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特許7489618配置支援方法、学習済みモデルの生成方法、プログラム、配置支援システム及び作業システム
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  • 特許-配置支援方法、学習済みモデルの生成方法、プログラム、配置支援システム及び作業システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】配置支援方法、学習済みモデルの生成方法、プログラム、配置支援システム及び作業システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240517BHJP
   H05K 13/00 20060101ALI20240517BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
H05K13/00 Z
G05B19/418 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021558353
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2020042484
(87)【国際公開番号】W WO2021100630
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2019208320
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019208321
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】厚田 鳴海
(72)【発明者】
【氏名】浜田 規照
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 太一
(72)【発明者】
【氏名】本村 秀人
(72)【発明者】
【氏名】山崎 琢也
(72)【発明者】
【氏名】生田 直史
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-101284(JP,A)
【文献】特開平5-146928(JP,A)
【文献】特開2017-33979(JP,A)
【文献】特開2019-4129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
H05K 13/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の供給部に供給された複数の部品を対象物に実装することで生成物を生成する部品実装システムに関して、前記複数の供給部における前記複数の部品の配置の決定を支援する配置支援方法であって、
前記生成物に含まれる前記複数の部品に関する実装データを取得する取得ステップと、
前記複数の供給部のうちの少なくとも1つの供給部の特徴に対応付けて生成された学習済みモデルを用いて、前記部品実装システムでの前記生成物の生成に要する実装時間を短くするように、前記実装データから、前記複数の供給部に対する前記複数の部品の配置を提案する提案ステップと、を有する、
配置支援方法。
【請求項2】
前記学習済みモデルは、前記複数の供給部のうちの2つ以上の供給部の特徴に対応付けて生成されたモデルを含む、
請求項1に記載の配置支援方法。
【請求項3】
前記学習済みモデルは、前記複数の供給部の特徴を1以上の特徴群に分類した場合に、前記1以上の特徴群に対応付けて生成されたモデルを含む、
請求項1又は2に記載の配置支援方法。
【請求項4】
前記学習済みモデルは、強化学習を用いて生成される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の配置支援方法。
【請求項5】
前記学習済みモデルを更新する更新ステップを更に有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の配置支援方法。
【請求項6】
前記学習済みモデルは、前記部品実装システムにより生成される前記生成物に関する情報に対応付けて生成されたモデルを含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の配置支援方法。
【請求項7】
前記提案ステップは、
複数の一次グループに対する前記複数の部品の配置を提案する一次提案ステップと、
前記一次提案ステップの後で、前記複数の一次グループの各々を、前記複数の供給部のうちの少なくとも1つの供給部を含む複数の二次グループに分類した場合の、前記複数の二次グループに対する前記複数の部品の配置を提案する二次提案ステップと、を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の配置支援方法。
【請求項8】
前記一次提案ステップと前記二次提案ステップとでは、前記学習済みモデルが異なる、
請求項7に記載の配置支援方法。
【請求項9】
前記一次提案ステップと前記二次提案ステップとの少なくとも一方において、前記学習済みモデルを用いて前記複数の部品の配置を提案する、
請求項7又は8に記載の配置支援方法。
【請求項10】
前記二次提案ステップの後で、前記複数の二次グループの各々を、前記複数の供給部のうちの少なくとも1つの供給部を含む複数の三次グループに分類した場合の、前記複数の三次グループに対する前記複数の部品の配置を提案する三次提案ステップを更に有する、
請求項7~9のいずれか1項に記載の配置支援方法。
【請求項11】
前記提案ステップの後で、前記複数の供給部に対する前記複数の部品の配置を提案する再配置ステップを更に有する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の配置支援方法。
【請求項12】
前記再配置ステップでは、少なくとも、前記部品実装システムでの前記生成物の生成に要する時間が、前記複数の供給部の中で最長である供給部について、前記複数の部品の配置を提案する、
請求項11に記載の配置支援方法。
【請求項13】
前記複数の供給部に対する前記複数の部品の配置に際して、特定の供給部に対する特定の部品の配置の可否を規定する制約条件が付されている、
請求項1~12のいずれか1項に記載の配置支援方法。
【請求項14】
前記制約条件による前記特定の供給部に対する前記特定の部品の配置の可否の判断は、前記学習済みモデルを用いた前記複数の供給部に対する前記複数の部品の配置の提案とは別に行われる、
請求項13に記載の配置支援方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の配置支援方法に用いられる学習済みモデルを、前記複数の供給部のうちの少なくとも1つの供給部の特徴に対応付けて生成する、
学習済みモデルの生成方法。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか1項に記載の配置支援方法、又は請求項15に記載の学習済みモデルの生成方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
複数の供給部に供給された複数の部品を対象物に実装することで生成物を生成する部品実装システムに関して、前記複数の供給部における前記複数の部品の配置の決定を支援する配置支援システムであって、
前記生成物に含まれる前記複数の部品に関する実装データを取得する取得部と、
前記複数の供給部のうちの少なくとも1つの供給部の特徴に対応付けられた学習済みモデルを用いて、前記部品実装システムでの前記生成物の生成に要する実装時間を短くするように、前記実装データから、前記複数の供給部に対する前記複数の部品の配置を提案する提案部と、を備える、
配置支援システム。
【請求項18】
前記提案部は、
複数の一次グループに対する前記複数の部品の配置を提案する一次提案部と、
前記複数の一次グループの各々を、前記複数の供給部のうちの少なくとも1つの供給部を含む複数の二次グループに分類した場合の、前記複数の二次グループに対する前記複数の部品の配置を提案する二次提案部と、を含む、
請求項17に記載の配置支援システム。
【請求項19】
前記提案部は、
複数の一次グループに対する前記複数の部品の配置の提案を受けて、前記複数の一次グループの各々を、前記複数の供給部のうちの少なくとも1つの供給部を含む複数の二次グループに分類した場合の、前記複数の二次グループに対する前記複数の部品の配置を提案する二次提案部を含む、
請求項17に記載の配置支援システム。
【請求項20】
請求項17~19のいずれか1項に記載の配置支援システムと、
前記配置支援システムで提案された前記複数の部品の配置で用いられ、前記生成物を生成する前記部品実装システムと、を備える、
作業システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に配置支援方法、学習済みモデルの生成方法、プログラム、配置支援システム及び作業システムに関する。より詳細には、複数の供給部に供給された複数の部品を対象物に実装する部品実装システムについて、複数の供給部における複数の部品の配置の決定を支援する配置支援方法、学習済みモデルの生成方法、プログラム、配置支援システム及び作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、部品実装ラインにおいて、ライン実装タクト又はラインの稼働率が低下しないように監視し、低下の要因を分析し取り除くことによりライン全体の高い生産効率を維持するための稼働分析装置が記載されている。
【0003】
この稼働分析装置では、部品実装ラインの中で実装タクト実績値が最大の部品実装機であるネック部品実装機において、そのネック部品実装機の実装タクト実績値であるライン実装タクトが目標値に達しない原因を解消するために、タクトロスを減少させる部品供給装置の配列又は部品実装順にする最適化を行う。これにより、例えば、原因が、各部品実装機の実装タクト実績値のアンバランスにあるのであれば、部品の各実装機への振り分けの補正を行うことで、タクトロスを減少させ、ライン実装タクトを目標値に維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-111298号公報
【発明の概要】
【0005】
しかし、特許文献1では、部品の各実装機への振り分けの補正をするにしても、各実装機に部品をどのように振り分けるのか明確には開示されておらず、部品の配置(振り分けを含む)に関しては改善が求められる。
【0006】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、改善された部品の配置の提案が可能な配置支援方法、学習済みモデルの生成方法、プログラム、配置支援システム及び作業システムを提供することを目的とする。
【0007】
本開示の一態様に係る配置支援方法は、部品実装システムに関して、複数の供給部における複数の部品の配置の決定を支援する方法であって、取得ステップと、提案ステップと、を有する。前記部品実装システムは、前記複数の供給部に供給された前記複数の部品を対象物に実装することで生成物を生成するシステムである。前記取得ステップは、前記生成物に含まれる前記複数の部品に関する実装データを取得するステップである。前記提案ステップは、学習済みモデルを用いて、前記部品実装システムでの前記生成物の生成に要する実装時間を短くするように、前記実装データから、前記複数の供給部に対する前記複数の部品の配置を提案するステップである。前記学習済みモデルは、前記複数の供給部のうちの少なくとも1つの供給部の特徴に対応付けて生成されたモデルである。
【0008】
本開示の一態様に係る学習済みモデルの生成方法は、前記配置支援方法に用いられる学習済みモデルを、前記複数の供給部のうちの少なくとも1つの供給部の特徴に対応付けて生成する。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記配置支援方法又は前記学習済みモデルの生成方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0010】
本開示の一態様に係る配置支援システムは、部品実装システムに関して、複数の供給部における複数の部品の配置の決定を支援するシステムであって、取得部と、提案部と、を備える。前記部品実装システムは、前記複数の供給部に供給された前記複数の部品を対象物に実装することで生成物を生成するシステムである。前記取得部は、前記生成物に含まれる前記複数の部品に関する実装データを取得する。前記提案部は、学習済みモデルを用いて、前記部品実装システムでの前記生成物の生成に要する実装時間を短くするように、前記実装データから、前記複数の供給部に対する前記複数の部品の配置を提案する。前記学習済みモデルは、前記複数の供給部のうちの少なくとも1つの供給部の特徴に対応付けられたモデルである。
【0011】
本開示の一態様に係る作業システムは、前記配置支援システムと、前記部品実装システムと、を備える。前記部品実装システムは、前記配置支援システムで提案された前記複数の部品の配置で用いられ、前記生成物を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に係る配置支援方法が適用される部品実装システムの外観を示す概略図である。
図2図2は、同上の配置支援方法による部品実装システムの供給部における部品の配置を示す概念図である。
図3図3は、実施形態1に係る配置支援システムを含む作業システムの概要を示すブロック図である。
図4図4A及び図4Bは、同上の配置支援方法による供給部における複数の部品の配置の提案の様子を示す概念図である。
図5図5は、同上の配置支援方法の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、同上の配置支援方法による多段方式の部品の振り分けの様子を模式的に表す説明図である。
図7図7は、同上の配置支援方法による再配置の様子を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
以下、本実施形態に係る配置支援方法、プログラム、配置支援システム20(図3参照)及び作業システム200(図3参照)について、図1図7を参照して説明する。
【0014】
(1)概要
本実施形態に係る配置支援方法は、図1に示すように、部品実装システム100に関して、複数の供給部3における複数の部品P1の配置を支援する配置支援方法である。部品実装システム100は、部品実装システム100で使用する部品P1を供給するための複数の供給部3を有しており、これら複数の供給部3に供給された複数の部品P1を対象物P2に実装することで生成物P3を生成する。
【0015】
すなわち、部品実装システム100は、図1に示すように、部品P1を対象物P2に実装するための実装機(実装装置)10を、少なくとも1台備えている。実装機10は、部品P1を捕捉するための捕捉部41(図1参照)を有している。捕捉部41は、一例として吸着ノズルからなり、部品P1を、解放(つまり捕捉を解除)可能な状態で捕捉(保持)する。実装機10は、供給部3に供給された部品P1を捕捉部41にて捕捉し、部品P1を捕捉した状態の捕捉部41を移動させ、対象物P2上で部品P1を解放することで部品P1を対象物P2の実装面に実装する。
【0016】
本実施形態では一例として、部品実装システム100は、複数台(図1の例では4台)の実装機10が連結されて構成された実装ラインである。言い換えれば、部品実装システム100は、互いに連結されて実装ラインを構成する複数台の実装機10を備えている。このような部品実装システム100(実装ライン)においては、例えば、1つの対象物P2に対して、複数台の実装機10が部品P1を順次実装することで、最終的に、複数の部品P1が実装された生成物P3が生成される。
【0017】
複数台の実装機10の各々は、少なくとも1つの供給部3を有しており、供給部3に供給された部品P1を実装する。つまり、各実装機10は、自身の供給部3に供給された1つ以上の部品P1を対象物P2に実装する。図1の例では、複数台の実装機10の各々は、複数(ここでは2つ)の供給部3を有している。本実施形態では、部品実装システム100は複数台の実装機10を備えるので、仮に、複数台の実装機10の各々が供給部3を1つずつ有するとしても、部品実装システム100全体としてみれば、複数の供給部3が存在することになる。
【0018】
部品実装システム100は、例えば、工場、研究所、事務所及び教育施設等の施設において、電子機器、自動車、衣料品、食料品、医薬品及び工芸品等の種々の製品の製造のための作業に用いられる。
【0019】
このような部品実装システム100においては、複数台の実装機10に設けられている複数の供給部3における複数の部品P1の配置のパターンは、多数存在する。つまり、複数の部品P1について、各々を複数台の実装機10のうちのいずれの実装機10の供給部3に配置するかを選択できるので、部品P1の個数が例えば数百個ともなれば、複数の供給部3における複数の部品P1の配置のパターンは膨大になる。そして、複数の供給部3における複数の部品P1の配置によって、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する実装時間は大きく変動する。例えば、複数の部品P1を複数台の実装機10にどのように振り分けるかによっても、実装時間は大きく変動する。このように、複数の供給部3における複数の部品P1の配置は、部品実装システム100の実装時間にかかわる重要なファクタでありながら、配置のパターンが多数存在することもあって、適切な配置を見出す作業は非常に困難である。
