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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/00 20060101AFI20240517BHJP
   B65H 26/02 20060101ALI20240517BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B65H5/00 B
B65H26/02
B65H7/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020071676
(22)【出願日】2020-04-13
(65)【公開番号】P2021167244
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】304008474
【氏名又は名称】ウインテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】598147835
【氏名又は名称】ジャスティン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】駄場元 定生
(72)【発明者】
【氏名】駄場元 哲也
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-059976(JP,A)
【文献】実開昭60-080340(JP,U)
【文献】特開2016-060596(JP,A)
【文献】特開昭59-057142(JP,A)
【文献】特開昭59-154305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
B65H 26/02
B65H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブを連続して搬送しながら製品を製造する製造ラインに設けられるウェブガイド装置に設けられる位置検出装置であって、
該位置検出装置は、
ウェブの端部を検出するウェブ端部検出部を備えており、
該ウェブ端部検出部は、
ケーシングと、
該ケーシング内に収容された、ウェブに向かって光線を照射する光源を有する発信部と、
前記ケーシング内に収容された、前記発信部の光源から放出された光線を受光する受光センサを有する受信部と、
前記ケーシングに設けられた、前記発信部の光源とウェブとの間に配置された該光源から放出された光線を透過する発信部側光透過部および前記受光センサとウェブとの間に配置された前記発信部の光源から放出された光線を透過する受信部側光透過部と、
前記発信部側光透過部および/または前記受信部側光透過部の外面に気体を供給する気体供給部と、を備えており、
該気体供給部は、
前記発信部側光透過部の第一端部側の外面と前記ケーシングの内面との間に、前記発信部側光透過部の第一端部側の外面に沿って形成された気体噴出孔を有しており、
前記ケーシング内の空間と前記気体噴出孔とが連通されている、
および/または、
該気体供給部は、
前記受信部側光透過部の第一端部側の外面と前記ケーシングの内面との間に、前記受信部側光透過部の第一端部側の外面に沿って形成された気体噴出孔を有しており、
前記ケーシング内の空間と前記気体噴出孔とが連通されている
ことを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記発信部側光透過部は
その第一端部と対向する第二端部の外面が前記ケーシングの内面と面接触するように配設されており、
前記ケーシングは、
前記発信部側光透過部の第二端部側の外面近傍に、該発信部側光透過部の第二端部側の外面から該ケーシングの外面に向かうにしたがって前記発信部側光透過部の第一端部から離間する面を有している
ことを特徴とする請求項1記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記気体噴出孔には、
前記発信部側光透過部の第一端部側の外面と前記ケーシングの内面との間の間隔を維持する間隔維持部が設けられており、
該間隔維持部は、
前記発信部側光透過部の外面側から見たときに、前記発信部側光透過部の第二端部側に向かうにしたがって幅が狭くなる先端部を有している
ことを特徴とする請求項1または2記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記間隔維持部は、
前記発信部側光透過部の外面側から見た形状が、前記発信部側光透過部の第二端部側に頂点を有する三角形状である
ことを特徴とする請求項3記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記発信部の光源が
前記ケーシング内の空間と分離された光源収容室に配設されている
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記光源収容室は
前記発信部側光透過部の内面と、前記光源が設けられた基板と、前記光源が設けられた基板と前記発信部側光透過部の内面との間に前記光源の周囲を囲うように設けられた隔離壁と、によって形成されている
ことを特徴とする請求項5記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記受信部側光透過部は、
その第一端部と対向する第二端部の外面が前記ケーシングの内面と面接触するように配設されており、
前記ケーシングは、
前記受信部側光透過部の第二端部側の外面近傍に、該受信部側光透過部の第二端部側の外面から該ケーシングの外面に向かうにしたがって前記受信部側光透過部の第一端部から離間する面を有している
ことを特徴とする請求項1記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記気体噴出孔には、
前記受信部側光透過部の第一端部側の外面と前記ケーシングの内面との間の間隔を維持する間隔維持部が設けられており、
該間隔維持部は、
前記受信部側光透過部の外面側から見たときに、前記受信部側光透過部の第二端部側に向かうにしたがって幅が狭くなる先端部を有している
ことを特徴とする請求項1または7記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記間隔維持部は、
前記受信部側光透過部の外面側から見た形状が、前記受信部側光透過部の第二端部側に頂点を有する三角形状である
ことを特徴とする請求項8記載の位置検出装置。
【請求項10】
前記受信部の受光センサが、
前記ケーシング内の空間と分離された受光センサ収容室に配設されている
