(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】照明システム、照明演出方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/165 20200101AFI20240517BHJP
H05B 47/175 20200101ALI20240517BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240517BHJP
【FI】
H05B47/165
H05B47/175
H05B47/105
(21)【出願番号】P 2020143501
(22)【出願日】2020-08-27
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】姫野 徹
(72)【発明者】
【氏名】村上 薫
(72)【発明者】
【氏名】坂本 幸司
(72)【発明者】
【氏名】平松 宏司
(72)【発明者】
【氏名】内畠 充
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-535924(JP,A)
【文献】特表2008-502949(JP,A)
【文献】特開2014-112513(JP,A)
【文献】特開2019-145333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の照明器具と、
前記複数の照明器具による照明演出を行うための演出情報を生成する端末装置と、
前記演出情報に基づいて、前記複数の照明器具を点灯制御して前記照明演出を行う照明コントローラと、
を備え、
前記端末装置は、
動画コンテンツに含まれるオブジェクトの属性に基づいて、前記演出情報を生成する情報処理部
と、
前記動画コンテンツから前記オブジェクトの属性を取得するデータ取得部と、
前記データ取得部で取得した前記オブジェクトの属性が保存される記憶部と、
を有し、
前記情報処理部は、前記データ取得部で取得した前記オブジェクトの属性に基づいて、前記演出情報を生成し、および、前記記憶部に保存された前記オブジェクトの属性の内容を変更することで、前記演出情報を変更し、
さらに、前記情報処理部は、前記端末装置の画面に表示される前記動画コンテンツの中の前記オブジェクトの面積に基づいて、複数の前記オブジェクトの前記照明演出の優先度を決定する
照明システム。
【請求項2】
前記オブジェクトは、人、動物、移動体および自然物の少なくとも1つであり、
前記オブジェクトの属性は、前記オブジェクトの色、動きおよび表示スケジュールの少なくとも1つである
請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記動画コンテンツは、複数の前記オブジェクトを有し、
前記データ取得部は、複数の前記オブジェクトごとに前記オブジェクトの属性を取得する
請求項
1または2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記記憶部には、前記複数の照明器具の位置データが保存され、
前記情報処理部は、前記位置データおよび前記オブジェクトの属性に基づいて、前記演出情報を生成する
請求項
1~3のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項5】
前記記憶部には、複数の前記オブジェクトごとに前記照明演出の優先度が保存され、
前記情報処理部は、前記優先度および前記オブジェクトの属性に基づいて、前記演出情報を生成する
請求項
1~4のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項6】
複数の照明器具による照明演出を行う照明演出方法であって、
動画コンテンツからオブジェクトの属性を取得し、
前記オブジェクトの属性を保存し、
前記動画コンテンツに含まれる
前記オブジェクトの属性に基づいて、前記照明演出を行うための演出情報を生成し、
さらに、
画面に表示される前記動画コンテンツの中の前記オブジェクトの面積に基づいて、複数の前記オブジェクトの前記照明演出の優先度を決定し、
前記オブジェクトの属性の内容を変更することで、前記演出情報を変更し、
前記演出情報に基づいて、前記複数の照明器具を点灯制御して前記照明演出を行う
照明演出方法。
【請求項7】
動画コンテンツからオブジェクトの属性を取得するステップと、
前記オブジェクトの属性を保存するステップと、
動画コンテンツから抽出したオブジェクトの属性を変更するステップと、