【0020】
そこで、本実施形態に係る配置支援方法は、上述したような部品実装システム100における複数の供給部3における複数の部品P1の配置を決定する作業を支援する。この配置支援方法によれば、より適切な配置を、より簡単に(短時間で)見出すことが可能となり、例えば、熟練者等の手を借りなくても、複数の供給部3における複数の部品P1の配置を決定することが可能となる。
【0021】
すなわち、本実施形態に係る配置支援方法は、部品実装システム100に関して、複数の供給部3における複数の部品P1の配置を提案する方法である。部品実装システム100は、複数の供給部3に供給された複数の部品P1を対象物P2に実装することで生成物P3を生成する。ここで、本実施形態に係る配置支援方法は、更に下記3つの機能を採用し、改善された部品P1の配置の提案を可能とする。
【0022】
1つ目の機能は、学習済みモデルM1(図3参照)を用いた配置の提案である。1つ目の機能を実現するために、配置支援方法は、取得ステップと、提案ステップと、を有している。取得ステップは、実装データD1(図3参照)を取得するステップである。実装データD1は、生成物P3に含まれる複数の部品P1に関するデータである。提案ステップは、学習済みモデルM1を用いて、実装時間を短くするように、実装データD1から、複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置を提案するステップである。学習済みモデルM1は、複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3の特徴に対応付けて生成されたモデルである。実装時間は、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間である。
【0023】
このように、1つ目の機能では、配置支援方法は、提案ステップにて、学習済みモデルM1を用いて、複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置を提案する。すなわち、提案ステップでは、一義的に決められた配置を提案するのではなく、例えば、熟練者が行うような配置の「決め方」のスキルを学習済みモデルM1で実現することにより、適切な配置を、より簡単に見出すことが可能である。特に、学習済みモデルM1は、複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3の特徴に対応付けて生成されたモデルであるので、例えば、実装機10の性能又は仕様等を考慮して、複数の部品P1の配置が提案される。したがって、この配置支援方法では、改善された部品P1の配置の提案が可能である。
【0024】
2つ目の機能は、多段方式の部品P1の振り分けである。2つ目の機能を実現するために、配置支援方法は、一次提案ステップと、二次提案ステップと、を有している。一次提案ステップは、複数の一次グループG11,G12(図6参照)に対する複数の部品P1の配置を提案するステップである。二次提案ステップは、一次提案ステップの後で、複数の一次グループG11,G12の各々を、複数の二次グループG21~G24(図6参照)に分類した場合の、複数の二次グループG21~G24に対する複数の部品P1の配置を提案するステップである。複数の二次グループG21~G24の各々は、複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3を含んでいる。
【0025】
ここにおいて、2つ目の機能における一次提案ステップ及び二次提案ステップは、1つ目の機能における提案ステップに含まれている。言い換えれば、提案ステップは、一次提案ステップと二次提案ステップとを含んでいる。
【0026】
このように、2つ目の機能では、複数の部品P1の配置の提案が、複数の一次グループG11,G12に部品P1を配置する一次提案ステップと、更に細かい複数の二次グループG21~G24に部品P1を配置する二次提案ステップと、に分かれている。要するに、複数の部品P1の配置が、1段階の処理ではなく、階層的に設定された複数段階の処理で実現されるため、各段階において、複数の部品P1の適切な配置を導き出すための選択肢を少なく抑えることができる。その結果、各段階での複数の部品P1の配置を提案するための処理を簡略化することができる。したがって、この配置支援方法では、改善された部品P1の配置の提案が可能である。
【0027】
3つ目の機能は、再配置である。3つ目の機能を実現するために、配置支援方法は、提案ステップと、特定ステップと、再配置ステップと、を有している。提案ステップは、複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置を提案するステップである。特定ステップは、複数の供給部3のうち、ある供給部3を対象供給部として特定するステップである。対象供給部として特定される供給部3は、提案ステップで提案された複数の部品P1の配置を採用した場合に、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間に関して特定条件を満たす供給部3である。再配置ステップは、対象供給部と、参照供給部とに対して、複数の部品P1の配置を提案するステップである。参照供給部は、複数の供給部3のうちの対象供給部以外の少なくとも1つの供給部3からなる。
【0028】
このように、3つ目の機能では、提案ステップで提案された複数の部品P1の配置が最適でない場合でも、再配置ステップにて、新たな複数の部品P1の配置を提案することができる。しかも、再配置ステップでの再配置の対象となる供給部3は、提案ステップで提案された配置を採用した場合に、複数の供給部3のうち、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間に関して特定条件を満たす対象供給部である。つまり、再配置ステップでは、提案ステップで提案された配置のうち、特に、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間に関してある条件を満たすような供給部3の配置について、再提案できる。したがって、この配置支援方法では、改善された部品P1の配置の提案が可能である。
【0029】
また、本実施形態に係る配置支援方法は、一例として、配置支援システム20にて実行される。言い換えれば、配置支援システム20は、上述した配置支援方法を具現化するための一態様である。つまり、配置支援システム20は、部品実装システム100に関して、複数の供給部3における複数の部品P1の配置の決定を支援する。部品実装システム100は、上述したように、複数の供給部3に供給された複数の部品P1を対象物P2に実装することで生成物P3を生成するシステムであって、本実施形態では一例として、実装ラインである。
【0030】
ここにおいて、配置支援システム20は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。言い換えれば、本実施形態に係る配置支援方法は、コンピュータシステム(配置支援システム20)上で用いられる。つまり、配置支援方法は、プログラムでも具現化可能である。本実施形態に係るプログラムは、本実施形態に係る配置支援方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0031】
さらに、本実施形態に係る作業システム200は、配置支援システム20と、部品実装システム100と、を備えている。部品実装システム100は、配置支援システム20で提案された複数の部品P1の配置で用いられ、生成物P3を生成するシステムである。
【0032】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る配置支援方法、プログラム、配置支援システム20及び作業システム200の詳細について、説明する。
【0033】
(2.1)前提
本実施形態では、部品実装システム100が、工場での電子機器の製造に用いられる場合について説明する。一般的な電子機器は、例えば、電源回路及び制御回路等の各種の回路ブロックを有している。これらの回路ブロックの製造にあたっては、一例として、はんだ塗布工程、実装工程、及びはんだ付け工程が、この順で行われる。はんだ塗布工程では、基板(プリント配線板を含む)にクリーム状はんだが塗布(又は印刷)される。実装工程では、基板に部品P1(電子部品を含む)が実装(搭載)される。はんだ付け工程では、例えば、部品P1が実装された状態の基板を、リフロー炉にて加熱することにより、クリーム状はんだを溶かしてはんだ付けが行われる。
【0034】
部品実装システム100は、実装工程において、対象物P2である基板に対して、複数の部品P1(電子部品)を実装する作業を行う。これにより、部品実装システム100にて、複数の部品P1が実装された基板(対象物P2)からなる生成物P3が生成される。言い換えれば、生成物P3は、対象物P2(ここでは基板)と、対象物P2に実装された複数の部品P1と、を含んでいる。
【0035】
本実施形態では一例として、表面実装技術(SMT:Surface Mount Technology)による部品(部品P1)の実装に、部品実装システム100が用いられる場合について説明する。つまり、部品P1としての部品は、表面実装用の部品(SMD:Surface Mount Device)であって、対象物P2としての基板の表面(実装面)上に配置されることをもって実装される。ただし、この例に限らず、挿入実装技術(IMT:Insertion Mount Technology)による部品(部品P1)の実装に、部品実装システム100が用いられてもよい。この場合には、部品P1としての部品は、リード端子を有する挿入実装用の部品であり、対象物P2としての基板の孔にリード端子を挿入することをもって、基板(対象物P2)の表面(実装面)上に実装される。
【0036】
また、本開示でいう「供給部」は、部品実装システム100のうち、部品実装システム100で使用する部品P1を供給するための部位(箇所)である。部品実装システム100は、複数の供給部3を有しており、個々の供給部3に供給される部品P1を用いて実装作業を行う。例えば、供給部3は、部品P1を供給するためのテープフィーダを装着可能に構成されている。テープフィーダは、複数の部品P1を収容したキャリアテープのリールが取り付けられることにより、これら複数の部品P1を、供給部3から部品実装システム100に供給可能とする。この種の供給部3は、テープフィーダを取付可能なスロットを複数含んでおり、これら複数のスロットに複数のテープフィーダが取り付けられることにより、部品実装システム100(実装機10)に複数の部品P1が供給される。本実施形態では一例として、供給部3は、複数のスロットの集合からなる「テーブル」であることと仮定する。ここでいう「テーブル」は、仮想的なテーブルであって、実体を伴わない。
【0037】
以下では一例として、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を設定し、対象物P2である基板の表面に平行な軸を「X軸」及び「Y軸」とし、基板の厚み方向に平行な軸を「Z」軸とする。特に、「X軸」は、部品実装システム100における複数台の実装機10が並ぶ方向に沿った軸である。さらに、対象物P2である基板から見た捕捉部41側を、Z軸の正の向き(「上方」ともいう)と規定する。また、Z軸の正の向き(上方)から見た状態を、以下では「平面視」ともいう。X軸、Y軸、及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。また、これらの方向は部品実装システム100の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0038】
また、本開示でいう部品P1の「配置」の提案は、複数の供給部3における複数の部品P1の配置に関する種々の項目の提案を含み、例えば、部品P1の振り分け、及び部品P1の配列の提案の両方を含む。複数の部品P1の振り分けは、複数の部品P1を複数に分割して、分割後の1つ以上の部品P1を、複数の供給部3(本実施形態ではテーブル)のいずれかに割り当てることを意味する。つまり、振り分けでは、1つの供給部3内に複数の部品P1が割り当てられる場合、これら複数の部品P1の並び順までは規定されない。一方、複数の部品P1の配列の提案は、複数の部品P1を複数に分割して、分割後の1つ以上の部品P1を、複数の供給部3(本実施形態ではテーブル)のいずれかに割り当て、かつ各供給部3内での並び順(配列)まで規定することを意味する。よって、本実施形態のように、供給部3が複数のスロットの集合からなる「テーブル」である場合、部品P1の配列としては、1つの供給部3(テーブル)に含まれる複数のスロットのいずれのスロットにいずれの部品P1が対応するかが規定される。つまり、配列の提案では、1つの供給部3内に複数の部品P1が割り当てられる場合、これら複数の部品P1の並び順まで規定されることになる。
【0039】
本実施形態では一例として、配置支援方法又は配置支援システム20が行う部品P1の「配置」の提案は、部品P1の振り分け、及び部品P1の配列の提案のうち、部品P1の振り分けのみであることと仮定する。すなわち、本実施形態に係る配置支援方法又は配置支援システム20では、複数の部品P1を複数に分割して、分割後の1つ以上の部品P1を、複数の供給部3のいずれかに割り当てるのであって、分割後の1つ以上の部品P1の並び順までは規定しない。
【0040】
また、本開示でいう配置の「提案」の態様は、部品P1の配置の導出結果を人又は外部システムに対して出力する態様と、部品P1の配置の導出結果に従って、実際に、複数の供給部3における複数の部品P1の配置を決定する態様と、の両方を含む。前者の態様によれば、配置支援方法又は配置支援システム20から部品P1の配置の導出結果を受けた人又は外部システムにおいては、あくまで部品P1の配置の提案(示唆)を受けるだけであって、この導出結果を採用するか否かを判断することになる。後者の態様によれば、配置支援方法又は配置支援システム20から部品P1の配置の導出結果は、人又は外部システムの判断を介すことなく、部品実装システム100にそのまま採用されることになる。
【0041】
また、本開示でいう供給部3の「特徴」は、例えば、供給部3が設けられている実装機10に関する特徴等を含む。実装機10に関する特徴は、例えば、速度(最高実装速度)、捕捉部41の数(ノズル数)、供給部3の数、捕捉部41の種類、スロットの数、実装ヘッド4の数及び機種等のように、実装機10の種類、性能、特性又は仕様を含む。「捕捉部41の数」は、1つの実装ヘッド4に装着可能な捕捉部41の最大数を意味する。「捕捉部41の種類」には、例えば、部品P1を吸着する吸着ノズル、及び部品P1を挟む(摘む)メカチャック等がある。「スロットの数」は、1つの供給部3(又は1台の実装機10)におけるスロットの数を意味し、言い換えれば、1つの供給部3(又は1台の実装機10)に装着可能なテープフィーダの最大個数を意味する。
【0042】
また、本開示でいう実装機10の「速度」は、実装機10における最高実装速度、つまり実装機10での部品P1の実装に係る速度の最大値を意味する。つまり、実装機10は、捕捉部41で部品P1を捕捉し、部品P1を捕捉した状態の捕捉部41を移動させて、対象物P2に対して部品P1が実装するように動作する。そのため、例えば、捕捉部41での部品P1の捕捉及び解放(つまり捕捉を解除)の速度、及び捕捉部41の移動速度等によって、実装機10の速度(最高実装速度)は異なることになる。ただし、本実施形態では、速度については、例えば、多機能機(低速機)、中速機及び高速機のように、複数の速度域に分類することで、少しの速度の差であればいずれも「高速機」とする等、同一の速度域とみなすこととする。
【0043】
また、本開示でいう「特定条件」は、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間に関して設定される特定の条件である。一例として、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間(実装時間)が、複数の供給部3の中で最長であること、又は最短であること等が、特定条件となり得る。
【0044】
(2.2)部品実装システムの構成
次に、本実施形態に係る配置支援方法が用いられる部品実装システム100の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0045】
本実施形態に係る部品実装システム100は、上述したように、実装ラインを構成する複数台(ここでは4台)の実装機10を備えている。複数台の実装機10は、X軸に沿って一列に並べて配置されている。これら複数台の実装機10を区別する場合、複数台の実装機10の各々を、図1に示すように、X軸の負の側から順に、第1の実装機11、第2の実装機12、第3の実装機13、第4の実装機14とも呼ぶ。
【0046】
本実施形態に係る部品実装システム100においては、第1の実装機11が先頭となり、第2の実装機12、第3の実装機13、そして最後尾となる第4の実装機14の順で、複数台の実装機10を通して、対象物P2が移動する。つまり、対象物P2は、X軸の正の向きに移動しながら、複数台の実装機10を順次通過する。部品実装システム100は、対象物P2が複数台の実装機10を通過する間に、各実装機10にて複数の部品P1を対象物P2に実装する。これにより、部品実装システム100は、対象物P2である基板を第1の実装機11側から導入し、複数台の実装機10で対象物P2に対して複数の部品P1(電子部品)の実装を行った上で、第4の実装機14側から生成物P3を排出する。
