電変換部の他面において第2光電変換部に電気的に接続される第2電極を形成することができる。
【0018】
ここで、第2光電変換部形成段階は、半導体基板の他面上に多結晶部分を含む第2半導体層を含む第2部分を形成する第2部分形成段階と、半導体基板の一面上に非晶質部分を含む第1半導体層を含む第1部分を形成する第1部分形成段階とを含む。
【0019】
この時、第2部分形成段階と第1部分形成段階の間に第2半導体層に水素を注入する水素注入段階をさらに含んでもよい。第1部分形成段階では、第1半導体層に水素を注入する水素注入工程を共に行うことができる。
【0020】
第1半導体層と第2半導体層が異なる結晶構造を有するので、相異なる工程または相異なる工程条件により形成されることができる。一例として、第1半導体層を形成する工程の温度が第2半導体層を形成する工程の温度より低く、第1半導体層を形成する工程の圧力が第2半導体層を形成する工程の圧力より高いことがある。そして、第2部分を形成する段階では、両面蒸着工程により半導体基板の両面に第2部分を形成した後に一面に形成された第2部分を除去することができる。第1部分を形成する段階は、断面蒸着工程により半導体基板の一面に第1部分を形成することができる。
【0021】
そして、第2部分を形成する段階は、第2半導体層を形成する工程以前に第2中間膜を形成する工程をさらに含み、第1部分を形成する段階は、第1半導体層を形成する工程以前に第1中間膜を形成する工程をさらに含んでもよい。この時、第2中間膜を形成する工程と第2半導体層を形成する工程が連続的な工程により形成されることができ、第1中間膜を形成する工程と第1半導体層を形成する工程が連続的な工程により形成されることができる。
【発明の効果】
【0022】
本実施例によれば、ペロブスカイト化合物を含む第1光電変換部及び半導体基板を含む第2光電変換部を備えるタンデム型構造において、第2光電変換部の第1半導体層及び第2半導体層の結晶構造を異なるようにして効率及び生産性を向上することができる。すなわち、第1半導体層を、水素を含む水素化された非晶質部分で構成することによりパッシベーション特性を向上することができ、ペロブスカイト化合物を含む第1光電変換部との整合性を向上することによりキャリア移動特性を向上することができる。そして、第2半導体層は、優秀なキャリア移動度を有する多結晶部分で構成することによりキャリア移動特性を向上することができ、第2電極の材料費用を節減し、製造工程を単純化することができる。
【0023】
本実施例によれば、優れた効率を有するタンデム型構造の太陽電池を簡単な製造工程で形成して生産性を向上することができる。この時、ペロブスカイト化合物を含む第1光電変換部を形成する第1光電変換部形成段階以後に行われる電極形成段階などの工程温度を低い温度に維持することにより非晶質部分で構成される第1半導体層又はペロブスカイト化合物を含む第1光電変換部の特性劣化などを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施例による太陽電池を概略的に示す断面図である。
【
図2】
図1に示した太陽電池の前面を示す前面平面図である。
【
図3】本発明の一実施例による太陽電池の光電変換部に含まれる複数の層の導電型及び役割の一例を模式的に示す図である。
【
図4】
図3に示した太陽電池、そして比較例1及び2による太陽電池の光電変換部のエネルギーバンドを概略的に示すエネルギーバンドダイアグラムである。
【
図5】本発明の一実施例による太陽電池に含まれる複数の層の導電型及び役割の他の例を模式的に示す図である。
【
図6】本発明の一実施例による太陽電池に含まれる複数の層の導電型及び役割のまた他の例を模式的に示す図である。
【
図7】本発明の一実施例による太陽電池に含まれる複数の層の導電型及び役割のまた他の例を模式的に示す図である。
【
図8】本発明の一実施例による太陽電池の製造方法のフローチャートである。
【
図9a-9f】本発明の一実施例による太陽電池の製造方法を示す断面図である。
【
図10】本発明の他の実施例による太陽電池を概略的に示す断面図である。
【
図11】本発明のまた他の実施例による太陽電池を概略的に示す断面図である。
【
図12】本発明のまた他の実施例による太陽電池を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。しかしながら、本発明がこのような実施例に限定されるものではなく、多様な形態に変形できることは言うまでもない。
【0026】
図面においては、本発明を明確かつ簡略に説明するために説明と関係のない部分の図示を省略し、明細書の全体にわたって同一又は極めて類似している部分に対しては同一の参照符号を使用する。そして、図面においては、説明をより明確にするために厚さ、広さなどを拡大又は縮小して示しているが、本発明の厚さ、広さなどは図面の図示に限定されない。
【0027】
そして、明細書の全体においてある部分が他の部分を「含む」とする時、特に反対の記載がない限り、他の部分を排除するのではなく、他の部分をさらに含むことができる。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする時、これは他の部分の「真上に」ある場合だけでなく、その中間に他の部分が位置する場合も含む。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「真上に」あるとする時は、中間に他の部分が位置しないことを意味する。
【0028】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例による太陽電池及びその製造方法を詳細に説明する。本明細書において「第1」または「第2」の表現は、互いの区別のために使用されたものであり、本発明がこれに限定されるものではない。
【0029】
図1は、本発明の一実施例による太陽電池を概略的に示す断面図であり、
図2は、
図1に示した太陽電池の前面を示す前面平面図である。明確な理解のために、
図2では第1電極の第1電極層の図示を省略し、第2電極層を中心に図示した。
【0030】
図1に示すように、本実施例による太陽電池100は、第1及び第2光電変換部110、120を含む光電変換部10を含む。すなわち、光電変換部10が互いに積層される複数の光電変換部110、120を含むタンデム型構造を有する。この時、第2光電変換部120において、第1導電型を有する第1半導体層124と第2導電型を有する第2半導体層126が異なる結晶構造を有する。
【0031】
より具体的に、光電変換部10は、ペロブスカイト化合物から構成される光電変換層112を含む第1光電変換部110と、半導体基板(一例として、シリコン基板)122を含む第2光電変換部120を含む。この時、第2光電変換部120は、半導体基板122と、半導体基板122の一面(一例として、前面)において半導体基板122とは別個に形成された第1半導体層124と、半導体基板122の他面(一例として、後面)において半導体基板10とは別個に形成され、第1半導体層124と異なる結晶構造を有する第2半導体層126とを含む。そして、太陽電池100は、光電変換部10の一面(一例として、前面)において光電変換部10に電気的に接続される第1電極42と、光電変換部10の他面(一例として、後面)において光電変換部10に電気的に接続される第2電極44とを含む。これをより詳しく説明すると次のようである。
【0032】
本実施例において、第2光電変換部120において半導体基板122は単一半導体物質(一例として、4族元素)を含む結晶質半導体(例えば、単結晶または多結晶半導体、一例として、単結晶または多結晶シリコン)から構成される。そうすると、結晶性が高くて欠陥が少ない半導体基板122を基盤にするので、第2光電変換部120が優れた電気的特性を有することができる。特に、半導体基板122が単結晶半導体、一例として、単結晶シリコンから構成されるため、より優れた電気的特性を有することができる。このように、第2光電変換部120は結晶質半導体基板122を含む結晶質シリコン太陽電池構造を有することができる。
【0033】
半導体基板122の前面及び/又は後面はテクスチャリング(texturing)されて凹凸または反射防止構造を有する。凹凸または反射防止構造は、一例として、半導体基板122の前面及び/又は後面を構成する表面が半導体基板122の(111)面で構成され、不規則なサイズを有するピラミッドの形状を有する。これにより、相対的に大きな表面粗さを有する場合、光の反射率を下げることができる。図面においては、半導体基板122の前面及び後面にそれぞれ凹凸または反射防止構造を形成して反射防止効果を最大化したものを例示した。しかしながら、本発明がこれに限定されるものはなく、前面及び後面には、少なくとも1つに凹凸または反射防止構造が形成されるか、前面及び後面の両方ともに凹凸または反射防止構造が備えられないこともある。このような他の実施例の一部については、
図10及び
図11を参照して後でより詳細に説明する。この他にも多様な変形が可能である。
【0034】
本実施例において、半導体基板122は、第1又は第2導電型ドーパントが第1又は第2半導体層124、126より低いドーピング濃度でドーピングされて第1又は第2導電型を有するベース領域として構成される。すなわち、半導体基板122は、ベース領域に追加的にドーパントをドーピングして形成されたドーピング領域を備えず、ベース領域のみを備えることができる。
【0035】
本実施例において、半導体基板122の一面(一例に、前面)の上に位置した第1半導体層124は第1導電型ドーパントを含めて第1導電型を有する半導体層であり得る。そして、半導体基板122の他面(一例として、後面)の上に位置した第2半導体層126は、第2導電型ドーパントを含めて第2導電型を有する半導体層であり得る。
【0036】
一例として、第1及び第2導電型ドーパントのうちp型のドーパントとしてはボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素を使用することができ、n型のドーパントとしてはイン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を使用することができる。半導体基板122の第1又は第2導電型ドーパントと第1又は第2半導体層124、126の第1又は第2導電型ドーパントは同一の物質であってもよく、異なる物質であってもよい。
【0037】
半導体基板122、第1及び第2半導体層124、126の導電型に応じて第1及び第2半導体層124、126の役割、第1光電変換部110に含まれる第1及び第2伝達層114、116の物質、役割などが変わる。これについては、第1光電変換部110並びに第1及び第2電極42、44を説明した後により詳細に説明する。
【0038】
そして、半導体基板122の前面と第1半導体層124の間に第1中間膜124aが備えられてもよく、半導体基板122の後面と第2半導体層126の間に第2中間膜126aが備えられてもよい。一例として、半導体基板122の前面に第1中間膜124aが接触形成され、第1中間膜124aに第1半導体層124が接触形成され、半導体基板122の後面に第2中間膜126aが接触形成され、第2中間膜126aに第2半導体層126が接触形成されてもよい。これによると、構造を単純化してキャリア移動経路を単純化できるが、本発明はこれに限定されるものではなく、多様な変形が可能である。
