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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】蓄電パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6554 20140101AFI20240517BHJP
   H01G 2/08 20060101ALI20240517BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20240517BHJP
   H01G 11/18 20130101ALI20240517BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240517BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240517BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240517BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20240517BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20240517BHJP
【FI】
H01M10/6554
H01G2/08
H01G11/10
H01G11/18
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/651
H01M10/658
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021548899
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(86)【国際出願番号】 JP2020035650
(87)【国際公開番号】W WO2021060222
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-07-04
(31)【優先権主張番号】P 2019176098
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】藏満 和輝
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-046578(JP,A)
【文献】国際公開第2018/025567(WO,A1)
【文献】特開2015-233017(JP,A)
【文献】国際公開第2018/012349(WO,A1)
【文献】特開2017-050164(JP,A)
【文献】特開2019-139879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6554
H01G 2/08
H01G 11/10
H01G 11/18
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/647
H01M 10/651
H01M 10/658
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に配列される複数の蓄電装置および前記複数の蓄電装置を拘束する拘束部材を有する複数の蓄電モジュールと、
前記複数の蓄電モジュールの間で熱を移動させる伝熱部材と、を備え、
前記複数の蓄電モジュールは、少なくとも第1蓄電モジュールおよび第2蓄電モジュールを含み、
前記伝熱部材は、
前記第1蓄電モジュールの前記第1方向に対して平行な面に熱的に接続される第1接続部と、
前記第2蓄電モジュールの前記第1方向に対して平行な面に熱的に接続される第2接続部と、
前記第1接続部および前記第2接続部を熱的に接続する連結部と、を有し、
前記第1接続部および前記第2接続部は、互いに前記第1方向にずれて配置され、
前記伝熱部材は、前記第1接続部および前記第2接続部をそれぞれ複数有し、
複数の前記第1接続部および複数の前記第2接続部は、前記第1方向において交互に配列され、
前記第1蓄電モジュールおよび前記第2蓄電モジュールはそれぞれ、互いに同じ方向を向く第2面を有し、
前記伝熱部材は、2つの前記第2面と重なるように配置され、
前記連結部は、前記伝熱部材と前記第2面とが重なる方向から見て前記第1蓄電モジュールおよび前記第2蓄電モジュールの間で前記第1方向に延び、
複数の前記第1接続部は、前記連結部から前記第1蓄電モジュール側に突出して前記第1蓄電モジュールの前記第2面に接続され、
複数の前記第2接続部は、前記連結部から前記第2蓄電モジュール側に突出して前記第2蓄電モジュールの前記第2面に接続される、
蓄電パック。
【請求項2】
前記第1接続部と前記第2接続部とは、蓄電装置1つ分以上ずれて配置される、
請求項1に記載の蓄電パック。
【請求項3】
複数の前記第1接続部は、隣り合う2つの前記第1接続部が前記第1方向で1つの前記蓄電装置を挟むように間隔をあけて配列され、
複数の前記第2接続部は、隣り合う2つの前記第2接続部が前記第1方向で1つの前記蓄電装置を挟むように間隔をあけて配列される、
請求項1または2に記載の蓄電パック。
【請求項4】
複数の前記第1接続部は、前記第1蓄電モジュールの前記第2面に対して平行な面を有し、
複数の前記第2接続部は、前記第2蓄電モジュールの前記第2面に対して平行な面を有する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蓄電パック。
【請求項5】