変更後の前記オブジェクトの属性に基づいて、複数の照明器具を点灯制御して照明演出を行うための演出情報を生成するステップと、
を含み、さらに、
画面に表示される前記動画コンテンツの中の前記オブジェクトの面積に基づいて、複数の前記オブジェクトの前記照明演出の優先度を決定するステップと、
前記オブジェクトの属性の内容を変更することで、前記演出情報を変更するステップと、
を含む演出情報生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の照明器具を点灯制御して照明演出を行う照明システム、照明演出方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の照明器具を点灯制御して照明演出を行う照明システムが知られている。この種の照明システムの一つとして特許文献1には、グラフィック情報のピクセルデータ位置を空間内の位置座標にマッピングし、グラフィック情報を照明器具の点灯制御情報に変換する照明システムが開示されている。この照明システムでは、グラフィック情報に基づく照明効果が発生するように、照明器具を点灯制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている照明システムでは、グラフィック情報を照明器具の点灯制御情報に変換する必要があり、複数の照明器具による照明演出を行うのに多大な労力を有する。
【0005】
そこで、本発明は、複数の照明器具による照明演出を行うための演出情報を簡易に生成することができる照明システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照明システムの一態様は、複数の照明器具と、前記複数の照明器具による照明演出を行うための演出情報を生成する端末装置と、前記演出情報に基づいて、前記複数の照明器具を点灯制御して前記照明演出を行う照明コントローラと、を備え、前記端末装置は、動画コンテンツに含まれるオブジェクトの属性に基づいて、前記演出情報を生成する情報処理部と、前記動画コンテンツから前記オブジェクトの属性を取得するデータ取得部と、前記データ取得部で取得した前記オブジェクトの属性が保存される記憶部と、を有し、前記情報処理部は、前記データ取得部で取得した前記オブジェクトの属性に基づいて、前記演出情報を生成し、および、前記記憶部に保存された前記オブジェクトの属性の内容を変更することで、前記演出情報を変更し、さらに、前記情報処理部は、前記端末装置の画面に表示される前記動画コンテンツの中の前記オブジェクトの面積に基づいて、複数の前記オブジェクトの前記照明演出の優先度を決定する。
【0007】
また、本発明の照明演出方法の一態様は、複数の照明器具による照明演出を行う照明演出方法であって、動画コンテンツからオブジェクトの属性を取得し、前記オブジェクトの属性を保存し、前記動画コンテンツに含まれる前記オブジェクトの属性に基づいて、前記照明演出を行うための演出情報を生成し、さらに、画面に表示される前記動画コンテンツの中の前記オブジェクトの面積に基づいて、複数の前記オブジェクトの前記照明演出の優先度を決定し、前記オブジェクトの属性の内容を変更することで、前記演出情報を変更し、前記演出情報に基づいて、前記複数の照明器具を点灯制御して前記照明演出を行う。
【0008】
また、本発明のプログラムの一態様は、動画コンテンツからオブジェクトの属性を取得するステップと、前記オブジェクトの属性を保存するステップと、動画コンテンツから抽出したオブジェクトの属性を変更するステップと、変更後の前記オブジェクトの属性に基づいて、複数の照明器具を点灯制御して照明演出を行うための演出情報を生成するステップと、を含み、さらに、画面に表示される前記動画コンテンツの中の前記オブジェクトの面積に基づいて、複数の前記オブジェクトの前記照明演出の優先度を決定するステップと、前記オブジェクトの属性の内容を変更することで、前記演出情報を変更するステップと、を含む演出情報生成方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の照明システム等によれば、複数の照明器具による照明演出を行うための演出情報を簡易に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係る照明演出方法の概要を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る照明システム、ならびに、照明システムを構成する複数の照明器具、照明コントローラおよび端末装置を示す概略図である。
【
図3】実施の形態に係る照明システムのブロック構成図である。
【
