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特許7489600製品判定システム、製品判定方法、及び製品判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】製品判定システム、製品判定方法、及び製品判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240517BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240517BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20240517BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20240517BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06K7/10 136
B65G1/137 A
G06T7/60 180B
G06T7/60 150S
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020120570
(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公開番号】P2022017802
(43)【公開日】2022-01-26
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 裕二
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-071511(JP,A)
【文献】特開2008-065386(JP,A)
【文献】米国特許第09305283(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06K 7/10
B65G 1/137
G06T 7/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定対象となる製品である複数の対象製品を、撮影装置を用いて撮影する撮影部と、
前記複数の対象製品それぞれに貼り付けられているRFタグからの電波を、RFIDリーダを用いて受信し、前記複数の対象製品それぞれの識別子を取得するRFID読出部と、
前記撮影部が撮影した画像データを解析し、前記撮影装置から前記複数の対象製品それぞれの外観を推定する画像処理部と、
前記RFID読出部が取得した前記識別子に対応する外観を、製品の外観を記憶する製品データベースから読み出すRFID処理部と、
前記画像処理部が推定した外観である推定外観と、前記RFID処理部が読み出した読出外観とを対応づける外観対応づけを行い、前記外観対応づけにおいて前記複数の対象製品の全てが対応づけできる場合、判定基準となる複数の製品それぞれの識別子を含む製品リストに含まれる識別子と、前記複数の対象製品の識別子とを比較し、前記複数の対象製品の過不足を判定する判定部と、
を有する製品判定システム。
【請求項2】
前記外観は、製品の色及び形状に関する情報を含み、
前記判定部は、前記外観対応づけにおいて、前記推定外観の色及び形状と、前記読出外観の色及び形状の、両方が対応づけできた場合、前記対象製品が対応づけできたと判定する
請求項1記載の製品判定システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記外観対応づけにおいて、前記複数の対象製品のうちの少なくとも1つが対応づけできない場合、前記対象製品に過不足があると判定する
請求項1記載の製品判定システム。
【請求項4】
前記RFID処理部は、さらに、前記RFID読出部が前記RFIDリーダで受信した電波強度を用いて前記RFIDリーダから前記複数の対象製品それぞれまでの第1距離を推定し、
前記画像処理部は、前記解析において、前記撮影部から前記複数の対象製品それぞれまでの第2距離を推定し、
前記判定部は、さらに、前記第1距離と前記第2距離とを対応づける距離対応づけを行い、前記外観対応づけ及び前記距離対応づけにおいて前記複数の対象製品の全てが対応づけできる場合、前記製品リストに含まれる識別子と前記複数の対象製品の識別子とを比較する
請求項1記載の製品判定システム。
【請求項5】
前記RFID処理部は、さらに、前記RFID読出部が前記RFIDリーダで受信した電波強度を用いて前記RFIDリーダから前記複数の対象製品それぞれまでの第1距離を推定し、
前記画像処理部は、前記解析において、前記撮影部から前記複数の対象製品それぞれまでの第2距離を推定し、
前記判定部は、さらに、前記第1距離と前記第2距離とを対応づける距離対応づけを行い、前記外観対応づけ又は前記距離対応づけのいずれか一方において、前記複数の対象製品の全てが対応づけできる場合、前記製品リストに含まれる識別子と前記複数の対象製品の識別子とを比較する
請求項1記載の製品判定システム。
【請求項6】
さらに、前記画像処理部が前記推定外観を推定した対象製品の数に基づき、前記画像データの解析が誤っていたか否かを判定し、誤っていたと判定した場合、前記画像データを前記画像処理部が有する前記画像データの解析に使用する画像解析用学習モデルに学習させる学習部を有する
請求項1記載の製品判定システム。
【請求項7】
前記学習部は、対応づけができない前記推定外観又は前記読出外観が存在する場合であって、前記推定外観の推定が誤っていると判定した場合、前記画像データを前記画像解析用学習モデルに学習させる
請求項6記載の製品判定システム。
【請求項8】
判定対象となる製品である複数の対象製品を、撮影装置を用いて撮影し、
前記複数の対象製品それぞれに貼り付けられているRFタグからの電波を、RFIDリーダを用いて受信し、前記複数の対象製品それぞれの識別子を取得し、
前記撮影装置が撮影した画像データを解析し、前記撮影装置から前記複数の対象製品それぞれの外観を推定し、
前記取得した前記識別子に対応する外観を、製品の外観を記憶する製品データベースから読み出し、
画像データから推定した外観である推定外観と、前記製品データベースから読み出した外観である読出外観とを対応づける外観対応づけを行い、前記外観対応づけにおいて前記複数の対象製品の全てが対応づけできる場合、判定基準となる複数の製品それぞれの識別子を含む製品リストに含まれる識別子と、前記複数の対象製品の識別子とを比較し、前記複数の対象製品の過不足を判定する
処理をコンピュータに実行させる製品判定方法。
【請求項9】
判定対象となる製品である複数の対象製品を、撮影装置を用いて撮影し、
前記複数の対象製品それぞれに貼り付けられているRFタグからの電波を、RFIDリーダを用いて受信し、前記複数の対象製品それぞれの識別子を取得し、
前記撮影装置が撮影した画像データを解析し、前記撮影装置から前記複数の対象製品それぞれの外観を推定し、
