(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】抵抗基板及びそれを備える可変抵抗器
(51)【国際特許分類】
H01C 10/32 20060101AFI20240517BHJP
H01C 10/16 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H01C10/32 N
H01C10/16 Z
H01C10/32 A
(21)【出願番号】P 2020150035
(22)【出願日】2020-09-07
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 廣昭
【審査官】多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-095602(JP,U)
【文献】実開昭54-118049(JP,U)
【文献】実開昭62-044404(JP,U)
【文献】特開昭63-239902(JP,A)
【文献】実開昭63-055403(JP,U)
【文献】実開昭54-147649(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 10/32
H01C 10/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性を有する基板と、
前記基板上に形成されており、第1端及び第2端を有する弧状の抵抗部と、
前記基板上に形成されて前記抵抗部の内側に位置しており、第1端及び第2端を有する弧状の導電部と、
前記基板上に形成されており、前記抵抗部において前記第1端と前記第2端とのうち前記第1端に近い部分に接続されている第1端子部と、
前記基板上に形成されており、前記導電部に接続される第2端子部と、
前記基板上に形成されており、前記抵抗部において前記第1端と前記第2端とのうち前記第2端に近い部分に接続されている第3端子部と、
前記基板上に形成されて前記導電部と前記第2端子部とを接続しており、前記導電部よりも抵抗値の大きな固定抵抗部と、を備え、
前記固定抵抗部は、前記導電部の前記第1端に接して
おり、
前記導電部は、
前記抵抗部に対向している外側縁と、
前記外側縁とは反対側に位置している内側縁と、を有し、
前記固定抵抗部は、
前記基板の厚さ方向から見て前記導電部の前記第1端と前記第2端との間に位置しており、前記導電部の前記第1端に向かって延伸している延伸部を有し、
前記延伸部の幅は、前記導電部の幅よりも狭く、
前記延伸部と前記導電部の前記内側縁との距離が、前記延伸部と前記導電部の外側縁との距離よりも短い、
抵抗基板。
【請求項2】
前記固定抵抗部は、前記導電部の前記第2端にも接している、
請求項1に記載の抵抗基板。
【請求項3】
前記延伸部は、弧状である、
請求項1又は2に記載の抵抗基板。
【請求項4】
前記固定抵抗部は、前記延伸部である第1延伸部とは別に、
前記基板の厚さ方向から見て前記導電部の前記第1端と前記第2端との間に位置しており、前記導電部の前記第2端に向かって延伸している第2延伸部を更に有し、
前記第2延伸部の幅は、前記導電部の幅よりも狭く、
前記第2延伸部と前記導電部の前記内側縁との距離が、前記第2延伸部と前記導電部の外側縁との距離よりも短い、
請求項1~3のいずれか一項に記載の抵抗基板。
【請求項5】
前記第2延伸部は、弧状である、
請求項4に記載の抵抗基板。
【請求項6】
電気絶縁性を有する基板と、
前記基板上に形成されており、第1端及び第2端を有する弧状の抵抗部と、
前記基板上に形成されて前記抵抗部の内側に位置しており、第1端及び第2端を有する弧状の導電部と、
前記基板上に形成されており、前記抵抗部において前記第1端と前記第2端とのうち前記第1端に近い部分に接続されている第1端子部と、
前記基板上に形成されており、前記導電部に接続される第2端子部と、
前記基板上に形成されており、前記抵抗部において前記第1端と前記第2端とのうち前記第2端に近い部分に接続されている第3端子部と、
前記基板上に形成されて前記導電部と前記第2端子部とを接続しており、前記導電部よりも抵抗値の大きな固定抵抗部と、を備え、
前記導電部は、
前記抵抗部に対向している外側縁と、
前記外側縁とは反対側に位置している内側縁と、を有し、
前記固定抵抗部は、
前記導電部の前記第1端及び前記第2端とは接触せずに、前記導電部の前記内側縁に接している、
抵抗基板。
【請求項7】
電気絶縁性を有する基板と、
前記基板上に形成されており、第1端及び第2端を有する弧状の抵抗部と、
前記基板上に形成されて前記抵抗部の内側に位置している円環状の導電部と、
前記基板上に形成されており、前記抵抗部において前記第1端と前記第2端とのうち前記第1端に近い部分に接続されている第1端子部と、
前記基板上に形成されており、前記導電部に接続される第2端子部と、
前記基板上に形成されており、前記抵抗部において前記第1端と前記第2端とのうち前記第2端に近い部分に接続されている第3端子部と、
前記基板上に形成されて前記導電部と前記第2端子部とを接続しており、前記導電部よりも抵抗値の大きな固定抵抗部と、を備え、
前記導電部は、
前記抵抗部に対向している外側縁と、
前記外側縁に設けられている凹部と、を有し、
前記凹部は、
前記導電部の外周に沿った方向に交差し、前記導電部の外周に沿った方向において互いに離れている第1面及び第2面と、
前記導電部の前記外周に沿った方向において前記第1面と前記第2面とをつないでいる第3面と、を含み、
前記固定抵抗部は、
前記導電部の前記凹部の前記第3面において前記第1面及び前記第2面から離れた部分に接している、
抵抗基板。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の抵抗基板と、
導電性を有し、前記抵抗部の上面上と前記導電部の上面上とを摺動するブラシと、を備える、