図4】実施の形態における複数の照明器具の配置を示す図である。
【
図5】実施の形態における端末装置の画面を示す図である。
【
図6】演出情報を生成する際の元データとなる動画コンテンツの一例を示す図である。
【
図7】端末装置の記憶部に保存される複数のオブジェクトおよび各オブジェクトの属性を示す図である。
【
図8】演出情報を生成するために参考とするオブジェクトの一例を示す図である。
【
図9】
図8に示すオブジェクトの属性が変更される様子を示す図である。
【
図10】実施の形態に係る照明演出方法を示すフローチャートである。
【
図11】
図10のステップS13において端末装置に表示される画面を示す図である。
【
図12】実施の形態の変形例1に係る照明演出方法を示すフローチャートである。
【
図13】実施の形態の変形例2に係る照明演出方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態)
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の一形態に係る実現形態を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。本発明の実現形態は、現行の独立請求項に限定されるものではなく、他の独立請求項によっても表現され得る。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0013】
[1.実施の形態の概要]
本実施の形態に係る照明システムは、建物の壁、床、天井などに設けられた複数の照明器具を点灯制御して照明演出を行うシステムである。複数の照明器具による照明演出を行うためには、照明演出を行うための演出情報が必要となるが、演出情報を一から生成するのは多大な労力を要する。そこで、演出情報を簡易に生成して照明演出を行う方法について、
図1を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、照明演出方法の概要を示す図である。本実施の形態における演出情報は、動画コンテンツからオブジェクトを抽出し、抽出したオブジェクトの属性を変更することで生成される。
【0015】
図1の(a)には、動画コンテンツ50の一部である1つ目から4つ目のフレームが順に示されている。動画コンテンツ50には、人、車、犬などの複数のオブジェクト51が含まれている。本実施の形態では、まず、動画コンテンツ50から複数のオブジェクト51を抽出する。
【0016】
図1の(b)には、動画コンテンツ50から抽出されたオブジェクト51が示されている。この例では、動画コンテンツ50から抽出した複数のオブジェクト51の中から、演出情報を生成するために参考とする車のオブジェクト51が示されている。同図には、車のオブジェクト51が1フレームごとに画面の左上へ移動する様子が示されている。
【0017】
図1の(c)には、複数の照明器具10による照明演出が行われている様子が示されている。この例では、オブジェクト51の属性のうち、動きに関する属性は変更されず、色および形状に関する属性が変更されている。そして、変更後の属性に基づいて演出情報が生成され、演出情報に基づいて複数の照明器具が点灯制御されている。具体的には、
図1の(c)には、オブジェクト51である白い車が有色で丸形の明かりに変更され、また、明かりが右下から左上に向かって移動する様子が示されている。
【0018】
このように、動画コンテンツ50に含まれるオブジェクト51を素材として演出情報を生成することで、照明演出を行うための演出情報を簡易に作成することができる。以下、演出情報を簡易に生成するための照明システムの構成等について説明する。
【0019】
[2.照明システムの構成]
本実施の形態に係る照明システム1の構成について、
図2~
図4を参照しながら説明する。
【0020】
図2は、照明システム1、ならびに、照明システム1を構成する複数の照明器具10、照明コントローラ20および端末装置30を示す概略図である。
図3は、照明システム1のブロック構成図である。
図4は、複数の照明器具10の配置を示す図である。
【0021】
図2および
図3に示すように、照明システム1は、照明光を出射する複数の照明器具10と、複数の照明器具10を点灯制御する照明コントローラ20と、情報端末である端末装置30とを備えている。
【0022】
複数の照明器具10と照明コントローラ20とは有線によって通信接続されている。照明コントローラ20と端末装置30とは無線r1によって通信接続されている。なお、端末装置30は、インターネットを介して照明コントローラ20に通信接続されていてもよい。