前記取得した前記識別子に対応する外観を、製品の外観を記憶する製品データベースから読み出し、
画像データから推定した外観である推定外観と、前記製品データベースから読み出した外観である読出外観とを対応づける外観対応づけを行い、前記外観対応づけにおいて前記複数の対象製品の全てが対応づけできる場合、判定基準となる複数の製品それぞれの識別子を含む製品リストに含まれる識別子と、前記複数の対象製品の識別子とを比較し、前記複数の対象製品の過不足を判定する
処理をコンピュータに実行させる製品判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品判定システム、製品判定方法、及び製品判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio-Frequency Identification)を用いた製品管理が増加している。RFIDは、製品に貼られたRFタグを、専用のリーダから非接触で読み出す技術である。このRFIDでは、複数のRFタグを同時にスキャンすることができる。そのため、管理者は、RFIDを管理に使用することで、例えば、バーコードでの管理などに比べ、管理が容易となる。
【0003】
RFIDによる製品管理に関する技術は、以下の先行技術文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-219964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、RFIDでの製品管理において、製品までの距離や電波状況によって、一部の製品のRFタグの読み出しができない場合がある。また、RFIDでの製品管理において、対象の製品以外の製品(例えば、対象の製品の近傍に配置された製品)のRFタグを読み出してしまう場合がある。
【0006】
そのため、このような場合、管理者は、製品に過不足があるのか、あるいはRFタグの読み込みにおける不具合なのかを、即時に判定することが困難になる。
【0007】
この点、例えば、RFIDと製品の重量とを併せて照合することも考えられるが、製品の重量が軽いものと重いものが混在するような場合、正しい照合ができない場合がある。
【0008】
そこで、RFIDを用いた製品管理において、製品の過不足の判定精度を向上させる、製品判定システム、製品判定方法、及び製品判定プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの実施の形態によれば、判定対象となる製品である複数の対象製品を、撮影装置を用いて撮影する撮影部と、前記複数の対象製品それぞれに貼り付けられているRFタグからの電波を、RFIDリーダを用いて受信し、前記複数の対象製品それぞれの識別子を取得するRFID読出部と、前記撮影部が撮影した画像データを解析し、前記撮影装置から前記複数の対象製品それぞれの外観を推定する画像処理部と、前記RFID読出部が取得した前記識別子に対応する外観を、製品の外観を記憶する製品データベースから読み出すRFID処理部と、
前記画像処理部が推定した外観である推定外観と、前記RFID処理部が読み出した読出外観とを対応づける外観対応づけを行い、前記外観対応づけにおいて前記複数の対象製品の全てが対応づけできる場合、判定基準となる複数の製品それぞれの識別子を含む製品リストに含まれる識別子と、前記複数の対象製品の識別子とを比較し、前記複数の対象製品の過不足を判定する判定部と、を有する。
【0010】
本発明の一つの実施の形態によれば、前記外観は、製品の色及び形状に関する情報を含み、前記判定部は、前記外観対応づけにおいて、前記推定外観の色及び形状と、前記読出外観の色及び形状の、両方が対応づけできた場合、前記対象製品が対応づけできたと判定する。
【0011】
本発明の一つの実施の形態によれば、前記判定部は、前記外観対応づけにおいて、前記複数の対象製品のうちの少なくとも1つが対応づけできない場合、前記対象製品に過不足があると判定する。
【0012】
本発明の一つの実施の形態によれば、前記RFID処理部は、さらに、前記RFID読出部が前記RFIDリーダで受信した電波強度を用いて前記RFIDリーダから前記複数の対象製品それぞれまでの第1距離を推定し、前記画像処理部は、前記解析において、前記撮影部から前記複数の対象製品それぞれまでの第2距離を推定し、前記判定部は、さらに、前記第1距離と前記第2距離とを対応づける距離対応づけを行い、前記外観対応づけ及び前記距離対応づけにおいて前記複数の対象製品の全てが対応づけできる場合、前記製品リストに含まれる識別子と前記複数の対象製品の識別子とを比較する。
【0013】
本発明の一つの実施の形態によれば、前記RFID処理部は、さらに、前記RFID読出部が前記RFIDリーダで受信した電波強度を用いて前記RFIDリーダから前記複数の対象製品それぞれまでの第1距離を推定し、前記画像処理部は、前記解析において、前記撮影部から前記複数の対象製品それぞれまでの第2距離を推定し、前記判定部は、さらに、前記第1距離と前記第2距離とを対応づける距離対応づけを行い、前記外観対応づけ又は前記距離対応づけのいずれか一方において、前記複数の対象製品の全てが対応づけできる場合、前記製品リストに含まれる識別子と前記複数の対象製品の識別子とを比較する。
【0014】
本発明の一つの実施の形態によれば、さらに、前記画像処理部が前記推定外観を推定した対象製品の数に基づき、前記画像データの解析が誤っていたか否かを判定し、誤っていたと判定した場合、前記画像データを前記画像処理部が有する前記画像データの解析に使用する画像解析用学習モデルに学習させる学習部を有する。
【0015】
本発明の一つの実施の形態によれば、前記学習部は、対応づけができない前記推定外観又は前記読出外観が存在する場合であって、前記推定外観の推定が誤っていると判定した場合、前記画像データを前記画像解析用学習モデルに学習させる。
【発明の効果】
【0016】
上記の本発明の一つの実施の形態によれば、画像データと電波情報の両方の観点から対象製品を認識でき、RFタグの読み出し結果だけでの判定と比較し、対象製品の認識の精度が向上し、対象製品の過不足の判定精度も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、製品判定システム1の構成例を示す図である。
図2図2は、製品判定システム1のソフトウェア構成の例を示す図である。
図3図3は、製品判定システム1の構成例を表す図である。
図4図4は、製品判定処理のシーケンスの例を示す図である。
図5図5は、過不足判定処理S30の処理フローチャートの例を示す図である。
図6図6は、過不足判定処理S30の判定例を示す図である。
図7図7は、製品リストの例を示す図である。
図8図8は、学習用データ判定処理S40の処理フローチャートの例を示す図である。