ことを特徴とする請求項1、7または8記載の位置検出装置。
【請求項11】
前記受光センサ収容室は、
前記受信部側光透過部の内面と、前記受光センサが設けられた基板と、前記受光センサが設けられた基板と前記受信部側光透過部の内面との間に前記受光センサの周囲を囲うように設けられた隔離壁と、によって形成されている
ことを特徴とする請求項10記載の位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷機や紙おむつ、フィルム、布、不織布などの製造ライン等(以下、製造ライン等という)では、原反ロールから巻き出された帯状のシート(ウェブ)を連続して流しながら加工や印刷が行われる。このような製造ライン等では、ウェブの搬送にともなってウェブの蛇行が発生するので、蛇行を防止するウェブガイド装置が設けられている。
【0003】
ウェブガイド装置として、ウェブが巻きかけられた一対のローラを備えた揺動フレームを有し、この揺動フレームを揺動させることによってウェブの蛇行を防止する装置が開発されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
このようなウェブガイド装置では、ウェブの蛇行を検出するために、ウェブの幅方向の端部(以下単にウェブの端部という)を検出する位置検出装置が設けられており、位置検出装置からの信号に基づいてウェブが蛇行しないように作動する。かかる位置検出装置において、ウェブの端部を検出するセンサとして、光源とその光源から照射される光の光量を検出する光検出センサを備えたものが採用されている(特許文献2)。
【0005】
ところで、製造ライン等では、ウェブを形成する繊維や埃等が空間に浮遊していることが多く、これらの埃等が位置検出装置などに侵入すると、機器の故障などの原因となる。このため、位置検出装置内が外部から遮蔽された状態であることが望ましい。上述したような光を利用してウェブの端部を検出する位置検出装置では、ウェブに光を照射したりウェブに照射された光を受光したりしなければならない。したがって、光源および光検出センサとウェブとの間には、透光性は維持しつつ位置検出装置の内部と外部との間を隔離する窓やレンズ等が設けられる。しかし、窓やレンズ等に繊維や埃等が付着すれば透光性が低下しウェブの端部の検出精度が低下するため、窓やレンズ等に繊維や埃等が付着しないようすることが求められる。
【0006】
窓やレンズ等への埃等の付着を防止する技術として、特許文献3~7に開示された技術がある。これらの技術はファイバスコープやCCDカメラ、センサ等(以下センサ等という)のレンズ等の前面に空気などを流して、レンズ等に付着した埃等を吹き飛ばしたり、エアによるバリアを形成してレンズ等に埃等が付着したりすることを防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-128408号公報
【文献】特許3939743号公報
【文献】実開昭55-116239号公報
【文献】特開昭56-136282号公報
【文献】特開昭61-134644号公報
【文献】特開2003-232975号公報
【文献】特開2019-63750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献3~7に開示された技術では、レンズ等の表面にエアを供給する装置(パージ装置)は、レンズ等が設けられているセンサ等とは別に設けられている。つまり、センサ等に別途パージ装置を設けなければならないので、センサ等を含む装置が大型化する。
【0009】
一方、センサ等にパージ装置を内蔵する場合には、センサ等のケーシングにエアを噴き出す開口等を設ければよいが、ケーシングの表面とレンズ等の表面との間に段差ができる。すると、この段差の影響で気流が乱れてしまい、レンズ等の表面の特定の部分に埃等が滞留し、かえってレンズ等の表面を汚してしまう可能性がある。
【0010】
本発明はかかる事情に鑑み、装置自体をコンパクトにしつつ光を透過する窓等などの汚れを防止できる位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明の位置検出装置は、ウェブを連続して搬送しながら製品を製造する製造ラインに設けられるウェブガイド装置に設けられる位置検出装置であって、該位置検出装置は、ウェブの端部を検出するウェブ端部検出部を備えており、該ウェブ端部検出部は、ケーシングと、該ケーシング内に収容された、ウェブに向かって光線を照射する光源を有する発信部と、前記ケーシング内に収容された、前記発信部の光源から放出された光線を受光する受光センサを有する受信部と、前記ケーシングに設けられた、前記発信部の光源とウェブとの間に配置された該光源から放出された光線を透過する発信部側光透過部および前記受光センサとウェブとの間に配置された前記発信部の光源から放出された光線を透過する受信部側光透過部と、前記発信部側光透過部および/または前記受信部側光透過部の外面に気体を供給する気体供給部と、を備えており、該気体供給部は、前記発信部側光透過部の第一端部側の外面と前記ケーシングの内面との間に、前記発信部側光透過部の第一端部側の外面に沿って形成された気体噴出孔を有しており、前記ケーシング内の空間と前記気体噴出孔とが連通されている、および/または、該気体供給部は、前記受信部側光透過部の第一端部側の外面と前記ケーシングの内面との間に、前記受信部側光透過部の第一端部側の外面に沿って形成された気体噴出孔を有しており、前記ケーシング内の空間と前記気体噴出孔とが連通されていることを特徴とする。
第2発明の位置検出装置は、第1発明において、前記発信部側光透過部は、その第一端部と対向する第二端部の外面が前記ケーシングの内面と面接触するように配設されており、前記ケーシングは、前記発信部側光透過部の第二端部側の外面近傍に、該発信部側光透過部の第二端部側の外面から該ケーシングの外面に向かうにしたがって前記発信部側光透過部の第一端部から離間する面を有していることを特徴とする。
第3発明の位置検出装置は、第1または第2発明において、前記気体噴出孔には、前記発信部側光透過部の第一端部側の外面と前記ケーシングの内面との間の間隔を維持する間隔維持部が設けられており、該間隔維持部は、前記発信部側光透過部の外面側から見たときに、前記発信部側光透過部の第二端部側に向かうにしたがって幅が狭くなる先端部を有していることを特徴とする。
第4発明の位置検出装置は、第3発明において、前記間隔維持部は、前記発信部側光透過部の外面側から見た形状が、前記発信部側光透過部の第二端部側に頂点を有する三角形状であることを特徴とする。