【0047】
したがって、部品実装システム100は、複数台の実装機10にて部品P1を順次実装することで、最終的に、複数の部品P1が実装された生成物P3を生成することができる。本開示でいう「実装時間」は、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間であって、例えば、1つの対象物P2が、部品実装システム100に導入されてから、生成物P3として部品実装システム100から排出されるまでの時間である。つまり、対象物P2である1枚の基板が、第1の実装機11に導入された時点から、この基板(対象物P2)に複数の部品P1が実装され、生成物P3として第4の実装機14から排出された時点までの時間が、「実装時間」となる。
【0048】
本実施形態では、複数台の実装機10の各々は、基本的な構成は共通している。そこで、以下では、特に断りがない限り、第1の実装機11のみについて構成を説明するが、その他の実装機(第2の実装機12、第3の実装機13及び第4の実装機14)についても、基本的には同様の構成を採用していることとする。
【0049】
実装機10(第1の実装機11)は、少なくとも1つの供給部3(テーブル)と、少なくとも1つの実装ヘッド4と、を備えている。本実施形態では、実装機10は、2つの供給部3を備えている。2つの供給部3は、実装機10のY軸方向の両端部に位置する。また、実装機10は、2つの実装ヘッド4を備えている。2つの実装ヘッド4は、それぞれ2つの供給部3に一対一に対応するように、実装機10のY軸方向の中心線から見て、Y軸方向の両側に分かれて配置されている。
【0050】
つまり、実装機10は、Y軸方向において略対称な構造を有しており、Y軸方向の中心線の両側に、それぞれ実装ヘッド4及び供給部3が配置されている。したがって、実装機10は、2つの実装ヘッド4を個別に駆動することにより、2つの供給部3の間に導入された対象物P2に対して、2つの実装ヘッド4にて、2つの供給部3に供給される部品P1を実装する。
【0051】
このように、本実施形態では、1台の実装機10に2つの実装ヘッド4があるものの、供給部3(テーブル)も2つ設けられているため、1つの供給部3に対して1つの実装ヘッド4が対応する。つまり、各供給部3においては、対応する実装ヘッド4は1つのみであって、供給部3の特徴に含まれている「実装ヘッド4の数」は「1」となる。
【0052】
実装ヘッド4は、1つ以上の捕捉部41を有している。本実施形態では、第1の実装機11における実装ヘッド4は、複数(一例として16個)の捕捉部41(図1参照)を有している。実装ヘッド4は、捕捉部41にて部品P1(部品)を捕捉した状態で、捕捉部41を対象物P2(基板)に近づけるように移動させ、部品P1を対象物P2の実装面T21に実装する。
【0053】
供給部3には、実装ヘッド4の捕捉部41にて捕捉される部品P1が供給される。本実施形態では、上述したように、供給部3は、それぞれテープフィーダを取付可能な複数のスロットの集合からなる「テーブル」である。そのため、供給部3には、スロットの数を上限として、複数のテープフィーダが取付可能である。実装ヘッド4は、供給部3に取り付けられたテープフィーダから、部品P1(部品)を捕捉部41にて捕捉する。
【0054】
また、実装機10は、上記構成に加えて、駆動装置、搬送装置、制御装置及び通信部等を更に備えていてもよい。ただし、駆動装置、搬送装置、制御装置及び通信部等は、実装機10に必須の構成ではない。図1及び図2では、実装機10の構成として、供給部3及び実装ヘッド4以外の構成の図示を適宜省略している。
【0055】
駆動装置は、実装ヘッド4を移動させる装置である。本実施形態では、駆動装置は、X-Y平面内で、実装ヘッド4を移動させる。ここでいう「X-Y平面」は、X軸及びY軸を含む平面であって、Z軸と直交する平面である。言い換えれば、駆動装置は、実装ヘッド4をX軸方向及びY軸方向に移動させる。
【0056】
搬送装置は、対象物P2としての基板を搬送する装置である。搬送装置は、例えば、ベルトコンベヤ等で実現される。搬送装置は、対象物P2(基板)を、X軸に沿って搬送する。搬送装置は、少なくとも実装ヘッド4の下方、つまりZ軸方向において捕捉部41と対向する実装スペースに、対象物P2を搬送する。そして、搬送装置は、実装ヘッド4による対象物P2(基板)への部品P1(部品)の実装が完了するまでは、実装スペースに対象物P2を停止させる。
【0057】
制御装置は、部品実装システム100の各部を制御する。制御装置は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを主構成とする。すなわち、マイクロコントローラのメモリに記録されたプログラムを、マイクロコントローラのプロセッサが実行することにより、制御装置の機能が実現される。プログラムはメモリにあらかじめ記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0058】
通信部は、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、上位システムと通信するように構成されている。これにより、実装機10は、上位システムとの間でデータを授受することが可能である。
【0059】
上述したように構成される実装機10は、複数の部品P1を収容したキャリアテープのリールが装着されたテープフィーダを、供給部3における複数のスロットの各々に取り付けた状態で使用される。これにより、供給部3における複数のスロットの各々には、テープフィーダにてキャリアテープから取り出された部品P1が順次供給される。この状態において、実装機10は、テープフィーダにより供給部3に供給される部品P1を、実装ヘッド4の捕捉部41にて捕捉し、対象物P2上の目標位置へ実装(配置)する動作を、基本動作として実行する。実装機10は、このような基本動作を繰り返し実行する。
【0060】
ここで、実装ヘッド4が複数(一例として16個)の捕捉部41を有していれば、実装機10は、1回の基本動作により、複数の部品P1を実装することが可能である。つまり、実装機10は、1回の基本動作において、実装ヘッド4における複数の捕捉部41にて、複数の部品P1をまとめて捕捉することができるので、複数の部品P1をまとめて実装可能である。さらに、複数(一例として2つ)の実装ヘッド4を備える実装機10は、複数の実装ヘッド4を個別に駆動することで、これら複数の実装ヘッド4にて、複数の部品P1を同時に実装可能である。
【0061】
ところで、本実施形態では、部品実装システム100に含まれる複数台の実装機10は、以下に説明するように、一部異なる特徴を有している。ここでは、第1の実装機11及び第2の実装機12は、同一の特徴を有しており、第3の実装機13及び第4の実装機14が、それぞれ第1の実装機11(又は第2の実装機12)とは異なる特徴を有することとする。
【0062】
すなわち、実装機10としては多くの種類、性能、特性又は仕様の個体が存在するため、部品実装システム100を構成する複数台の実装機10においても、互いに異なる特徴を有することがある。具体的には、実装機10によって、例えば、速度(最高実装速度)、捕捉部41の数(ノズル数)、供給部3の数、捕捉部41の種類、スロットの数、実装ヘッド4の数及び機種等が異なる場合がある。
【0063】
本実施形態において、複数台(ここでは4台)の実装機10で異なる特徴としては、速度、捕捉部41の数、捕捉部41の種類及び機種等がある。一例として、「速度」については、第1の実装機11及び第2の実装機12が「高速機」であるのに対して、第3の実装機13は「中速機」、第4の実装機14は「多機能機」である。「捕捉部41の数」については、第1の実装機11及び第2の実装機12が「16」であるのに対して、第3の実装機13は「8」、第4の実装機14は「3」である。
【0064】
一方、複数台(ここでは4台)の実装機10において共通の特徴としては、供給部3の数、スロットの数及び実装ヘッド4の数等がある。一例として、「供給部3の数」については、上述した通り、いずれの実装機10も「2」である。同様に、一例として、「実装ヘッド4の数」についても、上述した通り、いずれの実装機10も「2」である。また、「スロットの数」については、いずれの実装機10も「60」であると仮定する。
【0065】
ただし、「捕捉部41の数」は1つの実装ヘッド4における捕捉部41の数を表しているため、2つの実装ヘッド4を備える実装機10単位でみれば、上記の2倍の捕捉部41を有することになる。例えば、第1の実装機11全体での捕捉部41の数は「32」である。同様に、「スロットの数」は1つの供給部3におけるスロットの数を表しているため、2つの供給部3を備える実装機10単位でみれば、上記の2倍のスロットを有することになる。例えば、第1の実装機11全体でのスロットの数は「120」である。また、上述したような実装機10の特徴は、たとえ実装機10の機種が同一であっても、例えば、実装機10の細かな仕様が異なる場合、又は経年劣化等により性能が低下した場合等では、異なることがある。
【0066】
上述したように、本実施形態では、部品実装システム100が4台の実装機10を備え、かつ各実装機10が2つの供給部3を有するので、部品実装システム100全体としては、8つの供給部3が存在する。これら8つの供給部3を区別する場合には、複数の供給部3の各々を、図2に示すように、第1の供給部31、第2の供給部32、第3の供給部33、第4の供給部34、第5の供給部35、第6の供給部36、第7の供給部37、第8の供給部38とも呼ぶ。第1の供給部31及び第2の供給部32は、第1の実装機11に設けられ、第3の供給部33及び第4の供給部34は、第2の実装機12に設けられている。第5の供給部35及び第6の供給部36は、第3の実装機13に設けられ、第7の供給部37及び第8の供給部38は、第4の実装機14に設けられている。
【0067】
(2.3)配置支援システムの構成
次に、本実施形態に係る配置支援システム20の構成について、図3を参照して説明する。
【0068】
配置支援システム20は、上述したように、部品実装システム100に関して、複数の供給部3における複数の部品P1の配置の決定を支援するシステムである。本実施形態では、上述したように部品実装システム100全体としては、第1の供給部31~第8の供給部38の8つの供給部3が存在する。そこで、本実施形態に係る配置支援システム20は、これら8つの供給部3における複数の部品P1の配置を決定するために用いられる。
【0069】
配置支援システム20は、図3に示すように、取得部21と、提案部22と、特定部23と、再配置部24と、出力部25と、シミュレーション部26と、モデル格納部27と、を備えている。本実施形態では、配置支援システム20は、上述したように、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。配置支援システム20のうち、少なくとも取得部21、提案部22、特定部23、再配置部24、出力部25及びシミュレーション部26の機能は、1以上のプロセッサがプログラムを実行することによって具現化される。
【0070】
取得部21は、実装データD1を取得する。実装データD1は、生成物P3に含まれる複数の部品P1に関するデータである。すなわち、実装データD1は、部品実装システム100で実装される複数の部品P1全てに関するデータである。一例として、部品実装システム100で「200個」の部品P1が実装される場合には、実装データD1は、これら「200個」の部品P1の各々に関するデータを含む。実装データD1は、例えば、複数の部品P1の各々についての、品種、品番、仕様、メーカ、サイズ、端子数、端子配置及び回路定数のように、少なくとも複数の部品P1を区別するためのデータを含んでいる。
【0071】
提案部22は、複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置を提案する。本実施形態では、提案部22は、学習済みモデルM1を用いて、実装時間を短くするように、実装データD1から、複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置を提案する。学習済みモデルM1は、複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3の特徴に対応付けて生成されたモデルである。実装時間は、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間である。学習済みモデルM1について詳しくは「(3.2)学習済みモデル」の欄で説明する。
【0072】
ここで、本実施形態に係る配置支援システム20(配置支援方法)では、多段方式の部品P1の振り分け(配置の提案)を採用している。そのため、多段方式の振り分けに対応できるように、本実施形態では、提案部22は、複数の処理ブロックを含んでいる。具体的には、提案部22は、一次提案部221と、二次提案部222と、3次提案部223と、を含んでいる。
【0073】
一次提案部221は、複数の一次グループG11,G12に対する複数の部品P1の配置を提案する。二次提案部222は、複数の一次グループG11,G12の各々を、より細分化された複数の二次グループG21~G24に分類した場合の、複数の二次グループG21~G24に対する複数の部品P1の配置を提案する。複数の二次グループG21~G24の各々は、複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3を含んでいる。三次提案部223は、複数の二次グループG21~G24の各々を、より細分化された複数の三次グループG31~G38(図6参照)に分類した場合の、複数の三次グループG31~G38に対する複数の部品P1の配置を提案する。複数の三次グループG31~G38の各々は、複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3を含んでいる。多段方式について詳しくは「(3.3)多段方式」の欄で説明する。
【0074】
特定部23は、提案部22で提案された複数の部品P1の配置を採用した場合に、複数の供給部3のうち、ある供給部3を対象供給部として特定する。ここで、対象供給部として特定される供給部3は、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間に関して特定条件を満たす供給部3である。つまり、特定部23は、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間に関して、特定条件を満たす供給部3を「対象供給部」として特定する。対象供給部の特定について詳しくは「(3.4)再配置」の欄で説明する。
【0075】
再配置部24は、対象供給部と、参照供給部とに対して、複数の部品P1の配置を提案する。ここで、参照供給部は、複数の供給部3のうちの対象供給部以外の少なくとも1つの供給部3からなる。そのため、特定部23では、実質的に、複数の供給部3の中から、「対象供給部」としての供給部3と、「参照供給部」としての供給部3と、が抽出される。つまり、特定部23は、複数の供給部3のうち、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間に関して、特定条件を満たさない供給部3の少なくとも1つを、「対象供給部」として特定する。
【0076】
そして、再配置部24は、複数の供給部3のうち、抽出(特定)された対象供給部と参照供給部とを対象として、複数の部品P1の再配置を行う。つまり、再配置部24は、提案部22で一度提案された、対象供給部及び参照供給部に対する複数の部品P1の配置(振り分け)に代えて、新たな配置を提案する。本実施形態では、再配置部24は、対象供給部と参照供給部とについては、複数の部品P1の配置をリセットしてから、複数の部品P1の配置を改めて提案する。再配置について詳しくは「(3.4)再配置」の欄で説明する。
【0077】
出力部25は、提案部22と再配置部24との少なくとも一方で生成された配置データD2を出力する。本開示でいう「配置データ」は、提案部22と再配置部24との少なくとも一方で提案された、複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置を表すデータである。すなわち、配置データD2は、部品実装システム100で実装される複数の部品P1全てに関して、いずれかの供給部3への振り分けを表すデータである。一例として、部品実装システム100で「200個」の部品P1が実装される場合には、実装データD1は、これら「200個」の部品P1の各々について、複数(ここでは8つ)の供給部3のいずれに配置されるかを特定するデータを含む。
【0078】
出力部25での配置データD2の出力の態様としては、例えば、シミュレーション部26への出力、部品実装システム100又はその他のシステムへの送信、表示、音声出力、非一時的記録媒体への記録(書き込み)及び印刷(プリントアウト)等がある。本実施形態では一例として、出力部25は、直接的又は間接的に、配置データD2をシミュレーション部26に出力する。さらに、本実施形態では一例として、出力部25は、直接的又は間接的に、配置データD2を部品実装システム100に出力(送信)する。これにより、部品実装システム100では、配置データD2にて規定される複数の部品P1の配置を採用した、複数の部品P1の実装が可能となる。また、例えば、表示又は音声出力等の態様によれば、出力部25は、作業者等の人に対して配置データD2を出力することが可能である。