図9図9は、第2の実施の形態における過不足判定処理S60の処理フローチャートの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<製品判定システム1の構成例>
図1は、製品判定システム1の構成例を示す図である。製品判定システム1は、判定装置100、カメラ140、及びRFIDリーダ150を有する。製品判定システム1は、所定位置に集められた判定の対象となる複数の製品T1が、収集されるべき製品の識別子を記載した製品リストと比較して、過不足がないか否かを判定する、製品判定処理を実行するシステムである。図1において、集められた製品T1は7個あり、それぞれの製品T1にRFタグR1が貼り付けられている。
【0019】
製品リストは、例えば、これから搬送する製品や、搬入する製品の識別子の一覧である。
【0020】
カメラ140は、所定の位置にある複数の製品T1を撮影する撮影装置である。カメラ140は、例えば、画角P1を撮影することで、所定範囲に位置する複数の製品T1を画像データに収める。
【0021】
RFIDリーダ150は、製品に貼り付けられているRFタグR1を読み出すことで、RFタグのIC((Integrated Circuit)チップに記憶された情報を読み出す。RFタグR1に記憶される情報は、製品T1に関する情報(以下、製品情報とも呼ぶ)であり、例えば、製品T1の識別子を含む。RFIDリーダ150は、RFタグから送信される電波を受信することで、製品情報を読み出す。RFIDリーダ150は、図1のようなハンディタイプであってもよいし、図示しないゲート内又はデート下に位置する(通過する)製品T1のRFタグR1を読み出すゲートタイプであってもよい。
【0022】
RFタグR1は、例えば、パッシブタブである。パッシブタブは、バッテリーを搭載せず、RFIDリーダ150から送信される電波を動力源として、RFIDリーダ150に電波を送信するタブである。また、RFタグR1は、自身が有するバッテリーを動力源として電波を送信するアクティブタブやセミアクティブタブであってもよい。
【0023】
判定装置100は、製品の過不足を判定する装置であり、例えば、コンピュータやサーバマシンである。判定装置100は、カメラ140が撮影した画像データを取得する。判定装置100は、画像データについての画像解析を行い、製品の数、製品T1までの距離、及び製品T1の外観(色、形状、大きさなど)を推定する。
【0024】
また、判定装置100は、RFIDリーダ150から、RFタグ読み出し時の受信電力や、RFタグR1から読み出した製品情報を取得する。判定装置100は、取得した受信電力を使用した電波解析を行い、製品T1までの距離を推定する。また、判定装置100は、製品情報に含まれる製品T1の識別子と、製品の外観に関する情報を格納(記憶)する製品データベースから、製品T1の外観に関する情報を取得する。
【0025】
また、判定装置100は、製品リストL1を取得する。判定装置100は、例えば、画像解析で取得した情報と、電波解析及びRFタグR1の読み出しにより取得した情報と、製品リストL1に記載された製品の識別子とに基づき、製品T1に過不足がないか否かを判定する。
【0026】
<製品判定システムのソフトウェア構成例>
図2は、製品判定システム1のソフトウェア構成の例を示す図である。製品判定システム1は、撮影部10、RFID読出部20、画像処理部30、RFID処理部40、及び判定部50を有する。
【0027】
撮影部10は、過不足の判定の対象となる製品(以下、対象製品と呼ぶ場合がある)の写真画像を、撮影契機に応じて撮影する、例えば、カメラである。撮影契機は、例えば、対象製品が所定の位置に来たことの検出、又は管理者の操作による撮影要求などである。撮影部10は、撮影した写真画像の画像データを画像処理部30に引き渡す。
【0028】
RFID読出部20は、対象製品に貼り付けられたRFタグ(ICチップ)から、読出契機に応じて製品情報を読み出す、例えば、RFIDリーダやゲート装置である。読出契機は、例えば、対象製品が所定の位置に来たことの検出、又は管理者の操作による読出要求などである。また、RFID読出部20は、RFタグ読み出し時に受信した電波に関する電波情報(受信電力、位相など)も取得する。RFID読出部20は、製品情報と電波情報を、RFID処理部40に引き渡す。
【0029】
画像処理部30は、撮影部10が撮影した写真画像を解析する。画像処理部30は、例えば、画像解析用学習モデルを使用し、画像解析を行う。画像処理部30は、画像解析の結果を、判定部50に引き渡す。
【0030】
画像処理部30は、さらに、画像解析用モデル学習部31、色及び形状推定部32、及び画像距離推定部33を有する。
【0031】
画像解析用モデル学習部31は、必要な学習データを学習させることによって画像解析用学習モデルを生成する。
【0032】
色及び形状推定部32は、画像解析用学習モデルを使用し、認識した対象製品ごとに、色、形状、大きさなどの外観情報(画像外観情報)を推定する。
【0033】
画像距離推定部33は、画像解析用学習モデルを使用し、認識した対象製品ごとに、撮影部10から対象製品までの距離を推定する。以降、画像距離推定部33が推定する距離を、画像距離と呼ぶ場合がある。
【0034】
なお、いくつの対象製品が画像データに映っているか(対象製品の数)の認識は、色及び形状推定部32と画像距離推定部33のいずれが行ってもよい。また、対象製品の数の認識は、色及び形状推定部32と画像距離推定部33以外を用いて、画像処理部30が行ってもよい。
【0035】
RFID処理部40は、RFID読出部20から取得した電波情報を解析する。RFID処理部40は、例えば、電波解析用学習モデルを使用し、電波解析を行う。また、RFID処理部40は、RFID読出部20が製品のRFタグのICチップから取得した製品情報に基づき、対象製品の色、形状、大きさなどの外観情報を、製品データベース(図示しない)から読み出す。製品データベースは、例えば、製品の識別子と、外観情報を対応づけて記憶されている。RFID処理部40は、対象製品の外観情報、及び電波解析した結果を、判定部50に引き渡す。
【0036】
RFID処理部40は、さらに、電波解析用モデル学習部41、電波距離推定部42、及び外観情報読出部43を有する。
【0037】
電波解析用モデル学習部41は、必要な学習データを学習させることによって電波解析用学習モデルを生成する。
【0038】
電波距離推定部42は、電波解析用学習モデルを使用し、RFID読出に成功した対象製品ごとに、RFID読出部20から対象製品までの距離を推定する。以降、電波距離推定部42が推定する距離を、電波距離と呼ぶ場合がある。
【0039】
外観情報読出部43は、製品情報に含まれる識別子に対応する外観情報(読出外観情報)を、製品情報データベースから読み出す。
【0040】