第5発明の位置検出装置は、第1、第2または第3発明において、前記発信部の光源が、前記ケーシング内の空間と分離された光源収容室に配設されていることを特徴とする。
第6発明の位置検出装置は、第5発明において、前記光源収容室は、前記発信部側光透過部の内面と、前記光源が設けられた基板と、前記光源が設けられた基板と前記発信部側光透過部の内面との間に前記光源の周囲を囲うように設けられた隔離壁と、によって形成されていることを特徴とする。
第7発明の位置検出装置は、第1発明において、前記受信部側光透過部は、その第一端部と対向する第二端部の外面が前記ケーシングの内面と面接触するように配設されており、前記ケーシングは、前記受信部側光透過部の第二端部側の外面近傍に、該受信部側光透過部の第二端部側の外面から該ケーシングの外面に向かうにしたがって前記受信部側光透過部の第一端部から離間する面を有していることを特徴とする。
第8発明の位置検出装置は、第1または第7発明において、前記気体噴出孔には、前記受信部側光透過部の第一端部側の外面と前記ケーシングの内面との間の間隔を維持する間隔維持部が設けられており、該間隔維持部は、前記受信部側光透過部の外面側から見たときに、前記受信部側光透過部の第二端部側に向かうにしたがって幅が狭くなる先端部を有していることを特徴とする。
第9発明の位置検出装置は、第8発明において、前記間隔維持部は、前記受信部側光透過部の外面側から見た形状が、前記受信部側光透過部の第二端部側に頂点を有する三角形状であることを特徴とする。
第10発明の位置検出装置は、第1、第7または第8発明において、前記受信部の受光センサが、前記ケーシング内の空間と分離された受光センサ収容室に配設されていることを特徴とする。
第11発明の位置検出装置は、第10発明において、前記受光センサ収容室は、前記受信部側光透過部の内面と、前記受光センサが設けられた基板と、前記受光センサが設けられた基板と前記受信部側光透過部の内面との間に前記受光センサの周囲を囲うように設けられた隔離壁と、によって形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明によれば、ケーシング内の空間に気体を供給すれば、気体供給部の気体噴出孔から受信部側光透過部の外面および/または受信部側光透過部の外面に沿って気体を噴出することができる。すると、受信部側光透過部の外面および/または受信部側光透過部の外面に載っている埃等を除去することができる。また、気体供給部がケーシングと一体で形成されているので、気体供給部を設けても位置検出装置の大型化を防ぐことができる。
第2発明によれば、気体噴出孔から噴出された気体が発信部側光透過部の第二端部に到達したときに、発信部側光透過部の第二端部の外面からケーシングの外方にスムースに流れる気流が形成される。したがって、気流の乱れにより受信部側光透過部の外面に埃等が滞留することを防止できる。
第3、第4発明によれば、間隔維持部によって気体噴出孔の開口を維持できる。しかも、間隔維持部を設けても、気体噴出孔近傍の気流の乱れを少なくできる。
第5、第6発明によれば、発信部の光源が気流の影響を受けない。
第7発明によれば、気体噴出孔から噴出された気体が受信部側光透過部の第二端部に到達したときに、受信部側光透過部の第二端部の外面からケーシングの外方にスムースに流れる気流が形成される。したがって、受信部側光透過部の外面に埃等が滞留することを防止できる。
第8、第9発明によれば、間隔維持部によって気体噴出孔の開口を維持できる。しかも、間隔維持部を設けても、気体噴出孔近傍の気流の乱れを少なくできる。
第10、第11発明によれば、発受信部の受光センサが気流の影響を受けない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の位置検出装置10におけるウェブ端部検出部11の概略説明図であり、(A)は概略断面図であり、(B)は(A)のX線概略矢視図であり、(C)は(A)のC線概略断面図である。
図2】(A)は図1のIIA-IIA線概略断面図であり、(B)は図1のIIB-IIB線概略断面図であり、(C)は(A)のC-C線概略断面図であり、(D)は(A)のD-D線概略断面図である。
図3】本実施形態の位置検出装置10を備えたウェブガイド装置1の一例を示した図であり、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
図4】本実施形態の位置検出装置10におけるウェブ端部検出部11のケーシング19の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の位置検出装置は、製造ライン等においてウェブの位置合わせを行うウェブガイド装置に設けられる装置であって、製造ライン等の稼動等に起因するセンサの窓等の汚れを防止できるようにしたことに特徴を有している。
【0015】
本発明の位置検出装置を備えたウェブガイド装置が適用される製造ラインはとくに限定されない。例えば、本発明の位置検出装置を備えたウェブガイド装置は、紙おむつ等の製品を製造する製造ラインに使用することができる。
【0016】
本発明の位置検出装置を備えたウェブガイド装置が適用される製造ラインで搬送されるウェブもとくに限定されない。例えば、不織布や、紙おむつ等に使用される吸収体、樹脂フィルム等を挙げることができる。
【0017】
本発明の位置検出装置におけるセンサの窓等とは、LED等の光源から放出される光を透過するための窓や、光源から放出された光を透過して受光部に供給するための窓を意味している。この窓は光を透過する機能を有していればよく、その形状や素材はとくに限定されない。例えば、この窓等には、光透過性を有する素材(ガラスや透明な樹脂等)で形成された、板状の部材やレンズ機能を有する部材等が含まれる。
【0018】
<ウェブガイド装置1の基本構成>
まず、本実施形態の位置検出装置10を説明する前に、本実施形態の位置検出装置10を備えたウェブガイド装置1の基本構成を説明する。
【0019】
図3に示すように、本実施形態の位置検出装置10を備えたウェブガイド装置1(以下、単にウェブガイド装置1という場合がある)は、ベース2を備えている。このベース2を図示しない製造ラインのフレーム等に固定することによって、ウェブガイド装置1は製造ライン等に配設される。
【0020】
<揺動フレーム4>
図3に示すように、このベース2の上方には、揺動フレーム4が設けられている。この揺動フレーム4には、一対のローラ5,5が設けられている。この一対のローラ5,5は、ウェブWが巻き掛けられるものであり、その回転軸が互いに平行となるように配設されている。