【0079】
シミュレーション部26は、部品実装システム100における複数の部品P1を実装する動作を模擬する。ここで、シミュレーション部26は、提案部22と再配置部24との少なくとも一方で提案された複数の部品P1の配置を採用した場合における、部品実装システム100の動作を模擬する。本実施形態では、シミュレーション部26は、出力部25から配置データD2を取得し、この配置データD2に基づいてシミュレーションを行う。このとき、シミュレーション部26は、配置データD2に加えて、部品実装システム100の構成を表す装置データ等を用いて、シミュレーションを実行する。ここでいう「装置データ」は、供給部3の特徴、つまり、供給部3が設けられている実装機10に関する特徴等を含んでいる。
【0080】
シミュレーション部26は、少なくとも部品実装システム100での生成物P3の生成に要する「実装時間」を求める。本実施形態では特に、シミュレーション部26は、部品実装システム100に含まれている複数の供給部3の各々についての実装時間を求める。つまり、シミュレーション部26は、複数の供給部3を含む部品実装システム100に関して、供給部3ごとの部品P1の実装に要する実装時間を、シミュレーション結果として求める。シミュレーション部26でのシミュレーション結果は、例えば、出力部25から任意の態様で出力される。本実施形態では、シミュレーション部26でのシミュレーション結果は、少なくとも特定部23に出力され、特定部23での対象供給部の特定に用いられる。
【0081】
モデル格納部27は、学習済みモデルM1を格納する。モデル格納部27に格納される学習済みモデルM1は、少なくとも提案部22での部品P1の配置の提案に用いられる。本実施形態では、提案部22だけでなく再配置部24での部品P1の配置の提案にも、モデル格納部27に格納される学習済みモデルM1が用いられる。詳しくは「(3.2)学習済みモデル」の欄で説明するが、学習済みモデルM1は、事前学習にて生成される。しかも、学習済みモデルM1は、部品実装システム100における複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3の特徴に対応付けて生成されたモデルである。ここで、部品実装システム100は、互いに異なる特徴を有する複数の供給部3を含んでいるため、学習済みモデルM1も複数種類存在する。そのため、モデル格納部27は、複数(種類)の学習済みモデルM1を格納可能に構成されている。
【0082】
また、配置支援システム20は、上記構成に加えて、通信部及びユーザインタフェース等を更に備えていてもよい。ただし、通信部及びユーザインタフェース等は、配置支援システム20に必須の構成ではない。図3では、配置支援システム20の構成として、取得部21、提案部22、特定部23、再配置部24、出力部25、シミュレーション部26及びモデル格納部27以外の構成の図示を適宜省略している。
【0083】
通信部は、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、部品実装システム100及び/又は上位システムと通信するように構成されている。これにより、配置支援システム20は、部品実装システム100及び/又は上位システムとの間でデータを授受することが可能である。
【0084】
ユーザインタフェースは、例えば、タッチパネルディスプレイを含み、ユーザの操作の受け付けと、ユーザへの情報の提示(表示)を行う。ユーザインタフェースは、タッチパネルディスプレイに限らず、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、メカニカルなスイッチ、又はジェスチャセンサ等の入力装置を有していてもよい。また、ユーザインタフェースは、タッチパネルディスプレイに代えて、又はタッチパネルディスプレイと共に、音声入出力部を有していてもよい。
【0085】
ところで、本実施形態に係る配置支援システム20は、上述したように、部品実装システム100と共に作業システム200を構成する。すなわち、本実施形態に係る作業システム200は、図3に示すように、配置支援システム20と、部品実装システム100と、を備えている。部品実装システム100は、配置支援システム20で提案された複数の部品P1の配置で用いられ、生成物P3を生成するシステムである。
【0086】
(3)配置支援方法
以下、本実施形態に係る配置支援方法について、より詳細に説明する。本実施形態では、配置支援方法は、上述したように、学習済みモデルM1を用いた配置の提案、多段方式の部品P1の振り分け、及び再配置といった3つの機能を採用している。そこで、以下では、本実施形態に係る配置支援方法について、基本態様、学習済みモデルM1を用いた配置の提案、多段方式の部品P1の振り分け、及び再配置、の4パートに分けて説明する。
【0087】
また、以下では、一例として、240個の部品P1を、下記8つの供給部3に振り分ける場合を想定して説明する。つまり、本実施形態では上述したように、部品実装システム100は、第1の実装機11、第2の実装機12、第3の実装機13及び第4の実装機14の、計4台の実装機10を備えている。さらに、これら4台の実装機10の各々は2つの供給部3を有するので、部品実装システム100全体でみれば、複数(ここでは240個)の部品P1の振り分け先として、計8つの供給部3が存在する。
【0088】
ここで、第1の実装機11及び第2の実装機12は、いずれも捕捉部41の数として「16」という特徴を有することと仮定する。そのため、第1の実装機11に設けられた第1の供給部31及び第2の供給部32、並びに第2の実装機12に設けられた第3の供給部33及び第4の供給部34は、いずれも捕捉部41の数として「16」という特徴を有する。一方、第3の実装機13は、捕捉部41の数として「8」という特徴を有することと仮定する。そのため、第3の実装機13に設けられた第5の供給部35及び第6の供給部36は、いずれも捕捉部41の数として「8」という特徴を有する。さらに、第4の実装機14は、捕捉部41の数として「3」という特徴を有することと仮定する。そのため、第4の実装機14に設けられた第7の供給部37及び第8の供給部38は、いずれも捕捉部41の数として「3」という特徴を有する。
【0089】
ただし、これらの条件は、あくまで配置支援方法を説明するための一つの具体例に過ぎず、配置支援方法の適用範囲を制限する趣旨ではない。
【0090】
(3.1)基本態様
まず、本実施形態に係る配置支援方法の基本態様について、図4A図4B及び図5を参照して説明する。図4A及び図4Bは、配置支援方法による複数の供給部3における複数の部品P1の配置の提案の様子を示す概念図である。
【0091】
本実施形態のように、複数(ここでは8つ)の供給部3を持つ部品実装システム100において、複数の供給部3における複数の部品P1の配置のパターンは、多数存在する。特に、本実施形態では、上述したように、各供給部3におけるスロットの数が「60」であるため、部品実装システム100全体としては、480(=60×8)個のスロットが存在する。そのため、部品実装システム100は、最大で480個もの部品P1を実装することができ、実際に実装する部品P1の個数が数百個ともなれば、複数の供給部3における複数の部品P1の配置のパターンは膨大になる。しかも、複数の供給部3における複数の部品P1の配置によって、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する実装時間は大きく変動する。
【0092】
つまり、部品実装システム100の構成が同一であったとしても、複数の供給部3における複数の部品P1の配置が異なれば、各部品P1がいずれの実装機10にて実装されるかが異なり、個々の部品P1の実装に要する時間が大きく変動する。したがって、例えば、1つの生成物P3の生成に要する実装時間を短縮するにしても、膨大な数のパターンの中から、適切な複数の部品P1の配置のパターンを見出すことは非常に困難である。そこで、本実施形態に係る配置支援方法は、部品実装システム100における複数の供給部3における複数の部品P1の配置を決定する作業を支援することで、より適切な配置を、より簡単に(短時間で)見出すことを可能とする。
【0093】
ここにおいて、本実施形態に係る配置支援方法では、上述したように、部品P1の「配置」の提案は、部品P1の振り分け、及び部品P1の配列の提案のうち、部品P1の振り分けのみである。つまり、本実施形態では、複数の部品P1を複数に分割して、分割後の1つ以上の部品P1を、複数の供給部3のいずれかに割り当てるのであって、分割後の1つ以上の部品P1の並び順までは規定しない。
【0094】
すなわち、本実施形態に係る配置支援方法は、図4A及び図4Bに示すように、未配置である複数の部品P1を、2つ以上の供給部3に振り分けることを基本態様とする。図4A及び図4Bにおいて、「未配置」と表記した未配置空間Sp0は、いずれの供給部3にも振り分けられていない状態、つまり未配置の状態を模式的に表す仮想空間である。つまり、図4Aにおいて、未配置空間Sp0内に存在する部品P1は、いずれの供給部3にも振り分けられていない状態にある。一方、図4A及び図4Bにおいて、「供給部」と表記した空間は、いずれかの供給部3に振り分けられた状態、つまり配置済みの状態を模式的に表す仮想空間である。つまり、図4Bにおいて、参照符号「31」を付した空間内に存在する部品P1は、第1の供給部31に振り分けられた(割り当てられた)状態にある。同様に、図4Bにおいて、参照符号「32」を付した空間内に存在する部品P1は、第2の供給部32に振り分けられた(割り当てられた)状態にある。
【0095】
本実施形態に係る配置支援方法は、図4Aに示すように、部品実装システム100で実装される複数の部品P1の全てが未配置の状態を初期状態とする。つまり、配置支援方法では、まずは複数の部品P1の全てについて、いずれの供給部3にも振り分けられていない状態とすることにより、図4Aに示すように、複数の部品P1が全て未配置空間Sp0に存在する初期状態を実現する。配置支援方法では、初期状態が実現されると、次に、未配置の状態にある部品P1を1つずつ選択し、選択した部品P1について、いずれの供給部3に振り分ける(割り当てる)か、を決定する。つまり、配置支援方法では、複数の部品P1を1つずつ、いずれかの供給部3に割り当てることにより、複数の部品P1の振り分け先を順次決定する。
【0096】
そして、部品実装システム100で実装される複数の部品P1の全てがいずれかの供給部3に振り分け(割り当て)られる、つまり未配置の状態の部品P1が無くなることをもって、配置支援方法の基本態様による処理が完了する。要するに、配置支援方法の基本態様によれば、図4Bに示すように、未配置空間Sp0に存在する部品P1が無くなり、複数の部品P1が全て、いずれかの供給部3に振り分けられた(割り当てられた)状態が実現される。
【0097】
具体的には、例えば、複数の部品P1の各々を識別するための部品識別情報と、複数の供給部3の各々を識別するための供給部識別情報と、を一対一で対応付けることにより、複数の部品P1の振り分けが行われる。一例として、いずれの供給部3にも振り分けられていない部品P1に関しては、部品識別情報に供給部識別情報が対応付けられていないか、又は部品識別情報に対応する供給部識別情報がヌル(null)となる。また、第1の供給部31に振り分けられた部品P1に関しては、部品識別情報に、第1の供給部31の供給部識別情報が対応付けられる。そして、複数の部品P1の全てについて、部品識別情報と供給部識別情報との対応付けが完了することをもって、複数の部品P1が全て、いずれかの供給部3に振り分けられた状態が実現される。複数の部品P1が全て振り分けられた状態における、部品識別情報と供給部識別情報との対応関係を表すデータが、配置データD2となる。つまり、配置データD2は、複数の部品P1の全てについて、供給部識別情報との対応関係を表すことで、いずれかの供給部3への振り分けを表すデータとなる。
【0098】
ところで、本実施形態に係る配置支援方法では、このような基本態様に係る部品P1の配置の提案において、学習済みモデルM1を用いている。つまり、配置支援方法の基本態様では、学習済みモデルM1を用いて、複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置を提案することになる。学習済みモデルM1は、複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3の特徴に対応付けて生成されたモデルである。本実施形態に係る配置支援方法では、このような学習済みモデルM1を用いて、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する実装時間を短くするように、複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置を提案する。詳しくは「(3.2)学習済みモデル」の欄で説明するが、学習済みモデルM1は、強化学習によって生成される。
【0099】
また、本実施形態に係る配置支援方法は、図5に示すように、大きく分けて、仮配置のための処理パートS100と、再配置のための処理パートS200と、を有している。そして、配置支援方法は、仮配置のための処理パートS100及び再配置のための処理パートS200のいずれにおいても、上述したような基本態様によって、複数の部品P1の振り分けを提案する。つまり、本実施形態では、仮配置のための処理パートS100及び再配置のための処理パートS200のいずれでも、学習済みモデルM1が用いられることになる。
【0100】
すなわち、仮配置のための処理パートS100において、複数の部品P1は複数の供給部3に一旦振り分けられる。ただし、少なくとも一部の部品P1が不適切な供給部3に振り分けられた場合、例えば、部品実装システム100での実装時間が長くなる等の不具合につながる可能性がある。そこで、再配置のための処理パートS200では、一旦振り分けられる複数の部品P1について、再度振り分けを行うことで、より適切な配置(振り分け)を提案する。
【0101】
また、仮配置のための処理パートS100において、複数の部品P1を複数の供給部3に振り分けるに際して、供給部3の数が増えれば、学習済みモデルM1の強化学習を行うための探索空間が広くなり、学習済みモデルM1の生成が困難になる。そこで、本実施形態に係る配置支援方法は、仮配置のための処理パートS100においては、多段方式の部品P1の振り分けを採用する。つまり、多段方式の部品P1の振り分けによれば、各段階において、例えば、複数の部品P1を2つのグループに振り分けるだけでも、最終的には、複数の部品P1を4つ以上のグループに振り分けることができる。その結果、各段階の振り分けにおいて学習済みモデルM1を用いながらも、学習済みモデルM1の強化学習を行うための探索空間を狭めることが可能である。
【0102】
以上説明したように、本実施形態に係る配置支援方法によれば、例えば、熟練者等の手を借りなくても、複数の供給部3における複数の部品P1の配置を決定することが可能となり、改善された部品P1の配置の提案が可能である。
【0103】
また、図5に示すフローチャートは、一例に過ぎず、処理の順番が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は削除されてもよい。
【0104】
(3.2)学習済みモデル
次に、本実施形態に係る配置支援方法のうち、学習済みモデルM1を用いた、複数の部品P1の配置の提案について、図5及び図6を参照してより詳細に説明する。
【0105】
配置支援方法は、取得ステップと、提案ステップと、を有している。取得ステップは、実装データD1を取得するステップであって、図5に示すフローチャートの処理S101に相当する。取得ステップは、配置支援システム20の取得部21にて実行される。実装データD1は、生成物P3に含まれる複数の部品P1に関するデータである。提案ステップは、学習済みモデルM1を用いて、実装時間を短くするように、実装データD1から、複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置を提案するステップである。提案ステップは、配置支援システム20の提案部22にて実行される。本実施形態では、多段方式の部品P1の振り分けを採用しているため、図5に示すフローチャートでは、「1段目」~「N段目」の振り分けの処理S102~S10mが、提案ステップに相当する。
【0106】
本実施形態では、学習済みモデルM1の生成(事前学習)は、配置支援システム20で実行される。また、上述したように、学習済みモデルM1の生成には強化学習を用いている。つまり、配置支援システム20は、例えば、提案部22を強化学習の学習器として利用する。本開示でいう「強化学習」は、データから自動的に規則を獲得する枠組みである機械学習技術の一手法である。
【0107】
機械学習技術において、「強化学習」とは別に、広く使用されている手法としては「教師あり学習」がある。「教師あり学習」は、学習目標となる数値が明確に定義されたデータに基づいて学習を行う手法である。そのため、「教師あり学習」においては、学習に際して、明確な目標が規定された大量のデータ(学習用データ)が必要となる。しかしながら、部品実装システム100の技術分野において、複数の供給部3における複数の部品P1の配置については、目標となる数値が明確でなく、また学習のために大量の学習用データを集めることは困難である。
