(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02N 2/04 20060101AFI20240517BHJP
C08L 27/08 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H02N2/04
C08L27/08
(21)【出願番号】P 2020187030
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2023-10-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518385899
【氏名又は名称】AssistMotion株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(72)【発明者】
【氏名】橋本 稔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彩
(72)【発明者】
【氏名】正村 欣生
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-074419(JP,A)
【文献】特開2020-096470(JP,A)
【文献】特開2020-122095(JP,A)
【文献】特開2015-223049(JP,A)
【文献】特開2015-171225(JP,A)
【文献】特開2012-023843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 1/00-99/00
C08L 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ塩化ビニルおよび可塑剤を含有して誘電性を有するポリ塩化ビニル系材料で形成されて常温においてゲル状態を呈するポリ塩化ビニル系成形体の両面にそれぞれ対向するように陽極および陰極が配置され、前記陽極および前記陰極を介した前記ポリ塩化ビニル系成形体に対する電圧印加時の当該ポリ塩化ビニル系成形体の変形に伴って発生する力を駆動力として用いるアクチュエータであって、
前記電圧印加時の前記ポリ塩化ビニル系成形体の変形の特性を維持しつつ前記陽極と前記陰極との接触を防止するセパレータを当該陰極と当該ポリ塩化ビニル系成形体との間に配置したことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記セパレータは、非導電性を有する不織布で形成されていることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記セパレータは、非導電性を有する紙で形成されていることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記セパレータは、高分子フィブリルで形成されていることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記セパレータに前記ポリ塩化ビニル系材料が含浸されていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記ポリ塩化ビニル系成形体は、前記セパレータに含浸させた前記ポリ塩化ビニル系材料が当該セパレータの一面側に浸出してゲル状態を呈するゲル膜として当該セパレータと一体に形成されていることを特徴とする請求項5記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ塩化ビニル系成形体を備えたアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のアクチュエータとして、下記特許文献1に開示されたゲルアクチュエータが知られている。このゲルアクチュエータは、導電材で形成されたメッシュ体と、メッシュ体を挟んで対向配置された一対のゲルと、各ゲルのそれぞれの外面に配置された一対の電極とを備えて構成されている。また、このゲルアクチュエータは、各電極とメッシュ体との間に電圧を印加しない状態においては、各ゲルの対向面が離間し、各電極とメッシュ体との間に電圧を印加すると、各ゲルの一部がメッシュ体のメッシュ孔に入り込む。このように、このゲルアクチュエータは、電圧の印加操作によって厚さ方向に変位するアクチュエータとして機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した従来のゲルアクチュエータには、解決すべき以下の課題がある。具体的には、従来のゲルアクチュエータでは、十分な変位量(収縮量)で作動させるためには、高電圧を印加する必要がある。一方、このゲルアクチュエータでは、変位量を得るためには、ゲルを薄膜化してメッシュ体、ゲルおよび電極を積層する必要がある。