なお、ローラ5は必ずしも一対設けなくてもよく、1本でもよい。ローラ5にウェブWが巻き掛けられた状態で、後述する一対のウェブ端部検出部11,11がウェブWの両端部WE,WEを検出できるようにウェブWが保持できればよい。
【0021】
<揺動機構>
ウェブガイド装置1は、揺動フレーム4を揺動させる揺動機構を備えている。具体的には、揺動機構は、揺動フレーム4がベース2に対して揺動可能となるように保持する揺動軸8を備えており、図3(B)に示すように、この揺動軸8を介して揺動フレーム4がベース2に取り付けられている。詳しく言えば、揺動軸8は、一対のローラ5,5が、一対のローラ5,5の両方の中心軸を含む面に対して平行に揺動可能となるように揺動フレーム4を保持するものである。例えば、揺動軸8には、ベース2に対して回転可能に設けられた回転軸を有するものを使用することができる。この場合、回転軸の一端を揺動フレーム4に固定し、かつ、回転軸を図示しない揺動機構の揺動手段(例えばモータ等)に連結しておく。すると、揺動手段を作動させれば、回転軸を中心軸周りに回転させることができるので、揺動フレーム4を揺動させることができる。
【0022】
なお、揺動軸8の中心軸は、ウェブガイド装置1の中心軸CLを含み、一対のローラ5,5の両方の中心軸を含む面に対して直交する面内に位置するように設けられる。ウェブガイド装置1の中心軸CLとは、図3(A)に示すように、揺動フレーム4が揺動していない状態(言い換えれば、ローラ5が揺動していない状態)において、平面視(図3(A))でローラ5を軸方向において二等分する線が該当する。
【0023】
<位置検出装置10>
図3に示すように、ウェブガイド装置1には、本実施形態の位置検出装置10が設けられている。この位置検出装置10は、一対のウェブ端部検出部11,11と、一対のウェブ端部検出部11,11の作動を制御する検出部制御部(図示せず)と、を備えている。
【0024】
<ウェブ端部検出部11>
一対のウェブ端部検出部11,11は、ローラ5に巻き掛けられているウェブWの端部WEの位置が所定の位置からズレているか否かを検出する機能を有している。具体的には、一対のウェブ端部検出部11,11は、ウェブWが搬送される位置を挟むように配置された、発信部12と受信部13とを備えている(図1(A)参照)。発信部12は、ウェブWに向かって光線(可視光線や赤外線等)を放出するものであり、受信部13は発信部12が放出した光線を受光してその光量を検出部制御部に送信する機能を有している。
【0025】
なお、図1では、ウェブ端部検出部11において、発信部12と受信部13は、ウェブWが搬送される位置を挟むように設けられている。言い換えれば、ウェブWの搬送経路を挟むように発信部12と受信部13とが設けられている。しかし、発信部12と受信部13の相対的な位置はとくに限定されない。ウェブ端部WEの位置が変化した際に、受信部13が受光する光量が変化するように配置されていればよい。例えば、受信部13を、ウェブWに対して発信部12と同じ側に配置してもよい。この場合、受信部13は、ウェブW表面で反射した光を受光することになる。
【0026】
<検出部制御部>
検出部制御部は、ウェブ端部WEが所定の位置に配置されたときに受信部13が受光する光量(ウェブWを透過する光も含む光量)に基づいて、ウェブ端部WEが所定の位置からズレているか、また、どちらの方向にズレているかを判断し、これらに関する情報(以下ズレ情報という)発信する機能を有している。
【0027】
例えば、一対のウェブ端部検出部11,11のうち、一方のウェブ端部検出部11の受信部13が受光した光量が増加し、他方のウェブ端部検出部11の受信部13が受光した光量が減少した場合には、検出部制御部は、ウェブWが他方のウェブ端部検出部11側にズレていると判断する。そして、増加した光量および減少した光量に基づいて、所定の位置からウェブ端部WEがどの程度ズレているかを判断する。
【0028】
<揺動制御部>
揺動制御部は、位置検出装置10と電気的に接続されている。この揺動制御部は、位置検出装置10の検出部制御部から送信される検出信号に基づいて、揺動機構の作動を制御する揺動制御機能を有している。揺動制御機能は、揺動機構の作動を制御して、ローラ5の揺動量および揺動方向を制御する機能である。具体的には、揺動制御機能は、位置検出装置10の検出部制御部からズレ情報が供給されると、ウェブWを所定の位置関係に戻すように揺動機構を作動させる機能を有している。例えば、図3において、ウェブWが右側にズレた場合には、揺動制御部の揺動制御機能は、ローラ5が時計周りに揺動するように揺動機構の作動を指示する。すると、ウェブWを左方向に移動させることができるので、ウェブWの端部を所定の位置関係に戻すことができる。
【0029】
<本実施形態の位置検出装置10を備えたウェブガイド装置1の作動>
本実施形態の位置検出装置10を備えたウェブガイド装置1は以上のごとき構成を有しているので、ウェブWの蛇行を防止して、ウェブ端部WEが所定の位置に配置された状態を維持することができる。具体的には、ウェブ端部WEが所定の位置からズレると、所定の位置からウェブ端部WEがズレたことを位置検出装置10の一対のウェブ端部検出部11,11が検出し、位置検出装置10の検出部制御部からズレ情報が揺動制御部に送信される。すると、揺動制御部では、ズレ情報に基づいて揺動制御機能が揺動機構の作動を制御して、ウェブ端部WEが所定の位置に戻るようにローラ5を揺動させる。この動作を繰り返すことによって、ウェブWの両端部WEは所定の位置に維持されるので、ウェブWを蛇行させることなく搬送することができる。
【0030】
<本実施形態の位置検出装置10について>
図3に示すように、本実施形態の位置検出装置10は、一対のウェブ端部検出部11,11を有している。一対のウェブ端部検出部11,11は、図3に示すようにウェブガイド装置1の中心軸CLに対して対称になるように設けられている。そして一対のウェブ端部検出部11,11は、ウェブガイド装置1の中心軸CLに対して対称となっている点を除けば実質的に同様の構造を有している。よって、以下の説明では、図3における左側のウェブ端部検出部11について説明する。
【0031】
なお、本実施形態の位置検出装置10は、必ずしも一対のウェブ端部検出部11,11を有していなくてもよい。一つのウェブ端部検出部11でウェブ端部WEのズレを検出できるのであれば、位置検出装置10が有するウェブ端部検出部11は一つでもよい。
【0032】
<ケーシング19>