【0023】
図4に示すように、照明器具10は、ビル、塔などの建物90に設置される。照明器具10は、例えば、建物90の外壁に設けられる外灯である。複数の照明器具10は、複数の建物90に、所定の間隔で点在するように配置される。複数の照明器具10の位置データは、2次元座標(x、y)のデータとして、後述する端末装置30に保存されている。
【0024】
図4には44台の照明器具10が示されているが、それに限られず、照明器具10は、建物90に100台以上設置されてもよい。複数の照明器具10によって照明演出される演出面の全体の面積は、例えば100m
2以上1600m
2以下である。隣り合う照明器具10の間隔は、例えば0.5m以上5m以下である。照明器具10は、建物90の外壁に設けられているが、それに限られず、窓の内側である建物90の内部に設けられていてもよい。
【0025】
各照明器具10は、例えば、赤、緑または青の光を出射する複数の発光素子を有している。照明器具10は、複数の発光素子から同時に出射された光が合成されることで形成される無地の光を出射する。各照明器具10は、それぞれが独立して、調光、調色、点灯、点滅、消灯可能である。
【0026】
各照明器具10は、照明コントローラ20に接続され、照明コントローラ20から送信される演出情報に基づいて点灯制御される。演出情報には、照明器具10から出射する光の色、明るさ、および、光を出射するスケジュール等に関する情報が含まれている。
【0027】
図5は、端末装置30の画面を示す図である。端末装置30は、照明演出を行うための演出情報を生成する装置である。端末装置30は、例えば、スマートフォン、タブレット端末またはパーソナルコンピュータなどの情報端末である。
【0028】
図3に示すように、端末装置30は、第1の入力部31と、第2の入力部32と、データ取得部33と、情報処理部35と、記憶部36と、表示部37と、情報出力部38とを備えている。第1の入力部31、第2の入力部32、データ取得部33、記憶部36、表示部37および情報出力部38のそれぞれは、情報処理部35に接続されている。
【0029】
第1の入力部31は、動画コンテンツ50のデータ入力を受け付けるコネクタまたは受信モジュールである。動画コンテンツ50は、例えば、カメラ等で撮像した動画データであるが、それに限られず、ダウンロード等により取得した動画データであってもよい。
【0030】
第2の入力部32は、ユーザからの操作入力を受け付けるタッチパネル、マウスまたはキーボードである。端末装置30では、第2の入力部32で受け付けた操作入力に基づいて、演出情報の編集が行われる。
【0031】
表示部37は、情報処理部35による各種の処理結果を表示するディスプレイである。表示部37がタッチパネルである場合、表示部37は、第2の入力部32の機能を兼用していてもよい。
【0032】
データ取得部33は、動画コンテンツ50から複数のオブジェクト51および各オブジェクト51の属性を取得する機能を有している。動画コンテンツ50は、演出情報を生成するための元データである。
【0033】
オブジェクト51は、動画コンテンツ50の中に存在する物である。例えば、オブジェクト51は、人、動物、車や飛行機などの移動体、および、太陽、雲、雷などの自然物の少なくとも1つである。なお、オブジェクト51は、動きの少ない植物および背景物であってもよい。
【0034】
オブジェクト51の属性は、オブジェクト51の特徴または性質を表す。例えば、オブジェクト51の属性は、オブジェクト51の色、オブジェクト51の移動ルートや移動スピードなどの動き、および、オブジェクト51が表示される時刻を示す表示スケジュールの少なくとも1つである。なお、オブジェクト51の属性は、オブジェクト51の形状および大きさであってもよい。
【0035】
データ取得部33は、画像分析を行うアプリケーションソフトを用いることで、動画コンテンツ50から複数のオブジェクト51および各オブジェクト51の属性を抽出する。画像分析を行うアプリケーションソフトとしては、例えば、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社によって提供されている「Amazon Rekognition」を利用することができる。データ取得部33は、動画コンテンツ50からオブジェクトを抽出する際、複数のオブジェクト51ごとにオブジェクト51の属性を取得する。なお、データ取得部33は、情報処理部35内に設けられていてもよい。
【0036】