このため、このゲルアクチュエータでは、ゲルアクチュエータに荷重が加わったときに、薄膜化したゲルが圧縮されてメッシュ体と電極とが近接または接触して両者が短絡するおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、短絡を防止し得るアクチュエータを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載のアクチュエータは、ポリ塩化ビニルおよび可塑剤を含有して誘電性を有するポリ塩化ビニル系材料で形成されて常温においてゲル状態を呈するポリ塩化ビニル系成形体の両面にそれぞれ対向するように陽極および陰極が配置され、前記陽極および前記陰極を介した前記ポリ塩化ビニル系成形体に対する電圧印加時の当該ポリ塩化ビニル系成形体の変形に伴って発生する力を駆動力として用いるアクチュエータであって、前記電圧印加時の前記ポリ塩化ビニル系成形体の変形の特性を維持しつつ前記陽極と前記陰極との接触を防止するセパレータを当該陰極と当該ポリ塩化ビニル系成形体との間に配置したことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2記載のアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、前記セパレータは、非導電性を有する不織布で形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3記載のアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、前記セパレータは、非導電性を有する紙で形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4記載のアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、前記セパレータは、高分子フィブリルで形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5記載のアクチュエータは、請求項2から4のいずれかに記載のアクチュエータにおいて、前記セパレータに前記ポリ塩化ビニル系材料が含浸されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6記載のアクチュエータは、請求項5記載のアクチュエータにおいて、前記ポリ塩化ビニル系成形体は、前記セパレータに含浸させた前記ポリ塩化ビニル系材料が当該セパレータの一面側に浸出してゲル状態を呈するゲル膜として当該セパレータと一体に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るアクチュエータによれば、陰極とポリ塩化ビニル系成形体との間にセパレータを配置したことにより、ポリ塩化ビニル系成形体に対する電圧印加時のポリ塩化ビニル系成形体の変形の特性を維持しつつ陽極と陰極との接触を防止することができるため、陽極と陰極との短絡を確実に防止することができる。
【0013】
また、本発明に係るアクチュエータによれば、非導電性繊維を用いた不織布でセパレータを形成したことにより、陽極と陰極との接触の防止を低コストで実現することができる。
【0014】
また、本発明に係るアクチュエータによれば、非導電性を有する紙でセパレータを形成したことにより、陽極と陰極との接触の防止を低コストで実現することができる。
【0015】
また、本発明に係るアクチュエータによれば、高分子フィブリルでセパレータを形成したことにより、セパレータを薄膜化できるため、アクチュエータを全体として薄く構成することができる。
【0016】
また、本発明に係るアクチュエータによれば、セパレータにポリ塩化ビニル系材料を含浸させたことにより、セパレータにポリ塩化ビニル系材料を含浸させていない構成と比較して、電圧印加時のポリ塩化ビニル系成形体の変形の特性の低下を確実に防止することができるため、アクチュエータの性能の低下を回避しつつ陽極と陰極との短絡を確実に防止することができる。
【0017】
また、本発明に係るアクチュエータによれば、ポリ塩化ビニル系成形体を、セパレータに含浸させたポリ塩化ビニル系材料をセパレータの一面側に浸出させてゲル状態を呈するゲル膜としてセパレータと一体に形成したことにより、セパレータとポリ塩化ビニル系成形体とを別体に形成する構成と比較して、陽極、ポリ塩化ビニル系成形体、セパレータおよび陰極を積層してアクチュエータを組み立てる際の組立て効率を十分に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】アクチュエータ10の構成を示す構成図である。
【
図2】アクチュエータ10の構成を示す断面図である。
【
図3】アクチュエータ10の製造方法50を示すフローチャートである。
【
図4】アクチュエータ10の絶縁性能試験の結果を示す結果図である。
【
図5】アクチュエータ10の特性試験の結果を示す第1の特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るアクチュエータの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0020】
最初に、
図1に示すアクチュエータ10の構成について説明する。アクチュエータ10は本発明に係るアクチュエータの一例であって、
図1,2に示すように、陽極11、陰極12、PVCゲルシート13およびセパレータ14を備えて構成されている。
【0021】
陽極11は、導電性を有するメッシュシート(一例として、ステンレスメッシュシート)で構成されている。また、本実施例では、陽極11は、一例として、
図1に示すように、円形に形成されている。
【0022】
陰極12は、導電性を有するシート(一例として、アルミシート)で構成されている。また、本実施例では、陰極12は、
図1に示すように、陽極11と同様の円形に形成されている。
【0023】
PVCゲルシート13は、ポリ塩化ビニル系成形体の一例であって、ポリ塩化ビニル(PVC)および可塑剤を含有して誘電性を有するポリ塩化ビニル系材料で形成されて常温においてゲル状態を呈している。また、本実施例では、PVCゲルシート13は、