図1(A)および図4に示すように、ウェブ端部検出部11は、側面視で略C字状に形成されたケーシング19を有している。このケーシング19は、一対の挟持部19a,19bを有しており、一対の挟持部19a,19bが基端部19cで連結された構造を有している。つまり、ウェブ端部検出部11は、その先端(図1では右端)に開口を有し、その先端部から基端部(図1では左端部)に向かって延びる隙間19gが一対の挟持部19a,19b間に形成されている。この一対の挟持部19a,19bは実質的に同様の構造を有しており、一対の挟持部19a,19bに挟まれる面、例えば、図1のウェブWと平行な面に対してほぼ対称な構造を有している。
【0033】
図1(A)および図4に示すように、ケーシング19は、その内部に中空な空間を有しており、一対の挟持部19a,19b内の空間と基端部19c内の空間とが互いに連通されている。なお、以下では、ケーシング19内部の空間を、一対の挟持部19a,19b内の空間と基端部19c内の空間とを合せて内部空間19hという場合がある。
【0034】
一対の挟持部19a,19bの互いに対向する面、言い換えれば、一対の挟持部19a,19bのウェブWと対向する面には、それぞれケーシング19の内部と外部との間を貫通する貫通孔19wが設けられている(図2(B)~(D)、図4参照)。この貫通孔19wは、一対の挟持部19a,19bの軸方向に沿って延びる長孔である(図1(B)、図2(A)、図4参照)。一対の挟持部19a,19bの貫通孔19wの周囲であって、一対の挟持部19a,19bの内部には、それぞれ、発信部側光透過部16および受信部側光透過部17が設置される設置面19dや隙間形成面19sが形成されている(図2(C)、(D)、図4参照)。
【0035】
<発信部12および受信部13>
図1(A)に示すように、ケーシング19の内部空間19hには、発信部12および受信部13が設けられている。具体的には、ケーシング19の挟持部19a内に発信部12が設けられており、ケーシング19の挟持部19b内には受信部13が設けられている。
【0036】
<発信部12>
図1(A)に示すように、挟持部19aの内部には発信部12が設けられている。この発信部12は、基板12bと光源12cとを備えており、基板12bがケーシング19の挟持部19aに固定されている。この基板12b上には、光源12cの複数の発光体が取り付けられている。この光源12cの複数の発光体は、挟持部19aの貫通孔19wの軸方向に沿って並ぶように設けられている(図1(B)参照)。この光源12cの複数の発光体には、種々の発光体を使用できる。例えば、LED光源やLD光源、有機EL等を使用することができる。
【0037】
なお、発信部12は検出部制御部に電気的に接続されており、この検出部制御部によってその点灯が制御されている。例えば、光源12cの複数の発光体のうち、どの発光体を点灯させるか、また、各発光体が照射する光の光量をどの程度にするかが、検出部制御部によって制御されている。
【0038】
<受信部13>
図1(A)に示すように、挟持部19bの内部には、受信部13が設けられている。この受信部13は、基板13bと受光センサ13dとを備えており、基板13bがケーシング19の挟持部19bに固定されている。この受光センサ13dは複数の受光体を備えており、複数の受光体は、挟持部19bの貫通孔19wの軸方向に沿って並ぶように設けられている。この受光センサ13dには、公知の受光センサを使用できる。例えば、フォトダイオードや太陽電池パネル等のように受光した光の光量に応じた電気信号を発信する機能を有する受光センサを使用することができる。
【0039】
なお、受信部13は検出部制御部に電気的に接続されており、受光センサ13dが発信する電気信号を検出部制御部に送信する機能を有している。
【0040】
<発信部側光透過部16および受信部側光透過部17>
図1(A)および図2に示すように、ケーシング19の挟持部19aには、ケーシング19の挟持部19a内に配置された発信部12の光源12cと、ウェブWとの間に位置するように、発信部側光透過部16が設けられている。
この発信部側光透過部16は、ケーシング19の挟持部19aに形成された貫通孔19wを塞ぐように配設されている。具体的には、発信部側光透過部16はその外面(ウェブWと対向する面)がケーシング19の挟持部19aにおいて貫通孔19wが形成された壁面の設置面19dに面接触するように配設されている(図2(B)、(C)、(D)参照)。
この発信部側光透過部16は、発信部12の光源12cから放出された光線を透過する素材によって形成された板状の部材である。例えば、発信部側光透過部16は、透明なガラスやプラスチック等によって形成された板状の部材である。したがって、発信部側光透過部16を設けても、発信部12の光源12cから放出された光線は発信部側光透過部16と貫通孔19wとを通過して、ウェブWに照射される。
【0041】
また、図1(A)に示すように、ケーシング19の挟持部19bには、ケーシング19の挟持部19b内に配置された受信部13の受光センサ13dと、ウェブWとの間に位置するように、受信部側光透過部17が設けられている。
図1(A)および図4に示すように、この受信部側光透過部17は、ケーシング19の挟持部19bに形成された貫通孔19wを塞ぐように配設されている。具体的には、受信部側光透過部17は、その外面(ウェブWと対向する面)がケーシング19の挟持部19bにおいて貫通孔19wが形成された壁面の設置面19dに面接触するように配設されている。
この受信部側光透過部17は、発信部12の光源12cから放出された光線を透過する素材によって形成された板状の部材である。例えば、受信部側光透過部17は、透明なガラスやプラスチック等によって形成された板状の部材である。したがって、受信部側光透過部17を設けても、発信部12の光源12cから放出された光線のうち、ウェブWに照射されなかった光線は貫通孔19wと受信部側光透過部17とを通過して、受信部13の受光センサ13dまで到達する。つまり、受信部側光透過部17を設けても、発信部12の光源12cから放出された光線のうち、ウェブWに照射されなかった光線を受信部13の受光センサ13dが受信することができる。
【0042】
<光源収容室30および受光センサ収容室35>