【0039】
本実施例において、第1及び第2半導体層124、126及び/又は第1及び第2中間膜124a、126aは、半導体基板122の前面及び後面においてそれぞれ全体的に形成されることができる。これにより、第1及び第2半導体層124、126及び/又は第1及び第2中間膜124a、126aを十分な面積で別途のパターニングなしに形成することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
本実施例においては、第1及び第2半導体層124、126がそれぞれ半導体基板122又はベース領域とは別個に形成される半導体層で構成されたものを例示している。これにより、第1及び第2半導体層124、126の結晶構造が半導体基板122と異なる場合がある。これによると、半導体基板122がドーピング領域を備えていないため、優れたパッシベーション特性などを有することができ、第1及び第2半導体層124、126を簡単な工程により容易に形成することができる。また、優れた特性を有し、価格が高い半導体基板122の厚さを減らして費用を節減することができる。
【0041】
これに加えて、本実施例においては、半導体基板122の上に別個に形成される第1半導体層124及び第2半導体層126が相異なる結晶構造を有することができる。そして、第1中間膜124aと第2中間膜126bが相異なる物質を含んでもよい。これについては、第1光電変換部110、第1及び第2電極42、44を説明した後により詳細に説明する。
【0042】
第2光電変換部120の一面(一例として、前面)の上に又は第1半導体層124の上に接合層(トンネル接合層)110aが位置して第2光電変換部120とその上に位置する第1光電変換部110を電気的に接続する。
図1においては、接合層110aが第2光電変換部124の第1半導体層124と第1光電変換部110の第2伝達層116にそれぞれ接触して構造を単純化したものを例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。このような接合層110aはキャリアのトンネリングが円滑に行われるように薄い厚さ、一例として、第1電極42の第1電極層420の厚さより薄い厚さを有してもよい。
【0043】
接合層110aは、第1光電変換部110と第2光電変換部120を電気的に接続し、第2光電変換部120に使われる光(一例として、長波長の光)が透過できる物質を含む。一例として、接合層110aは透明伝導性物質(一例として、透明伝導性酸化物)、伝導性炭素物質、伝導性高分子、n型またはp型非晶質シリコンなどの多様な物質のうち少なくとも1つを含む。または、接合層110aが異なる屈折率を有するシリコン層を交互に積層した構造で形成されて、第1光電変換部110に使われる光(一例として、短波長の光)を第1光電変換部110に反射させ、第2光電変換部120に使われる光(一例として、長波長の光)を透過して第2光電変換部120に提供することができる。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、接合層110aの物質、構造などとしては多様な物質が適用されることができる。
【0044】
接合層110aの上にはペロブスカイト化合物を含む光電変換層112を含む第1光電変換部110が位置する。より具体的には、第1光電変換部110は、光電変換層112と、第2光電変換部120に隣接する光電変換層112の一面と反対の他面において光電変換層112と第1電極42の間に位置する第1伝達層(第1キャリア伝達層)114と、第2光電変換部120に隣接する光電変換層112の一面において接合層110aと光電変換層112の間に位置する第2伝達層(第2キャリア伝達層)116とを含む。
【0045】
例えば、光電変換層112は、ペロブスカイト構造を有するペロブスカイト化合物から構成される光により励起されてキャリア(電子及び正孔)を形成できる光活性層であり得る。一例として、ペロブスカイト構造はAMX3(ここで、Aは1価の有機アンモニウム陽イオン又は金属陽イオン;Mは2価の金属陽イオン;Xはハロゲン陰イオンを意味する)の化学式を有する。このような光電変換層112は、AMX3として、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbIxCl(3-x)、CH3NH3PbIxBr(3-x)、CH3NH3PbClxBr(3-x)、HC(NH2)2PbI3、HC(NH2)2PbIxCl(3-x)、HC(NH2)2PbIxBr(3-x)、HC(NH2)2PbClxBr(3-x)などを含むか、AMX3のAにCsが一部ドーピングされた化合物を含んでもよい。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、光電変換層112として多様な物質が使用されることができる。
【0046】
光電変換部112の他面(一例として、後面)において接合層110aと光電変換層112の間に位置する第2伝達層116は光電変換層112とのバンドギャップ関係により第2キャリアを抽出して伝達する層であり、光電変換層112の一面(一例として、前面)の上において光電変換層112と第1電極42の間に位置する第1伝達層114は光電変換層112とのバンドギャップ関係により第1キャリアを抽出して伝達する層である。ここで、第1キャリアとは、第1半導体層124の第1導電型により第1半導体層124に移動するキャリアであり、第1導電型に対する多数キャリア(majority carrier)である。第1半導体層124がn型であると、第1キャリアが電子であり、第1半導体層124がp型であると、第1キャリアが正孔である。そして、第2キャリアとは、第2半導体層126の第2導電型により第2半導体層126に移動するキャリアであり、第2導電型に対する多数キャリアである。第2半導体層126がp型であると、第2キャリアが正孔であり、第2半導体層126がn型であると、第2キャリアが電子である。
【0047】
第1及び第2伝達層114、116のうち電子を伝達する層を電子伝達層と言い、正孔を伝達する層を正孔伝達層と言う。例えば、正孔伝達層としては、スピロビフルオレン化合物(例えば、2,2,7,7’-tetrakis(N,N-di-p-methoxyphenylamine)-9,9’-spirobifluorene(spiro-OMeTAD)など)、ポリ-トリアリルアミン(poly-triarylamine、PTAA)、または金属化合物(例えば、モリブデン酸化物など)を含む。そして、電子伝達層としてはフラーレン(C60)またはその誘導体(例えば、フェニル-C61-酪酸メチルエステル(phenyl-C61-butyric acid methyl ester、PCBM)など)を含む。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、第1伝達層114及び第2伝達層116、または電子伝達層及び正孔伝達層に第1又は第2キャリアを伝達する役割を実行きる多様な物質を含むことができる。
【0048】
図1においては、第2伝達層116、光電変換層112及び第1伝達層114が互いに接触してキャリア移動経路を最小化したことを例示している。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、多様な変形が可能である。
【0049】
光電変換部10(一例として、第1光電変換部110の前面側に位置する第1伝達層114)の上に第1電極42が位置し、光電変換部10(一例として、第2光電変換部120の後面側に位置する第2半導体層126)の上に第2電極44が位置する。
【0050】
本実施例において、第1電極42は光電変換部10の一面(一例として、前面)の上に順に積層される第1電極層420及び第2電極層422を含む。
【0051】
ここで、第1電極層420は、光電変換部10(一例として、第1光電変換部110の前面側に位置する第1伝達層114)の上に全体的に形成されることができる。一例として、第1電極層420は、光電変換部10(一例として、第1光電変換部110の前面側に位置する第1伝達層114)に接触しながらこの上に全体的に形成されることができる。本明細書において全体的に形成されるとは、空き空間または空き領域なしに光電変換部10の全体を覆うだけでなく、不可避的に一部部分が形成されない場合を含む。このように、第1電極層420が第1光電変換部110の上に全体的に形成されると、第1キャリアが第1電極層420を介して容易に第2電極層422まで到達できるため、水平方向での抵抗を減らすことができる。
【0052】
このように第1電極層420が光電変換部10の上において全体的に形成されるので、第1電極層420は光を透過できる物質(透光性物質)から構成される。すなわち、第1電極層420は透明伝導性物質からなって光の透過を可能にするとともにキャリアを容易に移動できるようにする。これにより、第1電極層420が光電変換部10の上に全体的に形成されても光の透過を遮断しない。一例として、第1電極層420が透明伝導性物質(例えば、透明伝導性酸化物、一例として、金属ドーピングされたインジウム酸化物、炭素ナノチューブ(carbon nano tube、CNT))などを含む。金属ドーピングされたインジウム酸化物としては、スズドーピングされたインジウム酸化物(tin doped indium oxide、ITO)、タングステンドーピングされたインジウム酸化物(tungsten doped indium oxide、IWO)、セシウムドーピングされたインジウム酸化物(cesium-doped indium oxide、ICO)などがある。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第1電極層420はその他の多様な物質を含んでもよい。
【0053】
そして、第1電極層420の上に第2電極層422が形成されることができる。一例として、第2電極層422は第1電極層420に接触形成されることができる。第2電極層422は、第1電極層420より優れた電気伝導度を有する物質で構成される。これにより、第2電極層422によるキャリア収集効率、抵抗低減などの特性をさらに向上することができる。一例として、第2電極層422は優れた電気伝導度を有する不透明な金属または第1電極層420より透明度の低い金属から構成されてもよい。
【0054】
このように、第2電極層422は、不透明であるか透明度が低くて光の入射を妨害する可能性があるので、シェーディング損失(shading loss)を最小化できるように部分的に形成されて一定のパターンを有することができる。これにより、第2電極層422が形成されていない部分に光が入射できるようにする。
【0055】
例えば、第2電極層422がそれぞれ一定のピッチを有しながら互いに離隔される複数のフィンガー電極42aを含む。
図2においては、フィンガー電極42aが互いに平行であり、光電変換部10(一例として、半導体基板122)のメインエッジに平行であることを例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。そして、第2電極層422はフィンガー電極42aと交差する方向に形成されてフィンガー電極42aを連結するバスバー電極42bを含む。このようなバス電極42bは1つのみ備えられてもよく、