【0108】
これに対して、「強化学習」は、ある「環境」の中で「行動」を行い、その「行動」の結果として変化した「状況」を観測し、良好な結果を得られた「行動」に対して高い「報酬」が与えられる手法である。そして、「強化学習」では、これら一連の「行動」を通じて「報酬」を最大化する最適な「行動」の選び方を学習する。そのため、「強化学習」では、「教師あり学習」のように、明確な目標が規定した学習用データを用意する必要が無く、かつ最適な「行動」の「選び方」を学習した学習済みモデルM1を生成することが可能である。すなわち、「強化学習」は、解の空間が広すぎて実際の正解が不明な場合であっても、与えられた「環境」に対して試行錯誤を繰り返して観測される報酬系列から「行動」を評価しながら、「行動」の仕方を学習する。
【0109】
したがって、強化学習は、複数の供給部3における複数の部品P1の配置の提案用の学習済みモデルM1のような、正解が明確でなく、かつ膨大な組み合わせに対する最適化が要求されるケースでの学習済みモデルM1の生成において、特に有効である。
【0110】
より詳細には、強化学習においては、複数の部品P1についてある配置を採用した場合の実装時間を求め、この実装時間がいかに理想の実装時間(実装機10の仕様上の実装時間)に近いかを「報酬」とする。このときの実装時間は、本実施形態では一例として、シミュレーション部26にて求められる。強化学習では、探索空間が大きくなればなるほど、良い「報酬」を得るために試行錯誤を繰り返す回数が増大し、最適解の探索に時間がかかることになる。そこで、本実施形態に係る配置支援方法では、強化学習における探索空間の大きさを縮退させるべく、多段方式の部品P1の振り分けを採用しているが、多段方式について詳しくは「(3.3)多段方式」の欄で説明する。
【0111】
また、部品実装システム100においては、例えば、生成物P3の仕様によって、実装機10の特徴及び台数、並びに実装される部品P1の種類及び数等が異なる。ただし、生成物P3に合わせて、都度、強化学習を行って学習済みモデルM1を生成するとすれば、生成物P3の仕様が決まってから、学習済みモデルM1が生成されるまでに時間がかかる懸念がある。そこで、本実施形態においては、生成物P3の仕様が決まる前に学習を行う「事前学習」により、学習済みモデルM1を生成する。これにより、本実施形態に係る配置支援方法では、生成物P3の仕様が決まれば、事前学習で生成済みの学習済みモデルM1を用いて、直ちに部品P1の配置の提案を開始することが可能である。
【0112】
また、本実施形態では、学習器(例えば、提案部22)は、強化学習のアルゴリズムにおいて配置データD2を作成し、作成された配置データD2は、出力部25からシミュレーション部26へ出力される。これにより、シミュレーション部26は、配置データD2に基づいてシミュレーションを行い、「実装時間」を算出する。学習器(例えば、提案部22)は、このようにして求められた実装時間を、理想の実装時間に対する割合に変換し、求めた割合を「報酬」として強化学習を行う。そして、上述した一連の処理を、より良い「報酬」を得るために多数回繰り返して行うことにより、強化学習が行われる。本実施形態では一例として、強化学習を行うために深層学習の特徴抽出の性能を加えた深層強化学習(DQN:Deep Q-Network)等を使用する。
【0113】
ところで、本実施形態では、学習済みモデルM1は、部品実装システム100における複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3の特徴に対応付けて生成されたモデルである。つまり、学習済みモデルM1には供給部3の特徴が反映されているのであって、学習済みモデルM1は供給部3の特徴ごとに生成されることになる。そのため、部品実装システム100が互いに異なる特徴を有する複数の供給部3を含んでいれば、学習済みモデルM1も複数種類生成されることになる。
【0114】
特に、本実施形態では、学習済みモデルM1は、学習済みモデルM1を用いた部品P1の配置の提案にて、部品P1の振り分け(割り当て)先となる供給部3の特徴に対応付けられている。そのため、例えば、図6に示すように、部品P1を2つの振り分け(割り当て)先に振り分ける場合であっても、その振り分け先によって、様々な学習済みモデルM11~M17が用いられる。図6において、どのような学習済みモデルM11~M17が用いられるかは、「(3.3)多段方式」の欄で説明する。本開示では、これら複数の学習済みモデルM11~M17を特に区別しない場合、複数の学習済みモデルM11~M17の各々を単に「学習済みモデルM1」という。
【0115】
ここで、例えば、振り分け先となる2つの供給部3が同一の特徴(「第1の特徴」とする)を有する場合には、学習済みモデルM1は、第1の特徴に対応付けて生成されることになる。つまり、学習済みモデルM1は、複数の供給部3のうちの1つの供給部3の特徴(第1の特徴)に対応付けて生成されたモデルを含む。一例として、振り分け先となる2つの供給部3がいずれも捕捉部41の数として「16」という特徴を有する場合、部品P1を振り分けるための学習済みモデルM1には、捕捉部41の数として「16」という特徴が反映される。
【0116】
一方、例えば、振り分け先となる2つの供給部3が互いに異なる特徴(「第1の特徴」及び「第2の特徴」とする)を有する場合には、学習済みモデルM1は、第1の特徴及び第2の特徴の両方に対応付けて生成されることになる。つまり、学習済みモデルM1は、複数の供給部3のうちの2つ以上の供給部3の特徴に対応付けて生成されたモデルを含む。一例として、振り分け先となる2つの供給部3がそれぞれ捕捉部41の数として「16」又は「8」という特徴を有する場合、部品P1を振り分けるための学習済みモデルM1には、捕捉部41の数として「16」及び「8」という2つの特徴が反映される。
【0117】
また、学習済みモデルM1は、複数の供給部3の特徴を1以上の特徴群に分類した場合に、1以上の特徴群に対応付けて生成されたモデルを含む。例えば、実装機10の速度(最高実装速度)については、例えば、多機能機(低速機)、中速機及び高速機のように、複数の速度域に分類することで、少しの速度の差であればいずれも「高速機」とする等、同一の速度域とみなし得る。つまり、供給部3の特徴が実装機10の「速度」であれば、多機能機(低速機)、中速機及び高速機といった「速度域」が、複数の特徴(速度)を含む特徴群となる。このように、互いに異なる複数の特徴を含む特徴群を設定する場合、学習済みモデルM1は、個々の特徴ではなく、特徴群に対応付けて生成されるモデルも含んでいる。特徴群は、複数の特徴の集合からなるので、特徴群に対応付けて生成される学習済みモデルM1も、少なくとも1つの供給部3の特徴に対応付けて生成された学習済みモデルM1に相当する。
【0118】
また、本実施形態に係る配置支援方法は、学習済みモデルM1を更新する更新ステップを更に有している。つまり、機械学習(本実施形態では強化学習)によって生成される学習済みモデルM1は、固定的ではなく、更新ステップにより適宜更新可能である。具体的には、学習器(例えば、提案部22)が、モデル格納部27に格納されている学習済みモデルM1を、定期的に又は不定期に更新する。学習済みモデルM1の更新は、例えば、過去に習得した知識を現在の学習に利用する転移学習によって実現されてもよいし、新たな学習済みモデルM1との入れ替えによって実現されてもよい。学習済みモデルM1の更新が可能であれば、配置支援方法(配置支援システム20)の運用段階において、ユーザの要求に応じた適切な学習済みモデルM1を生成することも可能となる。
【0119】
また、本実施形態では、学習済みモデルM1は、部品実装システム100により生成される生成物P3に関する情報に対応付けて生成されたモデルを含む。生成物P3に関する情報は、例えば、生成物P3の属する技術分野、生成物P3のロット数、又は生成物P3の価格帯等を含む。部品実装システム100は、例えば、電子機器の技術分野、又は自動車の技術分野等、様々な技術分野の生成物P3の生成に用いられる。そのため、各技術分野(業界)に固有の事情により、同じような生成物P3であっても、部品P1の最適な配置が異なる場合がある。そこで、本実施形態では、学習済みモデルM1は、少なくとも1つの供給部3の特徴だけでなく、生成物P3に固有の事情も反映するように、生成物P3に関する情報にも対応付けて生成される。
【0120】
また、本実施形態に係る配置支援方法においては、複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置に際して、特定の供給部3に対する特定の部品P1の配置の可否を規定する制約条件が付されている。すなわち、供給部3によっては、実装機10の仕様上の制約、又は部品P1のサイズ上の制約等により、特定の部品P1の配置が不可能な場合がある。このような場合に備えて、制約条件を付すことが可能である。制約条件が付されることで、制約条件にて、特定の供給部3への配置が不可能であると規定された特定の部品P1については、振り分けの対象から特定の供給部3が除外される。一例として、テープフィーダを取り付けることができずトレイのみが設置可能な供給部3にあっては、テープフィーダにて供給される部品P1の配置は不可能であることが、制約条件にて規定可能である。
【0121】
さらに、本実施形態では、制約条件による特定の供給部3に対する特定の部品P1の配置の可否の判断は、学習済みモデルM1を用いた複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置の提案とは別に行われる。すなわち、制約条件による部品P1の配置の制約は、例えば、学習済みモデルM1を用いた部品P1の配置の提案の前、又は後で行われる。一例として、学習済みモデルM1を用いた部品P1の配置の提案の前に、制約条件による部品P1の配置の制約が行われるとすれば、複数の部品P1の適切な配置を導き出すための選択肢を少なく抑えることができる。
【0122】
以上説明したように、本実施形態に係る配置支援方法では、複数の部品P1の配置に際して、学習済みモデルM1を用いて、実装時間を短くするように、実装データD1から、複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置を提案する(提案ステップ)。そのため、提案ステップにおいては、一義的に決められた配置を提案するのではなく、例えば、熟練者が行うような配置の「決め方」のスキルを学習済みモデルM1で実現することにより、適切な配置を、より簡単に見出すことが可能である。
【0123】
(3.3)多段方式
次に、本実施形態に係る配置支援方法のうち、多段方式の部品P1の振り分けについて、図5及び図6を参照してより詳細に説明する。
【0124】
配置支援方法は、一次提案ステップと、二次提案ステップと、を有している。一次提案ステップは、複数の一次グループG11,G12に対する複数の部品P1の配置(振り分け)を提案するステップであって、図5に示すフローチャートの処理S102に相当する。一次提案ステップは、配置支援システム20における提案部22の一次提案部221にて実行される。二次提案ステップは、一次提案ステップの後で、複数の二次グループG21~G24に対する複数の部品P1の配置を提案するステップであって、図5に示すフローチャートの処理S103に相当する。二次提案ステップは、配置支援システム20における提案部22の二次提案部222にて実行される。すなわち、図5に示すフローチャートにおいて、提案ステップに相当する「1段目」~「N段目」の振り分けの処理S102~S10mが、一次提案ステップ及び二次提案ステップを含んでいる。
【0125】
ここで、本実施形態に係る配置支援方法は、三次提案ステップを更に有している。三次提案ステップは、二次提案ステップの後で、複数の二次グループG21~G24の各々を複数の三次グループG31~G38に分類した場合の、複数の三次グループG31~G38に対する複数の部品P1の配置を提案するステップである。複数の三次グループG31~G38の各々は、複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3を含んでいる。要するに、三次提案ステップによれば、複数の二次グループG21~G24の各々は、より細分化された複数の三次グループG31~G38に分類され、これら複数の三次グループG31~G38に対する複数の部品P1の配置が提案される。
【0126】
すなわち、本実施形態では、図5に示すように、複数の部品P1の配置が、2段階の処理ではなく、階層的に設定されたN段階(ここで、Nは「3」以上の自然数)の処理で実現される。そのため、二次提案ステップとして2段目の振り分け(S103)が行われた以降も、3段目以降の振り分けが行われることで、より細分化された振り分けを実現可能とする。特に、本実施形態では、複数の部品P1を、各段階にて2つのグループへ振り分け、最終的に8つの供給部3に振り分けることを想定しているため、振り分けは3段階に分けて行われる。そのため、三次提案ステップは、提案ステップにおける最終段、つまり、図5に示すフローチャートの処理S10m(ここで、mは「4」)に相当する。三次提案ステップは、配置支援システム20における提案部22の三次提案部223にて実行される。
【0127】
図6は、多段方式の部品P1の振り分けの様子を模式的に表す説明図である。本実施形態では、複数の部品P1の配置の提案が、少なくとも、複数の一次グループG11,G12に部品P1を配置する一次提案ステップと、更に細かい複数の二次グループG21~G24に部品P1を配置する二次提案ステップと、に分かれている。このように、複数の部品P1の配置が、1段階の処理ではなく、階層的に設定された複数段階の処理で実現されるため、各段階において、複数の部品P1の適切な配置を導き出すための選択肢を少なく抑えることができる。
【0128】
図6において、複数の一次グループG11,G12は、いずれの供給部3にも振り分けられていない状態、つまり未配置の状態の複数の部品P1が存在する未配置空間Sp0を、2つ以上のグループに分類した場合の、分類後のグループに相当する。複数の一次グループG11,G12の各々は、それぞれ複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3を含んでいる。
【0129】
具体的には、図6に示すように、一次グループG11(図中「グループ1」と表記)は、第1の供給部31、第2の供給部32、第3の供給部33及び第4の供給部34を含む。一次グループG12(図中「グループ2」と表記)は、第5の供給部35、第6の供給部36、第7の供給部37及び第8の供給部38を含む。
【0130】
一次提案ステップでは、未配置空間Sp0に存在する、未配置の状態の複数の部品P1を、複数の一次グループG11,G12に振り分ける。これにより、複数(ここでは240個)の部品P1は、複数の一次グループG11,G12のいずれかに振り分けられる。
【0131】
また、図6において、複数の二次グループG21~G24は、複数の一次グループG11,G12の各々を更に2つ以上のグループに分類した場合の、分類後のグループに相当する。ここでは、2つの一次グループG11,G12の各々を、更に2つの二次グループに分類し、計4つの二次グループG21~G24を生成する場合を想定している。複数の二次グループG21~G24の各々は、それぞれ複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3を含んでいる。
【0132】
具体的には、図6に示すように、二次グループG21(図中「グループ1_1」と表記)及び二次グループG22(図中「グループ1_2」と表記)は、一次グループG11の配下に位置する。言い換えれば、一次グループG11が2つの二次グループG21,G22に分類される。二次グループG23(図中「グループ2_1」と表記)及び二次グループG24(図中「グループ2_2」と表記)は、一次グループG12の配下に位置する。言い換えれば、一次グループG12が2つの二次グループG23,G24に分類される。そして、二次グループG21は、第1の供給部31及び第2の供給部32を含み、二次グループG22は、第3の供給部33及び第4の供給部34を含む。二次グループG23は、第5の供給部35及び第6の供給部36を含み、二次グループG24は、第7の供給部37及び第8の供給部38を含む。
【0133】
二次提案ステップでは、一次グループG11に含まれる複数の部品P1を、複数の二次グループG21,G22に振り分け、一次グループG12に含まれる複数の部品P1を、複数の二次グループG23,G24に振り分ける。これにより、複数(ここでは240個)の部品P1は、複数の二次グループG21~G24のいずれかに振り分けられる。
【0134】
また、図6において、複数の三次グループG31~G38は、複数の二次グループG21~G24の各々を更に2つ以上のグループに分類した場合の、分類後のグループに相当する。ここでは、4つの二次グループG21~G24の各々を、更に2つの三次グループに分類し、計8つの三次グループG31~G38を生成する場合を想定している。複数の三次グループG31~G38の各々は、それぞれ複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3を含んでいる。
【0135】