可変抵抗器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、抵抗基板及びそれを備える可変抵抗器に関し、より詳細には、基板上に形成されている抵抗部を備える抵抗基板、及び、その抵抗基板を備える可変抵抗器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板と、基板上に形成されている円弧状の第1抵抗体(抵抗部)と、基板上に形成されて第1抵抗体の内側に位置している円形状の導電体(導電部)と、基板上に形成されている第2抵抗体(固定抵抗部)と、を備える抵抗基板が記載されている。
【0003】
また、特許文献1には、抵抗基板と、第1端子と、第2端子と、第3端子と、導電性を有する摺動子と、を備える可変抵抗器が記載されている。可変抵抗器では、第1抵抗体の両端がそれぞれ第1端子と第3端子に接続されている。第2抵抗体は、導電体と第2端子とを接続している。摺動子は、第1抵抗体と導電体との間を短絡する位置に配設されており、第1抵抗体上及び導電体上を摺動する。
【0004】
可変抵抗器は、第1抵抗体の抵抗値が零に短絡された場合でも、第2抵抗体の抵抗値が保証される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された抵抗基板では、基板のサイズを大きくすることなく固定抵抗部の抵抗値を大きくすることが難しかった。
【0007】
本開示の目的は、固定抵抗部の抵抗値をより大きくすることが可能な抵抗基板及び可変抵抗器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る抵抗基板は、基板と、抵抗部と、導電部と、第1端子部と、第2端子部と、第3端子部と、固定抵抗部と、を備える。前記基板は、電気絶縁性を有する。前記抵抗部は、前記基板上に形成されている。前記抵抗部は、弧状であり、第1端及び第2端を有する。前記導電部は、前記基板上に形成されて前記抵抗部の内側に位置している。前記導電部は、弧状であり、第1端及び第2端を有する。前記第1端子部は、前記基板上に形成されている。前記第1端子部は、前記抵抗部において前記第1端と前記第2端とのうち前記第1端に近い部分に接続されている。前記第2端子部は、前記基板上に形成されており、前記導電部に接続される。前記第3端子部は、前記基板上に形成されている。前記第3端子部は、前記抵抗部において前記第1端と前記第2端とのうち前記第2端に近い部分に接続されている。前記固定抵抗部は、前記基板上に形成されて前記導電部と前記第2端子部とを接続している。前記固定抵抗部の抵抗値は、前記導電部の抵抗値よりも大きい。前記固定抵抗部は、前記導電部の前記第1端に接している。前記導電部は、前記抵抗部に対向している外側縁と、前記外側縁とは反対側に位置している内側縁と、を有する。前記固定抵抗部は、延伸部を有する。前記延伸部は、前記基板の厚さ方向から見て前記導電部の前記第1端と前記第2端との間に位置しており、前記導電部の前記第1端に向かって延伸している。前記延伸部の幅は、前記導電部の幅よりも狭い。前記延伸部と前記導電部の前記内側縁との距離が、前記延伸部と前記導電部の外側縁との距離よりも短い。
【0009】
本開示の一態様に係る抵抗基板は、基板と、抵抗部と、導電部と、第1端子部と、第2端子部と、第3端子部と、固定抵抗部と、を備える。前記基板は、電気絶縁性を有する。前記抵抗部は、前記基板上に形成されている。前記抵抗部は、弧状であり、第1端及び第2端を有する。前記導電部は、前記基板上に形成されて前記抵抗部の内側に位置している。前記導電部は、弧状であり、第1端及び第2端を有する。前記第1端子部は、前記基板上に形成されている。前記第1端子部は、前記抵抗部において前記第1端と前記第2端とのうち前記第1端に近い部分に接続されている。前記第2端子部は、前記基板上に形成されており、前記導電部に接続される。前記第3端子部は、前記基板上に形成されている。前記第3端子部は、前記抵抗部において前記第1端と前記第2端とのうち前記第2端に近い部分に接続されている。前記固定抵抗部は、前記基板上に形成されて前記導電部と前記第2端子部とを接続している。前記固定抵抗部の抵抗値は、前記導電部の抵抗値よりも大きい。前記導電部は、前記抵抗部に対向している外側縁と、前記外側縁とは反対側に位置している内側縁と、を有する。前記固定抵抗部は、前記導電部の前記第1端及び前記第2端とは接触せずに、前記導電部の前記内側縁に接している。
【0010】
本開示の一態様に係る抵抗基板は、基板と、抵抗部と、導電部と、第1端子部と、第2端子部と、第3端子部と、固定抵抗部と、を備える。前記基板は、電気絶縁性を有する。前記抵抗部は、前記基板上に形成されている。前記抵抗部は、弧状であり、第1端及び第2端を有する。前記導電部は、前記基板上に形成されて前記抵抗部の内側に位置している。前記導電部は、円環状である。前記第1端子部は、前記基板上に形成されている。前記第1端子部は、前記抵抗部において前記第1端と前記第2端とのうち前記第1端に近い部分に接続されている。前記第2端子部は、前記基板上に形成されており、前記導電部に接続される。前記第3端子部は、前記基板上に形成されている。前記第3端子部は、前記抵抗部において前記第1端と前記第2端とのうち前記第2端に近い部分に接続されている。前記固定抵抗部は、前記基板上に形成されて前記導電部と前記第2端子部とを接続している。前記固定抵抗部の抵抗値は、前記導電部の抵抗値よりも大きい。前記導電部は、前記抵抗部に対向している外側縁と、前記外側縁に設けられている凹部と、を有する。前記凹部は、第1面及び第2面と、第3面と、を含む。前記第1面及び前記第2面は、前記導電部の外周に沿った方向に交差し、前記導電部の外周に沿った方向において互いに離れている。前記第3面は、前記導電部の前記外周に沿った方向において前記第1面と前記第2面とをつないでいる。前記固定抵抗部は、前記導電部の前記凹部の前記第3面において前記第1面及び前記第2面から離れた部分に接している。
【0011】
本開示の一態様に係る可変抵抗器は、上記いずれか一態様の抵抗基板と、ブラシと、を備える。前記ブラシは、導電性を有する。前記ブラシは、前記抵抗部の上面上と前記導電部の上面上とを摺動する。
【発明の効果】
【0012】