図2に示すように、フィンガー電極42aのピッチより大きなピッチを有して複数備えられてもよい。この時、フィンガー電極42aの幅よりバスバー電極42bの幅が大きいこともあるが、本発明はこれに限定されるものではない。従って、バスバー電極42bの幅がフィンガー電極42aの幅より小さいか等しい幅を有してもよい。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、第2電極層422が多様な平面形状を有してもよい。
【0056】
本実施例において、第2電極44は、第1電極42と異なる積層構造を有してもよい。これは第1光電変換部110の物質と第2光電変換部120に含まれる第2半導体層126の結晶構造を考慮したものであるが、これについては後でより詳細に説明する。
【0057】
例えば、本実施例において第2電極44が光電変換部10の他面(一例として、後面)の上に位置する金属電極層442を含む。一例として、第2電極44が光電変換部10(より具体的に、第2半導体層126)に接触する金属電極層442の単一層で構成され、透明伝導性酸化物層などをさらに備えないことがある。
【0058】
第2電極42の金属電極層442は、第1電極42の第1電極層420より優れた電気伝導度を有する物質で構成されてもよい。一例として、第2電極42の金属電極層442は、優れた電気伝導度を有する不透明な金属または第1電極42の第1電極層420より透明度の低い金属で構成されてもよい。このように金属電極層442が光電変換部10の上において部分的に形成されて一定のパターンを有することができる。これにより、両面受光構造においては金属電極層442が形成されていない部分に光が入射することができる。
【0059】
例えば、金属電極層442がそれぞれ一定のピッチを有するとともに互いに離隔される複数のフィンガー電極を含み、フィンガー電極と交差する方向に形成されてフィンガー電極を接続するバスバー電極をさらに含んでもよい。金属電極層442が光電変換部10の他面上に位置するという点を除いては、第1電極42の第2電極層422に含まれるフィンガー電極42a及びバスバー電極42bに対する説明が金属電極層442のフィンガー電極及びバスバー電極に適用できる。この時、第1電極42のフィンガー電極42a及びバスバー電極42bの幅、ピッチなどは第2電極44のフィンガー電極及びバスバー電極の幅、ピッチなどと同一であるか又は異なる値を有してもよい。そして、第1電極42の第2電極層422と第2電極44の金属電極層442は同一であるかまたは異なる物質、組成、形状、または厚さを有してもよい。
【0060】
本実施例においては、太陽電池100の第1及び第2電極42、44中に不透明なまたは金属を含む金属電極層442が一定のパターンを有することで光電変換部110、120の前面及び後面に光が入射できる両面受光型(bi-facial)構造を有する。これにより、太陽電池100において使われる光量を増加させて太陽電池100の効率向上に寄与することができる。
【0061】
前述の説明においては、第1電極42の第2電極層422と第2電極44の金属電極層442がそれぞれパターンを有しながら同一または類似した平面形状を有することを例示した。しかしながら、第1電極42の第2電極層422と第2電極44の金属電極層442が相異なる平面形状を有してもよい。一例として、太陽電池100が後面に光が入射されない単面受光型構造を有する場合には、第2電極44または金属電極層442が光電変換部10(より具体的に、第2半導体層126)の上において全体的に形成(接触形成)されることもできる。このように第1電極42の第2電極層422及び第2電極44の金属電極層442の形状、配置などは多様に変形できる。
【0062】
本実施例においては、第2電極層422または金属電極層442が金属と樹脂を含む印刷層を含むことができる。ここで、第2電極層422が第1電極層420に接触して形成され、金属電極層442が位置する第2半導体層126の表面に絶縁膜が備えられないため、絶縁膜などを貫通するファイアスルー(fire-through)が要求されない。そこで、本実施例においては、一定の金属化合物(一例として、酸素を含む酸化物、炭素を含む炭化物、硫黄を含む硫化物)などから構成されるガラスフリット(glass frit)を備えず、金属と樹脂(バインダ、硬化剤、添加剤)のみを含む低温焼成ペーストを利用して印刷層を形成することができる。
【0063】
より具体的には、ガラスフリットを備えなく金属と樹脂を含む低温焼成ペーストを塗布し、これを熱処理して硬化させて印刷層を形成することができる。これにより、第2電極層422または金属電極層442に含まれる印刷層は、複数の金属粒子が焼結(sintering)されずに互いに接触して凝集(agregation)されて伝導性を有することができる。一例として、既存の低温工程で使用する温度より低い温度(一例として、150℃以下)で低温焼成ペーストを硬化して、第2電極層422または金属電極層442に含まれる印刷層において複数の金属粒子が完璧にネッキング(necking)されずに互いに接触しながら連結される形状を有することができる。
【0064】
このように第2電極層422または金属電極層442が低温焼成ペーストを利用して形成された印刷層を含めると、簡単な工程で第2電極層422または金属電極層442の形成が可能であり、第2電極双422又は金属電極層442の形成工程でペロブスカイト化合物を含む第1光電変換部110の劣化現象などが発生することを防止できる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。第2電極層422または金属電極層442が印刷層以外の別途の金属層などをさらに含んでもよく、第2電極層422または金属電極層442が印刷層を含めずにメッキ層、スパッタリング層などを含んでもよい。その他の多様な変形が可能である。
【0065】
第2電極層422または金属電極層442は多様な金属を含む。例えば、第2電極層422または金属電極層442が銀、銅、金、アルミニウムなど多様な金属を含んでもよい。本実施例において第2電極層422と金属電極層442は同一の物質、構造、形状、厚さなどを有してもよく、相異なる物質、構造、形状、厚さなどを有してもよい。一例として、第2電極層422の幅が金属電極層442の幅より小さいか、及び/又は第2電極層422の厚さが金属電極層442の厚さより大きいことがある。これは、前面に位置する第2電極層422によるシェーディング損失を減らしながら比抵抗を十分に確保するためのものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0066】
このように、本実施例による光電変換部10は単一半導体物質(一例として、シリコン)ベースの第2光電変換部120とペロブスカイト化合物ベースの第1光電変換部110が接合層110aにより接合されたタンデム型構造を有することができる。この時、第2光電変換部120より第1光電変換部110がさらに大きいバンドギャップを有するようになる。すなわち、第1光電変換部110は、相対的に大きなバンドギャップを有して相対的に小さな波長を有する短波長を吸収してこれを利用して光電変換を起こし、第2光電変換部120は、第1光電変換部110より低いバンドギャップを有して第1光電変換部110において使用される光より大きな波長を有する長波長を効果的に吸収してこれを利用して光電変換を起こす。
【0067】
より詳しくは、太陽電池100の前面を介して光が入射されると、第1光電変換部110が短波長を吸収して光電変換により電子及び正孔を生成する。この時、第1キャリアが第1電極42側に移動して収集され、第2キャリアが第1光電変換部110及び第2光電変換部120を経て第2電極420側に移動して収集される。第1光電変換部110に使われないため、これを通過した長波長が第2光電変換部120に到達すると、第2光電変換部120がこれを吸収して光電変換により第1キャリア及び第2キャリアを生成する。この時、第1キャリアは第1光電変換部110を経て第1電極42側に移動して収集され、第2キャリアは第2電極44側に移動して収集される。
【0068】
前述したように、本実施例において第1光電変換部110に含まれる第1半導体層124と第2半導体層126は相異なる結晶構造を有し、第1中間膜124aと第2中間膜126aが相異なる物質を有することができる。すなわち、第1光電変換部110の一面において第1中間膜124a及び/又は第1半導体層124により形成される接合構造と他面において第2中間膜126a及び/又は第1半導体層126により形成される接合構造が相異なる。そして、第1光電変換部110に隣接した第1電極42と第2光電変換部120に隣接した第2電極44が相異なる積層構造を有することができる。これについてより詳しく説明する。
【0069】
半導体基板122の前面上に位置する第1半導体層124が、第1導電型ドーパントがドーピングされる非晶質部分(一例として、非晶質層)を含んでもよい。より具体的には、本実施例において、第1半導体層124は、第1導電型ドーパントがドーピングされ、水素化された非晶質部分(すなわち、水素を含む非晶質部分)を含んでもよい。一例として、第1半導体層124を形成する工程で水素を含むように第1半導体層124を形成することができるが、これについては太陽電池100の製造方法において詳細に説明する。
【0070】
ここで、非晶質部分を含むとは、全体的に非晶質構造を有することだけでなく、結晶質構造を有する部分を含むものの、非晶質構造を有する部分の体積比が結晶質構造を有する部分の体積比より大きいものを含むことができる。例えば、非晶質構造を有するマトリックス(matrix)内部にナノ結晶(nanocrystal)、マイクロ結晶(microcrystal)などが一部備えられるのも非晶質部分を含むと言える。ここで、ナノ結晶はナノメートル水準(例えば、1nm以上、1um未満)のサイズ(一例として、平均サイズ)を有する結晶を意味し、マイクロ結晶はマイクロメートル水準(例えば、1um以上、1mm未満)のサイズ(一例として、平均サイズ)を有する結晶を意味し得る。このようなナノ結晶、マイクロ結晶などは工程条件を制御して意図的に形成されてもよく、工程中に自然に形成されてもよい。例えば、水素を含むように第1半導体層124を形成すると、水素により欠陥が除去されて非晶質部分の一部部分において結晶化が起きるか非晶質部分内に存在する結晶の大きさが大きくなりうるが、これによりナノ結晶、マイクロ結晶などが形成されることができる。
【0071】
例えば、第1半導体層124は第1導電型ドーパントがドーピングされ、水素を含む非晶質シリコン層、非晶質シリコン酸化物層、非晶質シリコン炭化物層のうち少なくとも1つを含む。ここで、非晶質シリコン、非晶質シリコン酸化物層、または非晶質シリコン炭化物層とはシリコン、シリコン酸化物、シリコン炭化物を主要物質として含む非晶質部分を備えることを意味する。一例として、第1半導体層124は、第1導電型ドーパントがドーピングされ、水素を含み、全体的に非晶質構造を有する非晶質シリコン層から構成されることができる。