具体的には、図6に示すように、三次グループG31及び三次グループG32は、二次グループG21の配下に位置し、三次グループG33及び三次グループG34は、二次グループG22の配下に位置する。言い換えれば、二次グループG21が2つの三次グループG31,G32に分類され、二次グループG22が2つの三次グループG33,G34に分類される。三次グループG35及び三次グループG36は、二次グループG23の配下に位置し、三次グループG37及び三次グループG38は、二次グループG24の配下に位置する。言い換えれば、二次グループG23が2つの三次グループG35,G36に分類され、二次グループG24が2つの三次グループG37,G38に分類される。そして、図6の例では、複数の三次グループG31~G38は、多段方式の最終段となるため、複数の三次グループG31~G38は、それぞれ供給部3を1つずつ含む。すなわち、本実施形態では、最終的に8つの供給部3への部品P1の振り分けを想定しているため、最終段となる複数(ここでは8つ)の三次グループG31~G38は、それぞれ第1~8の供給部31~38に一対一に対応する。
【0136】
三次提案ステップでは、二次グループG21に含まれる複数の部品P1を、複数の三次グループG31,G32に振り分け、二次グループG22に含まれる複数の部品P1を、複数の三次グループG33,G34に振り分ける。さらに、三次提案ステップでは、二次グループG23に含まれる複数の部品P1を、複数の三次グループG35,G36に振り分け、二次グループG24に含まれる複数の部品P1を、複数の三次グループG37,G38に振り分ける。これにより、複数(ここでは240個)の部品P1は、複数の三次グループG31~G38、つまり第1~8の供給部31~38のいずれかに振り分けられる。
【0137】
ここにおいて、本実施形態に係る配置支援方法では、図6に示すように、各段階の振り分けに際して、学習済みモデルM1が用いられる。つまり、一次提案ステップと二次提案ステップとの少なくとも一方では、学習済みモデルM1を用いて、複数の部品P1の配置を提案する。学習済みモデルM1は、「(3.2)学習済みモデル」の欄でも説明したように、複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3の特徴に対応付けて生成されたモデルである。本実施形態では、一次提案ステップ、二次提案ステップ及び三次提案ステップの全てにおいて、それぞれ学習済みモデルM1を用いている。
【0138】
つまり、複数の部品P1を複数の一次グループG11,G12に振り分ける一次提案ステップでは、学習済みモデルM11を用いて、実装時間を短くするように、実装データD1から、複数の一次グループG11,G12に対する複数の部品P1の配置を提案する。複数の部品P1を複数の二次グループG21~G24に振り分ける二次提案ステップでは、学習済みモデルM12,M13を用いて、実装時間を短くするように、実装データD1から、複数の二次グループG21~G24に対する複数の部品P1の配置を提案する。複数の部品P1を複数の三次グループG31~G38に振り分ける三次提案ステップでは、学習済みモデルM14~M17を用いて、実装時間を短くするように、実装データD1から、複数の三次グループG31~G38に対する複数の部品P1の配置を提案する。
【0139】
ここで、図6からも明らかなように、一次提案ステップ、二次提案ステップ及び三次提案ステップのうちのいずれの段階かによって、使用される学習済みモデルM1は異なる。つまり、本実施形態では、上述したように、部品P1の振り分け先によって、様々な学習済みモデルM11~M17が用いられる。例えば、一次提案ステップで用いられる学習済みモデルM11と、二次提案ステップで用いられる学習済みモデルM12,M13と、は別である。結果的に、本実施形態では、一次提案ステップと二次提案ステップとでは、複数の部品P1の配置を提案するためのアルゴリズムが異なることとなる。ここで「アルゴリズムが異なる」とは、本実施形態においては、使用する学習済みモデルM1が異なることを意味する。さらに、本実施形態では、三次提案ステップにおいても、一次提案ステップ及び二次提案ステップとは異なるアルゴリズム(学習済みモデルM1)を採用する。
【0140】
また、本実施形態では、各段階の振り分けにおいても、部品P1の振り分け先によって、様々な学習済みモデルM11~M17が用いられる。例えば、二次提案ステップにおいて、一次グループG11に含まれる複数の部品P1の、複数の二次グループG21,G22への振り分けには、学習済みモデルM12が用いられる。これに対して、二次提案ステップにおいて、一次グループG12に含まれる複数の部品P1の、複数の二次グループG23,G24への振り分けには、学習済みモデルM13が用いられる。同様に、三次提案ステップにおいて、二次グループG21に含まれる複数の部品P1の、複数の三次グループG31,G32への振り分けには、学習済みモデルM14が用いられる。これに対して、三次提案ステップにおいて、二次グループG24に含まれる複数の部品P1の、複数の三次グループG37,G38への振り分けには、学習済みモデルM17が用いられる。
【0141】
結果的に、本実施形態に係る配置支援方法では、図6に示すように、7つの学習済みモデルM11~M17が用いられている。
【0142】
具体的には、一次提案ステップで用いられる学習済みモデルM11は、第1~8の供給部31~38へ振り分けるべき複数の部品P1を、2つの一次グループG11,G12に振り分けるためのモデルである。学習済みモデルM11については、振り分け先には、捕捉部41の数が「16」である第1~4の供給部31~34、捕捉部41の数が「8」である第5,6の供給部35,36、及び捕捉部41の数が「3」である第7,8の供給部37,38が含まれる。そのため、学習済みモデルM11は、捕捉部41の数として「16」、「8」及び「3」という3つの特徴を反映するように、これら3つの特徴に対応付けて生成されたモデルである。
【0143】
二次提案ステップで用いられる学習済みモデルM12は、第1~4の供給部31~34へ振り分けるべき複数の部品P1を、2つの二次グループG21,G22に振り分けるためのモデルである。学習済みモデルM12については、振り分け先には、捕捉部41の数が「16」である第1~4の供給部31~34が含まれる。そのため、学習済みモデルM12は、捕捉部41の数として「16」という1つの特徴を反映するように、捕捉部41の数として「16」という特徴に対応付けて生成されたモデルである。
【0144】
一方、二次提案ステップで用いられる学習済みモデルM13は、第5~8の供給部35~38へ振り分けるべき複数の部品P1を、2つの二次グループG23,G24に振り分けるためのモデルである。学習済みモデルM13については、振り分け先には、捕捉部41の数が「8」である第5,6の供給部35,36、及び捕捉部41の数が「3」である第7,8の供給部37,38が含まれる。そのため、学習済みモデルM13は、捕捉部41の数として「8」及び「3」という2つの特徴を反映するように、これら2つの特徴に対応付けて生成されたモデルである。
【0145】
三次提案ステップで用いられる学習済みモデルM14は、第1,2の供給部31,32へ振り分けるべき複数の部品P1を、2つの三次グループG31,G32に振り分けるためのモデルである。学習済みモデルM14については、振り分け先には、捕捉部41の数が「16」である第1,2の供給部31,32が含まれる。そのため、学習済みモデルM14は、捕捉部41の数として「16」という1つの特徴を反映するように、捕捉部41の数として「16」という特徴に対応付けて生成されたモデルである。
【0146】
三次提案ステップで用いられる学習済みモデルM15は、第3,4の供給部33,34へ振り分けるべき複数の部品P1を、2つの三次グループG33,G34に振り分けるためのモデルである。学習済みモデルM15については、振り分け先には、捕捉部41の数が「16」である第3,4の供給部33,34が含まれる。そのため、学習済みモデルM15は、捕捉部41の数として「16」という1つの特徴を反映するように、捕捉部41の数として「16」という特徴に対応付けて生成されたモデルである。
【0147】
三次提案ステップで用いられる学習済みモデルM16は、第5,6の供給部35,36へ振り分けるべき複数の部品P1を、2つの三次グループG35,G36に振り分けるためのモデルである。学習済みモデルM16については、振り分け先には、捕捉部41の数が「8」である第5,6の供給部35,36が含まれる。そのため、学習済みモデルM16は、捕捉部41の数として「8」という1つの特徴を反映するように、捕捉部41の数として「8」という特徴に対応付けて生成されたモデルである。
【0148】
三次提案ステップで用いられる学習済みモデルM17は、第7,8の供給部37,38へ振り分けるべき複数の部品P1を、2つの三次グループG37,G38に振り分けるためのモデルである。学習済みモデルM17については、振り分け先には、捕捉部41の数が「3」である第7,8の供給部37,38が含まれる。そのため、学習済みモデルM17は、捕捉部41の数として「3」という1つの特徴を反映するように、捕捉部41の数として「3」という特徴に対応付けて生成されたモデルである。
【0149】
そして、上述したような複数(ここでは7つ)の学習済みモデルM11~M17については、個別に強化学習が行われることにより、生成される。すなわち、階層的に設定された複数段階(ここでは3段階)の段階ごとに、事前に強化学習を行い、上述したような学習済みモデルM11~M17が生成される。このようにして生成された複数の学習済みモデルM11~M17を連携させることにより、図6に示すような、多段方式のアーキテクチャを構築する。
【0150】
以上説明したように、本実施形態に係る配置支援方法では、複数の部品P1の配置が、1段階の処理ではなく、階層的に設定された複数段階(ここでは3段階)の処理で実現される。これにより、複数の部品P1を1段階の処理で振り分ける多選択方式に比較して、各段階において、複数の部品P1の適切な配置を導き出すための選択肢を少なく抑えることができる。結果的に、学習済みモデルM1の強化学習を行うための探索空間を狭めることができる。例えば、240個の部品を、上記8つの供給部3に振り分ける場合に、1段階の多選択方式であれば、探索空間が「10240」であると仮定する。これに対して、3段階の多段方式であれば、同じ条件でも、一次提案ステップに係る探索空間が「1080」、二次提案ステップに係る探索空間が「1072」、三次提案ステップに係る探索空間が「1036」となる。結果的に、240個の部品を、上記8つの供給部3に振り分けるための探査空間は、「1080+1072+1036」となり、多選択方式の「10240」に比べて格段に狭くなり、探索空間の大きさを実学習が可能な大きさまで縮退させることができる。
【0151】
また、上記説明は、本実施形態に係る配置支援方法の一例に過ぎず、例えば、複数の部品P1の配置が、3段階の処理ではなく、2段階、又は4段階以上の処理で実現されてもよい。振り分けが2段階に分けて行われる場合、三次提案ステップが省略され、二次グループG21~G24がそれぞれ複数の供給部3に一対一に対応付けられる。一方、振り分けが4段階に分けて行われる場合、三次提案ステップにて複数の部品P1が振り分けられる三次グループG31~G38の更に下位(配下)に、複数の四次グループが生成される。振り分けが5段階に分けて行われる場合、四次グループの更に下位(配下)に、複数の五次グループが生成される。
【0152】
(3.4)再配置
次に、本実施形態に係る配置支援方法のうち、再配置について、図5及び図7を参照してより詳細に説明する。
【0153】
配置支援方法は、提案ステップと、特定ステップと、再配置ステップと、を有している。提案ステップは、複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置を提案するステップであって、図5に示すフローチャートの処理S102~S10mに相当する。提案ステップは、配置支援システム20の提案部22にて実行される。特定ステップは、複数の供給部3のうち、ある供給部3を対象供給部として特定するステップであって、図5に示すフローチャートの処理S201に相当する。特定ステップは、配置支援システム20の特定部23にて実行される。対象供給部として特定される供給部3は、提案ステップで提案された複数の部品P1の配置を採用した場合に、実装時間に関して特定条件を満たす供給部3である。再配置ステップは、対象供給部と、参照供給部とに対して、複数の部品P1の配置を提案するステップであって、図5に示すフローチャートの処理S202~S204に相当する。再配置ステップは、配置支援システム20の再配置部24にて実行される。参照供給部は、複数の供給部3のうちの対象供給部以外の少なくとも1つの供給部3からなる。
【0154】
本実施形態では、対象供給部に配置された部品P1を対象として、再配置ステップ(S202~S204)において、追加振り分け(S203)を指定回数繰り返し実行する。ここでいう「追加振り分け」は、仮配置(S100)で提案された複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置(振り分け)をベースにして、一部の部品P1について、複数の供給部3に対して配置(振り分け)をやり直す処理である。そのため、追加振り分けを繰り返す「指定回数」は、追加振り分けの対象となる部品P1の数等に応じて決まる回数である。
【0155】
すなわち、仮配置のための処理パートS100において、複数の部品P1を複数の供給部3に振り分ける際に、少なくとも一部の部品P1について適切でない配置(振り分け)が行われた場合、そのままで所望の結果が得られない可能性がある。例えば、仮配置(S100)において、ある部品P1が不適切な供給部3に振り分けられた場合、この部品P1の実装に時間がかかり、部品実装システム100全体としての実装時間が長くなる不都合が生じ得る。そこで、本実施形態に係る配置支援方法では、提案ステップをもって部品P1の配置を確定するのではなく、提案ステップでの配置の提案を「仮配置」とし、その後の再配置ステップにて、複数の部品P1の配置の変更(修正)を可能とする。
【0156】
しかも、再配置ステップで再配置の対象となるのは、実装時間に関して特定条件を満たす供給部3、つまり、対象供給部に配置された部品P1である。さらに、再配置ステップで再配置の対象となるのは、特定条件を満たす対象供給部のみではなく、対象供給部とは別の供給部3である参照供給部に配置された部品P1を含んでいる。そのため、仮配置において別々の供給部3(対象供給部及び参照供給部)に配置された複数の部品P1をシャッフルすることが可能である。したがって、たとえ仮配置において、ある部品P1が不適切な供給部3に振り分けられた場合でも、再配置ステップにて、部品P1の再配置を行うことにより、例えば、実装時間が長くなる等の不都合を解消し得る。
【0157】
また、本実施形態に係る配置支援方法では、図5に示すように、特定ステップ(S201)及び再配置ステップ(S202~S204)を繰り返し実行することによって、実装時間が良化されるような部品P1の配置を模索する。本実施形態では、「実装時間の良化」は、部品実装システム100全体としての実装時間が短縮されることを意味する。つまり、配置支援方法は、図5に示すように、再配置ステップ(S202~S204)の後、実装時間が良化したか否かを判定する(S205)。そのため、再配置ステップにて作成された配置データD2は、出力部25からシミュレーション部26へ出力される。これにより、シミュレーション部26は、配置データD2に基づいてシミュレーションを行い、再配置後の「実装時間」を算出する。処理S205では、このようにして求められた実装時間に基づいて、実装時間が良化したか否かが判定される。
【0158】
ここで、配置支援方法は、実装時間が良化していなければ(S205:No)、再配置ステップで変更された部品P1の配置を、再配置ステップの前の状態、つまり「元の部品配置」に戻す(S206)。一方、実装時間が良化していれば(S205:Yes)、処理S206をスキップする。つまり、再配置を行ったことで、実装時間が良化しなければ再配置前の状態に戻すことにより、実装時間が良化する(短縮される)場合にのみ、再配置で得られた部品P1の配置を採用する。
【0159】
その後、配置支援方法は、再配置ステップの前の状態から、部品P1の移動があったか否かを判定する(S207)。再配置ステップにて、いずれかの部品P1の移動があれば(S207:Yes)、処理S201に戻る。一方、再配置ステップにて、いずれの部品P1も移動しなければ(S207:No)、再配置のための処理パートS200を終了する。すなわち、再配置ステップにおいて部品P1の配置を変更(修正)し得る限りは、再配置ステップにていずれかの部品P1の移動があるので(S207:Yes)、特定ステップ(S201)及び再配置ステップ(S202~S204)が繰り返し実行される。言い換えれば、再配置ステップにおいて実装時間が良化する部品P1の配置の変更(修正)パターンが尽きるまでは、特定ステップ(S201)及び再配置ステップ(S202~S204)が繰り返し実行される。
【0160】
図7は、再配置の様子を模式的に表す説明図である。図7では、仮配置で提案された複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置(振り分け)をベースに、第1~8の供給部31~38のうち第4の供給部34及び第6の供給部36に配置された複数の部品P1について再配置を行う様子を、概念的に表している。ここでは、一例として、第4の供給部34が「対象供給部」であって、第6の供給部36が「参照供給部」である場合を例とする。
【0161】