前記蓄電パックは、少なくとも第1伝熱部材および第2伝熱部材を含む複数の前記伝熱部材を備え、
前記第1伝熱部材の複数の前記第2接続部は、前記第2蓄電モジュールの一部の蓄電装置に熱的に接続され、
前記第2伝熱部材の複数の前記第1接続部は、前記第2蓄電モジュールの他の一部の蓄電装置に熱的に接続されるとともに、前記第1伝熱部材の前記連結部を挟んで前記第1伝熱部材の前記第1接続部と対向する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蓄電パック。
【請求項6】
第1方向に配列される複数の蓄電装置および前記複数の蓄電装置を拘束する拘束部材を有する複数の蓄電モジュールと、
前記複数の蓄電モジュールの間で熱を移動させる伝熱部材と、を備え、
前記複数の蓄電モジュールは、少なくとも第1蓄電モジュールおよび第2蓄電モジュールを含み、
前記伝熱部材は、
前記第1蓄電モジュールの前記第1方向に対して平行な面に熱的に接続される第1接続部と、
前記第2蓄電モジュールの前記第1方向に対して平行な面に熱的に接続される第2接続部と、
前記第1接続部および前記第2接続部を熱的に接続する連結部と、を有し、
前記第1接続部および前記第2接続部は、互いに前記第1方向にずれて配置され、
前記拘束部材は、前記第1方向に延びる本体部と、
前記本体部に設けられる貫通孔、凹部または隙間を有し、
前記伝熱部材の一部分は、前記貫通孔、前記凹部または前記隙間に収容される
電パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電パックに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用等の、高い出力電圧が要求される電源として、複数個の蓄電装置(例えば電池)が直列接続された蓄電モジュールが知られている。一般に蓄電モジュールは、複数の蓄電装置と、隣接する蓄電装置間に配置される複数のセパレータと、蓄電装置の配列方向における両端に配置される一対のエンドプレートと、一対のエンドプレート間に掛け渡されて複数の蓄電装置を配列方向に拘束するバインドバーと、を備えていた。また、一般に蓄電モジュールは、筐体に複数収容されて蓄電パックの状態で車両等に搭載されていた
(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-181972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に蓄電装置は、種々の要因で発熱する場合がある。複数の蓄電装置が配列された蓄電モジュールでは、任意の蓄電装置の温度が過度に上昇し、その熱が隣接する蓄電装置にも伝わってこの隣接する蓄電装置の温度も過度に上昇するという、過熱の連鎖が生じるおそれがある。過熱の連鎖が生じると、蓄電モジュールの性能が低下してしまう。特に、近年は蓄電装置の高容量化が進んでおり、蓄電装置の発熱量も増加する傾向にある。このため、過熱の連鎖による蓄電モジュールの性能低下に対する対策がますます望まれる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、蓄電モジュールの性能低下を抑制するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様は、蓄電パックである。この蓄電パックは、第1方向に配列される複数の蓄電装置および複数の蓄電装置を拘束する拘束部材を有する複数の蓄電モジュールと、複数の蓄電モジュールの間で熱を移動させる伝熱部材と、を備える。複数の蓄電モジュールは、少なくとも第1蓄電モジュールおよび第2蓄電モジュールを含む。伝熱部材は、第1蓄電モジュールの第1方向に対して平行な面に熱的に接続される第1接続部と、第2蓄電モジュールの第1方向に対して平行な面に熱的に接続される第2接続部と、第1接続部および第2接続部を熱的に接続する連結部と、を有し、第1接続部および第2接続部は、互いに第1方向にずれて配置される。
【0007】
以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、蓄電モジュールの性能低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る蓄電パックの分解斜視図である。
図2】蓄電モジュールの分解斜視図である。
図3】蓄電パックの一部分の水平断面図である。
図4】実施の形態2に係る蓄電パックの一部分の水平断面図である。
図5】変形例に係る蓄電パックの一部分の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、本開示を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも本開示の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る蓄電パックの分解斜視図である。蓄電パック1は、ケース2と、複数の蓄電モジュール4と、伝熱部材6と、冷却プレート8と、を備える。
【0012】
ケース2は、開口を有する容器状のケース本体2aと、ケース本体2aの開口を塞ぐ蓋体2bと、を含む。ケース本体2aには、複数の蓄電モジュール4、伝熱部材6および冷却プレート8が収容される。ケース本体2aと蓋体2bとは、ねじ止め等により互いに固定される。また、ケース2は、車体等の取り付け対象(図示せず)に対し、ねじ止め等により固定される。
【0013】