【0072】
一例として、第1半導体層124が非晶質シリコン層を含むと、半導体基板122と同一の半導体物質を含めて半導体基板122との特性差を最小化することができる。他の例として、第1半導体層124が非晶質シリコン酸化物層または非晶質シリコン炭化物を含むと、高いエネルギーバンドギャップを有してキャリアを効果的に移動させることができ、半導体基板122に含まれる半導体物質を含めて半導体基板122と類似した特性を有するようにすることができる。
【0073】
このように第1半導体層124が非晶質部分から構成されると、水素を多く含めて水素パッシベーション特性を向上することができ、第1光電変換部110及び/又は接合層110aとの整合性に優れて、優秀なパッシベーション特性及び優秀な接続特性を有することができる。
【0074】
このような第1半導体層124と半導体基板122の間に位置する第1中間膜124aが半導体物質を含めて第1半導体層124と半導体基板122の電気的接続特性などを向上することができる。一例として、第1中間膜124aが真性非晶質シリコンを含み、半導体基板122との格子不一致(lattice mismatch)を最小化して半導体基板122の表面での再結合を効果的に防止してパッシベーション特性を向上することができる。一例として、第1中間膜124aは水素化された真性非晶質シリコン層(すなわち、水素を含む真性非晶質シリコン層)であり得る。これにより、パッシベーションの特性を向上することができる。
【0075】
これにより、半導体基板122及び第1半導体層124が半導体物質(一例として、シリコン)から構成された第1中間膜124aを挟んで同一の半導体物質(一例として、シリコン)を含むものの、相異なる結晶構造を有する異種接合(hetero-junction)構造を有してもよい。
【0076】
そして、半導体基板122の後面上に位置する第2半導体層126は第2導電型ドーパントがドーピングされる多結晶部分(一例として、多結晶層)を含む。より具体的には、本実施例において、第1半導体層124は第2導電型ドーパントがドーピングされ、水素化された多結晶部分(すなわち、水素を含む非晶質部分)を含む。このために、一例として、第2半導体層126のパッシベーション特性を向上するために、第2半導体層126に水素を注入する水素注入工程を行うことができる。第2半導体層126を形成する工程は、第1半導体層124を形成する工程より高い温度で行われるので、第1半導体層124内に水素が存在しても第1半導体層124を形成する工程中に脱水素現象が起きる可能性がある。従って、第1半導体層124とは異なって水素注入工程を追加で実行するが、これについては太陽電池100の製造方法でさらに詳しく説明する。
【0077】
ここで、多結晶部分を含むとは、全体的に多結晶構造を有することだけでなく、多結晶構造を有する部分の体積比が非晶質構造を有する部分の体積比より大きいことを含む。一例として、本実施例において、第2半導体層126が全体的に多結晶構造を有する多結晶半導体層からなるため、優秀な光電変換効率及び優秀な電気的特性を有することができる。
【0078】
例えば、第2半導体層126は第2導電型ドーパントがドーピングされ、水素を含む多結晶シリコン層を含んでもよい。ここで、多結晶シリコン層とは、シリコンを主要物質として含む多結晶部分を備えることを意味する。一例として、第2半導体層126は第2導電型ドーパントがドーピングされ、水素を含み、全体的に多結晶構造を有する多結晶シリコン層で構成される。
【0079】
このように、第2半導体層126が多結晶部分で構成されると、高いキャリア移動度を有することができるため、優秀な光電変換効率及び優秀な電気的特性を有することができる。
【0080】
このような第2半導体層126と半導体基板122の間に位置する第2中間膜126aは、半導体基板122の表面をパッシベーションするパッシベーション膜の役割を果たす。または、第2中間膜126aが第2半導体層126の第2導電型ドーパントが、ドーパントが半導体基板122に過度に拡散することを防止するドーパント制御役割または拡散バリアとしての役割を果たす。一例として、第2中間膜126aが電子及び正孔に一種のバリア(barrier)として作用し、少数キャリア(minority carrier)が通過しないようにし、第2中間膜126aに隣接した部分において蓄積された後に一定以上のエネルギーを有する多数キャリアのみが第2中間膜126aを通過できるようにする。すなわち、第2中間膜126aは一種のトンネリング膜であり得る。この時、一定以上のエネルギーを有する多数キャリアは、トンネリング効果により容易に第2中間膜126aを通過することができる。
【0081】
このような第2中間膜126aは、前述の役割を実行できる多様な物質を含んでもよいが、例えば、絶縁物質を含むことができる。第2中間膜126aが絶縁物質を含むと、多結晶部分で構成された第2半導体層126へのキャリア伝達が円滑に行われることができる。例えば、第2中間膜126aが酸化膜、シリコンを含む誘電膜または絶縁膜、窒化酸化膜、炭化酸化膜などからなってもよい。一例として、第2中間膜126aがシリコン酸化膜で形成されると、第2中間膜126aを容易に製造することができ、第2中間膜126aを介するキャリア伝達が円滑に行われることができる。
【0082】
これにより、半導体基板122、第2半導体層126及び/又は第2中間膜126aが同一の半導体物質(一例として、シリコン)を含むものの、絶縁物質で構成された第2中間膜126a(すなわち、絶縁膜)を間に置いて接合される絶縁接合(insulation-junction)構造またはトンネル接合(tunnel-junction)構造を有することができる。この時、第2中間膜126aの厚さが薄いため、キャリアの移動を妨害しない。
【0083】
本実施例において、半導体基板122の後面に位置する第2半導体層126を、相対的に光を多く吸収する多結晶部分で構成し、半導体基板122の前面に位置する第1半導体層124を第2半導体層126より光を少なく吸収する非晶質部分で構成する。これにより、半導体基板122の前面での希望しない光吸収を最小化することができる。そして、半導体基板122の後面に位置した第2半導体層126ではキャリア移動特性、電気的接続特性などを効果的に向上することができる。
【0084】
そして、第1光電変換部110と隣接して位置する第1半導体層124及び/又は第1中間膜124aが非晶質部分で構成されて、ペロブスカイト化合物を含む第1光電変換部110との整合性を向上してキャリア移動特性を向上することができる。そして、非晶質部分で構成される第1半導体層124は水素を含めて優秀な水素パッシベーション特性を有することができるので、既存の水素パッシベーション特性を向上するために接合層110aと第1半導体層124の間に位置していたパッシベーション膜を除去することができる。このようなパッシベーション膜は絶縁物質で構成される絶縁膜であるため、接合層110aと第1半導体層124の間に位置すると、第1光電変換部110と第2光電変換部120を介するキャリアの移動を妨害する場合がある。これについては、
図5を参照して後でより詳細に説明する。一例として、第1半導体層124は接合層110aを挟んで第1光電変換層110と直接接触することができる。すなわち、第1半導体層124の上に接合層110aが接触するように位置し、接合層110aの上に第1光電変換層110が接触するように位置する。そうすると、構造を単純化することができ、キャリアの移動を円滑にすることができる。
【0085】
そして、半導体基板122において第1光電変換部110が位置する面と反対の面に位置する第2半導体層126は、多結晶部分を含めてキャリア移動特性、電気的接続特性などを効果的に向上することができる。
【0086】
この時、第2半導体層126の厚さは第1半導体層124の厚さより大きいか同一である。一例として、第2半導体層126の厚さが第1半導体層124の厚さより大きくてもよい。これは、第2半導体層126が半導体基板122の後面側に位置して相対的に大きな厚さを有しても入射される光を妨害する程度が大きくないためである。または、第1半導体層124の厚さが10nm以下(一例として、5nmないし10nm)、第2半導体層126の厚さが10nm以上(一例として、10nm超過、500nm以下)でありうる。このような厚さは、第1半導体層124及び第2半導体層126の特性、これを通過する光の量などを考慮したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0087】
そして、第1中間膜124aまたは第2中間膜126aの厚さは、第1半導体層124の厚さ及び第2半導体層126の厚さよりそれぞれ小さくてもよい。より具体的には、第2中間膜126aの厚さが第1中間膜124aの厚さより小さいか又は等しくてもよい。一例として、第2中間膜126aの厚さが第1中間膜124aの厚さより小さい。これによると、第2キャリアが絶縁物質で構成された第2中間膜125aを円滑に通過(一例として、トンネリング)することができ、第1中間膜126aが相対的に厚い厚さを有して優秀なパッシベーション特性を有するようにすることができる。または、第1中間膜124aの厚さが8nm以下(一例として、2nmないし8nm)、第2中間膜126aの厚さが3nm以下(一例として、1nmないし3nm)であってもよい。このような厚さは、第1中間膜124a及び第2中間膜126aの役割などを考慮したものであるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0088】
これにより、本実施例においては、第1中間膜124aに対する第1半導体層124の厚さ比率より第2中間膜126bに対する第2半導体層126の厚さ比率がさらに大きい。これによると、相異なる結晶構造を有して相異なる接合構造を構成する第1中間膜124a及び第1半導体層124、そして第2中間膜126a及び第2半導体層126の特性を効果的に向上することができる。
【0089】
本実施例において、第1半導体層124の水素含量が第2半導体層126の水素含量より大きいことがある。これは、第1半導体層124が非晶質構造を含めて相対的に多くの欠陥を備えるので、水素結合空間がさらに多いためである。このように第1半導体層124の水素含量を大きくして第1半導体層124によるパッシベーション特性をさらに向上することができる。一例として、第1半導体層124の水素含量が1×1020個/cm3以上(例えば、8×1021個/cm3以下)であり、第2半導体層126の水素含量が8×1020個/cm3以下(例えば、1×1019個/cm3以上)であり得る。これは、第1半導体層124及び第2半導体層126の結晶構造、位置、役割などを考慮して効率を最大化できるように限定されたものであるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0090】