ここで、本実施形態では一例として、実装時間に関してボトルネックとなるような供給部3を、対象供給部とする。つまり、部品実装システム100は、複数の供給部3に配置される複数の部品P1を順次実装するところ、複数の供給部3のうち、部品P1の実装に最も時間がかかる供給部3が、実装時間に関してボトルネックとなる。すなわち、本実施形態では、特定条件は、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間(実装時間)が、複数の供給部3の中で最長であること、を含んでいる。図7の例では、部品実装システム100に仮配置で提案された配置を採用した場合に、複数の供給部3のうち第4の供給部34に配置された部品P1の実装に要する時間が最長であるため、第4の供給部34が対象供給部として抽出される。
【0162】
このように、特定ステップでは、複数の供給部3のうち、実装時間に関して特定条件を満たす供給部3が対象供給部として特定される。そのため、本実施形態では、仮配置において作成された配置データD2は、出力部25からシミュレーション部26へ出力される。これにより、シミュレーション部26は、配置データD2に基づいてシミュレーションを行い、「実装時間」を算出する。特定部23は、このようにして求められた実装時間に基づいて、特定条件を満たす供給部3(対象供給部)を抽出する。
【0163】
一方で、参照供給部は、複数の供給部3のうちの対象供給部(ここでは第4の供給部34)とは別の、任意の供給部3からなる。本実施形態では、複数の供給部3のうち、対象供給部(ここでは第4の供給部34)以外の、任意の1つの供給部3が、順次、参照供給部として選択されることと仮定する。図7の例では、複数の供給部3のうち第6の供給部36が参照供給部として選択された場合の、再配置の様子を表している。例えば、図7に示す再配置が完了すれば、次に、複数の供給部3のうち第7の供給部37が参照供給部として選択され、再配置が実行される。
【0164】
また、再配置ステップでは、図7に示すように、対象供給部(第4の供給部34)及び参照供給部(第6の供給部36)に配置された複数の部品P1を、一旦、未配置空間Sp0に移動させた後、改めて対象供給部及び参照供給部に振り分ける。つまり、仮配置において対象供給部及び参照供給部に配置された複数の部品P1は、一度、いずれの供給部3にも振り分けられていない状態、つまり未配置の状態に戻された後で、改めて対象供給部及び参照供給部に振り分けられる。すなわち、再配置ステップでは、対象供給部と参照供給部とについては、複数の部品P1の配置をリセットしてから、複数の部品P1の配置を改めて提案する。
【0165】
また、本実施形態に係る配置支援方法では、図7に示すように、再配置での複数の部品P1の配置(振り分け)においても、学習済みモデルM1が用いられる。本実施形態では、提案ステップと再配置ステップとの少なくとも一方では、学習済みモデルM1を用いて、複数の部品P1の配置を提案する。学習済みモデルM1は、「(3.2)学習済みモデル」の欄でも説明したように、複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3の特徴に対応付けて生成されたモデルである。特に、本実施形態では、提案ステップと再配置ステップとの両方において、それぞれ学習済みモデルM1を用いている。
【0166】
ここにおいて、本実施形態では、上述したように、部品P1の振り分け先によって、様々な学習済みモデルM1が用いられる。そのため、対象供給部としての第4の供給部34、及び参照供給部としての第6の供給部36を振り分け先とする再配置においては、仮配置(提案ステップ)で用いられた学習済みモデルM11~M17とは別の学習済みモデルM18が用いられる。結果的に、本実施形態では、提案ステップと再配置ステップとでは、複数の部品P1の配置を提案するためのアルゴリズムが異なることとなる。
【0167】
具体的には、再配置ステップで用いられる学習済みモデルM18は、2つの供給部3へ振り分けるべき複数の部品P1を、第4の供給部34及び第6の供給部36に振り分けるためのモデルである。学習済みモデルM18については、振り分け先には、捕捉部41の数が「16」である第4の供給部34、及び捕捉部41の数が「8」である第6の供給部36が含まれる。そのため、学習済みモデルM18は、捕捉部41の数として「16」及び「8」という2つの特徴を反映するように、これら2つの特徴に対応付けて生成されたモデルである。
【0168】
また、再配置ステップにおいても、提案ステップと同様に、実装時間を短くするように、複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置を提案する。すなわち、再配置ステップでは、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する実装時間を短くするように、対象供給部と参照供給部とに対する複数の部品P1の配置を提案する。
【0169】
さらに、本実施形態では、再配置ステップにおいても、提案ステップと同様に、複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置に際して、特定の供給部3に対する特定の部品P1の配置の可否を規定する制約条件が付されている。詳しくは「(3.2)学習済みモデル」の欄で説明した通りであるが、制約条件が付されることで、制約条件にて、特定の供給部3への配置が不可能であると規定された特定の部品P1については、再配置(振り分け)の対象から特定の供給部3が除外される。
【0170】
本実施形態に係る配置支援方法では、上述したように、再配置ステップにおいて実装時間が良化する部品P1の配置の変更パターンが尽きるまでは、特定ステップ(S201)及び再配置ステップ(S202~S204)が繰り返し実行される。そのため、実装時間に関して特定条件を満たす(ボトルネックとなる)供給部3(対象供給部)について、再配置を行った結果、別の供給部3が特定条件を満たすようになれば、別の供給部3を対象供給部として、再配置ステップが繰り返し行われる。一方、実装時間に関して特定条件を満たす(ボトルネックとなる)供給部3について、再配置を行った結果、同一の供給部3が特定条件を満たすままであれば、部品P1の配置の変更パターンが尽きたこととして、再配置のための処理パートS200を終了する。
【0171】
以上説明したように、本実施形態に係る配置支援方法は、取得ステップ(S101)、提案ステップ(S102~S10m)に加えて、再配置ステップ(S202~S204)を更に有している。再配置ステップは、提案ステップの後で、複数の供給部3に対する複数の部品P1の配置を提案するステップである。特に、本実施形態では、再配置ステップにおいても、強化学習で生成された学習済みモデルM1が用いられており、提案ステップで提案された配置よりも、実装時間をより短くするように、部品P1の配置を再提案することができる。
【0172】
さらに、本実施形態に係る配置支援方法は、提案ステップにおいて、多段方式を採用しているため、再配置ステップは、二次提案ステップの後で、複数の部品P1の配置を提案するステップとなる。そして、再配置ステップでは、少なくとも、部品実装システムでの生成物P3の生成に要する時間が、複数の供給部3の中で最長である供給部3について、複数の部品P1の配置を提案する。
【0173】
(4)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、本開示で参照する図面は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、実施形態1に係る配置支援方法と同様の機能は、配置支援システム20、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係るプログラムは、実施形態1に係る配置支援方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0174】
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0175】
本開示における配置支援システム20は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における配置支援システム20としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0176】
また、配置支援システム20における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは配置支援システム20に必須の構成ではない。配置支援システム20の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、配置支援システム20の少なくとも一部の機能は、クラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0177】
クラウド(又はサーバ)及びエッジ等の2つ以上のシステムに分散して実現され得る機能として、例えば、以下のような機能がある。
【0178】
1つ目の機能として、学習済みモデルM1の生成機能がある。すなわち、学習済みモデルM1の生成を、一のシステムで行い、この学習済みモデルM1を用いた配置支援方法(提案ステップ等)を、他のシステムで行うことが可能である。一例として、学習済みモデルM1の生成は、クラウド(又はサーバ)で行い、この学習済みモデルM1を用いた配置支援方法(提案ステップ等)は、エッジで行うことが可能である。この場合、クラウド等の一のシステムでは、配置支援方法に用いられる学習済みモデルを、複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3の特徴に対応付けて生成する、学習済みモデルの生成方法が具現化されることになる。
【0179】
2つ目の機能として、多段方式の部品P1の振り分けの機能がある。すなわち、一次提案ステップを、一のシステムで行い、二次提案ステップ以降(三次提案ステップ等を含む)を、他のシステムで行うことが可能である。一例として、一次提案ステップは、クラウド(又はサーバ)で行い、二次提案ステップ以降(三次提案ステップ等を含む)は、エッジで行うことが可能である。この場合、配置支援システム20は、エッジ等のシステムで具現化され、二次提案ステップ以降(三次提案ステップ等を含む)のみを実行する。要するに、配置支援システム20は、部品実装システム100に関して、複数の供給部3における複数の部品P1の配置の決定を支援する。部品実装システム100は、複数の供給部3に供給された複数の部品P1を対象物P2に実装することで生成物P3を生成する。配置支援システム20は、一次提案部221を備えず、二次提案部222を備える。二次提案部222は、複数の一次グループG11,G12の各々を、複数の二次グループG21~G24に分類した場合の、複数の二次グループG21~G24に対する複数の部品P1の配置を提案する。複数の二次グループG21~G24の各々は、複数の供給部3のうちの少なくとも1つの供給部3を含む。二次提案部222は、複数の一次グループG11,G12に対する複数の部品P1の配置の提案を受けて、複数の二次グループG21~G24に対する複数の部品P1の配置を提案する。ここで、複数の一次グループG11,G12に対する複数の部品P1の配置の提案は、配置支援システム20とは別のシステムであって、一次提案部221を備える別システム(クラウド又はサーバ等)にて行われる。つまり、配置支援システム20は、別システムから、複数の一次グループG11,G12に対する複数の部品P1の配置の提案を受けて、複数の二次グループG21~G24に対する複数の部品P1の配置を提案する。
【0180】
3つ目の機能として、再配置の機能がある。すなわち、提案ステップを、一のシステムで行い、特定ステップ及び再配置ステップを、他のシステムで行うことが可能である。一例として、提案ステップは、エッジで行い、特定ステップ及び再配置ステップは、クラウド(又はサーバ)で行うことが可能である。この場合、配置支援方法は、クラウド(又はサーバ)等のシステムで具現化され、特定ステップ及び再配置ステップのみを含む。要するに、配置支援方法は、部品実装システム100に関して、複数の供給部3における複数の部品P1の配置の決定を支援する方法である。部品実装システム100は、複数の供給部3に供給された複数の部品P1を対象物P2に実装することで生成物P3を生成する。配置支援方法は、提案ステップを有さず、特定ステップ及び再配置ステップを有する。特定ステップは、複数の供給部に対する前記複数の部品の配置の提案を受けて、提案された複数の部品P1の配置を採用した場合に、複数の供給部3のうち、特定条件を満たす供給部3を対象供給部として特定するステップである。特定条件は、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間に関しての条件である。再配置ステップは、対象供給部と、複数の供給部3のうちの対象供給部以外の少なくとも1つの供給部3からなる参照供給部とに対して、複数の部品P1の配置を提案するステップである。
【0181】
反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている配置支援システム20又は作業システム200の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、部品実装システム100と配置支援システム20とに分散されている一部の機能が、部品実装システム100に集約されてもよい。
【0182】
また、部品実装システム100の用途は、工場での電子機器の製造に限らない。例えば、ガラス板への機械部品の実装に部品実装システム100が用いられる場合、部品実装システム100は、対象物P2であるガラス板に対して、部品P1である機械部品を実装する作業を行う。
【0183】
また、実装ヘッド4に備わっている捕捉部41の数等は、実施形態1で説明した数に限らない。例えば、捕捉部41は17個以上であってもよい。もちろん、実装ヘッド4が捕捉部41を1つだけ備えていてもよい。実装ヘッド4はロータリヘッドであってもよい。
【0184】
また、複数台の実装機10のうちの少なくとも1台の実装機10は、供給部3を、1つだけ、又は3つ以上備えていてもよい。同様に、複数台の実装機10のうちの少なくとも1台の実装機10は、実装ヘッド4を、1つだけ、又は3つ以上備えていてもよい。
【0185】
また、実施形態1では、参照供給部は、複数の供給部3のうちの対象供給部以外の任意の供給部3からなるが、この例に限らない。例えば、実装時間に関して最も余裕がある供給部3を参照供給部としてもよい。つまり、部品実装システム100は、複数の供給部3に配置される複数の部品P1を順次実装するところ、複数の供給部3のうち、部品P1の実装にかかる時間が最も短い供給部3が、実装時間に関して最も余裕がある。すなわち、参照供給部は、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間が、複数の供給部3の中で最短である供給部3を含むことになる。この構成によれば、再配置において、実装時間に関してボトルネックとなる対象供給部と、実装時間に関して最も余裕がある参照供給部との間で、複数の部品P1をシャッフルすることが可能である。その結果、再配置により、実装時間の良化が図りやすくなる。
【0186】
また、対象供給部を特定するための特定条件は、実装時間に関する条件であればよく、実装時間が複数の供給部3の中で最長であること(供給部3がボトルネックとなること)に限らない。例えば、特定条件は、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間(実装時間)が、複数の供給部3の中でM番目(Mは「2」以上の整数)に長いことであってもよい。反対に、特定条件は、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間(実装時間)が、複数の供給部3の中で最短であること等であってもよい。このように、特定条件次第では、例えば、複数の供給部3において、部品実装システム100での生成物P3の生成に要する時間のばらつきを低減することも可能である。この場合に、例えば、特定の実装機10に負担が集中することを緩和できる。
【0187】
また、対象供給部は、1つの供給部3に限らず、2つ以上の供給部3であってもよい。同様に、参照供給部もまた、1つの供給部3に限らず、2つ以上の供給部3であってもよい。
【0188】
また、供給部3には、テープフィーダが取り付けられる構成に限らず、例えば、複数の部品P1が載せ置かれたトレイが設置されてもよい。さらに、部品実装システム100全体としては、例えば、テープフィーダが取り付けられる供給部3と、トレイが設置される供給部3と、が混在してもよい。
【0189】
また、配置支援方法が行う部品P1の「配置」の提案は、部品P1の配列の提案までであってもよい。この場合、配置支援方法では、複数の部品P1を複数に分割して、分割後の1つ以上の部品P1を、複数の供給部3のいずれかに割り当て、かつ各供給部3内での並び順(配列)まで規定する。その結果、1つの供給部3内に複数の部品P1が割り当てられる場合、これら複数の部品P1の並び順まで規定されることになる。
【0190】
また、学習済みモデルM1の事前学習は、配置支援システム20に限らず、他のシステムで実行されてもよい。この場合、配置支援システム20は、他のシステムで生成された学習済みモデルM1を用いて、提案部22及び再配置部24での部品P1の配置の提案を実行する。