本開示の抵抗基板及び可変抵抗器は、固定抵抗部の抵抗値をより大きくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る抵抗基板の平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る抵抗基板を備える可変抵抗器の平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1の変形例1に係る可変抵抗器の平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態2に係る抵抗基板の平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態3に係る抵抗基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示に係る抵抗基板及びそれを備える可変抵抗器の実施形態を、図面に基づき説明する。なお、下記に開示される実施形態はすべて例示であって、本開示に係る抵抗基板及び可変抵抗器に制限を加える意図はない。
【0015】
また、下記に開示される実施形態では、必要以上の詳細な説明を省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項についての詳細な説明や、実質的に同一の構成についての重複する説明を、省略する場合がある。これは、説明が不必要に冗長になるのを避けることで、当業者の理解を容易にするためである。
【0016】
(実施形態1)
以下、実施形態1に係る抵抗基板1及びそれを備える可変抵抗器300について、
図1及び
図2に基づいて説明する。
【0017】
(1)概要
抵抗基板1は、ブラシ10(
図2参照)を備える可変抵抗器300(
図2参照)に用いられる。可変抵抗器300は、ブラシ10を回転移動させる回転体を回転操作されたときのブラシ10の位置に応じて、抵抗値が変化する。なお、
図2では、回転体を回転操作される前のブラシ10を実線で示し、回転体を所定の回転方向R1に任意の角度(例えば、120度)だけ回転操作された後のブラシ10を一点鎖線で示してある。
【0018】
抵抗基板1は、基板2と、抵抗部3と、導電部4と、第1端子部6と、第2端子部7と、第3端子部8と、固定抵抗部5と、を備える。基板2は、電気絶縁性を有する。抵抗部3は、基板2上に形成されている。抵抗部3は、弧状であり、第1端及び第2端32を有する。導電部4は、基板2上に形成されて抵抗部3の内側に位置している。導電部4は、弧状であり、第1端41及び第2端42を有する。第1端子部6は、基板2上に形成されている。第1端子部6は、抵抗部3において第1端31と第2端32とのうち第1端31に近い部分に接続されている。第2端子部7は、基板2上に形成されており、導電部4に接続される。第3端子部8は、基板2上に形成されている。第3端子部8は、抵抗部3において第1端31と第2端32とのうち第2端32に近い部分に接続されている。固定抵抗部5は、基板2上に形成されている。固定抵抗部5は、導電部4と第2端子部7とを接続している。固定抵抗部5の抵抗値は、導電部4の抵抗値よりも大きい。固定抵抗部5は、導電部4の第1端41に接している。
【0019】
実施形態1に係る抵抗基板1は、固定抵抗部5の抵抗値をより大きくすることが可能となる。実施形態1に係る抵抗基板1では、基板2上において固定抵抗部5の一部を導電部4の第1端41と第2端42との間に配置することができるので、基板2のサイズを大きくすることなく基板2上において固定抵抗部5を配置可能な領域を大きくすることができ、固定抵抗部5の長さを長くできるから、固定抵抗部5の抵抗値をより大きくすることが可能となる。
【0020】
実施形態1に係る可変抵抗器300は、抵抗基板1と、ブラシ10と、を備える。ブラシ10は、導電性を有する。ブラシ10は、抵抗部3の上面3U上と導電部4の上面4U上とを摺動する。
【0021】
実施形態1に係る可変抵抗器300は、抵抗基板1を備えるので、固定抵抗部5の抵抗値をより大きくすることが可能となる。
【0022】
なお、
図1及び
図2の各々は、平面図であるが、基板2の上面21と、抵抗部3と、導電部4と、固定抵抗部5とを見分けやすくするために、抵抗部3及び固定抵抗部5それぞれにハッチングを付してある。
【0023】
(2)詳細
(2.1)抵抗基板
抵抗基板1は、上述のように、基板2と、抵抗部3と、導電部4と、第1端子部6と、第2端子部7と、第3端子部8と、固定抵抗部5と、を備える。
【0024】
基板2は、電気絶縁性を有する。基板2の材料は、例えば、フェノール樹脂、ガラスエポキシ樹脂又はポリイミドを含む。
【0025】
基板2は、基板2の厚さ方向に沿って形成された貫通孔211を有する。基板2の厚さ方向から見て、貫通孔211の開口形状は、円形状である。可変抵抗器300では、基板2の貫通孔211に、上述の回転体の有する軸部が挿通される。なお、回転体は、軸部から外方に突出するフランジを有している。可変抵抗器300では、回転体のフランジにおいて抵抗基板1に対向する面に配置されるブラシ10が、フランジに保持される。
【0026】
基板2は、基板2の厚さ方向から見て、抵抗部3と導電部4とが形成されている第1領域201と、第1端子部6、第2端子部7及び第3端子部8が形成されている第2領域202と、を有する。第1領域201は、略円形状の領域である。第2領域202は、略長方形状の領域である。基板2の厚さ方向から見て、基板2の外周200は、第1領域201の外周の一部と、第2領域202の外周の一部と、を含む。
【0027】
抵抗部3は、上述のように、基板2上に形成されている。より詳細には、抵抗部3は、基板2の第1領域201において、基板2の上面21に形成されている。
【0028】
抵抗部3は、例えば、カーボンブラックと樹脂(例えば、フェノール樹脂)とを含む。抵抗部3は、例えば、スクリーン印刷法によって形成されている。抵抗部3は、単層構造であってもよいし、複数の抵抗層の積層構造を有していてもよい。複数の抵抗層の各々は、例えば、カーボンブラックと樹脂とを含む。抵抗部3は、例えば、スクリーン印刷法によって形成されている。
【0029】