そして、第1中間膜124aの水素含量が第2中間膜126aの水素含量より大きいこともありうる。これは、第1中間膜124aが非晶質構造を有する半導体物質で構成されて水素結合空間がより多いためである。このように、第1中間膜124aの水素含量を大きくして第1中間膜124aによるパッシベーション特性をさらに向上することができる。一例として、第1中間膜124aの水素含量が1×1020個/cm3以上(例えば、8×1021個/cm3以上)であり、第2中間膜126aの水素含量が1×1020個/cm3以下(例えば、1×1018個/cm3以上)であり得る。または、第2中間膜126aの水素含量が第2半導体層126より小さいか等しく、第1半導体層124の水素含量より小さいか等しいこともある。特に、第2中間膜126aの水素含量が第2半導体層126より小さく、第1半導体層124の水素含量より小さいこともある。これは第1中間膜124a及び第2中間膜126aの物質、位置、役割などを考慮して効率を最大化できるように限定されたものであるが、本発明がこれに限定されるものではない。参照として、第1中間膜124aと第1半導体層124は、第1導電型ドーパントが含まれるか否かが異なるだけで、同一の物質及び同一の結晶構造を有するので、水素含量が同一または類似の水準を有することができる。
【0091】
さらに、前述のように、第1光電変換部110の上に位置する第1電極42と第2光電変換部120の第2半導体層126の上に位置する第2電極44が異なる積層構造を有してもよい。より具体的には、ペロブスカイト化合物を含む第1光電変換部110は、低いキャリア移動度を有するので、第2電極層422以外にも水平抵抗を低くすることができるように透明伝導性物質で構成され、全体的に形成される第1電極層420を備えたものである。反面、第2半導体層126は、優れたキャリア移動度を有する多結晶構造または多結晶部分を備えるので、透明伝導性物質からなる別途の透明電極層なしに第2半導体層126に直接接続される金属電極層442のみを備えることができる。これによると、第2電極44が透明伝導性物質からなる別途の透明電極層を備えていないため、材料費用を節減することができ、工程を単純化することができる。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、第2電極44が第2半導体層126と金属電極層442との間に位置する透明電極層をさらに備えることもできる。その他の多様な変形が可能である。
【0092】
前述したように、半導体基板122、第1及び第2半導体層124、126の導電型に応じて第1及び第2半導体層124、126、第1及び第2伝達層114、116の役割、物質などが変わる。これを考慮して、本実施例の一例による太陽電池100の構造を、
図3を参照して説明し、これによるキャリア移動特性を、
図4を参照して説明する。
【0093】
図3は、本発明の一実施例による太陽電池100の光電変換部10に含まれる複数の層の導電型及び役割の一例を模式的に示す図である。明確な理解のため、
図3には凹凸または反射防止構造などを具体的に図示せず、光電変換部10に含まれる複数の層の積層順序、導電型及び役割を中心に図示した。
【0094】
図3に示すように、本一例においては半導体基板122がn型を有することができる。半導体基板122がn型を有すると、バルク(bulk)特性に優れ、キャリアの寿命(life time)を向上させることができる。
【0095】
そして、本実施例において、第1半導体層124が半導体基板122と同じ導電型であるn型を有するものの、半導体基板122より高いドーピング濃度を有することができ、第2半導体層126が半導体基板122と異なる導電型であるp型を有することができる。これにより、半導体基板122の後面に位置する第2半導体層126が半導体基板122とpn接合を形成するエミッタ領域を構成し、前面に位置する第1半導体層124が前面電界(front surface field)を形成して再結合を防止する前面電界領域を構成することができる。そうすると、光電変換に直接関与するエミッタ領域が後面に位置するため、エミッタ領域を十分な厚さで形成することができるので(一例として、前面電界領域より厚く形成して)光電変換効率を向上することができる。そして、第1光電変換部110において多結晶構造を有する第1半導体層124がエミッタ領域を構成して、光電変換に直接関与するエミッタ領域側での電気的特性を向上することができる。そして、前面電界領域である第1半導体層124を薄く形成して光損失を最小化することができる。
【0096】
この場合は、第2光電変換部120の上に位置する第1光電変換部110において、上部側に位置する第1伝達層114が電子を伝達する電子伝達層で構成され、下部側に位置する第2伝達層116が正孔を伝達する正孔伝達層で構成されてもよい。このような場合に第1光電変換部110が優れた効果を有することができる。
【0097】
このような太陽電池100においては、太陽電池100の前面を介して光が入射されると、第1光電変換部110が短波長を吸収して光電変換により電子及び正孔を生成する。この時、電子が第1伝達層114を介して第1電極42側に移動して収集され、正孔が第2伝達層116及び第2光電変換部120を経て第2電極44側に移動して収集される。第1光電変換部110に使われなくてこれを通過した長波長が第2光電変換部120に到達すると、第2光電変換部120がこれを吸収して光電変換により電子及び正孔を生成する。この時、電子は第1半導体層124及び第1光電変換部110を経て第1電極42側に移動して収集され、正孔は第2半導体層126を介して第2電極44側に移動して収集される。
【0098】
図4は、
図3に示した太陽電池、そして比較例1及び2による太陽電池のエネルギーバンドを概略的に示したエネルギーバンドダイアグラムである。
図4においては、第1及び第2中間膜、第1電極の第2電極層及び第2電極の図示を省略している。
【0099】
ここで、比較例1による太陽電池には、半導体基板の前面に半導体基板の一部に第1導電型ドーパントを追加でドーピングして形成されたドーピング領域で構成された第1導電型領域が位置し、第1導電型領域と接合層との間にパシベーション特性を向上するためのパッシベーション膜(絶縁膜)が備えられる。このように比較例1による太陽電池は、本一例による第1中間膜及び第1半導体層の代わりに第1導電型領域及びパッシベーション膜(絶縁膜)が備えられるという点を除いては、本一例による太陽電池と光電変換部と同一の構造を有する。そして、比較例2による太陽電池は、第2半導体層126が多結晶部分ではない非晶質部分からなるという点を除いては、本例による太陽電池同一の構造を有する。
【0100】
図4に示すように、本例では、第1光電変換部110及び第2光電変換部120において正孔及び電子の移動が円滑に行われるエネルギーバンドダイアグラムを有する。すなわち、第1光電変換部110及び第2光電変換部120それぞれにおいて電子の流れの方向に伝導帯のエネルギーが漸進的に低くなる傾向性を有し、電子の流れの方向に価伝導帯のエネルギーが漸進的に高くなる傾向性を有する。すなわち、第1半導体層124が低いエネルギーバンドギャップ(1.5ないし1.7eV)を有する非晶質部分で構成されてキャリアが円滑に流れることができるエネルギーバンドダイアグラムを形成するので、キャリアの移動特性が非常に優れている。
【0101】
反面、比較例1による太陽電池においては、非常に大きなエネルギーバンドギャップを有する、例えば、9.0eVのエネルギーバンドギャップを有するパッシベーション膜(絶縁膜)が第1導電型領域と接合層110aの間に位置してキャリアの移動を大きく妨害することがわかる。比較例1のように、第1導電型ドーパントを備える第1導電型領域が半導体基板の一部からなるドーピング領域で構成される場合には、パッシベーション特性を向上するために第1導電型領域を覆うパッシベーション膜(絶縁膜)が備えられなければならない。ところが、このように大きなエネルギーバンドギャップを有するパッシベーション膜(絶縁膜)により電子の流れ方向においてエネルギーバンドが大きく高くなると、パッシベーション膜(絶縁膜)が一種のバリアとして作用してキャリアの移動特性が大きく低下することがある。これにより、比較例1による太陽電池においては、パッシベーション特性及びキャリアの移動特性を共に向上させるのに困難があった。
【0102】
そして、後面側に位置した第2半導体層が非晶質部分からなる比較例2による太陽電池と比較すると、本例による太陽電池においては第2半導体層でのバンドギャップに多少差があるが、このような差はキャリアの流れと関連したキャリア移動特性に大きな影響を与えるほどではないことが分かる。これを考慮して本例による太陽電池においては第2半導体層をバンドギャップ側面よりはキャリア移動度側面を考慮して多結晶部分で構成して太陽電池の効率を向上したものである。
【0103】
図4は、
図3に示した太陽電池100の構造を一例として示した。半導体基板122、そして第1及び第2半導体層124、126の導電型が変わる場合にもエネルギーバンドダイアグラムの傾向性はキャリア移動特性を向上する傾向を有することができる。
図3に示した太陽電池100以外の他の例を
図5ないし
図7を参照して詳細に説明する。
図5ないし
図7は、
図3に対応するよう示された。
【0104】
図5は、本発明の一実施例による太陽電池に含まれる複数の層の導電型及び役割の他の例を模式的に示す図である。
【0105】
図5に示すように、半導体基板122がn型を有し、第1半導体層124が半導体基板122と異なる導電型であるp型を有し、第2半導体層126が半導体基板122と同一のn型を有するものの、半導体基板122より高いドーピング濃度を有する。そうすると、第1半導体層124がエミッタ領域を構成し、第2半導体層126が後面電界領域を構成する。そして、第1光電変換部110において第2伝達層116が電子を伝達する電子伝達層で構成され、第1伝達層114が正孔を伝達する正孔伝達層で構成される。
【0106】
このように、半導体基板122がn型を有すると、キャリアの寿命を向上することができる。そして、エミッタ領域を構成する第1半導体層124が半導体基板122の前面側に位置して半導体基板120と第1半導体層124により形成されたpn接合が前面側に位置することができる。これにより、pn接合に到達する光経路を最小化することができる。そして、n型の多結晶部分で構成された第2半導体層126のパッシベーション特性がp型の多結晶部分のパッシベーション特性より優れている。これは第2半導体層126に含まれるn型ドーパントがp型ドーパント(例えば、ボロン)より第2中間膜126bに加える損傷が少ないためである。
【0107】
このような太陽電池100においては、太陽電池100の前面を介して光が入射されると、第1光電変換部110が短波長を吸収して光電変換により電子及び正孔を生成する。この時、正孔が第1伝達層114を介して第1電極42側に移動して収集され、電子が第2伝達層116及び第2光電変換部120を経て第2電極44側に移動して収集される。第1光電変換部110に使われなくこれを通過した長波長が第2光電変換部120に到達すると、第2光電変換部120がこれを吸収して光電変換により電子及び正孔を生成する。この時、正孔が第1半導体層124及び第1光電変換部110を経て第1電極42側に移動して収集され、電子が第2半導体層126を介して第2電極44側に移動して収集される。
【0108】
図6は、本発明の一実施例による太陽電池に含まれる複数の層の導電型及び役割のまた他の例を模式的に示す図である。
【0109】