判定部50は、画像処理部30から取得した対象製品の画像距離及び外観情報と、RFID処理部40から取得した対象製品の電波距離及び外観情報とに基づき、対象製品が製品リストに記載された製品と比較し、過不足がないか否かを判定(過不足判定)する。また、判定部50は、画像解析用学習モデル及び電波解析用学習モデルの学習に使用するデータの選択を行う。判定部50は、学習に使用するデータを、画像解析用モデル学習部31及び電波解析用モデル学習部41に引き渡す。
【0041】
判定部50は、過不足判定部51及び学習用データ判定部52を有する。
【0042】
過不足判定部51は、対象製品が製品リストに記載された製品に対して過不足がないか否かを判定する。過不足判定部51は、画像処理部30の結果とRFID処理部40の結果とを、対象製品の識別子と対応づけ、対応づけができた対象製品と、製品リストに記載された製品とを比較することで、対象製品の過不足を判定する。
【0043】
学習用データ判定部52は、画像処理部30が行った画像解析とRFID処理部40が行った電波解析の結果に基づき、いずれの解析が誤っているか、あるいは誤っている可能性が高いかを判定し、誤ったという結果及び当該誤った結果となった元の入力データ(画像データ、電波情報など)を、画像解析用モデル学習部31及び電波解析用モデル学習部41に引き渡す。
【0044】
<製品判定システムのハードウェア構成例>
図3は、製品判定システム1の構成例を表す図である。製品判定システム1は、CPU(Central Processing Unit)110、ストレージ120、メモリ130、カメラ140、RFIDリーダ150、及びディスプレイ160を有する。
【0045】
ストレージ120は、プログラムやデータを記憶する、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置である。ストレージ120は、画像処理プログラム121、RFID処理プログラム122、撮影プログラム123、RFID読出プログラム124、判定プログラム125、及びモデル学習プログラム126を記憶する。
【0046】
メモリ130は、ストレージ120に記憶されているプログラムをロードする領域である。また、メモリ130は、プログラムがデータを記憶する領域としても使用されてもよい。
【0047】
CPU110は、ストレージ120に記憶されているプログラムを、メモリ130にロードし、ロードしたプログラムを実行し、各部を構築し、各処理を実行するプロセッサである。
【0048】
カメラ140は、製品を撮影する装置である。カメラ140は、例えば、製品判定システム1を構成するコンピュータの外部に接続されてもよいし、コンピュータに内蔵されていてもよい。
【0049】
RFIDリーダ150は、製品に貼り付けられたRFタグが発信する電波を受信し、RFタグの情報(製品情報)を取得する装置である。RFIDリーダ150は、例えば、製品判定システム1を構成するコンピュータの外部に接続されてもよいし、コンピュータに内蔵されていてもよい。また、RFIDリーダ150は、ハンディタイプ又はゲートタイプのいずれであってもよい。
【0050】
ディスプレイ160は、画像や動画を表示する表示部である。ディスプレイ160は、例えば、液晶や有機EL(Electro Luminescence)である。ディスプレイ160は、例えば、過不足判定の結果を表示する。
【0051】
CPU110は、画像処理プログラム121を実行することで、画像処理部30を構築し、画像処理を行う。画像処理は、画像データを解析し、画像距離の推定や、製品の色、形状等を推定する処理である。
【0052】
CPU110は、RFID処理プログラム122を実行することで、RFID処理部40を構築し、RFID処理を行う。RFID処理は、電波距離の推定や、商品の外観情報の読み出しなどを行う処理である。
【0053】
CPU110は、撮影プログラム123を実行することで、撮影部10を構築し、撮影処理を行う。撮影処理は、カメラ140を使用し、製品を撮影する処理である。
【0054】
CPU110は、RFID読出プログラム124を実行することで、RFID読出部20を構築し、RFID読出処理を行う。RFID読出処理は、RFIDリーダ150を使用し、製品情報を読み出す。また、RFID読出処理は、RFタグから受信した電波の強度も取得する。
【0055】
CPU110は、判定プログラム125を実行することで、判定部50を構築し、判定処理を行う。判定処理は、対象製品の過不足判定や、各学習モデルに入力する学習データを選択する処理である。
【0056】
CPU110は、モデル学習プログラム126を実行することで、判定部50、画像処理部30、及びRFID処理部40を構築し、モデル学習処理を行う。モデル学習処理は、画像解析用学習モデル及び電波解析用学習モデルに学習させるデータの選択や、学習データの入力など、各学習モデルの学習に関する処理を行う。
【0057】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態における、製品判定システム1が実行する製品判定処理について説明する。なお、製品判定処理は、製品過不足判定処理と、モデル学習処理を有する。
【0058】
図4は、製品判定処理のシーケンスの例を示す図である。図4のシーケンスは、製品過不足判定処理における処理S10~S30と、モデル学習処理における処理S40~S46とで構成される。以下、各処理について説明する。
【0059】
<製品過不足判定処理>
図4のシーケンスを用いて、製品過不足判定処理について説明する。撮影部10は、撮影契機を検出すると、対象製品を撮影する。撮影部10は、撮影した対象製品の画像データを、画像処理部30に引き渡す(S10)。
【0060】
画像処理部30は、画像解析用学習モデルを使用し、画像データの画像解析を行う。画像処理部30は、画像解析において、写真画像に映る対象製品の数を、画像データから推定する。
【0061】
画像処理部30は、画像データまたは画像データを画像解析した結果を用いて(S11)、色及び形状推定処理を行う(S13)。
【0062】
色及び形状推定処理S13は、写真画像に映った対象製品の外観を、画像データから推定する処理である。画像処理部30は、色及び形状推定処理S13において、例えば、画像解析用学習モデルを使用する。
【0063】
画像処理部30は、色及び形状推定処理S13において、対象製品の色を推定する。画像処理部30は、例えば、対象製品の画素ごとに色を特定し、特定した色のうち、最も多く存在する色を、当該対象製品の色として推定する。また、画像処理部30は、特定した色の存在する割合に応じて、複数の色を、当該対象製品の色として推定してもよい。画像処理部30は、推定した色を、例えば、「赤」や「青と白」など、色の名称を使用して表してもよい。また、画像処理部30は、推定した色を、例えば、RGB(Red Green Blue)カラーモデルなど、各色の成分(要素)が含まれる割合で表してもよい。画像処理部30は、製品データベースに記憶されている色に関する情報の表現と、同様の表現で対象製品の色を推定する。