情報処理部35は、プロセッサまたはマイクロコンピュータなどによって実現される。情報処理部35は、動画コンテンツ50に含まれるオブジェクト51およびオブジェクト51の属性に基づいて、複数の照明器具10を点灯制御して照明演出するための演出情報を生成する。
【0037】
記憶部36には、情報処理部35によって実行されるアプリケーションプログラム等のプログラムが保存されている。記憶部36は、スタティックRAM(Random Access Memory)若しくはダイナミックRAM等の揮発性の記憶装置、または、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置等によって実現される。
【0038】
記憶部36には、各照明器具10の位置データ、動画コンテンツ50のデータ、および、画像分析を行うアプリケーションソフトが保存されている。また、記憶部36には、アプリケーションソフトを用いて抽出されたオブジェクト51およびオブジェクト51の属性が保存される。
【0039】
図6は、演出情報を生成する際の元データとなる動画コンテンツ50の一例を示す図である。
図7は、記憶部36に保存される複数のオブジェクト51および各オブジェクト51の属性を示す図である。
【0040】
図6の(a)に示す動画コンテンツ50aには、人、車などの複数のオブジェクト51が含まれ、
図6の(b)に示す動画コンテンツ50bには、人、犬、雷などの複数のオブジェクト51が含まれている。
【0041】
図7に示すように、記憶部36には、動画コンテンツ50a、50bから抽出された複数のオブジェクト51と、各オブジェクト51の色に関する属性、動きに関する属性および表示スケジュールに関する属性とが、互いに関連付けられて保存されている。また、記憶部36には、データ取得部33にて取得したオブジェクト51の属性の内容が、デフォルトとして保存される。
【0042】
情報処理部35は、記憶部36に保存された複数のオブジェクト51の中から、照明演出を行うために参考とするオブジェクトを選択する。
【0043】
図8は、照明演出を行うために参考とするオブジェクトの一例を示す図である。この図では、参考とするオブジェクト51として、犬が選択されている。
【0044】
情報処理部35は、選択したオブジェクト51の属性を変更することで、演出情報を生成する。また、情報処理部35は、オブジェクト51の属性の変更に加え、照明器具10の位置データに合わせて演出情報を生成する。
【0045】
図9は、
図8に示すオブジェクト51の属性が変更される様子を示す図である。
図9では、理解を容易にするため、オブジェクト51の属性が変更される様子を、照明演出を行う場面に変換して表現している。ここでは、オブジェクト51の動きに関する属性が変更されている例が示されている。具体的には、
図9の(a)に示すように、オブジェクト51である犬が照明器具10の明かり(
図9の(a)に示す丸印)に変更され、さらに、
図9の(b)に示すように、照明器具10の明かり(
図9の(b)に示す丸印)の動きが右側および上下に拡大されている。また、照明器具10の点灯範囲が照明器具10の位置データに収まるように調整されている。なお、同図の矢印は、照明器具10が点灯する順番を示している。このように、動画コンテンツ50に含まれるオブジェクト51の属性に基づいて演出情報を生成することで、演出情報を簡易に作成することができる。
【0046】
なお、上記では、動きに関する属性として、移動ルートを変更する例を示したが、それに限られない。例えば、移動スピードを速くまたは遅くすることで、動きに関する属性を変更してもよい。情報処理部35にて生成された演出情報は、情報出力部38を介して外部へ出力される。
【0047】
情報出力部38は、アンテナおよび無線モジュールなどによって構成され、無線r1で照明コントローラ20と通信可能である。なお、情報出力部38は、有線通信で照明コントローラ20と通信可能であってもよい。情報出力部38は、USBメモリなどの記録媒体に演出情報を記録することで、演出情報を外部へ出力してもよい。
【0048】
照明コントローラ20は、複数の照明器具10を点灯制御するコントローラである。照明コントローラ20は、端末装置30から出力された演出情報を取得し、この演出情報に基づいて、複数の照明器具10を点灯制御する。これにより、照明システム1において、複数の照明器具10による照明演出が行われる。
【0049】
[3.照明演出方法]
実施の形態に係る照明演出方法について、
図10を参照しながら説明する。
【0050】
図10は、実施の形態に係る照明演出方法を示すフローチャートである。
【0051】
まず、端末装置30が、複数の照明器具10の位置データを取得する(ステップS10)。このステップで取得した照明器具10の位置データは、記憶部36に保存される。