複数の蓄電モジュール4は、少なくとも第1蓄電モジュール4aおよび第2蓄電モジュール4bを含む。本実施の形態の蓄電パック1は、第1蓄電モジュール4aおよび第2蓄電モジュール4bに加えて、第3蓄電モジュール4cを有する。なお、蓄電モジュール4の数は、2つ以上であれば特に限定されない。以下では適宜、第1蓄電モジュール4a~第3蓄電モジュール4cを区別する必要がない場合、まとめて蓄電モジュール4と称する。
【0014】
蓄電モジュール4は、第1方向Xに配列される複数の蓄電装置10が拘束部材12によって拘束された構造を有する。図2は、蓄電モジュール4の分解斜視図である。蓄電モジュール4は、電池積層体14と、一対の拘束部材12と、を有する。電池積層体14は、複数の蓄電装置10と、複数のセパレータ16と、一対のエンドプレート18と、を有する。
【0015】
各蓄電装置10は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池等の充電可能な二次電池や、電気二重層キャパシタなどのキャパシタである。本実施の形態の蓄電装置10は、いわゆる角形電池であり、扁平な直方体形状の筐体20を有する。筐体20は、外装缶22および封口板24で構成される。外装缶22は、一面に略長方形状の開口を有し、この開口を介して電極体や電解液等が外装缶22に収容される。電極体は、それぞれシート状である、複数の正極、複数の負極および複数の多孔質セパレータが、積層された構造を有する。積層体において、多孔質セパレータは正極と負極の間に配置されている。また、各正極と各負極とは、積層体の端部から封口体へ向かって延びるリードを有する。このリードが直接または集電部材を介して、後述する出力端子26に接続される。なお、電極体は、帯状の正極と帯状の負極と帯状のセパレータとが巻回された構造を有する巻回体であってもよい。外装缶22は、シュリンクチューブ等の図示しない絶縁フィルムで被覆されてもよい。外装缶22の表面を絶縁フィルムで被覆することで、隣り合う蓄電装置10間の短絡と、蓄電装置10とエンドプレート18、拘束部材12および冷却プレート8のそれぞれとの間の短絡とを抑制することができる。外装缶22の開口には、開口を塞いで外装缶22を封止する封口板24が設けられる。
【0016】
封口板24には、長手方向の一端寄りに電極体の正極と電気的に接続される出力端子26が設けられ、他端寄りに電極体の負極と電気的に接続される出力端子26が設けられる。以下では適宜、正極に接続される出力端子26を正極端子26aと称し、負極に接続される出力端子26を負極端子26bと称する。また、一対の出力端子26の極性を区別する必要がない場合、正極端子26aと負極端子26bとをまとめて出力端子26と称する。外装缶22および封口板24は導電体であり、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス等の金属で構成される。外装缶22と封口板24とは、例えばレーザー、摩擦攪拌接合、ろう接等で接合される。あるいは、外装缶22および封口板24は、絶縁性の樹脂で構成される。
【0017】
外装缶22は、封口板24と対向する底面と、開口および底面をつなぐ4つの側面とを有する。4つの側面のうち2つは、開口の対向する2つの長辺に接続される一対の長側面である。各長側面は、外装缶22が有する面のうち面積の最も大きい面、すなわち主表面である。2つの長側面を除いた残り2つの側面は、外装缶22の開口および底面の短辺と接続される一対の短側面である。
【0018】
本実施の形態の説明では、便宜上、外装缶22の底面、長側面および短側面を、それぞれ筐体20あるいは蓄電装置10の底面、長側面および短側面とする。また、封口板24を筐体20あるいは蓄電装置10の上面とする。また、蓄電モジュール4において、蓄電装置10の上面側の面を蓄電モジュール4の上面とし、蓄電装置10の底面側の面を蓄電モジュール4の底面とし、蓄電装置10の短側面側の面を蓄電モジュール4の側面とする。また、蓄電モジュール4の上面側を鉛直方向上方とし、蓄電モジュール4の底面側を鉛直方向下方とする。これらの方向および位置は、便宜上規定したものである。したがって、例えば、本開示において上面と規定された部分は、底面と規定された部分よりも必ず上方に位置することを意味するものではない。よって、封口板24は、外装缶22の底面よりも上方に位置するとは限らない。また、以下では、2つの出力端子26が並ぶ方向を第2方向Yとし、蓄電装置10の上面と底面とが並ぶ方向を第3方向Zとする。第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zは、互いに直交する方向である。
【0019】
封口板24には、一対の出力端子26の間に安全弁(図示せず)が設けられる。安全弁は、筐体20の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、筐体20の内部のガスを放出できるように構成される。安全弁は、例えば、封口板24の一部に設けられる他部よりも厚さが薄い薄肉部と、この薄肉部の表面に形成される線状の溝とで構成される。この構成では、筐体20の内圧が上昇すると、溝を起点に薄肉部が裂けることで安全弁が開弁する。
【0020】
複数の蓄電装置10は、隣り合う蓄電装置10の長側面どうしが対向するようにして、所定の間隔で第1方向Xに配列される。また、各蓄電装置10の出力端子26は、互いに同じ方向を向くように配置される。本実施の形態では、各蓄電装置10の出力端子26は、便宜上、鉛直方向上方を向くように配置されている。なお、各蓄電装置10の出力端子26は、異なる方向を向くように配置されてもよい。
【0021】