【0064】
また、画像処理部30は、色及び形状推定処理S13において、対象製品の形状を推定する。画像処理部30は、例えば、対象製品の立体的形状を推定する。立体的形状は、例えば、立方体、直方体、円柱形など、立体における形状である。画像処理部30は、直方体や円柱形などの場合、縦、横、奥行き、又は直径など、それぞれの比率を推定することで、形状を特定する。画像処理部30は、製品データベースに記憶されている形状に関する情報の表現と、同様の表現で対象製品の形状を推定する。
【0065】
また、画像処理部30は、色及び形状推定処理S13において、対象製品の大きさを推定する。大きさは、例えば、立方体や直方体などの場合、縦、横、奥行きの長さである。また、大きさは、円柱形の場合、直径や高さである。画像処理部30は、対象製品の各要素(辺、直径など)の長さを用いて、対象製品の大きさを表す。また、画像処理部30は、対象製品の大きさを、体積で表してもよい。画像処理部30は、製品データベースに記憶されている大きさに関する情報の表現と、同様の表現で対象製品の大きさ推定する。なお、対象製品の大きさの推定は、対象製品までの距離(画像距離)が関係するため、以降で説明する画像距離推定処理において実行されてもよい。
【0066】
一方、画像処理部30は、画像データまたは画像データを画像解析した結果を用いて(S11)、画像距離推定処理を行う(S14)。
【0067】
画像距離推定処理S14は、撮影部10から写真画像に映った対象製品までの画像距離を、画像データから推定する処理である。画像処理部30は、画像距離推定処理S14において、例えば、画像解析用学習モデルを使用する。
【0068】
画像処理部30は、画像距離推定処理S14において、画像距離を推定する。画像処理部30は、例えば、対象製品に貼り付けられたRFタグを認識し、当該RFタグの大きさから、対象製品までの距離を推定する。なお、RFタグの大きさは、一意に決まっているものとする。また、画像処理部30は、例えば、写真画像に映る固定された基準物(例えば、床にひかれた線、ゲートなど)の解像度と、対象製品の解像度を比較し、対象製品までの距離を推定してもよい。
【0069】
また、撮影部10がステレオカメラ(2点から撮影するカメラ)を使用する場合がある。この場合、画像処理部30は、2枚の画像の画素のずれ(差異)に基づき、対象製品までの距離を算出する。これにより、1枚の画像から推定する場合と比較し、距離推定の精度が向上する。
【0070】
画像処理部30は、色及び形状推定処理S13と、画像距離推定処理S14が完了すると、解析結果を判定部50に引き渡す(S15)。
【0071】
一方、RFID読出部20は、読出契機を検出すると、対象製品のRFタグからの電波を受信し、RFタグに含まれる製品情報を読み出す。RFID読出部20は、読み出した製品情報と、RFタグから受信した電波に関する電波情報を、RFID処理部40に引き渡す(S20)。
【0072】
RFID処理部40は、電波解析用学習モデルを使用し、電波情報の解析を行う。RFID処理部40は、RFID読出部20が、製品情報の読み出しに成功した数を、対象製品の数と判定する。
【0073】
RFID処理部40は、電波情報または電波情報を解析した結果を用いて(S21)、電波距離推定処理を行う(S22)。
【0074】
電波距離推定処理S22は、RFID読出部20から対象製品のRFタグまで(もしくは対象製品まで)の電波距離を推定する処理である。RFID処理部40は、電波距離推定処理S22において、例えば、電波解析用学習モデルを使用する。
【0075】
RFID処理部40は、電波距離推定処理S22において、電波情報を用いて、対象製品ごと電波距離を推定する。電波情報は、例えば、受信した電波の受信電力(例えば、RSSI:Received Signal Strength Indicator)が含まれる。RFタグがアクティブタブである場合、RFID処理部40は、RFタグの送信電力と受信電力とを比較し、減衰した電力量を算出し、減衰電力量に応じた距離を、電波距離と推定する。
【0076】
また、RFタグがパッシブタイプである場合、RFID処理部40は、RFIDリーダ150の送信電力と受信電力とを比較し、減衰した電力量を算出する。パッシブタイプのRFタグは、受信した信号を電力に変換し、電波を送信する。そのため、RFID処理部40は、RFタグでの信号の電力への変換の効率などを考慮し、減衰電力量に応じた距離を電波距離と推定する。
【0077】
また、RFID処理部40は、電波距離推定処理S22において、電波情報を用いて、RFID読出部20を基準とした対象製品の位置する方向を推定する。電波情報は、例えば、受信した電波の位相に関する情報が含まれる。RFタグがアクティブタブである場合、RFID処理部40は、RFタグが送信する電波の位相と、受信した電波の位相とを比較し、位相の差異から対象製品(もしくはRFタグ)の位置する方向を推定する。
【0078】
また、RFタグがパッシブタイプである場合、RFID処理部40は、RFタグが送信する電波の位相はRFIDリーダ150が送信する電波の位相と同様であると想定し、RFIDリーダ150が送信する電波の位相と、受信した受信電力とを比較し、位相の差異から製品(RFタグ)の位置する方向を推定する。
【0079】
一方、RFID処理部40は、製品情報に加え、製品データベースD1を取得し(S23)、外観情報読出処理を行う(S24)。
【0080】
外観情報読出処理S24は、製品情報に含まれる対象製品の識別子を使用し、製品データベースから、対象製品の外観に関する情報(色、形状、大きさ等)を読み出す処理である。RFID処理部40は、外観情報読出処理S24において、製品情報に含まれる識別子を製品データベースD1から検出し、当該識別子に対応する対象製品の外観情報を読み出す。
【0081】
RFID処理部40は、電波距離推定処理S22と、外観情報読出処理S24を完了すると、解析結果及び外観情報を、判定部50に引き渡す(S25)。
【0082】
判定部50は、画像処理部30とRFID処理部40から解析結果及び外観情報を取得すると(S15、S25)、過不足判定処理を行う(S30)。
【0083】
図5は、過不足判定処理S30の処理フローチャートの例を示す図である。判定部50は、過不足判定処理S30において、画像データから特定した対象製品ごとの画像外観情報を取得する(S30-1)。画像外観情報は、画像処理部30から取得した解析結果に含まれる。
【0084】
判定部50は、RFIDの読み出しに成功した対処製品の識別子と読出外観情報を取得する(S30-2)。
【0085】
判定部50は、画像外観情報と読出外観情報を対応づける(S30-3)。判定部50は、例えば、画像外観情報と読出外観情報を比較し、色及び形状が同じ、又は近似していれば、対応づけができると判定する。
【0086】