図1に示すように、発信部側光透過部16と発信部12の基板12bとの間には、光源収容室30を形成する隔離壁31が設けられている。この隔離壁31は、上下に開口を有する略筒状に形成された部材である。この隔離壁31の上下方向の長さは、発信部12および発信部側光透過部16をケーシング19の挟持部19aに設置した状態において、発信部側光透過部16の内面から発信部12の基板12bの上面までの長さとほぼ同じ長さに形成されている。また、隔離壁31は、その内部の空間が、発信部12の光源12cを内部に収容し得る大きさに形成されている。具体的には、隔離壁31は、その内部の空間の長さ(図1(C)では左右方向の長さ)が発信部12の光源12cの長さよりも長く、その内部の空間の幅(図1(C)では上下方向の長さ)が発信部12の光源12cの幅よりも長くなるように形成されている。つまり、隔離壁31は、発信部側光透過部16と発信部12の基板12bとの間に配置された状態で、その内部に発信部12の光源12cを収容し、かつ、内部の空間を外部(ケーシング19の内部空間19hおよびケーシング19の外部)から隔離できるように設けられている。つまり、この隔離壁31と、発信部12の基板12bと、発信部側光透過部16と、によって光源収容室30が形成されている。なお、発信部側光透過部16の内面および発信部12の基板12bと隔離壁31との間には、シール性を高めるためにパッキンなどを配置してもよい。
【0043】
また、受信部側光透過部17と受信部13の受光センサ13dとの間には、受光センサ収容室35を形成する隔離壁36が設けられている(図1(A))。この隔離壁36は、上下に開口を有する略筒状に形成された部材である。この隔離壁35の上下方向の長さは、受信部13および受信部側光透過部17をケーシング19の挟持部19bに設置した状態において、その上下方向の長さが受信部側光透過部17の内面から受信部13の基板13bの上面までの長さとほぼ同じ長さに形成されている。また、隔離壁36は、その内部の空間が、受信部13の受光センサ13dを内部に収容し得る大きさに形成されている。具体的には、隔離壁36は、その内部の空間の長さ(図1(A)では左右方向の長さ)が受信部13の受光センサ13dの長さよりも長く、その内部の空間の幅(図1(A)では紙面に垂直な方向の長さ)が受信部13の受光センサ13dの幅よりも長くなるように形成されている。つまり、隔離壁36は、受信部側光透過部17と受信部13の基板13bとの間に配置された状態で、その内部に受信部13の受光センサ13dを収容し、かつ、内部の空間を外部(ケーシング19の内部空間19hおよびケーシング19の外部)から隔離できるように設けられている。つまり、この隔離壁36と、受信部13の基板13bと、受信部側光透過部17と、によって光センサ収容室35が形成されている。なお、受信部側光透過部17の内面および受信部13の基板13bと隔離壁36との間には、シール性を高めるためにパッキンなどを配置してもよい。
【0044】
<気体供給部20>
気体供給部20は、上述した発信部側光透過部16の外面および受信部側光透過部17の外面に気体を供給するものである。つまり、気体供給部20は、発信部側光透過部16の外面および受信部側光透過部17の外面に気体を供給して、発信部側光透過部16の外面および受信部側光透過部17の外面に堆積した埃等を除去する(吹き飛ばす)機能を有するものである。さらに、気体供給部20は、発信部側光透過部16の外面および受信部側光透過部17の外面に気体を供給して、発信部側光透過部16の外面および受信部側光透過部17の外面に気体の層を形成して、埃等の堆積を防止する機能も発揮することができるものである。
【0045】
気体供給部20は、ケーシング19の内部空間19hに気体を供給する気体供給源21(図1(A)参照)と、気体供給源21から供給された気体を発信部側光透過部16の外面および受信部側光透過部17の外面に供給する気体噴出孔22(図2(B)、(C)、(D)参照)と、を備えている。
なお、気体供給源21から供給された気体は、ケーシング19の内部空間19hを通って気体噴出孔22に供給される。したがって、ケーシング19の内部空間19hは、気体供給部20の気体流路として機能する。
【0046】
<気体供給源21>
図1(A)に示すように、気体供給源21は、配管21pを介してケーシング19に設けられたプラグPに接続されている。したがって、気体供給源21から供給される気体は、配管21pとプラグPとを通して、ケーシング19の内部空間19に供給される。気体供給源21は、例えば、コンプレッサやポンプ、ボンベ等であり、大気圧よりもある程度高い気圧の気体をケーシング19の内部空間19に供給できるものであればよい。供給される気体もとくに限定されない。例えば、空気や窒素、不燃性ガス等を供給される気体として挙げることができる。
【0047】
<気体噴出孔22>
以下、気体噴出孔22について説明するが、ケーシング19の一対の挟持部19a,19bが対称な形状を有しており、後述する発信部側光透過部16の外面に気体を供給する気体噴出孔22の構造と、受信部側光透過部17の外面に気体を供給する気体噴出孔22の構造は実質的に同じ構造である。したがって、以下では、ケーシング19の挟持部19aに設けられた発信部側光透過部16の外面に気体を供給する気体噴出孔22の構造を代表として説明する。
【0048】
図2(C)、(D)に示すように、ケーシング19の挟持部19aの内面には、発信部側光透過部16の外面が面接触した状態で配置される設置面19dが形成されている。一方、ケーシング19の挟持部19aの内面において、発信部側光透過部16の第一端部が位置する部分(図2(A)では上側の部分)には、設置面19dよりも凹んだ隙間形成面19sが設けられている。この隙間形成面19sは、ケーシング19の貫通孔19wの長手方向(図2(A)の左右方向)に沿った所定の領域(図2(A)のLの領域)に形成されている。つまり、ケーシング19の挟持部19aの設置面19dに発信部側光透過部16を配置すると、発信部側光透過部16の第一端部と隙間形成面19sとの間に、隙間、つまり、気体供給部20の気体噴出孔22が形成されるようになっている(図2(D)参照)。
【0049】
この気体噴出孔22は、発信部側光透過部16の第一端部の外面に沿って延びた細長の隙間であり(図2(A)のLの領域)、ケーシング19の内部空間19hと外部との間を連通するように形成されている。隙間形成面19sは、発信部側光透過部16の第一端部の端縁よりも外方(図2(C)、(D)では左方)まで形成されている。このため、発信部側光透過部16の第一端部の端縁の外方には、ケーシング19の内部空間19hと気体噴出孔22の両方に連通された空間gが形成される(図2(C)、(D)参照)。したがって、気体噴出孔22を介して、ケーシング19の内部空間19hと外部との間を連通することができる。
【0050】
隙間形成面19sには、発信部側光透過部16の第一端部を支える間隔維持部25が設けられている(図2(C)、図4参照)。この間隔維持部25は、隙間形成面19sに設けられた突起状の部分であり、ケーシング19の貫通孔19wの長手方向(図2(A)の左右方向)に沿って複数個所(図2(A)では4個所)設けられている。また、間隔維持部25には、発信部側光透過部16と接触する接触面(図2(C)では下面)が形成されている。この接触面は、発信部側光透過部16の第一端部の外面と面接触するように平坦面に形成されている。この間隔維持部25の接触面は、設置面19dと同一平面上に位置するように設けられている。