隣接する2つの蓄電装置10は、一方の蓄電装置10の正極端子26aと他方の蓄電装置10の負極端子26bとが隣り合うように配列(積層)される。正極端子26aと負極端子26bとは、バスバー(図示せず)を介して直列接続される。なお、隣接する複数個の蓄電装置10における同極性の出力端子26どうしをバスバーで並列接続して蓄電装置ブロックを形成し、蓄電装置ブロックどうしを直列接続してもよい。
【0022】
セパレータ16は、絶縁スペーサとも呼ばれ、平板状であって隣接する2つの蓄電装置10の対向する長側面間に配置されて、当該2つの蓄電装置10間を電気的に絶縁する。セパレータ16は、例えば絶縁性を有する樹脂で構成される。セパレータ16を構成する樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ノリル(登録商標)樹脂(変性PPE)等の熱可塑性樹脂が例示される。複数の蓄電装置10と複数のセパレータ16とは、交互に積層される。また、セパレータ16は、蓄電装置10とエンドプレート18との間にも配置される。これにより、蓄電装置10とエンドプレート18とが絶縁される。
【0023】
並設された複数の蓄電装置10および複数のセパレータ16は、一対のエンドプレート18で第1方向Xに挟まれる。エンドプレート18は、例えば金属板や樹脂板からなる。エンドプレート18には、エンドプレート18を第1方向Xに貫通し、ねじ36が螺合するねじ穴18aが設けられる。
【0024】
一対の拘束部材12は、バインドバーとも呼ばれ、第1方向Xを長手方向とする長尺状の部材である。一対の拘束部材12は、第2方向Yにおいて互いに向かい合うように配列される。一対の拘束部材12の間には、電池積層体14が介在する。各拘束部材12は、本体部38と、一対の固定部44と、を備える。
【0025】
本体部38は、第1方向Xに延在する矩形状の板状体である。本体部38は、各蓄電装置10の側面に対して平行に延在する。なお、拘束部材12における電池積層体14と対向する面を絶縁シート(図示せず)で覆ってもよい。一対の固定部44は、第1方向Xにおける本体部38の両端部から第2方向Yに突出する板状体である。一対の固定部44は、第1方向Xにおいて対向する。各固定部44には、ねじ28が挿通される貫通孔44aが設けられる。一対の固定部44により、拘束部材12は電池積層体14に固定される。なお、拘束部材12とエンドプレート18とは、溶接等によって固定されてもよい。
【0026】
蓄電モジュール4は、例えば以下のようにして組み立てられる。すなわち、複数の蓄電装置10と複数のセパレータ16とが交互に配列され、一対のエンドプレート18で第1方向Xに挟まれることで、電池積層体14が形成される。電池積層体14は、一対の拘束部材12で第2方向Yに挟まれる。各拘束部材12は、貫通孔44aがエンドプレート18のねじ穴18aと重なるように位置合わせされる。この状態で、ねじ36が貫通孔44aに挿通され、またねじ穴18aに螺合される。このように、一対の拘束部材12が一対のエンドプレート18に係合されることで、複数の蓄電装置10が拘束される。電池積層体14は、第1方向Xに所定の圧力がかけられた状態で拘束部材12により締結される。各蓄電装置10は、拘束部材12によって第1方向Xに締め付けられることで、第1方向Xの位置決めがなされる。
【0027】
一例として、これらの位置決めが完了した後に、各蓄電装置10の出力端子26にバスバーが取り付けられて、複数の蓄電装置10の出力端子26どうしが電気的に接続される。例えばバスバーは、溶接により出力端子26に固定される。その後、電池積層体14の上面は、カバー部材(図示せず)で覆われる。カバー部材により、出力端子26、バスバー、安全弁等への結露水や塵埃等の接触が防止される。カバー部材は、例えば絶縁性を有する樹脂からなり、ねじや周知の係止機構を含む周知の固定構造(図示せず)により、電池積層体14の上面に固定することができる。
【0028】
図1に示すように、各蓄電モジュール4は、底面が冷却プレート8の主表面側を向くようにして、冷却プレート8に載置される。本実施の形態では、第1蓄電モジュール4a、第2蓄電モジュール4bおよび第3蓄電モジュール4cがこの順で第2方向Yに配列されて、冷却プレート8に載置されている。各蓄電モジュール4は、ねじ止め等により冷却プレート8に固定される。また、冷却プレート8は、ねじ止め等によりケース本体2aに固定される。なお、冷却プレート8は省略されてもよく、この場合、各蓄電モジュール4は例えばケース本体2aに直に固定される。
【0029】
冷却プレート8は、複数の蓄電モジュール4を冷却するための機構である。冷却プレート8は、金属等の熱伝導性を有する材料で構成される。各蓄電モジュール4の蓄電装置10は、冷却プレート8との間で熱交換することで冷却される。冷却プレート8には、冷媒が内部を流通する冷媒管(図示せず)が設けられてもよい。
【0030】
伝熱部材6は、複数の蓄電モジュール4の間で熱を移動(伝導)させる部材である。伝熱部材6は、アルミニウム等の金属といった熱伝導性を有する材料で構成される。本実施の形態では、第1伝熱部材6a~第4伝熱部材6dが蓄電モジュール4と交互に配列されてケース2に収容される。具体的には、第3伝熱部材6c、第1蓄電モジュール4a、第1伝熱部材6a、第2蓄電モジュール4b、第2伝熱部材6b、第3蓄電モジュール4cおよび第4伝熱部材6dがこの順に第2方向Yに配列される。第3伝熱部材6cは、ケース本体2aの内側面と第1蓄電モジュール4aとの間に配置され、第4伝熱部材6dは、ケース本体2aの内側面と第3蓄電モジュール4cとの間に配置される。
【0031】