色は、例えば「赤」「青と白」などの色名で示される場合、色名が同じであれば、対応づけが可能となる。また、色は、例えばRGBカラーモデルなどの色の要素の割合で示される場合、各要素の割合の差異が所定範囲以内である場合、色が近似すると判定し、対応づけが可能となる。
【0087】
形状は、例えば「立方体」「円柱」などの形状名で示される場合、形状名が同じであれば、対応づけが可能となる。また、形状は、形状名に加え、例えば、各辺の長さ、又は長さの比率などで示される場合がある。この場合、形状は、形状名が同じであり、かつ各辺の長さ又は比率の差異が所定範囲以内である場合、形状が近似すると判定し、対応づけが可能となる。
【0088】
なお、判定部50は、形状又は色のいずれか一方が対応づけできた場合、画像外観情報と読出外観情報が対応づけできたと判定してもよい。例えば、色は撮影場所の光量や、他の物体の影などの影響で、画像解析において誤って判定される場合がある。対して、形状は、光量や影などの影響を受けにくい要素であると想定できる。この場合、例えば、形状が一致していれば、色が異なっても(異なる度合いは設定してもよい)、対応づけができると判定してもよい。
【0089】
判定部50は、全ての対象製品が対応づけできなかった(対応づけできない画像外観情報または読出外観情報の対象製品が存在する)場合(S30-4のNo)、対象製品に過不足があると判定し(S30-6)、処理を終了する。
【0090】
なお、全ての対象製品が対応づけできない要因は、例えば、RFタグの読み出し失敗(余分な製品のRFタグを読み出してしまった場合を含む)、画像外観情報の推定誤り、画像認識の誤り(画像データ中の製品を認識できない、又は製品以外のものを製品と認識してしまう)など、対象製品の過不足以外の要因もあり得る。しかし、例えば、実際に製品に不足があるのか、RFタグの読み出しに失敗しているのかを、即時に判断することは困難である。そこで、判定部50は、画像解析及びRFID読み出しの精度は高いものであり、必ず成功することを前提とし、全ての画像外観情報と読出外観情報が対応づけできない場合は、対象製品に過不足があるなどの人為的なミスがあると判定する。人為的なミスは、対象製品の過不足以外に、例えば、対象製品を写真に写らないところに置いてしまったり、対象製品にRFタグを貼り付け忘れたりという事象も含む。
【0091】
また、対象製品に余分な製品が混入している場合や、及び対象製品が不足している場合がある。前者の場合、余分な製品のRFタグを読めなかった場合、対応づけできない画像外観情報の製品が存在することとなる。RFタグが読めたか否かだけの判断であれば、RFタグを読み落としてしまうと、前者のような余分な製品がある状態を発見することができない。
【0092】
また、後者の場合、ある製品が対象製品と異なる場所(少し離れた場所)にあるのに、ある製品のRFタグを対象製品として読んでしまった場合、対応づけできない読出外観情報の製品が存在することとなる。RFタグが読めたか否かだけの判断であれば、異なる場所の製品のRFタグを読んでしまうと、後者のような不足した製品がある状態を発見することができない。
【0093】
いずれの場合も、全ての対象製品の対応づけができないため、実施例においては、対象製品に過不足がある(対象製品に過不足がある可能性がある)と判定することとする。
【0094】
一方、判定部50は、全ての対象製品が対応づけできた(対応づけできない読出外観情報または画像外観情報が存在しない)場合(S30-4のYes)、製品リストに記載された製品の識別子と、RFタグから読み出した対象製品の識別子とが、全て一致するか否かを判定する(S30-5)。
【0095】
判定部50は、識別子が全て一致する場合(S30-5のYes)、対象製品に過不足がないと判定し(S30-7)、処理を終了する。
【0096】
一方、判定部50は、識別子が全て一致しない場合(S30-5のNo)、対象製品に過不足があると判定し(S30-6)、処理を終了する。
【0097】
図6は、過不足判定処理S30の判定例を示す図である。図6(A)右表は、画像処理部30から取得した画像外観情報の例を示す図である。「画像No.」は、例えば画像処理部30で認識した画像の数に応じた番号(画像番号)であり、Gx(xは整数)で示す。「画像外観情報」は、「色」と「形状」を含む、各番号に対応する画像外観情報である。図6(A)右表によると、例えば、番号G1の製品は、画像外観情報の色が「CG1」(CGxは、色を表す情報)であり、形状が「AG1」(AGxは、形状を表す情報)である。判定部50は、図5の処理S30-1において、図6(A)右表に示す情報を取得する。
【0098】
図6(A)左表は、RFID処理部40から取得した識別子と読出外観情報の対応表の例を示す図である。「RFNo.」は、例えばRFIDの読み出した対象製品に割り振られた番号(RF番号)であり、Fxで示す。「ID」は、各番号に対応する対象製品の識別子である。「読出外観情報」は、「色」と「形状」を含む、各番号に対応する読出外観情報である。図6(A)左表によると、例えば、番号F1の対象製品は、識別子が「1001」で読出外観情報の色が「CF1」(DFxは、色を表す情報)であり、形状が「AF1」(AFxは、形状を表す情報)である。判定部50は、図5の処理S30-2において、図6(A)左表に示す情報を取得する。
【0099】
判定部50は、図5の処理S30-3において、画像外観情報と読出外観情報を対応づける。判定部50は、例えば、RF番号を1つ選択し、当該RF番号の画像外観情報と同じ(あるいは所定範囲内で近似する)色及び形状を有する画像番号を検索する。
【0100】
そして、判定部50は、検出した画像番号の画像外観情報と当該RF番号の読出外観情報が対応すると判定する。そして、判定部50は、対応づけが済んでいる画像番号を、次の読出外観情報と対応づけられないよう検索対象から除外し、RF番号の選択及び検索を全てのRF番号に対して繰り返す。
【0101】
図6(A)では、例えば、判定部50は、RF番号F1を選択し、RF番号F1の読出外観情報の色CF1と形状AF1を取得する。定部50は、色CF1と色CG1が同じ、かつ形状AF1と形状AG1が同じであると判定し、画像番号G1の画像外観情報が対応すると判定すし、画像番号G1とRF番号F1を対応づける。
【0102】
判定部50は、RF番号F2以降についても同様の判定を行い、図6(A)の矢印に示す対応関係を取得する。
【0103】
図6(B)では、RF番号と画像番号の対応関係の例を示す図である。判定部50は、図6(A)に示す対応関係(矢印)に従い、図6(B)の対応関係を取得する。判定部50は、RF番号と対応する対象製品の識別子も、画像番号と対応づける。すなわち、図6(B)は、対応づけができた対象製品の識別子の一覧である。
【0104】
図6(B)の例では、全てのRF番号と画像番号とが対応づけられている。つまり、RFタグ読み出しにより把握された複数の対象製品と、カメラが撮影した画像データにより把握された複数の対象製品が一致したことになり、RFタグ読み出しは複数の対象製品を全て検出したとみなすことができる。