【0052】
次に、端末装置30が、動画コンテンツ50のデータを取得する(ステップS11)。このステップで取得した動画コンテンツ50のデータは、記憶部36に保存される。なお、ステップS11は、ステップS10の前に実行されてもよい。
【0053】
次に、端末装置30が動画コンテンツ50に含まれるオブジェクト51およびオブジェクト51の属性を抽出する(ステップS12)。このステップで抽出したオブジェクト51およびオブジェクト51の属性は、記憶部36に保存される。
【0054】
次に、端末装置30が、照明演出を行うための演出情報を生成する(ステップS13)。ここで、演出情報が生成される際に端末装置30が受け付ける操作入力について、
図11を参照しながら説明する。
【0055】
図11は、
図10のステップS13において端末装置30に表示される画面を示す図である。
【0056】
図11の(a)に示す編集画面において「オブジェクト検索」の操作キーの入力を受け付けると、
図11の(b)に示すオブジェクト選択画面が表示される。このオブジェクト選択画面では、「オブジェクト選択」の操作キーおよび「オブジェクト一覧」の操作キーが表示される。この図では、オブジェクト51として「人」が選択され、数人の中からNo.1の人(
図7参照)が選択されている例が示されている。
【0057】
オブジェクト選択画面において「決定」の操作キーの入力を受け付けると、
図11の(c)に示す編集画面が表示される。この編集画面において「動き」および「色」の操作キーの入力を受け付け、かつ「演出変更」の操作キーの入力を受け付けると、
図11の(d)に示す演出変更画面が表示される。演出変更画面において、色に関する属性のうち「R、G、B」の調整バーが調整されることで、色に関する演出情報が変更される。また、演出変更画面において、「動き」に関する属性について「曲線」が選択され、さらに「動き詳細」の操作キーを受け付けると、
図11の(e)に示す詳細変更画面が表示される。詳細変更画面では、数種類の移動ルートを示す操作キーが表示される。これらの移動ルートから所定の移動ルートが選択され、さらに「決定」の操作キーを受け付けることで、演出情報が生成される。
【0058】
このように端末装置30は、記憶部36に記憶されたオブジェクト51の属性の内容を変更し、変更後のオブジェクト51の属性に基づいて、演出情報を生成する。また、端末装置30は、記憶部36に保存された照明器具10の位置データを参照して、複数の照明器具10を用いて演出可能な範囲の演出情報を生成する。
【0059】
端末装置30は、ステップS13にて生成した演出情報を照明コントローラ20に出力する(ステップS14)。照明コントローラ20は、照明コントローラ20から出力された演出情報を取得し、演出情報に基づいて複数の照明器具10を点灯制御する(ステップS15)。これらのステップS10~S15により、複数の照明器具10による照明演出が行われる。
【0060】
[4.実施の形態の変形例1]
実施の形態の変形例1に係る照明演出方法について説明する。変形例1では、オブジェクト51の照明演出を行う際の優先度に基づいて、演出情報を生成する例について説明する。
【0061】
図12は、変形例1に係る照明演出方法を示すフローチャートである。ステップS10~S12、S14およびS15は、
図10に示す実施の形態と同じなので説明を省略する。
【0062】
変形例1では、オブジェクト51の照明演出の優先度に基づいて、演出情報を生成する。具体的には、まず、情報処理部35が、データ取得部33で取得したデータに基づいて、異なるオブジェクト51が同一の時間帯に画面上で重なっているか否かを判断する(ステップS13A)。異なるオブジェクト51が重なっていない場合(S13AにてNo)、情報処理部35は、優先度に基づいて演出情報を生成する必要がないので、
図10のステップS13に示すように演出情報を生成する。
【0063】
一方、異なるオブジェクト51が重なっている場合(S13AにてYes)、情報処理部35は、記憶部36に保存されているオブジェクト51の照明演出の優先度に基づいて、演出情報を生成する(ステップS13B)。この優先度は、照明システム1を利用するユーザによって複数のオブジェクト51ごとに予め記憶部36に保存されている。情報処理部35は、優先度の高いオブジェクト51が、優先度の低いオブジェクト51よりも上書きとなって表示されるように演出情報を生成する。変形例1では、オブジェクト51が重なっている場合であっても、演出情報を簡易に生成することができる。
【0064】
[5.実施の形態の変形例2]