図6に示すように、第2光電変換部120において、半導体基板122がp型を有し、第1半導体層124が半導体基板122と同一の導電型であるp型を有し、半導体基板122より高いドーピング濃度を有し、第2半導体層126が半導体基板122と異なる導電型であるn型を有する。そうすると、第2半導体層126がエミッタ領域を構成し、第1半導体層124が前面電界領域を構成する。そして、第1光電変換部110において第2伝達層116が電子を伝達する電子伝達層で構成され、第1伝達層114が正孔を伝達する正孔伝達層で構成される。
【0110】
このように、半導体基板122がp型を有すると、価格が安くて材料費用を節減することができる。そして、光電変換に直接関与するエミッタ領域が後面に位置するので、エミッタ領域を十分な厚さで形成できるため(一例として、前面電界領域より厚く形成して)、光電変換効率を向上することができる。そして、第1光電変換部110において多結晶構造を有する第1半導体層124がエミッタ領域を構成して、光電変換に直接関与するエミッタ領域側での電気的特性を向上することができる。また、n型の多結晶部分で構成された第2半導体層126は、優れたパッシベーション特性を有することができる。そして、前面電界領域である第1半導体層124を薄く形成して光損失を最小化することができる。
【0111】
このような太陽電池100においては、太陽電池100の前面を介して光が入射されると、第1光電変換部110が短波長を吸収して光電変換により電子及び正孔を生成する。この時、正孔が第1伝達層114を介して第1電極42側に移動して収集され、電子が第2伝達層116及び第2光電変換部120を経て第2電極44側に移動して収集される。第1光電変換部110に使われなくこれを通過した長波長が第2光電変換部120に到達すると、第2光電変換部120がこれを吸収して光電変換により電子及び正孔を生成する。この時、正孔が第1半導体層124及び第1光電変換部110を経て第1電極42側に移動して収集され、電子が第2半導体層126を介して第2電極44側に移動して収集される。
【0112】
図7は、本発明の一実施例による太陽電池に含まれる複数の層の導電型及び役割のまた他の例を模式的に示す図である。
【0113】
図7に示すように、半導体基板122がp型を有し、第1半導体層124が半導体基板122と反対の導電型であるn型を有し、第2半導体層126が半導体基板122と同一の導電型であるp型を有し、半導体基板122より高いドーピング濃度を有する。そうすると、第1半導体層124がエミッタ領域を構成し、第2半導体層126が後面電界領域を構成する。そして、第1光電変換部110において第2伝達層116が正孔を伝達する正孔伝達層で構成され、第1伝達層114が電子を伝達する電子伝達層で構成される。
【0114】
このように半導体基板122がp型を有すると、価格が安くて材料費用を節減することができる。そして、エミッタ領域を構成する第1半導体層124が半導体基板122の前面側に位置して半導体基板120と第1半導体層124により形成されたpn接合が前面側に位置することができる。これにより、pn接合に到達する光経路を最小化することができる。
【0115】
このような太陽電池100においては、太陽電池100の前面を介して光が入射されると、第1光電変換部110が短波長を吸収して光電変換により電子及び正孔を生成する。この時、電子が第1伝達層114を介して第1電極42側に移動して収集され、正孔が第2伝達層116及び第2光電変換部120を経て第2電極44側に移動して収集される。第1光電変換部110に使われなくこれを通過した長波長が第2光電変換部120に到達すると、第2光電変換部120がこれを吸収して光電変換により電子及び正孔を生成する。この時、電子が第1半導体層124及び第1光電変換部110を経て第1電極42側に移動して収集され、正孔が第2半導体層126を介して第2電極44側に移動して収集される。
【0116】
このように本実施例によれば、第1半導体層124を、水素を含む水素化された非晶質部分で構成し、パッシベーション特性を向上することができ、ペロブスカイト化合物を含む第1光電変換部110との整合性を向上してキャリア移動特性を向上することができる。そして、第2半導体層126は優秀なキャリア移動度を有する多結晶部分で構成してキャリア移動特性を向上することができ、第2電極44の材料費用を節減し、製造工程を単純化することができる。これにより、タンデム型構造を有する太陽電池100の効率及び生産性を向上することができる。
【0117】
前述の構造を有する太陽電池100の製造方法を
図8及び
図9aないし
図9fを参照して詳細に説明する。前述において既に説明した内容については詳細な説明を省略し、説明していない部分について詳細に説明する。
【0118】
図8は、本発明の一実施例による太陽電池の製造方法のフローチャートであり、
図9aないし
図9fは、本発明の一実施例による太陽電池の製造方法示す断面図である。
【0119】
図8に示すように、本実施例による太陽電池100の製造方法は、第2光電変換部形成段階(ST10)、接合層形成段階(ST30)、第1光電変換部形成段階(ST30)及び電極形成段階(ST40)を含む。ここで、第2光電変換部形成段階(ST10)は第2部分形成段階(ST12)、第1部分形成段階(ST16)を含む。そして、第2部分形成段階(ST12)以後に水素注入段階(ST14)をさらに含む。これを
図9aないし
図9fと共に詳細に説明する。
【0120】
図9aに示すように、第2部分形成段階(ST12)では半導体基板122の他面(一例として、後面)の上に第2中間膜126a及び/又は第2半導体層126を形成する。
【0121】
より具体的には、まず、第1または第2導電型ドーパントを有するベース領域で構成される半導体基板122を準備する。この時、半導体基板122の前面及び後面のうち少なくとも一面が凹凸を有するようにテクスチャリングされて反射防止構造を有することができる。半導体基板122の表面のテクスチャリングとしては、湿式または乾式テクスチャリングを使用する。湿式テクスチャリングはテクスチャリング溶液に半導体基板122を浸漬して行われ、工程時間が短い長所がある。乾式テクスチャリングはダイヤモンドグリルまたはレーザーなどを利用して半導体基板122の表面を削ることであり、凹凸を均一に形成できる反面、工程時間が長く半導体基板122に損傷が発生する可能性がある。その他に、反応性イオンエッチング(RIE)などにより半導体基板122をテクスチャリングしてもよい。このように本発明では多様な方法で半導体基板122をテクスチャリングすることができる。
【0122】
続いて、半導体基板122の他面上に全体的に第2中間膜126a及び第2半導体層126を形成する。この時、半導体基板122の前面及び後面、そして選択的に側面上に第2中間膜126a及び第2半導体層126を全体的に形成した後、半導体基板122の前面及び/又は側面に形成された第2中間膜126a及び第2半導体層126を除去することにより半導体基板122の他面上に第2中間膜126a及び第2半導体層126を形成する。これにより、第2中間膜126a及び第2半導体層126を容易に形成できる両面蒸着工程を利用して第2中間膜126a及び第2半導体層126を形成した後、断面エッチング工程により希望する後面にのみ第2中間膜126a及び第2半導体層126を残留させる。しかしながら、本発明がこれに限定されるのではなく、第2中間膜126a及び第2半導体層126は断面蒸着工程で形成することもできる。その他の多様な変形が可能である。
【0123】
例えば、第2中間膜126aは、熱的酸化法、蒸着法(例えば、化学気相蒸着法(CVD)、原子層蒸着法(ALD))などにより形成されることができる。例えば、第2半導体層126は蒸着法(例えば、化学気相蒸着法(CVD)、一例として、低圧化合気相蒸着法(LPCVD))などにより形成されることができる。本実施例において、第2半導体層126は、第2導電型ドーパントを含む半導体物質で構成される多結晶部分で構成される。第2半導体層126は、第2導電型ドーパントを備えた状態で蒸着されて形成され、追加的に活性化熱処理などが行われてもよく、真性半導体物質を蒸着して半導体層を形成した後にドーピング工程により第2導電型ドーパントをドーピングして形成されてもよい。そして、多結晶部分で構成された第2半導体層126の形態で蒸着されてもよく、非晶質部分の形態で蒸着した後に再結晶化工程を実行して第2半導体層126が多結晶部分で構成されてもよい。
【0124】
一例として、同一の装備内において連続的な工程で使われる気体の種類を変更するイン-サイチュ(in-situ)工程を利用して半導体基板122の後面上に第2中間膜126a及び第2半導体層126を順に形成することができる。例えば、第2半導体層126は低圧化学気相蒸着装置において、600ないし800℃の温度、常圧より低い圧力(一例として、1torr以下)、そしてシリコン含有気体(例えば、シラン(SiH4)、水素気体(H2)、第2導電型ドーパントを含むドーパント含有気体(例えば、PH3、BBr3など)などを含む気体雰囲気で形成される。これによると、第2導電型ドーパント及び水素を含むとともに多結晶部分を有する第2半導体層126を簡単な工程で容易に形成することができる。この時、第2中間膜126aは低圧化学気相蒸着装置内において酸素含有気体などを含む気体雰囲気で熱的酸化法により形成される。そうすると、連続的な工程で第2中間膜126a及び第2半導体層126を形成して工程を単純化することができる。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、多様な方法により第2中間膜126b及び第2半導体層126を形成することができる。
【0125】
続いて、
図9bに示すように、水素注入段階(ST14)では第2半導体層126及び/又は第2中間膜126aに水素を注入する。前述したように、第2半導体層126は600ないし800℃の高い温度で形成されるので、第2半導体層126内に水素が含まれても高い温度により脱水素化できる。従って、半導体層126を形成した後に水素注入段階(ST14)を実行することにより半導体層126に水素を注入して水素含量を増加させて水素パッシベーションが十分に起きるようにする。
【0126】
図9bにおいては、一例として、半導体基板122の後面上に位置する第2半導体層126の上に水素を含む水素注入層126aを形成し、常温より高い温度(一例として、400ないし600℃)で熱処理して水素を注入することを例示した。ここで、水素注入層126aとしては水素を高い含量で含む絶縁層、例えば、水素を含むシリコン窒化層、水素を含むアルミニウム酸化層などを使用することができる。
図9bにおいては、水素注入段階(ST14)以後に水素注入層126aは除去されることを例示した。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、水素注入層126aを残留して、
図12に示したように、後面パッシベーション膜126、反射膜、反射防止膜などとして使用することもできる。その他の様々な方法が可能である。
【0127】