抵抗部3は、基板2の厚さ方向から見て弧状である。抵抗部3は、第1端31及び第2端32を有する。また、抵抗部3は、基板2の厚さ方向から見て基板2の貫通孔211側の内側縁34と、内側縁34とは反対側に位置している外側縁33と、を有する。実施形態1に係る抵抗基板1では、弧状の抵抗部3の中心角は、略340度である。弧状の抵抗部3の中心角は、抵抗部3の内側縁34を含む円の中心A1と抵抗部3の第1端31とを結ぶ第1直線と、中心A1と抵抗部3の第2端32とを結ぶ第2直線と、のなす角度である。中心A1は、抵抗部3の内側縁34の曲率中心と同じ位置である。抵抗部3の内側縁34の曲率半径は、円形状の貫通孔211の半径よりも大きい。基板2の厚さ方向から見て、抵抗部3の内側縁34を含む円の中心A1は、貫通孔211の中心と略一致している。抵抗部3は、貫通孔211を略全周にわたって囲むように配置されている。以下の説明では、抵抗部3の外側縁33において後述の配線部16に接している部分のうち第1端31から最も遠い点を第1点B1とし、抵抗部3の外側縁33において後述の配線部18に接している部分のうち第2端32から最も遠い点を第2点B2とする。抵抗基板1を備える可変抵抗器300では、基板2の厚さ方向から見て、中心A1と第1点B1とを結ぶ直線上でブラシ10の接触片101が抵抗部3の上面3Uに接している場合に、第1端子部6と第2端子部7との間の抵抗値が最小となる。また、抵抗基板1を備える可変抵抗器300では、基板2の厚さ方向から見て、中心A1と第2点B2とを結ぶ直線上でブラシ10の接触片101が抵抗部3の上面3Uに接している場合に、第1端子部6と第2端子部7との間の抵抗値が最大となる。
【0030】
導電部4は、上述のように、基板2上に形成されている。より詳細には、導電部4は、基板2の第1領域201において、基板2の上面21に形成されて抵抗部3の内側に位置している。
【0031】
導電部4は、例えば、複数の導電層の積層構造を有する。複数の導電層のうち基板2に最も近い最下層の導電層(以下、第1導電層という)の導電率は、基板2から最も遠い最上層の導電層(以下、第2導電層という)の導電率よりも大きい。また、第2導電層の硬度は、第1導電層の硬度よりも高い。第1導電層は、例えば、銀粒子と樹脂とを含む。第2導電層は、例えば、カーボンブラックと樹脂とを含む。導電部4では、複数の導電層が、少なくとも、第1導電層と第2導電層とを有していればよく、第1導電層と第2導電層との間に介在する導電層を有していてもよい。導電部4は、例えば、スクリーン印刷法によって形成されている。導電部4は、複数の導電層の積層構造を有する場合に限らず、単層構造であってもよい。
【0032】
導電部4は、基板2の厚さ方向から見て弧状である。導電部4は、第1端41及び第2端42を有する。導電部4は、基板2の厚さ方向から見て、抵抗部3と貫通孔211との間において抵抗部3及び貫通孔211から離れて位置している。導電部4は、抵抗部3に対向している外側縁43と、外側縁43とは反対側に位置している内側縁44と、を有する。実施形態1に係る抵抗基板1では、弧状の導電部4の中心角は、略340度である。弧状の導電部4の中心角は、導電部4の内側縁44を含む円の中心と導電部4の第1端41とを結ぶ直線と、当該中心と導電部4の第2端42とを結ぶ直線と、のなす角度である。導電部4の内側縁44の曲率半径は、円形状の貫通孔211の半径よりも大きいが、これに限らず、貫通孔211の半径と同じであってもよい。基板2の厚さ方向から見て、導電部4の内側縁44を含む円の中心は、貫通孔211の中心と略一致している。導電部4は、貫通孔211を略全周にわたって囲むように配置されている。
【0033】
第1端子部6、第2端子部7及び第3端子部8は、上述のように、基板2上に形成されている。より詳細には、第1端子部6、第2端子部7及び第3端子部8は、基板2の第2領域202において、基板2の上面21に形成されている。
【0034】
基板2の厚さ方向から見て、第1端子部6、第2端子部7及び第3端子部8の各々は、矩形状である。第1端子部6、第2端子部7及び第3端子部8の各々は、矩形状に限らず、例えば、円形状であってもよい。
【0035】
基板2の厚さ方向から見て、抵抗部3の第1端31と第2端32との並んでいる方向に沿った方向(以下、第1方向ともいう)において、第1端子部6、第2端子部7及び第3端子部8は、第1端子部6、第2端子部7及び第3端子部8の順に並んでいる。実施形態1に係る抵抗基板1では、基板2の厚さ方向から見て、第2端子部7を第1方向(
図1では右方向)に直交する第2方向(
図1では上方向)に投影した領域に、抵抗部3の第1端31と第2端32との間の空間と、導電部4の第1端41と第2端42との間の空間と、固定抵抗部5と、が位置している。
【0036】
第1端子部6、第2端子部7及び第3端子部8の各々は、例えば、銀粒子と樹脂とを含む。第1端子部6、第2端子部7及び第3端子部8は、例えば、スクリーン印刷法によって形成されている。
【0037】
抵抗基板1は、基板2上に形成されている配線部16及び配線部18を更に備える。配線部16及び配線部18は、基板2の上面21に形成されている。配線部16は、第1端子部6の外周縁の一部と抵抗部3の外側縁33のうち第1端31の近くの部分とを接続している。配線部18は、第3端子部8の外周縁の一部と抵抗部3の外側縁33のうち第2端32の近くの部分とを接続している。
【0038】
配線部16及び配線部18の各々は、例えば、銀粒子と樹脂とを含む。配線部16及び配線部18は、例えば、スクリーン印刷法によって形成されている。
【0039】
固定抵抗部5は、上述のように、基板2上に形成されている。固定抵抗部5は、導電部4と第2端子部7とを接続している。より詳細には、固定抵抗部5は、第2端子部7の外周縁の一部と導電部4とを接続している。固定抵抗部5は、基板2の第1領域201と第2領域202とに跨って基板2の上面21に形成されている。固定抵抗部5の抵抗値は、導電部4の抵抗値よりも大きい。
【0040】
固定抵抗部5は、例えば、カーボンブラックと樹脂(例えば、フェノール樹脂)とを含む。固定抵抗部5は、例えば、スクリーン印刷法によって形成されている。固定抵抗部5は、単層構造であってもよいし、複数の抵抗層の積層構造を有していてもよい。複数の抵抗層の各々は、例えば、カーボンブラックと樹脂とを含む。抵抗部3は、例えば、スクリーン印刷法によって形成されている。
【0041】