【0105】
図7は、製品リストの例を示す図である。判定部50は、図6(B)の対応づけができた対象製品の識別子の一覧(左図)と、製品リストL1(右図)の識別子を比較する(図5のS30-5)。判定部50は、図7において、対応づけができた対象製品の識別子が1001~1007であり、製品リストL1の製品の識別子が1001~1007であり、ともに全く同一(完全一致)の識別子であると判定し(図5のS30-5のYes)、対象製品に過不足はないと判定する(図5のS30-7)。
【0106】
図4のシーケンスに戻り、判定部50は、過不足判定処理S30の結果を出力する。判定部50は、出力において、例えば、出力結果の画像をディスプレイ160に表示したり、出力結果をファイル化し、メモリに記憶したりする。
【0107】
第1の実施の形態において、製品判定システム1は、対象製品の画像データの解析より推定した画像外観情報と、RFID読み出し時の製品の識別子に対応する製品DBから読み出した読出外観情報対応づけし、対応づけができた対象製品の識別子と、製品リストの製品の識別子とを比較することで、対象製品の過不足を判定することができる。
【0108】
なお、判定部50は、過不足判定処理S30において、全てが対応づけできない(対応づけできない読出外観情報又は画像外観情報が存在する)場合(図5のS30-4のNo)、対象製品に過不足があると判定する。
【0109】
判定部50は、過不足判定処理S30において、対応づけできない読出外観情報又は画像外観情報が存在する場合、いきなり対象製品の過不足があると判定する前に、再度の画像データの取得及びRFIDの読み出しを行い、新たに読出外観情報の取得及び画像外観情報の推定を行ってもよい。
【0110】
<モデル学習処理>
次に、図4のシーケンスを用いて、モデル学習処理について説明する。判定部50は、画像処理部30から取得した解析結果(S15)、及びRFID処理部40から取得した解析結果(S25)に基づき、学習用データ判定処理を行う(S40)。
【0111】
図8は、学習用データ判定処理S40の処理フローチャートの例を示す図である。判定部50は、対象製品に過不足があったか否かを確認する(S40-1)。判定部50は、例えば、過不足判定処理S30の結果を、処理S40-1に流用する。
【0112】
判定部50は、製品に過不足がないと判定した場合(S40-1のYes)、画像解析に誤りがなかったと判定し、処理を終了する。
【0113】
一方、判定部50は、対象製品に過不足があると判定した場合(S40-1のNo)、解析誤り判定を行う(S40-2)。解析誤り判定処理S40-2は、画像解析に誤りがあったか否かを判定する処理である。解析誤り判定処理S40-2については、後述する。
【0114】
判定部50は、画像解析に誤りがあると判定した場合(S40-3のYes)、画像データと誤った結果(製品数の認識誤り又は画像外観情報の推定誤りのいずれであるかを示す結果)を、学習データとして画像処理部30に引き渡す(S40-4)。また、判定部50は、正しい製品数や読出外観情報など、正しい情報が取得可能である場合、正しい情報を画像処理部30に引き渡してもよい。当該学習データは、画像解析用モデル学習処理に使用される。
【0115】
判定部50は、画像解析に誤りがないと判定した場合(S40-3のNo)、処理を終了する。
【0116】
解析誤り判定処理S40-2について説明する。画像解析の誤りとしては、製品数の認識誤りと、画像外観情報の推定誤りがある。
【0117】
画像解析における製品数の認識誤りの例は、以下のものがある。例えば、画像データに映っているある製品を、製品として認識できない場合がある。これは、例えば、製品が重なるなどして、ある製品の一部が画像データに映っていないことや、画像データの一部が鮮明でない(ぼやけている、光量が不足している)ことが一因である。この場合、画像解析で認識する製品の数は、実際よりも少なく推定される。
【0118】
また、例えば、画像データに映っている製品以外のものを、製品として認識してしまう場合がある。これは、例えば、他の物の影が画像データに映ったこと、移動する人物など、鮮明でないものが画像データに映ったことが一因である。この場合、画像解析で認識する製品の数は、実際よりも多く推定される。
【0119】
また、例えば、画像データから全く製品を認識できない場合がある。これは、画像データ全体がぼやけていたり、光量が不足していたり、画像データ全体が鮮明でないことが一因である。この場合、画像解析で認識する製品の数は、0となる。
【0120】
上述した解析誤りを想定し、以下の場合、解析誤りがあったと判定する。以下、画像解析により認識した製品数をGx、RFID読出による製品数をRx、製品リストに記載された製品数を、Lxと表現する。
【0121】
<画像解析に誤りがあると判定する例>
・Gx=0
・Gx≠Rx
(Rxの精度が高いことが想定される場合。Rxが正しいことが前提。)
・|Gx-Rx|>第1閾値
(Rxの精度が高いことが想定される場合。RxとGxの差異が大きいほど、Gxが誤っている確率が高い。第1閾値は、Rxの精度が高いほど、小さい値とする。)
・Gx≠Lx
(実際の製品数は、Lxと同じである確率が高い(人為的なミスが少ない)ことが想定される場合。Lxは正しいことが前提。)
・Gx<Lx≦Rx 又は Gx>Lx≧Rx
(実際の製品数はLxと同じである確率が高く、かつRxの精度が高いことを想定。RxとGxの一方はLxより多い値であるのに、もう一方は低い値であることから、少なくとも一方は誤っていると判定。Rxの精度が高いことから、Gxが誤っていると判定。)
・対応づけできない画像外観情報がある
(RFID読み出しの精度が高く、失敗しないことが前提)
図4のシーケンスに戻り、判定部50は、学習用データ判定処理S40において、画像解析に誤りがあったと判定した場合(図8のS40-3のYes)、画像処理部30又はRFID処理部40に、画像データ、誤った結果等の学習データを引き渡す(S41、S42、図8のS40-4)。
【0122】
画像処理部30は、学習データを取得すると(S42)、画像解析用モデル学習処理を行う(S43)。画像解析用モデル学習処理S43は、画像解析用学習モデルの学習環境に学習データを入力し、画像解析用学習モデルを学習させ、画像解析用学習モデルの画像解析の精度を向上させる処理である。
【0123】
画像処理部30は、画像解析用モデル学習処理S43を実行後、画像解析用学習モデルを、画像解析用モデル学習処理S43で学習させたモデルに更新する(S45)。
【0124】
一方、RFID処理部40は、学習データを取得すると(S41)、電波解析用モデル学習処理を行う(S44)。図8の学習用データ判定処理S40においては、画像解析の誤りのみを判定するが、以下に示す第2の実施の形態に示すように、電波距離を対象製品の過不足判定に使用する場合、電波解析の誤りを判定し、電波解析用モデルの学習処理を行ってもよい。以下、電波解析用モデル学習処理S44を実行する場合を例として説明する。