実施の形態の変形例2に係る照明演出方法について説明する。変形例2では、動画コンテンツ50の中のオブジェクト51の面積に基づいて優先度を決定し、この優先度に基づいて、演出情報を生成する例について説明する。
【0065】
図13は、変形例2に係る照明演出方法を示すフローチャートである。ステップS10~S12、S14およびS15は、
図10に示す実施の形態と同じなので説明を省略する。
【0066】
変形例2でも、情報処理部35は、オブジェクト51の照明演出の優先度に基づいて、演出情報を生成する。具体的には、まず、情報処理部35が、データ取得部33で取得したデータに基づいて、異なるオブジェクト51が同一の時間帯に画面上で重なっているか否かを判断する(ステップS13C)。異なるオブジェクト51が重なっていない場合(S13CにてNo)、
図10のステップS13に示すように演出情報を生成する。
【0067】
一方、異なるオブジェクト51が重なっている場合(S13CにてYes)、情報処理部35は、端末装置30の画面に表示される動画コンテンツ50の中のオブジェクト51の面積に基づいて、照明演出の優先度を決定する(ステップS13D)。この優先度は、画面中のオブジェクト51の面積占有率が高いほど、すなわち画面に表される画素数が多いほど、高く設定される。そして情報処理部35は、決定された優先度に基づいて、演出情報を生成する(ステップS13E)。具体的には、情報処理部35は、優先度の高いオブジェクト51が、優先度の低いオブジェクト51よりも上書きとなって表示されるように演出情報を生成する。変形例2でも、オブジェクト51が重なっている場合であっても、演出情報を簡易に生成することができる。
【0068】
なお、上記のステップS13C~S13Eは、変形例1のS13Bの後に実行されてもよい。変形例1および変形例2にて設定される優先度が異なる場合は、変形例1の優先度が採用されてもよい。
【0069】
[6.効果等]
本実施の形態に係る照明システム1は、複数の照明器具10と、複数の照明器具10による照明演出を行うための演出情報を生成する端末装置30と、演出情報に基づいて、複数の照明器具10を点灯制御して照明演出を行う照明コントローラ20と、を備える。端末装置30は、動画コンテンツ50に含まれるオブジェクト51の属性に基づいて、演出情報を生成する情報処理部35を有する。
【0070】
このように、端末装置30の情報処理部35が、動画コンテンツ50に含まれるオブジェクト51の属性に基づいて演出情報を生成することで、演出情報を簡易に作成することができる。
【0071】
また、オブジェクト51は、人、動物、移動体および自然物の少なくとも1つであり、オブジェクト51の属性は、オブジェクト51の色、動きおよび表示スケジュールの少なくとも1つであってもよい。
【0072】
これによれば、演出情報を生成するために参考とするオブジェクト51およびオブジェクト51の属性を適切に選択し、演出情報を適切に生成することができる。
【0073】
また、端末装置30は、動画コンテンツ50からオブジェクト51の属性を取得するデータ取得部33を有し、情報処理部35は、データ取得部33で取得したオブジェクト51の属性に基づいて、演出情報を生成してもよい。
【0074】
これによれば、動画コンテンツ50に含まれるオブジェクト51の属性を適切に取得し、取得したオブジェクト51の属性に基づいて演出情報を適切に生成することができる。
【0075】
また、動画コンテンツ50は、複数のオブジェクト51を有し、データ取得部33は、複数のオブジェクト51ごとにオブジェクト51の属性を取得してもよい。
【0076】
このように複数のオブジェクトごとにオブジェクト51の属性を取得することで、オブジェクト51の属性の選択肢を増やすことができ、演出情報のバリエーションを簡易に増やすことができる。
【0077】
また、端末装置30は、データ取得部33で取得したオブジェクト51の属性が保存される記憶部36を有し、情報処理部35は、記憶部36に保存されたオブジェクト51の属性の内容を変更することで、演出情報を生成してもよい。
【0078】
このように、記憶部36に保存されたオブジェクト51の属性の内容を変更することで、演出情報を簡易に作成することができる。
【0079】
また、記憶部36には、複数の照明器具10の位置データが保存され、情報処理部35は、上記位置データおよびオブジェクト51の属性に基づいて、演出情報を生成してもよい。
【0080】
このように、照明器具10の位置データに基づいて演出情報を生成することで、複数の照明器具10を用いて演出可能な範囲の演出情報を生成することができる。