固定抵抗部5は、導電部4の第1端41に接している。より詳細には、固定抵抗部5は、導電部4の外側縁43には接することなく、導電部4の第1端41に接している。また、固定抵抗部5は、導電部4の第2端42にも接している。より詳細には、固定抵抗部5は、導電部4の外側縁43には接することなく、導電部4の第2端42にも接している。
【0042】
固定抵抗部5は、延伸部51を有する。延伸部51は、基板2の厚さ方向から見て導電部4の第1端41と第2端42との間に位置している。延伸部51は、導電部4の第1端41に向かって延伸している。延伸部51の幅は、導電部4の幅よりも狭い。延伸部51と導電部4の内側縁44との距離が、延伸部51と導電部4の外側縁43との距離よりも短い。つまり、延伸部51は、基板2の厚さ方向から見て、導電部4の外側縁43を含む円よりも内側に位置している。
【0043】
基板2の厚さ方向から見て、固定抵抗部5は、第2端子部7に接続され導電部4の外側縁43を含む円よりも外側に位置している本体部5Aと、本体部5Aから導電部4の第1端41と第2端42との間の空間を通って導電部4の内側縁44を含む円まで延長されている延長部50と、を有している。本体部5Aは、直線状である。本体部5Aの幅は、抵抗部3の第1端31と第2端32との距離よりも短い。基板2の厚さ方向から見て、本体部5Aの一部は、抵抗部3の第1端31と第2端32との間において第1端31及び第2端32から離れて位置している。本体部5Aの幅は、導電部4の第1端41と第2端42との距離よりも短い。延長部50は直線状である。延長部50の幅は、導電部4の第1端41と第2端42との距離よりも短い。基板2の厚さ方向から見て、延長部50は、導電部4の第1端41と第2端42との間において第1端41及び第2端42から離れて位置している。上述の延伸部51は、延長部50の先端部から導電部4の第1端41に向かって延伸されている。
【0044】
延伸部51は、弧状である。延伸部51における貫通孔211側の内側縁の曲率半径は、例えば、導電部4の内側縁44の曲率半径と同じである。
【0045】
実施形態1に係る抵抗基板1では、固定抵抗部5は、延伸部51である第1延伸部51とは別に、第2延伸部52を更に有する。第2延伸部52は、基板2の厚さ方向から見て導電部4の第1端41と第2端42との間に位置している。第2延伸部52は、導電部4の第2端42に向かって延伸している。第2延伸部52の幅は、導電部4の幅よりも狭い。導電部4の幅方向において、第2延伸部52と導電部4の内側縁44との距離が、第2延伸部52と導電部4の外側縁43との距離よりも短い。つまり、第2延伸部52は、基板2の厚さ方向から見て、導電部4の外側縁43を含む円よりも内側に位置している。第2延伸部52は、延長部50の先端部から導電部4の第2端42に向かって延伸されている。
【0046】
第2延伸部52は、弧状である。第2延伸部52における貫通孔211側の内側縁の曲率半径は、例えば、導電部4の内側縁44の曲率半径と同じである。
【0047】
(2.2)可変抵抗器
可変抵抗器300は、抵抗基板1と、ブラシ10と、を備える。また、可変抵抗器300は、ブラシ10を回転移動させる回転体を更に備える。可変抵抗器300では、回転体を回転操作されると、ブラシ10が抵抗部3の上面3U上と導電部4の上面4U上とを摺動する。
【0048】
回転体は、電気絶縁性を有する。回転体は、例えば、樹脂成形品である。回転体は、上述のように、基板2の貫通孔211に挿通される軸部と、軸部から外方に突出したフランジと、を有する。軸部は、円筒状であるが、これに限らず、例えば、有底円筒状、円柱状であってもよい。フランジの外周形状は、円形状である。フランジの外径は、抵抗部3の外側縁33の曲率半径よりも大きい。フランジは、基板2の厚さ方向において、抵抗部3及び導電部4から離れている。
【0049】
ブラシ10は、導電板(例えば、金属板)により形成されている。ブラシ10は、回転体のフランジの下面に配置されフランジに固定される固定部100と、固定部100からフランジの周方向に沿った方向に突出しておりフランジの厚さ方向に弾性変形可能な2つの第1接触片101及び2つの第2接触片102と、を有する。固定部100には、フランジから突出した複数(3つ)の位置決め突起を通す複数(3つ)の孔103が形成されている。可変抵抗器300では、複数の位置決め突起の各々の先端部をかしめることによって、フランジがブラシを保持する。ブラシ10では、基板2の厚さ方向において固定部100が抵抗基板1から離れて位置する。ブラシ10では、2つの第1接触片101が抵抗部3の上面3Uに弾接し、2つの第2接触片102が導電部4の上面4Uに弾接する。
【0050】
可変抵抗器300では、使用者の操作によって回転体が任意の角度に回転した際、回転体の回転と一緒にブラシ10が回転する。このとき、ブラシ10では、2つの第1接触片101が抵抗部3の上面3U上を摺動するとともに、2つの第2接触片102が導電部4の上面4U上を摺動する。ブラシ10を回転移動させる回転体を回転操作されたときのブラシ10と抵抗部3の上面3Uとの接触位置に応じて、抵抗値が変化する。
【0051】
可変抵抗器300では、例えば、第3端子部8と第1端子部6との間に第3端子部8を高電位として直流電圧が印加されている状態では、ブラシ10と抵抗部3の上面3Uとの接触位置に応じて、第2端子部7と第1端子部6との間の電圧が変化する。
図2の例では、ブラシ10が実線の位置(基準位置)にある場合の第2端子部7と第1端子部6との間の電圧よりも、ブラシ10が一点鎖線の位置(ブラシ10が任意の角度だけ回転した位置)にある場合の第2端子部7と第1端子部6との間の電圧が大きくなる。したがって、例えば、可変抵抗器300の第1端子部6、第2端子部7及び第3端子部8に接続された電子回路では、第2端子部7と第1端子部6との間の電圧に基づいて回転体の回転角度の情報を取得することもできる。
【0052】
また、可変抵抗器300は、固定抵抗部5を備えるので、例えば、第3端子部8と第1端子部6との間に電気的に接続すべき電源が第2端子部7と第1端子部6との間に電気的に接続される誤接続があった場合に、過電流が流れるのを防止することができる。
【0053】
(3)利点
(3.1)抵抗基板