そして、水素注入段階(ST14)の水素注入方法が前述の方法に限定されるものではない。例えば、水素気体とキャリア気体(例えば、アルゴン気体(Ar)、窒素気体(N2)など)を混合した混合気体雰囲気で常温より高い温度(一例として、400ないし600℃)で熱処理して水素を注入することもできる。その他、水素プラズマなどを利用して水素を注入することもできる。その他の多様な方法で第2半導体層126に水素を注入することができる。
【0128】
本実施例においては、非晶質部分を含む第1半導体層124を形成する第1部分形成段階(ST16)、ペロブスカイト化合物を含む第1光電変換部110を形成する第1光電変換部形成段階(ST30)及び電極形成段階(ST40)以前に水素注入段階(ST14)を行う。このように第1部分形成段階(ST16)及び第1光電変換部形成段階(ST30)より高い工程で行われる水素注入段階(ST14)を実行した後に第1半導体層124及び第1光電変換部110を形成して、水素注入段階(ST14)での高い温度により第1半導体層124及び第1光電変換部110の特性変化、損傷などが発生することを防止できる。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、水素注入段階(ST14)の順序などは多様に変形することができる。
【0129】
続いて、
図9cに示したように、第1部分形成段階(ST14)では半導体基板122の一面(一例として、前面)の上に第1中間膜124a及び/又は第1半導体層124を形成する。
【0130】
より具体的には、半導体基板122の他面上に全体的に第1中間膜124a及び第1半導体層124を形成することができる。この時、第1中間膜124a及び第1半導体層124は断面蒸着工程を利用して形成して別途のエッチング工程などを実行しなくてもよい。しかしながら、本発明がこれに限定されるのではなく、第1中間膜124a及び第1半導体層124は両面蒸着工程で形成し、一部を除去するなど多様な変形が可能である。
【0131】
例えば、第1中間膜124a及び/又は第1半導体層124は蒸着法(例えば、化学気相蒸着法(CVD)、一例として、プラズマ化学気相蒸着法(PECVD))などにより形成されるされてもよい。本実施例において、第1半導体層124は、第1導電型ドーパントを含む半導体物質で構成される非晶質部分で構成される。第1半導体層124は第1導電型ドーパントを備えた状態で蒸着されて形成されてもよく、追加的に活性化熱処理などが実行されることができ、真性半導体物質を蒸着して半導体層を形成した後にドーピング工程により第1導電型ドーパントをドーピングして形成されてもよい。
【0132】
一例として、同一の装備内において連続的な工程で使用される気体の種類を変更するイン-サイチュ工程を利用して半導体基板122の前面の上に第1中間膜124a及び第1半導体層124を順に形成する。例えば、プラズマ化学気相蒸着装置において150℃200℃の温度、常圧より低い圧力(一例に、10torr以下)、そして、シリコン含有気体(例えば、シラン(SiH4))、水素気体(H2)などを含む気体雰囲気で化学気相蒸着により第1中間膜124aを形成した後、第1導電型ドーパントを含むドーパントを、含有気体(例えば、PH3、BBr3など)などを追加で供給して化学気相蒸着することにより第1半導体層124を形成することができる。これによると、第1中間膜124a及び第1半導体層124を簡単な工程で容易に形成することができる。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な方法により第1中間膜124a及び第1半導体層124を形成することができる。
【0133】
この時、第1中間膜124a及び/又は第1半導体層124は非晶質部分で構成され、相対的に低い温度で形成されるので、第1部分形成段階(ST16)のための蒸着工程で第1中間膜124a及び/又は第1半導体層124に十分に水素が注入されることができる。すなわち、第1部分形成段階(ST16)では第1中間膜124a及び/又は第1半導体層124に水素を注入する水素注入工程を含む。これにより、第1中間膜124a及び/又は第1半導体層124に水素を注入する水素注入工程を別途に行わなくてもいいので、工程を単純化することができる。
【0134】
ここで、第1半導体層124を形成する工程の工程温度は第2半導体層126を形成する工程の工程温度より低くてもよい。これは、非晶質部分で構成される第1半導体層124の特性変化、劣化などを防止するとともに、多結晶部分で構成される第2半導体層126の形成を容易にするためである。そして、第1半導体層126を形成する工程の工程圧力が第2半導体層126を形成する工程の工程圧力より大きくてもよい。これは、多結晶部分で構成される第2半導体層126が安定的に形成できるようにするためである。
【0135】
そして、本実施例においては第2半導体層126をまず形成した後に第1半導体層124を形成する。これは、第2半導体層126を形成する工程の工程温度が第1半導体層124を形成する工程の工程温度より高いため、非晶質部分で構成される第1半導体層124を形成した後に第2半導体層126を形成する工程を行うと、第2半導体層126を形成する工程により第1半導体層124の特性変化、劣化などが発生する可能性があるからである。しかしながら、本発明がこれに限定されることはなく、第2中間膜126a、第2半導体層126、第1中間膜124a、第1半導体層124の形成の順番が変わってもよい。
【0136】
続いて、
図9dに示すように、接合層形成段階(ST20)では、第2光電変換部120の上に接合層110aを形成する。より具体的に、第2光電変換部120の第1半導体層124の上に接合層110aを形成することができる。接合層110aは、一例として、真空蒸着工程(evaporation)またはスパッタリング工程により形成される。真空蒸着工程又はスパッタリング工程は低温で行われることができ、断面工程で第2半導体層124の上にのみ接合層110aを形成することができる。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、コーティング法、蒸着法などの多様な方法が適用されることができる。
【0137】
続いて、
図9dに示すように、第1光電変換部110を形成する段階(ST30)では、接合層110aの上に第1光電変換部110を形成する。より具体的には、接合層110aの上に第2伝達層116、光電変換層112及び第1伝達層114を順に形成することができる。
【0138】
第2伝達層116、光電変換層112及び第1伝達層114は多様な方法により形成されることができるが、一例として、蒸着(例えば、物理的蒸着法、化学的蒸着法など)または印刷法などにより形成されることができる。ここで、印刷法は、インクジェットプリンティング、グラビアプリンティング、スプレーコーティング、ドクターブレード、バーコーティング、グラビアコーティング、ブラシペインティング及びスロットダイコーティングなどを含んでもよい。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではない。
【0139】
続いて、
図9eに示すように、電極形成段階(ST40)では第1電極42及び第2電極44を形成することができる。
【0140】
すなわち、第1光電変換部110(より具体的には、第1伝達層114)の上に第1電極42の第1電極層420を形成し、第1電極層420の上に第2電極層422を形成することができる。そして、第2光電変換部120(より具体的に、多結晶部分で構成された第2半導体層126)の上に第2電極44の金属電極層442を形成することができる。
【0141】
第1電極42の第1電極層420は、一例として、真空蒸着工程またはスパッタリング工程により形成されることができる。真空蒸着工程またはスパッタリング工程は低温で行われ、断面である前面にのみ第1電極42の第1電極層420を形成することができる。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、コーティング法などの多様な方法が適用される。そして、本実施例においては、第1電極42の第2電極層422及び第2電極44の金属電極層442を形成することができる。一例として、金属と樹脂を含む低温焼成ペーストを塗布し、これを硬化する硬化熱処理を行って第1電極42の第2電極層422及び第2電極44の金属電極層442を形成する。
【0142】
一例として、第1電極42の第1電極層420を形成した後に、第1電極42の第2電極層422及び第2電極44の金属電極層442のための低温焼成ペーストを塗布し、第1電極42の第2電極層422及び第2電極44の金属電極層442のための低温焼成ペーストを同時に硬化する硬化熱処理を行うことができる。硬化熱処理は150℃以下の低い温度で行われ、ペロブスカイト化合物を含む第1光電変換部110の特性変化、劣化などを防止することができる。
【0143】
第1電極42の第1電極層420の形成工程、第1電極42の第2電極層422の塗布工程及び熱処理工程、そして、第2電極44の金属電極層442の塗布工程及び熱処理工程の順序は多様に変形できる。すなわち、本実施例においては、第2光電変換部形成段階(ST10)及び第1光電変換部形成段階(ST30)以後に電極形成段階(ST40)を実行して第1電極42及び第2電極44を形成することを例示したが、本発明がこれに限定されるものではない。従って、第2電極44の少なくとも一部を第1光電変換部形成段階(ST30)の以前に形成するなどの多様な変形が可能である。
【0144】
そして、前述した説明は、第1電極42の第2電極層422及び第2電極44の金属電極層442が印刷法により形成されて工程を単純化することを例示した。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、第1電極42の第2電極層422及び第2電極44の金属電極層442の形成方法、工程条件などは多様に変形できる。
【0145】
本実施例によれば、優れた効率を有するタンデム型構造の太陽電池を簡単な製造工程で形成して生産性を向上することができる。この時、ペロブスカイト化合物を含む第1光電変換部110を形成する第1光電変換部形成段階(ST30)以後に行われる電極形成段階(ST40)などの工程温度を低い温度(例えば、150℃以下)に維持して、非晶質部分で構成される第1半導体層124またはペロブスカイト化合物を含む第1光電変換部110の特性劣化などを効果的に防止することができる。
【0146】
本実施例においては、半導体基板122の前面にテクスチャリングによる凹凸または反射防止構造が備えられて反射防止役割を実行するため、太陽電池100の前面側に反射防止膜が備えられなかった。この時、半導体基板122の前面上に位置する第1中間膜124a、第1半導体層124、第2伝達層116、光電変換層112、第1伝達層114、第1電極層420の両側表面にも半導体基板122の前面に形成された凹凸または反射防止構造に対応する凹凸または反射防止構造がそのまま形成されることができる。このように別途の反射防止構造が備えられなくて構造を単純化することができる。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、
図10に示すように、第1電極42の第1電極層420上の少なくとも一部に反射防止膜がさらに備えられることもできる。その他の多様な変形が可能である。