第1伝熱部材6aは、第1蓄電モジュール4aの熱を第2蓄電モジュール4bに伝達し、第2蓄電モジュール4bの熱を第1蓄電モジュール4aに伝達する。第2伝熱部材6bは、第2蓄電モジュール4bの熱を第3蓄電モジュール4cに伝達し、第3蓄電モジュール4cの熱を第2蓄電モジュール4bに伝達する。第3伝熱部材6cは、第1蓄電モジュール4aの熱をケース本体2aに伝達する。第4伝熱部材6dは、第3蓄電モジュール4cの熱をケース本体2aに伝達する。以下では適宜、第1伝熱部材6a~第4伝熱部材6dを区別する必要がない場合、まとめて伝熱部材6と称する。
【0032】
伝熱部材6は、隣接する蓄電モジュール4が備える拘束部材12の本体部38に、接着やねじ止め等により固定される。なお、拘束部材12の本体部38が貫通孔38a(図2参照)を備える場合には、貫通孔38aに伝熱部材6を嵌合することで、蓄電モジュール4に対して伝熱部材6を固定してもよい。この場合、例えば第1接続部46あるいは第2接続部48が貫通孔38aに収容される。貫通孔38aは、拘束部材12の軽量化等の目的で設けられる。
【0033】
また、各蓄電モジュール4における電池積層体14の各側面に複数の本体部38を配置し、隣り合う本体部38で伝熱部材6を挟むことで、言い換えれば隣り合う本体部38の隙間に伝熱部材6の一部分を収容することで、蓄電モジュール4に対して伝熱部材6を固定してもよい。このような構造は、例えば帯状の拘束部材12が第3方向Zに間隔をあけて複数配置され、第3方向Zで隣り合う拘束部材12の間に伝熱部材6が嵌合される構造である。また、本体部38に凹部を設けて、この凹部に伝熱部材6の一部分を収容してもよい。また、伝熱部材6は、エンドプレート18に固定されてもよい。また、伝熱部材6は、ケース2や冷却プレート8に固定されてもよい。
【0034】
図3は、蓄電パック1の一部分の水平断面図である。図3では、蓄電装置10の内部構造およびセパレータ16の図示を簡略化している。第1伝熱部材6aは、第1蓄電モジュール4aに熱的に接続される第1接続部46と、第2蓄電モジュール4bに熱的に接続される第2接続部48と、第1接続部46および第2接続部48を熱的に接続する連結部50と、を有する。
【0035】
第1接続部46は、第1蓄電モジュール4aの第1方向Xに対して平行な面に熱的に(熱伝導可能に)接続される。第2接続部48は、第2蓄電モジュール4bの第1方向Xに対して平行な面に熱的に接続される。前記「熱的に接続される」には、接続部と蓄電モジュールとが直に接する場合だけでなく、熱伝導性シートや熱伝導性接着剤等を介して間接的に接する場合も含まれる。
【0036】
第1接続部46および第2接続部48は、互いに第1方向Xにずれて配置される。このため、仮に第1蓄電モジュール4aのいずれかの蓄電装置10の温度が過度に上昇した場合、この蓄電装置10の熱は、第1接続部46、連結部50および第2接続部48を経て、第2蓄電モジュール4bにおける、過熱した蓄電装置10から第1方向Xに離れた部分に伝達される。これにより、過熱した蓄電装置10の熱を隣接する蓄電装置10以外の蓄電装置10や隣接する蓄電モジュール4等に拡散させることができ、過熱の連鎖を抑制することができる。
【0037】
本実施の形態では、第1接続部46と第2接続部48とは、蓄電装置1つ分以上ずれて配置されている。これにより、放熱のパスが増えるため、過熱した蓄電装置10の熱をより迅速に拡散させることができる。前記「蓄電装置1つ分以上ずれて」とは、第1方向Xで隣り合う2つの第1接続部46および第2接続部48において、第1接続部46が熱的に接続される第1蓄電モジュール4aの蓄電装置10と第2方向Yで隣接する第2蓄電モジュール4bの蓄電装置10に対して、第2接続部48が第2方向Yからみて重ならないことを意味する。例えば、第1方向Xで隣り合う第1接続部46および第2接続部48において、第1接続部46の一方の端部46aと、第2接続部48の一方の端部48aとの第1方向Xにおける間隔L1が、1つの蓄電装置10の第1方向Xの大きさ(厚さ)以上である。あるいは、隣り合う2つの第1接続部46の距離が、1つの蓄電装置10の第1方向Xの大きさ以上である。連結部50の第1方向Xの寸法は、隣接する蓄電装置10の間隔より小さいことが好ましい。これにより、隣接する蓄電装置10間での熱の移動をより確実に抑制することができる。第1方向Xにおいて隣り合う第1接続部46および第2接続部48は、1つの連結部50で接続される第1接続部46および第2接続部48である。端部46aおよび端部48aは、第1方向Xにおいて同じ側の端部である。つまり、隣り合う第1接続部46および第2接続部48において、第1接続部46の端部46aを第2接続部48側の端部とするならば、第2接続部48の端部48aは、第1接続部46から遠い側の端部である。図3には、隣り合う第1接続部46および第2接続部48が、蓄電装置1つ分だけずれた構造が図示されている。したがって、第2方向Yから見て、隣接する2つの蓄電装置10の一方に第1接続部46が重なり、他方に第2接続部48が重なっている。
【0038】
また、第1伝熱部材6aは、第1接続部46および第2接続部48をそれぞれ複数有する。そして、複数の第1接続部46および複数の第2接続部48は、第1方向Xにおいて交互に配列される。これにより、より多くの蓄電装置10について、過熱の連鎖を抑制することができる。
【0039】
また、複数の第1接続部46は、隣り合う2つの第1接続部46が第1方向Xで1つの蓄電装置10を挟むように間隔をあけて配列される。同様に、複数の第2接続部48は、隣り合う2つの第2接続部48が第1方向Xで1つの蓄電装置10を挟むように間隔をあけて配列される。つまり、第1方向Xで隣り合う2つの第1接続部46において、一方の第1接続部46における他方の第1接続部46側の端部46bと、他方の第1接続部46における一方の第1接続部46側の端部46cとの間(間隔L2)に、第2方向Yから見て1つの蓄電装置10が収まる。同様に、第1方向Xで隣り合う2つの第2接続部48において、一方の第2接続部48における他方の第2接続部48側の端部48bと、他方の第2接続部48における一方の第2接続部48側の端部48cとの間(間隔L3)に、第2方向Yから見て1つの蓄電装置10が収まる。