実施形態1に係る抵抗基板1では、固定抵抗部5が、第1端41及び第2端42を有する弧状の導電部4の第1端41に接している。これにより、実施形態1に係る抵抗基板1は、固定抵抗部5の抵抗値をより大きくすることが可能となる。より詳細には、実施形態1に係る抵抗基板1では、基板2上において固定抵抗部5の一部を導電部4の第1端41と第2端42との間に配置することができる。これにより、実施形態1に係る抵抗基板1は、例えば円形状の導電部の外周縁に固定抵抗部が接続されているような構成の抵抗基板と比べて、基板2のサイズを大きくすることなく基板2上において固定抵抗部5を配置可能な領域を大きくすることができ、固定抵抗部5の長さを長くできるから、固定抵抗部5の抵抗値をより大きくすることが可能となる。
【0054】
また、実施形態1に係る抵抗基板1では、固定抵抗部5の長さが長くなって抵抗値が大きくなるので、固定抵抗部5の幅を変えることで抵抗値を変えやすくなる。これにより、実施形態1に係る抵抗基板1では、固定抵抗部5の材料組成と抵抗部3の材料組成とを同じにして固定抵抗部5と抵抗部3とを同じスクリーン印刷工程によって同時に形成する製造プロセスを採用しやすくなる。
【0055】
(3.2)可変抵抗器
実施形態1に係る可変抵抗器300は、抵抗基板1と、ブラシ10と、を備える。ブラシ10は、導電性を有する。ブラシ10は、抵抗部3の上面3U上と導電部4の上面4U上とを摺動する。
【0056】
可変抵抗器300は、抵抗基板1を備えるので、固定抵抗部5の抵抗値をより大きくすることが可能となる。
【0057】
(4)実施形態1の変形例
(4.1)変形例1
実施形態1の変形例1に係る抵抗基板1は、実施形態1に係る可変抵抗器300と比べて回転体の回転角の狭い可変抵抗器に用いられる。したがって、変形例1に係る抵抗基板1は、
図3に示すように、抵抗部3及び導電部4それぞれの長さが、実施形態1に係る抵抗基板1と相違する。
【0058】
変形例1に係る抵抗基板1では、弧状の抵抗部3の中心角が180度である。また、変形例1に係る抵抗基板1では、弧状の導電部4の中心角が180度である。
【0059】
変形例1に係る抵抗基板1では、固定抵抗部5の長さを、より長くすることが可能となり、固定抵抗部5の抵抗値をより大きくすることができる。
【0060】
(4.2)その他の変形例
実施形態1に係る抵抗基板1は、固定抵抗部5が導電部4の第1端41に接し、かつ、固定抵抗部5が導電部4の第2端42に接しているが、これに限らない。例えば、抵抗基板1は、少なくとも、固定抵抗部5が導電部4の第1端41に接していればよく、固定抵抗部5が導電部4の第2端42に接していない構成であってもよい。
【0061】
また、抵抗基板1では、固定抵抗部5が、第1延伸部51と第2延伸部52との両方を有する場合に限らず、例えば、第1延伸部51と第2延伸部52とのうち第1延伸部51のみを有する構成であってもよい。
【0062】
また、固定抵抗部5の第1延伸部51及び第2延伸部52の各々は、弧状である場合に限らず、例えば、直線状であってもよい。
【0063】
(実施形態2)
以下、実施形態2に係る抵抗基板1aについて、
図4に基づいて説明する。実施形態2に係る抵抗基板1aは、例えば、実施形態1に係る可変抵抗器300における抵抗基板1の代わりに用いられる。実施形態2に係る抵抗基板1aに関し、実施形態1に係る抵抗基板1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。なお、
図4では、可変抵抗器の備えるブラシ10を一点鎖線で示してある。
【0064】
実施形態2に係る抵抗基板1aは、固定抵抗部5が導電部4の内側縁44に接している点で、実施形態1に係る抵抗基板1と相違する。実施形態2に係る抵抗基板1aでは、固定抵抗部5が、延長部50(第1延長部50)の先端部から導電部4の内側縁44に沿って延長された第2延長部53を有している。実施形態2に係る抵抗基板1aでは、固定抵抗部5の第2延長部53の先端部が導電部4の内側縁44に接している。
【0065】
実施形態2に係る抵抗基板1aは、固定抵抗部5の抵抗値をより大きくすることが可能となる。より詳細には、実施形態2に係る抵抗基板1aでは、基板2上において固定抵抗部5の一部を導電部4の第1端41と第2端42との間及び導電部4の内側に配置することができる。これにより、実施形態2に係る抵抗基板1aは、例えば円形状の導電部の外周縁に固定抵抗部が接続されているような構成の抵抗基板と比べて、基板2のサイズを大きくすることなく基板2上において固定抵抗部5を配置可能な領域を大きくすることができ、固定抵抗部5の長さを長くできるから、固定抵抗部5の抵抗値をより大きくすることが可能となる。
【0066】
また、実施形態2に係る抵抗基板1aは、実施形態1に係る抵抗基板1よりも固定抵抗部5の長さを長くでき、固定抵抗部5の抵抗値をより大きくすることが可能となる。
【0067】
実施形態2は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態2は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。例えば、固定抵抗部5が第2延長部53を2つ有していてもよい。
【0068】
(実施形態3)
以下、実施形態3に係る抵抗基板1bについて、
図5に基づいて説明する。実施形態3に係る抵抗基板1bは、例えば、実施形態1に係る可変抵抗器300における抵抗基板1の代わりに用いられる。実施形態3に係る抵抗基板1bに関し、実施形態1に係る抵抗基板1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。なお、
図5では、可変抵抗器の備えるブラシ10を一点鎖線で示してある。
【0069】
実施形態3に係る抵抗基板1bは、導電部4が円環状である点で実施形態1に係る抵抗基板1と相違する。
【0070】