【0147】
そして、本実施例においては、第2半導体層126の上に別途のパッシベーション膜が備えられなくて単純な構造を有することを例示した。第2半導体層126が水素注入段階(ST14)により十分な量の水素を含めて優秀なパッシベーション特性を有することができるため、パッシベーション膜を残留させて得られる効果が大きくない可能性があるためである。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、
図12に示すように、第2半導体層126上の少なくとも一部にパシベーション膜が残留したり、別途のパシベーション膜を形成するなどの多様な変形が可能である。
【0148】
以下においては、本発明の他の実施例による太陽電池及びその製造方法を詳細に説明する。前述の説明と同一又はごく類似した部分については、詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ詳細に説明する。そして、前述の実施例またはこれを変形した例と以下の実施例またはこれを変形した例を互いに結合したものも本発明の範囲に属する。
【0149】
図10は、本発明の他の実施例による太陽電池を概略的に示す断面図である。
図10は、
図2のX-X線に沿う断面図である。
【0150】
図10に示すように、本実施例による太陽電池100では半導体基板122の一面(一例として、前面)に凹凸または反射防止構造が備えられない。すなわち、半導体基板122の一面が半導体基板122の他面より表面粗さが小さい扁平な面として備えられる。これにより、半導体基板122の一面上に位置する第1中間膜124a、第1半導体層124、第2伝達層116、光電変換層112、第1伝達層114、第1電極層420の両側表面も半導体基板122の他面より表面粗さが小さい扁平な面として備えられることができる。
【0151】
この時、第1電極層420の上に反射を防止するための反射防止膜118がさらに備えられる。
図10においては、一例として、第2電極層422において他の太陽電池100または外部回路と接続のための配線材、インターコネクタ、リボンなどが付着されるバスバー電極42bのみを露出することを例示した。これにより、反射防止膜118が第1電極層420の上において、第2電極層422のうちバスバー電極42bを露出する開口部を備え、その他の部分(すなわち、フィンガー電極42a及び第2電極層422)が形成された部分を全体的に覆いながら形成されることができる。これにより、反射防止膜118の形成面積を最大化して反射防止特性を向上することができる。このような反射防止膜118を形成するために、第1電極層420及び第2電極層422を形成した後にバスバー電極42bを露出する開口部を備えるマスクを位置した状態で反射防止膜118を蒸着または真空蒸着することができる。
【0152】
しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、反射防止膜118が第1電極層420の上において第2電極層422が形成されていない部分に対応して、すなわち、バスバー電極42b及びフィンガー電極42aを露出するように形成されることもできる。その他の多様な変形が可能である。
【0153】
一例として、反射防止膜118は、シリコン窒化膜、水素を含むシリコン窒化膜、シリコン酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、シリコン炭化膜、MgF2、ZnS、TiO2及びCeO2からなる群から選択されたいずれか1つの単一膜または2つ以上の膜が組み合わせられた多層膜構造を有することができる。一例として、反射防止膜118がMgF2を備えてペロブスカイト化合物を含むタンデム型構造の太陽電池100において反射防止効果を最大化することができる。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではない。
【0154】
図10においては、半導体基板122の前面が扁平な面で構成される場合に第1電極層420の上に反射防止膜118が備えられたものを例示した。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではない。従って、
図1に示すように、半導体基板122の前面に凹凸または反射防止構造が備えられる場合、第1電極層420の上に反射防止膜118を追加で形成して反射防止効果を向上することもできる。その他の多様な変形が可能である。
【0155】
図11は、本発明のまた他の実施例による太陽電池を概略的に示す断面図である。
【0156】
図11に示すように、第2半導体層126の上に光学膜128がさらに備えられる。光学膜128は、内部光の反射を誘導する反射膜、外部光の反射を防止する反射防止膜などの多様な役割を果たすことができる。一例として、第2電極層422が一定のパターンを有して両面に光が受光される両面受光型太陽電池においては、第2半導体層126の上に光学膜128を形成して太陽電池100の内部に入射される光量を最大化することができる。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、単面受光型太陽電池においても第2半導体層126の上に光学膜128が備えられることができる。
【0157】
図11においては、光学膜118は多様な段階で多様な方法により形成されることができる。すなわち、
図9bにおいて第2半導体層116に水素を注入するために形成した水素注入層126bを残留させて光学膜118として使用することができる。この時、第2電極44の形成工程以前に光学膜118にはレーザーアブレーションなどを利用して第2電極44が貫通する開口部を形成することができる。または、第2電極44の形成工程以前または形成工程以後に別途の絶縁膜を形成してこれを光学膜118として使用することもできる。この場合に、光学膜118に第2電極44の貫通のための開口部または第2電極44と配線材、インターコネクタ、リボンなどとの接続のための開口部などを光学膜118の形成工程中にまたは光学膜118の形成工程以後に形成することができる。
【0158】
一例として、光学膜128がシリコン窒化膜、水素を含むシリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、シリコン炭化膜、MgF2、ZnS、TiO2及びCeO2からなる群から選択されたいずれか1つの単一膜または2つ以上の膜が組み合わせられた多層膜構造を有することができる。一例として、光学膜128がシリコン窒化膜を含めて半導体基板122を含む第1光電変換部110での反射防止効果を最大化することができる。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではない。
【0159】
図11においては、半導体基板122の他面(一例として、後面)に凹凸または反射防止構造が備えられないことを例示した。すなわち、半導体基板122の他面が半導体基板122の一面より表面粗さが小さい扁平な面で備えられる。これにより、半導体基板122の一面上に位置する第2中間膜126a、第2半導体層126の両側表面も半導体基板122の他面より表面粗さが小さい扁平な面で備えられる。このように、
図11においては、半導体基板122の他面が扁平な面で構成される場合に、第2半導体層126の上に光学膜128が備えられたことを例示した。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではない。従って、
図1に示すように、半導体基板122の他面に凹凸または反射防止構造が備えられる場合、第2半導体層126の上に光学膜128を追加で形成して受光特性をさらに向上することもできる。この時、光学膜128は、第2半導体層126の上において第2電極44の金属電極層442を全体的に露出することもでき、第2電極44の金属電極層442の一部(例えば、フィンガー電極)を覆って一部(例えば、バスバー電極)を露出することもできる。その他の多様な変形が可能である。
【0160】
図12は、本発明のまた他の実施例による太陽電池を示す前面平面図である。明確な理解のために、
図12においては第1電極の第1電極層の図示を省略し、第2電極層を中心に示した。
【0161】
図12に示すように、本実施例においては、第1電極42の第1電極層422が半導体基板122の一面にバスバー電極42bが延長方向と交差する方向(図面のy軸方向)においてそれぞれ6個ないし33個(例えば、8個ないし33個、一例として、10個ないし33個、特に、10個ないし15個)備えられ、複数のバスバー電極42bが互いに均一な間隔を置いて位置することができる。ここで、バスバー電極42bは相対的に広い幅を有し、長さ方向において複数備えられるパッド部422bを備え、長さ方向に複数のパッド部422bを連結するライン部421bをさらに備えることができる。その他にも、第1電極42がフレームライン42c、エッジ電極部42dなどをさらに含んでもよい。
図12及び前述の説明においては第1電極42を中心に図示したが、第2電極44の金属電極層442がこれと同一または類似した形状を有してもよい。フレームライン42c、エッジ電極部42dは備えられても備えられなくてもよく、その形状、配置などは多様に変形できる。
【0162】
このような形状のバスバー電極42bを備える太陽電池100は、ワイヤ形状の配線材(インターコネクタ)を使用して隣接した太陽電池100または外部回路と接続できる。ワイヤ形状の配線材は相対的に広い幅(例えば、1mm超過)を有するリボンより小さい幅を有することができる。一例として、配線材の最大幅が1mm以下(一例として、500μm以下、より具体的には、250ないし500μm)でありうる。
【0163】
このような配線材は、コア層とその表面に形成されるはんだ層を備えた構造を有することができる。そうすると、複数の配線材を、太陽電池100を乗せた状態で熱と圧力を加える工程により多くの配線材を効果的に付着することができる。配線材またはこれに含まれるコア層のラウンド部分を含むことができる。すなわち、配線材またはコア層の断面は少なくとも一部が円形、または円形の一部、楕円形、または楕円形の一部、または曲線からなる部分を含むことができる。
【0164】
そうすると、小さな幅を有する配線材により光損失及び材料費用を最小化しながら、多くの配線材によりキャリアの移動距離を減らすことができる。このように光損失を減らしながらもキャリアの移動距離を減らして太陽電池100の効率を向上でき、配線材による材料費用を減らすことができる。
【0165】
その他にも第1及び第2電極42、44の構造、形状、配置、そしてこれに接続される配線材、インターコネクタ、リボンなどの構造、形状などは多様に変形できる。
【0166】
前述による特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも1つの実施例に含まれ、必ずしも1つの実施例のみに限られるわけではない。さらに、各実施例において例示された特徴、構造、効果などは、実施例が属する分野の通常の知識を有する者により他の実施例に対しても組み合わせ又は変形されて実施可能である。従って、このような組み合わせと変形に関する内容は、本発明の範囲に含まれるものと解釈されなければならない。