図1に示すように、陽極11と同様の円形に形成されている。また、PVCゲルシート13は、後述する製造方法50(
図3参照)によって製造される。このPVCゲルシート13は、電圧の供給によって厚さ方向に変形する特性を有している。
【0024】
この場合、PVCゲルシート13は、アジピン酸ジブチル(DBA)、アジピン酸ジエチル(DEA)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、セバシン酸ジエチル(DESeb)、セバシン酸ジオクチル(DOSeb)、コハク酸ジエチル(DESU)、およびフタル酸ジブチル(DBP)のうちの1種類または複数種類を、ポリ塩化ビニル100重量部に対して合計で100~1000重量部含有するポリ塩化ビニル系材料で形成されている。
【0025】
セパレータ14は、陰極12とPVCゲルシート13との間に配置されて、電圧印加時のPVCゲルシート13の変形特性を維持しつつ陽極11と陰極12との接触を防止する機能を有している。この場合、セパレータ14は、非導電性を有する(例えば、樹脂繊維で形成された)不織布41で形成されている。また、セパレータ14は、
図1に示すように、陽極11と同様の円形に形成されている。
【0026】
また、本実施例では、PVCゲルシート13を構成するポリ塩化ビニル系材料と同じポリ塩化ビニル系材料を不織布41に含浸させると共に、PVCゲルシート13とセパレータ14とが一体に形成されている。具体的には、PVCゲルシート13は、後述する製造方法において、セパレータ14を構成する不織布41にポリ塩化ビニル系材料を含浸させると共に、不織布41の一面側にポリ塩化ビニル系材料を浸出させ、このポリ塩化ビニル系材料を乾燥することによってゲル状態を呈するゲル膜としてのPVCゲルシート13を不織布41の一面側に形成することによってPVCゲルシート13とセパレータ14とが一体に形成されている。
【0027】
また、本実施例では、アクチュエータ10は、
図1に示すように、1枚の陽極11と、2枚の陰極12と、各電極11,12の上面および下面に配置された2枚のPVCゲルシート13と、PVCゲルシート13および陽極11の間に配置された2枚のセパレータ14とを積層することによって形成されている。
【0028】
このアクチュエータ10では、電極11,12間に挟まれたPVCゲルシート13に対して電極11,12を介して電圧を供給しているときに、PVCゲルシート13が陽極11を構成するメッシュの隙間に進入するように変形することで厚み方向に収縮する。また、PVCゲルシート13に対する電圧の供給を停止したときに、PVCゲルシート13の復元(変形の解除)による力を伴ってPVCゲルシート13が厚み方向に伸長する。つまり、このアクチュエータ10では、PVCゲルシート13の変形に伴って発生する力を駆動力F(
図1参照)として出力することが可能となっている。ここで、アクチュエータ10が発生する駆動力Fは、陽極11、陰極12およびPVCゲルシート13の面積に比例(または、ほぼ比例)し、アクチュエータ10の変位量(伸縮量)は、陽極11、PVCゲルシート13、セパレータ14および陰極12を1枚ずつこの順番で積層したものを1ユニットとしたときのユニットの積層数に比例(または、ほぼ比例)する。
【0029】
次に、アクチュエータ10の製造方法について、
図3に示す製造方法50のフローチャートを参照して説明する。
【0030】
この製造方法50では、まず、溶剤を計量して、攪拌容器に投入する(ステップ51)。溶剤としては、テトラヒドロフランおよびシクロヘキサンのいずれか1種類を用いることができる。また、溶剤は、ポリ塩化ビニル100重量部に対して600~1000重量部の範囲内で用いるのが好ましく、本実施例では、ポリ塩化ビニル100重量部に対して溶剤を800重量部用いる。
【0031】
続いて、ポリ塩化ビニルを計量し、溶剤が投入されている攪拌容器に攪拌しつつ投入する(ステップ52)。本実施例では、溶剤800重量部に対して100重量部のポリ塩化ビニルを計量して投入する。
【0032】
続いて、溶剤とポリ塩化ビニルとが十分に混合(溶解)した状態で、可塑剤を計量して、溶剤とポリ塩化ビニルとが投入されている攪拌容器に攪拌しつつ投入する(ステップ53)。可塑剤としては、アジピン酸ジブチル(DBA)、アジピン酸ジエチル(DEA)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、セバシン酸ジエチル(DESeb)、セバシン酸ジオクチル(DOSeb)、コハク酸ジエチル(DESU)、フタル酸ジブチル(DBP)のうちの1種類または複数種類を用いることができる。また、可塑剤は、ポリ塩化ビニル100重量部に対して100~1000重量部の範囲内で用いるのが好ましく、本実施例では、ポリ塩化ビニル100重量部に対して可塑剤を400重量部用いる。
【0033】
次いで、溶剤、ポリ塩化ビニルおよび可塑剤(これらの混合物)が収容された攪拌容器を脱泡装置にセットして脱泡処理を実行する(ステップ54)。これにより、ポリ塩化ビニル系材料が作製される。続いて、円形に裁断した不織布41をガラス板上に載置し、脱泡処理の終了したポリ塩化ビニル系材料を不織布41の上面(一面)側から塗布する(ステップ55)。この際に、塗布したポリ塩化ビニル系材料の一部は不織布41に含浸し、残りのポリ塩化ビニル系材料は、不織布41の上面に残留(浸出)した状態に維持される。
【0034】