【0125】
電波解析用モデル学習処理S44は、電波解析用学習モデルの学習環境に学習データを入力し、電波解析用学習モデルを学習させ、電波解析用学習モデルの電波解析の精度を向上させる処理である。
【0126】
RFID処理部40は、電波解析用モデル学習処理S44を実行後、電波解析用学習モデルを、電波解析用モデル学習処理S44で学習させたモデルに更新する(S46)。
【0127】
第1の実施の形態において、製品判定システム1は、学習用データ判定処理S40において、画像解析又は電波解析の誤りを検出し、学習モデルを学習させることで、画像解析の精度を向上させることができる。
【0128】
なお、モデル学習における学習データは、解析を誤ったデータ以外に、正しく解析を行えたデータであってもよい。正しく解析を行えたデータは、例えば、上述した。画像解析又は電波解析に誤りがあると判定してデータ以外のデータである。また、モデル学習における学習データは、誤ったデータ及び正しいデータの両方であってもよい。この場合、当該データが解析に誤りがあったデータか、正しく解析されたデータかを示す情報をデータに付随し、学習を行う。
【0129】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、画像解析による製品と、RFID読み出しによる製品の対応づけを行うとき、画像外観情報と読出外観情報との対応づけに加え、電波距離と画像距離との対応づけを行う。これにより、対応づけの精度が向上する。
【0130】
<過不足判定処理>
図9は、第2の実施の形態における過不足判定処理S60の処理フローチャートの例を示す図である。判定部50は、過不足判定処理S60において、画像データから推定した対象製品ごとの画像距離及び画像外観情報を取得する(S60-1)。画像距離及び画像外観情報は、画像処理部30から取得した解析結果に含まれる。
【0131】
判定部50は、RFIDの読み出しに成功した対象製品の識別子、電波距離、及び読出外観情報を取得する(S60-2)。識別子及び読出外観情報は、製品情報に含まれ、電波距離は、解析結果に含まれる。
【0132】
判定部50は、画像距離と電波距離、及び画像外観情報及び読出外観情報を対応づける(S60-3)。判定部50は、ある製品と、その電波距離と同じ又は所定範囲内の画像距離の製品とを対応づけする。判定部50は、例えば、ある電波距離と所定範囲内で一致する画像距離が複数存在する場合、最も近い製品の画像距離を電波距離に対応する画像距離とする。
【0133】
判定部50は、他の製品の電波距離(例えば、電波距離の平均値や想定距離)よりも所定値以上長い電波距離の製品を、対応づけの対象から除外してもよい。想定距離とは、製品過不足判定処理を実行するタイミングで製品群が位置するところまでの距離であり、例えば、ゲートまでの距離である。
【0134】
また、判定部50は、他の製品の画像距離(例えば、画像距離の平均値や想定距離)よりも所定値以上長い画像距離の製品を、対応づけの対象から除外してもよい。
【0135】
判定部50は、全ての製品が対応づけできなかった場合(S60-4のNo)、対象製品に過不足があると判定し(S60-6)、処理を終了する。なお、全ての製品が対応づけできない要因のうち、外観情報に起因するものは、例えば、画像解析による色又は形状の判定を誤った場合がある。
【0136】
一方、判定部50は、全ての製品が対応づけできた場合(S60-4のYes)、製品リストに記載された識別子と、RFタグから読み出した識別子とが、全て一致するか否かを判定する(S60-5)。
【0137】
判定部50は、識別子が全て一致する場合(S60-5のYes)、対象製品に過不足がないと判定し(S60-7)、処理を終了する。
【0138】
一方、判定部50は、識別子が全て一致しない場合(S60-5のNo)、対象製品に過不足があると判定し(S60-6)、処理を終了する。
【0139】
第2の実施の形態では、判定部50は、電波距離と画像距離を対応づけに使用することで、対応づけの精度が向上する。距離による対応づけと外観による対応づけの両方で対応づけができた対象製品を対応づけができた対象製品と判定する場合、外観による対応づけだけを判断材料とする場合と比較し、異なる製品を対応づけしてしまうことを抑制できる。一方、外観による対応づけと距離による対応づけの少なくとも一方で対応づけができた対象製品を対応づけができた対象製品として判定する場合、外観による対応づけだけを判断材料とする場合と比較し、外観の推定が誤ったことにより対応づけができない製品を、距離で対応づけできることがあり、対応づけができる対象製品が増加する。
【0140】
[その他の実施の形態]
その他の実施の形態について説明する。第1の実施の形態において、判定部50は、外観情報の色及び形状を対応づけの要素として使用する。判定部50は、さらに、製品の大きさも要素として使用してもよい。大きさは、例えば、縦、横、奥行き、直径などを含む。
【0141】
また、第2の実施の形態において、判定部50は、電波距離と画像距離とを比較し、製品を対応づける。判定部50は、さらに、製品の方向を比較してもよい。判定部50は、距離による対応づけに加え、電波解析により推定された方向と画像解析により推定された方向の差異が所定範囲内であれば、対応づけができると判定してもよい。
【0142】
また、図1において、カメラ140(撮影部10)とRFIDリーダ150(RFID読出部20)は、ほぼ同じ位置に存在する。そのため、第1の実施の形態における判定部50は、距離が同じ又は近いものを、対応づけが可能な製品と判定している。しかし、例えば、RFIDリーダ150が、ゲートであった場合、撮影部10とRFID読出部20の位置が異なる場合がある。この場合、判定部50は、それぞれの位置を基準として、距離や方向を考慮し、対応づけを行う。
【符号の説明】
【0143】
1 :製品判定システム
10 :撮影部
20 :RFID読出部
30 :画像処理部
31 :画像解析用モデル学習部
32 :形状推定部
33 :画像距離推定部
40 :RFID処理部
41 :電波解析用モデル学習部
42 :電波距離推定部
43 :外観情報読出部
50 :判定部
51 :過不足判定部
52 :学習用データ判定部
100 :判定装置
110 :CPU
120 :ストレージ
121 :画像処理プログラム
122 :RFID処理プログラム
123 :撮影プログラム
124 :RFID読出プログラム
125 :判定プログラム
126 :モデル学習プログラム
130 :メモリ
140 :カメラ
150 :RFIDリーダ
160 :ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9