実施形態3に係る抵抗基板1bでは、導電部4は、抵抗部3に対向している外側縁43と、外側縁43に設けられている凹部45と、を有する。凹部45は、第1面451及び第2面452と、第3面453と、を含む。第1面451及び第2面452は、導電部4の外周に沿った方向に交差し、導電部4の外周に沿った方向において互いに離れている。第3面453は、導電部4の外周に沿った方向において第1面451と第2面452とをつないでいる。固定抵抗部5は、導電部4の凹部45の第3面453において第1面451及び第2面452から離れた部分4533に接している。当該部分4533は、例えば、第3面453において第1面451からの距離と第2面452からの距離とが同じとなる中間部であるが、第1面451及び第2面452から離れていれば中間部でなくてもよい。
【0071】
実施形態3に係る抵抗基板1bは、固定抵抗部5の抵抗値をより大きくすることが可能となる。より詳細には、第8の態様に係る抵抗基板1bでは、基板2上において固定抵抗部5の一部を導電部4の外側縁43に設けられている凹部45内に配置することができる。これにより、実施形態3に係る抵抗基板1bは、例えば円形状の導電部の外周縁に固定抵抗部が接続されているような構成の抵抗基板と比べて、基板2のサイズを大きくすることなく基板2上において固定抵抗部5を配置可能な領域を大きくすることができ、固定抵抗部5の長さを長くできるから、固定抵抗部5の抵抗値をより大きくすることが可能となる。
【0072】
実施形態3は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態3は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0073】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0074】
第1の態様に係る抵抗基板(1)は、基板(2)と、抵抗部(3)と、導電部(4)と、第1端子部(6)と、第2端子部(7)と、第3端子部(8)と、固定抵抗部(5)と、を備える。基板(2)は、電気絶縁性を有する。抵抗部(3)は、基板(2)上に形成されている。抵抗部(3)は、弧状であり、第1端(31)及び第2端(32)を有する。導電部(4)は、基板(2)上に形成されて抵抗部(3)の内側に位置している。導電部(4)は、弧状であり、第1端(41)及び第2端(42)を有する。第1端子部(6)は、基板(2)上に形成されている。第1端子部(6)は、抵抗部(3)において第1端(31)と第2端(32)とのうち第1端(31)に近い部分に接続されている。第2端子部(7)は、基板(2)上に形成されており、導電部(4)に接続される。第3端子部(8)は、基板(2)上に形成されている。第3端子部(8)は、抵抗部(3)において第1端(31)と第2端(32)とのうち第2端(32)に近い部分に接続されている。固定抵抗部(5)は、基板(2)上に形成されている。固定抵抗部(5)は、導電部(4)と第2端子部(7)とを接続している。固定抵抗部(5)の抵抗値は、導電部(4)の抵抗値よりも大きい。固定抵抗部(5)は、導電部(4)の第1端(41)に接している。
【0075】
第1の態様に係る抵抗基板(1)は、固定抵抗部(5)の抵抗値をより大きくすることが可能となる。より詳細には、第1の態様に係る抵抗基板(1)では、基板(2)上において固定抵抗部(5)の一部を導電部(4)の第1端(41)と第2端(42)との間に配置することができるので、基板(2)のサイズを大きくすることなく基板(2)上において固定抵抗部(5)を配置可能な領域を大きくすることができ、固定抵抗部(5)の長さを長くできるから、固定抵抗部(5)の抵抗値をより大きくすることが可能となる。
【0076】
第2の態様に係る抵抗基板(1)では、第1の態様において、固定抵抗部(5)は、導電部(4)の第2端(42)にも接している。
【0077】
第2の態様に係る抵抗基板(1)は、固定抵抗部(5)が導電部(4)に対して導電部(4)の第1端(41)と第2端(42)との2か所に接続されているので、冗長性を有する。つまり、第2の態様に係る抵抗基板(1)では、例えば、固定抵抗部(5)と導電部(4)の第1端41との間、又は固定抵抗部(5)と導電部(4)の第2端(42)との間で断線が発生しても、第2端子部(7)と導電部(4)とを接続する固定抵抗部(5)の機能を維持できる。
【0078】
第3の態様に係る抵抗基板(1)は、第1又は2の態様において、導電部(4)は、抵抗部(3)に対向している外側縁(43)と、外側縁(43)とは反対側に位置している内側縁(44)と、を有する。固定抵抗部(5)は、延伸部(51)を有する。延伸部(51)は、基板(2)の厚さ方向から見て導電部(4)の第1端(41)と第2端(42)との間に位置しており、導電部(4)の第1端(41)に向かって延伸している。延伸部(51)の幅は、導電部(4)の幅よりも狭い。延伸部(51)と導電部(4)の内側縁(44)との距離が、延伸部(51)と導電部(4)の外側縁(43)との距離よりも短い。
【0079】
第3の態様に係る抵抗基板(1)では、導電部(4)の幅方向の全体にわたって延伸部(51)が導電部(4)の第1端(41)につながっている場合や、延伸部(51)が導電部(4)の外側縁(43)と内側縁(44)とのうち外側縁(43)に近い場合と比べて、固定抵抗部(5)の長さを長くでき、固定抵抗部(5)の抵抗値を大きくできる。
【0080】
第4の態様に係る抵抗基板(1)は、第3の態様において、延伸部(51)は、弧状である。
【0081】
第4の態様に係る抵抗基板(1)では、延伸部(51)が直線状である場合と比べて、延伸部(51)の長さを長くでき、固定抵抗部(5)の抵抗値を大きくすることができる。
【0082】
第5の態様に係る抵抗基板(1)では、第3又は4の態様において、固定抵抗部(5)は、延伸部(51)である第1延伸部(51)とは別に、第2延伸部(52)を更に有する。第2延伸部(52)は、基板(2)の厚さ方向から見て導電部(4)の第1端(41)と第2端(42)との間に位置している。第2延伸部(52)は、導電部(4)の第2端(42)に向かって延伸している。第2延伸部(52)の幅は、導電部(4)の幅よりも狭い。導電部(4)の幅方向において、第2延伸部(52)と導電部(4)の内側縁(44)との距離が、第2延伸部(52)と導電部(4)の外側縁(43)との距離よりも短い。
【0083】