次いで、ポリ塩化ビニル系材料を塗布した不織布41を乾燥して溶剤を蒸発させる乾燥処理を実行する(ステップ56)。これにより、PVCゲルシート13およびセパレータ14が一体に形成される。続いて、
図1に示すように、1枚の陽極11、2枚の陰極12、2枚のPVCゲルシート13、および2枚のセパレータ14を積層する積層工程を行う(ステップ57)。以上により、アクチュエータ10の製造が完了する。
【0035】
次に、アクチュエータ10の絶縁性能試験および特性試験について説明する。
【0036】
まず、アクチュエータ10の絶縁性能試験について説明する。この絶縁性能試験では、実施例として、上述した製造方法でアクチュエータ10を製造した。また、比較例として、セパレータ14を備えていないアクチュエータ10を製造した。また、この絶縁性能試験では、実施例および比較例の各アクチュエータ10に加える荷重の大きさを変更しつつ陽極11と陰極12との間の抵抗値を測定し、陽極11と陰極12とが短絡したときの荷重の大きさを記録した。
【0037】
この絶縁性能試験の結果を
図4に示す。同図から、セパレータ14を備えた実施例のアクチュエータ10は、セパレータ14を備えていない比較例のアクチュエータ10と比較して、荷重に対して十分な絶縁性能を有していることが明らかである。つまり、陰極12とPVCゲルシート13との間にセパレータ14を配置したことで、アクチュエータ10に荷重が加わったときの陽極11と陰極12との短絡の発生を確実に防止ができることが理解される。
【0038】
次に、アクチュエータ10の特性試験について説明する。特性試験では、実施例および比較例の各アクチュエータ10に対して直流電圧を供給したときの厚み方向の変位量(収縮量)を複数の電圧値について測定した。この場合、この特性試験では、陽極11、PVCゲルシート13、セパレータ14および陰極12を1枚ずつこの順番で積層したユニットを10ユニット積層したアクチュエータ10を実施例とし、陽極11、PVCゲルシート13および陰極12を1枚ずつこの順番で積層したユニットを10ユニット積層したアクチュエータ10を比較例とした。
【0039】
特性試験の結果を
図5に示す。
図5から、セパレータ14を備えた実施例のアクチュエータ10は、セパレータ14を備えていない比較例のアクチュエータ10と比較して、変位量が6%程度低下することが判る。つまり、セパレータ14を備えたことによって変位量が低下するものの、その低下率は僅かであることが理解される。
【0040】
このように、このアクチュエータ10によれば、陰極12とPVCゲルシート13との間にセパレータ14を配置したことにより、PVCゲルシート13に対する電圧印加時のPVCゲルシート13の変形の特性を維持しつつ陽極11と陰極12との接触を防止することができるため、陽極11と陰極12との短絡を確実に防止することができる。
【0041】
また、このアクチュエータ10によれば、非導電性繊維を用いた不織布41を備えてセパレータ14を形成したことにより、陽極11と陰極12との接触の防止を低コストで実現することができる。
【0042】
また、このアクチュエータ10によれば、不織布41にポリ塩化ビニル系材料を含浸させてセパレータ14を形成したことにより、不織布41だけでセパレータ14を形成する構成と比較して、電圧印加時のPVCゲルシート13の変形の特性の低下を確実に防止することができるため、アクチュエータ10の性能の低下を回避しつつ陽極11と陰極12との短絡を確実に防止することができる。
【0043】
また、このアクチュエータ10によれば、PVCゲルシート13を、不織布41に含浸させたポリ塩化ビニル系材料を不織布の一面側に浸出させてゲル状態を呈するゲル膜としてセパレータ14と一体に形成したことにより、セパレータ14とPVCゲルシート13とを別体に形成する構成と比較して、陽極11、PVCゲルシート13、セパレータ14および陰極12を積層してアクチュエータ10を組み立てる際の組立て効率を十分に向上させることができる。
【0044】
なお、上述したアクチュエータ10は、本発明に係るアクチュエータの一例であって、適宜変更した構成を採用することができる。例えば、上述したアクチュエータ10では、PVCゲルシート13とセパレータ14とを一体に形成した構成を採用しているが、PVCゲルシート13とセパレータ14とを別体に形成した構成を採用することもできる。また、ポリ塩化ビニル系材料を不織布41に含浸させたセパレータ14に代えて、ポリ塩化ビニル系材料を含浸させていない不織布41をセパレータ14として用いることもできる。また、非導電性を有する不織布41に代えて、非導電性を有する紙や高分子フィブリルで形成されたセパレータ14を用いることもできる。
【0045】
また、上述したアクチュエータ10は、1枚の陽極11、2枚の陰極12、2枚のPVCゲルシート13および2枚のセパレータ14を備えて構成されているが、アクチュエータ10を構成する陽極11、陰極12、PVCゲルシート13およびセパレータ14の数(上述したユニットの積層数)は任意に規定することができる。
【0046】
また、上述したアクチュエータ10の構成では、陽極11、陰極12、PVCゲルシート13およびセパレータ14が円形に形成されているが、他の平面視形状(例えば、楕円形や多角形)の陽極11、陰極12、PVCゲルシート13およびセパレータ14を採用することもできる。
【符号の説明】
【0047】
10 アクチュエータ
11 陽極
12 陰極
13 PVCゲルシート
14 セパレータ
41 不織布
F 駆動力