【0081】
また、記憶部36には、複数のオブジェクト51ごとに照明演出の優先度が保存され、情報処理部35は、上記優先度およびオブジェクト51の属性に基づいて、演出情報を生成してもよい。
【0082】
これによれば、例えば、オブジェクト51が同一の時間帯に画面上において重なっている場合に、演出情報を簡易に生成することができる。
【0083】
また、情報処理部35は、端末装置30の画面に表示される動画コンテンツ50の中のオブジェクト51の面積に基づいて、複数のオブジェクト51の照明演出の優先度を決定してもよい。
【0084】
これによれば、例えば、オブジェクト51が同一の時間帯に画面上において重なっている場合に、演出情報を簡易に生成することができる。
【0085】
本実施の形態に係る照明演出方法は、複数の照明器具10による照明演出を行う照明演出方法であって、動画コンテンツ50に含まれるオブジェクト51の属性に基づいて、照明演出を行うための演出情報を生成し、演出情報に基づいて、複数の照明器具10を点灯制御して照明演出を行う。
【0086】
このように、動画コンテンツ50に含まれるオブジェクト51の属性に基づいて演出情報を生成することで、演出情報を簡易に作成することができる。
【0087】
本実施の形態に係るプログラムは、動画コンテンツ50から抽出したオブジェクト51の属性を変更するステップと、変更後のオブジェクト51の属性に基づいて、複数の照明器具10を点灯制御して照明演出を行うための演出情報を生成するステップと、を含む演出情報生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0088】
このプログラムによれば、動画コンテンツ50に含まれるオブジェクト51の属性に基づいて演出情報を生成するので、演出情報を簡易に作成することができる。
【0089】
(その他の形態)
以上、照明システム等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【0090】
上記実施の形態では、照明システム1が、複数の照明器具10と照明コントローラ20と端末装置30とによって構成されている例を示したが、それに限られない。例えば、照明システム1は、端末装置30と照明コントローラとを結ぶ経路上に、照明コントローラ20を制御する上位サーバが設けられていてもよい。また、上位サーバと照明コントローラとを結ぶ経路上にスイッチングハブが設けられ、スイッチングハブに映像機器または音響機器が接続されていてもよい。
【0091】
上記実施の形態では、照明演出を行うための演出情報によって複数の照明器具10が点灯制御される例を示したが、この演出情報は、DMX(Digital Multiple X)規格に基づく信号によって、照明コントローラ20から照明器具10に送信されてもよい。その場合、DMX規格に基づく信号は、照明コントローラ20によって生成されるが、それに限られず、端末装置30によって生成されてもよい。
【0092】
また、上記実施の形態のフローチャートで説明された処理の順序は、一例である。複数の処理の順序は変更されてもよいし、複数の処理は並行して実行されてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態において、制御部などの構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0094】
また、制御部などの構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、制御部などの構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0095】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0096】
例えば、本発明は、上記実施の形態の操作端末が行う処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。このようなプログラムには、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯端末(操作端末の一例)にインストールされるアプリケーションプログラムが含まれる。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 照明システム
10 照明器具
20 照明コントローラ
30 端末装置
33 データ取得部
35 情報処理部
36 記憶部
50、50a、50b 動画コンテンツ
51 オブジェクト
90 建物