第5の態様に係る抵抗基板(1)では、導電部(4)の幅方向の全体にわたって第2延伸部(52)が導電部(4)の第2端(42)につながっている場合や、第2延伸部(52)が導電部(4)の外側縁(43)と内側縁(44)とのうち外側縁(43)に近い場合と比べて、固定抵抗部(5)の長さを長くでき、固定抵抗部(5)の抵抗値を大きくできる。
【0084】
第6の態様に係る抵抗基板(1)では、第5の態様において、第2延伸部(52)は、弧状である。
【0085】
第6の態様に係る抵抗基板(1)は、第2延伸部(52)が直線状である場合と比べて、第2延伸部(52)の長さを長くでき、固定抵抗部(5)の抵抗値を大きくすることができる。
【0086】
第7の態様に係る抵抗基板(1a)は、基板(2)と、抵抗部(3)と、導電部(4)と、第1端子部(6)と、第2端子部(7)と、第3端子部(8)と、固定抵抗部(5)と、を備える。基板(2)は、電気絶縁性を有する。抵抗部(3)は、基板(2)上に形成されている。抵抗部(3)は、弧状であり、第1端(31)及び第2端(32)を有する。導電部(4)は、基板(2)上に形成されて抵抗部(3)の内側に位置している。導電部(4)は、弧状であり、第1端(41)及び第2端(42)を有する。第1端子部(6)は、基板(2)上に形成されている。第1端子部(6)は、抵抗部(3)において第1端(31)と第2端(32)とのうち第1端(31)に近い部分に接続されている。第2端子部(7)は、基板(2)上に形成されており、導電部(4)に接続される。第3端子部(8)は、基板(2)上に形成されている。第3端子部(8)は、抵抗部(3)において第1端(31)と第2端(32)とのうち第2端(32)に近い部分に接続されている。固定抵抗部(5)は、基板(2)上に形成されている。固定抵抗部(5)は、導電部(4)と第2端子部(7)とを接続している。固定抵抗部(5)の抵抗値は、導電部(4)の抵抗値よりも大きい。導電部(4)は、抵抗部(3)に対向している外側縁(43)と、外側縁(43)とは反対側に位置している内側縁(44)と、を有する。固定抵抗部(5)は、導電部(4)の内側縁(44)に接している。
【0087】
第7の態様に係る抵抗基板(1a)は、固定抵抗部(5)の抵抗値をより大きくすることが可能となる。より詳細には、第7の態様に係る抵抗基板(1a)では、基板(2)上において固定抵抗部(5)の一部を導電部(4)の第1端(41)と第2端(42)との間及び導電部(4)の内側に配置することができるので、基板(2)のサイズを大きくすることなく基板(2)上において固定抵抗部(5)を配置可能な領域を大きくすることができ、固定抵抗部(5)の長さを長くできるから、固定抵抗部(5)の抵抗値をより大きくすることが可能となる。
【0088】
第8の態様に係る抵抗基板(1b)は、基板(2)と、抵抗部(3)と、導電部(4)と、第1端子部(6)と、第2端子部(7)と、第3端子部(8)と、固定抵抗部(5)と、を備える。基板(2)は、電気絶縁性を有する。抵抗部(3)は、基板(2)上に形成されている。抵抗部(3)は、弧状であり、第1端(31)及び第2端(32)を有する。導電部(4)は、基板(2)上に形成されて抵抗部(3)の内側に位置している。導電部(4)は、円環状である。第1端子部(6)は、基板(2)上に形成されている。第1端子部(6)は、抵抗部(3)において第1端(31)と第2端(32)とのうち第1端(31)に近い部分に接続されている。第2端子部(7)は、基板(2)上に形成されており、導電部(4)に接続される。第3端子部(8)は、基板(2)上に形成されている。第3端子部(8)は、抵抗部(3)において第1端(31)と第2端(32)とのうち第2端(32)に近い部分に接続されている。固定抵抗部(5)は、基板(2)上に形成されている。固定抵抗部(5)は、導電部(4)と第2端子部(7)とを接続している。固定抵抗部(5)の抵抗値は、導電部(4)の抵抗値よりも大きい。導電部(4)は、抵抗部(3)に対向している外側縁(43)と、外側縁(43)に設けられている凹部(45)と、を有する。凹部(45)は、第1面(451)及び第2面(452)と、第3面(453)と、を含む。第1面(451)及び第2面(452)は、導電部(4)の外周に沿った方向に交差し、導電部(4)の外周に沿った方向において互いに離れている。第3面(453)は、導電部(4)の外周に沿った方向において第1面(451)と第2面(452)とをつないでいる。固定抵抗部(5)は、導電部(4)の凹部(45)の第3面(453)において第1面(451)及び第2面(452)から離れた部分(4533)に接している。
【0089】
第8の態様に係る抵抗基板(1b)は、固定抵抗部(5)の抵抗値をより大きくすることが可能となる。より詳細には、第8の態様に係る抵抗基板(1b)では、基板(2)上において固定抵抗部(5)の一部を導電部(4)の外側縁43に設けられている凹部(45)内に配置することができるので、基板(2)のサイズを大きくすることなく基板(2)上において固定抵抗部(5)を配置可能な領域を大きくすることができ、固定抵抗部(5)の長さを長くできるから、固定抵抗部(5)の抵抗値をより大きくすることが可能となる。
【0090】
第9の態様に係る可変抵抗器(300)は、第1~8の態様のいずれか一つの抵抗基板(1;1a;1b)と、ブラシ(10)と、を備える。ブラシ(10)は、導電性を有する。ブラシ(10)は、抵抗部(3)の上面(3U)上と導電部(4)の上面(4U)上とを摺動する。
【0091】
第9の態様に係る可変抵抗器(300)は、固定抵抗部(5)の抵抗値をより大きくすることが可能となる。
【符号の説明】
【0092】
1、1a、1b 抵抗基板
2 基板
21 上面
200 外周
201 第1領域
202 第2領域
211 貫通孔
3 抵抗部
3U 上面
31 第1端
32 第2端
33 外側縁
34 内側縁
4 導電部
4U 上面
41 第1端
42 第2端
43 外側縁
44 内側縁
45 凹部
451 第1面
452 第2面
453 第3面
4533 部分
5 固定抵抗部
5A 本体部
50 延長部
51 延伸部(第1延伸部)
52 第2延伸部
6 第1端子部
7 第2端子部
8 第3端子部
10 ブラシ
100 固定部
101 第1接触片
102 第2接触片
103 孔
16 配線部
18 配線部
300 可変抵抗器
R1 回転方向