【0040】
また、本実施の形態において、第1蓄電モジュール4aおよび第2蓄電モジュール4bはそれぞれ、互いに対向する第1面52を有する。本実施の形態では、第1蓄電モジュール4aおよび第2蓄電モジュール4bは、互いの側面が対向するように配置されている。したがって、各蓄電モジュール4の側面が第1面52に相当する。そして、第1伝熱部材6aは、2つの第1面52の間で蛇行しながら第1方向に延びる板材54で構成される。つまり、第1伝熱部材6aは、凸凹が第1方向Xに連続する形状を有する。
【0041】
また、蛇行する板材54において、第1蓄電モジュール4a側に突き出る複数の第1部分56が複数の第1接続部46を構成し、第2蓄電モジュール4b側に突き出る複数の第2部分58が複数の第2接続部48を構成する。これにより、簡単な形状を有する伝熱部材6で蓄電装置10の過熱の連鎖を抑制することができる。
【0042】
また、本実施の形態において、複数の第1部分56は、第1蓄電モジュール4aの第1面52に対して平行な面を有する。同様に、複数の第2部分58は、第2蓄電モジュール4bの第1面52に対して平行な面を有する。これにより、各第1接続部46および各第2接続部48の蓄電モジュール4への接触面積を増やすことができる。各第1接続部46は、第2方向Yから見て1つの蓄電装置10と重なる。また、各第2接続部48は、第2方向Yから見て1つの蓄電装置10と重なる。
【0043】
また、連結部50は、第1方向Xに対して垂直に延びる。したがって、板材54は、蛇行の周期が蓄電装置2つ分である矩形波形状を有する。これにより、各第1接続部46および各第2接続部48の蓄電モジュール4への接触面積をより増やすことができる。なお、連結部50は、第1方向Xに対して斜めに延びてもよい。例えば、第1部分56および第2部分58は、第1方向Xおよび第2方向Yに対し垂直な方向から見て、台形状の凸部であってもよい。
【0044】
上述の構造を有する第1伝熱部材6aが第1蓄電モジュール4aと第2蓄電モジュール4bとの間に配置される場合、例えば第1蓄電モジュール4aのある蓄電装置10の温度が過度に上昇すると、この蓄電装置10の少なくとも一部の熱は、以下のようにして他の蓄電装置10に伝達される。すなわち、蓄電装置10が過度に発熱すると、まずはこの蓄電装置10と第2方向Yで重なる、最も近い第1接続部46に熱が伝わる。
【0045】
次に、最も近い第1接続部46から、斜め横に位置する第2接続部48に熱が伝わる。第2接続部48に到達した熱の一部は、第2蓄電モジュール4bの拘束部材12や、第2接続部48と第2方向Yで重なる蓄電装置10に伝わる。また、第2接続部48に到達した熱の他の一部は、第2接続部48から、発熱した蓄電装置10から遠い側で斜め横に位置する第1接続部46に伝わる。この第1接続部46に到達した熱は、第1蓄電モジュール4aの拘束部材12や、第1接続部46と第2方向Yで重なる蓄電装置10に伝わる。つまり、第1蓄電モジュール4a内では、発熱した蓄電装置10に隣接する(1つ隣の)蓄電装置10を迂回して、2つ隣の蓄電装置10に熱が伝達される。これにより、発熱した蓄電装置10に隣接する蓄電装置10の温度が過度に上昇することを抑制できる。
【0046】
第2伝熱部材6b~第4伝熱部材6dは、第1伝熱部材6aと同様の構造を有し、同様の熱伝達作用を発揮する。第2伝熱部材6bが発揮する熱伝達作用は、上述の説明において第1蓄電モジュール4aを第2蓄電モジュール4bに置き換え、第2蓄電モジュール4bを第3蓄電モジュール4cに置き換えることで説明することができる。なお、第3伝熱部材6cおよび第4伝熱部材6dは、ケース2との接触部分が第1方向Xに断続的に形成されているが、この接触部分は第1方向Xに連続的に形成されてもよい。
【0047】
隣り合う蓄電モジュール4の間、および蓄電モジュール4とケース本体2aとの間に伝熱部材6を設けることで、第1蓄電モジュール4a~第3蓄電モジュール4cの全ての蓄電装置10に対して、第1接続部46または第2接続部48を割り当てることができる。例えば、第1蓄電モジュール4aであれば、第1伝熱部材6aの第1接続部46が、1つ飛ばしで第1蓄電モジュール4aの蓄電装置10に対応する。また、第1伝熱部材6aに飛ばされた蓄電装置10は、第3伝熱部材6cの第2接続部48が対応する。これにより、第1蓄電モジュール4aの全ての蓄電装置10が第1伝熱部材6aおよび第3伝熱部材6cの熱伝達作用を受けることができる。
【0048】
また、例えば第2蓄電モジュール4bに着目した場合、第2蓄電モジュール4bは、第1伝熱部材6aおよび第2伝熱部材6bで挟まれる。第1伝熱部材6aの複数の第2接続部48は、第2蓄電モジュール4bの第1方向Xに対して平行であって互いに対向する2つの面(第1面52)のうち、一方の面に熱的に接続される。第2伝熱部材6bの複数の第1接続部46は、2つの面のうち他方の面に熱的に接続される。また、第2伝熱部材6bの複数の第1接続部46は、第2蓄電モジュール4bを挟んで第1伝熱部材6aの複数の第1接続部46と対向する。つまり、第2方向Yから見て、第1伝熱部材6aの第1接続部46と第2伝熱部材6bの第1接続部46とが重なる。同様に、第2方向Yから見て、第1伝熱部材6aの第2接続部48と第2伝熱部材6bの第2接続部48とが重なる。