【0191】
また、提案ステップと再配置ステップとの両方において、学習済みモデルM1を用いた部品P1の配置の提案が行われることは必須ではない。例えば、提案ステップと再配置ステップとのうち、提案ステップでのみ学習済みモデルM1を用いた部品P1の配置の提案が行われてもよいし、再配置ステップでのみ学習済みモデルM1を用いた部品P1の配置の提案が行われてもよい。さらに、提案ステップと再配置ステップとのいずれにおいても、学習済みモデルM1が用いられなくてもよい。すなわち、多段方式の部品P1の振り分け、及び再配置といった機能に関しては、学習済みモデルM1を用いなくても、実施形態1と同様の機能を実現可能である。
【0192】
また、実施形態1では、一次提案ステップ、二次提案ステップ及び三次提案ステップの全てで学習済みモデルM1を用いた部品P1の配置の提案が行われることは必須ではない。例えば、一次提案ステップ、二次提案ステップ及び三次提案ステップのうち、いずれか1つ又は2つのステップでのみ、学習済みモデルM1を用いた部品P1の配置の提案が行われてもよい。
【0193】
また、学習済みモデルM1の生成手段は、強化学習に限らず、例えば、「教師あり学習」等であってもよい。
【0194】
また、実施形態1に係る配置支援方法は、その全ての処理を1以上のプロセッサが実行する態様に限らず、少なくとも一部の処理に人が介在してもよい。例えば、制約条件の設定等の処理については、人がユーザインタフェース等を用いて行ってもよい。
【0195】
また、学習済みモデルM1の生成等に用いられる実装時間を求めるための手段は、シミュレーション部26でのシミュレーションに限らない。例えば、シミュレーションに代えて、多層ニューラルネットワークを用いた深層学習(ディープラーニング)により生成される分類器等を用いて、実装時間を求めてもよい。
【0196】
(実施形態2)
本実施形態に係る配置支援方法は、再配置のための処理パートS200(図5参照)が、実施形態1に係る配置支援方法と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0197】
すなわち、実施形態1では、再配置ステップにて部品P1の再配置を行うに際して、特定ステップにて特定条件を満たす供給部3(対象供給部)を特定した上で、対象供給部に配置されている部品P1を再配置の対象としている。そして、特定条件を満たす供給部3(対象供給部)について、再配置を行った結果、同一の供給部3が特定条件を満たすままであれば、部品P1の配置の変更パターンが尽きたこととして、再配置のための処理パートS200を終了する。
【0198】
これに対して、本実施形態では、実装時間に関して特定条件を満たす供給部3について、再配置を行った結果、同一の供給部3が特定条件を満たすままであっても、再配置のための処理パートS200を継続する。つまり、本実施形態に係る配置支援方法では、特定条件を満たす供給部3を対象供給部としての部品P1の配置の変更パターンが尽きても、他の供給部3を対象供給部として、再配置ステップを繰り返し行う。具体的には、特定条件を満たす供給部3を対象供給部としての部品P1の配置の変更パターンが尽きた後においては、特定条件を満たすか否かにかかわらず複数の供給部3のうちの任意の供給部3を、順次、対象供給部として選択する。
【0199】
結果的に、本実施形態に係る配置支援方法によれば、複数の供給部3の全てを対象として、再配置を行うことが可能であって、実施形態1に比較しても、更に適切な配置を見出すことが可能になる。
【0200】
実施形態2の変形例として、配置支援方法は、そもそも特定条件を満たす供給部3を対象供給部として特定する特定ステップを有さなくてもよい。この場合、配置支援方法は、再配置に際しては、特定条件を満たすか否かにかかわらず複数の供給部3のうちの任意の供給部3を、順次、対象供給部として選択する。
【0201】
実施形態2(変形例を含む)で説明した構成は、実施形態1で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
【0202】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る配置支援方法は、部品実装システム(100)に関して、複数の供給部(3)における複数の部品(P1)の配置の決定を支援する方法であって、取得ステップと、提案ステップと、を有する。部品実装システム(100)は、複数の供給部(3)に供給された複数の部品(P1)を対象物(P2)に実装することで生成物(P3)を生成するシステムである。取得ステップは、生成物(P3)に含まれる複数の部品(P1)に関する実装データ(D1)を取得するステップである。提案ステップは、学習済みモデル(M1)を用いて、部品実装システム(100)での生成物(P3)の生成に要する実装時間を短くするように、実装データ(D1)から、複数の供給部(3)に対する複数の部品(P1)の配置を提案するステップである。学習済みモデル(M1)は、複数の供給部(3)のうちの少なくとも1つの供給部(3)の特徴に対応付けて生成されたモデルである。
【0203】
この態様によれば、提案ステップでは、一義的に決められた配置を提案するのではなく、例えば、熟練者が行うような配置の「決め方」のスキルを学習済みモデル(M1)で実現することにより、適切な配置を、より簡単に見出すことが可能である。特に、学習済みモデル(M1)は、複数の供給部(3)のうちの少なくとも1つの供給部(3)の特徴に対応付けて生成されたモデルであるので、例えば、実装機(10)の性能又は仕様等を考慮して、複数の部品(P1)の配置が提案される。したがって、この配置支援方法では、改善された部品(P1)の配置の提案が可能である。
【0204】
第2の態様に係る配置支援方法では、第1の態様において、学習済みモデル(M1)は、複数の供給部(3)のうちの2つ以上の供給部(3)の特徴に対応付けて生成されたモデルを含む。
【0205】
この態様によれば、例えば、提案ステップで複数の部品(P1)を2つ以上の供給部(3)に振り分ける場合でも、振り分け先となる2つ以上の供給部(3)に合わせた学習済みモデル(M1)で、適切な配置を提案しやすくなる。
【0206】
第3の態様に係る配置支援方法では、第1又は2の態様において、学習済みモデル(M1)は、複数の供給部(3)の特徴を1以上の特徴群に分類した場合に、1以上の特徴群に対応付けて生成されたモデルを含む。
【0207】
この態様によれば、例えば、同じような特徴については1つの特徴群とすることで、多様な特徴の供給部(3)が存在する場合でも、供給部(3)に合わせた学習済みモデル(M1)で、適切な配置を提案しやすくなる。
【0208】
第4の態様に係る配置支援方法では、第1~3のいずれかの態様において、学習済みモデル(M1)は、強化学習を用いて生成される。
【0209】
この態様によれば、正解が明確でなく、かつ膨大な組み合わせに対する最適化が要求されるケースでの学習済みモデル(M1)の生成が容易になる。
【0210】
第5の態様に係る配置支援方法は、第1~4のいずれかの態様において、学習済みモデル(M1)を更新する更新ステップを更に有する。
【0211】
この態様によれば、配置支援方法の運用段階において、ユーザの要求に応じた適切な学習済みモデル(M1)を生成することが可能となる。
【0212】
第6の態様に係る配置支援方法では、第1~5のいずれかの態様において、学習済みモデル(M1)は、部品実装システム(100)により生成される生成物(P3)に関する情報に対応付けて生成されたモデルを含む。
【0213】
この態様によれば、供給部(3)の特徴だけでなく、生成物(P3)に固有の事情も反映した学習済みモデル(M1)が用いられるので、適切な配置を提案しやすくなる。
【0214】
第7の態様に係る配置支援方法では、第1~6のいずれかの態様において、提案ステップは、一次提案ステップと、二次提案ステップと、を含む。一次提案ステップは、複数の一次グループ(G11,G12)に対する複数の部品(P1)の配置を提案するステップである。二次提案ステップは、一次提案ステップの後で、複数の一次グループ(G11,G12)の各々を、複数の二次グループ(G21~G24)に分類した場合の、複数の二次グループ(G21~G24)に対する複数の部品(P1)の配置を提案するステップである。複数の二次グループ(G21~G24)の各々は、複数の供給部(3)のうちの少なくとも1つの供給部(3)を含む。
【0215】
この態様によれば、複数の部品(P1)の配置の提案が、複数の一次グループ(G11,G12)に部品(P1)を配置する一次提案ステップと、更に細かい複数の二次グループ(G21~G24)に部品(P1)を配置する二次提案ステップと、に分かれている。要するに、複数の部品(P1)の配置が、1段階の処理ではなく、階層的に設定された複数段階の処理で実現されるため、各段階において、複数の部品(P1)の適切な配置を導き出すための選択肢を少なく抑えることができる。その結果、各段階での複数の部品(P1)の配置を提案するための処理を簡略化することができる。したがって、この配置支援方法では、改善された部品(P1)の配置の提案が可能である。
【0216】
第8の態様に係る配置支援方法では、第7の態様において、一次提案ステップと二次提案ステップとでは、学習済みモデル(M1)が異なる。
【0217】
この態様によれば、一次提案ステップと二次提案ステップとの各々において適切な学習済みモデル(M1)を用いて、複数の部品(P1)の配置を提案できる。
【0218】
第9の態様に係る配置支援方法では、第7又は8の態様において、一次提案ステップと二次提案ステップとの少なくとも一方において、学習済みモデル(M1)を用いて複数の部品(P1)の配置を提案する。
【0219】
この態様によれば、一義的に決められた配置を提案するのではなく、例えば、熟練者が行うような配置の「決め方」のスキルを学習済みモデル(M1)で実現することにより、適切な配置を、より簡単に見出すことが可能である。
【0220】
第10の態様に係る配線支援方法では、第7~9のいずれかの態様において、三次提案ステップを更に有する。三次提案ステップは、二次提案ステップの後で、複数の二次グループ(G21~G24)の各々を、複数の三次グループ(G31~G38)に分類した場合の、複数の三次グループ(G31~G38)に対する複数の部品(P1)の配置を提案するステップである。複数の三次グループ(G31~G38)の各々は、複数の供給部(3)のうちの少なくとも1つの供給部(3)を含む。
【0221】
この態様によれば、複数の部品(P1)の配置の提案が、一次提案ステップ及び一次提案ステップに加えて、更に細かい複数の三次グループ(G31~G38)に部品(P1)を配置する三次提案ステップと、に分かれて実現される。その結果、各段階での複数の部品(P1)の配置を提案するための処理をより簡略化することができる。
【0222】
第11の態様に係る配置支援方法は、第1~10のいずれかの態様において、提案ステップの後で、複数の供給部(3)に対する複数の部品(P1)の配置を提案する再配置ステップを更に有する。
【0223】
この態様によれば、提案ステップで提案された複数の部品(P1)の配置が最適でない場合でも、再配置ステップにて、新たな複数の部品(P1)の配置を提案することができる。
【0224】
第12の態様に係る配線支援方法では、第11の態様において、再配置ステップでは、少なくとも、部品実装システム(100)での生成物(P3)の生成に要する時間が、複数の供給部(3)の中で最長である供給部(3)について、複数の部品(P1)の配置を提案する。
【0225】
この態様によれば、部品実装システム(100)での生成物(P3)の生成に要する時間に関してボトルネックとなる供給部(3)に配置された部品(P1)を対象に、再配置ステップにて、新たな複数の部品(P1)の配置を提案することができる。
【0226】
第13の態様に係る配置支援方法では、第1~12のいずれかの態様において、複数の供給部(3)に対する複数の部品(P1)の配置に際して、特定の供給部(3)に対する特定の部品(P1)の配置の可否を規定する制約条件が付されている。
【0227】
この態様によれば、制約条件にて、特定の供給部(3)への配置が不可能であると規定された特定の部品(P1)については、振り分けの対象から特定の供給部(3)を除外でき、配置の提案の簡略化が図りやすい。
【0228】
第14の態様に係る配置支援方法では、第13の態様において、制約条件による特定の供給部(3)に対する特定の部品(P1)の配置の可否の判断は、学習済みモデル(M1)を用いた複数の供給部(3)に対する複数の部品(P1)の配置の提案とは別に行われる。
【0229】
この態様によれば、複数の部品(P1)の適切な配置を導き出すための選択肢を少なく抑えることができる。
【0230】
第15の態様に係る学習済みモデルの生成方法は、第1~14のいずれかの配置支援方法に用いられる学習済みモデルを、複数の供給部(3)のうちの少なくとも1つの供給部(3)の特徴に対応付けて生成する。
【0231】
この態様によれば、改善された部品(P1)の配置の提案が可能である。
【0232】
第16の態様に係るプログラムは、第1~14のいずれかの態様に係る配置支援方法、又は第15の態様に係る学習済みモデルの生成方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0233】
この態様によれば、改善された部品(P1)の配置の提案が可能である。
【0234】
第17の態様に係る配置支援システム(20)は、部品実装システム(100)に関して、複数の供給部(3)における複数の部品(P1)の配置の決定を支援するシステムであって、取得部(21)と、提案部(22)と、を備える。部品実装システム(100)は、複数の供給部(3)に供給された複数の部品(P1)を対象物(P2)に実装することで生成物(P3)を生成するシステムである。取得部(21)は、生成物(P3)に含まれる複数の部品(P1)に関する実装データ(D1)を取得する。提案部(22)は、学習済みモデル(M1)を用いて、部品実装システム(100)での生成物(P3)の生成に要する実装時間を短くするように、実装データ(D1)から、複数の供給部(3)に対する複数の部品(P1)の配置を提案する。学習済みモデル(M1)は、複数の供給部(3)のうちの少なくとも1つの供給部(3)の特徴に対応付けられたモデルである。
【0235】
この態様によれば、改善された部品(P1)の配置の提案が可能である。
【0236】
第18の態様に係る配置支援システム(20)では、第17の態様において、提案部(22)は、一次提案部(221)と、二次提案部(222)と、を含む。一次提案部(221)は、複数の一次グループ(G11,G12)に対する複数の部品(P1)の配置を提案する。二次提案部(222)は、複数の一次グループ(G11,G12)の各々を、複数の二次グループ(G21~G24)に分類した場合の、複数の二次グループ(G21~G24)に対する複数の部品(P1)の配置を提案する。複数の二次グループ(G21~G24)の各々は、複数の供給部(3)のうちの少なくとも1つの供給部(3)を含む。
【0237】
この態様によれば、改善された部品(P1)の配置の提案が可能である。
【0238】
第19の態様に係る配置支援システム(20)では、第17の態様において、提案部(22)は、二次提案部(222)を含む。二次提案部(222)は、複数の一次グループ(G11,G12)の各々を、複数の二次グループ(G21~G24)に分類した場合の、複数の二次グループ(G21~G24)に対する複数の部品(P1)の配置を提案する。複数の二次グループ(G21~G24)の各々は、複数の供給部(3)のうちの少なくとも1つの供給部(3)を含む。二次提案部(222)は、複数の一次グループ(G11,G12)に対する複数の部品(P1)の配置の提案を受けて、複数の二次グループ(G21~G24)に対する複数の部品(P1)の配置を提案する。
【0239】
この態様によれば、改善された部品(P1)の配置の提案が可能である。
【0240】
第20の態様に係る作業システム(200)は、第17~19のいずれかの態様に係る配置支援システム(20)と、部品実装システム(100)と、を備える。部品実装システム(100)は、配置支援システム(20)で提案された複数の部品(P1)の配置で用いられ、生成物(P3)を生成する。
【0241】
この態様によれば、改善された部品(P1)の配置の提案が可能である。
【0242】
上記態様に限らず、実施形態1及び実施形態2に係る配置支援方法の種々の態様(変形例を含む)は、配置支援システム(20)、作業システム(200)、プログラム及びプログラムを記録した非一時的記録媒体にて具現化可能である。
【0243】
第2~14の態様に係る構成については、配置支援方法に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0244】
第17又は18に係る構成については、配置支援システム(20)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0245】
3 供給部
20 配置支援システム
21 取得部
22 提案部
100 部品実装システム
200 作業システム
221 一次提案部
222 二次提案部
D1 実装データ
M1 学習済みモデル
G11,G12 一次グループ
G21~G24 二次グループ
G31~G38 三次グループ
P1 部品
P2 対象物
P3 生成物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7