【0051】
したがって、発信部側光透過部16をその外面が間隔維持部25の接触面およびケーシング19の挟持部19aの設置面19dと面接触するように配置すれば、発信部側光透過部16の第一端部の外面とケーシング19の挟持部19aの隙間形成面19sとの間における図2(A)のLの領域に、隙間、つまり気体噴出孔22を形成することができる(図2(D))。
【0052】
<本実施形態の位置検出装置10の機能>
本実施形態の位置検出装置10は上述した構造を有するので、以下のように機能して、発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面に埃等が堆積することを防止できる。
【0053】
本実施形態の位置検出装置10において、気体供給部20の気体供給源21から気体を供給すれば、気体は、ケーシング19の内部空間19hを通って気体噴出孔22に供給される。
【0054】
気体噴出孔22に供給された気体は、気体噴出孔22から発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面に供給される(噴き出される)。すると、発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面に堆積している埃等を、気体噴出孔22から吹き出された気流によって吹き飛ばして、発信部側光透過部16の外面上や受信部側光透過部17の外面上から除去することができる。
【0055】
ここで、気体噴出孔22は、その一方の面(図2(B)~(D)では下面)が発信部側光透過部16の第一端部の外面や受信部側光透過部17の第一端部の外面によって形成されている。そして、気体噴出孔22は、発信部側光透過部16の第一端部の外面や受信部側光透過部17の第一端部の外面とケーシング19の挟持部19aの隙間形成面19sとの間の部分(図2(D)の助走部分Y)が、気体の流れる方向に沿ってある程度の長さ(図2(D)では左右方向の長さ)を有する。このため、気体噴出孔22から吹き出される気流は、発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面に沿った流れになる。
【0056】
すると、発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面には、気体噴出孔22から吹き出される気流によって渦などが形成されない。したがって、気流によってスムースかつ効率よく、堆積している埃等を発信部側光透過部16の外面上や受信部側光透過部17の外面上から除去することができる。
【0057】
そして、本実施形態の位置検出装置10では、ケーシング19内を通して気体噴出孔22に気体を供給しており、この気体を噴き出す気体噴出孔22が、発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面とケーシング19の内面との間に形成されている。つまり、気体を噴き出す機構と、気体を供給する機構とを、いずれも、位置検出装置10のケーシング19によって構成しているので、装置自体をコンパクトにしつつ発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面などの汚れを防止できる。
【0058】
なお、上述した助走部分Yの長さはとくに限定されず、長いほど気体噴出孔22から吹き出される気体を発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面に沿った流れとしやすくなる一方、あまり長くすると装置が大きくなってしまう。したがって、助走部分Yの長さは、気体噴出孔22の高さや貫通孔19wの幅等に応じて適宜設定すればよい。例えば、助走部分Yの長さは、気体噴出孔22の高さに対して100%以上としたりすることができる。
【0059】
<ケーシング19について>
図2(C)、(D)および図4に示すように、発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面に沿った方向において、ケーシング19において気体噴出孔22と対向する部分(以下単に対向部分という)には、傾斜面19mを設けることが望ましい。かかる傾斜面19mを設けておけば、気体噴出孔22から吹き出された気体が対向部分まで流れたときに、発信部側光透過部16の第二端部の外面や受信部側光透過部の第二端部の外面から外方にスムースに流れる気流を形成することができる。つまり、気体噴出孔22から吹き出された気体を、発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面に沿ってスムースに流して、その流れを乱すことなく対向部分から外部に排出することができる。すると、気体によって流された埃等をスムースに外部に排出することができる。また、気体を常時気体噴出孔22から吹き出しておけば、発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部の外面に、気体噴出孔22から対向部分の外方まで流れる気体の層を形成することができる。
【0060】
かかる傾斜面19mは、発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面から外方に向かうに従って、気体噴出孔22からの距離が長くなるような傾斜面に形成されていれば、上記のような機能を発揮させることができる。発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面と傾斜面19mとの間に若干の段差があってもよいが、段差がない方がより望ましい。つまり、傾斜面19mとして、発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面に接触する一端縁を有する傾斜面とすれば、上記のような機能をより確実に発揮させることができる。つまり、傾斜面19mを、発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面との間に段差がほとんどない傾斜面とすれば、上記のような機能をより確実に発揮させることができる。
【0061】
なお、対向部分に形成する面は、上述したような傾斜面(平坦面)でなくてもよく、曲面(例えば外方に凸状となった弧状面等)としてもよい。このような曲面とした場合でも、発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面から外方に向かうに従って、気体噴出孔22からの距離が長くなるように形成されていれば、上記のような機能を発揮させることができる。