なお、第1蓄電モジュール4aに対する第1伝熱部材6aおよび第3伝熱部材6cの配置、ならびに第3蓄電モジュール4cに対する第2伝熱部材6bおよび第4伝熱部材6dの配置についても同様である。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態に係る蓄電パック1は、第1方向Xに配列される複数の蓄電装置10および複数の蓄電装置10を拘束する拘束部材12を有する複数の蓄電モジュール4と、複数の蓄電モジュール4の間で熱を移動させる伝熱部材6と、を備える。複数の蓄電モジュール4は、少なくとも第1蓄電モジュール4aおよび第2蓄電モジュール4bを含む。伝熱部材6のうち第1蓄電モジュール4aと第2蓄電モジュール4bとの間に配置される第1伝熱部材6aは、第1蓄電モジュール4aの第1方向Xに対して平行な面に熱的に接続される第1接続部46と、第2蓄電モジュール4bの第1方向Xに対して平行な面に熱的に接続される第2接続部48と、第1接続部46および第2接続部48を熱的に接続する連結部50と、を有する。そして、第1接続部46および第2接続部48は、互いに第1方向Xにずれて配置される。
【0050】
このような構造を有する第1伝熱部材6aにより、第1蓄電モジュール4aと第2蓄電モジュール4bとの間に伝熱経路を形成するとともに、同一モジュール内では、過熱した蓄電装置10に隣接する蓄電装置10を迂回して熱を拡散させることができる。これにより、いずれかの蓄電装置10の温度が過度に上昇した際に、その熱が隣接する蓄電装置10に集中的に伝達されることを抑制することができる。よって、過熱の連鎖を抑制することができ、各蓄電モジュール4の性能低下を抑制することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、第1接続部46と第2接続部48とが蓄電装置1つ分以上ずれて配置される。また、第1伝熱部材6aは、第1接続部46および第2接続部48をそれぞれ複数有し、複数の第1接続部46および複数の第2接続部48が第1方向Xにおいて交互に配列される。また、複数の第1接続部46は、隣り合う2つの第1接続部46が第1方向Xで1つの蓄電装置10を挟むように間隔をあけて配列される。複数の第2接続部48は、隣り合う2つの第2接続部48が第1方向Xで1つの蓄電装置10を挟むように間隔をあけて配列される。
【0052】
また、第1蓄電モジュール4aおよび第2蓄電モジュール4bはそれぞれ、互いに対向する第1面52を有する。第1伝熱部材6aは、対向する2つの第1面52の間で蛇行しながら第1方向Xに延び、第1蓄電モジュール4a側に突き出る複数の第1部分56が複数の第1接続部46を構成し、第2蓄電モジュール4b側に突き出る複数の第2部分58が複数の第2接続部48を構成する。また、複数の第1部分56は、第1蓄電モジュール4aの第1面52に対して平行に延びる面を有し、複数の第2部分58は、第2蓄電モジュール4bの第1面52に対して平行に延びる面を有する。また、連結部50は、第1方向Xに対して垂直に延びる。これらの構成により、過熱の連鎖をより一層抑制することができる。
【0053】
(実施の形態2)
実施の形態2は、伝熱部材6の形状および配置を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。図4は、実施の形態2に係る蓄電パック1の一部分の水平断面図である。図4では、蓄電装置10の内部構造およびセパレータ16の図示を簡略化している。
【0054】
第1伝熱部材6aは、第1蓄電モジュール4aに熱的に接続される第1接続部46と、第2蓄電モジュール4bに熱的に接続される第2接続部48と、第1接続部46および第2接続部48を熱的に接続する連結部50と、を有する。第1接続部46は、第1蓄電モジュール4aの第1方向Xに対して平行な面に熱的に接続される。第2接続部48は、第2蓄電モジュール4bの第1方向Xに対して平行な面に熱的に接続される。第1接続部46および第2接続部48は、互いに第1方向Xにずれて配置される。本実施の形態では、第1接続部46と第2接続部48とは、蓄電装置1つ分以上ずれて配置されている。
【0055】
また、第1伝熱部材6aは、第1接続部46および第2接続部48をそれぞれ複数有する。そして、複数の第1接続部46および複数の第2接続部48は、第1方向Xにおいて交互に配列される。また、複数の第1接続部46は、隣り合う2つの第1接続部46が第1方向Xで1つの蓄電装置10を挟むように間隔をあけて配列される。同様に、複数の第2接続部48は、隣り合う2つの第2接続部48が第1方向Xで1つの蓄電装置10を挟むように間隔をあけて配列される。
【0056】
第1蓄電モジュール4aおよび第2蓄電モジュール4bはそれぞれ、互いに同じ方向を向く第2面60(図2参照)を有する。そして、第1伝熱部材6aは、第1蓄電モジュール4aおよび第2蓄電モジュール4bの第2面60と重なるように配置される。本実施の形態では、第1蓄電モジュール4aおよび第2蓄電モジュール4bの底面が第2面60に相当し、第1伝熱部材6aは、各蓄電モジュール4の底面と第3方向Zに重なる。なお、第1伝熱部材6aは、各蓄電モジュール4の底面に当接するように配置されることが好ましいが、各蓄電モジュール4の上面側に配置されてもよい。
【0057】
伝熱部材6は、各蓄電モジュール4と冷却プレート8との間に配置され、各蓄電モジュール4の熱は伝熱部材6を介して冷却プレート8に移動する。伝熱部材6は、各蓄電モジュール4の第2面60に固定されてもよいし、冷却プレート8に固定されてもよい。また、伝熱部材6は、冷却プレート8を介さずにケース2に固定されてもよい。
【0058】
連結部50は、第1方向Xに長い板材で構成され、第1伝熱部材6aと第2面60とが重なる第3方向Zから見て、第1蓄電モジュール4aおよび第2蓄電モジュール4bの間で第1方向Xに延びる。また、複数の第1接続部46は、それぞれ第2方向Yに長い板材で構成され、連結部50から第1蓄電モジュール4a側に突出する。複数の第2接続部48は、それぞれ第2方向Yに長い板材で構成され、連結部50から第2蓄電モジュール4b側に突出する。つまり、第1伝熱部材6aは、連結部50の第2方向Yにおける両側から複数の歯が突き出た櫛歯形状の板である。また、第1接続部46、第2接続部48および連結部50は、一体である。
【0059】
また、本実施の形態において、複数の第1接続部46は、第1蓄電モジュール4aの第2面60に対して平行な面を有する。同様に、複数の第2接続部48は、第2蓄電モジュール4bの第2面60に対して平行な面を有する。これにより、各第1接続部46および各第2接続部48の蓄電モジュール4への接触面積を増やすことができる。各第1接続部46は、蓄電装置1つ分に対応する幅(第1方向Xの大きさ)を有し、第3方向Zから見て1つの蓄電装置10と重なる。また、各第2接続部48は、蓄電装置1つ分に対応する幅を有し、第3方向Zから見て1つの蓄電装置10と重なる。本実施の形態の伝熱部材6によっても、実施の形態1の伝熱部材6と同様の効果を奏することができる。
【0060】
なお、第2伝熱部材6b~第4伝熱部材6dは、第1伝熱部材6aと同様の構造を有し、同様の熱伝達作用を発揮する。第2伝熱部材6bが発揮する熱伝達作用は、上述の説明において第1蓄電モジュール4aを第2蓄電モジュール4bに置き換え、第2蓄電モジュール4bを第3蓄電モジュール4cに置き換えることで、あるいは図4において第2蓄電モジュール4bを第1蓄電モジュール4aと捉え、第3蓄電モジュール4cを第2蓄電モジュール4bと捉えることで、説明することができる。
【0061】
第3伝熱部材6cは、連結部50から第1蓄電モジュール4a側に突出する接続部のみを有する。同様に、第4伝熱部材6dは、連結部50から第3蓄電モジュール4c側に突出する接続部のみを有する。ただし、この構成に限られず、第3伝熱部材6cおよび第4伝熱部材6dは、ケース本体2a側に突出して、ケース本体2aに熱的に接続される接続部を有してもよい。隣り合う蓄電モジュール4の間、および蓄電モジュール4とケース本体2aとの間に伝熱部材6を設けることで、第1蓄電モジュール4a~第3蓄電モジュール4cの全ての蓄電装置10に対して、第1接続部46または第2接続部48を割り当てることができる。
【0062】
例えば第2蓄電モジュール4bに着目した場合、第1伝熱部材6aの複数の第2接続部48は、第2蓄電モジュール4bの一部の蓄電装置10に熱的に接続される。第2伝熱部材6bの複数の第1接続部46は、他の一部の蓄電装置10に熱的に接続される。好ましくは、第1伝熱部材6aの第2接続部48に熱的に接続されていない全ての蓄電装置10が、第2伝熱部材6bの第1接続部46に熱的に接続される。また、第2伝熱部材6bの複数の第1接続部46は、第1伝熱部材6aの連結部50を挟んで第1伝熱部材6aの複数の第1接続部46と対向する。つまり、第2方向Yから見て、第1伝熱部材6aの第1接続部46と第2伝熱部材6bの第1接続部46とが重なる。同様に、第2方向Yから見て、第1伝熱部材6aの第2接続部48と第2伝熱部材6bの第2接続部48とが重なる。なお、第1蓄電モジュール4aに対する第1伝熱部材6aおよび第3伝熱部材6cの配置、ならびに第3蓄電モジュール4cに対する第2伝熱部材6bおよび第4伝熱部材6dの配置についても同様である。
【0063】
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本開示を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本開示の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。また、各実施の形態に含まれる構成要素の任意の組み合わせも、本開示の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0064】
実施の形態1では、板材を蛇行させて第1接続部46、第2接続部48および連結部50を構成しているが、この構成に限定されない。図5は、変形例に係る蓄電パック1の一部分の水平断面図である。本変形例に係る蓄電パック1が備える第1伝熱部材6aは、蓄電モジュール4の第1面52に沿って第1方向Xに延びる平板状の連結部50と、連結部50の第1蓄電モジュール4a側を向く面から第1蓄電モジュール4a側に突出する凸部で構成される第1接続部46と、連結部50の第2蓄電モジュール4b側を向く面から第2蓄電モジュール4b側に突出する凸部で構成される第2接続部48と、を有する。第2伝熱部材6b~第4伝熱部材6dも第1伝熱部材6aと同様の構造を有する。この構造によれば、伝熱部材6内を移動する熱の経路の断面積を拡げやすくすることができる。
【0065】
伝熱部材6は、全ての蓄電モジュール4に対して設けられることが好ましいが、これに限らず、一部の蓄電モジュール4のみに対して設けられてもよい。蓄電モジュール4が備える蓄電装置10の数は特に限定されない。エンドプレート18や拘束部材12の構造を含む蓄電モジュール4の各部の構造は、特に限定されない。
【符号の説明】
【0066】
1 蓄電パック、 4 蓄電モジュール、 4a 第1蓄電モジュール、 4b 第2蓄電モジュール、 6 伝熱部材、 10 蓄電装置、 12 拘束部材、 46 第1接続部、 48 第2接続部、 50 連結部。
図1
図2
図3
図4
図5