【0062】
上記例では、一対の挟持部19a,19bが図1のウェブWと平行な面に対してほぼ対称な構造を有している場合を説明した。しかし、実質的に同様に構造を有していれば、一対の挟持部19a,19bは必ずしも対称な構造でなくてもよい。
【0063】
また、一対の挟持部19a,19bは、必ずしも両者が実質的に同様な構造でなくてもよい。発信部側光透過部16の外面に気体を供給する構造と、受信部側光透過部17の外面に気体を供給する構造と、が異なる構造になっていてもよい。例えば、発信部側光透過部16の外面に気体を供給する構造として上述した構造を採用し、受信部側光透過部17の外面に気体を供給する構造には別な構造を採用することもできる。逆に、受信部側光透過部17の外面に気体を供給する構造として上述した構造を採用し、発信部側光透過部16の外面に気体を供給する構造には別な構造を採用することもできる。この場合には、一対の挟持部19a,19bは異なる構造になる。
【0064】
また、発信部側光透過部16の外面には気体を供給するが、受信部側光透過部17の外面には気体を供給しないようにしてもよい。逆に、受信部側光透過部17の外面には気体を供給するが、発信部側光透過部16の外面には気体を供給しないようにしてもよい。この場合にも、一対の挟持部19a,19bは異なる構造になる。
【0065】
<気体噴出孔22について>
気体噴出孔22の高さ(図2(D)では上下方向の長さ)はとくに限定されない。気体噴出孔22から吹き出す気体がある程度の流速をもって発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面を流れるように形成されていればよい。例えば、気体噴出孔22の高さは、2mm程度よりも狭い方が望ましく、0.01~2mm程度が好ましく、0.02~1mm程度がより望ましい。
【0066】
<間隔維持部25について>
間隔維持部25は、気体噴出孔22の高さを維持できるのであればその形状はとくに限定されないが、間隔維持部25は、気体噴出孔22から吹き出される気流を乱さない構造となっていることが望ましい。例えば、間隔維持部25が、発信部側光透過部16の外面側や受信部側光透過部17の外面側から見たときに、発信部側光透過部16や受信部側光透過部17の第二端部側(図2(A)では下側)に頂点を有する三角形状となっていることが望ましい。この場合、気体噴出孔22から気体が吹き出す部分では間隔維持部25の影響による気流の乱れが少ない状態とすることができる。すると、気体噴出孔22から吹き出された気体を、発信部側光透過部16の外面や受信部側光透過部17の外面に沿ってスムースに流すことができる。
【0067】
なお、間隔維持部25の形状は、上述したような三角形状に限られない。間隔維持部25は、発信部側光透過部16の外面側や受信部側光透過部17の外面側から見たときに、発信部側光透過部16の第二端部側や受信部側光透過部17の第二端部側に先端に向かって幅が狭くなる先端部を有していればよい。かかる構造とした場合でも、間隔維持部25の形状を三角形状とした場合と同様の効果を得ることができる。この先端部は、幅の急激な変化が無く、発信部側光透過部16の第二端部側や受信部側光透過部17の第二端部側に頂点を有する形状となっていることが望ましい。例えば、間隔維持部25の形状として、発信部側光透過部16の第二端部側や受信部側光透過部17の第二端部側に頂点を有するひし形やその他の多角形状を採用することができる。また、気流の流れる方向と平行な長軸を有する楕円形や、単なる円形も間隔維持部25の形状として採用することができる。
【0068】
また、ケーシング19の内面と発信部側光透過部16の第一端部の外面との間の隙間を維持できるのであれば、間隔維持部25は必ずしも設けなくてもよい。
同様に、ケーシング19の内面と受信部側光透過部17の第一端部の外面との間の隙間を維持できるのであれば、間隔維持部25は必ずしも設けなくてもよい。
【0069】
さらに、間隔維持部25は、ケーシング19の貫通孔19wの長手方向(図2(A)の左右方向)に沿って等間隔で並んでいることが望ましい。しかし、発信部側光透過部16や受信部側光透過部17を適切に支えることができ、発信部側光透過部16の外面上や受信部側光透過部17の外面上に適切な空気の流れを形成できるのであれば、必ずしも等間隔で並んでいなくてもよい。
【0070】
<光源収容室30および受光センサ収容室35>
光源収容室30や受光センサ収容室35を設けておけば、発信部12の光源12cや受信部13の受光センサ13dが気体供給部20の気体供給源21から供給される気体に接触しない。すると、気体供給部20の気体供給源21から供給される気体による発信部12の光源12cや受信部13の受光センサ13dの損傷を防ぐことができるという利点がある。
【0071】
一方、気体供給源21から供給される気体に接触しても、発信部12の光源12cや受信部13の受光センサ13dが損傷しないのであれば、光源収容室30や受光センサ収容室35は必ずしも設けなくてもよい。例えば、気体供給部20の気体供給源21から供給される気体が水分を含む場合には、発信部12の光源12cや受信部13の受光センサ13dに水分による損傷することを防ぐ防水コーティング等を施しておけば、光源収容室30や受光センサ収容室35は必ずしも設けなくてもよい。
【0072】
なお、発信部12の基板12bや受信部13の基板13bは、気体供給源21から供給される気体に接触するので、気体に接触しても損傷しない加工をしておくことが望ましい。例えば、気体供給部20の気体供給源21から供給される気体が水分を含む場合には、発信部12の基板12bや受信部13の基板13bに水分による損傷することを防ぐ防水コーティングを施しておくことが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
また、本発明の位置検出装置は、製造ラインにおいて、連続して搬送されるウェブの端部の位置を検出する装置として適している。
【符号の説明】
【0074】
1 ウェブガイド装置
10 位置検出装置
11 ウェブ端部検出部
12 発信部
12c 光源
13 受信部
13d 受光センサ
16 発信部側光透過部
17 受信部側光透過部
19 ケーシング
19w 貫通孔
19m 傾斜面
20 気体供給部
21 気体供給源
22 気体噴出孔
25 間隔維持部
30 光源収容室
31 隔離壁
35 光センサ収容室
36 隔離壁
W ウェブ
WE ウェブ端部
図1
図2
図3
図4